説明

生体物質の前処理チップ及び前処理チップシステム

【課題】試料液からDNAを抽出する前処理のように複数の試薬の送液が必要な場合であっても、より簡単な構成とし、信頼性を向上する。
【解決手段】前処理チップシステムにおいて、サンプル槽110と、溶解液槽111と、洗浄液槽112と、溶離液槽114と、サンプル槽と溶解液槽とに接続されサンプルと溶解液を混合する混合流路120と、混合流路に接続された担体部130と、担体部から保持流路121を介して接続された廃液槽115と、担体部を通過した溶離液を保持する回収槽116と、洗浄液槽112から混合流路120と担体部130との間を接続する第1流路に配置された流路抵抗となる複数の抵抗材169と、を有した前処理チップを備え、圧力源からの圧力により溶離液を担体部130に通液させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子検査をするために生体物質である試料液からDNAを抽出する前処理チップ及びそれを用いた前処理チップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
DNAシーケンサやDNAチップなど生体を遺伝子レベルで検査するためには生体物質からDNAを抽出する必要がある。そこで、所望の分析物を流体試料か分離するため、チャンバ,貯蔵槽,検出処理領域などを微細流体チップに組み入れたカートリッジを用い、試料液,試薬,廃液等の流れ、特に分流を毛管あるいは疎水性の膜からなる分流加減器を用いて導くことが知られ、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特表2001−527220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に記載のものは、廃液を分流するために、単に限界背圧が発生した場合、流体を通過させる分流加減器を用いているため、複数の試薬を順次送液するなど、分岐数が多くなるようなものに適用するには、限界背圧を複数設定しなければならず、確実な送液が困難である。
【0005】
本発明の目的は、試料液からDNAを抽出する前処理のように複数の試薬の送液が必要な場合であっても、より簡単な構成とし、各液の流動を確実にし、信頼性を高め、迅速な処理を行うことが可能な生体物質の前処理チップ及び前処理チップシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の課題を解決するため、本発明は、生体物質からDNAを抽出するため、サンプル液を前処理チップ内に注入し、溶解液と混ぜ合わせてDNAを露出させ、溶解した前記サンプル液を担体部に通して、DNAを表面に吸着させ、その後洗浄液を前記担体部に通して表面に残っている前記サンプル液を洗い流し、さらに溶離液を前記担体部に通して吸着しているDNAを溶離し、DNAを含んだ溶離液を取り出す前処理チップシステムにおいて、前記サンプルを注入するサンプル槽と、前記溶解液を内蔵する溶解液槽と、前記洗浄液を内蔵する洗浄液槽と、前記溶離液を内蔵する溶離液槽と、前記サンプル槽と前記溶解液槽とに接続され前記サンプルと前記溶解液を混合する混合流路と、該混合流路に接続された担体部と、該担体部から保持流路を介して接続された廃液槽と、該廃液槽に接続され前記担体部を通過した溶離液を保持する回収槽と、前記洗浄液槽から前記混合流路と前記担体部との間を接続する第1流路に配置された流路抵抗となる複数の抵抗材と、を有した前処理チップを備え、圧力源からの圧力により前記溶離液を前記担体部に通液させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄液や溶離液を通液する流路の分岐を複数の抵抗材で流路抵抗を設定して行うので、試料液からDNAを抽出する前処理のように複数の試薬の送液が必要な場合であっても、より簡単な構成とし、各液の流動を確実にし、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照して一実施の形態である試料液からDNAを抽出する前処理チップの構造を説明する。
前処理チップ100は、生体物質が含まれているサンプルを注入するサンプル槽110と、溶解液を内蔵する溶解液槽111と、洗浄液を内蔵する洗浄液槽112,113と、溶離液を内蔵する溶離液槽114と、サンプルと溶解液を混合する流路120と、サンプル内のDNAを吸着し、微量の元素や化合物の化学操作・物理操作を効果的に行う物質である複数の担体から成る担体部130と、担体部130を通過したサンプルと溶解液,洗浄液,溶離液を一時的に保持する保持流路121と担体部130を通過したサンプルと溶解液,洗浄液を保持する廃液槽115と、担体部130を通過した溶離液を保持する回収槽116とを有する。
また、各槽110〜116はポート流路180〜186を介してポート190〜196と接続されている。さらに、混合流路120や担体部130と第1洗浄液槽112,第2洗浄液槽113や溶離液槽114との間には接続流路を介して複数の抵抗材169から成る抵抗部160〜164が設けられている。
【0009】
抵抗部162は第1洗浄液槽112から混合流路120と担体部130との間を接続する第1流路に配置される。抵抗部163は第1流路の担体部側から第2洗浄液槽113を接続する第2流路に配置される。
抵抗部164は溶離液槽114と担体部130の間に配置し、かつ、抵抗部161は抵抗部163,164と担体部130の間に配置し、抵抗部160は抵抗部161,162と流路120,担体部130の間に配置している。坦体はガラスビーズやグラスウール,ガラス焼結体,多孔質ガラスなど、表面がガラス材質の物がDNAを効率良く吸着するのに適している。
【0010】
流路120と担体部130と抵抗部160〜164の流路抵抗の大小関係は次の通りとなる。
流路120<担体部130<抵抗部160
抵抗部160<抵抗部161
抵抗部160<抵抗部162
抵抗部160+抵抗部161<抵抗部163
抵抗部160+抵抗部161<抵抗部164
図2は抵抗部160の詳細を示す斜視図であり、抵抗部160では2個の抵抗材169aと169bが接続流路168cで直列に接続されている。また、抵抗材169aに接続流路168a,168bが接続し、抵抗材169bに接続流路168d,168eが接続されている。接続流路168aの先には流路120が、接続流路168bの先には担体部130が、接続流路168dの先には抵抗部162が、接続流路168eの先には抵抗部161が位置している。
【0011】
抵抗材は担体と同じ素材の物を使用することが良く、これにより、流路抵抗を適切な値とするには、担体の個数を設定すればよく、ひとつの抵抗材で通過圧力などを設定するものに比べ、値そのものだけでなく品質等のバラツキも小さく、信頼性の確保が容易となる。
図3を参照して前処理の手順について概略を説明する。前処理は、生体物質からDNAを抽出する範囲であり、前処理の工程は、(1)溶解,(2)吸着,(3)洗浄,(4)溶離の4つの工程から成る。
まず、サンプル液をチップ内に注入し、チップ内の溶解液と混ぜ合わせて生体物質を溶解してDNAを露出させる。(溶解工程)次に、溶解したサンプル液を担体部に通して、DNAを担体表面に吸着させる。(吸着工程)
洗浄液を担体部に通して、担体表面に残っているサンプル液を洗い流す。(洗浄工程)溶離液を担体部に通して、担体表面に吸着しているDNAを溶離する。(溶離工程)最後に、DNAを含んだ溶離液を取り出す。
【0012】
以上の前処理工程をチップの中で行った手順を以下に説明する。
初期の状態ではチップ内には試薬が内蔵されている。すなわち、溶解液槽111には溶解液、洗浄液槽112には洗浄液、洗浄液槽113には別の洗浄液、溶離液槽114には溶離液、がそれぞれ充填されている。
【0013】
初期の状態のチップに、ポート190からサンプル液を注入してサンプル槽110を充填する。このとき、ポート191,192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190からサンプル液を注入する。
【0014】
サンプル槽110のサンプル液と溶解液槽111の溶解液を流路120に送液して混合させる。このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190,191から空気を注入する。必要に応じてサンプルと溶解液の混合液をチップ内で加熱しても良い。
【0015】
サンプル液と溶離液の混合液を流路120から担体部130を通して流路121に送液する。このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190または191から空気を注入する。ここで、担体部130と抵抗部160では担体部130の方が流路抵抗は小さいため、流路120から来た混合液は担体部130の方へ流れる。
また、流路121の混合液を担体部130を通して流路120に送液する場合には、このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート195または196から空気を注入する。流路120と抵抗部160では流路120の方が流路抵抗は小さいため、担体部130から来た混合液は流路120の方へ流れる。混合液が担体部130を通過する際に、混合液内のDNAが担体表面に吸着される。流路121の混合液を廃液槽115に送液する場合には、このとき、ポート
192,193,194,196は閉じ、ポート195は開けてポート190または191から空気を注入する。これで混合液は廃液槽115に保持される。
【0016】
洗浄液を洗浄液槽112から一旦、流路120に送液する。このとき、ポート193,194,195,196は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート192から空気を注入する。抵抗部160と抵抗部161では抵抗部160の方が流路抵抗は小さいため、洗浄液槽112から来た洗浄液は抵抗部160の方へ流れる。また、流路120と担体部130では流路120の方が流路抵抗は小さいため、抵抗部160から来た洗浄体は流路120の方へ流れる。洗浄液は一旦、流路120に保持される。
【0017】
洗浄液を流路120から担体部130を通して流路121に送液する。このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190または191から空気を注入する。担体部130と抵抗部160では担体部130の方が坦体の個数が少なく、流路抵抗は小さいため、流路120から来た洗浄液は担体部130の方へ流れる。また、担体部130を通して流路121の洗浄液を流路
120に送液する場合には、ポート192,193,194は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート195または196から空気を注入する。流路120と抵抗部160では流路120の方が流路抵抗は小さいため、担体部130から来た洗浄液は流路120の方へ流れる。
【0018】
洗浄液が担体部130を通過する際に、担体表面のDNA以外の成分が洗浄される。また、流路121の洗浄液を廃液槽115に送液する場合には、ポート192,193,
194,196は閉じ、ポート195は開けてポート190または191から空気を注入する。これで洗浄液は前記の混合液に続いて廃液槽115に保持される。
【0019】
洗浄液を洗浄液槽113から一旦、流路120に送液する。このとき、ポート192,194,195,196は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート193から空気を注入する。ここで、抵抗部161と抵抗部164では抵抗部161の方が流路抵抗は小さいため、洗浄液槽113から来た洗浄液は抵抗部161の方へ流れる。
【0020】
抵抗部160と抵抗部162では抵抗部160の方が流路抵抗は小さいため、抵抗部
161から来た洗浄液は抵抗部160の方へ流れる。また、流路120と担体部130では流路120の方が流路抵抗は小さいため、抵抗部160から来た洗浄液は流路120の方へ流れる。これで洗浄液は一旦、流路120に保持される。
【0021】
洗浄液を流路120から担体部130を通して流路121に送液する。このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190または191から空気を注入する。担体部130と抵抗部160では担体部130の方が流路抵抗は小さいため、流路120から来た洗浄液は担体部130の方へ流れる。
【0022】
担体部130を通して流路121の洗浄液を流路120に送液する場合には、ポート
192,193,194は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート195または196から空気を注入する。流路120と抵抗部160では流路120の方が流路抵抗は小さいため、担体部130から来た洗浄液は流路120の方へ流れる。この洗浄液が担体部130を通過する際に、担体表面のDNA以外の成分が更に洗浄される。
【0023】
流路121の洗浄液を廃液槽115に送液する場合には、このとき、ポート192,
193,194,196は閉じ、ポート195は開けてポート190または191から空気を注入する。これで洗浄液は前記の混合液,洗浄液に続いて廃液槽115に保持される。
【0024】
溶離液を溶離液槽114から一旦、流路120に送液する。このとき、ポート192,193,195,196は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート194から空気を注入する。抵抗部161と抵抗部163では抵抗部161の方が流路抵抗は小さいため、溶離液槽114から来た溶離液は抵抗部161の方へ流れる。また、抵抗部160と抵抗部162では抵抗部160の方が流路抵抗は小さいため、抵抗部161から来た溶離液は抵抗部160の方へ流れる。
【0025】
さらに、流路120と担体部130では流路120の方が流路抵抗は小さいため、抵抗部160から来た溶離液は流路120の方へ流れる。これで溶離液は一旦、流路120に保持される。
【0026】
溶離液を流路120から担体部130を通して流路121に送液する。このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート195または196のすくなくとも一方は開けてポート190または191から空気を注入する。ここで、担体部130と抵抗部160では担体部130の方が流路抵抗は小さいため、流路120から来た溶離液は担体部130の方へ流れる。また、流路121の溶離液を担体部130を通して流路120に送液する場合には、このとき、ポート192,193,194は閉じ、ポート190または191のすくなくとも一方は開けてポート195または196から空気を注入する。流路120と抵抗部160では流路120の方が流路抵抗は小さいため、担体部130から来た溶離液は流路120の方へ流れる。この溶離液が担体部130を通過する際に、担体表面からDNAを溶離して溶離液内に確保される。
流路121の溶離液を回収槽116に送液する場合には、このとき、ポート192,
193,194,195は閉じ、ポート196は開けてポート190または191から空気を注入する。これでDNAを確保した溶離液は回収槽116に保持される。
【0027】
最後にポート196から回収槽116に保持された溶離液を取り出して前処理が終了する。前処理後のDNAを確保した溶離液は、必要に応じて増幅され、DNAシーケンサやDNAチップなど、生体を遺伝子レベルでの検査に用いられる。
【0028】
以上のように、流路120や担体部130と洗浄液槽112,113や溶離液槽114との間に抵抗部160〜164を配置し、流路120と担体部130と抵抗部160〜
164の流路抵抗の大小関係を担体の個数で設定できるので、流路抵抗の設定に自由度がある状態で配置することが容易となる。
また、液物性に合わせて流路抵抗を変えるときにも、抵抗材の個数を調整することにより流路抵抗を設定することが可能である。さらに、抵抗材の配置を変えることにより、チップを作り替えることなく流れ方向の制御を変えることが可能である。
【0029】
図4の前処理チップシステム(装置)は、前処理チップを挿入するためのチップ取り入れ窓201,前処理チップを移動させる移動ステージ203,前処理を行う前処理ステージ204,前処理チップ内にて送液を行うためのバルブ205及びポンプ213,電源
206,モータドライバ207,制御基板208,情報アクセスパネル209を有する。モータドライバ207及び制御基板208は、移動ステージ203,バルブ205及びポンプ213を操作するために使用される。電源206は各種部品に電気を供給する。情報アクセスパネル209は、計測条件の入力ならびに、計測結果の出力に使用される。
【0030】
前処理チップ装置は、遺伝子検査をするために生体物質からDNAを抽出することが可能であり、チップ取り入れ窓201から前処理チップを挿入する。
前処理チップ内には、試薬が充填されており、生体物質を含むサンプルが注入されている。移動ステージ203によって、前処理をステージ204に搬送する。前処理ステージ204で、前処理チップ内にて、生体物質を含むサンプル液を、溶解液と混ぜ合わせて生体物質を溶解してDNAを露出させる。
溶解したサンプル液を担体部に通して、DNAを担体表面に吸着させる。洗浄液を担体部に通して、担体表面に残っているサンプル液を洗い流す。溶離液を担体部に通して、担体表面に吸着しているDNAを溶離する。
以上の前処理工程は前処理チップ装置内で自動に行われ、前処理チップは移動ステージ203によってチップ取り入れ窓201まで運ばれ、取り出される。前処理チップを前処理チップ装置に装填することにより、送液量を正確に制御する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態による前処理チップの上面図。
【図2】図1における抵抗部の詳細を示す斜視図。
【図3】一実施の形態による前処理工程を示すフローチャート図。
【図4】一実施の形態による前処理チップ装置の概略を示す斜視図。
【符号の説明】
【0032】
100…前処理チップ、110…サンプル槽、111…溶解液槽、112…第1洗浄液槽、113…第2洗浄液槽、114…溶離液槽、115…廃液槽、116…回収槽、120…混合流路、121…保持流路、130…担体部、160〜164…抵抗部、168a〜168e…接続流路、169…抵抗材、180〜186…ポート流路、190〜196…ポート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体物質からDNAを抽出するため、サンプル液を前処理チップ内に注入し、溶解液と混ぜ合わせてDNAを露出させ、溶解した前記サンプル液を担体部に通して、DNAを表面に吸着させ、その後洗浄液を前記担体部に通して表面に残っている前記サンプル液を洗い流し、さらに溶離液を前記担体部に通して吸着しているDNAを溶離し、DNAを含んだ溶離液を取り出す前処理チップシステムにおいて、
前記サンプルを注入するサンプル槽と、前記溶解液を内蔵する溶解液槽と、前記洗浄液を内蔵する洗浄液槽と、前記溶離液を内蔵する溶離液槽と、前記サンプル槽と前記溶解液槽とに接続され前記サンプルと前記溶解液を混合する混合流路と、該混合流路に接続された担体部と、該担体部から保持流路を介して接続された廃液槽と、該廃液槽に接続され前記担体部を通過した溶離液を保持する回収槽と、前記洗浄液槽から前記混合流路と前記担体部との間を接続する第1流路に配置された流路抵抗となる複数の抵抗材と、を有した前処理チップを備え、
圧力源からの圧力により前記溶離液を前記担体部に通液させることを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、前記溶離液槽から前記混合流路と前記担体部との間に流路抵抗となる複数の抵抗材が配置されたことを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のものにおいて、前記第1流路の前記担体部側から流路抵抗となる複数の抵抗材を介した第2流路で接続された第2洗浄液槽を備えたことを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のものにおいて、前記第1流路の前記担体部側から流路抵抗となる複数の抵抗材を介した第2流路で接続された第2洗浄液槽を備え、前記溶離液槽は前記第2流路の前記担体部側から流路抵抗となる複数の抵抗材を介して接続されたことを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のものにおいて、前記第1流路の前記担体部側から流路抵抗となる複数の抵抗材を介した第2流路で接続された第2洗浄液槽を備え、前記第2流路は複数の抵抗材を介して前記第1流路へ接続されたことを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のものにおいて、前記抵抗材はガラスビーズ,グラスウール,ガラス焼結体,多孔質ガラスのいずれかであることを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のものにおいて、前記複数の抵抗材のそれぞれは同一の流路抵抗であることを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のものにおいて、前記第1流路の前記担体部側から流路抵抗となる複数の抵抗材を介した第2流路で接続された第2洗浄液槽を備え、前記第2流路の抵抗材の個数は前記第1流路の個数よりも多くされたことを特徴とする前処理チップシステム。
【請求項9】
サンプル液が注入され、溶解液と混ぜ合わせてDNAを露出させ、溶解した前記サンプル液を担体部に通して、DNAを表面に吸着させ、その後洗浄液を前記担体部に通して表面に残っている前記サンプル液を洗い流し、さらに溶離液を前記担体部に通して吸着しているDNAを溶離し、DNAを含んだ溶離液を取り出すための前処理チップであって、
前記サンプルを注入するサンプル槽と、前記溶解液を内蔵する溶解液槽と、前記洗浄液を内蔵する洗浄液槽と、前記溶離液を内蔵する溶離液槽と、前記サンプル槽と前記溶解液槽とに接続され前記サンプルと前記溶解液を混合する混合流路と、該混合流路に接続された担体部と、該担体部から保持流路を介して接続された廃液槽と、該廃液槽に接続され前記担体部を通過した溶離液を保持する回収槽と、前記洗浄液槽から前記混合流路と前記担体部との間を接続する第1流路に配置された流路抵抗となる複数の抵抗材と、を備えたことを特徴とする前処理チップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−330179(P2007−330179A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166802(P2006−166802)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】