説明

生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法

【課題】生分解性酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂、非分解性樹脂及び有機系廃棄物などからなる廃棄物を、事前選別しなくても効果的に処理することのできる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法の提供を目的とする。
【解決手段】廃棄物処理装置1は、生分解性酵素を含む分解液40を用いて、廃棄物10に含まれる生分解性樹脂11を分解するための分解槽4と、生分解性酵素と分解生成物とを分離する分離手段5と、生分解性酵素の分離された分解生成物を回収する発酵槽8とを有する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法に関し、特に、生分解性酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂、非分解性樹脂及び有機系廃棄物(たとえば、生ごみ)などからなる廃棄物を、事前選別しなくても効果的に処理することのできる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の処理技術は、地球温暖化の防止、及び、地球資源の有効活用などを促進する上で、極めて重要であり、様々な技術が研究開発されている。
注目されている技術として、有機系廃棄物の発酵処理(メタン発酵、水素発酵など)によるバイオガス回収(エネルギー回収)システムの技術や、プラスチックとして生分解性樹脂を用い、有機系廃棄物と同時に分解させる技術などが挙げられる。
【0003】
たとえば、特許文献1には、生分解性プラスチックを微粉砕し、粉砕後のプラスチックを生ごみ様有機物のスラリーと混合してメタン発酵微生物と接触させ、前記プラスチックを生ごみ様有機物との共存下でメタン発酵処理してなる生分解性プラスチックの処理方法の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、生分解性プラスチックが混在する有機系廃棄物に希釈水を添加して加水分解を行う加水分解工程と、加水分解された分解生成物を嫌気性条件化でメタン発酵を行うメタン発酵工程と、前記発酵により生成したメタンガスを回収する回収工程と、からなる生分解性プラスチックを含む有機系廃棄物の処理方法の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、生分解性プラスチックと有機性廃棄物との混合物をメタン発酵処理する方法であって、前記混合物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕後の混合物をスラリー化しながら前記生分解性プラスチックの分解を行なう生分解工程と、前記スラリーをメタン発酵させるメタン発酵工程とを含み、前記生分解工程を40〜60℃の嫌気性下で行なうことを特徴とする有機性廃棄物のメタン発酵処理方法の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、生分解性樹脂製成形物を含む有機廃棄物を嫌気性生分解法にて処理する方法において、該生分解性樹脂製成形物を含む有機廃棄物に、生分解性樹脂分解酵素(通常、生分解性酵素とも呼ばれる。)またはその酵素を生成する微生物を添加し前処理することを特徴とする生分解性樹脂製成形物を含む有機廃棄物の処理方法の技術が開示されている。
【0007】
ところで、上述した特許文献1〜4の技術は、水分をほとんど含まない生分解性樹脂を発酵処理しており、バイオガス回収量の増加が見込まれる利点があるものの、生分解性樹脂は、酵素との接触による生分解速度が極めて遅いため、分解を促進する工程を必要とする。たとえば、特許文献1の技術は、アルカリ分解工程を必要とし、特許文献2の技術は、120℃〜250℃の加水分解工程を必要とし、特許文献3の技術は、紫外線又はオゾンガス照射工程を必要とする。すなわち、これらの技術は、生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法としては、設備規模、エネルギー消費量及び環境負荷などが大きくなるといった短所を有している。
これに対し、特許文献4の技術は、生分解性樹脂分解酵素またはその酵素を生成する微生物を添加することにより、前処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−292705号公報
【特許文献2】特開2005−95729号公報
【特許文献3】特開2004−223470号公報
【特許文献4】特開2004−58010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4の技術などのように、生分解性樹脂成形体の分解処理と発酵処理(メタン発酵処理など)とを分けて行う処理方法においては、生分解性酵素が、分解生成物とともに発酵処理工程に送られ使い捨てされており、生分解性酵素を有効に利用することができないといった問題があった。
【0010】
また、生分解処理システムにおいては、通常、生分解性樹脂のみからなる成形体と有機系廃棄物だけが処理の対象であり、生分解性樹脂と非分解性樹脂とからなる成形体や非分解性廃棄物を混入させることができなかった。このため、これらが混入された廃棄物は、処理する前に、事前選別が必要であったり、あるいは、再利用できる資源が含まれているにもかかわらず、焼却処理されてきた。すなわち、廃棄物の処理においては、廃棄物の事前選別の手間を排除することの可能な技術の確立が、強く要望されていた。
さらに、生分解処理システムにおいては、生分解処理を阻害する物質が、生分解処理工程に、混入しないようにする技術の確立も要望されていた。
【0011】
本発明は、以上のような問題などを解決するために提案されたものであり、生分解性酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂、非分解性樹脂及び有機系廃棄物などからなる廃棄物を、事前選別しなくても効果的に処理することのできる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置は、生分解性酵素を含む分解液を用いて、前記廃棄物に含まれる前記生分解性樹脂を分解するための分解槽と、前記生分解性樹脂の分解生成物を含む分解液を回収する回収槽とを有する構成としてある。
【0013】
また、本発明の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法は、生分解性酵素を含む分解液を用いて、前記廃棄物に含まれる前記生分解性樹脂を分解する分解工程と、前記生分解性樹脂の分解生成物を含む分解液を回収する回収工程とを有する方法としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法によれば、酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂、非分解性樹脂及び有機系廃棄物などからなる廃棄物を、事前選別しなくても効果的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の要部の概略正面図を示している。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の要部の概略平面図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の、非分解物回収手段を説明するための要部の概略図であり、(a)は側面方向の断面図を示しており、(b)は平面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の要部の概略正面図を示している。
また、図2は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の要部の概略平面図を示している。
図1、2において、本実施形態の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置1(適宜、廃棄物処理装置1と略称する。)は、粉砕手段2、分解阻害物質除去手段3、分解槽4、分離手段5、非分解物回収手段6、連通部材7、発酵槽8、及び、これらを制御する制御手段(図示せず)などを備えた構成としてある。この廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11を含む廃棄物10を処理する。
【0017】
(廃棄物)
廃棄物10は、生分解性樹脂11、非分解性樹脂12、及び、有機系廃棄物13などを有している。すなわち、廃棄物処理装置1は、家庭から排出される生ごみなどの廃棄物10を処理する。
ここで、廃棄物処理装置1が処理する廃棄物10は、生分解性樹脂11と、プラスチック系廃棄物(すなわち、非分解性樹脂12)及び/又は有機系廃棄物13との混合物である。したがって、廃棄物処理装置1は、たとえば、多層のペットボトル(生分解性樹脂11からなる層と非分解性樹脂12からなる層とを有するペットボトル)を、後述するように、効果的に処理することができる。
【0018】
上記の生分解性樹脂11は、微生物が産生する酵素によって分子構造が分解され、二酸化炭素や水等の無機物に変えられる樹脂であり、たとえば、化学合成系樹脂、微生物系樹脂、天然物利用系樹脂などが挙げられる。また、生分解性樹脂11は、好ましくは、ポリ乳酸樹脂などであり、さらに、分解促進剤を含有しているとよい。
また、有機系廃棄物13として、生ごみ、食品加工残渣、紙、下水汚泥、屎尿、家畜糞尿、剪定枝などが挙げられる。
なお、上記の混合物は、微小の金属片などを含んでいてもよい。
【0019】
(粉砕手段)
粉砕手段2は、回転刃やスクリーン(網目)などを有する一軸粉砕機としてあり、分解槽4に供給される廃棄物10を、数mm〜数十mmの粒度に粉砕する。
なお、粉砕手段2の粉砕方式などは、特に限定されるものではない。
【0020】
(分解阻害物質除去手段)
分解阻害物質除去手段3は、洗浄容器31、洗浄液用ノズル33、オーバーフロー用配管34、及び、金網コンベア35などを有している。
洗浄容器31は、ほぼ直方体状の容器であり、洗浄液32が溜められており、粉砕された廃棄物10が供給される。供給された廃棄物10は、洗浄液32中に沈み、洗浄液32によって、生分解性樹脂11の酵素分解を阻害する分解阻害物質(界面活性剤など)が、生分解性樹脂11などから分離する。分離した分解阻害物質(通常、泡となり液面に浮遊する。)は、洗浄液用ノズル33から洗浄液32が供給されると、オーバーフロー用配管34を介して回収される。金網コンベア35は、洗浄容器31内に、一方の端部が洗浄液32中に位置し、他方の端部が洗浄液32の上方に位置する状態で設置されている。また、分解阻害物質の除去された廃棄物10は、上記の金網コンベア35によって、液切りされた状態で、分解槽4のバスケット61に供給される。
【0021】
このように、分解阻害物質除去手段3は、分解槽4に供給される粉砕された廃棄物10から、生分解性樹脂11の酵素分解を阻害する分解阻害物質(界面活性剤など)を除去する。これにより、生分解性樹脂11の酵素分解を、効率よく、かつ、短時間で行うことができる。
なお、洗浄液32として、通常、水(好ましくは、温水)などを用いるが、特に限定されるものではない。また、分解阻害物質除去手段3の構成も、上記に限定されるものではない。
【0022】
(分解槽)
分解槽4は、撹拌装置41、センサ42、フィーダ43、及び、濾過装置44などを有している。
分解槽4は、ほぼ円筒状のタンクとしてあり、後述する分解液40が溜められている。また、分解槽4は、複数のバスケット61を収容しており、廃棄物10が金網コンベア35からバスケット61に供給される。この分解槽4は、生分解性酵素を含む分解液40を用いて、廃棄物10に含まれる生分解性樹脂11を分解する。また、本実施形態では、分解槽4に、廃棄物10に含まれる有機系廃棄物13が投入されており、有機系廃棄物13を分解する酵素を含む分解液40を用いて、有機系廃棄物13を分解する。
【0023】
撹拌装置41は、分解槽4の下部に設けられており、分解液40がほぼ均一な状態となるように、分解液40をゆっくり撹拌する。
また、濾過装置44は、フィルタ441及びポンプ442などを有しており、バスケット61の金網612を通り抜けた微小の非分解物(たとえば、微小の非分解性樹脂12や金属片)を捕集する。
さらに、センサ42は、分解液40の状態を検出するための各種センサであり、図示してないが、温度センサ、酵素センサ(特定の酵素の量を検出するセンサ)、pHセンサなどである。センサ42は、コンピュータなどの制御手段と接続されており、各検出信号を出力する。
また、フィーダ43は、分解液40の成分を調整するための中和剤や酵素を供給するフィーダであり、分解槽4の上部に設けられている。
【0024】
(分解液)
分解液40は、生分解性酵素、緩衝剤、有機溶媒及び水を含有している。
生分解性酵素としては、生分解性樹脂11に作用する分解酵素であればよく、また、固定化していても固定化していなくてもよい。たとえば、リパーゼやプロテアーゼ、クチナーゼなどが挙げられる。また、微生物を入れ、その菌体外酵素を用いてもよく、その微生物が必要とする培地成分や栄養成分が添加されていてもよい。さらに、分解液40は、有機系廃棄物13を加水分解する酵素、及び/又は、加水分解する酵素を産生し、菌体外に放出する微生物を含有してもよい。 有機系廃棄物13を分解する酵素としては、例えばリパーゼやプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、ペプチダーゼ、エステラーゼ、アシルアミダーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼなどが挙げられる。これら生分解性酵素及び有機系廃棄物13を分解する酵素は、1種単独或いは2種以上を混合して使用することもできる。 また、緩衝剤としては、グリシン-塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸-リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、グリシン-水酸化ナトリウム緩衝液などが挙げられる。また、固体の中和剤でもよく、たとえば、炭酸カルシウム、キトサン、脱プロトンイオン交換樹脂などが挙げられる。
【0025】
分解を行う際に、酵素と分解物の結合による沈殿が見られる場合は、有機溶媒を添加することによりこの問題を解決することができる。有機溶媒は、そのSP値(Hildebrand溶解度パラメータ)が8.5未満であるか又は11.5を超える値であるとよい。このような有機溶媒としては、ヘキサン(SP値は7.3)、シクロヘキサン(8.2)ジメチルスルホキシド(14.4)、アセトニトリル(11.7)、エタノール(12.7)、メタノール(14.4)などが挙げられる。上記範囲のSP値を有する有機溶媒を用いることにより、凝集物の生成を抑制することができる。また、分解液40中の有機溶媒の含有率(体積含有率)は1%よりも多く15%未満であるとよい。この理由は、有機溶媒の含有率(体積含有率)が1%以下では、分解液40中に凝集沈殿物が生成され、オリゴマーやモノマーの回収率が低下するからであり、15%以上では、生分解性樹脂11の分解率が低下するからである。さらに、酵素の凝集沈殿を抑制するため、生分解性樹脂11の分解率を向上させることができる。 また、分解液40中の水分の含有率(体積含有率)は、50%以上であり、好ましくは、80〜99%であるとよい。 なお、分解液40の組成、pHの値、分解の時間、及び、温度等は、分解する廃棄物10の量などにもとづいて、適宜設定することができる。
【0026】
(非分解物回収手段)
図3は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置の、非分解物回収手段を説明するための要部の概略図であり、(a)は側面方向の断面図を示しており、(b)は平面図を示している。
図1、3において、本実施形態の非分解物回収手段6は、複数の(たとえば、12個の)バスケット61、バスケット61を分解槽4内で回転させる回転手段(この回転手段は、載置用フレーム62、回転軸63及び支持用フレーム64などを有する。)、バスケット61を分解槽4から取り出し戻すためのバスケット移動手段65、及び、非分解物14が投入される非分解物回収容器66などを有している。この非分解物回収手段6は、分解槽4内の(すなわち、バスケット61内の)非分解物14を回収する。
なお、非分解物14は、廃棄物10に含まれる非分解性樹脂12や金属片などである。
【0027】
バスケット61は、ほぼ円筒を放射線状に沿って12等分した形状としてあり、枠フレーム611、金網612、一対の取手613及び一対の連結部材614などを有している。このバスケット61は、上部が開口しており、この開口から粉砕された廃棄物10が投入され、この開口から非分解物回収容器66に非分解物14が排出される。
枠フレーム611は、通常、L型鋼や鋼管などからなる。
金網612は、粉砕手段2によって粉砕された廃棄物10の粒度より細かいメッシュを有しており、分解液40によって分解されない非分解性樹脂12や混入された金属片などをバスケット61内に滞留させる。なお、金網612を通り抜けた非分解性樹脂12や金属片などは、上述した濾過装置44によって捕集される。
取手613は、枠フレーム611の上部に設けられており、バスケット移動手段65の昇降装置のフック(図示せず)が掛けられる。
連結部材614は、貫通孔の穿設されたほぼ半円状の金属板であり、外周側の枠フレーム611の中段部に対向して設けられている。
【0028】
バスケット61を分解槽4内で回転させる回転手段は、載置用フレーム62、回転軸63及び支持用フレーム64などを有している。
載置用フレーム62は、放射状のリブを有するほぼ円環状としてあり、中央部が回転軸63の下端部と連結されている。この載置用フレーム62は、バスケット61を位置決めするガイド部材などによって、バスケット61が所定の位置に載置される。
回転軸63は、上部が支持用フレーム64に回転可能に支持されており、図示していないスプロケット、チェーン及びモータなどによって、反時計回り方向に回転する。なお、回転軸63は、廃棄物10をバスケット61に投入するタイミングや、非分解物14をバスケット61から回収するタイミングで、30°ずつ間欠的に回転する。
【0029】
バスケット移動手段65は、バスケット61を昇降させる昇降装置(図示せず)、及び、分解槽4の上方に上昇したバスケット61を回動される回動装置(この回動手段は、保持板651、エアシリンダ652及び回動軸653などを有する。)を有している。
昇降装置は、図示してないが、エアシリンダや、このエアシリンダのロッドに連結された一対のフックなどを有しており、一対のフックが上記の取手613に掛けられ、バスケット61を昇降させる。
また、回動装置は、ほぼ長円状の保持板651、保持板651に設けられ、ロッドが連結部材614の貫通孔に挿入される一対のエアシリンダ652、保持板651と連結された回動軸653、回動軸653を回動可能に支持する軸受(図示せず)、及び、回動軸653を約160°回動させる歯車やギヤ付きモータ(図示せず)などを有している。この回動装置は、保持板651及びエアシリンダ652が、上昇したバスケット61を保持し、回動軸653などが、保持したバスケット61を回動させ、バスケット61に残った非分解物14を非分解物回収容器66に排出する。
【0030】
非分解物回収容器66は、ほぼ直方体状の容器としてあり、非分解物14がバスケット61から投入される。すなわち、非分解物回収手段6は、廃棄物10に含まれる非分解性樹脂12や金属片などからなる非分解物14を効率よく回収することができる。
ここで、好ましくは、廃棄物処理装置1は、回収された非分解物14を非分解性樹脂12と金属片などの残さとに選別する選別装置(図示せず)や、選別された非分解性樹脂12を洗浄する洗浄装置(図示せず)などを備えていてもよい。このようにすると、非分解性樹脂12をリサイクル用として回収することができる。そして、リサイクル用として回収される非分解性樹脂12は、不純物が含まれているといった不具合が大幅に改善されており、非分解性樹脂12の品質を向上させることができる。
なお、金属片などの残さに対して、さらに、金属片などを回収してもよい。
【0031】
(分離手段)
分離手段5は、図1に示すように、酵素分離膜としてあり、分解槽4の下部に取り付けられている。また、分離手段5は、パンチングメタルや金網などからなる分離手段用カバー51を有しており、この分離手段用カバー51は、酵素分離膜を微小の非分解物から保護する。
上記の酵素分離膜(酵素分離用フィルタ)は、酵素の流入を抑え、分解物を次工程へ通過させるものであれば特に制限はないが、例えば20.9kDaの分子量を持つCryptococcus sp. S-2由来リパーゼCS2(特開2004-73123)を分解酵素として用いた場合、分子量1,000〜20,000の範囲で分画を行う分離膜を使用することが望ましく、例えば再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリアクリロニトリル膜、ポリビニルデンジフルオライド多孔質膜、酢酸セルロース+ニトロセルロース混合膜、ポリテトラフルオロエチレン膜、シリコーンゴム中空糸膜であり、分解液40中の生分解性酵素と分解生成物とを分離する。すなわち、分離手段5は、分解生成物を含む分解液40が発酵槽8に供給される際、分解液40に含まれる生分解性酵素を分離するので、分離された生分解性酵素或いは、有機系廃棄物を分解する酵素が、分解槽4に滞留する。これにより、分解槽4と発酵槽8を有する廃棄物処理装置1において、酵素が、分解生成物とともに発酵槽8に送られずに、分解槽4に留まるために、酵素を効率よく使い続ける(すなわち、有効に利用する)ことができる。
【0032】
なお、本実施形態では、分離手段5として、酵素分離膜を使用する構成としてあるが、分離手段5は、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、酵素分離膜の代わりに、分解液40に含まれる生分解性酵素を分離する遠心機を用いる構成としてもよい。このようにしても、遠心機で酵素を分離し、この酵素を分解槽4に戻すことにより、分離された生分解性酵素を分解槽4に滞留させるができ、生分解性酵素を有効に利用することができる。
また、分離手段5として、酵素分離膜と遠心機とを有する構成としてもよい。
【0033】
(連通部材)
連通部材7は、通常、分解槽4と発酵槽8とを連通させる配管などであり、分解槽4から発酵槽8に、分離手段5によって生分解性酵素の分離された分解生成物(すなわち、本実施形態では、生分解性酵素が分離され、かつ、生分解性樹脂11及び有機系廃棄物13の分解生成物を含む分解液40)を移送する。また、連通部材7は、通常、図示してないが、弁やポンプなどを有している。
ここで、好ましくは、連通部材7に、温度調整手段31が設けられ、この温度調整手段31が、分解生成物の温度を、発酵に適した温度に調整するとよい。このようにすると、発酵槽8内の温度変化を抑制し、発酵に適した温度を維持することができるので、メタンガスの回収率が低下するといった不具合を防止することができる。
【0034】
(発酵槽)
本実施形態では、酵素の分離された分解生成物を回収する回収槽を、発酵槽8としてある。この発酵槽8は、連通部材7を介して供給された分解生成物を発酵させる。また、本実施形態では、上述した分解液40を用いることにより、生分解性樹脂11を分解する時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、発酵槽8は、メタン生成菌による発酵を行う構成としてあり、回収用配管81からメタンガスを回収している。さらに、発酵槽8で発生した発酵残渣及び排水は、それぞれ堆肥化や液肥化を行い、肥料として用いることができる。
なお、発酵槽8による発酵生成物は、メタンに限定されるものではなく、たとえば、水素やエタノールであってよい。すなわち、発酵槽8による発酵生成物は、メタン、水素及びエタノールの少なくとも一つであるとよい。
【0035】
次に、上記構成の廃棄物処理装置1の動作などについて、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態にかかる生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
図4に示すように、廃棄物処理装置1は、まず、粉砕手段2に廃棄物10が投入され、粉砕手段2が、投入された廃棄物10を、数mm〜数十mmの粒度に粉砕する(ステップS1)。
ここで、好ましくは、粉砕手段2は、廃棄物10を、数mm〜十数mmの粒度に、より好ましくは、数mmの粒度に粉砕するとよい。このように、廃棄物10を細かく粉砕するほど、分解槽4における生分解性樹脂11を分解する時間が短縮されるので、廃棄物処理装置1の処理能力を向上させることができる。
【0036】
次に、廃棄物処理装置1は、分解阻害物質除去手段3が、粉砕された廃棄物10から、生分解性樹脂11の酵素分解を阻害する分解阻害物質(界面活性剤など)を除去する(ステップS2)。これにより、廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11の酵素分解を、効率よく、かつ、短時間で行うことができる。続いて、金網コンベア35が、分解阻害物質の除去された廃棄物10を、液切りされた状態で分解槽4のバスケット61に供給する。
【0037】
次に、分解槽4は、一つのバスケット61に所定の量の廃棄物10が供給されると、回転軸63が、反時計回り方向に30°回転し、次のバスケット61に廃棄物10が供給される。供給された廃棄物10は、分解液40に浸漬し、生分解性樹脂11は、分解液40によって分解される。すなわち、分解槽4は、生分解性酵素を含む分解液40を用いて、廃棄物10に含まれる生分解性樹脂11及び食品などの有機系廃棄物13を分解し、生分解性樹脂11や有機系廃棄物13の分解生成物を含む分解液をバスケット61の外部に流出させる(ステップS3)。
【0038】
ここで、分解槽4の撹拌装置41は、分解液40がほぼ均一な状態となるように、分解液40をゆっくり撹拌する。
また、濾過装置44は、バスケット61の金網612を通り抜けた微小の非分解物(たとえば、微小の非分解性樹脂12や金属片)を捕集する。
さらに、センサ42は、液温、特定の酵素の量、pH値などに関する各検出信号を制御手段に出力し、制御手段がフィーダ43を制御し、必要に応じて、フィーダ43が、分解液40の成分を調整するための中和剤や生分解性酵素などを供給する。
【0039】
次に、廃棄物処理装置1は、バスケット61に供給した廃棄物10の生分解性樹脂11がほぼ全て分解されたタイミングで、非分解物回収手段6が、バスケット61内の非分解物14(非分解性樹脂12や金属片など)を回収する(ステップS4)。
この際、バスケット61は、廃棄物10が供給された位置から、330°回転した位置にあり、まず、バスケット移動手段65の昇降装置が、一対のフックをバスケット61の取手613に掛けられ、バスケット61を上昇させる。次に、バスケット移動手段65の回動装置は、保持板651及びエアシリンダ652がバスケット61を保持し、続いて、一対のフックが外れると、回動軸653などが保持したバスケット61を回動させ、バスケット61に残った非分解物14を非分解物回収容器66に排出する。なお、バスケット移動手段65は、上記の動作を戻ることにより、空のバスケット61を載置用フレーム62に載置する。
【0040】
ここで、上述したように、廃棄物処理装置1は、回収された非分解物14を非分解性樹脂12と金属片などの残さとに選別する選別装置(図示せず)や、選別された非分解性樹脂12を洗浄する洗浄装置(図示せず)などを備えていてもよい。かかる場合、選別装置が、非分解物14を非分解性樹脂12と金属片などの残さとに選別し(ステップS41)、さらに、洗浄装置が、非分解性樹脂12を洗浄する(ステップS42)。これにより、リサイクル用として回収される非分解性樹脂12は、不純物が含まれているといった不具合が大幅に改善されており、非分解性樹脂12の品質を向上させることができる。
【0041】
次に、廃棄物処理装置1は、連通部材7が、分解槽4から発酵槽8に、分解生成物を含む分解液40を移送する際、分離手段5としての酵素分離膜が、分解液40中の生分解性酵素と分解生成物とを分離する(ステップS5)。すなわち、分離手段5は、分解生成物を含む分解液40が発酵槽8に供給される際、分解液40に含まれる生分解性酵素などを分離するので、分離された生分解性酵素、及び、有機系廃棄物13を分解する酵素が、分解槽4に滞留する。これにより、分解槽4と発酵槽8を有する廃棄物処理装置1において、酵素が、分解生成物とともに発酵槽8に送られずに、分解槽4に留まるために、酵素を効率よく使い続ける(すなわち、有効に利用する)ことができる。
【0042】
続いて、廃棄物処理装置1は、連通部材7が、分解槽4から発酵槽8に、分離手段5によって酵素の分離された分解生成物を移送し、分解生成物を発酵槽8に回収する(ステップS6)。
ここで、好ましくは、連通部材7の温度調整手段31が、分解生成物の温度を、発酵に適した温度に調整するとよい。このようにすると、発酵槽8内の温度変化を抑制し、発酵に適した温度を維持することができるので、メタンガスの回収率が低下するといった不具合を防止することができる。
【0043】
次に、廃棄物処理装置1は、発酵槽8が、連通部材7を介して供給された分解生成物を発酵させる(ステップS7)。
また、本実施形態では、発酵槽8は、メタン生成菌による発酵を行う構成としてあり、廃棄物処理装置1は、回収用配管81からメタンガスを回収することができる。
【0044】
このように、廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11、非分解性樹脂12、及び、有機系廃棄物13などを有している廃棄物10(たとえば、家庭から排出される生ごみなど)を、事前選別することなく、処理することができる。これにより、事前選別することが実用的ではなく、かつ、メタンガスの発生により埋め立て処分することもできず、焼却処理していた廃棄物10を、地球温暖化の防止、及び、地球資源の有効活用などを促進しつつ、処理することができ、社会的に大きなメリットを得ることができる。
【0045】
また、廃棄物処理装置1は、分離手段5が、分解液40に含まれる酵素を分離し、酵素が、分解生成物とともに発酵槽8に送られずに、分解槽4に留まるので、酵素を効率よく使い続ける(すなわち、有効に利用する)ことができる。これにより、酵素の費用などを削減でき、経済性を向上させることができる。
【0046】
さらに、廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11を分解した分解生成物を発酵させているので、エネルギー回収効率を向上させることができ、また、非分解物回収手段6などにより品質の優れた非分解性樹脂12を効率よく回収でき、非分解性樹脂12のリサイクル率を向上させることができる。さらに、生分解性樹脂11の処理技術を確立することができるので、生分解性を有するバイオマスプラスチック(たとえば、ポリ乳酸、澱粉樹脂など)の増加により、COの低減を図ることができる。
【0047】
また、廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11と有機系廃棄物13などを主に有する廃棄物10、生分解性樹脂11と非分解性樹脂12などを主に有する廃棄物10、及び、生分解性樹脂11と非分解性樹脂12と有機系廃棄物13などなどを主に有する廃棄物10に対応することができるので、フレキシビリティーを向上させることができる。さらに、上記の廃棄物10に非分解性廃棄物が含まれる場合であっても、非分解物回収手段6が、非分解性廃棄物を支障なく除去することができ、また、上記の廃棄物10が生分解処理を阻害する物質を含む場合であっても、分解阻害物質除去手段3が、この物質を除去することができるので、廃棄物処理装置1の付加価値を向上させることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の廃棄物処理装置1によれば、酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂11、非分解性樹脂12及び有機系廃棄物13などからなる廃棄物10を、事前選別しなくても効果的に処理することができる。
【0049】
[生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法の実施形態]
また、本発明は、生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法(適宜、廃棄物処理方法と略称する。)の発明としても有効である。
本実施形態の廃棄物処理方法は、上述した廃棄物処理装置1を用いて、生分解性樹脂11を含む廃棄物10を処理する方法としてある。
すなわち、本実施形態の廃棄物処理方法は、図4に示すように、まず、粉砕手段2に廃棄物10が投入され、粉砕手段2が、投入された廃棄物10を、数mm〜数十mmの粒度に粉砕する粉砕工程を有している(ステップS1)。
【0050】
ここで、廃棄物10は、生分解性樹脂11と、プラスチック系廃棄物(すなわち、非分解性樹脂12)及び/又は有機系廃棄物13との混合物である。したがって、本実施形態の廃棄物処理方法によれば、たとえば、多層のペットボトル(生分解性樹脂11からなる層と非分解性樹脂12からなる層とを有するペットボトル)を、効果的に処理することができる。
なお、上記の混合物は、微小の金属片などを含んでいてもよい。
【0051】
次に、分解阻害物質除去手段3が、粉砕された廃棄物10から、生分解性樹脂11の酵素分解を阻害する分解阻害物質(界面活性剤など)を除去する分解阻害物質除去工程を有している(ステップS2)。これにより、廃棄物処理装置1は、生分解性樹脂11の酵素分解を、効率よく、かつ、短時間で行うことができる。
【0052】
次に、分解槽4が、酵素を含む分解液40を用いて、廃棄物10に含まれる生分解性樹脂11及び食品などの有機系廃棄物13を分解する分解工程を有している(ステップS3)。
【0053】
次に、バスケット61に供給した廃棄物10の生分解性樹脂11がほぼ全て分解されたタイミングで、非分解物回収手段6が、バスケット61内の非分解物14(非分解性樹脂12や金属片など)を回収する非分解物回収工程を有している(ステップS4)。
ここで、選別装置が、回収された非分解物14を非分解性樹脂12と金属片などの残さとに選別する選別工程を有し(ステップS41)、さらに、洗浄装置が、選別された非分解性樹脂12を洗浄する洗浄工程を有するとよい(ステップS42)。これにより、リサイクル用として回収される非分解性樹脂12は、不純物が含まれているといった不具合が大幅に改善されており、非分解性樹脂12の品質を向上させることができる。
【0054】
次に、廃棄物処理装置1は、連通部材7が、分解槽4から発酵槽8に、分解生成物を含む分解液40を移送する際、分離手段5としての酵素分離膜が、分解液40中の生分解性酵素と分解生成物とを分離する分離工程を有している(ステップS5)。これにより、分解工程(ステップS3)と発酵工程(ステップS8)を有する処理方法において、生分解性酵素が、分解生成物とともに発酵槽8に送られずに、分解槽4に留まるために、生分解性酵素を効率よく使い続ける(すなわち、有効に利用する)ことができる。すなわち、分離工程(ステップS5)において分離された生分解性酵素は、分解工程(ステップS3)にもどり有効に利用される。
【0055】
続いて、連通部材7が、分解槽4から発酵槽8に、分離手段5によって生分解性酵素の分離された分解生成物を移送し、分解生成物を発酵槽8に回収する分解生成物回収工程を有している(ステップS6)。
ここで、好ましくは、連通部材7の温度調整手段31が、分解生成物の温度を、発酵に適した温度に調整するとよい。このようにすると、発酵槽8内の温度変化を抑制し、発酵に適した温度を維持することができるので、メタンガスの回収率が低下するといった不具合を防止することができる。
【0056】
次に、発酵槽8が、連通部材7を介して供給された分解生成物を発酵させる発酵工程を有している(ステップS7)。
また、本実施形態の廃棄物処理方法では、メタン生成菌による発酵を行う方法としてあり、回収用配管81からメタンガスを回収することができる。
なお、発酵生成物は、メタンに限定されるものではなく、たとえば、水素やエタノールであってよい。すなわち、発酵生成物は、メタン、水素及びエタノールの少なくとも一つであるとよい。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法によれば、廃棄物処理装置1とほぼ同様の効果を奏することができる。すなわち、生分解性酵素を有効に利用することができ、さらに、生分解性樹脂11、非分解性樹脂12及び有機系廃棄物13などからなる廃棄物10を、事前選別しなくても効果的に処理することができる。
【0058】
以上、本発明の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置、及び、その処理方法は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、分離手段5を設けることなく、生分解性樹脂の分解生成物を含む分解液を発酵槽に直接送るようにすることもできる。
また、廃棄物処理装置1における分解槽4や非分解物回収手段6などの構成は、上記に限定されるものではない。例えば、図示してないが、廃棄物10の処理量が多い場合(一日の処理量が数トン以上の場合など)は、複数の分解槽4を備え、各分解槽4が一つのバスケット61を有する構成としてもよい。このようにすると、構造を単純化でき、また、大型化に容易に対応できるので、設備費用のコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 廃棄物処理装置
2 粉砕手段
3 分解阻害物質除去手段
4 分解槽
5 分離手段
6 非分解物回収手段
7 連通部材
8 発酵槽
10 廃棄物
11 生分解性樹脂
12 非分解性樹脂
13 有機系廃棄物
14 非分解物
31 洗浄容器
32 洗浄液
33 洗浄液用ノズル
34 オーバーフロー用配管
35 金網コンベア
40 分解液
41 撹拌装置
42 センサ
43 フィーダ
44 濾過装置
51 分離手段用カバー
61 バスケット
62 載置用フレーム
63 回転軸
64 支持用フレーム
65 バスケット移動手段
71 温度調整手段
81 回収用配管
441 フィルタ
442 ポンプ
611 枠フレーム
612 金網
613 取手
614 連結部材
651 保持板
652 エアシリンダ
653 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置において、
生分解性酵素を含む分解液を用いて、前記廃棄物に含まれる前記生分解性樹脂を分解するための分解槽と、
前記生分解性樹脂の分解生成物を含む分解液を回収する回収槽と
を有することを特徴とする生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項2】
前記分解液における生分解性酵素と分解生成物とを分離する分離手段を有し、前記回収槽が、前記生分解性酵素の分離された前記分解生成物を回収する回収槽であることを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項3】
前記廃棄物が、前記生分解性樹脂と、プラスチック系及び/又は有機系廃棄物との混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項4】
前記分離手段が、フィルタ及び/又は遠心機を有し、分離された前記生分解性酵素を、前記分解槽に滞留させることを特徴とする請求項2又は3に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項5】
前記分解槽内の非分解物を回収する非分解物回収手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項6】
前記非分解物回収手段が、粉砕された前記廃棄物の粒度より細かいメッシュを有する金網を用いて、前記非分解物を回収することを特徴とする請求項5に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項7】
前記回収槽が、前記分解生成物を発酵させる発酵槽であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項8】
前記分解槽から前記回収槽に前記分解生成物を移送する連通部材を備え、前記連通部材に、温度調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項9】
前記分解槽に供給される前記廃棄物を粉砕する粉砕手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項10】
前記分解槽に供給される前記廃棄物から、分解阻害物質を除去する分解阻害物質除去手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理装置。
【請求項11】
生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法において、
生分解性酵素を含む分解液を用いて、前記廃棄物に含まれる前記生分解性樹脂を分解する分解工程と、
前記生分解性樹脂の分解生成物を含む分解液を回収する回収工程と
を有することを特徴とする生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。
【請求項12】
前記分解液における生分解性酵素と分解生成物とを分離する分離工程を有し、前記回収工程が、前記生分解性酵素の分離された前記分解生成物を回収する工程であることを特徴とする請求項11記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。
【請求項13】
前記廃棄物が、前記生分解性樹脂と、プラスチック系及び/又は有機系廃棄物との混合物であることを特徴とする請求項11又は12に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。
【請求項14】
前記分解工程と前記分離工程との間に、非分解物を回収する非分解物回収工程を有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。
【請求項15】
回収された前記分解生成物を発酵させる発酵工程を有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。
【請求項16】
前記発酵工程における発酵生成物が、メタン、水素及びエタノールの少なくとも一つであることを特徴とする請求項15に記載の生分解性樹脂を含む廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240272(P2011−240272A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115428(P2010−115428)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】