生体組織用薬剤

【課題】生体組織への光線、特に近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激などの外的刺激や、生体組織内で産生される活性酸素や炎症原因物質などの内的刺激から皮膚組織や皮下組織などの生体組織を保護したりその損傷を修復したりできるもので、生体組織の老化防止、若返り治療、美容に用いることができ、また、創傷治癒を促進し、副作用が少なくて長期間安心して使用でき、安定性と浸透性とに優れた生体組織用薬剤を提供する。
【解決手段】生体組織用薬剤は、ケラチン2を内包しているミセル1と、ビタミンC類とを、外的刺激及び/又は内的刺激からの生体組織の保護及び/又はそれの損傷の修復をする有効成分として、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線などの体外からの外的刺激や活性酸素などの体内の内的刺激から生体を保護したり、それら刺激による生体組織の損傷を修復したりして、老化や創傷に対抗し生体組織の美容、若返り治療、創傷治癒のために用いられる生体組織用薬剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体組織の損傷や老化は、太陽光である紫外線や近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激など様々な外的環境因子によって生じる。日傘等で紫外線曝露を遮蔽したり、皮膚に塗布した日焼け止めや紫外線防止剤で紫外線曝露による損傷を予防したりしたとしても、紫外線以外の光線、特に近赤外線、電磁波、放射線により、生体組織の損傷や老化が進行する。またそれらの外的環境因子によって又は加齢によって、生体内で活性酸素や炎症原因物質等が増加したり皮膚が菲薄化したりして内的環境因子が変動して、生体組織の損傷や老化が進行する。
【0003】
生体組織は、太陽光等のなかでも特に紫外線に曝されると、その高いエネルギーの所為で、紅斑、DNA損傷、生体防御機構であるメラニン色素の沈着を惹き起こして、損傷され易い。炎天下で太陽光に過剰に曝されたとき、メラニン色素で紫外線を防御しきれず、その紫外線が、皮膚癌をはじめとする各種皮膚疾患、皮膚の老化を促進する。そこで、紫外線対策のため、紫外線防止剤を含む化粧品やサングラスや窓ガラス用貼付フィルム等、様々な製品が汎用されている。
【0004】
赤外線を遮断して、皮膚表面での熱感を防いだり、皮膚の日焼けや老化現象としてのしわやたるみ等の障害を防止したりする化粧料として、例えば特許文献1に、赤外線を遮蔽する物質として、薄片状酸化チタンを含有するものが、開示されている。
【0005】
一方、近赤外線をはじめ、電磁波、放射線は、その強い透過性、特性から日常生活において広く利用されている。とりわけ近赤外線は、太陽光の熱エネルギーの半分以上を占め、身の周りの電気製品からも多量に放射され、既存の日焼け止めや紫外線防止剤では遮断できないため、頻繁に多量に曝露されている。
【0006】
近赤外線は、少量の曝露で無害であり、多量の曝露でも生体の皮膚表面近傍での熱感を伴うだけで健康上、問題がないと考えられていた。しかも、生体の皮膚よりも深部の組織への影響が考慮されたことはなかった。
【0007】
しかし、本発明者らは、近赤外線により生体組織が損傷されるという知見を得た。本発明者らは、特許文献2に開示されているように、酸化チタン、酸化亜鉛を含有するもので、近赤外線を遮断する化粧料を見出している。この知見によれば、皮膚の正常な組織が、近赤外線に曝されたときに、その皮膚で急性反応による生体防御機構が働く。即ち近赤外線は、ヘモグロビンに強く吸収される性質があるので、生体の皮膚が近赤外線に曝されると、その皮膚表層の血管が拡張し、ヘモグロビンを集め、発赤、紅斑を生じ、その結果、皮膚が赤くなり、そのことにより一層近赤外線が皮膚表層のヘモグロビンに吸収され、皮下組織の損傷が、最小限に抑えられる。
【0008】
さらに過剰な近赤外線に曝されると、近赤外線が水に強く吸収される性質があるので、血管透過性が亢進し、真皮乳頭層より浸出液を貯留させ、水泡を形成して、近赤外線を吸収する結果、皮下組織の損傷が抑えられる。さらに、比較的弱く曝露されただけでも、それが皮膚を透過し、皮膚のみならず、それより深部の皮下組織、筋肉、内臓、骨、脳等血管成分の多い人体組織に不可逆的に重大な損傷を惹き起こしたり、老化を促進したりしているということも、初めて見出した。
【0009】
このことから、既存の日焼け止めや紫外線防止剤で、皮膚に曝される紫外線を遮蔽するだけでは、近赤外線をはじめ、電磁波、放射線を遮断できないため、これらに起因する生体組織に対する強い生理作用を十分に防止できない。
【0010】
また、電磁波、放射線は、工業、医療等産業面での利用の際には、鉛等の金属化合物を用いて、電磁波、放射線を遮断して、生体組織の遺伝子の損傷を防止する方法が広く用いられているが、日常的に曝露される電磁波、放射線に対する防御製品は普及していない。
【0011】
さらに、既存の日焼け止めや紫外線防止剤などの化粧料に、保湿作用、表面保護作用のためにケラチンのようなタンパク質が配合される場合、ケラチンのようなアルファへリックス構造をもつ物質の安定性が得られず、短期で腐敗するため、製品に十分量を配合すること、安定性を得ることが困難であった。多量の合成保存料を配合すれば、ある程度の有効成分の増量は可能であったが、多量の合成保存料の配合は、生体に対する刺激が強く、長期に、直接塗布すると、発赤、かゆみ、乾燥など組織に対する刺激、損傷を生じることがあり、外用剤、化粧品に使用することが困難であった。
【0012】
同様に、既存の化粧料に、体内の活性酸素除去、組織損傷防御、線維芽細胞のコラーゲン産生促進、ヒアルロン酸産生促進、創傷治癒促進のために、水溶性のビタミンCやその誘導体のような抗酸化剤が配合される場合、自身が酸化され易いことに起因して短期で劣化するため、安定性を得ることが困難であった。また、十分な皮膚からの浸透性が得られず、生体組織の損傷防御、修復には至らなかった。その浸透性が低いことを補うために高濃度で配合すれば、ある程度の効果は期待できるが、生体に対する刺激が強く、直接塗布すると、発赤、かゆみ、乾燥など組織に対する刺激が生じることがあり、外用剤、化粧品に使用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭62−149613号公報
【特許文献2】特許第4406040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、生体組織への光線、特に近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激などの外的刺激や、生体組織内で産生される活性酸素や炎症原因物質などの内的刺激から皮膚組織や皮下組織などの生体組織を保護したりその損傷を修復したりできるもので、生体組織の老化防止、若返り治療、美容に用いることができ、また、創傷治癒を促進し、副作用が少なくて長期間安心して使用でき、安定性と浸透性とに優れた生体組織用薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された生体組織用薬剤は、ケラチンを内包しているミセルと、ビタミンC類とを、外的刺激及び/又は内的刺激からの生体組織の保護及び/又はそれの損傷の修復をする有効成分として、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有していることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の生体組織用薬剤は、請求項1に記載されたものであって、前記ビタミンC類が、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、L−アスコルビン酸エステル、L−アスコルビン酸エステル塩、L−アスコルビン酸グルコシド、L−アスコルビン酸リン酸、L−アスコルビン酸リン酸塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸、L−アスコルビン酸硫酸塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、及び/又はL−アスコルビン酸硫酸エステル塩であることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜2の何れかに記載されたものであって、前記有効成分によって、皮膚組織及び皮下組織から選ばれる少なくとも何れかの前記生体組織の前記保護及び/又は前記修復をすることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜3の何れかに記載されたものであって、前記外的刺激が、光線、電磁波、放射線、及び機械的刺激から選ばれる少なくとも何れかを含むものであり、前記内的刺激が、活性酸素増加、コラーゲン減少、及びヒアルロン酸減少から選ばれる少なくとも何れかを含むものであることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の生体組織用薬剤は、請求項4に記載されたものであって、前記ケラチンが、前記生体組織への前記光線、前記電磁波、及び前記放射線から選ばれる少なくとも何れかを含む前記外的刺激の反射及び/又は吸収により前記保護及び/又は前記修復をし、及び/又は、前記生体組織に対する保湿及び/又は表面保護により前記機械的刺激を含む前記外的刺激から前記保護及び/又は前記修復をし、
前記ビタミンC類が、前記生体組織中の線維芽細胞のコラーゲン産生及び/又はヒアルロン酸産生の促進により前記内的刺激からの前記保護及び/又は前記修復をし、及び/又は、抗酸化性による前記生体組織中の活性酸素の除去により前記内的刺激からの前記保護及び/又は前記修復をすることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜5の何れかに記載されたものであって、前記外的刺激が、少なくとも近赤外線を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜6の何れかに記載されたものであって、前記有効成分を0.0001〜99.9質量%含有することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜7の何れかに記載されたものであって、高級アルコール誘導体、アラルキルアルコール誘導体、長鎖で直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪酸誘導体、その脂肪酸誘導体の金属石鹸類、含窒素誘導体、炭化水素類、ワックス類、油脂類、ロウ類、ラノリン類、スフィンゴリン脂質類、リン脂質類、リン脂質誘導体、ステロール類、サポゲニン類、サポニン類、ステロールエステル類、脂質複合体類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド類、シリコーン類、及び/又はフッ素系油剤類を含有することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜8の何れかに記載されたものであって、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘剤、ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類、ビタミン誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、引きしめ剤、収斂剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物エキス、動物エキス、微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離剤、角質溶解剤、ピーリング剤、制汗剤、清涼剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、及び/又は水を含有することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の生体組織用薬剤は、請求項9に記載されたものであって、前記水を含み、それが、常水、水道水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及び/又はクラスター水であることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の生体組織用薬剤は、請求項9に記載されたものであって、前記植物エキス、前記動物エキス及び/又は前記微生物エキスを、含み、夫々、植物組織からの抽出物、動物組織からの抽出物、微生物組織からの抽出物及び/又は微生物産生物とすることを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜11の何れかに記載されたものであって、外用剤であることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の生体組織用薬剤は、請求項12に記載されたものであって、前記外用剤が、化粧料、外用医薬品又は外用医薬部外品であることを特徴とする。
【0028】
請求項14に記載の生体組織用薬剤は、請求項1〜13の何れかに記載されたものであって、前記ミセルに前記不活性ガスの分子が内包され、及び/又は前記ミセルと共に前記不活性ガスの分子が含有されていることを特徴とする。
【0029】
請求項15に記載の外的刺激及び/又は内的刺激からの生体組織の保護及び/又はそれの損傷の修復をする有効成分として、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有している生体組織用薬剤を、製造する方法は、ケラチン及びミセル成分の混合液を不活性ガス雰囲気下で撹拌し、前記ケラチンを内包しているミセルを形成してミセル分散液を得る工程と、ビタミンC類を前記混合液及び/又は前記ミセル分散液に添加しつつ不活性ガスをパージしながら撹拌する工程とを、有する方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の生体組織用薬剤は、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激など外的刺激や、活性酸素増加、炎症原因物質の増加、コラーゲン減少、ヒアルロン酸減少などの内的刺激から、皮膚組織や皮下組織などの生体組織を保護するとともに、その損傷を修復することができる。そのため、老化や創傷によって損傷したり皮膚が菲薄化したりした皮膚組織や皮下組織などの生体組織の老化防止、若返り治療、美容、創傷治癒のため用いることができる機能性化粧品や医薬部外品として、さらに、その生体組織の創傷の治癒を促進し、光老化、光線過敏症などの皮膚疾患を防止する医薬品として、有用である。
【0031】
この生体組織用薬剤は、有効成分のケラチンのアルファへリックス構造により、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線をそのアルファへリックス構造に共振させて、反射、吸収し、生体の皮膚組織や皮下組織、特に遺伝子を保護することができる。また、このケラチンの保湿作用とその表面保護作用により機械的刺激など外的刺激から保護することできる。
【0032】
また、生体組織用薬剤は、従来の技術では、腐敗しやすく、匂いが強く、臭いため、一般に好まれないアルファへリックス構造をもつ物質であるケラチンと、短期で容易く劣化するうえ、十分な生体組織への浸透性が得られず、生体組織の損傷防御や修復には至らなかったビタミンC類とを、臭気や刺激性を緩和しつつ、それらの効能を低下させることなく、実用的な外用剤のような薬剤として、使用することができる。
【0033】
また、この生体組織用薬剤は、安定性、浸透性が高いため、濃度が低くても、充分な効果が期待できるうえ、長期間連続して用いたり大量に用いたりしても、副作用がなく、発赤、かゆみ、乾燥などの有害事象を避けることができ、刺激の強いにおいを緩和できるため、安心して使用できる。このため、無駄に高濃度で配合することで、生体に対する強い刺激により、発赤、かゆみ、乾燥など組織に対する刺激を生じさせるような副作用を引き起こすことなく、外的刺激・内的刺激から生体組織を保護し、その損傷を修復し、光老化、光線過敏症などの皮膚疾患を防止することができる。
【0034】
本発明の生体組織用薬剤の製造方法によれば、不活性ガスをパージしながら、有効成分であるケラチンや、それを内包するミセル成分や、そのミセル内に内包されていてもよく、ミセル外で散在していてもよいビタミンC類を、撹拌したり、混合したり、ミセルを形成したりすることにより、ケラチン及びビタミンC類が酸化されずに安定して存在することができるため、極めて優れた安定性と浸透性とを有する生体組織用薬剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用する生体組織用薬剤に含有されるミセルの模式図である。
【図2】本発明を適用する生体組織用薬剤の製造工程の一例を示す概要図である。
【図3】本発明を適用する生体組織用薬剤の別の製造工程の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0037】
本発明の生体組織用薬剤は、外的刺激から生体組織を保護したりその損傷を修復したりするケラチンが内包されたミセルと、内的刺激から生体組織を保護したりその損傷を修復したりする抗酸化作用を有するビタミンC類とが含有されたものである。また、この生体組織用薬剤は、ケラチン及びビタミンC類の有効成分が、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有されているので、極めて安定であり、浸透性が高いものである。
【0038】
生体組織用薬剤に含有されるケラチンは、タンパク質の一つであり、生物の体表、細胞の骨格維持のために多量に存在するアルファへリックス構造の線維性物質である。本発明者は、この生物の体表面に多く存在するケラチンのアルファへリックス構造が、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線を遮断できるという知見を得た。この知見によれば、生体組織は、体表面に多く存在するケラチンのアルファへリックス構造に光線、特に近赤外線、電磁波、放射線を共振させて、反射、吸収し、生体の皮膚組織や皮下組織、特に遺伝子を保護することができる。さらにケラチンの保湿作用とその表面保護作用により機械的刺激などの外的刺激からも保護することができる。
【0039】
ケラチンとしては、具体的に、コイルドコイル構造を有するものであって、αケラチンが挙げられる。
【0040】
生体組織用薬剤に含有されるビタミンC類は、補酵素であり、生物の体内に広く存在する抗酸化酵素である。このビタミンC類は、ケラチンのアルファへリックス構造により、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線をそのアルファへリックス構造に共振させて、反射、吸収し、生体の皮膚組織や皮下組織、特に遺伝子を保護することができたとしても、体内で生じた活性酸素によっても、生体組織は損傷を受けるので、生体組織防御として、その活性酸素に対して作用するものである。
【0041】
例えば、薬物、アルコール、たばこ、ストレス、大気汚染により体内に活性酸素が生じ、体内の抗酸化酵素が消費され、抗酸化酵素が不足すると、体内のビタミンCも欠乏し、線維芽細胞のコラーゲン産生が低下したり、ヒアルロン酸産生が低下したりする結果、全身の皮膚組織や皮下組織が老化したり、小じわ、大じわ、たるみが出現したり、ハリ、弾力、透明感が消失したり、創傷治癒が遅延したり、さらには皮膚の水分量が低下するため、近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激など様々な外的環境因子からの保護能力が低下して、乾燥し、光老化、光線過敏症を引き起こし、組織の損傷、老化が進行する。ビタミンC類は、活性酸素の代謝を促進させ、活性酸素を除去するとともに、線維芽細胞のコラーゲン産生やヒアルロン酸産生を促進することができ、生体組織の保護や修復をすることができる。
【0042】
アルファへリックス構造をもつ物質であるケラチンと抗酸化剤であるビタミンC類とを用いることで、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激など外的刺激から保護すること、さらに、その損傷を修復することが可能になる。
【0043】
ビタミンC類としては、具体的に、L−アスコルビン酸、好ましくは日本薬局方収載のアスコルビン酸;アスコルビン酸ナトリウムのようなL−アスコルビン酸塩;ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2−へキシルデカン酸アスコルビルのようなL−アスコルビン酸のエステル;L−アスコルビン酸のエステル塩;L−アスコルビン酸2−グルコシドのようなL−アスコルビン酸グルコシド;L−アスコルビン酸リン酸;リン酸L−アスコルビルマグネシウム(L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム)、リン酸L−アスコルビルナトリウム(L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム)のようなL−アスコルビン酸リン酸塩;L−アスコルビン酸リン酸エステル;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムのようなL−アスコルビン酸リン酸エステル塩;L−アスコルビン酸硫酸;L−アスコルビン酸硫酸塩;L−アスコルビン酸硫酸エステル;L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウムのようなL−アスコルビン酸硫酸エステル塩が挙げられる。
【0044】
このようなビタミンC類のうち、単独物質のときに水溶性のものは脂溶性のミセル成分を含んで成るミセルに含有されて所謂脂溶性ビタミンC類となったりミセルと共に水溶液中に含有されたりするものであり、単独物質のときに水難溶性乃至水不溶性又は脂溶性のものはミセルに含有されて所謂脂溶性ビタミンC類となる。
【0045】
このようなビタミンC類と共に、脂溶性抗酸化剤であるユビキノンUQ6〜10のようなユビキノン類を、ミセル中に含有していてもよい。
【0046】
生体組織用薬剤中の有効成分であるケラチン及びビタミンC類の配合量は、その有効成分の種類や生体組織用薬剤の形状に応じて、適宜選択することができ、特に限定されないが、生体組織用薬剤の全質量に対して、0.0001〜99.9質量%であることが好ましく、0.001〜50質量%であると一層好ましく、0.01〜20質量%であるとなお一層好ましい。
【0047】
生体組織用薬剤中のケラチン及びビタミンC類の配合比は、1:100〜100:1であることが好ましい。
【0048】
ケラチンや必要に応じてビタミンC類を内包するミセルを形成するミセル成分としては、植物性脂肪、植物油、脂肪酸油脂、グリセリド、それらを水添・硬化・ポリアルキレン変性などの変性をした誘導体、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(PEG−60水添ヒマシ油)、シアバターが挙げられる。形成されるミセルは、水中油滴(O/W型)であってもよく、油中水滴(W/O型)であってもよい。
【0049】
生体組織用薬剤の製品形態は、特に限定されないが、外用剤であることが好ましく、化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品であると一層好ましい。
【0050】
生体組織用薬剤の製品形態として、より具体的には、香水、オードトワレ、オーデコロン、シャンプー、リンス、ヘアーコンディショニング、ヘアートリートメント、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアジェル、ウオーターグリース、セットローション、カラーローション、ヘアトニック、ヘアリキッド、ポマード、ヘアクリーム、ヘアブロー、枝毛コート、ヘアオイル、ヘアーカラー剤、白髪染め、ヘアマニキュア、育毛剤、洗顔料、クレンジングフォーム、洗粉、洗顔パウダー、クレンジングローション、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングオイル、クレンジングマスク、化粧水、柔軟化粧水、収れん化粧水、洗浄用化粧水、多層式化粧水、乳液、エモリエントローション、モイスチャーローション、ミルキーローション、ナリシングローション、ナリシングミルク、サンプロテクト、サンプロテクター、紫外線(UV)ケアミルク、サンスクリーン、メーキャップローション、メーキャップクリーム、ハンドローション、ハンドクリーム、ボディーローション、ボディークリーム、エモリエントクリーム、モイスチャークリーム、栄養クリーム、ベースクリーム、プレメーキャップクリーム、サンスクリーンクリーム、サンタンクリーム、除毛クリーム、デオドラントクリーム、シェービングクリーム、石鹸、化粧石鹸、薬用石鹸、薬用石鹸、液状石鹸、ひげそり石鹸、合成石鹸、ボディーシャンプー、ボディーリンス、ボディーパウダー、パック、マスク、エッセンス、保湿エッセンス、美白エッセンス、紫外線防止エッセンス、美容液、基礎化粧料、白粉、打粉類、ファンデーション類、口紅類、リップクリーム、リップグロス、頬紅類、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、アイブロー、ネイルエナメル、エナメルリムーバー、ネイルトリートメント、防臭化粧料、虫除けスプレー、軟膏剤、貼付剤、ローション剤、浴剤類が挙げられる。
【0051】
生体組織用薬剤を、外用剤として使用する例を示したが、前記効果を達成できる限り、別な用途で使用してもよい。例えば、この生体組織用薬剤を、芳香剤、消臭剤、アロマキャンドル、インセンス、文房具、財布、バッグ、靴のような雑貨類や、下着、洋服、帽子、ストッキング、靴下のような衣類に、含ませてもよい。さらに、この生体組織用薬剤を、吸入医薬品のような吸入製品や、飲料、食料に、含ませてもよい。
【0052】
生体組織用薬剤の剤形は、特に限定されないが、例えば、液剤、粉末剤、顆粒剤、エアゾール剤、固形剤、ジェル剤などが挙げられる。生体組織用薬剤は、製品形態や剤形に応じて、任意の基質を添加してもよい。
【0053】
基質としては、例えば、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオールなどの高級アルコール類;ベンジルアルコールなどのアラルキルアルコールやその誘導体;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコ酸のような長鎖で直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸誘導体、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸などの長鎖で環状又は分岐鎖状の高級脂肪酸誘導体、及びそれらのアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、カリウム塩などの金属石鹸類;アミドなどの含窒素誘導体;流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、固形パラフィンなどの炭化水素類;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマーなどのワックス類;ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボガド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油などの植物油脂類、牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油などの動物性油脂類;鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油などの動物性ロウ類;液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、それらの酢酸エステルなどのラノリン類;レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質類;ホスファチジン酸、リゾレシチンなどのリン脂質類;リン脂質誘導体;ステロール類;サポゲニン類;サポニン類;ステロールエステル類;脂質複合体類;オキシ酸エステル類;多価アルコール脂肪酸エステル類;脂肪酸アルカノールアミド類;シリコーン類;フッ素系油剤類が、挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0054】
生体組織用薬剤には、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘剤、ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類、ビタミン誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、引きしめ剤、収斂剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物エキス、動物エキス、微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離剤、角質溶解剤、ピーリング剤、制汗剤、清涼剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、水が、添加されていてもよい。これらは単独で添加されてもよく、複数混合して添加されてもよい。
【0055】
水は、水道水や工業用水のような常水;イオン交換水や蒸留水のような精製水;硬水;軟水;地下水や河川水のような天然水;海洋深層水;電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水;クラスター水が挙げられる。
【0056】
植物エキス、動物エキス、微生物エキスは、植物組織又は動物組織からの抽出物、微生物組織からの抽出物、又は微生物産生物であり、より具体的には、アイリスエキス、アシタバエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アボガド油、アマチャエキス、アーモンドエキス、アーモンド油、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、インチコウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、ウワウルシエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、オレンジ油、オレンジ種子油、海水乾燥物、海藻エキス、カキ葉エキス、カキョクエキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カッコンエキス、カモミラエキス、油溶性カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カラスムギエキス、カルカデエキス、カンゾウエキス、油溶性カンゾウエキス、キウイエキス、キオウエキス、キクラゲエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キリ葉エキス、グアノシン、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、クリエキス、グレープフルーツエキス、グレープフルーツ油、グレープフルーツ種子油、クレマティスエキス、黒米エキス、黒砂糖抽出物、黒酢、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、酵母エキス、コウボクエキス、コーヒーエキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コリアンダーエキス、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サフランエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ジャトバエキス、シャクヤクエキス、ジャーマンカミツレエキス、ショウキュウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、白キクラゲエキス、ジンジャーエキス、スギナエキス、スターアニスエキス、ストロベリーエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、西河柳エキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、地衣類エキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、月見草エキス、月見草油、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、ナツメグエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ネロリエキス、ネロリ油、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、ビルーベリーエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ヒノキエキス、ビフィズス菌エキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス(特にレスベラトロールをはじめとするポリフェノール類を含むことが好ましい)、ブドウ種子エキス、ブドウ種子油(特にピグノジェノールをはじめとするポリフェノール類を含むことが好ましい)、プロポリス、ブラックベリーエキス、ブラックカラントエキス、ブラックカラント油、ブルーベリーエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ベニバナ油、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、ホホバエキス、ホホバ油、ボリジエキス、ボリジ油、ボリジ種子油、マイカイカエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユーカリ油、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラズベリーエキス、卵殻膜エキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レモン油、レモン種子油、レモンバームエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズ油、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、及びワレモコウエキスが、挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、複数混合して用いられてもよい。
【0057】
また、生体組織用薬剤には、適宜、一般的に用いられる香料成分が添加されていてもよい。
【0058】
生体組織用薬剤は、外用剤として用いることが好ましく、直接、皮膚に塗布、又は噴霧してもよい。石鹸やシャンプーなどとして用いた後、洗い流してもよく、化粧料のように暫く付したままにしてもよい。また衣服などに含浸させたり噴霧させたりして、身に着けてもよい。
【0059】
本発明の生体組織用薬剤の製造方法を以下に示す。
【0060】
生体組織用薬剤の有効成分である粉末状のケラチン及びミセル成分の混合液にビタミンC類が添加されており、さらに必要に応じて機能性や作用性を加える第三成分、例えば脂溶性抗酸化剤であるユビキノンが添加された溶液を、不活性ガス雰囲気下で撹拌し、ケラチンを内包しているミセルを形成し、ミセル分散液を得る。さらに、必要に応じて製品形態や剤形に応じた任意の基質となる第三成分などをミセル分散液に添加し、不活性ガス雰囲気下で撹拌して不活性ガスをパージしながら容器に充填することで、生体組織用薬剤が得られる。
【0061】
得られた生体組織用薬剤中のミセル構造の模式図を、図1に示す。このミセル1の構造は、ポリペプチド鎖によるコイルドコイル構造を有するケラチン2と脂溶性抗酸化剤4とが絡まっており、それらをミセル成分3で内包しているものである。ここで、ビタミンC類は、ケラチン2と共に、コイルドコイルに絡まりミセル内に含有されていてもよく、ミセル外で散在していてもよい。
【0062】
また、ビタミンC類は、ケラチン及びミセル成分の混合液と共に撹拌して混合する工程を例示したが、ミセルを形成したミセル分散液に添加して混合してもよい。
【0063】
各工程において不活性ガスでパージして充填することにより、ミセル中に不活性ガスの分子が内包されていたり、ミセルと共に不活性ガスの分子が含有されていたりすることによって有効成分が安定して含有されている生体組織様薬剤を得ることができる。
【0064】
不活性ガスとして、具体的には、窒素ガス、アルゴンガスが挙げられる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
本発明を適用する生体組織用薬剤を試作した例を実施例1〜2に示す。
【0067】
(実施例1)
ケラチン(クローダジャパン株式会社製)10.48g、アスコルビン酸リン酸マグネシウム(昭和電工株式会社製)0.47g、ユビキノン(カネカ株式会社製)0.28gを混合して撹拌し、懸濁液を得た後、常温でPEG−60水添ヒマシ油(日本サーファクタント工業株式会社)89.14gを添加して混合し、得られた混合液を精密分散・乳化機(ClearMix)を用いて10000rpmで4分間、さらに20000rpmで2分間回転させ窒素パージしながら撹拌した。
これに、スクワラン(高級アルコール工業株式会社製)89.14gを混合し、ClearMixを5000rpmで5分間回転させ窒素パージしながら撹拌した。さらに、これに、グリシン(日本ガーリック株式会社製)10.48gを混合し、ClearMixを5000rpmで5分間回転させ窒素パージしながら撹拌して、生体組織用薬剤である皮膚外用剤を調製した。これらの製造工程の概要を図2に示す。
【0068】
実施例1で得られた皮膚外用剤の生体保護作用の評価のため、皮膚疾患のない18歳〜60歳の健常者10人の片側顔面と片側上肢に、この皮膚外用剤を0.01g/cm程度、二度塗布し、太陽光の下で1時間日光浴をした。皮膚外用剤を塗布した側と塗布していない側とを比較して、この皮膚外用剤の効果を評価した。
【0069】
塗布していない側では被験者の全例で熱感、ほてりを認め、7人に発赤を認めたが、塗布した側では全例において熱感、ほてり、発赤、紅斑、腫脹、水泡など近赤外線曝露による影響と考えられる症状、所見は認められなかった。
【0070】
さらに、修復作用の評価のため、皮膚疾患のない健常者の10人を被験者とし、その片側顔面と片側上肢とに、この皮膚外用剤を、30日間、毎晩1回、0.01g/cm程度塗布した。皮膚外用剤を塗布した片側と、塗布していない片側とを比較して、この皮膚外用剤の効果を評価した。
【0071】
半数の5人では塗布翌日より、塗布した部位の小じわ、たるみ、ハリ、弾力、透明感の回復を本人と実験に関わらない第三者でも確認できた。他の5人においては塗布後7日以内に塗布した部位の小じわ、たるみ、ハリ、弾力、透明感の回復を本人と実験に関わらない第三者でも確認できた。塗布開始30日でも、塗布していない側では被験者の全例で明らかな変化、問題事象を認めず、塗布した側では小じわ、たるみ、ハリ、弾力、透明感を維持できた。
【0072】
この生体組織用薬剤は、生体保護作用、修復作用を持っていることが確かめられた。
【0073】
(実施例2)
ケラチン(クローダジャパン株式会社製)10.48g、グリシン(日本ガーリック株式会社製)を10.48g、ユビキノン(カネカ株式会社製)0.28gを混合して撹拌し、懸濁液を得た後、常温でPEG−60水添ヒマシ油(日本サーファクタント工業株式会社)89.14gを添加して混合し、得られた混合液をClearMixを用いて20000rpmで5分間、さらに5000rpmで1分間回転させ窒素パージしながら撹拌した。
これに、スクワラン(高級アルコール工業株式会社製)89.14gを混合し、ClearMixを5000rpmで5分間回転させ窒素パージしながら撹拌した。さらに、このミセル分散液に、アスコルビン酸リン酸マグネシウム(昭和電工株式会社製)0.47gを混合し、ClearMixを用いて5000rpmで5分間回転させ窒素パージしながら撹拌して、生体組織用薬剤である皮膚外用剤を調製した。これらの製造工程の概要を図3に示す。
【0074】
実施例2で得られた皮膚外用剤の生体保護作用の評価を、実施例1の場合と同様にして行ったところ、実施例1と同様に、優れた生体保護作用、修復作用を持っていることが確かめられた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の生体組織用薬剤は、光線、特に近赤外線、電磁波、放射線、機械的刺激など外的刺激から保護し、その損傷を修復し、さらに、老化や創傷によって損傷した皮膚組織や皮下組織などの生体組織の老化防止、若返り治療、美容、創傷治癒のため用いることができ、機能性化粧品・医薬部外品として、また、その生体組織の創傷の治癒を促進し、光老化、光線過敏症などの皮膚疾患を防止する医薬品として、有用である。
【0076】
特に、生体組織の形態・機能の老化予防、若返りが達成され、老化を遅らせる。そのため、心身ともに豊かな生活を送ることができ、さらに老化、疾病の所為による医療費を抑制して医療経済を健全化することができる。
【符号の説明】
【0077】
1はミセル、2はケラチン、3はミセル成分、4は脂溶性抗酸化剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチンを内包しているミセルと、ビタミンC類とを、外的刺激及び/又は内的刺激からの生体組織の保護及び/又はそれの損傷の修復をする有効成分として、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有していることを特徴とする生体組織用薬剤。
【請求項2】
前記ビタミンC類が、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、L−アスコルビン酸エステル、L−アスコルビン酸エステル塩、L−アスコルビン酸グルコシド、L−アスコルビン酸リン酸、L−アスコルビン酸リン酸塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸、L−アスコルビン酸硫酸塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、及び/又はL−アスコルビン酸硫酸エステル塩であることを特徴とする請求項1に記載の生体組織用薬剤。
【請求項3】
前記有効成分によって、皮膚組織及び皮下組織から選ばれる少なくとも何れかの前記生体組織の前記保護及び/又は前記修復をすることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項4】
前記外的刺激が、光線、電磁波、放射線、及び機械的刺激から選ばれる少なくとも何れかを含むものであり、前記内的刺激が、活性酸素増加、コラーゲン減少、及びヒアルロン酸減少から選ばれる少なくとも何れかを含むものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項5】
前記ケラチンが、前記生体組織への前記光線、前記電磁波、及び前記放射線から選ばれる少なくとも何れかを含む前記外的刺激の反射及び/又は吸収により前記保護及び/又は前記修復をし、及び/又は、前記生体組織に対する保湿及び/又は表面保護により前記機械的刺激を含む前記外的刺激から前記保護及び/又は前記修復をし、
前記ビタミンC類が、前記生体組織中の線維芽細胞のコラーゲン産生及び/又はヒアルロン酸産生の促進により前記内的刺激からの前記保護及び/又は前記修復をし、及び/又は、抗酸化性による前記生体組織中の活性酸素の除去により前記内的刺激からの前記保護及び/又は前記修復をすることを特徴とする請求項4に記載の生体組織用薬剤。
【請求項6】
前記外的刺激が、少なくとも近赤外線を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項7】
前記有効成分を0.0001〜99.9質量%含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項8】
高級アルコール誘導体、アラルキルアルコール誘導体、長鎖で直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪酸誘導体、その脂肪酸誘導体の金属石鹸類、含窒素誘導体、炭化水素類、ワックス類、油脂類、ロウ類、ラノリン類、スフィンゴリン脂質類、リン脂質類、リン脂質誘導体、ステロール類、サポゲニン類、サポニン類、ステロールエステル類、脂質複合体類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド類、シリコーン類、及び/又はフッ素系油剤類を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項9】
保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘剤、ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類、ビタミン誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、引きしめ剤、収斂剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物エキス、動物エキス、微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離剤、角質溶解剤、ピーリング剤、制汗剤、清涼剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、及び/又は水を含有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項10】
前記水を含み、それが、常水、水道水、精製水、硬水、軟水、天然水、海洋深層水、電解アルカリイオン水、電解酸性イオン水、イオン水、及び/又はクラスター水であることを特徴とする請求項9に記載の生体組織用薬剤。
【請求項11】
前記植物エキス、前記動物エキス及び/又は前記微生物エキスを、含み、夫々、植物組織からの抽出物、動物組織からの抽出物、微生物組織からの抽出物及び/又は微生物産生物とすることを特徴とする請求項9に記載の生体組織用薬剤。
【請求項12】
外用剤であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項13】
前記外用剤が、化粧料、外用医薬品又は外用医薬部外品であることを特徴とする請求項12に記載の生体組織用薬剤。
【請求項14】
前記ミセルに前記不活性ガスの分子が内包され、及び/又は前記ミセルと共に前記不活性ガスの分子が含有されていることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の生体組織用薬剤。
【請求項15】
ケラチン及びミセル成分の混合液を不活性ガス雰囲気下で撹拌し、前記ケラチンを内包しているミセルを形成してミセル分散液を得る工程と、
ビタミンC類を前記混合液及び/又は前記ミセル分散液に添加しつつ不活性ガスをパージしながら撹拌する工程とを、
有することにより、外的刺激及び/又は内的刺激からの生体組織の保護及び/又はそれの損傷の修復をする有効成分として、不活性ガスでパージされて充填されつつ含有している生体組織用薬剤を、製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−103908(P2013−103908A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248658(P2011−248658)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(507256016)
【出願人】(511268292)
【Fターム(参考)】