説明

生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法

【課題】手のひらの置き方の自由度を向上させても、簡単な登録で、高精度の認証を高速で行うことができる生体認証装置を提供する。
【解決手段】指紋画像取得部1は、複数の指の指紋画像を取得する。静脈画像取得部3は、手のひら静脈画像を取得する。認証情報DB6は、基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における所定の指の基準方向を記憶する。基準取得部20は、指紋画像取得部1により取得された指紋画像を基に所定の指の長軸方向を検出する。位置補正部40は、基準取得部20により検出された所定の指の長軸方向及び所定の指の基準方向を基に、静脈画像取得部3により取得された手のひら静脈画像を補正する。静脈特徴情報抽出部4は、補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する。照合処理部32は、静脈特徴情報抽出部4により取得された静脈特徴情報と基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証システムでは、予め生体の特徴を示す情報(以下では、「特徴情報」と言う。)を生体情報としてシステムに登録しておき、登録してある生体情報と認証時に取得した生体情報との類似性を判断することで個人認証を行う。原理的に、登録時に得られた生体情報と認証時に取得した生体情報が厳密に一致することは無く、類似度が低いと判定された場合にはシステムに登録した本人であっても認証に失敗してしまう。類似度を判定する閾値は、これを下げることで本人が認証に失敗する確率(本人拒否率)は低減するが、この場合、他人が誤って本人であると判定される確率(他人受入率)は上昇してしまう。一般的に本人拒否率と他人受入率は相反する関係にあるが、複数種類の生体情報を用いて個人認証を行うことで両者を同時に低減させて認証精度を向上する方法が知られている。
【0003】
そして、生体情報として手のひらの静脈パターンを用いる技術がある。この技術は、利用者の手のひらの静脈パターンの特徴情報を生体情報としてシステムに登録しておき、認証時に入力された静脈パターンの特徴情報との類似度を判定するものである。このような手のひらの静脈パターンを用いる技術として、以下のような従来技術がある。例えば、指画像を入力する装置と手のひらの画像を入力する装置の両方を一体化して配置した従来技術がある。また、暗証番号及び掌紋を用いて認証を行う従来技術がある。また、指の関節のしわの画像をコントラストの高い画像として生成する従来技術が有る。また、ある種類の生体情報を取得するための対象の位置に基づいて他の種類の生体情報を取得するための対象の位置を補正する従来技術が有る。さらに、指紋登録時と指紋照合時とで生じる指先の位置ずれ量を算出して認証を行う従来技術が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−331239号公報
【特許文献2】特開平7−114640号公報
【特許文献3】特開2000−194828号公報
【特許文献4】特開2006−277341号公報
【特許文献5】特開2008−198083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手のひらの静脈パターンの画像では、本来手のひら全体が写ることが好ましいにもかかわらず、手のひらを載せるガイドの形状と手のひらの置き位置によっては、手のひらの左半分や右半分しか撮像されないおそれがある。例えば、指画像を入力する装置と手のひらの画像を入力する装置の両方を一体化して配置した従来技術では手のひらの置き位置が制限され、手のひら全体が撮像できないおそれがある。また、生体情報を取得する対象の一方の位置から他方の位置を補正する従来技術は、身体部位の概略の大きさや指紋押捺パターンの輪郭を用いている。しかし、身体部位の大きさや、指紋押捺パターンの形状は人によって違いが大きい場合があり、正確な位置の補正を行うことは困難である。さらに、指紋登録時と指紋照合時とで生じる指先の位置ずれ量を算出して認証を行う従来技術では、ある生体情報の取得対象の位置ずれ量の検出を行うために他の生体情報の認証を行っている。そのため、例えば、1:N認証システムにこの従来技術を用いた場合、非常に多くの生体情報と照合しなければならず煩雑である。さらに、回転して手のひらの一部を撮像する技術もある。しかし、手のひらを立体的に認識するためには複雑な処理が必要となり、撮像に時間がかかるおそれが有る。
【0006】
このように、手のひらの置き方の自由度を上げた場合には、撮像の処理に時間がかかり、撮像の処理を短時間で行うためには、手のひらの置き方の自由度が制限され、適切な画像が取得できないおそれがあった。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、手のひらの置き方の自由度を向上させても、簡単な登録で、高精度の認証を高速で行うことができる生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法は、一つの態様において、複数の指の指紋画像を取得する指紋画像取得部と、前記指紋画像取得部が指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得する静脈画像取得部と、基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における所定の指の基準方向を記憶する記憶部と、前記指紋画像取得部により取得された前記指紋画像を基に前記所定の指の長軸方向を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向及び前記記憶部に記憶されている前記所定の指の基準方向を基に、前記静脈画像取得部により取得された前記手のひら静脈画像を補正する位置補正部と、前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する静脈特徴情報取得部と、前記静脈特徴情報取得部により取得された静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う認証部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法の一つの態様によれば、手のひらの置き方の自由度を向上させても、簡単な登録で、高精度の認証を高速で行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係る生体認証装置のブロック図である。
【図2】図2は、指の方向の検出を説明するための図である。
【図3】図3は、両端の指の方向を用いた基準方向及び基準位置の算出を説明するための図である。
【図4】図4は、各指の指紋の情報の一例を表す図である。
【図5】図5は、手のひら静脈画像を移動するための各パラメータの一例を表す図である。
【図6】図6は、実施例1に係る生体認証装置による登録処理のフローチャートである。
【図7】図7は、実施例1に係る生体認証装置による認証処理のフローチャートである。
【図8】図8は、実施例1に係る生体認証装置による基準算出のフローチャートである。
【図9】図9は、生体認証装置のハードウェア構成図である。
【図10】図10は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムのブロック図である。
【図11】図11は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムにおける登録処理のフローチャートである。
【図12】図12は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムにおける認証処理のフローチャートである。
【図13】図13は、実施例1の変形例2に係る生体認証装置のブロック図である。
【図14】図14は、実施例1の変形例2に係る生体認証装置における認証処理のフローチャートである。
【図15】図15は、ブロック分割を用いた認証を説明するための図である。
【図16】図16は、分割ブロック及び共通ブロックの一例を示す図である。
【図17】図17は、実施例2に係る生体認証装置のブロック図である。
【図18】図18は、指紋から指の付け根までの距離の算出を説明するための図である。
【図19】図19は、実施例2に係る生体認証装置における登録処理のフローチャートである。
【図20】図20は、実施例2に係る生体認証装置における認証処理のフローチャートである。
【図21】図21は、実施例2に係る生体認証装置における絞込処理のフローチャートである。
【図22】図22は、実施例3に係る生体認証装置のブロック図である。
【図23】図23は、手のひら置き位置履歴情報の一例を示す図である。
【図24】図24は、分析結果の一例を示す図である。
【図25】図25は、実施例3に係る生体認証装置における履歴情報の保存処理のフローチャートである。
【図26】図26は、実施例3に係る生体認証装置における分析処理のフローチャートである。
【図27】図27は、実施例4に係る生体認証装置のブロック図である。
【図28】図28は、実施例4における指及び手のひら誘導を説明するための図である。
【図29】図29は、誘導後の指及び手のひらを示す図である。
【図30】図30は、実施例4に係る生体認証装置における分析処理のフローチャートである。
【図31】図31は、実施例5に係る生体認証装置のブロック図である。
【図32】図32は、実施例5における指の誘導を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する生体認証装置、生体情報処理装置、生体認証システム、生体認証サーバ、生体認証クライアント及び生体認証装置制御方法が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1に係る生体認証装置のブロック図である。図1に示すように、本実施例に係る生体認証装置は、指紋画像取得部1、指紋特徴情報抽出部2、静脈画像取得部3、静脈特徴情報抽出部4、指浮検出部5及び認証情報DB(Data Base)6を有する。さらに、本実施例に係る生体認証装置は、認証情報入力部10、基準取得部20、認証部30、位置補正部40及び通知部50を有している。
【0013】
認証情報入力部10は、指紋情報入力部11及び静脈情報入力部12を有している。
【0014】
指紋情報入力部11は、指を置く領域が設けられ、その領域に置かれた指の指紋情報を検出するセンサを有する入力装置である。ここで、指を置くとは、センサ面に指を接触させる接触型でもよいし、センサに対して指をかざす非接触型でもよい。利用者は、指紋情報入力部11の指を置く領域に、自己の指を置くことで、自己の指の指紋情報の入力を行うことができる。ここで、本実施例では、指紋情報入力部11を用いて利用者が人差し指、中指及び薬指の指紋を入力する場合で説明する。ただし、本実施例に係る生体認証装置は、入力する指紋としてどの指の指紋を用いても動作可能である。
【0015】
静脈情報入力部12は、手のひらを置く領域が設けられ、その領域に置かれた手のひらの静脈情報を検出するセンサを有する入力装置である。利用者は、静脈情報入力部12の手のひらを置く領域に、自己の手のひらを置くことで、自己の手のひらの静脈情報の入力を行うことができる。以下では、指紋情報と手のひら静脈情報を合わせて「生体情報」と言う場合がある。
【0016】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11が検出した指紋情報から指紋の撮像を行い人差し指、中指及び薬指の指紋の指紋画像を取得する。そして、指紋画像取得部1は、取得した指紋画像を指浮検出部5へ出力する。さらに、指紋画像取得部1は、しわ検出の通知を指浮検出部5から受けると、取得した指紋画像を指紋特徴情報抽出部2へ出力する。
【0017】
指浮検出部5は、指紋画像取得部1から人差し指、中指及び薬指の指紋を指紋画像の入力を受ける。そして、指浮検出部5は、受信した指紋画像から関節位置のしわの抽出を実行する。ここで、指浮検出部5は、しわの抽出が行えた場合、指紋画像取得部1及び静脈画像取得部3へしわ検出の通知を行う。これに対して、しわの抽出が行えなかった場合には、指浮検出部5は、後述する指浮通知部51へ指が浮いている旨の通知を行う。このように、指紋情報に指の関節位置のしわが含まれないことを検出することで、関節位置のしわを入力するよう利用者に通知でき、確実に関節位置のしわの情報を取得することができるようになる。これにより、関節位置のしわと指紋特徴情報とを用いた指の方向の算出を確実に行うことができる。
【0018】
ここで、本実施例では、指のしわの画像を確実に取得するため指浮検出部5を設けたが、利用者に適切な指の配置を指導するなど、しわの画像の取得が確実であれば、指浮検出部5を設けなくてもよい。
【0019】
指紋特徴情報抽出部2は、人差し指、中指及び薬指の指紋を指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、指紋の紋様パターンを決定するための特徴的な情報である指紋特徴情報をそれぞれの指について取得する。この指紋特徴情報とは、例えば、指紋の隆線の端点や分岐点の位置や方向などを表す情報である。そして、指紋特徴情報抽出部2は、人差し指、中指及び薬指の指紋特徴情報及び指紋画像を基準取得部20の指方向検出部21に出力する。
【0020】
基準取得部20は、指方向検出部21、2指選択部22及び基準算出部23を有している。
【0021】
図2は、指の方向の検出を説明するための図である。ここで、図2では、説明の便宜上中指を例に記載しているが実際には全ての指について同様の処理がなされる。指方向検出部21は、人差し指、中指及び薬指の指紋特徴情報及び指紋画像を指紋特徴情報抽出部2から受信する。指方向検出部21は、受信した各指の指紋特徴情報から各指の指紋の図2に示す指紋中心101を求める。さらに、指方向検出部21は、受信した指紋画像から遠位置指節間関節(第一関節)近傍に形成されるしわを抽出する。そして、指方向検出部21は、しわの延びている方向を示す有力方向102を抽出する。例えば、指方向検出部21は、周波数解析やランダムに2点を繰返し抽出して方向を求めて統計をとるなどにより有力方向を求めることができる。ここで、指方向検出部21による有力方向の算出には特に制限は無い。次に、指方向検出部21は、しわから得られる有力方向102に対して指紋中心101から垂線を下ろす。そして、指方向検出部21は、垂線を下ろした方向103を指の長軸方向とする。以下では、指の長軸方向を単に「指の方向」と言う。
【0022】
指方向検出部21は、人差し指、中指及び薬指それぞれの指の方向を求める。そして、指方向検出部21は、人差し指、中指及び薬指それぞれの指の方向の情報及び各指の指紋中心の位置情報を2指選択部22へ出力する。
【0023】
2指選択部22は、人差し指、中指及び薬指それぞれの指の方向の情報及び各指の指紋中心の位置情報の入力を指方向検出部21から受ける。2指選択部22は、各指紋の方向の情報や指紋中心の位置情報から両端の指を特定する。本実施例では、2指選択部22は、人差し指及び薬指を両端の指として特定する。そして、2指選択部22は、人差し指及び薬指の方向を両端の指の方向とする。そして、2指選択部22は、両端の指の情報、人差し指、中指及び薬指それぞれの指の方向の情報並びに各指の指紋中心の位置情報を基準算出部23へ出力する。
【0024】
図3は、両端の指の方向を用いた基準方向及び基準位置の算出を説明するための図である。また、図4は、各指の指紋の情報の一例を表す図である。基準算出部23は、両端の指の情報、人差し指、中指及び薬指それぞれの指の方向の情報並びに各指の指紋中心の位置情報を2指選択部22から受ける。本実施例では、基準算出部23は、両端の指の情報として、薬指の方向である図3の指方向111及び人差し指の方向である図3の指方向112の入力を受ける。より詳しくは、基準算出部23は、例えば、図4の表120に示すよう指毎の指紋中心の位置座標、角度で表されるしわの方向、及び角度で表される指の方向を取得する。このように、表120で示される指の方向の角度で図3の指方向111及び指方向112が表される。
【0025】
そして、基準算出部23は、各指の方向の情報から指が開いているか否かを判定する。例えば、基準算出部23は、両端の指の方向がなす角度が予め決められた閾値を超えるか否かによって指が開いているか否かを判定する。
【0026】
そして、指が開いている場合、基準算出部23は、図3に示すように、指方向111と指方向112との交点114を求める。次に基準算出部23は、指方向111と指方向112とがなす角の内角二等分線115を求める。この内角二等分線115は、実際に検出された中指の指方向113とはずれている。そこで、基準算出部23は、交点114を中心として中指の指紋画像117を内角二等分線115と一致するまで回転させる。これにより、基準算出部23は、中指の指紋画像117を中指の指紋画像116に移動する。そして、基準算出部23は、図3の中指の指紋画像116を基準位置とする。さらに、基準算出部23は、基準位置から内角二等分線115に沿って交点114に向かう方向を基準方向とする。ここで、図5は手の平静脈画像を移動するための各パラメータの一例を表す図である。図5の表121のように、基準算出部23は、交点114の情報として両端の指の方向の交点を表す座標を取得する。また、基準算出部23は、基準位置の情報として中指の指紋画像116の座標を取得する。また、基準算出部23は、基準方向の情報として内角二等分線115の角度を取得する。
【0027】
また、指が開いていない場合、基準算出部23は、2指選択部22により選択されなかった指を特定する。本実施例では、基準算出部23は、2指選択部22により選択されなかった指として中指を特定する。そして、基準算出部23は、中指の指紋中心座標を基準位置とし、中指の方向を基準方向とする。ここで、本実施例では、処理が停滞することを避けるため指が開いていない場合にも認証が行えるように、両端以外の指を用いて基準位置及び基準方向を設定したが、より正確を期すために、基準算出部23が、利用者に指を開く指示を通知するようにしてもよい。また、登録時のみ、基準算出部23が、利用者に指を開く指示を通知し、認証時には両端以外の指を用いて基準位置及び基準方向を設定するようにしてもよい。このようにすることで、登録時には正確な情報が得られ、認証時にはその正確な情報を用いて迅速に認証が行えるようになる。
【0028】
基準算出部23は、登録処理の場合には、求めた基準位置と基準方向を認証情報DB6へ出力する。また、基準算出部23は、認証処理の場合には、求めた基準位置と基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0029】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12が検出した静脈情報から手のひら静脈の撮像を行い手のひら静脈画像を取得する。そして、静脈画像取得部3は、指浮検出部5からしわ検出の通知を受けると、登録処理の場合、取得した手のひら静脈画像を静脈特徴情報抽出部4へ出力する。これに対して、認証処理の場合、静脈画像取得部3は、指浮検出部5からしわ検出の通知を受けると、取得した手のひら静脈画像を後述する静脈画像補正部41へ出力する。
【0030】
登録処理の場合、静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する。ここで、静脈特徴情報とは、例えば、静脈の延びる方向を示す情報などである。そして、静脈特徴情報抽出部4は、抽出した静脈特徴情報を登録処理部31へ出力する。
【0031】
これに対して、認証処理の場合、静脈特徴情報抽出部4は、後述する静脈画像補正部41によって補正された手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する。さらに、静脈特徴情報抽出部4は、抽出した静脈特徴情報を後述する照合処理部32へ出力する。
【0032】
認証情報DB6は、メモリやハードディスクなどの記憶装置である。そして、認証情報DB6は、登録時には、登録処理部31からの指示を受けて、基準算出部23から入力された基準方向及び基準位置に対応付けて、登録処理部31から入力された静脈特徴情報を格納する。
【0033】
認証情報DB6は、例えば、複数の利用者の登録時の静脈特徴情報、基準方向及び基準位置といった生体情報を維持管理する。このように複数の利用者の生態情報を維持管理することで、生体認証装置は、認証情報DB6が有する生体情報と入力された生体情報とを比較し、IDの入力なしに全利用者の生体情報から本人の生体情報を識別して、認証を行うことが可能となる。
【0034】
位置補正部40は、静脈画像補正部41と指紋画像回転移動部42を有している。
【0035】
指紋画像回転移動部42は、認証処理の場合、認証時の基準方向及び基準位置の入力を受ける。さらに、指紋画像回転移動部42は、当該利用者の登録時の基準方向及び基準位置を認証情報DB6から取得する。
【0036】
そして、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向と認証時の基準方向とがなす角度を算出する。そして、指紋画像回転移動部42は、算出した角度を回転角とする。次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準位置と認証時の基準位置の距離を算出する。そして、指紋画像回転移動部42は、算出した距離を移動距離とする。
【0037】
指紋画像回転移動部42は、回転角及び移動距離を静脈画像補正部41へ出力する。
【0038】
静脈画像補正部41は、認証処理の場合、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、回転角及び移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。
【0039】
静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の認証時の基準位置を中心として回転角分その手のひら静脈画像を回転移動させる。さらに、静脈画像補正部41は、回転移動させた手のひら静脈画像の移動距離分の平行移動を行う。
【0040】
静脈画像補正部41は、回転移動及び平行移動により補正を行った手のひら静脈画像を静脈特徴情報抽出部4へ出力する。
【0041】
認証部30は、登録処理部31及び照合処理部32を有している。
【0042】
登録処理部31は、登録処理の場合、静脈特徴情報の入力を静脈特徴情報抽出部4から受ける。そして、登録処理部31は、受信した静脈特徴情報を基準算出部23が算出した登録時の基準方向及び基準位置に対応させて認証情報DB6に記憶させる。
【0043】
照合処理部32は、認証処理の場合、認証時の静脈特徴情報の入力を静脈特徴情報抽出部4から受ける。また、照合処理部32は、登録時の静脈特徴情報を認証情報DB6から取得する。そして、照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報とを照合する。照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報のいずれかが一致した場合、認証成功の通知を認証結果通知部52へ出力する。また、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報のいずれもが不一致の場合、認証失敗の通知を認証結果通知部52へ出力する。
【0044】
通知部50は、指浮通知部51及び認証結果通知部52を有する。
【0045】
指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、例えば、モニタ(不図示)に指が浮いている旨のメッセージを表示するなどして、利用者に手のひらの置きなおしを通知する。
【0046】
認証結果通知部52は、照合処理部32から照合結果を受信する。そして、認証結果通知部52は、当該認証結果に基づいて動作する他の装置に認証結果を通知したり、モニタ(不図示)に認証結果を通知することで利用者に認証結果を通知したりする。
【0047】
次に、図6を参照して、本実施例に係る生体認証装置による登録処理の流れを説明する。図6は、実施例1に係る生体認証処理による登録処理のフローチャートである。
【0048】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS101)。
【0049】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS102)。
【0050】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS103)。
【0051】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS104)。
【0052】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS105)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS105否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS106)、その後ステップS101へ戻る。
【0053】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS105肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS107)。
【0054】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS108)。そして、基準取得部20は、登録時の基準位置及び基準方向を認証情報DB6へ出力する。
【0055】
静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS109)。
【0056】
登録処理部31は、静脈特徴情報を静脈特徴情報抽出部4から受信する。そして、登録処理部31は、基準取得部20が算出した登録時の基準位置及び基準方向に対応させて、静脈特徴情報を認証情報DB6に格納させ、当該利用者の生体情報の登録を行う(ステップ110)。
【0057】
次に、図7を参照して、本実施例に係る生体認証装置による認証処理の流れを説明する。図7は、実施例1に係る生体認証装置による認証処理のフローチャートである。
【0058】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS201)。
【0059】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS202)。
【0060】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS203)。
【0061】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS204)。
【0062】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS205)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS205否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS206)、その後ステップS201へ戻る。
【0063】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS205肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS207)。
【0064】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS208)。そして、基準取得部20は、認証時の基準位置及び基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0065】
指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向及び基準位置を認証情報DB6から取得する(ステップS209)。
【0066】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向と認証時の基準方向のなす角度を回転角として算出する(ステップS210)。
【0067】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準位置と認証時の基準位置との距離を平行移動距離として算出する(ステップS211)。
【0068】
静脈画像補正部41は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、認証時の基準位置、回転角及び平行移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。そして、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像を、基準位置を中心として回転角度回転させ、さらに、移動距離移動させて手のひら静脈画像の位置を補正する(ステップS212)。
【0069】
静脈特徴情報抽出部4は、補正された手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS213)。
【0070】
照合処理部32は、静脈特徴情報を静脈特徴情報抽出部4から受信する。さらに、照合処理部32は、登録時の静脈特徴情報を認証情報DB6から取得する。そして、照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報を照合する(ステップS214)。照合処理部32は、認証の成否を認証結果通知部52に通知する。そして、認証結果通知部52は、利用者に認証結果を通知する。
【0071】
次に、図8を参照して、本実施例に係る生体認証装置による基準算出の流れを説明する。図8は、実施例1に係る生体認証装置による基準算出のフローチャートである。
【0072】
指方向検出部21は、各指の指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、指方向検出部21は、各指の第一関節の関節位置のしわを抽出する(ステップS301)。
【0073】
さらに、指方向検出部21は、各指のしわの有力方向及び各指の指紋中心の情報を取得する(ステップS302)。
【0074】
そして、指方向検出部21は、指紋中心からしわの有力方向へ垂線を下ろし、各指の方向を取得する(ステップS303)。
【0075】
2指選択部22は、各指の方向の情報及び指紋中心の情報の入力を指方向検出部21から受ける。そして、2指選択部22は、各指の方向や指紋中心の情報から両端の2指である人差し指と薬指を選択する(ステップS304)。
【0076】
基準算出部23は、選択した人差し指と薬指の情報、各指の方向の情報及び各指の指紋中心の情報を2指選択部22から受信する。そして、基準算出部23は、人差し指の方向と薬指の方向とを比較する(ステップS305)。
【0077】
そして、基準算出部23は、指が開いているか否かを判定する(ステップS306)。指が開いている場合(ステップS306肯定)、基準算出部23は、人差し指の方向と薬指の方向との交点を算出する(ステップS307)。
【0078】
さらに、基準算出部23は、人差し指の方向と薬指の方向とがなす角度の内角二等分線を算出する(ステップS308)。
【0079】
そして、基準算出部23は、中指の指紋中心が内角二等分線に一致するように人差し指の方向と薬指の方向との交点を中心に回転移動する(ステップS309)。
【0080】
基準算出部23は、基準位置を回転した後の中指の指紋中心とし、基準方向を人差し指の方向と薬指の方向とがなす角度の内角二等分線の方向とする(ステップS310)。
【0081】
これに対して、指が開いていない場合(ステップS306否定)、基準算出部23は、基準位置を中指の指紋中心とし、基準方向を中指の方向とする(ステップS311)。
【0082】
〔ハードウェア構成〕
次に、生体認証装置のハードウェア構成について説明する。図9は、生体認証装置のハードウェア構成図である。図9に示すように、生体認証装置は、CPU(Central Processing Unit)201、指紋センサ202、手のひら静脈センサ203、キーボード204及びマウス205を有している。さらに、生体認証装置は、ROM(Read Only Memory)206、RAM(Random Access Memory)207、通信インタフェース208、記憶装置209及び電源210を有している。
【0083】
生体認証装置では、CPU201が、指紋センサ202、手のひら静脈センサ203、キーボード204、マウス205、ROM206、RAM207、通信インタフェース208、記憶装置209及び電源210と接続されている。
【0084】
指紋センサ202は、図1に示した指紋情報入力部11及び指紋画像取得部1の機能を実現する。手のひら静脈センサ203は、図1に示した静脈情報入力部12及び静脈画像取得部3の機能を実現する。記憶装置209は、図1に示した認証情報DB6の機能を実現する。キーボード204及びマウス205を用いることで、利用者は、識別番号などの生体情報以外の情報の入力を行える。また、通信インタフェース208は、生体認証装置が外部との通信を行う際に用いられる。電源210は、各部に電源を供給する。
【0085】
そして、CPU201、ROM206及びRAM207は、例えば、図1に示した指紋特徴情報抽出部2、静脈特徴情報抽出部4、指浮検出部5、基準取得部20、認証部30及び位置補正部40等の機能を実現する。例えば、ROM206は、図1に例示した指紋特徴情報抽出部2、静脈特徴情報抽出部4、指浮検出部5、基準取得部20、認証部30及び位置補正部40等による処理を実現する各種プログラムを記憶している。そして、CPU201が、これらの各種プログラムを読み出して実行することで、上述した各機能を実現するプロセスを生成する。
【0086】
以上に説明したように、本実施例に係る生体認証装置は、取得した画像を回転させて登録時の画像と方向及び位置を一致させ照合を行うことができる。これにより、どのような位置に手のひらや指を置いても高精度な照合が行えるため、手のひらや指の置き方の自由度が高くなる。さらに、適当な位置に指と手のひらを置くことで登録ができるので、生体情報の登録を簡単に行うことができる。
【0087】
また、3指の情報を用いて両端の指の指方向交点部分の内角二等分線を中央の指の方向とすることで、指全体の開き方の違いを吸収することができる。さらに、中央の指と両端の各々の指との挟角が均等で無い場合でも、中央の指の指紋画像を両端の指の指方向交点部分の内角二等分線上まで回転移動することで、3指の各指の均等な開き方を再現することができる。したがって、指の開き方が均等で無い場合でも、静脈画像の位置あわせが容易に行える。すなわち、両端の2指の方向を用いて基準方向を定めるので、ぶれの少ない方向を基準とすることができ、認証の精度を向上させることができる。
【0088】
また、回転移動と平行移動のみで、認証時の静脈情報を登録時の静脈情報に近接させることができ、静脈画像の位置あわせを容易に行うことができる。
【0089】
(変形例1)
次に、実施例1の一つの変形例について説明する。図10は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムのブロック図である。
【0090】
本変形例に係る生体認証システムは、実施例1の生体認証装置をクライアント100及びサーバ200を有するクライアントサーバシステムとしたものである。
【0091】
クライアント100は、指紋画像取得部1、指紋特徴情報抽出部2、静脈画像取得部3、静脈特徴情報抽出部4、指浮検出部5、認証情報入力部10、基準取得部20、位置補正部40、通知部50及び通信制御部7を有する。認証部30、認証情報DB6及び通信制御部8を有する。ここで、図10において、図1と同じ符号を有する各部は特に説明の無い限り同じ機能を有するものとする。
【0092】
クライアント100について説明する。静脈画像取得部3は、登録時及び認証時のいずれにおいても、手のひら静脈画像を静脈画像補正部41へ出力する。
【0093】
基準算出部23は、実施例1と同様に基準方向及び基準位置を算出する。そして、基準算出部23は、登録時及び認証時のいずれにおいても基準方向及び基準位置を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0094】
指紋画像回転移動部42は、正規化基準方向及び正規化基準位置を予め記憶している。ここで、正規化基準方向とは、標準となる基準方向であり、例えば、90°(垂直)が設定される。また、正規化基準位置とは、標準となる基準位置で、例えば、座標(50,160)が設定される。
【0095】
指紋画像回転移動部42は、基準方向及び基準位置の入力を基準算出部23から受ける。そして、指紋画像回転移動部42は、登録時及び認証時のいずれにおいても、正規化基準方向から基準算出部23が求めた基準方向を減算する。そして、指紋画像回転移動部42は、減算結果を回転角度とする。また、指紋画像回転移動部42は、正規化基準位置から基準算出部23が求めた基準位置を減算する。そして、指紋画像回転移動部42は、減算結果を移動距離とする。
【0096】
そして、指紋画像回転移動部42は、求めた回転角度と移動距離を静脈画像補正部41へ出力する。
【0097】
静脈画像補正部41は、基準位置の情報、回転角度及び移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。静脈画像補正部41は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、登録時及び認証時のいずれにおいても、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の基準位置を中心として回転角度分その手のひら静脈画像を回転させ、さらに、移動距離分の平行移動を行い手のひら静脈画像の位置を補正する。
【0098】
静脈画像補正部41は、補正した手のひら静脈画像を静脈特徴情報抽出部4へ出力する。
【0099】
静脈特徴情報抽出部4は、登録時及び認証時のいずれにおいても、補正された手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する。そして、静脈特徴情報抽出部4は、静脈特徴情報を通信制御部7へ出力する。
【0100】
通信制御部7は、例えばネットワークを介してサーバ200の通信制御部8と接続されている。そして、通信制御部7と通信制御部8とは、データの授受が可能である。
【0101】
通信制御部7は、静脈特徴情報の入力を静脈特徴情報抽出部4から受ける。そして、通信制御部7は、静脈特徴情報を通信制御部8へ送信する。また、通信制御部7は、認証結果を通信制御部8から受信する。そして、通信制御部7は、受信した認証結果を認証結果通知部52へ出力する。
【0102】
次に、サーバ200について説明する。通信制御部8は、静脈特徴情報をクライアント100の通信制御部7から受信する。そして、通信制御部8は、登録処理の場合、受信した静脈特徴情報を登録処理部31へ出力する。これに対して、認証処理の場合、通信制御部8は、受信した静脈特徴情報を照合処理部32へ出力する。
【0103】
登録処理部31は、登録処理の場合、静脈特徴情報の入力を通信制御部8から受ける。そして、登録処理部31は、受信した静脈特徴情報を認証情報DB6に格納させる。
【0104】
照合処理部32は、認証処理の場合、静脈特徴情報の入力を通信制御部8から受ける。そして、照合処理部32は、受信した静脈特徴情報と認証情報DB6に格納されている静脈特徴情報とを照合する。そして、照合処理部32は、照合結果を通信制御部8へ出力する。
【0105】
次に、図11を参照して本変形例に係る生体認証システムにおける登録処理の流れを説明する。図11は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムにおける登録処理のフローチャートである。
【0106】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS401)。
【0107】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS402)。
【0108】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS403)。
【0109】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS404)。
【0110】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS405)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS405否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS406)、その後ステップS401へ戻る。
【0111】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS405肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS407)。
【0112】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS408)。そして、基準取得部20は、登録時の基準位置及び基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0113】
指紋画像回転移動部42は、正規化基準方向から登録時の基準方向を引いて回転角度を算出する(ステップS409)。
【0114】
さらに、指紋画像回転移動部42は、正規化基準位置から登録時の基準位置を引いて平行移動距離を算出する(ステップS410)。
【0115】
静脈画像補正部41は、基準位置の情報、回転角度及び移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の基準位置を中心として回転角度分その手のひら静脈画像を回転させ、さらに、移動距離分の平行移動を行い手のひら静脈画像の位置を補正する(ステップS411)。
【0116】
静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS412)。
【0117】
通信制御部7は、静脈特徴情報抽出部4が抽出した静脈特徴情報をサーバ200へ送信する(ステップS413)。
【0118】
サーバ200の登録処理部31は、静脈特徴情報を通信制御部8から受信する。そして、登録処理部31は、静脈特徴情報を認証情報DB6に格納させ、当該利用者の生体情報の登録を行う(ステップS414)。
【0119】
次に、図12を参照して、本変形例に係る生体認証システムによる認証処理の流れを説明する。図12は、実施例1の変形例1に係る生体認証システムによる認証処理のフローチャートである。
【0120】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS501)。
【0121】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS502)。
【0122】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS503)。
【0123】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS504)。
【0124】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS505)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS505否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS506)、その後ステップS501へ戻る。
【0125】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS505肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS507)。
【0126】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS508)。そして、基準取得部20は、認証時の基準位置及び基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0127】
指紋画像回転移動部42は、正規化基準方向から認証時の基準方向を引いて回転角度を算出する(ステップS509)。
【0128】
さらに、指紋画像回転移動部42は、正規化基準位置から認証時の基準位置を引いて平行移動距離を算出する(ステップS510)。
【0129】
静脈画像補正部41は、基準位置の情報、回転角度及び移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の基準位置を中心として回転角度分その手のひら静脈画像を回転させ、さらに、移動距離分の平行移動を行い手のひら静脈画像の位置を補正する(ステップS511)。
【0130】
静脈特徴情報抽出部4は、補正された手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS512)。
【0131】
通信制御部7は、静脈特徴情報抽出部4が抽出した静脈特徴情報をサーバ200へ送信する(ステップS513)。
【0132】
照合処理部32は、静脈特徴情報を通信制御部8から受信する。さらに、照合処理部32は、静脈特徴情報を認証情報DB6から取得する。そして、照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報を照合する(ステップS514)。
【0133】
クライアント100の通信制御部7は、照合処理部32による照合結果をサーバ200の通信制御部8から受信する(ステップS515)。
【0134】
以上に説明したように、本変形例に係る生体認証システムは、クライアントサーバシステムの構成で実施例1と同じ効果を有する生体認証システムを実現できる。これにより、複数のクライアントを端末として、生体認証を行うことができ、大規模なシステムに対しても対応することができる。
【0135】
さらに、本変形例では、2つの装置に実施例1の各機能を分けて配置する場合で説明したが、これに限らず、3以上の複数の装置にまたがるように実施例1の各機能を配置してもよい。
【0136】
(変形例2)
次に、実施例1の他の変形例について説明する。図13は、実施例1の変形例2に係る生体認証装置のブロック図である。
【0137】
本変形例に係る生体認証装置は、手のひら静脈画像をブロックに分割して認証を行うことが実施例1と異なるものである。そこで、以下では、ブロック分割を用いた認証について主に説明する。ここで、図13において、図1と同じ符号を有する各部は特に説明の無い限り同じ機能を有するものとする。
【0138】
本実施例に係る生体認証装置は、実施例1の各部に加えて、画像結合部70、共通面積算出部71及び位置補正部40に撮像範囲識別部43を設けたものである。
【0139】
静脈画像取得部3は、受信した手のひら静脈画像を予め決められたブロックに分割する。例えば、静脈画像取得部3は、静脈画像を14×14の正方形に分割して正方形のそれぞれをブロックとする。
【0140】
静脈特徴情報抽出部4は、登録処理の場合、ブロック分割された手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、ブロック分割された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する。
【0141】
また、静脈特徴情報抽出部4は、認証処理の場合、補正後のブロック分割がされた手のひら静脈画像の入力を撮像範囲識別部43から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信したブロック分割された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する。そして、静脈特徴情報抽出部4は、静脈特徴情報を画像結合部70へ出力する。
【0142】
登録処理部31は、静脈特徴情報及びその静脈特徴情報を取得したブロックの位置情報の入力を静脈特徴情報抽出部4から受ける。そして、登録処理部31は、受信した静脈特徴情報及びその静脈特徴情報を取得したブロックの位置情報を基準算出部23が算出した登録時の基準方向及び基準位置に対応させて認証情報DB6に記憶させる。
【0143】
撮像範囲識別部43は、補正が行われた手のひら静脈画像における撮像範囲を予め記憶している。撮像範囲を撮像範囲識別部43は、補正後のブロック分割がされた手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、撮像範囲識別部43は、回転及び移動によって撮像範囲の外となったブロックを削除する。そして、撮像範囲識別部43は、撮像範囲外のブロックを削除したブロック分割がされた手のひら静脈画像を静脈特徴情報抽出部4へ出力する。
【0144】
画像結合部70は、既に当該利用者の認証を実施したことがある場合、当該利用者の前回の認証に用いた静脈特徴情報及び基準位置を記憶している。そして、当該利用者の前回の認証に用いた静脈特徴情報を記憶している場合、画像結合部70は、静脈特徴情報抽出部4から受信した今回認証時の静脈特徴情報と前回認証時の静脈特徴情報とを基準位置を合わせて合成する。例えば、画像結合部70は、今回認証時の静脈特徴情報以外の場所にある前回認証時の静脈特徴情報のうち一部を今回認証時の静脈特徴情報に加える。これにより、今回認証時の静脈特徴情報が少ない場合でも、認証範囲を拡大することができ、認証を行うことが可能となる。そして、画像結合部70は、生成した静脈特徴情報を含むブロックの数を共通面積算出部71へ出力する。これに対して、前回の認証に用いた静脈特徴情報を記憶していない場合、画像結合部70は、静脈特徴情報抽出部4から受信した静脈特徴情報を含むブロックの位置情報を共通面積算出部71へ出力する。
【0145】
そして、画像結合部70は、認証続行の通知を共通面積算出部71から受けた場合、静脈特徴情報抽出部4から受信した今回認証時の静脈特徴情報を照合処理部32へ出力する。さらに、照合処理部32による認証が成功した場合、画像結合部70は、今回の静脈特徴情報及び基準位置を認証成功時の静脈特徴情報及び基準位置として保存する。これに対して、照合処理部32による認証が失敗した場合、画像結合部70は、前回の静脈特徴情報及び基準位置を認証成功時の静脈特徴情報及び基準位置として保存する。
【0146】
共通面積算出部71は、静脈特徴情報が含まれるブロックの位置情報を画像結合部70から受ける。さらに、共通面積算出部71は、当該利用者の登録時の静脈特徴情報が含まれるブロックの位置情報を認証情報DB6から取得する。そして、共通面積算出部71は、登録時の静脈特徴情報を含むブロックと認証時の静脈特徴情報を含むブロックとで共通するブロックの数(以下では、「共通ブロック」と言う。)が予め設定された閾値以上の場合、共通部分の面積は十分であると判定する。共通部分の面積が十分であると判定した場合、共通面積算出部71は、認証続行を画像結合部70に通知する。これに対して、共通部分の面積が十分で無いと判定した場合、共通面積算出部71は、画像結合部70に認証の中止を通知する。この場合、手のひら静脈画像の入力から処理が再度開始される。
【0147】
照合処理部32は、静脈特徴情報を画像結合部70から受ける。さらに、照合処理部32は、登録時の静脈特徴情報を認証情報DB6から取得する。そして、照合処理部32は、画像結合部70から受信した静脈特徴情報と認証情報DB6から取得した登録時の静脈特徴情報を照合する。
【0148】
次に、図14を参照して、本変形例に係る生体認証装置による認証処理の流れを説明する。図14は、実施例1の変形例2に係る生体認証装置による認証処理のフローチャートである。
【0149】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS601)。
【0150】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS602)。
【0151】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS603)。
【0152】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS604)。
【0153】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS605)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS605否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS606)、その後ステップS601へ戻る。
【0154】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS605肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS607)。
【0155】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS608)。そして、基準取得部20は、認証時の基準位置及び基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0156】
指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向及び基準位置を認証情報DB6から取得する(ステップS609)。
【0157】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向と認証時の基準方向のなす角度を回転角として算出する(ステップS610)。
【0158】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準位置と認証時の基準位置との距離を平行移動距離として算出する(ステップS611)。
【0159】
静脈画像取得部3は、取得した手のひら静脈画像をブロック分割する(ステップS612)。ここで、図14のフローでは、説明の便宜上、この位置でブロック分割を行っているが、このブロック分割は、ステップS611より前であればどこで行ってもよい。
【0160】
静脈画像補正部41は、ブロック分割された手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、認証時の基準位置、回転角及び平行移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。そして、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の基準位置を中心として回転角度分その手のひら静脈画像を回転させ、さらに、移動距離分の平行移動を行い手のひら静脈画像の位置を補正する(ステップS613)。
【0161】
撮像範囲識別部43は、静脈画像補正部41から受信した手のひら静脈画像から撮像範囲外に有るブロックを削除する(ステップS614)。
【0162】
静脈特徴情報抽出部4は、補正された手のひら静脈画像の入力を撮像範囲識別部43から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS615)。
【0163】
画像結合部70は、前回認証時の静脈特徴情報が存在するか否かを判定する(ステップS616)。前回認証時の静脈特徴情報が存在する場合(ステップS616肯定)、画像結合部70は、今回の静脈特徴情報と前回認証時の静脈特徴情報とを合成する(ステップS617)。画像結合部70は、前回認証時の静脈特徴情報が存在しないと判定した場合(ステップS616否定)、ステップS618へ進む。
【0164】
共通面積算出部71は、共通ブロックの数が閾値以上か否かを判定する(ステップS618)。閾値以上の場合(ステップS618肯定)、照合処理部32は、静脈特徴情報を画像結合部70から受信する。さらに、照合処理部32は、登録時の静脈特徴情報を認証情報DB6から取得する。そして、照合処理部32は、画像結合部70から受信した静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報を照合する(ステップS619)。
【0165】
照合処理部32は、認証の成否を判定する(ステップS620)。認証が成功した場合(ステップS620肯定)、照合処理部32は、認証結果通知部52に認証成功を通知する。そして、画像結合部70は、今回の静脈特徴情報及び基準位置を認証成功時の静脈特徴情報として保存する(ステップS621)。
【0166】
これに対しては、認証が失敗した場合(ステップS620否定)及びブロック数が閾値を下回った場合(ステップS618否定)、画像結合部70は、前回の静脈特徴情報及び基準位置を認証成功時の静脈特徴情報及び基準位置として保存する(ステップS622)。そして、照合処理部32は、利用者に認証失敗を通知する。
【0167】
図15は、ブロック分割を用いた認証を説明するための図である。図5に示す領域301は指紋画像の撮像範囲である。また、領域302が手のひら静脈画像の撮像範囲である。また、図15の紙面に向かって右側の図が認証時の状態を表しており、紙面に向かって左側の図が登録時の状態を表している。丸印303が特徴情報を表している。そして、ブロック305は、認証時の特徴情報を含むブロックである。また、ブロック304は、登録時の特徴情報を含むブロックである。
【0168】
紙面に向かって右側の認証時の手のひら静脈画像は、基準位置307が登録時の基準位置に一致するように回転及び平行移動が行われる。これにより、認証時の特徴情報が含まれるブロック305がブロック306に移動される。ブロック306は、どのブロックも領域302からはみ出さないので、削られない。そして、ブロック304とブロック306とに共通するブロックが共通ブロックであり、この共通ブロックの数が閾値以上の場合、ブロック304に含まれる特徴情報とブロック306に含まれる特徴情報とが照合される。
【0169】
さらに、図16は、分割ブロック及び共通ブロックの一例を示す図である。表310は、図15の状態における分割ブロック及び共通ブロックを示している。例えば、表310に示すように、図15における分割ブロックが14×14の正方形に分けられていることを表している。そして、表310に示すように、図15におけるブロック304とブロック306との共通ブロックは10個である。このように、分割ブロックが決められ、共通ブロックが求められる。
【0170】
以上に説明したように、本変形例に係る生体認証装置は、撮像範囲外に有る静脈特徴情報を除いて認証を行うことができる。これにより、不要な静脈特徴情報の照合を行わずに済み、生体認証装置の処理の負荷を軽減することができる。
【実施例2】
【0171】
図17は、実施例2に係るブロック図である。本実施例に係る生体認証装置は、認証の前に登録時の静脈特徴情報の絞込みを行うことが実施例1と異なるものである。そこで、以下では、登録時の静脈特徴情報の絞込みについて主に説明する。ここで、図17において、図1と同じ符号を有する各部は特に説明の無い限り同じ機能を有するものとする。
【0172】
本実施例に係る生体認証装置は、実施例1の各部に加えて絞込情報取得部60、並びに認証部30に絞込処理部33を設けたものである。
【0173】
絞込情報取得部60は、指付根検出部61及び距離算出部62を有している。
【0174】
図18は、指紋から指の付け根までの距離の算出を説明するための図である。図18の領域401は、指紋画像の撮像領域であり、領域402は、手のひら静脈画像の撮像領域である。
【0175】
指付根検出部61は、登録時及び認証時のいずれにおいても、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、指付根検出部61は、両端の指と中央の指の付け根の位置を取得する。本実施例では、指付根検出部61は、図18に示す人差し指と中指の付け根の位置である付根位置404及び薬指と中指の付け根の位置である付根位置407を取得する。そして、指付根検出部61は、距離算出部62に指の付根の位置の情報を出力する。
【0176】
距離算出部62は、指の付根の位置の情報の入力を指付根検出部61から受ける。そして、距離算出部62は、両端の指の指紋中心を取得する。本実施例では、距離算出部62は、人差し指の指紋中心403及び薬指の指紋中心406を取得する。そして、距離算出部62は、両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離を求める。本実施例では、距離算出部62は、図18の指紋中心403と付根位置404との間の距離405及び指紋中心406と付根位置407との間の距離408を求める。そして、距離算出部62は、登録処理の場合、求めた両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離を登録処理部31へ出力する。また、認証処理の場合、距離算出部62は、求めた両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離を絞込処理部33へ出力する。
【0177】
登録処理部31は、静脈特徴情報抽出部4から受信した静脈特徴情報と距離算出部62から受信した両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離を対応付けて認証情報DB6へ格納する。この場合も、登録処理部31は、基準位置及び基準情報とも静脈特徴情報を対応付けて認証情報DB6に格納する。
【0178】
絞込処理部33は、両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離の入力を距離算出部62から受ける。次に、絞込処理部33は、受信した両端の指の指紋中心から両端の指と中央の指の付け根の位置までの距離に対して所定の範囲内にある距離を有する静脈特徴情報を認証情報DB6から抽出する。そして、絞込処理部33は、抽出した静脈特徴情報を照合処理部32へ出力する。
【0179】
照合処理部32は、絞込処理部33が抽出した静脈特徴情報の入力を受ける。さらに、照合処理部32は、静脈特徴情報抽出部4から今回の認証に用いられる静脈特徴情報の入力を受ける。そして、照合処理部32は、今回の認証に用いられる静脈特徴情報と絞込処理部33が抽出した静脈特徴情報とを照合する。
【0180】
次に、図19を参照して、本実施例に係る生体認証装置による登録処理の流れを説明する。図19は、実施例2に係る生体認証処理による登録処理のフローチャートである。
【0181】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS701)。
【0182】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS702)。
【0183】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS703)。
【0184】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS704)。
【0185】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS705)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS705否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS706)、その後ステップS701へ戻る。
【0186】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS705肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS707)。
【0187】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS708)。そして、基準取得部20は、登録時の基準位置及び基準方向を認証情報DB6へ出力する。
【0188】
絞込情報取得部60は、指紋中心から指の付け根までの距離を算出する(ステップS709)。
【0189】
静脈特徴情報抽出部4は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS710)。
【0190】
登録処理部31は、静脈特徴情報を静脈特徴情報抽出部4から受信する。さらに、登録処理部31は、指紋中心から指の付け根までの距離の入力を絞込情報取得部60から受ける。そして、登録処理部31は、基準位置及び基準方向に対応させて、指紋中心から指の付け根までの距離及び静脈特徴情報を認証情報DB6に格納させ、当該利用者の生体情報の登録を行う(ステップS711)。
【0191】
次に、図20を参照して、本実施例に係る生体認証装置による認証処理の流れを説明する。図20は、実施例2に係る生体認証装置による認証処理のフローチャートである。
【0192】
利用者は、認証情報入力部10を用いて生体情報である人差し指、中指及び薬指の指紋の情報並びに手のひらの静脈の情報を入力する(ステップS801)。
【0193】
指紋画像取得部1は、指紋情報入力部11から入力された指紋の情報から指紋画像を取得する(ステップS802)。
【0194】
静脈画像取得部3は、静脈情報入力部12から入力された手のひら静脈の情報から手のひら静脈画像を取得する(ステップS803)。
【0195】
指浮検出部5は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指浮検出部5は、指紋画像から関節位置のしわを抽出する(ステップS804)。
【0196】
指浮検出部5は、関節位置のしわが抽出できたか否かにより、指紋画像に関節位置のしわが含まれるか否かを判定する(ステップS805)。関節位置のしわが含まれない場合(ステップS805否定)、指浮検出部5は、指が浮いている旨の通知を指浮通知部51へ行う。指浮通知部51は、指が浮いている旨の通知を指浮検出部5から受信する。そして、指浮通知部51は、利用者に手のひらの置きなおしを通知する(ステップS806)、その後ステップS801へ戻る。
【0197】
これに対して、関節位置のしわが含まれる場合(ステップS805肯定)、指紋特徴情報抽出部2は、指紋画像の入力を指紋画像取得部1から受ける。そして、指紋特徴情報抽出部2は、受信した指紋画像から指紋特徴情報を抽出する(ステップS807)。
【0198】
基準取得部20は、指紋特徴情報の入力を指紋特徴情報抽出部2から受ける。そして、基準取得部20は、受信した指紋特徴情報から基準位置及び基準方向を算出する(ステップS808)。そして、基準取得部20は、認証時の基準位置及び基準方向を指紋画像回転移動部42へ出力する。
【0199】
絞込情報取得部60は、指紋中心から指の付け根までの距離を算出する(ステップS809)。
【0200】
絞込処理部33は、絞込みに該当する登録情報が存在するか否かを判定する(ステップS810)。絞込みに該当する登録情報が存在する場合(ステップS810肯定)、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向及び基準位置を認証情報DB6から取得する(ステップS811)。
【0201】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準方向と認証時の基準方向のなす角度を回転角として算出する(ステップS812)。
【0202】
次に、指紋画像回転移動部42は、登録時の基準位置と認証時の基準位置との距離を平行移動距離として算出する(ステップS813)。
【0203】
静脈画像補正部41は、手のひら静脈画像の入力を静脈画像取得部3から受ける。さらに、静脈画像補正部41は、認証時の基準位置、回転角及び平行移動距離の入力を指紋画像回転移動部42から受ける。そして、静脈画像補正部41は、受信した手のひら静脈画像の基準位置を中心として回転角度分その手のひら静脈画像を回転させ、さらに、移動距離分の平行移動を行い手のひら静脈画像の位置を補正する(ステップS814)。
【0204】
静脈特徴情報抽出部4は、補正された手のひら静脈画像の入力を静脈画像補正部41から受ける。そして、静脈特徴情報抽出部4は、受信した手のひら静脈画像から静脈特徴情報を抽出する(ステップS815)。
【0205】
照合処理部32は、静脈特徴情報を静脈特徴情報抽出部4から受信する。さらに、照合処理部32は、登録時の静脈特徴情報を絞込処理部33から取得する。そして、照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報を照合する(ステップS816)。照合処理部32は、認証時の静脈特徴情報と登録時の静脈特徴情報が合致したか否かを判定する(ステップS817)。照合処理部32が合致したと判定した場合(ステップS817否定)、ステップS819へ進む。合致しない場合(ステップS817肯定)、照合処理部32は、未照合のデータがあるか否かを判定する。照合処理部32が、未照合のデータが無いと判定した場合(ステップS818肯定)、ステップS819に進む。
【0206】
これに対して、照合処理部32が、未照合のデータが有ると判定した場合(ステップS818否定)、ステップS811へ進む。
【0207】
そして、ステップS817で否定又はステップS818で肯定の場合、照合処理部32は照合結果を確定する(ステップS819)。ここで、未照合のデータが無く且つ合致するデータが無い場合には、最も類似するデータに対して照合を行い照合結果を確定してもよい。そして、照合処理部32は、認証の成否を認証結果通知部52に通知する。そして、認証結果通知部52は、利用者に認証結果を通知する。
【0208】
次に、図21を参照して、本実施例に係る生体認証装置による絞込処理の流れを説明する。図21は、実施例2に係る生体認証装置による絞込処理のフローチャートである。
【0209】
指付根検出部61は、人差し指と中指の付け根の位置を取得する(ステップS901)。
【0210】
距離算出部62は、人差し指の指紋中心を求める。そして、距離算出部62は、人差し指の指紋中心から指付根検出部61が検出した人差し指と中指の付け根の位置までの距離を算出する(ステップS902)。
【0211】
指付根検出部61は、薬指と中指の付け根の位置を取得する(ステップS903)。
【0212】
距離算出部62は、薬指の指紋中心を求める。そして、距離算出部62は、薬指の指紋中心から指付根検出部61が検出した薬指と中指の付け根の位置までの距離を算出する(ステップS904)。
【0213】
以上に説明したように、本変形例に係る生体認証装置は、静脈特徴情報を絞り込んだ上で認証を行うことができる。これにより、不要な静脈特徴情報の照合を行わずに済み、生体認証装置の処理の負荷を軽減でき、処理を早くすることができる。
【実施例3】
【0214】
図22は、実施例3に係るブロック図である。本実施例に係る生体認証装置は、認証成功時の位置の履歴を蓄積し、指や手のひらの置き方について分析することが実施例2と異なるものである。そこで、以下では、指や手のひらの置き方の分析について主に説明する。ここで、図22において、図1及び図17と同じ符号を有する各部は特に説明の無い限り同じ機能を有するものとする。
【0215】
本実施例に係る生体認証装置は、実施例2の各部に加えて分析部80及び通知部50の中の分析結果通知部53を設けたものである。
【0216】
照合処理部32は、認証が成功した場合、その認証時の基準位置、基準方向、利用者識別子及び時刻情報を位置履歴管理部34へ出力する。以下では、認証時の基準位置、基準方向、利用者識別子及び時刻情報を「履歴情報」と言う。
【0217】
位置履歴管理部34は、履歴情報の入力を照合処理部32から受ける。そして、位置履歴管理部34は、受信した履歴情報を蓄積していく。図23は、手のひら置き位置履歴情報の一例を示す図である。位置履歴管理部34は、例えば、図23の表500のように、履歴番号順に、認証成功時刻、ユーザID、基準位置及び基準方向を対応付けてテーブルとして記憶している。
【0218】
分析部80は、所定の期間が経過すると位置履歴管理部34から全ての履歴情報を取得する。
【0219】
そして、分析部80は、管理者の履歴情報、すなわち、指及び手のひらの配置の基準となる情報の履歴情報を取得する。そして、分析部80は、位置履歴管理部34から取得した履歴情報の中に管理者の履歴情報以外の履歴情報があるか否かを判定する。管理者の履歴情報以外の情報が有る場合、分析部80は、前回分析時以降の履歴情報を取得する。そして、分析部80は、取得した履歴情報の中から今回の認証を行った利用者(以下では「対象者」と言う。)の履歴情報と利用者毎の置き位置の差分を算出する。さらに、分析部80は、取得した履歴情報の中から対象者の履歴情報と利用者全体の置き位置の差分の平均を算出する。図24は、分析結果の一例を示す図である。分析部80は、例えば、図24の表501のように、分析対象の基準位置と基準方向の利用者全体に対する差分の平均値を記載する。さらに、分析部80は、分析対象の基準位置と基準方向の各利用者に対する差分の平均値を順次記載する。そして、分析部80は、分析結果である表501を分析結果通知部53へ出力する。
【0220】
分析結果通知部53は、分析結果である表501の入力を分析部80から受ける。そして、分析結果通知部53は、表501をモニタに表示するなどして利用者に通知する。
【0221】
次に、図25を参照して、本実施例に係る生体認証装置における履歴情報の保存処理の流れについて説明する。図25は、実施例3に係る生体認証装置における履歴情報の保存処理のフローチャートである。
【0222】
照合処理部32は、認証処理を実行する(ステップS1001)。
【0223】
そして、照合処理部32は、認証処理が成功したか否かを判定する(ステップS1002)。認証処理が成功した場合(ステップS1002肯定)、照合処理部32は、位置履歴管理部34に履歴情報を保存させる(ステップS1003)。これに対して、照合処理部32が、認証処理が失敗したと判定した場合(ステップS1002否定)、履歴情報の保存処理を終了する。
【0224】
次に、図26を参照して、本実施例に係る生体認証装置における分析処理の流れについて説明する。図26は、実施例3に係る生体認証装置における分析処理のフローチャートである。
【0225】
分析部80は、設定時刻が到来したか否かを判定する(ステップS1101)。設定時刻が到来した場合(ステップS1101肯定)、分析部80は、位置履歴管理部34から全ての履歴情報を取得する(ステップS1102)。
【0226】
次に、分析部80は、管理者が有する履歴情報、すなわち、分析済みの履歴情報を取得する(ステップS1103)。
【0227】
分析部80は、位置履歴管理部34から取得した履歴情報の中に分析済みの履歴情報以外の履歴情報があるか否かを判定する(ステップS1104)。分析済みの履歴情報以外の情報が無い場合(ステップS1104否定)、分析部80は、分析処理を終了する。
【0228】
これに対して、分析済みの履歴情報以外の情報が有る場合(ステップS1104肯定)、分析部80は、前回分析範囲以降の範囲で履歴情報を取得する(ステップS1105)。
【0229】
そして、分析部80は、取得した履歴情報の中から今回の認証を行った対象者の履歴情報と利用者毎の置き位置の差分を算出する(ステップS1106)。さらに、分析部80は、取得した履歴情報の中から対象者の履歴情報と利用者全体の置き位置の差分の平均を算出する(ステップS1107)。
【0230】
そして、分析部80は、分析結果を分析結果通知部53へ出力する。分析結果通知部553は、利用者に分析結果を通知する(ステップS1108)。
【0231】
以上に説明したように、本実施例に係る生体認証装置は、指や手のひらの配置状態の他の利用者との比較を利用者に提供することができる。これにより、利用者は、認証時により適切な位置に、指や手のひらを配置することができる。また、指や手のひらの配置状態の履歴を分析することで、装置の故障や指や手のひらの配置の指導方法の間違いなどを検知することもできる。また、利用者全体もしくは一部の利用者に対する装置の利用方法の計画指導が行える。さらに、利用者全体の傾向から、センサガイドのより適切な取り付け位置を把握することができ、システムの運用改善を行うことが可能となる。
【0232】
ここで、以上に説明した実施例1〜3では、人差し指、中指及び薬指を用いた指紋情報の入力について説明したが、これは隣り合った3本の他の指でも良い。また、親指、小指及び中指を用いてもよい。
【実施例4】
【0233】
生体認証システムでは、予め生体の特徴情報を生体情報としてシステムに登録しておき、登録してある生体情報と認証時に取得した生体情報との類似性を判断することで個人認証を行う。原理的に、登録時に得られた生体情報と認証時に取得した生体情報が厳密に一致することは無く、類似度が低いと判定された場合にはシステムに登録した本人であっても認証に失敗してしまう。類似度を判定する閾値は、これを下げることで本人が認証に失敗する確率(本人拒否率)は低減するが、この場合、他人が誤って本人であると判定される確率(他人受入率)は上昇してしまう。一般的に本人拒否率と他人受入率は相反する関係にあるが、複数種類の生体情報を用いて個人認証を行うことで両者を同時に低減させて認証精度を向上する方法が知られている。このような複数種類の生体情報を認証に用いる方法はマルチバイオメトリック認証と呼ばれる場合がある。例えば、マルチバイオメトリック認証としては、指紋情報と静脈情報とを用いるものがある。
【0234】
また、生体認証システムでは、入力された生体情報において認証に必要な情報が取得できないなど、当該生体情報が認証に適さない場合がある。そのような場合、認証に適した生体情報が入力できるように利用者を誘導することが求められる。例えば、一つの生体情報を用いた認証では、入力された生体情報を用いてフィードバック情報を生成し、そのフィードバック情報を利用者に通知することで、認証に適した生体情報を入力するよう誘導する技術が提案されている。
【0235】
しかしながら、マルチバイオメトリック認証では、それぞれの生体情報を用いた認証を個別に実施する場合とは、入力内容が照合処理に適していなかった場合に生体認証装置の利用者にフィードバックする情報及び方法が異なる。すなわち、個々の認証における既存のフィードバック情報をマルチバイオメトリック認証に用いた場合、いずれかの生体情報に対するフィードバックを反映して入力を行った結果、他の生体情報の入力が適切に行われなくなるおそれがある。
【0236】
実施例4及び実施例5は、上記に鑑みてなされたものであって、それぞれの生体情報の入力の状態を考慮したフィードバック情報を生成することができる生体認証装置を提供することを目的とする。
【0237】
図27は、実施例4に係るブロック図である。本実施例に係る生体認証装置は、図27に示すように、指紋情報取得部601、静脈情報取得部602、指紋情報入力判定部603、静脈情報入力判定部604、相互フィードバック情報決定部605及び通知部606を有している。
【0238】
指紋情報取得部601は、指紋センサ611を有している。そして、利用者は指紋センサ611の上に指を置くことで指紋情報の入力ができる。指紋情報取得部601は、指紋センサ611から入力された指紋情報を取得する。
【0239】
静脈情報取得部602は、静脈センサ612を有している。そして、利用者は静脈センサ612の上に指を置くことで静脈情報の入力ができる。静脈情報取得部602は、静脈センサ612から入力された静脈情報を取得する。
【0240】
指紋情報入力判定部603は、指紋情報取得部601が取得した指紋情報から指紋領域を検出する。そして、指紋情報入力判定部603は、検出した指紋領域から指毎に指紋の位置情報を検出する。ここで、指紋の位置情報とは、例えば、指紋中心位置、指紋領域の重心位置又は指紋領域を示す矩形の4点の位置座標などである。本実施例では、指紋の位置情報として指紋中心を用いる。また、指紋情報入力判定部603は、指紋センサ611の撮像領域に対する基準となる位置である指紋基準位置を記憶している。そして、指紋情報入力判定部603は、受信した指紋の位置情報と予め決められている指紋基準位置との関係から、指紋の入力状態の判定を行う。ここで、指紋の入力状態の判定とは、例えば、指紋センサ611の撮像領域に対して右過ぎるや上過ぎるといった、指紋センサ611の撮像領域に対する指紋の入力位置の状態である。
【0241】
静脈情報入力判定部604は、静脈情報取得部602が取得した静脈情報から静脈領域を検出する。そして、静脈情報入力判定部604は、検出した静脈領域から静脈の位置情報を検出する。ここで、静脈の位置情報とは、例えば、手首の位置又は各指の付け根などである、手首の位置とは、例えば、手首の線の左右端、手の輪郭線をたどった場合に手のひらと手首の境で輪郭線の角度が変化する位置などである。本実施例では、静脈の位置情報として手首の線の左右端を用いる。また、静脈情報入力判定部604は、静脈センサ612の撮像領域に対する基準となる位置である静脈基準位置を記憶している。静脈情報入力判定部604は、受信した静脈の位置情報と予め決められている静脈基準位置との関係から、静脈の入力状態の判定を行う。ここで、静脈の入力状態の判定とは、例えば、静脈センサ612の撮像領域に対して右過ぎるや上過ぎるといった、静脈センサ612の撮像領域に対する静脈の入力位置の状態である。
【0242】
相互フィードバック情報決定部605は、指紋の入力状態の判定結果の入力を指紋情報入力判定部603から受ける。また、相互フィードバック情報決定部605は、静脈の入力状態の判定結果の入力を静脈情報入力判定部604から受ける。そして、相互フィードバック情報決定部605は、指紋及び静脈の入力状態の判定結果から、利用者に通知する内容を決定する。相互フィードバック情報決定部605は、例えば、指紋中心が未検出であり且つ手首の位置が検出できていれば、指紋センサ611の撮像領域から指先が出ているので、手首方向へ移動させると判定する。また、相互フィードバック情報決定部605は、指の付け根が指紋センサ611の撮像領域と静脈センサ612の撮像領域の間に位置して未検出の場合には、手首方向へ移動させると判定する。また、相互フィードバック情報決定部605は、手首の位置が未検出であり且つ指紋中心が検出されていれば、指先方向へ移動させると判定する。左右方向のズレに関しては、静脈と指紋との関係が薄く、それぞれ個別に情報を扱うことになるので、相互フィードバック情報決定部605は、相互の関係による判定は行わず、静脈と指紋とを個別に扱う場合と同様の位置の調整の判定を行う。
【0243】
次に、相互フィードバック情報決定部605は、各指紋の位置情報と指紋センサ611の撮像領域から指紋の位置を移動させることが可能な許容量を算出する。例えば、指先方向に指紋の位置を誘導したい場合、相互フィードバック情報決定部605は、現在の指紋の位置から指先方向に移動して指紋センサ611の撮像領域の端に届くまでの距離を算出し、算出した値を許容量とする。また、相互フィードバック情報決定部605は、静脈の位置情報と静脈センサ612の撮像領域から手のひらの位置を移動させることが可能な許容量を算出する。例えば、相互フィードバック情報決定部605は、現在の手首の位置や指の付け根の位置と静脈センサ612の撮像領域との関係から許容量を算出する。
【0244】
そして、相互フィードバック情報決定部605は、算出した許容内で、判定しておいた移動を行うように、移動方向及び移動量を求める。例えば、相互フィードバック情報決定部605は、手を指先方向に3センチ移動するなど決定する。そして、相互フィードバック情報決定部605は、移動方向及び移動量の情報をフィードバック情報として通知部606へ出力する。
【0245】
ここで、人の手の一般的な形状から、ほとんどの人では指紋センサ611及び静脈センサ612の撮像領域内に手全体が収まる。その場合、許容量の範囲内での移動を指示することで、相互フィードバック情報決定部605は、利用者の手を適切な位置に誘導することができる。しかし、例えば指長もしくは手長が極端に長い人の場合、撮像領域内に指紋と手首の位置が納まりきれない場合がある。そこで、相互フィードバック情報決定部605は、取得する情報の優先順位を予め記憶している。例えば、相互フィードバック情報決定部605は、位置情報の優先順位を表すテーブルを記憶している。本実施例では、相互フィードバック情報決定部605は、指紋中心位置が優先順位1番、手首の位置が優先順位2番、指の付け根位置が優先順位3番と記憶している。この優先順位は、本実施例では指紋認証と静脈認証の両方を実施するため、指紋と手のひらの両方が取得されることを目的として決められている。静脈認証では、手首の位置と指の付け根位置が取得されることが好ましいが、照合を実施するうえで必須ではない。これに対して、指紋の領域が欠けて指紋中心が検出できなければ指紋認証は安定して認証できなくなるため、指紋中心位置の優先順位を1番としている。また、指紋情報と静脈情報から指の長さを検出して照合処理もしくは絞込処理を行う場合、指の付け根位置が手首の位置より優先順位が上になるので、指の付け根位置の優先順位2番とし、手首の位置の優先順位を3番としている。そして、相互フィードバック情報決定部605は、許容の範囲内での移動では撮像領域内に収まらない場合、位置情報の優先順位を表すテーブルの優先順位に合わせて、移動方向及び移動量を決定する。
【0246】
通知部606は、移動方向及び移動量の情報の入力を相互フィードバック情報決定部から受ける。そして、通知部606は、フィードバック情報をモニタなどに表示して利用者に通知し、利用者の手を適切な位置に誘導する。
【0247】
図28は、実施例4における指及び手のひらの誘導を説明する図である。領域701は指紋センサ611の撮像領域であり、領域702は、静脈センサ612の撮像領域である。そして、通知部606は、現在の指紋中心の位置をマーカ704で表示する。ここで、図28では、一例として薬指の指紋中心のマーカを例に説明しているが、通知部606は、図に示すように各指の現在の指紋中心の位置を表示する。さらに、通知部606は、現在の手首の位置をマーカ706で表示する。これも一例として手首の薬指側を表すマーカを例に説明しているが、通知部606は、図に示すように手首の人差し指側を表すマーカも表示する。そして、通知部606は、各指紋中心の移動先の位置をマーカ703で表示する。さらに、通知部606は、手首の移動先の位置をマーカ705で表示する。利用者は、マーカ703に指紋中心が位置し、マーカ705に手首が位置するように指と手のひらを移動する。図29は、誘導後の指及び手のひらを示す図である。図29に示すように、誘導に従って利用者が指と手のひらを移動することで、マーカ703とマーカ704とが一致し、マーカ705とマーカ706とが一致することになる。図28では、指の付け根の位置が領域702に入っていなかったが、図29では、指の付け根位置が領域701に入っており、適切な位置に誘導が行われたことが分かる。
【0248】
以上の説明では、指紋センサ611及び静脈センサ612のセンサ面に対して水平方向について説明したが、センサ面に対して垂直方向の状態を考慮してもよい。例えば、静脈情報入力判定部604において、手のひらがセンサ面に対して沈んでいると判定された場合、相互フィードバック情報決定部605は、手を指先方向に移動させることで、手がセンサ面に載せる範囲が広がり、手のひらの沈みを改善できる。
【0249】
次に、図30を参照して、本実施例に係る生体認証装置における分析処理の流れを説明する。図30は、実施例4に係る生体認証装置における分析処理のフローチャートである。
【0250】
指紋情報取得部601は、指紋センサ611に載せられた指の画像から指紋情報を取得する(ステップS1201)。
【0251】
次に、指紋情報入力判定部603は、指紋情報取得部601から指紋情報を受けて、指紋位置情報を取得する(ステップS1202)。
【0252】
静脈情報取得部602は、静脈センサ612に載せられた手のひら静脈画像から静脈情報を取得する(ステップS1203)。
【0253】
次に、静脈情報入力判定部604は、静脈情報取得部602から静脈情報を受けて、静脈位置情報を取得する(ステップS1204)。
【0254】
相互フィードバック情報決定部605は、指紋位置情報及び静脈位置情報から指紋と静脈の認証情報の入力が成功したか否かを判定する(ステップS1205)。入力が成功した場合(ステップS1205肯定)、相互フィードバック情報決定部605は、分析処理を終了する。
【0255】
これに対して、入力が失敗した場合(ステップS1205否定)、相互フィードバック情報決定部605は、指紋位置情報及び静脈位置情報から、指及び手のひらの移動方向を決定する(ステップS1206)。
【0256】
次に、相互フィードバック情報決定部605は、移動可能な許容量を算出する(ステップS1207)。
【0257】
そして、相互フィードバック情報決定部605は、誘導が可能か否かを判定する(ステップS1208)。誘導が不可能な場合(ステップS1208否定)、相互フィードバック情報決定部605は、分析処理を終了する。
【0258】
これに対して、誘導が可能な場合(ステップS1208肯定)、誘導位置を算出しフィードバック情報を決定する(ステップS1209)。
【0259】
そして、通知部606は、相互フィードバック情報決定部605から受信したフィードバック情報を利用者に通知し(ステップS1210)、その後ステップS1201へ戻る。
【0260】
以上に説明したように、本実施例に係る生体認証装置は、指紋の情報及び静脈の情報から指紋及び静脈の位置を適切な位置に誘導する。これにより、指紋及び静脈の双方を適切な位置に誘導することができ、認証処理の効率の向上及び認証の精度の向上が可能となる。
【実施例5】
【0261】
図31は、実施例5に係るブロック図である。本実施例に係る生体認証装置は、指紋と静脈のうちの一方の情報を分析して他方の入力内容が認証に適しているかを判定することが実施例4と異なるものである。ここで、図31において、図27と同じ符号を有する各部は特に説明の無い限り同じ機能を有するものとする。
【0262】
本実施例に係る生体認証装置は、実施例4の各部に加えて相互入力判定部607を設けたものである。
【0263】
相互入力判定部607は、指紋情報の入力を指紋情報入力判定部603から受ける。さらに、相互入力判定部607は、静脈情報の入力を静脈情報入力判定部604から受ける。そして、相互入力判定部607は、指紋情報を用いて入力された静脈情報が照合処理に適しているか否かを判定する。さらに相互入力判定部607は、静脈情報を用いて入力された指紋情報が照合処理に適しているか否かを判定する。
【0264】
例えば、相互入力判定部607は、指紋情報から指紋の入力位置を検出する。そして、相互入力判定部607は、各指紋の入力位置の間の距離に応じて指の開閉を判定する。具体的には、相互入力判定部607は、各指紋の入力位置が閾値よりも近い場合には指が閉じていると判定する。そして、相互入力判定部607は、指が閉じている場合には、隣り合う3本の指のうち両端の指の方向から真ん中の指の方向を決定できないので、入力された静脈情報は静脈情報の認証処理に不向きと判定する。これに対して、各指紋の入力位置が閾値よりも離れている場合、相互入力判定部607は、指が十分に開かれていると判定し、入力された静脈情報は静脈情報の認証処理に適していると判定する。
【0265】
また、例えば、相互入力判定部607は、指紋情報から指を指紋センサ611に押し付ける具合を検出する。そして、相互入力判定部607は、押し付ける力が強いと判定した場合には、指を押し付ける力に連動して手のひらも力みが有ると考えられるので、入力された静脈情報は静脈情報の照合処理に不向きと判定する。例えば、相互入力判定部607は、押し付け具合の判定方法として、指紋画像の濃淡比を用いることができる。指紋情報として取得される指紋画像では一般に、指紋の凹凸に基づきセンサ面に接触する隆線の領域が黒く写り、センサ面に接触しない谷線の領域が白く写る。すなわち、指をセンサ面に押し付ける力が強い場合、隆線が潰れて谷線が細くなり、黒い画素の領域が増える。そこで、相互入力判定部607は、指紋の入力領域の濃淡比、すなわち黒画素の占める割合を求め、その割合が予め決められた閾値を超えるか否かにより、指が強く押し付けられているか否かを判定することができる。
【0266】
また、例えば、相互入力判定部607は、静脈情報から指の付け根位置を検出する。そして、相互入力判定部607は、例えば、付け根位置の高さにより、照合処理に不向きな指紋情報が入力されたのか又は指紋模様の一種である波形模様(渦巻き模様)であるのかを判定する。指紋認証では、指先側の指紋が取得された場合、指紋照合の位置合わせの基準に利用できる指紋中心位置を検出することが困難であり、位置合わせの誤りにより照合が失敗することが多い。さらに、指先側の諮問は基本的に横方向の波形模様が占める割合が多く、指紋を分別する情報量が少なくなり、他人を本人と誤って認証してしまう頻度が増加する。しかし、指先側の指紋と波形模様の諮問は類似した特徴を持っているため、指紋情報のみではいずれであるかを判定することは困難である。そこで、相互入力判定部607は、静脈情報を用いて指の付け根位置を検出し、手のひらと比べて指の付け根位置が高い場合に、指先側の指紋が入力されていると判定する。
【0267】
相互フィードバック情報決定部605、相互入力判定部607の判定結果を用いて、利用者に通知する内容を決定する。例えば、相互入力判定部607により指が閉じていると判定された場合、相互フィードバック情報決定部605は、指を開くように通知内容を決定する。
【0268】
そして、通知部606は、相互フィードバック情報決定部605から通知内容を受信して利用者に通知する。図32は、実施例5における指の誘導を説明するための図である。通知部606は、例えば、指を開くという通知内容を受けた場合、図32に示すように、人差し指と薬指の指の位置の外側にマーカ707及びマーカ708を表示する。また、通知部606は、中指の位置はそのままにしておくため中指の指紋中心に重ねてマーカを表示する。これにより、利用者は、マーカ707及びマーカ708に人差し指及び薬指をあわせることで、指を開いた状態でセンサに置くことができる。
【0269】
このように、本実施例に係る生体認証装置は、指紋情報を用いて静脈情報の入力状態を判定し、その状態を改善するように誘導し、静脈情報を用いて指紋情報の入力状態を判定し、その状態を改善するように誘導する。これにより、一方の情報だけでは判定しきれなかった状態を判定することができ、指及び手のひらの位置の誘導を寄り適切に行うことができる。
【0270】
また、以上に説明した実施例4及び5では、人差し指、中指及び薬指を用いた指紋情報の入力について説明したが、これは複数指であれば何本の指を用いてもよいし、いずれの指を用いてもよい。
【符号の説明】
【0271】
1 指紋画像取得部
2 指紋特徴情報抽出部
3 静脈画像取得部
4 静脈特徴情報抽出部
5 指浮検出部
6 認証情報DB
7、8 通信制御部
10 認証情報入力部
11 指紋情報入力部
12 静脈情報入力部
20 基準取得部
21 指方向検出部
22 2指選択部
23 基準算出部
30 認証部
31 登録処理部
32 照合処理部
33 絞込処理部
34 位置履歴管理部
40 位置補正部
41 静脈画像補正部
42 指紋画像回転移動部
43 撮像範囲識別部
50 通知部
51 指浮通知部
52 認証結果通知部
53 分析結果通知部
60 絞込情報取得部
61 指付根検出部
62 距離算出部
70 画像結合部
71 共通面積算出部
80 分析部
601 指紋情報取得部
602 静脈情報取得部
603 指紋情報入力判定部
604 静脈情報入力判定部
605 相互フィードバック情報決定部
606 通知部
607 相互入力判定部
611 指紋センサ
612 静脈センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指の指紋画像を取得する指紋画像取得部と、
前記指紋画像取得部が指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得する静脈画像取得部と、
認証の基準となる基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における所定の指の基準方向を記憶する記憶部と、
前記指紋画像取得部により取得された前記指紋画像を基に前記所定の指の長軸方向を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向及び前記記憶部に記憶されている前記所定の指の基準方向を基に、前記静脈画像取得部により取得された前記手のひら静脈画像を補正する位置補正部と、
前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する静脈特徴情報取得部と、
前記静脈特徴情報取得部により取得された静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う認証部と
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記指紋画像取得部により取得された指紋画像から指紋特徴情報を抽出し、前記所定の指の指紋の位置を特定する指紋特徴情報抽出部をさらに備え、
前記記憶部は、前記所定の指の指紋の位置をさらに記憶し、
前記位置補正部は、前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向が前記記憶部が記憶している前記所定の指の基準方向と一致し、且つ前記指紋特徴情報抽出部が特定した前記指紋の位置が前記記憶部が記憶している前記所定の指の指紋の位置に一致するように前記手のひら静脈画像を移動することを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記指紋画像取得部は、3つの隣り合う指の指紋画像を取得し、
前記検出部は、前記3つの隣り合う指のうち両端の2本の指の指紋画像から該両端の2本の指の長軸方向を求め、求めた両端の2本の指の長軸方向の内角二等分線を中央の指の長軸方向として検出し、
前記記憶部は、前記基準手のひら静脈画像における前記中央の指の長軸方向を前記所定の指の基準方向として記憶しており、
前記位置補正部は、前記検出部により検出された前記中央の指の長軸方向が前記記憶部が記憶している前記所定の指の基準方向と一致し、且つ前記指紋画像における前記中央の指の指紋の位置が前記記憶部が記憶している前記中央の指の指紋の位置に一致するように前記手のひら静脈画像を移動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記基準手のひら静脈画像における両端の2本の指の長軸方向の内角二等分線の方向を中央の指の基準方向として記憶し、且つ前記基準手のひら静脈画像における前記中央の指の指紋の位置を前記両端の2本の指の長軸方向の交点を中心に回転させて前記内角二等分線上に一致したときの該中央の指の指紋の位置を基準位置として記憶することを特徴とする請求項3に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記位置補正部は、前記指紋特徴情報抽出部が特定した前記指紋の位置を中心に前記手のひら静脈画像を回転させることで、前記手のひら静脈画像における前記中央の指の長軸方向が前記所定の指の基準方向と一致する回転角を求め、さらに、前記指紋特徴情報抽出部が特定した前記指紋の位置を中心に前記回転角回転させた場合の前記所定の指の指紋の位置と前記記憶部に記憶されている前記所定の指の指紋の位置の差分距離を求め、前記手のひら静脈画像を前記指紋特徴情報抽出部が特定した前記指紋の位置を中心に前記回転角回転させ、且つ前記差分距離平行移動させることで補正を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記指紋画像に指の関節位置のしわが含まれていないことを検出する指浮検出部と、
前記指浮検出部により前記指紋画像に指の関節位置のしわが含まれていないと判定された場合に、指浮を利用者に通知する指浮通知部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の生体認証装置。
【請求項7】
一以上の利用者の静脈特徴情報を管理する認証情報管理部をさらに備え、
前記認証部は、前記認証情報管理部が管理する静脈特徴情報の中から、前記静脈画像取得部が取得した手のひら静脈画像を入力した利用者の静脈特徴情報を特定して認証を行う
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の生体認証装置。
【請求項8】
前記記憶部は、複数人の静脈画像を各人の指紋から指の付け根までの距離と対応させて記憶しており、
前記手のひら静脈画像を基に該手のひら静脈画像における指の付け根の位置を特定する指付根検出部と、
前記指紋画像と前記静脈画像を基に前記指紋から前記指の付け根までの距離を算出する距離算出部と、
前記指紋から前記指の付け根までの距離が所定の範囲となる前記静脈画像を前記記憶部から取得する絞込処理部とをさらに備え、
前記認証部は、前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像と前記絞込処理部が取得した静脈画像を基に認証を行う
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の生体認証装置。
【請求項9】
前記認証部により認証された場合、該認証された前記所定の指の長軸方向及び前記所定の指の指紋の位置を記憶する履歴管理部と、
前記履歴管理部に記憶されている前記所定の指の長軸方向及び前記所定の指の指紋の位置を基に統計情報を算出する統計情報算出部と、
前記統計情報算出部が算出した統計情報を通知する統計結果通知部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の生体認証装置。
【請求項10】
複数の指を置く領域を有する指紋センサを有し、前記指紋センサで認識された指の指紋から指紋情報を取得する指紋情報取得部と、
手のひらを置く領域を有する静脈センサを有し、前記静脈センサで認識された手のひらから静脈情報を取得する静脈情報取得部と、
前記指紋情報取得部が取得した指紋情報から前記指紋センサに対する指紋の位置を表す指紋位置情報を取得し、該指紋位置情報に基づき前記指紋センサに対する指の配置状態を判定する指紋情報入力判定部と、
前記静脈情報取得部が取得した静脈情報から前記静脈センサに対する手のひらの位置を表す手のひら位置情報を取得し、該手のひら位置情報に基づき前記静脈センサに対する手のひらの配置状態を判定する静脈情報入力判定部と、
前記指紋情報入力判定部が判定した前記指紋センサに対する指の配置状態及び前記静脈情報入力判定部が判定した前記静脈センサに対する手のひらの配置状態を基に、前記指紋の位置又は前記手のひらの位置のいずれか一方又は双方の位置修正情報を決定する相互フィードバック情報決定部と、
前記相互フィードバック情報決定部が取得した位置修正情報を通知する通知部と
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項11】
前記指紋情報又は前記指紋位置情報のいずれか一方もしくは双方を基に、前記静脈センサに置かれた手のひらの前記静脈センサに対する状態を判定し、前記静脈情報又は前記手のひら位置情報のいずれか一方もしくは双方を基に、前記指紋センサに置かれた指の前記指センサに対する状態を判定する相互入力判定部をさらに備え、
前記フィードバック部情報決定部は、前記相互入力判定部による判定結果を基に、前記指の位置又は前記手のひらの位置のいずれか一方又は双方の位置修正情報を決定する
ことを特徴とする請求項10に記載の生体認証装置。
【請求項12】
複数の指を置く領域を有する指紋センサを有し、前記指紋センサで認識された指の指紋から指紋情報を取得する指紋情報取得部と、
手のひらを置く領域を有する静脈センサを有し、前記静脈センサで認識された手のひらから静脈情報を取得する静脈情報取得部と、
前記指紋情報取得部が取得した指紋情報から前記指紋センサに対する指紋の位置を表す指紋位置情報を取得し、該指紋位置情報に基づき前記指紋センサに対する指の配置状態を判定する指紋情報入力判定部と、
前記静脈情報取得部が取得した静脈情報から前記静脈センサに対する手のひらの位置を表す手のひら位置情報を取得し、該手のひら位置情報に基づき前記静脈センサに対する手のひらの配置状態を判定する静脈情報入力判定部と、
前記指紋情報入力判定部が判定した前記指紋センサに対する指の配置状態及び前記静脈情報入力判定部が判定した前記静脈センサに対する手のひらの配置状態を基に、前記指紋の位置又は前記手のひらの位置のいずれか一方又は双方の位置修正情報を決定する相互フィードバック情報決定部と、
前記相互フィードバック情報決定部が取得した位置修正情報を通知する通知部と
を備えたことを特徴とする生体情報処理装置。
【請求項13】
前記指紋情報又は前記指紋位置情報のいずれか一方もしくは双方を基に、前記静脈センサに置かれた手のひらの前記静脈センサに対する状態を判定し、前記静脈情報又は前記手のひら位置情報のいずれか一方もしくは双方を基に、前記指紋センサに置かれた指の前記指センサに対する状態を判定する相互入力判定部をさらに備え、
前記フィードバック部情報決定部は、前記相互入力判定部による判定結果を基に、前記指の位置又は前記手のひらの位置のいずれか一方又は双方の位置修正情報を決定する
ことを特徴とする請求項12に記載の生体情報処理装置。
【請求項14】
複数の指の指紋画像を取得し、
前記指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得し、
前記指紋画像を基に所定の指の長軸方向を検出し、
前記検出された前記所定の指の長軸方向及び記憶部に記憶されている基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における前記所定の指の基準方向を基に、前記手のひら静脈画像を補正し、
前記補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得し、
取得した前記静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う
ことを特徴とする生体認証装置制御方法。
【請求項15】
クライアントとサーバを有する生体認証システムであって、
前記クライアントは、
複数の指の指紋画像を取得する指紋画像取得部と、
前記指紋画像取得部が指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得する静脈画像取得部と、
前記指紋画像取得部により取得された前記指紋画像を基に所定の指の長軸方向を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向を基に、前記静脈画像取得部により取得された前記手のひら静脈画像を補正する位置補正部と、
前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する静脈特徴情報取得部とを備え、
前記サーバは、
認証の基準となる基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における前記所定の指の基準方向を記憶する記憶部と、
前記クライアントの前記静脈特徴情報取得部により取得された静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う認証部とを備えた
ことを特徴とする生体認証システム。
【請求項16】
複数の指の指紋画像を取得する指紋画像取得部と、
前記指紋画像取得部が指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得する静脈画像取得部と、
前記指紋画像取得部により取得された前記指紋画像を基に所定の指の長軸方向を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向を基に、前記静脈画像取得部により取得された前記手のひら静脈画像を補正する位置補正部と、
前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する静脈特徴情報取得部と、
前記静脈特徴情報取得部により取得された静脈特徴情報を、認証の基準となる基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における前記所定の指の基準方向を記憶する記憶部と、前記静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う認証部とを備えたサーバに送信する通信制御部と
を備えたことを特徴とする生体認証クライアント。
【請求項17】
認証の基準となる基準静脈特徴情報及び該基準静脈特徴情報を取得した基準手のひら静脈画像における所定の指の基準方向を記憶する記憶部と、
複数の指の指紋画像を取得する指紋画像取得部と、前記指紋画像取得部が指紋画像を取得した状態の手における、手のひら静脈画像を取得する静脈画像取得部と、前記指紋画像取得部により取得された前記指紋画像を基に所定の指の長軸方向を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記所定の指の長軸方向を基に、前記静脈画像取得部により取得された前記手のひら静脈画像を補正する位置補正部と、前記位置補正部により補正された手のひら静脈画像から静脈特徴情報を取得する静脈特徴情報取得部とを備えたクライアントから、前記静脈特徴情報取得部により取得された静脈特徴情報を受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した前記静脈特徴情報と前記記憶部に記憶されている前記基準静脈特徴情報とを照合して認証を行う認証部と
を備えたことを特徴とする生体認証サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−234440(P2012−234440A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103726(P2011−103726)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】