説明

生体触媒反応におけるPITエマルジョンの使用

本発明は、少なくとも水、乳化剤および油相を含有するo/wエマルジョンの生体触媒反応用反応媒体としての使用に関する。本発明は、該エマルジョンがPIT法によって製造され、50〜400nmの液滴サイズを有することを特徴とする。使用する酵素は、リアーゼおよび/または酸化還元酵素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PIT法により製造されたエマルジョンの、生体触媒反応用反応媒体としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、化学的および生化学的な合成における触媒として、ますます使用されつつある。こうして、加水分解酵素、とりわけリパーゼ(EC 3.1.1.3)は、多くの場合より穏やかな反応条件であることから、既に多くの工業的な脂肪分解及びエステル交換のプロセスで用いられつつある。適当な生体触媒合成プロセスは、例えば、K.Drauz and H.H.Waldmann、Enzyme Catalysis in Organic Synthesis、WILEY−VCH、第I〜III巻、2002年;U.T.Bornscheuer、R.J.Kazlauskas in Hydrolases in Organic Synthesisに記述されている。生体触媒プロセスの工業上の変換は、A.Liese、K.Seelbach and C.Wandrey in Industrial Biotransformations、WILEY−VCH、2002年に記述されている。
【0003】
有機溶媒中で酵素を用いる意義は、とりわけ精密化学品の合成において大きくなり続けている。そのため水溶性と水不溶性の反応成分を、使用する二相あるいは多層の系中で、有効に系全体に組み込むことができ、改良された物質移動が保証される。しばしば、特に一以上の出発物質が反応温度において固体である場合、そのような系による酵素の攻撃のために、反応成分を実際に利用できる。
【0004】
しかしながら、そのような多相反応系で用いられるのは遊離の酵素だけではない。すべての微生物は頻繁に用いられ、これらの微生物の酵素プールはいわゆる生体内変換に使用される。全細胞の形成または活性細胞成分の形成における酵素と微生物を、以下、生体触媒と呼ぶ。
【0005】
通例の欠点は 使用溶媒が使用触媒(酵素あるいは全微生物とその細胞成分)の反応性に悪影響を及ぼすことである。そのため、溶媒によって生体触媒が変性されることがあり、それゆえ、その性能が弱められまたは完全に破壊され得る。一般に水相に存在する成分の生体触媒による効率的な反応は、親水相と疎水相の間での大きな界面が要求される。例えば撹拌や均質化などによって小さな液滴が界面を形成すると、大きな界面が形成される。
【0006】
混合/撹拌は、反応を加速するのに必要である。例えば酸化反応のように、ガス処理をも必要とする反応がある。ガス処理の望まれない作用は、反応によって問題を引き起こし得る発泡である。ガス処理を行わない場合ですら、発泡体の界面で生体触媒が不活性化されるため、発泡は避けられるべきである。
【0007】
一方で激しい混合は効率的な反応のために必要であり、他方ではそれは有害であり得る。それゆえ、低剪断速度、低撹拌速度または穏やかな混合条件で大きな界面を与えることができる系を有することが肝要である。
【0008】
生体触媒反応での問題は、プロセスに関与する触媒の入手可能性と安定性に存することが多い。固定化(例えばマイクロカプセル化)により安定化させた既知の酵素や微生物が存在し、頻繁に用いられ得る。生体触媒をも商業的な用途に用い得ることを確実とするため、適度な安定性をもった新しい生体触媒の需要が多く存在する。より現代的な手法では、生体触媒の要求特性を生み出すために、例えば「定方向進化」が利用される。
【0009】
Candida rugosa由来のリパーゼについて、OrichおよびSchomaekerによるEnzyme Microb.Technol.;2001年;第28巻;第1号;第42−48頁に記載されたように、油中水(w/o)ミクロエマルジョンを単に用いることにより疎水性化合物の反応を実施し得る。しかし、溶液中での水の濃度とw/oミクロエマルジョンの成分組成は、反応の成功にとって極めて重要である。
【0010】
【非特許文献1】K.Drauz and H.H.Waldmann、Enzyme Catalysis in Organic Synthesis、WILEY−VCH、第I〜III巻、2002年
【非特許文献2】U.T.Bornscheuer、R.J.Kazlauskas in Hydrolases in Organic Synthesis
【非特許文献3】A.Liese、K.Seelbach and C.Wandrey in Industrial Biotransformations、WILEY−VCH、2002年
【非特許文献4】Orich and Schomaeker in Enzyme Microb.Technol.;2001年;第28巻;第1号;第42−48頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明により取り組むべき課題は、生体触媒にダメージを与え得る溶媒を避け及び水相系中で難溶性の物質でさえも反応し得る生体触媒反応用の系を提供することであった。また、その反応は前述の悪影響を制限し、または避けるために穏やかな混合条件下で行われることであった。
【0012】
反応または酵素の活性に大きな影響を与えない範囲で、大きな界面、よって油と水の濃度が一定のままであっても、その系の基質濃度は変化し得ることであった。また、このような系は安価かつ再利用可能であり、及び生体触媒の安定性についてほとんどもしくはまったく悪影響がないことであった。よって、従来から用いられる有機溶媒系中でほとんど安定性を示さない酵素を用いることさえ可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の開示
本発明は、少なくとも水、乳化剤および油相を含有するo/wエマルジョンの生体触媒反応用反応媒体としての使用であって、該エマルジョンは、PIT法によって製造され、および50〜400nmの液滴サイズを有する使用に関する。
【発明の効果】
【0014】
驚くべきことに、PIT法により製造されたo/wエマルジョンは、上記要件を素晴らしい態様で充足することを見出した。本発明によるPIT系は不可欠な特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
PITエマルジョン
エマルジョンは、互いに不溶な少なくとも2つの液体であってその一方が水を含有する、分散調製物である。非混和性の油/水相を乳化により均質化するため、乳化剤または乳化剤系を使用する。安定化する乳化剤が存在しないと、それらの異なる極性のため、相は再び分離してしまう。両親媒性乳化剤は、微細液滴とコヒーレント相の間の界面に存在し、立体的または静電的に遮蔽することによって、それらが合体することを妨げる。乳化剤は、親水性および親油性の構造単位をその分子構造中で互いにつなぐ化合物である。影響を受ける乳化剤分子または乳化剤系における特定構造単位の選択および範囲は、しばしば親水性/親油性バランス[HLB(数)値]により特徴付けられる。原則として、比較的強力な親水性成分を有する乳化剤または乳化剤系では高いHLB値となり、その実用化においては、一般に分散油相を有する水系o/wエマルジョンとなる。比較的強力な親油性成分を有する乳化剤または乳化剤系では比較的低いHLB値となり、よって連続油相と分散水相を有するw/o反転エマルジョンとなる。
【0016】
非イオン性乳化剤で調製され安定化された水中油(o/w)エマルジョンは、一般に加熱による可逆的転相を受け得ること、すなわち、エマルジョンの型がある温度範囲内でo/wからw/o(油中水エマルジョン)へ変化することが知られている。油が外側連続相になるため、エマルジョンの導電率はゼロに低下する。エマルジョンの最大導電率と加熱時のそのゼロ導電率の間の温度の平均値は転相温度(PIT)と称され、このようにして製造されたエマルジョンはPITエマルジョンと称される。
【0017】
PITの位置は、多くの因子に、例えば、油成分の種類および相体積に、乳化剤の親水性および構造に、ならびに、乳化剤系の組成に依存することも知られている。
【0018】
PITエマルジョンの液滴サイズは、製造方法によりクリティカルに決定される。通常、水相および油相を乳化剤と共に混合し、次いでPITを越える温度まで加熱すると、導電率はゼロまで低下するはずである。次いで、このエマルジョンを出発温度(通常は室温、約20℃)まで冷却する。本発明に従って使用するエマルジョンは、初めにPITを越え、次いでPIT以下に低下する温度によって形成される。
【0019】
転相中に油と水またはラメラ液晶相の間の界面張力が低いミクロエマルジョン相を形成するPITエマルジョンだけが、特に微細な液滴を有することが知られている。ここでの決定的な工程は、常に、冷却時の再反転である。
【0020】
本発明のエマルジョンは、特に、その液滴の微細性によって区別される。液滴サイズは、50と400nmの間、好ましくは70〜300nmの範囲内、より好ましくは80〜250nmの範囲内、最も好ましくは90〜160nmの範囲内である。液滴サイズは、ガウス分布に従うものと考えられる。例えば、光の散乱または吸収によって測定される。
【0021】
これらの微細液滴エマルジョンは、ブラウン分子運動によりその均質性を維持する。ブラウン分子運動は、サイズが5μmより小さい粒子のランダムな熱運動である。それは拡散の原動力であり、沈降とクリーミングアップ(浮揚)の両方を妨げる。大きな利点は、エネルギー多消費型撹拌の必要性を低減し得ることである。それによって、基質と酵素の改善された拡散、および低減されたエネルギーコストがもたらされる。
【0022】
液滴サイズを減少させることを要さずに、基質濃度を変化させることができる。液滴を何ら合体させることなく、高い基質濃度を達成し得る。表面張力が低いため、油/水界面での分子の移動速度が増加する。PITエマルジョンの高い再現性と安定性により、酵素とその反応性についての生化学研究の実施、および既知の反応条件と酵素に対する活性の更なる最適化が可能となる。
【0023】
本発明のエマルジョンは、本発明の使用において反応段階の間に十分な安定性を示すという事実により特徴づけられる。これは、望ましい反応の後の、PITプロセスによって製造されたエマルジョンの崩壊が、不利なことではなく、好ましい実施形態において望ましいことを示唆する。これは生成物はより仕上げが容易であるという利点がある。
【0024】
PITエマルジョンは、水のほかに、鉱物油および脂肪酸アルキルエステルa)または天然植物油およびその油脂化学誘導体b)の群からの化合物を含有する油相も含む。群a)およびb)は、水に不溶か極めて僅かにのみ可能な疎水性化合物であって、それは好適には、生体触媒反応によって得られるべき生成物のための出発物質(すなわち基質)を意味してよいが、助剤として用いてもよい。当該化合物は本質的には脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、脂肪アルコールエステルおよび脂肪酸ポリオールエステルである。
【0025】
適当な群a)のエステルは、とりわけ合計7〜23個の炭素原子を含む飽和、不飽和、直鎖または分枝状の脂肪酸に由来する。従って、それらは式(I):
【化1】

〔式中、RはC6−22アルキル基であり、RはC1−4アルキル基であって、メチルおよびエチル基が特に好適である〕
に相当する化合物である。メチルエステルを使用することが最も有利である。式(I)のメチルエステルは、通常の方法、例えばトリグリセリドとメタノールとのエステル交換およびその後の蒸留によって得ることができる。適当な脂肪酸は、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸およびベヘン酸である。不飽和の代表例は、例えば、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、共役リノール酸(CLA)、とりわけシス9、トランス11−CLAまたはトランス10、シス12−CLA、リノライジン酸、リノレン酸、共役リノレン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸およびエルカ酸である。これらの酸のメチルおよび/またはエチルエステル混合物も適当である。オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ペラルゴン酸メチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチルおよび/またはペラルゴン酸エチルからなる群からのメチルおよび/またはエチルエステルを含有するPITエマルジョンを使用するのが特に好ましい。しかし、例えば亜麻仁油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、大豆油またはヒマワリ油(菜種油およびヒマワリ油の場合には、新しい植物および古い植物)から得られる天然脂肪酸混合物に基づくメチルおよび/またはエチルエステルを使用してもよい。
【0026】
適当な群(b)の化合物は、植物起源の天然油および、その油脂化学誘導体である。これらは本質的には鉱物油、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、脂肪アルコールエーテル、脂肪アルコールエステル、脂肪酸ポリオールエステル、例えば好ましくはトリグリセリドおよびトリグリセリド混合物であり、グリセロールが比較的長鎖の脂肪酸によって完全にエステル化されている。特に適する植物油は、ピーナツ油、ヤシ油および/またはヒマワリ油からなる群から選択される。
【0027】
本発明に従って使用するPITエマルジョンの重要な構成成分は、使用する乳化剤および乳化剤系である。非イオン性乳化剤、より具体的には、エトキシル化した脂肪アルコールおよび脂肪酸を、乳化剤として使用するのが好ましい。PITエマルジョンを得るために、親水性の乳化剤(A)、および疎水性の乳化助剤(B)を含有する2成分乳化剤系を使用するのが有利である。適当な親水性の非イオン性乳化剤(A)は、HLB値が約8〜18の物質である。このHLB値(親水性/親油性バランス)は、以下の式:
【数1】

〔式中、Lは、親油性基の重量%、即ち、エチレンオキシド付加生成物中の脂肪アルキル基または脂肪アシル基の%である〕
に従って算出しうる値である。
【0028】
本発明の教示における脂肪アルコールエトキシレートは、以下の式(II):
【化2】

〔式中、Rは6〜24個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基であり、nは1〜50の数である〕
で示される。nが1〜35の数、より具体的には1〜15の数である式(II)の化合物が特に好ましい。他の特に好ましい式(II)の化合物は、Rが16〜22個の炭素原子を含むアルキル基である化合物である。
【0029】
式(II)の化合物は、所望により酸触媒または塩基触媒の存在下に、加圧下での脂肪アルコールとエチレンオキシドとの反応によって、既知のようにして得られる。その代表例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、例えば、油脂に基づく工業用メチルエステルまたはRoelenのオキソ合成に由来するアルデヒドの高圧水素化において、および不飽和脂肪アルコールの二量化におけるモノマー分画として得られる上記アルコールの工業用混合物である。12〜18個の炭素原子を含む工業用脂肪アルコール(例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油または獣脂の脂肪アルコールなど)が好ましい。
【0030】
また、乳化剤成分(A)として使用することができる脂肪酸エトキシレートは、好ましくは以下の式(III):
【化3】

〔式中、Rは12〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基であり、mは5〜50、好ましくは15〜35の数である〕
で示される。その代表例は、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸、ならびに、例えば、天然油脂の加圧加水分解において、またはRoelenのオキソ合成に由来するアルデヒドの還元において得られる上記酸の工業用混合物への、10〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物である。C16−18脂肪酸への10〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物を使用するのが好ましい。
【0031】
また、乳化剤成分(B)として使用することができる部分グリセリドは、好ましくは以下の式(IV):
【化4】

〔式中、CORは12〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアシル基であり、x、yおよびzは共に0であるかまたは1〜50、好ましくは15〜35の数である〕
で示される。本発明の目的に適する部分グリセリドの代表例は、ラウリン酸モノグリセリド、ヤシ油脂肪酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、共役リノール酸モノグリセリドおよび獣脂脂肪酸モノグリセリド、ならびに、これらと5〜50モル、好ましくは20〜30モルのエチレンオキシドとの付加生成物である。CORが16〜18個の炭素原子を含む直鎖アシル基であるモノグリセリド(IV)を多く含有するモノグリセリドまたは工業用モノ/ジグリセリド混合物を使用するのが好ましい。
【0032】
成分(A)および(B)を10:90〜90:10、好ましくは25:75〜75:25、より具体的には40:60〜60:40の重量比で含有する乳化剤混合物を使用するのが一般的である。
【0033】
他の適当な乳化剤は、例えば、以下の群の1つからの非イオン性界面活性剤である:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖脂肪アルコールへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・6〜22個の炭素原子を含む飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノエステルおよびジエステルおよびソルビタンモノエステルおよびジエステルならびにこれらのエチレンオキシド付加物;
・アルキル基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルモノおよびオリゴグリコシドならびにこれらのエトキシル化類似体;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への、エチレンオキシド15〜60モルの付加生成物;
・ポリオールエステル、特にポリグリセロールエステル、例えばポリグリセロールポリリシノレエートまたはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレート(これらの群の数種からの化合物の混合物も適する);
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への、エチレンオキシド2〜15モルの付加生成物;
・直鎖、分岐鎖、不飽和または飽和のC6/22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸、ならびに、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)およびポリグルコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリアルキレングリコール。
【0034】
脂肪酸のグリセロールモノおよびジエステルおよびソルビタンモノおよびジエステルへの、またはヒマシ油へのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販生成物である。これらは同族体混合物であり、その平均アルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの量比に対応する。
【0035】
適当な乳化剤系を選択するために、特定の系のPITを算出するのが有用になりうる。しかし、このことは、特に乳化剤または乳化剤系の選択における潜在的な最適化、ならびに、一方における水相の選択および混合および他方における油相の種類(技術的操作に関する他の考慮事項によって予め決定される)に対する適合化にも当てはまる。対応する専門家の知識が、基本的に全く異なる分野において、特に化粧品の製造において進展している。これに関連して、特に、TH.Foerster、W.von Rybinski、H.TesmannおよびA.Wadleの論文「Calculation of Optimum Emulsifier Mixtures for Phase Inversion Emulsification」[International Journal of Cosmetic Science 16、84−92(1994)]が挙げられる。この論文は、油相の特徴であるEACN値(等価アルカン炭素数)に基づいて、CAPICO法(濃厚物における転相の算出)によって、油相、水相および乳化剤からなる所与の3成分系の転相温度(PIT)範囲をどのように算出しうるかについての詳細な記載を含んでいる。より具体的には、このFoersterらの論文は、ここで議論している対象に対する重要な文献を挙げている(このFoersterらの論文の開示に関連して見るべきである)。多数の例を挙げることにより、EACNの概念と組み合わせたCAPICO法によって、転相温度範囲の最適予備決定値の調節に、乳化剤/乳化剤系の選択および最適化をどのように利用できるかが示されている。
【0036】
本発明に従って使用するPITエマルジョンは、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、最も好ましくは30〜60重量%の水を含有する。100重量%までの残りは、油相および乳化剤ならびに所望による他の助剤および添加剤により構成される。この油相それ自体は、好ましくは10〜80重量%、より具体的には40〜70重量%の量で存在する。好ましい態様においては、油相は、成分(a)もしくは(b)またはこれら成分の混合物のみを含有する。乳化剤または乳化剤系は、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%の量で存在する。本発明に従って使用するエマルジョンは、20〜95℃、より具体的には30〜95℃の範囲内の転相温度を有する。
【0037】
本発明により用いられるエマルジョンは、正確な選択を経た遊離体の特性と油成分の組成と乳化剤に従って作り出される。
【0038】
脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪アルコールエーテルおよびエトキシ化ヒドロキシ脂肪酸トリグリセリドに基づく乳化剤混合物を含有するエマルジョンを用いることが好ましい。
【0039】
本発明では、本発明に従い用いられる生体触媒は、酵素、もしくは全細胞、もしくは細胞の部分であるものと理解される。それらは界面での触媒反応が可能である。本発明によれば、生体触媒は遊離酵素であることが好ましい。リアーゼおよび/または酸化還元酵素の群由来の酵素が好ましく、それらを単独でもしくはいくつかの酵素と組み合わせて用いてよい。
【0040】
IUBMB分類下では、リアーゼは酵素の第4主群の代表である。4つの重要なサブクラス(C−C、C−O、C−N、C−Sリアーゼ、EC4.1〜4.4)が存在する。リアーゼは非加水分解的に、ある特定の基を基質から切り離し、もしくは基質に結合させて、二重結合を後に残し、もしくは二重結合に基を付加する。
【0041】
酸化還元酵素は、酵素の第6主群の第一を表し、酸化還元反応を触媒する。サブグループは一般的に電子供与体の性質により決定され、電子受容体の性質によるサブグループへと順番に分割される。その系統名はそのパターン(供与体:受容体−酸化還元酵素)により形成される。
【0042】
ヒドロキシニトリラーゼ、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、オキシニトリラーゼ、カルボキシラーゼ及びアルドラーゼから成る群から選択されるリアーゼは、本発明の目的のために好ましい。酸化還元酵素は、デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシラーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびオキシゲナーゼから成る群から選択することが好ましい。ヒドロキシニトリルリアーゼは、生体触媒のための特に好ましい酵素である。
【0043】
適した酵素の典型例としては、何ら限定することを意味しないが、Alcaligenes、Aspergillus、Aeromonas aerophila、Bacillus、Candida、Chromobacterium viscosum、Fusarium solani、Geotrichum candidum、Hevea、Issatchenkia orientalis(Candida krusei)、Kluyveromyces marxianus(C.kefyr、C.pseudotropicalis)、Linum、Manihot、Mucor javanicus、Nocardia、Penicilium camemberti、Penicilium roqueforti、Pichia、Pseudomonas、Prunus、Rhizomucor、Rhizopus、SorghumおよびThermomyces、並びにそれらの混合物からなる群から選択される生物由来のリアーゼ及び/又は酸化還元酵素が挙げられる。生物Alcaligenes、Candida、Chromobacterium、Nocardia、Rhizomucor、Prunus、Linum、Sorghum、Hevea、Manihot、Pseudomonas、Rhizopus及びThermomycesに由来するリアーゼ及び/又は酸化還元酵素が好ましい。とりわけPrunus amygdalus、Prunus serotina、Prunus domestica、Prunus avium、Prunus persica、Malus pumila、Linum usitatissimum、Sorghum bicolor、Hevea brasiliensis及びManihot esculenta由来の酵素は特に好ましい。
【0044】
エナンチオ選択的酵素は好適である。Hevea brasiliensisの葉由来の(S)−選択的ヒドロニトリラーゼおよびPrunus amygdalus由来の(R)−選択的ヒドロキシニトリラーゼは特に好ましい。
【0045】
好適な実施形態では、リアーゼは植物起源のものである。この場合、植物のすべての成分から、好ましくは葉、茎あるいは柄及び果実の両方からリアーゼを遊離しうる。
【0046】
酸化還元酵素は、微生物起源のものであることが好ましい。
【0047】
本発明に従い用いるべき酵素は、様々な形態で使用できる。原則として、当業者に既知のあらゆる酵素の供給形態を使用してよい。本発明では、「酵素」の定義は、タンパク質と酵素タンパク質も包含する。酵素タンパク質および総タンパク質であって、本発明によるタンパク質の機能をタンパク質シーケンスの一部に含むものは、いずれも本発明に従って用い得る。酵素は、純粋形態で、若しくは、キャリア材料に固定化された、および/または溶液中、とりわけ水溶液中の工業用酵素製剤として、好適に使用され、および所謂繰り返しバッチで再使用される。例えばアルタス社から得られる結晶化酵素、所謂CLECも好適である。特定の工業用酵素製剤中の活性酵素の比率は、製造業者によって異なる。しかし、その平均は1〜10%活性酵素の間である。
【0048】
本発明の別の実施形態では、本発明に従って使用する酵素は、純酵素あるいは酵素製剤として表して、20〜5,000U/ml水相の活性で用いられる。より具体的には、用いられる活性は30〜3,000U/ml水相の範囲内である。
【0049】
本発明によれば、生体触媒反応はC−C結合、C−N結合、C−O結合及びC−S結合が好ましい。本発明によれば、好ましい反応は、エナンチオ純度が98〜99%eeのキラル化合物が得られるエナンチオ選択的反応である。キラル化合物は、エナンチオ選択的酵素の使用を通じて得られる。本発明によれば、キラル化合物の製造が好ましい。
【0050】
本発明によれば、化粧および/または医薬生成物のための中間生成物として、および/または農業用途のための中間生成物としての精密化学品は、本発明のPITエマルジョンを用いる生体触媒反応によって製造される。より具体的には、精密化学品はシアンヒドリン、とりわけエナンチオマーピュアのシアンヒドリンである。(S)と(R)の立体配置の両方におけるエナンチオマーピュアのシアンヒドリンの製造は、例えばキラルヒドロキシ酸への加水分解のような立体選択的な後続反応の多くの可能性を広げている。
【0051】
少なくとも水、乳化剤および油相を含有しPIT法により製造される本発明によるo/wエマルジョンは、生体触媒反応用の反応媒体としての使用にとって極めて適当である。従って、本発明はまた、PIT法により製造されたo/wエマルジョンを反応媒体として使用する、生体触媒によるC−C結合、C−N結合、C−O結合、あるいはC−S結合の方法にも関する。本発明の方法に用いられるエマルジョンは、その構成物質、条件およびより詳細な態様において、これらのo/wエマルジョンの使用に対して既に詳述したエマルジョンに対応する。化粧および/または医薬生成物のための中間生成物として、および/または農業用途のための中間生成物としての精密化学品は、本発明に従う方法によって好適に製造される。より具体的には、シアンヒドリンが製造される。この方法では、水不溶性物質がPITエマルジョンの油相中に可溶となることによってそれが生体触媒反応に利用可能となるという事実から、使用をなし得る。
【0052】
本発明によれば、基質を含有するPITエマルジョンを、固定化され或いは固定化されていない生体触媒と必要に応じ他の助剤および添加剤とを含む反応槽へ添加する。この方法の詳細、とりわけ生体触媒および添加エマルジョンの量は、生体触媒および選択したPITエマルジョンの性質によって決定され、特定の状況に適するよう専門家によって適合され得る。系を加熱することにより、相分離させることができ、水相から油相中の生成物を容易に分離することができる。酵素を含有する固定床反応器を用いることにより、酵素を除去して再使用できる。
【0053】
油滴が細かいと、油相と水相の間の界面が大きくなることにより、急速な接触と、生体触媒と基質を含有する油相の間の反応速度の増加がもたらされる。
【0054】
この方法のある特定の態様では、用いる酵素は、本発明によるo/wエマルジョンの使用に対して既に列挙した酵素である。
【0055】
生体触媒反応のための本発明による反応条件は、選択する酵素と使用するエマルジョンの最適な反応範囲によって決定される。より具体的には、とりわけ反応温度は、4〜50℃、好ましくは15〜40℃、特に、20℃である。
【0056】
生体触媒に起因しない不要な二次反応の発生した場合、二次反応を減少させるために0〜20℃に温度を下げてもよい。そのような場合は、3〜15℃の温度が好ましい。
【実施例】
【0057】
製造例H1
酵素と化学薬品
Prunus amygdalus(38U/ml溶液、FLUKA)由来のR−オキシニトリラーゼ(EC 4.1.2.10、R−マンデロニトリルリアーゼ、R−アセトン−シアンヒドリンリアーゼ);R−(+)−マンデロニトリル(>99%、Aldrich);ベンズアルデヒド(>99%、再蒸留、Aldrich);KCN(分析用、FLUKA)、リン酸ナトリウム(Prolabo);Eumulgin HRE 40(Cognis提供);オレイン酸メチル(Cognis提供);Cetiol OE(CETIOL(登録商標) OE、INCI:Dicaprylyl Ether、Cognis提供);超純水(ミリポア MillipQ+);エタノール(Carlo Erba)
【0058】
PITエマルジョン:
2つのエマルジョンを調製した。一つはオレイン酸メチル中に溶解したベンズアルデヒドを含み、もう一方はCetiol OE中に溶解したベンズアルデヒドを含むものであった。最終的な組成は、オレイン酸メチル又はCetiol OE(0.5g)/Eumulgin HRE 40(0.5g)/ベンズアルデヒド0.4ml/水1.4mlである。さらに、水1mlを添加することによってPITエマルジョンを希釈した。どちらのエマルジョンも4℃で数週間安定なままであった。ベンズアルデヒドの劣化を避けるため、各実験用に新しいエマルジョンを調製した。
【0059】
反応:
反応媒体を、燐酸塩緩衝液1.2ml(pH5.7、50mM);シアン化物溶液0.4ml、(水10ml中のKCN5g);PITエマルジョン0.2ml;酵素0.2ml(7.6U)あるいは緩衝液0.2mlにより形成した。密閉(テフロン層)した4mlのWheatonボトル中、ランダム試料を除いて無撹拌で反応を行った。
【0060】
様々な反応時間の後、10μlのサンプルを各反応媒体から取り出し、マイクロチューブ中のエタノール1.5mlに加えた。酵素を含む媒体からタンパク質堆積物を分離するため、10,000×Gで2分間チューブを遠心分離した。浮遊物の283nmでの吸収能を、Beckman DU530分光光度計でクォーツセル中にて2回測定を行った。
【0061】
結果および考察:
ベンズアルデヒドの283nmでの特異吸収極大に基づく分光光度法を反応速度を決定するために用いた。ベンズアルデヒドおよび反応生成物マンデロニトリル(20倍に濃縮)のエタノール中の吸収スペクトルを測定した。エタノール中のベンズアルデヒドの283nmでの吸光係数を1130m−1cm−1で決定した。
【0062】
2つの独立したシリーズの実験を行った。各シリーズは、Eumulgin HRE 40、ベンズアルデヒドおよびオレイン酸メチルあるいはCetiol OEのいずれかを含むPIT系のため反応を、酵素の有無で比較するものであった。第一のシリーズの反応は、20℃で、その後4℃で2時間行った。第二のシリーズは、全時間4℃でインキュベートした。無触媒反応を制限するため、極めて低い反応温度(4℃)を選択した。シアン化物が無いと、反応は観測されなかった。シアン化物(酵素有または無し)を含有するチューブでは、クエン酸塩緩衝液を燐酸塩緩衝液に交換した場合でさえ、黄橙色を呈した。この色は最大385の吸収ピークに対応すると推定される。燐酸塩緩衝液による場合の方がクエン酸塩緩衝液による場合より着色は薄かった。実験により、PITエマルジョンを用いなくても、また酵素を用いなくてもこの色彩が生じたが、これは緩衝液組成物の不純物との化学反応を示し得ることが示された。
【0063】
20℃の後4℃での実験と4℃での実験について反応速度を決定した。酵素の有無による反応媒体で283nmでの吸収能の違いを決定した。この違いはベンズアルデヒドの吸収極大と一致する。酵素触媒によるベンズアルデヒドの生物変換は、ベンズアルデヒド/オレイン酸メチルおよびベンズアルデヒド/Cetiol PITエマルジョンの両方で、このようにして観察された。ベンズアルデヒド変換の反応速度は、4℃でのベンズアルデヒド/Cetiol系の存在下では0.30μmol/ml/hであり、4℃でのベンズアルデヒド/オレイン酸メチルでは0.14μmol/ml/hであった。
【0064】
【表1】

【0065】
反応は20℃で少なくとも20倍速く起こる。データは、リアーゼを含むPIT系において酵素変換が可能であることを示している。
【0066】
低温かつ無撹拌のもとHevea Brasiliensis由来のリアーゼで同一の反応を行った。またこのリアーゼを用い、PITエマルジョン中でベンズアルデヒドとシアン化物との反応を見事に行えた。オレイン酸メチルまたはCetiol OEのいずれかにベンズアルデヒドを溶かした。ベンズアルデヒド/Cetiol OEの存在下での反応は、オレイン酸メチル中の反応よりも2倍速かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水、乳化剤および油相を含有するo/wエマルジョンの生体触媒反応用反応媒体としての使用であって、該エマルジョンは、PIT法によって製造され、および50〜400nmの液滴サイズを有することを特徴とする使用。
【請求項2】
油相は、鉱物油、脂肪酸アルキルエステル、脂肪アルコールエーテル、脂肪アルコールエステル、および脂肪酸ポリオールエステルからなる群から選択される化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
PIT法によって製造されるエマルジョンは、反応段階の間に十分な安定性を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I):
【化1】

〔式中、RはC6−22アルキル基であり、RはC1−4アルキル基である〕
に相当する脂肪酸アルキルエステルを含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
油相を10〜80重量%の量、好ましくは20〜50重量%の量で含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
水を20〜90重量%の量、好ましくは30〜80重量%の量、とりわけ30〜70重量%の量で含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪アルコールエーテル及びエトキシ化ヒドロキシ脂肪酸トリグリセリドに基づく乳化剤混合物を含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
HLB値が8〜18の親水性乳化剤を疎水性の乳化助剤と組み合わせて含有する乳化剤系を含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
その乳化剤系が親水性乳化剤と乳化助剤の量比10:90〜90:10を有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
乳化剤を1〜25重量%の量、好ましくは5〜20重量%の量、とりわけ5〜15重量%の量で含有するエマルジョンを用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
酵素は、リアーゼ及び/または酸化還元酵素であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
リアーゼは、ヒドロキシニトリラーゼ、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、オキシニトリラーゼ及びアルドラーゼからなる群から選択され、及び酸化還元酵素は、デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシラーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びオキシゲナーゼからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
リアーゼおよび酸化還元酵素は、Alcaligenes、Aspergillus、Aeromonas aerophila、Bacillus、Candida、Chromobacterium viscosum、Fusarium solani、Geotrichum candidum、Hevea、Issatchenkia orientalis(Candida krusei)、Kluyveromyces marxianus(C.kefyr、C.pseudotropicalis)、Linum、Manihot、Mucor javanicus、Nocardia、Penicilium camemberti、Penicilium roqueforti、Pichia、Pseudomonas、Prunus、Rhizomucor、Rhizopus、SorghumおよびThermomyces、並びにそれらの混合物からなる群から選択される生物から得られることを特徴とする、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
リアーゼは植物起源であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
純酵素または酵素製剤で表して、20〜5,000U/ml水相の活性で酵素を用いることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
生体触媒反応がC−C結合、C−N結合、C−O結合またはC−S結合の反応であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
生体触媒反応においてエナンチオ選択的酵素によりキラル化合物を製造することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
化粧及び/または医薬生成物のための中間生成物として、及び/または農業用途のための中間生成物としての精密化学品を生体触媒反応において製造することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
精密化学品がシアンヒドリンであることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
生体触媒によるC−C結合、C−N結合、C−O結合またはC−S結合のための方法であって、反応媒体としてのo/wエマルジョンを請求項1〜10のいずれかの記載に従って用いることを特徴とする、方法。
【請求項21】
化粧及び/または医薬生成物のための中間生成物として、及び/または農業用途のための中間生成物としての精密化学品を生体触媒反応において製造することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
精密化学品がシアンヒドリンであることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
請求項11〜14のいずれかの記載の酵素を用いることを特徴とする、請求項20〜22のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2008−530991(P2008−530991A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555497(P2007−555497)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001041
【国際公開番号】WO2006/087119
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】