説明

生分解性脂肪族−芳香族ポリエステル

本発明は、脂肪族ジカルボン酸類、多官能芳香族酸類及びジオール類から得られ、多官能芳香族酸類が再生可能及び合成源の酸類の混合物により構成される生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族ジカルボン酸類、多官能芳香族酸類及びジオール類から由来する単位を含む生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類に関し、それらの単位は、少なくとも1つのフタリック二酸及び再生可能源の少なくとも1つの複素環式芳香族二酸から由来する単位を含む多官能芳香族酸類から由来する。
本発明は、天然及び合成源の両方の他の生分解性ポリマーを有する前記ポリエステル類の混合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸、脂肪族二酸類及びジオール類から出発して得られた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類は、文献で及び市場で知られている。鎖中の芳香族成分の存在は、十分高い融点及び十分な晶析速度を備えたポリマー類を得ることに関連している。
テレフタル酸成分の増加は、この種のポリエステル類の熱的及び機械的特性を改善するが、その高い含量は、ポリエステル類の生分解性のパーセンテージを減少させる。
更に、テレフタル酸は、合成源由来であり、再生可能源からのそれらのあらゆる製造はあまりに複雑である。これは現在市販されているこの種のポリエステル類の性能を、それらの生分解性に関係なく非再生可能炭素原料の環境インパクトを減らすために、大幅な範囲で制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって、生分解性及び使用中のパフォーマンスで好適な性質を維持することが可能であるなら、鎖中の再生可能源の芳香族酸の存在は望ましく、同様に、超高パーセンテージの全カーボンである再生可能源からの原料から出発してポリマーを得ることが許容される。事実、野菜源のモノマー類の使用は、大気中のCO2の減少に寄与し、非再生可能源の使用の減少に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記全ての制限は、今や本発明によるポリエステル類により解決される。
本発明は、実際、少なくとも1つのジオール、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸及び少なくとも2つの多官能芳香族酸類から由来する単位を含み、前記単位が:
- 少なくとも1つのフタリック芳香族二酸からの単位1〜99モル%、好ましくは5〜95モル%及びより好ましくは10〜85モル%;
- 再生可能源の少なくとも1つの複素環式芳香族二酸からの単位99〜1モル%、好ましくは95〜5モル%及びより好ましくは90〜15モル%;
を含む前記多官能芳香族酸類から由来することを特徴とする生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
それらの固有の特性により、人の一生のタイムスケール内で、天然に再生産され又は枯渇し得ることはない原料から得られた生成物は、拡大解釈すると、その使用は将来の世代のための天然資源を損なう(compromise)ことはなく、再生可能源として考慮される。再生可能資源の典型的な例は、野菜クロップにより構成される。
脂肪族ジカルボン酸類に関して、ジカルボン酸類C2-C22がここで考慮される。
【0006】
脂肪族酸類の中で、2及び22との間に含まれる主鎖中のC原子数を備えた脂肪酸類、それらのエステル類及び混合物が好ましく、C4(コハク酸)、C6(アジピン酸)、C7(ピメリン酸)、C8(スベリン酸)、C9(アゼライン酸)、C10(セバシン酸)、C11(ウンデカン二酸)、C12(ドデカン二酸)及びC13(ブラシリン酸)、C18(オクタデカン二酸)が特に好ましい。これらの中で、再生可能源からの脂肪族二酸類が好適であり、C6(アジピン酸)、C8(スベリン酸)、C9(アゼライン酸)、C10(セバシン酸)、C11(ウンデカン二酸)、C12(ドデカン二酸)及びC13(ブラシリン酸)、それらのエステル類及びそれらの混合物が好ましい。更に、再生可能源C9(アゼライン酸)、C10(セバシン酸)及びそれらのエステル類からの脂肪族酸類がより好ましい。また、これら酸類の混合物は、特に興味深い。
イタコン酸及びマレイン酸のような不飽和の二酸類も含まれる。
【0007】
本発明による生分解性ポリエステル類中の脂肪族ジカルボン酸類の全含量は、ジカルボン酸類の全モル含量に対して、95及び10モル%の間に含まれ、80及び15モル%の間が好ましく、60及び20モル%の間がより好ましく及び50及び25モル%の間が更により好ましい。
本発明によるポリエステル類の中で、多官能芳香族酸類は、少なくとも1つのフタリック(phthatic)二酸及び再生可能源の少なくとも1つの複素環式芳香族二酸の混合物により構成される。
本発明の目的用のフタリック芳香族二酸類は、フタル酸型の芳香族化合物及びそれらのエステル類、好ましくはテレフタル酸、そのエステル類及び/又はそれらの混合物を意図している。
本発明の目的用の再生可能源の複素環式芳香族二酸類は、フランジカルボン酸型の芳香族化合物及びそれらのエステル類、好ましくは2,5-フランジカルボン酸、そのエステル類及び/又はそれらの混合物を意図している。
【0008】
本発明の目的用のジオール類の例としては、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオールや、フェノール、フランジオール、イソソルビド及びその誘導体のような芳香族ジオール類がある。
型C2-C10のジオール類が特に好適である。ジオール類C2-C4が更により好適である。これらの内、1,2-エタンジオール(ethaniediol)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(butanediol)及びそれらの混合物が特に好適である。有利に、前記ジオール類は、全ジオール含量に対して、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも80モル%の1,4-ブタンジオールにより構成される。
【0009】
本発明によるポリエステルの分子量Mnは、15,000より大きい。多分散度Mw/Mn は、1.5と10の間に含まれる。
分子量MnとMwは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。測定は、一連の3つ組みのカラム(粒子径5μ、それぞれの多孔度(porosity)500Å、1000Å及び10000Å)、屈折率測定器、溶出液としてのクロロホルム(フローレート1ml/min)及び標準レファレンスとしてのポリスチレンを使用し、40℃で維持したクロマトグラフィーシステムを用いて実施できる。
本発明によるポリエステルは、0.3dl/gより大きい固有粘度を有する(ウッベローデ(Ubbelhode)粘度計を用い、25℃、0.2g/dlの濃度のCHCl3溶液を用いて測定)。
【0010】
本発明によるポリエステル類は、脂肪族ジカルボン酸のモル数に関して、0-49モル%、好ましくは0-30モル%の間に含まれる量で少なくと1つのヒドロキシ酸を、ベーシックモノマー類に加えて含みうる。ヒドロキシ酸類の好適な例としては、グリコール酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ吉草酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシカプロン酸、9-ヒドロキシノナン酸、乳酸又はラクチドである。ヒドロキシ酸類は、鎖中に挿入でき又は二酸類やジオール類とまず反応させてもよい。前記ヒドロキシ酸類は、ランダム又はブロック繰り返し単位分布のいずれかで存在しうる。
末端位置以外で官能基を備えた長い二官能分子が10%を超えない量で添加されていてもよい。例としては、ダイマー酸類、リシノール酸、及びエポキシド官能基を備えた酸類がある。
アミン類、アミノ酸類及びアミノアルコール類も、全ての他の成分に対して、30モル%までのパーセンテージで存在させうる。
【0011】
本発明によるポリエステルの製造法において、1つ以上の多官能分子を、分岐生成物を得るために、ジカルボン酸類(及び任意にヒドロキシ酸類)の量に対して、0.01と3モル%の間に含まれる量で、有利に添加しうる。これら分子の例としては、グリセロール、ペンタスリトール(pentathritol)、トリメチロールプロパン、クエン酸、ジペンタエリスリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノヒドロ-マンニトール、酸トリグリセリド類、ウンデシレン酸、トリエタノールアミン、1,1,2-エタントリカルボン酸(etantricarboxylic acid)、1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸、1,3,5-ペンタトリカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタテトラカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸、3-ヒドロキシグルタル酸、粘液酸、トリヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシ-イソフタル酸、ヘキサントリオール、ソルビトール、トリメチルエタン、マンニトール、1,2,4-ブタントリオール、キシリトール(xilitol)、1,2,4,4-テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、アラビトール、アドニトール、イジトールがある。
【0012】
本発明によるポリマー類は、イソシアネート類及びイソシアヌレート類のような鎖延長剤、エポキシド類及び特にポリエポキシド類、オキサゾリン類又はカルボジイミド類を添加する必要無しに高い性能に達するが、しかし必要によりそれらの性質を変更することも可能である。
ポリエステル類の分子量の増加は、例えば、それらの押出加工の間に種々の有機化酸化物類の添加を介して、有利に得うる。生分解性ポリエステル類の分子量の増加は、過酸化物類でのポリエステル類の下記加工による粘度の増加を観察することにより容易に検出できる。
本発明によるポリエステルの製造法は、この技術分野で公知のいずれか1つの方法によっても行いうる。特に、ポリエステルは、重縮合反応を介して有利に得ることができる。
【0013】
本発明によるポリエステルの重合法は、好適な触媒の存在下で実施するのが有利である。そのような好適な触媒の中で、スズの有機金属化合物、例えばスズ酸(stannoic acid)の誘導体、チタンの化合物、例えばオルトブチルチタネート、アルミニウムの化合物、例えば、Al-トリイソプロピル、及びアンチモンの化合物と亜鉛の化合物を例として記載し得る。
好ましくは、本発明によるポリエステルは、少なくとも1つの酸成分と少なくとも1つのジオール成分とを有する少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPを、OH及び/又はCOOH基と反応しうる基を伴う、例えばポリエポキシド類及びポリカルボジイミド類のような、化合物又はラジカル開始剤と反応させることにより得ることができる。
【0014】
前記化合物は混合物としても使用できる。
前記少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPは、脂肪族、芳香族又は脂肪族-芳香族型であってもよい。
当業者は、所望のポリエステルを得るように、プレカーサーポリエステルPPの性質に関して必要な実モル比を造作なく規定し得るであろう。
好ましくは、本発明によるポリエステルは、反応押出法により得ることができる。
【0015】
ラジカル開始剤の中で、過酸化物類が好ましく、過酸化物類の中で、特に有機過酸化物類が好適である。有機過酸化物類は、有利に、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、イソノナノイルペルオキシド、ジ-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ'-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン(triperoxonan)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート及びそれらの混合物からなる群から選択しうる。
好ましくは、前記過酸化物類は、0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%、更により好ましくは0.02重量%の量で少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPに添加される。
【0016】
有利に使用しうる過酸化物類の例は、商標Joncryl(R)ADRとしてBASF Resins B.V.により配布されている製品、1000と10000の間の分子量の範囲で含まれ、1〜30の範囲、及び好ましくは5〜25の範囲の分子当たりのエポキシド類の数を備えるグリシジルエーテルメチルメタクリレートのような、エポキシ化オイル類及び/又はスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート由来の全てのポリエポキシド類であり、エポキシド類がジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,2-エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシド、及びシクロ脂肪族ジエポキシド、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル-2-メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、メタ-キシレンジアミンのテトラグリシジルエーテル及びビスフェノールAのジグリシジルエーテル、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0017】
好ましくは、前記ポリエポキシド類は、2重量%未満、より好ましくは1重量%、更により好ましくは0.75重量%の量で少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPに添加される。
触媒は、反応基の活性を増加させるためにも使用しうる。ポリエポキシド類の場合、脂肪酸の塩を例えば使用できる。ステアリン酸カルシウム及び亜鉛が特に好適である。
【0018】
有利に使用しうるカルボジイミド類の例としては、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド)、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2',6,6'-テトラ-イソプロピル-ジフェニレンカルボジイミド)、(Stabaxol(商標)D)、ポリ(2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(商標)P-100)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピル-フェニレン-2,4-カルボジイミド)、ポリ(2,6-ジイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(Stabaxol(商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフタレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12-ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)及びそれらの混合物を含む群から選択される。
好ましくは、前記カルボジイミド類は、少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPに、1.5重量%未満、より好ましくは0.75重量%、更により好ましくは0.5重量%の量で添加される。
【0019】
前記少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPは、0.1-0.8モル%及びより好ましくは0.2-0.7モル%の不飽和量を有することが好ましい。
前記不飽和は、好適な不飽和化モノマー類又は好適な不飽和化鎖重合停止剤(chain terminators)の添加を通して、少なくとも1つのプレカーサーポリエステルPPの重合相又は処理の間にその場(in situ)で発生しうる。
特に好適には、末端不飽和を有するプレカーサーポリエステルPPである。
【0020】
不飽和化鎖重合停止剤の中でも好適には、式T-(CH2)n-CH=CH2("T"はカルボキシル及び/又はヒドロキシル基と反応しうる基であり、"n"は0と13との間に含まれる整数である)を有するものである。
前記不飽和化鎖重合停止剤は、混合物でも使用しうる。
"T"に関して、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、アミド、又はエステル基からなる群から好ましくは選択され、ヒドロキシル又はカルボキシル基が特に好適である。
整数"n"は、1と13、より好ましくは3と13の間、またより好ましくは8又は9に含まれることが好ましく、オメガ-ウンデセン酸、オメガ-ウンデシレニックアルコール及びそれらの混合物が、天然源のポリマーと相溶性を最大にするために特に好適である。
【0021】
また、製造工程の後、本発明によるポリエステルは、ラジカル開始剤との不飽和反応に由来する二重結合及び/又は付加物を有していてもよい。
ラジカル開始剤とそれら反応により由来する不飽和物及び/又は付加物の存在は、NMRスペクトロスコピーのようなこの分野の当業者に公知の異なる方法又は質量分析を組み合わせたクロマトグラフィー法と結合したポリマー鎖のメタノリシス反応により測定できる。
当業者は、不飽和物又は反応後の反応不飽和物のいずれに帰する構造であるかを容易に決定しうる。
好ましくは、本発明によるポリエステルは、35-150当量のKOH/プレカーサーポリエステルkgの量で末端酸基の含量を有するプレカーサーポリエステルPPから出発する反応押出法を介して得ることができる。
【0022】
末端酸基の測定は、次のように行いうる:本発明による1.5-3gのポリエステルが100mlのエルレンマイヤーフラスコに入れられる。60mlのクロロホルムを添加して樹脂を溶解させる。完全に溶解した後、25mlの2-プロパノールと測定直前に1mlの脱イオン水を添加する。それにより得られた溶液を、滴定の当量点の測定用に好適な指示体、例えば、非水系酸-アルカリ滴定での使用を意図するガラス電極のような指示体を使用して、予め標準化されたKOH/エタノール溶液で滴定する。末端酸基量は、以下の式に基づいて、KOH/エタノール溶液の消費から計算される:
【0023】
【数1】

【0024】
式中:Veq=試料の滴定時の当量点でのKOH/エタノール溶液のml;
Vb=ブランク滴定間にpH=9.5に達するために必要なKOH/エタノール溶液のml;
T=KOH/エタノール溶液のモル/l濃度;
P=試料のg。
本発明によるポリエステルは、規格EN13432によって、工業的な堆肥化工程において生分解性である。
【0025】
本発明によるポリエステルは、フィルム、射出成形製品、押出コーティング、繊維、発泡体、熱成形製品、ゴム、粘着剤、コーティング、ラッカー、熱硬化性樹脂のような多くの実用用途用に、相対分子量を適切に調節することで、それらを好適に使用しうる性質及び粘度数値を有する。
【0026】
特に、本発明によるポリエステル類は:
- 1軸-及び2軸延伸フィルム、並びに他の高分子材料で多層化したフィルム;
- マルチングで使用するフィルムのような農業分野で使用されるフィルム;
- 食品での使用用、農業でのベール用及び廃棄物包装用のクリングフィルム;
- 残飯及びガーデニング廃棄物の収集のような有機廃棄物収集用の袋及び容器ライナー;
- 種子粉衣(seed dressings);
- ホットメルト接着剤のような粘着剤;
- 牛乳、ヨーグルト、肉、野菜等の容器のような、単層及び多層両方の熱成形食品パッケージ;
- 押出コーティング法を使用して得られるコーティング;
- 紙、プラスチック、アルミニウムの層、又は金属化フィルムを備えた多層ラミネート;
- 焼成により得られた部品の製造用の発泡又は発泡性ビーズ;
- 予備発泡粒子を使用して形成された発泡ブロックを含む発泡及び半発泡製品;
- 食品包装で使用するためにそれらから得られた発泡シート、熱成形発泡シート、及びコンテナー;
- 一般的な果物及び野菜容器;
- ゲル化、分解及び/又は複合化したでんぷん、天然でんぷん、小麦粉又は野菜、或いは無機天然充填剤との複合品;
- 繊維、マイクロ繊維、PLA、PET、PTTのような硬質ポリマー類により核が構成されかつ本発明の材料によりシェルが構成されている複合マイクロ繊維、配合複合繊維、円形からマルチローブ(multilobed)までの異なる断面を有する繊維、ステープルファイバー、織布及び不織布、或いは衛生及び衛生学上の製品並びに農業及び衣料分野に使用されるスパンボンド化又は熱結合させた繊維;
の製造に好適である。
【0027】
それらは可塑化PVCの代わりの用途で使用することも可能である。
また、本発明のポリエステル類は、生分解性のスパンデックス状エラストマー、ホットメルト及び他の粘着剤、塗料用ポリエステル類、紙処理用コーティング、インク用マトリックスを製造するために使用しうる。
本発明によるポリエステルは、ブレンドで使用でき、それは、生分解性を有していてもいなくてもよい1つ以上のポリマー類と共に、反応押出法によっても得られうる。
本発明の意味において、生分解性ポリマー類は、規格EN13432による生分解性ポリマー類を意味する。
【0028】
特に、本発明によるポリエステルは、二酸-ジオール、ヒドロキシ酸又はポリエステル-エーテル型の生分解性ポリエステル類とブレンドされていてもよい。
考慮される二酸-ジオール型の生分解性ポリエステル類に関する限り、これらは脂肪族又は脂肪族-芳香族のいずれでもよい。
二酸-ジオール類からの生分解性脂肪族ポリエステル類は、脂肪族二酸類及び脂肪族ジオール類に由来する単位を含み、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類は、合成及び再生可能源の多官能芳香族酸類を主として含む芳香族部分、脂肪族二酸類及び脂肪族ジオール類を含む脂肪族部分を有する。
【0029】
二酸類-ジオール類からの芳香族脂肪族生分解性ポリエステル類は、酸成分に対して、30と90モル%の間、好ましくは45と70モル%との間の芳香族酸類含量により、好ましく特徴付けられる。
好ましくは、合成源の多官能芳香族酸類は、フタル酸型のジカルボキシリック芳香族化合物及びそれらのエステル類であり、好ましくはテレフタル酸である。
再生可能源の多官能芳香族酸類は、好ましくは2,5-フランジカルボン酸及びそのエステル類を含む群から選択される。
【0030】
生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル類の脂肪族二酸類は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルカル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン酸及びブラシリン酸、オクタデカンジカルボン酸それらのエステル類並びにそれらの混合物のような脂肪族ジカルボン酸類である。これらの中で、再生可能源からのアジピン酸及びジカルボン酸類が好適であり、これらの中で、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸及びブラシリン酸並びにそれらの混合物のような再生可能源からのジカルボン酸類が特に好適である。
【0031】
二酸類-ジオール類からの生分解性ポリエステル類中の脂肪族ジオール類の例としては、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンメタンジオール及びそれらの混合物がある。これらの内、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール及び1,2-エタンジオール並びにそれらの混合物が特に好適である。
【0032】
二酸-ジオール型の生分解性ポリエステル類の中で、特に例えば、ポリブチレンテレフタレート-コ-セバケート、ポリブチレンテレフタレート-コ-アゼレート、ポリブチレンテレフタレート-コ-ブラシレート、ポリブチレンテレフタレート-コ-アジペート、ポリブチレンテレフタレート-コ-スクシネート及びポリブチレンテレフタレート-コ-グルタレートのような脂肪族/芳香族コポリエステル類、並びに例えば、ポリアルキレンスクシネート類、特にポリブチレンスクシネート及びそれとアジピン酸と乳酸とのコポリマー類のような脂肪族ポリエステル類が好適である。
好ましくは、上記した二酸類-ジオール類からの生分解性ポリエステル類との本発明によるポリエステルのブレンドは、生分解性ポリエステル類の量により特徴付けられ、本発明と前者それぞれによる組成物の重量の合計に関して、1と99重量%の間、より好ましくは5と95重量%の間の範囲内で変動する。
【0033】
ヒドロキシ酸類からの好適な生分解性ポリエステル類は、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸及びポリ-D-L-乳酸ステレオコンプレックス、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバレエート、ポリヒドロキシブチレートプロパノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートデカノエート、ポリヒドロキシブチレートドデカノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレートオクタデカノエート及びポリ-3-ヒドロキシブチレート-4-ヒドロキシブチレートを含む。これらヒドロキシ酸類からの生分解性ポリエステル類の中で、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸及びポリ-L-乳酸とポリ-D-乳酸のステレオ-コンプレックスが特に好適である。
好ましくは、上記ヒドロキシ酸類からの生分解性ポリエステル類と本発明によるポリエステルのブレンドは、生分解性ポリエステル類の量により特徴付けられ、本発明と前者それぞれによる組成物の重量の合計に関して、1と99重量%の間、より好ましくは5と95重量%の間の範囲内で変動する。
【0034】
本発明によるポリエステルは、でんぷん、セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩類、グルテンのようなプロテイン類、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム類、ロジン酸及びその誘導体、リグニン類及びそれらの誘導体から選択された天然源の少なくとも1つのポリマーとブレンドするのが有利である。でんぷん類及びセルロース類は変性されていてもよく、これらの中で、例えば0.2と2.5の間に含まれる置換度を有するでんぷん又はセルロースエステル類、ヒドロキシプロピル化でんぷん類、脂肪鎖を備えた変性でんぷん類が挙げられる。
上記天然源のポリマー類の中で、でんぷんが特に好適である。
【0035】
ここで用語でんぷんは、全ての種類のでんぷん、例えば、ポテトでんぷん、とうもろこしでんぷん、タピオカでんぷん、エンドウ(pea)でんぷん、米でんぷん、小麦でんぷん及びハイアミロースでんぷん(30重量%より多いアミロースを含むことが好ましい)及びワキシー(waxy)でんぷん類、を意味する。特に、でんぷん類の混合物も好適である。
でんぷんは、分解型(destructurized)やゼラチン化型又はフィラー型で使用しうる。前記でんぷんは連続や分散相を示すことができ、又は共連続型とし得る。でんぷんを分散させる場合、でんぷんは、1μm未満、好ましくは0.8μm未満の平均寸法の粒子の均一分散相で存在することが好ましい。
でんぷん粒子の寸法は、押出流れ方向に対して、又はいずれにしても材料のアウトプット方向に対して、横断面で測定される。
【0036】
この目的で、試験されるべきブレンドの試料は、液体窒素に浸漬され、続いて粉砕されることで、試料の断面に沿った粉砕表面を得る。そして、試験されるべき試料の部分は、選択エッチングを施され、乾燥され、“スパッタコーター”を使用して例えば金/パラジウムの混合物の金属薄層がその上に堆積される。最後に、粉砕物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)下で試験する。
でんぷん粒子の寸法は、でんぷんの選択エッチング後、破砕物の表面の孔の寸法を測定することにより規定される。
でんぷん粒子の平均寸法、即ち、破砕物のエッチング表面で検出しうる孔は、数(又は算術)平均粒子寸法として計算される。
球状粒子の場合、粒子の寸法は、横断面から生じる二次元形状に対応する円の直径に対応する。非球状粒子の場合、粒子の寸法(d)は、以下の式により計算される:
【0037】
【数2】

【0038】
式中、d1及びd2は粒子が内接又は近接しうる楕円の内径(minor diameter)及び外径(major diameter)である。
でんぷん分散相の選択エッチングは、エッチング時間20分、エッチング温度25℃で、エッチャントとして5NのHClを使用することで有利に実施しうる。
構造分解された(destructurized)でんぷんを含むブレンドが好適である。
とうもろこし及びポテトでんぷんのような、容易に構造分解できかつ高初期分子量を有するでんぷん類が、特に有利であることを実証している。
とうもろこし及びポテトでんぷんの使用が特に好適である。
構造分解されたでんぷんにおいて、EP-O 118240及びEP-O 327505に含まれる教示が、ここで参照され、処理されたでんぷんを意図し、それは、偏光による光学顕微鏡での"マルチーズクロス(Maltese crosses)"を有しておらず、かつフェーズコントラストによる光学顕微鏡での"ゴースト(ghosts)"を有していない。
【0039】
更に、物理的及び化学的変性でんぷんグレードは、カチオン性でんぷん類、酸化でんぷん類、架橋でんぷん類、ゲル化でんぷん類を0.1から2の範囲内に含む置換度で、エトキシレート化でんぷん類、オキシプロピレート化でんぷん類、でんぷんアセテート類、でんぷんブチレート類、でんぷんプロピオネート類のように使用しうる。
でんぷんが分散相で存在するでんぷんブレンドは、良好な老化及び湿度耐性を有する生分解性重合性組成物を形成しうる。実際、これら重合性組成物は、低湿度条件でさえ高引裂強度を維持しうる。
そのような特徴は、成分の混合の間の組成物の水含量が、好ましくは1重量%及び15重量%の間に維持された場合に達成しうる。しかし、1重量%未満の含量で操作することも可能であり、この場合、予備乾燥及び予備可塑化でんぷんで処理を開始する。
【0040】
最終材料又は製品に1及び0.2dl/g、好ましくは0.6及び0.25dl/g、より好ましくは0.55及び0.3dl/gの間のでんぷん固有粘度を与えるために、本発明のポリエステル類と配合する前又は配合間に、低分子量にでんぷんを分解(degrade)することも有用である。
構造分解されたでんぷんは、水、グリセロール、ジ及びポリグリセロール類、エチレン又はプロピレングリコール、エチレン及びプロピレンジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール(pentaerytritol)、ジペンタエリスリトール(dipentaerytritol)、ソルビトール、エリスリトール(erytritol)、キシリトール、マンニトール、スクロース、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,3,5-ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール及びポリビニルアルコールプレポリマー類及びポリマー類、ポリオールアセテート類、エトキシレート類及びプロポキシレート類、特にソルビトールエトキシレート、ソルビトールアセテート、及びペンタエリスリトールアセテートのような可塑剤の存在下、本発明によるポリエステル類と混合される前又は混合間に得ることができる。
【0041】
水は、でんぷんの可塑化段階の間、組成物の混合前又は混合中、高沸点可塑剤と共に又は単独で可塑剤として使用でき、押出間の1つ以上のステップで脱ガスすることにより必要なレベルに除去できる。可塑化の完了まで及び成分混合まで、水は脱ガスにより除去され、約0.2-3重量%の最終含量を与える。
水は、高沸点可塑剤と同様、でんぷん相の粘度を変化させ、かつでんぷん/ポリマー系の流動学的特性に影響を与え、分散粒子の寸法の測定の助けになる。相溶化剤は、混合物として添加しうる。相溶化剤は、以下の種類に属しうる:
- 8より大きい親水性/疎水性バランス指数(HLB)を有し、ポリオール類と4.5未満の解離定数pK(値は、ポリカルボン酸類の場合の第1カルボキシル基のpKに関する)のモノ又はポリカルボン酸から得られるエステル類のような添加剤
- 12未満の炭素原子を備え4.5より大きいpK値(値は、ポリカルボン酸類の場合の第1カルボキシル基のpKに関する)を備えたモノ又はポリカルボン酸とポリオール類から得られた5.5と8との間のHLB値を備えたエステル類
- ポリオール類と12-22の炭素原子を備えた脂肪酸類から得られ5.5未満のHLB値を有するエステル類。
【0042】
これら相溶化剤は、でんぷんに関して、0.2〜40重量%及び好ましくは1〜20重量%の量で使用しうる。でんぷんブレンドは、2つの成分:でんぷん相溶性又は可溶性の第1成分と、ポリエステル可溶性又は相溶性の第2成分、を有する重合性相溶化剤をも含みうる
具体例は、エステル交換反応触媒によるでんぷん/ポリエステルコポリマー類である。そのようなポリマー類は、コンパウンディング間の反応性配合により生成でき、又は反応性配合とコンパウンディングを別々で生産でき、次いで押出しの間に添加しうる。通常、親水性及び疎水性単位のブロックコポリマー類が特に好適である。ジ及びポリエポキシド類、ジ及びポリイソシアネート類、シソシアヌレート類、ポリカルボジイミド類及びペルオキシド類のような添加物も加えうる。それらは安定剤と共に鎖延長剤として機能しうる。
上記全ての生成物は、必要な微細構造を生じるための助けとなりうる。
【0043】
でんぷんとポリマーマトリックスとの間に結合を生じさせることは、その場反応(in situ reactions)で促進することも可能である。また、脂肪族又は芳香族ジイソシアネート類あるいはジ及びポリエポキシド類又はイソシアヌレート類と共に、又は1dl/gより高い固有粘度を有するオキサゾリン類と共に押出された脂肪族-芳香族ポリマー類鎖は、10000より高く、好ましくは12500より高く、及びより好ましくは15000より高い190℃、2.16kgでのMnとMFIの比を有する脂肪族-芳香族ポリエステル類の場合でも、必要な微細構造を得るために使用しうる。
微細構造を改善する他の方法として、でんぷん-ポリエステル混合物中に、でんぷん複合体生成を行うことがある。
【0044】
前記ブレンドは、でんぷんブレンドの場合でも良好な性質を示し、でんぷんは強固に複合化されていない。でんぷんの複合体生成に関して、EP-O 965615に含まれる教示をこの明細書に含ませることを意図する必要がある。でんぷんと不親和の1つの疎水性ポリマー及びでんぷんの複合物の存在は、2ゼータスケールで13-14°の範囲のピークのX-線回折スペクトルでの存在により証明しうる。本発明によれば、でんぷんが強く複合していない記述している組成物は、約20.5°で現れる複合体の13-14°の範囲のピーク高さ(Hc)とアモルファスでんぷんのピーク高さ(Ha)との間のHc/Ha比が、0.15未満、更に0.07未満である組成物を意味する。
有利に、前記でんぷんブレンドは、でんぷん用の少なくとも1つの可塑剤を含み、適切な流動学的特性を提供しうる。この可塑剤は、単純に、水(必要な更なる添加物なしで天然でんぷんのみに含まれる水でもよい)とでき、又は上記例示した種類の高沸点や重合性可塑剤も好適である。異なる可塑剤の混合物も好適である。
【0045】
可塑剤量は、一般的に、流動学的要求及び混合系に基づいて選択される。いずれの場合でも、可塑剤は、乾燥基準のでんぷんに対して、有利には30重量%未満、好ましくは20重量%未満、またより好ましくは10%未満の量で添加される。
水以外で、本発明による組成物に使用できる可塑剤は、高沸点又は重合性可塑剤である。
本発明の意味において、高沸点可塑剤は、250℃より高い沸点を備えた可塑剤を意味する。これらの中で、WO92/14782に記載された可塑剤、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール及びテトラグリセロール並びにそれらの混合物が好ましい。
【0046】
特に好ましくは、少なくとも75重量%、好ましくは90重量%のジグリセロール、トリグリセロール及びテトラグリセロールを含む高沸点可塑剤の混合物である。この混合物は、ジグリセロール、トリグリセロール及びテトラグリセロールの全量に対して、50重量%より多い、好ましくは80重量%より多いジグリセロールを含む。この種の高沸点可塑剤の使用は、加工環境での発煙と共に課題を防ぐために好適であり、組成物加工間に機械を洗浄するために必要とされる頻繁な停止がない。
本明細書の意味において、用語ジグリセロールは、アルファ-アルファ'ジグリセロール、アルファ-ベータジグリセロール、ベータ-ベータ'ジグリセロール、それらの種々の環状異性体及びそれらの混合物のようなグリセロールの2つの分子の縮合反応から生じる全ての化合物をここでは意味する。ジグリセロールに関する限り、少なくとも70重量%のアルファ-アルファ'ジグリセロールを含む混合物が特に好適である。
【0047】
可塑剤のみとして水を含むでんぷんブレンドはまた好ましい。これらの中で、可塑剤のみとして天然でんぷん中で存在する水を含む混合物が特に好ましい。
好ましくは、天然源のポリマー類とのブレンドは、天然源の前記ポリマー類の量により特徴付けられ、本発明と前者それぞれによるポリエステルの重量の合計に関して、1と99重量%の間、より好ましくは5と95重量%の間、より好ましくは10と40重量%の間の範囲内で変動する。
本発明によるポリエステルは、ポリオレフィン類、非-生分解性ポリエステル類、ポリエステル-及びポリエーテル-ウレタン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリアミノ酸類、ポリエーテル類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類並びにそれらの混合物とのブレンドでもよい。
【0048】
ポリオレフィン類の中で、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート及びポリエチレンビニルアルコールが好適である。
非-生分解性ポリエステル類の中で、特に再生可能量>30%のPET、PBT、PTT及びポリアルキレンフランジカルボキシレート類が好適である。後者の中で、ポリエチレンフランジカルボキシレート、ポリプロピレンフランジカルボキシレート、ポリブチレンフランジカルボキシレート及びそれらの混合物が好適である。
ポリアミド類の例として、ポリアミド6と6.6、ポリアミド9と9.9、ポリアミド10と10.10、ポリアミド11と11.11、ポリアミド12と12.12並びに6/9、6/10、6/11及び6/12型のそれらの組み合わせがある。
【0049】
ポリカーボネート類は、ポリエチレンカーボネート類、ポリプロピレンカーボネート類、ポリブチレンカーボネート類及びそれらの混合物並びにコポリマー類でもよい。
ポリエーテル類は、70,000と500,000の間の分子量を有するポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリブチレングリコール類、それらのコポリマー類及びそれらの混合物でもよい。
好ましくは、上記ポリマー類(ポリオレフィン類、非-生分解性ポリエステル類、ポリエステル-及びポリエーテル-ウレタン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリアミノ酸類、ポリエーテル類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類及びそれらの混合物)との本発明による組成物のブレンドは、ポリマー類の量により特徴付けられ、本発明と前者それぞれによる混合物の重量の合計に関して、0.5から99重量%の範囲、より好ましくは5から50重量%の範囲内で変動する。
【0050】
本発明よる混合物は、1,500MPaより大きい引張応力を有する少なくとも1つの硬質ポリマーを5-30重量%、好ましくは7-25重量%のブレンド中で有利に使用しうる。
少なくとも硬質ポリマーは、ラメラ構造中又はそれらの混合物中と同様に、更なる分散相として存在しうる。
更なる分散相が考慮される場合に限り、少なくとも硬質ポリマーは、2μm未満、好ましくは1μm未満の平均寸法を有する粒子の均一な分散相を形成する。
粒子の寸法は、でんぷん粒子用の上記測定法により測定される。
硬質ポリマー類の中で、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のようなポリヒドロキシアルカノエート類が特に好適であり、より好ましくは少なくとも75%のL-乳酸又はD-乳酸あるいはそれらの混合物を含み、有利には70,000より大きい分子量Mwを有するポリ乳酸のポリマー類又はコポリマー類である。硬質ポリマー類は、可塑化されていてもよい。
【0051】
ポリ乳酸分散相の選択エッチングは、25℃のエッチング温度で、5分のエッチング時間で、エッチャントとしてアセトンで、有利に行いうる。
本発明によるポリエステル類は、合成源のポリマー類及び上記天然源のポリマー類と共にブレンド中で使用することもできる。でんぷん及びポリ乳酸とポリエステル類の混合物は、特に好適である。
1つ以上の上記種類のポリマー類との本発明によるポリエステルのブレンドは、フィルムの製造に特に好適である。前記ブレンドにより得られたフィルムは、優れた機械特性と同時に、高い耐熱性を有利に示す。
【0052】
PLAと本発明によるポリエステルのブレンドは、特に興味深く、それはPLAポリマー類とコポリマー類の高い相溶性が広い範囲の剛性を備えた材料をカバーでき、特にこれらブレンドは射出成形及び押出しに好適である。
そのようなブレンドの透明性と靭性を改善し、ポリラクチドポリマー類のラメラ構造を低減するか防ぐために、相溶化剤又はタフニング剤として、ポリブチレンスクシネート、及びそれとアジピン酸及び又は乳酸及び又はヒドロキシルカプロン酸とのコポリマー類、ポリカプロラクトン、C2とC13のジオール類とC4からC13の二酸類との脂肪族ポリマー類、ポリヒドロキシアルカノエート類、75と99%の間の加水分解度の範囲のポリビニルアルコール及びそのコポリマー類、0と70%の間、好ましくは0と60%との間の加水分解度の範囲のポリビニルアセテートのような、他のポリマー類を加えることも可能である。特に好適なジオール類は、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール及び、酸類:アゼライン、セバシン、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸及びそれらの組み合わせである。
【0053】
本発明のポリエステルとポリ乳酸の相溶性を最大化するために、本発明の脂肪族-芳香族コポリエステル類と高い親和性を有するブロック及び乳酸ポリマー類又はコポリマー類と親和性を有するブロックを備えたコポリマー類の導入が非常に有用である。特に好適な具体例としては、ポリ乳酸を備えた脂肪族芳香族コポリエステル類のブロックコポリマー類である。そのようなブロックコポリマー類は、2つのオリジナルポリマー類をヒドロキシル基で末端終止し、次いでジイソシアネート類のようなヒドロキシル基と反応しうる鎖延長剤とそのようなポリマー類とを反応させることで得ることができる。具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニル(diphenil)ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等がある。ブレンドのポリマー類が酸基で末端終止される場合、ジ及びポリエポキシド類(例えば、ビスフェノールジグリシジルエーテル類、グリセロールジグリシジルエーテル類)のジビニル誘導体のようなカルボキシル基と反応しうる鎖延長剤を使用することも可能である。カルボジイミド類、ビス-オキサゾリン類、イソシアヌレート類等の鎖延長剤を使用することも可能である。
【0054】
そのようなブロックコポリマー類の固有粘度は、0.3とl.5dl/gの間、より好ましくは0.45とl.2dl/gの間としうる。脂肪族-芳香族コポリエステル類とポリ乳酸のブレンド中の相溶化剤量は、0.5と50重量%の間、より好ましくは1と30重量%の間、より好ましくは2と20重量%との間の範囲としうる。
【0055】
本発明による混合物は、有利に、核剤と、有機及び無機性のフィラーをも配合しうる。
核剤の例としては、タルク、サッカリンナトリウム塩、カルシウムシリケート、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、亜鉛塩、ポルフィリン、塩素、フロリン、ポルホジメチン、ポルホメチン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、ポルフィリノーゲン、ホルビン、アイソタクチックポリプロピレン、低分子量のPLA及びPBTが含まれる。
充填剤の好適な量は、0.5-70重量%、好ましくは5-50重量%の範囲である。
有機充填剤に関して、木粉、たんぱく質、セルロース粉、グレープ残渣、糠、トウモロコシの皮、堆肥、他の天然繊維、ポリオール類のような可塑剤を含むか含まない穀物粗粒を挙げることができる。
【0056】
無機充填剤に関して、サブミクロン寸法、好ましくは500ntn未満、より好ましくは300nm未満、更により好ましくは50nm未満、でラメラ中に分散及び/又は配置(reduce)させうる上記物質を使用可能である。特に好適には、でんぷん及び又は特定のポリエステルと関連しうる分子でも官能化された、ゼオライト類、及びウォラストナイト類、モンモリロナイト類、ハイドロタルサイト類のような種々の種類のケイ酸塩である。そのような充填剤の使用は、剛性、水及びガス透過性、寸法安定性を改善し、透明性を維持しうる。
【0057】
本発明によるポリエステルを含むブレンドは、成分を均一に混合しうる、押出機又は、温度及びせん断条件を与えうる他の機械を用いて製造できる。
前記ブレンドは、OH及び/又はCOOH基と反応しうる基を備える、例えばポリエポキシド類及びポリカルボジイミド類のような、化合物、又は例えばペルオキシド類のような不飽和結合と反応しうる基を備える化合物との反応性押出法により有利に入手可能である。
【0058】
有利に使用できるペルオキシド類の例としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、イソノナノイルペルオキシド、ジ-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ'-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキソナン、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネートのようなジアルキルペルオキシド類及びそれらの混合物の群から選択される。
好ましくは、ペルオキシド類は、0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%、及び更により好ましくは0.1重量%の量で本発明によるポリエステル類に添加しうる。
【0059】
有利に使用しうるポリエポキシド類の例としては、エポキシド化オイル及び/又は商品名ジョンクリル(Joncryl)商標ADRでBASF Resins B.V.により提供された製品のようなスチレン-グリシジルエーテル-メチルメタクリレート、1000と10000の間の分子量の範囲に含まれ、かつ1から30の範囲、好ましくは5から25の範囲の分子あたりのエポキシド類の数を有するグリシジルエーテルメチルメタクリレートからの全てのポリエポキシド類であり、エポキシド類は、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,2-エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシド、及びシクロ脂肪族ジエポキシド、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル2-メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、メタ-キシレンジアミンのテトラグリシジルエーテル及びビスフェノールAのジグリシジルエーテル、並びにそれらの混合物から選択される。
好ましくは、ポリエポキシド類は、2重量%未満、より好ましくは1重量%、及び更により好ましくは0.75重量%の量で本発明によるポリエステル類に添加される。
【0060】
反応性基の反応性を増加させるために、触媒を使用してもよい。ポリエポキシド類の場合、例えば、脂肪酸類の塩が使用できる。ステアリン酸のカルシウムと亜鉛塩が、特に好適である。
有利に使用しうるカルボジイミド類の例としては、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド)、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2',6,6'-テトラ-イソプロピル-ジフェニレンカルボジイミド)、(スタバクゾール(商標)D)、ポリ(2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(スタバクゾール(商標)P-100)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピル-フェニレン-2,4-カルボジイミド)、ポリ(2,6-ジイソプロピル-1,3-フェニレンカルボジイミド)(スタバクゾール(商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12-ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0061】
好ましくは、カルボジイミド類は、1.5重量%未満、より好ましくは0.75重量%、及び更により好ましくは0.5重量%の量で本発明によるポリエステル類に添加される。
ここで、本発明は、いくつかの実施の形態を掲載することにより説明されるが、実施の形態は、本特許により保護される発明の概念の非限定的な実施例を意図している。
【0062】
実施例
実施例1
60モル%のブチレンフランジカルボキシレート単位、10モル%のブチレンテレフタレート単位及び30モル%のブチレンセバケート単位を有するポリ(ブチレンフランジカルボキシレート-コ-ブチレンテレフタレート-コ-ブチレンセバケート)の合成
以下のものを封止機械攪拌器と蒸留物収集用の目盛り付試験管に接続されたウォータークーラーとを取り付けた2つ口の1リットルのガラス反応器に投入した:
2,5-フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD):49.11g(0.267モル)
テレフタル酸のジメチルエステル(DMT):8.63g(0.044モル)
セバシン酸:26.96g(0.133モル)
1,4-ブタノール:55.94 g(0.622モル)。
【0063】
エステル化
ガラス反応器を温度200℃での温度調節式オイルバス中に浸け、400RPMで連続的に攪拌した。
水とメタノールを反応の間で蒸留した。蒸留を1時間続け、その後、テトラオルソブチルチタネート(Tyzor(商標)DuPontにより市販)100ppmをエステル化触媒として添加し、オイルバスの温度を3時間の過程で235℃以上に徐々に上げた。到達した変換率は、反応の間に回収された蒸留物の量と対応する理論上の入手可能量との比として計算され、約87%であった。
【0064】
重縮合フェーズ
続いてウォータークーラーを蒸留物収集用のコード(coded)及び目盛り付試験管に接続されたエアークーラーに置き換え、更に、Tyzor(商標)1000ppmを重縮合触媒として添加した。圧力を約10分の期間かけて1mbarに減少させた。
240℃まで温度を上げながら、反応を4時間に延長した。
ASTM標準D2857-89により、25℃(2g/l)で、クロロホルム中で測定された、0.76dl/gに等しい固有粘度を備えた生成物を得た。
次に、得られた生成物を融点(Tm)の測定に付した。
【0065】
融点(Tm)に関して、以下の熱プロフィールで操作される示差走査熱量計パーキンエルマーダイアモンドを備えた示差走査熱量法(DSC)により3-6mgの試料で測定した:
- -20℃で30秒の熱平衡;
- 20℃/minで-20から200℃へスキャン。
Tmは、スキャンの間の吸熱ピークの最大値として測定し、次の結果を得た:
融点(Tm)=102℃。
ポリマーをASTM D638標準による機械特性に関してと同様にして特徴付けた。
機械特性
破断強さ(MPa) 43
破断点伸び(%) 750
弾性率(MPa) 105
【0066】
実施例2
25モル%のブチレンフランジカルボキシレート単位、45モル%のブチレンテレフタレート単位及び30モル%のブチレンセバケート単位を有するポリ(ブチレンフランジカルボキシレート-コ-ブチレンテレフタレート-コ-ブチレンセバケート)の合成
以下のものを封止機械攪拌器と蒸留物収集用の目盛り付試験管に接続されたウォータークーラーとを取り付けた2つ口の1リットルのガラス反応器に投入した:
2,5-フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD):20.15g(0.110モル)
テレフタル酸のジメチルエステル(DMT):38.24g(0.197モル)
セバシン酸:26.54g(0.131モル)
1,4-ブタノール:55.19 g(0.613モル)。
【0067】
エステル化
ガラス反応器を温度200℃での温度調節式オイルバス中に浸け、400RPMで連続的に攪拌した。
水とメタノールを反応の間で蒸留した。蒸留を1時間続け、その後、テトラオルソブチルチタネート(Tyzor(商標)DuPontにより市販)100ppmをエステル化触媒として添加し、オイルバスの温度を3時間の過程で235℃以上に徐々に上げた。到達した変換率は、反応の間に回収された蒸留物の量と対応する理論上の入手可能量との比として計算され、約86%であった。
【0068】
重縮合フェーズ
続いてウォータークーラーを蒸留物収集用のコード(coded)及び目盛り付試験管に接続されたエアークーラーに置き換え、更に、Tyzor(商標)1000ppmを重縮合触媒として添加した。圧力を約10分の期間かけて1mbarに減少させた。
240℃まで温度を上げながら、反応を2時間に延長した。
ASTM標準D2857-89により、25℃(2g/l)で、クロロホルム中で測定された、0.87dl/gに等しい固有粘度を備えた生成物を得た。
生成物を、実施例1の手順を用いてパーキンエルマーダイアモンド示差走査熱量計で分析し、次の結果を得た:
融点(Tm)=97℃。
ポリマーをASTM D638標準による機械特性に関してと同様にして特徴付けた。
機械特性
破断強さ(MPa) 38
破断点伸び(%) 670
弾性率(MPa) 60
【0069】
実施例3
10モル%のブチレンフランジカルボキシレート単位、50モル%のブチレンテレフタレート単位及び40モル%のブチレンセバケート単位を有するポリ(ブチレンフランジカルボキシレート-コ-ブチレンテレフタレート-コ-ブチレンセバケート)の合成
以下のものを封止機械攪拌器と蒸留物収集用の目盛り付試験管に接続されたウォータークーラーとを取り付けた2つ口の1リットルのガラス反応器に投入した:
2,5-フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD):7.88g(0.043モル)
テレフタル酸のジメチルエステル(DMT):41.56g(0.214モル)
セバシン酸:34.62g(0.171モル)
1,4-ブタノール:53.93g(0.599モル)。
【0070】
エステル化
ガラス反応器を温度200℃での温度調節式オイルバス中に浸け、400RPMで連続的に攪拌した。
水とメタノールを反応の間で蒸留した。蒸留を1時間続け、その後、テトラオルソブチルチタネート(Tyzor(商標)DuPontにより市販)100ppmをエステル化触媒として添加し、オイルバスの温度を3時間の過程で235℃以上に徐々に上げた。到達した変換率は、反応の間に回収された蒸留物の量と対応する理論上の入手可能量との比として計算され、約88%であった。
【0071】
重縮合フェーズ
続いてウォータークーラーを蒸留物収集用のコード(coded)及び目盛り付試験管に接続されたエアークーラーに置き換え、更に、Tyzor(商標)1000ppmを重縮合触媒として添加した。圧力を約10分の期間かけて1mbarに減少させた。
240℃まで温度を上げながら、反応を2時間に延長した。
ASTM標準D2857-89により、25℃(2g/l)で、クロロホルム中で測定された、0.81dl/gに等しい固有粘度を備えた生成物を得た。
生成物を、実施例1の手順を用いてパーキンエルマーダイアモンド示差走査熱量計で分析し、次の結果を得た:
融点(Tm)=107℃。
ポリマーをASTM D638標準による機械特性に関してと同様にして特徴付けた。
機械特性
破断強さ(MPa) 25
破断点伸び(%) 900
弾性率(MPa) 65
実施例1-3による生成物は、高強度膜及び押出被覆生成物の製造に特に適した生成物を与える機械的及び熱的特性を示した。
【0072】
実施例4
30モル%のブチレンフランジカルボキシレート単位、30モル%のブチレンテレフタレート単位及び40モル%のブチレンセバケート単位を有するポリ(ブチレンフランジカルボキシレート-コ-ブチレンテレフタレート-コ-ブチレンセバケート)の合成
以下のものを封止機械攪拌器と蒸留物収集用の目盛り付試験管に接続されたウォータークーラーとを取り付けた2つ口の1リットルのガラス反応器に投入した:
2,5-フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD):23.85g(0.130モル)
テレフタル酸のジメチルエステル(DMT):25.15g(0.130モル)
セバシン酸:34.92g(0.173モル)
1,4-ブタノール:54.56g(0.606モル)。
【0073】
エステル化
ガラス反応器を温度200℃での温度調節式オイルバス中に浸け、400RPMで連続的に攪拌した。
水とメタノールを反応の間で蒸留した。蒸留を1時間続け、その後、テトラオルソブチルチタネート(Tyzor(商標)DuPontにより市販)100ppmをエステル化触媒として添加し、オイルバスの温度を3時間の過程で235℃以上に徐々に上げた。到達した変換率は、反応の間に回収された蒸留物の量と対応する理論上の入手可能量との比として計算され、約89%であった。
【0074】
重縮合フェーズ
続いてウォータークーラーを蒸留物収集用のコード(coded)及び目盛り付試験管に接続されたエアークーラーに置き換え、更に、Tyzor(商標)1000ppmを重縮合触媒として添加した。圧力を約10分の期間かけて1mbarに減少させた。
240℃まで温度を上げながら、反応を2時間に延長した。
ASTM標準D2857-89により、25℃(2g/l)で、クロロホルム中で測定された、0.65dl/gに等しい固有粘度を備えた生成物を得た。
生成物を、実施例1の手順を用いてパーキンエルマーダイアモンド示差走査熱量計で分析し、次の結果を得た:
融点(Tm)=DSC分析で溶融ピークを検出可能でない。
ポリマーをASTM D638標準による機械特性に関してと同様にして特徴付けた。
機械特性
破断強さ(MPa) 11.5
破断点伸び(%) 1100
弾性率(MPa) 13
実施例4による生成物は、弾性バンド及び弾性繊維の製造に特に適した生成物を与える機械的及び流動学的特性を示した。
実施例1-4による生成物を、EN13432規格による生分解試験に付した。全てのポリエステルは、150日後、90%より高いセルロースに関する相対生分解能を示し、この結果として工業的堆肥化において生分解性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのジオール、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸及び少なくとも2つの多官能芳香族酸類から由来する単位を含み、前記単位が:
i 少なくとも1つのフタリック芳香族二酸からの単位1〜99モル%;
ii 再生可能源の少なくとも1つの複素環式芳香族二酸からの単位99〜1モル%;
を含む前記多官能芳香族酸類から由来することを特徴とする生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル。
【請求項2】
前記脂肪族ジカルボン酸類が、C2-C22型である請求項1による生分解性ポリエステル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフタリック芳香族二酸が、テレフタル酸、そのエステル類及び/又はそれらの混合物である請求項1〜3のいずれか1つによる生分解性ポリエステル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの再生可能源の複素環式芳香族二酸が、2,5-フランジカルボン酸、そのエステル類及び/又はそれらの混合物である請求項1〜4のいずれか1つによる生分解性ポリエステル。
【請求項5】
脂肪族ジカルボン酸類から由来する単位の含量が、ジカルボン酸類からの単位の全モル含量に対して、95及び10モル%の間に含まれる請求項1〜4のいずれか1つによる生分解性ポリエステル。
【請求項6】
規格EN13432による生分解性である請求項1〜5のいずれか1つによるポリエステル。
【請求項7】
前記ポリエステルが、1つ以上のポリマー類とブレンドされている請求項1〜6のいずれか1つによるポリエステル。
【請求項8】
前記1つ以上のポリマー類が、二酸-ジオール、ヒドロキシ酸又はポリエステル-エーテル型の生分解性ポリエステル類から選択される請求項7によるポリエステルを含むブレンド。
【請求項9】
前記二酸-ジオール型のポリエステル類が、脂肪族又は脂肪族-芳香族である請求項8によるブレンド。
【請求項10】
前記二酸-ジオールからの生分解性ポリエステル類の量が、1と99重量%の間の範囲内で変動する請求項9によるブレンド。
【請求項11】
前記ヒドロキシ酸型のポリエステル類が、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸及びポリ-D-L-乳酸ステレオコンプレックス、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバレエート、ポリヒドロキシブチレートプロパノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートデカノエート、ポリヒドロキシブチレートドデカノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレートオクタデカノエート及びポリ-3-ヒドロキシブチレート-4-ヒドロキシブチレートから選択される請求項8によるブレンド。
【請求項12】
前記ヒドロキシ酸からの生分解性ポリエステル類の量が、1と99重量%の間の範囲内で変動する請求項11によるブレンド。
【請求項13】
前記1つ以上のポリマー類が、天然源のポリマー類である請求項7によるポリエステルを含むブレンド。
【請求項14】
前記天然源のポリマー類が、でんぷん、セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩類、グルテンのようなプロテイン類、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム類、ロジン酸及びその誘導体、リグニン類及びそれらの誘導体から選択される請求項13によるブレンド。
【請求項15】
前記でんぷんが、分解型やゼラチン化型又はフィラー型である請求項14によるブレンド。
【請求項16】
前記でんぷんが、1μm未満の平均寸法の粒子の均一分散相で存在する請求項14又は15によるブレンド。
【請求項17】
前記1以上のポリマー類が、ポリオレフィン類、非-生分解性ポリエステル類、ポリエステル-及びポリエーテル-ウレタン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリアミノ酸類、ポリエーテル類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類並びにそれらの混合物から選択される請求項7によるポリエステルを含むブレンド。
【請求項18】
前記ポリオレフィン類、非-生分解性ポリエステル類、ポリエステル-及びポリエーテル-ウレタン類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリアミノ酸類、ポリエーテル類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類並びにそれらの混合物の量が、0.5と99重量%の間の範囲内で変動する請求項17によるブレンド。
【請求項19】
前記1以上のポリマー類が、1,500MPaより大きい引張応力を有する硬質ポリマー類から選択される請求項7による組成物を含むブレンド。
【請求項20】
前記硬質ポリマー類の量が、5-30重量%の範囲内で変動する請求項19によるブレンド。
【請求項21】
前記硬質ポリマー類が、2μm未満の平均寸法を有する粒子の均一な分散相を形成する請求項20によるブレンド。
【請求項22】
前記硬質ポリマー類が、少なくとも75%のL-乳酸又はD-乳酸あるいはそれらの混合物を含むポリ乳酸のポリマー類又はコポリマー類である請求項19によるブレンド。
【請求項23】
OH及び/又はCOOH基と反応しうる基又は不飽和結合と反応しうる基を備える化合物との反応性押出法により得られる請求項7による組成物を含むブレンド。
【請求項24】
請求項1〜7のいずれか1つによるポリエステル又は請求項8〜23のいずれか1つによるブレンドを含むフィルム、射出成形製品、押出コーティング、繊維、発泡体、熱成形製品、ゴム、粘着剤、コーティング、ラッカー、熱硬化性樹脂。
【請求項25】
- 1軸-及び2軸延伸フィルム、並びに他の高分子材料で多層化したフィルム;
- 農業分野で使用されるフィルム;
- 食品での使用用、農業でのベール用及び廃棄物包装用のクリングフィルム;
- 有機廃棄物収集用の袋及び容器ライナー;
- 種子粉衣;
- ホットメルト接着剤のような粘着剤;
- 単層及び多層両方の熱成形食品パッケージ;
- 押出コーティング法を使用して得られるコーティング;
- 紙、プラスチック、アルミニウムの層、又は金属化フィルムを備えた多層ラミネート;
- 焼成により得られた部品の製造用の発泡又は発泡性ビーズ;
- 予備発泡粒子を使用して形成された発泡ブロックを含む発泡及び半発泡製品;
- 食品包装で使用するためにそれらから得られた発泡シート、熱成形発泡シート、及びコンテナー;
- 果物及び野菜容器;
- ゲル化、分解及び/又は複合化したでんぷん、天然でんぷん、小麦粉又は野菜、或いは無機天然充填剤との複合品;
- 繊維、マイクロ繊維、PLA、PET、PTTのような硬質ポリマー類により核が構成されかつ本発明の材料によりシェルが構成された複合マイクロ繊維、配合複合繊維、円形からマルチローブまでの異なる断面を有する繊維、ステープルファイバー、織布及び不織布、或いは衛生及び衛生学上の製品並びに農業及び衣料分野に使用されるスパンボンド化又は熱結合させた繊維
の製造用の請求項1〜7のいずれか1つによるポリエステル又は請求項8〜23のいずれか1つによるブレンドの使用。

【公表番号】特表2013−510213(P2013−510213A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537404(P2012−537404)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066901
【国際公開番号】WO2011/054926
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(592081988)ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】