説明

生体適合性複合材料及びその使用

本発明は、生体適合性及び生体吸収性ガラス、生体適合性及び生体吸収性マトリックスポリマー、及び共有結合を形成することができるカップリング剤を含む複合材料に関する。複合材料は、相溶化剤をさらに含み、相溶化剤の構成単位の少なくとも10%がマトリックスポリマーの構成単位の同一であり、相溶化剤の分子量が30000g/mol未満であることを特徴とする。本発明はまた、この複合材料を複合材料を含む医療用具に使用すること、及び複合材料の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適合性(biocompatible)及び生体吸収性(bioresorbable)ガラス、生体適合性及び生体吸収性マトリックスポリマー、並びに共有結合を形成することができるカップリング剤を含む複合材料に関する。本発明はさらに、複合材料の使用及び複合材料を含む用具に関する。本発明はまた、本発明に係る複合材料を製造するための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
医療インプラントは、合金、セラミックス、または分解可能な複合材料及び安定な複合材料の両方から製造され得る。インプラント材料の選択は、常に、材料特性の必要性、必要な固定の種類、医師の知識及びスキル、患者のニーズ及び期待の組み合わせであり、利用可能な材料と、治癒過程及び外傷後、固定後等の生活の質の要求との間で、しばしば、妥協せざるをえない。概して、市場に好適な材料がないことが、所定の種類のインプラント可能な用具の開発及び設計を制限する。
【0003】
従来より、骨ピン、骨ネジ、及び骨プレートを作るために合金が用いられており、実際に、所定の用途で、合金は依然として外部負荷を支えるのに好適である。しかしながら、骨に比較しての合金の強度及び剛性のために、骨吸収がしばしば見られ得る。この硬さの問題に加えて、インビボ(in vivo)にて材料の分解性が無いという他の不利点もある。治癒過程後の骨吸収を避けるために、インプラントを除去するために第2の手術が必要とされるが、これは常に、追加のリスクをもたらして患者の疾病率を増加させ、病院の利用性を占有して全体のコストを増加させる(Bradley et.al. Effects of flexural rigidity of plates on bone healing. J Bone Joint Surg 1979; 61A:866-72.)。
【0004】
生体安定ポリマー及びそれらの複合材料、例えばポリメタクリレート系、超高分子量のポリエチレン(UHMWPE)系、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系、ポリシロキサン系、及びアクリルポリマー系が、文献で知られており(S. Dumitriu, Polymeric Biomaterials 2nd ed., CRC Press, 2001)、ポリマー複合材料が、医療インプラントを製造するために用いられてきた。しかしながら、それらは、生体活性でもなく吸収性でもないため、自然骨に置き換えられない。合金インプラントよりも弱いが、それらは依然として、合金と同様の問題に悩まされており、インプラントの耐用年数のいくつかの地点で、インプラントを置き換えるかまたは除去するための第2の手術を必要とし得る。
【0005】
骨の生物学的及び機械的特性は、その微細構造の特徴に起因する。骨は、有機及び無機成分から作られる複合材料であり、無機相またはミネラル相が、全乾燥骨重量の60〜70%を占める。有機相は、コラーゲンを主成分として含む粘性ゲル状材料であるが、ミネラル成分は、炭酸イオン、並びに少量のナトリウム、マグネシウム、ヒドロゲノリン酸塩(hydrogenophosphate)イオン、及び他の微量元素を含有するリン酸カルシウムの結晶形態からなる。
【0006】
様々な生体活性ガラス組成物が当技術分野で知られている。それらは、骨及び軟組織に結合することができ、哺乳類の体内で組織の増殖または骨の成長を刺激するために用いられ得る。また、生体活性ガラスは概して、ガラス中で成長する新しい組織の形成を導く。生体活性ガラスが生理環境と接触すると、シリカゲルの層がガラスの表面に形成される。この反応に続いて、リン酸カルシウムがこの層に堆積し、ヒドロキシル−カーボネートアパタイトに最終的に結晶化される。このヒドロキシル−カーボネートアパタイト層のために、哺乳類の体内に入れられるときに生体活性ガラスの吸収が遅くなる。数十年間、生体活性ガラスが、化学的にも骨と結合し得る骨充填材料として調査されてきた。生体活性ガラスの優れた品質についての最近の発見によって、これらの用途について非常に興味深い材料が作られた。所定の生体活性ガラスは、BonAlive(商標)、Novabone(商標)、及びBiogran(商標)の商標名で市販されている。生体活性ガラスは、整形外科(orthopaedic)及び頭蓋顎顔面(Cranio-Maxillofacial)の骨空洞充填及び骨再建用の顆粒及びプレート等の医療用途に様々な形態で用いられている。所定の生体活性ガラスの構成が、例えば、刊行物EP802890及びEP1405647等の先行技術に開示されている。生体活性ガラスのいくつかの組成は、抗菌効果を有することが知られており、例えば刊行物US6,190,643及びUS6,342,207を参照されたい。
【0007】
吸収性ガラス組成物の他の種類もまた当技術分野で知られている。吸収性ガラスは必ずしも生体活性ではなく、すなわち、それらは、ガラス表面にヒドロキシル−カーボネートアパタイトを形成しない。吸収性ガラス組成物は、ガラス繊維産業で用いられ、ガラス繊維がもたらす問題、例えばガラス繊維断熱材の取り付けの際の肺内部におけるガラス繊維がもたらす問題に対処する。有害作用が生体に起きないように、繊維が好ましくは比較的早く消失する。一つの吸収性ガラス組成物が文書EP412878に開示されている。その繊維は、32日間未満で分解する。しかしながら、そのような分解速度は、ほとんどの医療用途、例えば骨欠損または骨折用のネジまたはピン用には速すぎる。
【0008】
文書EP915812及びEP1484292は、労働安全衛生を改善するための生体溶解性組成物を開示している。文書WO03/018496は、抗炎症性創傷治療ガラス粉末組成物を開示している。刊行物US6,482,444は、インビトロ(in vitro)及びエクスビボ(ex vivo)の細胞培養に用いられる用具の作製用に、インプラントされる材料に用いられる銀含有生体活性のゾルゲル法により得られるガラス組成物を開示している。
【0009】
文書EP802890は、広い使用範囲(working range)を有する生体活性ガラス組成物を開示している。失透問題は、ガラスにカリウム及び所望によりマグネシウムを加えることにより、回避される。
【0010】
繊維ガラス組成物の一態様は、ガラス繊維の速すぎる分解速度に起因するカリウム及び/または部分的な高いpH上昇を含む繊維ガラス組成物から由来する神経毒性及び/または細胞毒性を防止することである。
【0011】
生体活性ガラス及びガラス繊維は生体に広く受け入れられており、骨固定用途に優れた生体材料であることが証明されているが、生体活性ガラスは、耐荷重性用途に求められる機械的特性に欠ける。実際、生体活性ガラスは硬く脆い材料である。
【0012】
吸収性ポリマーを用いた吸収性インプラントが開発されている。吸収性ポリマーを用いることの利点は、ポリマーひいてはインプラントが生体に吸収され、非毒性分解生成物が、新陳代謝のシステムによって代謝されることである。インプラント用具に非強化吸収性ポリマーを用いることの一つの不利点は、特に皮質骨と比べた場合に、機械的強度及び弾性に欠けることである。吸収性ポリマーの他の不利点は、それ自体が生体活性ではないことである。生体活性の生体吸収性ポリマー用具を実現するためには、生体活性化合物または生体活性ガラス等の化合物を用具に加える必要である。しかしながら、生体活性ガラスまたは他の生体活性剤の添加は概して、天然ポリマーよりも低い強度に材料強度を低下させる。
【0013】
吸収性ポリマー及び医療用具の強度を改良するために自己強化が用いられている。自己強化とは、ポリマー分子に所定の配向をさせて生成物の強度を改良するポリマー加工技術である。自己強化された生体吸収性ポリマー複合材料は、吸収性用具の強度を改良することが報告されている。実際、複合材料は、360+/−70MPaの曲げ強度及び12+/−2GPaの曲げ弾性率等の比較的良好な機械的特性を示した(P. Tormala et al., Clinical Materials, Vol.10, 1992, pp.29-34)。ただし、報告された弾性率の値は依然として丈夫な皮質骨の弾性率の値よりも低く、人体の脛骨の曲げ弾性率は17.5GPaであると測定されている(S. M. Snyder and E. Schneider, Journal of Orthopedic Research, Vol.9, 1991, pp.422-431)。自己強化されたポリ−L−乳酸(SR−PLLA)複合材料ロッドの強度及び強度保持率が、うさぎの骨髄内及び皮下移植後に測定された。SR−PLLAロッドの初期の曲げ強度は250−271MPaであった。骨髄内及び皮下移植(intramedullary and subcutaneous implantation)の12週間後に、SR−PLLAインプラントの曲げ強度は100MPaであった(A. Majola et al., Journal of Materials Science: Materials in Medicine, Vol.3, 1992, pp.43-47)。
【0014】
吸収性ポリマー系用具の機械的強度を改良するために、様々な種類の繊維強化吸収性ポリマー複合材料が開発されている。PLAまたはPDLA(ポリ(D−乳酸))マトリックス中のポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)繊維が製造されている。初期強度は非常に良好であったが、PGA及びPLGA繊維が速く吸収されて、高強度が失われた。強化繊維及びマトリックスが同じ化学組成から作られる複合材料が、より長い時間、強度を保持することが示されている。ポリマーマトリックスの分解は、ポリマーの疎水性を増加させることによって及び/または緩衝剤の大量の添加によって、遅くなった。両技術によって、相間の相互作用が阻害され、複合材料の弱体化をもたらし得る(刊行物WO2008/067531)。
【0015】
しかしながら、Tormala等の刊行物WO2006/114483によれば、ポリマーマトリックス中に2種類の強化繊維、一種類のポリマー及び一種類のセラミックを含有する複合材料が開発され、良好な初期機械特性、すなわち、420+/−39MPaの曲げ強度及び21.5GPaの曲げ弾性率が報告されており、これらの特性は、皮質骨の特性と同レベルである。しかしながら、彼らは、インビボまたはインビトロの加水分解挙動について報告しておらず、先行技術によって、吸収性(absorbable)ガラス繊維で強化された生体吸収性(bioabsorbable)複合材料は、高い初期曲げ弾性率を有するが、インビトロで急速に強度及び弾性率を失うということが教示されている。
【0016】
硬い脆性ミネラル相及び柔軟な有機マトリックスの相互作用が、特異的な機械的特性を骨に与える。骨修復材料または代用物の開発は概して、ポリマーの靱性及び柔軟性並びにミネラルフィラー及び/または強化材の強度及び硬度を示す複合材料を生成するために、有機ポリマーマトリックスに、ミネラル材料、すなわち生体吸収性(bioresorbable)ガラスを組み合わせることが指向される。多くの特許が、そのような複合材料の調製及び組成を開示している(WO2006/114483、US7,270,813、WO2008/067531、WO2008/035088)。
【0017】
骨及び骨折固定の分野における生体材料の究極の目標は、骨の全ての特性を再現すること、生体活性であること、骨伝導性であること、及び生体適合性であることである。従来技術における複合材料は、魅力的な特性を有する複合材料をもたらすが、それらは依然として改良の余地がある。現在のところ、従来技術の複合材料で、自然骨と同程度の機械的特性をインビボで保持するものは示されていない。
【0018】
従来の複合材料の典型的な問題は、強化材へのポリマーの乏しい界面相互作用及び密着性である。ポリマーマトリックス及びセラミック強化材の間の乏しい密着性は、生理環境において界面での早期の不具合をもたらすため、複合材料の機械的特性があまりにも速く低下する。このような低下は通常、界面の加水分解によって発生する。それゆえに、界面結合(共有結合)の改良が、医療分野への生体分解性ポリマー複合材料の応用を成功させるための鍵となる。
【0019】
ポリマー及び無機強化材の間の良好な界面密着が無い状態では、弾性ポリマーから剛性強化材への耐荷重性複合材料に発生する応力の移動が起こらないであろう。2相間の実質的な共有結合/密着が無いと、加水分解環境における機械的特性の早期の劣化が起こる。シラン等のカップリング剤は、複合材料産業に最も広く用いられており、強化材及びポリマー間の適合性が、幾つかの種類の表面コーティング及びカップリング剤を用いることによって、改良されることが長い間知られている。概して、ポリマーの密着性を強化する任意のシランは、共有結合が形成されるか否かに関係なく、しばしば、カップリング剤と称される。
【0020】
生体材料の分野では、カップリング剤を用いて、ハイドロキシアパタイトまたはBioglass(商標)/ポリマー複合材料の界面を改良するための、類似の方法が最近適用されている。しかしながら、ほとんどの場合に、これらの処理が、(WO98/46164にみられるような)複合材料の最高の剛性について顕著な改良をもたらすが、一つの主な欠点は、ポリマーマトリックスが生体分解性ポリマーで作られるときに、生体分解性ポリマーが、強化材料またはフィラーとポリマー骨格及び/または(大きすぎる分子量(30000g/mol超の分子量)のために反応性末端基が存在しないまたは少量であるということに起因して)反応性末端基との間の実質的な共有結合を欠くという点にある。弱いポリマー骨格に共有結合を形成する試みは概して、ランダムな鎖切断、非常に低い分子量断片、ガス発生、不飽和、及び自触媒分解をもたらし、これらは、複合材料の乏しい機械的特性及び熱的不安定性をもたらすだろう。
【0021】
さらに、同様の種類の方法が、非生体吸収性複合材料に適用されている(例えば文書US6,399,693を参照)。しかしながら、これらの材料は、インビボ及びインビトロの両方で、加水分解及び吸収に対して強い抵抗性を示すことが知られている。したがって、これらの材料は、医療用具におけるインプラント材料として用いられるときに骨吸収及び応力遮蔽等の、金属及び生体安定性材料と同様の不利点を有するだろう。
【0022】
定義
本願に用いられる用語は、特に定義されないものは、1987年及び1992年の生体材料のコンセンサス会議で同意されたものであり、Williams, DF(ed.): Definitions in biomaterials: Proceedings of a consensus conference of the European Society for Biomaterials, Chester, England. March 3-5, 1986. Elsevier, Amsterdam 1987, and Williams DF, Black J, Doherty PJ. Second consensus conference on definitions in biomaterials. ln: Doherty PJ, Williams RL, Williams DF, Lee AJ (eds). Biomaterial-Tissue Interfaces. Amsterdam: Elsevier, 1992を参照されたい。本願においては、生体活性材料とは、生体活性を生じさせるかまたは調節するように設計された材料を意味する。生体活性材料はしばしば、哺乳類の組織と化学的に結合することができる表面活性材料である。生体分解性材料は、生体内で分解する材料であるが、生体から排出された痕跡を残さない。
【0023】
本明細書における生体吸収性(bioresorbable)と言う用語は、哺乳類の体内に導入されたとき及び生理環境に接触したときの長期の移植の際に、材料が分解される(disintegrated)、すなわち分解される(decomposed)ことを意味する。生体吸収性材料の副生成物は、単純ろ過またはそれらの代謝により、自然の経路を介して排出される。生体吸収性(bioresorbable)及び吸収性(resorbable)という用語は区別しないで用いられ得るが、本明細書において生体吸収という意味であることは明確である。特に、吸収性ガラスという用語は、生理環境に接触したときに、その表面にヒドロキシル−カーボネートアパタイト層を形成しないシリカリッチのガラスを意味する。吸収性ガラスは、吸収によって体内から消失し、その分解過程の際に、細胞または細胞増殖を実質的に活性化しない。生体吸収性(bioabsorbable)という用語は、分子の分解無しに生体液中に溶解することができ、次いで体内から排出され得る材料を意味する。
【0024】
生体材料とは、生態系と適合させて、生体の組織、器官、または機能を、評価、処理、増大、または置換することを意図する材料を意味する。生体適合性とは、医療用具に用いられる材料の性能であって、特定の位置内で適切な宿主反応を起こすことにより安全に且つ的確に機能して、異物反応を起こさず非毒性である、材料の性能を意味する。吸収(resorption)とは、単純な溶解による生体材料の分解を意味する。複合材料とは、少なくとも2つの異なる構成、例えばポリマー及びガラス等のセラミック材料を含む材料を意味する。
【0025】
溶融法で作製されたガラス繊維とは、ガラス繊維の製造であって、ガラスが700〜1700℃の坩堝中で溶融し、坩堝の底からノズルを通して溶融ガラスを引っ張ることによってガラス繊維が形成され、5〜300マイクロメートルの範囲の直径を有する繊維が得られる、ガラス繊維の製造を意味する。
【0026】
本明細書において、医療用具という用語は、生体内に用いられる任意の種類のインプラント、及び組織または骨の治療または再生のサポートに用いられる用具に関する。本明細書において、インプラントには、骨折の固定及び/若しくは治療用に骨折を固定する骨切り術のための、ねじ、プレート、ピン、びょう(tack)、若しくはくぎ(nail);骨への軟組織の固定、骨内への軟組織の固定、及び軟組織への軟組織の固定用の縫合アンカー(suture anchor)、びょう、ねじ、ボルト、くぎ、クランプ、ステント、及び他の用具;並びに組織若しくは骨の治療若しくは再生のサポートに用いられる用具;または脊髄手術における脊椎癒合及び他の作業用の頸部くさび(cervical wedge)及び腰椎間ケージ(lumbar cage)及びプレート及びねじ等の外科的な筋骨格用途に用いられる任意の種類のインプラントが含まれる。
【0027】
本発明の目的は、複合材料を提供することであり、上述の欠点が最小化または完全に排除される。
【0028】
本発明のさらなる目的は、一旦使用されると骨と共に実質的に等弾性であるように皮質骨の弾性率と少なくとも同程度の高さの弾性率を有する医療インプラントの製造に使用可能な複合材料を提供することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、神経毒性及び/または細胞毒性を全く有さないかあるいはごくわずかにのみ有する複合材料を提供することである。さらなる目的は、従来技術で知られた材料と比較して、向上した生体適合性を有する材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明による典型的な複合材料は、生体適合性及び生体吸収性ガラス、生体適合性及び生体吸収性マトリックスポリマー、並びに共有結合を形成することができるカップリング剤を含む。本発明による典型的な複合材料は相溶化剤をさらに含み、相溶化剤の構成単位の少なくとも10%が、マトリックスポリマーの構成単位と同一であり、相溶化剤の分子量は30000g/mol未満である。
【0031】
本発明はまた、医療用具の製造における本発明に係る複合材料の使用に関係し、本発明に係る複合材料を含む医療用具に関係する。
【0032】
本発明は、本発明に係る複合材料を製造するための方法であって、ガラス表面からイオンを除去するために、ガラス表面を脱イオン水で抽出処理する工程、前記ガラスにカップリング剤を加え、ガラスとカップリング剤とを反応させる工程、ガラスとカップリング剤との混合物に相溶化剤を加え、カップリング剤と相溶化剤とを反応させる工程、並びに得られた混合物にポリマーマトリックス材料を加える工程、を含む方法にさらに関係する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係る典型的な複合材料は、生体適合性(biocompatible)及び生体吸収性(bioresorbable)ガラス、生体適合性及び生体吸収性マトリックスポリマー、並びに共有結合を形成することができるカップリング剤を含む。本発明に係る典型的な複合材料は相溶化剤をさらに含み、相溶化剤の構成単位の少なくとも10%がマトリックスポリマーの構成単位と同一であり、相溶化剤の分子量が30000g/mol未満である。
【0034】
このように、本発明は、従来、開示されている複合材料とは異なり、強化された界面の結合及び安定性の結果としての改良された機械的特性を示す、耐荷重目的用の構造固定として有益な複合材料を提供する。実際、従来技術の不利点は、複合材料を提供する本発明によって克服されるかあるいは少なくとも最小化されるが、複合材料を提供する本発明によれば、ポリマーマトリックスが、共有結合及び物理的からみ合い(physical entanglement)を有して、カップリング剤及び低分子量相溶化剤によって生体適合性ガラスに結合される。
【0035】
本発明は、従来の材料の欠点が最小化され得るか排除され得る複合材料を提供する。すなわち、複合材料は、例えば骨治療に十分な時間、インビトロで、その強度及び弾性率を保持する。実際、本発明によれば、インビトロ条件で、高い初期強度及び弾性率並びに良好な強度保持が、界面間の真の結合によって達成され得る。本明細書における機械的強度とは、曲げ強度、ねじり強さ、衝撃強度、圧縮強度、及び引張強度を含む。
【0036】
本発明はまた、繊維ガラス及びポリマーマトリックス間に形成される結合の化学的物理的強度及び安定性の制御を可能とする調製方法を提供する。これらの結合の強度及び安定性は、カップリング剤を変更することによってか、あるいはカップリング剤の組み合わせ及び/または相溶化剤の機能性を用いることによって、変更され得る。ガラス表面を改質する一つの方法は、カップリング剤とともに疎水性表面改質剤を用いること、並びにポリマーマトリックス相内に結晶及び/またはスフェルライト(spherulite)を形成する再結晶可能相溶化剤を用いることである(スフェルライトは、ポリマーマトリックス内の球状半結晶領域である)。
【0037】
シラン及びガラス間のオキサン結合の加水分解安定性が強化される必要がある場合、または用具が浸食水性環境にある場合、二脚状シラン(dipodal silane)はしばしば、実質的な性能改善を示す。これらの材料は、強化ネットワークを形成し、(基剤に3つの結合のみを形成する性能を有する)従来のカップリング剤よりも、最大100000倍大きな耐加水分解性を提供し得る。炭酸カルシウム並びに高リン酸塩及びナトリウムガラス等の無機フィラーまたは強化材は、通常、シランカップリング剤に適さない。さらに、高リン酸塩及びナトリウム含有ガラスは、カップリング剤及び表面改質反応の観点で、最も不満のあるガラス基板となることが多い。ガラスの主な無機構成材はシリカであり、シリカは、シランカップリング剤と容易に反応することが期待される。しかしながら、アルカリ金属及びリン酸塩は、加水分解に安定なシリコンを有する結合を形成しないだけでなく、さらに悪いことには、シリコン−酸素結合の破断及び再分配に触媒作用を及ぼす。したがって、これらの基板との結合における第1ステップは、脱イオン水を用いた抽出によって表面からイオンを除去することである。疎水性二脚状(dipodal)または多脚状(multipodal)シランは通常、有機官能性シラン(organofunctional silane)と組み合わせて用いられる。いくつかの場合に、基剤との相互作用のための複数部位を有するポリマーシランが用いられる(Gelest Inc. Silane Coupling Agents: Connecting Across Boundaries)。
【0038】
本発明の他の実施形態によれば、複合材料は、異なる組成を有する2以上の種類の吸収性(resorbable)及び生体適合性ガラスを含むことができる。複合材料はまた、少なくとも1種の生体適合性及び生体吸収性ガラス、並びに少なくとも1種の生体活性、生体適合性、及び生体吸収性ガラスを含んでもよく、ガラスは異なる組成を有する。
【0039】
ガラスの二つめの種類は、例えば、顆粒状、球状、ブロック状、または繊維状であることができる、より高い生体活性及び吸収速度を有するガラスであることができる。より速い吸収速度及びより高い生体活性の場合、主な機能は、複合材料の強化ではなく、さらなる骨伝導材料であることであり、このことは、骨伝導材料が、例えばBonAlive(商標)等の顆粒状及び/または粉末状で、骨治療を推進及び促進することを意味する。
【0040】
複合材料はまた、2種以上のポリマー、2種以上のカップリング剤、及び2種以上の相溶化剤を含んでもよい。さらに、複合材料はまた、異なるメジアン径を有する2以上の繊維群の形態のガラスを含んでもよい。
【0041】
相溶化剤
本明細書で用いられる相溶化剤という用語は、ポリマーマトリックスの構成単位と少なくとも一部が同一である構成単位を有する低分子量ポリマーを意味する。低分子量ポリマーの構成単位はまた、ポリマーマトリックス材料の構成単位と完全に同一であることができるが、分子量はより低い。実際、相溶化剤の分子量は、マトリックスポリマー材料の分子量の最大60%であり、30000g/mol未満である。本明細書で用いられる分子量は平均分子量である。相溶化剤の好ましい分子量は、10000g/mol未満である。
【0042】
本発明によれば、相溶化剤の構成単位の少なくとも10%は、マトリックスポリマーの構成単位と同一である。本発明の他の実施形態によれば、相溶化剤の構成単位の少なくとも20%、30%、50%、または60%が、マトリックスポリマーの構成単位と同一である。
【0043】
相溶化剤は、概して、直鎖状、分岐鎖状、グラフト化状、星形状、超分岐状、または樹枝状のポリマーであることができる機能性分子である。例えば、低分子量PLLAは、PLGA、PLLA/PCL、またはPLLAポリマーマトリックス用の相溶化剤として機能することができ、ポリマーマトリックス内に物理的からみ合い及び/または結晶を形成する。
【0044】
典型的な相溶化剤は、低分子量の吸収性ポリエステルである。分子量は概して30000g/mol未満であり、好ましくは20000g/mol未満、さらに好ましくは10000g/mol未満、最も好ましくは2000〜8000g/molである。末端官能基は、好ましくはヒドロキシル、ビニル、またはカルボン酸である。低分子量は、カップリング剤との反応に利用可能な大量の末端基を有するために必要であり、一方で、物理的相互作用の形成のため、すなわち、ポリマーマトリックス内で分子鎖絡み合い(chain entanglement)を形成するためまたは結晶化させるために、適度な長さが求められる。相溶化剤の構成はまた、重合における共開始剤として用いられるアルコールによって変化し得る。単及び二官能性アルコールは概して、直鎖状ポリマーを生成するが、2超のヒドロキシル官能価を有するアルコールは通常、くし形、星形、超分岐状、または樹枝状のポリマーをもたらす。また、他の官能化された相溶化剤も用いられ得る。
【0045】
相溶化剤の官能化についての次の例は、例示であり、本発明の組成及び/または方法を限定するものではない。ヒドロキシル末端相溶化剤は、メタクリル酸無水物またはブタンジイソシアネートと反応して、それぞれ、相溶化剤にメタクリル及びイソシアネート官能基を形成することができる。このような方法及びそれによる化学的構造は、A. Helminen, Branched and crosslinked resorbable polymers based on lactic acid, lactide and ε-caprolactone; Polymer Technology Publication series No. 26, Otamedia 2003 and Seppala et al. publication WO 2006/53936に記載されている。相溶化剤のこれらの官能化末端基は、次いで、フリーラジカル開始剤または酸若しくは塩基等の触媒有りまたは無しでカップリング剤と反応する。
【0046】
本発明の実施形態によれば、相溶化剤の量は、複合材料の総質量の0.1〜20質量%、好ましくは0.25〜10質量%、最も好ましくは0.5〜2質量%である。
【0047】
上述のように、ポリマー相及びガラス相との間で共有結合を可能にする相溶化剤を用いることが必要である。相溶化剤のさらなる利点は、ガラスをさらに保護し、また、製造プロセスにて潤滑剤として機能することである。短(chopped)繊維を用いる場合、相溶化剤は短い繊維の凝集の差し迫ったリスクを防ぐことができる。
【0048】
強化材として長繊維を用いる場合、相溶化剤は、延伸プロセスにてオンラインで添加され得るが、カット(cut)/短(chopped)繊維を作るとき、生体安定性の短(chopped)E−、S−、C−ガラス繊維の標準の製造プロセスで用いられるスラリープロセスが好ましい。
【0049】
生体適合性及び生体吸収性ガラス
様々な生体適合性及び吸収性ガラスが本発明に用いられ得る。生体吸収性及び生体適合性ガラスはまた、生体活性であることができる。ガラスは、例えば、繊維状、ちり状、粉末状、顆粒状、及び球状であることができ、典型的には繊維状であることができる。
【0050】
生体適合性及び吸収性ガラスの選択は、概して2つの事実に基づいており、第1に、生理環境でのゆっくりとしたpH上昇と相まって吸収速度が遅いことであり、ポリマーマトリックスの分解及び繊維ガラス表面における共有結合の破壊を起こさないであろう。第2に、ガラスの機械的強度及び反応性ヒドロキシル基の量が十分であることを必要とすることである。繊維ガラスの表面上のヒドロキシル基の量が、例えば、繊維の製造プロセスの際にオンラインの脱イオン水スプレー処理によって確保され得る(繊維の延伸加工の模式的な説明が、文書EP1958925の図1及び詳細な説明に記載されている)。
【0051】
概して、分解性ガラスの吸収は、組成及び体積に対する表面比に依存し、すなわち、生理環境による表面浸食に依存する。繊維及び粉末の体積に対する大きな表面比のために、ガラスの吸収速度並びにアルカリ及びアルカリ土類金属イオンの生理環境への放出を把握し制御し得ることが必要である。アルカリ金属イオンは、高い局所的pH上昇に関与し、所定の場合に、特にカリウムがガラス中に存在する場合に、神経毒性及び細胞毒性作用のような生理的問題を引き起こし得る。
【0052】
溶融法で作製されたガラス繊維及び粉末組成物からカリウムを除くことによって、その生体適合性が向上し、神経毒性及び細胞毒性作用が排除される。その上、ガラス組成中のシリカ及び他の成分、すなわち、Na2O、CaO、MgO、P25、B23、Al23、及びLi2Oの量を変えることによって、ガラス繊維の吸収速度を容易に制御することができ様々な最終用途に個々に適したものにすることができる。
【0053】
本発明に適した典型的なカリウムフリーの吸収性溶融法作製ガラスの組成は、
SiO2 60〜70質量%
Na2O 5〜20質量%
CaO 5〜25質量%
MgO 0〜10質量%
25 0.5〜5質量%
23 0〜15質量%
Al23 0〜5質量%、及び
Li2O 0〜1質量%
を含む。
【0054】
本発明に適した吸収性及び生体適合性の溶融法作製ガラス繊維は、このような吸収性ガラス組成から製造され得る。その内容が参照によって本明細書に組み込まれる文書EP1958925は、繊維の製造の際の結晶化に関する問題を回避しつつ、幅広い吸収性及び生体活性ガラスの製造を可能にする技術の一つを記載する。これらの繊維は、同じ直径を有するポリマー繊維と比較した場合に、改良された機械的特性を示す。本発明の一実施形態によれば、好適なガラス繊維は、800〜2000MPaの引張強度を示す。
【0055】
本発明の一態様によれば、本複合材料に用いられる吸収性及び生体適合性繊維ガラスの重要な特徴は、SiO2及びNa2Oの量である。SiO2量は、カップリング剤及び繊維ガラスの間の反応を可能にするために、好ましくは60〜70質量%の間の量で保持され、繊維ガラスの表面にて反応性ヒドロキシル基の必要な量を維持する。
【0056】
さらに、一方で、Na2O及びP25の量は、アルカリ金属及びリン酸塩が、加水分解に安定なシリコンとの結合を形成しないだけでなく、さらに悪いことには、シリコン−酸素結合の破断及び再分配に触媒作用を及ぼすという事実から、比較的少なくあるべきである。他方では、大量の放出されたアルカリ金属を生じさせることなく、それにより生理環境における有害または毒性の局所的なpHピークを防ぎつつ、ガラス繊維の吸収性を維持するために、ナトリウムが必要である。加えて、リンカルシウム酸化物は、長期間の生体活性の保持、すなわちCaPの形成に十分な量が必要である。
【0057】
このように、二種類の生体適合性吸収性ガラスがあり、一つは吸収する「のみ」であり、他方は吸収し且つ生体活性(骨伝導)である。ガラスが骨に結合するための必須要件は、生体液と接触するガラス表面にリン酸カルシウムのリッチ相を形成することである。初期に生成されたアモルファスのリン酸カルシウムは、時間とともに、骨の主成分であるヒドロキシルアパタイトに結晶化する。一以上のガラス種類を選択することは、複合材料の用途に依存する。医療用具の骨ネジ種類においては、生体活性及び吸収性の両方が所望の特性であり、骨ネジは、自己の骨によってゆっくりと置き換えられ、空の空洞が残されない。医療用具のリストプレート(wrist plate)において、プレートの上及び内部の骨成長は、腕の機能を害するため、生体活性は不所望の特性である。
【0058】
生体適合性及び吸収性ガラスは、概して繊維状で用いられる。本発明に適した繊維の直径は、300μm未満であり、典型的には1〜75μm、さらに典型的には5〜30μm、好ましくは10〜25μm、さらに好ましくは10〜20μmである。繊維は、長い単繊維として、糸(yarn)、ひも(braid)、ロービング(roving)、及びバンド(band)として、またはテキスタイル技術の方法(マット、フェルト、不織布、織布等)を用いて作られる様々な種類の織物(fabric)として、用いられ得る。繊維はまた、短繊維及び短繊維から作られるマットまたはテキスタイルとして用いられ得る。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、短繊維の長さは、20mm未満であり、典型的には0.5〜10mm、さらに典型的には1〜5mm、好ましくは2〜3mmであり、通常、およそ2.5mmである。本発明の他の実施形態によれば、長繊維の長さは、20mm超、好ましくは30mm超、通常40mm超、または最も好ましくは例えば引き抜き成形における十分に長い繊維のような長さである。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、吸収性及び生体適合性ガラスの量は、複合材料の全質量の1〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。
【0061】
吸収性及び生体活性ガラス繊維の混合物を用いるとき、強化ガラス繊維が通常、複合材料の全体積の10体積%超、好ましくは40体積%超、さらに好ましくは60体積%超、最も好ましくは90体積%超である。それらの配向もまた、目的の用途に依存して自由に選択し得る。
【0062】
カップリング剤
本明細書で用いられるカップリング剤という用語は、共有結合を形成することができる化合物をいう。概して、カップリング剤はシランであり、通常、共有結合は、ガラス及びカップリング剤の間、並びにカップリング剤及び相溶化剤の間で形成される。
【0063】
オルガノシランの一般式は、二種類の官能性を示す。
RnSiX(4−n)
【0064】
官能基Xは、無機基板との反応に関与する。カップリング剤中のX及びシリコン原子の間の結合は、無機基板及びシリコン原子の間の結合によって置き換えられる。Xは加水分解性基であり、概してアルコキシ、アクリロキシ、アミン、または塩素である。最も一般的なアルコキシ基はメトキシ及びエトキシであり、これらはカップリング反応の際に副生成物としてメタノール及びエタノールをもたらす。
【0065】
Rは、カップリング剤がポリマーと結合することを可能にする官能基を有する非加水分解性有機ラジカルである。広く用いられる有機シランのほとんどは、一つの有機置換基を有する。一方で、無機表面は、極めて近接している有機官能基のアクセス性に、重要な立体障害を加えることができる。リンカー長(linker length)が重要であるとき、官能基は、より大きな運動性(mobility)を有し、無機基材からさらに延伸することができる。官能基が、複数成分の有機相または水相中の単一成分と反応することが期待されている場合は、このことは重要な結果を有する(UCT Specialties, LLC., Silane coupling agent guide)。
【0066】
官能性二脚状シラン、及び非官能性二脚状シランと官能性シランとの組み合わせは、多くの複合系についての基材の結合、加水分解安定性、及び機械的強度に大きな影響を有する。また、二脚状シランが、従来のシランカップリング剤よりも多くの加水分解性基、通常6つの加水分解性基を有することを除き、二脚状シランの一般式は二種類の官能性を示す。(Gelest Inc. Silane Coupling Agents: Connecting Across Boundaries)。
【0067】
【化1】

【0068】
ほとんどの場合に、シランは、表面処理の前に加水分解を施される。加水分解に続いて、反応性シラノール基が形成され、他のシラノール基、例えばシリカ強化材及び/またはフィラーの表面上のシラノール基とともに濃縮してシロキサン結合を形成することができる。
【0069】
加水分解用の水は様々な源から得られ得る。水は添加してもよく、基材表面に存在してもよく、または大気から得てもよい。ヒドロキシル含有基材は、存在するヒドロキシル基の濃度及び種類の点で大きく異なる。中性条件下で保管された新たに融合された基材は、最小数のヒドロキシルを有する。分離されたまたは自由ヒドロキシルはゆっくり反応するが、水素が結合した隣接シラノールは、シランカップリング剤とより容易に反応することができる。
【0070】
ミネラル基材へ有機ポリマーを付着させるためのカップリング剤またはプライマーとして用いられる有機官能性シランは、ほぼいつでも、ミネラル表面の単層よりも多い被覆にて用いられる。適用方法に関わらず、有機官能性シランはミネラル表面に濃縮し、ミネラル表面に共有「オキサン」結合を形成することができるオリゴマーシロキサン網状結合を作る。オリゴマーシロキサン(濃縮シラン)層は、表面処理の際に相溶化剤と反応することによって改質される。
【0071】
得られた界面領域は、好ましくは、最適性能のための所定の特性を有する。例えば、ミネラル表面とのオキサン結合の形成が完了しているべきである。これは、高温での制御された乾燥、または触媒の使用を必要としてもよい。さらに、相間領域は好ましくは水分吸収が低く、これは、カップリング剤中に疎水性置換基を導入することによって最良に達成される。
【0072】
本発明においては、ガラスを保護することができる表面改質剤も用いることができ、ガラスの湿潤性を向上することもできる。この場合には、アルキル−及びアリールシランが表面改質剤として用いられる。それらは、本発明の意味のカップリング剤とはみなされていないが、それらが相溶化剤と反応する官能基を含有していないためである。これらの非官能性材料を用いた表面改質(すなわち、疎水性、親水性、または親油性の改質)は、相間に大きな影響を及ぼし得る。それらは、基材の表面エネルギーまたは湿潤特性を変更するために用いられる。ガラス繊維を用いたポリマーの強化において、強化を最適化するための一つの手法は、シリル化ガラス表面の臨界表面張力を、溶融状態または未硬化状態のポリマーの表面張力に合わせることである。これは、明確な官能性を有さないポリマーに最も有用であった(E.P. Plueddemann, Silane coupling agents 2nd ed., Kluwer 1991)。このように、表面改質剤は、ガラスを、分解及び機械的応力から保護する。表面改質剤は、非常に分解しやすいガラスの場合に特に有用であり、一方で湿潤性を改良し、また、物理的相互作用によって密着性も改良する。
【0073】
2以上のカップリング剤及び所望による表面改質剤の選択及びそれらの組み合わせの使用についての幾つかの重要な態様は、相溶化剤との共有結合を確保すること、及び水または生体液により引き起こされる早期の破壊に対してガラスを保護することであり、このようにして、所望の分解及び長期の生体活性がさらに維持される。カップリング剤及び/またはシラン表面改質剤を用いることの他の態様は、ガラス表面の最適な湿潤特性を得ること、ストレスからガラスを保護すること、並びに相溶化剤及び最終的にポリマーマトリックスを用いたさらなる加工を助けることである。特定の加水分解安定性が最終用途に求められる場合、二脚性シランが、カップリング剤及びシラン表面改質剤の混合物に用いられ得る。エトキシ基はメトキシ基よりも反応性が低いが、生体適合性のために、シラン内の加水分解性基としてメトキシ基の代わりにエトキシ基が好まれる。強化材としての長繊維の場合に、カップリング剤及びシラン表面改質剤は、繊維延伸加工にてオンラインで添加され得るが、カット(cut)/短(chopped)繊維を製造するとき、スラリープロセスが好まれる。
【0074】
以下は、本発明に用いられ得る例としての、シランカップリング剤及びシラン表面改質剤の官能基についての短いリストである。
【0075】
ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルカノアミン、
3−プロピルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン等のアルキル(表面改質剤)、
アリルトリメトキシシラン等のアリル、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N−トリメトキシシリル−プロピル)ポリエチレンイミン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、n−ブチルアミノ−プロピルトリメトキシシラン等のアミン、
3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物等の無水物、
フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の芳香族化合物(表面改質剤)、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロアルキル、
1−トリメトキシシリル−2(p,m−クロロメチル)フェニル−エタン等のクロロメチル芳香族化合物、
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ビニルメチルシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタン等の二脚状化合物(dipodal)、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキル(表面改質剤)、
イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(isocyanotopropyltriethoxysilane)等のイソシアネート、
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト、
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリレート、
2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリエトキシシラン等のホスフィン、
1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン(表面改質剤)、
3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランヒドロクイロライド等のスチリル、
N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレア等のウレイド、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル。
【0076】
本発明の実施形態によれば、カップリング剤の量は、ガラス繊維の量の0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%、最も好ましくは0.2〜5質量%である。
【0077】
本願の用途におけるカップリング剤及び改質剤の間の違いは、それらの分子式に存在する。カップリング剤は、1〜3の加水分解性基及びポリマーの反応性部位と反応することができる(共有結合を形成することができる)少なくとも1つの有機反応性基を含有し、すなわち、R基は、所望の特性を与える官能基を有する非加水分解性有機ラジカルである。これは、有機ポリマー及び無機材料の間に共有結合をもたらす能力を有する。一方で、改質剤はまた、1〜3の加水分解性基を含有するが、少なくとも1つの非官能性炭化水素基(すなわち、アルキル及び/またはアリール基)も含有する。アルキル−及びアリールシランは、本明細書においてカップリング剤とはみなされない。これらの非官能性材料を有する表面改質剤は、相間に大きな影響を有する。表面改質剤は、基材の表面エネルギーまたは湿潤特性を変更するために用いられる。特性の改質には、疎水性、開放性(release)、誘電性、吸収性、配向性、親水性、及び電荷伝導が含まれる。
【0078】
一つの例として、次の定義を付与することができる。
カップリング剤は、一般式:
R1−(CH2n−Si−X3
を有する。
改質剤は、一般式:
R2−(CH2n−Si−X3
を有する。
式中、R1は有機官能基、R2は非官能性炭化水素、(CH2nはリンカー、Siはシリコン原子、Xは加水分解性基である。
【0079】
ガラス繊維強化複合材料の分野で知られているように、シラン及びガラス間のオキサン結合の加水分解不安定性は、ガラスの分解メカニズムにおいて主な役割を果たし、周囲環境からの及びガラス自体からの水、塩基、及び酸性イオンによって影響される。ガラス及びポリマーマトリックス間の密着(結合)を失うことによって、複合材料は、その機械的強度を低下させるが、好適な生体材料を有するために、適切な医療用具用途に好適であるように制御可能でなければならない。好適な疎水性非官能性シランを選択することによって、ガラス表面に水を近づけないことにより表面分子の加水分解が抑制される。相溶化剤は、表面改質剤よりも疎水性ではない。しかしながら、相溶化剤は、ポリマーと、より適合可能であり、マトリックス及び無機材料間に物理的結合を形成するだろう。
【0080】
生体吸収性及び生体適合性ポリマー
本発明による複合材料は、ポリマーマトリックス、好ましくは連続的なポリマーマトリックスを含むが、不連続なポリマーマトリックスを除外するものではなく、ポリマーマトリックスは生体適合性及び吸収性である。生体適合性ガラス材料は概して繊維状であり、ポリマーマトリックス内に埋め込まれるが、このことは繊維の表面がポリマーによって覆われることを意味する。好ましくは繊維表面の少なくとも80%がポリマーマトリックスによって覆われ、さらに好ましくは繊維表面の少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%がポリマーマトリックスによって覆われる。また、好ましくは、複合材料の繊維表面の少なくとも99%がポリマーマトリックスによって覆われる。
【0081】
ポリマーの分子量は、30000g/mol超、好ましくは40000g/mol超である。
【0082】
ポリラクチド(すなわち、ポリ(乳酸)、PLA)、ポリグリコリド(PGA)、及びポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、並びにそれらのコ−及びターポリマーが、最もよくみられるもののうち、よく研究され用いられる吸収性ポリマーである。これらの高分子量のポリエステルは概して、環状モノマー、すなわち、ラクチド、ε−カプロラクトン、及びグリコリドの開環重合によって作られる。
【0083】
ポリ(L−ラクチド)ホモポリマーは、約180℃の融点Tm及び60〜65℃のガラス転移温度Tgを有する半結晶ポリマーである。ポリ(DL−ラクチド)ホモポリマーは55〜60℃のTgを有するアモルファスポリマーである。PLAは、65MPaの引張強度及び3〜4GPaのヤング率を有するガラス質で硬いが脆い材料特性を有する。
【0084】
PCLは、60℃の低融点、−60℃のTg、40MPaの引張強度、及び0.4GPaの弾性率を有する、強く、延性のあるゴム状ポリマーである。
【0085】
PGAは、215〜225℃の低融点及び40℃のTg、並びに100MPaの引張強度及び3〜4GPaのヤング率を有するガラス質で硬いが脆い材料特性を有する。
【0086】
PLA、PGA、及びPCLのコ−及びターポリマーは、医療用具用の吸収性複合材料のための最適なポリマーの合成について関心がある。モノマー比及び分子量の選択は、強さ弾性、弾性率、熱特性、分解速度、及び溶融粘度に大きく影響する。
【0087】
これらのポリマーの全てが、インビトロ及びインビボの両方の水性条件で分解可能であることが知られている。2つの段階が分解プロセスで特定されており、第1は、ポリマーの分子量を減少させるエステル結合のランダムな加水分解鎖切断によって分解が進む。第2段階では、鎖切断に加えて、測定可能な質量低減がみられる。機械的特性が主に低下するか、あるいは、少なくとも顕著な低下が、質量低下が始まった個所でみられるだろう。これらのポリマーの分解速度は、ポリマー構造、すなわち結晶化度、分子量、ガラス転移温度、ブロック長、ラセミ化、及び連鎖構造によって異なる(J.C. Middleton and A.J. Tipton, Biomaterials 21, 2000, 2335-2346)。
【0088】
本発明によれば、次の吸収性ポリマー、コポリマー、及びターポリマーが、複合材料用のマトリックス材料として用いられ得る。例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−DL−ラクチド(PDLLA); ポリグリコリド(PGA); グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC); ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d−バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε−カプロラクトンコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー、グリコリド/L−ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド−co−グリコリド等のPLAの他のコポリマー; ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε−カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー等のPLAのターポリマー; ポリデプシペプチド; 非対称3,6−置換ポリ−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン; ポリヒドロキシブチレート(PHB)等のポリヒドロキシアルカノエート; PHB/b−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV); ポリ−b−ヒドロキシプロピオネート(PHPA); ポリ−p−ジオキサノン(PDS); ポリ−d−バレロラクトン−ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン−DL−ラクチド)コポリマー; メチルメタクリレート−N−ビニルピロリドンコポリマー; ポリエステルアミド; シュウ酸のポリエステル; ポリジヒドロピラン; ポリアルキル−2−シアノアクリレート; ポリウレタン(PU); ポリビニルアルコール(PVA); ポリペプチド; ポリ−b−リンゴ酸(PMLA); ポリ−b−アルカン酸; ポリカーボネート; ポリオルトエステル; ポリホスフェート; ポリ(エステル無水物); 及びこれらの混合物; 並びに糖、でんぷん、セルロース及びセルロース誘導体、多糖、コラーゲン、キトサン、フィブリン、ヒアルロン酸(hyalyronic acid)、ポリペプチド、並びにプロテイン等の天然ポリマー。上述のポリマーの任意の混合物及びそれらの変化形態も用いられ得る。
【0089】
ポリマー材料はポーラスであることができ、あるいはポリマー材料は、使用の際及び/または組織と接触するときにポーラスになることができる。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、マトリックスポリマーの量は、複合材料の総質量の1〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。
【0091】
本発明はまた、医療用具の製造における本発明に係る複合材料の使用に関する。本発明はまた、上で説明した複合材料を含む医療用具に関する。医療用具は、例えばインプラントであることができる。本発明に係る用具は、本発明の複合材料から製造され、インビトロで高い初期弾性率及び良好な強度保持を有し、例えば骨折の固定用具の製造に有益である。というのは、加水分解条件下での高い初期弾性率及び強度保持は、治療骨と比べて初期の等弾性挙動を有する用具を提供するからである。
【0092】
医療用具は、生体内で用いられる任意の種類のインプラント、または組織若しくは骨の治療及び/若しくは再生をサポートする用具であることができる。医療用具はまた、生体内で用いられる任意の種類のテキスタイル、織布、または不織布であることができる。
【0093】
本明細書においてインプラントには、骨折の固定及び/または治療用に骨折を固定する骨切り術用の、ねじ、プレート、ピン、びょう(tack)、またはくぎ(nail);骨への軟組織の固定、骨内への軟組織の固定、及び軟組織への軟組織の固定用の縫合アンカー(suture anchor)、びょう、ねじ、ボルト、くぎ、クランプ、ステント、及び他の用具;並びに組織若しくは骨の治療若しくは再生のサポートに用いられる用具;または脊髄手術における脊椎癒合及び他の作業用の頸部くさび(cervical wedge)及び腰椎間ケージ(lumbar cage)及びプレート及びねじ等の外科的な筋骨格用途に用いられる任意の種類のインプラントが含まれる。
【0094】
本発明によれば、複合材料はまた、ポーラス組織工学の足場(porous tissue engineering scaffold)として用いられ得る。好ましくは、足場は60%の空孔率を有し、より好ましくは少なくとも80%の空孔率、最も好ましくは少なくとも90%の空孔率を有する。
【0095】
本発明による医療用具の利点は、高い局所的pHピーク及びカリウムの放出による毒性を生じさせずに、分解によって生体から医療用具が消失することである。
【0096】
医療用具材料の用途及び目的に依存して、本医療用具は、生体適合性であることに加えて、哺乳類の体内で制御された吸収も示す。最適な吸収速度は、所望のインプラント位置における組織の再生速度に直接比例する。骨組織の場合、インプラントの大きな割合が好ましくは、組織内で3〜12ヶ月以内に吸収/分解される。治療組織への物理的サポートが望ましい場合は、吸収速度は、数ヶ月または数年であってもよい。その上、本発明は、カニューレ(canule)、カテーテル、及びステントなどの医療用具に使用され得る。本発明はまた、組織工学用の繊維強化足場(scaffold)に使用され得る。
【0097】
本発明による医療用具の他の利点は、それらの強度及び実現可能な製造である。本発明による医療用具は、吸収性ポリマーマトリックス中で繊維を配置することによって、及び任意の種類のポリマー加工装置、例えばオープン若しくはクローズドバッチミキサー若しくはニーダー、連続攪拌タンク反応器若しくはミキサー、押出機、注入成型機、反応性注入成形(RIM)、ラミネート加工、カレンダー加工、トランスファー成形、圧縮成形、機械加工、引き抜き成形、溶液流延、管型反応器、または連続繊維及び/若しくは短(chopped)/カット(cut)繊維及び/若しくは織布、不織布のマット/テキスタイルの所望の配向を有するインプラントを作る及び/若しく成形する分野で知られている他の標準溶融加工若しくは溶融混合装置を用いることによって製造され得る。
【0098】
本発明のさらなる一つの利点は、マトリックス材料の融点が約30〜300℃であること、繊維のガラス転移温度が約450〜750℃であることである。結果として、ガラス繊維は、溶融マトリックス材料の温度によって損傷されず、マトリックスを固めたときに強い繊維強化医療用具が得られる。
【0099】
最終インプラントの分解を修正するため、それらの表面特性を向上するため、または生体活性ガラス、ヒドロキシルアパタイト、及び/またはトリカルシウムホスフェート等の生物活性化合物をその中に添加するために、それらは、共押出成形、ディップコーティング、電気スプレー、注入成形、臨界溶液含浸、またはポリマー、医薬、用具、またはテキスタイル産業で用いられる任意の他の公知の方法を含み得るプロセスを用いて、追加の吸収性ポリマーコーティング層によってさらに修正され得る。前記ポリマーは上述のものでもよい。
【0100】
本発明はさらに、本発明に係る複合材料を製造するための方法に関係し、本方法は、
ガラス表面からイオンを除去するために、ガラス表面を脱イオン水で抽出処理する工程、
ガラスにカップリング剤を加え、ガラスとカップリング剤とを反応させる工程、
ガラスとカップリング剤との混合物に相溶化剤を加え、カップリング剤と相溶化剤とを反応させる工程、
得られた混合物にポリマーマトリックス材料を加える工程、
を含む。
【0101】
本方法はまた、最後に、得られた複合材料から溶媒を除去する工程、並びに複合材料の表面処理の他のさらなる工程を含んでもよい。
【0102】
生体分解性ガラスにおいて主な無機構成材はシリカであり、シリカがシランカップリング剤と容易に反応すると期待されているため、表面からイオンを除去するために脱イオン水でガラス表面を抽出処理する工程は有益な工程である。しかしながら、アルカリ金属及びリン酸塩は、シリコンと加水分解に安定な結合を形成しないだけでなく、さらに悪いことには、シリコン−酸素結合の破壊及び再分配に触媒作用を及ぼす。一方で、新たに溶融法で得られた生体分解性ガラス繊維が、中性条件下で、カップリング剤及び生体分解性ガラス繊維の間の反応に重要であるヒドロキシル基を最小数有するという事実のために、脱イオン水の処理は、ガラス表面にヒドロキシル基を形成するために必要である。
【0103】
本発明に係る複合材料を製造するための方法は、連続的にまたはバッチ式で用いられ得る。
【0104】
本発明の任意の態様に関係して上述した実施形態及び変化形態は、本発明の他の態様に準用される。
【0105】
本明細書において、特に指定がなければ、「含む」(comprise)、「含む」(comprises)、及び「含む」(comprising)はそれぞれ、「含む」(include)、「含む」(includes)、及び「含む」(including)を意味する。すなわち、本発明が特定の特徴を含むものとして記載または規定されるとき、同じ発明の様々な実施形態が追加の特徴を含んでもよい。
【0106】
ここで、本発明の実施形態は、次の実施例における例に詳細に記載される。例は例示的であり、本発明の組成物、方法、用途、及び使用を限定するものではない。
【実施例】
【0107】
生体分解性ガラスのプリフォーム(300g)の一般的な製造を、次の手順、すなわち原材料の乾燥混合、炉内の白金坩堝中での溶解、アニール、粉砕、再溶融、及びアニールにしたがって行った。用いた原材料源は、SiO2、Al23、Na2CO3、(CaHPO4)(H2O)、CaCO3、H3BO3、及びMgOである。
【0108】
図1に示すように脱イオン水の希薄スプレーを高温の繊維に適用したことを除いて、繊維の延伸を、特許出願EP1958925に記載されている方法にしたがって行った。製造プロセスについて図1により詳細に示すが、ガラスを、坩堝1に入れて、そこから繊維2に延伸する。繊維2を脱イオン水3で処理して、さらにカップリング剤4で処理する。カップリング剤及びガラスの間の反応が、炉内で起こる。この後、得られた繊維に相溶化剤6を加え、第2の炉7で次の反応が起こる。次いで、ポリマー材料8を繊維に加え、第3の炉9に再度導入される。次いで、得られた繊維を10にて巻き取って収集する。
【0109】
上述の一般的手順にしたがって、強化繊維を製造するために用いるプリフォームを作るために、次の組成範囲の成分を有する混合物を用いた:
SiO2 60〜70質量%、
Na2O 5〜20質量%、
CaO 5〜25質量%、
MgO 0〜10質量%、
25 0.5〜5質量%、
23 0〜15質量%、
Al23 0〜5質量%。
【0110】
(例1) 吸収性ガラス繊維の組成及び製造
上述の一般的手順にしたがって、次のガラス組成物を作り、繊維形状に延伸した。
SiO2 64.0質量%、
Na2O 11.0質量%、
CaO 18.0質量%、
MgO 2.0質量%、
25 2.0質量%、
23 0.5質量%、
Al23 2.5質量%。
【0111】
延伸後、保護ガス下にて繊維をホイル袋に保管し、さらなる分析及び使用のために保管した。組成及び非晶質性について、蛍光X線(XRF)及びX線回折(XRD)をそれぞれ用いて確認した。平均繊維直径は約35μmであった。
【0112】
(例2) オンラインで表面処理された吸収性ガラス繊維の製造
エタノール及び水中のカップリング剤の溶液、すなわち5質量%のカップリング剤3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、90質量%のエタノール、及び5質量%の水であって、酢酸(pH4.5)で触媒された溶液を用いて、繊維をオンラインで表面処理したことを除いて、吸収性ガラス繊維を、例1にしたがって作成した。次いで、繊維をオンラインで硬化させ、乾燥させて反応を完了させた。表面処理を接触角測定によって確認した。
【0113】
(例3) オンラインで表面処理された吸収性ガラス繊維の製造
カップリング剤、表面改質剤、エタノール、及び水の溶液、すわなち、5質量%のカップリング剤3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び表面改質剤n−プロピルトリエトキシシラン(2:1の比)の混合物、90質量%のエタノール、及び5質量%の水であって、酢酸(pH4.5)で触媒された溶液を用いて、繊維をオンラインで表面処理したことを除いて、例1にしたがって吸収性ガラス繊維を作成した。次いで、繊維を、200℃の温度にてオンラインで硬化させ、150℃の温度で乾燥させて反応を完了させた。表面処理を接触角測定によって確認した。
【0114】
(例4) 表面処理及びオンラインで相溶化剤処理された吸収性ガラス繊維の製造
表面処理後に相溶化剤をオンラインで添加したことを除いて、吸収性ガラス繊維を例3にしたがって作成した。用いた相溶化剤はポリ(L−ラクチド)であり、2000g/molの分子量を有し、酢酸エチル中の1質量%溶液であって、0.02mol%のスズ(II)エチルヘキサノエートで触媒された溶液として用いた。次いで、繊維をオンラインで硬化させ、120℃の温度で乾燥した。相溶化剤処理を、接触角測定及びフーリエ変換赤外(FTIR)で確認した。
【0115】
(例5) ポリマーでコーティングされた吸収性ガラス繊維の製造
相溶化剤ポリマーを添加した後に、PLGA固有粘度(i.v.)2.3コーティングを酢酸エチル中の8質量%溶液としてオンラインで添加したことを除いて、吸収性ガラス繊維を例4にしたがって作成した。ポリマーコーティングを微視的方法で検出し、繊維が、ポリマーでコーティングされたまとまった束を形成していることを観察した。
【0116】
(例6) 吸収性連続強化複合ロッドの製造
(2mmの直径を有する)複合ロッドを、クロスヘッドダイを備えた2軸押出機(twin screw extruder)を用いて作成し、溶融マトリックスポリマー中にポリマーコーティングされたガラス繊維束を投入した。マトリックスポリマー及びポリマーコーティングを、PLGAi.v.2.3グレードである同じポリマーから作成した。押出機のバレル温度は185℃/175℃/175℃であり、ダイ温度は190℃であった、繊維含有量は38質量%であった。
【0117】
(例7) スラリー法を用いた表面処理及び相溶化剤処理された吸収性ガラス繊維の製造
吸収性ガラス繊維を例1にしたがって作成し、10mmの長さに切断した。切断した短繊維を2Lの回転式蒸発容器に入れて、5質量%のカップリング剤ビニルトリエトキシシラン及び表面改質剤n−プロピルトリエトキシシラン(2:1の比)の混合物、90質量%のエタノール、及び5質量%の水であって、酢酸(pH4.5)で触媒された溶液を用いて、表面処理した。反応が完了した後に、溶媒の変更を行い、溶媒を酢酸エチルに変えて、相溶化剤をラジカル開始剤(過酸化ベンゾイル、0.1質量%)とともに添加した。相溶化剤は、2000g/molの分子量を有する1質量%のメタクリレート官能化PLLAであった。反応が完了した後、表面処理及び相溶化剤処理されたガラス繊維をろ過して乾燥した。相溶化剤処理を、接触角測定及びFTIRで確認した。
【0118】
(例8)吸収性短繊維強化複合ロッドの製造
(4mmの直径を有する)複合ロッドを、処理された短繊維用のサイドフィーダー(side feeder)を備えた2軸押出機を用いて、作成した。ポリマーマトリックスとして70/30L−ラクチド/ε−カプロラクトンコポリマーを50:50比で短繊維に用いた。バレル温度は175℃/165℃/160℃であり、ダイ温度は160℃であった。
【0119】
(例9)吸収性の高い生体活性テキスタイル強化複合プレートの製造
2種類の吸収性ガラス繊維を作成し、一つは、例1による、より高い生体活性を有するガラス組成物であり、他方は、カップリング剤が3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物であり、及び表面改質剤が1−(トリエトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタン(シラン比5:1)であることを除いて、例4による、より高い強化性能を有するガラス組成物であった。強化繊維をテキスタイル中に織り込み、他方を10mmの長さに切断した。
【0120】
ガラス組成を次にしめす。
より高い生体活性を有するガラスは、
SiO2 59.7質量%、
Na2O 25.5質量%、
CaO 11.0質量%、
25 2.5質量%、
23 1.3質量%
の組成であり、
より高い強化特性を有するガラスは、
SiO2 65.5質量%、
Na2O 12.0質量%、
CaO 18.0質量%、
25 1.5質量%、
23 2.0質量%、
MgO 1.0質量%。
の組成である。
【0121】
短繊維を、2Lの回転式蒸発容器に入れて、5質量%のカップリング剤3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物及び表面改質剤1−(トリエトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタン(5:1の比)の混合物、90質量%のエタノール、及び5質量%の水であって、酢酸(pH4.5)で触媒された溶液を用いて、表面処理した。反応が完了した後に、溶媒の変更を行い、溶媒を酢酸エチルに変更し、1質量%のPLLA相溶化剤(2000g/molの分子量)を触媒、0.02mol%のスズ(II)エチルヘキサノエートと共に添加した。反応が完了した後、マトリックスポリマーPLDLAを酢酸エチル中の10質量%溶液として添加した。繊維の完全湿潤後に、テキスタイルを混合物で含浸して、脱気処理した。複合プレートを、190℃の温度にて4×80×70mmの寸法に圧縮成形して、作成した。
【0122】
(例10)吸収性強化複合プレートの製造
例1〜9の方法にしたがって様々な複合プレートを作成した。用いた成分を表1に示す。
【0123】
(例11)生体吸収性及び生体適合性複合ネジ、ロッド、及び曲げ試験片の射出成形
スラリー法を用いたバッチ式であることを除いて例4と同様に、切断繊維(5〜10mm)の表面改質を、2Lの反応容器中で、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-glycidoxyppropyltriethoxysilane)処理を用いて行い、次いでコハク酸末端PLLA相溶化剤(Mn4000g/mol)を添加したことを除いて、ガラス繊維を一般的手順により作成した。ポリマーマトリックスを、表面改質切断繊維と組み合わせて(20〜40質量%)、72時間、真空下で乾燥した。射出成形による生体吸収性及び生体適合性の複合ネジ、ロッド、及び曲げ試験片の製造において、PLLA、PLDLA、及びPLGAをポリマーマトリックスとして用いた。
【0124】
典型的な射出成形方法には、フィーダーホッパーに乾燥スラリーペレットを投入すること、190〜215℃の樹脂加工温度を用いること、180〜205℃の射出温度、170〜200℃のノズル温度、及び20〜45℃の成形温度が含まれた。加工条件は、均一なPLLA、PLDLA、及びPLGA系の生体吸収性及び生体適合性の複合ネジ、ロッド、及び(次の例12に示すような)さらなる試験のための曲げ試験片を作成するのに好適であった。
【0125】
(例12)生体吸収性及び生体適合性ガラス繊維強化複合材料の曲げ特性
選択した試料を、例11にしたがって作成し、3点曲げ強度を、ISO178:2001 LRX Plus ロイド材料試験機を用いたプラスチック−曲げ特性の決定(ISO 178:2001 Plastics - Determination of flexural properties standard with Lloyd LRX Plus materials testing machine)にしたがって測定した。
【0126】
【表1】

PLLAはポリ-L-ラクチド; PCLはポリ(ε-カプロラクトン); PLDLAはL-ラクチド/DL-ラクチドコポリマー; PLGAはポリ(ラクチド-co-グリコリド); i.v.は固有粘度である。
【0127】
【表2】

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性及び生体吸収性ガラス、
生体適合性及び生体吸収性マトリックスポリマー、並びに
共有結合を形成することができるカップリング剤、
を含む複合材料であって、
相溶化剤をさらに含み、
前記相溶化剤の構成単位の少なくとも10%が、前記マトリックスポリマーの構成単位と同一であり、並びに
前記相溶化剤の分子量が30000g/mol未満であることを特徴とする、複合材料。
【請求項2】
前記生体適合性及び生体吸収性ガラスが、繊維状であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記相溶化剤の構成単位の少なくとも30%が、前記マトリックスポリマーの構成単位と同一であることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記相溶化剤の分子量が10000g/mol未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記ガラスを保護することができ、且つ前記ガラスの濡れを向上することができる表面改質剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
前記生体適合性及び生体吸収性ガラスの量が、全成分量の1〜90質量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記マトリックスポリマーの量が、全成分量の1〜90質量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
前記カップリング剤の量が、全成分量の0.1〜10質量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
前記相溶化剤の量が、全成分量の0.1〜20質量%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
前記マトリックスポリマー及び前記相溶化剤が、独立して、ポリラクチド(PLA)、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−DL−ラクチド(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、グリコリドのコポリマー、グリコリド/トリメチレンカーボネートコポリマー(PGA/TMC)、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/d−バレロラクトンコポリマー、ラクチド/ε−カプロラクトンコポリマー、L−ラクチド/DL−ラクチドコポリマー(PLDLA)、グリコリド/L−ラクチドコポリマー(PGA/PLLA)、ポリラクチド−co−グリコリド、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートターポリマー、ラクチド/グリコリド/ε−カプロラクトンターポリマー、PLA/ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリデプシペプチド、非対称3,6−置換型のポリ−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、PHB/b−ヒドロキシバレレートコポリマー(PHB/PHV)、ポリ−b−ヒドロキシプロピオネート(PHPA)、ポリ−p−ジオキサノン(PDS)、ポリ−d−バレロラクトン−ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン−DL−ラクチド)コポリマー、メチルメタクリレート−N−ビニルピロリドンコポリマー、ポリエステルアミド、シュウ酸のポリエステル、ポリジヒドロピラン、ポリアルキル−2−シアノアクリレート、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリペプチド、ポリ−b−リンゴ酸(PMLA)、ポリ−b−アルカン酸、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリ(エステル無水物)、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
前記カップリング剤及び前記表面改質剤が、独立して、オルガノシランからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項12】
前記カップリング剤が、アルコキシシランからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項13】
前記表面改質剤が、アルキルシランからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項14】
前記生体適合性及び生体吸収性ガラスが、
SiO2 60〜70質量%、
Na2O 5〜20質量%、
CaO 5〜25質量%、
MgO 0〜10質量%、
25 0.5〜5質量%、
23 0〜15質量%、及び
Al23 0〜5質量%、
の組成を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項15】
少なくとも1つの生体適合性及び生体吸収性ガラスと、少なくとも1つの生体活性、生体適合性、及び生体吸収性ガラスとを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の複合材料であって、前記ガラスが異なる組成を有する、複合材料。
【請求項16】
生体活性ガラス、ヒドロキシルアパタイト、及びトリカルシウムホスフェートからなる群から選択される少なくとも1つの生体活性化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合材料の、医療用具の製造における使用。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合材料を含む医療用具。
【請求項19】
インプラントであることを特徴とする、請求項18に記載の医療用具。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合材料を製造するための方法であって、
ガラス表面からイオンを除去するために、ガラス表面を脱イオン水で抽出処理する工程、
前記ガラスにカップリング剤を加え、前記ガラスと前記カップリング剤とを反応させる工程、
前記ガラスとカップリング剤との混合物に相溶化剤を加え、前記カップリング剤と前記相溶化剤とを反応させる工程、
前記得られた混合物にポリマーマトリックス材料を加える工程、
を含む、方法。

【公表番号】特表2012−524569(P2012−524569A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506497(P2012−506497)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055335
【国際公開番号】WO2010/122098
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(503115906)
【Fターム(参考)】