説明

生分解性ヒドロゲル

本発明は、ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに基づき、加水分解性官能基をポリマー鎖中に有するヒドロゲル、該ヒドロゲルの製造方法および該ヒドロゲルの癒着遮断層としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに基づくヒドロゲル、該ヒドロゲルの製造方法および該ヒドロゲルの癒着遮断層としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癒着は、腹部および骨盤領域における医療介入後に最も多く起こる合併症の1つである。一般に、癒着は、治療工程の過程において、手術後最初の7日間に形成される繊維帯である。これは、通常互いに分離した組織および臓器を一緒に成長させ、多様な合併症、例えば慢性痛、不妊または生命にかかわる腸閉塞等を生じさせ得る。このような合併症を避けるため、癒着の形成を低減することができる生成物が近年開発されてきた。
【0003】
ヒドロゲルは、癒着遮断層および他の材料として用いられてきた。これらの網状構造は、水中で実質的に形状を保持しながら平衡体積まで膨潤する。網状構造の形成は、大部分は個々のポリマー鎖の化学結合に起因するが、ポリマー鎖の個々のセグメント間での静電気的、疎水的または双極子−双極子相互作用によっても物理的に可能である。ヒドロゲルの所望の特性は、ポリマー形成に用いるモノマーの選択、架橋の種類および架橋密度により具体的に定められる。
【0004】
ヒドロゲルは、典型的には、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールに基づく。これらは概して、生体組織と極めて適合性がよいため、癒着遮断層として使用するのに提案されることが多い。
【0005】
親水性NCOプレポリマーからのポリウレタンヒドロゲルはそれ自体既知である。これは、創傷の医療的処置のために、例えば1次創傷包帯として用いられる。これは、創傷の治癒に有益である、特に乾燥創傷を制御された方法により保湿することの利点を有する。
【0006】
独国特許第102006050793号は、脂肪族NCOポリエーテルプレポリマーに基づくポリウレタンヒドロゲルを記載する。ヒドロゲルは、癒着遮断層として用いられる。しかしながら、記載の系は、癒着遮断層として用いた場合でも、体内において極めて遅くのみ生分解する。しかしながら、癒着遮断層は、臓器を創傷治癒過程の間に一時的に融合から保護することが単に意図されるだけであるので、数ヶ月内に分解するべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許第102006050793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明が取り組む課題は、6ヶ月未満の間に生分解し、形成された分解生成物が任意の細胞および組織毒性を有さない生体適合性癒着遮断層を製造することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、加水分解性官能基をポリマー鎖中に有し、
A)加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリイソシアネートプレポリマー、
B)水、
C)必要に応じて、少なくとも1つの第3級アミノ基および少なくとも3つのヒドロキシル基を有するヒドロキシルアミノ化合物、
D)必要に応じて触媒、および
E)必要に応じて補助剤および添加剤
の反応により得られ、前記ポリイソシアネートプレポリマーA)は、
A1)ポリイソシアネートと、
A2)加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリオールと
の反応により得られ、前記ポリオールA2)は、室温において液体であり、23℃において200〜8000mPasの範囲、好ましくは400〜4000mPasの範囲のDIN53019せん断粘度を有するポリエステルおよび/またはポリエーテルエステルであることを特徴とする、ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに基づくヒドロゲルにより解消する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的のための加水分解性基は、生理学的な条件下、ヒトおよび哺乳動物において、平均6ヶ月未満の間に、少なくとも2つの互いに分離した下位の基へ分割可能である。
【0011】
本発明のヒドロゲルは、生分解性であり、すなわち、ヒドロゲル自体も、その分解生成物も、任意の細胞または組織毒性を有さない。さらに、本発明のヒドロゲルは、6ヶ月未満で生分解する。
【0012】
本発明により用いる特定のポリエーテルエステルおよび/またはポリエステルは、処理し易いことが注目すべき点である。
【0013】
ポリエーテルエステルおよび/またはポリエステルは、20〜140mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/gのヒドロキシル価および/または0.05〜10mgKOH/g、好ましくは0.1〜3mgKOH/g、より好ましくは0.15〜2.5mgKOH/gの酸価を有し得る。
【0014】
好ましくは、ポリオールA2)は、2〜4の平均OH官能価を有し得る。
【0015】
好ましくは、加水分解性官能基は、エステル基、アセタール基および/またはカーボネート基である。
【0016】
適当なポリエステルポリオールの製造は、例えば欧州特許出願公開第2095832A1号に記載される。
【0017】
ポリエーテルエステルの合成は、より高い分子量のポリオールおよびより低い分子量のポリオールの混合物を用いることもできる。
【0018】
このような過剰(モルに関して)の低分子量ポリオールは、62〜299ダルトンのモル質量を有し、2〜12個の炭素原子および少なくとも2のヒドロキシル官能価を有し、さらに分枝または非分枝であってよくおよびヒドロキシル基は、第1級または第2級であるポリオールである。これらの低分子量ポリオールは、エーテル基を有してよい。その典型的な代表は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび高級同族体、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび高級同族体、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパンおよびヒドロキシル末端基を有するオリゴテトラヒドロフランである。当然のことながら、上記グループ内で混合物を用いてもよい。
【0019】
モル質量に関して過剰のより高い分子量のポリオールは、300〜3000ダルトンのモル質量を有するポリオールであり、エポキシド、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブテンオキシドの開環重合により、およびテトラヒドロフランの酸触媒での開環重合により得られる。
【0020】
有用なポリオールA2)としては、例えばエステルスターターに基づくポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。これらは、ツェレビチノフ活性水素原子を有するエステル系スターター化合物についてのアルキレンオキシド付加のための複金属シアン化物化合物(「DMC触媒」)を用いて得られる。この場合、アルキレンオキシドの標準塩基触媒付加反応は、スターター分子が加水分解するので利用することができない。
【0021】
N、OまたはSに付加した水素は、ツェレビチノフにより見出された方法に従ってヨウ化メチルマグネシウムと反応してメタンを供給する場合、「ツェレビチノフ活性」水素(単に「活性水素」という場合もある)として知られる。ツェレビチノフ活性水素を有する化合物の典型的な例は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基またはチオール基を官能基として含有する化合物である。
【0022】
高活性DMC触媒の使用は、米国特許出願公開第5470813号、欧州特許出願公開第700949号、同第743093号、同第761708号、国際公開第97/40086号、国際公開第98/16310号および国際公開第00/47649号に記載され、ポリエステルエーテルポリオールの製造を極めて低い触媒濃度(25ppm以下)において可能とし、最終生成物から触媒を除去する必要がない。さらに、DMC触媒作用は、極めて高いモル質量を有するプロピレンオキシドまたはプロピンレンオキシドエチレンオキシド混合ブロック構造に基づくポリエステルエーテルポリオールの製造を可能とする。
【0023】
一般に、オートクレーブに最初に装填されるスターター分子は、不活性ガス下、60〜180℃、好ましくは100〜170℃の温度にて、アルキレンオキシド付加触媒の存在下で、通常の方法により用いる反応器系の安全な圧力限界を越えないようにアルキレンオキシドを反応器中へ連続的に供給することにより、アルキレンオキシドと反応させる。アルキレンオキシド計量段階前に、DMC触媒作用を妨げる水または他の低分子量不純物の痕跡量を出発媒体から除去するために不活性ガスでの更なるストリップ工程を行うことが好ましい。
【0024】
反応は、10ミリバール〜10バールの圧力範囲で典型的に行う。アルキレンオキシド計量段階の完了後、残存するアルキレンオキシドを消散する2次反応段階が続く。この2次反応段階は、圧力低下が反応容器中で更に検出されなくなると終了する。未変換エポキシドを完全に除去するために、2次反応段階の後に、不活性ガスまたは水蒸気で真空またはストリップ工程が続く。
【0025】
有用なアルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、1,2−ドデセンオキシドおよびそれぞれグルシジルエステルおよびグリシジルエーテル誘導体が挙げられる。プロピレンオキシド、エチレンオキシドおよび1,2−ブチレンオキシドを好ましく用いる。種々のアルキレンオキシドは、混合物またはブロック状に投入することができる。エチレンオキシド末端ブロックを有する生成物は、例えば系に高イソシアネート反応性を与える第1級末端基の高濃度を特徴とする。好ましい生成物は、投入したエポキシドの全量を基準として>50重量%、より好ましくは>60重量%の量でエチレンオキシドを用いて製造する。
【0026】
ツェレビチノフ活性水素原子を含有する適当なスターター分子は、2〜4の範囲の官能価を有する。これらは、ポリエステルポリオールと同様に、欧州特許出願公開第2095832A1に記載の通り、ヒドロキシル−またはアミノ−官能性低分子量化合物からエステル化により製造する。
【0027】
ヒドロキシ官能性スターター分子の例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAおよび1,3,5−トリヒドロキシベンゼンである。アミノ官能性スターター分子の例は、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、トルイジンの異性体、ジアミノトルエンの異性体およびジアミノジフェニルメタンの異性体である。有用なスターター分子としては、環式カルボン酸無水物およびポリオールからの開環生成物が挙げられる。その例は、一方は、無水フタル酸、無水コハク酸および無水マレイン酸からの開環生成物であり、他方は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトールである。もちろん、種々のスターター分子の混合物を用いることもできる。
【0028】
スターター分子は、OH価<400mgKOH/g、好ましくは<300mgKOH/を有する。
【0029】
あるいは、ポリエーテルエステルポリオールはまた、DMC触媒作用を用いてアルキレンオキシドおよびラクトン/環式ジカルボン酸無水物(例えば無水フタル酸、無水コハク酸等)の多官能性スターター分子上への開環共重合により直接得られる。適当な方法は、アルキレンオキシドと同様に、適当なラクトンおよび/または環式ジカルボン酸無水物を更なるモノマーとして単に共投入する点でポリエーテルエステルポリオールのDMC触媒による製造について上に記載した方法と類似する。これに関し、独国特許出願公開第1770548号、米国特許第5145883号、同第5032671号について参照し得る。
【0030】
適当なポリエステルポリオールは、5〜140mgKOH/g、好ましくは20〜130mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0031】
A2)においてブレンド成分として必要に応じて用いるポリエーテルポリオールは、100〜2000g/モルの範囲、好ましくは100〜1000g/モルの範囲、より100〜400g/モルの範囲の分子量を有する。そのポリエーテル鎖は、完全にまたは部分的にポリエチレンオキシド単位から構成される。
【0032】
A2)に、ポリエーテルポリオールを、ポリエステルまたはポリエーテルエステルと同時に用いる場合、その割合は、成分A2)全体を基準に70重量%未満、好ましくは50重量%未満から構成される。
【0033】
好ましくは、エチレンオキシドに起因する成分A2)全体の質量分率は、好ましくは40重量%〜95重量%、より好ましくは60重量%〜90重量%の範囲である。
【0034】
成分A2)は、好ましくは0.5〜5.5、より好ましくは1〜3.5のエステル基濃度(モル/kg)を有する。
【0035】
また、成分A2)は、カーボネート構造単位を更に有し得る。カーボネート形成に用いるポリオールの型に応じて、異なった型のカーボネートポリオールが得られる:例えばオリゴエステルポリオールをカーボネート化する場合、ポリエステルカーボネートポリオールが得られる。
【0036】
カーボネート化反応は、当業者にそれ自体既知である。カルボニルの有用な源としては、特にジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートだけでなく、ホスゲンまたはクロロ炭酸エステルが挙げられる。ジフェニルカーボネート(DPC)およびジメチルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネート(DPC)は、極めて特に好ましい。
【0037】
ポリイソシアネートA1)は、好ましくは2〜2.6、より好ましくは2〜2.4の平均NCO官能価を有し得る。
【0038】
ポリイソシアネートA1)は、モノマー脂肪族および/または脂環式ジ−またはトリイソシアネート、特に1,4−ブチレンジイソシアネート(BDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび/またはこれらの任意の所望の異性体含有量の混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)、および/またはC1〜C8アルキル基を有するアルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)および/または前述のポリイソシアネートの混合物であり得る。
【0039】
ヘキサメチレンジイソシアネートは、極めて特に好ましい。
【0040】
ポリイソシアネートプレポリマーA)は、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.03重量%未満のモノマージ−および/またはトリイソシアネートを含有する。これは、例えばポリイソシアネートプレポリマーを過剰のジ−および/またはトリイソシアネートの存在下で調製し、次いで未変換ジ−および/またはトリイソシアネートを除去することにより行うことができる。
【0041】
ポリイソシアネートプレポリマーA)が2〜6、好ましくは3〜4のNCO官能価を有することは更に好ましい。
【0042】
原則として、プレポリマーの製造は、アミンまたは錫化合物のようなそれ自体既知の触媒並びに塩化ベンゾイル、塩化イソフタロイル、ジブチルホスフェートまたはメチルトシレートのような安定剤を用いてもよい。
【0043】
ポリイソシアネートプレポリマーA)は、好ましくは、得られる混合物を基準として少なくとも2重量%の25℃における水と混和性である。これらが、25℃における水と任意の割合で均質で透明な混合物を形成することが特に好ましい。
【0044】
ヒドロキシルアミノ化合物C)の例は、アミノアルコール、例えばトリエタノールアミンまたはトリプロパノーアミンルまたはアンモニア−、ジ/ポリアミン−またはアミノアルコール−開始ポリアルキレンオキシド等であり、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドだけでなくブチレンオキシドまたはスチレンオキシドを単独で、混合物としてまたはブロック状構造に用いることができる。
【0045】
ヒドロゲルは、水B)をゲル形成が得られるような量で用いて製造し、個々の場合により予備試験において実験的に決定する。a)およびb)に用いる化合物の重量(1重量部に対応)を基準に2〜50重量部、より好ましくは4〜19重量部の水を用いることが好ましい。
【0046】
任意の工程は、ヒドロゲルを製造する方法において、水B)とヒドロキシアミノ化合物C)とを混合する工程を含み、前記ヒドロキシアミノ化合物C)をA)およびC)の全量を基準に0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜1%の量で用いる。次いで混合物をポリイソシアネートプレポリマーA)に添加し、透明溶液が形成されるまで撹拌する。撹拌は典型的には室温にて行うが、室温を超える温度にて、23〜40℃の温度にて、または30〜80℃の温度にて行うこともできる。温度は、室温未満、例えば5〜23℃の範囲または−10〜+10℃の範囲であり得る。
【0047】
十字型撹拌子を有する磁石撹拌機は、撹拌アセンブリとしての優位性が見出されるが、高速ミキサーまたは従来使用される実験用ブレードまたは格子型撹拌機を用いることもできる。混合アセンブリの選択は、個々の場合において、例えば撹拌すべき量および粘度により決定する。
【0048】
撹拌は、保護ガス雰囲気中で、例えば窒素下で行うこともできる。通常は、保護ガス雰囲気は使用しない。さらに、混合は、大気圧下で行うことができる。しかし、撹拌は、僅かに高圧下で、例えば1013〜1035ミリバールにて、または減圧下で、例えば800〜1013ミリバールにて行うことも可能である。
【0049】
得られるゲルの組織上での可視性を向上させるために、ヒドロゲルは着色することができる。例えばメチレンブルーまたは食用色素Brilliant Blue FCFは、この目的に適している。好ましくは、染料を水B)に添加する。
【0050】
当然のことながら、例えば
a)抗炎症薬、
b)抗炎症性作用を伴うおよび伴わない鎮痛薬、
c)抗菌的活性物質、
d)血管拡張薬、
e)成長因子
のような薬理学的活性成分を組み込むこともできる。
【0051】
ポリイソシアネートプレポリマーA)は、2〜10重量%、好ましくは2.5〜8重量%のDIN EN ISO 11909平均NCO含有量を有する。
【0052】
本発明は、
i)ポリイソシアネートと加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリオールとを反応させてポリイソシアネートプレポリマーを形成する工程、
ii)必要に応じて水と少なくとも1つの第3級アミノ基および少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物とを混合する工程、
iii)工程ii)の混合物を工程i)のプレポリマーへ添加し、撹拌する工程
を含むヒドロゲルの製造方法を更に提供する。
【0053】
本発明はまた、本発明による方法により得られるヒドロゲルを提供する。
【0054】
本発明はまた、ヒドロゲルを癒着遮断層として用いる方法、細胞組織を封止、結合または被覆するための被覆物としてのその使用を提供し、細胞組織は、ヒトの細胞組織だけでなく動物の細胞組織であってよい。
【0055】
ヒドロゲルを癒着遮断層として用いる場合、用いる成分A)〜C)の1以上を着色して遮断層をより見え易くすることが好ましい。
【0056】
手術後の癒着遮断層を製造する被覆物の生体内適用では、必要な成分を、2室供給系および適当な塗布器を用いて保護すべき臓器へ塗布する。1室は、イソシアネートプレポリマーAを含有し、第2室は、必要に応じてヒドロキシアミノ化合物C並びにDおよびEと混合した水(B)を含有する。薬理学的活性物質を用いる場合、これらは水性成分中で処方する。ヒドロゲルは、保護ポリマーフィルムを臓器上で形成する。このフィルムは、組織中へ浸透することなく臓器表面へ接着する。該フィルムは、組織に損傷を与えることなく機械的に除去することができる。
【実施例】
【0057】
用いた装置および分析法:
粘度計: MCR 51、Anton Paar、 DIN EN ISO 3219/A.3により決定
ヒドロキシル価: DIN 53240について決定
酸価: DIN 53402について決定
【0058】
用いた原料:
〔Polyether L5050〕
2官能的開始EO−POポリエーテル、Bayer MaterialScience AG、約57mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
〔Polyether L300〕
2官能的開始EOポリエーテル、Bayer MaterialScience AG、約190mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
〔Desmophen VP.PU 41WB01〕
3官能的開始ポリエーテル、Bayer MaterialScience AG、約37mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
〔Polyether V657〕
3官能的開始ポリエーテル、Bayer MaterialScience AG、約255mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
〔ε−カプロラクトン〕
Perstorp
〔HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)〕
Bayer MaterialScience AG
〔塩化ベンゾイル〕
Aldrich
〔アジピン酸〕
BASF
〔ペンタエリトリトール〕
Aldrich
〔二塩化錫二水和物〕
Aldrich
〔エチレンオキシド〕
Gerling、, Holz & Co
〔ブチレンオキシド〕
Aldrich
〔プロピレンオキシド〕
Chemogas
〔トリメチロールプロパン〕
Aldrich
〔Irganox 1076〕
Ciba
〔ジブチルホスフェート〕
Aldrich
〔ジフェニルカーボネート〕
Bayer MaterialScience AG
〔DMC触媒〕
亜鉛ヘキサシアノコバルテート、tert−ブタノールおよび1000g/モルの数平均分子量を有するポリプロピレングリコールを含有する複金属シアン化物触媒、欧州特許出願公開第700949号に記載。
【0059】
ポリエステルエーテルプレポリマーの合成
実施例1
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計および還流冷却器を有する4リットル4口フラスコに、762g(5.6モル)のペンタエリトリトール、2554g(22.4モル)のε−カプロラクトンおよび66mg(20ppm)の二塩化錫二水和物を100℃にて窒素ブランケット下で装填する。温度を200℃へ1時間の間に上昇させ、および反応を、更に20時間、これらの条件下で完了する。得られた化合物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 373mgKOH/g
酸価: 0.5mgKOH/g
粘度: 190mPas(75℃)
【0060】
実施例2
まず、2リットルステンレス鋼圧力反応器へ、179.3gの実施例1からの化合物および0.52gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、75/25の重量比でのエチレンオキシドおよびブチレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。618gのエチレンオキシドおよび206gのブチレンオキシドを2時間の間に添加した後、計量を中断し、425.5gの生成物を反応器から除去する。次いで、更なる694gのエチレンオキシドおよび231gのブチレンオキシドを、130℃にて2時間の間に添加する。130℃にて45分間の2次反応の後、揮発性物質を、130℃にて30分間真空で留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0061】
生成物特性:
OH価: 25.5mgKOH/g
粘度(25℃): 5780mPas
【0062】
実施例3(プレポリマー3)
まず、276gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、724gの実施例2からの化合物を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して1.54重量%のNCO含有量を有するプレポリマー1を得る。DIN EN 10283について決定した残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。粘度: 15600mPas(23℃)。
【0063】
実施例4
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計および還流冷却器を有する4リットル4口フラスコに、911g(6.8モル)の1,1,1−トリメチロールプロパン、2326g(20.4モル)のε−カプロラクトンおよび64mg(20ppm)の二塩化錫二水和物を100℃にて窒素ブランケット下で装填する。温度を200℃へ1時間の間に上昇させ、反応を、更なる20時間、これらの条件下で完了する。得られた化合物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 346mgKOH/g
酸価: 0.2mgKOH/g
粘度: 1510mPas(25℃)、100mPas(75℃)
【0064】
実施例5
まず、2リットルステンレス鋼圧力反応器へ、175.5gの実施例4からの化合物および0.48gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、75/25の重量比でのエチレンオキシドおよびブチレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。618gのエチレンオキシドおよび206gのブチレンオキシドを2時間の間に添加した後、計量を中断し、382.5gの生成物を反応器から除去する。次いで、更なる662gのエチレンオキシドおよび221gのブチレンオキシドを、130℃にて2時間の間に添加する。130℃にて45分間の2次反応の後、揮発性物質を、130℃にて30分間真空で留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0065】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 25.1mgKOH/g
粘度(25℃): 3170mPas
【0066】
実施例6(プレポリマー6)
まず、273gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間の間に、727gの実施例5からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して1.7重量%のNCO含有量を有するプレポリマー6を得る。残存モノマー含有量(DIN EN 10283について決定)は、<0.03重量%のHDIであった。粘度: 12200mPas(23℃)。
【0067】
実施例7
まず、2リットルステンレス鋼圧力反応器中において、198.2gの3官能性ポリエーテルスターター分子(構成:グリセロール←PO/EO(40/60)、OH価=260mgKOH/g)および0.12gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填し、次いで窒素下で130℃へ加熱する。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびカプロラクトンの計量添加を、130℃にて開始する。561gのエチレンオキシド、160gのプロピレンオキシドおよび100gのε−カプロラクトンを2.5時間の間に添加した後、カプロラクトンの計量を中断し、次いで130℃にて、更なる140gのエチレンオキシドおよび40gのプロピレンオキシドを、0.5時間の間に添加する。添加したモノマーの重量比は、次の通りである:エチレンオキシド/プロピレンオキシド/ε−カプロラクトン=70/20/10。130℃にて2時間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で130℃にて30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0068】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 36.6mgKOH/g
粘度(25℃): 1427mPas
【0069】
実施例8(プレポリマー8)
まず、732.4gのHDIおよび3.7gの塩化ベンゾイルを3L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、1532gの実施例7からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して2.47重量%のNCO含有量を有するプレポリマー8を得る。残存モノマー含有量(GC)は、0.06重量%のHDIであった。
【0070】
実施例9
まず、2リットルステンレス鋼圧力反応器中において、201.4gの3官能性ポリエーテルスターター分子(構造:グリセロール←PO/EO(30/70)、OH価=37.0mgKOH/g)および0.32gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を装填し、次いで窒素下で130℃へ加熱する。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびグリセロールの計量添加を、130℃にて開始する。768gのエチレンオキシド、219gのプロピレンオキシド、137gのε−カプロラクトンおよび28gのグリセロールを3時間の間に添加した後、ε−カプロラクトンおよびグリセロール計量を中断し、次いで更なる165gのエチレンオキシドおよび33gのプロピレンオキシドを、130℃にて0.5時間にわたり添加した。130℃にて30分間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で130℃にて30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0071】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 34.5mgKOH/g
粘度(25℃): 2513mPas
【0072】
実施例10(プレポリマー10)
まず、85.17gのHDIおよび0.25gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、164.58gの実施例9からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して1.89重量%のNCO含有量を有するプレポリマー8を得る。残存モノマー含有量(GC)は、<0.03重量%のHDIであった。
【0073】
実施例11
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計および還流冷却器を有する4リットル4口フラスコに、1650g(2.5モル)のPolyether V657、570g(5モル)のε−カプロラクトンおよび45mg(20ppm)の二塩化錫二水和物を100℃にて窒素ブランケット下で装填する。温度を200℃へ1時間の間に上昇させ、反応を、更なる20時間、これらの条件下で完了する。得られた化合物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 191mgKOH/g
酸価: 0.5mgKOH/g
粘度: 430mPas(25℃)
【0074】
実施例12
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計および還流冷却器を有する4リットル4口フラスコに、664g(7モル)のグリセロール、1596g(14モル)のε−カプロラクトンおよび45mg(20ppm)の二塩化錫二水和物を100℃にて窒素ブランケット下で装填する。温度を200℃へ1時間の間に上昇させ、反応を、更なる20時間、これらの条件下で完了する。得られた化合物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 493mgKOH/g
酸価: 0.2mgKOH/g
粘度: 240mPas(50℃)、80mPas(75℃)
【0075】
実施例13
まず、20リットルステンレス鋼圧力反応器へ、1800gの実施例11からの前駆物質および0.9gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、69/31の重量比でのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。5088gのエチレンオキシドおよび2309gのプロピレンオキシドを3時間の間に添加した後、130℃にて60分間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0076】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 37.4mgKOH/g
粘度(25℃): 1275mPas
【0077】
実施例14
まず、20リットルステンレス鋼圧力反応器へ、1566gの実施例12からの前駆物質および1.0gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、69/31の重量比でのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。8484gのエチレンオキシドおよび3748gのプロピレンオキシドを3時間の間に添加した後、130℃にて60分間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0078】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 55.2mgKOH/g
粘度(25℃): 944mPas
【0079】
実施例15
まず、20リットルステンレス鋼圧力反応器へ、1403gの実施例1からの前駆物質および4.8gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。9124gのエチレンオキシドおよび2603gのプロピレンオキシドを3時間の間に添加した後、計量を中断し、60分間の2次反応の後、8436gの生成物を反応器から除去する。次いで、更なる1498gのエチレンオキシドおよび642gのプロピレンオキシドを130℃にて3時間にわたり添加する(2ブロックによる添加は、単なる技術的理由を有する:スターター分子および最終生成物の間の大きいOH価の差異に起因して、1段階添加に用いるスターター分子の量は、用いる反応器の型について余りに少ない)。130℃にて60分間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0080】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 24.7mgKOH/g
粘度(25℃): 4403mPas
【0081】
実施例16
まず、20リットルステンレス鋼圧力反応器へ、1436gの実施例4からの前駆物質および4.8gのDMC触媒(EP−A700949に記載の通り調製)を窒素下で装填する。次いで初期装填を130℃へ加熱した。1時間の0.1バールにおける窒素でのストリップ後、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの計量添加を、130℃にて開始する。9310gのエチレンオキシドおよび2553gのプロピレンオキシドを3時間の間に添加した後、計量を中断し、60分間の2次反応の後、9506gの生成物を反応器から除去する。次いで、更なる1338gのエチレンオキシドおよび577gのプロピレンオキシドを130℃にて3時間にわたり添加する(2ブロックによる添加は、単なる技術的理由を有する:スターター分子および最終生成物の間の大きいOH価の差異に起因して、1段階添加に用いるべきスターター分子の量が、用いる反応器の型について余りに少ない)。130℃にて60分間の2次反応の後、揮発性物質を、真空で30分間留去し、次いで反応混合物を室温に冷却する。
【0082】
生成物特性:
ヒドロキシル価: 24.5mgKOH/g
粘度(25℃): 3806mPas
【0083】
実施例17、プレポリマー17
まず、359gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、641gの実施例13からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して2.27重量%のNCO含有量および4570mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマー17を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0084】
実施例18、プレポリマー18
まず、453gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、547gの実施例14からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して3.32重量%のNCO含有量および3430mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマー18を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0085】
実施例19、プレポリマー19
まず、270gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、730gの実施例15からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して1.66重量%のNCO含有量および20200mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマー19を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0086】
実施例20、プレポリマー20
まず、360gのHDIおよび1gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、640gの実施例16からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.1Torrにて留去して2.3重量%のNCO含有量および5960mPas(23℃)の粘度を有するプレポリマー20を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0087】
実施例21
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、下降集中凝縮器および膜真空ポンプを有する4リットル4口フラスコに、1152g(1.95モル)のPolyether L300、1535g(0.34モル)のDesmophen VP.PU 41WB01、98g(0.73モル)の1,1,1−トリメチロールプロパンおよび285mg(1.95モル)のアジピン酸を計り分けて窒素ブランケット下で装填する。初期投入を、200℃へ窒素雰囲気下で水を留去しながら加熱する。4時間後、60mg(20ppmに対応)の二塩化錫二水和物を窒素ブランケット下で装填する。圧力を1時間の間に最終的に15ミリバールへ低下させ、反応を、更なる48時間、これらの条件下で完了する。生成物は、以下の特性を有する:
生成物特性:
ヒドロキシル価: 57mgKOH/g
酸価: 1.1mgKOH/g
粘度: 4580mPas(25℃)、1310mPas(50℃)、570mPas(75℃)
【0088】
実施例22、プレポリマー22
まず、101.43gのHDIおよび0.28gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、148.29gの実施例21からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して3.37重量%のNCO含有量を有するプレポリマー22を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0089】
実施例23
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、下降集中凝縮器および膜真空ポンプを有する4リットル4口フラスコに、1078g(1.82モル)のPolyether L300、1535g(0.34モル)のDesmophen VP.PU 41WB01、146g(1.09モル)の1,1,1−トリメチロールプロパン、155g(1.06モル)のアジピン酸および1.55g(0.77g)のセバシン酸を計り分けて窒素ブランケット下で装填する。初期投入を、200℃へ窒素雰囲気下で水を留去しながら加熱する。4時間後、60mg(20ppmに対応)の二塩化錫二水和物を窒素ブランケット下で添加する。圧力を1時間の間に最終的に15ミリバールへ低下させ、反応を、更なる48時間、これらの条件下で完了する。80℃へ冷却後、300mg(100ppm)のジブチルホスフェートを撹拌投入する。生成物は、以下の特性を有する:
生成物特性:
ヒドロキシル価: 76mgKOH/g
酸価: 0.9mgKOH/g
粘度: 2710mPas(25℃)、790mPas(50℃)、350mPas(75℃)
【0090】
実施例24、プレポリマー24
まず、132.96gのHDIおよび0.25gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、116.79gの実施例23からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して4.27重量%のNCO含有量を有するプレポリマー24を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0091】
実施例25
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、下降集中凝縮器および膜真空ポンプを有する4リットル4口フラスコに、1894g(0.95モル)のPolyether L5050、341g(0.34モル)のPolyether L300、248g(1.24モル)のポリエチレングリコール300、213g(2.32モル)のグリセロール、403g(2.76モル)のアジピン酸および883g(7.75モル)のε−カプロラクトンを計り分けて窒素ブランケット下で装填する。初期投入を、200℃へ大気圧下で水を留去しながら加熱する。4時間後、60mg(20ppm)の二塩化錫二水和物を窒素ブランケット下で添加する。圧力を1時間の間に最終的に15ミリバールへ低下させ、反応を、更なる48時間、これらの条件下で完了する。80℃へ冷却後、300mg(100ppm)のジブチルホスフェートを撹拌投入する。生成物は、以下の特性を有する:
生成物特性:
ヒドロキシル価:92mgKOH/g
酸価:0.3mgKOH/g
粘度:2470mPas(25℃)、640mPas(50℃)、260mPas(75℃)
【0092】
実施例26、プレポリマー26
まず、173.46gのHDIおよび0.3gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、126.24gの実施例25からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して4.71重量%のNCO含有量を有するプレポリマー26を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0093】
実施例27
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、加熱式蒸留橋、加熱式下降集中凝縮器および膜真空ポンプおよびオイルポンプを有する10リットル4口フラスコに、375g(2.50モル)のトリエチレングリコール、4663g(1.03モル)のPolyether VP.PU 41WB01、385g(3.38モル)のε−カプロラクトンおよび75mgのジブチル錫オキシドを計り分けて装填し、初期投入を、200℃にて窒素下で20時間撹拌する。150℃へ冷却後、530g(2.65モル)のポリエチレングリコール 200、355g(2.65モル)の1,1,1−トリメチロールプロパン、1103g(5.15モル)のジフェニルカーボネートおよび75mgのジブチル錫オキシドを添加する。次いで、180℃にて窒素下で大気圧にて1時間撹拌し、120℃へ冷却し、15ミリバールへ減圧し、フェノールを留去しながら橋および凝縮器を温水で45℃にて加熱する。温度を、200℃へ10時間にわたり200℃へ上昇させ、その間、871gのフェノールを留去する。圧力を、オイルポンプを用いて1ミリバールへ低下させ、反応を2時間にわたり完了させ、その間、更なる107gのフェノールを留去する。80℃へ冷却後、640mg(100ppm)のジブチルホスフェートを撹拌投入する。生成物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 89mgKOH/g
酸価: 0.2mgKOH/g
粘度: 2690mPas(25℃)、740mPas(50℃)、310mPas(75℃)
遊離フェノール: 0.02重量%(GC)
【0094】
実施例28、プレポリマー28
まず、142.58gのHDIおよび0.25gの塩化ベンゾイルを1L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、107.16gの実施例27からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.1Torrにて留去して4.92重量%のNCO含有量を有するプレポリマー28を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであった。
【0095】
実施例29
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、下降集中凝縮器および膜真空ポンプを有する2リットル4口フラスコに、141.7g(1.2モル)のコハク酸、720g(1.2モル)のポリエチレングリコール 600および25.4g(0.27モル)のグリセロールを計り分けて窒素ブランケット下で装填する。初期投入を、200℃へ窒素雰囲気下で水を留去しながら加熱する。4時間後、89mg(100ppm)の二塩化錫二水和物を窒素ブランケット下で添加する。圧力を1時間の間に最終的に15ミリバールへ低下させ、反応を、更なる48時間、これらの条件下で完了する。80℃に冷却後、300mg(100ppm)のジブチルホスフェートを撹拌投入する。生成物は、以下の特性を有する:
生成物特性:
ヒドロキシル価: 46mgKOH/g
酸価: 0.6mgKOH/g
【0096】
実施例30、プレポリマー30
まず、252gのHDIおよび0.62gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、365.2gの実施例29からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して3.1重量%のNCO含有量を有するプレポリマー30を得る。残存モノマー含有量は、0.09重量%のHDIであり、粘度は、22400mPas(25℃)であった。
【0097】
実施例31
まず、加熱マントル、機械撹拌機、内部温度計、40cm充填カラム、カラムヘッド、下降集中凝縮器および膜真空ポンプを有する2リットル4口フラスコに、175.4g(1.4モル)のアジピン酸、720g(0.6モル)のポリエチレングリコール 600および34.8g(0.12モル)のトリメチロールプロパンを計り分けて窒素ブランケット下で装填する。初期投入を、200℃へ窒素雰囲気下で水を留去しながら加熱する。4時間後、90mg(100ppm)の二塩化錫二水和物を窒素ブランケット下で添加する。圧力を1時間の間に最終的に15ミリバールへ低下させ、反応を、更なる48時間、これらの条件下で完了する。80℃に冷却後、300mg(100ppm)のジブチルホスフェートを撹拌投入する。生成物は、以下の特性を有する:
ヒドロキシル価: 43mgKOH/g
酸価: 0.2mgKOH/g
【0098】
実施例32、プレポリマー32
まず、400gのHDIおよび1.02gの塩化ベンゾイルを2L4口フラスコへ装填する。2時間にわたり、621.3gの実施例31からの前駆物質を添加し、次いで1時間80℃にて撹拌する。次いで過剰のHDIを薄膜蒸留により130℃および0.13ミリバールにて留去して2.99重量%のNCO含有量を有するプレポリマー32を得る。残存モノマー含有量は、<0.03重量%のHDIであり、粘度は、28000mPas(25℃)であった。
【0099】
ヒドロゲルの調製
ヒドロゲルをそれぞれ、1gの適切なプレポリマーと、8gの水および0.06gのトリエタノールアミンの混合物とを十字型撹拌子を有する磁石撹拌機を用いて撹拌しながら調製した。(処理)時間を、形成する固体ゲルについて計測した。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例33、ヒドロゲルの生分解
対応するヒドロゲルを製造して管(直径0.5cm、長さ2cm)中で硬化した。得られる試験片2.7g(重量)をそれぞれ、10mLの緩衝溶液(pH7.4、Aldrich P−5368)中で60℃にて、振とうインキュベーター中で150rpmにて48時間膨潤させた。次いで、試料を、完全にイオンを含まない水で洗い流し、軽く乾かした。試料の重量を、出発重量として記録した。試料を、60℃での10mLの緩衝溶液(pH 7.4、Aldrich P−5368)中でおよび37℃にて振とうインキュベーター中で同一条件下、更に振とうした。試料の重量を、弱塩基について決定した。ヒドロゲルは、沈殿物を残すことなく完全に溶解した場合、分解したとみなす。
【0102】
試料は、以下の期間後に完全に分解した:
30からのゲル: 7日(60℃)、14日(37℃)
20からのゲル: 35日(60℃)
18からのゲル: 42日(60℃)
32からのゲル: 7日(60℃)、14日(37℃)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性官能基をポリマー鎖中に有し、
A)加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリイソシアネートプレポリマー、
B)水、
C)必要に応じて、少なくとも1つの第3級アミノ基および少なくとも3つのヒドロキシル基を有するヒドロキシルアミノ化合物、
D)必要に応じて触媒、および
E)必要に応じて補助剤および添加剤
の反応により得られ、前記ポリイソシアネートプレポリマーA)は、
A1)ポリイソシアネートと、
A2)加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリオールと
の反応により得られ、前記ポリオールA2)は、室温において液体であり、23℃において200〜8000mPasの範囲、好ましくは400〜4000mPasの範囲のDIN53019せん断粘度を有するポリエステルおよび/またはポリエーテルエステルであることを特徴とする、ポリウレタンまたはポリウレタンウレアに基づくヒドロゲル。
【請求項2】
加水分解性官能基は、エステル基、アセタール基および/またはカーボネート基であることを特徴とする、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項3】
ポリエーテルエステルおよび/またはポリエステルは、20〜140mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/gのヒドロキシル価および/または0.05〜10mgKOH/g、好ましくは0.1〜3mgKOH/g、より好ましくは0.15〜2.5mgKOH/gの酸価を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートA1)は、モノマー脂肪族および/または脂環式ジ−またはトリイソシアネート、特に1,4−ブチレンジイソシアネート(BDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび/またはこれらの任意の所望の異性体含有量の混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)、および/またはC1〜C8アルキル基を有するアルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)および/または前述のポリイソシアネートの混合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロゲル。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートプレポリマーA)は、0.5重量%未満、好ましくは0.03重量%未満のモノマージ−および/またはトリイソシアネートを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロゲル。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートプレポリマーA)は、2〜6、好ましくは3〜4のNCO官能価を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のヒドロゲル。
【請求項7】
前記ヒドロキシルアミノ化合物C)は、3官能性アミノアルコールについて開始したポリアルキレンオキシドであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のヒドロゲル。
【請求項8】
癒着遮断層としての使用のための、請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロゲル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のヒドロゲルの製造方法であって、
i)ポリイソシアネートと加水分解性基をポリマー鎖中に有するポリオールとを反応させてポリイソシアネートプレポリマーを形成する工程、および
ii)必要に応じて、水と少なくとも1つの第3級アミノ基および少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物とを混合する工程、
iii)工程ii)の混合物を工程i)のプレポリマーへ添加し、撹拌する工程
を含む、方法。

【公表番号】特表2013−508482(P2013−508482A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534567(P2012−534567)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006125
【国際公開番号】WO2011/047789
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】