説明

生体適用液への選択的水素添加器具

【課題】生体適用液の特性を変えることなく、水素含有生体適用液を得ることができる選択的水素添加器具を提供する。
【解決手段】水素発生剤を必須成分とする水素発生系を、ガス透過膜または開閉式の弁を含む気液分離部を有する水素気泡形成体に収容し、該水素気泡形成体内において前記水素発生系と発生用水を反応させることを通じて、該水素気泡形成体内に発生した水素ガスを、前記気液分離部を介して、生体適用液に送り込むことで水素含有生体適用液を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適用液への選択的水素添加器具に係わる。
【背景技術】
【0002】
水素含有生体適用液を製造する方法として、家庭用電解水素水生成装置を用いる方法や水素発生剤として金属マグネシウムの金属片を生体適用液と接触させる方法が知られている(特開2007−167696)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167696
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素発生剤を用いて水素含有生体適用液を得ようとする場合、水素発生剤は、生体適用液に水素分子を溶存させる際に、その生体適用液の特性まで変化させてしまうことが多い。たとえば、水素発生剤が金属マグネシウムである場合、水素発生の際、以下の式(1)、(2)に従い、生体適用液にマグネシウムイオンを溶出させるとともに、そのpHをアルカリ側に傾ける。
【0005】
Mg+2HO→Mg(OH)2++H ・・・式(1)
Mg(OH)2+→Mg2++2OH ・・・式(2)
しかしながら、水素発生反応の前後で、自然的または人工的にすでに組成されている生体適用液の成分構成を変えてしまうことは基本的に望ましいことではない。成分の変化は茶やミネラルウォーターなど生体適用液の味を変えることに繋がる。
【0006】
したがって、生体適用液の成分構成は変えることのない水素含有生体適用液の製造器具が望まれている。
【0007】
また、食品衛生法上、食品と接触することができる添加物は「食品添加物」として公に認められているものだけである。
【0008】
したがって、水素発生剤を用いて水素含有生体適用液を製造する際、水素発生剤であるマグネシウムや水素化物を直接生体適用液に接触させることは食品衛生法に反することになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
金属アルミニウムや金属マグネシウムなど水素発生剤を必須成分として含む水素発生系を、水素ガスを放出するが水を実質的に流入させない、および/または水素ガスを放出するが水を実質的に流出させない工夫を施されている気液分離部を有する水素気泡形成体に収容するとともに、水素気泡形成体内において水素発生剤と発生用水を反応させることを通じて、水素気泡形成体より発生した水素ガスを、水素発生反応に用いられた発生用水を実質的に生体適用液に流出させることなく、生体適用液に水素を溶存させることで解決する。または、水素ガスを、生体適用液を収容する密閉容器気相部に送り込み、水素含有生体適用液を得ることで課題を解決する。または、気相の高圧・高濃度水素ガスを、密閉容器を振盪することにより生体適用液に溶解させ、高濃度または過飽和水素含有生体適用液を得ることで課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
こうした手段を用いて、生体適用液に水素を供給することにより、生体適用液の特性を変えることなく、水素含有生体適用液を得ることができる。また、こうした手段を用いれば、家庭、職場、街中、店頭など場所を問わず、任意の飲料の香味を変化させることなく、簡単に高濃度水素飲料を製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る気液分離部を示す平面図および正面図である。
【図1B】本発明の一実施の形態に係る気液分離部を示す断面図である。
【図2】図1に示す気液分離部を水素気泡形成体に装着した選択的水素添加器具を示す正面図である。
【図3】図1に示す気液分離部を水素気泡形成体に装着した選択的水素添加器具の他例を示す正面図である。
【図4】ガス透過膜である気液分離部を水素気泡形成体に装着した選択的水素添加器具の他例を示す正面図である。
【図5】図4に示す水素気泡形成体に外殻を装着した選択的水素添加器具の他例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
本発明において生体適用液とは、本発明を用いて水素を溶存させられる対象である水または水溶液など生体に適用される液体である。生体適用液は、水のほか、清涼飲料水、茶やコーヒーなど飲料を含む。生体適用液に水素を溶存させることで得られる水素含有生体適用液は、吸入(噴霧)、飲用、注射などを介して生体に適用されるがこれに限るものではない。水素含有生体適用液、及び高濃度または過飽和水素含有生体適用液の作用成分は水素であり、その作用は主として酸化ストレスの抑制に関わるがこれに限るものではない。
【0014】
本発明において水素発生剤とは、水素を発生させる物質である。水素よりイオン化傾向の高い金属、水素化金属を含む水素化化合物など、水と接触することで水素を発生させる物質は水素発生剤に含まれる。食品衛生法や反応生成物の安全性などを考慮し、食品添加物である水素よりイオン化傾向の高い金属(マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルトなど)は好適に用いられる。なかでも、金属アルミニウムは、美観、コスト、及び取り扱い上の安全性の観点からも好適に用いられる。
【0015】
本発明において発生用水とは、水素発生剤と接触することを通じて水素気泡形成体内に水素ガスを発生させる液である。こうした発生用水には、水道水、浄水、イオン交換水、精製水、純水、RO水などが含まれるが、これに限るものではない。上述の生体適用液自体を発生用水として用いることもできる。含有成分、硬度、液性の如何にかかわらず、水を含んでいる液体であれば本発明の発生用水として用いることができる。
【0016】
本発明の水素気泡形成体は、生体適用液から水素発生系を隔離するとともに、水素気泡形成体内で発生した水素ガスを、水素気泡形成体の気液分離部を介して生体適用液に送り届けることを特徴とする。水素気泡形成体を含む本発明の器具は、それが収容される密閉容器とは別個の装置として、あるいは密閉容器に組み込まれた構造部として、密閉容器に収容することができる。
【0017】
こうした気液分離部は、たとえば、弁(逆止弁やボール弁を含む)やガス透過膜(陰イオン交換膜や陽イオン交換膜を含む)などを部品や材料として含むことで、水素発生系と発生用水との接触反応により発生した水素ガスを放出するとともに、発生用水を実質的に流出させない、および/または生体適用液を実質的に流入させない工夫を施されていることを特徴とする。
【0018】
こうした工夫として、材質(布、紙、プラスティック、ゴム、セラミックなど)や厚みは問わないが、水難透過性または非透過性であって水素ガス透過性であるガス透過膜を気液分離部に有する水素気泡形成体を有する水素含有生体適用液の製造器具であって、該水素発生系またはその水素発生剤に防熱処理が施されているとともに、さらに必要に応じて前記水素気泡形成体に保温処理が施されていることを特徴とする水素含有生体適用液の製造器具である。また本発明の器具は、該気液分離部または該水素気泡形成体の一部が開閉可能な開閉部とすることで、該開閉部より水素発生系と発生用水を前記水素気泡形成体に投入するよう工夫することもできる。
【0019】
ここで、水素発生系またはそのうちの水素発生剤の防熱処理とは、水素発生反応を促進するための水素発生剤の粒子化に伴う反応熱の増大を抑制することを目的とする。これに限るものではないが、水素発生系またはそのうちの水素発生剤を被覆材に覆うこと、水素発生系またはそのうちの水素発生剤を錠剤化、固形化すること、水素発生反応に伴う副生成物の生成を通じて耐火層を形成することなどがそうした処理に含まれる。
【0020】
また、水素発生剤として発熱反応が中庸以下である金属原料を用いることも、本発明の防熱処理に含まれる。
【0021】
ここで被覆材は、水素発生系を互いに近接した状態におくことで水素発生反応の効率を高めるとともに、水素発生反応時の反応熱が気液分離部のガス透過膜に直接移行することを防ぐことでガス透過膜が劣化変質することを防止し、さらに水素発生系がpH調整剤を有する場合は、その酸性またはアルカリ性に由来するガス透過膜の変質を防止する。また被覆材は、水素ガスや水は透過するが、水素発生剤やその反応残渣を透過させないことを一つの特徴とする。したがって、被覆材のポアサイズは、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは50μm以下であることが望ましい。
【0022】
ここで錠剤化または固形化とは、圧縮形成(打錠)や適宜賦形剤を用いることにより、水素発生系またはそのうちの水素発生剤の水素発生反応の効率化と反応熱の抑制のバランスを最適化することを目的とする。水素発生剤として金属を用いる場合であっても、上述の方法などにより該金属の金属粒子を錠剤化または固形化することで、水素発生反応に寄与する表面積を稼ぎつつその反応熱を抑制することができる。たとえば、こうした錠剤化または固形化を打錠により行う場合は、粒子間の空隙を確保し表面積を稼ぎつつ、かつ型崩れし難い打錠圧、すなわちこれに限るものではないがたとえば、打錠圧0.1kN〜100kN、好ましくは0.3kN〜50kN、より好ましくは0.5kN〜20kN、さらに好ましくは0.5kN〜10kNで固化することが望ましい。また、こうした錠剤または固形剤はさらに被覆材内に保持されてもよい。
【0023】
ここで水素発生反応に伴う副生成物の生成を通じて耐火層を形成するとは、これに限るものではないが、たとえば水素発生剤として金属アルミニウム、pH調整剤として酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含む水素発生系での水素発生反応において、その反応生成物であるアルミナセメントの耐火性を通じて、水素発生反応後になお残存する可能性のある金属アルミニウムの発熱可能性を防止することなどが含まれる。
【0024】
ここで発熱反応が中庸以下である金属原料を用いるとは、以下に述べる「金属原料発熱温度測定法」で測定した際の金属原料の温度が50℃を超えないか、もしくは、50℃を超える場合は、50℃に達するまでに5秒以上を要することを特徴とする、金属原料を用いることを意味する。
【0025】
「金属原料発熱温度測定法」とは、すなわち、任意の金属原料500mgとリンゴ酸(たとえば、DL−リンゴ酸:扶桑化学工業株式会社)500mgからなる水素発生系に、発生用水として水温25〜26℃の水道水(たとえば、藤沢市水道水)500mgを、ポリプロピレン製の17×100mm程度 容量16.0mL程度のテストチューブ(たとえば、2ポジションキャップ付テストチューブ17×100mm 容量16.0mL;全長:100mm,外径:16.5mm,内径:15mm,キャップ寸法:20,0×17.5mm、カタログNo.222-2393-080、ビーエム機器株式会社)内で反応させたときの該金属原料の温度を測定する方法である。なお、金属原料が両性金属であるアルミニウムである場合は、リンゴ酸の代わりに、アルカリ剤として硫酸カリウムアルミニウム(たとえば、硫酸カリウムアルミニウム:和光純薬株式会社)を用いればよい。
【0026】
金属原料の温度の測定は、具体的には、ポリプロピレン製の17×100mm程度 容量16.0mL程度のテストチューブに上述の水素発生系を設置した後、キャップを閉め、キャップの中央部に事前に開けられておいたキャップ穴(ここでは、直径5mmの穴)から、スポイトで発生用水を注入する。その後速やかに、事前に電源を入れておいたデジタル温度計(たとえば、TANITA TT−508:株式会社タニタ)をテストチューブ内部に深く挿入し、温度計熱感知部(ここでは、直径4mm)を該金属原料に接触させることによって行われる。なお、キャップ穴の直径と温度計熱感知部の直径を同一にすると、チューブ内で発生する水素ガスによりキャップが吹き飛ぶ恐れがあるため、キャップ穴と温度計熱感知部のあいだには1mm程度の隙間を設ける必要がある。
【0027】
このような「金属原料発熱温度測定法」で測定した際、50℃を超えないか、もしくは、50℃を超える場合は、50℃に達するまでに5秒以上を要する、発熱反応が中庸以下である金属原料であれば、発熱反応(水素発生反応)時に高温の金属原料が発生用水とともに飛散する程度も比較的低いが、5秒未満に50℃に達するような、発熱反応が激しい金属原料の場合は、発熱反応(水素発生反応)時に高温の金属原料が発生用水とともに飛散し、気液分離部や水素気泡形成体内壁などに付着する程度も大きいため、本発明の防熱処理には望ましくない。
【0028】
また、発熱反応が、50℃に達するのに5秒以上を有する緩やかなものである場合は、本発明の使用者が、発熱反応に伴う器具自体の強い発熱を体感する前に、器具を生体適用液容器中へ手放すことができるという器具取扱い上のメリットもある。
【0029】
なお、本発明で使用される金属原料は、多様な粒径分布を含む粉末状製品として、あるいは、適宜延展加工されたテープ状製品として製品化されることも多いため、金属原料の粒径や表面積から、本発明で好適に用いられる金属原料を一義的に規定することはできない。
【0030】
また、金属原料を得るための金属元素としては、水素よりイオン化傾向の高い金属であるリチウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、すず、鉛のうち、イオン化傾向が高すぎない金属であって、かつ、取り扱い性も良い金属である、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケルなどが好適に用いられ、なかでも、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルトは、生体への安全性も高く特に好ましいが、同じ金属元素のうちでも金属原料によっては、「発熱反応が中庸以下」である場合も「発熱反応が激しい」場合もあり得るため、金属元素のみから、本発明で好適に用いられる金属原料を一義的に規定することはできない。
【0031】
したがって、本発明の防熱処理として、「発熱反応が中庸以下である金属原料を用いる」方法を採用する場合は、上述の「金属原料発熱温度測定法」により適宜使用可能な金属原料を決定することが好ましい。
【0032】
また、「金属原料発熱温度測定法」により使用可能な金属原料を選択することで、先述した、「被覆剤に覆う」、「錠剤化または固形化する」、「水素発生反応に伴う副生成物の生成を通じて耐火層を形成する」という防熱処理を必ずしも施す必要がなくなるというメリットがあることを付言しておく。
【0033】
なお、こうした各種の防熱処理は、気液分離部に弁を用いる場合であっても有効なものであることを付言しておく。
【0034】
またここで、水素気泡形成体への保温処理とは、水素気泡形成体とその外部にある生体適用液が直接的に接触することを緩衝することを通じて、水素気泡形成体が生体適用液により冷却されることを抑制することにより、水素気泡形成体内の水素発生反応を円滑に進行させることを目的とする。
【0035】
こうした保温処理としては、これに限るものではないが、水素気泡形成体の外壁に厚みを与える、または水素気泡形成体の周囲を外殻で覆うとともに、必要に応じて、水素気泡形成体と外殻のあいだに適宜な空気層を設け水温の直接移行を防止することなどが含まれる。
【0036】
これに限るものではないが、水素気泡形成体の厚みは、0.1ミリ以上、好ましくは0.5ミリ以上、さらに好ましくは1ミリ以上であることが望ましい。またこれに限るものではないが、水素気泡形成体と外殻のあいだに設けられる空気層は、両者間距離が、0.1ミリ以上、好ましくは0.5ミリ以上、さらに好ましくは1ミリ以上であることが望ましい。
【0037】
たとえば、水素発生剤としてアルミニウムを、後述のpH調整剤として食品添加物である酸化カルシウムや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤を含む水素発生系では、それを擁する水素気泡形成体に接触する生体適用液の水温によって、水素発生反応の反応速度が大きく異なってくる。すなわち、生体適用液の水温が4℃である場合、その水素発生反応は水温が20℃である場合と比べてかなり遅くなる、しかし逆に、生体適用液の水温が4℃のときであっても、水素気泡形成体の周囲を外殻で覆うとともに適宜な空気層を設けるなどして水素気泡形成体を適宜保温する場合は、その水素発生反応は保温しない場合と比べて速やかになる。
【0038】
したがって一般的に本発明において、水素気泡形成体に保温処理を施すことは、生体適用液が充分な量の水素分子を含有するようになるまでの時間を短縮するため、好ましいことである。
【0039】
なお、こうした保温処理は、気液分離部に弁を用いる場合であっても有効なものであることを付言しておく。
【0040】
同様に、水素発生系が、水素発生反応を促進するための発熱促進剤を含んでいることはさらに望ましいことである。
【0041】
たとえば、水素発生剤としてアルミニウムを、pH調整剤として酸化カルシウムを含む水素発生系では、酸化カルシウムが発生用水に水和し水酸化カルシウムを生成する際の水和熱を、アルミニウムと水酸化カルシウムによる水素発生反応に活用できる。この場合、酸化カルシウムはpH調整剤であるとともに発熱促進剤としても機能している。したがって、水素発生剤としてアルミニウムを、pH調整剤として水酸化カルシウムを含む水素発生系であっても、さらに酸化カルシウムを発熱促進剤として含むことは好ましいことである。
【0042】
また本発明の別の実施形態として、たとえば、気液分離部に弁を設けて、生体適用液が水素気泡形成体へ流入することを防止することが含まれる。こうすることで、水素気泡形成体へ流入した水が、振盪時などに再度生体適用液へ流出してしまうことを防止しつつ、水素気泡形成体内で形成された水素ガスを生体適用液へ放出させることができる。より詳しくは、こうした気液分離部に設けられた弁は、水素気泡形成体の内部と外部を隔てるとともに、水素発生系と発生用水の反応により水素気泡形成体の内部に発生する水素ガスのガス圧によって押し開けられることで水素ガスを水素気泡形成体の外部に排気する一方、排気後には重力あるいは水素気泡形成体外部の水圧などを通じて自然的または人工的に閉じる開閉式の弁であり、水素ガスの排気時以外は、水素気泡形成体の外部にある生体適用液を水素気泡形成体の内部に実質的に流入させないことを特徴とする。
【0043】
図1は、こうした開閉式の弁を用いた気液分離部の例である。ここで気液分離部は、開閉式の弁(a)、及び弁がそこに組み合わされるプラスティック性の凹状部品(b)から構成されている。開閉式の弁は、笠上の頭部(a−1)より一本の軸部(a−2)が伸びつつ、軸部の途中に軸部を取り囲む輪状の突起物(a−3)が加工されている。また、凹状部品は、その底面の中心部に開いている中心の穴(b−1)を取り囲むようにさらに扇状の穴(b−2)が三つ開いている一方、底面の周縁部には弁の頭部を引っ掛ける縁(b−3)が残されている。この底面は弁の頭部(a−1)を丁度収まる程度の面積であり、弁の頭部(a−1)を収容したとき、上述の中心部に開いている中心の穴(b−1)を通じて弁の軸(a−2)が通過するが、軸部を取り囲む輪状の突起物(a−3)はそのサイズのため容易に通過することができない。しかし、凹状部品の底面の中心部に開いている中心の穴(b−1)を通過した軸部(a−2)を下方から強く引くことにより、弁の軸部を取り囲む輪状の突起物(a−3)は変形しながら底面の穴(b−1)を通過するため、弁(a)と凹状部品(b)を組み合わせることができる。
【0044】
水素気泡形成体の内部で発生した水素ガスのガス圧が高まると、凹状部品の底部に位置していた開閉式弁の頭部が押し開けられつつ水素ガスが排気されるが、軸部を取り囲む輪状の突起物が、凹状部品の底面中心部に開いている中心の穴に引っ掛かるため、排気時の水素ガス圧によっても開閉弁が凹状部品から外れることはない。
【0045】
またこのとき、さらに、水素気泡形成体に導入される発生用水の量を少なくしておくことで、水素ガスが弁から放出される際であっても、発生用水が生体適用液へ流出することは防止することができる。
【0046】
発生用水の使用量の目安としては、水素発生系を収容する水素気泡形成体に発生用水を導入した後、該水素発生系(水素発生系が被覆材などに覆われている場合は、その被覆材ごと)を取り除いた際、該水素気泡形成体に残存する発生用水の量が、10cc以下、好ましくは5cc以下、さらに好ましくは3cc以下、特に好ましくは1cc以下であることが望ましい。
【0047】
また、こうした余分な発生用水の流出を防止することを目的に、吸水ビーズ、イオン交換樹脂(後述されるような乾式イオン交換樹脂は吸水性が高くさらに好ましい)、吸水紙、ヒアルロン酸、ポリアクリル酸など吸水性のある物質や材料が、水素気泡形成体内や後述の被覆材などに含まれていることは望ましいことである。
【0048】
なお、水素気泡形成体の一部または全部をこうした気液分離部から構成することができる。水素気泡形成体に設けられる気液分離部以外の材質は、アクリル樹脂のような合成樹脂など水を透過すること少なく、また水に腐食されることの少ない材質であることが望ましい。
【0049】
また本発明の別の実施形態として、たとえば、気液分離部に、水素気泡形成体へ水を流入させるが水素気泡形成体から水を流出させない、すなわち水の流出入を非可逆的に制御するガス透過膜を設けることが含まれる。こうした気液分離部を有する水素含有生体適用液の製造器具を生体適用液に接触させることを通じて、気液分離部を介して生体適用液の一部が水素気泡形成体内に流入する。流入した生体適用液は、発生用水として、水素気泡形成体内の水素発生系と反応し水素ガスを発生させる。これにより、発生した水素ガスは気液分離部から生体適用液へ放出するが、ガス透過膜に阻まれ、発生用水は生体適用液へ流出しない。
【0050】
本発明の水素発生系は、水素発生剤のほか、金属イオン封鎖剤やpH調整剤など水素発生反応を促進する剤を含んでもよい。
【0051】
こうした金属イオン封鎖剤は、水に全くあるいはほとんど溶解せず、水素気泡形成体または被覆材の内部において金属イオンを吸着する性質を有する物質を生成する物質を含む。陽イオン交換樹脂など、不溶性または難溶性の金属イオン封鎖剤は好適に用いられる。なかでも、金属イオンの吸着とともに、水素イオン(H)を放出する、スルホン酸基を交換基とする酸性陽イオン交換樹脂またはカルボン酸基を交換基とする酸性陽イオン交換樹脂を含む、水素イオン型陽イオン交換樹脂は、pH調整剤としての機能も兼ねるため、さらに好ましい。
【0052】
本発明のpH調整剤は、クエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸など水素イオン(H)を供給することで水酸化物イオン(OH)を抑制(中和または生成防止)する性質を有する物質、及び加水分解を受け不溶性の水酸化物を形成することで水酸化物イオンを除去する物質を含む。また、アルミニウムや亜鉛などの両性金属を水素発生剤として用いる場合は、酸の他、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、陰イオン交換樹脂などアルカリ剤を用いることもできる。なかでも、水酸化カルシウム(消石灰)、生石灰(酸化カルシウム)、焼成カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、陰イオン交換樹脂など食品添加物であるアルカリ剤は好適に用いられる。アルミニウムなどの食品添加物である水素よりイオン化傾向の高い金属と反応して難溶物を生じる水素発生反応促進剤は、該金属の金属イオンの水素発生反応後の再溶出を抑制するため、生体適用液の特性を実質的に変えないという本発明の目的に適っている。
【0053】
また、水素発生剤の経時劣化を抑制するために、適当な酸またはアルカリ剤など水素発生系に含まれるpH調整剤の水和数や含水率は少ない方が好ましい。すなわち、水和数でいうと、3水和物以下、好ましくは2水和物以下、より好ましくは1水和物以下、特に好ましくは無水和物や無水物であることが望ましい。含水率でいうと、含水率40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
【0054】
本発明において高濃度水素含有生体適用液とは、溶液の溶存水素濃度が0.01ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1.0ppm以上である水素含有生体適用液を含む。本発明において過飽和水素含有生体適用液とは、常温常圧における溶解度以上の溶存水素濃度であることを含み、1.6ppm以上、2.0ppm以上、3.0ppm以上、4.0ppm以上、5.0ppm以上、6.0ppm以上、7.0ppm以上、8.0ppm以上、9.0ppm以上、10.0ppm以上の高濃度水素含有生体適用液を含む。
【0055】
なお、本発明の水素発生系を水素気泡形成体に収容してなる生体適用液への選択的水素添加器具は、生体適用液を収容する容器において、生体適用液内、容器空気層、または容器外などに設置することができる。また容器は密閉容器であることが好ましい。
【0056】
容器に密閉容器を用いる場合、水素気泡形成体内で、水素発生系と発生用水の反応により発生した水素ガスは、水素気泡形成体の気液分離部を介して生体適用液を収容する密閉容器に放出されるとともに、高圧・高濃度の水素ガス相を形成する。なお、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を生体適用液中に設置した場合であっても、発生した水素分子のほとんどは生体適用液に溶解することなく、まずは密閉容器空気相へ移行することを出願人は発見した。
【0057】
さらにいえば、水素発生剤を水素気泡形成体に収容することなく剥き出しの状態で生体適用液中に投入する場合に比べて、水素発生剤を水素気泡形成体に収容して生体適用液中に設置する場合は、投入直後に生体適用液に溶解する水素量はさらに少なくなることを出願人は発見した。
【0058】
すなわち、水素気泡形成体に収容されない水素発生剤より発生した水素分子が、生体適用液に直接溶解しながらクラスターあるいは微細気泡を形成していく一方、水素気泡形成体の気液分離部を介して水素分子が生体適用液に放出される場合、水素気泡形成体が水素ガスに対する一種のストッパーとして作用するため、水素分子は、気液分離部の内壁近傍に適量結集した後はじめて、水素ガス気泡として気液分離部より放出される。言い換えれば、生体適用液中に放出されるとき、水素分子は、すでにある程度の大きさを有する水素ガス気泡として放出される。
【0059】
このことは目視でも観察される。たとえば、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を、生体適用液を収容する密閉容器に設置し、容器を横に倒してそのまましばらく放置しておくと、水素気泡形成体内で発生した水素ガスが間歇的に気液分離部より水素気泡を放出させながら、水素ガス相の体積を次第に増大させていく。言い換えれば、放出される水素ガスの気泡サイズが大きいものであるため、それは水中を上昇し密閉容器の気相へと素早く移行してしまう。
【0060】
一般的に、水素分子に限らず、なんらかの産業用途を期してガス溶液を製造する当業者のあいだでは、ガスの気泡サイズを可能な限り小さくすることを通じて、気泡が気相へ赴く上昇速度を遅らせることこそが、高濃度のガス溶液を製造するためには重要であると考えられてきた。水素、酸素、またはオゾンを含む、諸産業用ガスのナノバブル化は、本願出願時において依然として主要な技術課題の一つとして認識されている。
【0061】
他方、本発明者等は、家庭、職場、街中、店頭などを含むさまざまな場所で、消費者が使用時に高濃度水素含有生体適用液を得ようとする機会においては、飲料水、茶やコーヒーなど飲料を含む生体適用液を収容する密閉容器の生体適用液に水素分子を直接溶解させるよりも、まずは、相対的に気泡サイズの大きい水素ガスを用いて密閉容器内に水素ガス相を形成するとともに容器内圧を高め、必要に応じてその後、密閉容器を適宜振盪することで気相の水素ガスを回収することは望ましいことを発見した。したがって、気液分離部に用いられるガス透過膜や弁は、該気液分離部を有する本発明の器具を浄水中に設置したとき、10分以内に発生する水素ガス気泡の平均気泡径が、動的光散乱法などの方法を用いて測定したとき、0.1ミリ以上、好ましくは0.3ミリ以上、さらに好ましくは0.5ミリ以上、特に好ましくは1.0ミリ以上であることが望ましい。
【0062】
本発明者等の実験では、金属マグネシウムである水素発生剤を、水素気泡形成体に収容することなく密閉容器内の生体適用液中に設置した場合、10分経過後の生体適用液の溶存水素濃度は約0.7ppmまで高まるにもかかわらず、その後に密閉容器を振盪しても溶存水素濃度は約0.9ppmまでしか上昇しない(約1.3倍)。一方、同量の金属マグネシウムである水素発生剤を、水素気泡形成体に収容して密閉容器内の生体適用液中に設置した場合、10分経過後の生体適用液の溶存水素濃度はわずか0.2ppmにしかならない反面、その後に密閉容器を振盪することで溶存水素濃度は約3.0ppmまで上昇する(約15倍)。
【0063】
したがって、水素含有生体適用液の溶存水素濃度を高めることを目的に、本発明の水素発生系を水素気泡形成体に収容してなる生体適用液への選択的水素添加器具を、密閉容器に収容するとともに該密閉容器を適宜振盪することは望ましいことである。
【0064】
この場合、本発明の密閉容器とは、容器の内容物を大気に触れさせないよう工夫が施されている容器を含む。キャップ付きペットボトルやアルミボトルなど蓋付き容器は密閉容器に含まれる。密閉容器は、人が手に持って振盪しやすいように、ポータブルな形態と容量を備えていることが望ましい。2L以下、好ましくは1L以下、特に好ましくは0.5L以下の容量の密閉容器が望ましいがこれに限るものではない。
【0065】
密閉容器の材質として好ましいのは水素透過性が低い容器である。水素透過性が低いほど発生した水素を容器系外へ逃すことが少ない。
【0066】
本発明において密閉容器の水素透過性は次のように測定する。すなわち、特願2009−221567に記載される方法などを参考に、安定的にほぼ飽和濃度(20℃・1気圧で1.6ppm)を保つ水素溶存水を測定対象となる密閉容器内容積の20倍の体積で生成するとともに、浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水など)を満水充填した該密閉容器を該水素溶存水に5時間浸漬する。
【0067】
その後、該浄水の溶存水素濃度を測定し、溶存水素濃度が1000ppb以下、好ましくは500ppb以下、より好ましくは100ppb以下、特に好ましくは10ppb以下である密閉容器が本発明の水素透過性が低い容器に含まれる。
【0068】
密閉容器は、水素発生による内圧の上昇に耐えうる耐圧性能を有していることが望ましい。絶対圧力で0.11MPa、好ましくは0.4MPa、さらに好ましくは0.5MPa、特に好ましくは0.8MPaの内圧に耐えうる耐圧容器であることが望ましい。炭酸飲料用ペットボトルなどは好適に用いられる。密閉容器は、安全に開栓できるようキャップを開ける途中で圧力を逃がす機構(ベントスロット)を口部に備えていることが望ましい。
【0069】
本発明において振盪とは、密閉容器に物理的衝撃を与えることにより密閉容器内の生体適用液と気相の水素を接触させつつ、生体適用液中の溶存酸素など溶存ガスを水素ガスに置換することである。本発明の振盪は、手を用いた自然的振盪のほか機械を用いた人工的振盪が含まれる。振盪器、攪拌機、超音波発生装置などによる振盪はこうした人工的振盪に含まれる。
【0070】
また、密閉容器の気相へ水素ガスが一層蓄積されることを目的に、本発明の選択的水素添加器具を密閉容器に設置してから、1分経過した後、好ましくは2分経過した後、より好ましくは4分経過した後、さらに好ましくは8分経過した後、特に好ましくは10分経過した後に振盪を開始することが望ましい。
【0071】
なお、本発明の模範的な自然的振盪の例は次の通りである。すなわち、平均的体格を有する日本人30代男性が密閉容器中腹部を利手に保持し、手首のみを動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復振盪する。
【0072】
また、振盪時間は、高圧・高濃度水素ガスの生体適用液への溶解を促進させるため、自然的振盪で5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは15秒以上、さらに好ましくは30秒以上であることが望ましい。
【0073】
また、振盪は、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を生体適用液中に設置して振盪した際、生体適用液の溶存水素濃度を、振盪前の溶存水素濃度の2倍以上に増強する振盪であることが好ましく、好ましくは3倍以上、より好ましくは順に4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上であり、さらに好ましくは10倍以上に増強する振盪である。
【0074】
また、振盪前の密閉容器の内圧が大気圧以上の状態にあることは、1.6ppm以上の過飽和水素含有生体適用液など、より高濃度の水素含有生体適用液を得るためには好ましいことである。水素分子の生体適用液への溶解度は、発生する水素分子が密閉容器に負荷する内圧の上昇に伴い上昇し、時間の経過とともにやがて、常温・常圧下における溶解度を超える。後述の実施例などで、水素発生系を擁する密閉容器を一定時間放置する理由は、発生した水素ガスにより密閉容器を内側から加圧するためであり、さらには、密閉容器を加圧下で適宜振盪することにより、水素分子の水素含有生体適用液への溶解をさらに促進することができるからである。
【0075】
なお、本発明において生体適用液の成分構成を実質的に変えることのない状態とは、これに限るものではないが、全硬度、水素発生剤として使用された金属にかかわる金属イオン濃度、またはpHを変えないことのうち少なくともいずれか一方を満たすことが含まれる。
【0076】
ここで、生体適用液の全硬度を変えない状態とは、これに限るものではないが、たとえば以下のような状態が含まれる。
【0077】
ある生体適用液を原水とする水素含有生体適用液の全硬度(Ca硬度+Mg硬度)が、(原水の全硬度−25ppm)〜(原水の全硬度+25ppm)、好ましくは(原水の全硬度−15ppm)〜(原水の全硬度+15ppm)、さらに好ましくは(原水の全硬度−10ppm)〜(原水の全硬度+10ppm)の範囲に収まっている状態などである。
【0078】
あるいは、水道水を脱塩素処理して得られる、全硬度(Ca硬度+Mg硬度)が約55〜65ppmにある浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理して得られる浄水など)である生体適用液を約515cc充填した炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)の生体適用液中に本発明の非破壊的高濃度水素溶液の製造器具を設置し、ボトルを横に倒して10分間放置した後に模範的な自然的振盪(ペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復する)を行った溶液の全硬度が、(原水の全硬度−25ppm)〜(原水の全硬度+25ppm)、好ましくは(原水の全硬度−15ppm)〜(原水の全硬度+15ppm)、特に好ましくは(原水の全硬度−10ppm)〜(原水の全硬度+10ppm)の範囲に収まっている状態などである。
【0079】
ここで、水素発生剤として使用された金属にかかわる金属イオン濃度を変えない状態とは、これに限るものではないが、たとえば以下のような状態が含まれる。
【0080】
ある生体適用液を原水とする水素含有生体適用液の金属イオン濃度(たとえば、本発明の器具が水素発生剤としてアルミニウムを使用している場合はアルミニウムイオン濃度)が、(原水の金属イオン濃度−15ppm)〜(原水の金属イオン濃度+15ppm)、好ましくは(原水の金属イオン濃度−10ppm)〜(原水の金属イオン濃度+10ppm)、さらに好ましくは(原水の金属イオン濃度−5ppm)〜(原水の金属イオン濃度+5ppm)、よりさらに好ましくは(原水の金属イオン濃度−3ppm)〜(原水の金属イオン濃度+3ppm)、特に好ましくは(原水の金属イオン濃度−1ppm)〜(原水の金属イオン濃度+1ppm)の範囲に収まっている状態などである。
【0081】
あるいは、水道水を脱塩素処理して得られる浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理して得られる浄水など)である生体適用液を約515cc充填した炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)の生体適用液中に本発明の水素含有生体適用液の製造器具を設置し、ボトルを横に倒して10分間放置した後に模範的な自然的振盪(ペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復する)を行った直後の溶液の、前記製造器具において水素発生剤として使用された金属にかかわる金属イオン濃度(たとえば、本発明の器具が水素発生剤としてアルミニウムを使用している場合はアルミニウムイオン濃度)が、(原水の金属イオン濃度−15ppm)〜(原水の金属イオン濃度+15ppm)、好ましくは(原水の金属イオン濃度−10ppm)〜(原水の金属イオン濃度+10ppm)、さらに好ましくは(原水の金属イオン濃度−5ppm)〜(原水の金属イオン濃度+5ppm)、よりさらに好ましくは(原水の金属イオン濃度−3ppm)〜(原水の金属イオン濃度+3ppm)、特に好ましくは(原水の金属イオン濃度−1ppm)〜(原水の金属イオン濃度+1ppm)の範囲に収まっている状態などである。
【0082】
ここで、pHを変えない状態とは、これに限るものではないが、たとえば以下のような状態が含まれる。
【0083】
ある生体適用液を原水とする水素含有生体適用液のpHが、(原水のpH−3.0)〜(原水のpH+3.0)、好ましくは(原水のpH−2.0)〜(原水のpH+2.0)、より好ましくは(原水のpH−1.0)〜(原水のpH+1.0)、特に好ましくは(原水のpH−0.5)〜(原水のpH+0.5)の範囲に収まっている状態などである。
【0084】
あるいは、水道水を脱塩素処理して得られる、pHが約7.0〜7.8にある浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理して得られる浄水など)である生体適用液を約515cc充填した炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)の生体適用液中に本発明の水素含有生体適用液の製造器具を設置し、ボトルを横に倒して10分間放置した後に模範的な自然的振盪(ペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復する)を行った直後の溶液のpHが、(原水のpH−3.0)〜(原水のpH+3.0)、好ましくは(原水のpH−2.0)〜(原水のpH+2.0)、より好ましくは(原水のpH−1.0)〜(原水のpH+1.0)、特に好ましくは(原水のpH−0.5)〜(原水のpH+0.5)の範囲に収まっている状態などである。
【実施例】
【0085】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、本願において特に断りがない場合は、各種物性値を計測するのに用いた各種計器類は、pHメーター(温度計含む)が、株式会社堀場製作所製のpHメーター(本体の型式『D−13』、同プローブの型式『9620−10D』)であり、DHメーター(溶存水素計) が、東亜ディーケーケー株式会社製のDHメーター(本体型式『DHDI−1』、同電極(プローブ)型式、『HE−5321』、同中継器型式『DHM−F2』)である。
【0086】
カルシウム硬度及びマグネシウム硬度は、水質分析計『DR/4000』(HACH社製)を用いてカルマガイト比色法により測定した。アルミニウムイオン濃度は、同水質分析計を用いてアルミノン法により測定した。
【0087】
[実施例1](図2として図示する。)水素発生剤として金属マグネシウム(MG100:株式会社関東金属)300mg含み、さらに水素イオン型陽イオン交換樹脂(市販の強酸性イオン交換樹脂Hタイプ品である「DIAION Ion Exchange Resin SK1BH:Mitsubishi Chemical Corporation」を温熱乾燥したもの)1500mgを含む水素発生系(c−1)を被覆材(プレシゼRegular C5160:旭化成株式会社)(c−2)に包みヒートシールした後、こうした被覆材ごとアクリル樹脂製の筒状の水素気泡形成体(c−3)に収容した。水素気泡形成体のなかに被覆材が湿る程度の量の発生用水(c−4)を垂らすとともに、水素気泡形成体の開口部を気液分離部(図1)で蓋をすることで、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0088】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、生体適用液への選択的水素添加器具をペットボトルの浄水中に設置した。
【0089】
その後ボトルを横に倒し、10分間放置した後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0090】
振盪前後の、内容液のpH、溶存水素濃度、カルシウム(Ca)硬度、マグネシウム(Mg)硬度を測定した。
【0091】
[実施例2](図3として図示する。)水素発生剤として金属マグネシウム(MG100:株式会社関東金属)300mg含み、さらに水素イオン型陽イオン交換樹脂(市販の強酸性イオン交換樹脂Hタイプ品である「DIAION Ion Exchange Resin SK1BH:Mitsubishi Chemical Corporation」を温熱乾燥したもの)1500mgを含む水素発生系(d−1)を被覆材(プレシゼRegular C5160:旭化成株式会社)(d−2)に包みヒートシールした後、こうした被覆材ごとアクリル樹脂製の筒状の水素気泡形成体(d−3)に収容した。水素気泡形成体のなかに被覆材が湿る程度の量の水を垂らすとともに、図1で記載された気液分離部を筒状の水素気泡形成体に挿入し中腹部に丁度余地のないよう設置するとともに、気液分離部上方の、水素気泡形成体外壁の一部に水素ガス透過孔(d−4)を開け、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0092】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、器具をペットボトル口部に挿入しながら、水素気泡形成体の縁(へり)を口部に引掛け、器具が水中に沈まないようにしてキャップを閉めた。このとき、水素ガス透過孔は浄水の水位より上にある。
【0093】
その後10分間放置した後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0094】
振盪前後の、内容液のpH、溶存水素濃度、カルシウム(Ca)硬度、マグネシウム(Mg)硬度を測定した。
【0095】
[実施例3] 水素発生剤として金属マグネシウム(MG100:株式会社関東金属)300mg含み、さらにリンゴ酸(DL−リンゴ酸:扶桑化学工業株式会社)900mgを含む水素発生系を吸水紙とともに被覆材(プレシゼRegular C5160:旭化成株式会社)に包みヒートシールした後、こうした被覆材ごとアクリル樹脂製の筒状の水素気泡形成体に収容した。水素気泡形成体のなかに被覆材が湿る程度の量の水を垂らすとともに、吸水紙でできた栓、及び実施例1で記載された気液分離部を、順に筒状の水素気泡形成体に挿入し中腹部に丁度余地のないよう設置するとともに、気液分離部上方の、水素気泡形成体外壁の一部に水素ガス透過孔を開け、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0096】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、器具をペットボトル口部に挿入しながら、水素気泡形成体の縁(へり)を口部に引掛け、器具が水中に沈まないようにしてキャップを閉めた。このとき、水素ガス透過孔は浄水の水位より上にある。
【0097】
その後10分間放置した後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0098】
振盪前後の、内容液のpH、溶存水素濃度、カルシウム(Ca)硬度、マグネシウム(Mg)硬度を測定した。
【0099】
[比較例1] 水素発生剤として金属マグネシウム300mg含み、さらに水素イオン型陽イオン交換樹脂(市販の強酸性イオン交換樹脂Hタイプ品である「DIAION Ion Exchange Resin SK1BH:Mitsubishi Chemical Corporation」を温熱乾燥したもの)1500mgを含む水素発生系を調製した。
【0100】
炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、水素発生系をペットボトルの浄水中に直接投入した。
【0101】
その後10分間放置した後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0102】
振盪前後の、内容液のpH、溶存水素濃度、カルシウム(Ca)硬度、マグネシウム(Mg)硬度を測定した。
【0103】
[参考例1] 実施例と比較例で使用した浄水のpH、溶存水素濃度、カルシウム(Ca)硬度、マグネシウム(Mg)硬度を測定した。
【0104】
以下、表1としてそれらを記載する。
【0105】
【表1】

【0106】
[実施例4](図4として図示する。)金属アルミニウム末(粒径:53〜150μm、80%up)(和光純薬工業株式会社、以下同)と水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社、以下同)を混合し水素発生系(e−1)を得た。得られた水素発生系は、金属アルミニウム末を85重量%、水酸化カルシウムを15重量%で含む。
【0107】
水素発生系0.8gを被覆材(プレシゼRegular C5160:旭化成株式会社)(e−2)に包み込みヒートシールした後、こうした被覆材ごとアクリル樹脂製の筒状の水素気泡形成体(e−3)にステンレス錘7.3gとともに収容した。水素気泡形成体のなかに0.3ccの水(発生用水)を垂らすとともに、水素気泡形成体の開口部を、気液分離部(e−4)としてのガス透過膜(モノトランフィルム型番:FP10−01105−100、株式会社ナック)で封をし、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0108】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、生体適用液への選択的水素添加器具をペットボトルの浄水中に設置した。同じものを3セット用意した。
【0109】
ボトルのキャップを閉め、それぞれ3分間、5分間、10分間放置した。
【0110】
その後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0111】
その後、それぞれの内容液のpH、溶存水素濃度(DH)、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0112】
[実施例5]実施例4記載の生体適用液への選択的水素添加器具において水素気泡形成体に錘を設置せず、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0113】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、器具をペットボトルに入れた。器具が浄水に浮くことによりその気相分離部はペットボトルの空気層に維持された。同じものを3セット用意した。
【0114】
ボトルのキャップを閉め、それぞれ3分間、5分間、10分間放置した。
【0115】
その後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0116】
その後、それぞれの内容液のpH、溶存水素濃度(DH)、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0117】
[実施例6](図5として図示する。)実施例5記載の生体適用液への選択的水素添加器具において水素気泡形成体をさらに一周り大きいアクリル樹脂製の筒状の外殻(f−1)に収容し、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0118】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)(f−2)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)(f−3)を約515cc充填した後、器具をペットボトルに入れた。器具が浄水に浮くことによりその気相分離部はペットボトルの空気層に維持された。同じものを3セット用意した。
【0119】
ボトルのキャップを閉め、それぞれ3分間、5分間、10分間放置した。
【0120】
その後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0121】
その後、それぞれの内容液のpH、溶存水素濃度(DH)、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0122】
[参考例2]実施例4〜6に使用した藤沢市水道水のpH、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0123】
以下、表2としてそれらを記載する。
【0124】
【表2】

【0125】
[実施例7]金属アルミニウム末と水酸化カルシウムの粉末を混合し水素発生系を得た。打錠機(HANDTAB−Jr:市橋精機株式会社)を用いて水素発生系を打錠圧5kNで固化した。得られた水素発生系錠剤は、金属アルミニウム末を85重量%、水酸化カルシウムを15重量%で含む。
【0126】
水素発生系錠剤0.8gをアクリル樹脂製の筒状の水素気泡形成体(e−3)に収容した。水素気泡形成体のなかに0.3ccの水(発生用水)を垂らすとともに、水素気泡形成体の開口部を、気液分離部(e−4)としてのガス透過膜(モノトランフィルム型番:FP10−01105−100、株式会社ナック)で封をし、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0127】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、生体適用液への選択的水素添加器具をペットボトルの浄水中に設置した。同じものを4セット用意した。
【0128】
ボトルのキャップを閉め、それぞれ10分間、30分間、60分間、15時間放置した。
【0129】
その後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0130】
その後、それぞれの内容液のpH、溶存水素濃度(DH)を測定した。
【0131】
[実施例8]実施例7記載の生体適用液への選択的水素添加器具において水素発生系への打錠圧を2.5kNにした以外は変わらない、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。実施例7と同様の手順で内容液の溶存水素濃度(DH)を測定した(ただし10分間放置、30分間、60分間放置のみ)。
【0132】
[実施例9]実施例7記載の生体適用液への選択的水素添加器具において水素発生系への打錠圧を1.0kNにした以外は変わらない、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。実施例7と同様の手順で内容液の溶存水素濃度(DH)を測定した(ただし10分間放置、30分間、60分間放置のみ)。
【0133】
[参考例3]実施例7に使用した藤沢市水道水のpH、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0134】
[参考例4]実施例8〜9に使用した藤沢市水道水のpH、アルミニウム(Al)イオン濃度を測定した。
【0135】
以下、表3としてそれらを記載する。
【0136】
【表3】

【0137】
以下、上述の「金属原料発熱温度測定法」にかかわる実施例を記載する。
【0138】
上述の「金属原料発熱温度測定法」に従い、各金属原料の発熱傾向を測定した。使用した金属原料(500mg)は、金属元素がマグネシウムであるものとして、実施例10:Mg20(0.5mm:40〜60%、0.3mm:20〜30%、関東金属株式会社)、実施例11:Mg粒径1mm〜2mm(チャイナロマンインターナショナル株式会社)、実施例12:Mg4mmペレット(チャイナロマンインターナショナル株式会社)、実施例13:マグネシウム、テープ状(和光純薬株式会社)、比較例2:Mg100(0.15mm以下:95%以上、関東金属株式会社)、比較例3:マンガン、粉末(和光純薬株式会社)を使用した(表4)
金属元素が鉄であるものとして、実施例14:還元鉄(和光純薬株式会社)、金属元素が亜鉛であるものとして、実施例15:亜鉛、粉末(和光純薬株式会社)、金属元素がコバルトであるものとして、実施例16:コバルト、粉末(和光純薬株式会社)、金属元素がアルミニウムであるものとして、実施例17:アルミニウム粉♯260(ミナルコ株式会社)を使用した(表4、5)。
【0139】
【表4】

【0140】
【表5】

【0141】
リンゴ酸(500mg)は、DL−リンゴ酸(扶桑化学工業株式会社)を使用した。硫酸カリウムアルミニウム(500mg)は、硫酸カリウムアルミニウム(和光純薬株式会社)を使用した。発生用水(500mg)は、水温25〜26℃の藤沢市水道水を使用した。テストチューブは、2ポジションキャップ付テストチューブ17×100mm 容量16.0mL(ビーエム機器株式会社)を使用した。デジタル温度計は、TANITA TT−508(株式会社タニタ)を使用した。
【0142】
また、各金属原料を用いた際に得られる、生体適用液の溶存水素(DH)濃度を次の手順で測定した。
【0143】
すなわち、各金属原料500mgとリンゴ酸500mg(または金属原料がアルミニウムの場合は硫酸カリウムアルミニウム)からなる水素発生系を、被覆剤に覆うことなく、ポリプロピレン製の筒状の水素気泡形成体(e−3)に収容した。水素気泡形成体のなかに500mgの藤沢市水道水(発生用水)を垂らすとともに、水素気泡形成体の開口部を、気液分離部(e−4)としてのガス透過膜(モノトランフィルム型番:FP10−01105−100、株式会社ナック)で封をし、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具を得た。
【0144】
次に、炭酸飲料用ペットボトル(口部までの満水充填で約530cc容量)に浄水(藤沢市水道水を活性炭カラムに通して処理した活性炭処理水)を約515cc充填した後、生体適用液への選択的水素添加器具をペットボトルの浄水中に設置した。
【0145】
ボトルのキャップを閉め、5分間放置した。
【0146】
その後、発明者の一人(平均的体格を有する日本人30代男性)がペットボトル中腹部を利手に保持し、手首のみを左右に動かすことでキャップが手首上空に半円の弧を描くように、2往復/秒のペースで120往復することで振盪した(合計60秒)。
【0147】
その後、DH濃度を測定した。
【0148】
表4〜5に示されるように、実施例11〜17及び比較例2〜3は、DH濃度については申し分ないものの、「金属原料発熱温度測定法」で金属原料の温度を測定したとき、実施例11〜17は、50℃に達しないか(実施例14〜17)、50℃に達する場合でも5秒以上を要する(実施例11〜13)、発熱反応が中庸以下である金属原料を使用しているのに対して、比較例2〜3は、5秒未満に50℃に達する、発熱反応が激しい金属原料を使用している。したがって、本発明の生体適用液への選択的水素添加器具として相応しい構成は、比較例2〜3よりも、実施例14〜17であるということができる。
【符号の説明】
【0149】
a…弁
a−1…笠状の頭部
a−2…軸部
a−3…突起物
b…凹状部品
b−1…中心の穴
b−2…扇状の穴
b−3…縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素発生剤を必須成分とする水素発生系を、ガス透過膜または開閉式の弁を含む気液分離部を有する水素気泡形成体に収容し、該水素気泡形成体内において前記水素発生系と発生用水を反応させることを通じて、該水素気泡形成体内に発生した水素ガスを、前記気液分離部を介して、生体適用液に送り込むことで水素含有生体適用液を得ることを特徴とする、生体適用液への選択的水素添加器具において、
前記水素発生剤には、水素発生反応に伴う反応熱が前記気液分離部のガス透過膜又は開閉式の弁に直接移行することを抑制するための防熱処理が施されていることを特徴とし、
該防熱処理とは、前記水素発生剤として、発熱反応が中庸以下である金属原料を用いることを特徴とする、生体適用液への選択的水素添加器具。
【請求項2】
前記金属原料は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルトのうち少なくとも一つ以上から得られることを特徴とする、請求項1記載の生体適用液への選択的水素添加器具。
【請求項3】
請求項1に記載の生体適用液への選択的水素添加器具であって、前記ガス透過膜が、水難透過性または非透過性であり、かつ、水素ガス透過性を有するガス透過膜であることにより、前記発生用水は、前記水素気泡形成体から実質的に流出しないことを特徴とする、生体適用液への選択的水素添加器具。
【請求項4】
請求項1に記載の生体適用液への選択的水素添加器具であって、前記開閉式の弁は、水素発生系と発生用水の反応により水素気泡形成体の内部に発生する水素ガスのガス圧によって押し開けられることで水素ガスを水素気泡形成体の外部に排気するが排気後には閉じることを特徴とする、生体適用液への選択的水素添加器具。
【請求項5】
前記生体適用液への選択的水素添加器具が、密閉容器に収容されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の生体適用液への選択的水素添加器具。
【請求項6】
前記密閉容器を振盪し、水素含有生体適用液を得ることを特徴とする、請求項5に記載の生体適用液への選択的水素添加器具。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22484(P2013−22484A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156952(P2011−156952)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【特許番号】特許第4950352号(P4950352)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(394021270)ミズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】