説明

生分解性直鎖ランダムコポリエステルおよびその製造法と用途

【課題】高分子量でかつ分子量分布の狭い生分解性コポリエステルの提供およびRE化合物触媒成分の存在下にポリエステルを製造する方法の提供。
【解決手段】1)以下のモノマーとTi、SbおよびZnの化合物およびその混合物からなる群より選択された触媒成分Cat1を反応器に加えて、エステル交換および/またはエステル化を実施する。:(a)芳香族ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;(b)脂肪族ジオール、脂環式ジオールまたはその混合物;および(c)脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;2)工程1)で得られる反応系を真空下でプレポリマー化する。;3)REの化合物およびその混合物から選択された触媒成分Cat2を工程2)で得られるプレポリマー化産物に加えて、減圧下に重縮合を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性直鎖ランダム脂肪族/芳香族コポリエステル、特に、高分子量でかつ分子量分布の狭い生分解性脂肪族/芳香族コポリエステルおよびその製造法とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工学材料としてのテレフタル酸ポリエチレン(PET)、テレフタル酸ポリブチレン(PBT)、テレフタル酸ポリプロピレン(PPT)などの芳香族ポリエステルは、様々な材料、例えば、繊維、飲料用ボトル、フィルムなどに加工するなど、人の日常生活において様々な分野で広く利用されている。しかし、これらのポリマーは自然界で実質的に分解されることがなく、細菌や真菌の攻撃に強く抵抗する。これまで、純粋な芳香族ポリエステル(PET、PBT)を侵食することのできる細菌または酵素は見つかっていない。これらのポリエステルは水中で分解するのが困難である。PETの耐用年数は16〜48年であり、PET繊維は人/動物の体内に30年間は存在し得る。従って、これらポリマーから生じる“白色汚染”は人が直面する致命的災禍の一つとなっており、生分解性材料を開発することが緊急である。脂肪族ポリエステルは優れた生物適合性と生分解性を有し、ポリマーとその分解産物が非毒性であることなどの理由で、ますます注目を集めている。それらは生物医学材料(骨格固定支持材料、薬物制御放出材料、神経導子および人口血管、縫合線など)および環境にやさしい材料(ごみ袋、ショッピングバッグ、食品包装、食器類、農業用被覆フィルム、家庭用ビンおよびジャー、釣り用具など)に応用されている。しかし、工学材料としての芳香族ポリエステルと比較して、脂肪族ポリエステル材料としての使用は、その低融点、脆弱な力学的性質および高価格などの欠点のために制限されている。それ故、芳香族ポリエステルの優れた使用性と加工性とが脂肪族ポリエステルの優れた生分解性と組み合わさった脂肪族−芳香族コポリエステルを開発することが、分解性材料に関してのホットスポットである。
【0003】
近年、主としてBASF社のエコフレックス(Ecoflex)(ドイツ);イーストマン社のイースターバイオ(Easter Bio)(アメリカ);ショウワ社のバイオネル(Bionelle)(アメリカ)(その樹脂は昭和ハイポリマー社(日本)およびSKケミカルズ社(韓国)が提供);SKケミカルズのスカイグリーンBDP;デュポン社のバイオマックスなどの脂肪族/芳香族コポリエステルが国外で販売されている。
【0004】
これらのコポリエステルは重縮合を経て調製されるが、その際に蒸留フラクションが出てくるために、高分子量の産物を調製することが困難であり、一般に分子量10,000程度の産物のみを調製し得る。低分子量であるため、生産物の力学的性質は、現在広く使用されている非分解性材料の基準に合致し難い。従って、適格の力学的性質および加工性を有する高分子量コポリエステル産物を調製することが、より重要になる。米国特許第5,817,721、5,889,135、6,018,004、6,046,248および6,114,042号において、BASF社は、鎖延長剤としてポリエステルと反応性の多機能(少なくとも3つの機能)基を有する無水物、エーテルまたはイソシアン酸エステルの付加が、得られるコポリエステルの重量平均分子量(10万まで可能)を顕著に増加させ得るとしているが、数平均分子量は重量平均分子量程には増加せず、また生成物の分子量分布が実質的に広いものとなる(3.5〜8)。得られる生成物は長鎖分枝構造をもち、それがさらなる加工処理に抵抗する。さらに、添加された鎖延長剤はポリマーの長鎖に直接結合し、それがポリマーの構造を複雑で不純なものとする;それを除去することは難しい。
【0005】
テレフタル酸ポリエチレン(PET)、テレフタル酸ポリブチレン(PBT)およびテレフタル酸ポリプロピレン(PPT)などの重縮合により調製されるポリエステルの調製は、以下の2工程で行う:テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体と脂肪族ジオールとのエステル化またはエステル交換(その場合のエステル化は高圧下で実施し、エステル交換は大気圧下で実施する);およびエステル化またはエステル交換産物の真空重縮合。この2工程は一般に別々に実施するので、2つの重縮合用オートクレーブが必要である。
【0006】
重縮合によるポリエステルの調製に使用される触媒系は多様であり、その殆どが、ハロゲン元素と不活性元素を除く元素周期表のすべての亜群AおよびB元素に関係する。最良の触媒効果を有するものは、以下の3種類に一般化し得る:Ti系、Sb系およびGe系。触媒としてのTi系元素は高い触媒活性を有するが、得られるポリエステル産物は安定性に乏しく、黄色に着色している。Sb系元素を触媒として使用する場合、重縮合反応は一様に進行する。現在、80%のポリエステル製品が自国でも国外でもSb系触媒を用いて調製されている。しかし、Sb元素はその毒性のため環境保護に好ましくないので、それによって調製されたポリエステル製品の利用分野が限定される。Ge系の触媒は最良の幅広い作用を有するポリエステル触媒の1種ではあるが、その高価格のために広く用いることができない。
【0007】
米国特許第5,817,721号において、BASF社は芳香族ジカルボン酸またはエステル形成誘導体、脂肪族ジオール、および脂肪族ジカルボン酸またはエステル形成誘導体をバッチ様式により混合し、その混合物をエステル化、エステル交換および重縮合触媒としてのSn化合物、Ti化合物などの存在下に反応させることにより得られる生分解性ポリエステルを開示している。
【0008】
米国特許6,018,004、米国特許6,046,248および米国特許6,114,042に開示されているように、BASF社のポリエステルの調製法は、殆どの場合、2つの重縮合オートクレーブ中にて2工程で実施される。先ず、アジピン酸を、触媒としてのジオクト酸スズの存在下で1,4−ブタンジオール(BDO)でエステル化する。次いで、得られるエステル化産物、テレフタル酸ジメチル(DMT)、BDO、およびオルトチタン酸テトラブチル(TBOT)をもう一つの反応器に同時に加え、DMTとBDO間のエステル交換を終了した後、系を真空下で重縮合に付す。得られるポリエステル産物の分子量は高くなく、数平均分子量(Mn)は約1×10であり、重量平均分子量は約3×10である。ポリエステルと反応する多(少なくとも3の)官能基を有する無水物、エーテルまたはイソシアネートを、上記の第二工程に鎖延長剤として加えると、得られるコポリエステルの重量平均分子量が明らかに上昇するが、数平均分子量は重量平均分子量程には増大せず、産物の分子量分布は実質的により広くなる(3.5〜8)。
【0009】
現在、重縮合によるポリエステルの調製は、一般に3つの反応段階、すなわち、エステル化、エステル交換および重縮合を含む。一般に、モノマーとエステル化または重縮合触媒を同時に重合用オートクレーブに加える;エステル化またはエステル交換の終了後(これは蒸留フラクションにより判断する)、エステル化またはエステル交換産物および重縮合触媒を別の重縮合オートクレーブに同時に加え、真空下で重縮合する。
【0010】
重縮合によるポリエステルの調製は、比較的熟慮された方法ルートである。現在、Ti、Znなどの化合物、およびPb、Sn、SbおよびCdなどの重金属化合物が、エステル化、エステル交換および重縮合の段階で触媒としてもっともよく使用される。前者の化合物は重大な副反応を生じやすく、得られるポリエステル産物は安定性が劣り、黄色に着色する;また、後者の化合物は幾分毒性であり、従って得られるポリエステル産物の使用分野は限られたものになる。酸化ゲルマニウム触媒系は比較的良好な作用を有するが、高価格のために幅広く使用することが難しい。従って、効果が良好で低価格の新しい触媒系を開発することが、ポリエステル工業における研究のホットスポットである。
【0011】
近年、触媒として希土類(RE)化合物を使用することについて、自国でも外国でも専門家が広く関心を寄せている。La系金属触媒を使用するポリエステルの調製に関して、多くの関連技法ある;例えば、CN1,112,573A、EP0,626,425およびCN1,446,837A。特許出願番号CN1,112,573Aでは、エニケム社(Enichemu Co.)(イタリア)がLa系金属化合物、その金属塩、金属複合塩または塩含有複合体を触媒として使用し、溶融状態での分解に強く抵抗する熱可塑性芳香族ポリエステルを得ることについて開示している。欧州特許出願EP0,626,425では、La系金属複合塩を触媒として使用し、熱可塑性アリールポリカーボネート/アリールポリエステル成分を製造している;得られる熱可塑性成分は、力学的、熱および電気的性能が改善され、また比較的安定性が高い。中国特許出願CN1,446,837Aでは、ポリエステル調製用のLa系金属触媒が開示されており、当該触媒は成分R1およびR2を含む;ただし、R1はLa系金属ハロゲン化物および/またはLa系金属複合体であり、R2はLa系金属水酸化物である;両者の混合物はエステル交換の迅速かつ安定な実施を可能とする。
【0012】
我々の国はRE元素に富み、世界の埋蔵量の約80%に及ぶと推測される。RE化合物のポリエステル触媒としての使用が重合率を上昇させ得ることは周知であるが、具体的な方法と触媒のアポレガミイ(apolegamy)はなおさらに研究されるべきである。ポリエステル調製の技法においては、操作方法が複雑であること、重合産物の分子量分布が比較的広いことなどの多くの欠点がなお存在する。従って、新規のRE触媒系を使用し、本ポリエステル調製工程を単純化して副反応の発生を低下させ得るポリエステルの製造法を提供することが望ましい。
【0013】
現在、先行技術において、重縮合による生分解性脂肪族/芳香族コポリエステルの調製に使用される重合触媒系は、すべてチタニウムアルコキシド、アルキルスズ、酸化ゲルマニウムなど、例えば、オルトチタン酸テトラブチル、チタニウムイソプロポキシドなどであり、薬学雑誌、1999、48(9)、p911−915;欧州特許EP1,106,640A2、およびドイツ特許DE19,923,053A1に記載されている;また、n−ブチルスズは韓国特許KR9,709,332B1に、ゲルマニウム化合物は日本特許第2,004,018,674A2号に開示されている;等々である。上記のように、ポリエステルに共通に使用される触媒系は、生成物に黄色の着色と重大な副反応を生じるなど、ポリエステルの調製に際し現れる様々な欠陥をもつ。
【0014】
要約すると、ポリエステル用の既存の触媒は多くの欠点、例えば、低重合率、重大な副反応、毒性、産物の黄着色等々の多くの欠点を有する。これらとは別に、生分解性コポリエステルの調製技法には、さらに複雑な操作方法および重合産物の分子量分布が比較的広いなどの欠点が存在する。
【0015】
本発明の目的は、高分子量でかつ分子量分布の狭い生分解性コポリエステルを得ることにある。
本発明のもう一つの目的は、RE化合物触媒成分の存在下にポリエステルを製造する方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0016】
本明細書にて使用する用語“生分解性”とは、微生物の作用のもとで、有機化合物が二酸化炭素(CO)と水(HO)ならびにそこに含まれるミネラル化無機塩および新しいバイオマスに分解されることを意味する。
【0017】
本明細書に記載の生分解性脂肪族/芳香族コポリエステルは、以下の構造単位を含んでなるランダム直鎖脂肪族/芳香族コポリエステルである:
【0018】
【化2】

【0019】
ただし、式中、mは2ないし10の整数であり、nは0ないし8の整数であり、pは2ないし10の整数であって、m、nおよびpは同一または異なっており、xは1ないし10の整数であり、yは1ないし10の整数である。好ましくは、mは2ないし4の整数であり、nは2ないし4の整数であり、pは2ないし4の整数であり、xは1ないし3の整数であり、yは1ないし2の整数である。GPCにより測定した場合、その重量平均分子量Mwは100,000〜600,000g/モル、好ましくは100,000〜300,000g/モルである;また、分子量分布は1.2〜3、好ましくは1.5〜2.5である。
【0020】
本明細書に記載の脂肪族/芳香族コポリエステルは、好ましくは20ないし185℃の融解温度範囲および、好ましくは−55ないし−7℃のガラス温度を有する。
本明細書に記載の生分解性コポリエステルは、異形剤、フィルム、繊維またはコーティング調製のために使用し得る。本発明において高分子量の生分解性コポリエステルは、触媒としてのRE化合物を加え、同時に鎖延長剤不存在下にモノマー/触媒の添加比および関連するプロセスパラメータを調整することにより製造し得る。得られる生成物は分子量分布が3未満であり、鎖状構造である。統計的にランダムのコポリマーを調製し得るように、該コポリマーの成分構造は添加比調整により厳密に制御し得る。
【0021】
本発明はさらに以下の工程からなるポリエステルの製造法であって:
1)以下のモノマーと任意の触媒成分Cat1を反応器に加えて、エステル交換および/またはエステル化を実施する工程:(a)芳香族ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;(b)脂肪族ジオール、脂環式ジオールまたはその混合物;および(c)脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;ただし、モノマー(a)/モノマー(c)のモル比は0:100〜100:0である;
2)工程1)で得られる反応系を真空下でプレポリマー化する工程;および
3)触媒成分Cat2を工程2)で得られるプレポリマー化産物に加えて、真空下で重縮合を実施し、それによって所望のポリエステルを得る工程;
ただし、触媒成分Cat1はTi、SbおよびZnの化合物およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
触媒成分Cat2はRE金属Lnの化合物およびその混合物からなる群より選択されるものであり、当該RE金属LnはLn系元素、ScとYおよびその組み合わせからなる群より選択されるものである;
ことを特徴とする方法に関する。
【0022】
脂肪族/芳香族コポリエステルを調製する場合、工程1)における芳香族モノマー(a)は先ずジオールモノマー(b)と反応させ、次いで脂肪族モノマー(c)を加える;または脂肪族モノマー(c)を先ずジオールモノマー(b)と反応させ、次いで芳香族モノマー(a)を加える。好ましくは、工程(1)における触媒成分Cat1およびモノマー(a)と(b)を反応器に加えて先ず反応させ、次いで付加すべきモノマー(c)と反応させる。エステル交換とエステル化を十分に進行させるには、後者がより好適である。
【0023】
本明細書に記載の一態様においては、モノマー(a)および(b)をCat1と共に反応器に加え、好ましくは150〜230℃の温度でエステル化またはエステル交換に付す。収集した蒸留フラクションが理論量の90%以上に達したところで、その系にモノマー(c)を加え、その後、好ましくは160〜250℃の温度で第二工程のエステル化またはエステル交換を実施する。次いで、収集した蒸留フラクションが再び理論量の90%以上に達したときに、系を次工程のプレポリマー化に移す。
【0024】
上記2工程のエステル化またはエステル交換は、大気圧下、真空下または超大気圧下に、好ましくは大気圧下に実施し得る。
好ましくは、工程2)のプレポリマー化は、190〜250℃の温度、200〜600Paの減圧、好ましくは200〜300Paで、1〜3時間、好ましくは1〜2時間実施する;または、工程3)は、工程2)の反応系における小分子(未反応のモノマーを含む)をほぼ完全に吸引した後に開始し、フラクション温度を一定に維持する。工程3)では、触媒成分Cat2を反応系に加える。
【0025】
工程3)における重縮合は好ましくは200〜300℃の温度、より好ましくは220〜280℃で、好ましくは≦300Pa、より好ましくは≦200Paの減圧下、好ましくは3〜8時間実施する。
本反応に関わる圧力はすべてゲージ圧である。
本明細書に記載のポリエステル製造法には単一のオートクレーブを適用し得る;すなわち、工程1)、2)および3)は同一のオートクレーブで実施する。
【0026】
本明細書に記載の方法の好適な一態様において、モノマー(a)/モノマー(c)のモル比は0:100〜65:35、好ましくは35:65〜60:40である;モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比は1:(1.0−3.0)、好ましくは1:(1.0−2.0)、より好ましくは1:(1.1−1.5)、さらにより好ましくは1:(1.2−1.4)である;そして触媒系/モノマー(a)+(c)のモル比は1:(500−10,000)、好ましくは1:(1,000−3,000)である。
【0027】
本明細書に記載の方法の好適な一態様において、該モノマー(a)は、p−フェニレンジカルボン酸、そのエステルまたはその無水物からなる群より選択され、好ましくはテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルである;モノマー(b)はC−C脂肪族ジオール、C−C10脂環式ジオールおよびその混合物からなる群より選択され、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールまたはエチレングリコールである;またモノマー(c)はC−C10脂肪族ジカルボン酸、C−C10脂環式ジカルボン酸、そのエステル、その無水物およびその混合物からなる群より選択され、好ましくはアジピン酸、セバシン酸またはコハク酸である。
【0028】
本明細書に記載の方法の好適な一態様において、該モノマー(a)は、テレフタル酸、そのエステル、その無水物またはその混合物からなる群より選択される;モノマー(b)はC−C脂肪族ジオール、C−C10脂環式ジオールまたはその混合物からなる群より選択される;また、モノマー(c)はアジピン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物からなる群より選択される。ここでのモノマー(a)/モノマー(c)のモル比は(5−75):(25−95)であり、モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比は1:1〜1:2である。好ましくは、ここでのモノマー(a)/(c)のモル比は(25−65):(35−75)であり、モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比は1:1.2〜1:1.5である。
【0029】
本明細書に記載の方法の好適な一態様において、触媒成分Cat1は、M(OR’)x、MOx、M(R’COO)xおよびその混合物からなる群より選択され、好ましくはTi(OR’)x、酢酸アンチモン、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化チタン、その混合物からなる群より選択され、より好ましくはオルトチタン酸テトラブチル、iチタニウムイソプロポキシド、二酸化チタン、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酢酸亜鉛およびその混合物からなる群より選択される;また、触媒成分Cat2は、RE金属無機ハロゲン化物LnX、カルボン酸塩Ln(RCOO)、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、アセチルアセトネートLn(a)、その水和物およびその混合物からなる群より選択され、より好ましくはRE金属無機ハロゲン化物LnX、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、サマリウムアセチルアセトネートSm(a)を除くアセチルアセトネートLn(a)、およびその混合物からなる群より選択される。
【0030】
好ましくは、Cat2/Cat1のモル比は5:95〜100:0、より好ましくは1:3〜3:1、さらにより好ましくは2:3〜3:2である。
この場合のRE金属Lnは、好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Td、Yb、Dy、Sm、Scおよびその組み合わせからなる群より選択され、より好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Scおよびその組み合わせからなる群より選択される。
Xはハロゲンイオン、好ましくは塩素イオンまたは臭素イオンであり、aはアセチルアセトン基である。
【0031】
およびR’はC−Cアルキルから選択され、R、R’は同一であるかまたは異なる。
およびR’はC−Cアルキルから選択され、R、R’は同一であるかまたは異なる;好ましくは、Rはイソプロピル、n−ブチルまたはイソペンチルである。
ArはC−Cアルキル置換フェニル、好ましくは、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニルまたは4−ブチルフェニルである。
Mは金属Ti、SbまたはZnであり、xは2、3または4である。
【0032】
本明細書に記載の方法の好適な一態様において、触媒成分Cat1は、オルトチタン酸テトラブチル、チタニウムイソプロポキシド、二酸化チタン、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酢酸亜鉛およびその混合物からなる群より選択される;また、触媒成分Cat2は、RE無機ハロゲン化物LnX、カルボン酸塩Ln(RCOO)、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、およびその混合物からなる群より選択される;また、Cat2/Cat1のモル比は2:3〜3:2である。
その場合のRE金属Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Scおよびその組み合わせからなる群より選択され、Xは塩素イオンまたは臭素イオンである。
はエチルまたはプロピルであり、Rはイソプロピル、n−ブチルまたはイソペンチルである。
Arは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニルまたは4−ブチルフェニルである。
【0033】
ここで使用する触媒は非毒性または低毒性RE化合物の単一成分触媒系であるか、またはRE化合物と他の金属化合物の多重成分複合触媒系であり、この系は生分解性脂肪族/芳香族ホモ−およびコ−ポリエステルの調製に好適に使用される。従って、該触媒系は単一成分Cat2であるか、またはCat2およびCat1の多重成分複合系である。
【0034】
本明細書記載の触媒系における触媒成分Cat2としてのRE化合物は、先行技術に開示されているRE化合物の合成法または処置法、例えば、以下の実施例で言及するように、文献(J. Inorg. Nucl. Chem. 1962, 34, p387; Polymer 2001, 42, p7511; Inorganic Chemistry 1970, 9, p2505: and J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1983, p1499)に開示された方法により調製し得る。
【0035】
本明細書記載の触媒系における触媒成分Cat1としてのTi、SbおよびZnの化合物は、以下の実施例で言及するように、市販製品でもよい。
特に断りのない限り、本明細書で使用するパーセントおよび比率はすべて重量に基づくものである。
引用した刊行物はすべてその全文をすべての目的のために参照により本明細書の一部とする。
【0036】
本明細書に記載の生分解性コポリエステルは以下の特徴を有する:
1)鎖延長剤および安定剤などの添加物なしに調製するため、コポリエステル製品が純粋である;
2)コポリエステル製品の数平均および重量平均分子量両方が明らかに増加し、分子量分布が3未満である;
3)コポリエステル製品の組成比は、モノマーの添加比を調整することにより厳密に制御可能であり、ポリマーの成分比は実質的にモノマーの添加比に等しい。
4)該コポリエステル製品は長鎖ランダム直鎖構造であり、その構造は分解に好都合で、2つのホモポリマーのすぐれた性質の組み合わさったものである。
5)該コポリエステル製品は、LDPE製品の力学的性質に匹敵するかまたはそれを超える性質、比較的広範な使用温度範囲(米国特許第5,889,135号(BASF社)に開示されたものと同じ成分を有する製品よりも良好な性能)、およびすぐれた加工処理性を有する。
【0037】
本明細書に記載のコポリエステルの製造法は以下の特徴を有する:
1)操作方法が単一のオートクレーブ操作によるもので簡単であり、副反応が低減され、かつポリエステル製品の着色が明らかに改善されている;
2)本発明で使用される触媒系は、高効率、非毒性または低毒性の触媒系であり、単一成分チタン化合物触媒系と比較して、重合率が明らかに上昇し、重縮合時間が10時間から3〜8時間に短縮される;ポリエステル製品の重量平均分子量の増加と同時に、数平均分子量も増加するが、その分子量分布は拡大しない;一方、反応経過は定常状態であり、制御するのが容易である;
【0038】
3)重合製品の分子量は如何なる鎖延長剤も存在しないことで明らかに増大し得る;従って、ポリエステル製品は純粋であり、鎖延長剤および安定剤などの添加物を含まない;また、
4)本明細書に記載の方法は、脂肪族/芳香族モル比が35−100:65−0のポリエステルの調製に特に適しており、それによって得られるポリエステル製品は、8ヶ月以内に完全に生分解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の実施例で使用された原料物質は以下のとおりである:
DMT:テレフタル酸ジメチル、CP等級、北京シンジン・ケミカル・プラント、中国
ADP:アジピン酸、AP等級、上海ケミカル・リージェント社、中国メディカルグループ
BD:ブタンジオール、AP等級、北京イリ・ファイン・ケミカルズ(株)、中国
SCN:コハク酸、AP等級、サニイ・ケミカルズ(株)、深川市、中国
酢酸:50%、北京ケミカル・リージェント社、中国
ステアリン酸:AP等級、北京ケミカル・リージェント社、中国
オルトチタン酸テトラブチル:CP等級、北京ケミカル・リージェント社、中国
酢酸亜鉛:AP等級、北京ケミカル・リージェント社、中国
RE酸化物:99.5%純度、北京シンホワ・リージェント・ファクトリー、中国
RE塩化物水和物:CP等級、北京シンホワ・リージェント・ファクトリー、中国
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール:CP等級、上海ケミカル・リージェント社、中国メディカルグループ
イソプロパノール:AP等級、北京シンジン・ケミカル・プラント、中国
ナトリウム:北京ジンロン・ケミカル・リージェント(株)、中国
【0040】
本発明実施例中の関連データの測定方法は以下のとおりである。
ポリマーの組成成分は、ブルーカー・アバンス(Bruker Avance)DMX500モデル超伝導NMRスペクトロメーター(H−NMR:500MHz)による核磁気共鳴(NMR)により、CDClを溶媒とし、TMSを内部基準として25℃で測定する。
ポリマーの分子量と分子量分布は、ウォーターズ−208装置(ウォーターズ2410RI検出計、流速1.5ml/分、温度30℃)を用い、THFを溶媒としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、分子量はスチレン標準サンプルにより校正する。
【0041】
粘度数(VN)は試験基準GB/T17932−1999に従って、重量比50/50のo−ジクロロベンゼン/フェノールの0.005g/mlポリマー溶液中、25℃で測定する。
黄色指標はGB2409−1989に記載の方法に従い、TC−PIIG全自動比色計により測定する。
ポリマーのガラス温度(Tg)および融解温度(Tm)は、パーキンエルマー・ピリス(Pyris)1分析計を用い、示差走査熱量測定法(DSC)により測定する;各サンプルは−100℃から250℃に加熱し、20℃/分の加熱速度で二回加熱と走査を行う。
【0042】
ポリマーの引っ張り特性はASTM D638−03に記載の方法に従って測定する。
ポリエステルの生分解性の特性は堆肥包埋法により試験する。ポリエステルサンプルを熱圧延して薄膜(10〜20μm)を形成し、それを次いで2cm×2cmのサンプル片に切断し、得られたサンプル片を堆肥土壌を容れた培養皿に包埋し、次いでその培養皿を一定の温度と湿度のインキュベーターに入れる。湿度を約50%に保持し、温度は58±2℃に保持する。サンプル片の重量損失を定期的に測定する。
【実施例】
【0043】
以下の実施例によりさらに本発明の好適な態様について説明する。実施例はすべて単なる説明であって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。特に断りのない限り、触媒またはポリエステルの調製に関わる各工程は、すべて大気圧下または外気温度で実施する。
【0044】
実施例A1−6
RE触媒成分Cat2の調製
実施例A1
無水塩化ランタン(LaCl)の調製(参照:J. Inorg. Nucl. Chem., 1962, 34, 387)
10gのLaを過剰量のHClで溶解した。得られる溶液を加熱(温度≧100℃)して濃縮し、それにNHCl(NHCl/Laのモル比は3/1であった)を計量して加えた。過剰の酸を注意深く加熱(温度≧100℃)しながら蒸発させ、それによってLaCl・nHO+NHClを得た。固形物を粉砕し、石英昇華管に加え、次いでその管を5mmHg未満の圧力となるまでの減圧とした。その管を管状炉に入れ、400℃までゆっくりと加熱し、減圧状態に1時間保持した。昇華管を真空下で室温に冷却し、アルゴンを昇華管に満たし、昇華管を取り出し、アルゴン保護下に昇華管中の固形物を直ぐに使用できる別の密閉管に移した。
【0045】
実施例A2
ランタン・アセチルアセトネートLa(a)の調製(参照:Polymer, 2001, 42, 7511-7516)
250ml容量の三頚フラスコにて、LaCl・7HO(3.47g、9.37mmol)を50mlの水で溶かし、溶液s1を得た;当該溶液s1を50mlのアセチルアセトン(5.63g、56.2mmol)の水溶液s2に滴下した。この混合溶液を室温で攪拌し、そこに2N−KOHを加えて溶液のpHを7とした。La(a)の沈殿を含む反応混合物を攪拌し、濾過した。次いで、60℃で減圧乾燥して4gのLa(a)を得た。
【0046】
実施例A3
REイソプロポキシドの調製(参照:Inorg. Chem., 1970, 9(1), 2505-2510)
250ml容量の三頚フラスコにて、無水RE塩化物0.02molを80molのイソプロパノールに加熱還流下溶解した。得られる溶液を室温に冷却し、これにナトリウムイソプロポキシドの溶液(ナトリウム1.349gを20mlのイソプロパノールと65mlのベンゼンとの混合物に溶解して得た)を急速に攪拌しながら滴下した。滴下終了後、溶液を4時間加熱還流し、次いで冷却して一夜放置した。得られる溶液をG4サンド−コア・フィルターバルブで濾過し、得られた濾液を蒸留して溶媒を除去し、減圧乾燥して約15gのREイソプロポキシド粉末を得た。
【0047】
実施例A4
REトリ(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノレート)の調製(参照:Inorg. Chim. Acta, 1987, 139, 183-184)
無水LnCl 0.5〜0.8gを正確に秤量し、アルゴン保護下に重合用アンプルに容れた。LnClのモル重量に従い、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールの必要量を1:3のモル比に基づいて計算した。
【0048】
正確な量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールをアルゴン保護下に枝管付きフラスコ(枝管からアルゴンを導入)に加え、これにTHF溶媒30mlを攪拌下注入して溶液を得た。過剰のナトリウムを加えた後、この溶液を室温で2〜3時間、ナトリウムの表面に泡が生じなくなるまで反応させた。反応が終了したかどうかを判断するために、少量のナトリウムを加え続け、それによって2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのナトリウム塩のTHF溶液を得た。
【0049】
秤量した無水LnCl を50ml容量の一頚反応ビンに移し、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールのナトリウム塩のTHF溶液を加え、アルゴンを完全に充満させた。この系をマグネット攪拌機で攪拌しながら、80〜90℃の油浴上、2〜3日間反応させた。得られた反応物を遠心濾過し、濾液を減圧蒸留して溶媒を除去した。次いで、真空下で1時間乾燥して、所望のREトリ(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノレート)触媒を得た。
【0050】
実施例A5
REステアリン酸塩の調製
計算量のLnをビーカーで秤量し、これに適量の蒸留水、次いで過剰量のHClを加え、その系を加熱溶解して澄明な溶液s3を得た。過剰のステアリン酸を別のビーカーで秤量し、これに適量の無水エタノールを加えて、熱時澄明な溶液s4を得た。溶液s4およびs3を順次100mlの丸底フラスコに加え、これに10mgの相転移触媒臭化テトラブチルアンモニウムを加え、マグネット攪拌機で攪拌した。窒素気流保護下に縮合管をフラスコ上部に接続した。この系をマグネット攪拌機で攪拌しながら、油浴上100℃未満で約5時間加熱した。下部の澄明な液を分液漏斗で分離し、さらに蒸発乾固した。
【0051】
実施例A6
RE酢酸塩の調製(参照:J. Inorg. Nucl. Chem., 1962, 24, 637-639)
RE酸化物10gを50%酢酸溶液500mlに溶かした。溶媒の大部分を75℃で蒸留して除去した後、得られたRE塩を真空下で75〜150℃(異なるREにより変化)に加熱し、次いで一定重量となるまで乾燥し、対応するRE酢酸塩を得た。
【0052】
比較例A1
単一成分Ti触媒によるポリエステルの調製
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル136g(0.7mol)、ブタンジオール126g(1.4mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.20g(0.59mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、10時間、重縮合させた。得られる生成物は黄色に着色し、粘度数(VN)は67ml/gであった。
【0053】
比較例A2
単一成分Ti触媒によるコポリエステルの調製
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.17g(0.5mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸58.5g(0.4mol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した。水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、10時間、重縮合させた。得られる生成物は黄色で、数平均分子量Mnが2.68×10、重量平均分子量Mwが5.29×10であり、分子量分布が1.97であった(GPCにて測定)。
【0054】
比較例A3
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)およびランタン・アセチルアセトネート0.073g(0.17mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸58.5g(0.4mol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した。水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、7時間、重縮合させた。得られる生成物は淡黄色で、数平均分子量Mnが3.08×10、重量平均分子量Mwが6.21×10、分子量分布が2.02であった(GPCにて測定)。
【0055】
比較例A4
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸58.5g(0.4mol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系にランタン・アセチルアセトネート0.073g(0.17mmol)を加えた。その後、この系を減圧加熱し、次いで、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、7時間、重縮合させた。得られる生成物は白色で、数平均分子量Mnが3.84×10、重量平均分子量Mwが8.88×10、分子量分布が2.31であった(GPCにて測定)。
【0056】
実施例A7
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル136g(0.7mol)、ブタンジオール126g(1.4mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.10g(0.29mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、この系にランタン・アセチルアセトネート0.073g(0.17mmol)を加え、次いでこの系を、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、5時間、重縮合させた。得られる生成物は白色で、粘度数(VN)141ml/gであった。
【0057】
実施例A8
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸58.5g(0.4mol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、この系にランタン・アセチルアセトネート0.073g(0.17mmol)を加え、次いでこの系を、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、6時間、重縮合させた。得られる生成物は白色で、数平均分子量Mnが4.53×10、重量平均分子量Mwが1.02×10、分子量分布が2.25であった(GPCにて測定)。
【0058】
実施例A9
本方法の条件は実施例A8と同じであった;ただし、ランタン・アセチルアセトネートの代わりにネオジム・イソプロポキシド0.055g(0.17mmol)を使用した。
【0059】
実施例A10
本方法の条件は実施例A8と同じであった;ただし、ランタン・アセチルアセトネートの代わりにトリ(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)ランタン塩0.14g(0.17mmol)を使用した。
【0060】
比較例A1〜A4および実施例A7〜A10にて得られたコポリエステルをそれぞれ特徴付けるパラメータを表A1および表A2に掲げる。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
実施例B6〜B11
脂肪族/芳香族のモル比1:1(DMT/ADP1:1)とするコポリエステルの調製を例示。触媒系において、Cat1ではオルトチタン酸テトラブチルまたは酢酸亜鉛を使用;また、Cat2では異なるRE化合物を使用する。
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチルDMT78g(0.4mol)、ブタンジオールBD86.5g(0.96mol)およびCat1成分(添加しなくてもよい)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸ADP58.5g(0.4mol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、Cat2成分0.17mmolを系に加え、次いで、この系を≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、7時間、重縮合させた。使用した触媒成分Cat1およびCat2ならびに得られたコポリエステル製品の性能を表B1に掲げる。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例B12
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチルDMT78g(0.4mol)、ブタンジオールBD86.5g(0.96mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、コハク酸SCN47.2g(0.4mol)を系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、1時間、反応させた。その後、ネオジム・イソプロポキシド0.055g(0.17mmol)を系に加え、この系を≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、7時間、重縮合させた。得られた生成物は白色であり、数平均分子量Mnが5.41×10、重量平均分子量Mwが1.11×10、分子量分布が2.05であった(GPCにて測定)。
【0066】
実施例B13〜B23
Cat2ランタン・アセチルアセトネートとCat1オルトチタン酸テトラブチル(1:1)からなる触媒系を使用して、異なる脂肪族/芳香族モル比をもつホモ−およびコ−ポリエステルを調製する。
【0067】
実施例B13
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル136g(0.7mol)、ブタンジオール126g(1.4mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.10g(0.3mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、ランタン・アセチルアセトネート0.13g(0.3mmol)を系に加え、この系を≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、4時間、重縮合させた。
【0068】
実施例B14
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル155g(0.8mol)、ブタンジオール120g(1.34mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.13g(0.37mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸13.0g(0.089mmol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、この系にランタン・アセチルアセトネート0.16g(0.37mmol)を加え、次いでこの系を、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、4時間、重縮合させた。
【0069】
実施例B15
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル117g(0.6mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.09g(0.26mmol)、アジピン酸29.0(0.2mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.116g(0.26mmol)。
【0070】
実施例B16
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル87.0g(0.45mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)、アジピン酸44.0(0.3mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.14g(0.32mmol)。
【0071】
実施例B17
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.12g(0.34mmol)、アジピン酸58.5(0.4mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.15g(0.34mmol)。
【0072】
実施例B18
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール81g(0.9mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)、アジピン酸66.0(0.45mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.14g(0.32mmol)。
【0073】
実施例B19
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.10g(0.3mmol)、アジピン酸88.0(0.6mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.13g(0.3mmol)。
【0074】
実施例B20
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール122g(1.35mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.12g(0.35mmol)、アジピン酸110.0(0.75mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.15g(0.35mmol)。
【0075】
実施例B21
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル39.0g(0.2mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.09g(0.26mmol)、アジピン酸88.0(0.6mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.12g(0.26mmol)。
【0076】
実施例B22
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル26.1g(0.13mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.33mmol)、アジピン酸132(0.9mol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.15g(0.33mmol)。
【0077】
実施例B23
本方法の条件は実施例B14と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル146g(0.75mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.33mmol)、およびランタン・アセチルアセトネート0.15g(0.33mmol)。
実施例B13〜23で得られたコポリエステルを分析し、その結果を表B2に掲載する。
【0078】
【表4】

【0079】
実施例C1
500ml容量三頚フラスコに、テレフタル酸ジメチル87.0g(0.45mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)およびオルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)を加えた。窒素保護下、系を攪拌しながら還流するまで加熱した。反応温度を160〜220℃に調整し、メタノールを蒸発させ回収した。メタノール回収終了後、アジピン酸13.0g(0.089mmol)をこの系に加え、攪拌しながら系が還流するまで加熱を続けた。反応温度を180〜240℃に調整しながら、水を蒸発回収した;水の回収終了後、この系を減圧加熱し、次いで、400Paの減圧下、220〜260℃の温度で、約1時間、反応させた。その後、この系にランタン・イソプロポキシド0.10g(0.32mmol)を加え、次いでこの系を、≦200Paの減圧下、220〜260℃の温度で、7時間、重縮合させた。
【0080】
実施例C2
本方法の条件は実施例C1と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル78g(0.4mol)、ブタンジオール86.5g(0.96mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.12g(0.34mmol)、アジピン酸58.5(0.4mol)、およびランタン・イソプロポキシド0.11g(0.35mmol)。
【0081】
実施例C3
本方法の条件は実施例C1と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール81g(0.9mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.11g(0.32mmol)、アジピン酸66.0(0.45mol)、およびランタン・イソプロポキシド0.10g(0.32mmol)。
【0082】
実施例C4
本方法の条件は実施例C1と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.10g(0.3mmol)、アジピン酸88.0(0.6mol)、およびランタン・イソプロポキシド0.09g(0.3mmol)。
【0083】
実施例C5
本方法の条件は実施例C1と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル58.0g(0.3mol)、ブタンジオール122g(1.35mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.12g(0.35mmol)、アジピン酸110.0g(0.75mol)、およびランタン・イソプロポキシド0.11g(0.35mmol)。
【0084】
実施例C6
本方法の条件は実施例C1と同じであった;ただし、モノマーと触媒成分の量は以下のように変更した:テレフタル酸ジメチル39.0g(0.2mol)、ブタンジオール108g(1.2mol)、オルトチタン酸テトラブチル0.09g(0.26mmol)、アジピン酸88.0(0.6mol)、およびランタン・イソプロポキシド0.08g(0.26mmol)。
実施例C1〜C6で得られたコポリエステルを分析し、その結果を表C1に掲載する。
【0085】
【表5】

【0086】
Tgはガラス温度を示す。Tmは融解温度を示す。
H−NMRによるポリマー構造の特性化により、一例として実施例C2(DMT/ADP=1/1)を取り上げると、図1に示すように、GPCにおける単一のピークの特徴およびDSCにおける唯一の融解ピークを組み合わせると、該コポリエステルは典型的なランダムコポリマーであり、統計的な分配則に一致する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のDMT/ADP=1/1のコポリエステルの1H−NMRスペクトルを示す。 4つのピークabcd(a:4.41ppm、b:4.35ppm、c:4.12ppm、d:4.06ppm)において、aおよびdはそれぞれホモポリマー化した鎖セグメントに相当し、bおよびcはそれぞれコポリマー化した鎖セグメントに相当する。該ポリマーにおける2つのモノマー間のモル比は50:50であり、2つのモノマーが直接互いに結合している場合の鎖セグメントは総ポリマー鎖セグメントの50%を占める;これは該コポリエステルが統計的にランダムのコポリマーであることを説明する。
【図2】ポリ(アジピン酸ブチレン)の構造式である。
【図3】ポリ(テレフタル酸ブチレン)の構造式である。
【図4】ポリ(テレフタル酸ブチレン−コ−アジピン酸ブチレン)の構造式である。
【図5】本発明のコポリエステル産物のDSC曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造単位を含んでなるランダム直鎖脂肪族/芳香族コポリエステル:
【化1】

ただし、式中、mは2ないし10の整数であり、nは0ないし8の整数であり、pは2ないし10の整数であって、m、nおよびpは同一または異なっており、xは1ないし10の整数であり、yは1ないし10の整数である;また、GPCによる測定において、該コポリエステルは重量平均分子量Mwが100,000〜600,000g/モルであり、分子量分布が1.2−3である。
【請求項2】
mが2ないし4の整数であり、nが2ないし4の整数であり、pが2ないし4の整数であり、xが1ないし3の整数であり、および/またはyが1ないし2の整数である請求項1記載のコポリエステル。
【請求項3】
重量平均分子量Mwが100,000〜300,000g/モルであり、分子量分布が1.5−2.5である請求項1記載のコポリエステル。
【請求項4】
融解温度範囲が20ないし185℃である請求項1記載のコポリエステル。
【請求項5】
ガラス温度が−55ないし−7℃である請求項1記載のコポリエステル。
【請求項6】
異形剤、フィルム、繊維またはコーティングにおける請求項1〜5のいずれか1項に記載のコポリエステルの使用。
【請求項7】
以下の工程からなるポリエステルの合成方法であって:
1)以下のモノマーと任意の触媒成分Cat1を反応器に加えて、エステル交換および/またはエステル化を実施する工程:(a)芳香族ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;(b)脂肪族ジオール、脂環式ジオールまたはその混合物;および(c)脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物;ただし、モノマー(a)/モノマー(c)のモル比は0:100〜100:0である;
2)工程1)で得られる反応系を真空下でプレポリマー化する工程;および
3)触媒成分Cat2を工程2)で得られるプレポリマー化産物に加えて、真空下で重縮合を実施し、それによって所望のポリエステルを得る工程;
ただし、触媒成分Cat1はTi、SbおよびZnの化合物およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
触媒成分Cat2はRE Lnの化合物およびその混合物からなる群より選択されるものであり、当該RELnはLa系元素、ScとYおよびその組み合わせからなる群より選択されるものである;
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
工程2)の反応系のフラクション温度を一定に維持した後に、触媒成分Cat2を加えることからなる請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程1)において、触媒成分Cat1、およびモノマー(a)および(b)を反応器に加えて先ず反応させ、次いでモノマー(c)を加えて反応させることからなる請求項7記載の方法。
【請求項10】
モノマー(a)/モノマー(c)のモル比が0:100〜65:35であり;モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比が1:(1.0−3.0)であり;そして触媒系/モノマー(a)+(c)のモル比が1:(500−10,000)である請求項7記載の方法。
【請求項11】
モノマー(a)/モノマー(c)のモル比が35:65〜60:40である請求項10記載の方法。
【請求項12】
モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比が1:(1.1−1.5)であり;そして触媒系/モノマー(a)+(c)のモル比が1:(1,000−3,000)である請求項10記載の方法。
【請求項13】
モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比が1:(1.2−1.4)である請求項12記載の方法。
【請求項14】
モノマー(a)がp−フェニレンジカルボン酸、そのエステル、その無水物、またはその混合物からなる群より選択され;モノマー(b)がC−C脂肪族ジオール、C−C10脂環式ジオールまたはその混合物からなる群より選択され;また、モノマー(c)がC−C10脂肪族ジカルボン酸、C−C10脂環式ジカルボン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物からなる群より選択されるものである請求項7記載の方法。
【請求項15】
モノマー(a)がテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルであり;モノマー(b)が1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールまたはエチレングリコールであり;また、モノマー(c)がアジピン酸、セバシン酸またはコハク酸である請求項14記載の方法。
【請求項16】
モノマー(a)がテレフタル酸、そのエステル、その無水物またはその混合物からなる群より選択されるものであり;モノマー(b)がC−C脂肪族ジオール、C−C10脂環式ジオールまたはその混合物からなる群より選択されるものであり;また、モノマー(c)がアジピン酸、そのエステル、その無水物またはその混合物からなる群より選択されるものである請求項7記載の方法。
【請求項17】
モノマー(a)/モノマー(c)のモル比が(5−75):(25−95)であり、また、モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比が1:1〜1:2である請求項16記載の方法。
【請求項18】
モノマー(a)/モノマー(c)のモル比が(25−65):(35−75)であり、また、モノマー(a)+(c)/モノマー(b)のモル比が1:1.2〜1:1.5である請求項17記載の方法。
【請求項19】
触媒成分Cat1がM(OR’)x、MOx、M(R’COO)xおよびその混合物からなる群より選択されるものであり;
触媒成分Cat2が、RE金属の無機ハロゲン化物LnX、カルボン酸塩Ln(RCOO)、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、アセチルアセトネートLn(a)、その水和物およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
そしてCat2/Cat1のモル比が5:95〜100:0であり;
その場合のXがハロゲンイオンであり、aがアセチルアセトン基であり;
およびR’がC−Cアルキルから選択され、そのRおよびR’が同一または異なっており;
およびR’がC−Cアルキルから選択され、そのRおよびR’が同一または異なっており;
ArがC−Cアルキル置換フェニルから選択されるものであり;そして
Mが金属Ti、SbまたはZnであり、また、xが2、3または4である:
請求項7記載の方法。
【請求項20】
RE LnがLa、Ce、Pr、Nd、Td、Yb、Dy、Sm、Scおよびその組み合わせからなる群より選択されるものである請求項19記載の方法。
【請求項21】
RE LnがLa、Ce、Pr、Nd、Scおよびその組み合わせからなる群より選択されるものである請求項20記載の方法。
【請求項22】
触媒成分Cat1がチタニウムアルコキシドTi(OR’)x、酢酸アンチモン、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化チタン、その混合物からなる群より選択されるものであり;
触媒成分Cat2がRE無機ハロゲン化物LnX、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、アセチルアセトネートSm(a)を除くアセチルアセトネートLn(a)、およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
その場合のXが塩素イオンまたは臭素イオンであり、Rがイソプロピル、n−ブチルまたはイソペンチルであり、Arが2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニルまたは4−ブチルフェニルであり;そして
Cat2/Cat1のモル比が1:3〜3:1である請求項19記載の方法。
【請求項23】
Cat1がオルトチタン酸テトラブチル、チタニウムイソプロポキシド、二酸化チタン、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンまたは酢酸亜鉛であり、
Cat2/Cat1のモル比が2:3〜3:2である請求項22記載の方法。
【請求項24】
触媒成分Cat1がオルトチタン酸テトラブチル、チタニウムイソプロポキシド、二酸化チタン、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酢酸亜鉛およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
触媒成分Cat2がRE無機ハロゲン化物LnX、カルボン酸塩Ln(RCOO)、アルコキシドLn(OR)、アリールオキシドLn(OAr)、およびその混合物からなる群より選択されるものであり;
そして、Cat2/Cat1のモル比が2:3〜3:2であり;
その場合のRE LnがLa、Ce、Pr、Nd、Scおよびその組み合わせからなる群より選択されるものであり;
Xが塩素イオンまたは臭素イオンであり;
がエチルまたはプロピルであり;Rがイソプロピル、b−ブチルまたはイソペンチルであり、また、Arが2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニルまたは4−ブチルフェニルである;
請求項7記載の方法。
【請求項25】
工程1)、2)および3)を同一のオートクレーブ中で実施する請求項7記載の方法。
【請求項26】
工程1)、2)および3)のいずれにおいても鎖延長剤を添加しない請求項7記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−176783(P2006−176783A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−370374(P2005−370374)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504302060)チャイナ ペトロレウム アンド ケミカル コーポレーション (1)
【出願人】(504302059)ベイジン リサーチ インスティチュート オブ ケミカル インダストリー、チャイナ ペトロレウム アンド ケミカル コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】