説明

生体液体の処理装置

【課題】生体液体を処理する装置を提供する。
【解決手段】循環ポンプ(5)と、フィルタ要素(9)と、処理された液体を収集する容器と、前記循環ポンプ(5)と協働するように構成された循環路要素を含む、前記フィルタ要素(9)の入口穴に前記生体液体の供給源を接続する第1の循環路セクションと、前記処理された液体を収集する容器に前記フィルタ要素(9)の出口穴を接続する第2の循環路セクションとを含む、生体液体を処理する装置であって、前記処理された液体を収集する容器と、前記第1の循環路セクションおよび前記第2の循環路セクションとは使い捨てであり、前記装置はさらに、前記ポンプ(5)を保持する第1のカート(1)と、前記収集容器用のハウジング(14)を含み、第1のカート(1)から分離可能であり、前記第1のカート(1)内に少なくとも部分的に入れ子になるように構成されている、第2のカート(2)とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体液体を処理する装置に関し、具体的には、ただしこれらに限定されないが、単クローン性抗体、ワクチンまたは組み換えタンパクなどの生産物を得るために、生物薬剤的液体を精製する装置である。
【背景技術】
【0002】
生物薬剤学的液体は一般にバイオリアクタ内での培養により得られ、その後に精製して、濃度、ウイルスの不在などの観点から必要とされる特質を獲得しなければならない。
【0003】
精製は一般に、バイオリアクタ培養物の残留物を除去するための浄化処理および残留ウイルス処理を含み、時にはその後に、ダイアフィルトレーションおよびタンジェンシャルフロー濾過(TFF)処理を行う。他の精製処理にはクロマトグラフィおよび滅菌濾過(細菌を除去するために)を含む。
【0004】
精製処理は基本的には、処理された液体を収集する容器に通じる循環路内の濾過作用によりなされる。
【0005】
処理される生成物を含む供給源容器および洗浄液またはすすぎ液、緩衝液または純水などの中性液体を含む容器などの、液体を含む様々な種類の容器は、循環路の入口に接続できる。
【0006】
処理された液体を収集する容器に加えて、様々な他の洗浄液、すすぎ液または緩衝液を収集する容器、または副産物または残留物を収集する容器は循環路の出口に接続できる。
【0007】
生産状況においては、液体の処理は連続的に実行され、第1の処理のための収集容器は場合により次の処理のための供給源容器になり、以下、最後の処理が実行されるまで同様になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/090493号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/259240号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/043895号
【特許文献4】国際公開第2000/48703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの処理は、従来は、ステンレス鋼のパイプと、タンクおよびフィルタハウジングなどの他の構成要素とを備える、専用の循環路内で実行され、したがって、比較的重労働の、処理前後の作業、具体的には使用後の洗浄作業を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特に簡単で、便利で効率的である、生体液体を処理する装置を提供することを目的とする。
【0011】
この目的のために、本発明は生体液体を処理する装置を提示し、この装置には、
循環ポンプと、
フィルタ要素と、
処理された液体を収集する容器と、
前記フィルタ要素の入口穴に前記生体液体の供給源を接続する第1の循環路セクションであって、前記第1の循環路セクションにおいて前記生体液体を循環させるために前記循環ポンプと協働するように構成されている循環路要素を含む、第1の循環路セクションと、
前記処理された液体を収集する容器に前記フィルタ要素の出口穴を接続する、第2の循環路セクションと
を含み、
前記処理された液体を収集する容器は使い捨てバッグであり、前記第1の循環路セクションおよび前記第2の循環路セクションは使い捨てであり、前記装置はさらに、
前記ポンプを保持する第1のカートと、
前記収集バッグ用のハウジングを含み、第1のカートから分離可能であり、前記第1のカート内に少なくとも部分的に入れ子になるように構成されている、第2のカートと
を含むことに特徴とする。
【0012】
したがって、本発明の装置は、処理された液体を収集するバッグおよび循環路セクションを含む、大部分はフレキシブルな(「Flexware(TM)製品」)使い捨て要素、さらにフィルタ要素および2つ以上のカートに収納される永久的または再利用可能な要素(「ハードウェア」)を含む。
【0013】
本発明の装置は、使い捨て要素、具体的には、ポンプに取り付けられる、循環ポンプと協働するように構成された循環路要素と、ポンプを保持するのではなく台車に収納される、処理された液体の収集バッグとを有するカートを装備することにより、簡単に組み立てられる。
【0014】
2つのカートを分離できることは、収集バッグの取付け、および様々な循環路セクションの取付けさえも容易にする。
【0015】
処理された液体の収集バッグを収納するカートが、ポンプを保持するカート内に少なくとも部分的に入れ子になることができることは、本発明の装置に必要な床面積を最適化する。
【0016】
床面積を最適化するこの可能性は、一般に生物薬剤学的液体の処理における場合のような、空間が重要である管理された環境領域に装置が配置されるとき、特に有利である。
【0017】
最終的に、処理後のステップは基本的に使い捨て要素の除去および廃棄である。これは、特にカートを分離できるため、装置の準備と同様に実行することは簡単である。
【0018】
本発明の装置の使用の単純化および利便性に対して好都合であるとして好ましい特徴によれば、
前記第2のカートが前記第1のカート内に少なくとも部分的に入れ子になる場合、前記収集バッグ用の前記ハウジングは前記ポンプの少なくとも部分的に下に配置され、
前記第1のカートは前記ポンプの制御パネルを含み、
前記第2のカートにおける前記ハウジングは引出しの内側により形成され、
前記引出しの前面はノッチを含み、このノッチは前記第2の循環路セクションのパイプが前面を通過できるように構成されており、
第1のカートは第2のカートより短い長さを有し、
前記第1のカートは1つの側面および底部に全体的に平行六面体の形状を有し、これにより前記第2のカートの入れ子を可能にし、
前記第1の循環路セクションは、前記循環ポンプの出口穴と前記フィルタ要素の入口穴の間にプレフィルタ要素を含み、
前記装置は、前記フィルタ要素に対する支持体および前記収集バッグ用の代替のハウジングを含む第3のカートを含み、前記第3のカートは第1のカートと第2のカートとの間に配置され、
前記第3のカートは前記第1のカート内に少なくとも部分的に入れ子になるように、および第2のカートと並列に配置されるように構成され、
前記代替のハウジングは前記バッグを含むように構成された車輪のタンクであり、
少なくとも1つの前記カートは使い捨てのバッグ用の複数のハウジングを含み、
前記カートの少なくとも1つは引出しのようにスライドし、液体の排出口を備えたプレートを含み、
前記カートのそれぞれは車輪に搭載され、
および/または
前記第2の循環路セクションは前記フィルタ要素の出口穴と前記収集バッグとの間に最終フィルタ要素を含む。
【0019】
本発明の開示は、次に好ましい実施形態の説明に続く。説明は、非限定の例示によりおよび添付図面を参照して以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】入れ子構成の本発明の装置の概略正面図である。
【図2】分離した構成における、本装置のより詳細な斜視図である。
【図3】入れ子構成における、第3のカートを含む変形形態の図1と同様の図である。
【図4】入れ子構成における、本変形形態の斜視図である。
【図5】3つのカートを備える別の変形形態の、図4と同様の図である。
【図6】カートの引出しの斜視図である。
【図7A】第3のカートの代替の配置を示す図である。
【図7B】第3のカートの代替の配置を示す図である。
【図8】図5における平面VIII−VIIIに沿った正面部分断面図である。
【図9】浄化処理に適した、図1および図2に示した装置の液体循環路と図3から図5に示したそれの変形形態の図である。
【図10】残留ウイルス処理に適した代替の液体循環路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、入れ子構成の、第1のカート1および第2のカート2を含む、すなわち第2のカート2が第1のカート1内に部分的に入れ子になっている、生体液体を処理する装置を示している。第1のカート1の長さは第2のカートのそれより短い。
【0022】
図2は分離された構成の2つのカートを備える同一装置を示しており、すなわち、第2のカート2が第1のカートから離れている。
【0023】
図3は、入れ子構成の第3のカート3を含む装置を示しており、すなわち第3のカート3が第1のカート内の左側に部分的に入れ子になっている。図5は第3のカートがより長い変形形態を示している。
【0024】
図示していない別の変形形態では、カートは、第2のまたは第3のカートの右側(左側ではない)が第1のカート内に入れ子になるように設計される。
【0025】
前記のカートに取り付けられている使い捨て要素の助けにより形成される、生体液体処理循環路は、図9を参照して、浄化処理の場合について、最初に説明する。
【0026】
処理される生成物(培養バイオリアクタからまたは前処理から生じる)は、最初は、供給源バッグ31内にある。この供給源バッグ31はオスコネクタ35を介して、供給源バッグからフィルタ要素9の入口点37に通じる第1の循環路セクション60に接続される。オスコネクタ35は、第1の使い捨てフレキシブルパイプ8に接続され、このフレキシブルパイプにはメスコネクタ36が結合されている。図示していない変形形態では、コネクタ35および36のジェンダは逆であるかまたはジェンダレスコネクタである。循環路の清浄度を制御するため、または処理される液体を処理実行要素に向かって押し出すために、作業者は第1のフレキシブルパイプを、純水などの緩衝液またはすすぎ液などの生成物を含む、他のバッグ32または34に接続できる。これらの代替のバッグもまた、第1のフレキシブルパイプ8でコネクタ36と協働するように構成されたコネクタ35を備えている。図示していない変形形態では、フレキシブルパイプ8は、コネクタ36と同様のメスコネクタおよびジェンダレスコネクタの両方を有する。また、遮断弁またはクランプがこれらのコネクタの上流および下流においてフレキシブルパイプに装着され、これによりフレキシブルパイプ内の液循環を可能にするか、または阻止する。
【0027】
フレキシブルパイプが開き、ポンプ5が作動しているとき、生体液体は供給源バッグから第1のフレキシブルパイプ8内に吸引される。この第1のフレキシブルパイプ8は、循環ポンプ5と協働するように構成された循環路要素8aを保持する。循環ポンプ5は蠕動ポンプまたは特定の他のポンプシステムのいずれであってもよい。循環ポンプ5の下流の、図では参照符号8bにより識別される第1のフレキシブルパイプは、フィルタ要素9の上流側の圧力を測定する第1の圧力センサ7に接続されている。第1のフレキシブルパイプの他端は、フィルタ要素9の入口穴37に接続されている。
【0028】
循環ポンプ5により、処理される液体はフィルタ要素9を通過することにより浄化され、大部分のバイオリアクタの培養残留物を残し、次に、フィルタ要素9の出口点38から収集バッグ15に通じる第2の循環路セクション70に入る。フィルタ要素9の出口38において、液体はフィルタ要素9の出口点38に固定されている第1の中間パイプ40に流れる。この第1の中間パイプ40は第2の圧力センサ10に接続され、この第2の圧力センサ10からの測定結果は第1の圧力センサ7から得られた測定結果と併せて、フィルタ要素9の動作状態を示す。
【0029】
第2の圧力センサ10とのこの接続点の下流において、第1の中間パイプ40は分岐接続を有し、この分岐接続から遮断弁を備えた分岐パイプ41が分岐する。この分岐パイプは端部にオスコネクタを有し、このオスコネクタは、ここに示すように、試料採取または排出バッグまたはさらに排出パイプにより保持される、適切なメスコネクタに接続されるように構成されている。作業者は、分析用の液体サンプルを採取するためまたは循環路に含まれる液体を排出するために必要な場合、これらのバッグを使用する。
【0030】
第1の中間パイプ40はオスコネクタ42で終了し、このオスコネクタには、第2の中間パイプ43の一端に固定されたメスコネクタが接続されている。この第2のパイプはその他端が、最終フィルタ要素11の入口点44に接続されている。処理される液体は最終フィルタ11を通過し、その後の保管を容易にする。
【0031】
この最終フィルタ要素11の出口から、生体液体は、最終フィルタ11の出口点45に接続されている第2のフレキシブルパイプ12に入る。この第2のパイプ12はまた、液体循環を可能にするまたは阻止するための遮断弁を備える。この第2のパイプの他端は、処理された液体を収集する収集バッグ15に直接接続される。バッグ15の近くに、パイプ12は、1回の操作で圧着され切断されるように構成されたMillipore NovaSeal(TM)要素を含むが、必要に応じて他のシーリング機構を使用することもできる。必要に応じて、この第2のフレキシブルパイプ12に分岐接続を設けて、このパイプ12に試料採取または排出バッグまたはタンクを接続することもできる。
【0032】
前記の循環路を使用する装置は、図1および図2を参照して次に説明する。第1のカート1は、カートを生産領域に移動するのを容易にする車輪に搭載される。この第1のカートは、全体的に平行六面体形状であり、1つの側面および底部が開いている。この第1のカートの内部は第2のカート2の入れ子を可能にするために空である。第1のカート1の上部分には、プラットフォーム4の形を示す支持要素があり、この支持要素は、循環路の機器のいくつか、具体的には再利用可能な機器のいくつか、および使い捨て要素に対する支持手段を受けるように構成されている。プラットフォーム4により保持される再利用可能な要素は、蠕動性ポンプの形体で示されている循環ポンプ5と、第1の圧力センサ7と、第1のカート1に取り付けられたポンプ5および機器の様々なアイテムを制御するための制御パネル6とを含む。
【0033】
図示していない実施形態では、制御パネル6を可変アームに取り付けることにより、制御パネル6の位置の調節を可能にしている。
【0034】
プラットフォーム4は、第2のカート2がその下にスライドして入り、少なくとも部分的に、入れ子構成で循環ポンプの下に位置するのに十分な高さに配置される。
【0035】
図2はパイプ要素8を示し、このパイプ要素8aはポンプ5と協働して液体を循環させるように構成されている。図を簡略化するために、この第1のパイプの後ろに続き、フィルタ要素を通して処理される液体を導く、循環路セクションは示されていない。
【0036】
図2は、全体的に平行六面体形状であり、車輪に搭載されている、第2のカート2を示しており、これは第2の圧力センサ10などの再利用可能な要素および浄化フィルタ要素9および最終フィルタ要素11などの使い捨て要素をその上面13に搭載している。カート2には、簡略化のために示されていないが、液体回収バッグまたは試料採取または排出バッグなどの様々な他の容器を収納することを目的とする、引出し14の形体の多数の保管位置を図で確認することができる。
【0037】
処理される液体は、循環ポンプ5の下流側のフレキシブルパイプおよび第1の圧力センサ7内を浄化フィルタ要素9の方向に流れる。次に、この液体の圧力を第2の圧力センサ10により測定して、浄化フィルタ要素9が正常に作動しているかどうかを確認する。次に、処理される液体は小直径の孔を備える最終フィルタ要素11に入り、操作を終了する。次に液体は、最終フィルタ要素11の出口穴に取り付けられたフレキシブルパイプ12を通して第2のカート2の引出し14の内部に位置する収集バッグ15に送り込まれる。図6で確認できるとおり、引出し14の前面にノッチ16が形成されているため、第2のパイプ12は引出し14の壁を通過できる。
【0038】
図3から図5は、装置の2つの変形形態、すなわち短いタイプおよび長いタイプを示し、これら変形形態では、第1のカート1と第2のカート2の間に第3のカート3が挿入されている。これら3つの図では、デバイスは入れ子構成で表わされている。すなわち、第3のカートの部分は第1のカート1の内側に入れ子になっている。
【0039】
第3のカート3もまた車輪に搭載され、その機能は、大量の液体を処理するために、カート2の拡張を実現することである。第3のカートは、大きなフィルタ要素の支持体22の下に位置する上面17を有する。これらの変形形態では、浄化フィルタ要素9は、第2のカート2から第3のカート3に移される。したがって、第2のカートにより保持されるフィルタ要素のみが最終フィルタ要素11である。
【0040】
図7Aおよび図7Bに示したように、第3のカート3は、その前面に、引出し14と同様の、または代替として異なるように配列された引出し21の形体の複数の保管位置、あるいはタンク23を有する。タンク23は、大量の液体を収集するために必要であり、該当するバッグの重量が大きい場合、引出し14または21より優先的に使用される。この目的のために、タンク23には車輪が取り付けられ、生産領域における取扱いを容易にする。
【0041】
図4に示した短いタイプの第3のカート3は単純な平行六面体の形状を有するのに対して、図5に示した長いタイプはまた2つの横方向拡張部を有し、この拡張部は平行六面体から突出し、より長い上面17を提供する。この長いタイプは、さらにより長いフィルタ領域を有するフィルタ要素9を受け入れることができる。これらの2つの図において、デバイスは、入れ子構成で示されている、すなわち図4に表わされた平行六面体または図5に表わされた拡張部の1つのどちらも第1のカート1内に入れ子になっている。
【0042】
長いタイプと同様に短いタイプでは、第3のカートは、その上面17の上方に、プレートの形体の2つの支持要素18および19を有し、これらの間に浄化フィルタ要素9が配置されている。このフィルタ要素(図4および図5には示されていない)は、例えばMilliporeによる商標名Millistak+(R)PODで販売されている要素などの、既知の個々のフィルタ要素のスタックからなる。これらフィルタ要素は、図4および図5に示したフィルタ要素支持体22に水平バーの形で配置されており、フィルタ要素は、このバーに横並びに置かれている。これらフィルタ要素はさらに、上面17に対して固定されている第1の支持要素18と、個々のフィルタ要素を一緒に固定し、それらフィルタ要素間にシールを提供するために第1の支持要素18に向かって移動されるように構成されている第2の支持要素19との間に固定される。個々のフィルタ要素は、処理される液体を供給するためのフレキシブルパイプおよび処理された液体を排出するためのフレキシブルパイプを備える、対応するプレート18および19を介して、相互に流体連通される。
【0043】
第3のカートの上面17はカートの上部に装着され、これにより、上面をスライドさせることができ、作業者が、例えば浄化するために、上面を引出しと同様に引き出すことができる。さらに、上面17は第2のカート2と平行に位置する水平方向の拡張部と同一面に、低点を有する。図8に示したように、排出口20は上面17のこの低点に位置する。排出口は、例えば、浄化フィルタ要素9を取り外すときに、上面17に溜まった液体を排出するか、あるいは使用後にこの上面を洗浄またはすすぐために使用された水を排出する。図示していない変形形態では、第2のカート2の上面はまた、スライドできるようにカートの上部に装着されており、また排出口が設けられる低点を有する。
【0044】
図10に示す、本発明の別の実施形態では、使用される循環路は残留ウイルス処理用に構成されている。この循環路は、NaOH溶液を収容する補助の供給源バッグ33が示されていることを除いて図9の循環路と同一であり、供給源バッグ31からフィルタ要素50の入口点49に延びる、第1の循環路セクション160を備えている。ここでは、処理される液体は、1つではなく、2段階の濾過を受ける。最初に、処理される液体は、入口点37を通してプレフィルタ要素39に入る。液体は、このプレフィルタ要素39の出口から、第3の圧力センサ46に接続されている第3の中間パイプ47に流れ、この第3の圧力センサ46の測定結果は、第1の圧力センサ7による測定結果と併せて、プレフィルタ要素39の操作状態を示す。
【0045】
第3の圧力センサ46とのこの接続点の下流において、第3の中間パイプ47は分岐接続を有し、ここから、遮断弁を備えた第2の分岐パイプ48が分岐する。前記のように、この分岐パイプは端部にオスコネクタを有し、このオスコネクタは、ここに示すように、試料採取または排出バッグまたはさらに排出パイプにより保持される、適切なメスコネクタに接続されるように構成されている。
【0046】
第3の中間パイプ47は、その他端がフィルタ要素50を形成するウイルスフィルタの入口点49に接続され、このフィルタ要素50で例えば残留ウイルス操作を終了する。
【0047】
フィルタ要素50は、例えば、Milliporeから市販されているViresolve(R)フィルタである。
【0048】
図示していない変形形態では、フィルタ要素9または50は、異なるフィルタ要素、例えば、Milliporeから市販されているChromaSorb(TM)などの、膜吸収体に置き換えられる。
【0049】
このウイルスフィルタの出口点38に、浄化処理の終端セグメントのために、図9に示したものと同様の第2の循環路セクション70が取り付けられている。
【0050】
循環路セクション70の最終フィルタ11は、例えば、Millipore社から市販されているOpticap(R)フィルタカプセルである。
【0051】
図示していない変形形態では、コネクタは、コネクタ35および36に関して前記で説明したように、異なるジェンダまたはジェンダレスである。
【0052】
他の図示していない変形形態では、バッグまたは他の容器用のハウジングは、14、21のような引出しまたは23のようなタンクとは異なり、例えば車輪またはバスケットを備えないタンクである。
【0053】
多くの変形形態が状況に応じて可能であり、これに関しては、本発明は説明し図示した例に限定されないことが指摘される。
【符号の説明】
【0054】
1 第1のカート
2 第2のカート
3 第3のカート
4 プラットフォーム
5 循環ポンプ
6 制御パネル
7 第1の圧力センサ
8 フレキシブルパイプ
8a 循環路要素
8b 第1のフレキシブルパイプ
9 浄化フィルタ要素
10 第2の圧力センサ
11 最終フィルタ要素
12 第2のフレキシブルパイプ
13 上面
14、21、23 ハウジング
15 収集バッグ
16 ノッチ
18、19 支持要素
20 排出口
22 フィルタ要素支持体
31 供給源バッグ
32、34 第1のフレキシブルパイプの他のバッグ
33 補助の供給源バッグ
35、42 オスコネクタ
36 メスコネクタ
37、44、49 入口穴
38、45 出口穴
39 プレフィルタ要素
40 第1の中間パイプ
41 分岐パイプ
43 第2の中間パイプ
46 第3の圧力センサ
47 第3の中間パイプ
48 第2の分岐パイプ
50 フィルタ要素
60、160 第1の循環路セクション
70 第2の循環路セクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環ポンプ(5)と、
フィルタ要素(9;50)と、
処理された液体を収集する容器と、
前記フィルタ要素(9;50)の入口穴(37;49)に前記生体液体の供給源(31)を接続する第1の循環路セクション(60;160)であって、前記循環ポンプ(5)と協働することにより前記第1の循環路セクション(60;160)内で前記生体液体を循環させるように構成されている循環路要素(8a)を含む、第1の循環路セクションと、
前記フィルタ要素(9;50)の出口穴(38)を前記処理された液体を収集する容器に接続する、第2の循環路セクション(70)と
を含む、生体液体を処理するための装置であって、
前記処理された液体を収集する容器が使い捨てバッグ(15)であり、前記第1の循環路セクション(60;160)および前記第2の循環路セクション(70)が使い捨てであり、前記装置がさらに、
前記ポンプ(5)を保持する第1のカート(1)と、
前記収集バッグ(15)用のハウジング(14)を含み、第1のカート(1)から分離可能であり、前記第1のカート(1)内に少なくとも部分的に入れ子になるように構成されている、第2のカート(2)と
を含むことを特徴とする、生体液体の処理装置。
【請求項2】
前記第2のカート(2)が前記第1のカート(1)内に少なくとも部分的に入れ子になる場合、前記収集バッグ(15)用の前記ハウジング(14)が前記ポンプ(5)の下に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のカート(1)が前記ポンプ(5)の制御パネル(6)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のカートにおける前記ハウジング(14)が引出しの内側により形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記引出し(14)の前面が、この前面を貫通する前記第2の循環路セクションのパイプを有するように構成されたノッチ(16)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のカート(1)が前記第2のカート(2)より短い長さを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のカート(1)が、1つの側面および底部で開く全体的に平行六面体の形状を有して、前記第2のカート(2)の入れ子構成を可能にしていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の循環路セクション(160)が、前記循環ポンプ(5)の出口穴と前記フィルタ要素(50)の入口穴(49)との間にプレフィルタ要素(39)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタ要素用の支持体(22)および前記収集バッグ(15)用の代替のハウジング(21;23)を含む第3のカート(3)を含み、前記第3のカート(3)が第1のカート(1)と第2のカート(2)との間に配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第3のカート(3)が、前記第1のカート(1)内に少なくとも部分的に入れ子になるように、および第2のカート(2)と横並びに配置されるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記代替のハウジングが前記バッグ(15)を含むように構成された車輪(23)のタンクであることを特徴とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記カートの内の少なくとも1つが、使い捨てのバッグ用の複数のハウジングを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記カートのうちの少なくとも1つが、引出しと同様にスライドし、かつ液体の排出口(20)を備えるプレート(17)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記カート(1、2、3)のそれぞれが車輪に搭載されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第2の循環路セクション(70)が、前記フィルタ要素(9;50)の出口穴(38)と前記収集バッグ(15)との間に最終フィルタ要素(11)を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−74897(P2013−74897A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−278945(P2012−278945)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2009−127274(P2009−127274)の分割
【原出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】