説明

生体認証装置

【課題】容易かつ直感的に利用者を認証することができる生体認証装置を提供する。
【解決手段】利用者の指の生体情報に基づいて利用者を認証する生体認証装置であって、利用者の指の正しい姿勢を示す基準案内ガイドと、利用者の指の姿勢を基準案内ガイドが示す姿勢にさせるための案内ガイドとを記憶する記憶手段と、利用者の指に対して光を照射する照射手段と、所定の波長の光を透過する透過手段と、透過手段の範囲内またはその付近に配置され、記憶手段に記憶された基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示する表示手段と、照射されたレーザ光の反射光を計測して算出した距離情報に基づいて利用者の指の姿勢を判定する判定手段と、判定手段が判定した姿勢の基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示させる表示制御手段と、判断手段により、利用者の指が、基準案内ガイドが示す姿勢であると判定された場合に、利用者を認証する認証手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置に関し、特に、静脈認証を行う生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体認証装置として静脈認証技術を用いた装置が知られている。この生体認証装置では、利用者の指や掌に近赤外光を照射して利用者の静脈パターンを読み取り、読み取った静脈パターンとあらかじめ登録された静脈パターンとが一致するか否かを判定することによって、利用者を認証している。
【0003】
一般に、人間の静脈の構造は複雑であり、利用者の指や掌が、所定の位置から僅かにずれた場合でも、読み取られた静脈パターンは登録されている静脈パターンとは異なるため認証が失敗する場合が多い。また、人間の静脈は気温等の環境の変化によって収縮する場合があり、指や掌が所定の位置からずれていないにもかかわらず認証が失敗する場合も存在する。このような認証の失敗を減らすために、種々の技術が存在する。
【0004】
例えば、特許文献1には、近赤外線を透過する干渉フィルタの周辺にガイドを設け、物理的に利用者の指が動かないように固定することによって、認証の失敗を減らすことができる技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、認証が失敗した場合、正しい指の置き方を示す案内をATM本体の表示部に表示させることによって、その後、認証が失敗する確率を減らすことができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−99493号公報
【特許文献2】特開2007−219914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、認証が失敗した場合の対処方法が利用者に知らされないため、利用者は何度も指を干渉フィルタに置く等、試行錯誤を繰り返す必要があり、認証が失敗した場合における操作の負担が大きいという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された技術では、指の置き方を示す案内がATM本体の表示部に表示されるため、利用者は、一旦ATM本体の表示部に目を向けなければならず、再び認証するために指等を置いた場合であっても、その位置がずれてしまい、容易に認証を成功させることが困難であるという問題があった。さらに、ATM本体の表示部に表示される指の置き方を示す案内は、文章等の文字によって行われているため、利用者にとって直感的なものではなく解りづらいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容易かつ直感的に利用者を認証することができる生体認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明にかかる生体認証装置は、利用者の指の生体情報に基づいて前記利用者を認証する生体認証装置であって、前記利用者の指の正しい姿勢を示す基準案内ガイドと、前記利用者の指の姿勢を前記基準案内ガイドが示す姿勢にさせるための案内ガイドとを記憶する記憶手段と、前記利用者の指に対して光を照射する照射手段と、所定の波長の前記光を透過する透過手段と、前記透過手段の範囲内またはその付近に配置され、前記記憶手段に記憶された前記基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示する表示手段と、照射された前記光に基づいて前記利用者の指の姿勢を判定する判定手段と、前記判定手段が判定した姿勢の前記基準案内ガイドまたは前記案内ガイドを表示させる表示制御手段と、前記判断手段により、前記利用者の指が、前記基準案内ガイドが示す姿勢であると判定された場合に、前記利用者を認証する認証手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易かつ直感的に利用者を認証することができる生体認証装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態にかかる認証装置の外観を示す図である。
【図2】図1に示した認証装置の主要部分の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したレーザ部、撮像部、および表示部に置かれた利用者の指との関係のイメージを示す図である。
【図4】表示制御部が表示部に表示させる案内ガイドの例を示す図である。
【図5】利用者が表示部上の基準案内ガイドの位置付近に指を置いた場合の例を示す図である。
【図6】利用者が表示部の一部の位置(手前の位置)に指を置いた場合の例を示す図である。
【図7】音声制御部が部分案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が部分案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図8】利用者が表示部の奥まで指Fを入れたものの、横向きに指を置いた場合の例を示す図である。
【図9】音声制御部が向き案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が向き案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図10】利用者が表示部の奥側のガイド部を超えて指を置いた場合の例を示す図である。
【図11】音声制御部が奥行案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が奥行案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図12】利用者が表示部に対して斜めの向きに指を置いた場合の例を示す図である。
【図13】音声制御部が向き案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が向き案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図14】利用者が表示部に対して指先を浮かせた状態で指を置いた場合の例を示す図である。
【図15】音声制御部が指先案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が指先案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図16】利用者が表示部に対して指の根元を浮かせた状態で指を置いた場合の例を示す図である。
【図17】音声制御部が根元案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部が根元案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図18】音声制御部がその他案内音声を音声出力部に出力させ、表示制御部がその他案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図19】判定記憶部が、案内パターンと案内音声と案内ガイドとを対応付けて記憶する場合の例を示す図である。
【図20】認証装置が認証処理を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】図20に示した姿勢判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】認証装置の変形例を示す図である。
【図23】図22に示した認証装置において、検知時案内音声の内容および基準案内ガイドを表示部に表示させた場合の例を示す図である。
【図24】図22に示した認証装置において、斜め案内音声の内容および斜め案内ガイドを表示ガイド部に表示させた場合の例を示す図である。
【図25】案内ガイドを表示する表示部を、干渉フィルタの位置の近傍に配置した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる生体認証装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる生体認証装置を、不図示の現金自動取引装置(以下、ATM:Automated-Teller Machineと呼ぶ。)に適用した場合について説明している。また、ATMの前面には、利用者を検知する検知センサが備えられているものとする。
【0014】
認証装置1000は、ATMを利用する人間が正当な利用者であるか否かを認証するものである。図1は、本実施の形態にかかる認証装置1000の外観を示す図である。図1に示すように、認証装置1000は、本体部1100と、土台1101と、ガイド部1102と、表示部1103と、音声出力部1104と、を含んで構成されている。また、詳細については図2および図3を用いて説明するが、認証装置1000の内部には、レーザ部1105と、撮像部1106と、インタフェース部1107と、判定制御部1200と、認証制御部1300とが含まれている。なお、判定制御部1200および認証制御部1300は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサから構成され、後述する各機能を実現させている。
【0015】
また、図2は、上述した認証装置1000の主要部分の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、判定制御部1200は、表示制御部1201と、音声制御部1202と、判定部1203と、判定記憶部1204と、を含んで構成されている。また、認証制御部1300は、画像化部1301と、認証部1302と、認証記憶部1303と、を含んで構成されている。まず、本体部1100について説明する。
【0016】
本体部1100は、認証装置1000をATMに備え付けるためのカバーであり、その内部には、上述したレーザ部1105や撮像部1106等の各部が含まれている。また、土台1101は、後述するガイド部1102を本体部1100に備え付けるための土台である。
【0017】
ガイド部1102は、利用者の指が左・右(ガイド部1102の短手方向)、および奥・手前(ガイド部1102の長手方向)にずれないようにするための壁である。なお、長手方向の奥側のガイド部1102には、利用者の指先を置くための基準となる位置を示す窪みが設けられている。
【0018】
表示部1103は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイから構成され、後述するように、表示制御部1201からの指示に応じて、ATMの利用者が預入や払出等の所定の取引を行う場合に、その利用者による認証動作を促し、利用者の指の姿勢を基準案内ガイド(後述)が示す姿勢にさせるための文字列や画像等のコンテンツ(以下、案内ガイドと呼ぶ。)を表示する。後述するように、案内ガイドは、表示制御手段1201によって、判定部1203が特定した形状の指の表示部1103上における位置またはその付近に表示される。
【0019】
なお、表示部1103が表示する具体的な内容については、表示制御部1201および音声制御部1202を説明する場合にあわせて後述する。また、表示部1103は、レーザ部1105から照射された近赤外光等を透過させる部材(干渉フィルタ等)を含んで構成されているものとする。以下では、干渉フィルタ等が表示部1103に重ねて配置されている前提で説明しているが、干渉フィルタ等の周辺に表示部1103を配置させることとしてもよい。この場合の具体的な例(変形例)については後述する。
【0020】
音声出力部1104は、小型のスピーカ等から構成され、後述するように、音声制御部1202からの指示に応じて、利用者による認証動作を促すための音声等(以下、案内音声と呼ぶ。)を出力する。音声出力部1103が出力する具体的な内容については、上述した表示部1103と同様に、後述する表示制御部1201および音声制御部1201を説明する際にあわせて説明する。
【0021】
レーザ部1105は、レーザ光および近赤外光照射装置等から構成され、表示部1103の裏面(認証装置1000の内側の面)から表面(認証装置1000の外側の面)に向かって、表示部1103にレーザ光を照射し、照射したレーザ光に対するレーザ反射光を計測する。このように計測された反射光の時間差や位相差を計測して算出された三次元情報にしたがって、後述する判定部1203が、利用者の指の形状を特定し、その姿勢(例えば、指先が表示部1103に対して浮いた状態であるか否か等)を判定している。また、表示部1103に近赤外光を照射し、指を透過して静脈中のヘモグロビンに吸収された反射光を計測することで、利用者の静脈データを採取する。
【0022】
撮像部1106は、小型のカメラ等から構成され、後述する判定部1203が特定した形状の指の姿勢(例えば、指の位置)が、基準案内ガイド(後述)に示された指の姿勢の状態である(例えば、基準案内ガイド(後述)に示された指の位置にある)と判定された場合に、表示部1103の裏面を撮像する。
【0023】
図3は、上述したレーザ部1105、撮像部1106、およびガイド部1102に沿って置かれた利用者の指との関係のイメージを示す図である。図3に示すように、レーザ部1105は、本体部1100の内部から指全体に照射したレーザ光の反射光を計測し、撮像部1106が表示部1103に置かれた利用者の指を撮像する。
【0024】
インタフェース部1107は、インタフェースカード等から構成され、ATMの検知センサが利用者を検知した場合の検知信号の判定制御部1200への伝送等、認証装置1000とATMとの間の様々なデータの送受信を媒介する。続いて、判定制御部1200に含まれる各部について説明する。まず、表示制御部1201について説明する。
【0025】
表示制御部1201は、表示部1103に、案内ガイドや基準案内ガイド(後述)を表示させるものである。
【0026】
表示制御部1201は、ATMの検知センサが利用者を検知した場合、あるいは後述する判定部1203が特定した形状の指の位置が基準案内ガイド(後述)の位置にないと判定し、さらに後述する音声制御部1202によって案内音声が出力されたと判定した場合に、その案内音声に対応する案内ガイドを表示部1103に表示させる。
【0027】
また、表示制御部1201は、後述する判定部1203が特定した形状の指の位置が基準案内ガイド(後述)の位置にあると判定した場合に、その基準案内ガイドを表示部1103に表示させる。
【0028】
図4は、ATMの検知センサが利用者を検知した場合に、表示制御部1201が表示部1103に表示させる案内ガイドの例を示す図である。
【0029】
図4左に示すように、表示制御部1201は、ATMの検知センサが利用者を検知した場合に、認証装置1000の表示部1103に利用者の指を置くように促す案内ガイドを表示する。以下では、ATMの検知センサが利用者を検知した場合に表示部1103に表示される案内ガイドのことを検知時案内ガイドと呼ぶこともある。
【0030】
図4左に示す例では、表示制御部1201が「ここに登録した指を置いてください。」という文字列を検知時案内ガイドとして表示させている場合を示している。なお、この場合、表示制御部1201は、認証装置1000に利用者の注意を向けさせるために、上述した検知時案内ガイドを点滅等させることとしてもよい。
【0031】
その後、図4中、図4右に示すように、表示制御部1201は、音声出力部1104から、利用者に対して指の置き方を知らせるための案内音声が出力された場合に、検知時案内ガイドとして利用者に対して正しい指の姿勢(置き方)を示す指の形をしたイメージ画像F’(以下、基準案内ガイドと呼ぶ。)を表示部1103に表示させる。なお、以下では、利用者に対して指の置き方を知らせるための案内音声のことを検知時案内音声と呼ぶこともある。
【0032】
また、表示制御部1201は、後述するように、認証部1302が、画像化部1301によって読み取られた静脈パターン画像(後述)とあらかじめ認証記憶部1303に記憶された利用者の静脈パターン画像(後述)とが一致していないと判定した場合にも、上述した検知時案内ガイドを表示部1103に表示させる。
【0033】
なお、上述した案内ガイドと案内音声と検知時案内ガイドと検知時案内音声とは、利用者が基準案内ガイドの位置に置く可能性のある指の位置を複数に分類したパターン(以下、案内パターンと呼ぶ。)に対応付けて、あらかじめ後述する判定記憶部1204に記憶されている。
【0034】
図5は、利用者が表示部1103上の基準案内ガイドの位置に指Fを置いた場合の例を示す図である。後述するように、判定部1204が図5に示した基準案内ガイドの位置に利用者が指を置いたと判定した場合に、表示制御部1201は図4右に示した案内ガイドを表示部1103に表示させる。
【0035】
また、表示制御部1201は、判定部1203が、利用者の指の位置が基準案内ガイドの位置に置かれていないと判定した場合であって、音声制御部1202が案内音声を音声出力部1104から出力させた場合に、その案内音声に対応する案内ガイドを表示部1103に表示させる。続いて、図2に戻り、音声制御部1202について説明する。
【0036】
音声制御部1202は、表示制御部1201が、表示部1103に検知時案内ガイドを表示させた場合に、上述した検知時案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0037】
また、音声制御部1202は、後述する判定部1203が、利用者の指の位置が基準案内ガイドの位置に置かれていないと判定した場合に、上述した案内音声を音声出力部1104から出力させる。
【0038】
図6〜図18は、利用者が表示部1103に指を置いた場合の様子、および上述した案内ガイドと案内音声の例を示す図である。
【0039】
図6は、利用者が、表示部1103の一部の位置(手前の位置)に指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、後述する判定部1204によって利用者の指が表示部1103の一部の位置にしか置かれていないと判定され、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指が表示部1103の一部にしか置かれていない場合の指の位置の状態を示す案内パターン(以下、部分案内パターンと呼ぶ。)が特定された場合に、その部分案内パターンに対応する案内音声(以下、部分案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した部分案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0040】
その後、音声制御部1202が部分案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、部分案内音声に対応する案内ガイド(以下、部分案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0041】
図7は、音声制御部1201が部分案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が部分案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図7に示すように、まず、音声制御部1202は、「指先がガイド部に届いていません。奥まで入れてください。」というメッセージを部分案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0042】
その後、表示制御部1201は、利用者が表示部1103の奥の位置(ガイド部1102の奥側の位置)にまで利用者の指を入れるように、表示部1103の下部に指の形をしたイメージ画像F’と、指を奥まで入れる向きを示したインジケータ(矢印)を部分案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0043】
図8は、利用者が、表示部1103の奥まで指Fを入れたものの、腹部分が下向き(表示部1103と接する向き)ではなく、誤った向き(図8に示す例では横向き)に指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、判定部1204によって指が表示部1103に横向きに回転した状態で置かれたと判定され、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指が表示部1103に誤った向きに指が置かれた位置の状態を示す案内パターン(以下、向き案内パターンと呼ぶ。)が特定された場合に、その向き案内パターンに対応する案内音声(以下、向き案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した向き案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0044】
その後、音声制御部1202が向き案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、向き案内音声に対応する案内ガイド(以下、向き案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0045】
図9は、音声制御部1201が向き案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が向き案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図9に示すように、まず、音声制御部1202は、「置き方が横向きになっています。内側を下向きに置いてください。」というメッセージを向き案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0046】
その後、表示制御部1201は、利用者の指の腹部分が下向きとなるように、表示部1103に誤った向きの指の形をしたイメージ画像F’と、指を正しい向きに回転させる向きを示した矢印を、向き案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0047】
また、図10は、利用者が、表示部1103の奥側のガイド部1102の窪みの位置を超えて指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、判定部1204が利用者の指が奥側のガイド部1102を超えて表示部1103に置かれたと判定し、音声制御部1202は、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指が奥側のガイド部1102を超えて表示部1103に置かれた位置の状態を示す案内パターン(以下、奥行案内パターンと呼ぶ。)を特定した場合に、その奥行案内パターンに対応する案内音声(以下、奥行案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した奥行案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0048】
そして、音声制御部1202が奥行案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、奥行案内音声に対応する案内ガイド(以下、奥行案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0049】
図11は、音声制御部1201が奥行案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が奥行案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図11に示すように、まず、音声制御部1202は、「指先の位置が前過ぎます。少し後ろに引いてください。」というメッセージを奥行案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0050】
その後、表示制御部1201は、利用者の指の先端が、表示部1103の奥側のガイド部1102の窪みの位置となるように、表示部1103の奥側のガイド部1102を超えておいた場合の指の形をしたイメージ画像F’と、指を正しい向き(手前)に引くように示した矢印を奥行案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0051】
図12は、利用者が、表示部1103に対して斜めの向きに指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、後述する判定部1204が表示部1103に対して斜めの向きに指を置かれたと判定し、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指が表示部1103に対して斜めの向きに指を置かれた位置の状態を示す案内パターン(以下、斜め案内パターンと呼ぶ。)を特定した場合に、その斜め案内パターンに対応する案内音声(以下、斜め案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した斜め案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0052】
そして、音声制御部1202が斜め案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、斜め案内音声に対応する案内ガイド(以下、斜め案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0053】
図13は、音声制御部1201が斜め案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が斜め案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図13に示すように、まず、音声制御部1202は、「指が斜めに置かれています。まっすぐに置いてください。」というメッセージを斜め案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0054】
その後、表示制御部1201は、利用者の指の位置が、表示部1103に対して平行となるように、表示部1103に対して斜めの向きに指を置いた場合の指の形をしたイメージ画像F’と、指を表示部1103に対して平行となるように示した矢印を斜め案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0055】
図14は、利用者が、表示部1103に対して指先を浮かせた状態で指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、判定部1204が表示部1103に対して指先を浮かせた状態で指が置かれたと判定し、音声制御部1202は、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指が表示部1103に対して指先を浮かせた状態で指が置かれた位置の状態を示す案内パターン(以下、指先案内パターンと呼ぶ。)を特定した場合に、その指先案内パターンに対応する案内音声(以下、指先案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した指先案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0056】
そして、音声制御部1202が指先案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、指先案内音声に対応する案内ガイド(以下、指先案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0057】
図15は、音声制御部1201が指先案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が指先案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図15に示すように、まず、音声制御部1202は、「指先が浮いています。指先をガイドに合わせて下さい。」というメッセージを指先案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0058】
その後、表示制御部1201は、利用者の指先が、表示部1103に対して浮かない状態となるように、指先の部分にマークを付した指の形をしたイメージ画像F’を指先案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0059】
また、図16は、利用者が、表示部1103に対して指の根元を浮かせた状態で指Fを置いた場合の例を示す図である。音声制御部1202は、後述する判定部1204が表示部1103に対して指の根元を浮かせた状態で指が置かれたと判定し、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から利用者の指の根元が表示部1103に対して浮かせた状態で指が置かれた位置の状態を示す案内パターン(以下、根元案内パターンと呼ぶ。)を特定した場合に、その根元案内パターンに対応する案内音声(以下、根元案内音声と呼ぶ。)を読み出し、読み出した根元案内音声を音声出力部1104に出力させる。
【0060】
そして、音声制御部1202が根元案内音声を音声出力部1104に出力させると、表示制御部1201は、根元案内音声に対応する案内ガイド(以下、根元案内ガイドと呼ぶ。)を判定記憶部1204から読み出して表示部1103に表示させる。
【0061】
図17は、音声制御部1201が根元案内音声を音声出力部1104に出力させ、表示制御部1201が根元案内ガイドを表示部1103に表示させた場合の例を示す図である。図17に示すように、まず、音声制御部1202は、「指の根元が浮いています。根元をガイドに合わせて下さい。」というメッセージを根元案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0062】
その後、表示制御部1201は、利用者の指の根元が、表示部1103に対して浮かない状態となるように、指の根元にマークを付した指の形をしたイメージ画像F’を根元案内ガイドとして表示部1103に表示させる。
【0063】
また、図18は、後述する判定部1203が表示部1103に対して置かれた指が上述した各案内パターンのいずれの案内パターンにも該当しないと判定した場合の案内音声(以下、その他案内音声と呼ぶ。)および案内ガイド(以下、その他案内ガイドと呼ぶ。)の例を示す図である。
【0064】
図18に示すように、判定部1203が表示部1103に対して置かれた指が上述した各案内パターンのいずれの案内パターンにも該当しないと判定した場合、音声制御部1202は、「指先の位置がずれています。指先をガイドに合わせて下さい。」というメッセージをその他案内音声として音声出力部1104から出力させる。
【0065】
その後、表示制御部1201は、利用者の指の位置が、表示部1103に対して正しい位置となるように、指先および指の根元にマークを付した指の形をしたイメージ画像F’をその他案内ガイドとして表示部1103に表示させる。続いて、図2に戻り、判定部1203について説明する。
【0066】
判定部1203は、レーザ部1105が計測した表示部1103からの反射光の値にしたがって、表示部1103の表面に置かれた指の状態を示す3次元の形状を特定して利用者の指の姿勢を判定する。
【0067】
そして、判定部1203は、判定した姿勢の指の表示部1103上の位置と、後述する判定記憶部1204にあらかじめ記憶された基準案内ガイド(例えば、図4右に示したイメージ画像F’)の位置とを比較し、判定した姿勢の指の位置が、基準案内ガイドの位置にあるか否かを判定する。
【0068】
判定部1203は、判定した姿勢の指の位置が、基準案内ガイドの位置にないと判定した場合、判定記憶部1204に記憶された案内パターンの中から、判定した姿勢の指の位置と略同じ位置にある案内ガイドの案内パターンを特定する。
【0069】
具体的には、判定部1203は、判定した姿勢の指の位置が、基準案内ガイドの位置にないと判定した場合、まず、判定した姿勢の位置が表示部1103の一部の位置(手前側の位置)に存在し、他の一部の位置(奥側の位置)に存在しない場合であるか否かを判定する。
【0070】
例えば、判定部1203は、表示部1103の中心(図4左等に示したO)を基準とし、表示部1103の縦方向をy軸方向、表示部1103の横方向をx軸方向とした場合において、判定した姿勢の指が、x軸よりも手前側にのみ位置する場合には、判定した姿勢の指が、表示部1103の一部の位置(手前側の位置)に存在すると判定する。
【0071】
このように、判定部1203が、利用者の指が表示部1103の手前側の位置に置かれたと判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から部分案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に部分案内ガイドを表示させる。
【0072】
また、判定部1203は、判定した姿勢の指が表示部1103に対して誤った向き(横向きに回転した状態)に置かれたか否かを判定する。例えば、判定部1203は、レーザ部1105がレーザ光を照射した際の反射光を計測し形状を推定した結果、あらかじめ定められた値よりも小さく、かつその部分の範囲が所定の範囲よりも狭い場合には、その部分をネイルウォール(爪郭)と判定し、利用者の指が横向きに回転した状態で表示部1103に置かれたと判定する。
【0073】
そして、判定部1203が、利用者の指が横向きに回転した状態で表示部1103に置かれたと判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から向き案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に向き案内ガイドを表示させる。
【0074】
さらに、判定部1203は、利用者の指が奥側のガイド部1102を超えて表示部1103に置かれたか否かを判定する。例えば、判定部1203は、レーザ部1105がレーザ光を照射した際の反射光を計測し形状を推定した結果、置かれた指の形状が表示部1103内での太さに差がない場合には、指の爪部分が表示部1103上にないと判定し、利用者の指が奥側のガイド部1102を超えて表示部1103に置かれたと判定する。
【0075】
このように、判定部1203が、利用者の指が奥側のガイド部1102を超えて表示部1103に置かれたと判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から奥行案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に奥行案内ガイドを表示させる。
【0076】
また、判定部1203は、利用者の指が表示部1103の長手方向に対して斜めの向きに指を置かれたか否かを判定する。例えば、判定部1203は、特定した形状の指の位置が、上述した表示部1103のy軸またはx軸との関係で一定の角度以上ある場合、あるいは特定した形状の指の位置が、y軸およびx軸ともに正の領域とy軸およびx軸ともに負の領域とに位置すると判定した場合等には、利用者の指が斜めの向きに指を置かれたと判定する。
【0077】
このように、判定部1203が、利用者の指が表示部1103に対して斜めの向きに指を置かれたと判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から斜め案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に斜め案内ガイドを表示させる。
【0078】
また、判定部1203は、利用者の指先が表示部1103に対して浮いた状態であるか否かを判定する。例えば、判定部1203は、レーザ光の反射光を計測することで得られる距離情報の値が表示部1103全体に計測された場合において、その値が、表示部1103の長手方向の手前側の部分よりも奥側の部分のほうが小さい場合には、利用者の指の根元部分が表示部1103上に置かれ、指先が表示部1103に対して浮いた状態であると判定する。
【0079】
このように、判定部1203が、利用者の指先が表示部1103に対して浮いた状態であると判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から指先案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に指先案内ガイドを表示させる。
【0080】
また、これとは逆に、例えば、判定部1203は、レーザ光の反射光を計測することで得られる距離情報の値が表示部1103の長手方向の奥側の部分よりも手前側の部分のほうが小さい場合には、利用者の指の指先部分が表示部1103に置かれ、指の根元部分が表示部1103に対して浮いた状態であると判定する。
【0081】
このように、判定部1203が、利用者の根元部分が表示部1103に対して浮いた状態であると判定すると、音声制御部1203は音声出力部1104から根元案内音声を出力させ、表示制御部1202は表示部1103に根元案内ガイドを表示させる。
【0082】
なお、判定部1203が、指の姿勢が上述したいずれの場合にも該当しないと判定した場合には、表示制御部1202は表示部1103にその他案内ガイドを表示させる。
【0083】
また、判定部1203が、判定した姿勢の指の位置が基準案内ガイドの位置にあると判定した場合には、表示制御部1201は、判定記憶部1204に記憶された基準案内ガイドを表示部1103に表示させる。続いて、図2に戻り、判定記憶部1204について説明する。
【0084】
判定記憶部1204は、メモリ等の記憶媒体から構成され、上述した案内パターンと案内音声と案内ガイドとを対応付けて記憶するほか、基準案内音声と基準案内ガイドとを対応付けて記憶する。
【0085】
図19は、判定記憶部1204が、案内パターンと案内音声と案内ガイドとを対応付けて記憶する場合の例を示す図である。図19に示すように、判定記憶部1204には、部分案内パターン、奥行案内パターン等の案内パターンと、その案内パターンの案内音声および案内ガイドとが対応付けて記憶されている。続いて、図3に戻り、認証制御部1300について説明する。
【0086】
画像化部1301は、撮像部1106が撮像した画像をスキャンして利用者の指の静脈のパターンを読み取り、読み取った静脈のパターンの画像(以下、静脈パターン画像と呼ぶ。)を認証記憶部1303に記憶させる。具体的には、画像化部1301は、判定部1203によって判定した姿勢の指の位置が、基準案内ガイドの位置にあると判定された場合に、撮像部1106が撮像した画像をスキャンして静脈パターン画像を認証記憶部1303に記憶させる。
【0087】
認証部1302は、画像化部1301が認証記憶部1303に記憶させた静脈パターン画像と、あらかじめ認証記憶部1303に記憶された利用者の静脈パターン画像とが一致しているか否かを判定する。
【0088】
そして、認証部1302は、画像化部1301が認証記憶部1303に記憶させた静脈パターン画像と、あらかじめ認証記憶部1303に記憶された利用者の静脈パターン画像とが一致していると判定した場合、インタフェース部1107を介して、ATMのタッチパネル等の操作部(不図示)にその旨を出力する。この場合、認証が成功したので、利用者は、その後、預入や払出等の各種の取引を行う。
【0089】
また、認証部1302は、画像化部1301が認証記憶部1303に記憶させた静脈パターン画像と、あらかじめ認証記憶部1303に記憶された利用者の静脈パターン画像とが一致していないと判定した場合、表示制御部1201にその旨を出力する。
【0090】
認証記憶部1303は、メモリ等の記憶媒体から構成され、撮像部1106が撮像した画像や、利用者の静脈パターン画像を記憶する。なお、認証対象となる静脈パターン画像は、例えば、預金口座開設時等に登録され、あらかじめ認証記憶部1303に記憶されているものとする。
【0091】
続いて、上述した認証装置1000で行われる認証処理について説明する。
【0092】
図20は、認証装置1000が認証処理を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、利用者がATMに近づき、認証を行ったうえで各種の取引を行う場合について説明している。
【0093】
図20に示すように、まず、表示制御部1201は、ATMの検知センサが利用者を検知したか否かを判定し(ステップS2001)、その検知センサが利用者を検知していないと判定した場合(ステップS2001;No)、そのまま待機する。
【0094】
一方、表示制御部1201は、検知センサが利用者を検知したと判定した場合(ステップS2001;Yes)、表示部1103に検知時案内ガイドを表示させる(ステップS2002)。
【0095】
そして、レーザ部1105は、近赤外光を照射して、その反射光を計測し(ステップS2003)、判定部1203は、レーザ部1105が計測した反射光の値にしたがって指の形状を特定する(ステップS2004)。
【0096】
その後、判定部1203は、特定した形状の指の位置が基準案内ガイドの位置にあるか否かを判定し(ステップS2005)、特定した形状の指の位置が基準案内ガイドの位置にないと判定した場合(ステップS2005;No)、後述する姿勢判定処理を行う。
【0097】
一方、判定部1203は、特定した形状の指の位置が基準案内ガイドの位置にあると判定した場合(ステップS2005;Yes)、後述するステップS2007に進む。
【0098】
図21は、上述した姿勢判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図21に示すように、姿勢判定処理では、まず、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指の位置が手前過ぎる状態であるか否かを判定する(ステップS2101)。
【0099】
そして、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指の位置が手前過ぎる状態であると判定した場合(ステップS2101;Yes)、音声制御部1202は、部分案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2102)、その後、表示制御部1201が、部分案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2103)。
【0100】
一方、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指の位置が手前過ぎる状態でないと判定した場合(ステップS2101;No)、指が回転した状態であるか否かを判定する(ステップS2104)。そして、判定部1203は、指が回転した状態であると判定した場合(ステップS2104;Yes)、音声制御部1202は、向き案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2105)、その後、表示制御部1201が、向き案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2106)。
【0101】
さらに、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指が回転した状態でないと判定した場合(ステップS2104;No)、指の位置が奥過ぎる状態であるか否かを判定する(ステップS2107)。そして、判定部1203は、指の位置が奥過ぎる状態であると判定した場合(ステップS2107;Yes)、音声制御部1202は、奥行案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2108)、その後、表示制御部1201が、奥行案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2109)。
【0102】
そして、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指の位置が奥過ぎる状態でないと判定した場合(ステップS2107;No)、指が斜めの状態であるか否かを判定する(ステップS2110)。そして、判定部1203は、指が斜めの状態であると判定した場合(ステップS2110;Yes)、音声制御部1202は、斜め案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2111)、その後、表示制御部1201が、斜め案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2112)。
【0103】
その後、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指が斜めの状態でないと判定した場合(ステップS2110;No)、指の先端が浮いた状態であるか否かを判定する(ステップS2113)。そして、判定部1203は、指の先端が浮いた状態であると判定した場合(ステップS2113;Yes)、音声制御部1202は、指先案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2114)、その後、表示制御部1201が、指先案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2115)。
【0104】
そして、判定部1203は、認証装置1000に置かれた指の指先が浮いた状態でないと判定した場合(ステップS2113;No)、指の根元が浮いた状態であるか否かを判定する(ステップS2116)。そして、判定部1203は、指の根元が浮いた状態であると判定した場合(ステップS2116;Yes)、音声制御部1202は、根元案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2117)、その後、表示制御部1201が、根元案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2118)。
【0105】
一方、判定部1203は、指の根元が浮いた状態でないと判定した場合(ステップS2116;No)、音声制御部1202は、その他案内音声を音声出力部1104から出力させ(ステップS2119)、その後、表示制御部1201が、その他案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2120)。このように、ステップS2103、S2106、S2109、S2112、S2115、S2118、S2120のいずれかの処理が終了すると姿勢判定処理が終了し、図20に示したステップS2003に戻る。
【0106】
そして、図20において、判定部1203が、特定した形状の指の位置が基準案内ガイドの位置にあると判定した場合(ステップS2005;Yes)、表示制御部2101は、基準案内ガイドを表示部1103に表示させる(ステップS2007)。
【0107】
その後、撮像部1106が利用者の指を撮像し(ステップS2008)、画像化部1301が、撮像部1106が撮像した画像から静脈のパターンを読み取る(ステップS2009)。そして、認証部1302が、読み取られた静脈パターンと、あらかじめ認証記憶部1303に記憶された静脈パターンとが一致するか否かを判定する(ステップS2010)。
【0108】
そして、認証部1302は、読み取られた静脈パターンと、あらかじめ記憶された静脈パターンとが一致しないと判定した場合(ステップS2010;No)、利用者の認証ができなかった旨を表示制御部1201に出力し(ステップS2011)、ステップS2002に戻る。
【0109】
一方、認証部1302は、読み取られた静脈パターンと、あらかじめ記憶された静脈パターンとが一致すると判定した場合(ステップS2010;Yes)、操作部106は、各種の取引に対する操作を受け付ける(ステップS2012)。このステップS2012の処理が終了すると、本実施の形態におけるすべての処理が終了する。
【0110】
このように、利用者の指の正しい姿勢を示す基準案内ガイドと、判定記憶部1204が利用者の指の姿勢を基準案内ガイドが示す姿勢にさせるための案内ガイドとを記憶し、レーザ部1105が利用者の指に対して近赤外光を照射し、干渉フィルタ等が近赤外光を透過し、表示部1103は干渉フィルタ等の範囲内またはその周辺に配置され、判定記憶部1203に記憶された基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示し、判定部1203が照射された近赤外光に基づいて利用者の指の姿勢を判定し、表示制御部1201が判定部1203が判定した姿勢の基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示させ、認証部1302が、判定部1203により、利用者の指が、基準案内ガイドが示す姿勢であると判定された場合に利用者を認証するので、認証を容易かつ直感的に行うことができる。すなわち、利用者が認証を行うために最も注視する部分に様々な案内ガイドを表示させるので、認証を容易かつ直感的に行うことができる。
【0111】
また、案内ガイドを表示部1103に表示させるとともに案内音声を音声出力部1104から出力するので、その認証を確実に行うことができる。さらに、案内ガイドは、案内音声が出力された後に表示されるので、認証が失敗した場合であっても、利用者がその理由を耳で確認した後、表示部1103に表示された案内ガイドを目で確認することにより、認証を容易かつ直感的に行うことができる。
【0112】
すなわち、認証が失敗した直後は、表示部1103には利用者自身の指が置かれているため、表示されている案内ガイドを確認することが困難な場合がある。しかし、案内ガイドを表示する前に、案内音声によって利用者に認証が失敗した旨を知らせた場合、利用者は、通常は、表示部1103に置いた指を一度離した上で、再び指を表示部1103に近づけることとなる。したがって、このように認証が失敗した場合であっても、利用者は躊躇することなく再び認証を行うことができる。
【0113】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、表示部1103の周辺にガイド部1102を設け、利用者の指がずれないように、その指を支えることとした。しかし、ガイド部1102を設けずに、表示制御部1201が、あらかじめ表示部1103上に基準案内ガイドを表示させ、表示された基準案内ガイドにあわせて指を置くように、利用者に対して促すことも可能である。
【0114】
図22は、認証装置1000の変形例として、上述したガイド部1102を設けていない場合の認証装置2000の外観を示す図である。図22に示すように、認証装置2000の表示部1103は、土台1101の中央部に埋め込まれている状態となっている。
【0115】
このような認証装置2000の構成において、表示制御部1201は、ATMの検知センサが利用者を検知したと判定した場合に、図23に示すような基準案内ガイドを表示部1103に表示させることとしてもよい。
【0116】
具体的には、音声制御部1202が、上述した音声出力装置1104から検知時案内音声を出力させるとともに、その内容を文字列として判定記憶部1204に記憶させる。そして、表示制御部1201が、その文字列とともに図4右に示したような基準案内ガイドを表示部1103に表示させることも可能である。
【0117】
このように、表示制御部1201が、上述した文字列を表示部1103上の表示ガイド部1103aに表示させ、基準案内ガイドを表示部1103上の表示ガイド部1103bに表示させることとしてもよい。すなわち、表示制御部1201が、出力された音声の内容を示す文字列と案内ガイドの両方を含んで表示部1103上に表示させることとしてもよい。この場合、検知時案内音声の内容が案内ガイドとともに表示部1103上に視覚的に表示されるので、利用者は、より直感的に認証を行うことができる。
【0118】
さらに、上述した実施の形態においては、判定部1203が、姿勢判定処理を行う場合において、利用者の指の姿勢を判定した後、案内音声を出力し、さらにその後、案内ガイドを表示することとした。しかし、図24に示すように(図24では、指が斜めに置かれている場合を示している。)、表示制御部1201が、案内音声の内容を文字列として表示ガイド部1103aに表示させ、案内ガイドを表示ガイド部1103bに表示させることとしてもよい。この場合も上述した場合と同様に、案内音声の内容が案内ガイドとともに表示部1103上に視覚的に表示されるので、利用者は、より直感的に認証を行うことができる。
【0119】
また、本実施の形態においては、表示制御部1201は、近赤外光等を透過する干渉フィルタ等を含む表示部1103上に案内ガイド等を表示させることとしたが、例えば、図25に示すように、案内ガイドを表示する表示部1103を、干渉フィルタ1103cの位置とは異なる位置(干渉フィルタ1103cの位置の近傍)に配置することとしてもよい。この場合、表示部1103に表示された案内ガイドは、利用者の指によって隠れることはないため、利用者は容易に認証結果を確認することができる。
【0120】
上述した実施の形態においては、認証装置1000をATMに適用した場合の例について説明した。しかし、PC(パーソナル・コンピュータ)等の情報処理装置や家屋の玄関ドア等、利用者の認証が必要となるさまざまな装置や物に対して適用可能である。例えば、ノート型のPCを周辺が騒がしい外出先で使用する場合、認証装置2000をPCに装着しておくことによって、案内音声等の内容が表示部1103の表示ガイド1103aに表示されるので、案内音声が利用者に聞こえにくいような状況であっても、利用者は、容易に認証を行うことができる。
【0121】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0122】
1000…認証装置、1100…本体部、1101…土台、1102…ガイド部、1103…表示部、1104…音声出力部、1105…レーザ部、1106…撮像部、1107…インタフェース部、1200…判定制御部、1200…判定制御部、1201…表示制御部、1202…音声制御部、1203…判定部、1204…判定記憶部、1300…認証制御部、1301…画像化部、1302…認証部、1303…認証記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の指の生体情報に基づいて前記利用者を認証する生体認証装置であって、
前記利用者の指の正しい姿勢を示す基準案内ガイドと、前記利用者の指の姿勢を前記基準案内ガイドが示す姿勢にさせるための案内ガイドとを記憶する記憶手段と、
前記利用者の指に対して光を照射する照射手段と、
所定の波長の前記光を透過する透過手段と、
前記透過手段の範囲内またはその付近に配置され、前記記憶手段に記憶された前記基準案内ガイドまたは案内ガイドを表示する表示手段と、
照射された前記光に基づいて前記利用者の指の姿勢を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した姿勢の前記基準案内ガイドまたは前記案内ガイドを表示させる表示制御手段と、
前記判断手段により、前記利用者の指が、前記基準案内ガイドが示す姿勢であると判定された場合に、前記利用者を認証する認証手段と、
を備えることを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記案内ガイドとして前記利用者の指の姿勢を示す複数のパターンの案内ガイドを記憶し、
前記判定手段は、前記記憶手段が記憶する複数のパターンの前記案内ガイドのうち、前記利用者の指の姿勢に該当する前記案内ガイドを特定し、
前記表示制御手段は、前記判定手段が特定した前記案内ガイドを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに、前記案内ガイドを音声により出力するための案内音声を前記案内ガイドに対応付けて記憶し、
前記案内音声を出力する音声出力手段と、
前記案内ガイドに対応する前記案内音声を前記音声出力手段に出力させる音声制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記音声制御手段が前記案内音声を前記音声出力手段に出力した場合に、前記案内音声に対応する前記案内ガイドを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、さらに、前記案内音声の内容を示す文字列を、前記案内音声に対応付けて記憶し、
前記表示制御手段は、前記文字列と前記案内ガイドとを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記照射手段は、前記光としてレーザ光を照射して前記レーザ光の反射光を計測し、
前記判定手段は、計測された前記レーザ光の反射光を計測することで得られる三次元情報に基づいて前記利用者の指の形状を特定し、前記利用者の指の姿勢を判定する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−211579(P2010−211579A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57737(P2009−57737)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】