説明

生体適合性コーティングされた医療用インプラント

生体適合性コーティングを有するインプラント型医療器具及びその製造工程について述べる。本発明は特に、炭素含有層によりコーティングされたインプラント型医療用器具に関し、その器具は、器具をポリマーフィルムにより少なくとも部分的にコーティングすること、及び本質的に酸素を含まない雰囲気中でポリマーフィルムを200℃〜2500℃の範囲の温度へ加熱することにより製造され、炭素含有層がインプラント型医療用器具上に生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適合性コーティングを有するインプラント型医療用器具及びその製造工程に関する。特に、本発明は、炭素含有層によりコーティングされたインプラント型医療用器具に関し、その器具は、器具のポリマーフィルムによる少なくとも部分的なコーティングと、本質的に酸素を含まない雰囲気中でのポリマーフィルムの200℃〜2500℃の範囲の温度への加熱により獲得しうるものであり、炭素含有層がインプラント型医療用器具上に生成される。
【背景技術】
【0002】
有効成分の皮下又は筋肉内インプラント型デポー同様、医療用インプラント、例えば外科用及び/又は整形外科ネジ、プレート、関節形成、人工心臓弁、人工血管、ステントは、関連した特定の生化学的及び機械的特性に従って選択される各種幅広い材料から製造される。これらの材料は、体内での永久使用に適し、毒性物質を放出せず、ある機械的及び生化学的特性を示さなければならない。
【0003】
しかしながら、ステント及び関節形成にしばしば使用されるセラミック材料同様、金属又は金属合金は、例えば、特に永久使用中にその生体適合性に対してしばしば不都合を呈する。化学及び/又は物理刺激により、インプラントは組織炎症及び免疫反応を起こし、なかでも、不適合性反応は、防御及び拒絶反応を伴う慢性炎症反応という意味では、過度の瘢痕化又は組織分解をおこし、極端な場合、必然的にインプラントを除去及び交換しなければならないか、又は他の、侵襲的又は非侵襲的性質の治療介入が指示されなければならない。
【0004】
冠動脈ステントの場合の周囲組織との適合性の欠如により、例えば、高率で再狭窄が引こる。一方では、血管壁の脈管内膜が瘢痕化を伴う炎症誘発性マクロファージ反応の傾向があり、他方では、直接表面特性及びステント範囲における病変血管壁が血管インプラント自体、及び炎症的方法で変化した血管壁における血小板の凝集をおこすからである。両メカニズムにより、治療が必要な冠動脈の再度の狭窄に対して、挿入によりステントを供与された患者の20〜30%におこる相互に影響する炎症及び不適合工程が助長される。
【0005】
このため、用いられた材料の生体適合性を向上させ、防御及び/又は拒絶反応を防止するために、従来技術において、医療用インプラントの表面を適する方法でコーティングするための様々なアプローチが行われてきた。
【0006】
US5,891,507では、例えば、金属ステントの表面を、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン及びヘパリン又は増殖因子等の生体材料でコーティングして、金属ステントの生体適合性を向上させる工程が記載されている。
【0007】
ポリマー層とは別に、炭素に基づく層が特に好都合であることが判明している。
【0008】
DE 199 51 477から、例えば、ステント材料の生体適合性を向上させるアモルファスシリコンカーバイドのコーティングを備えた冠動脈ステントは、それゆえ公知である。米国特許第6,569,107号は、炭素材料が、化学又は物理気相蒸着法(CVD又はPVD)により施された、炭素コーティングステントについて記載する。米国特許第5,163,958号でも、抗血栓特性を有する炭素コーティング表面を備えた管状内部人工器官又はステントについて記載されている。WO 02/09791は、シロキサンのCVDにより製造されたコーティングを備えた血管内ステントについて記載する。
【0009】
PVD又はCVD条件下での熱分解性炭素の蒸着では、不活性ガス又は高真空雰囲気中で場合によってはプラズマ条件下で、しばしば高温にてインプラント上に蒸着される、適するガス状又は気化性炭素前駆物質を慎重に選択する必要がある。
【0010】
炭素を蒸着するためのCVD法とは別に、異なる構造を備えた熱分解性炭素層の製造のための、高真空中で作用する各種のスパッタ工程が従来技術に記載されている;この点を、例えば米国特許第6,355,350号と比較せよ。
【0011】
従来技術のこれら全ての工程には、極端な温度及び/又は圧力条件下で、そして複雑な工程制御を用いることにより炭素基材の蒸着が部分的に生じるという共有の特徴がある。
【0012】
従来技術の工程の他の欠点は、インプラントが作成され、CDV層が適用される材料の各種の熱膨張効率により、インプラントの有用性に悪影響を有する剥離、ひび割れ、及び表面品質の劣化が起こり、インプラント上において、当該層の付着のレベルの低下のみが度々起こることである。
【0013】
従って、炭素含有材料の生体適合性表明コーティングを提供しうる、インプラント型医療用器具の炭素ベース材料でのコーティングに使いやすい、費用効果的工程の要望がある。
【0014】
さらに、特性が改良されて、費用効果的に製造しうる生体適合性コーティングされた医療用インプラントの要望がある。
【0015】
従って、本発明の課題は、費用効果的で、様々な方法において可変特性を有する開始材料を扱い、制御容易な処理条件を用いる、インプラント型医療用器具における生体適合性コーティングの製造のための工程を提供することである。
【0016】
本発明の他の課題は、炭素含有コーティングを備え、生体適合性の向上を呈するインプラント型医療用器具を提供することである。
【0017】
本発明の他の課題は、コーティングによりインプラントの表面上又は表面内への医療用活性物質が適用される、生体適合性医療用インプラントを提供することである。
【0018】
本発明の他の課題はまた、インプラントを身体へ挿入後に、薬理学的に有効な物質を、標的化された、また必要ならば、制御された方法で作用しうる、コーティング医療用インプラントを提供することである。
【0019】
本発明の他の課題は、デポーからの活性物質の放出を制御しうるコーティングを備えた、インプラント型活性物質デポーを提供することである。
【0020】
上述の課題の本発明の解決手段は、独立請求項で特定された工程及びそれを用いて得られうるコーティング医療用インプラントからなる。本発明の工程の好ましい実施形態及び/又は本発明の生成物は、従属下位請求項より生じる。
【0021】
本発明の構成内において、炭素含有層は、最初はポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングし、次に、高温下で本質的に酸素を含有しない雰囲気中で炭化及び/又は熱分解することにより、簡易かつ再現性のある方法で、広範囲に異なるタイプのインプラント型医療用器具上に生成可能であることが見出された。好ましくは、結果物である炭素含有層に活性物質、微生物又は生細胞を装填する。さらに代替又は追加して、生分解性及び/又は吸収性ポリマーあるいは非生分解性及び/又は吸収性ポリマーを用いて少なくとも部分的にコーティングしうる。
【0022】
従って、医療用器具上の炭素含有層の製造のための本発明の工程は、以下の行程を含む:インプラント型医療用器具への生体適合性コーティングの製造のため
a)適切なコーティング及び/又は適用工程により、ポリマーフィルムで医療用器具を少なくとも部分的にコーティングするステップと;
b)200℃〜2500℃の範囲の温度にて本質的に酸素を含まない雰囲気中でポリマーフィルムを加熱するステップ。
【0023】
本発明の構成において、炭化又は熱分解は、選択された温度及び圧力条件並びに用いたポリマー材料の種類に応じて炭化後に炭素含有層を残す、概して炭化水素に基づくオリゴ又はポリマー材料からなる炭素含有開始化合物の部分的熱分解又はコークス化を意味するとものと理解され、アモルファスから高秩序結晶性グラファイト型構造の範囲内のその構造に関し、及びその多孔性及び表面特性に関して、層を正確に調整しうる。
【0024】
本発明の工程は、インプラント型医療器具上のコーティングだけでなく、その概ね一般方法において、概して、いかなる所望の種類の基材への炭素含有コーティングの製造にも用いられうる。従って、基材としてのインプラントに関する以下の記載は例外なく他の目的の他の基材にも適用される。
【0025】
インプラント
本発明の工程により、生体適合性炭素含有コーティングをインプラント型医療用器具に適用しうる。
【0026】
「インプラント型医療用器具」及び「インプラント」という用語は、以下で同意語として使用され、人工心臓及びその部品、人工心臓弁、心臓ペースメーカーハウジング、電極、皮下及び/又は筋肉内挿入型インプラント、活性物質デポー及びマイクロチップ同様、血管内部人工器官、管腔内内部人工器官、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、外科用ネジ、プレート、ピン及び他の固定用機器等の一時的目的のための外科及び/又は整形外科用インプラント、人工骨又は関節形成、例えば人工腰関節又は膝関節、関節腔挿入物、ネジ、プレート、ピン、インプラント型整形外科固定補助具、椎骨置換等の永久的な外科又は整形外科インプラント等の医療用又は治療用インプラントを含む。
【0027】
本発明の工程により生体適合的な方法でコーティングされうるインプラントは、概ねいかなる所望の、好ましくは、本質的に温度安定性の、特に、インプラントが作成される全ての材料からなる。
【0028】
この点における例は、アモルファス及び/又は(部分的に)結晶性の炭素、完全炭素材料、多孔性炭素、グラファイト、複合炭素材料、炭素繊維、セラミック、例えばゼオライト、シリケート、アルミニウムオキシド、アルミノシリケート、シリコンカーバイド、窒化ケイ素、遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケルの金属カーバイド、金属オキシド、金属ニトリド、金属カーボンニトリド、金属オキシカーバイド、金属オキシニトリド、及び金属オキシカーボンニトリド;金属及び合金、特に貴金属、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ;チタン、ジルコン、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅の金属及び合金;鋼鉄、特にステンレス鋼の形状記憶合金、例えばニチノール、ニッケル−チタン合金、ガラス、石、ガラス繊維、無機物、天然又は合成骨物質、アルカリ土類金属カーボネート、例えばカルシウムカーボネート、マグネシウムカーボネート、ストロンチウムカーボネートに基づく模造品及び上記材料の所望の組合せである。
【0029】
加えて、炭化条件下でその最終形に最初に変換される材料もコーティングされうる。この点での例は、紙、繊維材料及びポリマー材料の成形体であり、ポリマーフィルムでコーティングされた後に、後者と共にコーティング炭素インプラントに変換される。
【0030】
本発明の工程において、コーティングされたインプラントの製造もまた、ポリマーフィルムでのコーティング後に、ポリマーフィルムの炭化と組合せて、その最終形態まで硬化又は焼成しうるセラミック素地等のインプラントのセラミック予備段階から概ね開始しうる。このようにして、例えば市販の及び/又は従来のセラミック(ボロンニトリド、シリコンカーバイド等)又はジルコニウムオキシド及びアルファAl2O3又はガンマAl2O3のナノ結晶性素地、あるいは圧縮アモルファスナノスケールALOOHエアロゲルを用いることができ、約500〜2000℃、好ましくはしかしながら約800℃の温度にてナノ多孔性炭素コーティング成形体が生じ、約10〜100nmの多孔性を有するコーティングが得られうる。この点での好ましい適用分野は、生体適合性が改良された、均質な層複合材をもたらす関節の復元用のフルインプラント等である。
【0031】
本発明の工程は、生体力学的ねじれ、張力及び伸び歪みにさらされたときに、通常二次的に印加されるコーティングの摩耗の傾向がある、コーティングセラミックインプラントの剥離の問題を解決する。
【0032】
本発明のコーティング可能なインプラント型医療用器具は、概ね任意の所望の外部形状を有しうる;本発明の工程はある構造には限定されない。本発明の工程によりインプラントは、その後炭化されて炭素含有層を形成するポリマーフィルムで全体的又は部分的にコーティングされうる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、コーティングされる医療用インプラントはステント、特に医療用ステントを含む。本発明の工程を用いて、簡易かつ好都合な方法で、炭素に基づく、及び/又は炭素を含有する表面コーティングを、マグネシウム合金同様、ステンレス鋼、プラチナ含有放射線不透過性鋼鉄合金、いわゆるPERSS(プラチナ強化放射線不透過性鋼鉄合金)、コバルト合金、チタン合金、例えばニオビウム、タンタル、タングステン及びモリブデンに基づく高融点合金、貴金属合金、ニチノール合金及び上記物質の混合物のステントへ適用しうる。
【0034】
本発明の枠組み内の好ましいインプラントは、ステンレス鋼、特にFe-18Cr-14Ni-2.5Mo("316LVM" ASTM F138)、Fe-21Cr-10Ni-3.5Mn-2.5Mo(ASTM F 1586)、Fe-22Cr-13Ni-5Mn(ASTM F 1314)、Fe-23Mn-21Cr-1Mo-1N(無ニッケルステンレス鋼)のステント;Co-20Cr-15W-10Ni("L605" ASTM F90)、Co-20Cr-35Ni-10Mo("Mp35N" ASTM F 562)、Co-20Cr-16Ni-16Fe-7Mo("Phynox" ASTM F 1058)等のコバルト合金のステントである; 好ましいチタン合金の例はCPチタン(ASTM F 67、グレード1)、Ti-6Al-4V(アルファ/ベータ ASTM F 136)、Ti-6Al-7Nb(アルファ/ベータ ASTM F1295)、Ti-15Mo(ベータグレード ASTM F2066)である;貴金属合金、特にPt−10Ir等のイリジウム含有合金のステント;マルテンサイト等のニチノール合金、Mg-3Al-1Z等の超弾性及び冷間加工(好ましくは40%)ニチノール及びマグネシウム合金である。
【0035】
ポリマーフィルム
本発明の工程により、インプラントはポリマーフィルムの1又は複数の層により、その外部表面の一方に少なくとも部分的に、好ましい用途ではその外部表面全体に、コーティングされる。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、ポリマーフィルムは、インプラント上に、シート収縮法等の適切な工程により適用及び/又は結合しうるポリマーシートの形で存在しうる。熱可塑性ポリマーシートは、特に加熱状態においても、概ね基材に本質的に完全に接着させるために適用されうる。
【0037】
さらに、ポリマーフィルムは、積層化により適用されるポリマー層同様、ワニス、ポリマー性又は部分的にポリマー性のコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング又はポリマー溶液又はポリマー懸濁物のコーティングによるインプラントのコーティングも含む。
【0038】
好ましいコーティングは、基材のパリレン化により得られうる。この場合、基材を最初は高温、通常は約600℃にてパラシクロファンにより処理すると、ポリ(p-キシリレン)のポリマーフィルムが基材の表面に形成される。本フィルムは、次の炭化及び/又は熱分解ステップで炭素に変換されうる。
【0039】
特に好ましい実施形態において、パリレン化及び炭化の一連の行程は数回反復される。
【0040】
ポリマーフィルムのさらに好ましい実施形態は、次の炭化及び/又は熱分解ステップで多孔性炭素層に変換されうる、フェノールフォーム、ポリオレフィンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フルオロポリマーフォーム等のポリマーフォーム系からなる。
【0041】
積層化により適用されるポリマー層同様シーティング、ワニス、ポリマーコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング又はカバーリングの形態のポリマーフィルムは、例えば脂肪族又は芳香族ポリオレフィンのホモポリマー又はコポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン;ポリブタジエン;ポリビニル、例えばポリビニルクロライド又はポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリマー、例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;ワックス、パラフィンワックス、Fiseher-Tropschワックス;カゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマレイン酸、ポリタルトロン酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアセテートフタレート)同様、そのコポリマー、これらのホモポリマー又はコポリマーの混合物及び組合せを使用しうる。
【0042】
適するワニスベースのポリマーフィルム、例えばアルキド樹脂、塩素化ゴム、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、オイルベース、ニトロベース、ビニルエステル樹脂、Novolac(登録商標)エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、タール、タール様物質、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、シェラック、ワックス、再生可能原材料の有機材料又はその組合せのバインダーベースを有する1成分又は2成分ワニスから製造されたフィルム及び/又はカバーリングが特に好ましい。
【0043】
エポキシ化芳香族炭化水素樹脂に基づく1成分又は2成分ワニス同様個装ワニス等の、場合により完全に、又は部分的にエポキシ化されるフェノール樹脂及び/又はメラミン樹脂に基づくワニスが特に好ましい。
【0044】
本発明の工程において、上述のポリマーフィルムの複数の層をインプラント上に適用して、次に共に炭化しうる。各種のポリマーフィルム材料、場合により個々のポリマーフィルム中の添加剤、又は異なる厚さのフィルムを用いることにより、本方法において、コーティング内に変動する多孔性又は吸収プロフィールを備えたインプラントに勾配コーティングを制御された方法で適用しうる。さらに、ポリマーフィルムのコーティング及び炭化の一連のステップを1回及び場合により複数回反復して、インプラント上に炭素含有多層コーティングを獲得しうる。このため、ポリマー又は基材は、添加剤により事前構造化又は改質しうる。本発明の工程のポリマーフィルムコーティング及び炭化の一連のステップのそれぞれ後に、あるいは一連のステップの個々のステップの後に、以下で述べるような適する処置後ステップ、例えば個々の層の酸化処置等を実施しうる。
【0045】
インプラントをコーティングするために、例えば積層化技法、例えば熱、圧力プレス又はウェット・イン・ウェット技法により、上述のワニス又はコーティング溶液を用いてコーティングされたポリマーフィルムの使用は、本発明に好都合に適用されうる。
【0046】
本発明のある実施形態において、ポリマーフィルムは、フィルムの炭化挙動及び/又は工程に起因する炭素に基づく基材層の巨視的特性に影響する添加剤を備えうる。適する添加剤の例は、充填剤、孔形成剤、金属、金属化合物、合金及び金属粉末、増量剤、潤滑剤、スリップ剤等である。
【0047】
無機添加剤又は充填剤の例は、シリコンオキシド又はアルミニウムオキシド、アルミノシリケート、ゼオライト、ジルコニウムオキシド、チタニウムオキシド、タルカム、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、粘土材料、フィロシリケート、シリサイド、ニトリド、特に触媒活性遷移金属、例えば銅、金及び銀、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又はプラチナの金属粉末である。
【0048】
そのような添加剤をポリマーフィルム中で使用すると、フィルム及び生じた炭素コーティングの例えば生物的、機械的及び熱的特性を改良及び調整しうる。例えば層にシリケート、ナノ粒子、無機ナノ複合材、金属、金属オキシドを包含することにより、それゆえ、施された炭素ベースコーティングは温度が激しい場合でも確実に付着するような方法で、炭素層の熱膨張係数をセラミック基材の熱膨張係数に対して調整しうる。簡単な日常的実験に基づいて、当業者は、各インプラント材料に対して炭素含有層の所望の接着及び膨張特性を得るために、ポリマーフィルム及び添加剤の適切な組合せを選択するであろう。それゆえ、アルミニウムベース充填剤の使用により、熱膨張係数が上昇し、ガラス、グラファイト又は石英に基づく充填剤を添加することにより、熱膨張係数が低下し、それにより熱膨張係数がそれ相応にポリマー系に成分を混合することにより個別に調整しうる。特性調整は、さらに、一例として及び非排他的に、炭素繊維、ポリマー繊維、ガラス繊維又は他の繊維を製織又は不織形態で添加することによる繊維複合材の調製により実施可能であり、それによりコーティングの弾性が実質的に上昇する。
【0049】
得られた層の生体適合性は、ポリマーフィルム中の添加物の適切な選択により、改良され、さらに増大させうる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、タール、タールピッチ、ビチューメン、ゴム、ポリクロロプレン又はポリ(スチレンコブタジエン)ラテックス材料、ワックス、シロキサン、シリケート、金属塩及び/又は金属塩溶液、例えば遷移金属塩、カーボンブラック、フラーレン、活性炭粉末、炭素モレキュラーシーブ、ペロフスカイト、アルミニウムオキシド、シリコンオキシド、シリコンカーバイド、ボロンニトリド、シリコンニトリド、貴金属粉末、例えばPt、Pd、Au又はAg及びその組合せを用いたポリマーフィルムの他のコーティングにより、あるいはそのような材料のポリマーフィルム構造への標的化包含により、制御された方法での熱分解及び/又は炭化の後に得られた多孔性炭素ベースコーティングの特性に影響を及ぼし、又は改良し、あるいは多層コーティング、特に多孔性が異なる多層コーティングを製造しうる。
【0051】
本発明のコーティング基材の製造中に、これらのコーティング基材がコーティング内のひび割れ及びコーティングの剥離に対してより耐性となるように、上述の添加剤をポリマーフィルム中に包含させることにより、例えばシラン、ポリアニリン又は多孔性チタン層を適用することにより、必要ならば、外部層の熱膨張係数を基材の熱膨張係数に対して調整することにより、基材に適用された層の接着が改善される可能性がある。従って、これらのコーティングは、従来の同種の製品よりも実際の使用時に、経時的により耐久性で、より安定性である。
【0052】
金属及び金属塩、特に貴金属及び遷移金属の適用又は包含により、得られた炭素ベースコーティングの化学的、生物的及び吸収特性を所望の要件に調整することが可能となり、それにより得られたコーティングが、例えば特殊な用途のための不均一触媒特性も備えうる。本方法では、ケイ素塩、チタン塩、ジルコニウム塩又はタンタル塩を炭化中に包含させることにより、層の、特に、酸化に対する耐性を向上させる、対応する金属カーバイド相を形成するための炭化において可能である。
【0053】
本発明の工程で用いたポリマーフィルムは、簡便な方法で概ね任意の所望の大きさで製造又は購入しうるという利点がある。ポリマーシート及びワニスは、容易に入手でき、費用効果的であり、各種の種類及び形態のインプラントに簡便な方法で適用しうる。本発明で用いたポリマーフィルムは、熱分解又は炭化の前に、折畳み、エンボス加工、スタンピング、プリンティング、押出し、パイリング、射出成形等により、それらをインプラント上に適用する前又は後に、適する方法で構造化しうる。このようにして、正規型又は非正規型のある構造を、本発明の工程により製造した炭素コーティング中に包含させうる。
【0054】
ポリマーフィルムの適用
本発明で用いられうる、ワニス又はカバーリングの形態でコーティングすることからなるポリマーフィルムを、液体、パルプ状又はペースト形状態から、例えばブラシコーティング、展着、ワニス適用、ドクターブレード適用、スピンコーティング、分散又は溶融コーティング、押出し、キャスティング、浸漬、スプレー処理、プリンティング又はホットメルトとして、固体状態から粉末コーティング、スプレー可能な粒子のスプレー処理、フレームスプレー工程、焼成又はそれ自体公知の方法からインプラントに適用しうる。必要ならば、ポリマー材料は本目的のための溶媒中に溶解又は懸濁させうる。本目的のためのポリマー材料又はシーティングで適切に形成された基材を積層化することもまた、ポリマーフィルムでインプラントにコーティングする本発明に使用しうる方法である。
【0055】
ポリマーフィルムを用いてステントをコーティングする場合、その開示が完全に本明細書に含まれるDE 10351150に記載された圧力工程によるポリマー及び/又はその溶液の適用が特に好ましい。本工程は特に、適用したポリマー材料の層厚を正確で再現可能に調整しうる。
【0056】
好ましい実施形態において、ポリマーフィルムは液体ポリマー又は適する溶媒又は溶媒混合物中のポリマー溶液として適用され、必要ならばその後乾燥させる。適する溶媒は、例えば、水同様、メタノール、エタノール、N-プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3-メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、メトキシPEG-10、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-6-メチルエーテル、ペンチレングリコール、PPG-7、PPG-2-ブテト-3、PPG-2-ブチルエーテル、PPG-3ブチルエーテル、PPG-2メチルエーテル、PPG-3メチルエーテル、PPG-2プロピルエーテル、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン;必要ならば分散剤との混合物中の水及び上に挙げた物質の混合物を含む。
【0057】
好ましい溶媒は、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル及びブトキシイソプロパノール(1,2-プロピレングリコール-n-ブチルエーテル)、テトラヒドロフラン、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、好ましくはエタノール、イソプロパノール、n-プロパノール及び/又はジプロピレングリコールメチルエーテル、特にイソプロパノール及び/又はn-プロパノールの群からの1又は複数の有機溶媒を含む。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、インプラント型医療器具も、同じ若しくは異なるフィルム厚における同じポリマー、又は、同じ若しくは異なるフィルム厚ポリマーにおける異なるポリマーの複数のポリマーフィルムで繰返しコーティングしうる。このようにして、例えば、を、強力な多孔性層に被着された活性物質の放出を適切に遅延させうる狭い孔の層の下に、より多孔性の層を配置するように組合せることができる。
【0059】
ポリマーフィルムを用いたインプラントのコーティング及びその後の炭化ステップの代わりに、本発明は、例えば芳香族樹脂に基づくワニスを直接、予熱したインプラントに、例えば、高温のインプラント表面に直接スプレーされたフィルム層を炭化させるために、過剰な圧力で、ポリマーフィルム生成コーティング系に直接スプレーすることもできる。
【0060】
炭化
インプラントに適用されたポリマーフィルムを乾燥し、必要ならば、その後炭化条件下での熱分解で分解させる。この場合、インプラントにコーティングされたポリマーフィルムを、本質的に酸素を含まない雰囲気中で、高温で加熱、すなわち炭化させる。炭化ステップの温度は好ましくは200℃〜2500℃の範囲であり、用いたポリマーフィルム及びインプラントの特異的温度依存性特性の関数として当業者に選択される。
【0061】
好ましくは、本発明の工程の炭化ステップに一般的に適用しうる温度は200℃〜約1200℃の範囲にある。幾つかの実施形態では、250℃〜700℃の範囲の温度が好ましい。一般的に、ポリマーフィルムができるだけ低温での適用により炭素含有固体に本質的に完全に変換されるような方法で用いられた材料の特性に応じて温度が選択される。熱分解温度を適切に選択及び/又は制御することにより、材料の多孔性、強度及び剛性同様他の特性も制御された方法で調整しうる。
【0062】
用いたポリマーフィルムの種類及び選択した炭化条件、特に雰囲気の組成、選択した温度若しくは温度プログラム及び圧力条件に応じて、本発明の工程により制御された方法で被着された炭素含有層の種類及び構造を調整及び/又は変更しうる。純粋な炭化ポリマーフィルムを、例えば酸素を含まない雰囲気中で最高約1000℃の温度にて使用する場合、本質的にアモルファスの炭素の被着が生じるのに対し、2000℃を超える温度では、高秩序結晶性グラファイト構造が得られる。この2つの温度の間の範囲では、密度及び多孔性が異なる部分的結晶性の炭素含有層が獲得しうる。
【0063】
他の例は、孔径が小さいミリメートル範囲である比較的多孔性の炭素層が炭化中に得られるような、例えば発泡ポリウレタン等の発泡ポリマーフィルムの使用である。適用したポリマーフィルムの厚さ並びに選択した温度及び圧力条件を通じて、炭素単層からナノメートル範囲の概ね目に見えない層を介して、10〜40マイクロメータの乾燥層からなるワニス層厚、ミリメートル範囲〜センチメートル範囲のより厚いデポー層厚に到る幅広い範囲で、被着される炭素含有層の層厚を熱分解中に変更することができる。後者は特に完全炭素材料のインプラント、特に骨インプラントの場合に好ましい。
【0064】
ポリマーフィルム材料及び炭化条件を適切に選択することにより、それゆえ、活性物質の共有性吸着又は吸収あるいは静電気結合あるいは表面改質が可能な、明確に制御可能な孔径及びシーブ特性を備えたモレキュラーシーブのようなデポー層を得ることができる。
【0065】
好ましくは、多孔性はその開示が本明細書に完全に組み入れられたDE 103 35 131及びPCT/EP04/00077に記載されたような処理工程により、インプラント上の本発明の層内に生成される。
【0066】
本発明の工程の炭化ステップ中の雰囲気は、本質的に酸素を含まず、好ましくはO2含有量は10ppm未満、特に好ましくは1ppm未満である。窒素、アルゴン、ネオン及び炭素と反応しない他の不活性ガスのような貴金属、又はガス化合物のような不活性ガス雰囲気同様不活性ガス混合物の雰囲気の使用が好ましい。窒素及び/又はアルゴンが好ましい。
【0067】
通常、炭化ステップは上述した不活性ガスの存在下、標準圧で実施する。しかしながら必要ならば、より高い不活性ガス圧を好都合に用いうる。本発明の工程の一部の実施形態において、炭化はまた減圧下及び/又は真空下で行いうる。
【0068】
炭化ステップは、好ましくは適するオーブン内にてバッチ式工程で適用されるが、必要ならば好ましい、連続オーブン工程でも行いうる。必要ならば、ポリマーフィルムでコーティングされた構造化前処理インプラントを、片側にてオーブン内に通過させ、反対側にてオーブンから排出させる。好ましい実施形態において、熱分解及び/又は炭化の間にポリマーフィルムを通じて減圧しうるように、ポリマーフィルムでコーティングされたインプラントを穿孔プレート、シーブ等の上でオーブン内に静止させうる。これにより、オーブン内でのインプラントの簡単な固定化だけでなく、熱分解及び/又は炭化中の吸引処理及びフィルム及び/又はアセンブリを通じて不活性ガスを最適に流すことができる。
【0069】
オーブンは、対応する不活性ガスゲートにより個々のセグメントに分割することができ、セグメントでは1又は複数回の熱分解及び/又は炭化ステップを、連続して、必要ならば、異なる温度段階、異なる不活性ガス及び/又は真空等の異なる熱分解及び/又は炭化条件下で実施しうる。
【0070】
さらに、還元若しくは酸化又は金属塩溶液等による含浸のような後処理ステップによる後活性化は、必要ならばオーブンの対応するセグメント内で実施しうる。
【0071】
あるいは、炭化も閉オーブン内で実施でき、これは熱分解及び/又は炭化が真空中で行われる場合に特に好ましい。
【0072】
本発明の工程における熱分解及び/又は炭化中に、出発物質及び用いた前処理により通常、約5〜95%、好ましくは約40%〜90%、特に50%〜70%のポリマーフィルムの重量が減少する。
【0073】
インプラント及び/又は基材上に生成した本発明の炭素ベースのコーティングは一般的に、出発物質、充填材料の量及び種類に応じて、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも25%、必要ならばまた少なくとも60%及び特に好ましくは少なくとも75%の炭素含有量である。本発明の特に好ましいコーティングは、少なくとも50重量%である。
【0074】
後処理
本発明の工程の好ましい実施形態において、炭素ベースコーティングの物理的及び化学的特性は、熱分解及び/又は炭化の後に適する処理ステップにより改良され、各場合に所望の使用目的に調整される。
【0075】
適する後処理は、例えば、水素、二酸化炭素、例えばN2O、蒸気、酸素、空気、硝酸同様、必要ならばこれらの混合物等の適する還元剤及び/又は酸化剤で、コーティングが処理される、還元又は酸化後処理ステップである。
【0076】
しかしながら、必要ならば、後処理ステップは、熱分解温度以下だが、例えば40℃〜1000℃、好ましくは70℃〜900℃、特に好ましくは100℃〜850℃、特に好ましくは200℃〜800℃、特に約700℃の高温で行いうる。特に好ましい実施形態において、本発明の生成されたコーティングは還元的若しくは酸化的に、又は室温でのこれらの後処理ステップの組合せにより改質される。
【0077】
添加剤、充填剤又は機能性物質の包含による酸化及び/又は還元処理により、本発明の生成されたコーティングの表面特性は、制御された方法で影響及び/又は改質される。例えば、シリケート層等の無機ナノ粒子又はナノ複合材を包含させることにより、コーティングの表面特性を親水性又は疎水性にすることができる。
【0078】
適する添加剤を包含して、本発明の生成されたコーティングにその後生体適合性表面を提供し、それらを医療用物質の担体又はデポーとして使用することができる。このためには、例えば医薬品又は酵素を材料に包含させることができ、必要ならばコーティングの適する遅延及び/又は選択的透過特性により、制御された方法で後者を遊離させうる。
【0079】
本発明の工程について、例えば、高温空気中での酸化、酸化性酸、アルカリ中での煮沸、又は炭化中に完全に分解し炭化層に孔を残す混合揮発性成分混合等の適切な酸化又は還元後処理ステップにより孔径を変えて、インプラント上のコーティングを適切に改質しうる。
【0080】
表面構造又は孔構造及びその特性をさらに改良するため、必要ならば炭化層に、他の任意の工程ステップ、いわゆるCVD工程(化学蒸気蒸着、chemical vapour deposition)又はCVI工程(化学蒸気浸透、chemical vapour infiltration)を施しうる。このために炭化コーティングを、炭素を分離させる適切な前駆物質ガスで高温にて処理する。ケイ素等の他の元素もそれにより蒸着させうる。そのような工程は長期間最新技術で知られている。
【0081】
CVD条件下で適切な揮発性の公知の飽和及び不飽和炭化水素のほぼ全てが、炭素を分離する前駆物質としての使用に適する。これらの例は、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、炭素数がC1-C20の直鎖及び分岐アルカン、アルケン及びアルキン、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、並びにトルエン、キシレン、クレゾール、スチレン、パリレン等の1又は複数のアルキル置換、アルケニル置換及びアルキニル置換芳香族である。
【0082】
セラミック前駆物質としては、BCl3、NH3、シラン、例えばSiH4、テトラエトキシシラン(TEOS)、ジクロロジメチルシラン(DDS)、メチルトリクロロシラン(MTS)、トリクロロシリルジクロロボラン(TDADB)、ヘキサジクロロメチルシリルオキシド(HDMSO)、AlCl3、TiCl3又はその混合物を用いうる。
【0083】
これらの前駆物質は、CVD工程において、概ね、約0.5〜15体積%の低濃度で、窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合物中で用いられる。対応する蒸着ガス混合物に水素を添加することもできる。500〜2000℃、好ましくは500〜1500℃、特に好ましくは700〜1300℃の温度において、上記化合物は、熱分解されたコーティングの孔系において本質的に均一に分散された方法でそれ自体蒸着し、その中の孔構造を改質し、それゆえ本質的に孔径及び孔分布を均質にする、炭化水素断片及び/又は炭素又はセラミック前駆物質を分離する。
【0084】
CVD法により、インプラント上の炭素含有層の孔は、孔が完全に閉鎖/密閉されるまで制御された方法で孔径を縮小しうる。その結果、インプラント表面の収着特性同様、機械的特性も目的に合わせた方法で調整しうる。
【0085】
必要ならば、炭化水素との混合物中でのシラン又はシロキサンのCVDにより、炭素含有インプラントコーティングは、例えば、カーバイド又はオキシカーバイドの形成による耐酸化方法で改質しうる。
【0086】
好ましい実施形態において、本発明のコーティングされたインプラントはスパッタ工程で、さらにコーティング及び/又は改質しうる。このため、炭素、ケイ素又は金属及び/又は金属化合物を、適切なスパッタ標的からそれ自体公知の方法で適用しうる。これらの例は、炭素含有層にダストとして導入しうるTi、Zr、Ta、W、Mo、Cr、Cuであり、概して対応するカーバイドが形成される。
【0087】
さらに、コーティングしたインプラントの表面特性は、イオンインプランテーションにより改良しうる。窒素のインプラントにより、それゆえ炭素含有インプラントコーティングの耐化学薬品性及び機械抵抗を実質的に改良する包含された遷移金属で、それゆえニトリド相、炭素ニトリド相又はオキシニトリド相を形成しうる。炭素のイオンインプランテーションは、コーティング及び圧縮後多孔性層の機械強度を向上させるために用いうる。
【0088】
さらに、ある実施形態の場合、例えばステント又は整形外科インプラントである、親油性活性物質の吸収に利用しうる表面コーティングインプラントを作るために、本発明の生成されたインプラントコーティングにフッ素添加することが好ましい。
【0089】
ある実施形態において、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;カゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)及びそのコポリマー又は非生分解性及び/又は再吸収性ポリマー等の生分解性及び/又は再吸収性ポリマーの少なくとも1つの他の層により、インプラント型器具を少なくとも部分的にコーティングすることが好都合でありうる。アニオン性、カチオン性又は両性コーティング、特に例えばアルギネート、カラギーナン;カルボキシメチルセルロース;キトサン、ポリ-L-リジン;及び/又はホスホリルコリンが好ましい。
【0090】
必要な限り、特に好ましい実施形態において、必要ならば、炭化及び/又は後処理ステップ後に、コーティングされたインプラントに他の化学的又は物理的表面改質を施しうる。考えられる残留物及び不純物の除去のための精製ステップを提供しうる。このため、酸、特に酸化性酸又は溶媒を用いることができ、酸又は溶媒中での煮沸が好ましい。
【0091】
医療用途に使用する前に、本発明のコーティングしたインプラントは、オートクレーブ処理、エチレンオキシド滅菌又はガンマ照射等の通常の方法により滅菌しうる。
【0092】
本発明のポリマーフィルムから生成された熱分解炭素自体は通常、高度に生体適合性の材料であり、インプラントの外部コーティング等の医療用途に用いられうる。本発明のコーティングされたインプラントの生体適合性はまた、上記のように、炭化前後の、添加剤、充填剤、タンパク質又は機能性物質及び/又は医薬品のポリマーフィルムへの包含により、制御された方法で影響及び/又は改良しうる。このように、本発明の生成されたインプラントの場合、体内の拒絶反応を減少又は完全に除去しうる。
【0093】
特に好ましい実施形態において、本発明の生成された炭素コーティング医療用インプラントは、基材から外部周囲へ活性物質を制御放出するために適用された炭素層の多孔性を制御して調整することにより用いられうる。好ましいコーティングは多孔性、特にナノ多孔性である。この場合、例えば医療用インプラント、特にステントもデポー効果を備えた薬剤の担体として使用でき、インプラントの炭素ベースコーティングを放出調節膜として適用されうる。
【0094】
薬剤を生体適合性コーティング上に適用しうる。このことは特に、金属の場合等の活性物質をインプラント内又はインプラント上に直接適用できない場合に有用である。
【0095】
さらに、本発明により生成されたコーティングは、他の工程ステップにおいて、コーティングされたインプラントの体内での所在を検索するための薬剤及び/若しくは医薬品又は標識、造影剤を、例えば治療又は診断量の放射性照射源も装填しうる。後者では、本発明の炭素に基づくコーティングは、放射線照射により悪影響を受けたり、攻撃されたりしないため、ポリマー層とは対照的に特に適する。
【0096】
医療分野において、炭素ベースコーティングが、特に高い応力を受ける関節の場合、ひび割れが生じたり、層が剥離する危険をおかすことなく、強度が高レベルであるだけでなく、それらがインプラントの運動に従いうるよう、その弾性及び柔軟性を調整しうるため、本発明のコーティングされたインプラントは、長期間特に安定であることが判明している。
【0097】
本発明によりインプラント上に適用されたコーティングの多孔性は特に、酸素雰囲気又は酸素含有雰囲気中にて高温での活性化により、又は濃硝酸等の強い酸化性酸の使用等の酸化剤を用いた後処理により、インプラント上の炭素含有表面が体組織の内部成長を許容及び促進するような方法で調整しうる。このため、適した層は、0.1μm〜1000μm、好ましくは1μm〜400μmの孔径のマクロ孔質である。適する多孔性は、インプラント又はポリマーフィルムの対応する事前構造化によっても影響を受けうる。この点で適する手段は、ポリマーフィルムのエンボス加工、パンチング、穿孔、発泡である。
【0098】
活性物質コーティング
好ましい実施形態において、本発明の生体適合的方法でコーティングされたインプラントに、微生物又は生細胞を含む活性物質を装填しうる。活性物質の装填は、炭素含有コーティング中又は上で、吸着、吸収、物理吸着、化学吸着等の適当な収着方法により、最も簡便には炭素含有コーティングを活性物質の溶液、適当な溶媒中の活性物質の分散物又は活性物質の懸濁物に浸漬して行いうる。炭素含有コーティング中又は上での活性物質の共有又は非共有結合も、用いた活性物質及びその化学特性に応じて、本場合の好ましい選択肢でありうる。
【0099】
多孔性の炭素含有コーティングにおいて、活性物質を孔に吸蔵させることができる。
【0100】
活性物質の装填は一時的でもよく、例えば医療用器具のインプラント後、あるいは活性物質が炭素含有層内又は炭素含有層上に永久に固定化された後に、活性物質を遊離することができる。このように、活性物質を含有する医療用インプラントを静的、動的又は複合静的及び動的活性物質装填を用いて製造しうる。このように、本発明で生成された炭素含有層に基づく多機能性コーティングが得られる。
【0101】
活性物質の静的装填の場合、活性物質はコーティング上又は内に本質的に永久固定される。このために使用しうる活性物質は、ヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、トリカルシウムホスフェート(TCP)、亜鉛等の無機物質及び/若しくは、ペプチド、タンパク質;モノサッカライド、オリゴサッカライド及びポリサッカライド等の炭水化物、脂質、リン脂質、ステロイド、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチド又は抗体及び/若しくは抗体断片;ポリラクトン酸、キトサン等の生体吸収性ポリマー、及び薬理学的活性物質等の有機物質、又は物質の混合物、これらの組合せ等である。
【0102】
活性物質の動的装填の場合、体内への医療器具のインプランテーション後、適用された活性物質が放出される。このように、コーティングされたインプラントは治療目的に使用でき、インプラント上に適用された活性物質はインプラントの使用部位において、局所的及び連続的に遊離される。活性物質の放出のために活性物質の動的装填で使用しうる活性物質は、例えば、ヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、トリカルシウムホスフェート(TCP)、亜鉛;及び/又はペプチド、タンパク質;モノサッカライド、オリゴサッカライド及びポリサッカライド等の炭水化物、脂質、リン脂質、ステロイド、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチド又は抗体及び/又は抗体断片、例えばポリラクトン酸、キトサン等の生体吸収性ポリマー、及び薬理学的活性物質等の有機物質、あるいは物質の混合物からなる。
【0103】
本発明のコーティングされたインプラント型医療用器具の静的及び/又は動的装填に適する薬理学的に有効な物質又は物質の混合物は、ヘパリン、合成ヘパリン類似物質(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコジンアルファ;線維素溶解剤、例えばアルテプラーゼ、プラスミン、リソキナーゼ、第XIIa因子、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ;血小板凝集阻害物質、例えばアセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキマブ、デキストラン;コルチコステロイド、例えばアルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベータメタゾン、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、モメタソン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン;いわゆる非ステロイド性抗炎症薬、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;細胞成長抑止剤、例えばアルカロイド及びポドフィルム毒素、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキラント、例えばニトロソウレア、窒素損失類似物質;細胞傷害性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン並びに他のアントラサイクリン及び関連物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;アンチメタボライト、例えば葉酸類似物質、プリン類似物質又はプリミジン類似物質;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;プラチナ化合物、例えばカルボプラチナム、シスプラチナム又はオキサリプラチナム;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ;トポテカン、インターフェロン-アルファ2a、インターフェロン-アルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポリフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン;抗不整脈治療薬、特にクラスIの抗不整脈治療薬、例えばキニジン型の抗不整脈治療薬、例えばキニジン、ジソピラミド、アジマリン、プラジャマリウムビタートレート、デタジュミウムビタートレート;リドカイン型の抗不整脈治療薬、例えばリドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド;クラスICの抗不整脈治療薬、例えばプロパフェノン、フレカイニド(アセテート);クラスIIの抗不整脈治療薬、ベータ受容体ブロッカー、例えばメトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール;クラスIIIの抗不整脈治療薬、例えばアミオダロン、ソタロール;クラスIVの抗不整脈治療薬、例えばジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル;他の抗不整脈治療薬、例えばアデノシン、オルシプレナリン、イプラトロピウムブロミド;心筋における血管形成を刺激するための薬剤、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、非ウィルス性DNA、ウィルス性DNA、内皮増殖因子:FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC);ジギタリスグリコシド、例えばアセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン;心臓グリコシド、例えばウアバイン、プロスシラリジン;抗高血圧薬、例えば中枢に有効な抗アドレナリン作用物質、例えばメチルドーパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;ジヒドロピリジン型のカルシウムチャネルブロッカー、例えばニフェジピン、ニトレンジピン、ACE阻害物質:キナプリレート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンギオテンシン-II-アンタゴニスト:カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢に有効なアルファ受容体ブロッカー、例えばプラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬、例えばジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム;他の抗高血圧薬、例えばインダパミド、コデルゴクリンメシラート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン、フルドロコルチゾン;ホスホジエステラーゼ阻害物質、例えばミルリノン、エノキシモン及び抗低血圧薬、例えば特にアドレナリン作用薬及びドーパミン作用性物質、例えばドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェンフリン、ノルエピネフリン、オキシロフリン、ドーパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメジニウムメチル;及び部分アデノ受容体アゴニスト、例えばジヒドロエルゴタミン;フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、炎症性サイトカイン、例えば:TGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン;同様、粘着性物質、例えばシアノアクリレート、ベリリウム、シリカ;及び増殖因子、例えばエリスロポイエチン、ホルモン、例えばコルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン同様、調節ペプチド、例えばソマトスタチン、オクトレオチド;骨及び軟骨刺激ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)、特に組換えBMP、例えば組換えヒトBMP-2(rhBMP-2))、ビスホスホネート(例えばリセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フルオリド、例えばジナトリウムフルオロホスフェート、ナトリウムフルオリド;カルシトニン、ジヒドロタキスチレン;増殖因子及びサイトカイン、例えば上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、形質転換増殖因子-b TGF-b)、形質転換増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポイエチン(Epo)、インスリン様増殖因子-I(IGF-I)、インスリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF);単球走化性タンパク質;線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリン又はフィブリノーゲン、エンドセリン-1、アンギオテンシンii、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルジド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミド及びエタノール;又は銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質及び抗感染症薬、例えば特にβ−ラクタム抗生物質、例えばβ−ラクタマーゼ感受性ペニシリン、例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV);β−ラクタマーゼ耐性ペニシリン、例えばアミノペニシリン、例えばアモキシシリン、アムピシリン、バカンピシリン;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン;カルボキシペニシリン、セファロスポリン、例えばセファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシムアキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル;アズトレオナム、エルタペネム、メロペネム;β-ラクタマーゼ阻害物質、例えばスルバクタム、スルタミシリントシラート;テトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン;アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラマイセチン、スペクチノマイシン;マクロリド抗生物質、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン;リンコサミド、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、ギラーゼ阻害物質、例えばフルオロキノロン、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン;キノロン、例えばピペミド酸;スルホンアミド、トリメトプリム、スルファジアジン、スルファレン;糖ペプチド抗生物質、例えばバンコマイシン、テイコプラニン;ポリペプチド抗生物質、例えばポリミキシン、例えばコリスチン、ポリミキシン-b、ニトロイミダゾール誘導体、例えばメトロニダゾール、チニダゾール;アミノキノロン、例えばクロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン;ビグアニド、例えばプログアニル;キニンアルカロイド及びジアミノピリミジン、例えばピリメタミン;アンフェニコール、例えばクロラムフェニコール;リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサファンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド;ウィルス抑制剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォルビル、ブリブジン;抗レトロウィルス活性物質(ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質及び誘導体)、例えばラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォルビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質;アンプレナビル、インディナビル、サクイナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル;アマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル及びラミブジン同様、その所望の組合せ及び混合物から選択される、活性物質又は活性物質の組合せを含む。
【0104】
ステント
本発明の工程により作製しうる、本発明の特に好ましい実施形態は、コーティング血管内部人工器官(管腔内内部人工器官)、例えばステント、冠動脈ステント、血管内ステント、末梢ステント等からなる。
【0105】
これらは簡単な生体適合的な方法で、本発明の工程でコーティングでき、その結果、例えば経皮経腔的血管形成術での従来のステントでは頻繁に起こる再狭窄を防止しうる。
【0106】
本発明の好ましい実施形態において、例えば高温の空気で炭素含有コーティングを活性化するとコーティングの親水性が向上され、これにより生体適合性がさらに改善される。
【0107】
特に好ましい実施形態において、本発明の工程による炭素含有層を装備したステント、特に冠動脈ステント及び末梢ステントに、薬理学的に有効な物質又は物質の混合物を装填する。例えば、細胞接着、血小板凝集、補体活性化及び/又は炎症組織反応又は細胞増殖の局部的抑制のために、ステント表面に以下の活性物質を装備することができる:
【0108】
ヘパリン、合成ヘパリン類似物質(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコジンアルファ;線維素溶解剤(アルテプラーゼ、プラスミン、リソキナーゼ、第XIIa因子、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ)、血小板凝集阻害物質(アセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキマブ、デキストラン)、コルチコステロイド(アルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベータメタゾン、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、モメタソン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン)、いわゆる非ステロイド性抗炎症薬(ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ)、細胞成長抑止剤(アルカロイド及びポドフィルム毒素、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキラント、例えばニトロソウレア、窒素損失類似物質;細胞傷害性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン並びに他のアントラサイクリン及び関連物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;アンチメタボライト、例えば葉酸類似物質、プリン類似物質又はプリミジン類似物質;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;プラチナ化合物、例えばカルボプラチナム、シスプラチナム又はオキサリプラチナム;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ;トポテカン、インターフェロン-アルファ2a、インターフェロン-アルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポリフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン、抗アンドロゲン、抗エストロゲン)。
【0109】
全身的な心臓効果のため、本発明のコーティングされたステントは以下を装填しうる:
抗不整脈治療薬、特にクラスIの抗不整脈治療薬(キニジン、ジソピラミド、アジマリン、プラジャマリウムビタートレート、デタジュミウムビタートレート等のキニジン型の抗不整脈治療薬;リドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド等のリドカイン型の抗不整脈治療薬;プロパフェノン、フレカイニド(アセテート))等のクラスICの抗不整脈治療薬;メトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール)等のクラスIIの抗不整脈治療薬(ベータ受容体ブロッカー)(ベータ受容体ブロッカー;クラスIIIの抗不整脈治療薬(アミオダロン、ソタロール)、クラスIVの抗不整脈治療薬(ジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル)、アデノシン、オルシプレナリン、イプラトロピウムブロミド等の他の抗不整脈治療薬;心筋における血管形成を刺激するための薬剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、非ウィルス性DNA、ウィルス性DNA、内皮増殖因子:FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC)を装填しうる。他の強心剤は:ジギタリスグリコシド(アセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン)、他の心臓グリコシド(ウアバイン、プロスシラリジン)である。また抗高血圧薬(中枢に有効な抗アドレナリン作用物質;メチルドーパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;ニフェジピン、ニトレンジピン等のジヒドロピリジン型のカルシウムチャネルブロッカー;ACE阻害物質:キナプリレート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンギオテンシン-II-アンタゴニスト:カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢に有効なアルファ受容体ブロッカー;プラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬:ジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム)、インダパミド、コデルゴクリンメシラート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン等の他の抗高血圧薬がある。またホスホジエステラーゼ阻害物質(ミルリノン、エノキシモン)及び抗低血圧薬、ここでは特にアドレナリン作用薬及びドーパミン作用性物質(ドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェンフリン、ノルエピネフリン、オキシロフリン、ドーパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメジニウムメチル)、部分アデノ受容体アゴニスト(ジヒドロエルゴタミン)、最後にフルドロコルチゾン等の他の抗低血圧薬がある。
【0110】
組織接着を向上させるため、特に末梢ステントの場合に、細胞外マトリクス、フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、TGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン等の炎症性サイトカイン;及びシアノアクリレート、ベリリウム又はシリカ等の粘着性物質を用いうる。
【0111】
本目的に適する全身及び/又は局所効果がある他の物質は、増殖因子、エリスロポイエチンである。
【0112】
ホルモンの使用、例えばコルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン同様ソマトスタチン及び/又はオクトレオチド等の調節ペプチドもステントコーティング内に供給しうる。
【0113】
整形外科インプラント
外科及び整形外科インプラントの場合、マクロ孔質である1又は複数の炭素含有層をインプラントに装備させることが好都合である。適する孔径は、周囲細胞組織又は骨組織への内側増殖によるインプラントの組込み改善を促進するため、0.1〜1000μm、好ましくは1〜400μmの範囲である。
【0114】
さらに、本発明のコーティングされた整形外科及び非整形外科インプラント及び心臓弁又は人工心臓部品が活性物質を備えていれば、細胞接着、血小板凝集、補体活性化及び/又は炎症組織反応又は細胞増殖の局部的抑制のための上記ステント用途と同じ活性物質を用いうる。
【0115】
さらに、以下の活性物質は、組織増殖を刺激し、特に整形外科インプラントでは、優れたインプラント融合に用いうる:骨及び軟骨刺激ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)、特に組換えBMP、例えば組換えヒトBMP-2(rhBMP-2)、ビスホスホネート(例えばリセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フルオリド(ジナトリウムフルオロホスフェート、ナトリウムフルオリド;カルシトニン、ジヒドロタキスチレン)。また、上皮増殖因子(ECF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、形質転換増殖因子-b TGF-b)、形質転換増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポイエチン(Epo)、インスリン様増殖因子-I(IGF-I)、インスリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF)等の増殖因子及びサイトカイン全て。上記炎症性サイトカイン以外の他の接着及び融合促進物質は、単球走化性タンパク質;線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリン又はフィブリノーゲン、エンドセリン-1、アンギオテンシンII、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルギド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミド、エタノールである。
【0116】
特定の実施形態
加えて、抗菌/抗感染コーティングで、本発明のコーティングされたインプラント、特にステント等を提供することができ、医薬品の代わりに、又は加えて、以下の物質又は物質の混合物が使用に適する:銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質及び抗感染症薬。特にβ−ラクタム抗生物質(β−ラクタム抗生物質、ベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV)等のβ−ラクタマーゼ感受性ペニシリン;アミノペニシリン、例えばアモキシシリン、アムピシリン、バカンピシリン等のβ−ラクタマーゼ耐性ペニシリン、;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン;カルボキシペニシリン、セファロスポリン(セファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシムアキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル)又は他の例えば、アズトレオナム、エルタペネム、メロペネム。他の抗生物質は、β−ラクタマーゼ阻害物質(スルバクタム、スルタミシリントシラート)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、アミノグリコシド(ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラマイセチン、スペクチノマイシン)、マクロリド抗生物質(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン)、リンコサミド(クリンダマイシン、リンコマイシン)、ギラーゼ阻害物質(シプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン等のフルオロキノロン、;ピペミド酸等の他のキノロン、)、スルホンアミド及びトリメトプリム(スルファジアジン、スルファレン、トリメトプリム)糖ペプチド抗生物質(バンコマイシン、テイコプラニン)、ポリペプチド抗生物質(コリスチン、ポリミキシン-B等のポリミキシン)、ニトロイミダゾール誘導体(メトロニダゾール、チニダゾール)、アミノキノロン(クロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン)、ビグアニド(プログアニル)キニンアルカロイド及びジアミノピリミジン(ピリメタミン)、アンフェニコール(クロラムフェニコール)及び他の抗生物質(リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサファンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド)。ウィルス抑制剤では、以下は言及するに値する:アシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォルビル、ブリブジン。これらは抗レトロウィルス活性物質(ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質及び誘導体:ラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォルビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質;アンプレナビル、インディナビル、サクイナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル)及び他のウィルス抑制剤、例えばアマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル及びラミブジンを含む。
【0117】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明で生成された炭素含有層は、例えば親水性、疎水性、電動度、接着及び他の表面特性を改良するために、他の薬剤を使用して、活性物質の装填の前又は後にその化学又は物理特性を適切に改良しうる。本目的の使用に適する物質は、生分解性又は非生分解性ポリマーであり、例えば生分解性ポリマーの場合は例えば:コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;またカゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸及びその全てのコポリマーである。
【0118】
非生分解性ポリマーは:ポリ(エチレンビニルアセテート)、シリコーン、アクリルポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、;ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテートフタレート)等のビニルポリマーを含む。
【0119】
一般的に、アニオン特性(例えばアルギネート、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース)又はカチオン特性(例えばキトサン、ポリ-L-リジン等)又は両方(ホスホリルコリン)のポリマーを生成しうるといわれている。
【0120】
活性物質を含有し、本発明によりコーティングされたインプラントの放出特性を改良するために、例えばさらにポリマーを適用することにより、特定のpH依存性又は温度依存性放出特性を付与させうる。pH感受性ポリマーは例えば、ポリ(アクリル酸)及び、ポリ(アミノカルボン酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルアクリル酸)等のホモポリマー、及びそのコポリマー等の誘導体である。これはまた、セルロースアセーテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、セルロースアセテート、トリメリテート及びキトサン等のポリサッカライドにも適用される。熱感受性ポリマーは例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミドコナトリウムアクリレート-co-n-N-アルキルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルメタアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,n-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルメタクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)である。サーモゲル特徴を備えた他のポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びF-127、L-122、L-92、L-81、L-61等のプルロニックである。
【0121】
一方、炭素含有層の孔で(非共有的に、共有的に)吸収される活性物質は、該放出が主に孔径及び孔の幾何構造で制御されうる。化学改質(アニオン性、カチオン性)による多孔性炭素層の他の改良は、放出を例えばpHの関数として改良しうる。他の用途は、マイクロカプセル、リポソーム、ナノカプセル、ナノ粒子、ミセル、合成リン脂質、ガス分散物、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノスフィア等の活性物質を含有する担体の放出からなり、それは炭素含有層の孔に吸収され、次に治療的に放出される。炭素層の他の共有的又は非共有的改質により、生物活性物質が保護されるように孔を閉塞しうる。これに適するのは、既に上記したポリサッカライド、脂質等だけでなく、上記ポリマーでもある。
【0122】
本発明により生成した多孔性炭素含有層の他のコーティングに関して、その結果物理バリア、例えば不活性生分解性物質(例えばポリ-L-リジン、フィブロネクチン、キトサン、ヘパリン等)と生物活性バリアを識別しうる。後者は、生理的に生物活性化され、活性物質及び/又はその担体を放出させる、立体的に妨害された分子からなる。例は、放出を仲介し、生物活性物質を活性化するか、又は非活性コーティングと結合し、活性物質を露出する、酵素である。特に本明細書に挙げた機構及び特性は全て、本発明で生成した一次炭素層と、さらに追加して適用された層の両方に用いられうる。
【0123】
本発明によりコーティングされたインプラントは、特定の用途で、生細胞又は微生物を装填しうる。これらは適切な多孔性炭素含有層に定着でき、次にそのように占有されたインプラントに、細胞又は微生物により生成された栄養素及び活性物質に対して透過性であるが、細胞自体には透過性でない、インプラントの被覆に適する膜を提供しうる。
【0124】
このように、例えば本発明の技術を用いてインプラントを製造することができ、そのインプラントはインスリン生成細胞を含有し、インプラント後に、周囲のグルコースレベルの関数としてインスリンを生成及び放出する。
【0125】
以下の実施例は、本発明の本質を例示するためであり、これにより限定されるものではない。詳細には、様々なインプラント又はインプラント材料、特に生体適合性に関するものが本発明の工程によりコーティングされ、その特性が判定される。
【実施例1】
【0126】
炭素
本発明のコーティングされた炭素材料を次のように作製した:物質重量38g/m2の紙に、ドクターブレードを用いてポリマーフィルムを市販のエポキシ化フェノール樹脂ワニスで当該紙を繰返しコーティングし、室温で乾燥して適用した。乾燥重量は125g/m2であった。800℃48時間以上窒素中で熱分解すると20%の収縮及び57%の重量損失が生じ、熱分解条件下で紙からそのまま形成された厚さ40マイクロメートルの開放孔炭素担体上の、本発明の緻密な10マイクロメートルの炭素含有層で、次の寸法、全厚50マイクロメートルの非対称構成炭素シートが得られた。コーティングした炭素材料の吸収能力は、エタノール18g/m2に達した。
【実施例2】
【0127】
ガラス
Duroplan(登録商標)ガラスを界面活性剤含有水浴中で15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を、フェノール樹脂に基づく市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングで、適用重量2.0x10-4g/cm2でコーティングする。次に800℃48時間窒素中での炭化後は、コーティングが0.33x10-4g/cm2まで重量損失する。炭化後、以前は無色のコーティングが光沢のある黒色に変化し、もはやほとんど透過性はない。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引する鉛筆を用いたコーティング硬度試験では、表面の視覚的に感知しうる損傷は5Hの硬度まで全く生じない。
【実施例3】
【0128】
ガラス、CVDコーティング(参照実施例)
Duroplan(登録商標)ガラスを15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を化学気相蒸着(CVD)により炭素0.05x10-4g/cm2でコーティングする。このため、温度が30℃のベンゼンをブラバラー(blubberer)内で窒素流を介して温度が1000℃のガラス表面に30分間接触させ、ガラス表面に膜として蒸着させる。蒸着後、以前は無色のコーティングが、光沢のある灰色に変化し、中程度に透明である。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引する鉛筆を用いたコーティング硬度試験は、表面の視覚的に感知しうる損傷は6Bの硬度まで全く生じない。
【実施例4】
【0129】
ガラス繊維
直径200マイクロメートルのDuroplan(登録商標)ガラス繊維を15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングにより、適用重量2.0x10-4g/cm2でコーティングする。その後800℃で48時間の炭化による熱分解後に、コーティングは0.33x10-4g/cm2まで重量が損失した。炭化後、以前は無色のコーティングが、光沢のある黒色に変化し、もはやほとんど透過性はない。180°の半径での曲げによるコーティングの付着試験は、表面に剥離、すなわち視覚的に検知しうる損傷が全く起きない。
【実施例5】
【0130】
ステンレス鋼
0.1mm箔の形態のステンレス鋼1.4301(Goodfellow)を15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングにより、適用重量2.0x10-4g/cm2でコーティングする。その後800℃、48時間窒素中で炭化による熱分解後に、コーティングは0.49x10-4g/cm2まで重量が損失した。炭化後、以前は無色のコーティングが、つや消し黒色に変化する。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引する鉛筆を用いたコーティング硬度試験は、表面で視覚的に感知しうる損傷は4Bの硬度まで全く生じない。
【0131】
少なくとも長さ3cmのTesa(登録商標)テープ片の表面を親指で60秒間接着し、次に表面から90°の角度で再度剥離する接着テープ剥離試験では概ね接着片が生じなかった。
【実施例6】
【0132】
ステンレス鋼、CVDコーティング(参照実施例)
0.1mm箔の形態のステンレス鋼1.4301(Goodfellow)を15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を、化学気相蒸着(CVD)により0.20x10-4g/cm2でコーティングする。このため、温度が30℃のベンゼンをブラバラー(blubberer)内で窒素流を介して30分間、温度が1000℃の金属表面に接触させて高温で分解し、金属表面に膜として蒸着させる。蒸着後、以前は金属光沢のある表面が光沢のある黒色に変化した。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引される鉛筆を用いたコーティング硬度試験は、表面に視覚的に感知しうる損傷は4Bの硬度まで全く生じない。
少なくとも長さ3cmのTesa(登録商標)テープ片を表面に親指を用いて60秒間接着させ、次に表面から90°の角度で再度剥離する接着テープ剥離試験では、明視しうる灰色の接着片が生じる。
【実施例7】
【0133】
チタン
0.1mm箔の形態のチタン99.6%(Goodfellow)を15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングにより、2.2x10-4g/cm2でコーティングする。その後800℃48時間、窒素中での炭化による熱分解後に、コーティングは0.73x10-4g/cm2まで重量が損失した。以前は無色のコーティングが、つや無し光沢の灰色味の黒色に変化する。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引する鉛筆を用いたコーティング硬度試験は、表面に視覚的に感知しうる損傷は8Hの硬度まで全く生じない。ペーパークリップでもコーティングに引っかき傷はつけられない。少なくとも長さ3cmのTesa(登録商標)テープ片を表面に親指を用いて60秒間接着させ、次に表面から90°の角度で再度剥離する剥離試験では、接着片は全くなかった。
【実施例8】
【0134】
チタン、CVDによる改良
0.1mmシートとしてのチタン99.6%(Goodfellow)を15分間超音波洗浄し、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させた。本材料を市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングにより、2.2x10-4g/cm2でコーティングする。その後800℃48時間、窒素中で炭化による熱分解後に、コーティングは0.73x-4g/cm2まで重量が損失する。本材料を、化学気相蒸着(CVD)により炭素0.10x10-4g/cm2でさらにコーティングする。このため、温度が30℃のベンゼンをブラバラー(blubberer)内で窒素流を介し30分間温度が1000℃の金属表面に接触させ、分解させ、金属表面に膜として蒸着させる。蒸着後、以前は金属光沢のある表面が光沢のある黒色に変化する。400℃まで冷却後、さらに3時間空気を通過させて表面を酸化する。コーティング表面上で45°の角度で1kgのおもりと共に牽引する鉛筆を用いたコーティング硬度試験は、表面に視覚的に感知しうる損傷を8Hの硬度まで全く生じない。少なくとも長さ3cmのTesa(登録商標)テープ片を表面に親指を用いて60秒間接着させ、次に表面から90°の角度で再度剥離する接着テープ剥離試験では、灰色の接着片が生じる。
【実施例9】
【0135】
チタン表面の生体適合性を、インビトロのペトリ皿モデルで通常の試験方法を用いて試験する。このために、サイズ16cm2の試験片を実施例2、7及び8のコーティング材料から打抜き、血液で37℃、5%CO2中で3時間培養する。比較のため、同サイズの未コーティング材料のチタン及びガラスの表面でも検査した。実験はn=3のドナーで実施し、各表面につき3個のサンプル体を測定した。サンプルはそれ相応に調製し、各種のパラメータ(血小板、TAT(トロンビン−抗トロンビン複合体)及びC5a活性化)を決定した。
【0136】
参照標準を得るため、ほぼ理想的で極めて最適な生体適合性及び2種類の市販の透析膜(Cuprophan(登録商標)及びHemophan(登録商標))に相当する対照としてのブランク値に対して測定値を試験する。結果を表Iにまとめる。
【表1】

【0137】
結果は、透析膜との比較及び未コーティングサンプルとの比較において、共に、本発明の実施例の生体適合性は、部分的に実質的に改良されたことを示す。
【実施例10】
【0138】
細胞増殖試験
実施例8のコーティングされたチタン表面及び実施例1のアモルファス炭素を、マウスL929線維芽細胞の細胞増殖についてさらに試験した。未コーティングチタン表面を比較のために用いた。このため、1サンプル体当たり3x104細胞を予め滅菌したサンプルに適用し、最適条件下で4日間培養した。次に細胞を回収し、培地4ml当たりの細胞数を自動的に決定した。各サンプルを2回測定し、平均値を算定した。結果を表IIに示す。
【表2】

【0139】
当該実験は印象的な態様で、特に2つのチタン表面を比較した場合、本発明のコーティングした表面の生体適合性及び細胞増殖促進効果を示す。
【実施例11】
【0140】
コーティングステント
Baun Melsungen AGから市販されている金属ステント、Coroflex型、2.5x19mmを、界面活性剤含有水浴中で超音波洗浄を15分間行い、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させる。本材料を、フェノール樹脂/メラミン樹脂に基づく市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングで、2.0x10-4g/cm2にコーティングする。その後800℃48時間、窒素中で炭化による熱分解後に、コーティングは0.49x10-4g/cm2まで重量が損失する。以前は非常に光沢のある金属表面がつや消し黒色に変化する。6バールのステントの公称サイズ2.5mmまでの膨張によるコーティングの付着試験のため、コーティングしたステントをバルーンカテーテルで膨張させた。その後の顕微鏡レンズの視覚的評価では、金属表面から均質コーティングは全く剥離を示さなかった。本多孔性層の吸収能力はエタノール0.005gにも達した。
【実施例12】
【0141】
コーティングカーボステント
Sorin Biomedicaから市販されている炭素コーティング金属ステント、Radix Carbostent型、5x12mmを、超音波洗浄を15分間行い、蒸留水及びアセトンですすぎ、乾燥させる。本材料を、フェノール樹脂/メラミン樹脂に基づく市販の個装ワニスを用いた浸漬コーティングで、2.0x-4g/cm2にコーティングする。その後800℃48時間、窒素中で炭化による熱分解後に、コーティングは0.49x10-4g/cm2まで重量が損失する。炭化後に、以前は黒色の表面がつや消し黒色に変化する。6バールでのステントの公称サイズ5mmまでの膨張によるコーティングの付着試験のため、コーティングしたステントを膨張させた。その後の顕微鏡レンズでの視覚的評価では、金属表面から均質コーティングは全く剥離を示さなかった。本多孔性層の吸収能力は、エタノール0.005gにも達した。
【実施例13】
【0142】
活性化
実施例12によるコーティングステントを400℃で8時間活性化させる。本工程の間、炭素コーティングは多孔性炭素に変換される。6バールでのステントの公称サイズ5mmまでの膨張によるコーティングの付着試験のため、コーティングしたステントを膨張させた。その後の顕微鏡レンズ下の視覚的評価では、金属表面からの均質コーティングは全く剥離を示さなかった。上記ステントモデルのこの今現在の多孔性層の吸収能力は、エタノール0.007gにも達し、炭素含有層の他の活性化により吸収能力がさらに向上したことを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント型医療用器具に生体適合性コーティングを生成させる工程であって:
a)ポリマーフィルムを用いて適切なコーティング及び/又は適用工程により、医療用器具を少なくとも部分的にコーティングするステップと;
b)実質的に酸素を含まない雰囲気中でポリマーフィルムを200℃〜2500℃の範囲に加熱するステップと;
を含む工程。
【請求項2】
インプラント型医療用器具が、炭素、炭素複合材料、炭素繊維、セラミック、ガラス、金属、合金、骨、石、鉱物又はこれらの前駆物質から選択される材料、又は、炭化条件下でその熱安定性状態に変換される材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
インプラント型医療用器具が、血管内部人工器官、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、整形外科用ステント、人工骨又は関節、人工心臓、人工心臓弁、皮下及び/又は筋肉内インプラント等から選択される、医療用又は治療用インプラントであることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項4】
ポリマーフィルムが:脂肪族又は芳香族ポリオレフィンのホモポリマー又はコポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン;ポリブタジエン;ポリビニル、例えばポリビニルクロライド又はポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリマー、例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;ワックス、パラフィンワックス、Fischer-Tropsch ワックス;カゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマレイン酸、ポリタルトロン酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアセテートフタレート)同様、そのコポリマー、これらのホモポリマー又はコポリマーの混合物及び組合せを含むことを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項5】
ポリマーフィルムが、アルキド樹脂、塩素化ゴム、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、アルキルフェノール樹脂、エポキシ化芳香族樹脂、オイルベース、ニトロベース、ポリエステル、ポリウレタン、タール、タール様物質、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、ワックス、シェラック、再生可能原材料の有機材料又はその組合せを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の工程。
【請求項6】
ポリマーフィルムが、液体ポリマー又は適切な溶媒若しくは溶媒混合物中のポリマー溶液として、必要ならば引き続き乾燥させるか、あるいは固体ポリマーとして、必要ならばシーティング又はスプレー可能な粒子の形態で適用されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項7】
ポリマーフィルムが、積層化、接着、浸漬、スプレー処理、プリンティング、ヘラ付け、スピンコーティング、粉末コーティング又はフレームスプレー処理により器具に適用されることを特徴とする、請求項6に記載の工程。
【請求項8】
化学又は物理気相蒸着(CVD又はPVD)により、炭素及び/又はケイ素を蒸着するステップをさらに含む、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項9】
炭素及び/若しくはケイ素並びに/又は金属のスパッタ適用をさらに含む、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項10】
炭素含有層が、イオンインプランテーションにより改質されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項11】
炭素含有層が、酸化剤及び/又は還元剤を用いて後処理される、好ましくはコーティングされた器具を酸化性酸又はアルカリ中で処理することにより化学的に改質されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項12】
炭素含有層が、溶媒又は溶媒混合物により精製されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項13】
ポリマーフィルム若しくは基材の前構造化又は個々の層の適切な酸化処理により、炭素含有多層コーティング、好ましくは多孔性が異なる炭素含有多層コーティングを得るために、ステップa)及びb)が反復して実行されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項14】
ステップa)において、複数のポリマーフィルム層が相互に上に適用されることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項15】
炭素含有コーティング医療用器具が、生分解性及び/若しくは吸収性ポリマー又は非生分解性若しくは吸収性ポリマーの少なくとも1つの他の層により、少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項16】
生分解性又は吸収性ポリマーが、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;カゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマレイン酸、ポリタルトロン酸、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸及びそのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の工程。
【請求項17】
器具上の炭素含有コーティングが、少なくとも1つの活性物質、微生物又は生細胞で装填されていることを特徴とする、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項18】
少なくとも1つの活性物質が、吸着、吸収、物理吸着、化学吸着、共有結合若しくは非共有結合、静電気固定又は閉塞により、孔内又はコーティング内に、適用及び/又は固定化されることを特徴とする、請求項17に記載の工程。
【請求項19】
少なくとも1つの活性物質が、本質的に永久にコーティング上又はコーティング内に固定化されることを特徴とする、請求項17又は18のいずれか1項記載の工程。
【請求項20】
活性物質が、無機物質、例えばヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、トリカルシウムホスフェート(TCP)、亜鉛;並びに/又は有機物質、例えばペプチド、タンパク質、炭水化物、例えばモノサッカライド、オリゴサッカライド及びポリサッカライド、脂質、リン脂質、ステロイド、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチド又は抗体及び/若しくは抗体断片、生体吸収性ポリマー、例えばポリラクトン酸、キトサン及び薬理学的活性物質又は物質の混合物、これらの組合せ等を含むことを特徴とする、請求項19に記載の工程。
【請求項21】
コーティング内又はコーティング上に含有された、少なくとも1つの活性物質が制御された方法でコーティングから放出されることを特徴とする、請求項17又は18のいずれか1項記載の工程。
【請求項22】
制御された方法で放出されうる活性物質が、無機物質、例えばヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、トリカルシウムホスフェート(TCP)、亜鉛;及び/若しくは有機物質、例えばペプチド、タンパク質、炭水化物、例えばモノサッカライド、オリゴサッカライド及びポリサッカライド、脂質、リン脂質、ステロイド、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチド又は抗体及び/若しくは抗体断片、生体吸収性ポリマー、例えばポリラクトン酸、キトサン及び薬理学的に活性な物質又は物質の混合物を含むことを特徴とする、請求項21に記載の工程。
【請求項23】
薬理学的に有効な物質が、ヘパリン、合成ヘパリン類似物質(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコジンアルファ;線維素溶解剤、例えばアルテプラーゼ、プラスミン、リソキナーゼ、第XIIa因子、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ;血小板凝集阻害物質、例えばアセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキマブ、デキストラン;コルチコステロイド、例えばアルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベータメタゾン、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、モメタソン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン;いわゆる非ステロイド性抗炎症薬、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;細胞成長抑止剤、例えばアルカロイド及びポドフィルム毒素、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキラント、例えばニトロソウレア、窒素損失類似物質;細胞傷害性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン並びに他のアントラサイクリン及び関連物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;アンチメタボライト、例えば葉酸類似物質、プリン類似物質又はプリミジン類似物質;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;プラチナ化合物、例えばカルボプラチナム、シスプラチナム又はオキサリプラチナム;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ;トポテカン、インターフェロン−アルファ2a、インターフェロン−アルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポリフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン、抗アンドロゲン、及び抗エストロゲン;抗不整脈治療薬、特にクラスIの抗不整脈治療薬、例えばキニジン型の抗不整脈治療薬、例えばキニジン、ジソピラミド、アジマリン、プラジャマリウムビタートレート、デタジュミウムビタートレート;リドカイン型の抗不整脈治療薬、例えばリドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド;クラスICの抗不整脈治療薬、例えばプロパフェノン、フレカイニド(アセテート);クラスIIの抗不整脈治療薬、ベータ受容体ブロッカー、例えばメトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール;クラスIIIの抗不整脈治療薬、例えばアミオダロン、ソタロール;クラスIVの抗不整脈治療薬、例えばジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル;他の抗不整脈治療薬、例えばアデノシン、オルシプレナリン、イプラトロピウムブロミド;心筋における血管形成を刺激するための薬剤、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、非ウィルス性DNA、ウィルス性DNA、内皮増殖因子:FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC);ジギタリスグリコシド、例えばアセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン;心臓グリコシド、例えばウアバイン、プロスシラリジン;抗高血圧薬、例えば中枢に有効な抗アドレナリン作用物質、例えばメチルドーパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;ジヒドロピリジン型のカルシウムチャネルブロッカー、例えばニフェジピン、ニトレンジピン、ACE阻害物質:キナプリレート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンギオテンシン−II−アンタゴニスト:カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢に有効なアルファ受容体ブロッカー、例えばプラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬、例えばジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム;他の抗高血圧薬、例えばインダパミド、コデルゴクリンメシラート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン、フルドロコルチゾン;ホスホジエステラーゼ阻害物質、例えばミルリノン、エノキシモン及び抗低血圧薬、例えば特にアドレナリン作用薬及びドーパミン作用性物質、例えばドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェンフリン、ノルエピネフリン、オキシロフリン、ドーパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメジニウムメチル;及び部分アデノ受容体アゴニスト、例えばジヒドロエルゴタミン;フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、炎症性サイトカイン、例えば:TGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン;同様、粘着性物質、例えばシアノアクリレート、ベリリウム、シリカ;及び増殖因子、例えばエリスロポイエチン、ホルモン、例えばコルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン同様、調節ペプチド、例えばソマトスタチン、オクトレオチド;骨及び軟骨刺激ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)、特に組換えBMP、例えば組換えヒトBMP-2(rhBMP-2))、ビスホスホネート(例えばリセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フルオリド、例えばジナトリウムフルオロホスフェート、ナトリウムフルオリド;カルシトニン、ジヒドロタキスチレン;増殖因子及びサイトカイン、例えば上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、形質転換増殖因子-b TGF-b)、形質転換増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポイエチン(Epo)、インスリン様増殖因子-I(IGF-I)、インスリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF);単球走化性タンパク質;線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリン又はフィブリノーゲン、エンドセリン-1、アンギオテンシンII、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルギド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミド及びエタノール;又は銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質及び抗感染症薬、例えば特にβ−ラクタム抗生物質、例えばβ−ラクタマーゼ感受性ペニシリン、例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV);β−ラクタマーゼ耐性ペニシリン、例えばアミノペニシリン、例えばアモキシシリン、アムピシリン、バカンピシリン;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン;カルボキシペニシリン、セファロスポリン、例えばセファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシマキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル;アズトレオナム、エルタペネム、メロペネム;β−ラクタマーゼ阻害物質、例えばサルバクタム、サルタミシリントシレート;テトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン;アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラマイセチン、スペクチノマイシン;マクロリド抗生物質、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン;リンコサミド、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、ギラーゼ阻害物質、例えばフルオロキノロン、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン;キノロン、例えばピペミド酸;スルホンアミド、トリメトプリム、スルファジアジン、スルファレン;糖ペプチド抗生物質、例えばバンコマイシン、テイコプラニン;ポリペプチド抗生物質、例えばポリミキシン、例えばコリスチン、ポリミキシン-Bニトロイミダゾール誘導体、例えばメトロニダゾール、チニダゾール;アミノキノロン、例えばクロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン;ビグアニド、例えばプログアニル;キニンアルカロイド及びジアミノピリミジン、例えばピリメタミン;アンフェニコール、例えばクロラムフェニコール;リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサファンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド;ウィルス抑制剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォルビル、ブリブジン;抗レトロウィルス活性物質(ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質及び誘導体)、例えばラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォルビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似逆転写酵素阻害物質;アンプレナビル、インディナビル、サクイナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル;アマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル及びラミブジン同様、その所望の組合せ及び混合物から選択されることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項記載の工程。
【請求項24】
薬理学的に有効な物質が、体内での放出遅延のために炭素含有層の孔内又は表面上に可逆的に吸着及び/又は吸収される、マイクロカプセル、リポソーム、ナノカプセル、ナノ粒子、ミセル、合成リン脂質、ガス分散物、エマルジョン、マイクロエマルジョン、又はナノスフィアに包含されることを特徴とする、請求項20〜23のいずれか1項記載の工程。
【請求項25】
インプラント型医療用器具が、ステンレス鋼、プラチナ含有放射線不透過性鋼鉄合金、コバルト合金、チタン合金、例えばニオビウム、タンタル、タングステン及びモリブデンに基づく高融点合金、貴金属合金、ニチノール合金同様、マグネシウム合金及び上記物質の混合物から選択される材料からなるステントからなる、上記請求項のいずれか1項記載の工程。
【請求項26】
上記請求項の1項により生成しうる炭素含有表面コーティングを含む、生体適合性コーティングされたインプラント型医療用器具。
【請求項27】
ステンレス鋼、チタン、タンタル、プラチナ、ニチノール又はニッケル−チタン合金等の金属;炭素繊維、完全炭素材料、炭素複合材、セラミック、ガラス又はガラス繊維からなる、請求項26に記載の器具。
【請求項28】
複数の炭素含有層、好ましくは多孔性が異なる当該複数の炭素含有層を含む、請求項26又は27に記載の器具。
【請求項29】
生分解性及び/又は吸収性ポリマー、例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;ワックス、カゼイン、デキストラン、ポリサッカライド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)及びそのコポリマーのコーティングをさらに含む、請求項26〜28のいずれか1項記載の器具。
【請求項30】
非生分解性及び/又は吸収性ポリマー、例えばポリ(エチレンビニルアセテート)、シリコーン、アクリルポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)ポリ(エステル尿素)、ポリエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、プルロニック、ポリ(テトラメチレングリコール);ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、又はポリ(ビニルアセテートフタレート)同様、それらのコポリマーのコーティングをさらに含む、請求項26〜28のいずれか1項記載の器具。
【請求項31】
アニオン性又はカチオン性又は両性コーティング、例えばアルギネート、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース;キトサン、ポリ-L-リジン;及び/又はホスホリルコリンをさらに含む、請求項26〜30のいずれか1項記載の器具。
【請求項32】
炭素含有層が多孔性、好ましくは0.1〜1000μmの範囲の孔径を有するマクロ孔質、そして特に好ましくはナノ多孔性であることを特徴とする、請求項26〜31のいずれか1項記載の器具。
【請求項33】
炭素含有層が非孔性である、及び/又は本質的に閉鎖孔を含有することを特徴とする、請求項26〜31のいずれか1項記載の器具。
【請求項34】
請求項19に示したような1又は複数の活性物質を含有する、請求項26〜33のいずれか1項記載の器具。
【請求項35】
pH感受性及び/又は温度感受性ポリマー及び/又は生物活性バリア、例えば酵素から選択される、活性物質の放出に影響するコーティングをさらに含む、請求項34に記載の器具。
【請求項36】
請求項26〜35のいずれか1項記載のコーティングステント。
【請求項37】
ステンレス鋼、好ましくはFe-18Cr-14Ni-2.5Mo("316LVM" ASTM F138)、Fe- 21Cr- 10Ni- 3.5Mn- 2.5Mo(ASTM F 1586)、Fe- 22Cr- 13Ni- 5Mn(ASTM F 1314)、Fe- 23Mn- 21Cr- 1Mo- 1N(無ニッケルステンレス鋼)のステント;コバルト合金、例えばCo- 20Cr- 15W- 10Ni("L605" ASTM F90)、Co- 20Cr- 35Ni- 10Mo("MP35N" ASTM F 562)、Co- 20Cr- 16Ni- 16Fe- 7Mo("Phynox" ASTM F 1058)から;チタン合金、CPチタン(ASTM F 67、グレード1)、Ti- 6Al- 4V(アルファ/ベータ ASTM F 136)、Ti- 6Al- 7Nb(アルファ/ベータ ASTM F1295)、Ti- 15Mo(ベータグレード ASTM F2066)から;貴金属合金、特にイリジウム含有合金、例えばPt- 10Ir;ニチノール合金、例えばマルテンサイト、超弾性及び冷間加工ニチノール同様、マグネシウム合金、例えばMg- 3Al- 1Z;同様、少なくとも1つの炭素含有表面層から選択される、請求項36に記載のコーティングステント。
【請求項38】
請求項26〜35のいずれか1項記載のコーティング心臓弁。
【請求項39】
整形外科用人工骨又は人工関節、骨代替物又は脊椎の胸部又は腰部における椎骨代替物の形態である、請求項26〜35のいずれか1項記載の器具。
【請求項40】
活性物質の制御放出用の皮下及び/又は筋肉内インプラントの形態である、請求項26〜35のいずれか1項記載の器具。

【公表番号】特表2007−504920(P2007−504920A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529773(P2006−529773)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004985
【国際公開番号】WO2004/101017
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505257349)ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】