説明

生体画像撮影システム、生体画像取得方法、及びプログラム

【課題】認証生体情報としての適性が高い画像に映っている生体部位の姿勢を精度良く検出できる画像の取得を可能にする。
【解決手段】第一算出部12は、撮影部11が取得した生体部位の画像に基づき、当該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する。選択部13は、撮影部11が次に取得する次画像の撮影時における撮影環境を、次画像よりも前に撮影部11が取得していた生体部位の画像についての当該指標に基づき、第一環境と第二環境との間で選択して切り替える。第一環境とは、認証生体情報として用いる画像の取得に使用する環境であり、第二環境とは、生体部位の姿勢の情報の検出に用いる画像の取得に使用する環境である。出力部14は、この選択の結果を表している情報と、当該選択の結果に係る撮影環境の下で撮影部11が取得した次画像とを対応付けて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で議論する技術分野は、手の指紋、掌の静脈、顔などといった人の身体特徴を利用して個人認証を行う生体認証技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近代社会では様々なシチュエーションにおいて本人確認が必要とされる。この本人確認を精度良く行う手法のひとつとして、指紋・静脈・顔などといった人体の各部の特徴を利用して個人認証を行う生体認証技術が、近年広まってきている。例えば、許可された人しか入ることのできない制限エリアへの入退室の可否の判定、パソコンへのログイン判定、オンライン取引などといった様々なサービスへのアクセスの可否の判定などのために、生体認証が利用されている。
【0003】
このような生体認証を実施するには、まず、利用者の生体情報として、例えば指紋・静脈・顔などの画像を予め取得して、その利用者の登録生体情報として記録媒体に記録しておく。その後、上記のようなサービスを利用するための本人確認が必要になった際に、利用者の生体情報を登録時と同じように再び取得する。そして、このときに取得した生体情報(認証生体情報)と、記録媒体に記録しておいた前述の登録生体情報との照合を行い、その両者の類似度の高低を判別する。ここで、この類似度が所定の閾値よりも高ければ、本人であるとの認証結果を得る。
【0004】
このような生体認証を高い精度で行うためには、認証に使用する生体情報である生体部位の画像(生体画像)の取得を、登録時と照合時とで同じ位置・同じ姿勢で行うことが好ましい。しかしながら、このような撮影ができない場合が実際には多く、このことが認証精度を低下させる要因のひとつとなっている。
【0005】
これは、例えば、生体画像を取得するセンサ(例えば生体部位を撮影するカメラ)に対し、毎回全く同じ位置・同じ姿勢で生体部位をかざすことは通常極めて困難であるためである。また、多くの場合において、利用者が登録時にどのような位置・姿勢で生体部位を撮影したかを忘れてしまうことも、このような撮影を困難にしている。更には、人の身体は、その部位によっては姿勢や形状の自由度が大きいために、同じ部位を撮影しても、得られる生体画像は姿勢や形状がその撮影の度に微妙に異なるものとなってしまう。例えば、掌のような生体部位は姿勢や形状の自由度が極めて高い生体部位であるため、カメラでの撮影により得られる画像における掌の形状が微妙に異なるものとなってしまう。
【0006】
このような登録時と照合時とでの位置・姿勢・形状の違いに起因する認証精度の低下を避けるための手法が幾つか知られている。そのひとつに、生体部位を同じ位置・姿勢・形状にしっかりと固定して撮影するというものがある。しかしながら、この手法は利用者に多大な負担をかけることになり、一般には好まれるものではない。また、このような固定を行うために、かなりの時間を要する場合もある。
【0007】
また、別の手法として、様々に異なる位置・姿勢・形状で同一利用者の生体部位を複数回撮影して取得した複数枚の生体画像を認証生体情報とし、登録生体情報である1枚の登録画像とこの複数枚の生体画像とで画像の照合を行うというものがある。このような複数枚の生体画像を認証時に取得するために、前述のような生体部位の固定は行わずに、センサ(カメラ)に対して利用者に自由に提示してもらった生体部位を取得するという手法がある。しかしながら、この手法では、取得される生体部位のセンサに対する相対的な位置や姿勢が不揃いになってしまう。そこで、この不揃いを解消する技術として、センサに対する生体部位の距離や姿勢を検出し、その検出結果に応じて、取得した生体画像の選択や補正を行うという技術が知られている。但し、生体部位の大きさは人によって千差万別であるため、画像に映った生体部位の像の面積を、センサに対する生体部位の距離の情報として用いることはできない。そこで、この技術においては、スポット光を生体部位に照射したときの当該スポット光の生体部位上での映り方に基づいて、生体部位のセンサに対する距離や角度等の情報を得ることで、生体部位の距離や姿勢の検出を行っている。
【0008】
また、この他の背景技術として、顔を撮影して得た一連の顔画像から、顔の領域の面積や明るさ等に基づき、最もバランスの取れた正面画像を選択するという技術が知られている。
【0009】
また、連続的に顔を撮影して得た画像から、目や口などの顔部品の位置の変化量が所定値以上のものを、ベストショット画像として抽出するという技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−10346号公報
【特許文献2】特開2005−227957号公報
【特許文献3】特開2009−89077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した生体部位の距離や姿勢を検出する技術で使用されるスポット光は、認証に用いる生体画像の取得のための撮影時における生体部位の照明には不適切である。これは、このようなスポット光で照明を行って生体部位を撮影した場合には、得られる生体画像に含まれている、生体認証に必要な情報を不鮮明にしてしまう等の理由によるものである。このため、この技術を用いて行う生体部位の距離や姿勢の検出は、様々な認証用の生体画像を得るためのカメラでの連写撮影の合間に、生体部位への照明を、生体画像の取得用のものからスポット光へと切り替えて行う必要がある。
【0012】
図1は、生体部位である掌をカメラで撮影して得られた複数枚の画像の第一の例である。この第一の例は、認証用の生体画像のための撮影と、生体部位の距離や姿勢の検出のための撮影とを交互に行った場合の例である。
【0013】
この第一の例として表されている画像Aから画像Mまでの計13枚の画像のうちの幾つかの画像上に描かれている十字形状の印は、生体部位の距離や姿勢の検出用のスポット光が掌の像に映っていることを表現している。つまり、この第一の例において、当該印が描かれている画像B、D、F、H、J、及びLの計6枚の画像は、生体部位の距離や姿勢の検出のために用いられる画像である。従って、残りの画像A、C、E、G、I、K、及びMの計7枚の画像が、生体画像の取得用の照明を用いて撮影された生体画像である。
【0014】
但し、この7枚の画像のうち、画像A及び画像Mは、撮影時の掌のカメラからの距離が遠過ぎたために掌の像の大きさが極度に小さくなってしまっており、認証生体情報としては適さない。一方、画像Gは、撮影時の掌のカメラからの距離が今度は近過ぎたために掌の像が画像から過度にはみ出してしまっており、これも認証生体情報としては適さない。従って、この第一の例では、認証生体情報としての適性を有している画像は、図1において破線の楕円で囲まれている、画像C、E、I、及びKの僅か4枚しか得られなかったことになる。
【0015】
このように、生体認証における認証生体情報としての使用が可能である画像の枚数が減ってしまうことは、本人確認時においてカメラに掌をかざす一連の動作において生体認証処理を実施できる回数が減ることを意味する。
【0016】
本人確認時に提示された生体部位が登録時と同一のものであっても、生体部位のカメラからの距離や姿勢によって、得られる生体情報は微妙に異なってしまうため、生体認証では、一回の認証処理では正しく本人と確認できない本人拒否率が多少なりとも存在する。このため、生体認証では、一般的に、複数の認証生体情報を用いて生体認証処理を何度か繰り返す(リトライ)ことによって、総合的な本人拒否率を減らしている。従って、認証生体情報としての使用が可能である画像の枚数が前述のように減ってしまうと、それだけ総合的な本人拒否率も増大してしまう虞がある。
【0017】
そこで、例えば、生体部位の距離や姿勢の検出のための撮影の頻度を減らし、この減らした分だけ認証用の生体画像のための撮影の頻度を高くすることを考える。
【0018】
図2は、生体部位である掌をカメラで撮影して得られた複数枚の画像の第二の例である。この第二の例は、認証用の生体画像のための撮影を4回行う毎に、生体部位の距離や姿勢の検出のための撮影を1回行うという頻度とした場合の例である。
【0019】
この第二の例では、前述した第一の例と同様の十字形状の印が描かれている画像D及びIの計2枚の画像が、生体部位の距離や姿勢の検出のために用いられる画像である。従って、残りの画像A、B、C、E、F、G、H、J、K、L、及びMの計11枚の画像が、生体画像の取得用の照明を用いて撮影された生体画像である。但し、前述した第一の例と同様に、画像A、G、及びMの計3枚の画像は、認証生体情報としては適さない。従って、この第二の例では、図2において破線の楕円で囲まれている、画像B、C、E、F、H、J、K、及びLの計8枚の画像が、認証生体情報としての適性を有している画像となる。
【0020】
このように、第二の例では、認証生体情報としての適性を有している画像として、第一の例よりも多くの画像を得ることができる。しかしながら、この第二の例では、生体部位の距離や姿勢の検出のために用いられる画像は、画像D及びIの計2枚の画像のみである。このため、特に、画像D及びIについての撮影時から離れた時点での撮影により得た画像に映っている掌のカメラに対する距離や姿勢は、画像D及びIから検出したものからかなり違ったものとなってしまっていると考えられる。
【0021】
このように、生体部位の距離や姿勢の検出のための撮影の頻度を減らすことは、認証生体情報とする画像についての撮影時の生体部位の距離や姿勢の情報を得ることに対しては不都合となる。このような精度の低い情報に基づいて生体画像の補正を行えば、生体認証の精度を却って低下させてしまうことにもなりかねない。
【0022】
上述した問題に鑑み、本明細書で後述する生体画像撮影システムは、認証生体情報としての適性が高い画像に映っている生体部位の姿勢を精度良く検出できる画像の取得を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本明細書で後述する生体画像撮影システムのひとつに、撮影部と、第一算出部と、選択部と、出力部とを備えるというものがある。ここで、撮影部は、生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して該生体部位の画像を取得する。第一算出部は、撮影部が取得した前述の画像に基づき、当該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する。選択部は、撮影部が次に取得する画像である次画像の撮影時における撮影の環境を第一環境と第二環境との間で選択し、当該撮影の環境を当該選択された環境に切り替える。ここで、第一環境とは、生体認証における認証生体情報として用いる画像の取得に使用する環境であり、第二環境とは、生体部位の姿勢の情報である姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する環境である。選択部は、この撮影の環境の選択を、次画像よりも前に撮影部が生体部位を撮影して取得していた画像について第一算出部が算出した前述の指標に基づいて行う。出力部は、選択部による上述の選択の結果を表している撮影環境選択情報と、当該選択の結果に係る撮影環境の下で撮影部が取得した上述の次画像とを対応付けて出力する。
【0024】
また、本明細書で後述する生体画像取得方法のひとつは、まず、生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して当該生体部位の画像を取得する撮影装置が取得した該画像に基づき、該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する。次に、この撮影装置が次に取得する画像である次画像の撮影時における撮影の環境を、当該次画像よりも前に撮影装置が生体部位を撮影して取得していた画像についての指標に基づき、前述の第一環境と第二環境との間で選択する。そして、次に、上述の撮影の環境を、この選択された環境に切り替える。そして、この選択の結果を表している撮影環境選択情報と、当該選択結果に係る撮影環境の下で撮影装置が取得した前述の次画像とを対応付けて出力する。
【0025】
また、本明細書で後述するプログラムのひとつは、以下の処理をコンピュータに行わせる。この処理は、まず、生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して当該生体部位の画像を取得する撮影装置が取得した該画像に基づき、該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する。次に、この撮影装置が次に取得する画像である次画像の撮影時における撮影の環境を、当該次画像よりも前に撮影装置が生体部位を撮影して取得していた画像についての指標に基づき、前述の第一環境と第二環境との間で選択する。そして、次に、上述の撮影の環境を、この選択された環境に切り替える。そして、この選択の結果を表している撮影環境選択情報と、当該選択結果に係る撮影環境の下で撮影装置が取得した前述の次画像とを対応付けて出力する。
【発明の効果】
【0026】
本明細書で後述する生体画像撮影システムは、認証生体情報としての適性が高い画像に映っている生体部位の姿勢を精度良く検出できる画像を取得できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】掌を撮影して得られた画像の第一の例である。
【図2】掌を撮影して得られた画像の第二の例である。
【図3】生体画像撮影システムの一実施例の機能ブロック図である。
【図4】姿勢情報検出用の画像の取得のための生体部位の撮影のタイミングの決定の手法を説明する図である。
【図5】図3の生体画像撮影システムについての詳細な機能ブロック図である。
【図6】生体検出スコアの算出手法を説明する図である。
【図7】画像データ情報テーブルの構造の一例である。
【図8】コンピュータのハードウェア構成例である。
【図9】生体画像撮影制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャート(その1)である。
【図10】生体画像撮影制御処理の第一の例の処理内容を図解したフローチャート(その2)である。
【図11】生体画像撮影システムの別の一実施例の機能ブロック図である。
【図12】生体画像撮影制御処理の第二の例の処理内容を図解したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず図3について説明する。図3は、生体画像撮影システムの一実施例の機能ブロック図である。この生体画像撮影システム10は、被認証者の生体部位の撮影を行って、生体認証における認証生体情報として使用する生体画像を取得するものである。
【0029】
実線を用いて図3に図解したように、この生体画像撮影システム10は、撮影部11、第一算出部12、選択部13、及び出力部14を備えている。なお、破線を用いて図3に図解したように、この生体画像撮影システム10が、更に検出部15、推定部16、及び第二算出部17を備えるようにしてもよい。
【0030】
撮影部11は、生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して当該生体部位の画像を取得する。
第一算出部12は、撮影部11が取得した前述の画像に基づき、当該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する。
【0031】
選択部13は、撮影部11が次に取得する画像である次画像の撮影時における撮影の環境を第一環境と第二環境との間で選択し、当該撮影の環境を当該選択された環境に切り替える。ここで、第一環境とは、生体認証における認証生体情報として用いる画像の取得に使用する環境であり、第二環境とは、生体部位の姿勢の情報である姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する環境である。選択部13は、この撮影の環境の選択を、次画像よりも前に撮影部11が生体部位を撮影して取得していた画像について第一算出部12が算出した前述の指標に基づいて行う。
【0032】
出力部14は、選択部13による上述の選択の結果を表している撮影環境選択情報と、当該選択の結果に係る撮影環境の下で撮影部11が取得した上述の次画像とを対応付けて出力する。
【0033】
このように構成されている生体画像撮影システム10では、撮影部11が取得した画像が、認証生体情報としての適性を有している場合には、当該画像の次に撮影部11が取得する次画像を、姿勢情報の検出用の画像の取得のための撮影環境(第二環境)で撮影する。従って、この次画像から検出される姿勢情報は、当該次画像の取得時の直前に撮影部11が取得していた画像(すなわち、認証生体情報としての適性を有している画像)についての撮影時の生体部位の姿勢を精度よく表しているといえる。
【0034】
なお、第一算出部12は、前述の指標として、例えば、撮影部11が取得した画像に映っている生体部位の像の領域の面積値を算出するようにしてもよい。この場合には、選択部13は、前述の次画像についての撮影よりも前に撮影部11が生体部位を撮影して取得していた画像についてのこの面積値が所定の複数の条件のうちの少なくとも1つに合致したときには、第二環境を撮影の環境として選択するようにする。また、選択部13は、この所定の複数の条件のいずれにも合致しないときには、第一環境を撮影の環境として選択するようにする。
【0035】
ここで、上述の所定の複数の条件のうちの1つは、例えば、以下の2条件が同時に成立する場合としてもよい。この2条件のうちの1つは、前画像についての前述の面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に適する下限の広さとして設定される所定の第一閾値よりも広いことを表していることである。なお、前画像とは、次画像についての撮影の直前に撮影部11が記生体部位を撮影して取得していた画像である。そして、この2条件のうちの別の1つは、当該前画像についての撮影の直前に撮影部11が生体部位を撮影して取得していた画像についての面積値が、当該第一閾値よりも狭いことを表していることである。
【0036】
また、前述の所定の複数の条件のうちの別の1つは、例えば、以下の2条件が同時に成立する場合としてもよい。この2条件のうちの1つは、上述の前画像についての前述の面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に最適の広さとして設定される所定の第二閾値よりも広いことを表していることである。そして、この2条件のうちの別の1つは、当該前画像についての撮影の直前に撮影部11が生体部位を撮影して取得していた画像についての前述の面積値が、当該第二閾値よりも狭いことを表していることである。
【0037】
また、前述の所定の複数の条件のうちの更なる別の1つは、例えば、以下の2条件が同時に成立する場合としてもよい。この2条件のうちの1つは、前述の前画像についての前述の面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に適する下限の広さとして設定される所定の第三閾値よりも狭いことを表していることである。そして、この2条件のうちの別の1つは、当該前画像についての撮影の直前に撮影部11が生体部位を撮影して取得していた画像についての前述の面積値が、当該第三閾値よりも広いことを表しているという条件である。
【0038】
また、選択部13は、生体部位を照らす照明を、前述の選択の結果に応じて第一照明と第二照明との間で切り替えることによって、前述の撮影の環境を前記第一環境と前記第二環境との間で切り替えるようにしてもよい。ここで、第一照明とは、認証生体情報として用いる画像の撮影に使用する照明であり、第二照明とは、姿勢情報の検出に用いる画像の撮影に使用する照明である。
【0039】
検出部15は、前述の第二環境の下で撮影部11が生体部位を撮影して取得した画像を用いて、当該生体部位についての姿勢情報を検出する。
推定部16は、前述の第一環境の下で撮影部11が前述の次画像についての撮影を行った時点における姿勢情報の推定を行う。推定部16は、この推定を、当該時点の前及び後においての第二環境の下で撮影部11が生体部位を撮影して取得した画像を用いて検出部15が検出した姿勢情報に基づいて行う。
【0040】
この検出部15及び推定部16を生体画像撮影システム10が備えることで、認証生体情報用の画像の取得のための撮影環境(第一環境)の下で取得された次画像についての撮影時の生体部位の姿勢情報を、推定により得ることができる。
【0041】
なお、このとき、検出部15は、姿勢情報として、例えば、生体部位と当該生体部位を撮影したときの撮影部11の撮影位置との間の距離の検出を行うようにする。この場合には、推定部16は、前述の次画像についての撮影を撮影部11が行った時点における生体部位と撮影部11の撮影位置との間の距離の算出を行う。この距離は、前述の時点の前及び後においての第二環境の下で撮影部11が生体部位を撮影して取得した画像を用いて検出部15が検出した距離に基づいた補間演算を行うことによって算出される。推定部16は、この算出結果を、姿勢情報の推定の結果とする。
【0042】
第二算出部17は、認証生体情報として前述の次画像を使用して生体認証を実施したときに推定される認証精度の高さを表す指標を算出する。第二算出部17は、この指標の算出を、前述の第一環境の下で撮影部11が生体部位を撮影して取得した次画像について第一算出部12が算出していた前述の指標と、推定部16が当該次画像について推定した姿勢情報とに基づいて行う。
【0043】
この第二算出部17を生体画像撮影システム10が備える場合には、出力部14は、前述の次画像のうち、第二算出部17により算出された指標が所定値以上の認証精度の高さを表しているもののみを出力するようにする。このようにすることで、生体認証における認証生体情報として適した生体画像のみを生体画像撮影システム10から出力させることができる。
【0044】
以上のように構成されている生体画像撮影システム10の動作について、更に詳しく説明する。
この生体画像撮影システム10は、生体部位の姿勢情報の検出のための撮影を、前述の技術のように一定の周期で定期的には行わない。その代わりに、その撮影のタイミングを、その前の撮影部11による、認証生体情報として用いる画像の取得用の撮影環境での生体部位の撮影により得られた画像に基づいて決定する。
【0045】
撮影部11は、生体部位についての撮影を行って画像を取得する。撮影部11は、この撮影を所定の時間間隔(例えば、動画撮影と同等の30フレーム/秒)で繰り返し行う。
第一算出部12は、撮影部11が取得した画像に映っている生体部位の像の面積を算出する。第一算出部12は、この面積を算出するために、まず、当該画像に含まれている生体部位の像の識別を行う。
【0046】
本実施例では、生体部位の像の当該画像からの識別を、この画像を構成している各画素の明るさを調べることによって行う。
一般に、生体部位の撮影画像において、生体部位ではない背景の画像領域は暗いために画素値が比較的小さいが、生体部位の画像領域は背景に比べ明るいので画素値が比較的大きい。そこで、本実施例では、第一算出部12には、適切な閾値を予め設定しておく(例えば、とり得る値の範囲が0から255までの場合において、画素値128を閾値とする)。そして、第一算出部12は、撮影部11が取得した画像において画素値がその閾値よりも小さい画素は背景を構成しているものであると推定し、その閾値よりも画素値が大きい画素は生体の像を構成しているものであると推定するようにする。
【0047】
なお、第一算出部12による生体部位の像の識別の手法として、他の手法を採用してもよい。例えば、像の輪郭を抽出する手法や、画素の色で識別する手法(例えば肌色と他の色とで画素を分類する手法)など、様々な手法が採用可能である。但し、本実施例において、撮影部11は、生体部位を短い時間間隔で繰り返し撮影するため、上述した識別の手法としては、処理を短時間で済ませるものを採用することが好ましい。
【0048】
次に、第一算出部12は、撮影部11が取得した画像からこのようにして識別された生体部位の像の面積を算出する。本実施例においては、画像を構成している画素のうちで、前述したようにして生体部位の像を構成していると判定されたものの数を計数し、この計数結果を面積値の算出結果としている。なお、第一算出部12は、この計数結果を画像全体の面積(すなわち、画像を構成している画素の総数)で除算することによって正規化した値を、面積値の算出結果として用いるようにしてもよい。
【0049】
以上のようにして第一算出部12が算出した面積値は、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標として使用される。なお、以下の説明では、この指標を「生体検出スコア」と称することとする。
【0050】
この生体検出スコアは、値が大きいほど、画像に生体部位がより大きく映っているとみることができる。一般的に、生体部位が画像に大きく映っているほど、その画像から得られる生体部位に関する情報量は多くなる。従って、生体認証における認証生体情報としては、この生体検出スコアがある程度までは大きな画像を使用する方が好ましい。但し、図1及び図2における画像Gのように、生体部位の撮影時の位置が撮影部11に近過ぎて、生体認証に有効な部分が画像からはみ出しているような場合には注意が必要である。
【0051】
以上のように、第一算出部12が算出した生体検出スコアの値に基づいて、撮影部11が取得した画像が、生体認証における認証生体情報としての適性を有しているか否かを判定することができる。
【0052】
次に、姿勢情報検出用の画像の取得のための生体部位の撮影のタイミングの決定の手法について、図4を用いて説明する。
図4において、最上段には、撮影部11が生体部位(掌)を順次撮影して得た画像の例を、撮影時間の経過に応じて左端から右方向へ並べたものである。なお、この撮影時において、生体部位は、始めは撮影部11に近づく方向に移動していたが、その後は撮影部11から離れる方向に移動している。また、二段目のグラフは、最上段に並べた各画像について第一算出部12が算出した生体検出スコアを図示化したものであり、横軸は時間の経過を表している。
【0053】
この生体検出スコアのグラフに注目すると、撮影部11が最初に取得した画像Aの生体検出スコアは小さな値である。この画像Aの次に撮影部11が取得した画像Bの生体検出スコアは画像Aのものよりも大きな値であり、図4に示されている「検出開始基準スコア」に到達している。
【0054】
検出開始基準スコアは、撮影部11が取得した画像が認証生体情報としての使用に適する生体部位の像の面積の下限として選択部13に予め設定されている閾値であり、前述した第一閾値に相当するものである。
【0055】
選択部13は、撮影部11が取得した画像についての生体検出スコアが、この検出開始基準スコアを超えたときには、この画像のための撮影の次に撮影部11が生体部位を撮影するときの撮影環境として、前述した第二環境を選択する。そして、この選択結果に応じて、撮影環境を、それまでの第一環境(すなわち、認証生体情報として用いる画像の取得に使用する環境)から、第二環境(すなわち、生体部位の姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する環境)に切り替える。より具体的には、選択部13は、生体部位を照らす照明を、この選択の結果に応じて、第一照明(すなわち、認証生体情報として用いる画像の撮影に使用する照明)から、第二照明(すなわち、姿勢情報の検出に用いる画像の撮影に使用する照明)へと切り替える。なお、本実施例において、第一照明としては、生体部位の全体を一様に照らす照明を使用し、第二照明としては、前述したスポット光の照明を使用する。
【0056】
図4の例では、画像Bの生体検出スコアが検出開始基準スコアに到達したことで選択部13が生体部位への照明を第一照明から第二照明に切り替える。画像Cは、その切り替え後の照明の下で、撮影部11が生体部位を撮影して取得したものである。従って、画像Cには、前述した十字形状の印が画像上に描かれている。このようにして撮影部11が画像Cを取得することで、認証生体情報としての適性を有している画像Bの取得時に極めて近い生体部位の姿勢情報を、当該画像Bの直後に取得される画像Cから得ることができる。
【0057】
その後、選択部13は、撮影部11による画像Cについての撮影が完了すると、生体部位の照明を第二照明から第一照明へと切り替えて撮影環境を第二環境から第一環境に戻す。撮影部11は、その後の生体部位の撮影を第一環境の下で繰り返し、画像D、E、及びFを得る。これらの画像についての生体検出スコアは増加傾向が続き、画像Fにおいて、図4に示されている「最適検出スコア」に到達する。
【0058】
最適検出スコアは、撮影部11が取得した画像が認証生体情報としての使用に最適である生体部位の像の面積として選択部13に予め設定されている閾値であり、前述した第二閾値に相当するものである。
【0059】
選択部13は、撮影部11が取得した画像についての生体検出スコアが、この最適基準スコアを超えたときには、この次に撮影部11が生体部位を撮影するときの撮影環境として、前述した第二環境を再び選択する。そして、この選択結果に応じて、撮影環境を、それまでの第一環境から第二環境へと切り替える。すなわち、選択部13は、生体部位を照らす照明を、この選択の結果に応じて、第一照明から第二照明へと切り替える。
【0060】
図4の例では、画像Fの生体検出スコアが最適基準スコアに到達したことで選択部13が生体部位への照明を第一照明から第二照明に切り替える。画像Gは、その切り替え後の照明の下で、撮影部11が生体部位を撮影して取得したものである。従って、画像Gには、前述した十字形状の印が画像上に描かれている。このようにして撮影部11が画像Gを取得することで、認証生体情報として最適である画像Fの取得時に極めて近い生体部位の姿勢情報を、当該画像Fの直後に取得される画像Gから得ることができる。
【0061】
その後、選択部13は、撮影部11による画像Gについての撮影が完了すると、生体部位の照明を第二照明から第一照明へと切り替えて撮影環境を第二環境から第一環境に戻す。撮影部11は、その後の生体部位の撮影を第一環境の下で繰り返し、画像H、I、J、及びKを得る。これらの画像についての生体検出スコアは減少傾向に転じており、画像Kにおいて、図4に示されている「検出終了基準スコア」に到達している。
【0062】
検出終了基準スコアは、撮影部11が取得した画像が認証生体情報としての使用に適する生体部位の像の面積の下限として選択部13に予め設定されている閾値であり、前述した第三閾値に相当するものである。なお、検出終了基準スコアを、前述した検出開始基準スコアと同一の値としてもよい。
【0063】
選択部13は、撮影部11が取得した画像についての生体検出スコアが、この検出終了基準スコアを下回ったときには、この次に撮影部11が生体部位を撮影するときの撮影環境として、前述した第二環境を再び選択する。そして、この選択結果に応じて、撮影環境を、それまでの第一環境から第二環境へと切り替える。すなわち、選択部13は、生体部位を照らす照明を、この選択の結果に応じて、第一照明から第二照明へと切り替える。
【0064】
図4の例では、画像Kの生体検出スコアが検出終了基準スコアに到達したことで選択部13が生体部位への照明を第一照明から第二照明に切り替える。画像Lは、その切り替え後の照明の下で、撮影部11が生体部位を撮影して取得したものである。従って、画像Lには前述した十字形状の印が画像上に描かれている。このようにして撮影部11が画像Lを取得することで、認証生体情報としての適性を有している画像Kの取得時に極めて近い生体部位の姿勢情報を、当該画像Kの直後に取得される画像Lから得ることができる。
【0065】
その後、選択部13は、撮影部11による画像Lについての撮影が完了すると、生体部位の照明を第二照明から第一照明へと切り替えて撮影環境を第二環境から第一環境に戻す。撮影部11は、その後の画像Mについて以降の撮影を、第一環境の下で行う。
【0066】
出力部14は、撮影部11が取得した画像に、選択部13による撮影環境の選択の結果を表している撮影環境選択情報、すなわち、各画像についての撮影時における撮影環境を対応付けて出力する。
【0067】
以上のように、図3の生体画像撮影システム10は、取得した画像における生体部位の像の面積値に基づく認証生体情報としての適性の評価結果に応じて、当該画像の撮影の次に行う撮影を生体部位の姿勢情報の検出用のものとして実施するかどうかを決定する。このようにすることで、生体認証の実施において要の認証生体情報である生体画像に映っている生体部位について、特に良好な姿勢情報を得ることができる。また、このようにすることで、姿勢情報の検出用の画像の取得のための撮影の頻度を減らすことができ、その分だけ多くの画像を、認証生体情報として取得することができる。
【0068】
図4に例示した画像を前述した図1に例示した画像と比較すると、図1の撮影例では、認証生体情報としての適性を有している画像は4枚しか得られなかったのに対し、図4の撮影例では、認証生体情報としての適性を有している画像を8枚得ることができている。
【0069】
また、検出部15は、前述したようにして撮影された画像C、G、及びLを用いて、各画像についての撮影時における生体部位についての姿勢情報の検出を行う。本実施例では、検出部15は、前述の公知の技術を使用してこの検出を行い、スポット光を生体部位に照射したときの当該スポット光の生体部位上での映り方に基づいて、生体部位の撮影部11に対する距離の情報を得て、生体部位の姿勢情報の検出結果とする。
【0070】
推定部16は、前述したようにして撮影された画像D及びEの撮影時における生体部位の姿勢情報を、その撮影時の直前及び直後において姿勢情報の検出用に取得された画像C及びGを用いて検出部15が検出した姿勢情報に基づいて推定する。また、推定部16は、前述したようにして撮影された画像H、I、及びJの撮影時における生体部位の姿勢情報を、その撮影時の直前及び直後において姿勢情報の検出用に取得された画像G及びLを用いて検出部15が検出した姿勢情報に基づいて推定する。
【0071】
本実施例では、推定部16は、画像D及びEの撮影時における生体部位の撮影部11からの距離を、検出部15が検出した、画像C及びGの撮影時における生体部位の撮影部11からの距離に基づいた補間演算を行うことによって推定する。また、推定部16は、画像H、I、及びJの撮影時における生体部位の撮影部11からの距離を、検出部15が検出した、画像G及びLの撮影時における生体部位の撮影部11からの距離に基づいた補間演算を行うことによって推定する。
【0072】
図4における三段目のグラフは、撮影部11による生体部位の撮影時刻の経過と生体部位の姿勢情報の関係を表している。このグラフの横軸は、撮影部11による生体部位の撮影時刻の経過を表しており、縦軸は姿勢情報(生体部位の撮影部11からの距離)を表している。検出部15が画像C、G、及びLから検出した生体部位の姿勢情報(生体部位の撮影部11からの距離)に対応する点は、このグラフ上にプロットされる。また、推定部16が補間演算により推定した画像D、E、H、I、及びJについての撮影時の生体部位の姿勢情報に対応する点も、このグラフ上若しくはその近傍にプロットされる。
【0073】
以上のように、検出部15によって姿勢情報が検出されていない、画像D、E、H、I、及びJについての撮影時の生体部位の姿勢情報については、推定部16が上述した推定を行うことで獲得する。出力部14は、検出部15及び推定部16によって各画像の撮影時の生体部位の姿勢情報が求めた場合には、これらの姿勢情報についても、各画像に対応付けて出力するようにしてもよい。このようにして得られた姿勢情報を生体情報に利用すると、生体認証の精度の向上が期待できる。
【0074】
以上のように、図1の生体画像撮影システム10は、生体認証の実施において要の認証生体情報である生体画像に映っている生体部位についての精度の良い姿勢情報から、他の生体画像についての生体部位の姿勢情報の推定を行う。従って、これらの生体画像についての真の姿勢情報に比較的近い推定結果を得ることができる。
【0075】
例えば、前述したように、図2に例示した画像の撮影は、生体部位の姿勢情報の検出用の画像のための撮影を、一定の周期である少ない頻度で行うようにしたものである。この図2の場合には、姿勢情報の検出用の画像は、画像D及びGである。これらの画像から得られる姿勢情報に基づき他の生体画像の姿勢情報の推定を行うと、例えば、画像B、F、K、及びLなどでは、その姿勢情報については高い推定精度が期待できないことは明らかである。一方、図4に例示した画像の撮影では、いずれの生体画像についても、良好な姿勢情報の推定精度が期待できる。
【0076】
なお、図4における画像B、F、及びKについての姿勢情報を、それぞれ画像C、G、及びLから検出する代わりに、画像C、G、及びLからの姿勢情報に基づいて推定部16が推定して獲得するようにしてもよい。
【0077】
ところで、生体認証における認証生体情報としては、生体検出スコアがある程度までは大きい生体画像を使用する方が好ましいが、過度に大きい場合には、認証生体情報としての適性が低下する。これは、生体画像に映っている生体部位の姿勢も、その適性に影響を及ぼすからである。そこで、生体画像についての生体検出スコアと姿勢情報とに基づき、認証生体情報として生体画像を使用して生体認証を実施したときに推定される認証精度の高さを表す指標である、生体認証適合スコアを算出するようにしてもよい。第二算出部17は、この生体認証適合スコアを算出するものである。
【0078】
本実施例において、第二算出部17は、まず、各画像の姿勢情報(生体部位の撮影部11からの距離)について、図4における三段目のグラフに示されている「生体認証に最適な姿勢値(距離)」からのずれ量を算出する。なお、この生体認証に最適な姿勢値(距離)は、予め第二算出部17に設定されている値である。次に、第二算出部17は、各生体画像についての生体検出スコアとこのずれ量とに対し、必要に応じて所定の重み付けを与えた上で、その両者を合成する演算を行う。このようにして得られた値を生体認証適合スコアとする。
【0079】
図4における四段目のグラフは、各画像について得られる生体認証適合スコアを図示したものである。このグラフ例では、画像Eと画像Iとの生体認証適合スコアが高い値を示しており、これらを認証生体情報として使用して生体認証を実施すれば、極めて良好な認証精度が期待できる。
【0080】
出力部14は、第二算出部17によって各画像についての生体認証適合スコアを求めた場合には、各画像と撮影環境選択情報とを対応付けて出力する代わりに、生体認証適合スコアが所定値以上の認証精度の高さを表している画像のみを出力するようにする。このようにして出力された生体画像を認証生体情報として使用して生体認証を実施することで、生体認証に要する時間が短縮され、また、極めて良好な認証精度が得られることが期待できる。
【0081】
次に図5について説明する。図5は、図3の生体画像撮影システム10についての詳細な機能ブロック図である。この生体画像撮影システム10は、被認証者の生体部位の撮影を行って、生体認証における認証生体情報として使用する生体画像を取得し、得られた生体画像を生体認証装置20に送付する。
【0082】
図5に図解されている各機能ブロックと図3に図解されている機能ブロックとの対応を説明すると、画像撮影部31及び画像記憶部32が撮影部11に対応し、生体検出スコア算出部33が第一算出部12に対応する。また、姿勢撮影条件記憶部34、姿勢撮影タイミング判定部35、照明部36、及び照明制御部37が選択部13に対応し、生体認証適合画像選択部38及び画像送信部39が出力部14に対応する。そして、姿勢情報算出部41及び姿勢情報記憶部42が検出部15に対応し、姿勢情報補間部43が推定部16に対応し、生体認証適合スコア算出部44が第二算出部17に対応する。
【0083】
画像撮影部31は、生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して当該生体部位の画像を取得する撮影装置である。画像撮影部31は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)やCCD(Charge Coupled device:電荷結合素子)を用いた画像センサユニットを用いて構成されているカメラである。
【0084】
画像記憶部32は、画像撮影部31が取得した画像を順次記憶する記憶部である。画像記憶部32の記憶容量は任意であるが、生体認証の種類や利用形態に応じて適切な枚数の画像の記憶ができる程度の容量を用意する。
【0085】
生体検出スコア算出部33は、画像撮影部31が取得した画像を画像記憶部32が記憶する度に、その記憶した画像を読み出して、当該画像に映っている生体部位の像の面積を算出して、得られた面積値を生体検出スコアとして出力する。本実施例による生体検出スコア算出部33による生体検出スコアの算出手法について、図6を用いて説明する。
【0086】
生体検出スコア算出部33は、まず、画像記憶部32に新たに記憶された取得画像Pを読み出し、その構成画素を画素値と所定の閾値との大小比較の結果に基づき白色と黒色とに2値化して2値化画像Qを得る。生体検出スコア算出部33は、この2値化画像Qにおける白色の画素(すなわち、取得画像Pにおいては生体部位の像を構成していた方の画素)の個数を計数する。生体検出スコア算出部33は、この計数結果を、生体検出スコアとして出力する。
【0087】
なお、演算性能に余裕があれば、生体検出スコア算出部33による取得画像Pにおける生体部位の像の面積の算出を、より精度の高い手法で行うようにしてもよい。
姿勢撮影条件記憶部34は、画像撮影部31が次に行う生体部位の撮影を、姿勢情報検出用の画像の取得のためのものとするかどうかを決定する条件を予め設定して記憶させておく記憶部である。この姿勢撮影条件記憶部34に記憶させておく条件は、具体的には、前述した検出開始基準スコア、最適検出スコア、及び検出終了基準スコアである。
【0088】
姿勢撮影タイミング判定部35は、生体検出スコア算出部33が算出した生体検出スコアが、姿勢撮影条件記憶部34に記憶されている条件に合致するようになったか否かを判定し、その判定結果を照明制御部37に出力する。
【0089】
照明部36は、画像撮影部31が撮影を行う生体部位を照らす照明である。照明部36は、前述した第一照明として、生体部位の全体を一様に照らす照明と、前述した第二照明として、前述したスポット光の照明との2種類の照明を有しており、この2種類の照明を切り替えることができる。なお、これらの照明には、可視光を用いる場合もあれば、近赤外線等の可視光以外の光を用いる場合もある。
【0090】
照明制御部37は、照明部36が有している2種類の照明のどちらによって生体部位を照明するかを、姿勢撮影タイミング判定部35による判定結果に基づいて制御する。より具体的には、照明制御部37は、通常は、前述した第一照明を使用した生体部位の照明を照明部36に行わせる。そして、生体検出スコアが姿勢撮影条件記憶部34に記憶されている条件に合致するようになったと姿勢撮影タイミング判定部35が判定したときには、照明部36を制御して、生体部位の照明を、前述した第二照明を使用したものに切り替えさせる。その後、第二照明の下での生体部位の撮影を画像撮影部31が終えたときには、照明制御部37は、照明部36を制御して、生体部位の照明を、第一照明を使用したものに戻させる。
【0091】
生体認証適合画像選択部38は、画像記憶部32に記憶されている画像を順次読み出して、画像送信部39に出力する。なお、生体認証適合スコア算出部44が生体認証適合スコアの算出を行っている場合には、当該生体認証適合スコアに基づいて選択された画像を画像記憶部32から読み出して画像送信部39に出力する。
【0092】
画像送信部39は、生体認証適合画像選択部38から送られてきた画像を送信して生体認証装置20に送付する。
生体認証装置20は、生体画像撮影システム10から受け取った画像に対し、当該画像についての姿勢情報に基づいた画像の補正処理を施す。そして、当該補正後の画像を認証生体情報として使用して照合を実施し、予め登録されている利用者の登録生体情報と合致するかどうかを確かめる。
【0093】
姿勢情報算出部41は、第二照明の下で画像撮影部31が生体部位を撮影して取得した画像を画像記憶部32から読み出し、当該画像を用いて、当該生体部位についての姿勢情報を検出する。より具体的には、姿勢情報算出部41は、前述した公知の技術を使用し、当該画像におけるスポット光の生体部位上での映り方に基づいて、生体部位の画像撮影部31に対する距離を算出して、生体部位の姿勢情報の検出結果とする。また、姿勢情報算出部41は、この他の姿勢情報として、例えば生体部位の傾きを表している角度値の情報を更に得るようにしてもよい。
【0094】
姿勢情報記憶部42は、姿勢情報算出部41で算出した姿勢情報を、この姿勢情報がどの画像から検出したものであるかを識別する情報と共に記憶する。
姿勢情報補間部43は、姿勢情報記憶部42に記憶した姿勢情報に基づく補間演算を行って、第一照明の下で画像撮影部31が取得した画像の撮影時における生体部位の姿勢情報を推定する。
【0095】
生体認証適合スコア算出部44は、各画像について生体検出スコア算出部33が算出した生体検出スコアと姿勢情報算出部41及び姿勢情報補間部43が求めた姿勢情報とに基づき、前述した生体認証適合スコアを算出して生体認証適合画像選択部38に出力する。この生体認証適合スコアの算出式は、生体部位が様々な姿勢で映っているサンプル画像を用いて生体認証を実際に実施し、認証精度の高い画像ほどスコアが大きくなるような算出式を求める。この算出式としては、例えば下記の式を採用することができる。
生体認証適合スコア=生体検出スコア/abs(姿勢情報−最適姿勢値)
【0096】
なお、上記の式において、「姿勢情報」は生体部位の撮影部11からの距離であり、「最適姿勢値」は、図4における三段目のグラフに示されている「生体認証に最適な姿勢値(距離)」である。また、「abs()」は括弧内の値の絶対値を出力する関数を表している。
【0097】
上掲の式は、極めて簡易的に、生体検出スコア(生体部位の像の面積)は大きいほど生体認証に適しており、且つ、姿勢情報は最適姿勢値に近いほど生体認証に適しているとみなし、非常に簡易的かつ高速に処理できる式である。この式では、生体検出スコアと姿勢値との相関は特に考慮していない。
【0098】
なお、生体認証適合スコア算出部44が生体認証適合スコアを求めるために、数式を使用する代わりに、実験を元に作成したテーブルを参照してスコアを求めるようにしてもよい。
【0099】
生体認証適合画像選択部38は、生体認証適合スコアを生体認証適合スコア算出部44から受け取った場合には、画像記憶部32から読み出した画像のうち、生体認証適合スコアが所定値以上の認証精度の高さを表している画像のみを画像送信部39に出力する。そして、画像送信部39は、生体認証適合画像選択部38から送られてきた画像を送信して生体認証装置20に送付する。
【0100】
なお、画像送信部39は、必要に応じて、送信する画像についての生体検出スコア及び生体認証適合スコアを送信するようにしてもよい。また、第二照明の下で画像撮影部31が生体部位を撮影して取得した、当該生体部位についての姿勢情報の検出用の画像についても、必要に応じて送信するようにしてもよい。
【0101】
また、画像記憶部32に、姿勢撮影タイミング判定部35による判定結果を表している情報を更に記憶させておくようにしてもよい。更に、画像記憶部32に、生体検出スコア算出部33が取得した生体検出スコア、姿勢情報算出部41及び姿勢情報補間部43が取得した姿勢情報、並びに、生体認証適合スコア算出部44が取得した生体認証スコアを記憶するようにしてもよい。
【0102】
ここで図7について説明する。図7は、画像記憶部32に記憶される画像データ情報テーブルの構造の一例を図解したものである。
図7のテーブルには、「撮影通し番号」、「種別」、「生体検出スコア」、「検出姿勢情報」、「補間姿勢情報」、及び「生体認証適合スコア」の各項目が設けられている。
【0103】
「撮影通し番号」は、各画像の撮影順序を示す番号であり、この番号によって、この画像データ情報テーブルに示される各種の情報と、画像記憶部32に記憶されている、画像撮影部31が取得した画像のデータとが対応付けられる。
【0104】
「種別」は、「撮影通し番号」で特定される画像についての姿勢撮影タイミング判定部35の判定結果を表している情報、すなわち、この画像についての撮影時の撮影環境を表している情報である。ここで、『生体画像』は、この画像が、認証生体情報用の画像撮影に使用される第一照明を使用して生体部位の照明を行って撮影されたものであることを表している。また、『姿勢画像』は、この画像が、生体部位の姿勢情報検出用の画像撮影に使用される第二照明を使用して生体部位の照明を行って撮影されたものであることを表している。
【0105】
「生体検出スコア」は、「種別」が『生体画像』である画像について生体検出スコア算出部33が取得した生体検出スコアの値である。
「検出姿勢情報」は、「種別」が『姿勢画像』である画像から姿勢情報算出部41が取得した姿勢情報である、当該画像の撮影時における生体部位の画像撮影部31からの距離である。
【0106】
「補間姿勢情報」は、「種別」が『生体画像』である画像について姿勢情報補間部43が補間演算により取得した姿勢情報の推定結果である、当該画像の撮影時における生体部位の画像撮影部31からの距離である。なお、図7のテーブル例では、「種別」が『姿勢画像』である画像については、「検出姿勢情報」と同一の値が「補間姿勢情報」として格納されている。
【0107】
「生体認証適合スコア」は、「種別」が『生体画像』である画像について生体認証適合スコア算出部44が取得した生体認証適合スコアの値である。
画像送信部39は、このような画像データ情報テーブルが画像記憶部32に記憶されている場合には、画像を送信する際に、この画像についての情報を当該テーブルから読み出して当該画像と共に送信するようにしてもよい。
【0108】
図5の生体画像撮影システム10は以上のように動作する。
なお、図3及び図5に図解した生体画像撮影システム10の一部の構成要素を、標準的な構成のコンピュータを用いて構成することができる。
【0109】
ここで図8について説明する。図8には、コンピュータのハードウェア構成例が図解されている。
このコンピュータ50は、MPU51、ROM52、RAM53、ハードディスク装置54、入力装置55、表示装置56、インタフェース装置57、及び記録媒体駆動装置58を備えている。なお、これらの構成要素はバスライン59を介して接続されており、MPU51の管理の下で各種のデータを相互に授受することができる。
【0110】
MPU(Micro Processing Unit)51は、このコンピュータ50全体の動作を制御する演算処理装置である。
ROM(Read Only Memory)52は、所定の基本制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリである。MPU51は、この基本制御プログラムをコンピュータ50の起動時に読み出して実行することにより、このコンピュータ50の各構成要素の動作制御が可能になる。
【0111】
RAM(Random Access Memory)53は、MPU51が各種の制御プログラムを実行する際に、必要に応じて作業用記憶領域として使用する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
【0112】
ハードディスク装置54は、MPU51によって実行される各種の制御プログラムや各種のデータを記憶しておく記憶装置である。MPU51は、ハードディスク装置54に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、各種の制御処理を行えるようになる。
【0113】
入力装置55は、例えばキーボード装置やマウス装置であり、例えば生体画像撮影システム10の管理者により操作されると、その操作内容に対応付けられている管理者からの各種情報の入力を取得し、取得した入力情報をMPU51に送付する。
【0114】
表示装置56は例えば液晶ディスプレイであり、MPU51から送付される表示データに応じて各種のテキストや画像を表示する。
インタフェース装置57は、このコンピュータ50に接続される各種機器との間での各種情報の授受の管理を行う。
【0115】
記録媒体駆動装置58は、可搬型記録媒体60に記録されている各種の制御プログラムやデータの読み出しを行う装置である。MPU51は、可搬型記録媒体60に記録されている所定の制御プログラムを、記録媒体駆動装置58を介して読み出して実行することによって、後述する各種の制御処理を行うようにすることもできる。なお、可搬型記録媒体60としては、例えばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリなどがある。
【0116】
このようなコンピュータ50を用いて生体画像撮影システム10の一部の構成要素を構成するには、例えば、次に説明する生体画像撮影制御処理をMPU51に行わせるための制御プログラムを作成する。作成された制御プログラムはハードディスク装置54若しくは可搬型記録媒体60に予め格納しておく。このプログラムでは、例えば、ハードディスク装置54を、画像記憶部32、姿勢撮影条件記憶部34、及び姿勢情報記憶部42として機能させるようにしておく。また、コンピュータ50のインタフェース装置57には、画像撮影部31と照明部36とを接続して、コンピュータ50が画像撮影部31及び照明部36を制御して生体部位の撮影を行わせ、得られた画像をコンピュータ50に取り込めるようにしておく。また、生体認証装置20もインタフェース装置57に接続して、各種の画像及び情報を生体認証装置20に送付することができるようにしておく。そして、MPU51に所定の指示を与えてこの制御プログラムを読み出させて実行させる。こうすることで、生体画像撮影システム10の構成要素が各々有している機能のコンピュータ50での提供が可能となる。
【0117】
次に図9及び図10について説明する。図9及び図10は、生体画像撮影制御処理の処理内容の第一の例を図解したフローチャートである。この制御処理の第一の例は、図5の生体画像撮影システム10で行われるものである。
【0118】
なお、この図9及び図10の処理おいて、生体画像撮影制御処理はS101からS112までの処理であり、S113の処理は、生体認証装置20が行う生体認証処理である。
この制御処理が開始されると、まず、図9のS101において、生体部位の全体を一様に照らす、前述した第一照明を使用した生体部位の照明を照明部36に行わせる処理を照明制御部37が行う。
【0119】
次に、S102では、この第一照明の下で生体部位の撮影を画像撮影部31が行い、得られた画像を画像記憶部32に記憶させる処理を行う。
次に、S103では、S102の処理により画像記憶部32に記憶させた画像を読み出し、当該画像に映っている生体部位の像の面積を算出することで当該画像についての生体検出スコアを獲得する処理を生体検出スコア算出部33が行う。
【0120】
次に、S104では、S103の処理により得られた生体検出スコアが、姿勢撮影条件記憶部34に予め記憶させておいたいずれかの条件に合致するようになったか否かを判定する処理を姿勢撮影タイミング判定部35が行う。前述したように、この姿勢撮影条件記憶部34に記憶させておく条件は、姿勢情報の検出用の画像の取得のための撮影を行うか否かの判定基準とする条件であり、具体的には、前述の検出開始基準スコア、最適検出スコア、及び検出終了基準スコアである。
【0121】
このS104の判定処理において、生体検出スコアがいずれかの条件に合致するようになったと判定したとき(判定結果がYesのとき)にはS105に処理が進む。一方、生体検出スコアがいずれの条件にも合致しないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、S101に処理が戻って上述した処理が再び実行される。
【0122】
次に、S105では、前述したスポット光の照明を照らす、前述した第二照明を使用した生体部位の照明を照明部36に行わせる処理を照明制御部37が行う。
次に、S106では、この第二照明の下での生体部位の撮影を画像撮影部31が行い、得られた画像を画像記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0123】
次に、S107では、S106の処理により画像記憶部32に記憶させた画像を読み出し、当該画像を用いて、当該生体部位についての姿勢情報の検出を姿勢情報算出部41が行い、得られた姿勢情報を姿勢情報記憶部42に記憶させる処理を行う。
【0124】
次に、S108では、画像記憶部32に蓄積されている、S106の処理により取得された姿勢情報検出用の画像の枚数が、予め定めておいた所定枚数(少なくとも2枚以上)に達したか否かを判定する処理を姿勢情報算出部41が行う。ここで、当該画像の枚数が当該所定枚数に達したと判定されたとき(判定結果がYesのとき)には、S109(図10)に処理が進む。一方、当該画像の枚数が未だ当該所定枚数に満たないと判定されたとき(判定結果がNoのとき)には、S101に処理が戻り、上述した処理が再度行われる。
【0125】
処理が図10に進み、S109では、S107の処理により姿勢情報記憶部42に記憶させた姿勢情報を読み出し、当該姿勢情報に基づく補間演算を行って、第一照明の下での取得画像についての姿勢情報を推定する処理を姿勢情報補間部43が行う。
【0126】
次に、S110では、各画像についてS103の処理により求めた生体検出スコアとS107及びS109の処理により求めた姿勢情報とに基づき、前述したようにして生体認証適合スコアを算出する処理を生体認証適合スコア算出部44が行う。
【0127】
次に、S111では、画像記憶部32から画像を読み出し、そのうちで、生体認証適合スコアが所定値以上の認証精度の高さを表している画像のみを選択する処理を生体認証適合画像選択部38が行う
次に、S112では、S111の処理により選択された画像と当該画像についての姿勢情報とを画像送信部39が生体認証装置20に送信する処理を行う。以上までの処理が生体画像撮影制御処理である。
【0128】
次に、S113では、生体認証処理を生体認証装置20が行う。この処理では、生体認証装置20は、まず、S112の処理によって生体画像撮影システム10から送られてくる各種の情報を受信する処理を行う。そして、このうちの画像に対し、当該画像についての姿勢情報に基づいた画像の補正処理を施す。そして、当該補正後の画像を認証生体情報として使用して照合を実施し、予め登録されている利用者の登録生体情報と合致するかどうかを確かめる。
【0129】
以上のS113の処理が完了すると、図9及び図10の処理が終了する。
なお、S113の生体認証処理において、認証生体情報と登録生体情報とが合致しなかったと判定された場合には、上述した生体画像撮影制御処理を生体画像撮影システム10が所定回数繰り返し実行するようにしてもよい。この場合には、生体認証装置20は、この生体画像撮影制御処理の繰り返しによって認証生体情報としての画像が新たに得られる度に生体認証処理を行う。このとき、生体認証装置20は、認証生体情報と登録生体情報との両者がその繰り返しで一度でも一致すれば、本人確認ができたとの認証結果とし、その両者がその繰り返しの全てにおいて一致しなければ、本人確認がされなかったとの認証結果とする。
【0130】
本実施例の生体画像撮影システム10は、以上のように動作することで、被認証者の生体部位の撮影を行って、生体認証における認証生体情報として使用する生体画像を取得する。
【0131】
ところで、図5の生体画像撮影システム10において行われている、認証生体情報として使用する画像についての生体認証適合スコアに基づいた選択を、生体認証装置20が代わって行うようにしてもよい。このようにすることで、生体画像撮影システム10の構成を簡素化することができる。
【0132】
ここで図11について説明する。図11は、生体画像撮影システムの別の一実施例の機能ブロック図である。
なお、図11の生体画像撮影システム70において、図5の生体画像撮影システム10が備えているものと同様の機能を有する機能ブロックには同一の符号を付している。これらの機能ブロックについての説明のうち、生体画像撮影システム10が有していたものと同一の機能についての説明は、ここでは省略する。
【0133】
この図11の生体画像撮影システム70は、図5の生体画像撮影システム10から、姿勢情報算出部41、姿勢情報記憶部42、姿勢情報補間部43、生体認証適合スコア算出部44、及び生体認証適合画像選択部38の各機能ブロックが削除されている。従って、各機能ブロックは、図11の生体認証装置80が、図5の生体認証装置20が備えていた生体認証処理機能と共に備えるようにする。
【0134】
なお、図11の生体画像撮影システム70においては、画像記憶部32は、姿勢撮影タイミング判定部35による判定結果に基づいて切り替えられた照明の下で画像撮影部31により撮影された画像に対応付けて、当該判定結果を表している情報を更に記憶する。また、画像送信部39は、画像記憶部32に記憶されている画像を、当該画像に対応付けられている姿勢撮影タイミング判定部35の判定結果の情報と共に順次読み出して送信する。生体認証装置80は、これらの画像と判定結果の情報とに基づき、姿勢情報の算出、姿勢情報の推定、生体認証適合スコアの算出、及び生体認証に適合する画像の選択を行い、選択された画像を認証生体情報として用いた生体認証を行う。
【0135】
次に図12について説明する。図9及び図10は、生体画像撮影制御処理の処理内容の第二の例を図解したフローチャートである。この制御処理の第二の例は、図11の生体画像撮影システム70で行われるものである。
【0136】
なお、この図12の処理おいて、生体画像撮影制御処理はS201からS208までの処理であり、S209の処理は生体認証装置80が行う生体認証処理である。
この制御処理が開始されると、まず、S201において、生体部位の全体を一様に照らす、前述した第一照明を使用した生体部位の照明を照明部36に行わせる処理を照明制御部37が行う。
【0137】
次に、S202では、この第一照明の下で生体部位の撮影を画像撮影部31が行い、得られた画像と、この画像の得たときの撮影の環境の情報である、当該撮影時における照明(すなわち、第一照明)の選択情報とを画像記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0138】
次に、S203では、S202の処理により画像記憶部32に記憶させた画像を読み出し、当該画像に映っている生体部位の像の面積を算出することで当該画像についての生体検出スコアを獲得する処理を生体検出スコア算出部33が行う。
【0139】
次に、S204では、S203の処理により得られた生体検出スコアが、姿勢撮影条件記憶部34に予め記憶させておいたいずれかの条件に合致するようになったか否かを判定する処理を姿勢撮影タイミング判定部35が行う。前述したように、この姿勢撮影条件記憶部34に記憶させておく条件は、姿勢情報の検出用の画像の取得のための撮影を行うか否かの判定基準とする条件であり、具体的には、前述の検出開始基準スコア、最適検出スコア、及び検出終了基準スコアである。
【0140】
このS204の判定処理において、生体検出スコアがいずれかの条件に合致するようになったと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS205に処理が進む。一方、生体検出スコアがいずれの条件にも合致しないと判定されたとき(判定結果がNoのとき)には、S207に処理が進む。
【0141】
次に、S205では、前述したスポット光の照明を照らす、前述した第二照明を使用した生体部位の照明を照明部36に行わせる処理を照明制御部37が行う。
次に、S206では、この第二照明の下で生体部位の撮影を画像撮影部31が行い、得られた画像と、この画像の得たときの撮影の環境の情報である、当該撮影時における照明(すなわち、第二照明)の選択情報とを画像記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0142】
次に、S207では、S203の処理により各画像について求められる生体検出スコアが認証生体情報としての使用に適する値の下限以上であるものが、所定個数以上得られたか否かを判定する処理を画像送信部39が行う。ここで、この条件に合致する生体検出スコアが所定個数得られたと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS208に処理が進む。一方、この条件に合致する生体検出スコアの個数が所定個数に満たないと判定されたとき(判定結果がYesのとき)にはS201に処理が戻り、上述した処理が再度行われる。
【0143】
S208では、画像記憶部32に記憶されている画像を、当該画像に対応付けられている照明の選択情報(すなわち、姿勢撮影タイミング判定部35の判定結果の情報)と共に順次読み出して送信する処理を画像送信部39が行う。以上までの処理が生体画像撮影制御処理である。
【0144】
次に、S209では、生体認証処理を生体認証装置80が行う。この処理では、生体認証装置80は、まず、S208の処理によって生体画像撮影システム70から送られてくる各種の情報を受信する処理を行う。次に、受信した画像と判定結果の情報とに基づき、姿勢情報の算出、姿勢情報の推定、生体認証適合スコアの算出、及び生体認証に適合する画像の選択を行う。そして、選択された画像に対し、当該画像についての姿勢情報に基づいた画像の補正処理を施す。そして、当該補正後の画像を認証生体情報として使用して照合を実施し、予め登録されている利用者の登録生体情報と合致するかどうかを確かめる。
【0145】
以上のS209の処理が完了すると、図12の処理が終了する。
なお、S209の生体認証処理において、認証生体情報と登録生体情報とが合致しなかったと判定された場合には、上述した生体画像撮影制御処理を生体画像撮影システム70が所定回数繰り返し実行するようにしてもよい。この場合には、生体認証装置80は、の生体画像撮影制御処理の繰り返しによって認証生体情報としての画像が新たに得られる度に生体認証処理を行う。このとき、生体認証装置80は、認証生体情報と登録生体情報との両者がその繰り返しで一度でも一致すれば、本人確認ができたとの認証結果とし、その両者がその繰り返しの全てにおいて一致しなければ、本人確認がされなかったとの認証結果とする。
【0146】
本実施例の生体画像撮影システム70は、以上のように動作して、被認証者の生体部位の撮影を行って、生体認証における認証生体情報として使用する生体画像を取得する。
【符号の説明】
【0147】
10、70 生体画像撮影システム
11 撮影部
12 第一算出部
13 選択部
14 出力部
15 検出部
16 推定部
17 第二算出部
20、80 生体認証装置
31 画像撮影部
32 画像記憶部
33 生体検出スコア算出部
34 姿勢撮影条件記憶部
35 姿勢撮影タイミング判定部
36 照明部
37 照明制御部
38 生体認証適合画像選択部
39 画像送信部
41 姿勢情報算出部
42 姿勢情報記憶部
43 姿勢情報補間部
44 生体認証適合スコア算出部
50 コンピュータ
51 MPU
52 ROM
53 RAM
54 ハードディスク装置
55 入力装置
56 表示装置
57 インタフェース装置
58 記録媒体駆動装置
59 バスライン
60 可搬型記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して該生体部位の画像を取得する撮影部と、
前記撮影部が取得した前記画像に基づき、該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出する第一算出部と、
前記撮影部が次に取得する前記画像である次画像の撮影時における撮影の環境を、該次画像よりも前に該撮影部が前記生体部位を撮影して取得していた前記画像について前記第一算出部が算出した前記指標に基づき、生体認証における認証生体情報として用いる画像の取得に使用する第一環境と、前記生体部位の姿勢の情報である姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する第二環境との間で選択し、該撮影の環境を該選択された環境に切り替える選択部と、
前記選択部による前記選択の結果を表している撮影環境選択情報と、該選択結果に係る撮影環境の下で前記撮影部が取得した前記次画像とを対応付けて出力する出力部と、
を備えることを特徴とする生体画像撮影システム。
【請求項2】
前記第一算出部は、前記指標として、前記撮影部が取得した前記画像に映っている前記生体部位の像の領域の面積値を算出し、
前記選択部は、前記次画像についての撮影よりも前に前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得していた前記画像についての前記面積値が所定の複数の条件のうちの少なくとも1つに合致したときには、前記第二環境を、前記撮影の環境として選択し、該所定の複数の条件のいずれにも合致しないときには、前記第一環境を、該撮影の環境として選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体画像撮影システム。
【請求項3】
前記所定の複数の条件のうちの1つは、前記次画像についての撮影の直前に前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得していた画像である前画像についての前記面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に適する下限の広さとして設定される所定の第一閾値よりも広いことを表しており、且つ、該前画像についての撮影の直前に該撮影部が該生体部位を撮影して取得していた画像についての前記面積値が、該第一閾値よりも狭いことを表しているという条件であることを特徴とする請求項2に記載の生体画像撮影システム。
【請求項4】
前記所定の複数の条件のうちの1つは、前記次画像についての撮影の直前に前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得していた画像である前画像についての前記面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に最適の広さとして設定される所定の第二閾値よりも広いことを表しており、且つ、該前画像についての撮影の直前に該撮影部が該生体部位を撮影して取得していた画像についての前記面積値が、該第二閾値よりも狭いことを表しているという条件であることを特徴とする請求項2又は3に記載の生体画像撮影システム。
【請求項5】
前記所定の複数の条件のうちの1つは、前記次画像についての撮影の直前に前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得していた画像である前画像についての前記面積値が、生体認証における認証生体情報としての使用に適する下限の広さとして設定される所定の第三閾値よりも狭いことを表しており、且つ、該前画像についての撮影の直前に該撮影部が該生体部位を撮影して取得していた画像についての前記面積値が、該第三閾値よりも広いことを表しているという条件であることを特徴とする請求項2から4のうちのいずれか一項に記載の生体画像撮影システム。
【請求項6】
前記選択部は、前記生体部位を照らす照明を、前記選択の結果に応じて、前記認証生体情報として用いる画像の撮影に使用する第一照明と、前記姿勢情報の検出に用いる画像の撮影に使用する第二照明との間で切り替えることによって、前記撮影の環境を前記第一環境と前記第二環境との間で切り替えることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の生体画像撮影システム。
【請求項7】
前記第二環境の下で前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得した前記画像を用いて、該生体部位についての姿勢情報を検出する検出部と、
前記第一環境の下で前記撮影部が前記次画像についての撮影を行った時点における前記姿勢情報の推定を、該時点の前及び後においての前記第二環境の下で該撮影部が前記生体部位を撮影して取得した前記画像を用いて前記検出部が検出した姿勢情報に基づいて行う推定部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の生体画像撮影システム。
【請求項8】
前記検出部は、前記姿勢情報として、前記生体部位と該生体部位を撮影したときの前記撮影部の撮影位置との間の距離の検出を行い、
前記推定部は、前記時点の前及び後においての前記第二環境の下で前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得した前記画像を用いて前記検出部が検出した前記距離に基づいた補間演算を行うことによって、前記次画像についての撮影を該撮影部が行った時点における該生体部位と該撮影部の撮影位置との間の距離を算出し、該算出結果を前記姿勢情報の推定の結果とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の生体画像撮影システム。
【請求項9】
前記第一環境の下で前記撮影部が前記生体部位を撮影して取得した前記次画像について前記第一算出部が算出していた前記指標と、前記推定部が該次画像について推定した前記姿勢情報とに基づき、前記認証生体情報として該次画像を使用して前記生体認証を実施したときに推定される認証精度の高さを表す指標を算出する第二算出部を更に備え、
前記出力部は、前記撮影環境選択情報と前記次画像とを対応付けて出力する代わりに、前記次画像のうちで前記第二算出部により算出された指標が所定値以上の認証精度の高さを表しているもののみを出力する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の生体画像撮影システム。
【請求項10】
生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して該生体部位の画像を取得する撮影装置が取得した該画像に基づき、該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出し、
前記撮影装置が次に取得する前記画像である次画像の撮影時における撮影の環境を、該次画像よりも前に該撮影装置が前記生体部位を撮影して取得していた前記画像についての前記指標に基づき、生体認証における認証生体情報として用いる画像の取得に使用する第一環境と、前記生体部位の姿勢の情報である姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する第二環境との間で選択し、
前記撮影の環境を、前記選択された環境に切り替え、
前記選択の結果を表している撮影環境選択情報と、該選択結果に係る撮影環境の下で前記撮影装置が取得した前記次画像とを対応付けて出力する、
ことを特徴とする生体画像取得方法。
【請求項11】
生体部位を所定の時間間隔で順次撮影して該生体部位の画像を取得する撮影装置が取得した該画像に基づき、該画像についての、生体認証における認証生体情報としての適性を表す指標を算出し、
前記撮影装置が次に取得する前記画像である次画像の撮影時における撮影の環境を、該次画像よりも前に該撮影装置が前記生体部位を撮影して取得していた前記画像についての前記指標に基づき、生体認証における認証生体情報として用いる画像の取得に使用する第一環境と、前記生体部位の姿勢の情報である姿勢情報の検出に用いる画像の取得に使用する第二環境との間で選択し、
前記撮影の環境を、前記選択された環境に切り替え、
前記選択の結果を表している撮影環境選択情報と、該選択結果に係る撮影環境の下で前記撮影装置が取得した前記次画像とを対応付けて出力する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−155405(P2012−155405A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12084(P2011−12084)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】