生化学用容器
【課題】 たとえ共焦点顕微鏡観察用に使用できる程度にまで底板の板厚を薄くしても、底板へのうねりの発生を抑えて光の屈折率の変化を抑制することの可能な生化学用容器。
【解決手段】 多数の貫通孔2を有する容器本体1とその容器本体1の底面に貼着されて貫通孔2の底面側を閉口する光透過性の底板3により形成されている生化学用容器で、底板3が複数枚の底板3a,3bに分割され、各分割底板3a,3bが多数の貫通孔2のうちの複数の貫通孔2をそれぞれ閉口するように貼着されている生化学用容器、または、底板の貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されている生化学用容器。
【解決手段】 多数の貫通孔2を有する容器本体1とその容器本体1の底面に貼着されて貫通孔2の底面側を閉口する光透過性の底板3により形成されている生化学用容器で、底板3が複数枚の底板3a,3bに分割され、各分割底板3a,3bが多数の貫通孔2のうちの複数の貫通孔2をそれぞれ閉口するように貼着されている生化学用容器、または、底板の貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されている生化学用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような生化学用容器としては、例えば、マイクロプレートがあり、従来、多数の貫通孔を有する容器本体をポリスチレンで形成し、その容器本体の底面に貼着して貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板を1枚の合成石英板(石英ガラス)で形成して、その合成石英板からなる1枚の底板を容器本体の底面に接着剤で接着して形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−125656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、容器本体の底面に貼着する底板が1枚の合成石英板で形成されていたので、底板の板厚をあまり薄くすると、底板に周期性のある「うねり」が発生して、種々の不都合を生じるという欠点がある。
例えば、底板として板厚が0.3mmのガラス製の板を使用した場合、その0.3mmのガラス製の底板に周期がおおよそ180mmのうねりが発生する。ところが、マイクロプレートの場合、標準的な大きさでも、長辺側が約128mm程度あるため、うねりの山と谷がマイクロプレートの長辺側に完全に収まり、そのうねりの山と谷の高低差が0.04mm程度になる。
【0005】
したがって、このようなうねりが存在する底板を容器本体の底面に接着すると、部分的に接着不良を生じるおそれがあり、また、無理に接着すると、底板にひずみが生じて光の屈折率が変化し、その屈折率の変化が測定誤差発生の原因となるおそれがある。
特に、そのマイクロプレートを共焦点顕微鏡観察用に使用する場合、共焦点顕微鏡の焦点距離は一般的に0.2mm程度と短いため、底板として0.15±0.02mm程度の板厚のものを使用する必要があり、底板のうねりが原因となって共焦点顕微鏡の焦点から外れてしまったり、たとえ焦点範囲内であっても、測定のたびに大きな焦点合わせを毎回行う必要があるなど、種々の問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえ共焦点顕微鏡観察用に使用できる程度にまで底板の板厚を薄くしても、底板へのうねりの発生を抑えて光の屈折率の変化を抑制することの可能な生化学用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、前記底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が前記多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されているところにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、容器本体の底面に貼着されて貫通孔の底面側を閉口する底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されているので、例えば、底板の板厚、および、その板厚において発生するうねりの周期や山と谷の高低差などを考慮して分割底板の面積を決定することによって、たとえ底板の板厚を所望通りに薄くしても、底板へのうねりの発生を抑制することができ、かつ、その各分割底板が複数の貫通孔の底面側を閉口するように貼着されるので、各分割底板がひとつの貫通孔の底面側を閉口する場合に比べて生産効率の向上を図ることができる。
その結果、各分割底板を容器本体の底面に効率良く確実に貼着することができるとともに、底板のうねりに起因する光の屈折率の変化を抑制することができ、測定精度の良い生化学用容器を提供することができるに至った。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は、上記第1の特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板の板厚が0.35mm以下であるところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、底板の板厚が0.35mm以下であるから、光の透過率も良好で精度の良い測定が可能となる。
その反面、底板へのうねりの発生も避けがたいものとなるが、上述したように底板を複数枚の底板に分割することによってうねりの発生を抑制することができるので、精度の良い測定に最適な生化学用容器を提供することができる。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、前記底板の前記貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されているところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成によれば、容器本体の底面に貼着されて貫通孔の底面側を閉口する底板において、その底板の貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されているので、孔閉口部分を所望の板厚に設定した上で、容器本体の底面の面積などを考慮して他の部分の板厚を決定することによって、底板の孔閉口部分におけるうねりの発生を抑えて光の屈折率の変化を抑制することができ、その結果、測定精度の良い生化学用容器を提供することができるに至った。
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、上記第3の特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下で、前記他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚であるところにある。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下であるから、光透過率も良好で精度の良い測定が可能となり、そして、他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚であるから、孔閉口部分におけるうねりの発生も抑制され、制度の良い測定に最適な生化学用容器を提供することができる。
【0015】
本発明の第5の特徴構成は、上記第1〜第4のいずれかの特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板がガラス製の板であるところにある。
【0016】
本発明の第5の特徴構成によれば、底板がガラス製の板であるから、ポリスチレンなどの合成樹脂に比べて化学的に安定しており、生化学用容器の底板として優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による生化学用容器の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の生化学用容器は、図1〜図3に示すように、長方形の光透過性のガラスで形成された板状の容器本体1と、その容器本体1の底面に貼着された長方形の光透過性のガラス製の板からなる底板3,4により形成されている。
容器本体1は、その板厚方向に貫通する多数の貫通孔2を有し、容器本体1の底面に接着剤などで貼着された底板3,4によって各貫通孔2の底面側が閉口されてウェル5が形成されている。
この生化学用容器は、使用目的などに応じて種々の大きさに形成することができるが、一例を示すと、既存のマイクロプレートリーダーの使用が可能なように、長方形の長辺が約128mm、短辺が約86mmで、合計96個のウェル5を有して形成される。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1および図2に示すように、底板3が複数枚の分割底板、例えば、2枚の分割底板3a,3bに分割され、各分割底板3a,3bが、容器本体1に形成された合計96個の貫通孔2のうち、それぞれ48個の貫通孔2の底面側を閉口するように貼着されて、合計96個のウェル5が形成されている。
各分割底板3a,3bの板厚は、0.35mm以下に設定され、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合には、0.15±0.02mm程度に設定される。
【0019】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図3に示すように、底板4が1枚の底板で形成され、その1枚の底板4において、容器本体1に形成された合計96個の貫通孔2に対応する孔閉口部分4aの板厚が、他の部分4bの板厚よりも薄い板厚に形成されている。
この底板4の場合、孔閉口部分4aの板厚は、0.35mm以下に設定され、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合には、0.15±0.02mm程度に設定され、他の部分4bの板厚は、0.35mmより厚い板厚に設定される。一例を挙げると、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合を考慮して、孔開口部分4aの板厚を0.15±0.02mm以下に設定し、他の部分4bの板厚を0.17mm程度に設定して実施することができる。
なお、孔閉口部分4aの板厚は、例えば、エッチングによって他の部分4bの板厚よりも薄くすることが可能であり、そのエッチング処理の時期については、先に底板4にエッチング処理を行って、その後、底板4を容器本体1に貼着することも、また、底板4を容器本体1に貼着した後にエッチング処理を行うこともできる。
【0020】
〔別実施形態〕
(1)第1の実施形態では、底板3を2枚の分割底板3a,3bに分割した例を示したが、底板3を3枚以上の分割底板に分割することもでき、また、各分割底板により閉口する貫通孔2の個数も複数であれば自由に選択することができる。
要するに、底板3の分割枚数や分割底板により閉口する貫通孔2の個数は、生化学用容器の大きさ、ウェル5の個数、底板3の板厚などに応じて適宜選択して実施することができる。
【0021】
(2)第2の実施形態では、底板4を1枚の底板で形成した例を示したが、生化学用容器の大きさ、ウェル5の個数、孔開口部分4aや他の部分4bの板厚などによっては、底板4を2枚以上に分割して実施することもできる。
【0022】
(3)第1および第2の実施形態では、容器本体1をガラスで形成した例を示したが、容器本体1をポリスチレンなどの合成樹脂で形成することもでき、また、底板3,4についても同様で、ポリスチレンなどの合成樹脂で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態による生化学用容器を底面側から見た分解斜視図
【図2】第1の実施形態による生化学用容器の断面図
【図3】第2の実施形態による生化学用容器の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
2 貫通孔
3 底板
3a,3b 分割底板
4 底板
4a 底板の孔閉口部分
4b 底板の他の部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような生化学用容器としては、例えば、マイクロプレートがあり、従来、多数の貫通孔を有する容器本体をポリスチレンで形成し、その容器本体の底面に貼着して貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板を1枚の合成石英板(石英ガラス)で形成して、その合成石英板からなる1枚の底板を容器本体の底面に接着剤で接着して形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−125656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、容器本体の底面に貼着する底板が1枚の合成石英板で形成されていたので、底板の板厚をあまり薄くすると、底板に周期性のある「うねり」が発生して、種々の不都合を生じるという欠点がある。
例えば、底板として板厚が0.3mmのガラス製の板を使用した場合、その0.3mmのガラス製の底板に周期がおおよそ180mmのうねりが発生する。ところが、マイクロプレートの場合、標準的な大きさでも、長辺側が約128mm程度あるため、うねりの山と谷がマイクロプレートの長辺側に完全に収まり、そのうねりの山と谷の高低差が0.04mm程度になる。
【0005】
したがって、このようなうねりが存在する底板を容器本体の底面に接着すると、部分的に接着不良を生じるおそれがあり、また、無理に接着すると、底板にひずみが生じて光の屈折率が変化し、その屈折率の変化が測定誤差発生の原因となるおそれがある。
特に、そのマイクロプレートを共焦点顕微鏡観察用に使用する場合、共焦点顕微鏡の焦点距離は一般的に0.2mm程度と短いため、底板として0.15±0.02mm程度の板厚のものを使用する必要があり、底板のうねりが原因となって共焦点顕微鏡の焦点から外れてしまったり、たとえ焦点範囲内であっても、測定のたびに大きな焦点合わせを毎回行う必要があるなど、種々の問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえ共焦点顕微鏡観察用に使用できる程度にまで底板の板厚を薄くしても、底板へのうねりの発生を抑えて光の屈折率の変化を抑制することの可能な生化学用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、前記底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が前記多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されているところにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、容器本体の底面に貼着されて貫通孔の底面側を閉口する底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されているので、例えば、底板の板厚、および、その板厚において発生するうねりの周期や山と谷の高低差などを考慮して分割底板の面積を決定することによって、たとえ底板の板厚を所望通りに薄くしても、底板へのうねりの発生を抑制することができ、かつ、その各分割底板が複数の貫通孔の底面側を閉口するように貼着されるので、各分割底板がひとつの貫通孔の底面側を閉口する場合に比べて生産効率の向上を図ることができる。
その結果、各分割底板を容器本体の底面に効率良く確実に貼着することができるとともに、底板のうねりに起因する光の屈折率の変化を抑制することができ、測定精度の良い生化学用容器を提供することができるに至った。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は、上記第1の特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板の板厚が0.35mm以下であるところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、底板の板厚が0.35mm以下であるから、光の透過率も良好で精度の良い測定が可能となる。
その反面、底板へのうねりの発生も避けがたいものとなるが、上述したように底板を複数枚の底板に分割することによってうねりの発生を抑制することができるので、精度の良い測定に最適な生化学用容器を提供することができる。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、前記底板の前記貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されているところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成によれば、容器本体の底面に貼着されて貫通孔の底面側を閉口する底板において、その底板の貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されているので、孔閉口部分を所望の板厚に設定した上で、容器本体の底面の面積などを考慮して他の部分の板厚を決定することによって、底板の孔閉口部分におけるうねりの発生を抑えて光の屈折率の変化を抑制することができ、その結果、測定精度の良い生化学用容器を提供することができるに至った。
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、上記第3の特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下で、前記他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚であるところにある。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下であるから、光透過率も良好で精度の良い測定が可能となり、そして、他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚であるから、孔閉口部分におけるうねりの発生も抑制され、制度の良い測定に最適な生化学用容器を提供することができる。
【0015】
本発明の第5の特徴構成は、上記第1〜第4のいずれかの特徴構成を備えた生化学用容器において、前記底板がガラス製の板であるところにある。
【0016】
本発明の第5の特徴構成によれば、底板がガラス製の板であるから、ポリスチレンなどの合成樹脂に比べて化学的に安定しており、生化学用容器の底板として優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による生化学用容器の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の生化学用容器は、図1〜図3に示すように、長方形の光透過性のガラスで形成された板状の容器本体1と、その容器本体1の底面に貼着された長方形の光透過性のガラス製の板からなる底板3,4により形成されている。
容器本体1は、その板厚方向に貫通する多数の貫通孔2を有し、容器本体1の底面に接着剤などで貼着された底板3,4によって各貫通孔2の底面側が閉口されてウェル5が形成されている。
この生化学用容器は、使用目的などに応じて種々の大きさに形成することができるが、一例を示すと、既存のマイクロプレートリーダーの使用が可能なように、長方形の長辺が約128mm、短辺が約86mmで、合計96個のウェル5を有して形成される。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1および図2に示すように、底板3が複数枚の分割底板、例えば、2枚の分割底板3a,3bに分割され、各分割底板3a,3bが、容器本体1に形成された合計96個の貫通孔2のうち、それぞれ48個の貫通孔2の底面側を閉口するように貼着されて、合計96個のウェル5が形成されている。
各分割底板3a,3bの板厚は、0.35mm以下に設定され、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合には、0.15±0.02mm程度に設定される。
【0019】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図3に示すように、底板4が1枚の底板で形成され、その1枚の底板4において、容器本体1に形成された合計96個の貫通孔2に対応する孔閉口部分4aの板厚が、他の部分4bの板厚よりも薄い板厚に形成されている。
この底板4の場合、孔閉口部分4aの板厚は、0.35mm以下に設定され、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合には、0.15±0.02mm程度に設定され、他の部分4bの板厚は、0.35mmより厚い板厚に設定される。一例を挙げると、共焦点顕微鏡観察用に使用する場合を考慮して、孔開口部分4aの板厚を0.15±0.02mm以下に設定し、他の部分4bの板厚を0.17mm程度に設定して実施することができる。
なお、孔閉口部分4aの板厚は、例えば、エッチングによって他の部分4bの板厚よりも薄くすることが可能であり、そのエッチング処理の時期については、先に底板4にエッチング処理を行って、その後、底板4を容器本体1に貼着することも、また、底板4を容器本体1に貼着した後にエッチング処理を行うこともできる。
【0020】
〔別実施形態〕
(1)第1の実施形態では、底板3を2枚の分割底板3a,3bに分割した例を示したが、底板3を3枚以上の分割底板に分割することもでき、また、各分割底板により閉口する貫通孔2の個数も複数であれば自由に選択することができる。
要するに、底板3の分割枚数や分割底板により閉口する貫通孔2の個数は、生化学用容器の大きさ、ウェル5の個数、底板3の板厚などに応じて適宜選択して実施することができる。
【0021】
(2)第2の実施形態では、底板4を1枚の底板で形成した例を示したが、生化学用容器の大きさ、ウェル5の個数、孔開口部分4aや他の部分4bの板厚などによっては、底板4を2枚以上に分割して実施することもできる。
【0022】
(3)第1および第2の実施形態では、容器本体1をガラスで形成した例を示したが、容器本体1をポリスチレンなどの合成樹脂で形成することもでき、また、底板3,4についても同様で、ポリスチレンなどの合成樹脂で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態による生化学用容器を底面側から見た分解斜視図
【図2】第1の実施形態による生化学用容器の断面図
【図3】第2の実施形態による生化学用容器の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
2 貫通孔
3 底板
3a,3b 分割底板
4 底板
4a 底板の孔閉口部分
4b 底板の他の部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、
前記底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が前記多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されている生化学用容器。
【請求項2】
前記底板の板厚が0.35mm以下である請求項1に記載の生化学用容器。
【請求項3】
多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、
前記底板の前記貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されている生化学用容器。
【請求項4】
前記底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下で、前記他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚である請求項3に記載の生化学用容器。
【請求項5】
前記底板がガラス製の板である請求項1〜4のいずれか1項に記載の生化学用容器。
【請求項1】
多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、
前記底板が複数枚の底板に分割され、その各分割底板が前記多数の貫通孔のうちの複数の貫通孔をそれぞれ閉口するように貼着されている生化学用容器。
【請求項2】
前記底板の板厚が0.35mm以下である請求項1に記載の生化学用容器。
【請求項3】
多数の貫通孔を有する容器本体とその容器本体の底面に貼着されて前記貫通孔の底面側を閉口する光透過性の底板により形成されている生化学用容器であって、
前記底板の前記貫通孔に対応する孔閉口部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄い板厚に形成されている生化学用容器。
【請求項4】
前記底板の孔閉口部分の板厚が0.35mm以下で、前記他の部分の板厚が0.35mmより厚い板厚である請求項3に記載の生化学用容器。
【請求項5】
前記底板がガラス製の板である請求項1〜4のいずれか1項に記載の生化学用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−33336(P2007−33336A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219483(P2005−219483)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
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