説明

生分解性カチオン性ポリマー

【課題】ポリエチレンイミン、生分解性の基、および比較的疎水性の基を含むポリマーは生理活性物質の細胞への導入に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参照により全文が本文に編入される2004年10月4日出願の米国仮出願第60/615,764号および2005年7月11日出願の米国仮出願60/698,357号に基づく優先権を主張する。
(発明の背景)
【0002】
本発明は、生理活性物質を細胞に導入するための組成物と方法に関する。好ましい実施態様において、本発明は、ポリエチレンイミン(PEI)、生分解性の基、および比較的疎水性の基を含有するカチオン性リポポリマーに関し、およびDNA、RNA、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチドおよび医薬等の生理活性物質を導入するために該リポポリマーを使用する方法に関する。
(関連技術の説明)
ウイルストランスフェクションシステムや非ウイルストランスフェクションシステムの使用を含む多くの技術が生理活性物質を細胞に導入するために利用可能である。ウイルスシステムは典型的には非ウイルスシステムよりも高いトランスフェクション効率を有するが、ウイルスシステムの安全性に関して疑問があった。Verma I.M and Somia N., Nature 389 (1997), pp. 239−242; Marshall E. Science 286 (2000), pp. 2244−2245を参照されたい。さらに、ウイルスベクターの調製は複雑で費用のかかるプロセスになりやすい。非ウイルストランスフェクションシステムは一般的にウイルスシステムよりも効果に劣るが、それらのシステムは一般的にウイルスシステムよりも安全で、調製しやすいと考えられるので、かなりの注目を集めてきた。
【0003】
多くの非ウイルストランスフェクションシステムは、生理活性物質に複合体化させたカチオン性ポリマーの使用をともなう。遺伝子キャリヤーとして用いられてきたカチオン性ポリマーの例として、ポリ(L−リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、キトサン、PAMAMデンドリマーおよびポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(pDMAEMA)があげられる。残念ながら、PLLによるトランスフェクション効率は通常低く、高分子量PLLは細胞に対して顕著な毒性を示してきた。一部の例では、PEIはエンドソーム分解物質やターゲティング剤を不要とせずに効率的な遺伝子導入を提供する。Boussif O., Lezoualc’h F., Zanta M. A., Mergny M. D., Scherman D., Demeneix B., Behr J. P., Proc Natl Acad Sci USA. Aug. 1, 1995, 92(16) 7297−301を参照されたい。様々なポリアミドアミンデンドリマーが遺伝子導入システムとして研究されている。Eichman J. D., Bielinska A. U., Kukowska−Latallo J. F., Baker J. R. Jr., Pharm. Sci. Technol. Today 2000 July; 3(7):232−245を参照されたい。残念ながら、PEIとデンドリマーの両方が細胞に対して毒性があると報告されているので、ヒト患者への応用における遺伝子導入ツールとしてPEIを使用する可能性を制限している。さらに、商業的に実用的な遺伝子トランスフェクション効率を有するポリアミドアミンデンドリマーの費用は比較的高い。
【0004】
分解性カチオン性ポリマーを使用した遺伝子キャリヤーは低減された細胞毒性で遺伝子を哺乳類細胞に移入することが報告されている。Lim Y. B., Kim S. M., Lee Y., Lee W. K., Yang T. G., Lee M. J., Suh H., Park J. S., J. Am. Chem. Soc., 123(10), 2460−2461, 2001を参照されたい。残念ながら、これらの分解性システムも、非分解性ポリマーに比較して低い遺伝子移入効率を示した。低分子量PEIのトランスフェクション効率を向上させるために、Gosselinらは、高分子量PEIはジスルフィドを含有するリンカーを用いて得ることができることを報告した。Gosselin, Micheal A., Guo, Menjin, and Lee, Robert J. Bioconjugate Chem. 2001. 12:232−245を参照されたい。ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)およびジメチル−3,3’−ジチオビスプロピオンイミデート二塩酸塩(DTBP)を用いたPEIポリマーは類似する遺伝子トランスフェクション効率と低い細胞毒性を示した。しかし、ジスルフィドを含有するリンカーは高価であり、このシステムの大量調製を困難にするため、望ましくない。ジスルフィドを含有するリンカーを有するポリマーは還元性条件で分解するのみであり、他の条件でのポリマー適用を制限する。
【0005】
Lynnらは、ジアクリレートを、カチオン性化合物間のリンカー分子として用いる生分解性カチオン性ポリマーの合成方法を記載している。Lynn, David A.; Anderson, Daniel G.; Putnam, David; and Langer, Robert. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 9155−8156を参照されたい。しかし、得られたポリマーは多くの生理活性物質と複合体をうまく形成しない。これらのポリマーの合成は完結するのに数日を要し、遺伝子導入に使用できる有効生成物の量は少ない。100種類を超えるカチオン性ポリマーがLynnらの方法にしたがって作られたが、これらポリマーのうち2種類のみが効果的な遺伝子トランスフェクション効率を示しただけである。これらの因子は、本方法による高分子量ポリマーの調製の達成を困難にしている。
【0006】
よって、生理活性物質の細胞への導入を安全かつ効率的に促進するために使用できるカチオン性ポリマーの必要性が依然として存在する。
(発明の概要)
【0007】
一実施態様は、次式(Ia)および次式(Ib):
【化1】

【0008】
(式中、
PEIは、ポリエチレンイミン繰り返し単位であり;Rは、電子対、水素、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C30アリール、およびC〜C30ヘテロアリールからなる群から選択され;Lは、C〜C50アルキル、C〜C50ヘテロアルキル、C〜C50アルケニル、C〜C50ヘテロアルケニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50アルキニル、C〜C50ヘテロアルキニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50カルボキシアルケニルおよびC〜C50カルボキシへテロアルケニルからなる群から選択され;Wは、約2〜約50炭素原子を含有するカチオン性部分であり;そしてmは、約1〜約30の範囲の整数である)からなる群から選択される繰り返し単位を含有するポリマーを提供する。
【0009】
式(Ia)および式(Ib)からなる群から選択される繰り返し単位は、ここでは式(I)の繰り返し単位ということがある。よって、たとえば、式(Ia)と式(Ib)からなる群から選択される繰り返し単位を含むポリマーは、ここでは式(I)の繰り返し単位を含むポリマーまたは式(I)のポリマーということがある。式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは、ここではカチオン性リポポリマーということがある。
【0010】
好ましい実施態様において、式(Ia)および(Ib)におけるPEIは下記式(II)の繰り返し単位により表される。
【0011】
【化2】

【0012】
式中、xは約1〜約100の範囲の整数であり、yは約1〜約100の範囲の整数である。当業者は、式(I)の繰り返し単位の窒素原子がカチオン電荷を有するので多様な負電荷種、たとえば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩等のアニオンとイオン結合を形成できることを理解するだろう。式(I)の多様なポリマーを調製し、使用するまで保存してよいので、別の実施態様は、式(I)(式中、R、L、PEI、Wおよびmからなる群から選択される少なくとも1つのパラメーターがポリマーの少なくとも2つに関して異なる)の繰り返し単位をそれぞれ含む複数のポリマーを含有するポリマーライブラリーを提供する。
【0013】
別の実施態様において、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは、さらに、ポリマーに複合体化した生体分子を含む。生体分子は1つ以上の陰性基を有し、式(I)の繰り返し単位とイオン結合を形成してもよい。1つ以上の陰性基を有する生体分子の例として、核酸(たとえば、DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、リボザイム、DNA−RNAハイブリダイザー、siRNA、アンチセンスDNAおよびアンチセンスオリゴ)、タンパク質、ペプチド、脂質、および炭水化物があげられる。
【0014】
別の実施態様において、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは、さらに、生体分子、真核細胞に入ることのできる導入増強剤、および/またはポリマーに複合体化した診断画像組成物を含む。導入増強剤は真核細胞中で1つ以上の機能、たとえば、受容体認識、内部移行、細胞エンドゾームからの生体分子の逃避、核の局在化、生体分子の放出、およびシステムの安定化を促進することができる。
【0015】
さらに生体分子を含み、さらに真核細胞に入ることができる導入増強剤および/またはポリマーに複合体化させた診断画像組成物を含んでよい式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは真核細胞の形質移入に有用である。よって、別の実施態様は、細胞を、(式(I)の繰り返し単位および生体分子を含有し、任意にさらに導入強化剤および/または診断画像組成物を含有する)そのようなポリマーに接触させることにより生体分子を細胞に導入することからなる真核細胞の形質移入方法を提供する。本方法は、遺伝子治療を必要とする哺乳動物を同定し、そのようなポリマーを該哺乳動物に投与することからなる哺乳動物の治療からなってよい。好ましい実施態様において、生体分子はsiRNAであり、siRNAは関係する遺伝子の発現を低下させるのに効果的である。
【0016】
別の実施態様は、真核細胞の特定の受容体とポリマーとを認識するリガンドを含む医学診断システムにおいて、該ポリマーが式(I)の繰り返し単位と生体分子とを含み、さらに、真核細胞に入ることのできる導入増強剤および/またはポリマーに複合体化された診断画像組成物を含んでよい医学診断システムを提供する。
【0017】
別の実施態様は、増感剤物質とポリマーからなる医薬組成物において、該ポリマーが式(I)の繰り返し単位と生体分子からなり、さらに、真核細胞に入ることのできる導入増強剤および/またはポリマーに複合体化された診断画像組成物を含んでよい医薬組成物を提供する。増感剤物質は光および他の刺激にさらされると性質の変化を受けることにより(たとえば、ポリマーの分解速度を高めることにより)生体分子の導入を促進する化合物であってよい。増感剤物質はそれ自体が、刺激を受けると活性の変化を受ける生体分子であってよい。
【0018】
これらの実施態様および他の実施態様を以下さらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1つの実施態様は、ポリエチレンイミン、生分解性の基、および比較的疎水性の「リポ」基を含むカチオン性リポポリマーを提供する。好ましいカチオン性リポポリマーは、次式(Ia)および式(Ib)からなる群から選択される繰り返し単位を含む。
【0020】
【化3】

【0021】
ここで用いられる「式(I)」は式(Ia)と式(Ib)の両方を指すものと理解されたい。式(I)において、PEIは、ポリエチレンイミン(たとえば、上記式(II)により表される繰り返し単位を含有するポリマー)であり、そのエステル結合は生分解性の基であり、Lは比較的疎水性の「リポ」基を表し、mは約1〜約30の範囲にある。たとえば、ある実施態様において、Lは、C〜C50アルキル、C〜C50ヘテロアルキル、C〜C50アルケニル、C〜C50ヘテロアルケニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50アルキニル、C〜C50ヘテロアルキニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50カルボキシアルケニルおよびC〜C50カルボキシへテロアルケニルからなる群から選択される。好ましい実施態様において、LはC12〜C18脂肪酸、コレステロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。式(I)中のRは電子対または水素原子を表すことができる。当業者は、Rが電子対を表す場合に、式(I)の繰り返し単位は低いpHでカチオン性であることを理解する。式(I)においてRは、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C30アリールまたはC〜C30ヘテロアリール等の比較的疎水性のリポ基を表すこともあり、この場合、窒素原子は、通常は広い範囲のpHにわたってカチオン電荷を有することが理解されるだろう。
【0022】
式(I)の繰り返し単位を含有するカチオン性リポポリマーは、下記図式Aに示されるように式(III)のジアクリレートモノマーをポリエチレンイミン(PEI)と反応させることにより調製することができる。
【0023】
図式A
【化4】

【0024】
式(III)において、RおよびLは、式(I)の繰り返し単位を含有するカチオン性リポポリマーについて記載したことと同じ意味を有する。図式Aは式(Ia)の繰り返し単位を含有するポリマーの調製を示す。式(Ib)の繰り返し単位を含有するポリマーは適当なW基を含有するジアクリレートモノマーから同様に調製できることが理解されるだろう。PEIは、好ましくは、xが約1〜約100の範囲にある整数であり、yが約1〜約100の範囲の整数である式(II)の繰り返し単位を含有する。
【0025】
【化5】

【0026】
図式Aに示される反応は、攪拌下に、好ましくは室温で数時間、エタノール等の相互溶媒中でPEIとジアクリレート(III)とを混合し、次に溶媒を蒸発させて得られたポリマーを回収することで実施することができる。本発明は理論に縛られるものではないが、PEIとジアクリレート(III)との反応は、PEIの1つ以上のアミンと、ジアクリレートの二重結合とのマイケル反応を伴うと考えられる。J. March, Advanced Organic Chemistry 3rd Ed., pp. 711−712(1985)を参照されたい。図式Aに示されるジアクリレートは下記実施例に示される方法で調製することができる。
【0027】
式(I)の繰り返し単位を含む多様なポリマーは、PEIの分子量と構造、ジアクリレート(III)上のR基、W基およびL基の大きさと種類、およびPEIに対するジアクリレート(III)の比率を変えることにより、図式Aにしたがって作ることができる。異なるジアクリレートの混合物および/または異なるPEIの混合物を使用してよい。PEIは多機能性でありうるから、2種類以上のジアクリレートと反応することができる。架橋剤を用いて架橋カチオン性リポポリマーを作ることができ、および/または多機能性PEIとジアクリレート(III)の相対的な比率を調整して架橋カチオン性リポポリマーを作ることができる。PEIの分子量は好ましくは約600〜約25,000ダルトンの範囲にある。PEI:ジアクリレートのモル比は好ましくは約1:2〜約1:20の範囲にある。カチオン性リポポリマーの重量平均分子量は約500ダルトン〜約1,000,000ダルトンの範囲、好ましくは約2,000ダルトン〜約200,000ダルトンの範囲にある。分子量は、PEGスタンダードを用いるサイズ排除クロマトグラフィーによるか、またはアガロースゲル電気泳動により決定することができる。一実施態様において、R、L、W、PEIおよび/またはmが少なくとも2つのポリマーについて異なる複数のカチオン性リポポリマーを調製することによりポリマーライブラリーが提供される。
【0028】
カチオン性リポポリマーは好ましくは分解可能であり、より好ましくは生分解可能で、たとえば、加水分解、酵素切断、還元、光切断、および超音波処理からなる群から選択される機構により分解可能である。本発明は理論により制限されるわけではないが、細胞内の式(I)のカチオン性リポポリマーの分解は酵素的切断および/またはエステル結合の加水分解により進むと考えられる。
【0029】
カチオン性リポポリマーは生体分子と複合体を形成してよいので、生体分子を細胞に導入するためのキャリヤーとして有用である。式(I)のカチオン性リポポリマーと複合体を形成する生体分子の例として、核酸、タンパク質、ペプチド、脂質および炭水化物があげられる。核酸の例として、DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、リボザイム、DNA−RNAハイブリダイザーおよびアンチセンスDNA、たとえば、アンチセンスオリゴがあげられる。好ましい核酸はsiRNAである。ポリマーに複合体化させた生体分子を含有するカチオン性リポポリマーは、相互溶媒中においてカチオン性リポポリマーと生体分子を混合することにより、さらに好ましくは下記実施例に記載の方法により形成することができる。
【0030】
ポリマーに複合体化させる生体分子を含有するカチオン性リポポリマーは、真核細胞に入ることのできる導入増強剤をさらに含有してよい。導入増強剤は溶解または複合体と混合してよく、またはカチオン性リポポリマーに結合(たとえば、共有結合または複合体化)してよい。導入増強剤は、典型的には、生体分子/キャリヤー複合体の経膜輸送を増強し、輸送中の分解を減少し、および/またはキャリヤーからの生体分子の放出を促進することにより生体分子の細胞への輸送を促進する物質である。遺伝子等の生体分子の細胞への輸送は、好ましくは生体分子/キャリヤー複合体が細胞膜、エンドゾーム膜および核膜を通過した後、生体分子をキャリヤーから放出することからなる。たとえば、核酸の場合、核酸/キャリヤー複合体は最初に細胞膜を通過する。これがエンドサイトーシスにより達成される場合、核酸/キャリヤー複合体は次に内部に移行する。核酸積荷とともにキャリヤーは、ポケットの形成により細胞膜に包まれ、続いてそのポケットは摘み取られる。その結果は、核酸積荷とキャリヤーとを包む大きな膜結合構造物である細胞エンドゾームとなる。次に、核酸/キャリヤー複合体はエンドゾーム膜を通過し細胞質に逃避して、細胞質中および核膜を経る酵素的な分解を避ける。いったん核内に入ると、核酸積荷はキャリヤーから分離する。
【0031】
一般的に、導入増強剤は、ウイルスキャリヤーシステムと非ウイルスキャリヤーシステムの2つのカテゴリーに分けられる。ヒトウイルスは障壁を克服する方法を進化させて上記のように核へと運ぶので、ウイルスまたはウイルス成分は核酸を細胞に運ぶために有用である。導入増強剤として有用なウイルス成分の一例はヘマグルチニンペプチド(HAペプチド)である。このウイルスペプチドはエンドゾーム分裂により生体分子の細胞への移行を容易にする。エンドゾームの酸性pHで、このタンパク質は細胞質ゾルへの生体分子とキャリヤーの放出を引き起こす。導入増強剤として有用なウイルス成分の他の例は当業者に公知である。
【0032】
非ウイルス導入増強剤は典型的にはポリマー系または脂質系である。それらは一般的に、核酸の負電荷をつり合わせるように働くポリカチオンである。ポリカチオンポリマーは、不定の大きさのDNAプラスミドを縮合するそれらの能力や、ウイルスベクターに関する安全性の懸念などによって、非ウイルス遺伝子導入増強剤として非常に有望であることが示されている。具体例として、オリゴ−リジン、オリゴ−アルギニン、またはそれらとPEIとの組合せ等の塩基アミノ酸に富む領域を有するペプチドがあげられる。これらのポリカチオンポリマーはDNAの縮合により輸送を促進すると考えられる。PEIや星型デンドリマー等の分岐鎖形のポリカチオンはDNA縮合とエンドゾーム放出の両方を仲介することができる。Boussif, et al.(1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol. 92:7297−7301を参照されたい。PEIはpH 6.9でイオン化可能な末端アミンを有し、pH 3.9でイオン化可能な内部アミンを有する高度に分岐したポリマーとして調製することができる。この構成のために、PEIは小胞膨潤をもたらす小胞pHの変化をもたらすことができ、最終的にはエンドゾーム捕捉からの遊離ができる。
【0033】
導入を増強する他の方法は、生体分子積荷導入の標的とする細胞上の受容体により認識されるリガンドをカチオン性リポポリマーが含有することである。次に、細胞への生体分子の導入を受容体認識により開始することができる。ここで、用語「リガンド」は、標的細胞の表面またはその核か細胞質ゾルにある特定の受容体タンパク質に結合することのできる生体分子をいう。一実施態様において、リガンドは、受容体に結合する抗体、ホルモン、フェロモンまたは神経伝達物質、またはリガンドのように作用することのできる生体分子であってよい。抗体は、抗原に応答してBリンパ球により産生されるタンパク質をいう。リガンドが特定の細胞の受容体に結合する場合、エンドサイトーシスが刺激される。生体分子輸送を強化するために、多様な種類の細胞とともに用いられているリガンドの例は、ガラクトース、トランスフェリン、糖タンパク質アシアロオロソムコイド、アデノウイルス繊維、マラリアサーカムスポロザイトタンパク質、上皮細胞成長因子、ヒトパピローマウイルスキャプシド、線維芽細胞成長因子および葉酸である。葉酸受容体の場合、受容体がリガンドに結合し、周囲の膜が細胞表面から閉鎖され、内部に取り入れられた物質は次に小胞膜を通過して細胞質に入るポトサイトーシスと呼ばれるプロセスにより、結合リガンドが内部に取り込まれる。Gottschalk, et al.(1994) Gene Ther 1:185−191を参照されたい。
【0034】
多様な導入増強剤はエンドゾーム破壊により機能すると考えられる。たとえば、上記のHAタンパク質に加えて、欠陥ウイルス粒子もエンドゾーム分解剤として用いられてきた。Cotten, et al.(July 1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol. 89: 6094−6098ページを参照されたい。非ウイルス剤は典型的には両親媒性または脂質系のいずれかである。
【0035】
細胞の細胞質へのDNA等の生体分子への放出は、そろってエンドゾーム破壊の仲介、分解の減少、またはこのプロセスをバイパスする物質により高めることができる。エンドゾームpHを上昇させるクロロキネは、取り込まれた物質の分解を、リソソームの加水分解酵素を阻害することにより低減するために用いられている。Wagner, et al. (1990) Proc Natl Acad Sci USA vol. 87:3410−3414を参照されたい。PEIや星型デンドリマー等の分岐鎖ポリカチオンは上記のようにエンドゾーム放出も促進する。
【0036】
エンドソーム分解は、カチオン性リポポリマー/生体分子複合体に取り込まれるキメラタンパク質の成分としてジフテリア毒素とシュードモナス外毒素等の毒素のサブユニットを取り込むことによりバイパスすることができる。Uherek, et al.(1998) J Biol. Chem. vol. 273:8835−8841を参照されたい。これらの成分はエンドソーム膜を経て、小胞体に戻る核酸のシャトリングを促進する。
【0037】
細胞質にいったん入ると、生体分子積荷の核への輸送は、核酸−キャリヤー上の核局在化シグナルの包含により高めることができる。たとえば、核局在化シグナル(NLS)として機能する特定のアミノ酸配列を用いてよい。生体分子/キャリヤー複合体上のNLSは細胞質ゾルに置かれた特定の核輸送受容体タンパク質と相互作用すると考えられる。生体分子/キャリヤー複合体がいったん組み立てられると、複合体中の受容体タンパク質は、ヌクレオポリンと複数の接触を行なうことで、複合体を核孔を通って輸送する。生体分子/キャリヤー複合体がその目的地に着いた後、それは解離して、積荷と他の成分を解放する。SV40ラージT抗原に由来するPro−Lys−Lys−Lys−Arg−Lys−Valの配列を核への輸送に用いることができる。SV40ラージT抗原に由来するこの短い配列は、結合巨大分子の核への輸送を引き起こすシグナルを提供すると考えられる。
【0038】
カチオン性リポポリマーは、さらに、該ポリマーに複合体化された蛍光性であるか、放射性であるか、または放射線を通さない染料等の診断画像化合物を含有してよい。複合体は、相互溶媒中でカチオン性リポポリマーと診断画像化合物を混合することにより形成することができる。哺乳動物への投与後、(診断画像化合物と複合体化された)ポリマーは、PET、MRI、CT、SPECT等のよく知られた技術を用いて検知することができる(Molecular Imaging of Gene Expression and Protein Function In Vivo With PET and SPECT, Vijay Sharma, PhD, Gary D. Luker, MD, and David Piwnica−Worms, MD, Ph.D., JOURNAL OF MAGNETIC RESONANCE IMAGING 16:336−351(2002)を参照)。
【0039】
別の実施態様は、増感剤物質とポリマーとを含む医薬組成物において、該ポリマーが式(I)の繰り返し単位と生体分子とを含み、さらに、真核細胞に入ることのできる導入増強剤および/またはポリマーに複合体化された診断画像組成物を含んでよい医薬組成物を提供する。増感剤物質は光および他の刺激にさらされると性質の変化を受けることにより(たとえば、ポリマーの分解速度を高めることにより)生体分子の導入を促進する化合物であってよい。増感剤物質はそれ自体が、刺激を受けると活性の変化を受ける生体分子であってよい。増感剤物質は光活性化剤であってよい。適当な光活性化剤として、フルオレセイン、メロシアニン、キサンテンおよびその誘導体および光反応性ピロール由来の大環状分子およびそれらの誘導体があげられるが、これらに限定されない。適当な光反応性ピロール由来の大環状分子として、天然または合成ポルフィリン、天然または合成のクロリン、天然または合成のバクテリオクロリン、合成イソバクテリオクロリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、および広範なピロール系大環状システム、たとえば、ポルフィセン、サフィリンおよびテキサフィリン等があげられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
【化6】

【0041】
塩化オキサリル(13.5mL、152 mmol)を、ジクロロメタン(DCM、200mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、3滴)中のオレイン酸1(10.7g、38mmol)の0℃の溶液に加えた。反応混合物を約1時間攪拌し、次に室温まで温めた。1時間後、溶液をトルエンで希釈し、蒸留した。残留物をジクロロメタン(200mL)に溶解し、0℃に冷却した。ジエタノールアミン(10.9mL、114mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(490mg、4mmol)、およびトリエチルアミン(21mL、152mmol)を溶液に加えた。溶液を0℃で30分間攪拌し、次に室温で反応を一晩進めた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1NのHClと水性NaHCOで洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下に濃縮した。次に、粗製残留物をシリカゲルカラム(10:1酢酸エチル:メタノール)により精製して、13.5g(99.9%)の化合物2を無色の油状物として得た。
【0042】
(実施例2)
【化7】

【0043】
トリエチルアミン(8.1g、80mmol)、DMAP(0.5g、4mmol)および2(7.1g、20mmol)を200mlのジクロロメタンに室温で溶解した。システムにアルゴンを流し、溶液を氷浴で冷却した。25mlのジクロロメタン中の塩化アクリロイル(5.4g、60mmol)を滴下した。滴下後、反応物を室温まで温め、一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水と水性NaHCOで洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下に濃縮した。次に、粗製残留物をシリカゲルカラム(1:3酢酸エチル:ヘキサン)により精製して、7.5g(81%)の化合物3を無色の油状物として得た。
【0044】
(実施例3)
カチオン性リポポリマーの合成は、図式Aにしたがって、分子量600を有するポリエチレンイミン(PEI−600)を化合物3と以下のように反応させることにより実施した。約0.6gのPEI−600(Aldrich)をはかり、小さいバイアルに置き、10mlのエタノールを加えた。PEI−600を完全に溶解した後、攪拌しながら、10mlのエタノール中の3.7g(8.0mmol)の3をPEI溶液に迅速に加えた。反応混合物を2時間室温で攪拌した。有機溶媒を減圧下で除去した後、透明で粘性のある液体が得られた。H−NMRスペクトルはアクリル炭素−炭素二重結合が完全に消えたことを示した。得られたポリマーの分子量をアガロースゲル電気泳動により予想した。これは、同様な化合物を伴う他の合成手順のモデルとして機能する一般的な手順であり、一連の分解性カチオン性リポポリマーを合成するために用いることができる。
【0045】
(実施例4)
反応混合物を2時間室温(25℃)で攪拌した後、エーテル中の2.5mlの4MのHClを加えることにより反応混合物を中和する以外は実施例3に記載したように、カチオン性リポポリマーを調製した。白色沈殿物5Cをろ過し、エタノールで洗浄し、室温、減圧下に乾燥する。得られたポリマー5CはNMR分光計とアガロースゲル電気泳動により特徴付けた。ポリマー5Aと5Bを同様に調製した:5A:PEI1800、m=12;5B:PEI600、m=3;5C:PEI600、m=8。これは、同様な化合物を伴う他の合成手順のモデルとして機能する一般的な手順であり、一連の分解性カチオン性リポポリマーを合成するために用いることができる。
【0046】
(実施例5)
細胞培養: HEK 293T、208F、HT 1080−EGFPおよびHeLa−EGFP細胞を、10% FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM中で、37℃、5%COおよび100%湿度条件下に維持する。この培地中で、細胞は約20時間の倍加時間を有し、密集を避けるために3〜4日間ごとに分割した。
【0047】
(実施例6)
プラスミドDNA調製: BD Sciences Clontech社から購入したpEGFP−N1プラスミドは、哺乳類細胞においてさらに明るい蛍光とさらに高い発現のために最適化された野生型GFPの赤方偏移変種をコードする。GFPタンパク質はCMVの前初期プロモータ(PCMV IE)により制御された。プラスミドをDH5α大腸菌で増幅し、Qiagen Plasmid Max Preparation Kitにより精製したところ、1.7よりも高いA260/A280を常に有した。
【0048】
(実施例7)
インビトロトランスフェクション: 293細胞と208F細胞を96ウエル組織培養皿に塗布し(293細胞では5×10細胞/ウエルおよび208F細胞では1×10細胞/ウエル)、10%FBSを有するDMEM中で一晩インキュベートした。プラスミド−ポリマー複合体の正確な混合の順番はトランスフェクション結果の重要なパラメーターである。各ウエルについて、異なる濃度の7.5μlのリポポリマー溶液のアリコートを、0.6μgのpEGFP−N1プラスミドを含む7.5μlのDNA溶液に加え、完全に混合した。DNAおよびリポポリマー混合物を15分間室温でインキュベートして、DNA−リポポリマー複合体を形成させた。複合体を各ウエルに加えて、細胞を37℃、5%COで、24時間インキュベートした。EGFP遺伝子トランスフェクション効率をGFPシグナル分析により測定した。リポフェクタミンを、製造業者から提供されたプロトコールにしたがって陽性コントロールとして用いた。
【0049】
(実施例8)
GFPシグナルの観察: 実施例3からのトランスフェクト細胞中の緑の蛍光シグナルを蛍光顕微鏡(オリンパス、フィルター520 nm)で観察した。細胞の写真を10×対物レンズを用いて取った。トランスフェクト培養物中のGFPシグナルを有する細胞の比率は、最適なカチオン性ポリマー量の3フィールドの総計から決定した。リポフェクタミン2000のトランスフェクション効率は293細胞で約60%であり、5A、5Bおよび5Cの効率はそれぞれ約25%、55%および40%であったが、5Aおよび5Cの蛍光密度はわずかに低かった(図1を参照)。上記リポポリマーの遺伝子トランスフェクション効率は208Fでも検出して、5A、5B、5Cおよびリポフェクタミン2000により媒介されたトランスフェクション後、GFP陽性細胞の効率はそれぞれ約40%、45%、25%および50%であった(図2を参照)。リポポリマーはリポフェクタミン2000ほどには良好ではなかったが、5Bのトランスフェクション効率は、市場の主要なトランスフェクション試薬であるリポフェクタミン2000に非常に近かった。それらの結果は、リポポリマーが多様な細胞系に対してトランスフェクション試薬となる潜在性を有することを示した。
【0050】
トランスフェクション効率を定量するために、トランスフェクト細胞の相対蛍光単位を蛍光マイクロプレートリーダー(FLX 800, Bio−TEK Instruments Co Ltd)により測定した。リポフェクタミン2000トランスフェクト293細胞の相対蛍光単位(RFU)は14596であり、5Bトランスフェクト細胞(6318)の約2.3倍である一方で、リポフェクタミン2000および5Cトランスフェクト208F細胞のRFUはそれぞれ2544および1954であり、異なる細胞においてトランスフェクション試薬は異なる性能を示し、新しいリポポリマーが一部の細胞系においてより良い性能を有しうることを示した(図3を参照)。
【0051】
(実施例9)
SiRNA導入研究: SiRNA導入効率は、安定なEGFP遺伝子発現をそれぞれ有するHT 1080およびHeLa細胞から生じたHT1080−EGFPとHeLa EGFP細胞で測定した。SiRNA標的EGFP遺伝子とルシフェラーゼ遺伝子は、Dharmacon Research社によって合成された。siRNA標的EGFPおよびルシフェラーゼ遺伝子は21bp二本鎖RNAであり、それらのセンス鎖の配列はそれぞれAAC GAG AAG CGC GAU CAC AUGおよびAAG UGC GCU GCU GGU GCC AACであった。
【0052】
1.5×10個のHT1080−EGFPおよびHeLa−EGFP細胞を96ウエルプレートの各ウエルにトランスフェクションの24時間前に植え付けた。各ウエルについて、異なる濃度の7.5μlリポポリマー溶液のアリコートを、2.0 pmolのsiRNAを含有する7.5μlのDNA溶液に加え、完全に混合した。DNAおよびリポポリマー混合物を15分間室温でインキュベートして、SiRNA−リポポリマー複合体を形成させた。複合体を各ウエルに加え、細胞を37℃で、5%COで48時間インキュベートした。リポフェクタミンを、製造業者により提供されたプロトコールにしたがって陽性コントロールとして用いた。siRNA導入効率はGFPシグナル分析により決定した。
【0053】
HT−GFP細胞とHeLa GFP細胞の両方において、GFPシグナルは5C媒介siRNA導入後に大きく阻害されたので、5Cは非常に高いsiRNA導入を示した。5C媒介siRNA導入HT−GFPおよびHeLa−GFP細胞におけるGFPシグナルは、リポフェクタミン2000媒介siRNA導入細胞よりも低かった。それらの結果は、5Cが、両細胞系においてリポフェクタミン2000よりも高いSIRNA導入効率を有することを示した(図4および図5)。一方、試料5Aと5Bも、その効率がリポフェクタミン2000よりも低かったもののsiRNA導入効率を示した。相対的な蛍光単位は蛍光マイクロプレートリーダーで測定し、その結果は、5C媒介siRNA導入HT1080−EGFPとHeLa EGFP細胞の相対蛍光レベルが非導入試薬グループのわずかに27〜28%であり、これらのレベルは、非導入試薬グループと比較して約33〜46%の相対蛍光レベルを示したリポフェクタミン2000媒介siRNA導入細胞よりも低いことを示した。言い換えると、5C媒介導入細胞におけるEGFP遺伝子発現の阻害効率は約72〜73%であり、これは、54〜67%の阻害効率を示したリポフェクタミン2000よりもかなり高いものであった。これらの結果は、5Cがリポフェクタミン2000よりも高いsiRNA導入効率を有することを示した。
【0054】
(実施例10)
細胞毒性のアッセイ: カチオン性遺伝子キャリヤーの細胞毒性は、3−[4,5ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)を用いて哺乳類細胞にて評価した。上記実施例9に記載された方法によるsiRNA導入の48時間後に、10μlのMTT溶液(PBS(シグマ)中5.0mg/ml)を各ウエルに加え、37℃で3時間インキュベートした。培地を次に除去し、200μlのDMSOを各ウエルに加え、生細胞により作られたホルマザン結晶を溶解した。溶液の吸光度は570nmで測定した。細胞生存度は次式を用いて計算した:生存度(%)={Abs570(試料)/Abs570コントロール}。コントロールは、いかなる試薬もsiRNAも細胞に加えられていないことを示した。その結果は、5A、5Bおよび5Cのすべての3試料の細胞毒性が非常に低く、最適条件でのsiRNA導入後に95%を超える細胞が生存した一方で、細胞生存度はリポフェクタミン2000によるsiRNA導入後で約65%であった。HeLa細胞はトランスフェクション試薬の細胞毒性に対して感受性があったので、これらの結果は新しいリポポリマーが非常に低い細胞毒性を有することを示唆した。
【0055】
(実施例11)
siRNA導入におけるリポポリマーの特異性: GFPシグナルの阻害が細胞毒性または他の非特異的な因子により引き起こされるのかどうかを評価するために、siRNA導入の特異性を研究した。SiRNA標的GFPおよびLuc遺伝子を、5A、5Bおおび5CによりHT−GFP細胞に導入した。GFPシグナルを導入の48時間後に観察した:GFPシグナルの変化がなかったので5Bおよび5Aは低い導入効率を示したことが分かった。最適条件のときに72%のGFPがSiRNA導入(標的GFP遺伝子)の48時間後に阻害されたために、5Cは非常に高い導入効率を示した。一方、SiRNA標的luc遺伝子が用いられた場合、いかなる阻害も見られなかった。これらの結果は、GFPシグナルが、細胞毒性に引き起こされた阻害ではなく、SiRNA導入によって特異的に阻害されていることを示した。
【0056】
(実施例12)
分解研究: 生分解を検出するために、リポポリマーをopti MEMで最終濃度320μg/mlまで希釈し、37℃で、2、4、8、24時間それぞれインキュベートした。試料のDNA結合親和性はFITC標識アンチセンスオリゴを用いて測定した。100μlポリマーを、攪拌下に96ウエルプレート中の100μlのオリゴ溶液(2μmol/L)に加え、混合物を15分間インキュベートした。その後、蛍光を蛍光マイクロプレートリーダー(感度=45)で測定した。遊離オリゴ溶液(100μl opti MEM溶液と混合したオリゴ溶液のみ)の相対蛍光単位は約5200 RFUであり、PEI25KまたはPEI 600はそれぞれ1823と4350であった。これらの結果は、高いDNA結合親和性を有するPEI 25Kが蛍光に対して高い阻害(約64%の阻害)を示す一方で、PEI 600は通常非常に低いDNA結合親和性を示すので、PEI 600は蛍光単位に対してそれほどでもない阻害を示した(18%)。カチオン性脂質系ポリマーに関して、蛍光に対する阻害効率は約65%〜70%であり、ポリマーが高いDNA結合親和性を有することを示した。
【0057】
37℃で、opti MEM中、24時間のインキュベーション後、元の試料に比べてほとんど蛍光シグナルの変化が見られなかったので、PEI 25KとPEI600の両方がDNA結合親和性の有意な変化を示さず、PEI 25Kが分解性を有しないことを示した。しかし、37℃で8時間インキュベートした後、蛍光に対する5A、5Bおよび5Cの阻害効率は、PEI 600よりも低い約10%まで徐々に減少した。これらの結果はリポポリマーがopti MEM中で分解性があることを示した。
【0058】
(実施例13)
【化8】

【0059】
ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)(43mg、0.19mmol)(Aldrich)をはかり、小さいバイアルに置き、2mlのエタノールを加えた。PEHAが完全に溶解した後、攪拌しながら、化合物6(n×100mg、n×0.19mmol)をPEHA溶液に迅速に加えた。反応混合物を2時間室温(25℃)で攪拌した。次に、反応混合物をエーテル中の1mlの4MのHClを加えることにより中和した。白色沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄し、室温で減圧下に乾燥した。得られたポリマー7をNMRとアガロースゲル電気泳動により特性付けた。
【0060】
他の架橋された、分解性のカチオン性リポポリマーを、6に対するPEHAの比率を下記のように変えることにより同様な方法で調製した: 7A:PEHA/6=1/1;7B: PEHA/6=2/1;7C:PEHA/6=3/1; 7D:PEHA/6=4/1; 7E:PEHA/6=5/1;および7F:PEHA/6=6/1。
【0061】
(実施例14)
細胞培養: HEK 293細胞とHeLa 705細胞を、10%FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM培地で、37℃、5%COおよび100%湿度条件下に維持した。CHO−AA8 lucを、10%FBSと抗生物質を含むMEM培地で培養し、他の条件は293細胞とHeLa 705細胞と同じである。細胞は約20時間の倍加時間を有し、密集を避けるために3〜4日間ごとに分割した。
【0062】
プラスミドDNAの調製: BD Sciences Clontech社から購入したpEGFP−N1プラスミドは、哺乳類細胞においてさらに明るい蛍光とさらに高い発現のために最適化された野生型GFPの赤方偏移変種をコードする。GFPタンパク質はCMVの前初期プロモータ(PCMV IE)により制御された。pCMV−lucプラスミドを同様に構築した。プラスミドをDH5α大腸菌で増幅し、Qiagen Plasmid Max Preparation Kitにより精製したところ、1.7よりも高いA260/A280を有した。
【0063】
ポリマー7のDNA結合: ポリマー7とDNAの一連の試料をそれぞれopti MEMに希釈し、次に攪拌しながら10μlのポリマー7溶液をDNA溶液(20μg/ml)に加えた。ポリマー/DNA比は32:1、16:1、8:1および10:1であった。混合物を室温で15分間インキュベートし、ポリマー/DNA複合体を形成した。その後、5μlのDNA負荷緩衝液を複合体に加え、15μlの混合物を各ウエルについて0.3%のアガロースゲルに加えた。試料を100V、約30分間の電気泳動に供し、ゲルをUV光で可視化した。DNA結合親和性の結果を図10に示す。ほとんどの試料は低いDNA結合親和性を示した。たとえば、ポリマー/DNA比が32:1であっても、7B、7C、7D、7Eおよび7F/DNA混合物のDNA電気泳動パターンは遊離DNAと同じであった(ポリマー量は0であった)。しかし、ポリマー/DNA比が32:1および16:1であった場合、プラスミドは7Aにより妨げられ、試料7AがDNA結合親和性を有することを示した。
【0064】
(実施例15)
インビトロ遺伝子トランスフェクション: 293細胞を96ウエル組織培養プレート(5×10細胞/ウエル)に塗布し、10%FBSを有するDMEM中で一晩インキュベートした。各ウエルに関して、異なる濃度の7.5μlのリポポリマー7溶液のアリコートを、0.6μgのpEGFP−N1プラスミドを含有する7.5μlのDNA溶液に加え、完全に混合した。DNAとリポポリマー7混合物を15分間、室温でインキュベートしてDNA−リポポリマー複合体を形成させた。複合体を各ウエルに加え、細胞を37℃、5%COで24時間インキュベートした。EGFP遺伝子トランスフェクション効率をGFPシグナル分析により決定した。リポフェクタミンを、製造業者により提供されたプロトコールにしたがって陽性コントロールとして用いた。試料からのトランスフェクト細胞の緑の蛍光シグナルを、蛍光顕微鏡(オリンパス、フィルター520nm)下に観察した。細胞の写真を10×対物レンズを用いて取った。トランスフェクト培養物中のGFPシグナルを有する細胞の比率は最適なカチオン性ポリマー量の3領域の総計から決定した。
【0065】
トランスフェクションの約24時間後、7Aトランスフェクト293細胞の約28%がトランスフェクション効率を示した。その結果は、リポポリマー7Aがトランスフェクション試薬であることを示した(図11)。
【0066】
(実施例16)
アンチセンスオリゴ導入: ノーザンカロライナ大学のKole博士はアンチセンス導入の機能的アッセイのためにルシフェラーゼ705遺伝子システムを開発した。このシステムにおいて、705に変異を有するヒトβグロブリンをルシフェラーゼcDNA間の配列に挿入した。このプラスミドを安定な遺伝子発現のためにHeLa細胞に導入し、この細胞系をHeLa luc705と命名した。通常、細胞は誤ったルシフェラーゼタンパク質を発現するために低いルシフェラーゼ活性を示す。しかし、705配列に結合するアンチセンスオリゴは誤ったスプライシング部位をブロックし、生物学的活性を有するルシフェラーゼタンパク質を作る。ルシフェラーゼ705は現在アンチセンスオリゴ導入において機能的モデルとして用いられている;高いルシフェラーゼ活性は高いアンチセンス導入効率を示す。
【0067】
ポリマー7試料のアンチセンスオリゴ導入効率をLuc 705細胞系で評価した。オリゴ標的luc 705の最終濃度は1.0μmol/Lであり、ポリマーの濃度は(ルシフェラーゼ活性が測定された)トランスフェクションの約24時間後で(ポリマー/DNA比がトランスフェクション中16:および8:1であったときのポリマーの量と同じである)320および160μg/mlであった。
【0068】
705細胞中のバックグランドルシフェラーゼ活性は約1.6×10RLU/mgタンパク質であった。7Aにより細胞に導入されたアンチセンスオリゴのルシフェラーゼ活性は、非導入細胞の約50倍まで大きく上昇した。リポフェクタミン2000の導入効率は低く、非導入細胞の約15倍であった。これらの結果は、脂質−ポリマー7Aはリポフェクタミン2000よりもさらに高いアンチセンスオリゴ導入効率を有することを示した(図12)。
【0069】
(実施例17)
リポ−ポリマーのSiRNA導入効率をCHO−AA8−luc細胞系で測定した。CHO−AA8 Lucは、ルシフェラーゼ遺伝子発現がDoxにより制御されたTet−off細胞系である。ルシフェラーゼ遺伝子発現はDoxが細胞に加えられると活動停止し、Doxが除去されたときに発現する。
【0070】
SiRNA導入研究において、標的遺伝子の存在するタンパク質は評価に影響を与えることがある。なぜなら、その半減期が長い場合、標的遺伝子がすでに活動停止しているにもかかわらずタンパク質が検出されることがあるからである。この場合に、CHO−AA8 Luc細胞にはメリットがあった。ルシフェラーゼ遺伝子発現は、Doxを加えることにより活動停止させてバックグランドタンパク質を減少させることができる。SiRNA導入中、Doxは培地を変えることにより除去することができ、SiRNAが細胞に続けて導入される場合、ルシフェラーゼ遺伝子が同時に発現し始め、ルシフェラーゼ発現レベルはSiRNAにより抑制されうる。
【0071】
CHO AA8 lucをDoxを有する96ウエルプレートにまいた。18〜24時間後、SiRNAカセット/ポリマー7複合体が作られた。ポリマーの最終濃度は320および160μg/mlであった(遺伝子トランスフェクションにおいて16:1と8:1と同じ濃度)。SiRNAカセットの量は150ng/mlであった。培地を変更し、細胞をPBSで洗浄した後、SiRNA/ポリマー7複合体を細胞に加えた。細胞を37℃で48時間インキュベートした後、ルシフェラーゼ活性が検出された。
【0072】
7Aおよびリポフェクタミン2000によるSiRNAカセット導入後、コントロール(ブランク)のルシフェラーゼ活性は10RLU/mgタンパク質であり、ルシフェラーゼ活性はそれぞれ2.47および3.49×10RLU/mgタンパク質まで大きく阻害された。それらの結果は7AがSiRNAカセットを細胞に効率的に導入することができ、その導入効率はリポフェクタミンよりも高いことを示した(図13)。
【0073】
(実施例18)
カチオン性リポポリマー7遺伝子キャリヤーの細胞毒性を、3−[4,5ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)を用いて哺乳類細胞にて評価した。上記方法による遺伝子トランスフェクションの48時間後に、10μlのMTT溶液(PBS(シグマ)中5.0mg/ml)を各ウエルに加え、37℃で3時間インキュベートした。培地を次に除去し、200μlのDMSOを各ウエルに加え、生細胞により作られたホルマザン結晶を溶解した。溶液の吸光度は570nmで測定した。細胞生存度は次式を用いて計算した:生存度(%)={Abs570(試料)/Abs570コントロール}。その結果は、7Aの細胞毒性が非常に低く、最適条件でのsiRNA導入後、95%を超える細胞が生存した一方で、リポフェクタミン2000によるsiRNA導入後で細胞生存度は約75%であった。これらの結果は、7Aが非常に低い細胞毒性を有することを示した(図14)。
【0074】
(実施例19)
ポリマー7の生分解: ポリマー7Aをopti MEMにより最終濃度320μl/mlまで希釈した。一連の試料を37℃で4時間、8時間および24時間インキュベートし、次に試料を、96ウエルプレートでの293細胞シードでの遺伝子トランスフェクション研究のために取った。トランスフェクションは、上記のプロトコールにより実施した。GFPシグナルはトランスフェクションの24時間後に観察された。
【0075】
7AのGFP遺伝子トランスフェクション効率は約25%であり、試料を4時間インキュベートした後にトランスフェクション効率の有意な変化はなかった。トランスフェクション効率は、試料を8時間インキュベートした後に大きく減少し、試料を24時間インキュベートした後にはトランスフェクション効率はほとんど見られなかった。それらの結果は、7Aが中性条件下で生分解性であることを示した(図15)。
【0076】
多様な省略、付加および修正を、本発明の範囲から離れることなく上記の組成物と方法に対して行なってもよく、そのようなすべての修正と変更が、添付の特許請求の範囲に示された本発明の範囲に含まれるものであることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000によるトランスフェクション後の293細胞での典型的なGFPシグナルを示す。
【図2】図2は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000によるトランスフェクション後の208F細胞での典型的なGFPシグナルを示す。
【図3】図3は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000(「リポ」)によるトランスフェクション後の208F細胞と293細胞での相対的な蛍光レベルのプロットを示す。
【図4】図4は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000によるsiRNA導入後のHT−GFP細胞での典型的なGFPシグナルを示す。
【図5】図5は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000によるsiRNA導入後のHeLa−GFP細胞での典型的なGFPシグナルを示す。
【図6】図6は、リポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000(「リポ」)によるsiRNA導入後のHT−GFPおよびHeLa GFP細胞の相対的な蛍光レベルのプロットを示す。
【図7】図7は、siRNA導入後のリポポリマー(5A、5Bおよび5C)およびリポフェクタミン2000(「リポ」)の細胞生存分画のプロットを示す。
【図8】図8は、カチオン性リポポリマー(5A、5Bおよび5C)による異なるSiRNA導入後のHT−GFP遺伝子の相対的な蛍光レベルのプロットを示す。
【図9】図9は、遊離オリゴ溶液と比較したアンチセンスオリゴ/リポポリマー複合体の相対的な蛍光単位のプロットを示す。
【図10】図10は、ポリマー6のDNAへの結合に関するゲル電気泳動の結果を示す。
【図11】図11は、7Aおよびリポフェクタミン2000による形質移入後の293細胞の典型的なGFPシグナルを示す。
【図12】図12は、ポリマー7Aおよびリポフェクタミン2000によるアンチセンスオリゴ導入後のluc 705細胞におけるルシフェラーゼ活性のプロットを示す。
【図13】図13は、ポリマー7Aおよびリポフェクタミン2000仲介のSiRNA導入後のCHO−AA8 lucにおけるルシフェラーゼ活性のプロットを示す。
【図14】図14は、7Aとリポフェクタミンを用いるトランスフェクション後の細胞生存分画を示すプロットを示す。
【図15】図15は、多様な時間のopti MEMでのインキュベーション後の7AのGFPトランスフェクション効率のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)および式(Ib):
【化1】

(式中、
PEIは、ポリエチレンイミン繰り返し単位であり;
Rは、電子対、水素、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C30アリール、およびC〜C30ヘテロアリールからなる群から選択され;
Lは、C〜C50アルキル、C〜C50ヘテロアルキル、C〜C50アルケニル、C〜C50ヘテロアルケニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50アルキニル、C〜C50ヘテロアルキニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50カルボキシアルケニルおよびC〜C50カルボキシへテロアルケニルからなる群から選択され;
Wは、約2〜約50炭素原子を含有するカチオン性部分であり;そして
mは、約1〜約30の範囲の整数である)からなる群から選択される繰り返し単位を含有するポリマー。
【請求項2】
PEIが、式(II):
【化2】

(式中、xは約1〜約100の範囲の整数であり、yは約1〜約100の範囲の整数である)の繰り返し単位により表される請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
ポリマーが式(Ia)の繰り返し単位を含有する請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
ポリマーが式(Ib)の繰り返し単位を含有する請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
Wが、アミンと、C〜C50アルキル、C〜C50ヘテロアルキル、C〜C50アルケニル、C〜C50ヘテロアルケニル、C〜C50アリール;C〜C50ヘテロアリール;C〜C50カルボキシアルケニルおよびC〜C50カルボキシヘテロアルケニルからなる群から選択される炭素含有基とを含む請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
生分解可能である請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
加水分解、酵素切断、還元、光切断および超音波処理からなる群から選択される機構により分解可能である請求項1記載のポリマー。
【請求項8】
Lが、C〜C50アルキル、C〜C50ヘテロアルキル、C〜C50アルケニル、C〜C50ヘテロアルケニル、C〜C50アルキニルおよびC〜C50ヘテロアルキニルからなる群から選択される請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
Lが、C12〜C18脂肪酸、コレステロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択される請求項1記載のポリマー。
【請求項10】
ポリエチレンイミン繰り返し単位が約600ダルトン〜約25,000ダルトンの範囲にある分子量を有する請求項1記載のポリマー。
【請求項11】
約500ダルトン〜約1,000,000ダルトンの範囲にある重量平均分子量を有する請求項1記載のポリマー。
【請求項12】
約2,000ダルトン〜約200,000ダルトンの範囲にある重量平均分子量を有する請求項1記載のポリマー。
【請求項13】
架橋されている請求項1記載のポリマー。
【請求項14】
さらに、ポリマーに複合体化されている生体分子を含む請求項1記載のポリマー。
【請求項15】
生体分子が、核酸、タンパク質、ペプチド、脂質および炭水化物からなる群から選択される請求項14記載のポリマー。
【請求項16】
核酸が、DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、リボザイム、DNA−RNAハイブリダイザーおよびアンチセンスDNAからなる群から選択される請求項15記載のポリマー。
【請求項17】
核酸が、siRNAまたはアンチセンスオリゴである請求項15記載のポリマー。
【請求項18】
さらに、真核細胞に入ることのできる導入増強剤を含む請求項14記載のポリマー。
【請求項19】
さらに、ポリマーに複合体化させた診断画像組成物を含む請求項18記載のポリマー。
【請求項20】
導入増強剤が、受容体認識、内部移行、細胞エンドゾームからの生体分子の逃避、核の局在化、生体分子の放出、およびシステムの安定化からなる群から選択される真核細胞における1つ以上の機能を促進する請求項18記載のポリマー。
【請求項21】
生体分子が、核酸、ペプチド、タンパク質および炭水化物からなる群から選択される請求項20記載のポリマー。
【請求項22】
導入増強剤がポリマーに連結されている請求項18記載のポリマー。
【請求項23】
細胞を請求項14記載のポリマーに接触させることにより生体分子を細胞に導入することからなる真核細胞の形質移入方法。
【請求項24】
遺伝子治療を必要とする哺乳動物を同定し、請求項17のポリマーを該哺乳動物に投与することからなる哺乳動物の治療方法において、核酸が関係する遺伝子の発現を低下させるのに効果的なsiRNAを含む方法。
【請求項25】
さらに、ポリマーに複合体化した診断画像組成物を含む請求項1記載のポリマー。
【請求項26】
請求項25のポリマーを哺乳動物に投与することからなる、診断画像組成物を哺乳動物に導入する方法。
【請求項27】
R、L、PEI、Wおよびmからなる群から選択される少なくとも1つのパラメーターがポリマーの少なくとも2つに関して異なる、請求項1記載の複数のポリマーを含むポリマーライブラリー。
【請求項28】
請求項1記載のポリマーと、真核細胞の特異的な受容体を認識するリガンドとを含む医学診断システム。
【請求項29】
ポリマーがリガンドに結合している請求項28記載の医学診断システム。
【請求項30】
増感剤物質と請求項1記載のポリマーとを含む医薬組成物。
【請求項31】
増感剤物質が、可視光、紫外線、または両方に対して感受性がある請求項30記載の医薬組成物。
【請求項32】
ポリマーが、生体分子に対する親和性を有する請求項30記載の医薬組成物。
【請求項33】
画像造影剤と請求項1記載のポリマーとを含む診断画像組成物。
【請求項34】
さらに、ターゲッティング剤を含む請求項33記載の診断画像組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2008−516011(P2008−516011A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534633(P2007−534633)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033274
【国際公開番号】WO2006/041617
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】