説明

生体適合性フォーム、系及び方法

優れた物理的及び化学的性質を有する生体適合性フォームを記載する。生体適合性フォームは、組織の治療のために、現場(in-situ)で形成することができ又は事前形成(pre-formed)されたゲルとして適用することができる。本発明はポリ−α(1→4)グルコピラノースマクロマーを用いて形成された生体適合性で生分解性のフォームを提供する。本発明は、また、ポリ(アルキレンオキシド)マクロマーを用いて形成された生体安定性フォームも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2007年9月19日出願の米国仮特許出願第60/994,596号(発明の名称「WOUND TREATMENT COMPOSITIONS AND METHODS USING POLYMER FOAMING」)の利益を請求し、その開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
発明の分野
本発明は生体適合性ポリマーフォームならびにそれを形成するための組成物及び方法に関する。本発明は、また、現場形成(in-situ-formed)フォーム又は事前形成(pre-formed)フォームを用いた組織及び創傷部位の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
皮膚組織に対する創傷及び生体の他の部分の組織に対する破損を含めた、組織破損を治療するために様々な医療技術が使用されてきた。創傷の治療のある目的は、創傷を封じ込め、そして創傷部位での新たな組織の適切な形成を促進することである。ある種の医療的介入なしに、生体が続いて生じる組織の変化を最小限にして創傷を治癒させることは非常に難しいことがある。下層の血管組織の損傷の程度が有意な場合には、血管新生反応が妥協させられ、そして良好な治癒のために十分な量で酸素を創傷に供給することができない。創傷部位での感染症も問題を生じさせ、治癒プロセスに関わる細胞プロセスを遅延させることがある。ある場合には、他の生体の問題(潰瘍)によって、治癒プロセスが進行することが困難となり、慢性的創傷となる。
【0004】
創傷の治癒を促進させる従来の方法は創傷被覆材を使用することを含む。現在、多くの閉塞タイプの創傷被覆材が治療のために使用され又は提案されている。これらの被覆材として、ポリウレタンフィルム、ポリウレタンフォームに結合したヒドロコロイド粒子、ヒドロゲル、親水性フォーム及び疎水性フォーム、アルギン酸カルシウムの繊維の不織布複合材及びセロハン(登録商標)が挙げられる。
【0005】
創傷、特に深い又は空洞性創傷の治療について、最近注目されているのは、現場(in-situ)で重合しそして発泡する組成物である。これらの組成物は一体の吸収性フォームを製造し、そして創傷を充填することができる。しかし、これらの現場(in-situ)組成物及び治療の成功は限定的である。現場(in-situ)創傷治療について検討されるフォーム形成系は下記の1つ以上の欠点:生体適合性フォーム形成材料又は発泡製品がないこと、材料が高価であること、フォームセットアップ時間が有意に長いこと、形成されるフォームの構造特性(たとえば、多孔性、構造一体性、強度及び可撓性)が不十分であること、に悩まされる。
【0006】
組織の治癒に多孔性発泡材料が有用になりうるものと信じられているが、フォームを形成するための従来技術の多くは生体適合性出発材料を使用していない。たとえば、ポリウレタンフォームは様々な技術分野で広く使用されているが、ポリウレタンフォームを製造するために使用される成分の生体適合性についての根本的な懸念がある。発泡ポリウレタンの調製には、一般に、ジイソシアネートの使用が含まれ、そのジイソシアネートは毒性であることがあり、また、有意な炎症性応答を引き起こすことがある。ポリウレタンフォームの調製には、毒性の触媒系も使用されている。事前形成(pre-formed)ポリウレタンフォームを組織に適用する場合でさえ、未反応ジイソシアネート材料がフォーム中に残存しそして治療しようとする組織へと浸出するならば、問題となることがある。さらに、ポリウレタンフォームは、一般に、組織治癒プロセスに有用な時間にわたって生体適合性であることはない。
【0007】
生体適合性フォームの調製についての別の問題は、ポリマー材料の架橋マトリックスを形成しそしてポリマー材料が架橋を形成しているときにフォームを形成するために気泡を生成する必要があるという反応化学に関する。イソシアネート出発材料からポリウレタンフォームを製造すると、通常、堅牢でかつ信頼性があり、良好に形成された多孔性フォームが得られる。ポリウレタンフォームは、通常、少量の水の存在下にイソシアネートと活性水素含有化合物(たとえば、多価アルコール)とを反応させることにより製造される。イソシアネートとアルコールとによるウレタンポリマーの形成は、ガス生成を伴う。フォーム製造に必要なガスはイソシアネート基と水との反応により生じる二酸化炭素によるものである。二酸化炭素は反応混合物中の気泡内に拡散し、重合性材料を発泡させてフォームを形成する。ガス生成反応は重合反応と連結しており(そしてそのため、同時に起こる)。
【0008】
しかしながら、非イソシアネート化学種を用いたフォームの製造は、かなり、より困難であることができる。多くの他の系では、ポリマー材料の架橋の化学現象は気泡生成の化学現象と連結していない。そのため、このことが他のタイプのポリマーフォームの製造をかなり難しくしており、特に、短時間で組織部位上にフォームを形成したい場合には難しい。
【0009】
架橋したコラーゲン−ムコ多糖類複合体は多孔性フォームを製造するのに適する材料として記載されている。このフォームでは、使用するムコ多糖類はアルギネートであり、それはカルシウムなどのカチオンを用いてイオン架橋されうる。生体適合性の点では、これらの材料はポリウレタンフォームを製造するために使用される材料よりも改良されていることができるが、幾つかの欠点に悩まされる。たとえば、コラーゲン−アルギネート材料から製造されるフォームはむしろ低い多孔性の構造を有することがある。従来の技術を用いて製造されたコラーゲン−アルギネートフォーム(たとえば、米国特許第5,840,777号明細書を参照されたい)はしばしば非常に薄く(5mm未満)、より厚い構造にするとそれ自体が崩壊する傾向がある。さらに、現場(in-situ)塗布では、コラーゲン−アルギネート材料のカチオン架橋はかなりの時間を要することがある(たとえば、2〜5分間)。このことは、材料が非常に素早く(たとえば、20秒未満の時間で)発泡することが望まれる多くの医療手順で許容されないことがある。さらに、このゆっくりとした架橋では、重合とガス発生とを整合させることが困難であることがある。材料がイオン架橋するときにはガスが組成物から散逸してしまい、不十分な多孔性の構造となることがある。
【0010】
これらの問題のために、コラーゲン−アルギネートフォームは好ましくは凍結乾燥によって製造される。しかしながら、凍結乾燥技術は現場形成(in-situ formed)フォームの製造には実用的でない。凍結乾燥されたフォームは、水溶液などの液体と接触させる際に、多大かつ不可逆的に収縮するといった欠点もある。このような収縮により、孔が閉塞し、高レベルの多孔性が要求され又は望まれる用途での材料の有用性が低くなる。架橋コラーゲン−ムコ多糖類材料が苦しんでいる収縮及び孔崩壊の問題はその材料に特有のものではない。様々な天然及び合成ポリマーも、また、液体に接触したときにこれらの機械的問題に悩まされる。さらに、架橋したコラーゲン−アルギネート材料から形成されるフォームは組織と接触したときに分解することが非常に困難であることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
要約
本発明は生体適合性ポリマーフォーム、そのフォームを調製するための組成物及び方法、ならびに、そのポリマーフォームを使用するための方法に関する。本発明のフォームは、特定の生体適合性マクロマーを重合開始剤及びガス発生成分と組み合わせたものから形成される。この生体適合性ポリマーフォームは治療のための標的組織に結合して使用できる。この生体適合性ポリマーフォームを治療の部位で形成し(たとえば、フォームの現場形成(in-situ formation))、又は、事前形成(pre-formed)し、そしてその後、標的組織に結合させることができる。この生体適合性ポリマーフォームは生体安定性があり又は生分解性であることができる。
【0012】
本発明は、フォーム形成系におけるガス発生機構が必ずしも重合推進機構と化学的に連結していない重合性成分から形成される生体適合性フォームの調製に関連する問題点を克服する。別の言い方をすれば、ガス発生系の成分は、活性化された重合開始剤とは独立に活性化されそして操作しうる。このタイプの「非連結性」ガス発生−重合開始機構を用いるフォーム形成系では、所望の特性(たとえば、多孔性、強度など)を有するフォームを形成することは非常に困難である。というのは、ガス発生とマトリックス形成材料の重合を整合させることが非常に困難だからである。これらの問題にも拘わらず、本発明は、高度に可溶性のフォーム形成性重合性ポリマー成分とガス発生系との本発明の組み合わせを有するフォーム形成系を提供する。一緒に使用すると、本発明のこれらの成分は優れた構造特性を有する生体適合性フォームを形成する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの実施形態において、本発明は、ポリ−α(1→4)グルコピラノース及びペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、重合性開始剤ならびにガス生成性成分を含む、生体適合性で生分解性のフォームを形成するための系を提供する。
【0014】
関連の実施形態において、本発明は、また、ポリ−α(1→4)グルコピラノース及びペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、重合性開始剤ならびにガス生成性成分を含む組成物であって、このガス生成性成分は反応してガスを生成しそしてこの重合開始剤は活性化されて重合を起こさせそしてフォームを形成させる組成物を配置する工程を含む、生体適合性で生分解性のフォームを形成するための方法を提供する。たとえば、この組成物を標的組織、たとえば、皮膚創傷又は骨の上に配置し、そして形成することができる。
【0015】
関連の実施形態において、本発明は、また、ポリ−α(1→4)グルコピラノースを含む架橋したポリマーマトリックスを含む、形成した生体適合性で生分解性のフォームを提供する。このフォームは優れた初期構造一体性を有し、酵素分解されうる。場合により、フォームは酵素分解されるとともに、加水分解によっても分解されうる。より特定の実施形態において、生体適合性で生分解性のフォームは1つ以上の下記の特性を有する:1.5〜7.5の範囲の孔体積、0.5kPa〜50kPaの範囲の圧縮弾性率、及び/又は0.5N〜約20Nの範囲の50%圧縮力。
【0016】
より特定の実施形態において、生体適合性で生分解性のフォーム、系及び方法は1つ以上の下記の特徴を有する:ポリ−α(1→4)グルコピラノースが500,000Da以下の分子量を有し、重合性基が約0.05mmol/gポリマー〜約0.4mmol/gポリマーの範囲の含有量であり、及び/又は、ポリマー最終濃度が約200mg/mL〜約1000mg/mLの範囲であり、及び/又は、ポリマー最終濃度が約400mg/mL〜約700mg/mLの範囲である。
【0017】
他の特定の実施形態において、生体適合性で生分解性のフォームはポリ−α(1→4)グルコピラノースマクロマーに加えて第二の親水性生体適合性マクロマーを使用して形成される。好ましい態様において、第二のマクロマーはペンダント重合性基を有する生体適合性で生体安定性のアルキレンオキシドポリマーである。より特定の実施形態において、生体適合性で生分解性のフォーム、系又は方法は1つ以上の下記の特徴を有する:ポリ−α(1→4)グルコピラノース:第二のマクロマーの質量比が約1:1〜約3:1又は約1:1〜約2:1の範囲である。
【0018】
生体適合性で生分解性のフォームに関する態様において、標的組織においてある時間にわたって分解するが、分解期間の間に所望の物性を維持することができる。たとえば、標的部位において大部分のフォームの寿命にわたってフォーム構造が維持される。別の言い方をすれば、生分解性フォームの孔はフォームの材料が分解し始めたすぐ後には崩壊しない。たとえば、ポリ−α(1→4)グルコピラノースは徐々に酵素分解されて、それにより、フォームの気泡構造の壁が薄くなっていく。フォームから分解した(そしてしばしば分離した)固体材料は生体によって吸収され、そして徐々に、フォーム構造は再生された組織によって置き換えられる。このことは、分解期間にわたって細胞及び組織の成長が起こり続けるので組織治癒に対して利点がある。比較すると、他のポリマー系を用いて製造したフォームは速く崩壊することができるか又は標的部位での崩壊速度が不十分であることができる。場合により、フォームが完全に分解される前に、そのフォームが組織部位から除去されることがある。
【0019】
本発明の他の実施形態は、生体適合性で生体安定性のフォーム、その生体適合性で生体安定性のフォームを形成するための系及び方法、ならびに、その生体適合性で生体安定性のフォームを用いた組織の治療方法に関する。組織部位で形成される生体安定性フォームは生体の永久部品となって残るか又は治療期間の後に除去されることができる。もし生体安定性フォームが標的部位で残るならば、その部位で自然に存在する組織(又は骨)の少なくとも部分的な構造置換を行うことができる。
【0020】
別の実施形態において、本発明は生体適合性で生体安定性のフォームを形成するための系であって、共有結合架橋が可能な枝分かれ親水性ポリマー、第二の親水性の生体適合性直鎖マクロマー、重合開始剤及びガス発生成分を含む系を提供する。好ましい態様において、この第二のマクロマーはペンダント重合性基を有する生体適合性で生体安定性のアルキレンオキシドポリマーである。好ましい態様において、共有結合架橋が可能な枝分かれ親水性ポリマーは共有結合架橋が可能な枝分かれアルキレンオキシドポリマーを含む。
【0021】
関連の実施形態において、本発明は、また、生体適合性で生体安定性のフォームを形成するための方法であって、共有結合架橋が可能な枝分かれ親水性ポリマー、第二の生体適合性の直鎖親水性マクロマー、重合開始剤及びガス生成性成分を含み、そのガス生成性成分が反応してガスを生成しそして重合開始剤が活性化されて重合を起こさせそしてフォームを形成する、組成物を配置する工程を含む方法を提供する。たとえば、その組成物は標的組織、たとえば、皮膚創傷又は骨の上に配置されそして形成されることができる。所望の使用時間の後に、フォームは標的組織に結合して残されても又は除去されてもよい。
【0022】
関連の実施形態において、本発明は、また、重合性基が反応したものによって架橋された、生体適合性枝分かれ親水性ポリマーセグメントと直鎖親水性ポリマーセグメントとを含むポリマーマトリックスを含む、形成した生体適合性で生体安定性のフォームを提供する。好ましくは、ポリマーマトリックスは、重合性基が反応したものによって架橋された、枝分かれアルキレンオキシドポリマーと親水性直鎖セグメントとを含む。より特定の実施形態において、生体適合性で生体分解性のフォームは1つ以上の下記の特性を有する:1.5〜7.5の範囲の孔体積、5kPa〜200kPaの範囲の圧縮弾性率、及び/又は1N〜約50Nの範囲の50%圧縮力。例示の誘導化レベルは約0.001〜約0.01モル重合化基/グラムポリマーの範囲である。
【0023】
より特定の実施形態において、生体適合性で生体安定性のフォーム、系及び方法は1つ以上の下記の特徴を有する:直鎖アルキレンオキシドポリマー及び枝分かれアルキレンオキシドポリマーがポリ(エチレングリコール)及び/又はポリ(プロピレングリコール)を含み、直鎖アルキレンオキシドポリマー及び枝分かれアルキレンオキシドポリマーの分子量が両方とも10,000Da以下であり、又は、合計のポリマー濃度が約400〜約700mg/mLの範囲である。
【0024】
幾つかの好ましい態様において、重合開始剤はレドックスペアの構成要素を含み、それらが組み合わされたときに、重合性成分の重合を開始する。例示のレドックスペアとして、陽性の原子金属の塩及び誘導体である活性化成分が挙げられ、例示の開始剤として、過酸化水素、金属酸化物及びオキシダーゼが挙げられる。その系は、また、発泡しそして急速に固化する組成物、及び、発泡しそしてゆっくりとセットアップし又は重合する組成物を提供するように配合されることができる。
【0025】
ある好ましい態様において、ガス生成性成分は、組み合わされたときにガスを開放することになる反応性ペアの化合物を含む。例示の反応性ペアとして、酸と重炭酸塩とが挙げられる。
【0026】
1つの好ましい態様において、系は2つの組成物を含み、それらの組成物が組み合わされたときに、同時にマクロマーの重合を開始し、また、ガス発生を起こす。この点で、別の態様において、本発明は創傷部位の現場(in-situ)での治療のための系を提供し、その系は活性化成分であるレドックスペアの第一成分及び酸を含む第一の組成物と、開始剤であるレドックスペアの第二成分及び酸と接触したときにガスを開放するガス開放性化合物を含む第二の組成物とを含み、そのガス開放性化合物はフォーム形成量で存在する。第一の組成物又は第二の組成物のいずれか又は両方に、生体適合性重合性成分が存在する。第一の組成物及び第二の組成物は組み合わされて、そして現場(in-situ)で創傷部位の治療のための重合したフォーム品を形成するように使用されることができる。
【0027】
その系は、また、第一の組成物と第二の組成物とを容易に組み合わせる混合デバイスをも含むことができる。したがって、本発明は、創傷部位を治療するためのキットであって、2つの別個の組成物及び混合デバイスを含むキットを提供する。このキットにおいて、この系の成分は混合デバイス中で混合されうる。
【0028】
本発明は、また、フォームの形成を促進する特定の重合開始剤及び/又はガス生成性成分を有する生体適合性フォーム形成系を提供する。本発明に関連する実験研究によると、急速に硬化した良好に形成されたフォームを形成するためには、重合活性化成分を選択することが有利であることが発見された。それゆえ、別の実施形態において、本発明は、生体適合性フォームを形成するための系であって、ペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、第一鉄アセチルアセトナート及び乳酸第一鉄からなる群より選ばれる活性化成分を含む重合開始剤、及び、ガス生成性成分を含む系を提供する。
【0029】
他の実験的研究において、良好に形成された生体適合性フォームは過酸化物をベースとした開始剤を用いて形成しうることが判った。過酸化物をベースとする開始剤を使用するということは、組織をベースとする用途については、幾分、直感に反するものである。というのは、遊離ヒドロキシルラジカルの存在が組織に損傷を与えるであろうと考えられるからである。しかしながら、細胞にほとんど又は全く悪影響を及ぼさずに、過酸化水素をフォーム形成性組成物中に使用でき、一方で、同時に、組織治療に望ましい性質を有するフォームを製造するのに有用であるということが確認された。それゆえ、別の実施形態において、本発明は、生体適合性フォームを形成するための系であって、ペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、過酸化水素開始剤を含む重合開始剤、及び、ガス生成性成分を含む系を提供する。
【0030】
さらに他の実験的研究において、良好に形成された生体適合性フォームは、アルキレンオキシドをベースとするマクロマーと組み合わせて特定の界面活性剤を用いて形成されうることが判った。界面活性剤の使用は随意であるが、これらのタイプのマクロマー成分とともに使用して有利であることが判った。アルキレンオキシドをベースとするマクロマーと化学的に類似性を有するポロキサマータイプの界面活性剤を、幾つかの例の生体適合性フォームを形成するために使用し、そして優れた気泡構造の形成を促進した。それゆえ、別の実施形態において、本発明は生体適合性フォームを形成するための系であって、ペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なアルキレンオキシドポリマー、ポロキサマーをベースとする界面活性剤、重合開始剤及びガス生成性成分を含む系を提供する。
【0031】
ある実施形態において、系の成分を混合し、そしてその後に、対象上又は内の組織部位に現場で塗布組成物として塗布する。混合及び/又は塗布を行う際に、組成物中の成分は重合性成分の重合が起こっている間にガスを生成する。他の実施形態において、系の成分を生体から離れたところで混合し、事前形成フォームを形成する。事前発泡したポリマー品は標的位置での組織の治療に適する形状及び形態を有することができる。その後、事前形成フォームを治療を行おうとする組織に結合させることができる。
【0032】
現場形成(in-situ formed)又は事前形成(pre-formed)のいずれも場合でも、本発明の組成物は所望の性質を有する重合したフォームを非常に急速に形成することができることが1つの利点である。本発明の多くの態様において、フォームのセットアップは約20秒未満、10秒未満、さらには5秒未満で行われる(本発明の組成物はより長い形成時間となるように調節することもできるけれども)。この非常に短い セットアップ時間の後に、フォームは完全に硬化しそして組織治療の機能が得られる。このことは、使用者がフォームの重合が起こるのを待つのに時間を最少時間しか費やせずにフォームを形成する外科手術手順を改良する。また、このことは手順の無菌性に関する側面を改良する。さらに、短いセットアップ時間は塗布部位からの成分の損失を最小限に抑制する。
【0033】
本発明のフォームは組織の治療に非常に有益な1つ以上の望ましい性質(たとえば、多孔性、均一性、厚さ、強度及び/又は可撓性)を有する。ある態様において、フォームは細胞がフォーム中に成長することができる多孔性構造を有することができる。ある態様において、フォームは孔サイズ及び間隔の点で非常に均一性のある多孔性構造を有することができる。形成したフォームは、また、その形成の間又は後に崩壊に対して耐性である構造を有することもできる。そのため、本発明の組成物及び方法によって、従来技術で記載されているものよりもかなり大きい寸法属性(たとえば、深さ、幅)を有する生体適合性フォームを形成することができる。本発明の方法及び組成物は、本発明のフォームを治療部位に完全に充填するように実施することができる。多孔性構造はフォームの全体にわたって存在している。多くの場合に、治療部位又は創傷部位はかなり深く(たとえば、5mmよりも大きい)、それは数センチメートル深さにまで及ぶことがあり、そしてかなり幅広く長いこともある。たとえば、体積の点で、フォームは数10立方センチメートルまでの空間を占めることがある。このことは、個々の創傷が独特の深さであり、また、その形状が独特である創傷治癒用途に有利である。このようなサイズの治療部位の全体にわたって多孔性構造を有するフォームを形成することができる能力は、生体適合性フォーム及び組織再生の技術における有意な改良を示すものである。本発明の多孔性構造は、フォームの空気体積/フォームの合計体積の比である孔体積について記載できる。ある態様において、本発明の生体適合性フォームは孔体積が約7.5〜約1.5の範囲である。本発明のフォームの多孔性構造は低圧力環境下で崩壊に耐えることができる強度についても記載できる。
【0034】
その系は組織の治療を改良することができる、場合により使用される成分を含むこともできる。その成分として、機能的組織の形成を導く細胞過程を促進する成長因子などの生理活性剤を挙げることができる。ある態様において、生理活性剤は生分解性フォームの分解時にそのフォームから開放されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面の簡単な説明
【図1】1a−1eは、アミラーゼに暴露した後の時点での生分解性マルトデキストリン/ポリ(エチレングリコール)フォームの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。図1fは、対照の顕微鏡写真(SEM)画像である。
【図2】2a−2eは、アミラーゼに暴露した後の時点での生分解性マルトデキストリン/ポリ(エチレングリコール)フォームの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。図2fは、対照の顕微鏡写真(SEM)画像である。
【図3】3a−3eは、アミラーゼに暴露した後の時点での生分解性マルトデキストリン/ポリ(エチレングリコール)フォームの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。図3fは、対照の顕微鏡写真(SEM)画像である。
【図4】生体適合性フォームについて、様々な濃度での様々な重合開始剤系の存在下での細胞生存率を示すグラフである。
【図5】生体適合性フォームについて、様々な濃度での様々な重合開始剤系の存在下での細胞生存率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
下記に示す本発明の実施形態は下記の詳細な説明に開示されている実施形態そのものに限定すること又はそれを全部とすること意図しない。むしろ、その実施形態は他の当業者が本発明の原理及び実施を評価し又は理解することができるように選択されそして記載されている。
【0037】
本明細書中で言及する全ての刊行物及び特許文献を参照により本明細書中に取り込む。本明細書中に開示した刊行物及び特許文献はその開示のために単に提供されている。本明細書中に引用したいかなる刊行物及び特許文献も含めていかなる刊行物及び/又は特許文献よりも先行していると主張する権利がないと本発明の発明者が認めているとは解釈されるべきでない。
【0038】
本発明は、一般に、生体適合性フォームを用いた組織の治療のための製品、組成物及び方法に関する。本発明のある態様において、その組成物及び方法は創傷部位に組成物を塗布した後に、その組織上に重合フォーム塊(本明細書中、「生体適合性フォーム」又は「ポリマーフォーム」又は「フォーム」とも呼ぶ)を形成する成分を含む。標的組織上で現場(in-situ)で塗布するフォーム形成性組成物は「形状追従性がある(conformal)」であることができ、「形状追従性がある」とは組成物が塗布された組織の形状に適合するフォームを形成することができることを意味する。生体適合性フォームは、また、望ましい長さ及び幅に加えて、実質的な厚さを有するように調製されうる。さらに、本発明の生体適合性フォームであって、より厚いものは、一般に、フォームの厚さ全体にわたって均一な多孔性構造を有する。均一な多孔性構造では、崩壊した孔がほとんど又は全くなく、フォームのうち不適切に形成された部分(たとえば、非孔性部分)がほとんど又は全くない。この点に関して、本発明の生体適合性フォームは従来のフォーム形成技術で記載されてきた、より薄く又はより平らなフォームの欠点を克服することができる。
【0039】
本発明の生体適合性フォームでは、フォームのポリマー構造を分解する酵素を供給することができる、組織との接触の後に、構造が変化しうることが理解される。それゆえ、生体適合性フォームの性質を議論する際に、本明細書中で特に断らないかぎり、フォームの形成直後の性質(たとえば、多孔性、強度、可撓性など)について言及がなされうる。本発明の生体安定性のフォームも同様に記載されうる。系の成分は様々なやり方で提供されうる。典型的には、系は2つの組成物(又は2つより多くの組成物)を含み、系の成分がその2つの組成物中に存在している。その成分は、通常、水性溶液中に存在している。本発明の議論を容易にするために、2つの組成物を有する系について議論していくことにする。
【0040】
系の成分に加えて、本発明は、また、系の成分、及び、その成分を溶解させる溶液混合用デバイスなどの1つ以上の他の物品を含むことができるキットをも提供する。1つの実施形態において、系は2つの組成物を含み、それらの組成物は混合され、その後に、ポリマーフォームを形成するために組織部位上に塗布される。混合前の2つの組成物を「第一の組成物」及び「第二の組成物」と呼ぶことができる。系はさらなる組成物(たとえば、「第三の組成物」など)を含んでよいが、多くの実施形態において、第一の組成物と第二の組成物とを混合することによりフォームを形成する。
【0041】
2つの組成物は、それらを組み合わせたときに、「塗布組成物」(又は本明細書中「混合組成物」とも呼ぶ)を形成し、それは、重合性成分、重合開始剤及びガス開放性成分を含む。塗布組成物は現場で(in-situ)生体適合性フォームを形成するために又は事前形成(pre-formed)フォームを形成するために使用することができる。塗布組成物は組み合わせたときにフォームを形成するのに十分な全ての成分を含む。塗布組成物において、重合開始剤及びガス生成性成分は活性化される。活性化された成分は反応生成物に転化されうる。議論の目的のために、試薬の濃度は、ある場合には第一の組成物及び第二の組成物(すなわち、混合物になる前)に対して議論され、そして、ある場合には、塗布組成物に対して議論される。
【0042】
塗布組成物を形成する前に、第一の組成物及び第二の組成物中の重合性成分の合計量は塗布組成物中の重合性成分の量に等しい。第一の組成物と第二の組成物とを組み合わせて、重合性材料の合計量がポリマーフォームを形成するために十分な量であるかぎり、重合性成分は個々に第一の組成物及び第二の組成物中にいかなる所望の量で存在してもよい。ある実施形態において、第一の組成物中の重合性成分の量は第二の組成物中のその量とほぼ同一であるか又は同一である。
【0043】
本発明の生体適合性ポリマーフォームはマクロマーから形成される。マクロマーは、一般にフリーラジカルの存在下に重合可能である化学基を指す「重合性基」を含む。重合性基は、一般に、炭素−炭素二重結合を含み、それはエチレン系不飽和基又はビニル基であることができる。塗布組成物中での重合反応の開始時に、重合性基は組成物中のフリーラジカル伝播によって活性化され、他の重合性基と共有結合する。共有結合の結果として、架橋したポリマーマトリックスが形成される。塗布組成物中に気泡が発生し、その間、マクロマーの重合(それにより、ポリマーマトリックスの形成)が起こる。結果的に、フォームが形成され、そのフォームは、架橋したポリマーマトリックスの壁によって部分的又は完全に包囲された空気ポケット(本明細書中、「気泡」とも呼ぶ)を有する。
【0044】
例示の重合性基として、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基及びスチレン基が挙げられる。ある態様において、本発明のマクロマーは1種又はそれ以上のメタクリレート基を含む。
【0045】
重合性基は、ポリマー骨格に沿った1つ以上の位置でマクロマーから「ペンダント」されたものであることができる。ある場合には、重合性基はポリマー骨格の長さに沿ったランダムの位置にある。このようなランダムに間隔が開いている状態は、通常、マクロマーが、ポリマーの長さに沿って反応性基を有するポリマーから形成され、このようなポリマーが限定されたモル量の重合性基を有する化合物と反応されるときに起こる。たとえば、本明細書中に記載している多糖類は多糖類の長さに沿ってヒドロキシル基を有し、これらのヒドロキシル基の一部がヒドロキシル反応性基及び重合性基を有する化合物と反応する。
【0046】
他の場合には、1つ以上の重合性基はポリマー骨格に沿った1つ以上の規定された位置でマクロマーからペンダントされている。たとえば、マクロマーの合成に使用されるポリマーはその1つの末端に1つの反応性基を有することができ又はその複数の末端に複数の反応性基を有することができる。反応性酸素含有基(たとえば、オキシド)を有するモノマーから調製される多くのポリマーはヒドロキシル含有末端を有し、それはヒドロキシル反応性基及び重合性基を有する化合物と反応して重合性基を末端に有するマクロマーを提供することができる。
【0047】
本発明のマクロマーは生体適合性ポリマーをベースとする。用語「生体適合性」(それは「組織適合性」とも呼ぶことができる)とは、一般に、成分、組成物又は製品が生体内で測定可能な好ましくない生体応答を促進する能力がないことを指す。生体適合性成分、組成物又は製品は1つ以上の下記の性質を有することができる:無毒性であり、非変異原性であり、非アレルギー性であり、非発がん性であり、及び/又は、非刺激性である。生体適合性成分、組成物又は製品は、少なくとも、無害でありかつ生体によって許容されることができる。生体適合性成分はそれ自体が生体内の1つ以上の機能を改良するものであってもよい。
【0048】
本発明の内容において、本発明の組成物、方法及びフォームは、1つ以上の方法で生体適合性であることを示すことができる。たとえば、フォーム形成性組成物は生体適合性であることができ、そして細胞に対して毒性である成分(たとえば、フォームを形成するために使用され成分)を有せず又は細胞に対して毒性である量の成分を有しない。
【0049】
本発明のフォームを形成するために使用されるポリマー及びマクロマーは分子量について記載されることができる。本明細書中で使用される際に、「分子量」はより詳細には「重量平均分子量」又はMwを指し、それは分子量を測定する絶対的方法であり、ポリマー(調製物)、たとえば、マクロマー調製物の分子量を測定するのに特に有用である。ポリマー調製物は、通常、個々には分子量の小さな変動がある複数のポリマーを含む。ある場合には、ポリマーは比較的に高い分子量を有し(たとえば、より小さな有機化合物に対して)、そしてポリマー調製物中のこのような小さい変動はポリマー調製物の全体の特性(たとえば、開始剤ポリマー調製物の特性)に影響を及ぼさない。重量平均分子量(Mw)は下記式で規定されうる。
【0050】
【数1】

上式中、Nは質量Mのサンプル中のポリマーのモル数を示し、Σiは調製物中の全てのNiMi(種)の合計である。Mwは光散乱や超遠心分離などの一般的な技術を用いて測定することができる。Mw及びポリマー調製物の分子量を特定するために使用される他の用語の議論については、たとえば、Allcock, H.R.及びLampe, F.W., Contemporary Polymer Chemistry; pg271(1990)に見ることができる。
【0051】
本発明のある態様は、生体適合性でかつ生分解性のフォームに関する。ある実施形態において、生分解性フォームはポリ−α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを用いて調製される。α(1→4)グルコピラノースポリマーはα(1→4)結合を有する反復グルコピラノースモノマー単位を含み、酵素分解されることができる。例示のα(1→4)グルコピラノースポリマーとして、マルトデキストリン、アミロース、シクロデキストリン及びポリアルジトールが挙げられる。マルトデキストリンは、一般に、アミロース調製物よりも低い分子量を有するポリマー調製物を指す。シクロデキストリンは低分子量環式α(1→4)グルコピラノースポリマーである。
【0052】
マルトデキストリンは、通常、デンプンスラリーを所望の加水分解度に達するまで85〜90℃の温度で熱安定α−アミラーゼによって加水分解し、その後、第二の熱処理によってα−アミラーゼを不活性化させることによって製造される。マルトデキストリンはろ過により精製でき、その後、スプレー乾燥して最終製品にされる。マルトデキストリンは、通常、加水分解度に関係しているデキストロース当量(DE)値によって特徴化され、DE=MWデキストロース/数平均MWデンプン加水分解物×100として規定される。一般に、マルトデキストリンはアミロース分子よりも低い分子量を有するものと考えられている。
【0053】
デキストロース(グルコース)に完全に加水分解されたデンプン調製物はDEが100であり、一方、デンプンはDEが約0である。DEが0より大きいが、100未満であることはデンプン加水分解物の平均分子量であることを特徴とし、マルトデキストリンはDEが20未満であると考えられている。様々な分子量のマルトデキストリンは市販されている。
【0054】
本明細書中に使用する際に、「アミロース」又は「アミロースポリマー」はα−1,4結合によって結合された反復グルコピラノース単位を有する直鎖ポリマーを指す。特定のアミロースポリマーは非常に少量のα−1,6結合による枝分かれを有するが(結合の約0.5%未満)、直鎖(枝分かれのない)アミロースポリマーと同一の物性をなおも示すことができる。一般に、植物源に由来するアミロースポリマーは分子量が約1×10Da以下である。対照的に、アミロペクチンは直鎖部分を形成するα−1,4結合によって結合された反復グルコピラノース単位を有し、そしてその直鎖部分がα−1,6結合によって結合されている枝分かれポリマーである。枝分かれ点の結合は、一般に、全結合の1%超であり、通常、全結合の4%〜5%である。一般に、植物源に由来するアミロペクチンは分子量が1×10Da以上である。
【0055】
例示のマルトデキストリン及びアミロースポリマーは約500Da〜約500,000Da、約1000Da〜約300,000Da、そして約5000Da〜約100,000Daの範囲の分子量を有する。
【0056】
様々な分子量のマルトデキストリン及びアミロースポリマーは種々の異なる供給源から市販されている。たとえば、Glucidex(登録商標)6(平均分子量、約95,000Da)、Glucidex(登録商標)2(平均分子量、約300,000Da)はRouquette (France)から入手可能であり、また、様々な分子量(分子量が約12,000Da〜約15,000Daであるものを含む)のMALTRIN(登録商標)マルトデキストリンはGPC(Muscatine, Iowa)から入手可能である。
【0057】
特定のサイズ範囲のアミロースを用いるという決定は組成物の物理特性(たとえば、粘度)、多糖類から形成されるフォームの所望の分解速度、及び、生理活性剤などのフォーム中の他の随意の成分が存在することなどの要因によってなされることができる。
【0058】
非還元多糖類も生分解性フォームを形成するための分解性ポリマー材料として使用できる。例示の非還元性多糖類はポリアルジトールを含み、それはGPC(Muscatine, Iowa)から入手可能である。
【0059】
ポリマー調製物(たとえば、多糖類調製物)の分子量の精製はダイアフィルトレーションを用いて行うことができる。マルトデキストリンなどの多糖類のダイアフィルトレーションは異なる孔サイズを有する限外ろ過膜を用いて行うことができる。例として、約1K〜約500Kの範囲の分子量分画膜を有する1つ以上のカセットをダイアフィルトレーションプロセスで使用して、平均分子量が500KDa未満の範囲、約5KDa〜約30KDaの範囲、約5KDa〜約30KDaの範囲、約10KDa〜約30KDaの範囲、又は、約1KDa〜約10KDaの範囲である多糖類調製物を提供することができる。
【0060】
アミロース又はマルトデキストリンなどのα−(1→4)グルコピラノースポリマーのペンダント重合性基を提供するための修飾は既知の技術を用いて行うことができる。調製のある態様において、ヒドロキシル基(これはα(1→4)グルコピラノースポリマーから天然にペンダントしている)の一部をヒドロキシル反応性基及び重合性基を有する化合物と反応させる。たとえば、米国特許出願公開第2007/0065481号(Chudzikら)として公開されている同一出願人の特許出願明細書はペンダントのアクリレート基及びメタクリレート基を提供するためのα(1→4)グルコピラノースポリマーの修飾を記載している。
【0061】
α(1→4)グルコピラノースポリマーの重合性基による修飾を下記の構造に関して説明する。たとえば、ペンダント重合性基を含むα(1→4)グルコピラノースの部分は以下の構造を有することができる:
【0062】
[M]−[L]−[H]
【0063】
上式中、Mはα(1→4)グルコピラノースポリマーのモノマー単位であり、ペンダント化学基([L]−[X])において、Xは不飽和重合性基であり、Lは不飽和重合性基をグルコピラノースモノマー単位に結合させる化学基である。
【0064】
ある場合には、化学結合基Lは開劣可能なエステル結合を含む。アセタール、カルボキシル、酸無水物、酸ハロゲン化物などのヒドロキシル反応性基及び重合性基を有する化合物は、重合性基とα(1→4)グルコピラノース骨格との間に加水分解開劣可能な共有結合を形成するために使用することができる。たとえば、その方法は重合性基を有するペンダント基を有するα(1→4)グルコピラノースポリマーであって、その重合性基が開劣可能なエステル結合を含む化学部分によって多糖類骨格に結合しているものを提供することができる。これらの態様において、フォームは酵素分解可能なα(1→4)グルコピラノースポリマーセグメントと、その分解可能なα(1→4)グルコピラノースポリマーセグメントどうしの間にある非酵素的に加水分解的に開劣可能な化学結合とを有するポリマーマトリックスを含むであろう。
【0065】
重合性基をα(1→4)グルコピラノースポリマーに結合するために使用することができる他の開劣可能な化学結合として、ペルオキシエステル基、ジスルフィド基及びヒドラゾン基が挙げられる。
【0066】
ある場合には、ヒドロキシル反応性基としてイソシアネート及びエポキシなどの基が挙げられる。これらの基はペンダント重合性基と多糖類骨格との間の非開劣性共有結合を形成するために使用することができる。これらの態様において、フォームは酵素分解可能なα(1→4)グルコピラノースポリマーセグメントを有するが、非酵素的に加水分解的に開劣可能な化学結合を有しないポリマーマトリックスを含むであろう。
【0067】
例示の合成方法はジメチルスルホキシド中に溶解させ、そしてメタクリレート基又はアクリレート基と、カルボキシレート、酸塩化物、酸無水物、アジド及びシアナトからなる群より選ばれるヒドロキシル反応性基とを有する化合物と反応させたα(1→4)グルコピラノースポリマー(たとえば、マルトデキストリン)を使用する。例示の化合物として、(アクリロイルオキシ)プロパノン酸、3−クロロ−3−オキシプロピルアクリレート、3−アジド−3−オキシプロピルアクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、無水メタクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸が挙げられる。
【0068】
α(1→4)グルコピラノースポリマーは本発明のフォームを形成するのに適する望ましい数のペンダント重合性基(たとえば、アクリレート基、メタクリレート基など)を有するように調製されうる。たとえば、あるレベルのアクリル化又はメタクリル化は、反応混合物中のα(1→4)グルコピラノースポリマーの量に対する反応性化合物の量を制御することで行うことができる。ある態様において、重合性基は、1gのポリマーあたり0.05mmol以上のモル量の重合性基(たとえば、アクリレート基)でα(1→4)グルコピラノースマクロマー上に存在する(測定値はμmol/mgとしても表記できる)。ある態様において、α(1→4)グルコピラノースは1gのマクロマーあたり約0.05mmol〜約2mmolの重合性基(たとえば、アクリレート基)の範囲の量の重合性基によって誘導化される。幾つかの好ましい実施形態において、生体適合性で生分解性のフォームは1gの多糖類あたり約0.05mmol〜約0.4mmolの重合性基(たとえば、アクリレート、メタクリレート)の範囲、又は、より詳細には、約0.1mmol/g〜約0.35mmol/gの範囲の重合性基誘導化レベルを有するα(1→4)グルコピラノースポリマーを用いて形成される。
【0069】
α(1→4)グルコピラノースポリマーは重合性基によって提供されるものとは異なる1つ以上の化学修飾基を含んでもよい。α(1→4)グルコピラノースポリマーはその化学的性質を変化させるように修飾されてもよい。一般に、もしもこのような修飾がなされるならば、その修飾はα(1→4)グルコピラノースが生分解性フォームを形成するのに有用であるという能力に悪影響を及ぼさないものである。
【0070】
たとえば、α(1→4)グルコピラノースポリマーは疎水性基を用いて誘導化されうる。これはフォームの親水性を低減するのに有用であることができ、そして組織又は体液と接触したときのフォームの分解速度を低下させることができる。疎水性基は重合性基を追加するのと同様にして多糖類に追加されうる。たとえば、脂肪酸のアルキル鎖などの疎水性基及び多糖類のヒドロキシル基と反応性である基を有する化合物を使用してα(1→4)グルコピラノースポリマーを誘導化する。疎水性基を追加するための例示の化合物及び方法は米国特許出願公開第2007/0065481号(前出)に記載されており、例46を参照されたい。もし疎水性基を追加するならば、誘導化されたα(1→4)グルコピラノースポリマーは望ましくは生体適合性塗布組成物中での可溶性を維持しており、そして生体適合性で生分解性のフォームへと重合されることができる。
【0071】
α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーは、重合開始剤及びガス発生成分が活性化されるときに、フォームを形成するために十分な塗布組成物中での最終濃度で使用できる。一般的な事項として、より高い濃度のα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを用いて、より密度が高く、硬くそして可撓性が低いフォームを形成することができる。多くの実施形態では、α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーは塗布組成物中、200mg/mL〜1000mg/mLの範囲、約400mg/mL〜約700mg/mL、又は、約500mg/mL〜約600mg/mLの範囲の濃度で存在する。もしα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーに加えて、塗布組成物中に1種以上の他のマクロマーが存在するならば、それはより少量で存在することができ、たとえば、約100mg/mL〜約500mg/mL、約200mg/mL〜約400mg/mL、又は、約200mg/mL〜約350mg/mLの範囲で存在することができる。
【0072】
ある態様において、生体適合性で生分解性のフォームは少なくともα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマー及び別の生体適合性ポリマーであって、1つ以上のペンダント重合性基を含むものから形成される。議論の目的で、この追加のマクロマーを本明細書中、生体適合性で生分解性のフォームの「第二のマクロマー」と呼ぶ。多くの態様において、第二のマクロマーは生体安定性で親水性の生体適合性ポリマーから形成される。生体安定性で生体適合性のポリマーは本発明の方法によって組織と接触したときにモノマー単位へと分解しないが、なおも生体適合性で、生体に悪影響を及ぼさないものを指す。このような生体安定性で生体適合性のポリマーは排尿又は排泄によって生体から排除されうる。
【0073】
α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマー及び第二のマクロマーから形成されるフォームはポリマーマトリックスであるフォームの固体成分を形成することができる。それゆえ、そのポリマーマトリックスは酵素分解可能であるポリマーセグメント及び非分解性ポリマーセグメントを有することができ、それらは重合した基によって架橋されている。場合により、ポリマー部分と重合した基との間の結合によっては、フォームのポリマーマトリックスは酵素分解可能であることに加えて、非酵素的に加水分解的に分解可能であることもできる。
【0074】
生体適合性で生分解性のフォームが形成された後に又はそのフォームが生体上にある標的に配置された後に、そのフォームはある速度で分解する。分解はポリα(1→4)グルコピラノースセグメントの酵素分解を生じさせるアミラーゼによって完全に又は部分的に起こることができる。アクリレート基又はメタクリレート基の結合によっては、不飽和エステルの非酵素的な加水分解も起こることができ、それがフォームの分解をさらに促進する。ポリα(1→4)グルコピラノースの分解は、また、第二のマクロマーから形成されたポリマーセグメントの開放ももたらし、そのポリマーセグメントは生体から排除されうる。
【0075】
第二のマクロマーを形成するために使用されうる例示のポリマーは、下記の1種以上の親水性生体適合性ポリマーをベースとすることができる:ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(メタ)アクリルアミド(PAA)及びポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)(たとえば、米国特許第5,410,016号、同第5,626,863号、同第5,252,714号、同第5,739,208号及び同第5,672,662号明細書を参照されたい)、PEG−PPO(ポリエチレングリコールとポリプロピレンオキシドとのコポリマー)、親水性セグメント化ウレタン(たとえば、米国特許第5,100,992号及び同第6,784,273号明細書を参照されたい)、及び、ポリビニルアルコール(たとえば、米国特許第6,676,971号及び同第6,710,126号明細書を参照されたい)。
【0076】
ある態様において、生体適合性フォームを形成するために使用される第二のマクロマーは分子量が100Da〜10,000Daの範囲、又は、200Da〜約10,000Daの範囲である。
【0077】
ある態様において、第二のマクロマーはオキシアルキレンポリマーから形成される。オキシアルキレンポリマーは下記式の成分−(R−O)−(式中、Rは1〜約8個の炭素原子を有する置換もしくは未置換の2価の炭化水素基である)の反復単位を含むポリマーを指す。ある実施形態において、Rは2、3又は4個の炭素原子を有する炭化水素基である。オキシアルキレンポリマーはRが異なるモノマー単位から形成することができる。たとえば、オキシアルキレンポリマーはRがそれぞれ2個の炭素原子及び3個の炭素原子を有するモノマー単位の組み合わせから形成されることができる。
【0078】
オキシアルキレンポリマーは、−(R−O)−以外のモノマー単位から形成されることもできる。ある実施形態において、オキシアルキレンポリマー中の−(R−O)−モノマー単位はポリマーの50質量%以上を占める。
【0079】
オキシアルキレンポリマーはエチレングリコールポリマー又はプロピレングリコールポリマー(たとえば、それぞれポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール))などのアルキレンオキシドポリマーであることができる。ある場合に、構造HO−(CH−CH−O)−Hを有するエチレングリコールポリマー又はオリゴマーを用いて生分解性フォームのための第二のマクロマーを形成する。例として、n値が約3〜約150の範囲にあり、ポリ(エチレングリコール)の数平均分子量(Mn)が約100Da〜約5000Daの範囲、より典型的には約200Da〜約3500Daの範囲、約250Da〜約2000Daの範囲、約250Da〜約1500Daの範囲、又は、約400Da〜約1000Daの範囲である。
【0080】
ある態様において、生体適合性で生分解性のフォームは少なくともα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマー及び直鎖オキシアルキレンポリマーから形成される。直鎖オキシアルキレンポリマーは本明細書中に記載されている。ある態様において、生体適合性で生分解性のフォームは少なくともα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマー及びオキシアルキレンポリマー部分を含む枝分かれ化合物から形成される。オキシアルキレンポリマー部分を含む枝分かれ化合物も本明細書中に記載されている。
【0081】
オキシアルキレンポリマーはオキシアルキレンをベースとするマクロマーを製造するために重合性基を追加するように有効に誘導化されうる。グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸などの重合性基はこれらのポリマーの末端ヒドロキシル基と反応して、末端に重合性基を提供することができる。アクリレート及びメタクリレート含有ポリ(エチレングリコール)又はポリ(プロピレングリコール)は、また、市販されている(たとえば、Aldrich Chemicalsから市販)。例示の誘導化のレベルは1gのオキシアルキレンポリマーあたり約0.001モル〜約0.01モルの重合性基の範囲である。
【0082】
アルキレンオキシドポリマーをベースとするマクロマーの幾つかの特定の例として、ポリ(プロピレングリコール)540−ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)475−ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)900−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)250−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)575−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)550−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)750−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)700−ジアクリレート及びポリ(エチレングリコール)1000−ジアクリレートが挙げられる。
【0083】
他の実施形態において、生分解性フォームを形成するために使用される第二のマクロマーは非酵素的に加水分解的に分解可能であるポリマー部分を含む。第二のマクロマーを形成するために使用されうる加水分解的に分解可能である例示のポリマーはポリエステルをベースとするものであることができ、たとえば、ポリ(乳酸)(ポリラクチド)、ポリ(グリコール酸)(ポリ(グリコリド))、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ジオキサノン)、ポリラクトン、たとえば、ポリ(カプロラクトン)及びポリ(バレロラクトン)、ならびに、コポリマー、たとえば、ポリ(グリコリド−コ−ポリジオキサノン)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)及びポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)である。
【0084】
ポリ(乳酸)などのポリエステルは末端ヒドロキシル基を有し、それは塩化アクリロイルを使用することでアクリル化されうる。
【0085】
生分解性ポリエーテルエステルコポリマーも第二のマクロマーを形成するために使用されることができる。一般的に言って、ポリエーテルエステルコポリマーは両親媒性ブロックコポリマーであり、親水性ブロック(たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレングリコール)及び疎水性ブロック(たとえば、ポリエチレンテレフタレート)を含む。ブロックコポリマーの例として、ポリ(エチレングリコール)をベースとするブロックと、ポリ(ブチレンテレフタレート)をベースとするブロックを含むもの(PEG/PBTポリマー)が挙げられる。これらのタイプのマルチブロックコポリマーの例は、たとえば、米国特許第5,980,948号明細書に記載されている。 PEG/PBTポリマーはOctoplus BV(Leiden, オランダ)からPolyActiveの商品名で市販されている。
【0086】
他のPEG含有ブロックコポリマー、たとえば、ポリ(ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(オキシエチレン)(POE)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)及びポリ(ラクチド)(PLA)から選ばれる1つ以上のポリマーブロックを含むものは、Advanced Polymer Materials, Inc.(Lachine, QC, Canada)から入手可能である。
【0087】
第二のマクロマーは重合開始剤及びガス発生成分が活性化されたときにフォームを形成するために十分な塗布組成物中の最終濃度でα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーと組み合わせて使用されてよい。多くの実施形態において、第二のマクロマー、たとえば、アルキレンオキシドポリマーをベースとするマクロマーは塗布組成物中に約100mg/mL〜約500mg/mLの範囲、約100mg/mL〜約400mg/mLの範囲、約100mg/mL〜約350mg/mLの範囲、又は、約150mg/mL〜約300mg/mLの範囲の濃度で存在する。α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを含む組成物と組み合わせる前に、第二のマクロマーはこれらの濃度の2倍の濃度範囲の量で組成物(たとえば、第二の組成物)中に存在することができる。
【0088】
塗布組成物中のマクロマー材料の量は、また、α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーの量と第二のマクロマー(たとえば、アルキレンオキシドポリマーをベースとするマクロマー)の量との質量比として記載できる。ある実施形態において、α(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーと第二のマクロマーの比は約1:1〜約3:1、約1:1〜約2:1の範囲であり、また、より詳細には、約1.1:1〜約1.5:1の範囲である。1つの例示の態様では、その比は約1.3:1である。
【0089】
本発明の他の態様は生体適合性で生体安定性のフォームに関する。ある実施形態において、生体安定性フォームは(少なくとも1種の)第一の生体安定性マクロマーと第二の生体安定性マクロマーとの組み合わせを用いて調製される。第一の生体安定性マクロマーは、ペンダント重合性基を含む、共有結合架橋が可能な枝分かれ親水性ポリマーを含む。第二の生体安定性マクロマーは、ペンダント重合性基を含む、共有結合架橋が可能な直鎖親水性ポリマーである。好ましい態様において、第一の生体安定性マクロマーは、ペンダント重合性基を含む、共有結合架橋が可能な枝分かれアルキレンオキシドポリマーを含む。
【0090】
枝分かれアルキレンオキシドをベースとするマクロマー及び直鎖親水性マクロマーから形成される生体安定性フォームはフォームの固体成分を形成することができる。固体成分は、重合性基が反応したものによって架橋された非分解性ポリマーセグメントを含むポリマーマトリックスを含む。
【0091】
第一のマクロマーは3つ以上の親水性ポリマー部分及びペンダント反応性基を含む枝分かれ(非直鎖)化合物を含む。ポリマー部分を有する「非直鎖」又は「枝分かれ」化合物は直鎖ポリマー(分子が枝分かれ又は架橋構造を含まず、長鎖を形成しているポリマー)と異なる構造を有するものを指す。このような化合物は複数のポリマー「アーム」を有することができ、これらのアームは化合物の共通結合部分に結合されていることができる。非直鎖又は枝分かれ化合物は、限定するわけではないが、下記一般式を有するものによって例示される。
【0092】
【化1】

【0093】
上式中、Xは、たとえば、C又はSより選ばれる結合性原子であるか、又は、同素環又は複素環などの結合構造であり、Y〜Yは橋かけ基であり、それらは独立に、たとえば、−C−O―であることができ、nは0又は1以上の整数であり、R〜Rは独立に親水性ポリマー部分であり、それらは同一であっても又は異なっていてもよく、そして1つ以上のペンダント重合性基を有し、Zは非ポリマー部分であり、たとえば、短鎖アルキル基である。
【0094】
【化2】

【0095】
上式中、Xは、たとえば、C又はSより選ばれる結合性原子であるか、又は、同素環又は複素環などの結合構造であり、Y〜Yは橋かけ基であり、それらは独立に、たとえば、−C−O―であることができ、nは0又は1以上の整数であり、R〜Rは独立に親水性ポリマー部分であり、それらは同一であっても又は異なっていてもよく、そして1つ以上のペンダント重合性基を有する。
【0096】
【化3】

【0097】
上式中、Xは、たとえば、N、C−H又はS−Hより選ばれる結合性原子又は基であるか、又は、同素環又は複素環などの結合構造であり、Y及びYは橋かけ基であり、それらは独立に、たとえば、−C−O―であることができ、nは0又は1以上の整数であり、R〜Rは独立に親水性ポリマー部分であり、それらは同一であっても又は異なっていてもよく、そして1つ以上のペンダント重合性基を有する。
【0098】
枝分かれ構造は、また、重合性基をも含む。重合性基は化合物のポリマー部分からペンダントしていることができる。多くの態様において、枝分かれ化合物は、その化合物のポリマー枝分かれ部分(R)1つあたり1つの重合性基を有する。これらの態様において、式I及びIIIの化合物は3つの重合性基を有し、式IIの化合物は2つの重合性基を有する。多くの態様において、重合性基はポリマー部分Rの末端に位置する。
【0099】
枝分かれマクロマーは低分子量ポリオール(たとえば、分子量が200Da以下であるポリオール)などのポリオールから調製できる。ある態様において、枝分かれマクロマーはトリオール、テトラオール又は他の多官能アルコールから誘導されうる。例示のポリオール誘導体として、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン及びグリセロールの誘導体が挙げられる。
【0100】
枝分かれマクロマーのポリマー部分としてはPVP、PEO、ポリ(エチルオキサゾリン)、PPO、PAA、ポリ(メタ)アクリル酸、PEG、PEG−PPO、親水性セグメント化ウレタン及びポリビニルアルコール、たとえば、本明細書中に記載されたものから選ぶことができる。
【0101】
ある態様において、枝分かれマクロマーはエチレングリコールポリマーなどのオキシアルキレンポリマーである1つ以上のポリマー部分を含む。
【0102】
たとえば、枝分かれマクロマーとして使用できるPEG−トリアクリレートマクロマー(トリメチロールプロパンエトキシレート(20/3 EO/OH)トリアクリレート)の調製は同一出願人の米国特許出願公開第2004/0202774(A1)号(Chuzikら)の例5に記載されている。
【0103】
ある態様において、枝分かれマクロマーは分子量が約300Da〜約20kDaの範囲、又は、より詳細には、約500Da〜約2500Daの範囲である。
【0104】
第二のマクロマー(直鎖マクロマー)は直鎖親水性ポリマーをベースとする。直鎖マクロマーを形成するために使用されることができる例示のポリマーは下記の1種以上のポリマーをベースとするものであることができる:ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(メタ)アクリルアミド(PAA)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)(たとえば、米国特許第5,410,016号、同第5,626,863号、同第5,252,714号、同第5,739,208号及び同第5,672,662号明細書を参照されたい)、PEG−PPO(ポリエチレングリコールとポリプロピレンオキシドとのコポリマー)、親水性セグメント化ウレタン(たとえば、米国特許第5,100,992号及び同第6,784,273号明細書を参照されたい)、及び、ポリビニルアルコール(たとえば、米国特許第6,676,971号及び同第6,710,126号明細書を参照されたい)。
【0105】
ある態様において、直鎖マクロマーは分子量が100Da〜5000Daである。
ある態様において、生体安定性フォームを形成するために使用されるマクロマーは本明細書中に記載されているとおりのオキシアルキレンポリマーから形成される。生体安定性フォームのためのマクロマーを形成するために使用されるオキシアルキレンポリマーは下記式成分:−(R−O)−(Rは1〜約8個の炭素原子を有する置換又は未置換の二価の炭化水素基である)の反復単位を含むことができる。ある実施形態において、Rは2、3又は4個の炭素原子を有する炭化水素基である。オキシアルキレンポリマーはRが異なるモノマー単位から形成されることができる。たとえば、オキシアルキレンポリマーはRがそれぞれ2個の炭素原子及び3個の炭素原子を有するモノマー単位の組み合わせから形成されることができる。
【0106】
オキシアルキレンポリマーは、また、−(R−O)−以外のモノマー単位から形成することもできる。ある実施形態において、オキシアルキレンポリマー中の−(R−O)−モノマー単位はポリマーの50質量%以上を占めることができる。
【0107】
生体安定性フォームを形成するために使用されるマクロマーはエチレングリコールポリマー又はプロピレングリコールポリマー(たとえば、それぞれポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール))などのアルキレンオキシドポリマーであることができる。ある場合に、構造HO−(CH−CH−O)−Hを有するエチレングリコールポリマー又はオリゴマーを用いて生分解性フォームのための第二のマクロマーを形成する。例として、n値が約3〜約150の範囲にあり、ポリ(エチレングリコール)の数平均分子量(Mn)が約100Da〜約5000Daの範囲、より典型的には約200Da〜約3500Daの範囲、約250Da〜約2000Daの範囲、約250Da〜約1500Daの範囲、又は、約400Da〜約1000Daの範囲である。
【0108】
アルキレンオキシドポリマーをベースとするマクロマーの幾つかの特定の例として、ポリ(プロピレングリコール)540−ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)475−ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)900−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)250−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)575−ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)550−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)750−ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)700−ジアクリレート及びポリ(エチレングリコール)1000−ジアクリレートが挙げられる。
【0109】
重合開始剤は重合性材料のフリーラジカル重合を起こさせてポリマーフォームを形成させるいかなる適切な成分(又は成分の組み合わせ)であってもよい。多くの重合開始剤は当該技術分野において知られており、市販されており、そして創傷部位に悪影響を及ぼすことなく、ポリマーフォームを現場in-situ)で形成するために使用されることができる。
【0110】
ある実施形態において、重合開始剤は「レドックスペア」(酸化剤/還元剤ペア)の構成要素を含む。開始剤、すなわち、酸化剤と、活性化成分又は触媒、すなわち、還元剤との反応によってフリーラジカルは生成される。レドックスペアの構成成分である化合物はレドックスペアの第一の構成成分及び第二の構成成分の反応性からみて、2つ(又はそれ以上)の組成物を有する系の中に含まれるであろう。別の言い方をすれば、レドックスペアの第一の構成成分と第二の構成成分とは、通常、塗布組成物を製造し(レドックス成分を活性化させ)、それにより、フォーム形成を促進させるときまでは別々の組成物中に入れられる。1つの態様において、本発明の系はレドックスペアの1つの構成成分を含む第一の溶液及びレドックスペアのもう一方の構成成分を含む第二の溶液を含む。
【0111】
酸化剤/開始剤は無機もしくは有機酸化剤(酵素を含む)から選択されうる。還元剤は無機もしくは有機還元剤(酵素を含む)から選択されうる。例示の酸化剤として、過酸化物(過酸化水素を含む)、金属酸化物及びグルコースオキシダーゼなどのオキシダーゼが挙げられる。
【0112】
例示の活性化成分として、Li、Na、Mg、Fe、Zn、Alなどの陽性の原子金属の塩及び誘導体、ならびにレダクターゼが挙げられる。これらの陽性の原子金属の例示の塩は、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、アセチルアセトナート、フマル酸塩及び乳酸塩が挙げられる。
【0113】
本発明に関する実験的研究によると、Fe2+をベースとする活性化成分は他のタイプの金属をベースとする活性化成分よりも利点があることが判った。これによると、Fe2+をベースとする活性化成分を使用すれば本発明の生体適合性フォームの性質(ならびにフォームを形成するための組成物及び方法)が改良できる。
【0114】
本発明に関する他の実験研究によると、特定のFe2+をベースとする活性化成分は発泡過程の間にマクロマー材料の重合を極端に良好に起こさせ、望ましい性質の生体適合性フォームの急速なセットアップをもたらすことが判った。
【0115】
これらの発見を元に、本発明のある実施形態において、その組成物及び方法はFe2+グルコン酸塩、Fe2+アスコルビン酸塩、Fe2+アセチルアセトナート及びFe2+乳酸塩からなる群より選ばれる活性化成分を含む。Fe2+グルコン酸塩又はFe2+乳酸塩は本発明の組成物及び方法において有利に使用される。
【0116】
本発明に関する他の実験研究によると、過酸化物をベースとする活性化成分は細胞生存率アッセイにおいて驚くほど良好に機能することが判った。適切な活性化成分とともに使用するときに、細胞生存率は、より高い濃度の過酸化水素(たとえば、約12mmol)を用いても非常に良好なままであった。
【0117】
これらの発見を元に、本発明のある実施形態において、その組成物及び方法は、過酸化物をベースとする開始剤を含む。過酸化物をベースとする開始剤としては、限定するわけではないが、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシケタール、ケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシドが挙げられる。ある態様において、開始剤は過酸化水素(H)である。ジアシルペルオキシドとしては、限定するわけではないが、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トルオイルペルオキシド、ラウロイルオキシド及びジベンゾイルペルオキシドが挙げられる。ヒドロペルオキシドとしては、限定するわけではないが、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド及びp−ジイソプロピルベンゼンペルオキシドが挙げられる。
【0118】
多くの実施形態において、レドックスペアの第一の構成成分及び第二の構成成分はほぼ同じ又は同じ濃度で使用される。たとえば、塗布組成物を形成するために混合する前に、事前組成物(たとえば、第一の組成物及び第二の組成物)中のレドックスペアの第一の構成成分及び第二の構成成分の濃度は、それぞれ、約2.0mM以上、約2.5mM以上又は約5mM以上であることができる。例示の範囲は約2.0mM〜約25mM又は約2.5mM〜約15mMである。
【0119】
ガス発生成分はマクロマーが塗布組成物中で重合しているときに形成されるフォームの固体成分の発泡のための適切なガスを提供することができる。
1つの実施形態において、ガス発生成分は系の2つの組成物(たとえば、第一の組成物及び第二の組成物)中に分離されている2つの化合物を含む。1つの化合物はガス発生性化合物であり、もう一方はガス発生性化合物と反応性でガスの生成を起こさせる活性剤である。ガス発生成分である例示のペアはカーボネート含有化合物、たとえば、重炭酸塩(たとえば、重炭酸カリウム又は重炭酸ナトリウム)及び生体適合性の酸、たとえば、クエン酸である。
【0120】
ガス発生成分は創傷部位上でポリマーフォームを形成するために十分な量で使用されることができる。塗布組成物中に存在するガス発生成分のこの量は、塗布組成物中に存在する重合性材料の量に基づいて選択できる。たとえば、塗布組成物を形成するために組み合わせる前に、事前組成物(たとえば、第一の組成物及び第二の組成物)中の酸及び重炭酸塩の濃度は、それぞれ、約40mg/mL以上、たとえば、約40mg/mL〜約160mg/mLの範囲、又は、より詳細には、約80mg/mL〜約120mg/mLの範囲であることができる。1つの例示の実施形態において、系は約100mg/mLの濃度で重炭酸塩を含む第一の(混合前の)組成物及び約100mg/mLの濃度で酸を含む第二の(混合前の)組成物を提供する。
【0121】
ある実施形態において、系中のガス発生成分の量と重合性材料の量との比(質量基準)は約1:20以上、たとえば、約1:20〜約1:1であり、又は1:12〜約1:5である。1つの例示の実施形態において、系中のガス発生成分の量と重合性材料の量との比は約1:9である。
【0122】
ある実施形態において、生体適合性フォームは1種の界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせを用いて形成できる。界面活性剤はマクロマーが重合している間に発生している気泡から良好な構造の空隙を形成するのを促進することによってフォーム形態の形成を改良することができる。界面活性剤は、また、フォームの多孔度を増大することもできる。そのようなものとして、界面活性剤はフォーム形成の間に孔自体が崩壊していくのを防止することができる。
【0123】
種々の生体適合性界面活性剤は当該技術分野において知られており、及び/又は、市販されており、それは生体適合性フォームを形成するための本明細書中に記載された方法に関連して使用できる。生体適合性界面活性剤として、ホスファチジルコリン(レシチン)アルキル(ポリ)グリコシド、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート(AOT)、ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)、ポリオキシエチレンソルビタンn−アシルエステル(Tweens)及びポロキサマー(Pluronics)が挙げられる。
【0124】
1つの実施形態において、生体適合性フォームを形成するための界面活性剤としてポロキサマーを使用することが望ましいことが判った。本発明に関する実験研究に基づいて、ポロキサマーをフォーム形成性組成物中に含ませ、そして非常に望ましい性質のフォーム構造の形成を促進することができることが判った。理論に拘束されることは意図しないが、同様の化学的特徴を有するマクロマー及び界面活性剤(たとえば、マクロマー及び界面活性剤の両方にポリ(エチレンオキシド)部分が存在している)から形成されるフォームは優れたフォーム構造を提供するものと考えられる。
【0125】
ポロキサマーは、中心の疎水性ポリ(プロピレンオキシド)部分と、側方の親水性ポリ(エチレンオキシド)部分を含む。ポロキサマーは、その多くが商品名Pluronics(登録商標)(BASF Corp.)で市販されており、それらは様々なPPOコア及びPEOの含有分を有するPEO−PPO−PEOの非イオン性トリブロックコポリマーを含む。ポロキサマーは液体、ペースト及びフレークの形態で入手可能である。ある実施形態において、ポロキサマーは、ワックスの形態である。1つの例示のポロキサマーはPluronics(登録商標)25R4であり、それは親水性−疎水性バランスが7〜12の範囲である。別の例示のポロキサマーはPluronics(登録商標)31R1である。ある実施形態において、生分解性フォームはPEGモノメタクリレート及びポロキサマーを用いて調製される。
【0126】
ある態様において、界面活性剤は塗布組成物中に約0.5mg/mL〜約15mg/mLの範囲、約1mg/mL〜約l0mg/mLの範囲又は約3.5mg/mLの量で存在する。
【0127】
ある実施形態において、生体適合性フォームはエマルジョン中にフォーム形成成分を用いて形成される。別の言い方をすれば、フォーム形成性成分が混合されるときに、混合された成分を含む組成物はエマルジョンの形態であり、そのエマルジョンは気泡を生成しそして重合してフォームとなる。
【0128】
混合した組成物が同一の液体中で完全に混和性ではないポリマー成分を含むときにエマルジョンを形成することができる。ポリα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーと混和性でない可能性がある第二のマクロマーの例として、ポリグリコリドをベースとするマクロマーが挙げられる。ポリα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを有する第一の組成物を調製し、そしてこの第一の組成物と異なる溶剤中に溶解させたポリグリコリドをベースとするマクロマーを有する第二の組成物を調製することができる。これらの組成物の一方又は両方はエマルジョン形成を促進し及び/又は安定化させる成分を含んでもよい。これらの組成物を一緒に混合し、エマルジョンを形成し、マクロマー材料の重合及びガス発生を行う。
【0129】
乳化された組成物からの現場(in-situ)でのフォーム形成では、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール及び脂肪酸アルコールなどの液体を含むことができる。非水性液体はエマルジョン形成を促進しそして生体適合性組成物を提供するために低濃度で使用されてよい。
【0130】
事前形成フォームは様々な溶剤を用いてエマルジョンから形成することができる。これらの溶剤は生体内にフォームを導入する前に事前形成フォームから除去されることができる。
【0131】
フォーム形成性組成物は、また、フォームが形成され又は適用される組織部位の治療過程を改良することができる1種以上の生理活性剤をも含むことができる。
【0132】
生理活性剤は1つ以上のやりかたで本発明のフォームから開放されうる。ある態様において、生分解性フォームはフォーム構造体の架橋ポリマーマトリックス中に捕捉された生理活性剤を含むことができる。組織と接触された後にマトリックスのポリマー材料が分解するときに、生理活性剤がマトリックスから開放され、そしてフォームが接触している組織及び/又は流体に供給されるようになる。多くの態様において、捕捉された生理活性剤は巨大分子であるか、又、生理活性剤は粒状形態である。粒状物はポリマー材料の架橋マトリックス内に保持されることができる。
【0133】
別の例として、生理活性剤はフォーム構造体の架橋ポリマーマトリックスから溶離する。生理活性剤の溶離はフォームのポリマー材料の親水性によって生じることができ、それが水をマトリックス中に送り込み、そしてマトリックス中の浸透圧を増加させる。結果として、生理活性剤のコーティングの透過性が増大され、フォームからの生理活性剤の溶離をもたらす。
【0134】
または、生理活性剤はフォームの1つ以上のマトリックス材料と結合される。その場合には、生理活性を担う分子がフォーム材料から開放されることなく、フォームが生理活性を提供するためには望ましい可能性がある。たとえば、フォームを形成するために使用されるポリマー材料に共有結合することができる生理活性剤とともにフォームを形成する。例として、共有結合は生理活性剤を重合性基によって誘導化し、その後、マトリックス形成材料と生理活性剤とを共重合することで形成されうる。別の方法では、生理活性剤を光反応性基によって誘導化し、その後、その光反応性基の存在下にマトリックスを活性化し、生理活性剤をフォームのマトリックス材料に結合させることを含む。光誘導化生理活性剤は当該技術分野において知られており、たとえば、米国特許第4,722,906号明細書(Guireら)に記載されている。第三の方法は、生理活性分子を重合可能な部分に共有結合させ、次いで、それをフォーム中に架橋させることを含む。
【0135】
生理活性剤の一部のリストを下記に示す。生理活性剤の水に対する溶解度の情報に加えて、生理活性剤の包括的リストはThe Merk Index, 第13版、Merk & Co.(2001)に見ることができる。
【0136】
本発明によって調製されるフォームは1つ以上の下記のクラスに該当する生理活性剤を開放するために使用することができ、その生理活性剤として、限定するわけではないが、ACE阻害剤、アクチン阻害剤、鎮痛剤、麻酔薬、降圧剤、抗ポリメラーゼ剤、抗分泌薬、抗AIDS物質、抗アポトーシス剤、抗生物質、抗癌物質、抗コリン薬、抗凝血物質、抗痙攣薬、抗うつ剤、鎮吐薬、抗真菌剤、抗緑内障溶質、抗ヒスタミン剤、降圧薬、(NSAIDなどの)抗炎症薬、抗代謝産物、抗有糸分裂剤、抗酸化剤、抗寄生生物剤、及び/又は抗パーキンソン病物質、(抗血管新生物質を含めた)抗増殖性物質、抗原虫溶質、抗精神病物質、解熱薬、消毒薬、鎮痙薬、抗ウイルス剤、カルシウム・チャネル遮断薬、細胞周期タンパク質、細胞応答調節剤、キレート剤、化学療法薬、ドーパミン作動薬、細胞外マトリックス成分、線維素溶解薬、フリーラジカル・スカベンジャー、成長因子、成長ホルモン拮抗薬、ホーミング因子、催眠剤、免疫抑制剤、免疫毒素、表面糖タンパク質レセプターの阻害剤、微小管阻害剤、縮瞳薬、筋収縮剤、筋弛緩剤、神経毒素、神経伝達物質、ポリヌクレオチド及びその誘導体、オピオイド、光力学療法用物質、プロスタグランジン、再形成阻害剤、スタチン、ステロイド、血栓溶解剤、トランキライザ、血管拡張薬、及び血管攣縮阻害剤が挙げられる。
【0137】
本発明のある態様において、フォームは巨大分子である生理活性剤を含む。例示の巨大分子は、ポリヌクレオチド、多糖類及びポリペプチドからなる群より選ぶことができる。ある態様において、生理活性剤は分子量が約1000Da以上である。
【0138】
フォームから開放されうる生理活性剤の1つのクラスとして、ポリヌクレオチドが挙げられる。本明細書中に使用するときに、「ポリヌクレオチド」は2つ以上のモノマーヌクレオチドのポリマーを含む。ヌクレオチドはDNA(アデニン、チミン、グアニン及びシトシンをベースとするデオキシリボヌクレオチド)及びRNA(アデニン、ウラシル、グアニン及びシトシンをベースとするリボヌクレオチド)中に見られるような天然由来のヌクレオチド、ならびに、非天然又は合成ヌクレオチドから選ぶことができる。
【0139】
マトリックスから開放されうるタイプのポリヌクレオチドとして、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、組み込み可能なDNAフラグメント、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA及びRNA、アプタマー、修飾DNA及びRNA、iRNA(免疫リボ核酸)、リボザイム、siRNA(低分子干渉RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ロックされた核酸及びshRNA(低分子ヘアピン型RNA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドはmRNAの特異的な相補部分に複合化する。アンチセンス分子による複合化はリボヌクレアーゼH(RNAse H)によるRNA二本鎖を分解することになり、そして標的mRNAによってエンコードされたタンパク質を産生を低減させる。RNA干渉(RNAi)は標的特異的な遺伝子サイレンシングを指し、低分子干渉RNA(siRNA)によって行われることができる。細胞中に導入された二本鎖siRNAはRNA誘導サイレンシング複合体によって認識され、それは鎖を分離し、アンチセンス鎖の標的mRNAへの複合化を促進し、その後、標的鎖を開劣する。したがって、siRNAは選択タンパク質の発現を抑制することができる。リボザイムとして知られる幾つかの酵素RNA分子は標的RNA分子の開裂及び分解を触媒することができる。
【0140】
ある態様において、フォームは抗生物質を含む。例示の抗生物質として、局所用抗生物質、たとえば、バシトラシン、ムピロシン(バクトロバン)及びレタパムリンが挙げられる。他の抗生物質の例として、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、バンコマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、セファロスポリン、ゲルダナマイシン、及びその類似体が挙げられる。
【0141】
ある態様において、フォームは組織の治癒を促進するポリペプチドを含む。ポリペプチドは接触している組織に作用するようにフォームから開放されうる。ある態様において、ポリペプチドは分解性フォームから解放される。ポリペプチドは2つ以上のアミノ酸残基を含むオリゴマー又はポリマーを指し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチドなどと当該技術分野において呼称されている化合物を包含することが意図される。例として、ペプチドは抗体(モノクロナール及びポリクロナールの両方)、抗体誘導体(二重特異性抗体、F(ab)フラグメント、ヒト化抗体などを含む)、サイトカイン、成長因子、レセプターリガンド、酵素などが挙げられる。ポリペプチドは、また、別の生体分子又は生体適合性化合物によって修飾されたもの又はそれに結合されたものも含むことができる。たとえば、ポリペプチドはペプチド−核酸(PNA)複合体、多糖類−ペプチド複合体(たとえば、グリオシル化ポリペプチド、糖タンパク質)、ポリ(エチレングリコール)−ポリペプチド複合体(PEG化ポリペプチド)であることができる。
【0142】
フォーム中に含まれることができる1つのクラスのポリペプチドは抗体及び抗体フラグメントである。様々な抗体及び抗体フラグメントは市販されており、寄託品又は寄託サンプルによって得ることができ、又は、当該技術分野において知られる技術によって調製されうる。たとえば、モノクロナール抗体は(mAbs)は培養液中の連続継代細胞株によって抗体分子の生成に供するいずれかの技術によって調製されうる。これらの技術として、たとえば、融合細胞技術(Kohler及びMilstein, Nature, 256:495-497(1975))、ヒトB−セル融合細胞技術(Kosborら, Immunology Today, 4:72(1983))及びEBV−細胞融合技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96(1985))が挙げられる。このような抗体はIgG,IgM、IgE、IgA、IgDを含む免疫グロブリンクラス及びそのサブクラスのものであることができる。
【0143】
Fab又はFab’2フラグメントは、それぞれパパイン又はペプシン消化を伴う標準的技術によってモノクロナール抗体から生成できる。Fab又はFab’2フラグメントの生成のためのキットは、たとえば、Pierce Chemical (Rockford, IL)から市販されている。
【0144】
ポリペプチドは、また、細胞応答調節剤から選択されうる。フォームを接触させる組織のタイプを基礎にして、細胞応答に作用する適切なタイプのポリペプチドを選択することができる。
【0145】
細胞応答調節剤として、走化性因子、たとえば、血小板由来成長因子(PDGF)、色素上皮誘導因子(PEDF)、好中球活性化タンパク質、単球走化性タンパク質、マクロファージ炎症性タンパク質、SIS(小さな誘導型分泌)タンパク質、血小板因子、血小板塩基性タンパク質、メラノーマ増殖刺激活性、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子(α)、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来内皮細胞成長因子、インシュリン様成長因子、神経成長因子、血管内皮増殖因子、骨形成タンパク質(たとえば、BMPs2−7)及び骨増殖/軟骨誘導因子(αとβ)が挙げられる。他の細胞応答調節剤は、インターロイキン1〜インターロイキン10を含めたインターロイキン、インターロイキン阻害剤又はインターロイキン受容体;α、β、及びγを含めたインターフェロン;エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージ・コロニー刺激因子及び顆粒球-マクロファージ・コロニー刺激因子を含めた造血因子;αとβを含めた腫瘍壊死因子;β-1、β-2、β-3を含めたトランスフォーミング増殖因子(β)、インヒビン及びアクチビンが挙げられる。
【0146】
ポリペプチドは、治療用酵素、たとえば、プロテアーゼ、ホスホリパーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、コレステロールエステラーゼ及びヌクレアーゼから選択できる。
【0147】
特定の例として、リコンビナント・ヒト組織プラスミノーゲン活性剤(アルテプラーゼ)、RNaseA、RNaseU、コンドロイチナーゼ、ペガスパルガーゼ、アルギニンデアミナーゼ、ビブリオリシン、サクロシダーゼ、N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ、グルコセレブロシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びラロニダーゼが挙げられる。
【0148】
もし、ポリペプチドがフォーム中に含まれるならば、ポリペプチドはミクロ粒子の形態で存在することができる(それはフォーム構造を形成しているポリマーマトリックス中に存在することができる)。ポリペプチドミクロ粒子は発明の名称「Polypepitide Microparticles」で2007年6月28日に出願した同一権利者の米国特許出願第60/937,492号明細書に記載されるとおりに形成できる。一般に、これらのミクロ粒子は、ポリペプチドを成核剤によって凝集させてポリペプチド核を形成し、その溶液と相分離剤とを混合してポリペプチド核の周囲にさらにポリペプチドを凝集させて混合物を形成させ、その混合物を冷却してポリペプチドミクロ粒子を形成させ、そして相分離剤のすべて又は一部をポリペプチドミクロ粒子から除去することで溶液中に形成される。この方法は、主に抗体又は抗体フラグメントからなるミクロ粒子の調製に特に有利であることが判った。この方法は、低いサイズ多分散性を有する望ましいサイズのミクロ粒子を含むミクロ粒子セットを提供し、そして良好なペプチド活性を維持する。
【0149】
レドックスペアの構成成分及びガス生成性成分の構成成分の反応性を考慮すると、これらの成分は、通常、フォームの形成を望む時まで、互いに接触させない別々の組成物として維持する。フォームの形成を望むときに、別々の組成物を混合して塗布組成物を形成する。塗布組成物中、レドックスペアの構成成分及びガス生成性成分の構成成分はマクロマー材料(1種又は複数種の材料)の存在下に混合されて、フォーム形成を開始する。
【0150】
それゆえ、一般的な事項として、本発明の系は一般に2つの組成物(たとえば、第一の組成物及び第二の組成物)を含み、レドックスペアの構成成分及びガス生成性成分の構成成分がこれら2つの組成物中で分離されている。
【0151】
ある実施形態において、組織部位での生体適合性フォームの現場(in-situ)形成又は組織部位から離れて事前形成されるフォームのための系は、重合活性化成分及び酸を含む第一の溶液、及び、重合開始剤及び上記酸と接触したときにガスを開放するフォーム形成量で存在するガス開放性化合物を含む第二の溶液を含む。この第一の組成物もしくは第二の組成物、又は、第一の組成物及び第二の組成物の両方の中に、生体適合性マクロマーが存在する。第一の組成物及び第二の組成物は混合されて塗布組成物を形成することができ、この塗布組成物は、その後、組織に塗布され、現場(in-situ)で組織部位の治療のためのポリマーフォームを形成し、又は、塗布組成物は事前形成フォームを形成するためのモールドに配置される。
【0152】
生分解性フォームの形成のための特定の例として、第一の溶液は乳酸第一鉄、クエン酸及びα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを含み、第二の溶液は過酸化水素、重炭酸カリウム及び第二のマクロマー、たとえば、PEGをベースとするマクロマーを含む。
【0153】
特定の実施形態の例として、第一の組成物は、約4mM〜約30mMの範囲の濃度の乳酸第一鉄、約60mg/mL〜約120mg/mLの範囲の濃度のクエン酸、及び、約500mg/mL〜約700mg/mLの範囲の濃度のα(1→4)グルコピラノースをベースとするマクロマーを含む。第二の組成物は約4mM〜約30mMの範囲の濃度の過酸化水素、約60mg/mL〜約120mg/mLの範囲の濃度の重炭酸カリウム、及び、約350mg/mL〜約550mg/mLの範囲の濃度の第二のマクロマー、たとえば、PEGをベースとするマクロマーを含む。
【0154】
多くの実施形態において、組成物の固体成分は水溶液中に溶解し又は懸濁しているであろう。水性組成物は所望のpH範囲(たとえば、約6.5〜約7.5)の液体組成物を提供するようにpH調節されうる。ジメチルスルホキシド(DMSO)又は生体適合性アルコールもしくはポリオールなどの他の生体適合性液体はフォーム形成性組成物中に含まれてよい。
【0155】
本発明の事前形成された生体適合性フォームも組織を治療するために使用できる。「事前形成」とは現場(in-situ)で形成されるのではなく、組織部位から離れたところで形成されるフォームを指す。事前形成された生体適合性フォームは特定の構造を有することができる。たとえば、事前形成された生体適合性フォームは特定の形状のフォームを提供するようにモールド又はキャスティングを用いて形成できる。又は、事前形成された生体適合性フォームを形成し、その後、切断などの加工によって所望のとおりに成形することができる。組織治療に有用な例示の形状として、限定するわけではないが、球形、筒型、二枚貝貝殻、平坦、長方形、正方形及び丸みのある形状が挙げられる。
【0156】
事前形成された生体適合性フォームは現場でフォームを形成するのと同様に形成することができるが、組成物はレセプタクル(たとえば、モールド)に混合形態で入れるか、又はそこで混合される。レセプタクルにおいて、マクロマーが重合している間に組成物はガスを発生し、その組成物が配置されたモールドにより決まる形状に成形されたフォームとなる。フォームを形成した後に、そのフォームをモールドから取り出すことができる。
【0157】
本発明の方法は、混合される組成物を組み合わせ、混合しそしてフォーム形成を望む標的位置に配置することを含むことができる。急速にフォームを形成する本発明の多くの組成物では、組み合わせ、混合及び配置の工程は数秒以内に行われることができる。一般に、複数の別個のフォーム断片ではなく、凝集塊としてフォームを形成するように、これらの工程を行うことが望ましい。
【0158】
ある実施形態において、2つの組成物ブレンディングを急速に行い塗布組成物を形成するように積極混合を行う。積極混合は、通常、塗布組成物中の成分のタイプ及び濃度が急速なポリマー材料の重合及びガス発生(たとえば、数秒以内)をもたらすプロセスにおいて行われる。積極混合は、均質又は実質的に均質な塗布組成物を急速に形成させる機械的特徴を有するデバイスを用いて行うことができる。例として、機械的特徴は組成物が通過する1つ以上のバッフル、攪拌バーなどであることができる。
1つのタイプの適切な混合デバイスはインジェクションポート及び一連のバッフルを有するチャンバーを含み、その中で組成物が混合される(Micromedics FibriJet(登録商標)アプリケータアセンブリ及びブレンディングチップ、Micromedics, Saint Paul, Minnesotaから市販されている)。組成物の混合はブレンディングヘッドへ混合される組成物を導入する直前に起こり、装置を閉塞しない。
【0159】
又は、組成物は消極混合を用いて混合されてもよい。消極混合とは組成物どうしを強制して混合するための機械的特徴を用いないプロセスを指す。代わりに、消極混合では、組成物を互いに自然に混合させる。たとえば、消極混合では積極混合よりも拡散によって成分の混合が起こりうる。
【0160】
積極混合プロセス又は消極混合プロセスによって組成物を混合した後に、塗布組成物を組織部位に現場(in-situ)で塗布するか又はレセプタクルに入れてフォームを形成することができる。
【0161】
塗布組成物は創傷などの組織部位に急速に塗布されてよく、そこで、急速に生体適合性フォームを形成する。ある実施形態において、組成物は組織部位に約2mL/秒の速度で送られる。塗布組成物の送達速度はより大きな導管又は複数の導管を用いて増大できる。
【0162】
場合により、本発明の生体適合性フォームはフォームとは異なる材料から製造されたインプラント可能な医療物品と組み合わせて使用することができる。インプラント可能な医療物品の表面にフォーム材料の部分が結合するような方法によって本発明の生体適合性フォームを調製することができる。ある実施形態において、混合したフォーム形成組成物をインプラント可能な医療物品の表面に塗布し、そしてフォームを形成しながらそのフォームを表面に結合させる。
【0163】
ある場合には、インプラント可能な医療物品はフォームの構造支持を提供することができる。別の言い方をすれば、物品は該物品上にフォームが配置される骨格又はフレームワークを提供することができる。このことは、生体適合性フォームを使用することが望まれているが、フォーム自体が医療に必要とされる所望の程度の構造特性を提供し得ない用途で望ましいことがある。
【0164】
フォームが結合されることができるインプラント可能な医療物品の例として、限定するわけではないが、血管インプラント及び移植片、移植片、手術デバイス;合成プロテーゼ;内部人工器官、ステント移植片及び血管内ステント組み合わせ物を含めた人工血管;小径移植片、腹部大動脈瘤移植片;創傷被覆材及び創傷管理デバイス;止血性障壁;メッシュ及びヘルニア・プラグ;子宮出血パッチ、心房中隔欠損症(ASD)パッチ、卵円孔開存症(PFO)パッチ、心室中隔欠損症(VSD)パッチ及び他のジェネリック心臓パッチを含めたパッチ;ASD、PFO及びVSD閉鎖器;経皮閉鎖デバイス、僧帽弁修復デバイス;左心耳フィルター;弁輪形成デバイス、カテーテル;中心静脈アクセス・カテーテル、血管アクセス・カテーテル、非経口的栄養補給カテーテル、脳卒中治療用カテーテル、吻合デバイス及び吻合閉鎖器、動脈瘤空置術デバイス、避妊具、乳房インプラント、心臓センサー、感染管理デバイス、膜、組織の足場、組織関連材料、脳脊髄液(CSF)シャント、緑内障ドレーン・シャントを含めたシャント、耳ドレナージ管などの耳用デバイス、眼科用デバイス、ドレナージ管カフ、インプラント薬物注入管カフ、カテーテル・カフ、縫合カフを含めたデバイスのカフ及びカフ部分、脊髄及び神経学的デバイス、神経再生導管、神経学的カテーテル、ニューロパッチ、整形外科用関節インプラント、骨修復/増強デバイス、軟骨修復デバイスなどの整形外科用デバイス、泌尿器科学的インプラントなどの泌尿器科学的デバイス及び尿道デバイス、膀胱デバイス、腎のデバイス及び血液透析デバイス、胆道ドレナージ物品、膿瘍ドレナージ用カテーテル、薬物注入カテーテル、歯科用デバイス及び歯科インプラント、鼓膜切開術ベント管、膿瘍ドレナージ用カテーテル、医薬注入用カテーテル、歯科用デバイス及び歯科インプラント、及び、鼓膜切開術ベント菅が挙げられる。
【0165】
フォームか結合することができる物品は織物材料、編み物材料及び組み製材料を含むテキスタイル材料から製造されうる。布帛から製造されたインプラント可能な物品の例として、心臓パッチ、シース及び移植片が挙げられる。
【0166】
フォームが結合することができる物品は、また、多孔性表面、たとえば、移植片、シース、カバー、スリーブ、ラップ又はケーシングの多孔性表面が挙げられる。
【0167】
生体適合性フォームの機械特性を測定するために試験を行うことができる。動的機械的熱的試験はフォームを応力下に変形させている間の機械応答を測定することで生体適合性フォームの粘弾性及びレオロジー特性に関する情報を提供することができる。測定として、圧縮弾性率及び剪断弾性率の測定が挙げられる。重要な粘弾性パラメータ(圧縮弾性率及び剪断弾性率を含む)は、振動において応力、歪み、周波数、温度又は時間の関数として測定されうる。市販のレオメータ(たとえば、TA Instruments, New Castle, Delaware から入手可能)を用いてこれらの測定を行うことができる。機械特性に関するヒドロゲルの試験は、また、Ansethら、(1986) Mechanical properties of hydrogels and their experimental determination, Biomaterials, 17:1647に記載されている。
【0168】
生体適合性フォームは複素動的弾性率(G):G=G’+iG”=σ/γ(G’は実数(弾性又は貯蔵)弾性率であり、G”は虚数(粘性又は損失)弾性率である)を決定するために測定されることができる。これらの定義はGが剪断弾性率を指し、σが剪断応力を指し、γが剪断歪みを指す、剪断モードで試験するのに応用できる。
【0169】
ある態様において、生体適合性で生体安定性のフォームは圧縮弾性率が約5kPa〜約200kPaの範囲であり、より詳細には約30kPa〜約150kPaの範囲である。
【0170】
ある態様において、生分解性の生体適合性フォームは圧縮弾性率が約0.5kPa〜約50kPaの範囲であり、より詳細には約3kPa〜約30kPaの範囲である。
【0171】
ある態様において、生体適合性で生体安定性のフォームは50%圧縮力が約1N〜約50Nの範囲であり、より詳細には約5N〜約30Nの範囲である。
【0172】
ある態様において、生分解性の生体適合性フォームは50%圧縮力が約0.5N〜約20Nの範囲であり、より詳細には約1N〜約6Nの範囲である。
【0173】
本発明のフォームの多孔性構造は孔体積について記載でき、その孔体積はフォームの空気体積/フォームの合計体積の比である。孔体積は、また、フォーム形態で重合した材料の密度に対して、中実(発泡していない)形態の重合した材料の密度が判れば計算することができる。
【0174】
たとえば、特定のフォームの孔体積を決定するために、マクロマー材料の重合を、ガス生成性成分の存在下(発泡製品を形成する)と、ガス生成性成分の非存在下(中実の発泡していない製品、すなわち、孔がない製品を形成する)とで行うことができる。発泡製品と中実製品でポリマー成分は同一である。発泡製品と非発泡製品の重合が起こった後に、発泡製品と中実製品の寸法を測定しそして各々重量を計量する。密度は製品の重量を体積で割ることで計算される。その後、孔体積は中実の発泡していない製品の密度/発泡製品の密度の比によって計算される。たとえば、もし中実製品の密度が1.0g/cmであり、発泡製品の密度が0.25g/cmであるならば、発泡製品についての孔体積は4である。孔体積の数値がより大きいということは、一般に、発泡製品は、比較的に空隙の数が大きく、より大きな空隙であり、又はその両方であることを意味する。
【0175】
本明細書中に記載されているマクロマー材料を用いて、広い範囲の孔体積を有する生体適合性フォームを形成することができる。たとえば、ある態様において、本発明の生体適合性フォームは孔体積が約7.5〜約1.5の範囲であり、約7.0〜約1.75の範囲であり、約6.5〜約2.0の範囲であり、又は、約6.0〜約2.25の範囲であることができる。
【0176】
ある態様において、生体適合性フォームは生分解性であり、そして孔体積が約7.5〜約1.5の範囲であり、約7.0〜約1.75の範囲であり、約6.5〜約2.0の範囲であり、又は、約6.0〜約2.25の範囲である。
ある態様において、生体適合性フォームは生体安定性であり、そして孔体積が約7.5〜約1.5の範囲であり、約7.0〜約1.75の範囲であり、約6.5〜約2.0の範囲であり、又は、約6.0〜約2.25の範囲である。
【0177】
いったん形成されると、生体適合性フォームは細胞の足場として機能することができる。多くの場合に、フォームは標的部位で形成され又は配置され、そこで、そのフォームは組織に結合している。ある時間の後には、フォームの孔には生体からの細胞が浸潤していく。別のやり方では、又は、追加的には、フォームは外来性の細胞を備えていることができ、又は組織部位で形成されても又は配置されてもよい。
【0178】
細胞の足場として作用する生体適合性フォームは、標的部位で、組織の修復を促進し、組織を増強させ、又は、組織を置き換えることができる。多くの場合に、フォームは通常の創傷治癒応答が向上するように標的組織の付近、その上又はその中で形成され又は配置されるであろう。フォームなしでは、治癒過程は非機能性傷痕組織となることがある。生体適合性フォームの場合には、標的組織接触している時間の後に、フォームは通常、分解を起こす。分解の前、その間又は後に、組織修復は促進されうる。
【0179】
たとえば、フォームは哺乳類動物ホスト内の周囲組織の再構築を促進することができる。このため、ある態様において、細胞の足場は組織置換を促進するように機能し、また、組織修復のための再構築の型としても機能する。
【0180】
本発明の生体適合性フォームは埋め込まれたときにホストの組織を修復し及び/又は置換するのに適切な性質(化学的、物理的及び/又は構造的性質を含む)を有する。生体適合性フォームの例示の化学的性質として、フォームを対象内にインプラントし又は対象内で形成するときの細胞の結合及び成長に適する化学的性質が挙げられる。例示の物理的性質は、移植及び形成の部位での組織の機械的性質と同様の機械的性質が挙げられる。
【0181】
生体適合性フォームは、細胞接着因子、成長因子及び/又はサイトカインなどの成分を含むことができる。これらの成分は、細胞の生存可能性を維持するのに有用であることができ、及び/又は、組織再生過程の一部である細胞応答を促進するのに有用であることができる。
【0182】
生体適合性フォームは、創傷を含めた、意図的又は事故により誘導された組織の外傷を含めた様々なタイプの組織への破損を治療する様々な用途で使用できる。
【0183】
生体適合性フォームは、擦過傷、裂傷、開放創及び深い傷を治療するために使用できる。生体適合性フォームは感染を伴う又は感染を伴わない組織破損を治療するために使用できる。
【0184】
本発明のフォームは下記の組織破損:やけど(一般的な熱傷、1度熱傷、2度熱傷及び3度熱傷を含む)、擦過傷、化学的又は電気的接触を原因とする組織損傷、褥瘡(とこずれ)、凍傷、壊疽、武器(たとえば、銃又はナイフ)による傷、潰瘍、骨髄炎(骨又は骨髄の感染)、乾癬性損傷、座瘡、癰、丹毒(皮膚の連鎖球菌感染)、膿瘍、疱疹、毛巣嚢胞、爪囲炎及びひょう疽などの急性の手の感染症の治療のために使用することができる。
【0185】
本発明のフォームは、また、形成外科又は美容外科手順においても使用できる。たとえば、生体適合性フォームは、乳房組織、又は、唇、顎もしくは頬領域の組織を増大させるために使用できる。
【0186】
下記の外科手順、たとえば、開胸術(胸の切開)、筋膜切開術(張力及び圧力を開放するための筋膜の除去又は切断)、気管切開術(気管へアクセスするための首の中の切開)、腹腔切開術又は開腹術(腹壁をとおした外科的切開)、焼痂切開術(重症熱傷を治療するための痂皮の切開)、会陰切開術(出産を容易にするためにしばしば行われる、会陰部の切開)、子宮切開術(子宮の切開)、筋切開術(筋肉の切開)又は骨切り術(骨の切開)の後に、フォームを現場(in-situ)で形成することができる。
【0187】
又は、事前形成フォームは上記の手順又は出来事のいずれかの後に組織に適用できる。
【0188】
1つの例として、生体適合性フォームは皮膚の創傷を治療するための方法において使用される。皮膚の創傷は事故で又意図的に受けた皮膚層に対するいかなる創傷であってもよい。本発明の方法及び組成物が特に有益なのは、かなり深い及び/又はかなりの領域での創傷の現場(in-situ)での治療である。というのは、有意な深さ及び領域のフォームを現場(in-situ)で形成することができるからである。同時に、本発明のフォームはより大きな体積を占有しながら、全体にわたってほぼ均一な多孔質構造を有する強い構造を維持することもできる。
【0189】
たとえば、本発明のフォームを用いて治療しようとする創傷は深さが約0.5cm以上であり、約1.0cm以上であり、約1.5cm以上であり又は約2.5cm以上であり、たとえば、約0.5cm〜約2.5cmの範囲である。創傷は、また、幅及び長さに複数のセンチメートル寸法を有することもできる。創傷部位に塗布される液体形態の組成物の量は創傷のサイズによって決まることができる。フォーム形態の有利な性質に基づいて、創傷部位にフォーム形成性液体組成物を数センチメートル寸法又は数ミリメートル寸法で塗布することが合理的である。
【0190】
したがって、ある実施形態において、皮膚の創傷部位で形成されるフォームの厚さは約0.5cm〜約2.5cmであることができる。
【0191】
本発明のフォームを用いて組織をどれだけ長く治療するかの決定には様々な要因が影響を及ぼす。その要因として、(生分解性フォームについて)、組織と接触しているフォームの分解速度、治療しようとする組織部位(たとえば、創傷)のサイズ、治療される組織のタイプ(たとえば、皮膚組織対骨組織)、皮膚損傷又は負傷のタイプ、フォームとの組み合わせでの他の医療物品の随意の使用が挙げられる。組織治癒はフォームの適用の間にモニターされうる。所望の期間で組織部位におけるフォームを除去し、又は、新たなフォームを形成することができる。たとえば、分解速度によってある期間後に分解性フォームを取り替えることができる。もし、フォームが分解し、そして組織がなおも治癒していないならば、続いて、フォームを組織部位上に形成し、組織治癒を促進し続けることができる。上記の1つ以上の要因によって、数日間、数週間又は数ヶ月の間、フォームを組織と接触させておくことができる。
【0192】
ある実施形態において、皮膚創傷の治療は最初にデブリドマン過程を含むことができる。創傷部位のデブリドマンは本発明の生体適合性フォームをその部位に形成して創傷治癒を促進するためにある時間維持する前に行うことができる。デブリドマン過程の目的は壊死組織を除去し、一般に創傷を清浄化することである。この過程で、創傷におけるデッドスペースを減らし、それにより、さらなる細菌の増殖を阻止する。デブリドマンはそれにより創傷汚染及び継続的な組織破壊を減じる。
【0193】
デブリドマン手順は物理的デブリドマン及び化学的デブリドマンからなる2つの主な群に分けることができる。物理的デブリドマンの例として、ウェット−ツー−ドライ被覆、加圧洗浄、ならびに、外科又はシャープ技術が挙げられる。化学的デブリドマンは創傷から痂皮を除去するためにコラゲナーゼ及びトリプシンなどの酵素を用いて行うことができる。
【0194】
本発明のある態様において、創傷部位の治療方法はデブリドマン過程及び創傷治癒過程の組み合わせを用いて行われる。両方の過程はフォーム形成性組成物を利用する。創傷治癒に有用であると本明細書中に記載されているポリ(エチレングリコール)(PEG)マクロマーなどのアルコキシアルカンポリマーをベースとするマクロマーを含むマクロマー材料は、デブリドマン過程にも使用できる。ある実施形態において、デブリドマン過程は生体安定性フォームを形成し、それはその後、創傷から望ましくないデブリとともに除去される。次に、デブリドマン処理した組織部位の上に生分解性フォームを形成し、創傷治癒を促進する期間そこに保持する。
【0195】
デブリドマン過程において、系のマクロマー、重合開始剤及びガス生成性成分を混合し、その後、対象の創傷部位に塗布組成物として現場(in-situ)で塗布する。ガス生成は少なくとも物理的作用を提供し、創傷部位の上の物質(たとえば、壊死組織又は存在しうる他の外来物質)を緩め、それにより、形成している重合フォーム塊中に取り込まれることができる。あの時間の後に、固体のポリマーフォームが創傷上に形成され、それは持ち上げられた創傷材料を含む。ポリマーフォームは創傷部位から容易に除去されることができ、また、フォーム中に浮かんでいる緩められた物質を除去することができる。この過程は下層組織を傷めることなく行うことができる。デブリドマン過程のマクロマー成分は、また、創傷部位において望ましい程度の滲出物吸収性を提供するように選択できる。デブリドマン過程は、過剰の滲出物を通常に創傷にもたらす壊死組織を破壊するのに有用なタンパク質分解酵素をさらに含むことができる。
【0196】
創傷をデブリドマン処理した後に、本明細書中に記載された組成物及び方法にしたがって、組織上に治癒を促進するために別のフォーム組成物を形成することができる。
【0197】
ある方法において、創傷部位にフォームを適用した後に、創傷部位の皮膚の表皮及び真皮に関わる体液及び細胞は孔に浸透し始めることができる。赤血球、血小板及び多形核細胞(PMN)などの治癒過程に関与する細胞は生体適合性フォーム構造と結合するようになることができる。血漿タンパク質及び血管作動性アミンなどの流体成分もフォームの孔に浸透することができる。繊維素溶解現象はフォームの多孔性マトリックス全体に繊維素を付着させることができる。血小板由来成長因子(PDGF)及びトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)などの成長因子も血小板によって産生され、そしてフォームの孔の中に付着することができる。PMNは成長因子によって部位に引きつけられ、そして治癒炎症プロセスを促進する。さらに、マクロファージはフォームに引きつけられ、PMNは細胞外マトリックスを形成する。次いで、成長因子によって孔に集められた線維芽細胞はコラーゲンを産生し、フォーム中で組織治癒過程をさらに進行させる。
【0198】
ある場合には、生分解性フォームを形成する組成物で創傷を充填する。生分解性フォームは治癒過程に関与する生体細胞のための足場を少なくとも提供することにより組織治癒を促進する。治癒過程に関与している細胞及び因子が関与する事象が上記のとおりに起こることができる。また、時間経過とともに、架橋したポリマーマトリックスのα(1→4)グルコピラノースセグメントの酵素分解により起こるような生分解性フォームの分解はフォームの気泡壁を薄くする。治癒過程の間に、フォームの材料はこの分解過程により徐々に除去され、そして治癒過程の成分(細胞及び細胞により産生される組織材料)で置き換えられる。最終的に、継続的な分解によって孔構造がなくなり、生体の天然の組織補修成分がフォームに浸透し、そしてフォーム構造がもはや必要なくなるまで治癒を進行させる。生分解性フォームを形成するために使用された材料は、ある時間の後に、治療した創傷部位で細胞材料によって消費され及び/又は創傷部位(及び最終的には生体)から除去されることができる。
【0199】
多の場合には、創傷は生体安定性フォームを形成する組成物で充填される。生体安定性フォームも、治癒過程に関与している生体細胞のための足場を少なくとも提供するによって、組織治癒を促進することができる。治癒過程に関与している細胞及び因子が関与する事象の間に、治癒過程は上記のとおりに起こることができる。しかし、時間が経過した後も、生体安定性フォームの材料は残ったままである。最終的に、生体の天然の組織修復成分がフォーム中に浸透しそして一体化する。ある場合には、治癒した創傷部位はフォームを含む。
【0200】
別の例として、生体適合性フォームは骨組織を治療するための方法において使用される。骨組織(本明細書中、「骨組織」又は「骨」とも呼ぶ)は無機化した結合組織から主になる。骨組織は、通常、コラーゲン線維マトリックスを含み、また、ヒドロキシアパタイトの形態のカルシウム塩付着物を含む。骨組織は緻密骨組織(骨の硬い外装において一般に見られる)及び海綿骨組織(骨の内部において一般に見られる)を含む。
【0201】
本発明による生体適合性フォームは骨の治癒を促進しようとする骨組織と接触して配置されうる。生体適合性フォームは骨の整形外科的手順の間に骨上の標的部位で現場(in-situ)で形成することができる。生体適合性フォームは開腔手順において形成されうる。又は、事前形成されたフォームを骨の標的部位に配置してもよい。骨組織を治療しそして修復を促進するために生体適合性又は生分解性のフォームを使用することができる。フォームの形成及び適用のための例示の整形外科的部位として、膝、ヒップ、手、足、肩及び背骨が挙げられる。
【0202】
ある実施形態において、生体適合性フォームは骨充填材として使用される。たとえば、外科的プロセスは骨の一部の除去を必要とし、それにより、骨の中のボイド、キャビティー又は穴が形成される。現場(in-situ)フォーム形成性組成物を骨の中の穴に送り、穴を充填したフォームを形成することができる。他の実施形態において、生体適合性フォームは骨断片の結合を促す骨セメントとして使用される。
【0203】
生体適合性フォームはフォームのポリマーマトリックス中に捕捉され又は結合され、そして骨組織の治癒を促進する粒状物を含むように調製されうる。骨組織の治癒を促進するために合成材料とともに骨粒状物及び骨塩を使用することが当該技術分野において知られている。たとえば、WO00/045871は、コラーゲンと皮質骨チップとのスラリーを凍結乾燥することで形成される骨粒状物を含むコラーゲン海綿体を記載している。米国特許第4,863,472号明細書は、ヒドロキシアパタイト粉末を含む、ポリグリコリドタイプのポリマーから形成された骨移植片の調製を記載している。
【0204】
粒状物は、新規の骨組織形成の間に、通常に付着される1種以上の成分、たとえば、ミネラルを含むことができる。たとえば、粒状物は、天然の骨チップ又は顆粒であるか又はリン酸カルシウムチップであることができる。例示の粒状物は平均粒度が約0.5mm〜約2mmの範囲である。骨組織の治療のための生体適合性フォームは望ましくは可撓性でかつ強い。例示の実施形態において、フォームはPEGなどのポリ(アルキレンオキシド)を含む。
【0205】
粒状物を含む生体適合性フォーム、たとえば、リン酸カルシウムチップを含みそして骨組織を治癒するのに有用であるものは、フォームを形成している間に、粒状物を再懸濁させることで現場(in-situ)で形成できる。たとえば、粒状物を骨の中のキャビティーに入れ、そしてそのキャビティー中に、混合したフォーム形成性組成物を強制的に入れ、それにより粒状物を再懸濁させることができる。組成物はフォームを急速に形成することができるので(たとえば、数秒の間に)、粒状物は組成物から沈降せずにフォーム塊中に捕捉される。粒状物含有現場(in-situ)形成フォームを形成するための他の方法は3バレルシリンジを用いて行うことができ、そのうちの1つのバレルは粒状物を含む。粒状物含有現場(in-situ)形成フォームを形成するための他の方法は粘度が高められたフォーム形成性組成物を用いて行うことができる。
【0206】
もし、生体適合性フォームが、心臓(常に動作している器官)の上に又はその内部に形成され又は移植されるならば、生体適合性フォームは所望の治療のための構造一体性を付与しながら患者の組織とともに動くことができる機械特性を有するように選択されうる。フォームは、また、損傷を受けた組織の機械的強度を増加させるために追加の機械特性を付与することができ、それにより壁応力が低減される。
【0207】
本発明の生体適合性フォームは、また、組織の治癒を促進する1つ以上の他の医療物品と組み合わせて使用することもできる。たとえば、生体適合性フォームは包帯、テープ及び他の創傷被覆材と組み合わせて使用してよく、その被覆材は接着性であっても又は非接着性であってもよい。
【0208】
本発明の生体適合性フォームは、また、創傷の閉止を補助する1つ以上の他の医療物品ととも使用することもできる。たとえば、生体適合性フォームは、ステープル、縫合糸、Steri-Strips(登録商標)(3M Health Care, St. Paul, Minnesota)及び負圧創傷治療デバイスと組み合わせて使用してよい。生体安定性で生分解性の縫合糸は当該技術分野においてよく知られており、たとえば、Ethicon, Inc.(Somerville, NJ)から市販されている。負圧及び吸引創傷治療デバイスも当該技術分野においてよく知られており、たとえば、米国特許第4,969,880号明細書(Zamierowski)及び米国特許第5,636,643号及び同第5,645,081号明細書(Argentaら)に記載されている。本発明のフォームは負圧デバイスの部品の下に配置されそして治療する組織と接触していることができる。
【実施例】
【0209】
本発明を下記の限定しない実施例を参照してさらに説明することにする。
例1
マルトデキストリン−メタクリレート/ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート分解性フォーム
重合を開始するために使用されるレドックス溶液を使用の直前に調製した。過酸化水素(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)の8mM溶液を脱イオン水中で調製した。さらに、乳酸第一鉄(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)の8mM溶液を脱イオン水中で調製した。使用前に両方の溶液をボルテックスした。約0.14(0.14mmol/gのメタクリレート/マルトデキストリン)の置換度のマルトデキストリン−メタクリレート(MD−MA)を600mg/mLの濃度で乳酸第一鉄溶液中に溶解させた。ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート(PEGDA)(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を450mg/mLの濃度で過酸化水素試薬中に溶解させた。
【0210】
過酸化水素溶液中に、重炭酸カリウム(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を100mg/mLの濃度で溶解させた。さらに、100mg/mLのクエン酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を乳酸第一鉄溶液に添加した。重炭酸塩を過酸化物試薬に対して添加しなければならないことに注意することが重要であり、それは、それら両者の化合物が若干塩基性で、悪影響を及ぼす反応を起こさないであろうからである。重合の前に、これらの溶液を完全にボルテックスした。混合された組成物(反応による重合の前のもの)中のマクロマーの合計濃度はマルトデキストリン−メタクリレート:300mg/mL、ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート:225mg/mLであった。
【0211】
約1.5mLのPEGDA及びMDMA成分の各々を別々の3mL使い捨てシリンジに装填した。その後、シリンジをマイクロメディックスフィブリジェットブレンディングコネクター(Micromedics FibriJet blending connector)に取り付け、プラスティック製マイクロディクス(Micromedics)ハウジングキットに入れた。21ゲージ針をブレンディングコネクターの先端に配置した。溶液がシリンジ針から同等に排出されたときに即座に、重合を起こしながら激しいガス形成が同時に起こった。フォームは3秒未満で完全にセットアップした。最終製品は薄い黄色の色であり、非常に微細な多孔性構造であった。
【0212】
例2〜9
様々な多孔度及び特性を有するマルトデキストリン−メタクリレート/ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート分解性フォーム
例1に記載されたように生分解性フォームを調製したが、マルトデキストリン−メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート、クエン酸及び重炭酸カリウムの濃度を、表1に反映されるとおりに変更した。また、開始剤として過酸化水素を過硫酸カリウムに置き換え、レドックス成分を6mg/mLの濃度で使用した。表1に示すマクロマー材料の濃度(反応による重合前)が塗布(混合)組成物中に存在し、それゆえ、最終濃度を示しており、事前混合した組成物中の濃度は表1に示した濃度の2倍である。
【0213】
圧縮及び引張試験用途で使用される機器であるTA.XT(登録商標)Plusテキスチャーアナライザー(Stable Micro Systems;Texture Technologies Corp.; Scarsdale, NYにより配付)を使用して、レオロジー試験を行った。フォームの物性試験(応力及び圧縮力試験)を2.5”直径アルミニウム円筒形プローブを有するテキスチャーアナライザーを用いて行った。トリガー力は4gであり、試験速度は1mm/秒であった。トリガー力に到達したら、検量深さと比較して50%のフォーム高さを測定した。応力は力/フォームの面積(2cm×2cm)である。
【0214】
【表1】

【0215】
例10〜23
マルトデキストリン−メタクリレート/ポリ(アルキレンオキシド)分解性フォーム
例1に記載されたように生分解性フォームを調製したが、マルトデキストリン−メタクリレートの濃度、ポリ(アルキレンオキシド)のタイプ及び濃度を、表2に反映されるとおりに変更した。これらの例において、80mg/mLのクエン酸及び重炭酸カリウムを発泡剤として用い、6mg/mLの過硫酸カリウム及びグルコン酸第一鉄を開始剤として用いてすべてのフォームを製造した。
【0216】
フォームの物性試験(応力及び圧縮力試験)を2.5”直径アルミニウム円筒形プローブを有するTAXT2テキスチャーアナライザーを用いて行った。トリガー力は4gであり、試験速度は1mm/秒であった。トリガー力に到達したら、検量深さと比較して50%のフォーム高さを測定した。応力は力/フォームの面積(2cm×2cm)である。
【0217】
表2に示すマクロマー材料の濃度(反応による重合前)が塗布(混合)組成物中に存在し、それゆえ、最終濃度を示しており、事前混合した組成物中の濃度は表2に示した濃度の2倍である。
【0218】
【表2】

【0219】
例24〜44
生体適合性フォーム開始剤
生体安定性フォームを例1に記載したとおりに調製した。生体安定性フォームを形成するための組成物は(生分解性フォームで使用したマルトデキストリンメタクリレートとは対照的に)枝分かれPEGトリアクリレートを用いた。混合組成物中のマクロマー材料のタイプ及び濃度は下記の通りである:枝分かれPEGトリアクリレート:300mg/mLであり、ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート:225mg/mLであった。表3に示すレドックス材料の濃度は予備混合物(すなわち、第一の組成物及び第二の組成物)中のそれらの濃度である。使用される重合開始剤及び活性化成分のタイプ及び濃度の変更は表3に示しており、開始剤として過硫酸カリウムを用いた。
【0220】
フォームの物性試験(応力及び圧縮力試験)を2.5”直径アルミニウム円筒形プローブを有するTAXT2テキスチャーアナライザーを用いて行った。トリガー力は4gであり、試験速度は1mm/秒であった。トリガー力に到達したら、検量深さと比較して50%のフォーム高さを測定した。応力は力/フォームの面積(2cm×2cm)である。
【0221】
【表3】

【0222】
例45
マルトデキストリン−メタクリレート/ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノメタクリレート/界面活性剤分解性フォーム
重合を開始するために使用されるレドックス溶液を使用の直前に調製した。過酸化水素(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)の12mM溶液を脱イオン水中で調製した。さらに、乳酸第一鉄(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)の12mM溶液を脱イオン水中で調製した。使用前に両方の溶液をボルテックスした。約0.14の置換度のマルトデキストリン−メタクリレート(MDMA)を600mg/mLの濃度で乳酸第一鉄溶液中に溶解させた。ポリ(エチレングリコール)1000モノメチルエーテルメタクリレート(PEG−MEMA)を450mg/mLの濃度で過酸化水素試薬中に溶解させた。
【0223】
過酸化水素溶液中に、重炭酸カリウム(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を100mg/mLの濃度で溶解させた。約7mg/mLのPluronic(登録商標)25R4(BASF)もこの溶液に溶解させた。さらに、100mg/mLのクエン酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を乳酸第一鉄溶液に添加した。これらの溶液を重合前に完全にボルテックスした。
【0224】
混合組成物中のマクロマー及び界面活性剤材料の最終濃度は下記のとおりであった:枝分かれMDMA:300mg/mLであり、PEG−MEMA:225mg/mLであり、重炭酸カリウム及びPluronic 25R4:3.5mg/mLであった。
【0225】
約1.5mLのPEG−MEMA及びMDMA成分の各々を別々の3mL使い捨てシリンジに装填した。その後、シリンジをマイクロメディックスフィブリジェットブレンディングコネクター(Micromedics FibriJet blending connector)に取り付け、プラスティック製マイクロディクス(Micromedics)ハウジングキットに入れた。21ゲージ針をブレンディングコネクターの先端に配置した。溶液がシリンジ針から同等に排出されたときに即座に、重合を起こしながら激しいガス形成が同時に起こった。フォームは3秒未満で完全にセットアップした。最終製品は薄い黄色の色であり、柔らかく、多孔質の構造であった。
【0226】
例46
ポリ(エチレングリコール)トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート/ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート生体安定性フォーム
重合を開始するために使用されるレドックス溶液を使用の直前に調製した。過酸化水素の2mM溶液を脱イオン水中で調製した。さらに、乳酸第一鉄の2mM溶液を脱イオン水中で調製した。使用前に両方の溶液をボルテックスした。ポリ(エチレングリコール)トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(PEGTA)を400mg/mLの濃度で乳酸第一鉄溶液中に溶解させた。ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート(PEG−DA)を400mg/mLの濃度で過酸化水素試薬中に溶解させた。
【0227】
過酸化水素溶液中に、重炭酸カリウム(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を100mg/mLの濃度で溶解させた。さらに、100mg/mLのクエン酸(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を乳酸第一鉄溶液に添加した。この溶液を重合前に完全にボルテックスした。
【0228】
混合組成物中のマクロマー材料の最終濃度は下記のとおりであった:枝分かれPEGTA:200mg/mLであり、PEG−DA:200mg/mLであった。
【0229】
約1.5mLのPEGDA及びPEG−DA成分の各々を別々の3mL使い捨てシリンジに装填した。その後、シリンジをマイクロメディックスフィブリジェットブレンディングコネクター(Micromedics FibriJet blending connector)に取り付け、プラスティック製マイクロディクス(Micromedics)ハウジングキットに入れた。21ゲージ針をブレンディングコネクターの先端に配置した。溶液がシリンジ針から同等に排出されたときに即座に、重合を起こしながら激しいガス形成が同時に起こった。フォームは3秒未満で完全にセットアップした。最終製品は薄い黄色の色であり、非常に微細な多孔性構造であった。
【0230】
例47〜64
ポリ(エチレングリコール)トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート/ポリ(アルキレンオキシド)生体安定性フォーム
生体安定性フォームを例46に記載したとおりの方法で調製したが、PEGTAの濃度、ポリ(アルキレンオキシド)マクロマーのタイプ及び濃度(表4に示すとおり)、クエン酸及び重炭酸カリウムの量(80mg/mL)ならびにグルコン酸第一鉄及び過硫酸カリウムの量(6mg/mL)を変更した。
【0231】
フォームの物性試験(応力及び圧縮力試験)を2.5”直径アルミニウム円筒形プローブを有するTAXT2テキスチャーアナライザーを用いて行った。トリガー力は4gであり、試験速度は1mm/秒であった。トリガー力に到達したら、検量深さと比較して50%のフォーム高さを測定した。応力は力/フォームの面積(2cm×2cm)である。
【0232】
【表4】

【0233】
例65
生分解性フォームの孔体積
分解性フォームの孔体積をガス生成性成分の存在下及び非存在下でマルトデキストリン−メタクリレート(MD−MA)/ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEG−DA)又はポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテルモノメタクリレート(PEG−MEMA)組成物を重合させることで決定した。
【0234】
フォームAは例1にしたがって調製した。中実Aは例1に従って調製したが、重炭酸カリウム及びクエン酸を用いなかった。
【0235】
フォームBは例45にしたがって調製した。中実Bは例45に従って調製したが、重炭酸カリウム及びクエン酸を用いなかった。結果を表5に示す。
【0236】
【表5】

【0237】
フォームA中の%固体分は22.66%であり、フォームB中の%固体分は17.42%であった。孔体積はフォームAでは3.89、フォームBでは5.74と計算される。
【0238】
例66
生体安定性フォームの孔体積
生体安定性フォームの孔体積をガス生成性成分の存在下及び非存在下でポリ(エチレングリコール)トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(PEG−TA)/ポリ(エチレングリコール)700ジアクリレート組成物を重合させることで決定した。
【0239】
生体安定性フォームは例46にしたがって調製した。生体安定性中実物Aは例46に従って調製したが、重炭酸カリウム及びクエン酸を用いなかった。結果を表6に示す。
【0240】
【表6】

【0241】
フォームA中の%固体分は39.22%であった。孔体積は2.59と計算される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−α(1→4)グルコピラノース及びペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、
重合開始剤、及び、
ガス生成性成分、
を含む、生体適合性で生分解性のフォームを形成するための系。
【請求項2】
前記重合性基は前記ポリ−α(1→4)グルコピラノースから0.05〜0.4mmol/g(重合性基/ポリ−α(1→4)グルコピラノース)の量でペンダントしている、請求項1記載の系。
【請求項3】
前記重合性基は前記ポリ−α(1→4)グルコピラノースから0.1〜約0.35mmol/gポリマーの量でペンダントしている、請求項2記載の系。
【請求項4】
前記ポリ−α(1→4)グルコピラノースを含む前記共有結合架橋が可能なポリマーは分子量が500,000Da以下である、請求項1記載の系。
【請求項5】
生体適合性で、親水性でかつ生体安定性でありかつペンダント重合性基を含む生体適合性ポリマーを含む第二の共有結合架橋が可能なポリマーをさらに含む、請求項1記載の系。
【請求項6】
前記第二の共有結合架橋が可能なポリマーはアルキレンオキシドポリマーを含む、請求項5記載の系。
【請求項7】
前記ポリ−α(1→4)グルコピラノースを含む前記共有結合架橋が可能なポリマー/前記第二の共有結合架橋が可能なポリマーの比は質量基準で1:1〜3:1の範囲である、請求項5記載の系。
【請求項8】
前記重合開始剤は、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、第一鉄アセチルアセトナート及び乳酸第一鉄からなる群より選ばれる活性化成分を含む、請求項1記載の系。
【請求項9】
前記重合開始剤は過酸化物をベースとする開始剤を含む、請求項1記載の系。
【請求項10】
ポロキサマー界面活性剤をさらに含む、請求項1記載の系。
【請求項11】
ポリ−α(1→4)グルコピラノース及びペンダント重合性基を含む共有結合架橋が可能なポリマー、重合開始剤ならびにガス生成性成分を含む、組成物を提供する工程を含み、前記ガス生成性成分は反応してガスを生成し、前記重合開始剤は活性化されて重合を起こしそしてフォームの形成を起こさせる、生体適合性で生分解性のフォームを形成するための方法。
【請求項12】
前記組成物を提供する工程は、前記組成物を組織と接触させて配置する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記組成物を提供する工程は、前記組成物を、皮膚の創傷における組織と接触させて配置する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記フォームは20秒以下の時間内に形成される、請求項11記載の方法。
【請求項15】
ポリ−α(1→4)グルコピラノースを含む共有結合架橋が可能なポリマーを含む前記組成物はポリマー濃度が200mg/mL〜1000mg/mLの範囲である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
ポリ−α(1→4)グルコピラノースを含む共有結合架橋が可能なポリマーを含む前記組成物はポリマー濃度が400mg/mL〜700mg/mLの範囲である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記重合開始剤はレドックスペアの第一の構成成分と第二の構成成分を含み、該構成成分は2.0mM〜25mMの範囲の濃度で反応の前に組成物中に個々に存在している、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記ガス生成性成分は生体適合性酸及び重炭酸塩を含み、20mg/mL〜80mg/mLの範囲の濃度で反応の前に組成物中に個々に存在している、請求項11記載の方法。
【請求項19】
重合した基によって共有結合架橋したポリ−α(1→4)グルコピラノースセグメントを含む、生体適合性で生分解性のフォーム。
【請求項20】
孔体積が1.5〜7.5の範囲である、請求項19記載の生体適合性で生分解性のフォーム。
【請求項21】
圧縮弾性率が0.5kPa〜50kPaの範囲である、請求項19記載の生体適合性で生分解性のフォーム。
【請求項22】
50%圧縮力が0.5N〜20Nの範囲である、請求項19記載の生体適合性で生分解性のフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−538791(P2010−538791A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525843(P2010−525843)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010928
【国際公開番号】WO2009/038783
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(506112683)サーモディクス,インコーポレイティド (50)
【Fターム(参考)】