説明

生体測定装置

【課題】生体測定装置に対する被測定者の足置き位置に被測定者を誘導し、被測定者の生体情報をより正確に取得・測定できる生体測定装置を提供する。
【解決手段】被測定者の身体的特徴を取得する取得手段と、被測定者の体内に電流を供給する通電電極と、通電電極から供給されて被測定者の体内を流れる電流の電圧を取得する測定電極と、通電電極から供給される電流及び測定電極で測定される電圧から被測定者の生体インピーダンスを算出するインピーダンス測定部と、通電電極及び測定電極の上に載せる被測定者の足の足置き位置を、身体的特徴に基づいて決定する制御手段と、制御手段により決定された足置き位置を示すための表示を行う位置表示手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を測定する生体測定装置に関し、特に、被測定者の生体情報を正確かつ測定できるように被測定者の足置き位置を表示できる生体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定者の体重、体脂肪率、筋肉量等の生体情報を測定するための種々の生体測定装置が利用されている。例えば、生体測定装置の一つである体脂肪計付き体重計が業務用として広く使用されている。このような体脂肪計付き体重計には、被測定者の生体インピーダンス(電気抵抗)を測定するための電極部材が、体脂肪計付き体重計の台部の上面に固定的に配置されている。さらに、体脂肪計付き体重計の台部の上面には、被測定者が、正しく載る位置を認識し易いように、足形をかたどった目印が付けられているものもある。
【0003】
被測定者が、体脂肪計付き体重計の電源を入れ、体脂肪計付き体重計の台部の足形に足を合わせて立つと、体重や体脂肪率等の生体情報が測定される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−12635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、従来の体脂肪計付き体重計等の生体測定装置に付されている目印としての足形は、標準的な体格を有する成人である被測定者の足サイズを想定して、1パターンだけが表示されているに過ぎない。
しかしながら、生体測定装置は、子供・成人・お年寄り、男性や女性のように、体格の相違によって足サイズが著しく異なる被測定者により使用されることもある。このため、例えば、足サイズの小さい被測定者にとっては、前記足形の目印が大き過ぎて、その足形内に足を合わせても、生体測定装置に対する被測定者の足置き位置が、生体情報を正確に測定するために適した位置ではない恐れもある。このような場合には、生体測定装置により被測定者の正確な生体情報を取得できない。
【0006】
そこで、本発明は、生体測定装置に対する被測定者の足置き位置に被測定者を適確に誘導し、被測定者の生体情報をより正確に取得・測定できるようにする生体測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の生体測定装置は、被測定者の身体的特徴を取得する取得手段と、被測定者の体内に電流を供給する通電電極と、前記通電電極から供給されて前記被測定者の体内を流れる電流の電圧を取得する測定電極と、前記通電電極から供給される電流及び前記測定電極で測定される電圧から前記被測定者の生体インピーダンスを算出するインピーダンス測定部と、前記通電電極及び前記測定電極の上に載せる前記被測定者の足の足置き位置を、前記身体的特徴に基づいて決定する制御手段と、前記制御手段により決定された前記足置き位置を示すための表示を行う位置表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の生体測定装置において、前記身体的特徴は、前記被測定者の身長であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の生体測定装置において、前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記被測定者の身体的特徴に基づいて前記被測定者の足サイズを決定し、前記足サイズに基づいて前記足置き位置を決定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の生体測定装置において、前記制御手段は、前記足サイズから、前記通電電極及び前記測定電極の離間距離を減じた値を2分の1にして算出される所定距離を求め、前記測定電極の縁部から、前記通電電極と反対方向に前記所定距離をとった位置を、前記足置き位置として決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の生体測定装置において、前記足置き位置は、前記被測定者の踵を合わせる位置であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の生体測定装置において、前記制御手段は、決定された前記足サイズから、前記通電電極及び前記測定電極の離間距離を減じた値を2分の1にして算出される所定距離を求め、前記通電電極の縁部から、前記測定電極と反対方向に前記所定距離をとった位置を、前記足置き位置として決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の生体測定装置において、前記足置き位置は、前記被測定者のつま先を合わせる位置であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の生体測定装置において、前記足置き位置を示すための表示は、前記通電電極及び/又は前記測定電極の面積の内及び/又は外に表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の生体測定装置によれば、被測定者ごとの身体的特徴に基づいて足置き位置を表示することができるので、被測定者間の体格差に拘わらず被測定者の生体情報をより正確かつ確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計の測定ユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計のブロック図である。
【図4】被測定者の足置き位置を表示する処理のフローチャートである。
【図5】(a)は、標準的な日本人男性の身長と足サイズとの関係を示すグラフ、(b)は、標準的な日本人女性の身長と足サイズとの関係を示すグラフある。
【図6】第2実施形態に係る体脂肪計付き体重計の測定ユニットの平面図である。
【図7】(a)は、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計の斜視図、(b)は、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計のグリップの構成を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計の測定部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明による生体測定装置を体脂肪計付き体重計に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計1の平面図、図2は、第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計1の測定ユニット20の分解斜視図、図3は、第1実施形態に係る体脂肪計付き体重計1のブロック図、図4は、被測定者の足置き位置を表示する処理のフローチャート、図5(a)は、標準的な日本人男性の身長と足サイズとの関係を示すグラフ、図5(b)は、標準的な日本人女性の身長と足サイズとの関係を示すグラフである。なお、図5(a)、(b)において、縦軸は、足サイズ(cm)を示し、横軸は、身長(cm)を示す。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態の体脂肪計付き体重計1(以下、体重計1という。)は、表示ユニット3と、測定ユニット20と、を備え、表示ユニット3及び測定ユニット20は、ケーブル45によって電気的に接続されている。
【0019】
表示ユニット3は、表示・操作部21(取得手段)、制御部29(制御手段)、記憶部25を有する。また、測定ユニット20は、カバー部材20a、底板部材20b、フレーム部材40、通電電極31L、31R、測定電極32L、32R、インピーダンス測定部48、発光素子11(位置表示手段)、ロードセル60、脚部65、電源26を有する。
【0020】
表示・操作部21は、一例として、タッチパネルを組み込んだ液晶ディスプレイとして設ければよく、この場合は、生体情報、入力画面、入力結果等を表示可能な表示機能と、被測定者が触れることにより性別、年齢、身長等の個人情報(身体的特徴)や設定事項を入力可能な入力機能を有する。なお、表示・操作部21は、液晶等の表示機構と、ボタン式又はダイヤル式の機械的な入力機構とを別体に構成としてもよい。本実施形態においては、被測定者自身が自己の身体的特徴を表示・操作部21を用いて入力することにより、表示・操作部21が被測定者の身体的特徴を取得する取得手段となる構成を説明する。しかしながら、取得手段は、前記のように、被測定者により身体的情報を入力する構成に限定されない。例えば、被測定者の身長を測定可能な身長計を取得手段として備える構成としてもよく、この場合には身長という身体的特徴を被測定者による入力作業なしに取得することができる。
【0021】
記憶部25は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成され、表示・操作部21から入力された個人情報を保存したり、設定事項を保存したりすることができる。ここで、設定事項とは、被測定者(使用者)が体重計1を使用するために必要な事項である。例えば、後述の式(1)〜(3)に基づいて演算するためのプログラム、身長と足サイズとの関係を示すデータ(図5参照)、表示される生体情報の文字や記号の大きさ、生体情報の種類等である。
【0022】
図2に示すように、測定ユニット20は、カバー部材20aと、カバー部材20aに固定される底板部材20bとにより略箱形に形成され、カバー部材20aと底板部材20bとの間には金属製のフレーム部材40が配置される。カバー部材20a及び底板部材20bは、一例として樹脂(例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体))やガラス等から成形すればよいが、測定ユニット20の強度を高めるために、底板部材20bを金属製としてもよい。
【0023】
測定ユニット20のカバー部材20aの上面は、被測定者が載る(立つ)ための平坦な載置部7が構成されている。載置部7には、被測定者の足の裏面が接触し、金属板から形成される通電電極31L、31R及び測定電極32L、32Rが互いに離間して配置されている。なお、カバー部材20aには、電極部材30を嵌め込むことができる凹部(図に示さず)が形成され、通電電極31L、31R及び測定電極32L、32Rと載置部7とが面一となるように構成されている。
【0024】
通電電極31L、31Rは、接触する被測定者の体の部位(例えば爪先付近の足裏)から被測定者の体内に、生体インピーダンス測定用の電流を供給するための電極である。また、測定電極32L、32Rは、接触する被測定者の体の部位(例えば踵付近の足裏)における、被測定者の体内を流れる前記電流の電圧を取得・測定するための電極である。インピーダンス測定部48は、このような電流及び電圧の各値に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを算出・測定することができるようになっている。より具体的には、生体インピーダンス測定部48は、通電電極31L、31Rに接続されて高周波の微弱な定電流を付与する定電流供給部(図に示さず)と、測定電極32L、32Rに接続されて生体の電位差を測定するための電圧測定部(図に示さず)と、を有する。本実施形態では、通電電極31L、測定電極32Lが、それぞれ、被測定者の一方の足に接触し、通電電極板31R、測定電極32Rが、被測定者の他方の足に接触する構成としている。
【0025】
さらに、測定電極32L、32Rは、その面積内において厚さ方向に貫通する貫通口13が複数設けられている。それぞれの貫通口13を介して被測定者が視認できるように、位置表示手段としての発光素子11が、測定ユニット20に配置されている。貫通口13は、図1の左右(幅)方向及び上下(縦)方向に等間隔で、カバー部材20aに配置されている。本実施形態では、左右方向、上下方向に4つずつ配置しているが、発光素子11の数は適宜変更可能である。なお、図1の黒塗りされている発光素子11は点灯している状態を示し、それ以外の発光素子11は消灯している状態を示す。
それぞれの発光素子11は、制御部29により決定される足置き位置に基づいて、点灯及び消灯が可能になっている。所定身長の被測定者が、足の踵を黒塗りされている発光素子11に合わさせて載置部7に載ると、被測定者の足が確実に通電電極31L、31R及び測定電極32L、32Rに接することになる。
【0026】
測定ユニット20内のフレーム部材40の四隅の凹部41には、体重測定手段としてのロードセル60(60a、60b、60c、60d)が配置され、固定されている。ロードセル60は、荷重に応じて変形する金属部材からなる起歪体61と、起歪体61の歪み可能部分である起歪部に貼られて起歪部の変形(伸縮)に応じて抵抗値が変化する歪みゲージ63と、を備える。フレーム部材40には、起歪体61の固定端部が、ねじ67、ナット69により固定され、起歪体61の可動端部が、脚部65にねじ67、ナット69により固定されている。脚部65は、底板部材20bの貫通口20b1〜20b4を介して、測定ユニット20の外部に突出し、接地する構成である。
【0027】
被測定者が測定ユニット20のカバー部材20aの載置部7に載ると、被測定者の荷重は、カバー部材20a及びフレーム部材40を通じてロードセル60の起歪体61に伝達され起歪部が変形し、その変形に応じて歪みゲージ63が伸縮する。歪みゲージ63の伸縮による、その抵抗値の変化を利用して、被測定者の体重が測定される。すなわち、制御部29は、測定ユニット20に荷重が掛かっていないときのロードセル60からの抵抗値(いわゆるゼロ点)と、荷重が掛かったときの抵抗値と、の差から被測定者の体重を算出する。
【0028】
体重計1は、電池又は外部から電力を供給する電源26により作動する。
【0029】
図3に示すように、制御部29は、表示・操作部21、発光素子11、記憶部25、電源26、インピーダンス測定部48、及びロードセル60に電気的に接続され、各構成要素を制御する。
【0030】
本実施形態に係る体重計1は、通電電極31Lと測定電極32Lの対は左足の裏に、通電電極31Rと測定電極32Rの対は右足の裏に、それぞれ接触するように構成されている。インピーダンス測定部48は、定電流供給部(図に示さず)から、左足に接触する通電電極31Lを介して,被測定者の左足つま先付近,脚部(下半身),右足つま先付近、右足に接触する通電電極31Rという電流経路で、微弱な定電流を付与し、この電流経路の測定電極31b、32b(両足踵付近)における電圧を電圧測定部(図に示さず)により測定し、生体インピーダンスを測定・算出する。
【0031】
〔足置き位置を示すための表示処理〕
体重計1の被測定者の足置き位置を示すための表示を行うために、制御部29で行われる処理について説明する。まず、図4に示されるように、体重計1を使用する被測定者の身体的特徴である身長及び性別が、表示・操作部21を用いて入力される(ステップS101)。次に、被測定者の性別が識別される(ステップS102)。男性である場合には(ステップS102でYes)、ステップS103に移行し、入力された身長に基づき、被測定者の足サイズを下記式(1)を用いて算出し取得する。一方、女性である場合には(ステップS102でNo)、ステップS104に移行し、入力された身長に基づき、被測定者の足サイズを下記式(2)を用いて算出し取得する。
【0032】
足サイズ、すなわち踵点から足尖点までの足軸(踵点と第二指先端とを結ぶ直線)への投影距離は、足サイズと身長(床面から頭部最高点までの鉛直距離)との関係式から算出される。例えば、被測定者が日本人の成人男性の場合には、足サイズと身長との関係は、図5(a)に示す統計的データより、次式(1)の近似直線で表わすことができる。
Y1=0.138・X1+1.6052 ・・・式(1)
ここで、Y1は足サイズを示し、X1は身長を示す。
【0033】
また、被測定者が日本人の成人女性の場合には、足サイズと身長との関係は、図5(b)に示す統計的データより、次式(2)の近似直線で表わすことができる。
Y2=0.0828・X2+9.9805 ・・・式(2)
ここで、Y2は足サイズを示し、X2は身長を示す。
【0034】
上記式(1)、式(2)は、記憶部25に格納されている。このように、制御部29は、被測定者により入力された性別情報に基づき、男女の別を識別し、被測定者が男性である場合には、式(1)により、足サイズ(Y1)を推定値として取得し(ステップS103)、被測定者が女性である場合には、式(2)により、足サイズ(Y2)を推定値として取得する(ステップS104)。
【0035】
次に、取得された足サイズに基づき、測定電極(32L、32R)上で踵を合わせるべき位置(Z1)を算出する(ステップS105)。図1に示すように、通電電極31L、31Rと、測定電極32L、32Rとの、互いに対向する縁部34、36間の距離をSとする。このとき、被測定者の各足が、通電電極31L及び測定電極32L、通電電極31R及び測定電極32Rのそれぞれに確実に接触するために望ましい、踵を合わせる位置として、測定電極32L、32Rの縁部36からの距離Z1を、次式(3)により算出する。
【0036】
Z1=(Y−S)/2 ・・・式(3)
ここで、Yは、式(1)又は式(2)より取得される足サイズY1又はY2、Sは、通電電極31L、31Rの縁部34と、測定電極32L、32Rの縁部36との間の長さ(すなわち通電電極と測定電極との離間距離)、Z1は、測定電極32L、32Rの縁部36からの距離である。すなわち、Z1は、通電電極31L及び測定電極32Lに左足の足裏が等しく接触するようにすること、また、通電電極31R及び測定電極32Rに右足の足裏が等しく接触するようにすること、を目的として算出されるものである。
【0037】
制御部29は、式(3)により距離Z1を得た後、距離Z1に最も近い位置に配置されている発光素子11を、例えば一列に点灯させる(ステップS106)。これにより点灯された発光素子11によって、被測定者の踵を合わせるための足置き位置が表示されることとなる。
一例として、体重計1の通電電極と測定電極との離間距離Sが8cmであり、これを利用する被測定者が身長175cmの日本人男性である場合を想定する。式(1)より、Y2は、25.76cmであり、式(3)より、Z1が8.88cmである。よって、測定電極32L、32Rの縁部から8.88cmの位置又はその位置と最も近くに配置されている発光素子11を点灯させる。
【0038】
その後、被測定者が、前記点灯した発光素子11(足置き位置)に足を合わせて、載置部7に載ると、制御部29は、ロードセル60の抵抗値の変化に基づいて被測定者の体重を算出・取得し、インピーダンス測定部48により生体インピーダンスを算出・取得し、制御部29は、体脂肪率や体脂肪量を算出・取得する。取得された体重や体脂肪率等は、表示・操作部21に表示される。
【0039】
このように、被測定者ごとの足サイズを推定値として算出し、この足サイズに基づいて被測定者の足置き位置を表示することにより、被測定者の足を載せる位置を、体重計1に対して適切な位置関係となるように誘導できる。その結果として、被測定者の生体情報を正確に測定することができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る体脂肪計付き体重計について、図6を参照しつつ説明する。図6は、第2実施形態に係る体脂肪計付き体重計の測定ユニット120の平面図である。なお、第2実施形態に係る体脂肪計付き体重計の表示ユニットは、第1実施形態と同じ構成及び機能であるので、図示及びその説明を割愛する。
【0041】
第2実施形態の測定ユニット120が第1実施形態の測定ユニット20と異なるのは、位置表示手段としての発光素子111が、図6の上下方向に係る基準線Lに沿って配置され、踵を合わせるべき足置き位置を、光を照射して表示する構成とした点である。よって、測定電極132L、132Rには、第1実施形態の発光素子11を配置するための貫通口が形成されていない。
【0042】
測定ユニット120は、隆起部110を備え、隆起部110は、測定電極132L、132Rの間で載置部107上に隆起させて設けられる。また、隆起部110には、測定ユニット120の幅方向(図6の横方向)の両端部から等距離にある中心線である基準線Lに沿って、複数(図6では3つ)の光照射手段(位置表示手段)111が等間隔に配置されている。光照射手段111は、基準線Lに対して垂直方向で、基準線Lから離れる方向に光を照射可能である。すなわち、両測定電極132L、132Rを横切る方向に、光Bが、踵を合わせる足置き位置として照射される。なお、単一の光照射手段111を、隆起部110内で基準線L方向に駆動可能に構成してもよい。
【0043】
第1実施形態と同様に、足置き位置の表示処理を行い、制御部29が測定電極132L、132Rの縁部136からの距離Z1を取得すると、その距離Z1に位置する部位を照射できる発光素子111を発光させ、踵を合わせる足置き位置を表示する。本実施形態は、第1実施形態による構成に比べ、発光素子の数を相対的に少なくできるため、構成を簡素にできるという利点がある。
【0044】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計201について、図7を参照しつつ説明する。図7(a)は、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計201の斜視図、図7(b)は、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計201のグリップの構成を示す図、図8は、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計の測定部の平面図である。
【0045】
図7及び図8に示すように、第3実施形態に係る体脂肪計付き体重計201(以下、体重計201という。)は、測定部220と、鉛直方向に延びる支持部251と、支持部251の上部に設けられた表示部203と、光照射手段211と、接続するコード245を介して支持部251の両側面に設けられた左手用グリップ270L及び右手用グリップ270Rと、を有する。左手用グリップ270Lには、被測定者の左掌から身体に電流を流すための通電電極280L及び身体に生じた電圧(電位差)を測定するための測定電極281Lが設けられている。また、右手用グリップ270Rには、被測定者の右掌から身体に電流を流すための通電電極280R及び身体に生じた電圧(電位差)を測定するための測定電極281Rが設けられている。通電電極280L及び測定電極281Lが配設された部分が左手用グリップ270Lの把持部、通電電極280R及び測定電極281Rが配設された部分が右手用グリップ270Rの把持部となる。体重計201は、第1及び第2実施形態とは異なり、測定部220と表示部203とが一体化されている。なお、測定部220は、表示部203と支持部251により連結されていること、被測定者の両足のみならず両手からも所定の電流を供給して電圧を測定できることを除き、第1及び第2実施形態の測定ユニット20、120と同じ構成及び機能であるので、詳細な説明は割愛する。
【0046】
直立する支持部251の所定部位には、測定部220に足置き位置を示すための表示をする位置表示手段である、光照射手段211が設けられている。体重計201では、被測定者が表示部201側を向いて立つように構成されている。従って、光照射手段211から照射される光Bにより、つま先を合わせる足置き位置が表示される。
【0047】
体重計201において、つま先を合わせる位置を決定する工程について説明する。第1及び第2実施形態と同様に、被測定者の性別及び身長から、式(1)又は式(2)を用いて、被測定者の足サイズを取得する(図4のステップS103又はS104参照)。
【0048】
次に、被測定者の各足が、通電電極231L及び測定電極232L、通電電極231R及び測定電極232Rのそれぞれに確実に接触するために望ましい、つま先を合わせる位置として、通電電極231L、231Rの縁部234からの距離Z2を、次式(4)により算出する。
【0049】
Z2=(Y−S)/2 ・・・式(4)
ここで、Yは、式(1)又は式(2)より取得される足サイズY1又はY2、Sは、通電電極231L、231Rの縁部234と、測定電極232L、232Rの縁部236との間の長さ(すなわち通電電極と測定電極との離間距離)、Z2は、通電電極231L、231Rの縁部234からの距離である。すなわち、Z2は、通電電極231L及び測定電極232Lに左足の足裏が等しく接触するようにすること、また、通電電極231R及び測定電極232Rに右足の足裏が等しく接触するようにすること、を目的として算出されるものである。
【0050】
式(4)により距離Z2が算出されると(図4のステップS105参照)、光照射手段251からの光Bが、不図示の光学系によりその照射方向が調整され、縁部234から距離Z2の位置に、つま先を合わせる足置き位置として照射される。
【0051】
なお、上記第1及び第2実施形態では、踵の位置を表示する構成とし、第3実施形態では、つま先の位置を表示する構成としたが、本発明はこれら構成に限定されない。例えば、第1及び第2実施形態の、踵の位置を表示できる構成に、第3実施形態の構成を加え、つま先の位置を表示することもできる。さらに、第3実施形態に、第1又は第2実施形態の構成を加えることも可能である。また、第1実施形態の測定電極における位置表示手段を、通電電極側にも同様に設けてもよく、この場合は、測定電極31L及び31Rにも貫通孔及び発光素子11を設けて、第3実施形態における距離Z2の決定方法を適用して、つま先を合わせる足置き位置を表示させればよい。第2実施形態についても同様である。
【0052】
さらに、本実施形態では、被測定者の身長に基づき足サイズを算出する構成としたが、測定者の足サイズを表示・操作部により直接入力する構成としてもよい。さらに、公知の身長測定装置を取得手段として用い、身長測定装置から、被測定者の身長情報を、生体測定装置が取得できる構成とすることもできる。
【0053】
また、上記の実施形態では、足置き位置を表示する位置表示手段は、足のつま先及び踵の一方又は両方を合わせるための足置き位置を表示する構成としたが、身長と足幅との関係を用い、足幅の両端が来るべき位置をも表示できる構成としてもよい。また、発光素子としては、発光ダイオード、有機エレクトロルミネセンス、及びプラズマ発光素子等を用いることができ、発光素子の代わりに、ハロゲンランプを用いることもできる。
【0054】
また、第1実施形態において、位置表示手段は、点灯及び消灯が可能な複数の発光素子を用いる構成としたが、貫通孔13を介して色の変化を視認できように、色彩パネルを駆動させるように構成しても良い。
【0055】
また、足置き位置を表示する部位を透明部材として構成し、その内部側で、位置表示手段を機能(発光素子の点灯、色彩パネルの駆動など)させる構成としてもよい。このように構成すれば、例えば第1実施形態における測定電極のように、貫通孔を設ける必要が無くなり、被測定者の足裏の接地感触も良好となる。
【0056】
また、上記の実施形態における足置き位置は、横一線に表示されるものを説明したが、踵やつま先の形状に合わせて曲線で表示するようにしてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態における足置き位置は、2以上の電極部材(図1では測定電極32L及び32R、図6では測定電極132L及び132R、図7では通電電極231L及び231R)の上に表示される構成を説明したが、本発明において表示する足置き位置は、少なくとも1の電極部材(通電電極又は測定電極)に表示されればよい。いずれか1の電極部材に足置き位置さえ表示されれば、一方の足を置くべき位置が明確となり、他方の足を置くべき位置は、前記一方の足の位置を参照して対応する位置におけばよいからである。
【0058】
さらに、上記の実施形態では、被測定者が直感的に足置き位置を理解しやすくするために、足置き位置を示すための表示が電極部材の面積内に表示される構成を説明したが、被測定者が電極部材に足を置くための目安が表示できればよく、特に限定されるものではない。例えば、第1実施形態(図1参照)において、貫通孔13及び発光素子11が、測定電極32L、32Rの間(及び/又は通電電極31L、32Rの間)のカバー部材20aに設けられることにより、足置き位置を示すための表示が電極部材の面積の外に表示される構成としてもよい。
【0059】
さらに、実施形態では、男性及び女性のそれぞれについての身長と足サイズとの関係(統計データ)を利用しているが、性別を分けずに取得された、身長と足サイズとの関係に関する統計データを用いることとし、被測定者の身体的特徴として入力するデータは、身長のみとすることもできる。すなわち、本発明の生体測定装置は、取得手段が取得する被測定者の身体的特徴は身長であるものとして構成してもよい。
【0060】
さらに、実施形態では、平均的な日本人男性及び日本人女性についての身長と足サイズとの関係を利用しているが、被測定者が外国人である場合には、外国人についての身長と足サイズとの関係(統計データ)を用いることができることは言うまでもない。
【0061】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1、201 体脂肪計付き体重計(生体測定装置)
3 表示ユニット
11 発光素子(位置表示手段)
20、120 測定ユニット
7、107、207 載置部
21 表示・操作部(取得手段)
25 記憶部
26 電源
29 制御部(制御手段)
31L、31R 通電電極
131L、131R 通電電極
231L、231R 通電電極
32L、32R 測定電極
132L、132R 測定電極
232L、232R 測定電極
48 インピーダンス測定部
60 ロードセル
110 隆起部
111、211 光照射手段(位置表示手段)
203 表示部
220 測定部
251 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の身体的特徴を取得する取得手段と、
被測定者の体内に電流を供給する通電電極と、
前記通電電極から供給されて前記被測定者の体内を流れる電流の電圧を取得する測定電極と、
前記通電電極から供給される電流及び前記測定電極で測定される電圧から前記被測定者の生体インピーダンスを算出するインピーダンス測定部と、
前記通電電極及び前記測定電極の上に載せる前記被測定者の足の足置き位置を、前記身体的特徴に基づいて決定する制御手段と、
前記制御手段により決定された前記足置き位置を示すための表示を行う位置表示手段と、を備えること
を特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
前記身体的特徴は、前記被測定者の身長であることを特徴とする請求項1に記載の生体測定装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記被測定者の身体的特徴に基づいて前記被測定者の足サイズを決定し、前記足サイズに基づいて前記足置き位置を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記足サイズから、前記通電電極及び前記測定電極の離間距離を減じた値を2分の1にして算出される所定距離を求め、前記測定電極の縁部から、前記通電電極と反対方向に前記所定距離をとった位置を、前記足置き位置として決定することを特徴とする請求項3に記載の生体測定装置。
【請求項5】
前記足置き位置は、前記被測定者の踵を合わせる位置であることを特徴とする請求項4に記載の生体測定装置。
【請求項6】
前記制御手段は、決定された前記足サイズから、前記通電電極及び前記測定電極の離間距離を減じた値を2分の1にして算出される所定距離を求め、前記通電電極の縁部から、前記測定電極と反対方向に前記所定距離をとった位置を、前記足置き位置として決定することを特徴とする請求項3乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の生体測定装置。
【請求項7】
前記足置き位置は、前記被測定者のつま先を合わせる位置であることを特徴とする請求項6に記載の生体測定装置。
【請求項8】
前記足置き位置を示すための表示は、前記通電電極及び/又は前記測定電極の面積の内及び/又は外に表示されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1に記載の生体測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−218103(P2011−218103A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93576(P2010−93576)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】