説明

生体認証装置

【課題】個人認証においての生体認証について、スムーズな認証及び動作を可能にし、更には、安全性などや、セキュリティ向上を図ることを課題とする。
【解決手段】指の認証面を変え、複数の生体情報を取得し、さらに認証の順序に対応付けて動作を登録する。一方、認証時には、前記順序に従って、複数の生体情報を取得し、認証操作、認証処理を行うようにすることにより、スムーズな認証と動作が可能になる。また、複数回の生体認証を行うことで、利便性やセキュリティなどが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体認証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人認証技術として携帯端末やクレジット決済においてICカードが普及している。さらに個人認証における不正防止のため、生体情報を用いた生体認証が普及しつつある。生体認証としては瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈、DNAなどがある。この生体認証について、例えば、特許文献1や、特許文献2に開示のあるものである。
【0003】
【特許文献1】特開2005−268951号公報
【特許文献2】特開2006−227769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、指紋と関連付けられた機能を実行させる手段が開示されている。また、特許文献2には、状況に応じて複数の生体認証方法を用いる手段が開示されている。
【0005】
これらの特許文献においても、生体認証についての技術が開示されているが、生体認証においては、より安全性などを向上させることについて、更なる改善がなされることは、これらを用いるシステムなどにおいては、好ましいものである。
【0006】
例えば、特許文献1では、認証の順序に動作を対応付けるための生体情報登録方法が記載されておらず、前記特許文献2には動作に対し、認証の組み合わせが対応させられており、認証の順序によって動作が関連付けられていない。
【0007】
一方、生体認証の方法として、個人固有の静脈のパターンにより認証を行う静脈認証がある。この静脈パターンを利用する認証では、外部から容易に観察できない、心理的抵抗が少ない等の理由から、例えば、ATMや入退出管理等での認証に利用されつつある。
【0008】
しかしながら、認証に用いる生体情報には限度があり、比較的容易に静脈のパターンを検出、取得出来る指や、掌などの生体の部位は、現時点では、限られているものと言える。従って、更なる認証の安全性などを向上させることについては、何等かの工夫、技術的な改善を図ることは、好ましいことであり、この点が課題と言える。
【0009】
本発明は、これらの課題に関するものであり、個人認証において、例えば、指の認証面を変え生体認証を行い、当該認証の過程において、認証の順序に対して動作を関連付けることでスムーズな認証及び動作を可能にする生体情報の登録方法と認証方法、及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記の通りである。
【0011】
安全性などの向上を図るものとして、複数回の認証を行うようにして、人差し指、中指等の指の種類を変える等の生体認証後、若しくは、当該生体認証の前後等の順序に限定せず、当該生体認証に加えて、他の認証と組み合わせを行い、例えば暗証番号の入力するようにして、認証を行うようにすることが考えられる。
【0012】
更には、これらを踏まえて、指の認証面を変える操作を行い、当該指の認証面を変える操作の認証の順序に対応付けて動作を登録することにより、スムーズな認証が可能になり、複数回の生体認証を行うことで、利便性や、セキュリティ向上などを図ることを特徴とする。
【0013】
前記発明の開示について、他の表現としたものを以下に説明する。
【0014】
生体情報を用いて認証する生体認証装置において、生体情報を検出する生体情報読取部と、前記生体情報読取部で検出した順序に対応付けて検出した生体情報を登録する登録データ記憶部と、前記生体情報読取部で前記順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行う制御部とを設けるようにする。
【0015】
または、前記生体認証装置において、前記登録データ記憶部には、前記生体情報読取部で検出した第1の順序に対応付けて検出した生体情報が登録され、また、前記生体情報読取部で検出した第2の順序に対応付けて検出した生体情報が登録されるようにする。
【0016】
または、前記生体認証装置において、前記生体情報読取部で前記第1の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行い、また、前記生体情報読取部で前記第2の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行うようにする。
【0017】
前記説明で開示した本発明によって得られる代表的な効果は以下の通りである。
【0018】
生体認証において指の認証面を変えることで、2次元で撮影する静脈パターンが変化し、使用できる生体情報の増加が図れる。また、複数回の認証を一本の指の認証面を変化させることで、認証方法を変える、指を変える方法に比べ、素早い複数回の認証が可能になる。
【0019】
さらに、認証の順序に対応付け動作を登録することで、認証の組み合わせに対応付け動作を登録するよりも、何度も同じ生体情報を扱い順序を持たせることで多くの動作を登録でき、認証の順序を開示しないことで秘匿性を持たせることができる。このことで認証後、目的の動作へ素早く移行することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来よりも、よりセキュリティなどを向上させた生体認証装置を提供可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の第1の実施の形態における生体認証装置の構成の一例を示した図である。
【0023】
同図において10は生体テンプレート、シーケンス番号などのデータ情報が登録可能なメモリを備えている登録データ記憶部である。11は指の認証面(指配置)を変えて指静脈画像を撮影可能な画像読取部(前述の生体情報読取部に相当するもの)である。12はパターンマッチング、入出力インターフェイス等の手段を有する制御部である。13はタッチパネルディスプレイなどの情報を表示可能な操作画面部である。
【0024】
まず初めに本実施例における認証情報登録手順を図を用いて説明する。
【0025】
図1は生体認証装置構成例、図2は登録データ記憶部10、図3は指の配置例で指の配置とその静脈画像、生体テンプレートを模式的に表したものである。画像読取部11は指配置200のように指が置かれると、指の上下位置、回転位置、角度位置、光量に応じた光学補正を行い、指静脈画像210を撮影する。制御部12は登録データ記憶部10、画像読取部11、操作画面部13の入出力を制御する手段を有し、信号処理部120とメモリ121から構成される。同部は画像読取部11が撮影した指静脈画像210から220のような生体テンプレート102を作成し、シーケンス番号101を付加し、生体テンプレート情報100として記憶する。
【0026】
次に画像読取部11は指配置201のように指が置かれると、各種光学補正を行い、指静脈画像211を撮影する。制御部12は、画像読取部11が撮影した指静脈画像211から221のような生体テンプレート102を作成し、前記とは別のシーケンス番号101を付加し、生体テンプレート情報100として記憶する。前記のシーケンス番号101を用いて認証シーケンス103を作成し、それに対応したシーケンス動作105を割当て、シーケンス情報104として登録データ記憶部10に記憶する。操作画面部13は登録完了の旨を表示し、登録終了とする。
【0027】
次に本実施例における認証動作手順を図1、図2を用いて説明する。
画像読取部11は指が置かれると、指の上下位置、回転位置、角度位置、光量に応じた光学補正を行い、指静脈画像を撮影する。制御部12は登録データ記憶部10、画像読取部11、操作画面部13の入出力を制御する手段を有し、登録データ記憶部10に保存された生体テンプレート102と画像読取部11が撮影した指静脈画像を照合し、合致した生体テンプレート102のシーケンス番号101を登録データ記憶部10に認証成功シーケンス番号106として記憶する。
【0028】
次に操作画面部13は操作手順、登録確認等の情報、例えば認証の可否と指の認証面を変える旨等を表示し、ユーザは指先を軸にし指の認証面を変え、指を置く。画像読取部11は指静脈画像を撮影する。制御部12は登録データ記憶部10に保存された生体テンプレート102と画像読取部11が読み取った指静脈画像を照合し、合致した生体テンプレート102のシーケンス番号101を得る。制御部12は登録データ記憶部10に記憶していた認証成功シーケンス番号106とシーケンス番号101から認証シーケンス103を判断し、認証完了と共に認証シーケンス103に対応したシーケンス動作105を行う。以上の構成により、指の認証面を変えた認証を複数回行うことで、暗証番号入力や指を変える等の認証と組み合わせるよりもスムーズで、かつ複数回の認証を行うことが可能となるので使い勝手が良く、セキュリティが高い生体認証システムを提供することが可能となる。さらに、認証の順序に動作を登録することで、直ちに目的の動作に移行することができ、利便性の向上が図れる。
【0029】
但し、本実施と、暗証番号入力や指を変える等の認証と組み合わせるような実施形態とするものであっても良く、そうすることで、更なるセキュリティの向上を図るものであっても何ら問題はない。
【0030】
図2に前記登録データ記憶部10の構成を示す。
登録データ記憶部10はシーケンス番号101と共に指の認証面を変え登録した生体テンプレート102が生体テンプレート情報100として少なくとも2つ以上記憶可能で、認証シーケンス103に対応するシーケンス動作105がシーケンス情報104として記憶可能で、認証成功シーケンス番号106を記憶可能なメモリを備えている。以上の構成により、登録データ記憶部10はシーケンス番号101、生体テンプレート102から成る生体テンプレート情報100、認証シーケンス103に対応付けられたシーケンス動作105から成るシーケンス情報104、認証成功シーケンス番号106を記憶可能であるため、認証の順序による各種動作の割当てが可能になる。
【0031】
図3に指の配置200、201、指静脈画像210、211、生体テンプレート220、221の模式図を示す。本実施例では爪を上にした状態での指静脈画像210を正面画像とし、指の認証面を変えた状態での指静脈画像211を右側面画像とする。
【0032】
図4において画像読取部11は光源110、カメラ111から光学系が構成され、光学補正を行い指静脈画像を撮影する。尚、本実施例では光学系は1系統としているが、複数の光学系を用い読取精度を上げてもよい。同部11は指の認証面を変えて撮影を行った際にも指静脈認証に必要な情報を得ることが可能な構造を有する。図5に前記制御部12の構成を示す。
【0033】
図5において制御部12は登録データ記憶部10、画像読取部11、操作画面部13とケーブル等で接続されて、データ、情報、制御信号、制御データの授受が行われ、信号処理部120、メモリ121から構成される。画像読取部11から得た指静脈画像210はメモリ121に記憶され、信号処理部120により指静脈画像210は登録データ記憶部10の生体テンプレート102と照合される。照合した生体テンプレート102のシーケンス番号101を認証成功シーケンス番号106として登録データ記憶部10に記憶し、画像読取部11からの入力を待つ。
【0034】
画像読取部11から得た指認証画像211はメモリ121に記憶され、信号処理部120により指静脈画像211は登録データ記憶部10の生体テンプレート102と照合される。認証成功シーケンス番号106と照合した生体テンプレート102のシーケンス番号101から登録データ記憶部10の認証シーケンス103を判断し、それに対応するシーケンス情報104を取得し、認証完了とし動作に移行する。以上の構成により、各部を制御し、指静脈画像210,211と生体テンプレート102を照合し、シーケンス番号101を取得、記憶することが可能になり、認証後、直ちに認証の順序により登録されたシーケンス動作105に移行することができる。尚、制御部12のメモリ121は登録データ記憶部等の他の記録媒体に存在してもよい。
【0035】
図6に操作画面部13の構成例を示す。操作画面部13は、操作手順、認証成功の可否、確認等の情報を表示することが可能であり、手順、状況等をユーザに知らせることが可能になる。
【0036】
本実施例を携帯端末に応用した例を挙げ説明する。
【0037】
図7に携帯端末30、図8にメモリ36の構造を示す。図7の携帯端末30は、テンキー31、画像読取部32、操作画面33、制御部34、メモリ36から成る。図8のメモリ36は、暗証番号360、端末番号361、シーケンス番号363と生体テンプレート364から構成される生体テンプレート情報362、認証シーケンス366とシーケンス動作367と付加情報368から構成されるシーケンス情報365が記憶され、認証成功シーケンス番号369、認証失敗回数370を読み書き可能なメモリを備える。
【0038】
尚、図7の携帯端末は、例えば、携帯電話、PDAやPOS端末などの携帯情報端末や、ノートパソコンと呼ばれる携帯、過般出来るコンピュータ等であってもよく、ドアや自動車のハンドル等に備えられるものでもよい。
【0039】
本実施例の指静脈認証登録手順について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
初めに生体テンプレート情報登録作業を示す。生体情報登録を開始すると、携帯端末30の操作画面33には図13のように登録案内が表示され(S1001)、ユーザは登録する生体情報をテンキー31を用いて選択する(S1002)。“1”を選択入力すると操作画面33には図14のように案内が表示される(S1003)。画像読取部32に図3に示すようユーザの爪が上にくる状態200で指を置き(S1004)、画像読取部32は指静脈画像を撮影する(S1005)。制御部34は撮影された指静脈画像210とメモリ36に記憶されている生体テンプレート102を照合し(S1006)、一致したら登録済みとし、登録を中止する。一致しない場合、得られた指静脈画像210から生体テンプレート220を抽出し(S1007)、適正に撮影させているか判断をするため認証テストを開始する(S1008)。
【0041】
操作画面33には認証テストを開始する旨が表示され、ユーザがもう一度指を置くと(S1009)、画像読取部32は指静脈を撮影する(S1010)。制御部34は撮影された指静脈画像と、生体テンプレート220を照合し(S1011)、一致した場合、シーケンス番号363に“1”を割り当て(S1012)、生体テンプレート情報362を作成し(S1013)、メモリ36に登録する(S1014)。操作画面33には図15のように登録完了の旨が表示される(S1015)。一致しない場合、登録を中止する。
【0042】
次にユーザは指の認証面を変え登録を行う。登録案内に従い(S1001)、ユーザは“2”を選択入力する(S1002)。操作画面33には指の認証面を変える旨が表示され(S1003)、図3に示すように指の認証面を変えた状態201で指を置き(S1004)、画像読取部32は指静脈画像211を撮影する(S1005)。制御部34は撮影された指静脈画像211とメモリ36に記憶されている生体テンプレート102と照合し(S1006)、一致したら登録済みとし、登録を中止する。一致しない場合、得られた指静脈画像211から生体テンプレート221を抽出し(S1007)、適正に撮影させているか判断をするため認証テストを開始する(S1008)。
【0043】
操作画面33には認証テストを開始する旨が表示され、ユーザがもう一度指を置くと(S1009)、画像読取部32は指静脈を撮影する(S1010)。制御部34は撮影された指静脈画像と生体テンプレート221を照合し(S1011)、一致した場合、シーケンス番号363に前記とは別の“2”を割り当て(S1012)、生体テンプレート情報362を作成し(S1013)、メモリ36に登録する(S1014)。操作画面33には登録完了の旨とシーケンス番号363と対応した画像が表示される(S1015)。一致しない場合、登録を中止する。尚、登録手順は前記に限らず、ユーザがシーケンス番号、指の認証面等を適宜設定してもよく、生体情報識別(種類、指の認証面等)を自動検出し、登録してもよい。本実施例ではシーケンス番号に数字を用いたが、これに限らず、文字、記号等、判断のつくものであればよい。
【0044】
次に指静脈認証手順について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
携帯端末30のメモリ36には各種生体認証に関わる情報が登録されている。認証失敗回数370が制限カウント数以内であるか判断する(S2001)。制限カウント数に達していたら認証を中止し、達していない場合、携帯端末30の操作画面33には図16のような案内が表示され、認証を促す(S2002)。
【0046】
ユーザが画像読取部32に指を置くと(S2003)、同部32は撮影を行う(S2004)。携帯端末30の制御部34は指静脈画像210とメモリ36の生体テンプレート364と照合する(S2005)。一致した場合、照合した生体テンプレート364のシーケンス番号363の値をメモリ36の認証成功シーケンス番号369に記憶し(S2006)、認証失敗回数370をリセットし(S2007)、図17のように認証終了の旨を表示し認証終了とする(S2008)。一方で一致しなかった場合、認証失敗回数370を1増やし(S2009)、制限カウント数に達していない場合にはもう一度撮影に戻り、認証失敗回数370が制限カウント数に達したら認証を中止する(S2001)。
【0047】
次にシーケンス情報登録手順について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
操作画面33には図18のように登録画面が表示される(S3001)。爪が上にくる状態200での指静脈認証(シーケンス番号“1”)、指の認証面を変えた状態201での指静脈認証(シーケンス番号“2”)とした場合、シーケンスは“1”→“2”となるため、ユーザは登録する認証シーケンス登録欄に“12”を選択入力する(S3002)。
【0049】
選択した認証シーケンスに従い認証テストが行われる。ユーザは、認証を爪が上にくる状態200での指静脈認証(S3003)、指の認証面を変えた状態201での指静脈認証の順で行う(S3004)。決定した認証シーケンスと認証によって得られた認証シーケンスを比較し(S3005)、一致したら、シーケンス動作367“アプリ起動”にその認証シーケンス366を対応付けて割当て(S3006)、付加情報368として“ログイン情報”を付加し(S3007)、シーケンス情報365を作成し(S3008)、登録する(S3009)。操作画面33には図19のように登録完了の旨が表示され(S3010)、登録を終了する。一致しない場合は登録を中止する。
【0050】
前記とは逆に認証の順序を指の認証面を変えた状態201での指静脈認証、次に爪が上にくる状態200での指静脈認証とした場合、シーケンスは“2”→“1”となるため、ユーザは登録する認証シーケンス登録欄に“21”を選択入力する(S3002)。選択した認証シーケンスに従い認証テストが行われる。
【0051】
ユーザは、認証を指の認証面を変えた状態201での指静脈認証(S3003)、爪が上にくる状態200での指静脈認証の順で行う(S3004)。決定した認証シーケンスと認証によって得られた認証シーケンスを比較し(S3005)、一致したら、シーケンス動作367“モード変更”にその認証シーケンス366を対応付けて割当て(S3006)、付加情報368として“設定情報”を付加し(S3007)、シーケンス情報365を作成し(S3008)、登録する(S3009)。操作画面33には図19のように確認画面が表示され(S3010)、登録を終了する。一致しない場合は登録を中止する。尚、動作を選択後、ユーザが任意の順序で認証を行い、その認証の順序から認証シーケンスを決定してもよい。
【0052】
次にシーケンス動作認証手順について図12のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
携帯端末30の操作画面33には図20のような案内が表示され、認証を促す(S4001)。ユーザがアプリ起動を行う場合、まず初めに爪が上にくる状態200で指静脈認証を行う(S4002)。このとき、認証成功シーケンス番号369にはシーケンス番号363の“1”が記憶される。次に、携帯端末30の操作画面33には、照合成功と指の認証面を変える旨が図21のように表示され(S4003)、ユーザは指の認証面を変えた状態201で指静脈認証を行う(S4004)。制御部34は認証成功シーケンス番号369と2回目の認証で成功したシーケンス番号363の値“2”から、シーケンスは“1”→“2”となり、認証シーケンスは“12”となる(S4005)。
【0054】
制御部34は得られた認証シーケンスがメモリ36のシーケンス情報365に登録されているか判断する(S4006)。前記で得られた認証シーケンスが登録されていない場合、操作画面33には登録されていない旨が表示され、認証が中止される。登録されている場合、シーケンス情報365を取得し(S4007)、制御部34は認証シーケンス366に対応するシーケンス動作367である“アプリ起動”に移行し、操作画面部33は動作移行する旨を図22のように表示し(S4008)、認証完了と共に動作移行を行う。
【0055】
一方、ユーザがモード変更を行う場合、まず初めに指の認証面を変えた状態201で指静脈認証を行う(S4002)。このとき、認証成功シーケンス番号369にはシーケンス番号363の“2”が記憶される。次に、携帯端末30の操作画面33には、照合成功と指の認証面を変える旨が表示され(S4003)、ユーザは爪が上にくる状態200で指静脈認証を行う(S4004)。
【0056】
制御部34は認証成功シーケンス番号369と2回目の認証で成功したシーケンス番号363の値“1”から、シーケンスは“2”→“1”となり、認証シーケンスは“21”となる(S4005)。制御部34は得られた認証シーケンスがメモリ36のシーケンス情報365に登録されているか判断する(S4006)。
【0057】
前記で得られた認証シーケンスが登録されていない場合、操作画面33には登録されていない旨が表示され、認証が中止される。登録されている場合、シーケンス情報365を取得し(S4007)、制御部34は認証シーケンス366に対応するシーケンス動作367である“モード変更”に移行し、操作画面部33は動作移行する旨を表示し(S4008)、認証完了と共に動作移行を行う。以上の構成により、一本の指で別々の認証が複数回可能になり、異なる指の認証面での認証を行うことで単一面での認証を行った場合に比べて、セキュリティの向上が図れる上に、認証の順序によって動作を登録することが可能になるため、入力動作等を省くことができるため、利便性が向上する。
【0058】
尚、本実施例では指静脈情報での認証実施形態について説明するが、生体情報としては、指静脈情報以外の情報、例えば指紋でもよく、また指静脈情報も指以外の部位例えば手のひら等の、生体から得られる静脈情報であれば、どこでも特に限定するものではない。例えば、機器の改良などによって、全身の静脈情報が取得出来るのであれば、当該取得した静脈情報を用いるものであってもよい。
【0059】
尚、登録時、認証テスト時、認証時において、認証失敗等の不正な処理がなされた場合に動作中止としたが、これに限らず、失敗回数に制限を設けて再び選択、撮影等の処理に移行しても構わない。
【0060】
尚、生体テンプレート情報は前記生体情報のみに限らず、前記生体情報と共に画像読取部の光学補正情報等を登録してもよく、認証時、認証の順序により、指の向き、種類等の認証の方法が予期される場合、登録している光学系の補正情報からあらかじめ光学系を補正し、精度向上及び高速化を図ってもよい。
【0061】
尚、本実施例では画像により認証を促しているが、これは文字情報や音声情報等のみまたはそれらの組み合わせでもよく、認証時には認証の順序と動作を表示しないことによって秘匿性を持たせ、セキュリティを高めることもある。前記実施例1ではシーケンス動作を認証の順序によって決定したが、複数台の生体認証装置を用いて複数の生体認証を行い、その認証の順序に動作を対応付けてもよい。
【実施例2】
【0062】
前記実施例1の生体認証装置は一連の動作、指静脈登録、シーケンス動作登録、指静脈認証、シーケンス動作認証を一装置で行っていたが、これに限らず、例えば登録作業は銀行窓口の登録装置、認証作業はATMにする等役割を分担させることによって、不正な書き換え等が困難になり、よりセキュリティの高い生体認証が可能になる。前記実施例1の一変形例を金融取引を例に挙げ説明する。
【0063】
図23はICカード14、図24は登録装置16、図25はATM17である。まず初めに登録手順について説明する。図23に示すICカード14は暗証番号140、口座番号141、生体テンプレート情報142、シーケンス情報145、認証成功シーケンス番号150、認証失敗回数151を記憶可能なメモリを備えている。
【0064】
前記ICカード14においてシーケンス番号143が割当てられた生体テンプレート144を含む生体テンプレート情報142は少なくとも2つ以上記憶されており、認証シーケンス146と認証シーケンス146に対応したシーケンス動作147と各動作の重要度によって決定された最低認証回数148と付加情報149から構成されるシーケンス情報145が記憶されている。
【0065】
例えば“出金”にシーケンスを割当てる場合、最低限行う認証回数は最低認証回数148から3回以上、“残高照会”は最低限行う認証回数は最低認証回数148から1回以上となり、取引の重要度に応じた最低認証回数148を設定することが可能である。登録作業時、まず初めにICカード14を登録装置16のカード挿入口160に挿入する。制御部163はICカード14と初期動作をし、表示画面161には図26のような表示される。ユーザは登録するシーケンス動作147を選択する。“出金”を選択すると、ユーザは“出金”の最低認証回数148は“3”であることから、3回以上認証を行うよう3桁以上の認証シーケンスを入力する。
【0066】
登録装置16は入力された認証シーケンスの桁数から認証回数を判断し、最低認証回数148未満の場合、その旨を操作画面161に表示し登録を中止する。入力された認証シーケンスの認証回数が最低認証回数148以上の場合、ユーザは認証シーケンスに従い、画面読取部162に指を置き、認証テストを行われる。認証テストが成功したら、ユーザは付加情報149を入力し、制御部163はシーケンス動作に認証シーケンスを割当てシーケンス情報145を作成し、登録する。表示画面161に図27のように確認表示し、登録完了とする。
【0067】
図28はシーケンス動作認証手順についての表示例とフローチャートである。
【0068】
ユーザはATM17のカード挿入口170にICカード14を挿入する。制御部171はICカード14と初期動作を行う。ATM17の操作画面172には図29のように認証を促す表示がされ、ユーザは指静脈センサ173に指を置き、制御部171は第一の認証行う(S5001)。指配置401が照合されると、認証成功シーケンス番号150は“1”となり、制御部171は認証シーケンスが“1”から始まるシーケンス動作147の“出金”か“預入”になることを判断し、認証成功シーケンス番号150と認証シーケンス146が合致しなければ、次のステップへ進む(S5002)。
【0069】
ATM17の操作画面172には次の認証を促す表示が図30のように表示され、次に指配置402が照合されると、認証成功シーケンス番号150は“12”となり、対応するシーケンス動作は認証シーケンス146が“12”から始まる“出金”と判断し、認証成功シーケンス番号150と認証シーケンスが合致しなければ、次のステップへ進む(S5003)。操作画面172には図31のように表示され、さらに指配置401が照合されると、認証成功シーケンス番号は“121”となり、合致する認証シーケンス146に対応するシーケンス動作147である“出金”を図32のように表示し、動作に移行する(S5004)。
【0070】
一方、第一の認証で指配置402が照合されると、認証成功シーケンス番号150は“2”となり、対応するシーケンス動作147は、認証シーケンス146が“2”に合致する“残高照会”か、“2”から始まる“入金”と判断する。前記の場合、図33のように表示し、ユーザは“残高照会”を行いたい場合、操作画面172にて選択し、“入金”を行いたい場合は続けて認証を行う。制御部は選択された場合には“残高照会”へ移行し、指が置かれた場合には認証処理を行う。
【0071】
尚、ユーザが選択するのではなく、制限時間を設けて制限時間内に指が置かれなかったら、認証動作終了とし“残高照会”へ移行してもよく、ユーザ選択、制限時間等を組み合わせてもよい。尚、認証回数が増えていくにつれ、登録可能な動作が増加する。さらに、例えば照合の確度を認証回数に対して低く変化させることで、利便性を重視することもできる。
【0072】
前記実施例の説明では、指を例として説明したが、本発明としては、当該指にのみ限定されるものではない。
【0073】
従って、検出器、検出装置、検出手法によって、取得出来る生体情報であれば、勿論、本発明を適用するものであっても良い。
【0074】
例えば、前述した生体情報として、瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈、DNAなどがあるが、これらを含む生体に関する生体情報の取得操作と関連づけて、本発明を実施するものであっても良いものである。例えば、書き順による筆跡の認証からの関連動作、発声順による声紋の認証からの関連動作等である。勿論、これらの生体情報を複数組み合わせるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】生体認証装置構成例
【図2】登録データ記憶部
【図3】指の配置例
【図4】画像読取部
【図5】制御部
【図6】操作画面部
【図7】携帯端末
【図8】メモリ
【図9】生体情報登録フローチャート
【図10】指静脈認証フローチャート
【図11】シーケンス動作登録フローチャート
【図12】シーケンス動作認証フローチャート
【図13】選択画面例
【図14】案内画面例
【図15】登録完了画面例
【図16】入力待受け画面例
【図17】認証成功画面例
【図18】認証シーケンス入力画面例
【図19】シーケンス動作確認画面例1
【図20】シーケンス動作認証画面例1
【図21】シーケンス動作認証画面例2
【図22】シーケンス動作確認画面例2
【図23】ICカード
【図24】登録装置
【図25】ATM
【図26】シーケンス動作登録画面例
【図27】シーケンス動作登録確認画面例
【図28】シーケンス動作認証フローチャート
【図29】シーケンス動作認証画面例3
【図30】シーケンス動作認証画面例4
【図31】シーケンス動作認証画面例5
【図32】シーケンス動作認証画面例6
【図33】シーケンス動作認証確認画面例
【符号の説明】
【0076】
10:画面読取部
11:登録データ記憶部
12:制御部
13:操作画面部
14:ICカード
16:登録装置
17:ATM本体
30:携帯電話
31:テンキー
32:画像読取部
33:操作画面
34:制御部
36:メモリ
100:生体テンプレート情報
101:シーケンス番号
102:生体テンプレート
103:シーケンス(認証シーケンス)
104:シーケンス情報
105:シーケンス動作
106:認証成功シーケンス番号
110:光源
111:カメラ
120:信号処理部
121:メモリ
140:暗証番号
141:口座番号
142:生体テンプレート情報
143:シーケンス番号
144:生体テンプレート
145:シーケンス情報
146:認証シーケンス
147:シーケンス動作
148:最低認証回数
149:付加情報
150:認証成功シーケンス番号
151:認証失敗回数
160:カード挿入口
161:表示画面
162:画面読取部
163:制御部
170:カード挿入口
171:制御部
172:操作画面
173:指静脈センサ
200:正面指配置
201:側面指配置
210:正面指静脈画像
211:側面指静脈画像
220:正面生体テンプレート
221:側面生体テンプレート
360:暗証番号
361:端末番号
362:生体テンプレート情報
363:シーケンス番号
364:生体テンプレート
365:シーケンス情報
366:シーケンス(認証シーケンス)
367:シーケンス動作
368:付加情報
369:認証成功シーケンス番号
370:認証失敗回数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を用いて認証する生体認証装置において、
生体情報を検出する生体情報読取部と、
前記生体情報読取部で検出した順序に対応付けて検出した生体情報を登録する登録データ記憶部と、
前記生体情報読取部で前記順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行う制御部と、
を有することを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
請求項1記載の生体認証装置において、
前記登録データ記憶部には、
前記生体情報読取部で検出した第1の順序に対応付けて検出した生体情報が登録され、
また、前記生体情報読取部で検出した第2の順序に対応付けて検出した生体情報が登録されることを特徴とする生体認証装置。
【請求項3】
請求項1記載の生体認証装置において、
前記生体情報読取部で前記第1の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行い、
また、前記生体情報読取部で前記第2の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行うことを特徴とする生体認証装置。
【請求項4】
請求項1記載の生体認証装置において、
前記生体情報が瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈に関する情報の何れか1つであることを特徴とする生体認証装置。
【請求項5】
請求項1記載の生体認証装置において、
前記生体情報が瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈に関する情報の何れかの内の少なくとも2つを組合わせることを特徴とする生体認証装置。
【請求項6】
生体情報を用いて認証する生体認証装置において、
前記生体認証装置とは別体に設けられる生体情報を検出する第1の生体情報読取部で検出した順序に対応付けて検出した生体情報を登録する登録データ記憶部と、
前記生体認証装置に設けられる生体情報を検出する第2の生体情報読取部と、
前記第2の生体情報読取部で前記順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行う制御部と、
を有することを特徴とする生体認証装置。
【請求項7】
請求項6記載の生体認証装置において、
前記生体情報読取部で前記第1の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行い、
また、前記生体情報読取部で前記第2の順序に従って検出した生体情報と前記登録データ記憶部に登録された生体情報から認証処理を行うことを特徴とする生体認証装置。
【請求項8】
請求項6記載の生体認証装置において、
前記生体情報が瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈に関する情報の何れか1つであることを特徴とする生体認証装置。
【請求項9】
請求項6記載の生体認証装置において、
前記生体情報が瞳の虹彩、網膜、筆跡、顔形、掌形、声紋、静脈に関する情報の何れかの内の少なくとも2つを組合わせることを特徴とする生体認証装置。
【請求項10】
指静脈を認識する生体認証装置において、
指の認証面を変え撮影可能な画像読取部と、
指の認証面を変え認識した指静脈画像と認証の順序に特定の動作を対応付けて記憶可能な登録データ記憶部と、
前記指の認証面を変え認識した指静脈画像を照合し、その認証の順序により特定の動作を前記登録データ記憶部から判断可能な制御部と、
を有することを特徴とする生体認証装置。
【請求項11】
前記登録データ記憶部で保存する生体テンプレートに番号が割り振られた生体情報を持つ請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項12】
前記登録データ記憶部に認証の順序に対応付けた動作を登録可能な請求項1に記載の生体認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−116485(P2009−116485A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286888(P2007−286888)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】