説明

生分解性ホイルにパックされた齧歯類用の餌

本発明は、ポリエステルとデンプンを含む生分解性ホイルにパックされている、齧歯類用の餌を含んでなる餌システムに関する。本発明はまた、a)齧歯類用の餌を生分解性ホイルにパックする工程、およびb)パックした餌を齧歯類に与える工程、を含んでなる齧歯類を防除するための方法に関する。それはまた、齧歯類を防除する上で組み合わせて使用するための、a)前記の齧歯類用の餌、およびb)前記の生分解性ホイル、を個別の成分として含んでなる餌システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルとデンプンを含む生分解性ホイルにパックされている、齧歯類用の餌を含んでなる餌システムに関する。本発明はまた、a)齧歯類用の餌を生分解性ホイルにパックする工程、およびb)パックした餌を齧歯類に与える工程、を含んでなる齧歯類を防除するための方法に関する。本発明はまた、齧歯類を防除する上で組み合わせて使用するための、a)齧歯類用の餌、およびb)生分解性ホイルを、個別の成分として、含んでなる餌システムに関する。好ましい実施形態と他の好ましい実施形態との組合せは本発明の範囲内である。
【背景技術】
【0002】
さまざまな齧歯類用の餌が知られている。WO 1993/01712(特許文献1)には、パッケージに含まれた餌組成物を含んでなる齧歯類用の餌パッケージが開示されており、そのパッケージは、苦味剤または忌避剤を組み込んだ材料で作られている。プラスチックなど、さまざまなパッケージング用の材料が開示されている。欠点は、そのパッケージング用材料が生分解性でないことと、ホイルが苦味剤による追加処理を必要とすることである。
【0003】
DE 198 37 064(特許文献2)には、ペースト状の殺鼠用の餌が開示されており、この餌は、融点が20〜70℃の範囲の脂肪と混合されて、結果的に耐湿性であり、また、生分解性材料製のホイルに、すぐに使えるよう小分けされてパックされている。多様な生分解性材料が提案されており、例えば、ポリエステルとデンプンのブレンドなどがある。この餌システムの欠点は、それがペースト状の餌にのみ用いられる点である。ペーストの粘度は、外側のホイルの良好な濡れ性(それは結果的に齧歯類の高い誘引性をもたらす)を達成するために、調整する必要がある。それは特定の融点の脂肪に限定される。
【0004】
DE 44 34 839(特許文献3)には、殺鼠剤と担体の混合物がホイルにパックされている、殺鼠用の餌システムが開示されており、そのホイルは少なくとも250cm3/m2*24h*バールのO2透過率および100g/m2*24h*バールまでの水蒸気透過率を有するものであり、そして該混合物はすぐに使えるよう小分けされてパックされている。さまざまなホイル材料が提案されており、例えば、ポリテレフタル酸グリコールエステルなどがある。欠点は、好ましくは多層ホイルを用いる必要があることである。
【0005】
WO 2009/095878(特許文献4)には、はびこっているネズミ種の口に合うバイオポリマーに基づく生分解性フィルムにパッケージングされた、毒餌を含む殺鼠用製剤が開示されている。そのバイオポリマーはMater-Bi(登録商標)であり、このポリマーは、60〜70重量%のデンプンと30〜40重量%のビニルアルコール/エチレン(60/40モル/モル)コポリマーのいくつかのグレードで入手可能であり、Bastioli et al., Journal of Environmental Polymer Degradation, 1993, 1, 181-191 (“Mater-Bi: Properties and Biodegradability”) (非特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 1993/01712
【特許文献2】DE 198 37 064
【特許文献3】DE 44 34 839
【特許文献4】WO 2009/095878
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bastioli et al., Journal of Environmental Polymer Degradation, 1993, 1, 181-191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、餌が齧歯類によって持ち去られた後に廃棄物を出さない、齧歯類用の餌システムを特定することであった。さらに、前記システムは産業上利用可能な材料に基づくべきであり、それは商業的な餌製剤と共に機能すべきであり、それは貯蔵安定性であるべきであり、それは齧歯類に魅力的であるべきであり、そしてそれは有害生物管理者にとって取り扱いが容易で安全であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、ポリエステルとデンプンを含む生分解性ホイルにパックされている、齧歯類用の餌を含んでなる餌システムにより達成された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例で使用した本発明に係る袋を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一般的に、齧歯類用の餌は殺鼠剤を含んでいる。本発明において、殺鼠剤という用語は、有害齧歯類(rodent pests)、好ましくはネズミ類(rodents)、特にクマネズミ(rats)とハツカネズミ(mice)、を防除するのに適している固体または液体の活性成分を意味する。好ましくは、その餌は抗凝血剤のクラスからの殺鼠剤を含んでいる。
【0012】
適当なクラスの殺鼠剤には以下が含まれる:
- 抗凝血剤、特にクマリン誘導体、例えばブロジファクム、ブロマジオロン、クマクロル、クマフリル、クマテトラリル、ジフェナクム、ジフェチアロン、フロクマフェンおよびワーファリン、インダンジオン誘導体、例えばクロロファシノン、ジファシノンおよびピンドン;
- 無機殺鼠剤、例えば酸化ヒ素、リン、亜ヒ酸カリウム、亜ヒ酸ナトリウム、硫酸タリウムおよびリン化亜鉛;
- 有機塩素系殺鼠剤、例えばγ-HCH、HCHおよびリンダン;
- 有機リン系殺鼠剤、例えばホサセチム;
- ピリミジンアミン系殺鼠剤、例えばクリミジン;
- チオ尿素系殺鼠剤、例えばアンツ(antu);
- 尿素系殺鼠剤、例えばピリヌロン;
- 庭用殺鼠剤、例えばシリロシドおよびストリキニーネ;
- 未分類殺鼠剤、例えばブロメタリン、クロラロース、α-クロロヒドリン、エルゴカルシフェロール、フルオロアセトアミド、フルプロパジン、ノルボルミド、フルオロ酢酸ナトリウムおよびビタミンD3。
【0013】
好ましい殺鼠剤は抗凝血剤、特にクマリン誘導体、特に好ましくはフロクマフェンおよびジフェナクムである。さらに、好適なものは、抗凝血剤とエルゴカルシフェロールまたはビタミンD3との混合物である。リン化亜鉛も同様に好適である。
【0014】
齧歯類用の餌に含まれる殺鼠剤の量は、好ましくは0.0005〜99.5重量%、より好ましくは0.001〜50重量%、最も好ましくは0.001〜1.0重量%、特に好ましくは0.001〜0.01重量%である。その量は通常、殺鼠剤の活性レベルおよび製剤のタイプによって変化する。
【0015】
齧歯類用の餌は固体、液体またはペースト状の製剤であり得る。餌製剤の例としては、食物餌、特に種子穀物餌および適切な処理剤、ペレット(ダイ成形品)、ワックスコーティングペレット、溶融ワックスブロック、圧縮または押出ワックスブロック、ペースト、ジェル、顆粒および発泡体がある。好ましくは、餌は固体製剤、特にブロック餌である。さらに好ましくは、餌は、45℃、好ましくは55℃、より好ましくは70℃の温度に12時間さらしたとき、その形状を失わないものである。最も好ましくは、齧歯類用の餌はブロック餌である。
【0016】
別の好ましい実施形態において、その餌はブロック餌であり、例えば、溶融ワックスブロック、圧縮または押出ワックスブロックである。
【0017】
通常、ブロック餌は1〜30g、好ましくは2〜10g、さらに好ましくは2.0〜6.0g、特に3.0〜5.0gの重さがある。とりわけ、その重さは3.1〜4.0gの範囲である。一般的には、ブロック餌の少なくとも80%(好ましくは、少なくとも95%)が前記の範囲内にある。
【0018】
好ましくは、ブロック餌は殺鼠剤、混合飼料、一般には穀物粒、粗びき穀物粉または穀物粉、パラフィンワックス、および適宜に補助剤を含んでいる。ブロック餌は通常、注型、押出または圧縮によって製造される。ブロック餌は、例えば、それらを餌場に吊り下げるまたは固定することを可能にする、多くの形状で製造することができる。好ましい実施形態では、動物は角をかじることが好きなので、ワックスブロックが多数の角を含む。適当なブロックは、例えばWO 2002/47896の図1および2に記載されており、それを参照されたい。
【0019】
通常、ブロック餌は、45℃、好ましくは55℃、より好ましくは70℃の温度に12時間さらしたとき、その形状を失わないものである。齧歯類用の餌(例えば、ブロック餌)中に少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%の量で存在する成分はすべて、一般的には45℃以上、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上の融点を有する。ブロック餌は昇温でそのままの形状を保つことが有利であると分かった。というのは、野原では餌システムが温まる傾向があり、齧歯類は溶け出したブロック餌を運び去ることを好まず、また、嗜好性が低下するため、溶けたブロック餌を食べたがらないからである。
【0020】
一般的に、ブロック餌は、長さが1.5cm〜15cm、幅が1.0〜15cm、そして高さが0.3〜15cmである。好ましくは、ブロック餌は、長さが2.0cm〜7.0cm、幅が1.3〜6.0cm、そして高さが0.7〜4.0cmである。特に、ブロック餌は、長さが2.0cm〜5.0cm、幅が1.4〜3.0cm、そして高さが0.7〜2.0cmである。ブロック餌が円筒形の形状をしている場合は、幅が直径に相当する。
【0021】
別の好ましい実施形態において、ブロック餌の少なくとも2つの寸法(例えば、長さと幅)は少なくとも1.0cm、好ましくは少なくとも1.5cmのサイズを有する。
【0022】
ブロック餌の形は実質的に球状(例えば、卵、ペレット、球体、(アメリカンフットボールのような)長球、扁平楕円体のような形)であることが好ましい。さらなる実施形態において、ブロック餌の形には角点(corner point)が存在しない。少なくとも1つの角点をもつ形の例としては、直方体がある。齧歯類にとっては、自分の歯で丸みのあるまたは実質的に球状のブロック餌をつかむ方がはるかに簡単である。
【0023】
上記の寸法の利点は、齧歯類がその巣(齧歯類のコロニーのための安全かつ静かな場所であり、そこで齧歯類コロニーのすべてのメンバーが餌を食べることができる)に餌システムを運んでいるときに、パックされた餌が生分解性ホイルからほとんど落ちないことである。これは特に、齧歯類がその巣に餌システムを運んでいるときに餌システムからこぼれ落ちやすい、ペレットや顆粒などの比較的小さい餌に比べて有利である。齧歯類がその巣または穴に餌システムを運んでいるときに餌があちこちにまき散らされると、非ターゲット種には非常に危険であろう。
【0024】
先に記載したタイプのブロック餌の利点は、齧歯類がその巣または穴に餌システムを容易に運ぶことができるということである。さらに、齧歯類は、同様の総重量であるが、より小さいまたは軽い餌ユニット(例えば、ペレット、顆粒、または穀粒)を含む餌に比べて、食べるためのその巣にこのタイプのブロック餌を運ぶことをはるかに好む。
【0025】
さらに、餌として好適なものはペレット(ダイ成形品)である。このようなペレットは、場合により粉末状にしたまたは挽いて粉にした飼料(特に穀物)および増粘剤や他の補助剤と混合した、殺鼠剤を含む。ペレットは通常、圧縮、押出およびその後の乾燥により製造される。ペレットのサイズはターゲット動物の関数として変化する。多くの場合、ペレットは直径が3〜5mm、長さが5〜10mmの円筒形に製造される。
【0026】
さらなる好適な餌製剤は顆粒であり、顆粒は、殺鼠剤のほかに、一般的に粉砕した、例えば挽いて粉にした飼料と、適宜にさらなる補助剤(例えば、結合剤)を含む。顆粒の製造は例えばEP-A 0 771 393に記載されている。
【0027】
典型的には、齧歯類用の餌は、少なくとも1種の殺鼠剤、少なくとも1種の餌材料、および1種以上の補助剤を含んでなる。好ましくは、齧歯類用の餌は、
(A) 0.0001〜30重量%の少なくとも1種の殺鼠剤、
(B) 0.5〜99.999重量%の少なくとも1種の餌材料、および
(C) 0〜94.999重量%の1種以上の補助剤、
を含んでなる。
【0028】
一般的に用いられる餌材料は、植物性または動物性の食料および飼料である。適当な例は次のとおりである:粗びき穀物粉、穀物粒、薄く削ったもしくはカットした穀物または穀物の粗びき粉(例えば、オートムギ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、コメ)、薄く削ったココナツ、挽いて粉にしたココナツ、糖シロップ(例えば、デンプンを加水分解することによって得られるもの(ブドウ糖シロップ)、転化糖シロップ、テンサイ糖シロップ、メープルシロップ)、糖類(例えば、ショ糖、乳糖、果糖、ブドウ糖)、すりつぶしたナッツ、挽いて粉にしたナッツ(例えば、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド)、植物性油/脂(例えば、ナタネ油、ダイズ脂、ヒマワリ油、カカオ脂、落花生油、ピーナッツバター、コーン油)、動物性油/脂(バター、ラード、魚油)、タンパク質(例えば、脱脂粉乳、乾燥卵、タンパク質加水分解物)およびミネラル類(例えば、一般の食塩)。
【0029】
好適な材料は次のものである:植物性の食料、例えばオートミール、薄く削ったもしくはカットした穀物、コムギ穀粒、コムギの粗びき粉、コムギ粉、ひき割りトウモロコシ、薄く削ったココナツ、挽いて粉にしたココナツ、ブドウ糖シロップ、メープルシロップ、テンサイ糖シロップ、ショ糖、ブドウ糖、挽いて粉にしたヘーゼルナッツ、挽いて粉にしたクルミ、アーモンド、ナタネ油、ダイズ脂、落花生油、コーン油;動物性脂肪、例えばバター;タンパク質、例えば乾燥卵および脱脂粉乳など。
【0030】
餌は、多くの場合、上記の餌材料を1種以上含有する。本発明による製剤には2種の異なる餌材料を用いることが好適である。
【0031】
餌は、好ましくは10〜99重量%、特に好ましくは20〜90重量%の餌材料を含んでなる。
【0032】
餌は補助剤として1種以上の誘引物質を含んでもよい。本発明において、誘引物質は、摂食刺激物質(phagostimulant)であるか、または飼料に適していない餌に別の方法で、特に匂いで(例えば、性誘引物質として)、有害齧歯類の注意を引き付ける物質(または物質の混合物)である。誘引物質の例は、フェロモン、酵母、挽いて粉にした甲殻類、糞便、液果類、チョコレート、魚粉、肉、黒コショウおよび調味料、例えばグルタミン酸塩、特にグルタミン酸ナトリウムおよびグルタミン酸二ナトリウムである。一般的に、誘引物質の量は、全製剤に基づいて、0〜10重量%、好ましくは0〜1重量%である。
【0033】
さらなる慣用の補助剤には、着色剤、苦味剤、フロー剤(flow agent)、結合剤、耐候性を改善するための物質、および酸化防止剤が含まれる。一般的に、用いる補助剤は用いる餌製剤の性質によって変わってくる。
【0034】
ヒトまたは非ターゲット動物が誤って摂取するのを回避するために、多くの場合、着色剤が添加されており、それによって餌製剤は消費のためではないと明確に表示される。特に、青色の着色剤は、鳥類が食べるのを阻止するのに役立つ。しかし、それはまた、有害齧歯類の糞または嘔吐物において餌の消費を検出するのに役立つこともある。
【0035】
苦味剤は、ヒトによる偶発的な消費を回避するのに役立つ。特に好ましいものは安息香酸デナトニウムであり、これは適切な濃度(一般には1〜200ppm、特に5〜20ppm)でヒトにとって最も不快な味であるが、齧歯類にとってはそうでない。
【0036】
フロー剤と結合剤は餌製剤のタイプに応じて添加される。結合剤は本発明による混合物を餌成分(例えば、穀物粒)の表面に固着することができ、例えばペーストの場合には、構造および密着性を付与することができる。鉱物土類およびアルミノケイ酸塩などのフロー剤は押出を容易にし、したがって、それらはペレットおよび押出ブロックに用いられることが多い。
【0037】
耐候性を改善するための適切な物質は、例えば、パラフィンワックスである。
【0038】
適当な酸化防止剤の例は、好ましくは10ppm〜20,000ppmの量の、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ブチル化ヒドロキシトルエン類、およびブチル化ヒドロキシアニソール類である。
【0039】
齧歯類用の餌は、いくつかの目的のために上述したパラフィンワックスを含むことができる。パラフィンワックスは一般的にアルカン炭化水素(好ましくは一般式CnH2n+2を有し、ここでnは15〜45である)であり、それらは25℃で固体である。パラフィンワックスの融点は通常40℃より高く、好ましくは50℃より高く、より好ましくは58℃より高く、特に好ましくは62℃より高い。通常、餌の全重量に基づいて、餌は50重量%までのパラフィンワックス、好ましくは40重量%まで、より好ましくは30重量%までのパラフィンワックスを含む。
【0040】
一般的に、ホイルは厚さが1〜50μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは15〜30μm、特に好ましくは18〜25μmの範囲である。
【0041】
ポリエステルとデンプンを含有するホイルは生分解性である。本発明において、物質または物質の混合物がDIN EN 13432に規定される方法で少なくとも60%の生分解率を有するとき、その物質または物質の混合物は「生分解性」と呼ばれる特性に適合する。生分解性を測定する他の方法は、例えば、ABNT 15448-1/2およびASTM D6400に説明されている。
【0042】
生分解性の結果は、一般的に、ホイルが実証できる適切な期間内に崩壊するということである。分解は、酵素的、加水分解的、酸化的に、および/または紫外線などの電磁放射線への曝露を介して起こり得るが、通常は主に細菌、酵母、真菌および藻類などの微生物への曝露によって引き起こされる。生分解性を定量化する方法の例は、ポリエステルを堆肥と混合して、それを特定の時間にわたり貯蔵する。例として、DIN EN 13432によれば、堆肥化プロセスの間中CO2フリーの空気を完熟堆肥に通して、その堆肥を特定の温度プロファイルに供する。生分解性は、試料により放出される可能性があるCO2の最大量(試料の炭素含量から計算される)に対する、試料から放出されたCO2の正味量(試料を含まない堆肥によって放出されたCO2の量を差し引いた後の量)の比として本明細書では定義され、この比が生分解率として規定される。2〜3日の堆肥化の後でさえ、生分解性ポリエステルまたは生分解性ポリエステル混合物は一般に、劣化の著しい兆候を示し、例えば、真菌の増殖、亀裂、およびいくつもの小さな穴が見られる。
【0043】
ホイルはポリエステルとデンプンを含有する。一般的に、ホイルはデンプンを少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%含む。それはデンプンを最大80重量%まで、好ましくは60重量%まで含むことができる。一般的に、ホイルはポリエステルを少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%含む。それはポリエステルを最大80重量%まで、好ましくは60重量%まで含むことができる。
【0044】
ポリエステルはよく知られているポリマーである。それらは、重合した形のモノマー類、例えばジオールと二酸(もしくはジエステル)、またはヒドロキシ酸(もしくはヒドロキシエステル)を含んでなる。好ましくは、ポリエステルは脂肪族または半芳香族ポリエステルである。さらに好ましくは、ポリエステルは半芳香族ポリエステルである。好ましくは、ポリエステルは重合した形の1,4-ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸を含んでなる。
【0045】
適当なポリエステルは脂肪族ポリエステルである。これらには、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはラクトンのホモポリマー、およびまた、異なるヒドロキシカルボン酸もしくはラクトンもしくはこれらの混合物のコポリマーまたはブロックコポリマーが含まれる。これらの脂肪族ポリエステルは、ジオールおよび/またはイソシアネートの単位を含むこともできる。脂肪族ポリエステルはまた、三官能性もしくは多官能性化合物(例えば、エポキシド、酸、またはトリオール)から誘導される単位を含んでもよい。脂肪族ポリエステルは、個々の単位として後者の単位を、または多数のこれらの単位を、場合によりジオールおよび/またはイソシアネートと一緒に、含むことができる。脂肪族ポリエステルの製造方法は当業者に公知である。脂肪族ポリエステルを製造する際に、2種以上のコモノマーから、および/または他の単位から、例えばエポキシドから、または多官能性脂肪族もしくは芳香族酸から、または多官能性アルコールから、作られる混合物を用いることも当然可能である。脂肪族ポリエステルは一般に10,000〜100,000g/molのモル質量(数平均)を有する。
【0046】
脂肪族ポリエステルの例は、乳酸の重合反応生成物、ポリ-3-ヒドロキシブタノエート類、または脂肪族もしくは脂環式ジカルボン酸と脂肪族もしくは脂環式ジオールから形成されたポリエステルである。脂肪族ポリエステルはまた、他のモノマーを含むランダムまたはブロックコポリエステルであってもよい。他のモノマーの割合は一般に最大10重量%までである。好適なコモノマーはヒドロキシカルボン酸、ラクトンまたはこれらの混合物である。
【0047】
乳酸の重合反応生成物はそれ自体公知であり、それ自体公知の方法によって製造することができる。ポリラクチドのほかに、乳酸と他のモノマーとに基づくコポリマーまたはブロックコポリマーも使用することができる。大抵は直鎖ポリラクチドが用いられる。しかし、分岐した乳酸ポリマーも使用することができる。分岐剤の例としては、多官能性の酸またはアルコールがある。例として挙げることができるポリラクチドは、本質的に乳酸またはそのC1-C4-アルキルエステルまたはこれらの混合物と、少なくとも1種の脂肪族C4-C10ジカルボン酸と、3〜5個のヒドロキシル基を有する少なくとも1種のC3-C10アルカノールとから得られるものである。
【0048】
ポリ-3-ヒドロキシブタノエートは、3-ヒドロキシブタン酸、または4-ヒドロキシブタン酸と3-ヒドロキシ吉草酸(特に30%重量まで、好ましくは20重量%までの割合である)との混合物のホモポリマーまたはコポリマーである。このタイプの好適なポリマーには、R-立体特異的配置をもつポリマーも含まれる。ポリヒドロキシブタノエートまたはこれらのコポリマーは微生物により調製することができる。さまざまな細菌および真菌からの調製方法が、立体特異的ポリマーの調製方法と同様に、公知である。上記のヒドロキシカルボン酸もしくはラクトンのブロックコポリマー、またはそれらの混合物、オリゴマーもしくはポリマーのブロックコポリマーを用いることも可能である。
【0049】
脂肪族もしくは脂環式ジカルボン酸と脂肪族もしくは脂環式ジオールから形成される好適なポリエステルは、脂肪族もしくは脂環式ジカルボン酸またはこれらの混合物と、脂肪族もしくは脂環式ジオールまたはこれらの混合物とから形成されたものである。本発明によれば、ランダムまたはブロックコポリマーを使用することができる。本発明に従う好適な脂肪族ジカルボン酸は一般的に、2〜10個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する。それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。本発明において、使用できる脂環式ジカルボン酸は一般的に、7〜10個の炭素原子をもつもの、特に8個の炭素原子をもつものである。しかし、原則として、より多くの炭素原子をもつ、例えば30個までの炭素原子をもつジカルボン酸を用いることも可能である。例として以下が挙げられる:マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸および2,5-ノルボルナンジカルボン酸、好ましくはアジピン酸。さらに、同様に使用できるものとして、上記の脂肪族または脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も挙げることができ、特に、ジ-C1-C6-アルキルエステル、例えばジメチル、ジエチル、ジ-n-プロピル、ジイソプロピル、ジ-n-ブチル、ジイソブチル、ジ-tert-ブチル、ジ-n-ペンチル、ジイソペンチルおよびジ-n-ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸の無水物も同様に使用できる。ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体は、個別にまたはこれらの2種以上の混合物として用いることができる。
【0050】
適当な脂肪族もしくは脂環式ジオールは一般的に、2〜10個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する。それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。例としては、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,2-もしくは1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-もしくは1,4-シクロヘキサンジオール、またはこれらの混合物がある。
【0051】
使用できる脂肪族ポリエステルの例は、WO 94/14870に記載されるような脂肪族コポリエステルであり、特にコハク酸、そのジエステル、またはそれと他の脂肪族酸(例えばグルタル酸)もしくはそれぞれのジエステルとの混合物、およびブタンジオール、またはこのジオールとエチレングリコール、プロパンジオールもしくはヘキサンジオールもしくはこれらの混合物とからの混合物、から作られた脂肪族コポリエステルである。別の実施形態では、好適な脂肪族ポリエステルとしてポリカプロラクトンが挙げられる。
【0052】
本発明によれば、半芳香族ポリエステルという用語は、重合した形の脂肪族および芳香族モノマーを含むポリエステルをさす。半芳香族ポリエステルという用語はまた、半芳香族ポリエステルの誘導体、例えば半芳香族ポリエーテルエステル、半芳香族ポリエステルアミド、または半芳香族ポリエーテルエステルアミドを含むことが意図される。中でも、好適な半芳香族ポリエステルは直鎖状の非鎖伸長型(non-chain-extended)ポリエステルである(WO 92/09654)。鎖伸長型および/または分岐型半芳香族ポリエステルが好ましいものである。後者のポリエステルは、最初に挙げた明細書、WO 96/15173、WO 96/15174、WO 96/15175、WO 96/15176、WO 96/21689、WO 96/21690、WO 96/21691、WO 96/21689、WO 96/25446、WO 96/25448、およびWO 98/12242に開示されている(これらは参照により本明細書に明示的に組み入れられる)。異なる半芳香族ポリエステルの混合物もまた使用できる。特に、半芳香族ポリエステルという用語は、Ecoflex(登録商標)(BASF SE社)、Eastar(登録商標)Bio、Origo-Bi(Novamont社)などの製品を意味することが意図される。
【0053】
中でも特に好適な半芳香族ポリエステルは、以下の重要な成分を含むポリエステルである:
A) 以下のa1)〜a3)からの酸成分:
a1) 30〜99モル%の少なくとも1種の脂肪族の、または少なくとも1種の脂環式のジカルボン酸、もしくはそのエステル形成性誘導体、またはこれらの混合物;
a2) 1〜70モル%の少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル形成性誘導体、またはこれらの混合物;および
a3) 0〜5モル%のスルホン酸基含有化合物;
および
B) 少なくとも1種のC2-C12アルカンジオールおよび少なくとも1種のC5-C10シクロアルカンジオール、またはこれらの混合物から選択されるジオール成分。
【0054】
必要に応じて、半芳香族ポリエステルはまた、以下のC)およびD)から選択される1種以上の成分を含むことができる:
C)は、以下から選択される成分である:
c1) 少なくとも1種の式Iを有するエーテル官能基含有ジヒドロキシ化合物:
HO-[(CH2)n-O]m-H (I)
[式中、nは2、3または4であり、mは2〜250の整数である];
c2) 少なくとも1種の式IIaまたはIIbのヒドロキシカルボン酸:
【化1】

【0055】
[式中、pは1〜1500の整数であり、rは1〜4の整数であり、そしてGはフェニレン、-(CH2)q-(ここで、qは1〜5の整数)、-C(R)H-および-C(R)HCH2-(ここで、Rはメチルまたはエチル)からなる群より選択される基である];
c3) 少なくとも1種のアミノ-C2-C12アルカノール、もしくは少なくとも1種のアミノ-C5-C10シクロアルカノール、またはこれらの混合物;
c4) 少なくとも1種のジアミノ-C1-C8アルカン;
c5) 少なくとも1種の式IIIの2,2'-ビスオキサゾリン:
【化2】

【0056】
[式中、R1は単結合、(CH2)z-アルキレン基(ここで、z=2、3または4)、またはフェニレン基である];
c6) 以下からなる群より選択される、少なくとも1種のアミノカルボン酸:
天然に存在するアミノ酸、炭素原子数4〜6のジカルボン酸と炭素原子数4〜10のジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド、式IVaおよびIVbの化合物:
【化3】

【0057】
[式中、sは1〜1500の整数であり、tは1〜4の整数であり、そしてTはフェニレン、-(CH2)u-(ここで、uは1〜12の整数)、-C(R2)H-および-C(R2)HCH2-(ここで、R2はメチルまたはエチル)からなる群より選択される基である]、および繰返し単位Vを有するポリオキサゾリン:
【化4】

【0058】
[式中、R3は水素、C1-C6-アルキル、C5-C8-シクロアルキル、フェニル(無置換であるか、または3個までのC1-C4-アルキル置換基を有する)、またはテトラヒドロフリルである];
またはc1)〜c6)からの混合物;
そして
D)は、以下から選択される成分である:
d1) エステル形成が可能な少なくとも3個の基を有する少なくとも1種の化合物;
d2) 少なくとも1種のイソシアネート;
d3) 少なくとも1種のジビニルエーテル;
またはd1)〜d3)からの混合物。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、半芳香族ポリエステルの酸成分Aは、30〜70モル%、特に40〜60モル%のa1、および30〜70モル%、特に40〜60モル%のa2を含む。
【0060】
使用できる脂肪族酸および対応する誘導体a1は、一般に2〜10個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子をもつものである。それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。本発明において使用できる脂環式ジカルボン酸は、一般に7〜10個の炭素原子をもつもの、特に8個の炭素原子をもつものである。しかし、原則として、より多くの炭素原子をもつ、例えば30個までの炭素原子をもつジカルボン酸を用いることも可能である。
【0061】
例として以下を挙げることができる:マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、ブラシル酸および2,5-ノルボルナンジカルボン酸。
【0062】
上記の脂肪族または脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も同様に使用することができ、特に、ジ-C1-C6-アルキルエステル、例えばジメチル、ジエチル、ジ-n-プロピル、ジイソプロピル、ジ-n-ブチル、ジイソブチル、ジ-tert-ブチル、ジ-n-ペンチル、ジイソペンチルおよびジ-n-ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸の無水物を使用することも可能である。
【0063】
ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体は、本明細書では、個別にまたはこれらの2種以上からなる混合物の形で用いることができる。
【0064】
コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、もしくはこれらの各エステル形成性誘導体、またはこれらの混合物を用いることが望ましい。コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、もしくはこれらの各エステル形成性誘導体、またはこれらの混合物を用いることが特に望ましい。アジピン酸もしくはそのエステル形成性誘導体、例えばそのアルキルエステル、またはこれらの混合物を用いることが特に望ましい。「硬質」または「脆性」成分ii)を含むポリマー混合物、例えばポリヒドロキシブチレートまたは特にポリラクチド、を製造する場合には、用いる脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸またはセバシン酸とアジピン酸との混合物を含むことが好ましい。「軟質」または「靭性」成分ii)を含むポリマー混合物、例えばポリヒドロキシブチレート-コ-バレレート、を製造する場合には、用いる脂肪族ジカルボン酸がコハク酸またはコハク酸とアジピン酸との混合物を含むことが好ましい。
【0065】
コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸およびブラシル酸のさらなる利点は、それらが入手しやすい再生可能な原料であるということである。
【0066】
芳香族ジカルボン酸a2としては、一般に8〜12個の炭素原子をもつもの、好ましくは8個の炭素原子をもつものが挙げられる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフトエ酸および1,5-ナフトエ酸、さらにこれらのエステル形成性誘導体を挙げることができる。特に、本明細書では、ジ-C1-C6-アルキルエステル、例えばジメチル、ジエチル、ジ-n-プロピル、ジイソプロピル、ジ-n-ブチル、ジイソブチル、ジ-tert-ブチル、ジ-n-ペンチル、ジイソペンチル、またはジ-n-ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸a2の無水物もまた、好適なエステル形成性誘導体である。
【0067】
しかし、原則として、より多くの炭素原子、例えば20個までの炭素原子をもつ芳香族ジカルボン酸a2を用いることも可能である。
【0068】
芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体a2は、個別にまたはこれらの2種以上の混合物として用いることができる。テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、例えばテレフタル酸ジメチル、を用いることが特に望ましい。
【0069】
用いるスルホン酸基含有化合物は、通常、スルホン酸基を含有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩のうちの1種、好ましくは5-スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩またはこれらの混合物、特に好ましくはそのナトリウム塩である。
【0070】
好ましい実施形態の1つにおいて、酸成分Aは、40〜60モル%のa1、40〜60モル%のa2、および0〜2モル%のa3を含む。別の好ましい実施形態では、酸成分Aが40〜59.9モル%のa1、40〜59.9モル%のa2、および0.1〜1モル%のa3、特に40〜59.8モル%のa1、40〜59.8モル%のa2、および0.2〜0.5モル%のa3を含む。
【0071】
ジオールBは、一般的に、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子をもつ分岐鎖または直鎖アルカンジオールからなる群より、または5〜10個の炭素原子をもつシクロアルカンジオールからなる群より選択される。
【0072】
好適なアルカンジオールの例は次のとおりである:エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、および2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、特にエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、または2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、または2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール。特に成分a1)としてのアジピン酸と組み合わせた、1,4-ブタンジオール、および特に成分a1)としてのセバシン酸と組み合わせた、1,3-プロパンジオールが特に好ましいものである。1,3-プロパンジオールの別の利点は、それが入手しやすい再生可能原料であるということである。異なるアルカンジオール類の混合物を使用することも可能である。
【0073】
過剰の酸基または過剰のOH末端基が望まれているかに応じて、成分Aまたは成分Bのいずれかを過剰に用いることができる。1つの好ましい実施形態では、用いる成分Aと成分Bのモル比を0.4:1〜1.5:1、好ましくは0.6:1〜1.1:1とすることができる。
【0074】
成分Aと成分Bのほかに、本発明のポリエステル混合物の基礎となるポリエステルは他の成分を含むことができる。
【0075】
使用することが好ましいジヒドロキシ化合物c1は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、特に好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールであり、これらの混合物も用いることができる。同様に、異なる変数nを有する化合物(式I参照)、例えばプロピレン単位(n=3)を含むポリエチレングリコール(例えば、それ自体公知の重合方法を用いて、最初にエチレンオキシドと重合させ、次にプロピレンオキシドと重合させることによって得られる)、特に好ましくは、異なる変数nを有するポリエチレングリコールに基づくポリマー(エチレンオキシドから形成される単位が主要部を占める)を使用することもできる。ポリエチレングリコールのモル質量(Mn)は一般に250〜8000g/mol、好ましくは600〜3000g/molの範囲内で選択される。
【0076】
半芳香族ポリエステルを製造するための好ましい実施形態の1つでは、Bとc1のモル量に基づいて、例えば15〜98モル%、好ましくは60〜99.5モル%のジオールBと、0.2〜85モル%、好ましくは0.5〜30モル%のジヒドロキシ化合物c1を使用することができる。
【0077】
1つの好ましい実施形態において、使用できるヒドロキシカルボン酸c2)は次のとおりである:グリコール酸、D-、L-またはD,L-乳酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、これらの環状誘導体、例えばグリコリド(1,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、D-またはL-ジラクチド(3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、p-ヒドロキシ安息香酸、あるいはそれらのオリゴマーおよびポリマー、例えば3-ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリラクチド(例えば、NatureWorks(登録商標)4042Dとして入手可能(NatureWorks社))、または3-ポリヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシ吉草酸の混合物(PHB Industrial社、Tianan社、またはMetabolix社から入手可能)、および半芳香族ポリエステルを製造するには、特に好ましくは、これらの低分子量の環状誘導体。
【0078】
ヒドロキシカルボン酸の使用可能な量の例は、AとBの量に基づいて、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%である。
【0079】
使用できるアミノ-C2-C12アルカノールまたはアミノ-C5-C10シクロアルカノール(成分c3)は、本発明においては4-アミノメチルシクロヘキサンメタノールをも含み、好ましくはアミノ-C2-C6アルカノール、例えば2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、5-アミノペンタノールもしくは6-アミノヘキサノール、またはアミノ-C5-C6シクロアルカノール、例えばアミノシクロペンタノールおよびアミノシクロヘキサノール、またはこれらの混合物である。
【0080】
使用できるジアミノ-C1-C8アルカン(成分c4)は、好ましくはジアミノ-C4-C6アルカン、例えば1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタンまたは1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン「HMD」)である。
【0081】
半芳香族ポリエステルを製造するための1つの好ましい実施形態では、Bのモル量に基づいて、0.5〜99.5モル%、好ましくは0.5〜50モル%のc3と、Bのモル量に基づいて、0〜50モル%、好ましくは0〜35モル%のc4を使用することができる。
【0082】
式IIIの2,2'-ビスオキサゾリンc5は一般的にAngew. Chem. Int. Edit., Vol. 11 (1972), pp. 287-288に記載の方法により得られる。特に好ましいビスオキサゾリンは、R1が単結合、(CH2)z-アルキレン(ここで、z=2、3または4)、例えばメチレン、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイルもしくはプロパン-1,2-ジイル、またはフェニレン基であるものである。特に好ましいビスオキサゾリンとしては以下が挙げられる:2,2'-ビス(2-オキサゾリン)、ビス(2-オキサゾリニル)メタン、1,2-ビス(2-オキサゾリニル)エタン、1,3-ビス(2-オキサゾリニル)プロパン、および1,4-ビス(2-オキサゾリニル)ブタン、特に1,4-ビス(2-オキサゾリニル)ベンゼン、1,2-ビス(2-オキサゾリニル)ベンゼン、または1,3-ビス(2-オキサゾリニル)ベンゼン。
【0083】
半芳香族ポリエステルを製造する際には、例えば、それぞれの場合、成分B、c3、c4およびc5の合計モル量に基づいて、70〜98モル%のB、30モル%までのc3、0.5〜30モル%のc4、および0.5〜30モル%のc5を用いることができる。別の好ましい実施形態では、AとBの全重量に基づいて、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%のc5を用いることができる。
【0084】
使用できる成分c6は、天然に存在するアミノカルボン酸であり得る。これらには以下が含まれる:バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミン。
【0085】
式IVaおよびIVbの好ましいアミノカルボン酸は、sが1〜1000の整数であり、tが1〜4の整数、好ましくは1または2であり、そしてTがフェニレンおよび-(CH2)u-(ここで、uは1、5または12)からなる群より選択されたものである。
【0086】
成分c6は式Vのポリオキサゾリンであり得る。しかし、c6は異なるアミノカルボン酸類および/またはポリオキサゾリン類の混合物であってもよい。
【0087】
1つの好ましい実施形態において、c6の使用量は、成分AおよびBの全重量に基づいて、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%であり得る。
【0088】
半芳香族ポリエステルを製造するために、必要に応じて使用できる他の化合物としては、エステル形成が可能な少なくとも3個の基を含む化合物d1がある。
【0089】
化合物d1は、エステル結合を形成することができる3〜10個の官能基を含むことが好ましい。特に好適な化合物d1は、分子中に3〜6個のこのタイプの官能基、特に3〜6個のヒドロキシ基および/またはカルボキシ基をもつものである。例を挙げると、次のとおりである:酒石酸、クエン酸、マレイン酸;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン;ペンタエリスリトール;ポリエーテルトリオール類;グリセロール;トリメシン酸;トリメリット酸、トリメリット酸無水物;ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、およびヒドロキシイソフタル酸。
【0090】
化合物d1の一般的な使用量は、成分Aに基づいて、0.01〜15モル%、好ましくは0.05〜10モル%、特に好ましくは0.1〜4モル%である。
【0091】
使用できる成分d2はイソシアネートまたは異なるイソシアネート類の混合物である。芳香族または脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。しかし、より高い官能性のイソシアネートを使用してもよい。本発明において、芳香族ジイソシアネートd2は特に次のものである:トリレン2,4-ジイソシアネート、トリレン2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4'-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、またはキシレンジイソシアネート。例として、BASF AktiengesellschaftからBasonat(登録商標)として得られるイソシアネートを用いることが可能である。
【0092】
これらの中で、特に好ましいものは、成分d2としてのジフェニルメタン2,2'-、2,4'-および4,4'-ジイソシアネートである。後者のジイソシアネートは一般に混合物として用いられる。
【0093】
同様に使用できる3環イソシアネートd2は、トリ(4-イソシアノフェニル)メタンである。多環式の芳香族ジイソシアネートは、例えば、単環または2環式ジイソシアネートの製造の過程で生成する。
【0094】
成分d2はまた、例えばイソシアネート基をキャップするための、成分d2の全重量に基づいて補助量(subordinate amounts)の、例えば5重量%までの、ウレトジオン基を含むことができる。
【0095】
本発明において、脂肪族ジイソシアネートd2は、主に、2〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンジイソシアネートまたはシクロアルキレンジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはメチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)である。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートが特に好ましい脂肪族ジイソシアネートd2である。
【0096】
好適なイソシアヌレートとしては、C2-C20(好ましくはC3-C12)のシクロアルキレンジイソシアネートまたはアルキレンジイソシアネート(例えばイソホロンジイソシアネートまたはメチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン) )から誘導される脂肪族イソシアヌレートがある。ここでアルキレンジイソシアネートは直鎖でも分枝鎖でもよい。特に好ましいものは、n-ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくイソシアヌレート、例えばn-ヘキサメチレンジイソシアネートの環状トリマー、ペンタマー、またはより高次のオリゴマーである。
【0097】
成分d2の一般的な使用量は、AおよびBの合計モル量に基づいて、0.01〜5モル%、好ましくは0.05〜4モル%、特に好ましくは0.1〜4モル%である。
【0098】
使用できるジビニルエーテルd3は一般的に、市販されている慣用のジビニルエーテルのいずれかである。1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、またはこれらの混合物を使用することが好ましい。
【0099】
ジビニルエーテルの好ましい使用量は、AおよびBの全重量に基づいて、0.01〜5重量%、特に0.2〜4重量%である。
【0100】
好適な半芳香族ポリエステルの例は、次の成分に基づくものである:A, B, d1; A, B, d2; A, B, d1, d2; A, B, d3; A, B, c1; A, B, c1, d3; A, B, c3, c4; A, B, c3, c4, c5; A, B, d1, c3, c5; A, B, c3, d3; A, B, c3, d1; A, B, c1, c3, d3; またはA, B, c2。これらのうち、特に好ましいものはA, B, d1もしくはA, B, d2、またはA, B, d1, d2に基づく半芳香族ポリエステルである。別の好ましい実施形態では、半芳香族ポリエステルがA, B, c3, c4, c5またはA, B, d1, c3, c5に基づくものである。
【0101】
デンプンは、好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、コメ、サゴ、タピオカ、モチトウモロコシ(waxy maize)、ソルガム、およびキャッサバデンプンの1種以上を含む。より好ましくは、デンプンは熱可塑性デンプンであり、これは可塑剤の存在下で天然のデンプンを加熱・せん断することから得ることができる。適当な可塑剤としては、多価アルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、およびこれらの混合物が挙げられる。グリセロールが最も適した可塑剤である。
【0102】
別の好ましい実施形態では、ホイルがグリセロールなどの可塑剤を含まない。そうしたホイルは市販もされており、例えばBiotec(登録商標)社から、ジャガイモデンプンに基づくBioplast(登録商標)WRAPシリーズの製品が市販されている。
【0103】
好ましい実施形態において、ポリエステルとデンプンは異相ポリマー組成物を形成している。このような組成物はWO 98/20073から公知である。好ましくは、ポリマー組成物はポリエステル、デンプンおよび可塑剤を含んでなる。一般的に、その組成物はデンプンを20〜95重量%、より好ましくは30〜75重量%含む。一般的に、その組成物はポリエステルを5〜80重量%含む。一般的に、その組成物はデンプンの量に対して10〜30重量%の可塑剤を含む。ポリマー組成物は、例えば100〜220℃およびせん断力で、押し出すことにより得られる。デンプンは、組成物の他の成分と混合する前にまたは各成分の混合中に、熱可塑性にするように処理することができる。好ましくは、ポリマー組成物は、WO 98/20073の21頁第2段落から25頁第6段落、ならびに実施例1Bおよび2Bに記載されるように構成され、得ることができる(両引用は参照によりここに含められる)。
【0104】
好ましい実施形態において、ポリエステルとデンプンはデンプン-ポリエステルグラフトコポリマーを形成している。そのグラフトコポリマーは通常、(a)高アミロースデンプンと可塑剤を含む熱可塑性デンプン、および(b)熱可塑性デンプンにグラフト化された生分解性ポリエステルのセグメント、を含んでなる。熱可塑性デンプンは好ましくは改変された熱可塑性デンプンを含み、それは好ましくは、デンプン、可塑剤、化学修飾剤(1種以上の二塩基酸、その環状無水物、またはそれらの組合せを含む)、および任意のフリーラジカル開始剤の、反応性をもってブレンドされた混合物を含んでなる。化学修飾剤は通常、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、およびそれらの無水物の1種以上を含む(ここでは、無水マレイン酸が好適である)。生分解性ポリエステルは通常、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、およびポリ(β-ヒドロキシアルカノエート)の1種以上を含む(ここでは、上記のような半芳香族ポリエステルが好適である)。高アミロースデンプンは好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、コメ、サゴ、タピオカ、モチトウモロコシ、ソルガム、およびキャッサバデンプンの1種以上を含む。一般的に、高アミロースデンプンは少なくとも約40重量%のアミロース含量を有する。適当な可塑剤としては、多価アルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、およびこれらの混合物が挙げられる。グリセロールが最も適切な可塑剤である。そのようなデンプン-ポリエステルグラフトコポリマーは、例えばRaquez et al, Polymer Eng. Sci. 2008, 1747-1754、WO 2009/073197、WO 2006/055505から公知であり、そしてBASF S.A.からEcobras(登録商標)として市販されている。特に好ましいデンプン-ポリエステルグラフトコポリマーは、WO 98/20073の段落[27]〜[38]および実施例1に記載されたものである(両方を参照されたい)。
【0105】
好ましくは、ホイルは袋を形成している。そうした袋はどのような形状であってもよく(例えば、長方形)、袋の中に餌を入れることができるようにその一部が開いているものであり得る。好ましくは、その袋は長さが5〜100cm、より好ましくは15〜60cm、特に20〜40cmである。好ましくは、その袋は幅が3〜80cm、より好ましくは8〜50cm、特に12〜30cmである。一般的に、長方形の袋の片側が開いている。袋は、その袋の開いた側を、結び目を作って結ぶことにより閉じることができる(例えば、図1に示される)。一般的に、齧歯類用の餌を袋の中に入れた後で、袋の内部から空気を除く必要はない。袋の内部には一定量の空気が存在してもよく、例えば、その体積は、齧歯類用の餌の体積の1%〜5000%の範囲、好ましくは50%〜500%の範囲に相当する。
【0106】
本発明による餌システムを用いて防除される有害齧歯類は、好ましくは、ネズミ目(Rodentia)、好ましくはネズミ科(Muridae)、特にネズミ亜科(Murinae)からの齧歯類である。特に注目すべきものは、次の属および種である:ドブネズミ属(Rattus)およびハツカネズミ属(Mus)、ハタネズミ属(Microtus)、さらにまた、とりわけ、アカネズミ属(Apodemus)、ハタネズミ属(Microtus)、ミズハタネズミ属(Arvicola)およびキヌゲネズミ科の1属(Clethrionomys)、特に次の種:ドブネズミ(Rattus norvegicus)、クマネズミ(Rattus rattus)、アゼネズミ(Rattus argentiventer)、ナンヨウネズミ(Rattus exulans)、ハツカネズミ属ミズハタネズミ(Mus sp. Arvicola terrestris)、ユーラシアハタネズミ(Microtus arvalis)、アメリカハタネズミ(Microtus pennsylvanicus)、インドオオアレチネズミ(Tatera indica)、シロアシマウス(Peromyscus leucopus)、シカネズミ(Peromyscus maniculatus)、マストミス(Mastomys natalensis)、コットンラット(Sigmodon hispidus)、ナイルサバンナネズミ(Arvicanthis niloticus)、コオニネズミ(Bandicota bengalensis)、オニネズミ(Bandicota indica)、チビオオニネズミ(Nesokia indica)、インドスナネズミ(Meriones hurrinanae)およびミラルディア(Millardia meltada)。特に非常に注目すべきものは、ドブネズミ属およびハツカネズミ属を代表するもの、好ましくは、例えばクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミである。
【0107】
さらに、本発明による餌システムは他の有害脊椎動物の防除にも適している:例えば、オポッサム(アカギツネ(vulpes vulpes))およびアメリカンオポッサム(オポッサム科(Didelphidae))、フクロギツネ属(brushtail possum)(Trichosurus)、特にフクロギツネ(common brushtail possum)(Trichosurus vulpecula)、ヌートリア(Myocastor coypus)、ウサギ(すなわち、ウサギ亜科(Leporinae)からの適当な属)、およびアライグマ、特にプロキオン・コホー(Procyon Cofor)。
【0108】
本発明はまた、
a) 齧歯類用の餌(上記のとおり)を生分解性ホイル(上記のとおり)にパックする工程;および
b) パックした餌を齧歯類に与える工程;
を含んでなる、齧歯類を防除するための方法に関する。好ましくは、工程a)では、齧歯類用の餌が袋の形をした生分解性ホイルにパックされて、その袋が(例えば、結び目を作って結ぶことにより)閉じられる。
【0109】
一般的に、工程b)でパック詰めした餌を与えるために、そのパック詰めした餌は防除すべき齧歯類の生息場所に配置される。2つの餌間の距離は通常1〜30m、好ましくは5〜10mの範囲である。専門的な農薬管理者は、パック詰めした餌を齧歯類に与えるための適切な方法についてよく分かっている。餌システムが齧歯類に与えられた後、通常それは1〜2週間以内に彼らによって持ち去られる。齧歯類は餌システムを穴に持ち込んで、そこで餌を食べることが多い。通常、生分解性ホイルを含めて餌システム全体が摂食される。
【0110】
好ましくは、最終利用者が工程a)およびb)を実行する。例えば、最終利用者は齧歯類用の餌を含む製品と生分解性ホイル(例えば、袋の形をしたもの)を別々に購入することができる。その後、最終利用者は自分自身で齧歯類用の餌を生分解性ホイルの内部に詰めて、そのパック詰めした餌を齧歯類の生息場所に配置することができる。
【0111】
本発明はさらに、齧歯類を防除する上で組み合わせて使用するための、
a) 齧歯類用の餌(上記のとおり);および
b) 生分解性ホイル(上記のとおり);
を個別の成分として含んでなる餌システムに関する。こうした餌システムでは、最終利用者が齧歯類用の餌を生分解性ホイルにパックして、そのパック詰めした餌を齧歯類に与えることができる。そのため、市販の生分解性ホイルを容易に使用できる可能性がある。これは、最終利用者にとって取り扱いが簡単で、安価な餌システムをもたらすだろう。
【0112】
本発明にはいくつかの利点がある。すなわち、餌システムは、それが齧歯類によって持ち去られた後に、廃棄物を生じない。かくして、このシステムは環境の保護を可能にする。さらに、前記システムは産業上利用可能な材料に基づくものであり、それは商業的な餌製剤と組んで機能するものであり、それは貯蔵安定性であり、それは齧歯類を引き付け、そしてそれは有害生物防除作業者にとって取り扱いが容易で安全である。また、齧歯類による生分解性ホイルの拒否反応も見られない。生分解性ホイルに含まれるデンプンは齧歯類には魅力的であって齧歯類を引き付ける。非ターゲット動物は、餌がパックされているために、餌に近寄らない。齧歯類の餌は湿気や雨から保護され、したがってそれは齧歯類の口に合うように保持される。ホイルが袋を形成している場合は、簡単に結び目を作って結ぶことができ、その結果尾部のある袋が得られる。そのような尾部は、容易に見えるので、餌システムの監視に役立ち得る。さらに、そうした尾部は、高い餌場にとどくように手動で餌システムを放り投げることを可能にし、また、たとえ特別な保護手袋をはめなくても、片手でたくさんの袋を運ぶことを可能にする。プログラムを終えた後、消費されなかったパック詰めした齧歯類の餌を収集して、再利用することが可能である。
【0113】
別の利点は、餌システムが齧歯類によってその巣に持ち込まれることである。齧歯類の巣はコロニーのための安全で静かな場所であり、そこでコロニーのすべてのメンバーが餌を食べることができる。これは、齧歯類が餌を持ち去ることができる場合の、齧歯類の典型的な習性である。ひとたび餌システムが地下の巣に運び込まれると、それは非ターゲット動物や人間から遠く離れて地下に置かれたままとなる。したがって、これは非常に安全な適用方法である。さらに、齧歯類は一般に土壌の下で死亡し、これは地上の汚染(例えば、強い臭気、寄生虫の広がり、腐敗によるハエ、およびサルモネラのような病気)を少なくする。さらに、少量の餌システムで高い死亡率(すなわち、高い有効性)が達成される。最後に、生分解性ホイルを含めて、餌システムのすべての残渣は地面の下に残ったままとなり、その分解は、生分解性フィルムを有機物質に変換する細菌および真菌によって行われるだろう。
【実施例】
【0114】
Ecobras(登録商標)ホイルは、Ecoflex(登録商標)と50重量%の改質トウモロコシデンプンとの押出ブレンドである。これはBASF S.A.(ブラジル)から販売されており、20μmのホイル厚さを有する。密度が1.32g/cm3(ISO 1183)、融点が116〜122℃(DSC)、弾性係数が300Mpas(ASTM D638)、VICAT VST A/50軟化温度が66℃(ISO 306)であった。
【0115】
Ecoflex(登録商標)は、BASF SEから販売される脂肪族芳香族コポリエステルである。Ecoflex(登録商標)は、1,4-ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸の重縮合物である(DSCで測定した融点110〜120℃;ISO 527で測定した引張強度34 N/mm2;ISO 527で測定した極限伸び(MD)560%;DIN 53122で測定した水透過度140g/(m2*d))。
【0116】
Storm(登録商標)ブロック餌(各3.5±0.4g)は、BASF SEから販売されており、0.005重量%のフロクマフェンを含んでいた。これらの青く着色された、長球状(図1参照)のブロック(概算寸法:長さ3cm、幅2cm、高さ1cm)は、25重量%のワックス(融点65℃)、37重量%のコムギ粉、37重量%のカットコムギを含んでいた。
【0117】
試験エリア:アルゼンチン、ブエノスアイレスの6箇所の異なる閉鎖された土地および家屋(農村・都市エリアならびに生産施設および民家を含む)。すべての試験エリアはクマネズミによる重大な問題を抱えていた。
【0118】
3個のStorm(登録商標)ブロック餌をEcobras(登録商標)ホイル製の袋(幅20cm、長さ31cm)に詰めて、結んだ。図1は、結び目を作って結んだ袋の例を示す(この場合には内部に4個のブロックを詰めてある)。試験エリアのネズミの行動パターンに従って、袋を穴の入り口および特定の場所に配置した。一般的には、袋と袋の間の距離を5〜10mとした。7日後、すべての袋はネズミによって持ち去られた。死んだネズミが穴の内部で観察された。ネズミの個体数は明らかに減少した。
【0119】
比較のために、Storm(登録商標)ブロック餌をポリエチレン(PE)ホイル製の袋にパック詰めした。Ecobras(登録商標)およびPE餌袋(同数)の両方を同時に試験エリアに配置した。7日後にすべての袋が持ち去られた。ポリエチレンホイル中の、またはEcoBras(登録商標)ホイル中の同数のStorm(登録商標)ブロックを試験エリアに配置したとき、ネズミの個体数の減少は同程度であった。こうして、EcoBras(登録商標)袋へのいかなる拒否反応も見られなかった。粒餌またはペレット餌を袋に入れて使用したときには、一部の餌が試験エリアに散らばっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルとデンプンを含む生分解性ホイルにパックされている、齧歯類用のブロック餌を含んでなる餌システム。
【請求項2】
ブロック餌が1〜30gの重さを有する、請求項1に記載の餌システム。
【請求項3】
ブロック餌の少なくとも2つの寸法が少なくとも1.0cmのサイズを有する、請求項1または2に記載の餌システム。
【請求項4】
ブロック餌が、45℃の温度に12時間さらしたとき、その形状を失わない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項5】
前記ホイルが1〜50μmの範囲の厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項6】
前記ホイルが袋を形成している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項7】
前記ホイルが少なくとも20重量%のデンプンを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項8】
ポリエステルが半芳香族コポリエステルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項9】
ポリエステルが重合した形の1,4-ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項10】
ポリエステルとデンプンがデンプン-ポリエステルグラフトコポリマーを形成している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項11】
ブロック餌が2.0cm〜7.0cmの長さ、1.3〜6.0cmの幅および0.7〜4.0cmの高さを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項12】
ブロック餌が実質的に球状である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の餌システム。
【請求項13】
以下の工程:
a) 請求項1〜12のいずれかに記載の齧歯類用の餌を、請求項1〜12のいずれかに記載の生分解性ホイルにパックする工程;および
b) パックした餌を齧歯類に与える工程;
を含んでなる、齧歯類を防除するための方法。
【請求項14】
最終利用者が工程a)およびb)を実行する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
齧歯類を防除する上で組み合わせて使用するための、
a) 請求項1〜12のいずれかに記載の齧歯類用の餌;および
b) 請求項1〜12のいずれかに記載の生分解性ホイル;
を個別の成分として含んでなる餌システム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−513574(P2013−513574A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542545(P2012−542545)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069227
【国際公開番号】WO2011/070091
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】