説明

生体細胞の培養容器及び培養装置

【課題】培養液中の溶存酸素濃度やpHといった条件を高感度に検出する。
【解決手段】容器本体部と、上記容器本体部の内部に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液を撹拌する撹拌手段と、上記容器本体部の内壁に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液の溶存酸素濃度又はpHを測定する検出素子とを備え、上記検出素子は、上記撹拌手段が培養液を撹拌することで生じた培養液流が上記容器本体の内壁に衝突する位置に配設されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体細胞を培養するための培養容器及び当該培養容器を搭載する培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体細胞の培養では、目的生産物の生産性向上のために安価にかつ安全に培養することが望まれている。従来の手法では、ステンレス材で作られた培養槽を使用するもので、培養槽内部を殺菌するための蒸気供給装置や、内部を洗浄するための洗浄手段等の多種類の付帯設備が必須であり、必然的に製品コスト増加を招いた。製造コスト低減に有効な培養手法としてシングルユース容器類を使用する方法がある。培養槽や培地用タンクなどの容器類をシングルユース化することによってこれらを滅菌するための滅菌システムや洗浄を行うための洗浄システムが不要となり、生産コストの低減が期待される。また、生産対象物を変更する際にも前生産物残留による汚染の恐れがなく、安全性の向上も図ることができる。特許文献1には、壁体が変形可能である装置を備えたバイオリアクタに関する記載がある。特許文献2には、培養バッグ内の細胞の画像から培養状況を判定して制御する手段を備えた培養装置が記載されている。特許文献3には、培養バッグの培養液を撹拌するための振盪装置が記載されている。特許文献4には、バイオリアクタに接続されている液移送配管にセンサを配置した使い捨てバイオリアクタが記載されている。特許文献5には、通気スパージャと泡制御手段と折り畳み可能な袋体容器と袋体を収容する支持体とからなるバイオリアクタが記載されている。
【0003】
これら従来の手法は、旧来より使用されてきた血液バッグや点滴液用バッグ等の技術を応用し、バイオリアクタとして使用するのに不可欠な機能を付加する方法で開発されてきたものである。このため、シングルユースのバイオリアクタの多用はコストの低減には大きく寄与しているものの、反面、使用開始前の準備や使用終了後の撤去等に運転員の作業量が増加する結果をもたらしている。すなわち、シングルユースのバイオリアクタについては使い勝手や培養の制御について更なる改良が必要である。
【0004】
特に、生体細胞の培養プロセスにおいて、培地中の溶存酸素濃度や培地のpHをモニタリングする必要がある。しかしながら、上述したシングルユースのバイオリアクタについては、培地中の溶存酸素濃度やpH測定を高精度に行う手段の開発、培地中の溶存酸素濃度やpHを測定するための機器等を取り付け手段の開発が十分になされているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-535826公報
【特許文献2】WO07-052716公報
【特許文献3】WO07-052718公報
【特許文献4】特表2009-536520公報
【特許文献5】特表2009-539408公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、培養液中の溶存酸素濃度や溶存二酸化炭素濃度及びpHといった条件を高感度に検出することができる培養容器および培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)容器本体部と、上記容器本体部の内部に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液を撹拌する撹拌手段と、上記容器本体部の内壁に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHを測定する検出素子とを備え、上記検出素子は、上記撹拌手段が培養液を撹拌することで生じた培養液流が上記容器本体の内壁に衝突する位置に配設されたことを特徴とする培養容器。
(2)上記検出素子は、上記本体部の内壁であって上記撹拌手段に対向する位置に配設されたことを特徴とする(1)記載の培養容器。
(3)上記容器本体部は、少なくとも上記検出素子が配設された部分が光学的に透明であることを特徴とする(1)記載の培養容器。
(4)上記容器本体部は、内部の気体を排気した状態で折り畳みを可能にする部材によって構成されていることを特徴とする(1)記載の培養容器。
(5)上記容器本体部の上面に配設された剛性天板を更に備えることを特徴とする(1)記載の培養容器。
(6)上記撹拌部材は、鞘部材と当該鞘部材の外周に配設された撹拌翼とを備え、上記鞘部材の内部に挿入された棒状部材の回転に伴って、これら鞘部材と撹拌翼とが回転することを特徴とする(1)記載の培養容器。
(7)上記容器本体部の上面に配設された剛性天板と、上記剛性天板及び上記容器本体部を貫通して取り付けられた円筒部材とを更に備え、上記鞘部材の一方端部が上記円筒部材に取り付けられたことを特徴とする(6)記載の培養容器。
(8)上記撹拌手段は、回転軸と当該回転軸の外周面に配設された撹拌翼とから構成され、上記回転軸の基端部に配設された磁性カップリング部材により上記回転軸が回転可能であることを特徴とする(1)記載の培養容器。
(9)上記回転軸は、少なくとも一対の摺動部材により支持されていることを特徴とする(8)記載の培養容器。
(10)上記容器本体部の上面に配設された剛性天板と、当該剛性天板に配設され、容器本体部の使用状態における形状に沿った支持部材とを備えることを特徴とする(1)記載の培養容器。
(11)上記(1)乃至(10)いずれかに記載の培養容器と、上記培養容器の撹拌手段に接続され、回転力を伝達する攪拌機駆動モータと、上記培養容器の検出素子と上記培養容器の容器本体部を介して対向する位置に配設された受光/発光部と、上記受光/発光部と接続され、上記培養容器の検出素子から生じた蛍光に基づいて培養液中の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHを測定する測定機器と備える培養装置。
(12)上記測定機器は、位置決め自在に移動可能となるよう位置決め機構に配設されていることを特徴とする(11)記載の培養装置。
(13)上記測定機器にて測定した培養器の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHに基づいて、酸素含有ガス又は二酸化炭素の上記培養容器に対する供給量及びガス分圧若しくは上記撹拌手段による培養液の撹拌条件を調節する制御装置を更に含むことを特徴とする(11)記載の培養装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る培養容器においては、内部に取り付けられた検出素子の汚れを防止し、長期間の培養であっても測定精度の低下を防止することができる。したがって、本発明に係る培養容器によれば、生体細胞を所望の条件下で効率良く培養することができる。
【0009】
また、同様に、本発明に係る培養装置は、上記培養容器を搭載するため、培養容器の内部に取り付けられた検出素子の汚れを防止し、測定精度を低下させることなく長期間にわたって生体細胞を培養することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置における撹拌機構の概要構成図である。
【図3】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置に一例として使用できる回転軸の横断面図である。
【図4】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置に他の例として使用できる回転軸の横断面図である。
【図5】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置に他の例として使用できる回転軸の横断面図である。
【図6】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置に他の例として使用できる回転軸の横断面図である。
【図7】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置に他の例として使用できる回転軸の横断面図である。
【図8】本発明を適用した培養容器及びこれを搭載した培養装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る培養容器及び培養装置について図面を参照して、詳細に説明する。
本発明に係る培養容器は、内部に張り込まれた培養液を撹拌しながら各種の生体細胞を培養するものである。特に、培養容器は、医薬品等の主原料となる物質を生産する細胞の培養に適用することができる。本発明において、生産対象の物質としては、例えば抗体や酵素等のタンパク質、低分子化合物、高分子化合物等の生理活性物質およびウイルスを挙げることができる。また、培養対象の細胞としては、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、細菌、酵母、真菌及び藻類等を挙げることができる。特に、抗体や酵素等のタンパク質を生産する動物細胞を培養対象とすることが好ましい。
【0012】
本発明に係る培養容器は、例えば、図1に示すように、生体細胞を培養するための各種機構を備えた培養装置に搭載されるかたちで提供される。ここで、図1に示す培養装置において、培養容器1は、所謂、使い捨てタイプ(ディスポーザブル・タイプ)であることが好ましい。なお、使い捨てタイプの培養容器とは、通常、1回の使用(培養プロセス)で破棄するものを意味するが、2回以上の培養プロセスに使用する場合も含む意味である。すなわち、使い捨てタイプの培養容器とは、使用回数に限定されず、異なる培養容器に交換可能であることと同義である。
【0013】
本例において、培養容器1は、透明な合成樹脂フィルムで構成された容器本体部を備えている。容器本体部は、例えば、使用形態において直径560mm、培養液張り込み高さ550mm、培養容積100Lの円筒状とすることができる。なお、培養容器1は、内部に滅菌された気体を充填することで使用形態とすることができる。また、培養容器1は、使用前は容器本体部の内部の気体がほぼ抜かれて折りたたまれた状態とすることができる。すなわち、培養容器1は、容器本体部の内部の気体をほぼ抜かれた状態とすることで嵩を低くできるため、保管や輸送に好適な形状となる。
【0014】
より具体的に、培養容器1は、図2に示すように、容器本体部の内部に鞘部材31と、鞘部材31の長さ方向における所定の位置に取り付けられた撹拌翼2a及び2bと、容器本体部の内壁にであって回転翼2bと対向する位置に取り付けられた検出素子3fと、容器本体部の外部上面に取り付けられた剛性天板6と、剛性天板6に取り付けられた支持部材5と、剛性天板6に取り付けられた回転シール部材33と、回転シール部材33に挿入され、鞘部材の上端部を取り付けた円筒部材32とから構成されている。
【0015】
検出素子3fは、例えば、培養液7に含まれる溶存酸素濃度又は培養液7中の溶存二酸化炭素濃度又は培養液7のpHに依存して異なる強度の蛍光を生じる蛍光体と、当該蛍光体を覆い水分と光を遮断し、分子状の酸素を透過する機能を有する膜状部材等とを備えている。このような検出素子3fとしては、培養液7に含まれる溶存酸素濃度を検出するものとして、タイテック株式会社製の商品名:SP-PSt3-NAU-D5、SP-PSt3-YAU-D5、SP-PSt6-NAU-D5及びSP-PSt6-YAU-D5を使用することができ、培養液7の溶存二酸化炭素濃度を検出するものとして、タイテック株式会社製の商品名: SP-CD1-D5-rMy-USを使用することができ、培養液7のpHを検出するものとして、タイテック株式会社製の商品名: SP-HP5-D5を使用することができる。
【0016】
支持部材5は、培養容器1内部にガスを充填して使用可能な形状となったときに、培養容器1の外面形状に沿った形状の板状部材である。なお、支持部材5及び剛性天板6は、内部の気体がほぼ抜かれて折りたたまれた状態の培養容器1に対して、梱包作業、輸送作業、開包作業及び展開作業の際に損傷することが無いように外力を吸収して保護する機能を果たす。
【0017】
回転シール部材33は、培養容器1の上面を貫通するように剛性天板6の略中央部に取り付けられている。回転シール部材33は、内部に挿入された円筒部材32を回転可能で且つ気密に保持している。すなわち、円筒部材32は、回転シール部材33の内径とほぼ同径の外径寸法を有している。また、鞘部材31は、培養容器1内部に臨む円筒部材32の端部に気密に取り付けられている。さらに、鞘部材31の端部は封止されている。
【0018】
図1に示した培養装置は、上記のように構成された培養容器1を搭載する機構を有している。すなわち、培養装置は、培養容器1の底面を支持する底面支持カバー16bと、培養容器1の側面を支持する側面支持カバー16sと、培養容器1の側面を支持するとともに開閉可能に取り付けた側面開閉支持カバー16dとを備えている。なお、側面支持カバー16sの内面には、図示しないが、培養容器1の支持部材5を嵌合するための凹溝が高さ方法に形成されている。すなわち、底面支持カバー16b、側面支持カバー16s及び側面開閉支持カバー16dで形成される空間部に培養容器1を収容する際に、培養容器1の支持部材5を側面支持カバー16sの内面に形成された凹溝と嵌合させる。なお、培養装置は、これら底面支持カバー16b、側面支持カバー16s及び側面開閉支持カバー16dを固定する架台19を備えている。
【0019】
また、図1に示した培養装置は、上記のように構成された培養容器1を搭載した状態で、培養容器1内に張り込まれた培養液7にて生体細胞を培養するための各種機構を備えている。すなわち、培養装置は、培養容器1に配設された検出素子3fと対向する位置に取り付けられた受光/発光部3sと、受光/発光部3sに接続された溶存酸素濃度測定器3と、溶存酸素濃度測定器3からの信号を入力する制御装置4とを備えている。受光/発光部3sは、培養容器1の内部に配設された検出素子3fに相対向するような位置に取り付けられる。なお、図1には、培養液7の溶存酸素濃度を測定するための溶存酸素濃度測定器3のみを示したが、培養装置は、培養液の溶存二酸化炭素濃度を測定するための溶存二酸化炭素濃度測定器(図示せず)及び培養液のpHを測定するためのpH測定器(図示せず)を有している。ここで、受光/発光部3sとしては、上記の検出素子3fの蛍光体に対する励起光を照射でき、且つ、当該蛍光体からの蛍光を受光できるものであれば特に限定されない。受光/発光部3sとしては、例えば、タイテック株式会社製の商品名:POF-L2.5-1SMA及びPOF-L2.5-2SMAを使用することができる。また、溶存酸素濃度測定器3としては、受光/発光部3sで受光した蛍光を測定するものであれば特に限定されない。溶存酸素濃度測定器3としては、例えば、タイテック株式会社製の商品名:Fibox3を使用することができる。また、図示しない溶存二酸化炭素濃度測定器としてはタイテック株式会社製の商品名:pCO2- miniを、pH測定器としては、タイテック株式会社製の商品名:pH-1 miniを使用することができる。
【0020】
培養容器1を取り付けた状態で、培養容器1の検出素子3fが側面支持カバー16sに覆われる位置となる場合、側面支持カバー16sは、受光/発光部3sを内容に臨ませるための開口部を有することとなる。受光/発光部3sは、この開口部に取り付けられることで、培養容器1の検出素子3fに相対向することができる。また、受光/発光部3sは、培養容器1に対して相対的に自在に位置決めできるような位置決め機構により配設されていることが好ましい。位置決め機構としては、側面支持カバー16sの外周に沿って周方向及び/又は高さ方法に自在にスライドできるスライド機構を採用することができる。このスライド機構により受光/発光部3sを自在に位置決めする場合、側面支持カバー16sに形成される開口部は、受光/発光部3sを自在に位置決めするに足る大きさとする。
【0021】
また、培養装置は、図2に示すように、培養容器1を取り付けた状態で鞘部材31に挿入する棒状部材34と、棒状部材34に回転力を伝達するカップリング35と、カップリング35を介して棒状部材34を回転駆動する撹拌機駆動モータ11とを備えている。なお、鞘部材31、円筒部材32及び棒状部材34をまとめて、図1においては回転軸10として図示している。また、攪拌機駆動モータ11は、制御装置4に接続され、駆動制御される。
【0022】
さらに、図1に示した培養装置は、培養容器1に対して酸素含有ガスを供給する第1ガス調節装置12、培養容器1に対して二酸化炭素を供給する第2ガス調節装置13、培養容器1内部にガスを供給又は内部のガスを排出する第3ガス調節装置14を備えている。第1ガス調節装置12、第2ガス調節装置13及び第3ガス調節装置14は、それぞれ中途部にガス用フィルタ20を配設した第1ガス流路管21、第2ガス流路管22及び第3ガス流路管23を介して培養容器1と接続されている。培養容器1には、図示しないが、第1ガス流路管21、第2ガス流路管22及び第3ガス流路管23を気密に接続するための接続機構を有している。第1ガス流路管21は、先端部に気泡を発生させるための散気手段17が接続されている。散気手段としては特に限定するものではなく、公知のリングスパージャ、プラスチック多孔質材、金属多孔質材、無機多孔質材のいずれかまたはこれらを組み合わせで用いる。また、発生させる気泡の大きさは培養を目的とする生体の細胞によって適宜選択する。第2ガス流路管22及び第3ガス流路管23は、培養容器1に接続された状態で、共に先端部が培養液7の上方空間部に位置している。また、これら第1ガス調節装置12、第2ガス調節装置13及び第3ガス調節装置14は、制御装置4と接続されている。よって制御装置4は、第1ガス調節装置12、第2ガス調節装置13及び第3ガス調節装置14からのガス供給のタイミング及び供給量などを制御することができる。
【0023】
さらにまた、培養装置は、図示しない培養液タンクと接続された液体供給管24を備えている。液体供給管24の先端部は、培養容器1の内部に位置している。培養液7は、培養液タンクから液体供給管24を介して培養容器1内に張り込まれる。
【0024】
さらにまた、培養装置は、図示しないタンクと接続された培養液排出管25を備えている。培養液排出管25は、培養容器1の底面部に取り付けられる。培養容器1に張り込まれた培養液7は、培養液排出管25を介して図示しないタンクへと排出されることとなる。
【0025】
さらにまた、培養装置は、制御装置4と接続された温度調節手段15を有している。温度調節手段としては、特に限定されないが、例えば、培養液7を加熱する電気ヒータを使用することができる。なお、温度制御手段15は、例えば、側面支持カバー16sの外側に配設されている。温度制御手段15から供給される熱は側面支持カバー16sを介して培養容器1内の培養液7に伝達される。また、温度制御手段15は、あらかじめ設定した温度を超えることがないよう過熱防止制御系を備えることが好ましい。過熱防止制御系により所定の温度以上に加熱することが防止されるため、熱によって培養容器1を損傷することを防止することができる。
【0026】
以上のように構成された培養装置について、培養容器1を取り付ける動作について説明する。先ず、培養容器1を取り付けるには、培養容器1の支持部材5を、側面支持カバー16sの内面に形成されている凹溝と嵌合させる。次に、培養装置1の上方に露出した円筒部材32から鞘部材31の下端部まで棒状部材34を挿入するとともに、円筒部材32の上端部にカップリング35を固定する(図2参照)。このとき、撹拌機駆動モータ11は、取り付け位置を自在に変更できる取り付け座(図示なし)によって架台19に固定されており、この取り付け座を調節することでカップリング35に取り付けられる。これにより、攪拌機駆動モータ11の重量及び回転に伴う振動は、この取り付け座により支えることができる。すなわち、攪拌機駆動モータ11の重量及び回転に伴う振動から培養容器1を解放することができる。その後、側面開閉支持カバー16dを閉めて固定する。
【0027】
次に、第1ガス流路管21、第2ガス流路管22、第3ガス流路管23、液体供給管24及び培養液排出管25を培養容器1に連結する。この状態で、第3ガス調節装置14から滅菌された気体が第3ガス流路管23を介して培養容器1内に充填される。これにより培養容器1は、折りたたまれた状態から使用可能な状態へと展開される。このように展開され使用可能な状態となった培養容器1は、下方の端部が封止されている鞘部材31、鞘部材31を取り付けてなる回転シール部材33等の構成によって内部の気密性が保持されている。
【0028】
また、上述したように培養容器1を折りたたまれた状態から使用可能な状態に展開されるとき、培養容器1の天井に相当する部分に剛性部材からなる剛性天板6を気密的に設置し、更に剛性天板6に固定される支持部材5を設けているため、撹拌翼等の突起物によって傷をつくことの無いよう、十分に配慮されている。
【0029】
なお、受光/発光部3sが上述した位置決め機構に配設されている場合には、上述したように培養容器1を取り付けた後、受光/発光部3sが培養容器1の検出素子3fと対向する位置となるように調節することができる。例えば、培養容器1が合成樹脂フィルム等で形成されている場合など、室温や湿度、充填するガス量等により、培養容器1が常に一定の形状及び/又は位置に展開されるとは限らない。すなわち、培養容器1の検出素子3fが常に一定の位置となるとは限らない。したがって、当該位置決め機構により受光/発光部3sの位置決めを行うことで、検出素子3fと受光/発光部3sとをより正確に対向させることができ、溶存酸素濃度やpHの測定不良を防止することができる。
【0030】
以上のように、培養容器1を取り付けた培養装置を用いて細胞培養を行うプロセスについて説明する。先ず、培養容器1に取り付けられた液体供給管24を介して所定の量の培養液7が気密性を保持した培養容器1内部に張り込まれる。このとき、培養液7の注入に伴って内圧が上昇するため、第3ガス流路管23を介して培養容器1内部に充填されたガスを排出する。また、培養液の張り込み作業中及び張り込み終了後、第3ガス調節装置14により培養容器1内部の圧力を大気圧よりも僅かに高くなるように調節する。これにより、培養容器1の形状を保持できるとともに、培養容器1内部への雑菌の侵入を防止することができる。
【0031】
培養容器1内に培養液7が張り込まれると、培養液7に浸る部分の鞘部材31が圧力により棒状部材34に密着することとなる。これにより、棒状部材34の回転に伴って鞘部材31及び撹拌翼2a、2bが一体的に回転することができる。なお、棒状部材34の横断面形状は、特に限定されないが、非円形の形状であることが好ましい。棒状部材34の横断面形状が円形である場合には、棒状部材34に伴って回転する撹拌翼2a及び2bに負荷される抵抗によって、棒状部材34に密着した鞘部材31に皺やねじれが生じ、この部分から破損する虞がある。これに対して、棒状部材34の横断面形状を非円形とした場合には、培養液7の水圧によって棒状部材34の外周面に鞘部材31が密着する際に、棒状部材34の外周面に対して一部が比較的に強く密着することとなる。具体的には、棒状部材34の横断面における突出した部分に対しては、鞘部材31が強く密着することとなる。これにより、棒状部材34とともに鞘部材31が回転し、撹拌翼2a及び2bに抵抗が負荷されたとしても、この部分が引っかかりとなって鞘部材31に皺やねじれが生じないように作用し、鞘部材31の破損を防止することができる。
【0032】
非円形の横断面形状としては、特に限定されないが、図3〜7に示すような形状を例示することができる。すなわち、図3に示すような少なくとも一辺を円弧とした略矩形形状、図4に示すような楕円形状、図5〜7に示すような円形の一部を円弧で切り欠いた形状を挙げることができる。棒状部材34の横断面をこれら図3〜7に示した形状とすれば、培養液7の水圧によって棒状部材34の外周面に鞘部材31が密着する際に、棒状部材34の外周面に対して一部が比較的に強く密着することが理解できる。したがって、棒状部材34の横断面をこれら図3〜7に示した形状とすることで、棒状部材34の回転によって鞘部材31が破損するような不都合を確実に回避することができる。
【0033】
上述のように培養容器1に培養液7を張り込んだ後若しくは張り込むと同時に、例えば液体供給管24を介して生体細胞を培養液7に接種する。培養液7による細胞培養は、通常、所定の回転数で撹拌翼2a及び2を回転させながら行う。撹拌翼2a及び2bの回転数は、撹拌機駆動モータ11の回転を制御装置4によってコントロールすることによって調節される。撹拌機駆動モータ11の回転は回転軸10に伝達され、回転軸10に設けた撹拌翼2a及び2bを回転させることによって培養容器1内に張り込まれた培養液7を撹拌・混合する。培養液7中には、微細粒子である生体細胞が浮遊しており、細胞が沈積することの無いよう培養液7を流動させる。なお、培養する生体の細胞が足場依存性を有する場合には、増殖のための足場となるマイクロキャリアを使用する。足場依存性を有する生体の細胞はマイクロキャリアに接触することにより培養面に付着して増殖する。撹拌回転数が増加すると混合が強化され、酸素溶解量が増加するとともに生体の細胞の浮遊状況が改善される。
【0034】
また、細胞培養時の培養液7の温度は、温度調節手段15により予め規定された温度となるように調節される。さらに、細胞培養時には、第1ガス調節装置12より第1ガス流路管21及び散気手段17を介して酸素含有ガスが培養液7に供給される。また、細胞培養時には、第2ガス調節装置13より第2ガス流路管22を介して二酸化炭素が培養液7上方の空間部に供給される。このように、培養装置では、第1ガス調節装置12から供給される酸素含有ガスの通気ガス量と酸素分圧を増減することにより、培養液7中の溶存酸素濃度をコントロールする。また、培養装置では、第2ガス調節装置13から供給される二酸化炭素の通気ガス量と二酸化炭素分圧を増減することにより、培養液7中のpHをコントロールする。
【0035】
特に、培養容器1を搭載した培養装置では、培養液7内の溶存酸素濃度を長期間に亘って高精度に検出することができる。溶存酸素濃度の測定方法を以下に説明するが、培養液7の溶存二酸化炭素濃度及びpHを測定する方法についても同様である。培養装置では、培養容器1を搭載した状態で、培養容器1の内壁面に取り付けられた検出素子3fと、受光/発光部3sとが相対向している。培養液7の溶存酸素濃度を測定する際には、受光/発光部3sの発光素子から発せられた所定の波長の励起光が、培養容器1壁面を透過し、検出素子3fに設けた蛍光体を照射する。検出素子3fの蛍光体は、励起光によって励起され、基底状態に戻る際に蛍光を発する。蛍光体から発せられる蛍光は、酸素の存在によって影響を受け、溶存酸素量が多いほど蛍光の減衰が大きくなる。検出素子3fから発せられた蛍光を受光/発光部3sで受光し、蛍光強度とその時間変化を溶存酸素濃度測定器3にて測定する。なお、受光/発光部3sから照射する励起光及び受光/発光部3sで受光する蛍光は、ともに培養容器1壁面を透過することとなる。このため、培養容器1は、少なくともこれら励起光及び蛍光が透過する領域が、これら励起光及び蛍光の波長領域については透明であることが好ましい。
【0036】
溶存酸素濃度測定器3にて測定した溶存酸素濃度の測定値は、制御手段4に出力される。制御手段4は、例えば、入力した溶存酸素濃度の測定値に基づいて、培養液7の溶存酸素濃度が所望の値となるように制御することができる。具体的に制御手段4は、撹拌翼2a及び/又は2bの回転数を増減するよう攪拌機駆動モータ11を制御する方法、第1ガス調節装置12から供給する酸素含有ガスの通気ガス量及び/又は酸素分圧を調節するよう第1ガス調節装置12を制御する方法のいずれか又は両方により、溶存酸素濃度を所定の値となるように制御することができる。なお、第1ガス調節装置12による酸素含有ガスの制御においては、後述する溶存二酸化炭素濃度が所望の値以上となって溶存二酸化炭素濃度低下の制御がなされている場合には酸素含有ガスの通気ガス量の増減による方法が優先され、溶存二酸化炭素濃度が所望の値以下で溶存二酸化炭素濃度低下の制御がなされていない場合には酸素含有ガスの酸素分圧を調節する方法が優先される。
【0037】
溶存二酸化炭素濃度測定器(図示なし)にて測定した溶存二酸化炭素濃度の測定値は、制御手段4に出力される。制御手段4は、例えば、入力した溶存二酸化炭素濃度の測定値に基づいて、培養液7の溶存二酸化炭素濃度が所望の値以下となるように制御することができる。具体的に制御手段4は、溶存二酸化炭素濃度が所望の値を超えた場合には、撹拌翼2a及び/又は2bの回転数を増加するよう攪拌機駆動モータ11を制御する方法、第1ガス調節装置12から供給する酸素含有ガスの通気ガス量及び/又は酸素分圧を調節するよう第1ガス調節装置12を制御する方法のいずれか又は両方により、溶存溶存二酸化炭素濃度を所定の値となるように制御することができる。具体的には、溶存二酸化炭素濃度が所望の値を超えた場合に、撹拌翼2a及び/又は2bの回転数を増加する方法、供給する酸素含有ガスの通気ガス量を増加する方法、供給する酸素含有ガスの酸素分圧を低下する方法を適宜併用することによって、溶存溶存二酸化炭素濃度を所定の値となるように制御する。
【0038】
pH測定器(図示なし)にて測定したpHの測定値は、制御手段4に出力される。制御手段4は、例えば、入力したpHの測定値に基づいて、培養液7のpHが所望の値となるように制御することができる。具体的に、制御手段4は、pHが所望の値を超えた場合には、第2ガス調節装置13から供給する二酸化炭素の通気ガス量を増加するよう第2ガス調節装置13を制御する。pHが所望の値より低下した場合には、第2ガス調節装置13から供給する二酸化炭素の通気ガス量を減少させるよう第2ガス調節装置13を制御し、二酸化炭素の通気ガス量が0となっても更にpHが低下しているようであればアルカリ性の中和剤を添加するよう中和剤添加装置(図示していない)を制御する。
【0039】
このとき、本発明に係る培養装置では、培養容器1に配設された検出素子3fが撹拌翼2bと対向するように位置しているため、撹拌翼2bの回転によって生じる円周方向の培養液7の流れが検出素子3fの表面に対して強く作用する。この培養液7の流れによって、検出素子3fの表面に対して種々の成分(生細胞、死滅細胞、細胞酸性物質及び培地成分等)が付着するのを防止することができる。特に、培養液7に含まれる生細胞が検出素子3fに付着すると、生細胞自信が酸素を消費するため、溶存酸素濃度を正確に測定することができない。特に、本発明に係る培養装置では、細胞を長期間に亘って培養する際であっても各種成分が検出素子3fに付着するのを常に防止することができるため、培養全期間に亘って正確に溶存酸素濃度を測定することができる。
【0040】
本発明において、培養容器1に配設された検出素子3fが撹拌翼2bと対向するように位置するとは、上述のように、撹拌翼2bの回転によって生じる培養液7の円周方向の流れが作用しうる位置を意味し、撹拌翼2bの高さ位置と検出素子3fの高さ位置とが厳密に一致することを意味するものではない。例えば、検出素子3fの高さ位置は、撹拌翼2bの高さ位置からずれていても、上述した培養液の流れが作用するのであれば、撹拌翼2bと対向する位置となる。
【0041】
以上のように、本発明に係る培養容器1を搭載した培養装置によれば、検出素子3f表面の汚れに起因する計測精度の低下を防止することにより長期の培養でも良好な培養制御をおこなえる。さらに、培養容器1外壁面を介して検出素子3fと対向する位置に受光/発光部3sを備える構成によって培養液7の溶存酸素濃度や溶存二酸化炭素濃度及びpHを測定できるため、光ファイバの使用によるコストアップや、光の減衰、迷光の侵入による感度低下を起こすことがなく、高感度計測を維持できる。これらの効果を有する培養容器1及び培養装置を提供することによって、培養を長期間継続でき、目的物質の生産性および生産物の安全性を向上できる。
【0042】
なお、上述した細胞培養が終了した後、培養液7を培養液排出管25より排出して図示しないタンクに収容することができる。なお、上述した細胞培養の最中、液体供給管24及び培養液排出管25は、微生物の侵入や内部溶液の漏えいを防止するため密封状態を維持する。
【0043】
なお、図1及び2に示した、培養容器1を搭載する培養装置は、図示していない構成を備えていても良いことは当然理解できる。培養容器1を搭載する培養装置は、例えば、サンプリングやpH調節用薬剤注入、培地交換のための複数の配管等を備えていても良い。また、培養容器1を搭載する培養装置は、培養容器1内の培養液7の一部に対して所望の試薬を添加する際に使用される液出し入れ用ノズルを備えていても良い。さらにまた、培養容器1を搭載する培養装置は、空気、酸素、窒素及び二酸化炭素等のガス供給設備、温水冷水供給設備並びに給排水設備を備えていても良い。
【0044】
一方、図1及び2に示した、培養容器1を搭載する培養装置では、培養容器1の鞘部材31に棒状部材34を挿入し、培養液7の水圧によって鞘部材31を棒状部材34に密着させた状態を形成し、棒状部材34と鞘部材31を一体的に回転駆動させていた。しかしながら、このような構成に限定されず、例えば図8に示すように、いわゆるマグネットカップリングを利用して培養容器1の回転軸10を回転駆動させるような構成であっても良い。
【0045】
具体的に、図8に示すように、培養容器1は、撹拌翼2a及び2bが取り付けられた剛性を有する回転軸10と、回転軸10の一方端部側に連結された第1磁性カップリング部材40と、回転軸10の一方端部が挿入された第1摺動部材41と、剛性天板6に固定された攪拌機支持部材42と、攪拌機支持部材42に取り付けられた第2摺動部材43とを備えている。この培養容器1において、回転軸10は、所定の間隔をもって配置された第1摺動部材41及び第2摺動部材43に挿入されることで支持されている。すなわち、第1摺動部材41と回転軸10との接点が回転軸10の上部支点となり、第2摺動部材43と回転軸10との接点が回転軸10の下部支点となる。なお、第1摺動部材41は剛性天板6に固定され、第2摺動部材43は攪拌機支持部材42を介して剛性天板6に固定されている。
【0046】
一方、この培養容器1を取り付ける培養装置は、攪拌機駆動モータ11と、攪拌機駆動モータ11の駆動軸46の端部に取り付けられた第2磁性カップリング部材44と、第2磁性カップリング部材44を固定する取り付けガイド45とを備えている。
【0047】
このように構成された培養装置では、第1磁性カップリング部材40と第2磁性カップリング部材44との間の磁力により、攪拌機駆動モータ11の駆動軸46の回転が、回転軸10に伝達されることとなる。これにより、図1及び2に示した培養装置と同様に、図8に示した構成の培養装置であっても、培養液7内で撹拌翼2a及び2bを回転させることができる。
【0048】
特に図8に示した培養装置では、剛性天板6にメカニカルシールのための貫通口を設ける必要がなくなり、培養容器1の気密性をより高めることができる。このため、特に図8に示した培養装置では、微生物汚染の可能性をより低下させることができ、製品の安全性向上が図れる。さらに、図8に示した培養装置では、培養容器の着脱をより簡便に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…培養容器、2a、2b…撹拌翼、3f…検出素子、3s…受光/発光部、3…溶存酸素濃度計測器、4…制御装置、5…支持部材、6…剛性天板、10…回転軸、11…攪拌機駆動モータ、12…第1ガス調節装置、13…第2ガス調節装置、14…第3ガス調節装置、16…支持カバー、19…架台、21…第1ガス流路管、22…第2ガス流路管、23…第3ガス流路管、24…液体供給管、25…培養液排出管、31…鞘部材、32…円筒部材、34…棒状部材、40…第1磁性カップリング部材、44…第2磁性カップリング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体部と、
上記容器本体部の内部に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液を撹拌する撹拌手段と、
上記容器本体部の内壁に配設され、容器本体部に張り込まれた培養液の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHを測定する検出素子とを備え、
上記検出素子は、上記撹拌手段が培養液を撹拌することで生じた培養液流が上記容器本体の内壁に衝突する位置に配設されたことを特徴とする培養容器。
【請求項2】
上記検出素子は、上記本体部の内壁であって上記撹拌手段に対向する位置に配設されたことを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項3】
上記容器本体部は、少なくとも上記検出素子が配設された部分が光学的に透明であることを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項4】
上記容器本体部は、内部の気体を排気した状態で折り畳みを可能にする部材によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項5】
上記容器本体部の上面に配設された剛性天板を更に備えることを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項6】
上記撹拌部材は、鞘部材と当該鞘部材の外周に配設された撹拌翼とを備え、上記鞘部材の内部に挿入された棒状部材の回転に伴って、これら鞘部材と撹拌翼とが回転することを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項7】
上記容器本体部の上面に配設された剛性天板と、上記剛性天板及び上記容器本体部を貫通して取り付けられた円筒部材とを更に備え、上記鞘部材の一方端部が上記円筒部材に取り付けられたことを特徴とする請求項6記載の培養容器。
【請求項8】
上記撹拌手段は、回転軸と当該回転軸の外周面に配設された撹拌翼とから構成され、上記回転軸の基端部に配設された前記磁性カップリング部材により上記回転軸が回転可能であることを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項9】
上記回転軸は、少なくとも一対の摺動部材により支持されていることを特徴とする請求項8記載の培養容器。
【請求項10】
上記容器本体部の上面に配設された剛性天板と、当該剛性天板に配設され、容器本体部の使用状態における形状に沿った支持部材とを備えることを特徴とする請求項1記載の培養容器。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項記載の培養容器と、
上記培養容器の撹拌手段に接続され、回転力を伝達する攪拌機駆動モータと、
上記培養容器の検出素子と上記培養容器の容器本体部を介して対向する位置に配設された受光/発光部と、
上記受光/発光部と接続され、上記培養容器の検出素子から生じた蛍光に基づいて培養液中の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHを測定する測定機器と備える培養装置。
【請求項12】
上記測定機器は、位置決め自在に移動可能となるよう位置決め機構に配設されていることを特徴とする請求項11記載の培養装置。
【請求項13】
上記測定機器にて測定した培養器の溶存酸素濃度又は溶存二酸化炭素濃度又はpHに基づいて、酸素含有ガス又は二酸化炭素の上記培養容器に対する供給量及びガス分圧若しくは上記撹拌手段による培養液の撹拌条件を調節する制御装置を更に含むことを特徴とする請求項11記載の培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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