説明

生体計測装置及び生体刺激装置

【課題】生体における神経細胞の電気活動を、神経細胞のサイズの位置分解能で、リアルタイムかつ3次元に計測する装置を提供することにある。さらに、被験体内の、任意の神経細胞に、個々に、電気刺激を与える装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る生体計測装置は、被験体17の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子19と、上記振動付与素子19によって振動した神経細胞から発生する電磁波を受信する電磁波受信素子9と、上記電磁波受信素子9によって受信された電磁波に基づいて神経細胞の電荷を計測する解析手段13とを備えている。さらに、神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子9を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体計測装置及び生体刺激装置に関するものである。さらに詳しくは、被験体の神経細胞に振動を与えることで、電磁波を発生させ、これを検出することで被験体の脳等の電気活動を計測する生体計測装置、及び、神経細胞に対して電磁波を照射して、当該神経細胞の周辺に振動磁場を形成し、さらに、被験体の神経細胞に振動を与えることで、当該神経細胞に起電力を生じさせ、電気刺激を付与する生体刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、脳や神経に関わる病気や障害の研究が盛んに行なわれている。そして、脳や神経に関わる病気や障害を診断し治療するためには、脳等における神経細胞の電気活動の計測や、個々の神経細胞を任意に刺激することが重要となる。
【0003】
ここで、神経細胞間のシナプス伝達には、神経細胞間で直接電気信号が授受される場合と、Ca2+等のイオン性化学物質を媒介して電荷が移る場合とがある。そしていずれの場合も、個々の神経細胞における細胞内および細胞壁等の電荷の変化によって生じるものである。そこで、本明細書では説明簡単のため、電気信号の授受、活動電位の授受、及び、個々の神経細胞において生じる電荷の変化を包含して「電気活動」と表記する。
【0004】
従来、脳を計測する技術や、神経細胞を刺激する技術として、以下に説明する技術が用いられている。
【0005】
X線CTスキャン(X-ray Computed Tomography / X線断層撮影)は、生体に対してX線を照射して、X線の吸収量の分布を、3次元に、高分解能で計測する技術である。
【0006】
MRI(Magnetic Resonace Imaging / 磁気共鳴画像法)は、磁場中における水素原子等の核磁気共鳴(NMR)現象を利用したものであり、勾配を有する強い磁場中で、生体に対して電磁波を照射し、その結果生体から放出される電磁波を検出して、コンピューター等を用いて、水素原子の状態を3次元的に映像化する技術である。特に、fMRI(functional MRI / 機能的 MRI)は、血中の酸化ヘモグロビンが、脱酸化ヘモグロビンに変化する現象を、3次元的に検出し、酸素を消費している脳の活動部位を特定することができる。
【0007】
PET(Positron Emission Tomography / 陽電子放射断層撮影法)、SPECT (Single Photon Emission Computed Tomography / 単一光子放射断層撮影法)は、放射性アイソトープで標識された物質(放射性トレーサー)を生体に投与し、生体を囲むようにに配置されたガンマ線検出器を用いて、放射性トレーサーから放射されるガンマ線を検出し、コンピューター等を用いて、生体内における放射性トレーサーの3次元分布を計測する技術である。特に、放射性トレーサーとして、糖を放射性アイソトープで標識したFDG(18F Fluoro Deoxy Glucose)を用いる場合(FDG-PET)には、糖の代謝の分布を、3次元計測することで、脳の活動を視覚化できる。
【0008】
脳磁計(MEG / Magnetoencephalography / 脳磁図法)は、高感度の磁気センサであるSQUID(Superconduction Quantum Interference Device / 超電導量子干渉計)等を頭部の周囲に多数配置し、神経細胞の電気活動に伴う、磁場の変動を計測する技術である。これにより神経細胞の電気活動を、直接、観測できる。また、非破壊的、非侵襲的に計測できるという大きな利点をもつ。
【0009】
脳波計(EEG / Electroencephalography / 脳電図法)は、非侵襲的な頭皮上電極法、及び、侵襲的な脳表電極法がある。頭皮上電極法は、頭皮上に電極を多数配置し、硬膜、頭蓋骨、頭皮などを経由して漏れ出てくる電位の変化を検出することにより、脳の電気活動を計測する技術であり、簡便かつ非侵襲的である。脳表電極法は、開頭手術により、脳表面や脳内部に電極を埋め込み、脳の電気活動を直接計測する技術である。
【0010】
光トポグラフィ(OT / Optical Topography)、及び、近赤外分光法(NIRS / Near-Infrared Spectroscopy)は、近赤外光が生体内を容易に拡散・透過することを利用して、脳内の酸化/脱酸化ヘモグロビンの比が、神経活動により変化する様子を、近赤外光を用いて観察する技術である。具体的には、頭部の周囲に複数の光学素子を配置し、頭部に数種の異なった波長の近赤外光を照射して、反射光を検出するものであり、完全に非侵襲的である。
【0011】
超音波エコー法(Ultrasonography)は、生体に音波を照射して、反射した音波を検出することにより、生体内の音響インピーダンスの3次元分布を計測する技術である。超音波エコー法は、非破壊的・非侵襲的であると同時に、簡便であるという大きな利点を持つ。さらに、使用する音波の波長を短くする事により位置分解能を高くすることができる。
【0012】
一方、神経細胞に電気刺激を与える技術としては、被験体に電極針を差して、電気刺激を直接与える技術や、電磁誘導の原理を用いて、直接、起電力による電気刺激を与える磁気パルス刺激法(経頭蓋磁気刺激法/ TMS / Transcranial Magnetic Stimulation)が提案されている。
【0013】
上述した、脳等の生体の計測技術は、例えば非特許文献1に網羅的に解説されている。
【非特許文献1】武田常広著「脳工学」コロナ社出版、電気情報通信学会・電子通信学会編集、2003年4月11日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上述した、脳を計測する技術は、神経細胞サイズの位置分解能で、リアルタイムに、電気活動を計測することができないという問題を有している。
【0015】
X線CTスキャンでは、X線の吸収量が、神経細胞間の電気活動の授受を反映するものではないため、原理的に電気活動を計測できない。さらに、被検体がX線被曝するという問題も生じる。
【0016】
fMRIでは、原理的には脳内の毛細血管のサイズの位置分解能が限界であり、技術的にはサブミリメートルの位置分解能が限界である。よって、個々の神経細胞の電気活動を、直接計測することは不可能である。また、計測は強い磁場中で行なうため、巨大な磁石を必要とし、装置が高コストとなる。
【0017】
PETでは、陽電子の放出から対消滅までに、ミリメートル程度の距離を要するため、放射性トレーサーが位置する陽電子放出の地点と、陽電子が対消滅してガンマ線を放出する地点は異なり、原理的に、ミリメートル程度の位置分解能が限界である。SPECTでは、ガンマ線の角度分解能に限界があるため、PET以下の分解能しか得られない。さらに、PET及びSPECTは、共に、放射性アイソトープを使用するため、放射線被曝の問題を有し、また、半減期の短い放射性アイソトープを製造する装置として、巨大で高価なサイクロトロンなどの加速器を必要とする。
【0018】
脳磁計では、3次元的な電気活動を計測する場合、変動した磁場が当該脳磁計に到達する時間の差を利用するが、磁場の変動の時間スケールはミリ秒と長いため、電磁波の波長は極めて長い。このため、脳磁計の位置分解能は、サブミリメートル程度と粗く、個々の神経細胞の電気活動を計測できない。
【0019】
頭皮上電極法による脳波計では、位置分解能が低く、多くの神経細胞の電気活動を平均したものしか計測できない。脳表電極法による脳波計は、大掛かりな開頭手術が必要であり、被験体に対する侵襲が大きいことから脳全体の3次元計測には適用が難しい。
【0020】
光トポグラフィ、及び、近赤外分光法では、拡散させて光により計測するため、1点を収束して計測することができず、位置分解能はセンチメートル程度であり、電気活動を捉えることができない。
【0021】
超音波エコー法では、音響インピーダンスは神経細胞の密度や硬さを反映したものであり、電気活動を反映したものではないため原理的に電気活動を計測することができない。
【0022】
一方、上述した、従来の神経細胞を刺激する方法は、被験体に対する侵襲が大きいという問題や、位置分解が低いという問題を有している。
【0023】
電極針を差して電気刺激を与える方法は、被験体に対する侵襲が大きい。また、広い範囲で多数の電気刺激を与えることは実質的に不可能である。
【0024】
磁気パルス刺激法では、使用可能な電磁波の波長は神経細胞のサイズよりもはるかに大きいため、位置分解能が低く、個々の神経細胞に電気刺激を与えることは不可能である。
【0025】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体における神経細胞の電気活動を、神経細胞のサイズの位置分解能で、リアルタイムかつ3次元に計測する装置を提供することにある。さらに、被験体の、任意の神経細胞に、個々に電気刺激を与える装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
発明者は、上記課題の解決のため、鋭意検討を行なった。その結果、電荷を有する神経細胞を機械的に振動させると、電磁気学のマクスウェル方程式に基づく制動放射現象により、当該振動及び当該振動によって生じる振動電流に伴い、電磁波が発生することを見出した。そして、この電磁波を検出することで、神経細胞に対して非接触で、かつ、被験体の有する骨等に阻害されること無く、神経細胞の電気活動を高感度に行なうことができる本発明を見出した。さらに、神経細胞に対して、電磁波を照射することで、当該神経細胞の周囲に、人為的に振動磁場を発生させ、同時に、当該神経細胞を機械的に振動させることで、神経細胞に起電力が発生することを見出した。これにより神経細胞に対して非接触に電気刺激を与えることができる本発明を見出した。
【0027】
即ち、本発明に係る生体計測装置は、上記課題の解決のために、被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞から発生する電磁波を受信する電磁波受信素子と、上記電磁波受信素子によって受信された電磁波に基づいて上記神経細胞の電荷の量及び符号を解析する解析手段とを備えることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、神経細胞に対して、非接触で振動を付与することができ、さらに神経細胞は電荷を有しているので、これが振動することで振動電流が生じる。そして、この振動電流によって、マクスウェル方程式に基づき電磁波が生じる。そして、受信した電磁波に基づいて数値化したデータを、例えば3次元ラドン変換等によって解析することで、被験体内の神経細胞の電荷分布を、3次元で得ることができる。また、神経細胞に振動を付与して、発生した電磁波を受信するまでの時間は極めて短いため、リアルタイムで被験体内の電荷分布を計測することができる。また、X線CTで問題となる放射線被曝が無く、MRIで必要とする巨大な磁石が不要であるため、X線CTに比べ安全で、MRIに比べ簡便に、被験体内の電気活動を把握することができる。
【0029】
よって、被験体の神経細胞の電荷分布、ひいては、被験体内の電気活動を、安全で、簡便に、3次元に、リアルタイムで把握することができる。
【0030】
本発明に係る生体計測装置では、上記振動は、音波によって付与することが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、音波によって、神経細胞を振動させることができる。音波は簡便に発生させることができるため、より簡便に神経細胞の電荷を計測することができる。
【0032】
本発明に係る生体計測装置では、上記音波の振動数は、1MHz以上1GHz以下であることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、1MHz以上1GHz以下の振動数は、神経細胞の電気活動の時間スケールである100Hz程度に対して充分に大きいため、時間的分解能を向上させることができる。また、振動数が1MHz以上1GHz以下の音波は、神経細胞の長さと同程度の長さの波長を有するため、神経細胞のサイズレベルの位置分解能を有する生体計測装置を提供することができる。
【0034】
本発明に係る生体計測装置では、上記振動付与素子から音波を発する領域の面積は、1μm以上1mm以下であることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、個々の神経細胞に振動を付与することができる。よって、位置分解能が、神経細胞のサイズレベルの生体計測装置を提供することができる。
【0036】
本発明に係る生体計測装置では、上記振動付与素子が二次元状に配列した、振動付与素子アレイを備える振動付与手段ユニットを、複数備えることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、予め、複数の振動付与素子アレイをユニット化した部材を製造しておき、当該ユニットを組み合わせれば、生体計測装置を製造することができる。よって、簡便に生体計測装置を製造することができる。
【0038】
本発明に係る生体計測装置では、上記振動付与素子は、被験体の表面の少なくとも一部を被覆する基材の、被験体に対向する面上に配置されていることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、被験体の外部から、被験体内の神経細胞に振動を付与することができる。よって、被験体に対して非侵襲で、神経細胞の電荷を計測することができる。
【0040】
本発明に係る生体計測装置では、上記基材は、被験体の頭部表面の、少なくとも一部を被覆する基材であることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、上記基材は頭部を被覆するため、容易に、脳内の神経細胞に振動を付与することができる。よって、被験体の脳内の神経細胞の電荷を、より簡便かつ非侵襲に計測することができる。
【0042】
本発明に係る生体計測装置では、上記振動付与素子は、被験体の内部に挿入する板状の基材の表面に配置されていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、例えば被験体の頭蓋等の影響を受けずに、神経細胞に振動を付与することができる。よって、高感度に神経細胞の電荷を検出することができる生体計測装置を提供することができる。
【0044】
本発明に係る生体計測装置では、さらに、神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子を備えることが好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、神経細胞に対して電磁波を照射して、当該神経細胞の周辺に振動磁場を形成し、さらに振動付与素子により、当該神経細胞を振動させることができる。そしてフレミングの法則に基づいて、当該神経細胞には起電力が生じる。よって、神経細胞に電気刺激を付与することができる。
【0046】
本発明に係る生体計測装置では、上記電磁波受信素子及び上記電磁波照射素子の内、少なくとも一方は、上記振動付与素子が二次元状に配列した、振動付与素子アレイを備える振動付与手段ユニットに内蔵されていることが好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、振動付与手段ユニットに予め電磁波受信素子及び電磁波照射素子の内、少なくとも一方を予め内蔵させておくことで、個々の生体計測装置に対して、個々の電磁波受信素子及び電磁波照射素子を取り付ける必要が無く、製造工程を簡略化することができる。よって、安価な生体計測装置を提供することができる。
【0048】
本発明に係る生体計測装置では、上記電磁波受信素子と、上記電磁波照射素子とは同一のアンテナにより構成されていることが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、電磁波受信素子と、電磁波照射素子とを別途製造する必要が無く、生体計測装置に必要な部品数を削減できる。よって、より安価な生体計測装置を提供することができる。
【0050】
本発明に係る生体計測装置では、上記生体計測装置に外部機器を接続して用いるとき、
上記解析手段は、上記受信した電磁波に基づいて、上記外部機器を駆動するための信号を算出して上記外部機器に供給し、さらに、当該外部機器が得た情報に基づいて、上記振動付与素子を駆動するための信号を算出して上記振動付与素子に供給することが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、当該生体計測装置の被験体の意志を、当該生体計測装置を介して、外部機器の操作に反映することができ、また、外部機器からの情報を被験体の脳に直接伝えることができる。よって、外部機器を、被験体の意志によって操作することができる。また、上記の構成によれば、脳とコンピューターとの間で、直接、情報交換(インターフェイス)することができる。よって、脳とコンピューターとが一体となって計算や思考等の情報処理を行なうことができる。
【0052】
本発明に係る生体計測装置では、上記解析手段は、上記電磁波受信素子によって受信した電磁波に基づいて、上記被験体の神経系を解析することが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、受信した電磁波によって、被験体の神経系を解析して把握することができる。よって、例えば、パーキンソン症状や重度うつ病等の症状の患者の神経系を、把握することで、これらの症状の治療に必要な情報を得ることができる。
【0054】
本発明に係る生体計測装置では、上記解析手段は、異常な状態の神経系を正常にするための電気刺激の条件、及び、当該電気刺激を神経細胞に付与するための振動及び電磁波の条件の算出を行ない、当該振動及び電磁波の条件に基づいて、上記振動付与素子を駆動するための信号を算出して上記振動付与素子に供給し、さらに、上記電磁波照射素子を駆動するための信号を算出して上記電磁波照射素子に供給することが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、異常な状態の神経系を正常にするための電気刺激を神経細胞に付与することができるため、正常な神経系を構築することができる。例えば、パーキンソン病や重度うつ病等の症状が現れない、正常な神経系を構築することで、これらの病気を治療することができる。
【0056】
本発明に係る生体刺激装置は、上記課題を解決するために、被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子とを備えることを特徴としている。
【0057】
上記の構成によれば、被験体の神経細胞に振動を与え、さらに、当該神経細胞に対して電磁波を照射して、当該神経細胞の周辺に振動磁場を形成することで、当該神経細胞に起電力を生じさせ、電気刺激を付与することができる。つまり、個々の神経細胞に対して、非侵襲に電気刺激を付与することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明に係る生体計測装置は、以上のように、被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞から発生する電磁波を受信する電磁波受信素子と、上記電磁波受信素子によって受信された電磁波に基づいて神経細胞の電荷を計測する解析手段とを備えている。よって、神経細胞に対して、非接触で振動を付与することができる。また、神経細胞は電荷を有しているので、これが振動することで振動電流が生じる。この振動電流によって、マクスウェル方程式に基づき電磁波が生じる。そして、受信した電磁波に基づいて数値化したデータを、例えば3次元ラドン変換等によって解析することで、被験体内の神経細胞の電荷分布を、3次元で得ることができる。また、音波を照射して、電磁波を受信するまでの時間は極めて短いため、リアルタイムで被験体内の電荷分布を計測することができる。
【0059】
従って、被験体の神経細胞の電荷分布、ひいては、被験体内の電気活動を、3次元にリアルタイムで把握することが可能な生体計測装置を提供することができるという効果を奏する。
【0060】
また、本発明に係る生体刺激装置では、以上のように被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子を備えることで、振動付与素子により、神経細胞を振動させ、さらに、当該神経細胞に対して電磁波を照射して、当該神経細胞の周辺に振動磁場を形成することができる。これにより、フレミングの法則に基づいて、当該神経細胞には起電力が生じる。
【0061】
従って、個々の神経細胞に対して、非侵襲に電気刺激を付与することが可能な生体刺激装置を提供することが可能という更なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明の一実施形態について図1〜5に基づいて説明すると以下の通りである。本実施の形態では、被験体としてヒトを対象とし、脳内の神経細胞の電荷を計測、又は、神経細胞を刺激する生体計測装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0063】
〔生体計測装置の構成〕
まず、図1〜3に基づいて、本発明に係る生体計測装置の構成について説明する。
【0064】
図1は、本実施の形態に係る生体計測装置1の概略構成を示す図である。また、図2(a)(b)は、本実施の形態に係る生体計測装置1の内、音響送受信ユニット集合体2の外観及び断面の概略構成をそれぞれ示す図である。
【0065】
図1に示すように、本実施の形態に係る生体計測装置1は、音響送受信ユニット集合体2と、コンピューター13(解析手段)とを備えている。コンピューター13は、計測したデータを表示するための表示装置14、及び、入出力装置15を備えている。さらに、コンピューター13は、インターネット16及び外部機器20に接続されている。
【0066】
図2(a)(b)に示すように、音響送受信ユニット集合体2は、被験体17の頭部を被覆する基材18及び複数の音響送受信ユニット(振動付与手段ユニット)3・・を備えている。音響送受信ユニット3・・は、基材18の、被験体17に対向する面上に密集して配置されている。
【0067】
基材18は、被験体の表面であって、計測又は刺激する対象の領域の付近を取り囲み、かつ、被験体に密着するように設計することが好ましい。例えば、本実施の形態のように脳内の神経細胞を計測、又は刺激する場合は、半球状や円筒状でもよいが、図1及び2に示すようにヘルメット状にすることが好ましい。また、超音波エコー検診で用いるローション等の液体を、音響送受信ユニット集合体2と被験体表面との間に充填することが好ましい。これは不要な音波の反射を抑え、効率的かつ正確に音波を生体内に伝播させるためである。
【0068】
また、被験体17がヒト以外の動物の場合など、侵襲的な検査が許される場合、又は、何らかの理由により高い精度や確実性が必要な場合には、侵襲的な手術等により音響送受信ユニット集合体2を頭蓋内に設置することにより、極めて高い位置分解能で計測、及び、後述する神経細胞に対する電気刺激を行なうことができる。このとき、本発明に係る生体計測装置が備える基材は、板状とし、当該基材の表面に音響送受信ユニット集合体2を形成すればよい。
【0069】
図3は、音響送受信ユニット3の概略構成を示す図である。図1及び図3に基づいて、音響送受信ユニット3を説明する。
【0070】
音響送受信ユニット3(振動付与手段ユニット)には、被験体に対向する面に、微小ピエゾ素子19(振動付与素子)が二次元状に配列された微小ピエゾ素子アレイ4(振動付与素子アレイ)が形成されている。また、音響送受信ユニット3は、音波送受信回路5を備えており、音波送受信回路5は、ピエゾ素子駆動回路アレイ6、音波検出回路アレイ7を備えている。そして、音波送受信回路5と、微小ピエゾ素子アレイ4とは電気的に接続されており、個々の微小ピエゾ素子アレイ4・・は、ピエゾ素子駆動回路アレイ6によって独立して作動する。
【0071】
本実施の形態では、微小ピエゾ素子19の面積は、100μmの場合について説明する。なお、微小ピエゾ素子19の面積は、要求する計測や刺激の位置分解能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1μm以上1mm以下であり、さらに好ましくは100μm以上10000μm以下である。また、本発明に係る生体計測装置が備える振動付与素子としては、本実施の形態で例示したピエゾ素子以外に、磁気駆動素子や静電駆動素子などを用いてもよい。
【0072】
なお、微小ピエゾ素子アレイ4は、従来公知の電子走査型(例えばフェーズドアレイ型)の超音波エコー法で用いられる2次元ピエゾ素子アレイを、さらに、MEMSによって微細化して製造すればよい。なお、従来公知の2次元ピエゾ素子アレイとしては、例えば、山下馨、奥山雅則、「マイクロ超音波アレイセンサを用いた三次元計測」、日本工業出版社 超音波テクノ、2005年、vol. 17、no. 2、6−12頁、山下馨、鶴谷泰介、奥山雅則、「マイクロアレイセンサを用いたリアルタイム空中超音波計測系」、平成17年電気学会全国大会(徳島、3/17‐19)、2005年、3-156頁、大阪大学基礎工学研究科奥山研究室で作製のマイクロ超音波アレイセンサ(http://www.semi.ee.es.osaka-u.ac.jp/okuyamalab/study/US.html)、プロアシスト社製の超音波マイクロアレイセンサー(http://www.tri.pref.osaka.jp/poster/2003/c-45.pdf、http://www.designnewsjapan.com/news/200603/27meas_proassist.html)が挙げられる。また、秋山敏一、北川敬康、溝口賢哉、「超音波三次元表示とコンパウンド法」、日本放射線技術学会誌、2004年、第60刊、第5号、654−660頁に網羅的に記載されている。
【0073】
音響送受信ユニット3は、電磁波送受信系8を備えている。電磁波送受信系8には、電磁波アンテナ9(電磁波受信素子・電磁波照射素子)、電磁波送受信回路10が備えられている。電磁波送受信回路10は、電磁波アンテナ9に電気的に接続されており、電磁波受信回路12及び電磁波送信回路11を備えている。つまり、本発明に係る生体計測装置が備える電磁波受信素子及び電磁波照射素子は、本実施の形態では、同一の電磁波アンテナ9によって、構成されている。電磁波アンテナ9は、使用する周波数帯域で、送受信ができるアンテナである限り限定されるものではなく、ループアンテナ、微小ループアンテナ等を用いればよい。なお、電磁波アンテナ9が指向性を有する必要はない。電磁波アンテナ9の代わりに、SQUID素子を用いてもよい。電磁波の検出感度を向上することができる。
【0074】
本実施の形態では、音響送受信ユニット3に、電磁波アンテナ9、電磁波受信回路12及び電磁波送信回路11を内蔵しているが、音響送受信ユニット集合体2から独立して設置してもよい。例えば、被験体17の口腔内に、電磁波アンテナ9を設置してもよい。電磁波アンテナ9を口腔内に設置すると、音響送受信ユニット集合体2に由来する不要電磁ノイズの影響を低減することができる。
【0075】
〔生体計測装置の原理〕
次に、神経細胞に振動を付与して、振動した神経細胞から発生する電磁波を検出することにより神経細胞の電荷を計測する原理を説明する。
【0076】
脳等の神経系は、極めて多数の神経細胞により構成されている。例えば、神経細胞の本体主要部である細胞体(soma)は、最小で4マイクロメートル程度の大きさであり、大脳皮質内での神経細胞の細胞体の平均間隔は20マイクロメートル程度の大きさである。
【0077】
神経細胞では、細胞内と細胞外とのイオンの濃度差よって分極が生じる。そして、神経細胞が分極と脱分極とを繰り返すことにより、電荷が移動して電流が生じる。個々の神経細胞の電気活動が、多数の神経細胞間で相互に作用することによって、生体内の情報処理が行なわれる。つまり、本発明に係る生体計測装置は、神経細胞の電気活動を検出することで、生体内の情報処理活動を把握するものである。
【0078】
ここで、電荷Qを帯びた物体を、角振動数ωで往復振動させれば、電磁気学における制動放射現象により、同じ角振動数ωの電磁波が放射される。なお、定常的な電流を角振動数ωで往復振動させると、電流により生じた磁場が角振動数ωで振動する振動電磁場が発生する。この振動電磁場は電磁波の一種であるので、本明細書では、「電磁波」に「振動電磁場」を包含するものとする。
【0079】
ここで、分極又は脱分極をしている神経細胞の、細胞壁又は細胞全体を、例えば音波等により振動させると、神経細胞の振動、及び、当該振動により生じる振動電流によって、マクスウェル方程式に基づく制動放射現象により電磁波が発生する。発生した電磁波の強度や位相は、振動する神経細胞等の電荷の量や、符号に依存する。そこで、放射される電磁波を計測することにより、特定の神経細胞の電気活動を、定量的に把握することができる。
【0080】
次に、図4及び5に基づいて、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いて、神経細胞の電気活動の3次元分布を計測する方法を説明する。
【0081】
図4は、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いて、神経細胞の電気活動の3次元分布を計測する方法の原理を模式的に示した図である。図4では、被験体17が存在する空間の空間座標として(x,y,z)を用い、被験体中を平面波のパルス音波が通過する場合を例示している。図4において、原点(0,0,0)を通る直線lは音波の平面波が伝播する向きを表し、直線lと常に直交する平面Σは、ある時刻における波面を表す。
【0082】
また、図5は、本実施の形態に係る生体計測装置1で用いる音波の波形の一例を示した図である。図5において横軸は時間であり縦軸は振幅である。説明を簡単にするため、神経細胞の大きさは、当該音波の波長と同程度であり、各神経細胞の間の距離は、音波のパルス幅より大きいものとする。また、当該音波の角振動数はωとする。
【0083】
図4に示すように、平面Σで表される平面波の波面は、時間の進行とともに直線lに沿って、原点に近づく方向に伝播し、原点に達した後は、その方向を変えることなく、原点から遠ざかるように被験体内部を伝播する。
【0084】
直線lは立体極座標の角度の組(θ,φ)で一意に特定でき、また、平面Σは原点からの距離rを加えた、組(θ,φ,r)で、一意に特定できる。
【0085】
波面は、直線lに沿って、被験体内部を音速で伝播するため、音速が一定という近似の下で、距離rは時間tの関数としてr(t)=定数+t×音速と示すことができる。よって、時間の進行に伴う平面Σの位置は(θ,φ,r(t))として表すことができる。なお、この様な波面の音波は、音響送受信ユニット集合体2をホログラム制御あるいはフェーズドアレイ制御することにより発生させることができる。
【0086】
ここで、ある時間における、被験体中の電荷分布をρ(x,y,z)とする。被験体の電気活動の進行に伴い、この電荷分布は、100Hz程度の時間スケールで、時間の経過に伴い変化する。生体内を伝播する音速は1〜2km/秒程度であるため、上記100Hzは、音波が生体組織を横切る時間に比べて十分に遅い。このため、ρ(x,y,z)は、音波が生体組織を横切る間、時間変化が無いものとみなせる。
【0087】
図5に示す音波は、波面Σに存在する神経細胞を角振動数ωで一様に振動させる。電磁波の速度は、音速よりも十分に速いため、当該神経細胞から発生する電磁波は、波面Σの各点からの放射の合成と近似できる。即ち、放出される電磁波の波形はθ,φ,tの関数f(θ,φ,t)として、下記数式(1)
【0088】
【数1】

【0089】
と示すことができる。ここで、積分は(θ,φ,r(t))で指定される平面Σ上での面積分であり、dσは平面Σの面積分の測度であり、被積分関数ρ(x,y,z)の引数(x,y,z)は平面Σ上を示す。
【0090】
つまり、平面波の向き(θ,φ)としたパルス波を伝搬させると、電磁波アンテナ9では、上記数式(1)においてf(θ,φ,t)で示される波形の電磁波を受信する。さらに、電磁波アンテナ9で受信した電磁波を、角振動数ωでホモダイン検波し、ローパスフィルタ処理によって角振動数ω以上の高振動数を取り除くと、f(θ,φ,t)の振動の振幅g(θ,φ,t)を示す下記数式(2)
【0091】
【数2】

【0092】
が得られる。実際の計測では、所望の角度分解能で、全ての平面波の向き(θ,φ)について測定を行ない、検波出力波形g(θ,φ,t)の集合をコンピューターに入力する。ここで、上記数式(2)において、g(θ,φ,t)からρ(x,y,z)への変換は、可逆的積分変換である3次元ラドン変換によって行なう。このため、g(θ,φ,t)に対して、コンピューターによる数値的な逆変換を施すことにより、その時点における被験体内の、電荷分布ρ(x,y,z)を求めることができる。
【0093】
なお、振動数が異なる搬送波を用い、さらに発生する電磁波をそれぞれの搬送波を用いてホモダイン検波することにより、同時に多数の平面波を用いても、混信することなくg(θ,φ,t)の計測を行なうことができる。これは、ρ(x,y,z)の計測に必要なg(θ,φ,t)の集合を集めるために要する時間を大幅に短縮することができる。
【0094】
これまで、平面波の音波及び3次元ラドン変換を用いた計測方法について説明した。これは、被験体中の広い領域を、短時間で計測する場合に適している。
【0095】
一方、狭い領域を集中的に計測する場合には、当該領域に収束する球面波や、双極子波のパルス音波を利用してもよい。例えば、ある時刻において(X,Y,Z)に収束する球面波、又は、(X,Y,Z)を挟み、かつ、波長の長さと同程度の距離で離れた2点に収束する双極子波を伝搬させる。パルス音波の波形として上述した図5の波形を用いると、そのパルス音波が収束する時、収束点付近は角振動数ωで振動し、近似的に、下記数式(3)
【0096】
【数3】

【0097】
で示す波形を有する電磁波が発生する。これを受信し、上述のように、ホモダイン検波、及び、ローパスフィルタ処理をすることにより、受信した電磁波の振幅ρ(X,Y,Z)が得られる。音波の収束点(X,Y,Z)を、計測を目的とする領域上で走査して、当該領域の各点のρ(X,Y,Z)を計測すれば、電荷分布ρ(x,y,z)が得られる。ここで得られる電荷分布は、神経細胞が有する電荷が振動して振動電流を生じた結果得られる電荷に基づいているので電流分布ということもできる。
【0098】
次に、神経細胞に対して、振動を付与し、さらに、電磁波を照射することによって、神経細胞を刺激する原理を説明する。
【0099】
電気伝導体を磁場Bの中で、速度vで運動させると、電気伝導体のイオンや電子にローレンツ力が作用し、電気伝導体には磁場Bの方向、及び、速度vで進む方向の双方に直交する方向に、B×vに比例する起電力が生じる。磁場Bが振動数Ωで単振動し、電気伝導体が振動数ωで単振動する場合に発生する起電力は、三角関数の積と和の関係によって、和の振動数(Ω+ω)と、差の振動数|Ω-ω|とを合成したsin((Ω+ω)t)+sin(|Ω−ω|t)となる。ここで、神経細胞等の生体組織は、イオンや電子をキャリアとする電気伝導体である。よって、音波により神経細胞を振動させて、電磁波の照射等により振動磁場を与えると、生体組織に起電力が発生する。この起電力の発生の機構は、生体内に、音波による振動で駆動するダイナモ発電機を設置したものと表現することができる。
【0100】
本実施の形態に係る生体計測装置1では、例えば、神経細胞に対して、振動数Ωの電磁波を照射し、振動数ωの音波で振動させた場合、当該神経細胞は、振動数Ωで単振動する磁場B中で、振動数ωで単振動させられるため、起電力が発生する。なお、本明細書では、振動及び電磁波によって、神経細胞に生じさせた起電力を「電気刺激」と表記する。
【0101】
ここで、本実施の形態に係る生体計測装置1では、後述するように振動数1MHz以上の音波及び電磁波を用いるため、上記和の振動数(Ω+ω)の値は大きくなる。しかし、このように大きな振動数により生じる起電力の振動数は、神経細胞にとって高すぎるため、上記和の振動数(Ω+ω)による振動成分は、神経細胞にとって電気的な刺激にならない。これは、振動数が高い交流電流を神経細胞に与えても、振動数が高すぎるために、神経細胞はそれに追従できず、当該交流電流は、神経細胞に対する電気刺激とはならないこと(高周波電気メスの原理)を利用している。
【0102】
そして、差の振動数|Ω-ω|がゼロもしくは数百Hzと低い場合に、生体組織の電気活動は、上記差の振動数|Ω-ω|に起因する振動成分に由来する起電力による影響を受ける。つまり、電磁波の振動数Ωと音波の振動数ωとが、近い値である場合にのみ、生体組織に対する電気刺激を与え、特に、Ω=ωの時は、直流的な電気刺激となる。
【0103】
例えば、図5に示す音波であって、角振動数ωの搬送波をパルス的に変調した音波を用いる場合、音波の波面が標的とする神経細胞に収束した瞬間に、当該音波と同じ振動数ωの電磁波を当該収束点に照射すると、当該収束点に直流の起電力が発生する。この起電力が、当該神経細胞に対する電気刺激となる。
【0104】
〔生体計測装置の動作〕
次に、本実施の形態に係る生体計測装置1の動作について説明する。
【0105】
まず、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いて、神経細胞の電荷を計測する場合について説明する。
【0106】
微小ピエゾ素子19は、コンピューター13によって独立に制御され、各微小ピエゾ素子19から照射される音波の波形が制御される。各微小ピエゾ素子19から照射する音波の振動数は、1MHz以上1GHz以下となるように制御されている。そして、コンピューター13の制御に基づいて、ピエゾ素子駆動回路アレイ6が作動し、対応する微小ピエゾ素子19から音波が照射される。
【0107】
微小ピエゾ素子19から照射する音波としては、パルス的にAM変調したパルス平面波を用いることが好ましい。なお、音波の振動数は、神経細胞の電気活動の時間スケールは100Hz程度であるので、この数値を基準に、求める位置分解能などに応じて適宜設定すればよいが、1MHz以上1GHz以下が好ましい。振動数が1MHz以上1GHz以下の音波は、神経細胞の長さと同程度の長さの波長を有するため、計測の位置分解能を向上させ、良好に、個々の神経細胞を計測することができる。
【0108】
また、音響送受信ユニット集合体2を構成する多数の微小ピエゾ素子19を、コンピューター13によって制御することで、脳内の任意の方向に、任意の波形で音波を照射することができる。例えば、コンピューター13によって、音響送受信ユニット集合体2をホログラム制御又はフェーズドアレイ制御することで、生体内に任意の波形をもつ平面波、球面波、双極子波などを発生させることができる。
【0109】
微小ピエゾ素子19から照射された音波は、被験体内の神経細胞を振動させる。当該神経細胞は電荷を持っているため、これが振動することで、上述のとおり、電磁波が発生する。発生した電磁波は、電磁波アンテナ9によって受信され、電磁波受信回路12によって数値データ化され、コンピューター13に入力される。そして、コンピューター13では、断面図、3次元プロット、立体等高線、濃淡表示、動画等の、所望の画像表示法に応じて当該数値データが処理され、表示装置14によって視覚化される。
【0110】
ここで、上述のようにパルス平面波を用いた場合、当該音波は、パルス波面が通過する被験体内の一断面を、当該音波の振動数で振動させる。そして、当該断面の電荷に基づいて、電磁波が発生する。発生した電磁波を計測すれば、断面の電荷分布を重ね合わせた情報を得ることができる。併せて、パルス波の波面の向き(進行方向)を変えた計測を行なうことにより、様々な方向の断面から発生する電磁波を計測する。得られた個々の断面の情報を、上述のように、3次元逆ラドン変換などの数学的手法を用いてコンピューター13で処理することにより、3次元の電荷分布を得ることができる。
【0111】
また、電磁波の検波方法としては、音波の振動数と、発生する電磁波の振動数は同じであるため、上述のようにホモダイン検波を用いてもよく、直交ウエーブレット関数の内積を検波として用いていもよい。直交ウエーブレット関数では、波形をパルス波とし用いればよく、その内積は、コンピューター13により、発生した電磁波の波形を、数値コンボリューション積分すればよい。直交ウエーブレット関数の内積を検波として用いることは、一度に多数のパルス平面波を用いる場合に効率が良い。
【0112】
なお、広範な領域における神経細胞を計測する場合、上述のように平面パスル波を照射し、3次元ラドン変換等による解析を行なうことが好ましい。
【0113】
また、狭い領域の神経細胞の電気活動を計測するときは、上述のように、当該狭い領域に収束する球面波や双極子波のパルス平面波の音波を用いればよい。パルス平面波の波面が収束する瞬間には、当該収束点のみが振動している。よって、検出される電磁波の検波出力は、当該収束点における神経細胞の電気活動を反映している。当該収束点を走査するように音波を照射することで、当該狭い領域における電気活動の3次元分布を得ることができる。このとき、球面ラドン変換等の解析手法を用いてもよい。
【0114】
平面波及び球面波・双極子波のいずれを用いる場合でも、異なる振動数の搬送波を有するパルス音波を照射すれば、ホモダイン検波を行なうことにより、振動数毎に分解して、混信することなく計測をすることができる。このため、同時に多数のパルス波を用いて、当該多数のパルス波により並行して計測することが可能であり、時間分解能を向上させることができる。
【0115】
本実施の形態に係る生体計測装置1では、微小ピエゾ素子19から照射されて、被験体17で反射した音波、又は、被験体17を透過した音波を、当該微小ピエゾ素子19又は異なる微小ピエゾ素子19によって検出することができる。検出した音波は、音波検出回路アレイ7によって、正確に音波が被験体内部に伝播したか確認することができる。例えば、脳を非侵襲的に計測・刺激しようとする場合、音響インピーダンスの大きい頭蓋骨による反射・屈折・散乱の影響を低減したうえで、脳組織内に正確に平面波や球面波等を照射することが必要である。このため、音波検出回路アレイ7によって、被験体から反射又は透過した音波の検出を行ない、被験体内の音響インピーダンスの分布等を並行して計測する。この検出結果に基づいて、音響インピーダンスや、音速の不均一な分布の補正、又は、反射を打ち消すような音波を照射するように、ピエゾ素子駆動回路アレイを制御することができる。また、音響インピーダンスや音速の実際の不均一分布を考慮した数値解析をおこない、計測の精度を向上させることができる。
【0116】
次に、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いて、神経細胞に電気刺激を与える場合について説明する。なお、説明の簡単のため、上述した神経細胞の電荷を計測する場合と同様の構成については説明を省略する。
【0117】
電磁波アンテナ9によって、電気刺激を与える標的の神経細胞が存在する領域に電磁波が照射される。そして、少なくとも、当該神経細胞を電磁波が通過した瞬間には、微小ピエゾ素子19から照射された音波が当該神経細胞に照射されているように、ピエゾ素子駆動回路アレイ6をコンピューター13によって制御する。つまり、コンピューター13の制御に基づいて、ピエゾ素子駆動回路アレイ6及び電磁波送信回路11が作動し、対応する微小ピエゾ素子19及び電磁波アンテナ9から音波及び電磁波がそれぞれ照射される。電磁波によって磁場中に存在することとなった、当該標的の神経細胞は、当該音波によって振動するため、上述の通り起電力が生じる。よって、当該標的の神経細胞は、当該起電力によって電気刺激を受けることとなる。ここで、当該電磁波の振動数と、当該音波の振動数とを同じ値に設定することが好ましい。当該神経細胞に直流の起電力が生じ、当該直流の起電力によって正味の電荷が運ばれ、確実に細胞を刺激することができるからである。
【0118】
電磁波アンテナ9から照射する電磁波の振動数、及び、微小ピエゾ素子19から照射する音波の振動数は、1MHz以上1GHz以下となるようにコンピューター13により制御されている。なお、音波及び電磁波の振動数は、1MHz以上1GHz以下に限定されるものではない。神経細胞の電気活動の時間スケールは、100Hz程度であるので、この数値を基準に、求める位置分解能などに応じて適宜設定すればよいが、1MHz以上1GHz以下が好ましい。振動数が1MHz以上1GHz以下の音波は、神経細胞の長さと同程度の長さの波長を有するため、個々の神経細胞を、良好に刺激することができる。なお、微小ピエゾ素子19から照射する音波としては、特に限定されるものではないが、例えば、搬送波をパルス的にAM変調した球面波や双極子波を用いればよい。
【0119】
電気刺激の起電力の符号や向きは、フレミングの法則に基づいて、音波の振動の向き、電磁波の磁場成分の振動の向き、音波及び電磁波の位相等を調整することで、制御できる。様々な振動数の音波及び電磁波を用いることで、混信することなく同時に多数の神経細胞に刺激を与えることができる。なお、本発明に係る生体計測装置では、電磁波照射素子の数は多いほうが好ましい。例えば、本実施の形態のように、電磁波アンテナ9を用いれば、一つのアンテナで同時に多数の周波数の電磁波を放射することができるが、電磁波アンテナ9の数を増やすと、神経細胞1個当たりの、照射される電磁波の強度が向上する。
【0120】
このように、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いれば、被験体内の任意の神経細胞に、神経細胞のサイズの位置分解能で、起電力を生じさせることができる。これにより、生体の情報処理活動に、干渉や割込みを行なうことができ、かつ、干渉や割込みを制御することができる。
【0121】
換言すれば、本実施の形態に係る生体計測装置1は、本発明に係る生体刺激装置の一実施形態である。即ち、微小ピエゾ素子19(振動付与素子)によって、被験体の神経細胞に振動を与え、電磁波アンテナ9(電磁波照射素子)によって、当該神経細胞に対して電磁波を照射して、当該神経細胞の周辺に振動磁場を形成することで、当該神経細胞に起電力を生じさせ、電気刺激を付与することができる。
【0122】
本実施の形態に係る生体計測装置1では、コンピューター13により、脳内の神経細胞に電気刺激を与えることで、直接、脳に情報を与えることができる。このとき、神経細胞の電気活動の計測結果をフィードバックして電気刺激を与えることもできる。
【0123】
つまり、本実施の形態では、脳内の電気活動の計測結果を、入出力装置15を介して外部機器20に出力して、当該外部機器20を操作する。
【0124】
例えば外部機器20として、テレビカメラやマイクロホン等を用いた場合、テレビカメラやマイクロホンが得た情報を、脳内に直接伝えたりすることができる。
【0125】
また、外部機器20として、テレビカメラを入出力装置15に接続した場合、テレビカメラの映像情報に基づいて、視覚障害者(被験体17)の脳の視覚野の神経細胞に対して電磁波で刺激し、また、振動を付与して当該神経細胞の電荷の計測を行なって計測の結果をフィードバックすることにより、テレビカメラを義眼として利用することができる。同様に、聴覚、触覚、味覚、嗅覚等の、それぞれの感覚に対応したセンサーを選択することで、あらゆる感覚障害を克服することができる。また、手や足などの障害者(被験体17)に対し、脳の運動野における神経細胞の電気活動を計測して、当該計測結果に基づいて、義手や義足などに内蔵されたアクチュエータを制御することで、障害者(被験体17)の意志に従い、自然に近い動きをする義手や義足を提供することができる。
【0126】
このように、被験体17の脳と、コンピューター13との間で、直接、情報交換(インターフェイス)することができるため、コンピューター13を介して、被験体17の脳と、様々な外部機器20との直接のインターフェイスが可能となる。これにより、考えるだけで動く機械、思考に直接情報を伝える機械を提供することができる。つまり、この脳とコンピューター13との、直接のインターフェイスによって、自動車、航空機、ロボット、産業用機械、玩具等、あらゆる外部機器20の運転を、被験体17の脳から直接行なうことができる。
【0127】
また、本実施の形態では、インターネット16を介して、脳と脳との直接の通信、脳内情報処理の外部化による脳機能の拡張などを行なうことができる。
【0128】
このように、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いれば、従来のディスプレイ装置やキーボードを用いる人間とコンピューターとのインターフェイスとは異なり、直接、脳とコンピューターとのインターフェイスが可能である。よって、より高速で大容量なインターフェイスを提供することができる。このため、脳とコンピューターとが一体となって計算や思考等の情報処理を行なうことができる。
【0129】
また、本実施の形態に係る生体計測装置1を用いれば、他の人や動物の脳と直接に情報を交換することもできる。
【0130】
さらに、パーキンソン病や重度うつ病等の神経細胞の異常により生じる病気の治療に用いることができる。このとき、治療対象の病気に関係する神経細胞を目標として電気刺激を与えることで、パーキンソン病等の症状が現れない、正常な神経系を構築することで治療することができる。つまり、目的の神経系を構築するために必要な、神経細胞に対する電気刺激をコンピューター13によって算出し、この算出結果に基づいて、当該電気刺激を与えるための音波及び電磁波を照射するための信号を、それぞれ、ピエゾ素子駆動回路アレイ6及び電磁波送信回路11を介して、微小ピエゾ素子19及び電磁波アンテナ9に供給することで、神経系の異常を治療することができる。また、生体計測装置1によって計測した結果に基づいて、コンピューター13によって、症状の状態を自動的に判断し、それに応じて自動的に、電気刺激する標的の神経細胞や、電気刺激の強度を変更することができる。
【0131】
これは、従来、侵襲的埋め込み電極によって治療を行なってきたパーキンソン病や重度うつ病を、非侵襲的に治療することを可能にしたものである。
【0132】
最後に、コンピューター13の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0133】
すなわち、コンピューター13は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるコンピューター13の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記コンピューター13に供給し、そのコンピューター(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0134】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0135】
また、コンピューター13を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、上述のインターネット16、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0136】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明に係る生体計測装置は、脳、神経、精神、脊髄、心臓等の、診断、治療、リハビリテーションに関連する医学、医療分野に利用することができる。特に、脳と神経に関わるあらゆる病気や障害の診断と研究に利用することができる。また、本発明に係る生体計測装置を用いれば、脳の海馬などを刺激して、その反応を計測することで、記憶の読出し、書き込み、消去、学習の強化、記憶の外部化などに利用することができる。よって、医療、教育、通信、情報処理、ゲーム等のレクリエーションなど多くの分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体計測装置の概略構成を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る生体計測装置に用いる、音響送受信ユニット集合体の外観及び断面の概略構成を示す図であり、(a)は外観図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る生体計測装置に用いる、音響送受信ユニットの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る生体計測装置を用いて、神経細胞の電気活動の3次元分布を計測する方法の原理を模式的に示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る生体計測装置で用いる音波の波形の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0139】
1 生体計測装置
2 音響送受信ユニット集合体
3 音響送受信ユニット(振動付与手段ユニット)
4 微小ピエゾ素子アレイ(振動付与素子アレイ)
5 音波送受信回路
6 ピエゾ素子駆動回路アレイ
7 音波検出回路アレイ
8 電磁波送受信系
9 電磁波アンテナ(電磁波受信素子・電磁波照射素子)
10 電磁波送受信回路
11 電磁波送信回路
12 電磁波受信回路
13 コンピューター(解析手段)
15 入出力装置
17 被験体
18 基材
19 微小ピエゾ素子(振動付与素子)
20 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞から発生する電磁波を受信する電磁波受信素子と、上記電磁波受信素子によって受信された電磁波に基づいて上記神経細胞の電荷の量及び符号を解析する解析手段とを備えることを特徴とする生体計測装置。
【請求項2】
上記振動は、音波によって付与することを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項3】
上記音波の振動数は、1MHz以上1GHz以下であることを特徴とする請求項2に記載の生体計測装置。
【請求項4】
上記振動付与素子から音波を発する領域の面積は、1μm以上1mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の生体計測装置。
【請求項5】
上記振動付与素子が二次元状に配列した、振動付与素子アレイを備える振動付与手段ユニットを、複数備えることを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項6】
上記振動付与素子は、被験体の表面の少なくとも一部を被覆する基材の、被験体に対向する面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項7】
上記基材は、被験体の頭部表面の、少なくとも一部を被覆する基材であることを特徴とする請求項6に記載の生体計測装置。
【請求項8】
上記振動付与素子は、被験体の内部に挿入する板状の基材の表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項9】
さらに、上記神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項10】
上記電磁波受信素子及び上記電磁波照射素子の内、少なくとも一方は、上記振動付与素子が二次元状に配列した、振動付与素子アレイを備える振動付与手段ユニットに内蔵されていることを特徴とする請求項9に記載の生体計測装置。
【請求項11】
上記電磁波受信素子と、上記電磁波照射素子とは同一のアンテナにより構成されていることを特徴とする請求項9に記載の生体計測装置。
【請求項12】
上記生体計測装置に外部機器を接続して用いるとき、
上記解析手段は、上記受信した電磁波に基づいて、上記外部機器を駆動するための信号を算出して上記外部機器に供給し、さらに、当該外部機器が得た情報に基づいて、上記振動付与素子を駆動するための信号を算出して上記振動付与素子に供給することを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項13】
上記解析手段は、上記電磁波受信素子によって受信した電磁波に基づいて、上記被験体の神経系を解析することを特徴とする請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項14】
上記解析手段は、異常な状態の神経系を正常にするための電気刺激の条件、及び、当該電気刺激を神経細胞に付与するための振動及び電磁波の条件の算出を行ない、
さらに、当該振動及び電磁波の条件に基づいて、上記振動付与素子を駆動するための信号を算出して上記振動付与素子に供給し、上記電磁波照射素子を駆動するための信号を算出して上記電磁波照射素子に供給することを特徴とする請求項9に記載の生体計測装置。
【請求項15】
被験体の神経細胞に対して非接触で振動を与える振動付与素子と、上記振動付与素子によって振動した神経細胞に対して電磁波を照射するための電磁波照射素子とを備えることを特徴とする生体刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−93286(P2008−93286A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280558(P2006−280558)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(591060980)岡山県 (96)
【出願人】(504380633)ケベンハウンス・ウニヴェルジテート (1)
【氏名又は名称原語表記】KOEBENHAVNS UNIVERSITET
【Fターム(参考)】