説明

生分解性ラミネート紙

【課題】ラミネーション時の加工安定性が著しく改善されるとともに、ヒートシール性も良好で、必要に応じ、イージーピーラブルとすることの可能な生分解性ラミネート紙を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸(A)と、乳酸を0.7〜10重量%含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)とからなり、前記(B)の含有量が前記(A)100重量部に対して20〜80重量部である樹脂組成物を、紙基材の少なくとも一つの面に20〜50μmの厚さに積層してなることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性のラミネート紙に関するものであり、特に、食品包装容器の組み立て時に容易にヒートシールが可能であり、更に、必要に応じ、イージーピーラブルにすることが可能な生分解性ラミネート紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品をはじめとした各種容器包装用のラミネート紙に使用されるプラスチックには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6などが使用されている。これらのプラスチックを使用した包装材用のラミネート紙は、使用後に自然環境下に廃棄されると分解されることなく残留し景観を損ない、また魚、野鳥等の生物の生活環境を汚染するなどの様々な問題を引き起こす。このような状況から、近年、環境保護に対する社会的認識の高まりと共にプラスチック加工全般に対して自然環境下に廃棄された際に経時的に分解、消失し自然環境に負荷をかけない、環境持続型のプラスチックラミネート紙が求められている。
【0003】
ポリ乳酸は自然環境下に棄却されても微生物によって容易に分解されること、及び自然産物よりの製造が可能なことから環境持続型のプラスチックとして利用が進んでいる。しかし、ポリ乳酸は、硬くて、脆く、その上、ラミネート加工に難点が多く、加工条件に大幅な制約が生ずる。
【0004】
ポリ乳酸の硬くて、脆いという問題を改善するために、先ず、可塑剤の添加が試みられている。
例えば、フルタル酸エステル、脂肪酸二塩基酸エステル等の通常の汎用樹脂用の可塑剤を含む分解性ポリマー組成物(特許文献1)、高分子系可塑剤であるポリアルキレンエーテルを含むポリ乳酸組成物(特許文献2)、脂肪酸ジカルボン酸及び脂肪族ポリエステルの可塑剤を含むポリ乳酸組成物(特許文献3)等が提案されている。
【0005】
また、ガラス転移点の低い脂肪族ポリエステルを含む生分解性プラスチックフィルム又はシート(特許文献4)、乳酸単位とポリエステル単位とからなる乳酸系ポリエステルからなるポリヒドロキシカルボン酸用の耐衝撃性付与剤(特許文献5)、特定のポリエステル樹脂と反応性アクリル樹脂を含むポリ乳酸系フィルム(特許文献6)、及び、紙と、ポリ乳酸材、澱粉等の生分解性材料からなるフィルムを備えたポリ乳酸紙及びこれからなる食品容器(特許文献7)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−335060号公報
【特許文献2】特開平8−199052号公報
【特許文献3】特開平8−283557号公報
【特許文献4】特開平9−111107号公報
【特許文献5】特開2001−335623号公報
【特許文献6】特開2010−189536号公報
【特許文献7】特開2010−189828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の組成物では、硬さや脆さが十分に改善されると耐熱性が大きく低下したり、加工時のポリ乳酸の分子量の低下やブリードアウトの問題を避けることが困難である。また、特許文献2、3の組成物においても、同様の問題がある。
【0008】
また、特許文献4、5及び6では、用途として包装用材料が挙げられているが、包装特性としては必ずしも十分ではない。更に、特許文献7の食品容器も必ずしも十分な性能を有しているとは云い難い。
【0009】
かかる実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、生分解性のあるポリ乳酸を使用して包装用のラミネート紙としての諸特性を満たすことのできる生分解性ラミネート紙を提供することにある。包装用の諸特性としては、ラミネート加工時の幅広い加工性、容器等の加工時に十分なヒートシール性を満たすこと、更に必要に応じ、ヒートシール部が容易に剥離できるイージーピーラブルにし得ること、更にまた、ラミネート紙の防水性、特に折り曲げ時に防水性の損傷のないことであり、本発明はこれらを満足し得るラミネート紙をポリ乳酸系組成物によって提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の特徴の第1は、ポリ乳酸(A)と、乳酸を0.7〜10重量%含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)とからなり、前記(B)の含有量が前記(A)100重量部に対して20〜80重量部である樹脂組成物を、紙基材の少なくとも一の面に20〜50μmの厚さに積層してなることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【0011】
本発明の特徴の第2は、乳酸系脂肪族ポリエステル(B)は乳酸を0.8〜8重量%含有することを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【0012】
本発明の特徴の第3は、乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が、乳酸とコハク酸と1,4−ブタンジオールとを含有してなることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【0013】
本発明の特徴の第4は、乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が、コハク酸と1,4−ブタンジオールの各100単位に対して、乳酸が2〜20単位であることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【0014】
本発明の特徴の第5は、ポリ乳酸(A)が、D−ポリ乳酸、L−ポリ乳酸、DL−ポリ乳酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【0015】
本発明の特徴の第6は、樹脂組成物を紙基材上に溶融押出してなることを特徴とする生分解性ラミネート紙である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の生分解性ラミネート紙は、ポリ乳酸に、特定量の乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステルを混合使用したことにより、ラミネーション時の加工安定性が著しく改善されるとともに、ヒートシール性も良好で、必要に応じ、イージーピーラブルな生分解性ラミネート紙が提供される。また、ラミネート紙の防水性、特に折り曲げ時に防水性が損なわれることがなく、包装用として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に用いられるポリ乳酸(A)は、D−乳酸ユニット、L−乳酸ユニット、DL−ポリ乳酸ユニットを主たる構成成分とするD−ポリ乳酸、L−ポリ乳酸、DL−ポリ乳酸で、これらは単独で又は2種以上混合して用いられる。D−ポリ乳酸、L−ポリ乳酸はそれぞれの重合体成分の内、構成する含有量の多い成分の性質が発現し、80モル%以上になると結晶性が高くなる。D−乳酸ユニットとL−乳酸ユニットとが50モル%近く混在すると、非晶性に近づく。なお、延伸性の面では、結晶性の高いポリ乳酸と結晶性の低いポリ乳酸とが適当に混合されるのが好ましい。
【0018】
ポリ乳酸(A)の分子量は、適度の製膜性や機械的性質の点では5万〜50万が好ましい。本発明のポリ乳酸(A)は、上記乳酸ユニット以外に他の単量体ユニットを含んでも良い。他の単量体としては、エチレングリコールを始めとするジオール類、ポリエチレングリコールを始めとする重合体、シュウ酸、アジピン酸を始めとする二塩基酸、ラクトン類が挙げられる。これらの共重合量は10モル%以下が好ましい。
【0019】
ポリ乳酸(A)に混合される、乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)は、乳酸ユニットを他の二塩基酸とジオールから成る脂肪族ポリエステル(以下、単にポリエステルと称する場合がある)の重量を基準として、0.7〜10重量%、好ましくは0.8〜8重量%含有するものが好適である。
乳酸成分は乳酸2分子が環状化したラクタイドやポリ乳酸が挙げられるが、乳酸またはラクタイドが好ましい。
ポリエステル成分は二塩基酸とジオールから成る。二塩基酸成分としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸であり、これらは単独で又は2種以上併用しても良い。これらの中で好ましい二塩基酸はコハク酸である。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等であり、これらの中で好ましいジオールは1,4−ブチレングリコールである。
【0020】
ポリエステル成分と乳酸成分との使用割合は、ポリエステル成分である二塩基酸とジオールは等モル比率で高分子樹脂が得られやすいので、二塩基酸、ジオール各100単位に対して乳酸が2〜20単位である乳酸系脂肪族ポリエステルが好適に用いられる。
例えば、コハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸から成る乳酸系脂肪族ポリエステルの場合は、乳酸が2単位(2モル%:0.86重量%)のポリブチレンサクシネート樹脂は、ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準(PL)に適合することが確認されているので好都合である。一方、乳酸の上限は20単位(20モル%:7.96重量%)が好ましい。
また、二塩基酸とジオールは、等モル比率からジオールが過剰の1.5モル当量程度までの乳酸系ポリエステルが知られている。これをコハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸からなる乳酸系脂肪族ポリエステルに適用した場合、二塩基酸又はジオールの単位を基準に対する乳酸量は0.7〜10重量%程度が好ましく、0.8〜8重量%程度がより好ましい。乳酸系脂肪族ポリエステル(B)中の乳酸の含有量が上記範囲外では、ポリ乳酸(A)との混合効果が小さくなるので好ましくない。
乳酸系ポリエステルを製造するには、二塩基酸とジオールと乳酸またはラクタイドとを所要量混合して加熱し乳酸成分を還流しながら生成する水を留去する。更に好ましい方法は、二塩基酸とグリコールを窒素気流下で加熱混合し、生成する水を留去して、脂肪族ポリエステルを得る。得られたポリエステルと所要のラクタイドをトルエンの存在下に加熱生成する水を留去して乳酸系ポリエステルを得る方法が好ましい。加熱は、水の留去を促進するために段階的に高め、最終的には減圧下に攪拌するのが良い。この時、エステル交換触媒として、酢酸鉛、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトオキシド、オクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛等を少量添加することができる。しかし、前述のPL基準に適合するには、マグネシウム、チタン、ゲルマニウム化合物が用いられる。得られた乳酸系ポリエステルは、GPCを用いたポリスチレン換算した重量平均分子量が、好ましくは5000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは100,000以上の重合体である。
【0021】
ポリ乳酸(A)と乳酸系脂肪族ポリエステル(B)は、ポリ乳酸(A)100重量部に対して、乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が20〜80重量部、好ましくは20〜70重量部が混合される。乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が20重量部未満では、後述するラミネーション時の加工性とヒートシール性に劣り、80重量部を越えると耐熱性に劣り、加工性がやや不安定となる。混合組成物は溶融下に混練されるのが好ましい。溶融混練は、一軸または二軸のスクリュー式加熱押出機で250℃以下の温度でノズルより押出しペレット化されるか、直接スリットよりカーテン状に押し出し、紙基材上にラミネートされる。
【0022】
スリット状のTダイより押し出されたカーテン状の溶融体は、繰り出しロールから繰り出された紙基材とともに、一定の温度に保たれた冷却ロール上にゴム製のタッチロールで挟み込まれて積層される。この時、ポリ乳酸単独またはこれに近い組成物では、Tダイの両端部分において一定の流量の確保が困難で、この部分を過剰に加熱すると焼けやすく安定した加工を行うことが困難である。
本発明の樹脂組成物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、燐酸エステル、イソシアネート、カルボジイミド等の熱安定剤を添加することができる。また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、流動性パラフィン、エチレンビスステアリルアマイドのような滑剤等の加工助剤も使用可能である。この場合も、食品用途にはPL基準に適合ずるように考慮する必要がある。
基材となる紙としては特に制約されず、例えばクラフト紙、コート紙、薄葉紙、グラシン紙、板紙等を基材とすることができる。
【0023】
ラミネート紙は包装に使用されることが多く、例えば、トレー、カップ、各種紙容器、オムツ等である。この内、容器類はヒートシールによって組み立てられることが多く、また一度組み立てられたものを開封する際に容易に剥離できる(イージーピーラブル)ことも重要な性質である。
ヒートシール性は、一定の温度に加熱した上下で2枚の金属板(熱盤)に、一定の圧力で一定の時間押え付けられ接着された2枚の試料の剥離強度によって測定され、これにより包装性能を推測することができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
実施例1
(ラミネート紙の製造)
紙基材の繰り出し機より、104.7g/m2 の上質紙を繰り出した。一方、ポリ乳酸(A)(ユニチカ株式会社製、チラマックTE−2000C)100重量部に対して、コハク酸と1,4−ブタンジオール各100モル%に対して乳酸2モル%を共縮合させた乳酸系脂肪族ポリエステル(B)(三菱化学株式会社製、GSPla FZ81PD)を25重量部混合した樹脂組成物を予備乾燥し、40mm押出機のダイス幅400mm、スリット間隔0.8mmのTダイにより溶融押出した。押出温度は250℃に設定されており、温度30℃の冷却ロールとゴム製のタッチロールとで前記紙基材とともに挟圧し、加工速度20m/分で樹脂組成物層(ラミネーション層)の厚み30μmのラミネート紙を得た。
【0026】
(加工特性の評価)
加工時のダイスの両端部からの溶融物の耳端部の変動、ラミネーションの幅、及び厚み変動幅(厚みむら)を観察、測定した。尚、厚み変動幅は、機械方向と幅方向とを測定し、最高と最低との差で示した。結果を表1に示す。
尚、ラミネーション層と紙基材との接着性は、良、やや不良、不良の3段階で評価した。
【0027】
(ヒートシール性)
幅10mmの短冊状のラミネート紙2枚をラミネーション層同士を向かい合わせて、一定の温度に保たれた2枚の熱盤に3kg/cm2 の一定圧力を2秒加えることのできる試験機(志賀包装機株式会社製)により、ラミネーション層同士を熱接着した試料を作成した。この場合、2枚のラミネート紙のそれぞれの一端を熱盤よりはみ出させ非接着部分を作り、この両端を引張り試験機にかけて接着面に対して90℃の方向に引張ったときの剥離強度を測定した。引張速度は300mm/分であった。結果を表1に示す。
【0028】
実施例2
乳酸系脂肪族ポリエステル(B)(GSPla FZ81PD)を60重量部に変更した以外は実施例1と同一の方法でラミネート紙を作成し、その加工特性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
実施例1と同一の方法で加工速度と押出吐出量を調節して樹脂組成物層(ラミネーション層)の厚みを40μmとしてラミネート紙を作成して、その加工性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0030】
比較例1
乳酸系脂肪族ポリエステル(B)(GSPla FZ81PD)を混合することなくポリ乳酸(A)のみを使用して実施例1と同一の方法でラミネート紙を作成し、その加工特性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0031】
比較例2
乳酸系脂肪族ポリエステル(B)(GSPla FZ81PD)を10重量部に変更した以外は実施例1と同一の方法でラミネート紙を作成し、その加工特性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例3
乳酸系脂肪族ポリエステル(B)(GSPla FZ81PD)を100重量部に変更した以外は実施例1と同一の方法でラミネート紙を作成し、その加工特性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0033】
比較例4
実施例1と同一の方法で加工速度と押出吐出量を調節して樹脂組成物層(ラミネーション層)の厚みを10μmのラミネート紙を作成して、その加工特性とヒートシール性を観察、測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
上記表1の結果から明らかなように、ポリ乳酸に、特定量の乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステルを混合使用することにより、ラミネーション時の加工安定性を著しく改善することができる。乳酸系脂肪族ポリエステルが20重量部より少ないと、加工安定性が不十分となり(比較例2)、20重量部以上ですこぶる安定になることが、耳端部の変動、ラミネーション幅及び厚み変動幅からわかる。また、乳酸系脂肪族ポリエステルが多過ぎると、やや不安定となる(比較例3)。紙基材との接着性も改善され、ラミネーション厚みが20μmより薄くなると、紙基材との接着性が不良になることがわかる(比較例4)。
包装に有用なヒートシール性は、ポリ乳酸に、特定量の乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステルを配合すると、ヒートシール温度が或る温度以上でラミネーション層間の剥離強度が高まり測定可能となり、即ち、疑似接着状態になり、イージーピーラブル状態を出現することができる。その後、十分な接着強度となり、紙層破壊に至る。更に、ラミネート紙の防水性、折り曲げ時の防水性も十分であった。しかし、乳酸系脂肪族ポリエステルの配合量が多過ぎると、ヒートシール温度が下がるが、疑似接着状態の温度幅が小さくなり、紙層破壊となる(比較例3)。
以上のように、特定量の乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステルをポリ乳酸に適当量混合使用し、ラミネーション厚みを適当な範囲に設定することにより、ラミネーション時の加工安定性を著しく改善できるとともに、ヒートシール性も良好で、必要に応じ、イージーピーラブルな状態を出現させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明によれば、ラミネーション時の加工安定性が著しく改善されるとともに、ヒートシール性も良好で、必要に応じ、イージーピーラブルとすることの可能な生分解性ラミネート紙が提供され、その有用性は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸(A)と、乳酸を0.7〜10重量%含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)とからなり、前記(B)の含有量が前記(A)100重量部に対して20〜80重量部である樹脂組成物を、紙基材の少なくとも一つの面に20〜50μmの厚さに積層してなることを特徴とする生分解性ラミネート紙。
【請求項2】
乳酸系脂肪族ポリエステル(B)は乳酸を0.8〜8重量%含有することを特徴とする請求項1記載の生分解性ラミネート紙。
【請求項3】
乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が、乳酸とコハク酸と1,4−ブタンジオールとを含有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の生分解性ラミネート紙。
【請求項4】
乳酸を含有する乳酸系脂肪族ポリエステル(B)が、コハク酸と1,4−ブタンジオールの各100単位に対して、乳酸が2〜20単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性ラミネート紙。
【請求項5】
ポリ乳酸(A)が、D−ポリ乳酸、L−ポリ乳酸、DL−ポリ乳酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性ラミネート紙。
【請求項6】
樹脂組成物を紙基材上に溶融押出してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性ラミネート紙。

【公開番号】特開2012−148444(P2012−148444A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7717(P2011−7717)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000166649)五洋紙工株式会社 (43)
【Fターム(参考)】