生分解性デバイスにおける医薬品の速度制御放出
長期間、治療部位内の治療薬の徐放を可能にする化学的侵食薬物送達システムを提供する。眼の後方部分に挿入される化学的侵食制御薬物送達システムは、生分解性ポリマー(好ましくはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、PLGA)および疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物を包含する。化学的侵食制御薬物送達システムであって、以下:生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物を含み、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、薬物送達の分野、より詳細には、生分解性薬物送達デバイスからの薬物送達の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
頻繁で定期的な投薬に関する従来の薬物送達は、多くの場合において理想的でないか、または実用的でない。例えば、より毒性のある薬物の場合、従来の定期的な投薬は、投薬初期に高い薬物濃度を生じ得、その後、多くの場合、投与の間に治療的価値のある濃度より低い薬物濃度を生じ得る。同様に、従来の定期的な投薬は、特定の場合(例えば、眼および脳の内部の血液の障壁に起因する、眼または脳の内部を標的にする薬学的な治療での場合)において実用的または治療的に有効であり得ない。
【0003】
ここ20年の間に、制御放出薬物送達システムの設計が、有意に発達している。このような発達によって、上記のいくらかの薬物送達の欠点を克服しようとする試みが行われている。一般に、制御放出薬物送達システムとしては、予定した期間、薬物を送達するように設計した持続性薬物送達システム、および身体の特定の領域または器官に薬物を送達するように設計した標的化薬物送達システムの両方が挙げられる。持続性および/または標的化制御放出薬物送達システムは、3種類の基本的な薬物制御放出の分類のうちの薬物放出の様式によってかなり変化し得る。基本的な薬物制御放出の分類としては、拡散制御放出、化学的侵食制御放出および溶媒活性化制御放出が挙げられる。拡散制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、不活性なバリアによって囲まれており、内部のリザーバーから拡散されるか、または薬物は、非分解性ポリマーの全体に分散されて、ポリマーマトリックスから拡散する。化学的侵食制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、生分解性ポリマーの全体に分散される。生分解性ポリマーは、加水分解を受けて分解し、次いで、薬物を放出するように設計される。溶媒活性化制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、薬物送達システム内のポリマーに固定化される。溶媒活性化の状態で、溶媒感受性ポリマーは、分解するかまたは膨張して、薬物を放出する。
【0004】
薬物送達システムからの薬物放出速度は、代表的に、そのシステムに使用される生分解性ポリマーの選択によって操作される。生分解性ポリマーは、ポリマーの分子量およびコポリマーの割合(例えば、乳酸対グリコール酸(LA:GA))に基づいて、加水分解能力の速度を変化させる。生分解性ポリマーの加水分解能力を高くするにつれて、薬物放出速度も速くなる。生分解性ポリマーの加水分解能力を低くするにつれて、薬物放出速度も低くなる。
【0005】
特許文献1は、生分解性ポリマー(例えば、1つ以上の活性な薬剤と混合した乳酸およびグリコール酸のポリエステル)を使用する薬物送達システムを教示している。より高い溶解度を有する調整剤は、低い溶解度の活性な薬剤に添加されて、薬物送達速度を増加させた。より低い溶解度を有する調整剤は、比較的高い溶解度の活性な薬剤と混合されて、薬物送達速度を減少させた。調整剤の添加によって、送達デバイスの重量は増加する。放出速度は、薬物送達デバイスまたは薬物送達システムにさらなる重量を加えずに、調整され得ることが、所望される。薬物送達デバイスは、所望の薬物送達プロファイルを得る間に、可能な限り高濃度の活性な薬剤を有することが、さらに所望される。1つの実施形態において、より長い期間にわたって、治療的に有効な量で送達され得る薬物を有することが、所望される。
【0006】
特許文献2は、生分解性ポリマー(例えば、1つ以上の活性な薬剤と混合した乳酸およびグリコール酸のポリエステル)を使用する薬物送達システムを教示している。送達プロファイルには、ステロイド性抗炎症剤が、48時間以内で少なくとも0.05μg/ml、および3週間で少なくとも0.03μg/mlの濃度のデキサメタゾンに相当する濃度に達するための量で送達されることが、記載されている。
【0007】
実施例1では、70:30の比のデキサメタゾン対ポリマー(ポリマーは1部の乳酸対1部のグリコール酸を含む)を含む生分解性移植物のインビトロでの放出速度を試験した。実施例6では、50:50の比のデキサメタゾン対ポリマー(ポリマーは1部の乳酸対1部のグリコール酸を含む)を含む生分解性移植物の放出速度を試験した。実施例6のデバイスと比較して、実施例1のデバイスにおけるデキサメタゾンが、より短い送達期間に40%増加し、最初の7日間で、放出速度が約75%増加した。より低い放出速度および長い放出期間を有する薬物送達デバイスを処方することが、所望される。
【0008】
さらに、上記の従来の薬物送達の欠点のために、送達される薬物、送達部位、送達目的および/または個々の患者の治療上の要求に依存する薬物放出速度の操作ならびに制御を可能にする制御放出薬物送達システムの方法の必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,869,079号明細書
【特許文献2】米国特許第6,726,918号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物またはマトリックスを含む化学的侵食制御薬物送達システムまたは化学的侵食制御薬物送達デバイスを包含する。1つの実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムまたは比較デバイスと比較した場合、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、比較システムまたは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムまたは比較デバイスと同じであるか、あるいは比較システムまたは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有するように、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0010】
さらに別の実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムまたは比較デバイスと比較した場合、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、比較システムまたは比較デバイスと同じであるか、あるいは比較システムまたは比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬物の放出期間を有するように、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0011】
1つの実施形態において、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、(i)比較システムもしくは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0012】
別の実施形態において、以下:
生分解性ポリマー;および
治療的に有効な量のアメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される、疎水性の薬学的に活性な薬剤、を含む化学的侵食制御薬物送達システムである。1つの実施形態において、薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、薬物送達システムが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0013】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含む薬物送達デバイスである。疎水性の薬学的に活性な薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する。
【0014】
別の実施形態において、以下:
生分解性ポリマーならびに生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたって、試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とすることを包含する、化学的侵食制御薬物送達デバイスである。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のの混合物またはマトリックスを含む、化学的侵食制御薬物送達システムまたは化学的侵食制御薬物送達デバイスを包含する。1つの実施形態において、その混合物は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる。
【0016】
さらに別の実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、その薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、(i)比較システムもしくは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、その薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0017】
1つ以上の実施形態において、本発明は、1つ以上の以下の定義を参照してより良く理解され得る。
【0018】
薬学的に活性な薬剤に関する場合、「放出速度」は、一定期間に、システム、デバイス、マトリックスまたは装置から出る薬学的に活性な薬剤の量と定義される。
【0019】
「比較システム」または「比較デバイス」は、選択された濃度からの、濃度の変化の影響を決定する目的で作製される、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスと定義される。比較システムまたは比較デバイスは、比較される薬物送達システムと比べて、比較システムの生分解性ポリマー中の医薬品の濃度が違うことを除いて比較される薬物送達システムと同一である。
【0020】
「化学的侵食制御薬物送達」は、水溶性媒体(例えば、体液)への薬物送達の曝露の結果として生じるポリマーの化学的侵食または溶解の速度に比例した速度での薬学的に活性な薬剤の送達と定義される。
【0021】
「生分解性ポリマー」は、水溶液(例えば、体液)に触れて、化学的に分解または溶解するポリマーと定義される。
【0022】
本明細書中で定義された「増分」は、別の変数のわずかの応答を統計的な信頼性で予測するのに十分である1つの変数の量の段階的変化である。非限定的な例として、活性な薬剤の濃度の増分の増加は、他の変数(例えば、放出速度または放出期間)の応答を決定するために十分な量の増加である。
【0023】
「放出期間」は、薬物送達システムまたはマトリックスが、90%の薬学的に活性な薬剤を放出する期間と定義される。
【0024】
「PLGA試験マトリックス」は、0.17の固有粘度を有する50%のラセミ体の乳酸および50%のグリコール酸を含有するポリマーと定義される。そのポリマーは、固形の薬学的に活性な薬剤とPLGAポリマー粉末のサンプルとを混合することによって、調製される。これらの成分の混合物は、十分な期間、混合されて、ポリマーと薬剤との一貫した混合物を確実にする。その後、その混合物は、十分な温度、代表的に50℃〜120℃の範囲の温度で押出されて、フィラメントが製造される。その混合物は、直径0.5mmのフィラメントに押出されて、所望の長さに切断される。
【0025】
別の変数に対する1つの変数の変化に関係する場合、「比例未満」は、他の変数においてX%の変化を生じる1つの変数におけるX%未満の変化と定義される。一例として、別の変数において1.5%の増加を生じる1つの変数における1%の増加は、他の変数に対する1つの変数の比例未満の変化である。別の変数において1%の変化を生じる1つの変数における1%の変化は、他の変数に対する1つの変数の比例未満の変化ではない。
【0026】
1つの実施形態において、ますます低くなる濃度は、選択された濃度より1%低く、薬物送達システムが、(i)比較システムより0.9%以下で高いか、比較システムと同じか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する。別の実施形態において、ますます低くなる濃度は、選択された濃度より1%低く、薬物送達システムが、(i)比較システムより0.7%、0.5%、0.4%、0.3%、もしくは0.2%以下で高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する。
【0027】
1つの実施形態において、活性な薬剤は、1%の濃度の増加によって放出期間中に、1つの実施形態の最小で0.1%の増加を生じるように、選択された濃度を有する。
【0028】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含む薬物送達デバイスがある。疎水性の薬学的に活性な薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する。
【0029】
1つの実施形態において、薬物送達デバイスは、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される。別の実施形態において、薬物送達デバイスは、最低で3週間、6週間、12週間、24週間、30週間、36週間、40週間、48週間もしくは52週間にわたって、最小で0.5μg、1μg、2μg、5μg、10μg、50μg、100μgおよび/または最大で50mg、25mg、15mg、10mg、5mgもしくは1mgを送達する。
【0030】
別の実施形態において、以下:生分解性ポリマーならびに生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、その薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とする、化学的侵食制御薬物送達デバイスである。
【0031】
1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の60wt%以下を放出する。好ましくは、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物は、3週間で薬学的に活性な薬剤の50wt%、40Wt%、30wt%または20wt%以下を放出する。
【0032】
1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物は、3週間にわたる試験マトリックスにおける35wt%混合物の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度より5%以下でより大きい。1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける55wt%混合物の疎水性の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度は、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける35wt%混合物の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度以下である。別の実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度は、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より5%未満、10%未満、25%未満、50%未満または100%未満である。
【0033】
本発明の少なくとも1つの実施形態の薬物送達システムは、好ましくは、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている。代表的に、そのシステムは、ヒト患者の眼の後方部分、好ましくは、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0034】
患者の眼にフィットするように、そのシステムは一般に、最大で26mm3の容積を占める。代表的に、そのシステムは、最大で15mm3、10mm3、4mm3または2mm3の容積を占める。さらにまたは代替として、そのシステムは、最大で50mgの質量を有する。1つの実施形態において、そのシステムまたはデバイスは、最大で25mg、15mg、10mg、5mgまたは1mgの質量を有する。
【0035】
薬物送達システムを処方する場合、特定の用途に適した量と同じ量の薬学的に活性な薬剤を含む、薬物送達システムを有することが所望される。例えば、眼に挿入される薬物送達デバイスは、持続性の放出のために十分な生分解性ポリマーを必要とし、全体の大きさは、眼の機能を妨げるほど、大きくてはいけない。代表的に、そのシステムは、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する。1つの実施形態において、そのシステムまたはデバイスは、最大で10mg、1mg、0.5mgまたは0.1mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0036】
1つの実施形態の薬物送達システムは、サイトカイン、チロシンキナーゼインヒビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤は、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質、からなる群から選択される。
【0037】
薬剤が疎水性であり、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の水における溶解度を有することが所望される。代表的に、疎水性の薬学的に活性な薬剤は、最大で、80μg/ml、70μg/ml、60μg/ml、50μg/ml、40μg/ml、30μg/ml、20μg/ml、10μg/mlまたは5μg/mlの溶解度を有する。
【0038】
1つの実施形態において、疎水性の薬学的に活性な薬剤は、アメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
【0039】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される。
【0040】
1つの実施形態の生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である。代表的に、薬物送達システムは、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する生分解性ポリマーを有する。好ましくは、グリコール酸に対する乳酸の割合は、最小値で0.2、0.4、0.8、0.9または1である。好ましくは、グリコール乳酸に対する乳酸の割合は、1つの実施形態に従って、最大値で10、8、6、4、2または1である。
【0041】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーは、最小値で0.8で最大値で4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する。好ましくは、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合は、最小値で0.2、0.9、1、1.5または2である。好ましくは、グリコール酸に対する乳酸の割合は、最大値で4、3.5、3、2.5または2である。
【0042】
1つの実施形態において、薬学的に活性な薬剤および生分解性ポリマーを含むマトリックスまたは混合物を有する、薬物送達デバイスまたは薬物送達システムである。そのデバイスまたはシステムは、マトリックス、混合物または生分解性ポリマーに薬学的に活性な薬剤の量を加えた全重量に基づいて最小で50wt%の量の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0043】
代表的に、そのデバイスは、生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて、薬学的に活性な薬剤の最小で50wt%、55wt%、60wt%の量ならびに/あるいは最大で80wt%、75wt%、70wt%、65wt%または60wt%の量を有する。
【0044】
別の実施形態において、薬物送達システムは、疎水性の薬剤を含む。疎水性の薬剤は、マトリックスの疎水性を増強するために、生分解性ポリマーおよび疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスに加えられる薬学的に活性な薬剤以外の物質である。
【0045】
好ましくは、疎水性の薬剤は、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施形態において、疎水性の薬剤は、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
1つの実施形態において、疎水性の薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/mlより大きい溶解度を有する。代表的に、疎水性の薬剤は、最大で80μg/ml、70μg/ml、60μg/ml、50μg/ml、40μg/ml、30μg/ml、20μg/ml、10μg/ml、または5μg/mlの溶解度を有する。
【0047】
本発明の1つの実施形態に従って、治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化することによって、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを作製する方法がある。薬物送達システムまたは薬物送達デバイスは、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0048】
本発明の1つの実施形態に従って、治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマー中で混合することによって、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを作製する方法がある。薬物送達システムは、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0049】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを使用する方法がある。その方法は、眼内に切開を作製する工程を包含する。その後、上記切開を通して、一般に、硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて、上記眼内にそのシステムを移植する。
【0050】
本発明は、1つ以上の生分解性組成物(例えば、非限定的であるが、50/50ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA))および1つ以上の疎水性または疎水性に増強した薬学的に活性な薬剤もしくは薬物から生成される、新規の化学的侵食制御放出薬物送達システムに関連する。生分解性組成物内に装填される疎水性または疎水性に増強した医薬品もしくは薬物を変更することによって、送達デバイス全体の生分解性分解速度およびそれによる薬物放出速度が、所望のように操作され得る。例えば、いくつかの生分解性化学的侵食制御放出薬物送達システムは、押出しプロセスを通して50/50PLGAにおいて35重量パーセントおよび55重量パーセントのフルオシノロンアセトニド(FA)負荷で調製される。これらの薬物送達システムは、TSV MilleniumTM硝子体切除システム(Bausch & Lomb Incorporated,Rochester,New York)における25穿刺針(25−guage needle)とともに使用される0.5mm直径のカニューレを通して挿入され得た。インビトロでの薬物放出研究を、図3〜5および図10〜12に示すように、薬物送達システムから放出される期間および薬物の量を決定するために行った。30日の研究に基づいて、55重量パーセントのFAシステムは、増加した疎水性に起因してより遅い分解を示し、その結果として、より遅い生分解性分解を生じる、水溶性媒体のより遅い拡散を示した。30日後、35重量%のFAシステムおよび55重量%のFAシステムは、図6〜8、図13〜15、図17および図18に示したように、それぞれ25%および17%の累積的な放出を示した。両方の場合において、1日あたりのFA放出速度は、少なくとも約5μgであった。70日後、35重量%のFAシステムおよび55重量%のFAシステムは、図19に示したように、それぞれ75%および61%の累積的な放出を示した。従って、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、送達されるための疎水性または疎水性に増強した薬物の負荷に基づいた薬物放出速度の制御を可能にする。
【0051】
本発明の目的のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける使用に適切な生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明の目的のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける使用に適切な疎水性の医薬品または薬物としては、水に溶けにくいか、またはわずかに溶ける(すなわち、液体あたり1パーセント未満の薬物)ことを意味するように本明細書中で定義された、疎水性である任意の医薬品または薬物が挙げられる。同様に、親水性の薬物または低い疎水性を有する薬物は、その疎水性を増加することによって、本発明に従って使用され得る。そのような疎水性を増強した薬物は、適切な生体適合性の疎水性の薬剤と、親水性の薬物または低い疎水性を有する薬物とを混合することによって生成される。適切な生体適合性の疎水性の薬剤としては、例えば、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのような疎水性の薬剤は、マトリックスポリマーの間隙を充填することによって、薬物放出速度に影響を与える。マトリックスポリマーの間隙を充填することによって、疎水性の薬剤は、それらの疎水性および物理的障害として働くことにより、薬物送達システムのバルクへの水の拡散を妨げる。水の拡散の障害を通して、薬物送達システムの加水分解速度が減少する。
【0053】
本発明の使用に適切な疎水性の薬物、または疎水性の増強に適切な薬物としては、例えば、アメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトインおよびビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な薬学的に活性な薬剤としては、サイトカインおよびステロイド性ホルモン(例えば、エストラゲン(例えば、エストラジオール)、およびアンドロゲン(例えば、テストストロン))、ホルモン、またはステロール骨格を含む他のホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。1つより多い薬物の混合物もまた、共投与の目的のための1つの薬物送達システムに組み込まれ得る。
【0054】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける有用な他の薬学的に活性な薬剤または薬物としては、例えば、抗緑内障剤(例えば、眼圧低下剤(非限定的な例として、ダイアモックス))、神経保護剤(例えば、ニモジピン)、β遮断剤(例えば、マレイン酸チモロール、ベタキソールおよびメチプラノロール)、有糸分裂(例えば、ピロカルピン、塩化アセチルコリン、イソフルオロフェート(isofluorophate)、臭化デマカリウム、ヨウ化エコチオフェート、ヨウ化ホスホリン、カルバコールおよびフィゾスチジミン)、エピネフリンおよび塩(例えば、塩酸ジピベフリン、ジクロルフェナミド、アセタゾラアミドおよびメタゾルアミド);抗糖尿病浮腫剤(非限定的な例として、ステロイド(例えば、フルオシノロン))、および抗血管内皮増殖因子(VEGF)レセプター(例えば、VEGFレセプターチロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノンおよびC6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン);抗増殖性硝子体網膜症剤(非限定的な例として、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンおよびトリアムシノロンアセトニド);抗炎症剤(非限定的な例として、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベタメタゾンおよびトリアムシノロンアセトニド))および免疫反応調整剤(例えば、シクロスポリン);抗眼球性脈管形成剤(非限定的な例として、抗VEGFレセプター(例えば、VEGFレセプターチロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノンおよびC6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン))、抗流動剤(例えば、サイトカラシンB)、ステロイド(例えば、フルオシノロンアセトニドデキサメタゾンおよびプレドニゾロン)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター(例えば、ベンゾジアゼピンスルホンアミドヒドロキサム酸)、ならびにやや溶けにくくなるように処方されるヒト化抗体、アプタマーおよびペプチド;抗生物質(非限定的な例として、ガンシクロビル);脈管形成標的剤(非限定的な例として、脈管形成増殖因子(例えば、VEGF、VEGFレセプター、インテグリン、組織因子、プロスタグランジン−シクロオキシゲナーゼ2およびMMP));抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤(非限定的な例として、アルドースレダクターゼインヒビター、トルレスタット、リジノプリル、エナラプリルおよびスタチル(statil))、チオール架橋剤、抗癌剤(非限定的な例として、レチノイン酸、メトトレキサート、アドリアマイシン、ブレオマイシン、トリアムシノロン、マイトマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アクチノマイシン−D、アラ−c(ara−c)、ビサントレン、活性化シトキサン、メルファラン、ミトラマイシン、プロカルバジンおよびタモキシフェン)、免疫調節因子、抗凝固剤(非限定的な例として、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼ)、抗組織損傷剤(非限定的な例として、スーパーオキシドジスムターゼ)、タンパク質および核酸(非限定的な例として、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、酵素、タンパク質ホルモンならびに遺伝子、遺伝子断片およびプラスミド)、ステロイド、特に抗炎症剤または抗線維剤(非限定的な例として、ロデプレドノル(lodeprednol)、エタボネート、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾム(prednisome)、デキサメタゾン、プロゲステロン様化合物、メドリゾン(HMS)およびフルオロメトロン)、非ステロイド性抗炎症剤(非限定的な例として、ケトロラックトロメタミン、ジクロフェナックナトリウムおよびスプロフェン)、抗生物質(非限定的な例として、ロリジン(セファロリジン)、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、アミカシン、トブラマイシン、メチシリン、リンコマイシン、オキシシリン(oxycillin)、ペニシリン、アンホテリシンB、ポリミキシンB、セファロスポリンファミリー、アンピシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セホロチン(cepholothin)、コリスチン、エリスロマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、スルファセタミド、バンコマイシン、硝酸銀、スルフイソキサゾールジオラミンおよびテトラサイクリン)、抗ウイルス剤を含む他の抗病原体(非限定的な例として、イドクスウリジン、トリフルオロウリジン、ビダラビン(アデニンアラビノシド)、アシクロビル(アシクログアノシン)、ピリメタミン、トリスルファピリミジン−2、クリンダマイシン、ナイスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、およびミコナゾール)、ピペラジン誘導体(非限定的な例として、ジエチルカルバマジン)、ならびに毛様体筋麻痺薬および散瞳薬(非限定的な例として、アトロピン、シクロゲル(cyclogel)、スコポラミン、ホマトロピンおよびトロピカミド(ミドリアシル))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
他の適切な薬学的に活性な薬剤または薬物としては、抗コリン作用薬、抗凝固剤、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物および抗アレルギー性物質が挙げられる。
【0056】
特定の目的の医薬品または薬物としては、ヒドロコルチゾン(血漿中濃度として5〜20mcg/l)、ゲンタマイシン(血清中に6〜10mcg/ml)、5−フルオロウラシル(血清中に約30mg/kg(体重))、ソルビニル、インターロイキン−2、ファカン−a(phakan−a)(グルタチオンの成分)、チオラ−チオプロニン、ベンダザック、アセチルサリチル酸、トリフルオロチミジン、インターフェロン(α、βおよびγ)、免疫調節因子(非限定的な例として、リンフォカインおよびモノカイン)および増殖因子が挙げられる。
【0057】
薬物疎水性および薬物送達システム内の装填サイズは、生侵食性分解の速度を決定づけ、薬物放出速度を制御する主要な因子である。従って、薬物送達システム内の薬物の疎水性および薬物装填サイズを制御することによって、特定の特徴または性質が達成される。次いで、達成された特定の特徴または性質は、所望の薬物放出速度を達成するために操作され得る。所望の薬物放出速度は、送達されるための薬物、送達部位、送達目的および/または個々の患者の治療上の要求に基づいて決定され得る。
【0058】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、なおより詳細に以下の実施例に記載される。
【実施例】
【0059】
(実施例1−化学的侵食制御放出薬物送達システムのサンプル調製および研究)
AtlasTMラボ混合押出し成形機(LME)(Dynisco Instruments,Franklin,Massachusetts)を使用して、35パーセントおよび55パーセントの装填物でのPLGA/FAストランドならびにPLGAプラシーボフィラメントを混合して、各直径約0.5mmで押出し成形した。これらの円筒型のフィラメントを、デシケーターユニットで保存した。1つの装填物につき3つのサンプルを、直径約0.5mmおよび長さ1cmに切断して、重さを量り、50mlリン酸緩衝液、pH=7.4を含む遠心管に個々に入れた。各サンプルを、遠心管の壁に付着させて、1分間に8回転(rpm)で、回転ミキサーの上に置いた。次いで、全てのサンプルを、37℃の乾燥機に入れた。定期的な間隔で、50mlリザーバーからの15ml溶液サンプルを、除去して、新鮮なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の同体積と交換した。その溶液サンプルのpHを測定した。次いで、その溶液サンプルを、15mlの新鮮なPBSで希釈して、十分に混合した。吸光度の値を、UV/VIS分光光度計で読んで、グリコール酸およびFAに対応するピーク値を、図1に示した期間、各サンプルについて読んだ。1日あたりの放出速度および累積的な放出パーセントを測定した。
【0060】
50/50DL−PLGAは、非晶質高分子である。PLGA生分解性についての一次経路は、ポリマーマトリックスへの水の拡散、ランダムな加水分解、マトリックスの細分化を介し、続いて、食作用、拡散および代謝とともに広範囲の加水分解が起こる。最初の30日の研究の間、透明なPLGAサンプルは、移植物の屈折率の変化によって証明されるように、水の拡散を増加させる徴候を示した。大きなフラグメント化は、目に見えなかった。加水分解およびその結果の薬物放出に影響する他の要因は、移植物の表面積、ポリマーの結晶化度および親水性ならびにpHおよび周囲の媒体の温度である。ポリマーの押出し成形は、結晶化を誘発し、それは、他の成形加工(例えば、圧縮成形または、より少ない程度で、射出成形)の様式と比較して分解を遅くする。コポリマーの分子量およびグリコライド含有量もまた、加水分解速度ならびにチューブタンブラーの混合速度、rpmに有意に影響し得る。グリコール酸についてのピーク吸光度の値は、表面の拡散から生成される最初のピークの後、比較的安定した加水分解を示す。そのシステムは、図2に示したように、30日にわたって測定した狭いpHの範囲に見られるような十分な緩衝作用を示した。
【0061】
PLGA中の疎水性化合物、フルオシノロンアセトニドの存在は、移植物の大きさの比較的小さい変化によって証明されるように、水の拡散速度を有意に低下させる。移植物の表面はまた、PLGA移植物よりも滑らかなように見える。大部分のFA放出速度は、移植物に存在する25%の約850μgのFAの累積的な放出で1日あたり5μgを超えた。そのシステムのpHは、図9および図16に示したように、30日間にわたって少しの変化を示し、より遅いPLGAの加水分解およびFAについての低い酸性度定数、Kaによって影響を受けた。
【0062】
55パーセントのFA移植物は、35パーセントの移植物とおおよそ同じ速さで放出されるように見える。そのサンプルはまた、35パーセントの移植物と同じレベルで原型(インタクト)を保つように見える。そのシステムのpHは、同様に十分に緩衝化されているように見える。
【0063】
結論として、1日あたりの類似の放出速度は、最初の30日の研究の間、35パーセントおよび55パーセントの両方のFA移植物で観測され、主に拡散制御プロセスであるように見える。今まで観測した、評価したFA装填物に基づいた、FAの累積的な放出のパーセントは、35%の移植物と比べて、55%の移植物について有意に少ない。
【0064】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、それらを使用しようとする意図した目的に適切な任意の形状または大きさで製造され得る。例えば、眼の内部の後方の移植物としての使用のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、好ましくは、3mm2の大きさより大きくない。本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムを製造する方法としては、当業者に公知の鋳造成形、押出し成形、などの方法が挙げられる。いったん製造されると、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、当業者に公知の慣例の方法を用いて、パッケージされて、滅菌される。
【0065】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、広範囲の治療用途に使用され得る。例えば、眼科学の分野において、本題の制御放出薬物送達システムは、眼の内部内の移植によって使用される。しかし、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、眼科学の分野における当業者に公知の他の外科的処置に従って、同様に使用され得る。
【0066】
化学的侵食制御放出薬物送達システムならびに同様の作製方法および使用方法が、本明細書中に示されて記載されているが、種々の改変が、根底にある発明概念の精神および範囲から逸脱せずに行われることは、当業者に明白である。同様に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されるような範囲を除いて本明細書中に記載された特定のモノマー、コポリマーおよびシステムに制限されることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、時間に対する100パーセントの50/50ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA)(プラシーボ)移植物の加水分解の吸光度の値を示すグラフである。
【図2】図2は、時間に対する100パーセントの50/50PLGA(プラシーボ)移植物のpHを示すグラフである。
【図3】図3は、時間に対する35パーセントのフルオシノロンアセトニド(FA)移植物−サンプル1について薬物放出速度を示すグラフである。
【図4】図4は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル2についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図5】図5は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル3についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図6】図6は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル1についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図7】図7は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル2についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図8】図8は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル3についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図9】図9は、時間に対する35パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、pHを示すグラフである。
【図10】図10は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル1についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図11】図11は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル2についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図12】図12は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル3についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図13】図13は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル1についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図14】図14は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル2についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図15】図15は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル3についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図16】図16は、時間に対する55パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、pHを示すグラフである。
【図17】図17は、時間に対する35パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、薬物放出速度ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図18】図18は、時間に対する55パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、薬物放出速度ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図19】図19は、35パーセントおよび55パーセントのFA移植物、薬物放出速度、ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを70日間、示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、薬物送達の分野、より詳細には、生分解性薬物送達デバイスからの薬物送達の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
頻繁で定期的な投薬に関する従来の薬物送達は、多くの場合において理想的でないか、または実用的でない。例えば、より毒性のある薬物の場合、従来の定期的な投薬は、投薬初期に高い薬物濃度を生じ得、その後、多くの場合、投与の間に治療的価値のある濃度より低い薬物濃度を生じ得る。同様に、従来の定期的な投薬は、特定の場合(例えば、眼および脳の内部の血液の障壁に起因する、眼または脳の内部を標的にする薬学的な治療での場合)において実用的または治療的に有効であり得ない。
【0003】
ここ20年の間に、制御放出薬物送達システムの設計が、有意に発達している。このような発達によって、上記のいくらかの薬物送達の欠点を克服しようとする試みが行われている。一般に、制御放出薬物送達システムとしては、予定した期間、薬物を送達するように設計した持続性薬物送達システム、および身体の特定の領域または器官に薬物を送達するように設計した標的化薬物送達システムの両方が挙げられる。持続性および/または標的化制御放出薬物送達システムは、3種類の基本的な薬物制御放出の分類のうちの薬物放出の様式によってかなり変化し得る。基本的な薬物制御放出の分類としては、拡散制御放出、化学的侵食制御放出および溶媒活性化制御放出が挙げられる。拡散制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、不活性なバリアによって囲まれており、内部のリザーバーから拡散されるか、または薬物は、非分解性ポリマーの全体に分散されて、ポリマーマトリックスから拡散する。化学的侵食制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、生分解性ポリマーの全体に分散される。生分解性ポリマーは、加水分解を受けて分解し、次いで、薬物を放出するように設計される。溶媒活性化制御放出薬物送達システムにおいて、薬物は、薬物送達システム内のポリマーに固定化される。溶媒活性化の状態で、溶媒感受性ポリマーは、分解するかまたは膨張して、薬物を放出する。
【0004】
薬物送達システムからの薬物放出速度は、代表的に、そのシステムに使用される生分解性ポリマーの選択によって操作される。生分解性ポリマーは、ポリマーの分子量およびコポリマーの割合(例えば、乳酸対グリコール酸(LA:GA))に基づいて、加水分解能力の速度を変化させる。生分解性ポリマーの加水分解能力を高くするにつれて、薬物放出速度も速くなる。生分解性ポリマーの加水分解能力を低くするにつれて、薬物放出速度も低くなる。
【0005】
特許文献1は、生分解性ポリマー(例えば、1つ以上の活性な薬剤と混合した乳酸およびグリコール酸のポリエステル)を使用する薬物送達システムを教示している。より高い溶解度を有する調整剤は、低い溶解度の活性な薬剤に添加されて、薬物送達速度を増加させた。より低い溶解度を有する調整剤は、比較的高い溶解度の活性な薬剤と混合されて、薬物送達速度を減少させた。調整剤の添加によって、送達デバイスの重量は増加する。放出速度は、薬物送達デバイスまたは薬物送達システムにさらなる重量を加えずに、調整され得ることが、所望される。薬物送達デバイスは、所望の薬物送達プロファイルを得る間に、可能な限り高濃度の活性な薬剤を有することが、さらに所望される。1つの実施形態において、より長い期間にわたって、治療的に有効な量で送達され得る薬物を有することが、所望される。
【0006】
特許文献2は、生分解性ポリマー(例えば、1つ以上の活性な薬剤と混合した乳酸およびグリコール酸のポリエステル)を使用する薬物送達システムを教示している。送達プロファイルには、ステロイド性抗炎症剤が、48時間以内で少なくとも0.05μg/ml、および3週間で少なくとも0.03μg/mlの濃度のデキサメタゾンに相当する濃度に達するための量で送達されることが、記載されている。
【0007】
実施例1では、70:30の比のデキサメタゾン対ポリマー(ポリマーは1部の乳酸対1部のグリコール酸を含む)を含む生分解性移植物のインビトロでの放出速度を試験した。実施例6では、50:50の比のデキサメタゾン対ポリマー(ポリマーは1部の乳酸対1部のグリコール酸を含む)を含む生分解性移植物の放出速度を試験した。実施例6のデバイスと比較して、実施例1のデバイスにおけるデキサメタゾンが、より短い送達期間に40%増加し、最初の7日間で、放出速度が約75%増加した。より低い放出速度および長い放出期間を有する薬物送達デバイスを処方することが、所望される。
【0008】
さらに、上記の従来の薬物送達の欠点のために、送達される薬物、送達部位、送達目的および/または個々の患者の治療上の要求に依存する薬物放出速度の操作ならびに制御を可能にする制御放出薬物送達システムの方法の必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第5,869,079号明細書
【特許文献2】米国特許第6,726,918号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物またはマトリックスを含む化学的侵食制御薬物送達システムまたは化学的侵食制御薬物送達デバイスを包含する。1つの実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムまたは比較デバイスと比較した場合、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、比較システムまたは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムまたは比較デバイスと同じであるか、あるいは比較システムまたは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有するように、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0010】
さらに別の実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムまたは比較デバイスと比較した場合、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、比較システムまたは比較デバイスと同じであるか、あるいは比較システムまたは比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬物の放出期間を有するように、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0011】
1つの実施形態において、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、(i)比較システムもしくは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、薬物送達システムもしくは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0012】
別の実施形態において、以下:
生分解性ポリマー;および
治療的に有効な量のアメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される、疎水性の薬学的に活性な薬剤、を含む化学的侵食制御薬物送達システムである。1つの実施形態において、薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、薬物送達システムが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0013】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含む薬物送達デバイスである。疎水性の薬学的に活性な薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する。
【0014】
別の実施形態において、以下:
生分解性ポリマーならびに生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたって、試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とすることを包含する、化学的侵食制御薬物送達デバイスである。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のの混合物またはマトリックスを含む、化学的侵食制御薬物送達システムまたは化学的侵食制御薬物送達デバイスを包含する。1つの実施形態において、その混合物は、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる。
【0016】
さらに別の実施形態において、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、その薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、(i)比較システムもしくは比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムもしくは比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムもしくは比較デバイスと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、その薬物送達システムまたは薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0017】
1つ以上の実施形態において、本発明は、1つ以上の以下の定義を参照してより良く理解され得る。
【0018】
薬学的に活性な薬剤に関する場合、「放出速度」は、一定期間に、システム、デバイス、マトリックスまたは装置から出る薬学的に活性な薬剤の量と定義される。
【0019】
「比較システム」または「比較デバイス」は、選択された濃度からの、濃度の変化の影響を決定する目的で作製される、薬物送達システムまたは薬物送達デバイスと定義される。比較システムまたは比較デバイスは、比較される薬物送達システムと比べて、比較システムの生分解性ポリマー中の医薬品の濃度が違うことを除いて比較される薬物送達システムと同一である。
【0020】
「化学的侵食制御薬物送達」は、水溶性媒体(例えば、体液)への薬物送達の曝露の結果として生じるポリマーの化学的侵食または溶解の速度に比例した速度での薬学的に活性な薬剤の送達と定義される。
【0021】
「生分解性ポリマー」は、水溶液(例えば、体液)に触れて、化学的に分解または溶解するポリマーと定義される。
【0022】
本明細書中で定義された「増分」は、別の変数のわずかの応答を統計的な信頼性で予測するのに十分である1つの変数の量の段階的変化である。非限定的な例として、活性な薬剤の濃度の増分の増加は、他の変数(例えば、放出速度または放出期間)の応答を決定するために十分な量の増加である。
【0023】
「放出期間」は、薬物送達システムまたはマトリックスが、90%の薬学的に活性な薬剤を放出する期間と定義される。
【0024】
「PLGA試験マトリックス」は、0.17の固有粘度を有する50%のラセミ体の乳酸および50%のグリコール酸を含有するポリマーと定義される。そのポリマーは、固形の薬学的に活性な薬剤とPLGAポリマー粉末のサンプルとを混合することによって、調製される。これらの成分の混合物は、十分な期間、混合されて、ポリマーと薬剤との一貫した混合物を確実にする。その後、その混合物は、十分な温度、代表的に50℃〜120℃の範囲の温度で押出されて、フィラメントが製造される。その混合物は、直径0.5mmのフィラメントに押出されて、所望の長さに切断される。
【0025】
別の変数に対する1つの変数の変化に関係する場合、「比例未満」は、他の変数においてX%の変化を生じる1つの変数におけるX%未満の変化と定義される。一例として、別の変数において1.5%の増加を生じる1つの変数における1%の増加は、他の変数に対する1つの変数の比例未満の変化である。別の変数において1%の変化を生じる1つの変数における1%の変化は、他の変数に対する1つの変数の比例未満の変化ではない。
【0026】
1つの実施形態において、ますます低くなる濃度は、選択された濃度より1%低く、薬物送達システムが、(i)比較システムより0.9%以下で高いか、比較システムと同じか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する。別の実施形態において、ますます低くなる濃度は、選択された濃度より1%低く、薬物送達システムが、(i)比較システムより0.7%、0.5%、0.4%、0.3%、もしくは0.2%以下で高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する。
【0027】
1つの実施形態において、活性な薬剤は、1%の濃度の増加によって放出期間中に、1つの実施形態の最小で0.1%の増加を生じるように、選択された濃度を有する。
【0028】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含む薬物送達デバイスがある。疎水性の薬学的に活性な薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する。
【0029】
1つの実施形態において、薬物送達デバイスは、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される。別の実施形態において、薬物送達デバイスは、最低で3週間、6週間、12週間、24週間、30週間、36週間、40週間、48週間もしくは52週間にわたって、最小で0.5μg、1μg、2μg、5μg、10μg、50μg、100μgおよび/または最大で50mg、25mg、15mg、10mg、5mgもしくは1mgを送達する。
【0030】
別の実施形態において、以下:生分解性ポリマーならびに生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、その薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とする、化学的侵食制御薬物送達デバイスである。
【0031】
1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で薬学的に活性な薬剤の60wt%以下を放出する。好ましくは、PLGA試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物は、3週間で薬学的に活性な薬剤の50wt%、40Wt%、30wt%または20wt%以下を放出する。
【0032】
1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物は、3週間にわたる試験マトリックスにおける35wt%混合物の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度より5%以下でより大きい。1つの実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける55wt%混合物の疎水性の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度は、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける35wt%混合物の薬学的に活性な薬剤の累積的な放出速度以下である。別の実施形態において、PLGA試験マトリックスにおける疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度は、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より5%未満、10%未満、25%未満、50%未満または100%未満である。
【0033】
本発明の少なくとも1つの実施形態の薬物送達システムは、好ましくは、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている。代表的に、そのシステムは、ヒト患者の眼の後方部分、好ましくは、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0034】
患者の眼にフィットするように、そのシステムは一般に、最大で26mm3の容積を占める。代表的に、そのシステムは、最大で15mm3、10mm3、4mm3または2mm3の容積を占める。さらにまたは代替として、そのシステムは、最大で50mgの質量を有する。1つの実施形態において、そのシステムまたはデバイスは、最大で25mg、15mg、10mg、5mgまたは1mgの質量を有する。
【0035】
薬物送達システムを処方する場合、特定の用途に適した量と同じ量の薬学的に活性な薬剤を含む、薬物送達システムを有することが所望される。例えば、眼に挿入される薬物送達デバイスは、持続性の放出のために十分な生分解性ポリマーを必要とし、全体の大きさは、眼の機能を妨げるほど、大きくてはいけない。代表的に、そのシステムは、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する。1つの実施形態において、そのシステムまたはデバイスは、最大で10mg、1mg、0.5mgまたは0.1mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0036】
1つの実施形態の薬物送達システムは、サイトカイン、チロシンキナーゼインヒビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤は、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質、からなる群から選択される。
【0037】
薬剤が疎水性であり、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の水における溶解度を有することが所望される。代表的に、疎水性の薬学的に活性な薬剤は、最大で、80μg/ml、70μg/ml、60μg/ml、50μg/ml、40μg/ml、30μg/ml、20μg/ml、10μg/mlまたは5μg/mlの溶解度を有する。
【0038】
1つの実施形態において、疎水性の薬学的に活性な薬剤は、アメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
【0039】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される。
【0040】
1つの実施形態の生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である。代表的に、薬物送達システムは、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する生分解性ポリマーを有する。好ましくは、グリコール酸に対する乳酸の割合は、最小値で0.2、0.4、0.8、0.9または1である。好ましくは、グリコール乳酸に対する乳酸の割合は、1つの実施形態に従って、最大値で10、8、6、4、2または1である。
【0041】
1つの実施形態において、生分解性ポリマーは、最小値で0.8で最大値で4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する。好ましくは、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合は、最小値で0.2、0.9、1、1.5または2である。好ましくは、グリコール酸に対する乳酸の割合は、最大値で4、3.5、3、2.5または2である。
【0042】
1つの実施形態において、薬学的に活性な薬剤および生分解性ポリマーを含むマトリックスまたは混合物を有する、薬物送達デバイスまたは薬物送達システムである。そのデバイスまたはシステムは、マトリックス、混合物または生分解性ポリマーに薬学的に活性な薬剤の量を加えた全重量に基づいて最小で50wt%の量の薬学的に活性な薬剤を有する。
【0043】
代表的に、そのデバイスは、生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて、薬学的に活性な薬剤の最小で50wt%、55wt%、60wt%の量ならびに/あるいは最大で80wt%、75wt%、70wt%、65wt%または60wt%の量を有する。
【0044】
別の実施形態において、薬物送達システムは、疎水性の薬剤を含む。疎水性の薬剤は、マトリックスの疎水性を増強するために、生分解性ポリマーおよび疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスに加えられる薬学的に活性な薬剤以外の物質である。
【0045】
好ましくは、疎水性の薬剤は、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施形態において、疎水性の薬剤は、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
1つの実施形態において、疎水性の薬剤は、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/mlより大きい溶解度を有する。代表的に、疎水性の薬剤は、最大で80μg/ml、70μg/ml、60μg/ml、50μg/ml、40μg/ml、30μg/ml、20μg/ml、10μg/ml、または5μg/mlの溶解度を有する。
【0047】
本発明の1つの実施形態に従って、治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化することによって、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを作製する方法がある。薬物送達システムまたは薬物送達デバイスは、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0048】
本発明の1つの実施形態に従って、治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマー中で混合することによって、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを作製する方法がある。薬物送達システムは、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている。
【0049】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中で開示した1つ以上の薬物送達システムまたは薬物送達デバイスを使用する方法がある。その方法は、眼内に切開を作製する工程を包含する。その後、上記切開を通して、一般に、硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて、上記眼内にそのシステムを移植する。
【0050】
本発明は、1つ以上の生分解性組成物(例えば、非限定的であるが、50/50ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA))および1つ以上の疎水性または疎水性に増強した薬学的に活性な薬剤もしくは薬物から生成される、新規の化学的侵食制御放出薬物送達システムに関連する。生分解性組成物内に装填される疎水性または疎水性に増強した医薬品もしくは薬物を変更することによって、送達デバイス全体の生分解性分解速度およびそれによる薬物放出速度が、所望のように操作され得る。例えば、いくつかの生分解性化学的侵食制御放出薬物送達システムは、押出しプロセスを通して50/50PLGAにおいて35重量パーセントおよび55重量パーセントのフルオシノロンアセトニド(FA)負荷で調製される。これらの薬物送達システムは、TSV MilleniumTM硝子体切除システム(Bausch & Lomb Incorporated,Rochester,New York)における25穿刺針(25−guage needle)とともに使用される0.5mm直径のカニューレを通して挿入され得た。インビトロでの薬物放出研究を、図3〜5および図10〜12に示すように、薬物送達システムから放出される期間および薬物の量を決定するために行った。30日の研究に基づいて、55重量パーセントのFAシステムは、増加した疎水性に起因してより遅い分解を示し、その結果として、より遅い生分解性分解を生じる、水溶性媒体のより遅い拡散を示した。30日後、35重量%のFAシステムおよび55重量%のFAシステムは、図6〜8、図13〜15、図17および図18に示したように、それぞれ25%および17%の累積的な放出を示した。両方の場合において、1日あたりのFA放出速度は、少なくとも約5μgであった。70日後、35重量%のFAシステムおよび55重量%のFAシステムは、図19に示したように、それぞれ75%および61%の累積的な放出を示した。従って、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、送達されるための疎水性または疎水性に増強した薬物の負荷に基づいた薬物放出速度の制御を可能にする。
【0051】
本発明の目的のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける使用に適切な生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明の目的のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける使用に適切な疎水性の医薬品または薬物としては、水に溶けにくいか、またはわずかに溶ける(すなわち、液体あたり1パーセント未満の薬物)ことを意味するように本明細書中で定義された、疎水性である任意の医薬品または薬物が挙げられる。同様に、親水性の薬物または低い疎水性を有する薬物は、その疎水性を増加することによって、本発明に従って使用され得る。そのような疎水性を増強した薬物は、適切な生体適合性の疎水性の薬剤と、親水性の薬物または低い疎水性を有する薬物とを混合することによって生成される。適切な生体適合性の疎水性の薬剤としては、例えば、グリセロールトリアセテート、グリセロールジアセテート、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリセロール誘導体、クエン酸アセチルトリエチル、酒石酸ジブチルおよびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そのような疎水性の薬剤は、マトリックスポリマーの間隙を充填することによって、薬物放出速度に影響を与える。マトリックスポリマーの間隙を充填することによって、疎水性の薬剤は、それらの疎水性および物理的障害として働くことにより、薬物送達システムのバルクへの水の拡散を妨げる。水の拡散の障害を通して、薬物送達システムの加水分解速度が減少する。
【0053】
本発明の使用に適切な疎水性の薬物、または疎水性の増強に適切な薬物としては、例えば、アメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトインおよびビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な薬学的に活性な薬剤としては、サイトカインおよびステロイド性ホルモン(例えば、エストラゲン(例えば、エストラジオール)、およびアンドロゲン(例えば、テストストロン))、ホルモン、またはステロール骨格を含む他のホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。1つより多い薬物の混合物もまた、共投与の目的のための1つの薬物送達システムに組み込まれ得る。
【0054】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムにおける有用な他の薬学的に活性な薬剤または薬物としては、例えば、抗緑内障剤(例えば、眼圧低下剤(非限定的な例として、ダイアモックス))、神経保護剤(例えば、ニモジピン)、β遮断剤(例えば、マレイン酸チモロール、ベタキソールおよびメチプラノロール)、有糸分裂(例えば、ピロカルピン、塩化アセチルコリン、イソフルオロフェート(isofluorophate)、臭化デマカリウム、ヨウ化エコチオフェート、ヨウ化ホスホリン、カルバコールおよびフィゾスチジミン)、エピネフリンおよび塩(例えば、塩酸ジピベフリン、ジクロルフェナミド、アセタゾラアミドおよびメタゾルアミド);抗糖尿病浮腫剤(非限定的な例として、ステロイド(例えば、フルオシノロン))、および抗血管内皮増殖因子(VEGF)レセプター(例えば、VEGFレセプターチロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノンおよびC6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン);抗増殖性硝子体網膜症剤(非限定的な例として、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンおよびトリアムシノロンアセトニド);抗炎症剤(非限定的な例として、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベタメタゾンおよびトリアムシノロンアセトニド))および免疫反応調整剤(例えば、シクロスポリン);抗眼球性脈管形成剤(非限定的な例として、抗VEGFレセプター(例えば、VEGFレセプターチロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノンおよびC6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン))、抗流動剤(例えば、サイトカラシンB)、ステロイド(例えば、フルオシノロンアセトニドデキサメタゾンおよびプレドニゾロン)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター(例えば、ベンゾジアゼピンスルホンアミドヒドロキサム酸)、ならびにやや溶けにくくなるように処方されるヒト化抗体、アプタマーおよびペプチド;抗生物質(非限定的な例として、ガンシクロビル);脈管形成標的剤(非限定的な例として、脈管形成増殖因子(例えば、VEGF、VEGFレセプター、インテグリン、組織因子、プロスタグランジン−シクロオキシゲナーゼ2およびMMP));抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤(非限定的な例として、アルドースレダクターゼインヒビター、トルレスタット、リジノプリル、エナラプリルおよびスタチル(statil))、チオール架橋剤、抗癌剤(非限定的な例として、レチノイン酸、メトトレキサート、アドリアマイシン、ブレオマイシン、トリアムシノロン、マイトマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アクチノマイシン−D、アラ−c(ara−c)、ビサントレン、活性化シトキサン、メルファラン、ミトラマイシン、プロカルバジンおよびタモキシフェン)、免疫調節因子、抗凝固剤(非限定的な例として、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼ)、抗組織損傷剤(非限定的な例として、スーパーオキシドジスムターゼ)、タンパク質および核酸(非限定的な例として、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、酵素、タンパク質ホルモンならびに遺伝子、遺伝子断片およびプラスミド)、ステロイド、特に抗炎症剤または抗線維剤(非限定的な例として、ロデプレドノル(lodeprednol)、エタボネート、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾム(prednisome)、デキサメタゾン、プロゲステロン様化合物、メドリゾン(HMS)およびフルオロメトロン)、非ステロイド性抗炎症剤(非限定的な例として、ケトロラックトロメタミン、ジクロフェナックナトリウムおよびスプロフェン)、抗生物質(非限定的な例として、ロリジン(セファロリジン)、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、アミカシン、トブラマイシン、メチシリン、リンコマイシン、オキシシリン(oxycillin)、ペニシリン、アンホテリシンB、ポリミキシンB、セファロスポリンファミリー、アンピシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セホロチン(cepholothin)、コリスチン、エリスロマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、スルファセタミド、バンコマイシン、硝酸銀、スルフイソキサゾールジオラミンおよびテトラサイクリン)、抗ウイルス剤を含む他の抗病原体(非限定的な例として、イドクスウリジン、トリフルオロウリジン、ビダラビン(アデニンアラビノシド)、アシクロビル(アシクログアノシン)、ピリメタミン、トリスルファピリミジン−2、クリンダマイシン、ナイスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、およびミコナゾール)、ピペラジン誘導体(非限定的な例として、ジエチルカルバマジン)、ならびに毛様体筋麻痺薬および散瞳薬(非限定的な例として、アトロピン、シクロゲル(cyclogel)、スコポラミン、ホマトロピンおよびトロピカミド(ミドリアシル))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
他の適切な薬学的に活性な薬剤または薬物としては、抗コリン作用薬、抗凝固剤、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物および抗アレルギー性物質が挙げられる。
【0056】
特定の目的の医薬品または薬物としては、ヒドロコルチゾン(血漿中濃度として5〜20mcg/l)、ゲンタマイシン(血清中に6〜10mcg/ml)、5−フルオロウラシル(血清中に約30mg/kg(体重))、ソルビニル、インターロイキン−2、ファカン−a(phakan−a)(グルタチオンの成分)、チオラ−チオプロニン、ベンダザック、アセチルサリチル酸、トリフルオロチミジン、インターフェロン(α、βおよびγ)、免疫調節因子(非限定的な例として、リンフォカインおよびモノカイン)および増殖因子が挙げられる。
【0057】
薬物疎水性および薬物送達システム内の装填サイズは、生侵食性分解の速度を決定づけ、薬物放出速度を制御する主要な因子である。従って、薬物送達システム内の薬物の疎水性および薬物装填サイズを制御することによって、特定の特徴または性質が達成される。次いで、達成された特定の特徴または性質は、所望の薬物放出速度を達成するために操作され得る。所望の薬物放出速度は、送達されるための薬物、送達部位、送達目的および/または個々の患者の治療上の要求に基づいて決定され得る。
【0058】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、なおより詳細に以下の実施例に記載される。
【実施例】
【0059】
(実施例1−化学的侵食制御放出薬物送達システムのサンプル調製および研究)
AtlasTMラボ混合押出し成形機(LME)(Dynisco Instruments,Franklin,Massachusetts)を使用して、35パーセントおよび55パーセントの装填物でのPLGA/FAストランドならびにPLGAプラシーボフィラメントを混合して、各直径約0.5mmで押出し成形した。これらの円筒型のフィラメントを、デシケーターユニットで保存した。1つの装填物につき3つのサンプルを、直径約0.5mmおよび長さ1cmに切断して、重さを量り、50mlリン酸緩衝液、pH=7.4を含む遠心管に個々に入れた。各サンプルを、遠心管の壁に付着させて、1分間に8回転(rpm)で、回転ミキサーの上に置いた。次いで、全てのサンプルを、37℃の乾燥機に入れた。定期的な間隔で、50mlリザーバーからの15ml溶液サンプルを、除去して、新鮮なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の同体積と交換した。その溶液サンプルのpHを測定した。次いで、その溶液サンプルを、15mlの新鮮なPBSで希釈して、十分に混合した。吸光度の値を、UV/VIS分光光度計で読んで、グリコール酸およびFAに対応するピーク値を、図1に示した期間、各サンプルについて読んだ。1日あたりの放出速度および累積的な放出パーセントを測定した。
【0060】
50/50DL−PLGAは、非晶質高分子である。PLGA生分解性についての一次経路は、ポリマーマトリックスへの水の拡散、ランダムな加水分解、マトリックスの細分化を介し、続いて、食作用、拡散および代謝とともに広範囲の加水分解が起こる。最初の30日の研究の間、透明なPLGAサンプルは、移植物の屈折率の変化によって証明されるように、水の拡散を増加させる徴候を示した。大きなフラグメント化は、目に見えなかった。加水分解およびその結果の薬物放出に影響する他の要因は、移植物の表面積、ポリマーの結晶化度および親水性ならびにpHおよび周囲の媒体の温度である。ポリマーの押出し成形は、結晶化を誘発し、それは、他の成形加工(例えば、圧縮成形または、より少ない程度で、射出成形)の様式と比較して分解を遅くする。コポリマーの分子量およびグリコライド含有量もまた、加水分解速度ならびにチューブタンブラーの混合速度、rpmに有意に影響し得る。グリコール酸についてのピーク吸光度の値は、表面の拡散から生成される最初のピークの後、比較的安定した加水分解を示す。そのシステムは、図2に示したように、30日にわたって測定した狭いpHの範囲に見られるような十分な緩衝作用を示した。
【0061】
PLGA中の疎水性化合物、フルオシノロンアセトニドの存在は、移植物の大きさの比較的小さい変化によって証明されるように、水の拡散速度を有意に低下させる。移植物の表面はまた、PLGA移植物よりも滑らかなように見える。大部分のFA放出速度は、移植物に存在する25%の約850μgのFAの累積的な放出で1日あたり5μgを超えた。そのシステムのpHは、図9および図16に示したように、30日間にわたって少しの変化を示し、より遅いPLGAの加水分解およびFAについての低い酸性度定数、Kaによって影響を受けた。
【0062】
55パーセントのFA移植物は、35パーセントの移植物とおおよそ同じ速さで放出されるように見える。そのサンプルはまた、35パーセントの移植物と同じレベルで原型(インタクト)を保つように見える。そのシステムのpHは、同様に十分に緩衝化されているように見える。
【0063】
結論として、1日あたりの類似の放出速度は、最初の30日の研究の間、35パーセントおよび55パーセントの両方のFA移植物で観測され、主に拡散制御プロセスであるように見える。今まで観測した、評価したFA装填物に基づいた、FAの累積的な放出のパーセントは、35%の移植物と比べて、55%の移植物について有意に少ない。
【0064】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、それらを使用しようとする意図した目的に適切な任意の形状または大きさで製造され得る。例えば、眼の内部の後方の移植物としての使用のために、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、好ましくは、3mm2の大きさより大きくない。本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムを製造する方法としては、当業者に公知の鋳造成形、押出し成形、などの方法が挙げられる。いったん製造されると、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、当業者に公知の慣例の方法を用いて、パッケージされて、滅菌される。
【0065】
本発明の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、広範囲の治療用途に使用され得る。例えば、眼科学の分野において、本題の制御放出薬物送達システムは、眼の内部内の移植によって使用される。しかし、本題の化学的侵食制御放出薬物送達システムは、眼科学の分野における当業者に公知の他の外科的処置に従って、同様に使用され得る。
【0066】
化学的侵食制御放出薬物送達システムならびに同様の作製方法および使用方法が、本明細書中に示されて記載されているが、種々の改変が、根底にある発明概念の精神および範囲から逸脱せずに行われることは、当業者に明白である。同様に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されるような範囲を除いて本明細書中に記載された特定のモノマー、コポリマーおよびシステムに制限されることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、時間に対する100パーセントの50/50ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA)(プラシーボ)移植物の加水分解の吸光度の値を示すグラフである。
【図2】図2は、時間に対する100パーセントの50/50PLGA(プラシーボ)移植物のpHを示すグラフである。
【図3】図3は、時間に対する35パーセントのフルオシノロンアセトニド(FA)移植物−サンプル1について薬物放出速度を示すグラフである。
【図4】図4は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル2についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図5】図5は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル3についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図6】図6は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル1についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図7】図7は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル2についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図8】図8は、時間に対する35パーセントのFA移植物−サンプル3についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図9】図9は、時間に対する35パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、pHを示すグラフである。
【図10】図10は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル1についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図11】図11は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル2についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図12】図12は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル3についての薬物放出速度を示すグラフである。
【図13】図13は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル1についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図14】図14は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル2についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図15】図15は、時間に対する55パーセントのFA移植物−サンプル3についての累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図16】図16は、時間に対する55パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、pHを示すグラフである。
【図17】図17は、時間に対する35パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、薬物放出速度ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図18】図18は、時間に対する55パーセントのFA移植物、サンプル1、2および3、薬物放出速度ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを示すグラフである。
【図19】図19は、35パーセントおよび55パーセントのFA移植物、薬物放出速度、ならびに累積的な薬物放出速度のパーセントを70日間、示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的侵食制御薬物送達システムであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物を含み、ここで、該薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達システムが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
化学的侵食制御薬物送達システム。
【請求項2】
前記システムが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
前記システムが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
前記システムが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるように形成されている、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
前記混合物が、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
前記システムが、最大で26mm3の容積を占める、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
前記システムが、最大で50mgの質量を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
前記システムが、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、サイトカイン、チロシンキナーゼインヒビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
前記混合物が、疎水性の薬剤を含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
前記混合物がさらに、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/mlより大きい溶解度を有する疎水性の薬剤を含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項17】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項18】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項19】
前記ますます低くなる濃度が、前記選択された濃度より1%低く、前記薬物送達システムが、(i)比較システムより0.9%以下で高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項20】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量における疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、ここで、該薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達デバイスが、比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較デバイスと同じであるか、または比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有するように、該薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
薬物送達デバイス。
【請求項21】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に移植されるような大きさにされて形成されている、請求項20に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項25に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、ここで、該薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較デバイスと比較した場合、該薬物送達デバイスが、比較デバイスと同じであるか、または比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に移植されるような大きさにされて形成されている、請求項29に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項30に記載の薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項30に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項38】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、該疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩中に90μg/ml未満の溶解度を有する、薬物送達デバイス。
【請求項39】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項38に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記デバイスが、最大で26mm3の容積を占める、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記デバイスが、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、サイトカイン、チロシンキナーゼインイビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項49】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項50】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項52】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項53】
前記活性な薬剤が、1%の濃度の増加によって放出期間中に最小で0.1%の増加を生じるように選択された濃度を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項54】
前記活性な薬剤が、1%の濃度の増加によって、送達速度の減少を生じるか、変化を生じないか、または最大で0.9%の増加を生じるように選択された濃度を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項55】
化学的侵食制御薬物送達デバイスが、以下:
生分解性ポリマーならびに該生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の該薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、該薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で該薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける該疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とする、
化学的侵食制御薬物送達デバイス。
【請求項56】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項55に記載の薬物送達デバイス。
【請求項57】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項58】
前記デバイスが、前記生分解性ポリマーおよび前記薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて、最小で50wt%の量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項59】
PLGA試験マトリックスにおける前記薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で該薬学的に活性な薬剤の60wt%以下を放出する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項60】
PLGA試験マトリックスにおける前記疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より5%以下でより大きい、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項61】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項62】
前記治療的混合物が、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項63】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項64】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項65】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項66】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項67】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項66に記載の薬物送達デバイス。
【請求項68】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中において90μg/ml未満である溶解度を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項69】
化学的侵食制御薬物送達システムであって、以下:
生分解性ポリマー;ならびに
治療的に有効な量におけるアメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される、疎水性の薬学的に活性な薬剤を含み、ここで、該薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の該薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、該薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、該薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達システムが、選択された濃度の該薬学的に活性な薬剤を有する、
化学的侵食制御薬物送達システム。
【請求項70】
請求項1または69に記載のシステムを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項71】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項73】
請求項1または69に記載のシステムを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにおいて混合する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項74】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにおいて混合する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項75】
請求項1または69に記載のシステムを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
該切開を通して該眼内に該システムを移植する工程、を包含する方法。
【請求項76】
請求項1または69に記載のシステムを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて該切開を通して該眼内に該システムを移植する工程、を包含する方法。
【請求項77】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
該切開を通して該眼内に該デバイスを移植する工程、を包含する方法。
【請求項78】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて該切開を通して該眼内に該デバイスを移植する工程、を包含する方法。
【請求項1】
化学的侵食制御薬物送達システムであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤の混合物を含み、ここで、該薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達システムが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
化学的侵食制御薬物送達システム。
【請求項2】
前記システムが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
前記システムが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
前記システムが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるように形成されている、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
前記混合物が、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
前記システムが、最大で26mm3の容積を占める、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
前記システムが、最大で50mgの質量を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
前記システムが、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、サイトカイン、チロシンキナーゼインヒビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
前記混合物が、疎水性の薬剤を含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
前記混合物がさらに、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/mlより大きい溶解度を有する疎水性の薬剤を含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項17】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項18】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項19】
前記ますます低くなる濃度が、前記選択された濃度より1%低く、前記薬物送達システムが、(i)比較システムより0.9%以下で高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項20】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量における疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、ここで、該薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達デバイスが、比較デバイスに対して比例未満でより高いか、比較デバイスと同じであるか、または比較デバイスより低い、薬学的に活性な薬剤の放出速度を有するように、該薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
薬物送達デバイス。
【請求項21】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に移植されるような大きさにされて形成されている、請求項20に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項25に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、ここで、該薬物送達デバイスが、ますます低くなる濃度の薬学的に活性な薬剤を有する比較デバイスと比較した場合、該薬物送達デバイスが、比較デバイスと同じであるか、または比較デバイスより長い、薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達デバイスが、選択された濃度の薬学的に活性な薬剤を有する、
薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に移植されるような大きさにされて形成されている、請求項29に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項30に記載の薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項30に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中に90μg/ml未満の溶解度を有する、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
【請求項38】
薬物送達デバイスであって、以下:
生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤のマトリックスを含み、該疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩中に90μg/ml未満の溶解度を有する、薬物送達デバイス。
【請求項39】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項38に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記マトリックスが、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記デバイスが、最大で26mm3の容積を占める、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記デバイスが、最大で25mgの量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、サイトカイン、チロシンキナーゼインイビターおよびステロイド性ホルモンからなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項49】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項50】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.1で最大値10である、グリコール酸に対する乳酸の割合を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項52】
前記薬物送達デバイスが、最小で0.1μgを送達し、最低で3週間にわたって放出される、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項53】
前記活性な薬剤が、1%の濃度の増加によって放出期間中に最小で0.1%の増加を生じるように選択された濃度を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項54】
前記活性な薬剤が、1%の濃度の増加によって、送達速度の減少を生じるか、変化を生じないか、または最大で0.9%の増加を生じるように選択された濃度を有する、請求項39に記載の薬物送達デバイス。
【請求項55】
化学的侵食制御薬物送達デバイスが、以下:
生分解性ポリマーならびに該生分解性ポリマーおよび薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて最小で45wt%の量の該薬学的に活性な薬剤との治療的混合物を含み、ここで、該薬学的に活性な薬剤は、PLGA試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で該薬学的に活性な薬剤の70wt%以下を放出すること、およびPLGA試験マトリックスにおける該疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より10%以下でより大きいことを特徴とする、
化学的侵食制御薬物送達デバイス。
【請求項56】
前記デバイスが、ヒト患者の眼球領域に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項55に記載の薬物送達デバイス。
【請求項57】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の後方部分に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項58】
前記デバイスが、前記生分解性ポリマーおよび前記薬学的に活性な薬剤の全重量に基づいて、最小で50wt%の量の薬学的に活性な薬剤を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項59】
PLGA試験マトリックスにおける前記薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物が、3週間で該薬学的に活性な薬剤の60wt%以下を放出する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項60】
PLGA試験マトリックスにおける前記疎水性の薬学的に活性な薬剤の55wt%混合物の累積的な放出速度が、3週間の試験期間にわたる試験マトリックスにおける該薬学的に活性な薬剤の35wt%混合物の累積的な放出速度より5%以下でより大きい、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項61】
前記デバイスが、ヒト患者の眼の硝子体に挿入されるような大きさにされて形成されている、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項62】
前記治療的混合物が、生分解性ポリマーおよび治療的に有効な量の疎水性の薬学的に活性な薬剤から本質的になる、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項63】
前記デバイスが、最大で50mgの質量を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項64】
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、抗緑内障剤、神経保護剤、β遮断剤、有糸分裂、エピネフリン、抗糖尿病浮腫剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、ピロリル−メチレン−インドリノン、C6〜45フェニルアミノアルコキシキナゾリン、抗増殖性硝子体網膜症剤、抗炎症剤、免疫反応調整剤、抗眼球性脈管形成剤、抗流動剤、ステロイド、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)インヒビター、ヒト化抗体、アプタマー、ペプチド、抗生物質、脈管形成標的剤、抗白内障剤および抗糖尿病性網膜症剤、チオール架橋剤、抗癌剤、免疫調節因子、抗凝固剤、抗組織損傷剤、タンパク質、核酸、抗線維剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗病原体、ピペラジン誘導体、抗コリン作用性毛様体筋麻痺薬および抗コリン作用性散瞳薬、抗凝固薬、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン薬、抗マラリア薬、抗毒素、キレート剤、ホルモン、免疫抑制剤、血栓溶解剤、ビタミン、塩、減感剤、プロスタグランジン、アミノ酸、代謝産物ならびに抗アレルギー性物質からなる群から選択される、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項65】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカルボネート、ポリ(エステルアミド)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(エーテルエステル)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリ(エチレングリコール)およびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項66】
前記生分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)である、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項67】
前記生分解性ポリマーが、最小値0.8で最大値4である、薬学的に活性な薬剤に対するポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の割合を有する、請求項66に記載の薬物送達デバイス。
【請求項68】
前記疎水性の薬学的に活性な薬剤が、25℃の緩衝生理食塩水中において90μg/ml未満である溶解度を有する、請求項56に記載の薬物送達デバイス。
【請求項69】
化学的侵食制御薬物送達システムであって、以下:
生分解性ポリマー;ならびに
治療的に有効な量におけるアメタントロン、アンホテリシンB、アナマイシン、シクロスポリン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ドキソルビシン、エリプティニウム(elliptinium)、エトポシド、フルオシノロンアセトニド、ケトコナゾール、メトトレキサート、ミコナゾール、ミトキサントロン、ナイスタチン、フェニトイン、ロデプレドノル(lodeprednol)、トリアムシノロンアセトニドおよびビンクリスチンからなる群から選択される、疎水性の薬学的に活性な薬剤を含み、ここで、該薬物送達システムが、ますます低くなる濃度の該薬学的に活性な薬剤を有する比較システムと比較した場合、該薬物送達システムが、(i)比較システムに対して比例未満でより高いか、比較システムと同じであるか、または比較システムより低い、該薬学的に活性な薬剤の放出速度を有し、そして/あるいは(ii)比較システムと同じであるか、または比較システムより長い、該薬学的に活性な薬剤の放出期間を有するように、該薬物送達システムが、選択された濃度の該薬学的に活性な薬剤を有する、
化学的侵食制御薬物送達システム。
【請求項70】
請求項1または69に記載のシステムを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項71】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにカプセル化する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項73】
請求項1または69に記載のシステムを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにおいて混合する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項74】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを作製する方法であって、以下:
治療的に有効な量の少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を生分解性ポリマーにおいて混合する工程を包含し、ここで、該薬物送達システムが、患者の眼に挿入されるような大きさにされて形成されている、方法。
【請求項75】
請求項1または69に記載のシステムを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
該切開を通して該眼内に該システムを移植する工程、を包含する方法。
【請求項76】
請求項1または69に記載のシステムを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて該切開を通して該眼内に該システムを移植する工程、を包含する方法。
【請求項77】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
該切開を通して該眼内に該デバイスを移植する工程、を包含する方法。
【請求項78】
請求項20、29、38または55に記載のデバイスを使用する方法であって、以下:
眼内に切開を作製する工程;および
硝子体切除システムの針とともに使用されるカニューレを用いて該切開を通して該眼内に該デバイスを移植する工程、を包含する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−526226(P2007−526226A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517290(P2006−517290)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/019074
【国際公開番号】WO2004/112748
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/019074
【国際公開番号】WO2004/112748
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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