説明

生体監視装置、生体監視方法、生体監視システム、制御プログラム、および、該制御プログラムを記録した記録媒体

【課題】測定された生体の状態に応じて、測定結果の報知動作を適切に制御する。
【解決手段】本発明の生体監視装置1は、生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定部20と、生体測定部20によって導出された測定結果情報が示す生体の状態を報知する1または複数の情報出力部(出力部15、情報出力装置110)の報知動作を制御する出力動作制御部30とを備え、出力動作制御部30は、導出された測定結果情報の内容に応じて、情報出力部の報知動作を制御することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体を監視する生体監視装置に関するものであり、特に、生体の状態を測定して得られた測定結果を用いて生体を監視する生体監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを用いて生体をセンシングし、センサから得られた信号情報に基づいて、生体の状態を測定する技術が広く使われている。そして、近年、この技術を応用して、生体から得られた測定結果を用いて該生体を監視するシステムが普及してきた。
【0003】
例えば、特許文献1〜4には、監視対象となる生体の動作や状態を、センサを用いて測定し、センサで検知した生体の状態に応じた動作(通知動作、機器制御など)を行うシステムが開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献3には、スポーツイベントに参加する選手を見守り対象者とする無線中継装置を用いたスポーツ情報監視システムが開示されている。上記スポーツ情報監視システムでは、心拍センサおよび血圧センサが選手に装着され、選手の心拍および血圧のデータを取得することができる。そして、各センサから無線中継装置を介して管理サーバに収集された選手ごとの心拍および血圧のデータが管理用コンピュータによって処理される。これにより、選手の活動状況を判断し、選手の体調の異常を迅速に発見することが可能となる。
【0005】
なお、特許文献5には、見守り対象者の情報を、カメラやマイクを用いて収集し、収集した情報に基づいて遠隔地から対象者を見守る見守りシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−175581号公報(2002年6月21日公開)
【特許文献2】特開2004−145875号公報(2004年5月20日公開)
【特許文献3】特開2003−150716号公報(2003年5月23日公開)
【特許文献4】特開2009−056075号公報(2009年3月19日公開)
【特許文献5】特開2006−235978号公報(2006年9月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献3の技術では、監視対象の生体の状態を出力する出力動作(例えば、異常が発生したことを報知する動作)において、生体の状態に応じたきめ細やかな対応ができないという問題が生じる。
【0008】
具体例を挙げると、特許文献3において管理コンピュータ5は、異常発生という同一の内容を、全無線中継装置に一律で送信するのみであり、端末装置14は、上記同一の内容を、(全監視員の)全携帯電話に一律で送信するのみである。
【0009】
つまり、発生した異常の内容や程度に関わらず、異常時には、常に同じパターンで通知動作が実施されるのみである。したがって、生体の状態に応じた適切な処理が迅速に実行されない虞がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定対象(生体)の身体状況を見守り、測定された生体の状態に応じて、測定結果の出力動作を適切に制御する生体監視装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生体監視装置は、上記課題を解決するために、生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定手段と、上記生体測定手段によって導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御手段とを備え、上記出力制御手段は、上記生体測定手段によって導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、生体測定手段が測定対象(生体)の状態を測定して測定結果を導出することにより生体の状況を把握することができる。さらに、出力動作制御手段は、上記生体測定手段による測定に基づいて把握した生体の状態に応じて、情報出力部の報知動作を制御し、この出力制御を状況に応じて柔軟に変更することができる。
【0013】
結果として、生体監視装置は、生体の状況を見守り、生体の状況に応じて、把握された測定結果を報知させるときの情報出力部の報知動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0014】
上記出力制御手段は、上記測定結果情報の内容に応じて、該測定結果情報に係る報知動作を実行させる情報出力部を選択する出力先選択手段と、上記出力先選択手段によって選択された各情報出力部に報知させる出力内容をそれぞれ選択する出力情報選択手段とを含むことが好ましい。
【0015】
より具体的には、上記生体測定手段は、上記生体信号情報を分析して、上記生体の状態が、予め定義されたいずれの状態に属するのかを判定し、判定した状態を示す2値以上の多値情報を含む測定結果情報を出力する状態測定手段を含み、上記出力先選択手段は、上記状態測定手段が判定する状態ごとに上記情報出力部を関連付けた出力先決定テーブルを参照することにより、上記報知動作を実行させる情報出力部を選択し、上記出力情報選択手段は、上記状態測定手段が判定する状態ごと、かつ、出力先の情報出力部ごとに出力内容を関連付けた出力内容決定テーブルを参照することにより、選択された情報出力部ごとに、出力内容をそれぞれ選択することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、出力先選択手段は、測定結果情報の内容(判定された生体の状態)に対応した出力先を選択することができ、さらに、出力情報選択手段は、選択されたそれぞれの出力先に供給すべき出力内容を、測定結果情報の内容に応じて各々適切に選択することができる。
【0017】
これにより、生体の状況に即した、適切な出力先に、適切な出力内容が供給されることになる。結果として、生体監視装置は、生体の状況を見守り、生体の状況に応じて、把握された測定結果をどの情報出力部にどのようにして報知させるのかという報知動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
上記状態測定手段は、上記生体の状態が、第1の状態であるか、第2の状態であるかを判定し、判定された状態を示す2値情報を含む測定結果情報を出力してもよい。
【0019】
これにより、生体の状態が、第1の状態であるのか、第2の状態であるのかに応じて、適切な出力先に、適切な出力内容が供給されることになる。結果として、生体監視装置は、生体を見守り、生体の状態(正常か異常か、あるいは、リラックスしているか興奮状態にあるか、など)に応じて、把握された測定結果をどの情報出力部にどのようにして報知させるのかという報知動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0020】
あるいは、上記状態測定手段は、上記生体の状態について、上記生体が発症した症状または重症度を判定し、判定された状態を示す多値情報を含む測定結果情報を出力してもよい。
【0021】
これにより、生体が、どのような症状を発症しているのか、あるいは、生体が陥っている状況は、どの程度深刻なものであるのか、など、生体の状態をより詳細に把握することが可能となる。そして、より詳細に把握された生体の状態に応じて、より適切な出力先に、適切な出力内容が供給されることになる。
【0022】
結果として、生体監視装置は、生体を見守り、多様化する生体の状態に対応して、把握された測定結果をどの情報出力部にどのようにして報知させるのかという報知動作を、よりきめ細やかに適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0023】
上記状態測定手段は、生体のどのような状態を測定したいのかを示す測定項目ごとに、当該測定項目に係る上記生体の状態を示す測定結果情報をそれぞれ出力してもよい。
【0024】
上記構成によれば、上記状態測定手段は、指定された測定項目に沿った測定を実施し、当該測定項目に関して、上記生体の状態を示す測定結果情報を出力する。すなわち、測定項目が複数指定された場合には、その各々について、測定結果情報を出力する。よって、出力動作制御手段は、測定項目ごとに、各測定結果情報に応じて、各情報出力部に対して報知動作の制御を実施する。
【0025】
これにより、情報出力部から報知される情報は、測定項目ごとの生体の状態を示す情報となる。ユーザは、測定項目ごとに生体の状態を把握することが可能となる。
【0026】
測定項目とは、一例を挙げると、例えば、心拍数、呼吸数、脈拍、体温などに異常があるかどうかを判定することを指定する項目であることが想定される。この場合、上記構成によれば、生体監視装置は、心拍数、呼吸数、・・・のそれぞれの測定項目ごとに生体の状態(正常/異常)を把握することが可能となる。
【0027】
あるいは、上記状態測定手段は、生体のどのような状態を測定したいのかを示す測定項目ごとに、当該測定項目に係る上記生体の状態を判定し、上記測定項目ごとに判定された状態を総合して、上記生体の状態を示す1つの測定結果情報を出力してもよい。
【0028】
上記構成によれば、上記状態測定手段は、指定された測定項目に沿った測定をそれぞれ実施し、当該測定項目に関して、上記生体の状態を判定する。続いて、状態測定手段は、測定項目ごとに判定した、生体の状態を総合して、1つの測定結果情報を出力する。すなわち、測定項目が複数指定された場合には、その各々について、まず判定を行い、それらを総合して、最終的に生体の状態を示す1つの測定結果情報を出力する。よって、出力動作制御手段は、各測定項目の測定結果を統合した、1つの測定結果情報に応じて、各情報出力部に対して報知動作の制御を実施する。
【0029】
これにより、生体監視装置は、あらゆる測定項目に係る判定結果を総合して、より精度良く、詳細に、生体の状態を把握することが可能となる。したがって、生体監視装置は、より詳細かつ正確に判断された生体の状態に応じて、より正しい報知動作制御を実行することができる。
【0030】
上記情報出力部は、自装置または外部の装置が備える表示部であり、上記出力情報選択手段は、上記生体信号情報、または、該生体信号情報を分析した結果得られた値を、上記表示部に表示させる出力内容として選択してもよい。
【0031】
上記構成によれば、状態測定手段が判定した状態だけでなく、生体から実際に得られた生体信号情報、または、該生体信号情報を分析した結果得られた値をユーザに提示することが可能となる。
【0032】
これにより、ユーザは、表示部に表示された生体信号情報または値を視認して、より詳細かつ正確に生体の状態を把握することが可能となる。
【0033】
上記出力制御手段は、さらに、上記生体測定手段によって導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部に報知動作を実行させるタイミングを指定する出力動作変更手段を含み、上記出力動作変更手段は、上記生体測定手段によって、上記生体の状態が異常であることを示す測定結果情報が所定期間継続して導出された場合にのみ、上記出力制御手段による報知動作の制御を開始することが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、出力動作変更手段は、実施された測定の測定結果を上記情報出力部に報知させるタイミングを制御する。具体的には、出力動作変更手段は、生体の異常状態が所定期間継続して検出されるまでは、情報出力部に報知動作を実行させない。そして、上記異常状態が所定期間継続して検出された場合に、初めて情報出力部に報知動作を実行させる。
【0035】
これにより、異常状態の検出が誤作動であった場合や、短期間の異常状態では深刻な状況とはいえない場合に、不必要な異常報知動作を抑制することができる。これにより、ユーザに対して、真に深刻な状況の場合のみ、生体の状態を報知する生体監視システムを実現することが可能となる。
【0036】
上記生体測定手段の上記状態測定手段は、上記生体に装着された生体センサによって取得された上記生体の生体信号情報を分析するものであり、上記生体測定手段は、さらに、生体センサの属性情報ごとに、上記状態測定手段が実行する分析および判定の手順を規定するアルゴリズムを記憶する測定方法記憶部から、上記生体に装着された生体センサの属性情報に対応付けられたアルゴリズムを選択して取得するアルゴリズム選択手段を含み、上記状態測定手段は、上記アルゴリズム選択手段によって選択されたアルゴリズムにしたがって上記生体信号情報を分析し、上記生体の状態を判定することが好ましい。
【0037】
上記生体測定手段は、さらに、(1)上記生体センサが生体のどこに装着されているかを示す「装着位置」、(2)上記生体センサで生体のどの部位を測定したいのかを示す「測定部位」、および、(3)上記生体センサで生体のどのような状態を測定したいのかを示す「測定項目」のうち、少なくとも1つを、上記生体センサの属性情報として決定する属性情報決定手段を含み、上記アルゴリズム選択手段は、上記属性情報決定手段によって決定された属性情報に対応付けられたアルゴリズムを上記測定方法記憶部から選択してもよい。
【0038】
これにより、用いる生体センサの種類が少なくても(例えば、音センサ1種類で固定されていても)、生体センサの属性情報(装着位置、測定部位、測定項目)に応じて、幾通りものアルゴリズムを記憶しておくことによって、実行すべき最適なアルゴリズムを選択し、実行することが可能である。つまり、多種多様な生体センサを併用しなくとも、生体センサの装着位置や測定の目的に応じて、多様な生体測定機能を実現し、測定の目的に適った測定結果情報を導出することができる。つまり、生体監視装置は、属性情報に応じて、適切なアルゴリズムを選択して、生体の状態を判定することができる。結果として、生体の状態について判定の精度を向上させることができる上、単なる正常/異常の二値ではなく、症状の重症度や、病名などの多様な内容を含む測定結果情報を出力することが可能となる。
【0039】
上記生体測定手段は、上記生体信号情報に加えて、情報供給装置から供給、または、自装置に直接入力された外部取得情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出することが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、生体測定手段は、生体の状態を測定する際に、生体から得られる生体信号情報に加えて、測定対象の生体以外から得られる外部取得情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出することができる。
【0041】
これにより、生体をとりまく環境や、生体自体の元々の性質等を考慮して、現在の生体の状態を測定することができるので、測定精度を向上させることが可能となる。
【0042】
外部取得情報とは、例えば、気温、湿度、生体の年齢、性別などであり、生体の生理状態を反映した上記生体信号情報以外のあらゆる情報が想定される。
【0043】
本発明の生体監視方法は、上記課題を解決するために、生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定ステップと、上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御ステップとを含み、上記出力制御ステップでは、上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴としている。
【0044】
上記方法によれば、生体の状況を見守り、生体の状況に応じて、把握された測定結果を報知させるときの情報出力部の報知動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0045】
なお、上記生体監視装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記生体監視装置をコンピュータにて実現させる生体監視装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0046】
本発明の生体監視装置は、上記課題を解決するために、生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定手段と、上記生体測定手段によって導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御手段とを備え、上記出力制御手段は、上記生体測定手段によって導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴としている。
【0047】
本発明の生体監視方法は、上記課題を解決するために、生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定ステップと、上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御ステップとを含み、上記出力制御ステップでは、上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴としている。
【0048】
したがって、測定された生体の状態に応じて、測定結果の報知動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態における生体監視装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における生体監視システムの構成を示す概略図である。
【図3】生体監視装置の測定方法記憶部に記憶される、属性情報と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの具体例を示す図である。
【図4】測定方法記憶部に記憶される、状態測定アルゴリズムの具体例を示す図である。
【図5】測定方法記憶部に記憶される、状態測定アルゴリズムの具体例を示す図である。
【図6】測定方法記憶部に記憶される、属性情報と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの他の具体例を示す図である。
【図7】測定方法記憶部に記憶される、属性情報と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの他の具体例を示す図である。
【図8】(a)および(b)は、正常心音である場合の、音センサから採取された音データの波形を示す図である。
【図9】(a)および(b)は、異常心音である場合の、音センサから採取された音データの波形を示す図である。
【図10】実施形態1における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図11】実施形態1における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【図12】実施形態2における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図13】実施形態2における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態における生体監視装置の要部構成を示す図である。
【図15】生体監視装置の状態測定部が生体の状態を総合判定するための条件テーブルを示す。
【図16】実施形態3における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図17】実施形態3における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【図18】実施形態4における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図19】実施形態4における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【図20】実施形態5における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図21A】実施形態5における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を部分的に示す図である。
【図21B】上記出力内容決定テーブルの一部を示す図である。
【図22】実施形態6における生体監視装置の状態測定部が選手の状態を総合判定するための条件テーブルを示す。
【図23】実施形態6における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図24A】実施形態6における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を部分的に示す図である。
【図24B】上記出力内容決定テーブルの一部を示す図である。
【図24C】上記出力内容決定テーブルの一部を示す図である。
【図25】実施形態7における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図26A】実施形態7における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を部分的に示す図である。
【図26B】上記出力内容決定テーブルの一部を示す図である。
【図26C】上記出力内容決定テーブルの一部を示す図である。
【図27】実施形態7における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力動作変更テーブルの一例を示す図である。
【図28】実施形態8における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【図29】実施形態8における生体監視装置の出力方法記憶部に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【図30】実施形態1における生体監視装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
≪実施形態1≫
本発明の実施形態1について、図1〜図11に基づいて説明すると以下のとおりである。
【0051】
本発明の生体監視装置は、生体の状態を測定して得られた測定結果情報を用いて生体を監視する。測定結果情報は、上記生体監視装置が、生体の状態をセンシングする生体センサから生体信号情報を取得し、そこから得られる生体パラメータを用いて生体の様々な状態、症状、程度などを測定することにより得られるものである。
【0052】
本実施形態では、本発明の生体監視装置は、生体の一例として、人間(以下、被験者と称する)の状態を見守り対象とする。つまり、上記生体監視装置は、生体の一例としての人間(被験者)の状態をセンシングし、該被験者の状態を測定する。なお、本発明の生体監視装置は、人間以外の動物(例えば犬など)を見守り対象とし、動物の生体信号情報を取得して、動物の状態を測定し、監視することも可能である。
【0053】
また、本実施形態では、本発明の生体監視装置を、可搬性、携帯性にすぐれた小型の情報処理装置にて実現する場合について説明する。この場合、上記生体監視装置は、上記生体センサを内蔵していてもよい。また、上記生体監視装置は、内蔵の生体センサに加えて、あるいは、代えて、自装置とは別体の生体センサと通信してもよい。よって、本実施形態では、生体センサが取得した生体信号情報は、無線または有線の適宜の通信手段を介して生体監視装置に供給される。しかし、これに限らず、本発明の生体測定装置は、パソコンなどの据え置き型の情報処理装置にて実現してもよい。
【0054】
〔生体監視システム〕
図2は、本発明の実施形態における生体監視システム100の構成を示す概略図である。本発明の生体監視システム100は、少なくとも、1以上の生体センサ(図示する2a、2b、3〜5などの生体センサ)と、生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。図2に示すとおり、さらに、生体監視システム100には、情報供給装置120が含まれていてもよい。
【0055】
生体センサは、被験者(生体)Hに装着されて、被験者の状態をセンシングし、検出した生体信号情報d1を生体監視装置1に供給するものである。生体センサは、少なくとも一つあればよいが、図2に示すように、複数設けられていてもかまわない。図2に示す例では、生体センサとしては、被験者が発する音を検出する音センサ2(音センサ2a、2b)と、被験者の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)を測定するパルスオキシメータ3と、被験者の脈波を検出する脈波センサ4と、被験者の体温を測定する体温計5とが設けられている。さらに、生体監視装置1は、被験者の体の動き(体動)を検出する加速度センサ6を、生体センサとして備えていてもよい。
【0056】
各種センサは、検出した生体信号情報(音、SpO、脈波、体温、加速度などのデータ)d1を生体監視装置1に対して送信する。
【0057】
例えば、音センサ2a、2bは、被験者の体に装着され、当該被験者が発する音を検出する密着型のマイクロフォンである。音センサ2の表面には粘着剤層が設けられており、この粘着剤層によって音センサ2が被験者の体表面に装着される。音センサ2の装着位置は、目的の音が効果的に拾える箇所であればよく、例えば、被験者の呼吸音、咳音などを検出する目的では、音センサ2は、気道、胸のあたりに装着され、被験者の心音、心拍数などを検出する目的では、胸部左(被験者から見て)に装着され、被験者の腹腔音を検出する目的では、腹部に装着される。
【0058】
音センサ2aは、検出した呼吸音の音データを生体信号情報として生体監視装置1に送信する。音センサ2bは、検出した心音の音データを生体信号情報として生体監視装置1に送信する。
【0059】
パルスオキシメータ3は、赤色光、赤外光をそれぞれ出射するLEDを備え、これらのLEDからの出射光が被験者の指先を透過した結果生じる透過光の光量に基づいて、動脈血中酸素飽和度を計測する。さらに、脈拍数を計測してもよい。パルスオキシメータ3は、計測したSpOと計測時間とを対応付けた測定データを生体信号情報として生体監視装置1に送信する。
【0060】
なお、被験者に装着される生体センサの種類は、上述の例に限定されず、生体の体内、体外に出現する生理状態を検出できさえすれば、あらゆる種類の生体センサを本発明の生体監視システム100に採用することができる。
【0061】
本実施形態では、各生体センサは、無線通信部を備えており、生体監視装置1、あるいは、他の生体センサ)と無線通信することができる。無線通信手段としては、Bluetooth(登録商標)通信、WiFi通信などの近距離無線通信手段を採用し、各種の装置と直接近距離無線通信を行うことが想定される。上記無線通信部は、生体センサが採取した生体信号情報を生体監視装置1に送信したり、生体監視装置1から送信された制御データを受信したりする。制御データは、生体監視装置1が、測定の開始や終了、測定条件の設定などを、各生体センサに対して遠隔制御するための情報である。
【0062】
なお、各生体センサと生体監視装置1とがケーブルを介して有線接続されていてもよく、この場合、生体センサは、無線通信部の代わりに、ケーブルを介して有線通信を行う有線通信部を備え、この有線通信部が、ケーブルを介して、生体監視装置1などとの間で、各種情報の送受信を実行する。
【0063】
生体監視装置1は、上記生体センサから取得した生体信号情報に基づいて、被験者の状態を測定し、測定された被験者の状態に応じて必要な動作を実行するものである。すなわち、生体監視装置1は、被験者の状態を測定する生体測定機能と、測定結果に応じて必要な動作を実行する生体監視機能とを有している。
【0064】
生体監視装置1は、各生体センタから取得した生体信号情報d1に基づいて、1または複数の、被験者に係る様々な情報(生体パラメータ)を抽出する。そして、抽出した生体パラメータを、各種アルゴリズムに基づいて処理することにより、測定結果情報d2を導出することができる。測定結果情報d2は、生体監視装置1から情報出力装置110へ供給される。さらに、生体センサから得られた生体信号情報d1そのものが情報出力装置110に対して供給されてもよい。
【0065】
本発明の生体監視装置1は、生体パラメータを処理する方法として、幾通りものアルゴリズムを記憶している。この幾通りものアルゴリズムは、生体センサに関する属性情報ごとに用意されている。属性情報とは、以下に限定する意図はないが、例えば、(1)生体センサが被験者の体のどこに装着されているか(以下、属性情報名は「装着位置」)、(2)生体センサで被験者の体のどの部位を測定したいのか、すなわち、大まかな測定の目的(以下、属性情報名は「測定部位」)、および、(3)生体センサで被験者のどのような状態(具体的な症状、病状)を測定したいのか、すなわち、詳細な測定の目的(以下、属性情報名は「測定項目」)などである。
【0066】
したがって、生体監視装置1は、用いる生体センサの種類が少なくても(例えば、音センサ1種類で固定されていても)、生体センサの属性情報(装着位置、測定部位、測定項目)に応じて、幾通りものアルゴリズムを記憶しておくことによって、実行すべき最適なアルゴリズムを選択し、実行することが可能である。つまり、多種多様な生体センサを併用しなくとも、生体センサの装着位置や測定の目的に応じて、多様な生体測定機能を実現し、測定の目的に適った測定結果情報を導出することができる。つまり、生体監視装置1は、属性情報に応じて、適切なアルゴリズムを選択して、生体パラメータを分析することができる。結果として、被験者の状態について判定の精度を向上させることができる上、単なる正常/異常の二値ではなくて、症状の重度や、病名などの多様な内容を含む測定結果情報を出力することが可能となる。
【0067】
生体監視装置1において、上記属性情報がどのようにして決定されるのかについては、以下で詳しく説明するが、例えば、情報供給装置120から、ユーザが指定する属性情報d3が生体監視装置1に供給されるという形態が想定される。あるいは、生体監視装置1の入力操作部を介してユーザが直接属性情報を入力する構成であってもよい。
【0068】
なお、本実施形態では、生体監視装置1は、生体測定機能を実行するにあたり、生体パラメータを含め、被験者に関する様々なパラメータを用いる。例えば、生体監視装置1は、測定結果の精度を向上させるために、生体センサ以外の装置(情報供給装置120)から取得した外部取得情報d4、および、生体監視装置1に直接入力された外部取得情報からパラメータを抽出して利用することができる。
【0069】
ここで、各種生体センサから得られる生体信号情報から得られるパラメータを「生体パラメータ」、また、上記外部取得情報から得られるパラメータを「外的パラメータ」と称し、これらの用語は、両者を性質上区別する必要がある場合に用いる。
【0070】
生体パラメータは、被験者の生理状態を反映したものである。生体パラメータは、以下の具体例に限定されないが、例えば、音センサ2が検出した音データ(生体信号情報d1)から取得される「音量」、「周波数分布」などが想定される。さらに、波形がパターン化される場合に、波形のパターンを分析することにより、波形の「間隔」、「周期」、「有無」、「長短」、「回数」などが、生体パラメータとして抽出されてもよい。また、パルスオキシメータ3から得られる「SpO」、脈波センサ4が検出した脈波から得られる「脈拍数」、体温計5から得られる「体温」なども生体パラメータとして抽出される。
【0071】
外的パラメータは、上記生体パラメータが被験者の生理状態を反映したものであるのに対し、被験者の体外の環境条件を反映したものである。外的パラメータの具体例としては、例えば、生体センサの仕様情報(バージョン情報、どういった情報を検出できる機能を持つのか、など)、上記生体センサの装着位置(胸部、腹部、背中、気道付近など)、上記被験者に関する被験者情報(年齢、性別、睡眠時間、直前の食事時間、運動量、過去の疾患履歴など)、および、上記被験者が置かれた測定環境(気温、気圧、湿度など)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0072】
生体監視装置1は、上記生体パラメータに、上記外的パラメータを適切に組み合わせて測定結果情報を導出することにより、測定の目的に適ったさらに精度よい判定を実現することが可能となる。
【0073】
生体監視装置1は、生体測定機能を実施して、生体信号情報を処理し、測定結果情報を導出すると、その測定結果情報を用いて、生体監視機能を実施し、被験者の状態に応じた適切な動作を実行する。本発明の生体監視装置1は、特に、被験者の状態を情報出力装置110に出力する際の出力動作が適切に実行されるように必要な制御を行う。
【0074】
情報出力装置110は、生体監視装置1が情報を出力する出力先の装置である。本実施形態の生体監視システム100において、情報出力装置110は、生体監視装置1から出力される生体信号情報d1または測定結果情報d2を受信して、その情報を自装置から出力することができる機能を有してさえいれば、どのような装置であってもよい。例えば、情報出力装置110は、ノートパソコン111、携帯電話機112、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置113、スピーカ114、電話機115、モニタ装置116、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置117などで実現される。しかし、情報出力装置110として適用される装置は上述の例に限定されない。
【0075】
情報供給装置120は、生体監視装置1に対して情報を供給する供給元の装置である。本実施形態の生体監視システム100において、情報供給装置120は、属性情報d3または外部取得情報d4を、記憶したり、ユーザ入力を受け付けることによって取得したりして、これらの情報を生体監視装置1に対して送信することができればどのような装置であってもよい。例えば、情報供給装置120は、サーバ装置121、ノートパソコン111、携帯電話機112、携帯端末装置113などで実現される。しかし、情報供給装置120として適用される装置は上述の例に限定されない。
【0076】
なお、上述のノートパソコン111、携帯電話機112、および、携帯端末装置113などのように、1台の装置が、情報出力装置110および情報供給装置120の両方として機能してもよい。
【0077】
次に、上述した生体監視装置1の構成についてさらに詳細に説明する。まず、生体測定機能を実現するための生体監視装置1の構成について説明し、後に、生体監視機能を実現するための生体監視装置1に構成について説明する。
【0078】
〔生体監視装置1の構成(生体測定機能)〕
図1は、本発明の実施形態における生体監視装置1の要部構成を示すブロック図である。
【0079】
図1に示すとおり、本実施形態における生体監視装置1は、制御部10、記憶部11、センサ通信部12、入力操作部13、通信部14および出力部15を備える構成となっている。また、生体監視装置1は、上述の各部の回路に電力を供給する図示しない電力供給部を有する。上述したとおり、生体監視装置1は、さらに、加速度センサ6を備えていてもよい。
【0080】
センサ通信部12は、生体監視装置1と別体で設けられた各種生体センサ(音センサ2、パルスオキシメータ3、脈波センサ4および体温計5など)と通信するものである。本実施形態では、一例として、センサ通信部12は、無線通信手段にて実現される。無線通信手段としては、Bluetooth(登録商標)通信、WiFi通信などの近距離無線通信手段を採用し、各生体センタと生体監視装置1とが直接近距離無線通信を行うことが想定される。また、身体周辺に限定したエリアネットワークを構築し、これを介して生体監視装置1と生体センサとが無線通信を行ってもよい。
【0081】
なお、生体監視装置1のセンサ通信部12は、有線通信手段によって生体センサとの通信を実現してもよい。ただし、生体センサと生体監視装置1との通信を無線で実現することが好ましい。無線通信にすることで、生体センサの被験者への装着が平易になり、測定環境下における被験者の行動に対する制約が減り、被験者のストレスや負担を低減できるからである。
【0082】
入力操作部13は、ユーザ(被験者自身あるいは測定を行う操作者を含む)が生体監視装置1に指示信号を入力するためのものである。生体監視装置1が、図2に示すように小型の情報処理装置にて実現される場合には、入力操作部13は、数個のボタン(十字キー、決定キー、文字入力キーなど)、タッチパネル、タッチセンサ、もしくは、音声入力部と音声認識部などの適宜の入力装置で構成される。なお、生体監視装置1が据え置き型の情報処理装置にて実現される場合には、入力操作部13としては、上述の入力装置の他に、複数のボタン(十字キー、決定キー、文字入力キーなど)で構成されるキーボード、マウスなどの入力装置が採用されてもよい。本実施形態では、ユーザは、入力操作部13を用いて、測定の開始や終了の指示を入力したり、生体センサの装着位置、測定部位、測定項目などの属性情報を選択したりすることができる。さらに、ユーザは、入力操作部13を用いて、測定に必要な情報を生体監視装置1に直接入力してもよい。例えば、被験者の年齢、性別、平均睡眠時間、測定日当日の睡眠時間、直近の食事時間、食事内容、運動量などの外部パラメータが生体監視装置1に入力される。
【0083】
通信部14は、情報出力装置110、情報供給装置120などの外部の装置と通信するものである。本実施形態では、例えば、通信部14は、無線アクセスポイントおよび広域通信網を介して外部の装置と通信を行う。例えば、生体監視装置1は、生体の状態測定に利用する外的パラメータを得るための外部取得情報を、通信部14を介して、情報供給装置120から受信してもよい。ここで、通信部14が取得する外部取得情報としては、特定の日、特定の地域の天気、気温、気圧、湿度や、利用する各生体センサの仕様情報などが想定される。例えば、仕様情報を参照することにより、生体監視装置1は、どの測定項目に応じてどの生体センサからの生体パラメータを利用するべきかを判断したり、あるいは、複数の生体センサを同時に利用するときの組み合わせの条件や、禁忌を把握したりすることができる。あるいは、通信部14は、属性情報の指定を、情報供給装置120から受け付けてもよい。なお、通信部14は、無線通信手段、および、有線通信手段のいずれの手段で採用されてもよく、生体監視システム100の実施の形態に合わせて最適な手段が適宜採用される。本実施形態では、被験者の行動範囲に制約を与えない点や、生体監視システム100の設計の自由度などにおいて有利な無線通信手段を採用する。
【0084】
出力部15は、生体監視装置1が実行した生体測定の測定結果情報を外部に出力するものである。出力方法としては、出力部15が、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で構成される場合には、文字、記号、図形、絵柄、静止画、動画などを表示して測定結果情報をユーザに提供することができる。あるいは、出力部15が、スピーカなどの音声出力装置で構成される場合には、音声、効果音、音楽などを再生して測定結果情報をユーザに提供することができる。あるいは、出力部15が、LEDなどの発光装置で構成される場合には、発光色、発光パターン(点灯、消灯、点滅)などを変化させることにより、測定結果情報をユーザに提供することができる。
【0085】
制御部10は、生体監視装置1が備える各部を統括制御するものであり、機能ブロックとして、属性情報決定部21、アルゴリズム選択部22および状態測定部23を備えている。これらの機能ブロック全体が、生体監視装置1の生体測定機能を実現するための生体測定部20として機能する。生体監視装置1が有する生体監視機能に対応する出力動作制御部30およびその各機能ブロックについては後に詳述する。
【0086】
制御部10に示された上述の各機能ブロックは、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部11)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
【0087】
記憶部11は、制御部10が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)制御部10が、生体監視装置1が有する各機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。特に、記憶部11は、生体監視装置1が実行する測定処理を実行する際に読み出す各種プログラム、データを記憶する。具体的には、記憶部11には、少なくとも測定方法記憶部40が含まれる。
【0088】
なお、生体監視装置1は、図示しない一時記憶部を備える。一時記憶部は、生体監視装置1が実行する各種処理の過程で、演算に使用するデータおよび演算結果等を一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリであり、RAMなどで構成される。
【0089】
属性情報決定部21は、生体の状態測定において用いられる生体センサの属性情報を決定するものである。本実施形態では、属性情報の入力画面を、情報供給装置120の表示部に表示して、ユーザに選択させる構成が考えられる。属性情報決定部21は、通信部14を介して、ユーザによって選択された属性情報を情報供給装置120から受信し、受信した内容に基づいて、ユーザによって指定された装着位置および測定部位(および測定項目)を決定する。ユーザは、入力操作部13を用いて属性情報を直接生体監視装置1に入力してもよい。
【0090】
ユーザは、例えば、情報供給装置120のマウスを操作して、表示された装着位置のうち、所望の装着位置をクリックすることにより、各生体センサの装着位置を指定することができる。このように装着位置が指定されると、属性情報決定部21は、ユーザによってクリックされた位置に対応する装着位置(例えば、「正面−胸−左上」)を、属性情報「装着位置」として決定する。なお、属性情報決定部21は、想定されるすべての装着位置を候補としてリストにして表示し、ユーザに選択させてもよい。同様に、属性情報決定部21は、ユーザによって選択された選択肢を、属性情報「測定部位」、「測定項目」として決定することができる。具体的には、ユーザは、測定の目的について、漠然と「心音」「呼吸音」「血流音」「腹腔音」「胎児心音」・・・のように、測定部位を選択することもできれば、さらに詳細に具体的な疾患名(測定項目)を選択することもできる。
【0091】
属性情報決定部21は、上述のとおり決定した属性情報をアルゴリズム選択部22に伝達する。
【0092】
アルゴリズム選択部22は、属性情報決定部21によって決定された属性情報に応じて、生体監視装置1の状態測定部23が実行すべきアルゴリズムを、複数通りある中から選択するものである。測定方法記憶部40には、生体の状態を測定するための処理について、幾通りものアルゴリズムが属性情報に対応付けて記憶されている。アルゴリズム選択部22は、測定方法記憶部40を参照し、決定された属性情報に基づいて、状態測定部23が実行すべきアルゴリズムを選択する。
【0093】
状態測定部23は、生体センサから得られた生体信号情報を分析して生体パラメータを抽出し、抽出した生体パラメータを処理した演算結果に基づいて生体の状態を測定するものである。状態測定部23は、この一連の処理を、アルゴリズム選択部22が選択したアルゴリズムに従って実行する。このアルゴリズムの実行によって導出された測定結果情報は、状態測定部23から出力動作制御部30へと伝達される。
【0094】
〔状態測定処理の具体例〕
次に、生体測定部20の各部が実行する状態測定処理について、状態測定アルゴリズムの具体例に基づいて、より詳細に説明する。
【0095】
(具体例1)
本具体例は、指定された「測定項目」に応じて適切なアルゴリズムが選択されることにより、多種多様な測定項目に適った精度の良い状態測定が実現される例である。
【0096】
図3は、測定方法記憶部40に記憶される、属性情報と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの具体例を示す図である。
【0097】
図3に示すとおり、生体監視装置1が実施できる測定内容を表した、属性情報「測定項目」ごとに、状態測定アルゴリズムが対応付けて記憶されている。
【0098】
上記データ構造によれば、「測定項目」が定まれば、その測定を実施するために最適な状態測定アルゴリズムが特定される。例えば、ユーザが「測定項目:無呼吸度」を指定した場合には、属性情報決定部21が、測定項目を「無呼吸度」と決定する。そして、アルゴリズム選択部22は、図3に示す対応テーブルを参照し、決定された「測定項目:無呼吸度」に対応する「無呼吸度算出アルゴリズム」を選択する。
【0099】
さらに、図3に示すとおり、各測定項目に対し、生体センサをどこに装着すべきかを示す、属性情報「装着位置」が対応付けて記憶されていてもよい。上記データ構造によれば、「測定項目」が定まることによって、属性情報決定部21は、さらに、該「測定項目」に対応する、生体センサの「装着位置」を決定することが可能となる。属性情報決定部21が決定した「装着位置」の情報は、生体センサを装着すべき推奨位置として、ユーザに提示されてもよい。
【0100】
図4の(a)〜(e)は、「測定項目:無呼吸度」に対応する状態測定アルゴリズム(無呼吸度算出アルゴリズム)の具体例を示す図である。なお、同図に示す例では、状態測定アルゴリズムをテーブル形式にて表すが、これは一例であって、本発明を限定する意図はない。
【0101】
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時、一定以上頻繁に、無呼吸または低呼吸の状態に陥る症状のことである。無呼吸の状態と判断する目安としては、口、鼻の気流が10秒以上停止すること、低呼吸の状態と判断する目安としては、10秒以上換気量が50%以上低下することであると考えられる。
【0102】
このような無呼吸、低呼吸の状態を検出するためには、脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ、口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる呼吸パターン、パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)を分析することが考えられる。
【0103】
そこで、本実施形態では、無呼吸度の判定材料として、呼吸の有無(10秒以上呼吸が止まる回数)、呼吸音の音量、呼吸の長短(呼気と吸気の時間的長さ)、単位時間あたりの呼吸数、SpOのパラメータを用いることとした。本実施形態における「無呼吸度」は、値が高いほど、睡眠時無呼吸症候群である可能性が高いことを示す。なお、無呼吸度の判定に用いるパラメータの例は、一例であり、上述した例に限定されるものではない。例えば、さらに、脈拍数のパラメータを用いてもよい。
【0104】
図4の(a)に示すテーブルのうち、フィールド名「パラメータ」には、「測定項目:無呼吸度」を測定するために用いるパラメータを指定する情報が格納されている。また、フィールド名「パラメータ種別」には、そのパラメータが、当該測定において、必須のパラメータ(必須パラメータ)であるのか、精度向上を目的とする補助的なパラメータ(補助パラメータ)であるのかを指定する情報が格納されている。また、フィールド名「センサ」には、その生体パラメータをどの生体センサの生体信号情報から抽出すればよいのかを示す情報が格納されている。
【0105】
すなわち、無呼吸度算出アルゴリズムが選択された場合、状態測定部23は、図4の(a)に示すテーブルにしたがって、波形(呼吸)有無、(呼吸)音量、波形(呼吸)長短、波形(呼吸)数のパラメータを必須パラメータとして利用すべきであり、任意でSpOおよび心拍数の補助パラメータを使用してもよいということを認識する。
【0106】
そして、状態測定部23は、音センサ2aによって気道付近から集音された呼吸音のデータから、上記必須パラメータを抽出し、パルスオキシメータ3および脈波センサ4のそれぞれから出力された生体信号情報から、上記補助パラメータをそれぞれ抽出する。
【0107】
図4の(a)に示すテーブルのうち、「IF値」のフィールドには、抽出されたそれぞれのパラメータごとに、3つの条件が格納されている。そして、これらの3つの条件は、それぞれ、「THEN値」、すなわち、正常値、要注意値、異常値の3段階に対応付けられている。これにより、パラメータがどのような値を有しているのかに応じて、各パラメータに対して、正常値、要注意値、異常値の3段階評価を出力することができる。
【0108】
例えば、状態測定部23は、音センサ2aの音データを分析して、単位時間あたりの呼吸回数が「7回」というパラメータを抽出した場合には、「パラメータ:波形(呼吸)数」については、「要注意」との評価を出力する。
【0109】
図4の(b)に示すテーブルは、3段階評価されたパラメータに対し、評価に応じたスコアを付与するためのスコア情報を示すものである。該テーブルに示すスコア情報にしたがって、状態測定部23は、必須パラメータについては、「正常」と評価されたパラメータに0、「要注意」と評価されたパラメータに1、「異常」と評価されたパラメータに2のスコアを付与する。すなわち、本実施形態では、必須パラメータについて無呼吸に関する異常項目が多ければ多いほどスコアの合計が高くなる。補助パラメータについては、「正常」、「要注意」、「異常」のパラメータに対し、それぞれ、0、0、1のスコアを付与する。
【0110】
さらに、状態測定アルゴリズムは、図4の(c)に示すテーブルを含んでいてもよい。図4の(c)に示すテーブルは、パラメータごとに求められたスコアに対して付与する重み付け情報を示すものである。重み付けは、パラメータごとに対応付けて記憶される。重み付けの数値が大きいということは、そのパラメータが、当該指標を算出する上でより重要な、影響の大きい情報であるということを示す。
【0111】
図4の(c)に示す例では、無呼吸度を算出する上で、「10秒以上呼吸が停止する回数」を示す波形(呼吸)有無が、最も考慮されるべき重要な情報であるので、重み付けが「4」と定められている。状態測定部23は、すべてのパラメータについて求められたスコアについて、「スコア×重み付け値=最終スコア」を求める。
【0112】
図4の(d)に示すとおり、無呼吸度算出アルゴリズムには、各パラメータのスコアに基づいて、指標「無呼吸度」を算出するための算出式が含まれている。図4の(d)の算出式は一例であって、本発明を限定する意図はない。図4の(d)に示す算出式にしたがって、状態測定部23は、各パラメータの最終スコアを合計して、無呼吸度を算出する。
【0113】
さらに、図4の(e)に示すとおり、無呼吸度算出アルゴリズムには、指標「無呼吸度」に関して、被験者の状態を判定するための判定基準情報が記憶されている。
【0114】
図4の(e)に示すとおり、判定基準情報のテーブルにおいて、算出された無呼吸度の値に応じて、判定すべき状態判定結果が対応付けられている。状態測定部23は、図4の(e)に示す判定基準情報にしたがって、被験者の無呼吸に係る状態を判定する。例えば、無呼吸度が「3」と算出された場合には、状態測定部23は、当該被験者の無呼吸に係る状態は、「正常」であると判定する。
【0115】
なお、判定基準情報のテーブルには、この状態判定結果を表示する方法を規定する情報が対応付けられていてもよい。図4の(e)に示す例では、例えば、状態判定結果「正常」には、表示「緑」が対応付けられている。これは、状態判定結果を緑色の文字で表示したり、緑色のランプ(発光装置117)に出力したりすることを意味する。このように、状態判定結果が色分けして出力されることにより、ユーザは、より直感的に状態判定結果を理解することができる。
【0116】
図5の(a)〜(e)は、「測定項目:心臓モニタリング」に対応する状態測定アルゴリズム(心臓活動度算出アルゴリズム)の具体例を示す図である。本実施形態における「心臓活動度」は、値が高いほど、心臓の活動が不安定で、異常であることを示す。図5の(a)〜(e)の各種情報に基づいて、状態測定部23が実施する、心臓活動度の算出手順、および、状態判定手順は、図4の(a)〜(e)に基づく手順と比較して、使用するパラメータや閾値が異なる以外は同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。
【0117】
上記構造によれば、生体監視装置1は、属性情報「測定項目」が決定されたときに、その測定に必要なパラメータを把握し、どの生体センサから生体情報信号を取得するべきかを認識することができる。また、当該測定に最適な状態測定アルゴリズムを「測定項目」に応じて選択し、状態測定を実施するので、導出される測定結果情報の精度の向上が期待できる。
【0118】
(具体例2)
本具体例は、「装着位置」、「測定部位」および「測定項目」ごとに、最適なアルゴリズムがきめ細かく用意されている例である。ここでは、指定された「装着位置」、「測定部位」および「測定項目」に応じて、多数のアルゴリズムの中からその測定に最適なアルゴリズムが選択されるので、そのアルゴリズムを用いて状態測定が実施されると、測定の精度を格段に向上させることが可能となる。
【0119】
図6は、測定方法記憶部40に記憶される、属性情報(装着位置および測定部位)と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの具体例を示す図である。図7は、測定方法記憶部40に記憶される、属性情報(測定項目)と状態測定アルゴリズムとの対応関係を示す対応テーブルの具体例を示す図である。図6および図7に示す例では、対応関係を示す情報は、対応テーブルとしてテーブル形式にて保持されているが、対応関係が維持されてさえいれば、どのようなデータ構造でもかまわない。
【0120】
図6に示す対応テーブルでは、「装着位置」かつ「測定部位」ごとにアルゴリズムのセットが対応付けられている。図6に示す例では、一例として、装着位置のバリエーションは27個、測定部位のバリエーションは5個であるので、27×5=135通りのアルゴリズムが予め用意されている。そして、上記135通りのアルゴリズムのセットごとに、図7に示す対応テーブルが対応付けられている。図7に示す対応テーブルでは、「測定項目」ごとに、状態測定アルゴリズムが、さらに細かく分類されて対応付けられている。
【0121】
アルゴリズム選択部22は、属性情報決定部21が決定された「装着位置」と「測定部位」とに基づいて、図6に示す対応テーブルからアルゴリズムセットを選択する。例えば、属性情報が、「装着位置:正面−胸−左上」および「測定部位:心音」と決定された場合、アルゴリズム選択部22は、図6に示す対応テーブルを参照し、A3のアルゴリズムセットを選択する。
【0122】
図7に示す対応テーブルは、選択されたA3のアルゴリズムセットを格納している。図7に示すとおり、A3の状態測定アルゴリズムは、さらに、「測定項目」ごとに幾通りか用意されている。そこで、アルゴリズム選択部22は、決定された「測定項目」に基づいて、対応する状態測定アルゴリズムを選択する。例えば、「測定項目」として「僧帽弁開放音(疾患名:僧帽弁閉鎖不全)」がユーザによって選択された場合、アルゴリズム選択部22は、図7の対応テーブルに格納されている、A3の状態測定アルゴリズムの中から、対応するA3−1のアルゴリズム、すなわち、僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムを選択する。ここで選択された僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムは、被験者の「正面−胸−左上」に装着された音センサから取得された「心音」の音データを分析して、被験者が「僧帽弁閉鎖不全」であるか否かを判定するのに最も適したアルゴリズムである。僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムは、例えば、生体パラメータを評価する評価関数「f1(x)」と、判定に用いる閾値「6」などを含んでいる。アルゴリズム選択部22は、選択したA3−1のアルゴリズムを状態測定部23に伝達する。
【0123】
上記構成によれば、同じ心音を評価するアルゴリズムA3であっても、状態測定アルゴリズムは、その心雑音の特性(測定項目、または、対象疾患)ごとにさらに細分化された、異なるアルゴリズムが設けられている。このため、状態測定部23は、1種類の音センサ2から取得される音データに基づいて、様々な疾患ごとに詳細な評価を行うことが可能であり、測定の精度を格段に向上させることが可能である。
【0124】
次に、図7に示すA3−1の僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムが選択された場合の、状態測定部23の測定の動作について図8および図9を参照しながら説明する。
【0125】
図8の(a)および(b)は、正常心音である場合の、音センサから採取された音データの波形を示す図である。より詳細には、図8の(a)は、10秒間の波形を示し、図8の(b)は、このうち、相対経過時間が4秒から5秒までの間の1秒間の波形を拡大したものを示す。図中の(1)は、心音のI音の波形を示し、(2)は、II音の波形を示す。
【0126】
図9の(a)および(b)は、異常心音である場合の、音センサから採取された音データの波形を示す図である。より詳細には、図9の(a)は、10秒間の波形を示し、図9の(b)は、このうち、相対経過時間が4秒から5秒までの間の1秒間の波形を拡大したものを示す。図中の(1)は、心音のI音の波形を示し、(2)は、II音の波形を示す。
【0127】
図9に示す音データの波形は、図8に示す正常心音の波形と比べて、I音とII音との間に比較的大きな、雑音のような信号音Nが存在している。結論から述べると、図9に示す波形は、異常心音の典型例の一つであり、具体的には、僧帽弁閉鎖不全の(心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁の閉鎖が不完全である)被験者の心音波形の例を示している。
【0128】
ここで、アルゴリズム選択部22によって選択される状態測定アルゴリズムは、上述したとおり、A3−1の僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムである。この僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムは、評価関数「f1(x)」および閾値「6」を含む。
【0129】
そこで、状態測定部23は、選択された状態測定アルゴリズムに含まれる、次式
【0130】
【数1】

【0131】
(以下、式1)として示される、関数f1(x)を計算する。
【0132】
具体的には、まず、状態測定部23は、図9の(b)に示すように、少なくとも心拍の1周期以上の音データを含む音データ列をA(x)とし、A(x)において、I音からII音の時間間隔Tに対し、その前後25%ずつを取り除いた区間Δtを求める。そして、状態測定部23は、この区間Δtの音データ列A(x)の信号電力を、上記式1を用いて計算する。上記式1にしたがって、図9に示す音データについて、f1(x)を求めると、12.6となる。
【0133】
上記状態測定アルゴリズムには、f1(x)の値が閾値6以上の場合に、僧帽弁閉鎖不全の異常ありと判定し、閾値6未満の場合に、異常なしと判定する判定条件が含まれている。
【0134】
したがって、状態測定部23は、上記で求めたf1(x)=12.6を、閾値6と比較して、f1(x)≧6であると判断する。この判断に基づいて、状態測定部23は、図9に示す音データを採取した被験者の状態が「心音異常、特に、僧帽弁閉鎖不全の疑いあり」の状態であると測定する。状態測定部23が導出した測定結果情報は、出力動作制御部30に供給される。そして、出力動作制御部30の制御下で、測定結果情報が自装置の出力部15に出力されたり、情報出力装置110に送信されたりした後に、ユーザに提示される。
【0135】
上述の評価関数および閾値は、状態測定アルゴリズム、特に、僧帽弁閉鎖不全評価アルゴリズムのほんの一例である。状態測定アルゴリズムは、これに限定されず、目的の疾患、あるいは、症状を検出するためのあらゆる数式、値を含むものである。これらの状態測定アルゴリズムは、医学的な知識、経験から適宜定められる。
【0136】
上記構造によれば、生体監視装置1は、測定の開始指示とともに属性情報が指定されると、指定された属性情報に最も適したアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムにそって、生体センサから生体情報信号を処理し、測定結果情報を導出することができる。
【0137】
したがって、生体センサの種類が限られていても、測定方法について多数のバリエーションを持ち、属性情報に応じて最適な方法で測定が実施される。よって、導出される測定結果情報の精度の向上が期待できる。
【0138】
(具体例3)
上述の具体例2では、測定開始準備段階で、ユーザが、属性情報、すなわち、「装着位置」、「測定部位」および「測定項目」を指定することにより、属性情報決定部21が属性情報を決定する構成であった。具体例2の上記構成は、測定の目的(測定部位または測定項目)が明確であり、そのための測定方法(装着位置)について、ある程度の知識を有するユーザに対して、特に有効な構成であるといえる。
【0139】
本具体例では、ユーザから測定の目的について入力を受け付けた後に、生体監視装置1が、音センサ2の装着位置を特定し、測定の目的に応じて有効な装着位置を、ユーザに対して提示する構成を有する。したがって、本具体例の構成は、測定の目的は明確であるが、そのための測定方法(装着位置)について、知識を持たないユーザに対しても有効な構成であるといえる。
【0140】
本具体例では、生体監視装置1の測定方法記憶部40には、さらに、装着位置情報が記憶されている。装着位置情報とは、測定の目的(測定部位または測定項目)ごとに、最適な装着位置の情報が対応付けられた情報である。属性情報決定部21は、ユーザから測定の目的としての「測定部位」および「測定項目」の指定を受け付けると、測定方法記憶部40に記憶されている装着位置情報を参照し、指定された「測定部位」および「測定項目」に対応付けられた「装着位置」を特定して、これを、当該測定における生体センサの「装着位置」として決定する。
【0141】
決定された「装着位置」の情報は、出力部15を介してユーザに提示されることが好ましい。これにより、ユーザは、行いたい測定に際して、被験者の身体の適切な位置に生体センサを取り付けることが可能となる。
【0142】
こうして、最終的に決定された「装着位置」、「測定部位」および「測定項目」に基づいて、具体例2と同様にアルゴリズムが選択され、被験者の状態測定が実施される。
【0143】
上記構成によれば、ユーザは、測定したい対象音(測定部位)や疾患(測定項目)が明確であるが、そのための測定方法(装着位置)について、知識が十分でなくとも、有効な装着位置を生体監視装置1から通知してもらうことにより、測定を実施することが可能となる。さらに、生体監視装置1は、必須の装着位置や測定ガイダンスを表示することが好ましい。これによって、ユーザに対し、測定のための知識を補完することができるので、知識の乏しいユーザに対しても利便性の高い生体監視装置1を実現することが可能となる。
【0144】
(具体例4)
上述の具体例3では、測定開始準備段階で、ユーザが、属性情報として、「測定部位」および「測定項目」を指定することにより、「装着位置」の候補がある程度絞り込まれてユーザに選択させたり、一意に特定されたりすることにより、属性情報決定部21が属性情報を決定する構成であった。具体例3の上記構成は、測定の目的が明確であるが、測定方法について知識を持たないユーザに対して、特に有効な構成であるといえる。
【0145】
本具体例では、ユーザは、属性情報の入力を一切行わずに、まず、被験者に生体センサ(音センサ2)を装着する。本具体例では、所望する測定部位の周辺に適当に生体センサが装着されればよい。ここでは、装着された生体センサから取得される音データに基づいて、属性情報「装着位置」および「測定部位」を特定する構成について説明する。したがって、実施例4の構成は、大まかな測定の目的と大まかな装着位置は明確であるが、詳細については知識を持たないユーザに対して有効な構成であるといえる。また、属性情報を指定するという詳細な手動入力操作が不要となるので、測定開始準備段階のユーザ操作をさらに簡素化することができる。
【0146】
本具体例では、生体監視装置1の測定方法記憶部40には、さらに、音源データベースが格納されている。音源データベースには、属性情報「装着位置」ごとに、その装着位置に装着された音センサ2が採取する音データの標本が対応付けて格納されている。
【0147】
属性情報決定部21は、とりあえず被験者の身体の適当な位置に装着された音センサ2からの音データを、音源データベースに格納されている標本音データと比較し、最も類似する標本音データを特定して、それがどの装着位置の音源であるのかを特定することにより、当該測定における「装着位置」を決定する。
【0148】
併せて、属性情報決定部21は、被験者の音データを分析して、音データが被験者のどの「測定部位」の音を含んでいるのかを特定する。例えば、測定方法記憶部40には、属性情報「測定部位」ごとにあらかじめ標本の音データの周波数分布が記憶されている。属性情報決定部21は、取得された被験者の音データの周波数スペクトルと、あらかじめ保存されている標本の周波数スペクトルとを比較し、その周波数分布と最も合致する周波数スペクトルがどの部位の音データのものかを特定し、このときの部位を、当該測定における「測定部位」として決定する。
【0149】
こうして、最終的に決定された「装着位置」および「測定部位」に基づいて、アルゴリズムが選択され、被験者の状態測定が実施される。ここでは「測定項目」が特定されないが、この場合には、状態測定部23は、「装着位置」および「測定部位」に基づいて選択されたアルゴリズムのセットをすべて実施してもよい。あるいは、属性情報決定部21は、特定した「測定部位」の下位に属する「測定項目」を絞り込み、「測定項目」の候補をユーザに提示して選択させることにより「測定項目」を決定してもよい。例えば、属性情報決定部21は、「測定部位:心音」が特定された場合には、心音を診断することにより判定可能な疾患(心臓疾患など)に関する測定項目を候補として提示する。
【0150】
上記構成によれば、ユーザは、深い思慮無しに「とりあえず装着して測定できる」という利便性を享受することができる。また、1つの音センサを、複数の対象音や複数の疾患に関する測定に用いる場合、一般的には、疾患ごとに装着箇所についての多くの知識をユーザに要求しなければならないが、本発明によれば、採取した音データに基づいて、ユーザが測定対象としたい音源や疾患を推定し、候補を表示することができるため、ユーザの事前の知識を廃して、ユーザに対して利便性の高い生体監視装置1を実現することが可能となる。
【0151】
続いて、生体監視機能を実現する生体監視装置1の構成について説明する。本実施形態1では、本発明の生体監視システム100を、マラソン競技に参加する選手たちを監視するためのマラソン選手見守りシステムとして構築した場合を例に挙げて説明する。この具体例は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明の生体監視装置1および生体監視システム100の構成を限定する意図はない。
【0152】
〔マラソン選手見守りシステムの概要〕
本実施形態1におけるマラソン選手見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、マラソン競技に参加する多数の選手たちである。図2を参照して、本実施形態のマラソン選手見守りシステムは、選手Hそれぞれに装着される生体センサとしての音センサ2bと、同じく選手Hそれぞれが装備する生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0153】
図2に示すとおり、本実施形態では、音センサ2bは、選手Hの左胸あたりに装着され、選手Hの心音を取得し、心音の音データを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。
【0154】
生体監視装置1の生体測定部20は、音センサ2bから受信した生体信号情報d1を分析して選手Hの状態を測定し、生体監視装置1の出力動作制御部30は、生体測定部20によって導出された測定結果情報d2に応じて適切に出力動作を制御する。
【0155】
なお、本実施形態では、生体監視装置1は、図1に示す出力部15の一例として、青色LED、赤色LEDおよびスピーカを備えている。
【0156】
本実施形態では、情報出力装置110としては、競技場に設けられたマラソン大会を主催する大会本部に設置されているモニタ装置116と、スピーカ114とが含まれる。これらのモニタ装置116およびスピーカ114は、生体監視装置1との間で無線通信する機能を備えている。
【0157】
上述した出力部15および情報出力装置110のぞれぞれは、生体監視装置1の出力動作制御部30が実施する出力制御にしたがって、選手Hの状態に関して報知動作を実行する。
【0158】
ここで、本実施形態1における生体測定部20の動作を説明すると、まず、生体測定部20は、選手Hの左胸に装着された音センサ2bから心音の音データを取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を「運動時心拍数」と決定している。「測定項目:運動時心拍数」は、健康な人がマラソンなどの有酸素運動を行っている場合の平常な心拍数と比較して、被験者である選手Hの心拍数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。アルゴリズム選択部22は、上記「測定項目:運動時心拍数」に基づいて、選手Hの走行時心拍数の状態を測定するための最適なアルゴリズムを選択し、状態測定部23に引き渡す。状態測定部23は、選択されたアルゴリズムにしたがって選手Hの心拍数を検出して、選手Hの心拍数が、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上に高い状態であるのかを判定する。本実施形態では、前者の状態を、「状態A(=心拍数正常)」と称し、後者の状態を、「状態B(=心拍数異常)」と称する。状態測定部23は、「状態A」または「状態B」を示す測定結果情報d2を、出力動作制御部30に供給する。
【0159】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
次に、生体監視機能を実現する生体監視装置1の構成について図1を参照しながら説明する。生体監視機能とは、上述の構成および手順に基づいて、生体監視装置1の生体測定機能が導出した測定結果情報に応じて、該測定結果情報の出力動作を制御する機能であり、出力動作制御部30によって実行される。
【0160】
図1に示すとおり、制御部10は、さらに、機能ブロックとして、出力先選択部31、および、出力情報選択部32を少なくとも備えている。これらの機能ブロック全体が、生体監視装置1の生体監視機能を実現するための出力動作制御部30として機能する。
【0161】
出力先選択部31は、状態測定部23から出力された測定結果情報d2の内容に基づいて、その測定結果の出力先を選択するものである。本実施形態では、出力先として、生体監視装置1本体に備わっている青色LED、赤色LEDおよびスピーカと、大会本部に設置されているモニタ装置116およびスピーカ114とがある。出力先選択部31は、これらの出力先の中から測定結果を出力するべき相手を選択する。
【0162】
出力情報選択部32は、状態測定部23から出力された測定結果情報d2の内容に基づいて、出力先選択部31によって選択された出力先ごとに、出力するべき情報(以下出力情報)の内容を選択するものである。出力情報の中身は、測定結果情報d2そのもの、および、テキストまたは音声からなる警告メッセージなど、出力先装置の機能に応じてさまざまであるため、出力情報選択部32は、状態測定部23から出力された測定結果情報d2に応じて、出力先選択部31によって選択された出力先ごとに出力情報を選択する。
【0163】
記憶部11は、さらに、出力方法記憶部41を含む。出力方法記憶部41は、出力動作制御部30の各部が、出力動作を制御するために参照する意思決定テーブルを1または複数記憶する。本実施形態では、出力方法記憶部41には、少なくとも、出力先決定テーブルと、出力内容決定テーブルとが含まれる。出力先決定テーブルは、出力先選択部31が、測定結果情報d2に応じて情報の出力先を決定するための情報を記憶するものである。出力内容決定テーブルは、出力情報選択部32が、測定結果情報d2に応じて、出力先ごとに出力情報の内容を決定するための情報を記憶するものである。次に、図10および図11を参照しながら、上述の各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0164】
図10は、本実施形態1の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0165】
図10に示すとおり、出力先決定テーブルは、一例として、「出力先」ごと、かつ、状態測定部23が出力する「状態」ごとに特定されるセルに、当該出力先に出力情報を送信すべきか否かを示す情報が格納される構造になっている。
【0166】
上記「出力先」は、テーブルの第1カラムまたは第2カラムに示されているように、「出力先ID」(または「出力先名」)によって一意に識別することが可能である。測定結果情報d2としての「状態」は、テーブルの第1行「出力条件」によって一意に識別することが可能である。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、「状態A」および「状態B」とは、それぞれ、具体的にどのような状況を指すのかを参考までに示すものであり、したがって、「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0167】
図10に示す例では、「出力先ID」と「状態」とによって特定される各セルには、「出力動作コード」が格納されている。この「出力動作コード」が格納されていることが、対応する出力先に上記出力情報を送信すべきであることを示している。
【0168】
例えば、出力先選択部31は、状態測定部23が「状態A」を出力した場合、「状態A」のカラムにおいて、「出力動作コード」が格納されているセルに対応する「001:装置本体青色LED」と、「004:大会本部モニタ装置」とを、出力情報の出力先として選択する。
【0169】
ここで、「出力動作コード」とは、「出力先ID」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定するためのコードである。例えば、出力動作コード「A001」は、選手Hの状態が「状態A」である場合に、出力先「001:装置本体青色LED」に対する出力動作を特定するコードである。
【0170】
なお、本発明の出力先決定テーブルは、各セルに上記「出力動作コード」を格納せずとも、単に、出力情報を送信すべきか否かを示すフラグを格納しておいてもよい。この場合でも、出力先選択部31は、測定された「状態」に応じて、出力情報を出力すべき「出力先」を選択することができる。
【0171】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。あるいは、選択した出力先の情報(出力先IDなど)を出力情報選択部32に伝達する。例えば、状態測定部23によって「状態A」と判定された場合には、出力先選択部31は、出力動作コード「A001」および「A004」を出力情報選択部32に伝達する。あるいは、出力先ID「001」および「004」を出力情報選択部32に伝達してもよい。
【0172】
なお、出力方法記憶部41には、上述の出力先決定テーブルに限定されず、例えば、「状態Aの時には、出力先001、004を選択する」、「状態Bの時には、出力先002〜005を選択する」などの命令文が格納されていてもよい。このような場合でも、出力先選択部31は、上記命令文にしたがって、「状態」に応じて「出力先」を適切に選択することが可能となる。
【0173】
図11は、本実施形態1の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0174】
図11に示すとおり、出力内容決定テーブルは、一例として、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。
【0175】
なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、「状態A」および「状態B」とは、それぞれ、具体的にどのような状況を指すのかを参考までに示すものであり、したがって、「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0176】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。
【0177】
出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0178】
例えば、図11に示す具体例に基づいて、出力情報選択部32の動作を説明すると以下のとおりである。出力先選択部31から、出力動作コード「A001」および「A004」が供給された場合、まず、出力情報選択部32は、「001:装置本体青色LED」に出力する「出力内容」として「点灯信号」を選択する。「点灯信号」とは、「001:装置本体青色LED」に対して、点灯を指示するための指示信号である。出力情報選択部32のこの選択にしたがって、出力動作制御部30は、生体監視装置1の「001:装置本体青色LED」(図1に示す出力部15)に対して、点灯信号を出力する。この信号にしたがって、生体監視装置1の青色LEDとしての出力部15が点灯する。次に、出力情報選択部32は、「004:大会本部モニタ装置」(大会本部に設置されている図2のモニタ装置116)に出力する「出力内容」として「ゼッケン番号」、「正常アイコン」、および、「心拍数」を選択する。「ゼッケン番号」とは、マラソン競技に参加する各選手が身に着けるゼッケンの番号を示し、各選手を一意に識別するための番号である。「ゼッケン番号」は、生体監視装置1の記憶部11にあらかじめ記憶されているか、音センサ2bから音データとともに供給される情報である。「正常アイコン」とは、選手の心拍数が正常な状態であることを視覚的に分かり易く示すアイコンであり、イラスト、図形、アニメーションなどで実現される。「心拍数」は、状態測定部23が選手の心音を分析することにより得た単位時間当たりの選手の心拍数であり、数値によって示される情報である。出力情報選択部32のこの選択にしたがって、出力動作制御部30は、生体監視装置1の「004:大会本部モニタ装置」に対して、ゼッケン番号、正常アイコン、および、心拍数を出力情報として、通信部14を介して送信する。この出力情報にしたがって、大会本部に設置されるモニタ装置116は、画面上に、選手の「ゼッケン番号」、「正常アイコン」、および、「心拍数」を表示することができる。
【0179】
なお、出力情報選択部32は、出力先選択部31から単に「出力先ID」を供給された場合には、状態測定部23が出力した「状態」に応じて、自身で「出力先動作コード」を特定し、「出力内容」を特定することができる。
【0180】
例えば、状態測定部23が「状態B」と判定し、出力先選択部31が「002、003、004、005」を選択した場合には、出力情報選択部32は、出力先動作コード「B002、B003、B004、B005」に基づいて、「出力内容」を特定する。そして、より具体的には、出力先動作コード「B003」に関し、出力情報選択部32は、生体監視装置1の「003:装置本体スピーカ」に対して、アラームを出力することを指示するための「警告音信号」と、案内メッセージが音声データとして実現されている「音声案内」とを出力することを決定する。
【0181】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)の身体状況を見守り、出力動作制御部30が、測定された選手の状態(心拍数が正常か、異常か)に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0182】
〔生体監視処理フロー〕
図30は、本発明の実施形態1における生体監視装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0183】
センサ通信部12は、音センサ2bと通信し、音センサ2bから心音の音データを生体信号情報d1として取得する(S101)。
【0184】
生体測定部20の属性情報決定部21は、入力操作部13から直接指定された測定項目、または、通信部14を介して情報供給装置120から指定された測定項目に基づいて、今回行う測定の目的「測定項目」を決定する(S102)。ここでは、測定項目「運動時心拍数」と決定する。なお、属性情報決定部21は、心音の音データを受信する前から、デフォルトで設定された測定項目を、今回の測定の測定項目として決定してもよいし、音センサ2bから心音の音データを受信したことをもって、測定項目「運動時心拍数」と決定してもよい。
【0185】
続いて、アルゴリズム選択部22は、測定方法記憶部40を参照し、属性情報決定部21によって決定された属性情報に対応付けられたアルゴリズムを選択する(S103)。ここで、アルゴリズム選択部22は、測定項目「運動時心拍数」に基づいて、選手Hの走行時心拍数の状態を測定するのに最適なアルゴリズムを選択することができる。
【0186】
状態測定部23は、まず、アルゴリズム選択部22によって選択されたアルゴリズムにしたがって、S101にて取得された生体信号情報d1を分析し、選手Hの心拍数を検出する(S104)。次に、状態測定部23は、アルゴリズムにしたがって、検出された心拍数を基準値と比較するなどして、選手Hの状態を判定する(S105)。
【0187】
状態測定部23は、選手Hの心拍数が基準値を満たしており、選手Hが正常な状態(状態A)にあると判定した場合には(S106においてA)、「状態A」を示す測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0188】
そして、出力先選択部31は、例えば、図10に示す出力先決定テーブルを参照し、測定結果情報d2に基づいて、「状態A」に対応付けられた出力先を選択する(S107)。続いて、出力情報選択部32は、例えば、図11に示す出力内容決定テーブルを参照し、選択された出力先(出力先ID)ごとに、「状態A」に対応付けられた出力内容を選択する(S108)。
【0189】
一方、状態測定部23は、選手Hの心拍数が基準値以上の高い値を示し、選手Hが異常な状態(状態B)にあると判定した場合には(S106においてB)、「状態B」を示す測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0190】
そして、出力先選択部31は、例えば、図10に示す出力先決定テーブルを参照し、測定結果情報d2に基づいて、「状態B」に対応付けられた出力先を選択する(S109)。続いて、出力情報選択部32は、例えば、図11に示す出力内容決定テーブルを参照し、選択された出力先(出力先ID)ごとに、「状態B」に対応付けられた出力内容を選択する(S110)。
【0191】
最後に、出力動作制御部30は、出力先選択部31が選択した、各出力先に対して、出力情報選択部32が選択したそれぞれの出力内容を供給する(S111)。
【0192】
上記方法によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)の身体状況を見守り、出力動作制御部30が、測定された選手の状態(心拍数が正常か、異常か)に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0193】
≪実施形態2≫
〔マラソン選手見守りシステムの概要〕
本実施形態2におけるマラソン選手見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、マラソン競技に参加する多数の選手たちである。図2を参照して、本実施形態のマラソン選手見守りシステムは、選手Hそれぞれに装着される生体センサとしての音センサ2aと、音センサ2bと、同じく選手Hそれぞれが装備する生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0194】
図2に示すとおり、本実施形態では、音センサ2aは、選手Hの気道あたりに装着され、選手Hの呼吸音を取得し、その音データを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。音センサ2bからは実施形態1と同様に心音の音データが供給される。
【0195】
実施形態2における生体測定部20は、心音および呼吸音を分析して選手Hの状態を測定し、出力動作制御部30は、生体測定部20から導出した測定結果情報d2に応じて適切に出力動作を制御する。
【0196】
実施形態2では、生体監視装置1は、図1に示す出力部15の一例として、4種類のLEDを備えている。すなわち、心拍数の正常、異常を示すための青色LED(心拍用)および赤色LED(心拍用)と、呼吸数の正常、異常を示すための青色LED(呼吸用)および赤色LED(呼吸用)の4つのLEDを備えている。そして、実施形態1と同様に、生体監視装置1は、出力部15としてさらにスピーカも備えている。
【0197】
実施形態1と同様に、実施形態2における生体監視システム100には、情報出力装置110として、大会本部に設置されているモニタ装置116と、スピーカ114とが含まれる。
【0198】
上述した出力部15および情報出力装置110のぞれぞれは、生体監視装置1の出力動作制御部30が実施する出力制御にしたがって、選手Hの状態に関して報知動作を実行する。
【0199】
ここで、本実施形態2における生体測定部20の動作を説明する。まず、生体測定部20は、選手Hの各音センサ2から心音、呼吸音の音データをそれぞれ取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を、第1に「運動時心拍数」、および、第2に「呼吸数」と決定している。「測定項目:運動時心拍数」は、実施形態1にて説明したとおりである。「測定項目:呼吸数」は、健康な人の平常時の呼吸数と比較して、被験者である選手Hの呼吸数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。アルゴリズム選択部22は、決定された2つの「測定項目」に基づいて、選手Hの走行時心拍数、および、呼吸数の状態を測定するための最適なアルゴリズムをそれぞれ選択し、状態測定部23に引き渡す。状態測定部23は、選択された各アルゴリズムにしたがって、選手Hの心拍数および呼吸数を検出して以下の判定を行う。すなわち、まず「測定項目:運動時心拍数」については、選手Hの心拍数が、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上に高い状態であるのかを判定する。本実施形態では、前者の状態を、「心拍数Sの状態A(=心拍数正常)」と称し、後者の状態を、「心拍数Sの状態B(=心拍数異常)」と称する。状態測定部23は、「測定項目:運動時心拍数」について、「状態A」または「状態B」を出力する。次に「測定項目:呼吸数」については、選手Hの呼吸数が、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値に満たない低い状態であるのかを判定する。本実施形態では、前者の状態を、「呼吸数Kの状態A(=呼吸数正常)」と称し、後者の状態を、「呼吸数Kの状態A(=呼吸数異常)」と称する。そして、状態測定部23は、「測定項目:呼吸数」について「状態A」または「状態B」を出力する。最終的には、状態測定部23は、心拍数Sについての「状態A」または「状態B」と、呼吸数Kについての「状態A」または「状態B」とを含む測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0200】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
本実施形態2における出力動作制御部30の構成は、図1に示す実施形態1における出力動作制御部30の構成と同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。次に、図12および図13を参照しながら、本実施形態2における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0201】
図12は、本実施形態2の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0202】
図12に示すとおり、出力先決定テーブルは、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごと、かつ、「測定項目」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。本実施形態2では、2つの測定項目にしたがって、それぞれ測定が行われたため、テーブルの第1行「出力条件」のパターンは、「測定項目」かつ「状態」に基づいて、計4パターンが識別可能となっている。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0203】
図12に示す例では、「出力先ID」と「測定項目」と「状態」とによって特定される各セルに「出力動作コード」が格納されている。本実施形態では、「出力動作コード」とは、「出力先ID」と「測定項目」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定するためのコードである。例えば、出力動作コード「SA001」は、選手Hの心拍数(S)の状態が「状態A」である場合に、出力先「001:装置本体青色LED(心拍用)」に対する出力動作を特定するコードである。
【0204】
なお、各セルに格納されている「−」の記号は、そのセルに該当する「出力先ID」と「測定項目」と「状態」との組み合わせが有り得ないことを示している。例えば、心拍の状態を示すための心拍用のLEDが、呼吸数の状態に応じて何らかの出力動作を行うことはない。
【0205】
出力先選択部31は、「測定項目」かつ「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。例えば、状態測定部23によって、「測定項目:心拍数」について「状態B」と判定され、「測定項目:呼吸数」について「状態A」と判定された場合には、出力先選択部31は、出力動作コード「SB002」、「SB005」、「SB006」、「SB007」、および、「KA003」、「KA006」を出力情報選択部32に伝達する。
【0206】
なお、出力方法記憶部41には、上述の出力先決定テーブルに限定されず、例えば、「心拍数が状態Aの時には、出力先001、006を選択する」、「呼吸数が状態Bの時には、出力先004〜007を選択する」などの命令文が格納されていてもよい。このような場合でも、出力先選択部31は、上記命令文にしたがって、「測定項目」かつ「状態」に応じて「出力先」を適切に選択することが可能となる。
【0207】
図13は、本実施形態2の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0208】
図13に示すとおり、出力内容決定テーブルは、実施形態1と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0209】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0210】
本実施形態では、心拍数および呼吸数のそれぞれについて2つの測定が実施されているので、出力動作制御部30は、2つの測定の結果それぞれについて出力動作の制御を行う。例えば、心拍数、呼吸数ともに異常が検出された場合には、出力動作制御部30は、心拍数の異常を報知するための出力動作制御と、呼吸数の異常を報知するための出力動作制御とをそれぞれ実行する。
【0211】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)について、複数種類の測定を行った場合でも、出力動作制御部30が、測定ごとの選手の状態に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を、測定項目ごとに適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0212】
≪実施形態3≫
〔マラソン選手見守りシステムの概要〕
本実施形態3におけるマラソン選手見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、マラソン競技に参加する多数の選手たちである。図2を参照して、本実施形態のマラソン選手見守りシステムは、実施形態2と同様、選手Hそれぞれに装着される、音センサ2a、音センサ2b、および、生体監視装置1と、生体監視装置1と通信する情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0213】
本実施形態3における生体監視システム100には、情報出力装置110として、大会本部に設置されているモニタ装置116およびスピーカ114に加え、さらに、電話機115が大会本部に設置されている。電話機115は、生体監視装置1と通信する機能を備え、生体監視装置1から受信した情報を文字情報に換えて、FAXまたは電子メールにて119番通報する機能を有する。
【0214】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
図14は、実施形態3における生体監視装置1の要部構成を示す図である。なお、出力動作制御部30の構成は、図1に示す実施形態1、2における出力動作制御部30の構成と同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。
【0215】
実施形態3では、実施形態2と異なり、生体監視装置1は、図14に示す出力部15の一例として、色の異なる3種類のLEDを備えている。すなわち、青色LED、赤色LED、および、黄色LEDの3つのLEDを備えている。つまり、色数を増やしたり、発光パターンを変えたり(点灯、点滅など)することができるので、用途別に赤青2色のLEDをそれぞれ用意する必要がなく、少ない数のLEDでも、あらゆる生体の状態を表現することができる。そして、実施形態1、2と同様に、生体監視装置1は、出力部15としてさらにスピーカも備えている。
【0216】
生体監視装置1は、さらに、生体監視装置1を装備する選手Hの現在位置を取得するGPSセンサ7を備えている。GPSセンサ7が取得した場所情報は、出力動作制御部30が出力する出力情報として用いられる。
【0217】
生体監視装置1の記憶部11は、さらに、個人情報記憶部42を備えている。個人情報記憶部42は、生体監視装置1を装備する選手についてあらゆる情報を記憶している。例えば、氏名、年齢、性別といった基本的な情報や、過去の病歴など健康に関する情報や、生体測定部20がこれまでに測定してきた測定結果情報d2の蓄積情報などが記憶されている。
【0218】
次に、本実施形態3における生体測定部20の動作を説明する。まず、生体測定部20は、選手Hの各音センサ2から心音、呼吸音の音データをそれぞれ取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を、第1に「運動時心拍数」、および、第2に「呼吸数」と決定している。各測定項目の測定内容は、実施形態1、2で説明したとおりである。アルゴリズム選択部22は、決定された2つの「測定項目」に基づいて、選手Hの状態を総合判定するための最適なアルゴリズムを選択し、状態測定部23に引き渡す。ここで選択されるアルゴリズムには、選手Hの走行時心拍数、および、呼吸数の状態をそれぞれ測定するためのアルゴリズムと、それぞれの測定結果に応じて、選手Hの状態を総合判定するためのアルゴリズムとが含まれる。図15は、状態測定部23が選手の状態を総合判定するための条件テーブルを示す。この条件テーブルは、アルゴリズムの一部として、測定方法記憶部40に記憶されている。状態測定部23は、選択されたアルゴリズムにしたがって、まず、実施形態2と同様に、選手Hの心拍数および呼吸数を検出して判定を行う。すなわち、「測定項目:運動時心拍数」について、選手Hの心拍数が、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上に高い状態であるのかを判定する。そして、「測定項目:呼吸数」について、選手Hの呼吸数が、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値に満たない低い状態であるのかを判定する。そして、状態測定部23は、図15に示す条件テーブルにしたがって、測定項目ごとの測定結果に応じて、最終的に、選手Hの状態を総合的に判定する。すなわち、状態測定部23は、心拍数、呼吸数ともに正常な場合には、「状態A(=心拍数正常、呼吸数正常)」を出力し、心拍数が異常で、呼吸数が正常な場合には、「状態B(=心拍数異常、呼吸数正常)」を出力し、心拍数が正常で、呼吸数が異常な場合には、「状態C(=心拍数正常、呼吸数異常)」を出力し、心拍数、呼吸数ともに異常な場合には、「状態D(=心拍数異常、呼吸数異常)」を出力する。そして、状態測定部23は、「状態A」〜「状態D」のいずれかを含む測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0219】
次に、図16および図17を参照しながら、本実施形態3における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0220】
図16は、本実施形態3の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0221】
図16に示すとおり、出力先決定テーブルは、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0222】
図16に示す例では、「出力先ID」と「状態」とによって特定される各セルに「出力動作コード」が格納されている。「出力動作コード」は、実施形態1と同様に、「出力先ID」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定する。
【0223】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。
【0224】
例えば、本実施形態では、出力動作制御部30は、両方の測定項目(心拍数、呼吸数)がともに正常である状態Aの場合を、最も安全な状況であると判断し、「001:装置本体青色LED」および「005:大会本部モニタ装置」に、正常な状態である旨を簡単に報知させる出力制御を実行する。また、出力動作制御部30は、いずれか片方の測定項目が異常である状態B、状態Cの場合を、注意喚起が必要な状況であると判断し、「002:装置本体黄色LED」および「005:大会本部モニタ装置」に注意喚起を行わせる出力制御を実行する。また、出力動作制御部30は、両方の測定項目がともに異常である状態Dの場合を、生命の維持に係わる危険な状況であると判断する。そして、いずれのケースよりも最も多くの出力先に対して詳細な出力情報を送信し、非常事態に備えた適切な報知動作を各出力先に行わせるように出力制御を実行する。
【0225】
図17は、本実施形態3の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0226】
図17に示すとおり、出力先決定テーブルは、実施形態1、2と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0227】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0228】
本実施形態では、心拍数および呼吸数のそれぞれの測定結果に基づいて選手の状態が総合的に判断される。出力動作制御部30は、総合的な判断に基づく事態の非常性に応じた出力動作の制御を行う。例えば、心拍数、呼吸数ともに異常が検出された状態Dの場合では、出力情報選択部32は、発光装置117(LED)やモニタ装置116に視覚的な報知動作を実行させるだけでなく、スピーカ114に聴覚的な報知動作を実行させるための出力情報を送信する。さらに、出力情報選択部32は、出力動作コード「D007」に基づいて、「急変患者情報」と「急変場所情報」とを電話機115を送信する。「急変患者情報」は、当該生体監視装置1を装備する選手に関するさまざまな情報であり、個人情報記憶部42に記憶されている情報である。具体的には、氏名、年齢、住所、過去の病歴などが含まれる。「急変場所情報」は、当該生体監視装置1を装備する選手の現在位置を示す場所情報であり、GPSセンサ7から取得される情報である。
【0229】
大会本部の電話機115は、上述の「急変患者情報」および「急変場所情報」を出力情報として生体監視装置1から受信する。そして、電話機115は、出力情報を受信すると、119番通報し、受信した情報を音声データとして通報先のオペレータに供給するという報知動作を実行する。
【0230】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)について、複数種類の測定を行った場合、生体測定部20が、それらの測定結果を総合的に判断して、選手の状態を把握することができる。出力動作制御部30が、総合的に判断された選手の状態の非常性に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を、選手の状態の非常性に応じて適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0231】
≪実施形態4≫
上述の各実施形態では、生体測定部20は、選択されたアルゴリズムにしたがって、被験者H(選手)の状態を正常か異常かの2値で判定するものであった。しかし、本発明の生体監視装置1はこのような構成に限定されない。生体測定部20は、アルゴリズムにしたがって、選手の状態を3値以上の多値で判定することが可能であり、出力動作制御部30は、その判定結果に応じてよりきめ細やかな出力制御を実行することができる。
【0232】
〔マラソン選手見守りシステムの概要〕
本実施形態4におけるマラソン選手見守りシステム(生体監視システム100)の構成は、実施形態1と同様であるのでここでは説明を繰り返さない。
【0233】
本実施形態4において、実施形態1と異なる点は、状態測定部23が出力する測定結果情報d2である。生体監視装置1の生体測定部20が、「測定項目:運動時心拍数」について測定を実行すると、状態測定部23は、選択されたアルゴリズムに基づいて、2値ではなく、以下の3つの状態のいずれかを出力する。すなわち、状態測定部23は、選手Hの心拍数が、基準値未満で異常な状態であるのか、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上で異常な状態であるのかを判定する。
【0234】
本実施形態では、心拍数が基準値未満で異常に低い状態を、「状態A(=心拍数異常(低い))」と称し、心拍数が基準値を満たし正常な状態を、「状態B(=心拍数正常)」と称し、心拍数が基準値以上で異常に高い状態を、「状態C(=心拍数異常(高い))」と称する。状態測定部23は、「状態A」、「状態B」または「状態C」を示す測定結果情報d2を、出力動作制御部30に供給する。
【0235】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
本実施形態4における出力動作制御部30の構成は、図1に示す実施形態1における出力動作制御部30の構成と同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。出力動作制御部30は、出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルおよび出力内容決定テーブルに基づいて、測定結果情報d2に応じて出力制御を実行する。次に、図18および図19を参照しながら、上述の各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0236】
図18は、本実施形態4の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0237】
図18に示すとおり、本実施形態における出力先決定テーブルは、実施形態1と同様に、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。実施形態4の出力先決定テーブルにおいて、実施形態1の出力先決定テーブルと異なる点は、「状態」が2値ではなく、多値で出力されるため、「状態」のパターンが多様化している点である。図18に示す例では、「状態」は3パターン用意されている。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0238】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。あるいは、選択した出力先の出力先IDを出力情報選択部32に伝達してもよい。
【0239】
図19は、本実施形態4の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0240】
図19に示すとおり、出力内容決定テーブルは、上述の各実施形態と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0241】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0242】
本実施形態では、心拍数について、正常か、異常か、異常であればどのような異常か(高過ぎて異常か、低過ぎて異常か)に応じて、それぞれ異なる出力動作の制御を行う。出力情報選択部32は、同じ心拍数異常でも、「状態A:心拍数が低過ぎで異常」の場合と、「状態B:心拍数が高過ぎて異常」の場合とで、それぞれの出力先に送信する出力情報の内容を柔軟に変更することができる。
【0243】
具体的には、例えば、「状態A」のときは、出力情報選択部32は、図19に示す出力内容決定テーブルに基づいて、「004:大会本部モニタ装置」に対して送信する出力情報の一つとして、心拍数が低過ぎで異常であることを示す、心拍数「低」アイコンを選択する。一方、「状態C」のときは、出力情報選択部32は、「004:大会本部モニタ装置」に対して送信する出力情報の一つとして、心拍数が高過ぎで異常であることを示す、心拍数「高」アイコンを選択する。
【0244】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)について、測定を行い、これについて、2値ではなく多値判定を行った場合、生体測定部20は、選手の状態をより詳細に把握することができる。よって、出力動作制御部30は、多値で出力される測定結果情報d2の内容に応じて、より多様化された出力制御を実行することができる。具体的には、出力動作制御部30は、単に、正常か異常かの2値の情報だけでなく、異常と判定された場合には、具体的にどのように異常なのかを詳細に表すように、情報出力装置110(スピーカ114、モニタ装置116など)に報知動作を実行させることができる。よって、多様化する選手の状態に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を、選手の状態に応じて、適切に、よりきめ細やかに制御することが可能になるという効果を奏する。
【0245】
≪実施形態5≫
上述の実施形態4では、生体監視装置1の生体測定部20が、単一の測定項目(「心拍数」)について、多値判定を行うのに伴って、出力動作制御部30は、多値の判定結果に応じて、多様な出力動作を制御する構成について説明した。このような実施形態4の構成を、複数の測定項目について複数の測定を実施する、実施形態2の構成にも適用することが可能である。
【0246】
本実施形態5では、生体測定部20が複数の測定項目について多値判定を実施する場合について説明する。
【0247】
〔高齢者見守りシステムの概要〕
本実施形態5における高齢者見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、高齢者である。図2を参照して、本実施形態の高齢者見守りシステムは、高齢者Hに装着される生体センサとしての音センサ2aと、音センサ2bと、同じく高齢者Hが装備する生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0248】
図2に示すとおり、本実施形態では、音センサ2aは、選手Hの気道あたりに装着され、選手Hの呼吸音を取得し、その音データを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。音センサ2a、音センサ2bからは、実施形態1、2と同様に、それぞれ、呼吸音、心音の音データが生体監視装置1に対して供給される。
【0249】
本実施形態5における高齢者見守りシステムは、報知動作を実行する情報出力装置110として、以下の装置を含んでいる。上記高齢者Hが居住する家宅に設置される報知装置(図示せず)が備える4つの発光装置117とスピーカ114である。具体的には、それぞれの発光装置117は、青色LED(心拍用)、赤色LED(心拍用)、青色LED(呼吸用)、および、赤色LED(呼吸用)の4つのLEDで実現される。さらに、上記家宅に設置される電話機115も情報出力装置110に含まれる。電話機115は、生体監視装置1と通信する機能を備え、生体監視装置1から受信した情報を文字情報に換えて、FAXまたは電子メールにて119番通報する機能を有する。さらに、高齢者Hが通う病院の担当医師が所有する通信端末装置(例えば、携帯電話機112、携帯端末装置113、電子手帳など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記病院に設置されているモニタ装置116およびスピーカ114も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記家宅が加入する警備サービスの提供者(施錠システム会社)に設置される端末装置(例えば、大型の専用コンピュータ、モニタ装置など)も情報出力装置110に含まれる。
【0250】
本実施形態における生体監視装置1は、出力部15(図14)として、青色LEDと赤色LEDとを備えている。
【0251】
上述した出力部15および情報出力装置110のぞれぞれは、生体監視装置1の出力動作制御部30が実施する出力制御にしたがって、高齢者Hの状態に関して報知動作を実行する。
【0252】
図14に示すとおり、生体監視装置1の記憶部11は、個人情報記憶部42を備え、高齢者Hの氏名、年齢、住所、過去の病歴、担当医師などの情報が記憶されている。また、生体監視装置1は、GPSセンサ7を備え、必要に応じて高齢者Hの現在位置を取得する。
【0253】
本実施形態5における生体測定部20の動作を説明する。まず、生体測定部20は、高齢者Hの各音センサ2から心音、呼吸音の音データをそれぞれ取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を、第1に「心拍数」、および、第2に「呼吸間隔」と決定している。「測定項目:心拍数」は、高齢層の健康な人の平常な心拍数と比較して、被験者である高齢者Hの心拍数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。「測定項目:呼吸間隔」は、高齢層の健康な人の平常時の呼気と吸気の間隔(長さ)と比較して、被験者である高齢者Hの呼吸間隔がどのような状態であるのかを測定することを指定している。本実施形態では、アルゴリズム選択部22は、決定された2つの「測定項目」に基づいて、高齢者Hの心拍数、および、呼吸間隔の状態を測定するための最適なアルゴリズムをそれぞれ選択し、状態測定部23に引き渡す。状態測定部23は、選択された各アルゴリズムにしたがって、高齢者Hの心拍数および呼吸間隔を検出して以下の判定を行う。本実施形態では、状態測定部23は、心拍数および呼吸間隔のそれぞれの測定項目について、多値判定を実行する。すなわち、まず「測定項目:心拍数」について、高齢者Hの心拍数Sが、基準値未満で異常な状態であるのか、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上で異常な状態であるのかを判定する。本実施形態では、心拍数Sが基準値未満で異常に低い状態を、「心拍数Sの状態A(=心拍数異常(低い))」と称し、心拍数Sが基準値を満たし正常な状態を、「心拍数Sの状態B(=心拍数正常)」と称し、心拍数Sが基準値以上で異常に高い状態を、「心拍数Sの状態C(=心拍数異常(高い))」と称する。状態測定部23は、「測定項目:心拍数」について「状態A」、「状態B」または「状態C」を出力する。次に、状態測定部23は、「測定項目:呼吸間隔」について、高齢者Hの呼吸間隔Kが、基準値未満で異常な状態であるのか、基準値を満たし正常な状態であるのか、基準値以上で異常な状態であるのかを判定する。本実施形態では、呼吸間隔Kが基準値未満で異常に短い状態を、「呼吸間隔の状態A(=呼吸間隔短い)」と称し、呼吸間隔Kが基準値を満たし正常な状態を、「呼吸間隔Kの状態B(=呼吸間隔正常)」と称し、呼吸間隔Kが基準値以上で異常に長い状態を、「呼吸間隔Kの状態C(=呼吸間隔長い))」と称する。そして、状態測定部23は、「測定項目:呼吸間隔」について「状態A」、「状態B」または「状態C」を出力する。最終的には、状態測定部23は、心拍数Sについての「状態A」、「状態B」または「状態C」と、呼吸間隔Kについての「状態A」、「状態B」または「状態C」とを含む測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0254】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
本実施形態5における出力動作制御部30の構成は、図14に示す実施形態3における出力動作制御部30の構成と同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。次に、図20、ならびに、図21Aおよび図21Bを参照しながら、本実施形態5における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0255】
図20は、本実施形態5の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0256】
図20に示すとおり、出力先決定テーブルは、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごと、かつ、「測定項目」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。本実施形態5では、1つの測定につき、「状態」が2値ではなく、多値で出力されるため、「状態」のパターンが多様化している。図20に示す例では、1つの測定について「状態」は3パターン用意されている。さらに、本実施形態では、2つの測定項目にしたがって、それぞれ測定が行われたため、テーブルの第1行「出力条件」のパターンは、「測定項目」かつ「状態」に基づいて、3×2の計6パターンが識別可能となっている。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0257】
図20に示す例では、「出力先ID」と「測定項目」と「状態」とによって特定される各セルに「出力動作コード」が格納されている。実施形態2と同様に「出力動作コード」は、「出力先ID」と「測定項目」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定するためのコードである。なお、各セルに格納されている「−」の記号は、そのセルに該当する「出力先ID」と「測定項目」と「状態」との組み合わせが有り得ないことを示している。
【0258】
出力先選択部31は、「測定項目」かつ「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。例えば、状態測定部23によって、「測定項目:心拍数」について「状態B」と判定され、「測定項目:呼吸数」について「状態A」と判定された場合には、出力先選択部31は、出力動作コード「SB001」、「SB003」、および、「KA002」、「KA006」、「KA007」を出力情報選択部32に伝達する。
【0259】
本実施形態では、測定項目「心拍数」については、心拍数が異常に高いこと(状態C)よりも、心拍数が異常に低いこと(状態A)の方が、より深刻な異常が発生していると考える。そこで、生体監視装置1は、状態Cを要注意段階と認識し、状態Aを非常事態と認識する。また、本実施形態では、測定項目「呼吸間隔」について、呼吸間隔が異常に短いこと(状態A)よりも、呼吸間隔が異常に長いこと(状態C)の方が、より深刻な異常が発生していると考える。そこで、生体監視装置1は、状態Aを要注意段階と認識し、状態Cを非常事態と認識する。よって、図20に示すとおり、出力先選択部31は、心拍数については状態Aの場合に、または、呼吸間隔については状態Cの場合に、他の場合と比較して最も多くの出力先に対して出力情報を送信することを決定し、非常事態に備える。
【0260】
図21Aおよび図21Bは、本実施形態5の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0261】
図21Aおよび図21Bに示すとおり、出力内容決定テーブルは、実施形態1と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0262】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0263】
本実施形態では、心拍数および呼吸間隔のそれぞれについて2つの測定が実施されているので、出力動作制御部30は、2つの測定の結果それぞれについて出力動作の制御を行う。例えば、心拍数Sについて「状態A」、呼吸間隔Kについて「状態B」の異常がそれぞれ検出された場合には、出力動作制御部30は、心拍数の異常(非常事態)を報知するための出力動作制御と、呼吸数の異常(非常事態)を報知するための出力動作制御とをそれぞれ実行する。
【0264】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、選手)について、複数種類の測定を行った場合でも、出力動作制御部30が、測定ごとの選手の状態に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。さらに、出力動作制御部30は、単に、正常か異常かの2値の情報だけでなく、異常と判定された場合には、具体的にどのように異常なのか、どの程度の非常性なのかを詳細に表すように、情報出力装置110(スピーカ114、モニタ装置116など)に報知動作を実行させることができる。また、その非常性に応じて、報知動作させる情報出力装置110を柔軟に選択することが可能となる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を、高齢者の状態に応じて、測定項目ごとに、さらにより適切に、よりきめ細やかに制御することが可能になるという効果を奏する。
【0265】
具体的には、図20に示す出力先決定テーブル、ならびに、図21Aおよび図21Bに示す出力内容決定テーブルにしたがって、生体監視装置1は、正常時には、簡単に、各装置の青色LEDを点灯させるのみとする。そして、生体監視装置1は、要注意段階では、各装置の赤色LEDを点滅させるとともに、報知装置のスピーカ114に、心拍または呼吸間隔の状態が要注意であることを喚起させる。そして、最も危険な非常事態では、生体監視装置1は、生体監視装置1本体や、家宅に設置された報知装置にとどまらず、119番通報するための電話機115(出力先ID:008)、担当医師通信端末装置(出力先ID:009)、病院モニタ装置(出力先ID:010)、病院スピーカ(出力先ID:011)、施錠システム会社端末装置(出力先ID:012)に対しても、高齢者Hが危険な状態にあることを報知する報知動作を実行させることができる。これにより、非常事態についていち早く報知された各種団体が迅速に非常事態に備えることができる。例えば、図21Aおよび図21Bに示すとおり、施錠システム会社端末装置(出力先ID:012)に対しては、家宅ID、家宅住所、解錠依頼メッセージが出力情報として生体監視装置1から供給される。施錠システム会社端末装置は、これらの受信した出力情報を、モニタ装置116またはスピーカ114などを介して報知する。これにより、施錠システム会社端末装置のオペレータは、自社で管理する家宅ID、家宅住所を元に、非常事態が発生している家宅を特定し、遠隔操作で、あるいは、現場に急行して家宅の解錠を行うということができる。このような迅速な対応は、すべての窓、ドアなどが施錠された家宅から高齢者Hを救出する際に、特に大きな効果を発揮する。
【0266】
以上のように、測定項目ごとに検出された高齢者Hの状態の非常性に応じて出力動作をさらに多様化することにより、生体の状態に応じた適切な処理が迅速に実行されるという効果を奏する。
【0267】
≪実施形態6≫
上述の実施形態5では、生体測定部20が、複数の測定項目について多値判定する構成について説明した。このような構成において、さらに、生体測定部20は、それぞれの測定項目について出力された多値判定結果を総合的に判断することにより、より詳細に、症状を推定したり、状況の把握を行ったりすることができる。そして、出力動作制御部30は、そうした生体測定部20の判断結果に基づいて、より適切な出力動作制御を迅速に実行することができる。
【0268】
本実施形態6では、生体測定部20が複数の測定項目について多値判定を実施するとともに、各判定結果を組み合わせて総合的に生体の状態を判定する場合について説明する。
【0269】
〔高齢者見守りシステムの概要〕
本実施形態6における高齢者見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、高齢者である。図2を参照して、本実施形態の高齢者見守りシステムは、高齢者Hに装着される生体センサとしての音センサ2aと、音センサ2bと、同じく高齢者Hが装備する生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0270】
図2に示すとおり、本実施形態では、音センサ2aは、選手Hの気道あたりに装着され、選手Hの呼吸音を取得し、その音データを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。音センサ2a、音センサ2bからは、それぞれ、呼吸音、心音の音データが生体監視装置1に対して供給される。
【0271】
本実施形態6における高齢者見守りシステムは、報知動作を実行する情報出力装置110として、以下の装置を含んでいる。上記高齢者Hが居住する家宅に設置される報知装置(図示せず)が備える4つの発光装置117である。具体的には、それぞれの発光装置117は、青色LED(心拍用)、赤色LED(心拍用)、青色LED(呼吸用)、および、赤色LED(呼吸用)の4つのLEDで実現される。さらに、上記家宅に設置される電話機115も情報出力装置110に含まれる。電話機115は、生体監視装置1と通信する機能を備え、生体監視装置1から受信した情報を文字情報に換えて、FAXまたは電子メールにて119番通報する機能を有する。さらに、上記家宅に同居していない遠隔地にいる、上記高齢者Hの家族が所有する通信端末装置(携帯電話機112など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、高齢者Hが通う病院の担当医師が所有する通信端末装置(例えば、携帯電話機112、携帯端末装置113、電子手帳など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記病院に設置されているモニタ装置116およびスピーカ114も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記家宅が加入する警備サービスの提供者(施錠システム会社)に設置される端末装置(例えば、ノートパソコン111など)も情報出力装置110に含まれる。
【0272】
本実施形態における生体監視装置1は、出力部15(図14)として、青色LEDと赤色LEDとスピーカとを備えている。
【0273】
上述した出力部15および情報出力装置110のぞれぞれは、生体監視装置1の出力動作制御部30が実施する出力制御にしたがって、高齢者Hの状態に関して報知動作を実行する。
【0274】
さらに、生体監視装置1の生体測定部20は、具体的な疾患名を測定項目として受け付けてさらに詳細な状態測定を実行することができる。本実施形態では、生体測定部20は、上述した(具体例1)〜(具体例4)に示したとおり、測定項目で指定された疾患に関して、生体センサから得られた生体信号情報d1を分析し、生体が当該疾患を発症した疑いがあるのかないのかをより精度よく判定することができる。つまり、出力動作制御部30は、生体測定部20による多値判定結果の総合的判断に基づいて、さらに、精査する必要があると判断した場合には、特にその疾患についてより正確な判定を行うように生体測定部20にフィードバックすることができる。
【0275】
したがって、本実施形態では、上述の出力部15および情報出力装置110に加えて、生体測定部20も、出力動作制御部30の出力制御の対象となる。
【0276】
図14に示すとおり、生体監視装置1の記憶部11は、個人情報記憶部42を備え、高齢者Hの氏名、年齢、住所、既往歴、電子カルテ、担当医師氏名、などの情報が記憶されている。また、生体監視装置1は、GPSセンサ7を備え、必要に応じて高齢者Hの現在位置を取得する。
【0277】
次に、本実施形態6における生体測定部20の動作を説明する。まず、生体測定部20は、選手Hの各音センサ2から心音、呼吸音の音データをそれぞれ取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を、第1に「心拍数」、および、第2に「呼吸数」と決定している。「測定項目:心拍数」は、高齢層の健康な人の平常な心拍数と比較して、被験者である高齢者Hの心拍数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。「測定項目:呼吸数」は、高齢層の健康な人の平常時の呼吸数と比較して、被験者である高齢者Hの呼吸数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。アルゴリズム選択部22は、決定された2つの「測定項目」に基づいて、高齢者Hの状態を総合判定するための最適なアルゴリズムを選択し、状態測定部23に引き渡す。ここで選択されるアルゴリズムには、高齢者Hの心拍数、および、呼吸数の状態をそれぞれ測定するためのアルゴリズムと、それぞれの測定結果に応じて、高齢者Hの状態を総合判定するためのアルゴリズムとが含まれる。図22は、状態測定部23が選手の状態を総合判定するための条件テーブルを示す。この条件テーブルは、アルゴリズムの一部として、測定方法記憶部40に記憶されている。状態測定部23は、選択されたアルゴリズムにしたがって、まず、高齢者Hの心拍数および呼吸数を検出してそれぞれについて多値判定を行う。すなわち、まず「測定項目:心拍数」について、高齢者Hの心拍数が、基準値未満で異常な状態(=心拍数異常(低い))であるのか、基準値を満たして正常な状態(=心拍数正常)であるのか、基準値以上で異常な状態(=心拍数異常(高い))であるのかを判定する。次に、「測定項目:呼吸数」について、高齢者Hの呼吸数が、基準値未満で異常な状態(=呼吸数異常(多い))であるのか、基準値を満たし正常な状態(=呼吸数正常)であるのか、基準値以上で異常な状態(=呼吸数異常(少ない))であるのかを判定する。そして、状態測定部23は、図22に示す条件テーブルにしたがって、測定項目ごとの測定結果に応じて、最終的に、高齢者Hの状態を総合的に判定する。
【0278】
すなわち、状態測定部23は、心拍数が「異常(低い)」状態で、かつ、呼吸数が「異常(多い)」状態であると判定した場合、被験者の心拍が遅く呼吸が速い状況であると認識するが、このような状況は通常考えられないことから、心音を集音する音センサ2bの装着不良であると予測する。ただし、被験者の身に異常が発生している可能性もゼロではない。そこで、このケースでは、状態測定部23は、「状態A(=センサ不備または要注意)」を示す測定結果情報d2を出力する。
【0279】
状態測定部23は、心拍数が「異常(高い)」状態で、かつ、呼吸数が「異常(多い)」状態であると判定した場合、被験者の心拍も呼吸も共に速い状況であると認識し、喘息発作や心臓発作などを発症したと予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態B(=発作)」を出力する。
【0280】
状態測定部23は、心拍数が「異常(低い)」状態で、かつ、呼吸数が「異常(少ない)」状態であると判定した場合、被験者の心拍も呼吸も共に遅い状況であると認識し、2つの音センサ2a、bの装着不良、または、重症(意識不明、死亡)であると予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態C(=センサ不備or重症)」を出力する。
【0281】
状態測定部23は、心拍数が「異常(高い)」状態で、かつ、呼吸数が「異常(少ない)」状態であると判定した場合、被験者の心拍が速く呼吸が遅い状況であると認識し、心臓発作を発症したと予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態D(=心臓発作、呼吸異常)」を出力する。
【0282】
状態測定部23は、心拍数が「正常」状態で、かつ、呼吸数が「正常」状態であると判定した場合、被験者の心拍も呼吸も共に正常に機能している健康な状況であると認識し、正常と判定する。このケースでは、状態測定部23は、「状態E(=正常)」を出力する。
【0283】
状態測定部23は、心拍数が「正常」状態で、かつ、呼吸数が「異常(多い)」状態であると判定した場合、被験者の心拍は正常な速さであるが、呼吸が速い状況であると認識し、過呼吸を発症したと予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態F(=過呼吸)」を出力する。
【0284】
状態測定部23は、心拍数が「異常(低い)」状態で、かつ、呼吸数が「正常」状態であると判定した場合、被験者の心拍が遅いが呼吸は正常な速さであると認識するが、このような状況は通常考えられないことから、心音を集音する音センサ2bの装着不良であると予測する。ただし、被験者の身に異常が発生している可能性もゼロではない。そこで、このケースでは、状態測定部23は、「状態G(=センサ不備または要注意)」を出力する。
【0285】
状態測定部23は、心拍数が「異常(高い)」状態で、かつ、呼吸数が「正常」状態であると判定した場合、被験者の心拍が速いが呼吸は正常な速さであると認識し、心臓発作を発症したと予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態H(=心臓発作、呼吸正常)」を出力する。
【0286】
状態測定部23は、心拍数が「正常」状態で、かつ、呼吸数が「異常(少ない)」状態であると判定した場合、被験者の心拍は正常な速さであるが、呼吸が遅いと認識し、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症したと予測する。このケースでは、状態測定部23は、「状態I(=SAS)」を出力する。
【0287】
上述のように、状態測定部23は、「状態A」〜「状態I」のいずれかを含む測定結果情報d2を出力動作制御部30に供給する。
【0288】
次に、図23、ならびに、図24A〜図24Cを参照しながら、本実施形態3における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0289】
図23は、本実施形態6の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0290】
図23に示すとおり、出力先決定テーブルは、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。なお、テーブルの最終の2行に示された「状況」および「状況予測」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0291】
図23に示す例では、「出力先ID」と「状態」とによって特定される各セルに「出力動作コード」が格納されている。「出力動作コード」は、実施形態1等と同様に、「出力先ID」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定する。
【0292】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。
【0293】
例えば、本実施形態では、出力動作制御部30は、両方の測定項目(心拍数、呼吸数)が共に正常である状態Eの場合を、最も安全な状況であると判断し、「001:装置本体青色LED」、「005:報知装置青色LED(心拍用)」、および、「007:報知装置青色LED(呼吸用)」に、正常な状態である旨を簡単に報知させる出力制御を実行する。また、出力動作制御部30は、心拍数、呼吸数が共に速過ぎて異常である状態Bの場合、および、心拍数、呼吸数が共に遅過ぎて異常である状態Cの場合を、最も危険な状況であると判断する。そして、これらの場合、出力先選択部31は、図23に示す出力先決定テーブルに基づいて、生体監視装置1の各出力部15(出力先ID:001〜004)および家宅内の報知装置各部(出力先ID:005〜008)のみならず、非常事態時に備える各者、各団体に所属する情報出力装置110にも出力情報を送信することを決定する。すなわち、出力先選択部31は、遠隔地家族通信端末装置(出力先ID:009)、電話機115(出力先ID:010)、担当医師通信端末装置(出力先ID:011)、病院モニタ装置(出力先ID:012)、病院スピーカ(出力先ID:013)、施錠システム会社端末装置(出力先ID:014)を出力先として選択する。こうして、出力動作制御部30は、いずれのケースよりも最も多くの出力先に対して詳細な出力情報を送信し、非常事態に備えた適切な報知動作を各出力先に行わせるように出力制御を実行することができる。
【0294】
図24A〜図24Cは、本実施形態6の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0295】
図24A〜図24Cに示すとおり、出力内容決定テーブルは、上述の各実施形態と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0296】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0297】
さらに、本実施形態では、「003:生体測定部20」が出力先として選択された場合、出力情報選択部32は、「003:生体測定部20」の出力動作コードに関連付けられている出力内容を含む出力情報を、生体測定部20に引き渡す。
【0298】
例えば、生体測定部20が「状態B(=心臓発作)」を出力し、出力先選択部31から「出力動作コード:B003」が選択された場合、出力情報選択部32は、疾患「心臓発作」についてより正確な状態測定を実行するように、生体測定部20に指示する。具体的には、図24Aに示すとおり、出力情報選択部32は、測定項目を「心臓発作」と指定する情報と、生体の状態測定を指示する信号とを生体測定部20に対して送信する出力情報として選択する。生体測定部20が上述の内容を含む出力情報を受信すると、測定項目「心臓発作」に係る測定処理(サブルーチン)を実行する。詳細には、属性情報決定部21は、受信された出力情報に基づいて、測定項目「心臓発作」を決定する。そして、アルゴリズム選択部22は、「心臓発作」について判定を行うためのアルゴリズムを選択する。状態測定部23は、上記アルゴリズムにしたがって、被験者に装着された生体センサから得られた生体信号情報d1を分析し、「心臓発作」について、より正確で精度良い判定を実施する。例えば、選択されたアルゴリズムにしたがって、発作の重症度、心雑音の分析などが実施されてもよい。
【0299】
あるいは、生体監視装置1は、生体(高齢者)の状態、判定された状況に応じて、以下のような出力制御を実行することができる。なお、本実施形態では、生体監視装置1が備える入力操作部13(図1、図14)は、これを装着する高齢者が緊急事態を自ら訴えるための緊急ボタンと、緊急事態との誤作動が生じた場合に問題ないことを通知するための確認ボタンとを含んでいる。
【0300】
例えば、生体測定部20が「状態G(=センサ不備)」を出力し、出力先選択部31から「出力動作コード:G004」が選択された場合、出力情報選択部32は、装置本体スピーカ(004)に対して出力する出力情報として、「警告音信号」と「音声案内」とを選択する。音声案内の音声データには、心音を測定する音センサ2bの装着状態を被験者に確認させる内容と、被験者に現在の状態の入力させる内容とがメッセージとして含まれている。これらの出力情報が出力情報選択部32によって選択されると、出力部15としての装置本体スピーカは、出力情報としての「警告音信号」と「音声案内」とを出力し、被験者に注意を喚起する。
【0301】
被験者は、出力された警告音と音声案内とによって、生体センサの装着不良に気づくことができる。また、被験者は、音声案内にしたがって、生体監視装置1に備えられている入力操作部13としての確認ボタンまたは緊急ボタンを操作して自身の現在の状態を生体監視装置1に入力することができる。
【0302】
上記構成によれば、生体センサの装着不良を直し、常に正しい測定が行われるように生体監視システム100の状態を維持することが可能となる。また、万一装着不良が原因でなく、非常事態が起こっている場合でも、そのような非常事態が見過ごされることを防止することが可能となる。
【0303】
本実施形態の出力先選択部31は、図23に示すとおり、正常な状態である「状態E」と、SASの疑い「状態I」とを除く、何らかの異常が発生した場合には、遠隔地家族通信端末装置(009)が出力先として常に選択する構成となっている。さらに、出力情報選択部32は、遠隔地家族通信端末装置(009)に出力情報を出力する場合には、判定された状態の非常性に応じて、出力内容を柔軟に変更することができる。これにより、例えば、図24A〜Cに示すとおり、出力動作制御部30は、「緊急通知」、「警報通知」、「注意通知」などのように、緊急度を変更してメールを送信することが可能となる。
【0304】
上述のとおり、本実施形態では、心拍数および呼吸数について、それぞれの多値の測定結果に基づいて、高齢者Hの状態(発症の疑いがある疾患など)が、より詳細に総合的に判断される。出力動作制御部30は、総合的な判断(例えば、予測される疾患、状況)に応じて、適切な出力先と出力内容とを選択する。これにより、生体の状態、事態の非常性に応じて、よりきめ細やかに、より適切に出力動作の制御を行うことができるという効果を奏する。
【0305】
≪実施形態7≫
本実施形態7における患者見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、在宅(あるいは、病院、施設)などで補助を受けながら生活する患者である。図2を参照して、本実施形態の患者見守りシステムは、患者Hそれぞれに装着される生体センサとしてのパルスオキシメータ3と、同じ患者それぞれが装備する生体監視装置1と、情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0306】
図2に示すとおり、本実施形態では、パルスオキシメータ3は、患者Hの指先に装着され、被験者の指先を透過した結果生じる透過光の光量のデータを取得し、光量に基づいて計測された患者Hの経皮的動脈血酸素飽和度(SpO)と、脈拍数と、脈波伝播速度とを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。
【0307】
生体監視装置1の生体測定部20は、パルスオキシメータ3から受信した生体信号情報d1を分析して患者Hの状態を測定する。本実施形態では、具体的には、生体測定部20は、生体信号情報d1に含まれる、「脈拍数」、「酸素飽和度」、「脈波伝播速度」を検出し、患者Hの状態を測定する。出力動作制御部30は、生体測定部20によって導出された測定結果情報d2に応じて適切に出力動作を制御する。生体測定部20の動作については後に詳述する。
【0308】
さらに、本実施形態7の生体監視装置1の出力動作制御部30は、図1および図14に示すとおり、出力動作変更部33を備えている。出力動作変更部33は、出力方法記憶部41に記憶されている出力動作変更テーブルにしたがって、出力先選択部31および出力情報選択部32が決定した出力先また出力内容を、状況に応じて変更するものである。出力動作変更部33の動作については後に詳述する。
【0309】
なお、本実施形態では、生体監視装置1は、図1、14に示す出力部15の一例として、青色LEDおよび赤色LEDを備えている。
【0310】
本実施形態7における患者見守りシステムは、報知動作を実行する情報出力装置110として、以下の装置を含んでいる。上記患者Hが居住する家宅に設置される報知装置(図示せず)が備える2つの発光装置117、スピーカ114、および、モニタ装置116である。具体的には、発光装置117は、青色LEDおよび赤色LEDの2つのLEDで実現される。
【0311】
さらに、上記家宅が加入する警備サービスの提供者(施錠システム会社)に設置される端末装置(例えば、ノートパソコン111など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記家宅に同居していない遠隔地にいる、上記患者Hの家族が所有する通信端末装置(携帯電話機112など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、患者Hが加入する福祉施設あるいは後見人が所有する通信端末装置(ノートパソコン111、携帯電話機112など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、患者Hが通う病院の担当医師が所有する通信端末装置(例えば、携帯電話機112、携帯端末装置113、電子手帳など)も情報出力装置110に含まれる。さらに、上記家宅に設置される電話機115も情報出力装置110に含まれる。電話機115は、生体監視装置1と通信する機能を備え、生体監視装置1から受信した情報を文字情報に換えて、FAXまたは電子メールにて119番通報する機能を有する。
【0312】
あるいは、患者Hが在宅ではなく、病院施設に入院している場合には、上述の各種情報出力装置110の代わりに、患者Hの病棟のナースステーションに設置されているモニタ装置116、ナースコール(スピーカ114)、患者Hの病室前の通路に設置されたモニタ装置116が情報出力装置110として含まれていてもよい。
【0313】
上述した出力部15および情報出力装置110のぞれぞれは、生体監視装置1の出力動作制御部30が実施する出力制御にしたがって、患者Hの状態に関して報知動作を実行する。
【0314】
次に、本実施形態7における生体測定部20の動作を説明する。まず、生体測定部20は、患者Hに装着されたパルスオキシメータ3から、生体信号情報d1を取得する。属性情報決定部21は、あらかじめ、属性情報「測定項目」を、第1に「脈拍数」、第2に「酸素飽和度」、および、第3に「脈波伝播速度」と決定している。「測定項目:脈拍数」は、被験者である患者Hの脈拍数を基準値と比較して、患者Hの脈拍数がどのような状態であるのかを測定することを指定している。「測定項目:酸素飽和度」は、被験者の血中酸素飽和度を基準値と比較して、測定時の酸素飽和度が基準値に到達しているか否かを測定することを指定している。「測定項目:脈波伝播速度」は、被験者である患者Hの平常時の脈波伝播速度と比較して、測定時の脈波伝播速度が速くなっていないかを測定することを指定している。アルゴリズム選択部22は、決定された3つの「測定項目」に基づいて、患者Hの状態を判定するための最適なアルゴリズムを選択し、状態測定部23に引き渡す。
【0315】
本実施形態では、状態測定部23は、3つの測定項目それぞれについて選択されたアルゴリズムにしたがって、以下のような、測定結果をそれぞれ出力する。
【0316】
すなわち、まず「測定項目:脈拍数」について、患者Hの脈拍数が、基準値未満で異常な状態(=脈拍遅過ぎ)であるのか、基準値を満たして正常な状態(=脈拍正常)であるのか、基準値以上で異常な状態(=脈拍速過ぎ)であるのかを判定する。次に、状態測定部23は、「測定項目:酸素飽和度」について、基準値未満で異常な状態(=酸素飽和度低下)であるのか、基準値以上で正常な状態(=酸素飽和度正常)であるのかを判定する。次に、状態測定部23は、「測定項目:脈波伝播速度」について、脈波伝播速度が平常時に比べて速くなっているのか(=脈波伝播速度速過ぎ)、否か(=脈波伝播速度正常)を判定する。
【0317】
本実施形態では、状態測定部23は、3つの測定項目それぞれについて異常な状態を検出した場合、測定項目ごとにその異常な状態を出力する。すなわち、状態測定部23は、「脈拍遅過ぎ」を検出した場合、「状態A(=脈拍遅過ぎ)」を測定結果情報d2として出力する。あるいは、「脈拍速過ぎ」を検出した場合、「状態C(=脈拍速過ぎ)」を出力する。そして、「酸素飽和度低下」を検出した場合、「状態D(=酸素飽和度低下)」を出力する。さらに、「脈波伝播速度速過ぎ」を検出した場合、「状態E(=脈波伝播速度速過ぎ)」を出力する。
【0318】
一方、本実施形態では、状態測定部23は、3つ測定項目について、すべて正常であると判定した場合には、測定項目それぞれについて正常であることを示す測定結果を出力するのではなく、1種類の状態、すなわち、「状態B(=正常)」に統一して出力する。正常について、出力結果を1つに統一することにより、正常な場合の出力動作をより簡素化することができる。
【0319】
最終的に、状態測定部23は、「状態A」、「状態C」、「状態D」および「状態E」少なくともいずれか1つを含む測定結果情報d2か、または、「状態B」を含む測定結果情報d2かを出力動作制御部30に対して供給する。
【0320】
以上のように、本実施形態の生体測定部20は、1種類の生体センサ(パルスオキシメータ3)から複数の生体パラメータを取得することにより、複数の測定項目について測定を実行することができる。
【0321】
次に、図25、ならびに、図26A〜図26Cを参照しながら、本実施形態7における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0322】
図25は、本実施形態7の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0323】
図25に示すとおり、出力先決定テーブルは、「出力先」ごと、かつ、「状態」ごとに特定されるセルに、「出力動作コード」が格納される構造になっている。なお、患者Hが自宅にいる場合には、出力先IDが「012」〜「014」の各行の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてもよい。あるいは、患者Hが自宅ではなく病院に入院している場合には、出力先IDが「003」〜「007」、「009」〜「011」の各行の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてもよい。また、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0324】
図25に示す例では、「出力先ID」と「状態」とによって特定される各セルに「出力動作コード」が格納されている。「出力動作コード」は、実施形態1等と同様に、「出力先ID」と「状態」との組み合わせによって、出力動作制御部30が実施すべき出力動作を一意に特定する。
【0325】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。
【0326】
状態測定部23がすべての測定項目において正常であると判定した場合には、出力先選択部31は、最も安全な状況であると判断し、図25に示すとおり、「001:装置本体青色LED」、および、「003:報知装置青色LED」を出力先として選択する。そして、出力動作制御部30は、これらの装置に、正常な状態である旨を簡単に報知させる出力制御を実行する。一方、これ以外の何らかの異常が認められた場合には、患者Hが危険な状況にあると判断し、出力先選択部31は、それぞれの異常の状態「状態A」、「状態C」、「状態D」および「状態E」に応じて、出力先を選択する。つまり、非常事態時に備える各者、各団体に所属する情報出力装置110に出力情報を送信することを決定する。これにより、出力動作制御部30は、患者Hが正常な状態である場合には、出力先を少なくして報知動作を簡素化する一方、患者Hに何らかの異常が認められた場合には、より多くの出力先に対して詳細な出力情報を送信し、非常事態に備えた適切な報知動作を各出力先に行わせるように出力制御を実行することができる。
【0327】
図26A〜図26Cは、本実施形態7の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0328】
図26A〜図26Cに示すとおり、出力内容決定テーブルは、上述の各実施形態と同様に、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0329】
図26Aおよび図26Bは、患者Hが在宅介護を受けている場合の患者見守りシステムに適した出力内容決定テーブルの内容を示す。図26Cは、患者Hが病院に入院している場合の患者見守りシステムに適した出力内容決定テーブルの内容示す。図26Cに示す出力内容は、何らかの異常が検知された「状態A」、「状態C」、「状態D」および「状態E」のいずれにも共通する内容となっている。
【0330】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0331】
具体例を用いて説明すると以下のとおりである。例えば、状態測定部23が、患者Hの状態を「状態A」と判定した場合、出力情報選択部32は、図26Aの出力内容決定テーブルにしたがって、出力先ID「002、004、005、006、007、009、および、010」の出力先の装置それぞれに対して送信する出力内容を決定する。
【0332】
さらに、本実施形態では、出力動作制御部30が、出力先選択部31および出力情報選択部32による決定内容に基づいて出力情報を送信するのに先行して、出力動作変更部33が、出力動作変更テーブルにしたがって、必要な動作変更を実施する。
【0333】
図27は、本実施形態7の出力方法記憶部41に記憶される出力動作変更テーブルの一例を示す図である。
【0334】
図27に示すとおり、出力動作変更テーブルは、状況に応じて出力動作を変更しなければならないものについて、「出力動作コード」ごとに、「出力タイミング」と、「出力動作変更」とが対応付けて格納されている構造である。「出力タイミング」のカラムには、「出力動作コード」にかかる出力動作を出力動作制御部30が実行すべきタイミング、あるいは、条件が格納されている。「出力動作変更」のカラムには、実行すべきタイミングが来た時点で、「出力動作コード」にかかる出力動作の内容をどのように変更するのかを指示する内容が格納される。
【0335】
上述の具体例を用いて説明する。出力動作変更部33は、出力先選択部31によって選択された出力動作コード「A002、A004、A005、A006、A007、A009、および、A010」のうち、図27の出力動作変更テーブルにて指定されている「A007、A009、および、A010」の出力動作について実行を見送る判断をする。なぜなら、出力動作変更テーブルにおいて、出力タイミングが規定されており、「A002、A004、A005、A006」と同時に出力情報が出力されるのが好ましくないからである。
【0336】
出力動作制御部30は、出力動作変更部33の決定にしたがって、まず、「A002、A004、A005、A006」の出力動作を実行する。出力内容は、図26Aの出力内容決定テーブルに示すとおりである。そして、図26Aに示す「A005」の異常通知、または、「A006」の音声案内に基づいて、患者Hまたは周囲のユーザは、患者Hの状態に異常がなければ、生体監視装置1に備わっている確認ボタンを押下する。
【0337】
出力動作変更部33は、生体監視装置1の確認ボタンが押下されたことを受けて、出力動作変更テーブルに規定された出力タイミングに至ったことを検知する。そして、出力動作変更部33は、出力動作変更テーブルにおいて、検知した「出力タイミング」に対応付けられている「出力動作変更」の内容にしたがって出力動作を変更する。図27に示す例では、対応付けられているのは、出力情報を送信しない旨の命令文である。したがって、出力動作変更部33は、出力動作コード「A007、A009、および、A010」の出力動作を中止することを決定する。
【0338】
これにより、図26Aに示される、緊急連絡先への通知は中止される。患者Hが正常であることが確認ボタンの押下によって確認された場合、こうした緊急連絡先への通知は不要となる。このように、出力タイミング(条件)を出力動作変更部33によって制御することにより、不要な報知動作が実行されることを防止することが可能となる。
【0339】
一方、患者Hが意識不明などの重篤な状態に陥っている場合、周囲に人がいなければ、自分自身で緊急ボタンを押せない可能性もある。そこで、報知装置が「A005」および「A006」の報知動作を実行してから○○秒の間、生体監視装置1に対して何の操作もされなかった場合に、出力動作変更部33は、出力動作変更テーブルに規定された出力タイミングに至ったことを検知する。そして、出力動作変更テーブルにおいて、検知した「出力タイミング」に対応付けられている「出力動作変更」の内容にしたがって出力動作を変更する。図27に示す例では、対応付けられているのは、出力内容を変更せずに出力情報を送信する旨の命令文である。したがって、出力動作変更部33は、図26Aの出力内容決定テーブルにて規定されたとおりに、出力動作コード「A007、A009、および、A010」の出力動作を実行することを決定する。このように、出力タイミング(条件)を出力動作変更部33によって制御することにより、緊急時にのみ必要な報知動作が実行されるように制御することが可能となる。
【0340】
結果として、測定対象(生体)の身体状況を見守り、測定された生体の状態に応じて、測定結果の出力動作をさらに適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0341】
≪実施形態8≫
〔生活環境監視システムの概要〕
上述の各実施形態では、主に生体の異常状態に備える用途での生体監視システム100について説明した。しかしながら、本発明の生体監視システム100、および、生体監視装置1は、健康な生活者の状態を日常的に見守る用途にも用いることが可能である。
【0342】
本実施形態8における生活者見守りシステム(生体監視システム100)では、図2における被験者Hは、自宅等屋内で生活する生活者Hである。図2を参照して、本実施形態の生活者見守りシステムは、生活者Hに装着される生体センサとしての心電計8と、同じく生活者Hが装備する生体監視装置1と、生活者Hが生活する屋内に設置される情報出力装置110とを含む構成となっている。
【0343】
心電計8は、被験者の心拍周期に基づいて自律神経の状態を監視するためのものである。図2に示すとおり、心電計8は、生活者Hの左胸あたりに装着され、生活者の心拍周期情報を取得し、これを生体信号情報d1として生体監視装置1に供給する。
【0344】
本実施形態における生体監視装置1の生体測定部20は、心電計8から取得された心拍周期を周波数解析し、その揺らぎを計測する。より具体的には、測定方法記憶部40に記憶されているアルゴリズムにしたがって、以下の状態測定を実行する。まず、状態測定部23は、解析した結果得られた周波数分布から、成分LFと成分HFとを抽出する。ここで、成分LFとは、0.04〜0.15Hzの周波数帯に含まれる成分であり、この周波数帯域は、興奮状態である交感神経が優位であることを表す(交感神経と副交感神経とが活動)。成分HFとは、0.2〜0.4Hzの周波数帯に含まれる成分であり、この周波数帯域は、リラックス状態である副交感神経が優位であることを表す(副交感神経が活動)。状態測定部23は、これらの成分LFと成分HFとを抽出すると、次に、パワー比(LF/HF比)を計算する。
【0345】
そして、状態測定部23は、LF/HF≦2のときに、被験者は、副交感神経が優位でリラックス状態または中間の状態であると判定する。LF/HF>2のときに、被験者は、交感神経が優位で興奮状態またはストレス状態であると判定する。なお、LF/HF比の閾値を「2」としたが、これは一例であり、成分LFおよび成分HFの測定方法に応じて、最適な閾値が決定される。
【0346】
状態測定部23は、前者の場合に、「状態A(=リラックス状態)」を測定結果情報d2として出力動作制御部30に出力し、後者の場合に、「状態B(=ストレス状態)」を出力する。
【0347】
生体監視装置1は、上述のとおり、心電計8からの生体信号情報d1に基づいて生活者Hの状態を測定し、測定結果に応じて、情報出力装置110の報知動作を制御する。生体監視装置1は、報知動作を行わせる出力部15(図1、図14)の一例として、モニタ装置116およびスピーカ114を備えている。
【0348】
また、本実施形態における生体監視システム100は、情報出力装置110として、生活者Hの居住空間に設置されている報知装置が備える、モニタ装置116と、スピーカ114とを含む。上述の各情報出力装置110は、生体監視装置1と通信する機能を備えている。
【0349】
これらの各情報出力装置110は、生体監視装置1の出力動作制御部30の出力制御にしたがって、報知動作を実行する。
【0350】
なお、生活者Hの居住空間には、さらに、図示しない家電機器(エアコン、イオン発生器、オーディオ、照明など)が設置されている。これらは、生体監視装置1と通信し、生体監視装置1の制御に基づいて、自器が備える機能を果たしてもよい。
【0351】
〔生体監視装置1の構成(生体監視機能)〕
本実施形態8における出力動作制御部30の構成は、図1または14に示す出力動作制御部30の構成と同様である。したがって、ここでは説明を繰り返さない。次に、図28、および、図29を参照しながら、本実施形態8における出力方法記憶部41に記憶される各テーブルのデータ構造および出力動作制御部30の各部の動作について詳細に説明する。
【0352】
図28は、本実施形態8の出力方法記憶部41に記憶される出力先決定テーブルの一例を示す図である。
【0353】
図28に示すとおり、出力先決定テーブルは、一例として、「出力先」ごと、かつ、状態測定部23が出力する「状態」ごとに特定されるセルに、当該出力先に出力情報を送信すべきか否かを示す情報が格納される構造になっている。なお、テーブルの最終行に示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0354】
図28に示すとおり、「出力先ID」と「状態」とによって特定される各セルには、「出力動作コード」が格納されている。この「出力動作コード」が格納されていることが、対応する出力先に上記出力情報を送信すべきであることを示している。
【0355】
例えば、出力先選択部31は、状態測定部23が「状態A(=リラックス状態)」を出力した場合、「出力動作コード」が格納されているセルに対応する「003:報知装置モニタ装置」を、出力情報の出力先として選択する。一方、状態測定部23が「状態B(=ストレス状態)」を出力した場合には、候補の出力先すべて「001〜004」を出力先として選択する。
【0356】
出力先選択部31は、「状態」に応じて特定された「出力動作コード」を出力情報選択部32に伝達する。
【0357】
図29は、本実施形態8の出力方法記憶部41に記憶される出力内容決定テーブルの一例を示す図である。
【0358】
図29に示すとおり、出力内容決定テーブルは、一例として、「出力動作コード」ごとに、そのコードが示す「出力先」に対して送信するべき出力情報の内容「出力内容」を対応付けて格納する構造になっている。なお、テーブルの第3カラムに示された「状況」の情報は、実際にはこのテーブルに含まれていなくてよい。
【0359】
出力情報選択部32は、出力先選択部31から伝達された「出力動作コード」に対応付けられている「出力内容」を特定し、どの「出力先」に対して、どの「出力内容」を含む出力情報を送信するのかを決定する。
【0360】
出力動作制御部30は、出力先選択部31および出力情報選択部32により決定された決定事項に基づいて通信部14および出力部15を制御することにより、出力動作の制御を行う。
【0361】
例えば、図29に示す具体例に基づいて、出力情報選択部32の動作を説明すると以下のとおりである。状態測定部23が、生活者Hの精神状態を「リラックス状態」と判定し、出力先選択部31から、出力動作コード「A003」が供給された場合、出力情報選択部32は、「003:報知装置モニタ装置」に出力する「出力内容」として、図29に示すメッセージを選択する。出力動作制御部30が、このメッセージを含む出力情報を報知装置に送信すると、報知装置は、自装置のモニタ装置116に上記メッセージを表示することが可能となる。ここでは、生活者Hがリラックス状態にあるので、それを妨げることが無いように、音による報知動作は行わない。このように、出力動作制御部30は、生活者Hの状態に応じて出力先を制限することにより、生活者Hの精神健康状態および生活環境を良好な状態に維持することができる。
【0362】
一方、状態測定部23が、生活者Hの精神状態を「ストレス状態」と判定し、出力先選択部31から、出力動作コード「B001〜B004」が供給された場合、状態測定部23は、「001〜004」の各出力先に出力する「出力内容」を、図29に示す出力内容決定テーブルの中から選択する。例えば、出力情報選択部32は、小型の生体監視装置1が備えるモニタ装置(出力先ID:001)に対して送信する出力情報としては、「ストレス度」と、リラックスするための提案を簡単に記載した「メッセージ」とを選択する。また、比較的豊富な情報量を表示できる報知装置のモニタ装置(出力先ID:003)に対して送信する出力情報としては、上記の出力内容に加えて、リラックスするために居住空間の環境をどのように変更すればよいのかを提案する「各家電の推奨設定内容」を選択する。
【0363】
また、生体監視装置1、設置型の報知装置の各装置からは、チャイム音が出力されるように、出力情報選択部32は、チャイム音を出力することを指示する「チャイム音信号」を各スピーカに送信する。
【0364】
これにより、生活者Hは、自身の精神状態が良好でないことに気づくことができるとともに、報知装置のモニタ装置(003)に表示された「各家電の推奨設定内容」にしたがって、居住空間の環境を整え、気分転換を図ることができる。
【0365】
さらに、出力動作制御部30は、上記「各家電の推奨設定内容」の設定を受け入れるか否かを生活者Hに問い合わせる「GUI画面」を、報知装置のモニタ装置に表示させてもよい。生活者Hが、モニタ装置(003)に表示されたGUI画面を操作してOKボタンを押下すると、生体監視装置1は、モニタ装置(003)が操作されたことを検知する。そして、生体監視装置1の出力動作制御部30は、推奨された各家電機器の設定にしたがって動作するように指示信号を各家電機器に送信する。例えば、エアコンは、設定温度を0.5度下げて、湿度を1%下げることにより、居住空間の温度と湿度とを快適に保つことができる。
【0366】
上記構成によれば、生体測定部20が測定対象(生体、ここでは、生活者)の身体状況を見守り、出力動作制御部30が、測定された生活者の状態(リラックスしているか、ストレスを感じているか)に応じて、出力先と出力情報の内容とを柔軟に変更することができる。結果として、生体監視装置1は、測定内容に応じて、測定結果をどこにどのようにして出力するのかという出力動作を適切に制御することが可能になるという効果を奏する。
【0367】
なお、上述の各実施形態では、出力方法記憶部41は、意思決定のための情報をテーブル形式にて記憶するものとしたが、本発明の生体監視装置1の構成はこれに限定されない。出力方法記憶部41が記憶する情報は、出力動作制御部30の各部が意思決定できるように各種情報が関連付けられていればよく、そのデータ形式は図示した例には限定されない。
【0368】
なお、生体監視装置1の各ブロック、特に、生体測定部20および出力動作制御部30は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0369】
すなわち、生体監視装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである生体監視装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記生体監視装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0370】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0371】
また、生体監視装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0372】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0373】
すなわち、本発明は、被験体の生体パラメータを取得する取得処理手段と、任意の測定項目に対して前記生体パラメータから前記被験体の状態を判定する状態判定手段と、前記状態判定手段の判定結果に基づいて、出力先および/または出力情報を制御する出力制御手段とを備えた生体監視システムである。
【0374】
状態の判定は、正常か異常かの2値で判定されてもよい。あるいは、状態の判定は、状態のレベルを多値化して行われてもよい。あるいは、状態の判定は、複数の生体パラメータを扱う場合に、2値と多値とを組み合わせて行われてもよい。
【0375】
上記判定結果に基づく出力制御について、出力制御を直ちに行わず、一定時間、判定されたその状態が続いた場合に限って、出力制御が行われてもよい。
【0376】
出力先および/または出力情報を制御する出力制御とは、脈拍数などを直接モニタに出力することを含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0377】
本発明に係る生体監視装置は、人々の心身の健康状態を把握するための測定装置として機能するとともに、測定した状態に応じてその内容をユーザまたは外部の装置へ出力する監視装置としても機能する。したがって、監視対象となる生体の状態を見守るための健康機器の一つとして広く社会において使用されるものである。
【符号の説明】
【0378】
1 生体監視装置
2 音センサ(生体センサ)
2a 音センサ(生体センサ)
2b 音センサ(生体センサ)
3 パルスオキシメータ(生体センサ)
4 脈波センサ(生体センサ)
5 体温計(生体センサ)
6 加速度センサ(生体センサ)
7 GPSセンサ(生体センサ)
8 心電計(生体センサ)
10 制御部
11 記憶部
12 センサ通信部
13 入力操作部
14 通信部
15 出力部(情報出力部)
20 生体測定部(生体測定手段)
21 属性情報決定部(属性情報決定手段)
22 アルゴリズム選択部(アルゴリズム選択手段)
23 状態測定部(状態測定手段)
30 出力動作制御部(出力制御手段)
31 出力先選択部(出力先選択手段)
32 出力情報選択部(出力情報選択手段)
33 出力動作変更部(出力動作変更手段)
40 測定方法記憶部
41 出力方法記憶部
42 個人情報記憶部
100 生体監視システム
110 情報出力装置(情報出力部)
111 ノートパソコン(情報出力部)
112 携帯電話機(情報出力部)
113 携帯端末装置(情報出力部)
114 スピーカ(情報出力部)
115 電話機(情報出力部)
116 モニタ装置(情報出力部)
117 発光装置(情報出力部)
120 情報供給装置
121 サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定手段と、
上記生体測定手段によって導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御手段とを備え、
上記出力制御手段は、
上記生体測定手段によって導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴とする生体監視装置。
【請求項2】
上記出力制御手段は、
上記測定結果情報の内容に応じて、該測定結果情報に係る報知動作を実行させる情報出力部を選択する出力先選択手段と、
上記出力先選択手段によって選択された各情報出力部に報知させる出力内容をそれぞれ選択する出力情報選択手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の生体監視装置。
【請求項3】
上記生体測定手段は、
上記生体信号情報を分析して、上記生体の状態が、予め定義されたいずれの状態に属するのかを判定し、判定した状態を示す2値以上の多値情報を含む測定結果情報を出力する状態測定手段を含み、
上記出力先選択手段は、
上記状態測定手段が判定する状態ごとに上記情報出力部を関連付けた出力先決定テーブルを参照することにより、上記報知動作を実行させる情報出力部を選択し、
上記出力情報選択手段は、
上記状態測定手段が判定する状態ごと、かつ、出力先の情報出力部ごとに出力内容を関連付けた出力内容決定テーブルを参照することにより、選択された情報出力部ごとに、出力内容をそれぞれ選択することを特徴とする請求項2に記載の生体監視装置。
【請求項4】
上記状態測定手段は、
上記生体の状態が、第1の状態であるか、第2の状態であるかを判定し、判定された状態を示す2値情報を含む測定結果情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の生体監視装置。
【請求項5】
上記状態測定手段は、
上記生体の状態について、上記生体が発症した症状または重症度を判定し、判定された状態を示す多値情報を含む測定結果情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の生体監視装置。
【請求項6】
上記状態測定手段は、
生体のどのような状態を測定したいのかを示す測定項目ごとに、当該測定項目に係る上記生体の状態を示す測定結果情報をそれぞれ出力することを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の生体監視装置。
【請求項7】
上記状態測定手段は、
生体のどのような状態を測定したいのかを示す測定項目ごとに、当該測定項目に係る上記生体の状態を判定し、上記測定項目ごとに判定された状態を総合して、上記生体の状態を示す1つの測定結果情報を出力することを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の生体監視装置。
【請求項8】
上記情報出力部は、自装置または外部の装置が備える表示部であり、
上記出力情報選択手段は、
上記生体信号情報、または、該生体信号情報を分析した結果得られた値を、上記表示部に表示させる出力内容として選択することを特徴とする請求項2から7までのいずれか1項に記載の生体監視装置。
【請求項9】
上記出力制御手段は、さらに、
上記生体測定手段によって導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部に報知動作を実行させるタイミングを指定する出力動作変更手段を含み、
上記出力動作変更手段は、
上記生体測定手段によって、上記生体の状態が異常であることを示す測定結果情報が所定期間継続して導出された場合にのみ、上記出力制御手段による報知動作の制御を開始することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の生体監視装置。
【請求項10】
上記生体測定手段の上記状態測定手段は、上記生体に装着された生体センサによって取得された上記生体の生体信号情報を分析するものであり、
上記生体測定手段は、さらに、
生体センサの属性情報ごとに、上記状態測定手段が実行する分析および判定の手順を規定するアルゴリズムを記憶する測定方法記憶部から、上記生体に装着された生体センサの属性情報に対応付けられたアルゴリズムを選択して取得するアルゴリズム選択手段を含み、
上記状態測定手段は、
上記アルゴリズム選択手段によって選択されたアルゴリズムにしたがって上記生体信号情報を分析し、上記生体の状態を判定することを特徴とする請求項3に記載の生体監視装置。
【請求項11】
上記生体測定手段は、さらに、
(1)上記生体センサが生体のどこに装着されているかを示す「装着位置」、(2)上記生体センサで生体のどの部位を測定したいのかを示す「測定部位」、および、(3)上記生体センサで生体のどのような状態を測定したいのかを示す「測定項目」のうち、少なくとも1つを、上記生体センサの属性情報として決定する属性情報決定手段を含み、
上記アルゴリズム選択手段は、上記属性情報決定手段によって決定された属性情報に対応付けられたアルゴリズムを上記測定方法記憶部から選択することを特徴とする請求項10に記載の生体監視装置。
【請求項12】
上記生体測定手段は、
上記生体信号情報に加えて、情報供給装置から供給、または、自装置に直接入力された外部取得情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出することを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の生体監視装置。
【請求項13】
生体から取得された少なくとも1つの生体信号情報を用いて、上記生体の状態を示す測定結果情報を導出する生体測定ステップと、
上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報が示す上記生体の状態を報知する1または複数の情報出力部の報知動作を制御する出力制御ステップとを含み、
上記出力制御ステップでは、
上記生体測定ステップにて導出された測定結果情報の内容に応じて、上記情報出力部の報知動作を制御することを特徴とする生体監視方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から12までのいずれか1項に記載の生体監視装置の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−85906(P2012−85906A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236400(P2010−236400)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】