説明

生分解性シュリンクラベル、及び、そのラベル付き容器

【課題】 生分解性シュリンクラベル用フィルムを円筒状に形成する際、乾燥工程を必要とせず、当該フィルムを筒状にしてセンターシールが可能であり、ラベル付き容器を浸水させても剥離せず、流通過程でラベルが剥離しない程度の接着強度があり、かつ容器を使用後、ラベルを容器から剥離する際、容器に粘着剤等の付着物がなく、廃棄物処理が容易であるため、環境保護に役立つ生分解性シュリンクラベル、及び、そのラベル付容器を提供する。
【解決手段】 ラベル基材が、一軸または二軸延伸の生分解性フィルムからなり、かつ溶剤によるシール性を有する材質からなり、かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水、化粧品等に使用される有底筒状容器の胴部外周面に嵌め込み、加熱収縮させて緊締するシュリンクラベル、およびそれを用いたラベル付容器に関する。
更に詳しくは、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、廃棄後に自然分解可能な生分解性シュリンクラベル及び、そのラベル付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の容器は、これらの容器の外表面に、装飾あるいは内容物表示等のために、文字、図形、記号、絵柄等からなる所望の印刷絵柄模様を施したラベルを装着している。
装着するラベルとしては、紙、あるいは、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の種々のプラスチックフィルムを使用している。
また、前記のプラスチックフィルム製のラベルとして、熱収縮性ラベル(以下「シュリンクラベル」という。)がある。
前記のシュリンクラベルを容器に巻き付ける方法としては、例えば、筒状、若しくは、袋状のラベルに少し余裕を持たせて一次包装した後、熱風、スチーム等によって該ラベルを容器外周面に熱収縮させる方法が知られている。
【0003】
一方、近年、環境問題や資源のリサイクル化などの面から、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするボトル(以下「PETボトル」という。)等の容器を回収して再利用することが考えられてきており、容器リサイクルを円滑に行うための動きが活発化している。
通常、PETボトルの容器リサイクルは、ラベルが付いたままのPETボトルを回収して、リサイクル工場等にて、ボトルを洗浄後、一次粉砕され、ラベルの除去作業が行われ、更に粉砕物中のラベルや糊等の不純物を分離する目的で、二次粉砕、ラベルの液比重分離、脱水・乾燥、風力比重分離及びペレタイズ工程を経て再生ペレットを得ていた。
上記のラベルの除去工程において、接着剤やラベルの残留物がボトルに極力残らない再生ペレットを得ることが、所望とする純度等の原料を得るために要望されている。
【0004】
また、使用後のプラスチック廃棄物処理として、焼却または土中埋め込みを行ってきたが、焼却処理では、廃棄物の大きな燃焼エネルギーに耐え得る高熱炉が必要になり、処理コストが高く、また、土中埋め込み処理では、土中でプラスチック廃棄物は分解されず、半永久的にゴミとして残り、環境を損なうため、廃棄物公害として社会・環境問題となってきた。
2001年5月の食品リサイクル法の施行により、食品メーカーやスーパーに対し、食品廃棄物を肥料に再利用するなどして、2006年度には食品廃棄物の排出量を20%以上削減することが義務付けた。
一方、近年、食品の容器包装分野において、環境保全のために、従来のような用途に利用できてしかも使用後は微生物によって分解されてしまう生分解性プラスチックの開発研究が進められてきた。
政府も、生分解性プラスチックの普及を後押しするため、今後、現行の食品リサイクル法を改正し、生分解性プラスティック包装材料を使用することにより、食品メーカーやスーパーに課された食品廃棄物の削減量に加算できるようにする方針である。
このため、食品メーカーやスーパーなどでは、食品廃棄物を肥料に再利用を進めると共に、生分解性プラスチックの利用を促進することが急務となってきた。
【0005】
上記の生分解性樹脂とは、材料として使用する場合において、一般のプラスチックとほぼ同等の物性を示すが、使用後、土壌中、水中等の自然環境下に廃棄される場合において、速やかに微生物により分解される高分子化合物をいい、最終的には二酸化炭素と水になるものである。
従来の生分解性シュリンクラベルとしては、主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルムの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−91561号公報(第7頁第16頁〜19頁)
【0006】
しかしながら、特許文献1の実施例に記載されるように、生分解性熱収縮ラベル用フィルムを円筒状に形成する所謂「筒貼り」の目的で、2液混合接着剤を有機溶媒で希釈して当該フィルムの重なり部分にコーティングするため、溶剤を乾燥させるための乾燥ユニットの設備が必要であり、溶剤を乾燥させる時間を要し、更に1、2日程度のエージングを行う必要があり、生産効率が低下してしまうという問題点があった。
また、インパルス、高周波によって外部又は内部を加熱して部分的に熱融着する場合、ラベル基材の熱による劣化で部分的に皺を発生し、また、十分なシール強度を得るために極めて低速度しかラベルの筒貼りを行うことができないため生産性が低下してしまうという問題点がある。
なお、特許文献1のフィルムは、溶剤によりシールする条件は検討されておらず、ラベル基材に対して適切な溶剤を用いてない場合、シール強度が不足して剥がれたり、溶剤によりラベル基材が変形して皺の発生や白化による外観不良を生じたり、ブロッキンングを発生してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、生分解性シュリンクラベル用フィルムを円筒状に形成する際、乾燥工程を必要とせず、当該フィルムを円筒状にしてセンターシールが可能であり、ラベル付き容器を浸水させても剥離せず、流通過程でラベルが剥離しない程度の接着強度があり、かつ容器を使用後、ラベルを容器から剥離する際、容器に粘着剤等の付着物がなく、廃棄物処理が容易であるため、環境保護に役立ち、高速ラベリング加工が可能である生分解性シュリンクラベル、及び、そのラベル付容器を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の生分解性シュリンクラベルでは、ラベル基材が、一軸または二軸延伸の生分解性フィルムからなり、かつ溶剤によるシール性を有する材質からなり、かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の生分解性シュリンクラベルにおいて、前記のラベル基材が、片面または両面に生分解性インキ組成物を形成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の生分解性シュリンクラベルにおいて、前記の生分解性フィルムが、ポリ乳酸系フィルムからなることを特徴とする。
【0011】
本発明のシュリンクラベル付容器において、上記の生分解性シュリンクラベルが、容器の胴部外周面に装着してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の生分解性シュリンクラベルによれば、粘着剤等を使用してラベルを容器に貼り付けることなく、ラベルを熱収縮により装着しているため、容器をリサイクルする際に、容器に糊残りがないという利点を有する。
また、ラベル基材に生分解性フィルムを使用しており、ラベル基材に形成する印刷インキ樹脂層に生分解性インキ組成物を使用することにより、当該ラベルを焼却処理しても、焼却炉を傷めず、有害ガスを発生することなく、自然に分解可能であるため、廃棄物処理が容易であり、環境保護に役立つという利点を奏する。
また、ラベル基材が、溶剤によるシール性を有する材質からなり、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成されることにより、乾燥工程が必要なく、生産効率良く製造することが可能であり、熱による皺の発生がなく、ラベルのシール面の外観に優れ、位置精度、および生産性良くセンターシールを行うことができるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の生分解性シュリンクラベル10の一実施例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の生分解性シュリンクラベル10は、生分解性フィルムからなる基材2の片面または両面に生分解性印刷インキ組成物層4を形成して、層構成、生分解性フィルム2/印刷インキ層組成物層4からなる。
【0014】
図2は、本発明の一実施例を示す有底筒状容器の胴部外周面に装着前の筒状シュリンクラベル20の断面図である。
図2に示すように、本発明の筒状の生分解性シュリンクラベル20は、シート状の耐熱性シュリンクラベル本体10の両端縁を重ね合わせ、その重ね合せ部に所望の幅で溶剤によるセンターシール14により筒状のシュリンクラベル20として形成されるものである。なお、前記の生分解性シュリンクラベル本体10には、周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
【0015】
図3は、本発明の一実施例を示す生分解性シュリンクラベル付き容器30の正面図である。
図3に示すように、生分解性シュリンクラベル付き容器30は、図3に示すような筒状シュリンクラベル20を有底筒状容器8の胴部外周面に熱収縮によって容器本体に密着固定してなるものである。
【0016】
本発明において、本発明に係る生分解性ラベルを構成するラベル基材2としては、一軸、若しくは、二軸に延伸した生分解性フィルムからなる耐熱性基材であって、印刷適性を有し、溶剤によるシール性を有する材質からなれば、いずれのものでも使用することができる。
生分解性フィルム2は、廃棄後、自然環境下で微生物により分解するものであり、例えば、ポリε−カプロラクトン、ポリブチレンサクシネート・ポリエチレンサクシネート、ポリ−L−ラクチド(ポリ−L−乳酸)などの脂肪族ポリエステルフィルム、セルロース、キトサン、リグニン、澱粉、水分、グラフト澱粉等の天然物からなるフィルム、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバレレート共重合体、プルラン、バクテリアセルロース等のように、微生物が作りだす高分子を活用して作製したフィルム、アミノ酸、糖、ポリエステルなどを発酵技術により原料化した高分子材料からなる作製したフィルム等を使用できる。
前記の乳酸を重合して製造される生分解性フィルムとしては、トウモロコシなどからつくられるデンプンや糖類を発酵させて得られる乳酸を重合して製造されるものであり、例えば、三菱樹脂株式会社により生産されている「エコロージュ」等がある。
上記のポリ−L−ラクチドからなるポリ乳酸に、少量共重合成分として他のヒドロキシカルボン酸単位を含んでもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでもよい。
上記の樹脂の重合法としては、例えば、脱水縮重合法、開環重合法等の方法で重合することができる。
【0017】
上記の少量共重合成分としては、即ち、ポリ乳酸以外のヒドロキシカルボン酸単位としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が使用できる。
【0018】
上記の樹脂には、添加剤として、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、滑剤、可塑剤、無機充填材、着色剤、顔料等を添加することもできる。
【0019】
ポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸フィルムの製造方法としては、Tダイ等から押し出ししたシート状物を冷却後、ロール法、テンター法、チューブラー法等により2軸に延伸する方法で製造することができる。
2軸延伸フィルムの製造においては、例えば、逐次2軸延伸法や、同時2軸延伸法等がある。延伸条件としては、縦方向に1.5〜6倍、横方向に1.5〜6倍の範囲で適宜選択される。
また、ポリ乳酸樹脂を原料と各種架橋剤を用いて発泡剤として二酸化炭素を用いることにより発泡成形してなる発泡生分解フィルムとを積層した複合シートとしてもよい。
上記において、前記のラベル基材が、前記の生分解性延伸フィルムに、発泡生分解フィルム、または、生分解性不織布を積層することによって、ラベルに断熱性を付与することができるという利点を有する。
【0020】
本発明において、本発明に係る生分解性シュリンクラベル10を構成する印刷インキ組成物層4としては、生分解性フィルムからなるラベル基材2の片面または両面に形成することが可能であり、全面に、または部分的に、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷技術を用いて図形、文字、記号等の絵柄を形成したものである。
印刷インキ組成物層4に使用されるインキとしては、生分解性フィルムからなる基材層2と接着性があり、必要な耐性を有している一般的に用いられているウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の非生分解性インキが使用できるが、本発明において、生分解性インキを使用することによって、印刷インキ付きラベル全体で、使用後に廃棄しても自然分解することができるため好ましく、例えば、具体的に、インキ用バインダーが、コーンスターチ変性物等の天然物を原料とする変性樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂等からなるインキを使用することが望ましい。
ボトルに装着した状態における基材2の内外のどちら側に形成してもよいが、この実施形態では基材2の内側に形成してある。
なお、基材2の外側に印刷インキ組成物層4を形成する場合には、形成した印刷インキ組成物層4を保護するために、透明ニス等によって形成されるオーバーコート層を設けておくのが望ましい。
透明ニスの材料としては、上記のインキを構成する樹脂成分と同様の成分を使用することが好ましい。
印刷インキ組成物層4の厚みは、例えば1μm〜8μm、好ましくは2μm〜5μm程度である。
【0021】
そして、前記の生分解性シュリンクフィルムの両端部である外面層、内面層を重ね合わせ、しかる後、その端部の重合部分を接合部分として、溶剤で貼り合わせてセンターシ−ル部14を形成して、筒状体からなる熱収縮ラベル20を得ることができる。
前記のラベル本体には、容器の周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
【0022】
上記の溶剤によるセンターシール14に使用する溶剤としては、特に制限されないが、例えば、ジオキソラン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系等の有機溶剤を使用することができる。
中でも、ジオキソランを使用することが、シール部の外観、およびシール強度に優れ、生分解性ラベル基材以外の通常使用されるラベル基材に汎用できるという理由で好ましい。
更に、極性溶媒であるジオキソランとヘキサン等の非極性溶媒との混合溶媒を使用することによって、ジオキソランのラベル基材に対する濡れ性、耐ブロッキング性、白化の発生防止を調整することができる。
また、テトラヒドロフランは、ハロゲン化炭化水素の一種であり、シール強度があるものの、人体へ強い毒性を持つため、作業環境として悪いという可能性があるので工業生産に用いるには好ましくない。
上記の溶剤によるセンターシール部14のシール強度は、MD方向において0.6N/15mm〜10N/15mm程度であり、TD方向において3N/15mm〜10N/15mm程度であることが、ラベル装着装置で円筒状ラベルのシール部が剥離することなく、有底円筒状容器に装着することができるので好ましい。
これに対して、TD方向におけるシール強度が3N/15mm未満であると、ラベル装着装置で有底円筒状容器に円筒状ラベルを装着する際に、シール部が剥離してしまう場合があるので好ましくないからである。
【0023】
本発明にかかるラベル付容器の側面に位置する部分には、開封用ミシン目が当該ラベルの上端部から下端部まで刻設されてもよい。
また、ラベル開封用の摘み片(切離開始部)を起点として、2条の縦ミシン目を設けてもよく、該ミシン目によりラベルを容易に破断することが可能である。
なお、該ミシン目は、2条に限らず、1条、あるいは、3条以上の複数条を設けることも可能である。
なお、ミシン目は、例えば、レーザー光を用いて包材の厚さ方向に所定深さまで切り込みをいれて形成させる方法周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てて形成させる方法等により施すことができる。
また、該ミシン目は、ラベルを製造する工程で、適宜の段階で施すことができる。
使用後に容器に熱収縮したラベルを手で剥がす場合には、開封用ミシン目によりラベルを容易に破断することが可能である。
【0024】
ラベルの被着体となる有底円筒状容器8としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂等の合成樹脂ボトル、ガラス瓶、金属製缶等が挙げられる。
【0025】
上記の本発明にかかる生分解性シュリンクラベル付容器30の内容物としては、ビール、ワイン、ビタミン飲料、乳・乳飲料、ジュ−ス、炭酸飲料、水、お茶等の飲料水、あるいは、油脂、調味料、医薬品、化粧品、洗剤、その他種々の液状食品が挙げられる。
【0026】
上記で製造した生分解性シュリンクラベル20の筒状体を、自動ラベル装着装置等に供給し、必要な長さに切断した後、前記の有底筒状容器8の外表面に嵌着し、次いで、前記の有底筒状容器8を、図示しないが、シュリンクトンネル等に通して、所定温度(例えば、80〜200℃程度)の熱風や、スチームや、赤外線等の輻射熱を作用させて筒状ラベル20を周方向に高収縮させて、生分解性シュリンクラベル20で被覆することにより、断熱性シュリンクラベル付容器30を製造することができる。
【実施例1】
【0027】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
まず、基材2として50μmのポリ乳酸系生分解性シュリンクフィルム(グンゼ株式会社製)を準備した。
上記の基材2の片面に所望の絵柄の印刷層4として、生分解性インキ組成物であるポリ乳酸系インキ(大日精化工業株式会社製、品名「バイオテックカラーHGC 白」)を用いてグラビア印刷法により印刷し、得られた当該フィルムを高さ100mm、幅240mmにカットして、本発明に係る枚葉の生分解性シュリンクラベル10を得た。
また、有底円筒状容器8としては、容量500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製ボトル(以下「PETボトル」という。)を使用した。
次に、溶剤としてジオキソランを使用して、当該印刷絵柄層(生分解性インキ組成物4)を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、当該溶剤を介してラベルのセンター部を溶剤シールして接合部(センターシール部14)を形成し、本発明にかかる筒状体からなる生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次に当該筒状体からなる熱収縮性ラベル20を使用し、内容物を充填包装したPETボトル8の外表面に嵌着し、次いで、加熱蒸気で加熱しているシュリンクトンネル内を通して、熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該生分解性シュリンクラベルを装着したPETボトル30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、溶剤の浸透により、若干、基材フィルムの形態が犯されるものの、外観上、問題ないレベルであり、また、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、十分なシール強度を得ることができるものであり、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例2】
【0028】
溶剤として、ジオキソランとメチルエチルケトンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:メチルエチルケトン=8:2)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる実施例2の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、実施例2の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、十分なシール強度を得ることができるものであり、ラベルの外観上も問題なく、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例3】
【0029】
溶剤として、ジオキソランとn−ヘキサンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:n−ヘキサン=8:2)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる実施例3の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、実施例3の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、十分なシール強度を得ることができるものであり、また、溶剤の浸透により、基材フィルムの形態が犯されることなく、ラベルの外観も優れ、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例4】
【0030】
溶剤として、ジオキソランとn−ヘキサンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:n−ヘキサン=7:3)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる実施例4の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、実施例4の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、センターシール部の強度が多少低下するものの、実施上、問題ないレベルであり、また、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、ラベル装着可能であり、また、溶剤の浸透により、基材フィルムの形態が犯されることなく、ラベルの外観も優れ、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例5】
【0031】
基材2として35μmのポリ乳酸系生分解性シュリンクフィルム(グンゼ株式会社製)を使用し、溶剤として、ジオキソランとn−ヘキサンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:n−ヘキサン=5.5:4.5)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる実施例5の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、実施例5の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、センターシール部の強度に優れ、また、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、ラベル装着可能であり、また、溶剤の浸透により、基材フィルムの形態が犯されることなく、ラベルの外観も優れ、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例6】
【0032】
基材2として35μmのポリ乳酸系生分解性シュリンクフィルム(グンゼ株式会社製)を使用し、溶剤として、ジオキソランとn−ヘキサンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:n−ヘキサン=3:7)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる実施例6の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、実施例6の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、センターシール部のセンターシール部の強度が多少低下するものの、実施上、問題ないレベルであり、また、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、ラベル装着が可能であり、また、溶剤の浸透により、基材フィルムの形態が犯されることなく、ラベルの外観も優れ、また、廃棄後、絵柄印刷層付き生分解性シュリンクラベルが、速やかに微生物により分解され、環境保護に役立つものであった。
【実施例7】
【0033】
実施例1で使用した生分解性インキの替わりにアルカリ可溶性インキ(大日精化工業株式会社製、品名「ダイエコロ」)を使用すること以外は、実施例1と同様の材料、方法で製造した。その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベル付き容器30は、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルに装着する際、ラベルの破断や剥離をすることなく、ラベル装着が可能であり、ラベルに形成される印刷層をアルカリ処理により可溶であり、ラベルが速やかに微生物により分解されるため、環境保護に役立つものであった。
また、実施例7の生分解性シュリンクラベルは、アルカリ処理(処理条件:85℃で1.5w/w%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に15分浸漬後、攪拌)し、しかる後、土中で放置すると、よりインキが分解しやすくなり、3ケ月後、印刷画線部は完全に分解して原形を留めていなかった。
【0034】
(比較例1)
基材2として35μmのポリ乳酸系生分解性シュリンクフィルム(グンゼ株式会社製)を使用し、溶剤として、ジオキソランとn−ヘキサンとの混合溶媒(重量混合比 ジオキソラン:n−ヘキサン=7:3)を使用すること以外、実施例1と同様の材料、方法で本発明にかかる筒状体からなる比較例1の生分解性シュリンクラベル20を製造した。
次いで、実施例1と同様にして、比較例1の生分解性シュリンクラベルを加熱収縮させて、生分解性シュリンクラベル付き容器30を製造した。
その結果、上記で得られた生分解性シュリンクラベルは、溶剤の浸透により、基材フィルムの形態が犯され、シール強度が部分的にばらつき、一部ブロッキングが発生してしまい、自動ラベル装着装置で、筒状ラベルをPETボトルにうまく装着することができなかった。
【0035】
(比較例2)
ラベル基材2として45μmの1軸延伸ポリエステル系シュリンクフィルム(東洋紡績株式会社製、品名「S7542」)を準備し、その片面に絵柄印刷層としてポリウレタン系インキ(ザ・インクテック株式会社製、品名「クリオス」)を用いてグラビア印刷法により印刷し、得られた当該フィルムを縦65mm、横15mmにカットして、比較例2に係る枚葉のシュリンクラベルを得た。
実施例1と同様の材料、方法を用いて、比較例2のシュリンクラベル付き容器を得た。
【0036】
(比較例3)
ラベル基材2に絵柄印刷層4としてポリウレタン系インキ(ザ・インクテック株式会社製、品名「クリオス」)を用いてグラビア印刷法により印刷し、得られた当該フィルムを高さ100mm、幅240mmにカットして、比較例3に係る枚葉の生分解性シュリンクラベルを得た。
実施例1と同様の材料、方法を用いて、比較例3の生分解性シュリンクラベル付き容器を得た。
【0037】
以上の実施例1〜7、および比較例1〜3の使用したラベル基材、インキ、および溶剤を表1に示す。
【表1】

【0038】
このようにして作製した実施例1〜7、比較例1〜3におけるのシュリンクラベルを用いて、ラベルのセンターシール強度、および分解性について下記の方法により評価した。その結果を表2に示す。
【0039】
(実験1:センターシール強度)
実施例1〜7、および比較例1〜3のシュリンクラベルを用いて、縦65mm、横15mmの長方形に切断して、溶剤によるセンターシール部(シール条件;シール幅:3mm)が中央の位置になるようにして測定用サンプルを作製した。
次に、測定用サンプルを引張測定機(株式会社オリエンテック製、商品名テンシロン)により、温度23℃、相対湿度50%下で、180°剥離方向に引張速度、50mm/分で端部から引張り、溶剤によるセンターシール部を剥離して、最高剥離強度をセンターシール強度とした。なお、結果を表2に示す。
【0040】
(実験2:分解性)
実施例1〜7、および比較例1〜3のシュリンクラベルを100mm×100mmの大きさに切出し、試料片とした。これを深さ10cmの土中に埋め、3ケ月間放置後、堀り出し、生分解性を以下の基準で評価した。なお、結果を表2に示す。
〔評価基準〕
○:3ケ月間放置後の試料の重量が、放置前の試料の重量と比較して、半分以下に分解しており、印刷画線部は完全に分解して原形を留めていない。
△:3ケ月間放置後の試料の重量が、放置前の試料の重量と比較して、半分以下に分解しているが、印刷画線部はその形状をほぼ保持している。
×:3ケ月間放置後の試料の重量が、放置前の試料の重量と比較して、ほぼ同じであり、試料の印刷画線部が、その形状をほぼ保持しており、分解していない。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示した実験1〜2の結果から明らかなように、実施例1〜7、および比較例1の生分解性シュリンクラベルは、シール強度に優れ、かつ、土中で3ケ月間放置後、ラベルに形成された印刷画線部、およびラベル本体の分解が進んでおり、廃棄物処理性に優れるラベルであった。
比較例2のシュリンクラベルは、シール強度について問題ないが、ラベルに形成された印刷画線部、およびラベル本体を土中で3ケ月間放置しても分解されず、破棄物処理性に問題があった。
比較例3のシュリンクラベルは、シール強度、ラベル本体の分解性について問題ないが、ラベルに形成された印刷画線部が、土中で3ケ月間放置しても分解されず、破棄物処理性に問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の生分解性シュリンクラベル10の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す有底筒状容器の胴部外周面に装着前の筒状シュリンクラベル20の断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す生分解性シュリンクラベル付き容器30の正面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 基材(生分解性フィルム)
4 生分解性印刷インキ組成物からなる層(印刷絵柄層)
8 有底円筒状容器
10 生分解性シュリンクラベル
14 センターシール部
20 筒状の生分解性シュリンクラベル
30 生分解性シュリンクラベル付き容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材が、一軸または二軸延伸の生分解性フィルムからなり、かつ溶剤によるシール性を有する材質からなり、
かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、
かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなることを特徴とする生分解性シュリンクラベル。
【請求項2】
前記のラベル基材が、片面または両面に生分解性インキ組成物を形成することを特徴とする請求項1記載の生分解性シュリンクラベル。
【請求項3】
前記の生分解性フィルムが、ポリ乳酸系フィルムからなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の生分解性シュリンクラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性シュリンクラベルが、容器の胴部外周面に装着してなることを特徴とする生分解性シュリンクラベル付容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−58647(P2006−58647A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240925(P2004−240925)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】