説明

生分解性容器の製造方法およびその方法により製造された生分解性容器

【課題】開口縁部の生焼けを防止しつつより短時間で生分解性材料を発泡・焼成することを可能とする生分解性容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型4と雌型5からなる発泡成形用の金型6を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型4と雌型5を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型6は開口縁部1aの厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、厚みの薄い開口縁部1aに高周波を集中して印加し開口縁部を集中的に加熱する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生分解性容器の製造方法およびその方法により製造された生分解性容器に関し、詳しくは水分を含んだ生分解性材料を金型内で効率よく加熱して発泡成形する方法とその方法により製造された生分解性容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明に関連する従来技術としては、澱粉、パルプおよび水が混練されてなるドウ状の生分解性材料を所定温度に加熱された金型に投入し、投入された生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱し金型内で水蒸気発泡させて焼成することにより容器状の発泡成形物を成形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3961421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素の削減や資源循環型社会の構築など、近年の環境問題に対する意識の高まりをうけ、使い捨て容器の分野においても石油資源に頼らない製品が求められている。
そのような中、植物由来のバイオマスを原料とした生分解性の容器が注目されている。植物由来のバイオマスは大気中の二酸化炭素を吸収して成長しているため、廃棄後の生分解や焼却の際に二酸化炭素が排出されても、それは原料のバイオマスに吸収されていた二酸化炭素が再び大気中に排出されたこととなり、製造から廃棄までをトータルでみると大気中の二酸化炭素を増加させることにはならない。このような性質はカーボンニュートラルと呼ばれ、環境問題を考えるうえで重要なキーワードとなっている。
【0005】
バイオマスを原料とする生分解性容器の製造方法としては、特許文献1に記載されているように、澱粉、パルプおよび水が混練されてなるドウ状の生分解性材料を所定温度に加熱された金型に投入し、金型内で該生分解性材料を誘電加熱し水蒸気発泡させて焼成する方法が知られている。
このような方法によれば、金型からの加熱に加え、誘電加熱によって生分解性材料そのものを発熱させるので、生分解性材料を速やかに水蒸気発泡させて焼成することができる。しかし、生分解性容器の生産性を向上させるため、生分解性材料の発泡・焼成に要する時間の更なる短縮が求められている。
【0006】
一般に、生分解性材料の発泡・焼成に用いられる金型は、発泡・焼成時に発生する水蒸気を金型の外部へ放出させるため、生分解性容器の開口縁部と対応する箇所に蒸気抜き用の孔が形成されている。
【0007】
つまり、生分解性材料に含まれる水分は、生分解性容器の開口縁部に対応する箇所を通って外部へ放出される。このため、焼成途上の生分解性容器はその開口縁部に最後まで多くの水分を含むこととなり、より短時間で焼成しようとすると開口縁部の水分が完全に抜けきらず生焼けが発生し易い。
【0008】
このような開口縁部の生焼けを防止するためには、誘電加熱時に印加する高周波の出力を増大させるなどの手法が考えられる。しかしながら、開口縁部以外の底部や胴部などの焼成が済んでいるにも関わらず大きな出力の高周波を印加し続けると、先に焼成の済んでいる底部や胴部などに焦げが発生し易くなり、場合によっては金型と被加熱物である生分解性材料との間や、金型内の被加熱物が介在しない部分においてスパークが発生し、高周波の印加自体が継続できなくなる。
【0009】
このため、単に印加する高周波の出力を増大させるといった方法では開口縁部の生焼けを防止できない。また、底部や胴部の焼成が済んだ時点で焦げやスパークが発生しない程度まで印加する高周波の出力を低くするといった方法も考えられるが、そうすると本来の目的である短時間での焼成ができなくなる。
【0010】
この発明は以上のような事情を考慮してなされたもので、開口縁部の生焼けを防止しつつより短時間で生分解性材料を発泡・焼成することを可能とする生分解性容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、厚みの薄い開口縁部に高周波を集中して印加し開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする第1の生分解性容器の製造方法を提供するものである。
【0012】
また、この発明は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分に開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータが内蔵されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、局部加熱用ヒータからの加熱により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする第2の生分解性容器の製造方法を提供するものでもある。
【0013】
さらに、この発明は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分が底部および胴部と対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、熱伝導性の高い材料で形成された前記部分により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする第3の生分解性容器の製造方法を提供するものでもある。
【発明の効果】
【0014】
この発明の第1の生分解性容器の製造方法によれば、開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成された金型が用いられるので、金型内の生分解性材料に高周波を印加して誘電加熱する際に、厚みが薄く絶縁距離の短い開口縁部に高周波が集中して印加されるようになり、開口縁部を集中的に加熱できる。
【0015】
また、この発明の第2の生分解性容器の製造方法によれば、開口縁部を局部的に加熱する局部加熱用ヒータを内蔵した金型が用いられるので、金型内の生分解性材料を加熱する際に開口縁部を集中的に加熱できる。
【0016】
さらに、この発明の第3の生分解性容器の製造方法によれば、生分解性容器の開口縁部に対応する部分が底部および胴部と対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成された金型が用いられるので、金型内の生分解性材料を加熱する際に開口縁部を集中的に加熱できる。
【0017】
つまり、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法によれば、いずれも金型内で生分解性材料を水蒸気発泡させて焼成する際に開口縁部を集中的に加熱でき、開口縁部に含まれる水分を速やかに気化させて焼成を促進できる。このため、焼成の最後まで比較的多くの水分を含む開口縁部と、底部および胴部との焼成が略同じタイミングで完了するようになり、開口縁部の生焼けを防止しつつ生分解性材料の発泡と焼成に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る製造方法により製造された生分解性容器の断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1のB部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法で用いられる高周波誘電加熱装置の電気回路図である。
【図7】図6に示されるインピーダンス整合回路の制御特性を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例を示す斜視図である。
【図9】図8のC−C矢視断面図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の断面図である。
【図11】図10に示される雄型の平面図である。
【図12】図10に示される雌型の平面図である。
【図13】本発明の実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例を示す断面図である。
【図14】図13に示される雌型の平面図である。
【図15】本発明の実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例を示す断面図である。
【図16】図15に示される雌型の平面図である。
【図17】本発明の実施形態3に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の断面図である。
【図18】本発明の実施形態3に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例を示す断面図である。
【図19】従来のインピーダンス整合回路の制御特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明による第1の生分解性容器の製造方法は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、厚みの薄い開口縁部に高周波を集中して印加し開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする。
【0020】
また、この発明による第2の生分解性容器の製造方法は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分に開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータが内蔵されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、局部加熱用ヒータからの加熱により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする。
【0021】
さらに、この発明による第3の生分解性容器の製造方法は、底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分が底部および胴部と対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、熱伝導性の高い材料で形成された前記部分により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする。
【0022】
この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、発泡成形用の金型とは、嵌合可能な一対の雄型と雌型とからなり、生分解性材料を加熱し発泡させた際に生じるガスや水蒸気をキャビティから外部へ適宜放出させることができるように構成された金型を意味する。
また、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、生分解性材料とは生分解性容器の骨格をなす発泡基材層の材料であって、水分を含んで調製されたものを意味する。
【0023】
また、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、開口縁部とは、生分解性容器の開口とその近傍に占める部分であって、金型内で生分解性材料を水蒸気発泡させて焼成する際に水蒸気が最後に抜けていく部分を意味する。
また、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、開口縁部を集中的に加熱するとは、金型内において開口縁部が単位体積あたりで底部および胴部よりも大きな熱量を有するように加熱することを意味する。
【0024】
この発明による第1の生分解性容器の製造方法において、前記金型は開口縁部の厚みが底部と胴部の厚みの平均値の約60〜90%となる寸法を有するように形成されてなることが好ましい。
【0025】
というのは、開口縁部の厚みが底部と胴部の厚みの平均値の約60%よりも小さくなると、金型内における開口縁部の絶縁間隔が底部や胴部と比較して小さくなり過ぎ、高周波の印加時に高周波が開口縁部に過度に集中し、生分解性材料全体を誘電加熱することが難しくなるからである。
一方、開口縁部の厚みが底部と胴部の厚みの平均値の約90%よりも大きくなると金型内における開口縁部の絶縁間隔が底部や胴部と比較して大差ないものとなり開口縁部に高周波を集中させ難くなる。
よって、金型は、開口縁部の厚みが底部と胴部の厚みの平均値の60〜90%程度となる寸法を有するように形成されていることが好ましい。
【0026】
この発明による第2の生分解性容器の製造方法は、上述の通り、金型が開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータを内蔵する。
ここで、局部加熱用ヒータは少なくとも雄型および雌型のいずれか一方に内蔵されていればよいが、開口縁部を効率よく集中的に加熱するためには雄型と雌型の双方にそれぞれ内蔵されていることが好ましい。
【0027】
局部加熱用ヒータの構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、金型を分割可能に構成し単一又は複数の棒状ヒータを開口縁部と対応する部分の近傍に埋設する構成、金型を分割可能に構成し単一又は複数の面状発熱体(ラバーヒータ)を開口縁部と対応する部分の近傍に介挿する構成、金型内において開口縁部と対応する部分の近傍に通路を形成し、形成された通路に加熱されたオイルを循環させる構成、或いはこれらの併用などを挙げることができる。
【0028】
上述の通り、生分解性容器の開口縁部は、金型内で生分解性材料を水蒸気発泡させて焼成する際に水蒸気の出口となる部分であり、焼成の最後まで比較的多くの水分を含むため、金型は開口縁部に含まれる水分を気化させる際に熱を奪われ、開口縁部と対応する部分において温度低下を引き起こし易い。
しかし、この発明による第2の生分解性容器の製造方法では、上述の通り、金型が開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータを内蔵しているので、開口縁部と対応する部分における温度低下が抑制される。
このため、開口縁部を効率よく集中的に加熱でき、開口縁部に含まれる水分を速やかに気化させて焼成を促進できる。
【0029】
この発明による第3の生分解性容器の製造方法は、上述の通り、金型のうち開口縁部と対応する部分が底部および胴部と対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成される。
ここで、開口縁部と対応する部分を熱伝導性の高い材料で形成する構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、開口縁部と対応する部分を熱伝導性に優れた銅や真鍮で形成し、底部および胴部と対応する部分をアルミニウムで形成する構成や、金型全体をアルミニウムで形成し、開口縁部と対応する部分の表面のみを熱伝導性の優れた他の金属、例えば金でメッキする構成などを挙げることができる。
【0030】
これらの構成によれば、金型のうち開口縁部と対応する部分において熱伝導性が高められるので、前述した理由により開口縁部と対応する部分が温度低下をきたしても、隣接する部分から速やかに熱が伝わり開口縁部と対応する部分において温度低下が抑制される。
このため、上述の第2の生分解性容器の製造方法と同様に、開口縁部を効率よく集中的に加熱でき、開口縁部に含まれる水分を速やかに気化させて焼成を促進できる。
【0031】
この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法は、組み合わせて用いられることが、生分解性材料をより短時間で発泡・焼成するうえで好ましい。
つまり、生分解性材料をより短時間で発泡・焼成するために、この発明による第1および第2の生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよいし、この発明による第1および第3の生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよい。或いは、この発明による第2および第3の生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよいし、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよく、第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法の組み合わせは任意に選択できる。
【0032】
例えば、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられた場合、具体的には第1の生分解性容器の製造方法の特徴である開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成された金型に、第2の生分解性容器の特徴である局部加熱用ヒータを内蔵させ、さらに第3の生分解性容器の特徴である開口縁部と対応する部分の熱伝導性を向上させる構成を組み合わせて適用することとなる。このような金型を用いると、開口縁部を非常に効率よく集中的に加熱することができ、より短時間での発泡・焼成が可能となる。
【0033】
この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、前記金型は生分解性容器の胴部と対応する部分の表面に所定の高低差を有する起伏が胴部の周方向に沿うように反復して形成されていてもよい。
このような構成によれば、金型内において生分解性材料の流動方向が定まり、加熱時に生分解性材料が生分解性容器の底部から開口縁部へ向かって速やかに発泡するようになる。
これにより、生分解性材料の発泡と焼成に要する時間をより一層短縮できる。
【0034】
また、この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、高周波の印加開始直後に高周波発振器からの出力電流が所定のピーク値に達するように高周波を印加し、所定時間前記ピーク値を維持した後、直ちに高周波の印加を止める工程を含んでいてもよい。
【0035】
このような構成によれば、高周波の印加に要する時間が従来よりも大幅に短縮され、結果として生分解性材料の発泡・焼成に要する時間を大幅に短縮できる。
【0036】
つまり、従来は高周波を印加して被加熱物を誘電加熱するにあたり、印加開始後、高周波発振器からの出力を徐々に高め、出力が所定のピーク値に達した後、徐々に出力を低くして印加を終えるという手法がとられてきた。このような手法で高周波が印加された場合、出力電流値のグラフは緩やかな山形を描く。
【0037】
上記のような手法が採用されてきたのは、以下のような理由による。
(1)印加開始直後に高周波発振器からの出力を一気に高めると制御不能の状態に陥り、スパークが発生する。
(2)出力が所定のピーク値に達し被加熱物に含まれる水分が減少していくにも関わらず、ピーク値を維持しようとすると反射波が高くなり、被加熱物の焦げ、スパークにつながる。
(3)出力を変化させずに印加開始から印加終了まで反射波を問題のないレベルに抑えることが実質困難である。
【0038】
ここで、印加開始直後に高周波発振器の出力を所定のピーク値まで一気に高め、所定時間そのピーク値を維持した後、直ちに高周波の印加を止めるようにして、出力電流値が台形状のグラフを描くような印加方法をとることにより、高周波の印加に要する時間を短縮することが考えられる。
しかし、出力電流値が台形状のグラフを描くような印加方法を実現するには上記(1)〜(3)の問題を解決しなければならない。
【0039】
そこで、本願発明者は鋭意工夫を行い、高周波発振器のインピーダンスと被加熱物のインピーダンスを整合させるインピーダンス整合回路において、キャパシタンスCp,CsおよびインダクタンスLを固定せずに個別に制御することで制御精度を向上させると共に、インダクタを高速で動作させることができるように構造上の改善を実施し、上記のような台形状のグラフを描く印加方法を実施可能にした。
【0040】
このような改善により、インピーダンス整合回路が被加熱物である生分解性材料の水分値等の変化に小刻みに追従して応答できるようになり、焦げやスパークの発生、制御不能状態に陥ることを回避できるようになった。
これにより、印加開始直後に出力電流値をピーク値まで一気に高め、所定時間そのピーク値を維持した後、直ちに高周波の印加を止めるという、出力電流値が台形状のグラフを描くような印加方法が可能となり、高周波の印加に要する時間の大幅な短縮を図ることが可能となったのである。
【0041】
この発明による第1、第2および第3の生分解性容器の製造方法において、前記生分解性材料は澱粉とパルプを含有することが好ましい。
【0042】
というのは、澱粉とパルプは植物由来の材料であって生分解性に優れ、燃焼させても燃焼カロリーが低いからである。
【0043】
ここで、澱粉とは、澱粉またはその誘導体を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、馬鈴薯、トウモロコシ、タピオカ、米、小麦、さつまいもなど、主要穀物として世界的に生産されている農産物から得られる澱粉を挙げることができ、特定の農産物から製造されたものであってもよいし、複数の農産物から製造されたものを混合したものであってもよい。
また、上記の澱粉の誘導体は、生分解性を阻害しない範囲で澱粉を修飾したものを指し、例えば、α化澱粉、架橋澱粉、変性澱粉等を挙げることができる。
さらに、上記の修飾されていない澱粉と上記の澱粉の誘導体とを混合した混合物が用いられてもよい。
【0044】
また、パルプとは、植物由来の繊維の集合体を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、木材パルプや非木材パルプを挙げることができる。
【0045】
この発明は別の観点からみると、この発明による上述の製造方法によって製造された生分解性容器であって、開口を形成する開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄く形成されてなる生分解性容器を提供するものでもある。
【0046】
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係る生分解性容器の製造方法について説明する。なお、以下に説明する複数の実施形態において同じ部材には同じ符号を付して説明する。
【0047】
実施形態1
本発明の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法について図1〜9に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態1に係る製造方法により製造された生分解性容器の断面図、図2は図1のA部拡大図、図3は図1のB部拡大図である。
【0048】
図1〜3に示されるように、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造された生分解性容器1は、生分解性容器1の骨格をなす発泡基材層2と、発泡基材層2の内面と外面の両方の表面を被覆する疎水性の生分解性フィルム3とから構成されている。
発泡基材層2の内面と外面の両方の表面が生分解性フィルム3で被覆されることにより、生分解性容器1は耐湿性と長期保存性に優れ、また、発泡基材層2の優れた断熱性により熱湯などを入れて使用することも可能な構成となっている。
【0049】
図1に示されるように、生分解性容器1は、開口を形成する開口縁部1aと、底部1bと、開口縁部1aと底部1bとの間に延びる胴部1cとから構成されている。
ここで、本実施形態において開口縁部1aとは、具体的には図3に示されるように、胴部1cの上端から外方へ広がるように屈曲する屈曲部1dを経て開口端部1eへ至る部分のことである。図3では、開口縁部1aに相当する部分を一点鎖線で囲んで示している。
【0050】
図1に示されるように、本実施形態において、開口縁部1aの厚みT1は約1.7mm、底部1bと胴部1cの厚みT2,T3はいずれも約2.0mmであり、開口縁部1aの厚みT1が底部1bや胴部1cの厚みT2,T3よりも薄くなるように構成されている。
つまり、本実施形態において、開口縁部1aの厚みT1は底部1bと胴部1cの厚みT2,T3の平均値(約2.0mm)の約85%に設定されている。
なお、本実施形態では開口縁部1aを構成する屈曲部1dの厚みT4は約1.91mmとされ、胴部1cのうち屈曲部1dに繋がる上端部はその厚みが約2.0mmから約1.91mmへ徐々に薄くなるように構成されている。
【0051】
以下、図1に示される生分解性容器1の製造方法について図4および図5に基づいて説明する。図4および図5は実施形態1に係る生分解性容器の製造方法を説明する工程図である。
【0052】
本実施形態では、図4(a)に示されるように、成形すべき容器の形状に対応したキャビティ9(図5(c)参照)を形成するための一対の雄型4と雌型5とからなる発泡成形用の金型6が用いられる。雄型4と雌型5はいずれもアルミニウム製で図示しない電熱ヒータを内蔵しており、以下の工程においていずれも約130〜160℃に維持される。
【0053】
雄型4と雌型5は、金型6によって成形された生分解性容器1の開口縁部1a、底部1bおよび胴部1cがそれぞれ上述の厚みT1,T2,T3を有するような寸法と形状に形成されている。
また、図5(c)に示されるように、雄型4と雌型5は、金型6内に供給された被加熱物である生分解性材料7を誘電加熱することができるよう、インダクタンスやキャパシタンスを可変としたインピーダンス整合回路11を介して高周波発振器10に接続されている。
そして、雄型4と雌型5との当接箇所、すなわち生分解性容器1の開口縁部1aと対応する箇所にはキャビティ9内で生分解性材料7から発生した水蒸気を外部へ放出させるための蒸気抜き孔(図示せず)が形成されている。
【0054】
まず、図4(a)に示されるように、生分解性材料7を枠体8に張られた2枚の生分解性フィルム3の間に挟みつけた状態で雌型5の上方に配置する。
なお、2枚の生分解性フィルムは製造工程中に互いに貼り付くことがないよう、それらの対向面に予め二酸化チタンの粉末が塗布される。
また、生分解性材料7を挟んだ生分解性フィルム3は、雌型5の上方に配置されると同時に約100〜150℃(熱風吹き出し口温度)の熱風により、生分解性フィルム3の表面温度で100〜120℃程度まで加熱・軟化される。この生分解性フィルム3の予備加熱は雄型4と雌型5の嵌合が完了するまで継続される。
【0055】
発泡基材層2(図2参照)の材料となる上記の生分解性材料7は、パルプおよび水の溶解物に澱粉を混合した後、加熱してα化したものである。前記澱粉には生分解性容器1の材料として最適な性質を示すように適量の二酸化チタンおよびゼラチンが混合されていてもよい。本実施形態において、生分解性材料7に占める水の比率(水分値)は約50〜65重量%であり、生分解性材料7の性状はドウ状である。
一方、生分解性フィルム3は生分解性芳香族ポリエステル樹脂(バイオマックス(登録商標))を2軸延伸してフィルム状に成形したものであり、その厚さは約25〜75μmである。
【0056】
次いで、図4(b)に示されるように、雄型4を雌型5へ向かって下降させ雄型4で枠体8に張られた生分解性フィルム3を延伸する。
【0057】
次いで、図5(c)に示されるように、雄型4をさらに下降させて雌型5と嵌合させると、生分解性フィルム3が完全に延伸されると共に生分解性材料7が加圧され雄型4と雌型5により形成されたキャビティ9内に徐々に満注する。
そして、雄型4と雌型5の嵌合から約8.5秒が経過した時点で高周波発振器10からインピーダンス整合回路11と、雄型4および雌型5とを介してキャビティ9内の生分解性材料7に高周波の印加を開始し、前記生分解性材料7を約4〜10秒間にわたって誘電加熱する。
【0058】
この際、高周波発振器10からの出力電流が一定となるようにインピーダンス整合回路11によって高周波発振器10と被加熱物である生分解性材料7とのインピーダンスの整合がとられ、効率よく高周波が印加される。
図6は図5に示されるインピーダンス整合回路11の電気回路図、図7は生分解性材料7に高周波を印加する際の出力電流Ip、第1および第2可変コンデンサCp,Csのキャパシタンスおよび可変インダクタLsのインダクタンスLの時間tに対する変化を示すグラフである。
【0059】
図6に示されるように、インピーダンス整合回路11は、高周波発振器10に並列に接続された第1可変コンデンサCpと、高周波発振器10の出力を雄型4と雌型5を介して生分解性材料7に印加する第2可変コンデンサCsと可変インダクタLsとの直列回路とを備える。
そして、図7に示されるように、高周波発振器10からの出力電流Ipが、高周波の印加開始から直ちに設定値Icまで直線的に立ち上がり、約4〜15秒間にわたってこの設定値Icを維持した後、直ちに高周波の印加を終えるように、インピーダンス整合回路11の第1および第2可変コンデンサCp,Csのキャパシタンスおよび可変インダクタLsのインダクタンスLがそれぞれ個別に制御される。
【0060】
このような印加手法によれば、高周波発振器10からの出力電流Ipの値は台形状のグラフを描くようになり、図19に示すような出力電流Ipの値が緩やかな山形のグラフを描く従来の印加手法と比較して大幅な印加時間の短縮が図られる。
なお、図7においてFWは入射波、RWは反射波を示している。インピーダンス整合回路11の上記制御により高周波の印加開始から印加終了まで入射波FWが一定の値を示す一方で、反射波RWが極めて低い値に抑えられていることから、高周波が効率よく生分解性材料7に印加されていることが分かる。
【0061】
ところで、反射波RWを十分に低い値に抑えつつ、出力電流Ipの値が台形状のグラフを描くような印加手法を実現するには、第1および第2可変コンデンサCp,Csのキャパシタンス、並びに、可変インダクタLsのインダクタンスLを個別に制御することに加え、第1および第2可変コンデンサCp,Cs、並びに、可変インダクタLsの応答速度を向上させる必要がある。
【0062】
そこで、図示しないが本実施形態では第1および第2可変コンデンサCp,Cs、並びに、可変インダクタLsの電極間距離を変化させるモータの駆動速度を従来よりも高めると共に、電極を安定して高速移動させることができるように電極の取付精度と取付強度を高めるという構造上の改善を図っている。
これにより、生分解性材料7に含まれる水分値の変化に逐次対応した小刻みな制御が可能となり、出力電流Ipの値が台形状のグラフを描く印加手法を実現させて高周波の印加に要する時間の大幅な短縮を図っている。
【0063】
さて、キャビティ9内に満注した生分解性材料7、すなわち焼成途上の発泡基材層2は、上述のとおり開口縁部1aに相当する部分の厚みT1(図1参照)が、底部1bや胴部1cの厚みT2,T3よりも薄い。
このため、焼成途上の発泡基材層2は開口縁部1aに相当する部分において絶縁距離が短くなり底部1bや胴部1cよりも高周波が集中して印加される。
この結果、開口縁部1aは底部1bや胴部1cよりも集中的に加熱されて焼成が促進されることとなり、短時間で焼成を行う場合に水分が残り易い開口縁部1aを速やかに焼成することができる。
【0064】
つまり、生分解性材料7に含まれる水分は、金型6から受ける加熱と高周波の印加による誘電加熱により気化して水蒸気となり、金型6に形成された蒸気抜き孔(図示せず)から外部へ放散される。
ここで、蒸気抜き孔は上述の通り雄型4と雌型5との当接箇所であって開口縁部1aに対応する箇所に形成されているため、生分解性材料7に含まれる水分は必ず開口縁部1aを通って外部へ放散されることとなる。
このため、開口縁部1aは焼成の最後まで比較的多くの水分を含み、底部1bや胴部1cと比較して生焼けとなり易い。これは短時間で焼成しようとする場合に生じ易く、底部1bや胴部1cの焼成が完了しているにもかかわらず高周波の印加を継続すると既に焼成が完了している底部1bや胴部1cに焦げが発生したり、場合によってはスパークが発生して高周波の印加継続が困難となる。
【0065】
しかし、本実施形態によれば、上述の通り、生焼けとなり易い開口縁部1aの厚みT1が底部1bや胴部1cの厚みT2,T3よりも薄く設定されるので、絶縁間隔の短い開口縁部1aに高周波が集中して印加され、水分を多く含む開口縁部1aを集中的に加熱して焼成を促進できる。
この結果、開口縁部1aの焼成に要する時間と、底部1bや胴部1cの焼成に要する時間とが略等しくなり、生分解性材料7の発泡・焼成に要する時間が短縮される。
【0066】
誘電加熱によりキャビティ9内の生分解性材料7そのものが発熱すると、キャビティ9内で生分解性材料7が速やかに水蒸気発泡して焼成され、容器状の発泡基材層2が形成される。この水蒸気発泡と焼成の際に、金型6内で熱と圧力を受けた生分解性フィルム3が発泡基材層2の表面に形成された微細な凹凸にアンカー効果により密着し、発泡基材層2の内側と外側の表面がそれぞれ生分解性フィルム3で被覆される。発泡基材層2の内側と外側の表面を生分解性フィルム3で被覆するにあたり接着剤は必要なく、生分解性フィルム3は加圧と加熱によるアンカー効果のみで発泡基材層2の表面に密着する。
【0067】
本実施形態では、雄型4と雌型5が嵌合してから高周波の印加を開始するまでの時間(印加遅延時間)を約8.5秒としたが、この時間は生分解性材料7の流動性の程度に応じて嵌合後即〜10秒程度の範囲で適切に選択できる。
【0068】
つまり、金型6内に供給された生分解性材料7は、雄型4と雌型5が嵌合してから徐々に金型6のキャビティ9内に伸びていき満注状態、若しくはそれに近い状態となる。
このため、ある程度の印加遅延時間を設定すると、生分解性材料7がキャビティ9内に満注、若しくはそれに近い状態となったところで高周波の印加を開始できることとなり、高周波印加時にインピーダンスの整合がとり易くなることから焼成状態が安定し、キャビティ9内における生分解性材料7の伸びや発泡の状態をコントロールし易くなる。
【0069】
しかし、印加遅延時間を長く設定すると、それだけ生分解性材料7の発泡・焼成に要する時間が長くなるため、生分解性材料7の発泡・焼成に要する時間を短縮する観点からすれば、印加遅延時間はなるべく短い方がよい。
したがって、印加遅延時間はキャビティ9内における生分解性材料7の伸びや発泡状態を考慮したうえで適切に設定されればよく、印加遅延時間を適宜設定することによりキャビティ9内における生分解性材料7の伸びや発泡状態を任意に選択することが可能になる。
【0070】
最後に、図5(d)に示されるように、金型6を開放して内側と外側の表面がそれぞれ生分解性フィルム3で被覆された発泡基材層2を枠体8と共に取出し、余分な生分解性フィルム3を切り取ると図1に示される生分解性容器1が得られる。
【0071】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、焼成の最後まで比較的多くの水分を含む開口縁部1aに集中して高周波を印加することにより、開口縁部1aを集中的に加熱して焼成を促進できるので、底部1bおよび胴部1cの焼成に要する時間と開口縁部1aの焼成に要する時間とを略等しくすることができ、発泡基材層2全体を短時間で良好に焼成できる。
【0072】
なお、本実施形態では、開口縁部1aの厚みT1を底部1bおよび胴部1cの厚みT2,T3の平均値の約85%に設定したが、開口縁部1aの厚みT1は底部1bおよび胴部1cの厚みT2,T3の平均値の約60〜90%となる範囲内で適切に設定でき、この範囲内であれば開口縁部1aに高周波を適度に集中させて開口縁部1aの焼成を促進できる。
【0073】
実施形態1の変形例
実施形態1に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例について図8および図9に基づいて説明する。図8は変形例に係る金型の斜視図、図9は図8に示される金型のC−C矢視断面図である。
【0074】
図8および図9に示されるように、実施形態1の変形例に係る金型16は、電熱ヒータ(図示せず)を内蔵したアルミニウム製の雄型14と雌型15とからなる。変形例に係る金型16も上述の金型6と同様に、雄型14と雌型15との当接箇所であって生分解性容器1の開口縁部1a(図1参照)と対応する箇所に蒸気抜き孔(図示せず)が形成される。
【0075】
雄型14と雌型15のうち、生分解性容器1の胴部1c(図1参照)と対応する部分の表面には0.1〜0.3mm程度の高低差を有する起伏14a,15aが前記部分の周方向に沿って反復して形成される。
そして、起伏14a,15aを形成する各凹凸は、生分解性容器1の底部1bと対応する部分から開口縁部1aと対応する部分へ向かって延びるように形成される。
【0076】
これにより、金型16内における生分解性材料7の流動方向が定まり、誘電加熱時に生分解性材料7は底部1bから開口縁部1aへ向かって速やかに発泡するようになる。
なお、図8および図9に示される起伏14a,15aは説明を容易にするために高低差を強調して描いたものであり、実際には上述のとおり0.1〜0.3mm程度の微細な高低差であるため目視ではほとんど確認されない。あまり、大きな高低差を設けると、キャビティ内において部分的に絶縁間隔の短い部分が生まれ、該部分に高周波が集中して印加されるようになり均一な焼成を妨げる恐れがあるので、0.1〜0.3mm程度の僅かな高低差が適切である。
【0077】
変形例に係る金型16によれば、開口縁部1aに高周波が集中して印加される作用に加え、雄型14と雌型15にそれぞれ形成された起伏14a,15aの作用により生分解性材料7を所定の方向に向かって速やかに発泡させることができ、発泡基材層2全体をより短時間で良好に焼成できるようになる。
【0078】
実施形態2
本発明の実施形態2に係る生分解性容器の製造方法について図10〜16に基づいて説明する。図10は実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の断面図、図11は図10に示される雄型の平面図、図12は図10に示される雌型の平面図である。
【0079】
実施形態2に係る生分解性容器の製造方法では図10に示される金型26が用いられる。
図10に示される金型26も、上述の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型6と同様に電熱ヒータ(図示せず)を内蔵したアルミニウム製の雄型24と雌型25とからなり、雄型24と雌型25との当接箇所であって生分解性容器1の開口縁部1a(図1参照)と対応する箇所に蒸気抜き孔(図示せず)が形成される。
【0080】
但し、本実施形態において金型26を構成する雄型24と雌型25は、生分解性容器1の開口縁部1a,底部1bおよび胴部1cの厚みT1,T2,T3(図1参照)がそれぞれ同一の約2.0mmとなるような寸法と形状にそれぞれ形成されている。
このため、本実施形態では、高周波を印加して生分解性材料7を誘電加熱する際に、上述の実施形態1のように生分解性容器1の開口縁部1aに高周波を集中的に印加させる作用は得られない。
しかし、図10〜12に示されるように、本実施形態の金型26を構成する雄型24と雌型25には生分解性容器1の開口縁部1aを集中的に加熱するための局部加熱用ヒータ27,29がそれぞれ設けられている。
【0081】
詳しくは図10および図11に示されるように、雄型24の局部加熱用ヒータ27は複数の棒状電熱ヒータ28から構成され、雄型24は生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分に複数の棒状電熱ヒータ28を埋設して設けるために上部コア24aと下部コア24bとに分割可能な構成となっている。
つまり、複数の棒状電熱ヒータ28は、上部コア24aと下部コア24bとの間に形成される空間に互いに隣接するように埋設され、これにより複数の棒状電熱ヒータ28が生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分に並んで配置される。
【0082】
一方、図10および図12に示されるように、雌型25の局部加熱用ヒータ29は通電により発熱する平らな発熱体をラバーで被覆したリング状のラバーヒータからなり、雌型25は生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分に局部加熱用ヒータ29を介挿して設けるために上部モールド25aと下部モールド25bとに分割可能な構成となっている。
つまり、平らなリング状の局部加熱用ヒータ29は、上部モールド25aと下部モールド25bとの間に形成される空間を埋めるように介挿され、これにより局部加熱用ヒータ29が生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分に配置される。
【0083】
このように、本実施形態では生分解性容器1の開口縁部1aを集中的に加熱するための局部加熱用ヒータ27,29を雄型24と雌型25にそれぞれ設けた金型26が用いられるので、生分解性材料7を水蒸気発泡させて焼成する際に、焼成の最後まで比較的多くの水分を含む開口縁部1aを集中的に加熱して開口縁部1aの焼成を促進できる。
このため、底部1bおよび胴部1cの焼成に要する時間と開口縁部1aの焼成に要する時間とを略等しくすることができ、発泡基材層2全体を短時間で良好に焼成できる。その他の構成は高周波の印加を含め上述の実施形態1と同様である。
【0084】
実施形態2の第1変形例
実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の第1変形例について図13および図14に基づいて説明する。図13は第1変形例に係る金型の断面図、図14は図13に示される雌型の平面図である。
【0085】
図13および図14に示されるように、実施形態2の第1変形例に係る金型36は、雌型35の局部加熱用ヒータの構成を変更したものである。
第1変形例では、雌型35の局部加熱用ヒータ39が筒状のラバーヒータで構成されている。このため、第1変形例において局部加熱用ヒータ39は開口縁部1aと対応する部分に介挿されるのではなく、開口縁部1aの直下部分を取り囲むように埋設されている。
【0086】
また、このような設置手法を実施するため、雌型35は上部モールド35aおよび下部モールド35bと、上部モールド35aと下部モールド35bとの間に挟まれる中間モールド35cとの3分割構成となっている。その他の構成は雄型34の構成を含め、上述の実施形態2と同様である。
【0087】
実施形態2の第2変形例
実施形態2に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の第2変形例について図15および図16に基づいて説明する。図15は第2変形例に係る金型の断面図、図16は図15に示される雌型の平面図である。
【0088】
図15および図16に示されるように、実施形態3の第2変形例に係る金型46は、雌型45の局部加熱用ヒータの構成を変更したものである。
第2変形例では、雌型45の局部加熱用ヒータ49が、開口縁部1aの直下部分を取り囲むように形成された通路49aに加熱されたオイル(図示せず)を循環させるオイルヒータによって構成されている。
【0089】
通路49aは上部モールド45aと下部モールド45bとの間に形成され、通路49aの両端は雌型45の外へ開放されて流入口49bおよび排出口49cとなっている。加熱されたオイルは流入口49bから流入し、通路49aの周囲を熱した後、排出口49cから排出される。その他の構成は雄型44の構成を含め、上述の実施形態2と同様である。
【0090】
以上、本実施形態では、局部加熱用ヒータの具体例として棒状電熱ヒータ、ラバーヒータおよびオイルヒータを例に説明したが、局部加熱用ヒータはこれらのヒータに限定されるものではなく、目的に応じて様々な構成の局部加熱用ヒータを採用できる。
また、本実施形態では棒状電熱ヒータとラバーヒータとの組み合わせ、棒状電熱ヒータとオイルヒータとの組み合わせを例に説明したが、局部加熱用ヒータの組み合わせはこれらに限定されるものではなく、その目的に応じて様々な組み合わせを採用できる。
【0091】
実施形態3
本発明の実施形態3に係る生分解性容器の製造方法について図17および図18に基づいて説明する。図17は実施形態3に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の断面図である。
【0092】
実施形態3に係る生分解性容器の製造方法では図17に示される金型56が用いられる。
図17に示される金型56も、上述の実施形態1に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型6と同様に電熱ヒータ(図示せず)を内蔵した雄型54と雌型55とからなり、雄型54と雌型55との当接箇所であって生分解性容器1の開口縁部1a(図1参照)と対応する箇所に蒸気抜き孔(図示せず)が形成される。
【0093】
但し、本実施形態において金型56を構成する雄型54と雌型55は、生分解性容器1の開口縁部1a,底部1bおよび胴部1cの厚みT1,T2,T3(図1参照)がそれぞれ同一の約2.0mmとなるような寸法と形状にそれぞれ形成されている。
このため、本実施形態では、高周波を印加して生分解性材料7を誘電加熱する際に、上述の実施形態1のように生分解性容器1の開口縁部1aに高周波を集中的に印加させる作用は得られない。
しかし、図17に示されるように、本実施形態の金型56を構成する雄型54と雌型55は、生分解性容器1の開口縁部1aを集中的に加熱することができるように、生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分が底部1bおよび胴部1cと対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成されている。
【0094】
詳しくは、図17に示されるように、雄型54は上部コア54aおよび下部コア54bと、上部コア54aと下部コア54bとの間に挟まれる中間コア54cとから構成されている。
下部コア54bは生分解性容器1の底部1bおよび胴部1cの内周面と接する部分でありアルミニウムで形成されるが、中間コア54cは生分解性容器1の開口縁部1aの内周面と接する部分であるため、下部コア54bを形成するアルミニウムよりも熱伝導性の高い銅によって形成されている。
なお、上部コア54aは生分解性容器1と接することのない部分であり、下部コア54bと同様にアルミニウムで形成されている。
【0095】
一方、図17に示されるように、雌型55は上部モールド55aと下部モールド55bとから構成されている。
下部モールド55bは生分解性容器1の底部1bおよび胴部1cの外周面に接する部分でありアルミニウムで形成されるが、上部モールド55aは生分解性容器1の開口縁部1aの外周面に接する部分であるため、下部モールド55bを形成するアルミニウムよりも熱伝導性の高い銅によって形成されている。
【0096】
上述の実施形態1でも述べたように、生分解性容器1の開口縁部1aは焼成の最後まで比較的多くの水分を含む部分であるため、金型56は開口縁部1aと対応する部分において開口縁部1aに含まれる水分を気化させる際に熱を奪われ温度低下をきたしやすい。
しかし、本実施形態で用いる金型56は、上述のとおり生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分の熱伝導性が他の部分よりも高められているため、開口縁部1aに含まれる水分を気化させる際に熱を奪われても、奪われた熱は隣接する他の部分からの熱伝導によって速やかに補われ、開口縁部1aに対応する部分の温度低下を極力抑えることができる。
【0097】
これにより、生分解性容器1の開口縁部1aにより多くの熱を与えることが可能となり、焼成の最後まで比較的多くの水分を含む開口縁部1aを集中的に加熱して開口縁部1aの焼成を促進できる。
この結果、底部1bおよび胴部1cの焼成に要する時間と開口縁部1aの焼成に要する時間とを略等しくすることができ、発泡基材層2全体を短時間で良好に焼成できる。その他の構成は高周波の印加を含め上述の実施形態1と同様である。
【0098】
実施形態3の変形例
実施形態3に係る生分解性容器の製造方法で用いられる金型の変形例について図18に基づいて説明する。図18は変形例に係る金型の断面図である。
【0099】
図18に示されるように、実施形態3の変形例に係る金型66は、生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分の熱伝導性を高めるために、開口縁部1aと対応する部分の表面に熱伝導性に優れた金メッキ67,68を施したものである。金型66を構成する雄型64と雌型65は実施形態1と同様にアルミニウムで形成されている。
このように、雄型64と雌型65のうち、生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分の表面に熱伝導性に優れた金メッキ67,68を施すことによっても上述の実施形態3に係る金型56と同様の効果を奏することができ、生分解性材料7の発泡と焼成に要する時間を短縮することができる。
【0100】
なお、説明を容易にするため、図18では金メッキ67,68の厚みを強調して描いているが、金メッキ67,68の厚み(膜厚)は3〜5μm程度であり、アルミニウムの地肌が露出した部分と金メッキ67,68が施された部分との境界に段差は形成されていない。
【0101】
以上、本実施形態では、生分解性容器1の開口縁部1aと対応する部分の熱伝導性を他の部分よりも高めるために、開口縁部1aと対応する部分を銅材または金メッキで形成し、他の部分をアルミニウムで形成する構成について説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、目的に応じて様々な構成と材料を採用できる。
例えば、異種材料の組み込みとメッキは併用されても構わないし、或いは雄型と雌型の一方に熱伝導性に優れた異種材料を組み込み、他方に熱伝導性に優れたメッキを施すなど、様々な改変を行うことができる。
また、材料の組み合わせもアルミニウム、銅、金に限定されるものではなく、様々な材料の組み合わせを採用できる。
【0102】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、焼成の最後まで比較的多くの水分を含む生分解性容器の開口縁部を集中的に加熱して焼成を促進することにより、底部および胴部の焼成に要する時間と開口縁部の焼成に要する時間とを略等しくすることができ、発泡基材層全体を短時間で良好に焼成できる。
【0103】
なお、本発明では、開口縁部を集中的に加熱する方法として、開口縁部の厚みが薄くなるよう形成された金型を用いて開口縁部に高周波を集中的に印加させる方法、開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータを金型に設ける方法、金型のうち開口縁部と対応する部分を熱伝導性の高い材料で形成する方法をそれぞれ説明した。
しかし、これらの方法は組み合わせて用いられてもよく、むしろ組み合わせて用いられることが生分解性材料をより短時間で発泡・焼成するうえでは好ましい。
【0104】
つまり、生分解性材料をより短時間で発泡・焼成するために、本発明の実施形態1および2に係る生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよいし、本発明の実施形態1および3に係る生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよい。或いは、本発明の実施形態2および3に係る生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよいし、本発明の実施形態1、2および3に係る生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられてもよく、実施形態1、2および3に係る生分解性容器の製造方法の組み合わせは任意に選択できる。
【0105】
例えば、本発明の実施形態1、2および3に係る生分解性容器の製造方法が組み合わせて用いられた場合、具体的には実施形態1に係る生分解性容器の製造方法の特徴である開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成された金型に、実施形態2に係る生分解性容器の特徴である局部加熱用ヒータを内蔵させ、さらに実施形態3に係る生分解性容器の特徴である開口縁部と対応する部分の熱伝導性を向上させる構成を組み合わせて適用することとなる。このような金型を用いると、開口縁部を非常に効率よく集中的に加熱することができ、より短時間での発泡・焼成が可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1 生分解性容器
1a 開口縁部
1b 底部
1c 胴部
1d 屈曲部
1e 開口端部
2 発泡基材層
3 生分解性フィルム
4,14,24,34,44,54,64 雄型
5,15,25,35,45,55,65 雌型
6,16,26,36,46,56,66 金型
7 生分解性材料
8 枠体
9 キャビティ
10 高周波発振器
11 インピーダンス整合回路
14a,15a 起伏
24a,54a 上部コア
24b,54b 下部コア
25a,35a,55a 上部モールド
25b,35b,55b 下部モールド
27,29,39,49 局部加熱用ヒータ
28 棒状電熱ヒータ
35c 中間モールド
49a 通路
49b 流入口
49c 排出口
54c 中間コア
67,68 金メッキ
Cp 第1可変コンデンサ
Cs 第2可変コンデンサ
Ls 可変インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は開口縁部の厚みが底部および胴部の厚みよりも薄くなる寸法を有するように形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、厚みの薄い開口縁部に高周波を集中して印加し開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする生分解性容器の製造方法。
【請求項2】
前記金型は開口縁部の厚みが底部と胴部の厚みの平均値の60〜90%となる寸法を有するように形成されてなる請求項1に記載の生分解性容器の製造方法。
【請求項3】
底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分に開口縁部を集中的に加熱する局部加熱用ヒータが内蔵されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、局部加熱用ヒータからの加熱により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする生分解性容器の製造方法。
【請求項4】
底部、胴部および開口縁部を有する生分解性容器の製造方法であって、ヒータを内蔵し高周波発振器と電気的に接続された嵌合可能な一対の雄型と雌型からなる発泡成形用の金型を用い、水分を含んだ生分解性材料を介在させて雄型と雌型を嵌合させ、ヒータからの加熱と高周波の印加による誘電加熱により生分解性材料を水蒸気発泡させ開口縁部と対応する箇所から水蒸気を外部へ放散させながら焼成して容器状の発泡基材層を成形する工程を備え、前記金型は生分解性容器の開口縁部と対応する部分が底部および胴部と対応する部分よりも熱伝導性の高い材料で形成されてなり、生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、熱伝導性の高い材料で形成された前記部分により開口縁部を集中的に加熱する工程を含むことを特徴とする生分解性容器の製造方法。
【請求項5】
前記金型は生分解性容器の胴部と対応する部分の表面に所定の高低差を有する起伏が胴部の周方向に沿うように反復して形成されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の生分解性容器の製造方法。
【請求項6】
生分解性材料を水蒸気発泡させて容器状の発泡基材層を成形する前記工程は、高周波の印加開始直後に高周波発振器からの出力電流が所定のピーク値に達するように高周波を印加し、所定時間前記ピーク値を維持した後、直ちに高周波の印加を止める工程を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の生分解性容器の製造方法。
【請求項7】
前記生分解性材料は澱粉とパルプを含有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の生分解性容器の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法によって製造された生分解性容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−86406(P2012−86406A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233627(P2010−233627)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【特許番号】特許第4865080号(P4865080)
【特許公報発行日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000226895)日世株式会社 (24)
【Fターム(参考)】