説明

生分解性樹脂組成物

【課題】優れた生分解性を有していると共に、透明性にも優れた生分解性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明によれば、難加水分解性の生分解性樹脂(A)とエステル分解促進剤(B)とを含む生分解性樹脂組成物において、該エステル分解促進剤(B)として、難加水分解性のポリエステルのセグメント(X)と易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)とを、X/Y=75/25乃至10/90の重量比で含む共重合ポリエステルが配合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸等の難加水分解性の生分解性樹脂を主成分として含有する生分解性樹脂組成物に関するものであり、より詳細には、生分解性樹脂の分解性と共に透明性が高められた生分解性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近に至って、各種分野で生分解性樹脂が環境問題などの観点から注目されている。特にポリ乳酸等の生分解性樹脂は難加水分解性であり、水等と接触しても安定であるため、このような難加水分解性の生分解性樹脂を用いた各種の成形体が実用に供されている。例えば、特許文献1には、ポリ乳酸を主成分とする乳酸系樹脂組成物及びその成形加工品が提案されている。
【0003】
ところで、ポリ乳酸等の生分解樹脂からなる成形体では、難加水分解性であるため、酵素の作用による分解に時間がかかり、特に容器等の成形体においては、成形体表面から酵素の作用による分解が進行するため、成形体を形成している生分解樹脂が完全に分解するに至るまで著しく時間を要することとなり、その生分解性という特性が十分に活かされていない。
【0004】
このような問題を解決するために、本出願人は先に、ポリ乳酸等の生分解性樹脂にポリエチレンオキサレート等の脂肪族ポリエステルがエステル分解促進剤として配合された生分解性樹脂組成物を提案した(特許文献2参照)。
この生分解性樹脂組成物に配合されているポリエチレンオキサレート等の脂肪族ポリエステルは、易加水分解性であり、水と混合したときに容易に加水分解して酸を放出するため、エステル分解促進剤として機能する。即ち、放出された酸により、生分解樹脂の加水分解が促進されるため、酵素による生分解性樹脂の分解を著しく促進することができる。また、この生分解性樹脂組成物により形成されている容器等の成形体を酵素水溶液と混合したときには、該脂肪族ポリエステルの加水分解によって成形体中に亀裂が発生することとなり、この結果、酵素が成形体の内部に容易に浸透するため、成形体の内部からも生分解性樹脂の分解が進行することとなり、この結果、成形加工品の形態でも酵素による生分解性樹脂の分解が著しく促進されるという利点がある。
【0005】
また、特許文献3には、ポリ乳酸に少量のポリグリコール酸が配合された生分解性ポリエステル組成物が提案されている。
さらに、特許文献4には、親水性セグメントとしてポリアミノ酸を有し且つ疎水性セグメントとして分解性ポリマー(例えばポリ乳酸)を有するブロック又はグラフト共重合体を、ポリ乳酸等の分解性樹脂と混合した樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−116788号
【特許文献2】WO2008−038648
【特許文献3】特開2009−13352号
【特許文献4】特開2000−345033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2及び3に開示されているように、ポリ乳酸に、ポリエチレンオキサレートやポリグリコール酸等のポリエステルが配合されている樹脂組成物は、生分解性は向上しているものの、透明性が低下しているという欠点がある。また、特許文献4に開示されているように、ポリ乳酸に、ポリアミノ酸等の親水性セグメントと分解性ポリマーの疎水性セグメントとを有する共重合体が配合されている樹脂組成物は、ある程度の透明性の向上はもたらされるものの、その程度は十分でなく、さらに生分解性の点でも十分な向上を実現することができない。
【0008】
従って、本発明の目的は、優れた生分解性を有していると共に、透明性にも優れた生分解性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、難加水分解性の生分解性樹脂(A)とエステル分解促進剤(B)とを含む生分解性樹脂組成物において、該エステル分解促進剤(B)として、難加水分解性ポリエステルのセグメント(X)と易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)とを、X/Y=75/25乃至10/90の重量比で含む共重合ポリエステルが配合されていることを特徴とする生分解性樹脂組成物が提供される。
【0010】
尚、本発明において、難加水分解性とは、試料ポリマーについて、100mg/10ml濃度の水分散液を作製し、45℃で7日間、100rpmで加水分解した液の10倍希釈後のTOC(総有機炭素量)が5ppm以下であるものをいう。さらに水溶性のポリエステルは含まない。
また、易加水分解性とは、上記と同様に測定したTOC(総有機炭素量)が5ppmよりも大きいことを示す。
【0011】
本発明の生分解性樹脂組成物においては、
(1)前記共重合ポリエステルが、前記セグメント(X)とセグメント(Y)とのブロック共重合体であること、
(2)前記セグメント(X)を構成するポリエステルがポリ乳酸であり、前記セグメントYを構成する易加水分解性ポリエステルがポリグリコール酸であること、
(3)前記難加水分解性生分解性樹脂(A)100重量部当り、エステル分解促進剤(B)として前記共重合ポリエステルを1乃至20重量部の量で含むこと、
(4)さらに、分解促進助剤(C)として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物を、前記難加水分解性生分解性樹脂(A)100重量部当り0.05乃至2重量部の量で含むこと、
(5)前記難加水分解性生分解性樹脂(A)の1乃至10重量%が、重量平均分子量(Mw)が5万以下の範囲にある低分子量ポリ乳酸であること、
が好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の生分解性樹脂組成物においては、エステル分解促進剤(B)として、難加水分解性のポリエステルのセグメント(X)と易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)とを含む共重合ポリエステルが使用されている。かかる共重合ポリエステルは、水分と接触することにより、易加水分解性のポリエステルのセグメント(Y)が加水分解して、エステル分解触媒として作用する酸を放出する。この結果、該組成物中の難加水分解性の生分解性樹脂(A)の分解が促進されることとなる。
【0013】
また、上記の共重合ポリエステルは、難加水分解性のポリエステルのセグメント(X)を有している。このセグメント(X)は、難加水分解性の生分解性樹脂(A)に対する親和性が高く、従って、係るセグメント(X)を含む共重合ポリエステルは、生分解性樹脂(A)中に均一に微細分散することができる。従って、このような共重合ポリエステルをエステル分解促進剤(B)として含む本発明の生分解性樹脂組成物は、優れた生分解性と同時に、優れた透明性を有している。例えば、この樹脂組成物を用いて200μm厚みのフィルムを成形したとき、ヘイズ(曇り度;JIS K6714)が15%以下と極めて小さいフィルムを得ることができる。
【0014】
このように本発明によれば、この生分解性樹脂組成物により成形された成形体は、優れた透明性を有しており、種々の用途に適用することができるばかりか、これを速やかに崩壊でき、ゴミの増大等の環境破壊を回避する上で極めて有利であり、使用済みの成形体を回収して、生分解性樹脂の再利用、再資源化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例及び比較例で使用したエステル分解促進剤について、分解時間とTOC値の関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の生分解性樹脂組成物は、難加水分解性の生分解性樹脂(A)及びエステル分解促進剤(B)を主成分として含み、これに加えて、エステル分解促進助剤(C)等の添加剤が適宜配合され、これらの各成分を押出機等で溶融混練することにより調製される。
【0017】
<生分解性樹脂(A)>
本発明において、用いる生分解性樹脂は、難加水分解性のものであり、例えば、既に述べた様に、所定の方法で測定したTOC(総有機炭素量)が5ppm以下のものであり、水溶性のポリエステルを含まない。このような難加水分解性の生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロースなどを例示することができ、これらは共重合体やブレンド物の形で使用することもできる。本発明において、特に好適に使用されるのはポリ乳酸である。
【0018】
また、ポリ乳酸は、100%ポリ−L−乳酸或いは100%ポリ−D−乳酸の何れであってもよいし、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の溶融ブレンド物でもよく、また、L−乳酸とD−乳酸とのランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
【0019】
さらに、上記の生分解性樹脂(A)は、その生分解性樹脂の特性が損なわれない限り、例えば、TOC値が前述した範囲内に維持される限り、各種の脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが共重合された共重合体の形態で使用することもできる。
【0020】
このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどを例示することができる。
多塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸を例示することができる。
ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸を挙げることができる。
ラクトンとしては、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトン、グリコリド、マンデライドなどを挙げることができる。
【0021】
本発明においては、容器等の包装材の分野で好適に適用されるという観点から、ポリ乳酸を上記生分解性樹脂(A)として最も好適に使用することができる。
【0022】
また、上述した生分解性樹脂(A)は、成形性の観点から、フィルムを形成するに足る分子量を有しているべきであるが、成形性が損なわれない範囲において低分子量成分を含有していることが好ましい。例えば、該生分解性樹脂(A)には1乃至10重量%、好ましくは1乃至5重量%の範囲で、重量平均分子量(Mw)が5万以下、好ましくは500乃至2000の範囲にある低分子量のポリ乳酸を含んでいることが、優れた生分解性を確保する上で好適である。即ち、このような低分子量のポリ乳酸は、後述するエステル分解促進剤(B)によって速やかにモノマー(乳酸)レベルにまで分解され、係るモノマーがエステル分解促進剤として機能するため、より優れた生分解性を得ることができる。
【0023】
上述した生分解性樹脂(A)は、TOC値が5ppm以下と難加水分解性であり、その分解に著しく長期間を要するために、以下に述べるエステル分解促進剤(B)を配合し、その分解速度を向上させる。
【0024】
<エステル分解促進剤(B)>
本発明においては、エステル分解促進剤(B)として、難加水分解性のポリエステルのセグメント(X)と易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)とを含む共重合ポリエステルが使用される。
即ち、この共重合ポリエステルは、易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)を含んでいるため、生分解性樹脂(A)に比して易加水分解性であり、前述した方法で測定したTOC値は5ppmよりも大きな値を示し、好ましくは、10乃至50ppmの範囲にある。従って、この共重合ポリエステルは、エステル分解促進剤(B)として作用し、水分と混合したときにエステル分解の触媒として機能する酸を放出し、この酸によって生分解性樹脂(A)の加水分解が迅速に促進されることとなる。
【0025】
さらに、上記の共重合ポリエステルは、難加水分解性のポリエステルのセグメント(X)を含んでいる。即ち、このセグメント(X)が構成するポリエステルは、前述した難加水分解性の生分解性樹脂(A)と同様、そのTOC値は5ppm以下であり、生分解性樹脂(A)に対して高い親和性を示す。このため、この共重合ポリエステルは難加水分解性の生分解性樹脂(A)中に均一に微細に分散させることができ、従って、優れた透明性を確保することが可能となる。
【0026】
本発明において、上記のような難加水分解性のセグメント(X)を形成するポリエステルは、そのTOC値が5ppm以下である難加水分解性のものであれば特に制限されないが、生分解性樹脂(A)に対する親和性が高いという観点から、脂肪族ポリエステルが好適であり、特に、生分解性樹脂(A)と同種のポリエステル、具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロースがより好ましく、ポリ乳酸が最適である。
【0027】
また、易加水分解性のセグメント(Y)が形成するポリエステルは、そのTOC値が5ppmよりも高く、好ましくは10ppm以上のものであり、特に水と混合したときに、0.005g/ml濃度の水溶液乃至水分散液でのpH(25℃)が4以下、特に3以下を示す酸を容易に放出するポリエステルが好適であり、中でも、生分解性を示すポリエステル、例えばポリグリコール酸やポリオキサレートが最適である。
尚、このポリオキサレートは、酸成分としてシュウ酸が使用されたポリエステルである。
【0028】
本発明において、上記のような難加水分解性のセグメント(X)と易加水分解性のセグメント(Y)とを、その重量比(X/Y)が75/25乃至10/90の範囲となる割合で含有している。即ち、難加水分解性のセグメント(X)の含有割合が上記範囲よりも多い場合には、例えばTCO値が5ppm以下の範囲となってしまい、この共重合ポリエステルのエステル分解促進剤としての機能が損なわれ、生分解性を向上させることが困難となってしまう。一方、易加水分解性セグメント(Y)の含有割合が上記範囲よりも多い場合には、エステル分解促進剤としての機能は十分であるものの、生分解性樹脂(A)に対する分散性が損なわれてしまい、透明性の低下を招いてしまうこととなる。
【0029】
また、上述した共重合ポリエステルの共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合の何れであってもよいが、特にブロック共重合体であることが好ましい。即ち、ブロック共重合体の場合に、セグメント(X)の生分解性樹脂(A)に対する親和性とセグメント(Y)のエステル分解能とが十分に発揮され、生分解性樹脂(A)に対する均一分散性(即ち、透明性)を確保しつつ、生分解性を最大限に向上させることが可能となる。
【0030】
さらに、前述した難加水分解性の生分解性樹脂(A)に対する分散性を確保するという観点から、上記の共重合ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、1000乃至200000の範囲にあることが好適である。
【0031】
尚、本発明で用いる上記の共重合ポリエステルは、前述したTOCが5ppmより高く、生分解性樹脂(A)に対する親和性とエステル分解促進性とが損なわれない限り、上述したセグメント(X)やセグメント(Y)以外のコポリマー成分を含有していてよい。このようなコポリマー成分の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アンドラセンジカルボン酸等のジカルボン酸;グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸、ヒドロキシ安息香酸などのホドロキシカルボン酸;グリコリド、カプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類;などを挙げることができる。
【0032】
上述したエステル分解促進剤(B)として使用される共重合ポリエステルは、その種類によっても異なるが、一般に、前記生分解性樹脂(A)100重量部当たり、0.01乃至30重量部、特に、1乃至10重量部の量で使用することが好ましい。エステル分解促進剤(B)の使用量が少なすぎると、生分解性樹脂(A)の分解を促進させることが困難となるおそれがあり、また必要以上に多量に使用すると、この樹脂組成物の調製段階或いは成形体として使用に供している段階で生分解性樹脂(A)の分解が始まってしまうおそれがあり、更には、均一分散が困難となり透明性が損なわれる傾向がある。
【0033】
尚、上述した共重合ポリエステルは、常法に従い、セグメント(X)やセグメント(Y)のポリエステル形成するための二塩基酸成分、ジオール成分、ラクトン等及び必要により使用される共重合成分の酸やアルコール成分を用いての重縮合により得ることができる。この場合、ブロック共重合体を製造する場合には、セグメント(X)或いはセグメント(Y)のポリエステルを製造した後、セグメント(Y)或いはセグメント(X)を形成する成分を加えて共重合を行えばよい。
ブロック重合体の生成は、示差熱分析によりセグメント(X)に由来する融解ピークとセグメント(Y)に由来する融解ピークとが発現していることによって確認することができる。
【0034】
<その他の添加剤>
本発明の生分解性樹脂組成物においては、上述した生分解性樹脂(A)とエステル分解促進剤(B)(共重合ポリエステル)とを主成分として含み、これに加えて、エステル分解促進助剤(C)等の添加剤を適宜配合することができる。
【0035】
エステル分解促進助剤(C)は、上記の共重合ポリエステル(即ち、エステル分解促進剤(B))の加水分解を促進させるために使用される成分であり、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物や、アルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを放出するゼオライトやイオン放出性フィラー等の無機粒子が代表的である。即ち、このような無機粒子は、成形時および/または水の存在下でエステル分解促進剤(B)の加水分解を促進する。また、かかる無機粒子は、それ自体で前述した生分解性樹脂(A)の加水分解を促進させるという機能も有している。
【0036】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0037】
上記のゼオライトとしては、交換性イオンとしてアルカリ金属やアルカリ土類金属イオンを含む天然或いは合成の各種ゼオライトを使用することができる。
【0038】
また、イオン放出性のフィラーとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含むアルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等の酸化物ガラスや、フッ化ジルコニウムガラス等のフッ化物ガラスを挙げることができる。
【0039】
上記のエステル分解促進助剤(C)は単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0040】
本発明においては、環境に対する影響が少なく、また、生分解性樹脂(A)の特性に悪影響を与えず、しかも、樹脂組成物の熱成形時の無機粒子の分解が生じないという観点から、上記で例示した無機粒子の中でも、カルシウムおよび/またはナトリウムを含有する塩基性化合物、カルシウムイオンおよび/またはナトリウムイオンを放出し得るゼオライト、カルシウムイオンおよび/またはナトリウムイオン放出性フィラーが好ましく、特に、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムが最適である。
【0041】
また、上記の無機粒子は、樹脂組成物中に均一に分散させるという観点から、その平均粒度(レーザ回折散乱法による体積換算での平均粒径D50)が10μm以下、特に、0.01μm乃至5μmの範囲にあるものが好ましい。
【0042】
このような無機粒子は、前記エステル分解促進剤(A)100重量部当り、0.05乃至2重量部、特に0.05乃至1重量部の量で使用することが好ましい。この無機粒子の量が多すぎると樹脂組成物の熱成形性や透明性が損なわれたり、この樹脂組成物から成形された成形体中でエステル分解促進剤(B)や生分解性樹脂(A)の加水分解が促進され、成形体の形態が損なわれる等の不都合を生じるばかりか、生分解性樹脂(A)に対する均一分散性が損なわれ、透明性の低下を招くおそれもある。また、この無機粒子の量が上記範囲よりも少ない場合には、生分解性樹脂の分解速度を速めるには不十分となる。
【0043】
尚、上述した無機粒子の内、炭酸ナトリウムは、エステル分解促進剤(B)や生分解性樹脂(A)に対する加水分解促進機能が最も大きいが、このために、炭酸ナトリウムを単独で使用した場合には、熱成形時に生分解性樹脂(A)の分子量を極度に低下させ、さらには、生分解性樹脂(A)の変色等によりその製品価値が低下してしまうことがある。そこで、炭酸ナトリウムを用いる場合には、その量を生分解性樹脂(A)に対して0.1〜35ppmの範囲とし、さらに、炭酸カルシウムと組み合わせて使用することが好ましく、これにより、成形時にポリグリコール酸の分解を促進しながらも、生分解性樹脂(A)の分子量低下を抑制でき、かつ、得られる生分解性樹脂組成物の酵素分解速度を上げることができる。このように、炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムを併用した場合、そのトータルの配合量が、上述した範囲内とするのがよい。
【0044】
また、上記のようなエステル分解促進助剤(C)以外にも各種の樹脂用添加剤を適宜配合することもでき、例えば、生分解性樹脂の成形性や生分解特性を損なわない量で、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、充填材、離型剤、帯電防止剤、香料、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成材などを配合することができ、さらに、必要により、他の熱可塑性樹脂をブレンドすることも可能である。
【0045】
<生分解性樹脂組成物の調製及び用途>
上述した各種成分を含む本発明の生分解性樹脂組成物は、上述した(A)及び(B)、並びに適宜配合されるエステル分解促進助剤(C)等の各種の添加剤を混合し、各成分が分解しない程度の温度(例えば150℃乃至240℃程度)で押出機中で溶融混練することにより調製することができる。この場合、エステル分解促進剤(B)(即ち、共重合ポリエステル)と生分解性樹脂(A)とを直接混合してもよいし、エステル分解促進剤(B)や他の成分のマスターバッチを作製し、これを生分解性樹脂(A)と混合してもよい。
【0046】
係る樹脂組成物は、それ自体公知の成形法、例えば押出成形、射出成形、圧縮成形などによって種々の形状の成形体として使用に供せられる。
特に本発明の樹脂組成物は、透明性に優れており、例えば200μm厚みのフィルムを成形したとき、そのヘイズは15%以下となり、従って、かかる樹脂組成物は、内容物の視認性が要求される包装材の分野で特に好適に使用される。
【0047】
即ち、包装材の分野では、上記の生分解性樹脂組成物を包装用のフィルム乃至シートとして使用することができ、特にフィルムは、3方シールによる貼り合せなどの製袋によって袋状容器(パウチ)として使用することができる。
また、フィルム乃至シートを真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形などによってカップ状、トレイ状の容器として使用することができる。インジェクション成形や圧縮成形で直接カップ状容器やトレイ状容器を成形してもよい。さらに、射出成形等によって試験管形状のプリフォームとし、このプリフォームを用いてのブロー成形によってボトル形状の容器として使用することもできる。
【0048】
尚、上記のような各種形状の成形体においては、必要により、多層多重ダイを備えた押出機や複数の射出ゲートを備えた共射出機などを用いての成形によって、他の樹脂と積層した多層構造体として使用し得ることも可能である。また、フィルムを多層化する場合には接着剤を用いたドライラミネート法、押出コート法、溶融樹脂でフィルムを積層するサンドイッチラミネート法を用いることも可能である。
【0049】
<分解方法>
本発明の生分解性樹脂組成物を用いて成形された容器等の成形体は、廃棄に際しては、そのまま分解槽に供給してもよいが、これを適宜、裁断、圧潰等によって小片状にした後、分解槽に供給して分解処理することもできる。
【0050】
この分解処理は、水性媒体中で、触媒の存在下で行われる。かかる触媒としては、含水している固体酸触媒、例えば酸性白土やベントナイトなどのスメクタイト系粘土を酸処理して得られる高比表面積の活性白土などを使用することもできるが、酵素を使用することが好適である。即ち、環境に与える影響や廃棄物処理などの観点のみならず、酵素を触媒として用いた場合には、成形体の内部への水分の浸透により成形体内部からエステル分解促進剤(B)の加水分解が進行し、生分解性樹脂(A)の加水分解が促進されると同時に、酵素が成形体(廃棄物)の内部にまで速やかに浸透するため、成形体の内部からも生分解性樹脂(A)の分解が生じ、短時間で成形体が完全に崩壊するまで分解することができるという点で極めて有利である。
【0051】
上記のような酵素としては、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ等が挙げられ、これらの酵素は固定化していても固定化していなくてもよい。例えば和光純薬工業株式会社製のプロテアーゼKなどが水溶液の形で使用される。また微生物を入れ、その菌体外酵素を用いてもよく、その微生物が必要とする培地成分や栄養成分が添加されていてもよい。
【0052】
上記のような分解処理中の溶媒は、酵素反応液のpHの変化を防止するためには、例えば反応液を交換したり、反応液に緩衝液を使用することにより行うことができ、このような緩衝液としてはグリシン−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸−リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液などが挙げられる。また、緩衝液の代わりに固体の中和剤を使用し、溶媒に水を用いてもよく、例えば炭酸カルシウム、キトサン、脱プロトンイオン交換樹脂などが挙げられる。反応液中に適宜酸やアルカリを添加し、中和を行うこともできる。また必要に応じて、エタノールなどの有機溶媒を添加してもよい。
【0053】
即ち、生分解性樹脂組成物の成形体の廃棄物を、分解槽中で酵素水溶液と混合攪拌することにより、分解処理を行うことが好適である。この際、酵素の使用量は、用いる酵素の活性によっても異なるが、一般には、難加水分解性の生分解樹脂100重量部当り0.01乃至10重量部程度の量でよく、分解槽中に充填された酵素水溶液中に成形体廃棄物を投入して攪拌することにより、分解処理が行われる。
尚、前述した固体酸触媒を用いる場合には、固体酸触媒が含水しているため、適宜の有機溶媒中に固体酸触媒を分散しておき、この分散液に成形体廃棄物を投入するのがよい。
【0054】
このような分解処理においては、酵素の失活温度(通常、50℃程度)よりも低い温度で加熱することが好ましい。このような加熱により、ポリグリコール酸(B)の加水分解をより促進することができる。
【0055】
上記のようにして、分解が行われ、成形体が完全に崩壊すると、生分解樹脂は、これを構成するモノマー乃至オリゴマーにまで分解されており、これを取り出し微生物を利用してメタン発酵等のエネルギー変換を行ってもよいし、必要により、蒸留、抽出等の分離操作によりモノマー乃至オリゴマーを回収し、これを生分解性樹脂の合成に再利用することもできる。
【実施例】
【0056】
以下の実施例及び比較例において、ヘイズ、TOC(溶出総有機炭素量測定)及び酵素分解性の測定は以下の方法により行った。
【0057】
ヘイズ測定;
カラーコンピュータ[SM−4:スガ試験器(株)]を用いて、JIS K6714に準拠して測定した。
【0058】
TOC(溶出総有機炭素量)の測定(加水分解性の評価);
日本分析工業(株)製JFC−300の凍結粉砕機を用い、試料のポリマーを凍結粉砕し、粉末化された試料ポリマー100mgを、蒸留水10mlと共に、25mlのバイアル瓶に投入し、45℃、100rpmで振盪し加水分解させた。試験開始からの経時ごとに(一日毎に)サンプル液の上澄みを1ml取り出し、0.45μmのフィルターを通した後、10倍に希釈して、島津製作所製TOC−5000Aを用いて溶出総有機炭素量を測定し、100mg/10mlでの値に換算し、TOC値とし、このTOC値により加水分解量を評価した。
【0059】
酵素分解性試験;
Cryptococcus sp. S−2由来リパーゼ(独立行政法人酒類総合研究所:特開2004−73123)粉末20mgを、50w/w%グリセリンを含む0.05M Tris−HCl緩衝液(pH8.0)1mlに溶解させて、CLE酵素液を調製した。
上記のCLE酵素液12μlを、pH7の60mmol/Lリン酸緩衝液10mlに添加して、酵素分解液とした。
試料の生分解性樹脂組成物を用いて作製された所定厚みのフィルムを、上記酵素分解液10mlと共に、25mlのバイアル瓶内に入れ、45℃、100rpmで6日間振とうさせた。なお、pHの極度な低下を避けるため、6日間を2日ごとに分け、それぞれ分解液を交換して行った。6日後、フィルムを取り出し45℃オーブンで一晩乾燥させ、重量を測定した。
初期のフィルム重量から上記の測定値を差し引くことによりフィルムの酵素分解量を算出した。
【0060】
<共重合ポリエステルの製造>
1.ブロック共重合ポリエステルの製造
マントルヒーター、攪拌装置、窒素導入管を取り付けた300mLのセパラブルフラスコに所定量のL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所社製)、2−エチルヘキサン酸錫(和光純薬株式会社製)を入れ窒素気流下フラスコ内温度を100℃から200℃まで加熱し、30分反応させた。そこに所定量のグリコライド(シグマ・アルドリッチジャパン株式会社製)を加え、さらに30分反応させた。その後、内温200℃、0.1〜0.5mmHgの減圧下で30分攪拌し、未反応モノマー、オリゴマーを留去し取り出した。
上記の様にして共重合ポリエステルを製造するに際して、ラクチドとグリコライドとの仕込み重量比を表1に示す様に種々変更し、4種のブロック共重合ポリエステルB7525、B5050、B2575、B1090を得た。
【0061】
得られた共重合ポリエステルがブロック共重合体であることは、DSC測定により、PLAの融解ピークとPGAの融解ピークとが存在することによって確認した。
また、得られた共重合ポリエステルについての重量平均分子量を東ソー株式会社製のGPCを用いて測定し、その結果を表1に示した。
尚、高分子量のものについては、カラムとしてHFIP−605、溶離液としてHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を使用し、ポリメチルメタクリレートを標準物質として用いて測定した。
また、低分子量のものについては、カラムとしてTSKgel SuperHM−H×2及びガードカラムとしてTSKguard column SuperH−H、溶離液としてクロロホルムを使用し、ポリスチレンを標準物質として用いて測定した。
【0062】
2.ランダム共重合ポリエステルの製造
マントルヒーター、攪拌装置、窒素導入管を取り付けた300mLのセパラブルフラスコに所定量のL−ラクチド、グリコライド、2−エチルヘキサン酸錫を入れ窒素気流下フラスコ内温度を100℃から200℃まで加熱し、1時間反応させた。その後内温200℃、0.1〜0.5mmHgの減圧下で30分攪拌し、未反応モノマー、オリゴマーを留去し取り出した。
上記の様にして共重合ポリエステルを製造するに際して、ラクチドとグリコライドとを50/50の重量比で仕込み、ランダム共重合ポリエステルR5050を得た。
このランダム共重合ポリエステルについて、前記と同様に重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示した。
尚、DSC測定により、融解ピークが単一であることから、ランダム共重合体であると判断した。
【0063】
3.ポリグリコール酸の製造
L−ラクチドを使用しなかった以外は、ランダム共重合ポリエステルを製造する場合と全く同様にして反応を行い、ポリグリコール酸(PGA)を製造した。
このポリグリコール酸について、前記と同様に重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示した。
【0064】
<加水分解性試験>
上記で製造された乳酸とグリコール酸とのブロック共重合体、ランダム共重合体及びポリグリコール酸について前述した方法でTOC値を測定し、加水分解日数とTOC値との関係を図1に示した。また、加水分解日数(45℃での保持時間)が4日後についてのTOC値については、表1にも示した。
【0065】
【表1】

【0066】
上記の結果から共重合ポリエステル中のグリコール酸の配合量が多いほど、加水分解性が高いことが分かった。また、B5050とR5050の結果から同じ配合比でもブロック共重合体の方が加水分解性が高いことが分かった。
【0067】
<実施例1>
ポリ乳酸(PLA)として、natureworks社製4032D(d乳酸1.4%)を用意した。このポリ乳酸の物性は以下のとおりである。
重量平均分子量:16万
TOC値(加水分解日数7日):4ppm
【0068】
先に合成されたブロック共重合ポリエステルB5050を、エステル分解促進剤として使用し、これを上記のポリ乳酸と表2に示す重量比で溶融混練し、生分解性樹脂組成物を調製した。
超小型混練機(株式会社東洋精機製作所製)を用い、得られた樹脂組成物を成形温度220℃及びスクリュー回転速度50rpmにて混練し、ペレットを作製した。該ペレットを220℃で5分間融解後、80〜100Kgf/cmの圧力で加熱加圧(ホットプレス)し、200μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムについて、前述した方法によりヘイズ及び酵素分解量を測定し、その結果を表2に示した。
【0069】
<実施例2、3>
エステル分解促進剤としてランダム共重合ポリエステルR2575、R5050を用いた以外は、実施例1と同様にして生分解性樹脂組成物を調製し、且つ同様にしてフィルムを成形してヘイズ及び酵素分解量を測定した。組成物の調製に用いた各成分の配合量並びにヘイズ及び酵素分解量の測定結果を表2に示した。
【0070】
<実施例4>
分解促進助剤として炭酸カルシウム(白石工業株式会社製 brilliant1500)を用意した。
この炭酸カルシウムを、表2に示す配合量でブロック共重合ポリエステルB5050と共にポリ乳酸に配合し、実施例1と同様にして、生分解性樹脂組成物を調製し、且つ同様にしてフィルムを成形してヘイズ及び酵素分解量を測定した。組成物の調製に用いた各成分の配合量と共に、ヘイズ及び酵素分解量の測定結果を表2に示した。
【0071】
<実施例5>
重量平均分子量が40000の低分子量ポリ乳酸(PLA)を用意した。
この低分子量ポリ乳酸を、表2に示す配合量で、炭酸カルシウム(分解促進助剤)及びブロック共重合ポリエステルB5050と共に、高分子量のポリ乳酸に配合し、実施例4と同様にして、生分解性樹脂組成物を調製し、且つ同様にしてフィルムを成形してヘイズ及び酵素分解量を測定した。組成物の調製に用いた各成分の配合量と共に、ヘイズ及び酵素分解量の測定結果を表2に示した。
【0072】
<比較例1〜3>
エステル分解促進剤として、ブロック共重合ポリエステルに代えてポリグリコール酸、ブロック共重合ポリエステルB7525或いはブロック共重合ポリエステルB1090を用いた以外は、実施例1と全く同様にして生分解性樹脂組成物を調製し、且つ同様にしてフィルムを成形してヘイズ及び酵素分解量を測定した。組成物の調製に用いた各成分の配合量と共に、ヘイズ及び酵素分解量の測定結果を表2に示した。
【0073】
<比較例4>
エステル分解促進剤としてポリグリコール酸を用い、表2に示す配合量で、炭酸カルシウム(分解促進助剤)と共に、高分子量のポリ乳酸に配合し、実施例1と同様にして、生分解性樹脂組成物を調製し、且つ同様にしてフィルムを成形してヘイズ及び酵素分解量を測定した。組成物の調製に用いた各成分の配合量と共に、ヘイズ及び酵素分解量の測定結果を表2に示した。
【0074】
<比較例5>
エステル分解促進剤を全く使用せずに、ポリ乳酸のみで実施例1と同様にしてフィルムを作成してヘイズ及び酵素分解量を測定した。その結果を表2に示した。
【0075】
<比較例6>
実施例1で用いたポリ乳酸に、表2に示す配合量で、実施例5で用いた低分子量のポリ乳酸を加えてフィルムを作成し、実施例1と同様にしてヘイズ及び酵素分解量を測定した。その結果を表2に示した。
【0076】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
難加水分解性の生分解性樹脂(A)とエステル分解促進剤(B)とを含む生分解性樹脂組成物において、該エステル分解促進剤(B)として、難加水分解性ポリエステルのセグメント(X)と易加水分解性ポリエステルのセグメント(Y)とを、X/Y=75/25乃至10/90の重量比で含む共重合ポリエステルが配合されていることを特徴とする生分解性樹脂組成物。
【請求項2】
前記共重合ポリエステルが、前記セグメント(X)とセグメント(Y)とのブロック共重合体である請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項3】
前記セグメント(X)を構成するポリエステルがポリ乳酸であり、前記セグメント(Y)を構成する易加水分解性ポリエステルがポリグリコール酸である請求項1または2に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項4】
前記難加水分解性生分解性樹脂(A)100重量部当り、エステル分解促進剤(B)として前記共重合ポリエステルを1乃至10重量部の量で含む請求項1乃至3の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、分解促進助剤(C)として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む塩基性化合物を、前記難加水分解性生分解性樹脂(A)100重量部当り0.05乃至2重量部の量で含む請求項1乃至4の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項6】
前記難加水分解性生分解性樹脂(A)の1乃至10重量%が、重量平均分子量(Mw)が5万以下の範囲にある低分子量ポリ乳酸である請求項1乃至5の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−149176(P2012−149176A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9118(P2011−9118)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】