説明

生化学試料の遠心分離方法

【課題】遠心分離プロトコルと相互作用することができ、また既知の遠心プロトコルと新たなプロトコルとの管理を容易にする。
【解決手段】生化学試料を識別する第1の識別器、識別方法を指定する第2の識別器、前記試料の物理的特性を指定する第1のパラメータ、前記試料の遠心分離に使用するハードウエアを指定する第2のパラメータ、及び前記試料を遠心分離の運転プログラムを指定する第3のパラメータを有する複数のプロトコル記録のデータテーブルを創作する工程と、複数のプロトコル記録を格納する工程であって、プロトコル記録に関する情報をプロトコル記録として前記データベースへの格納工程と、前記複数のプロトコル記録の中からの識別工程と、識別されたプロトコル記録による遠心分離機の稼働工程であって、識別されたプロトコル記録にて前記運転プログラムの検索に前記データベースにアクセスし、検索運転プログラムを前記分離機への送出工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学試料を遠心分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機は、ごく簡単に言えば、試料を入れたロータを、一定の速度で、一定の時間、所定の温度で回転させることによって作動する。しかし、運転プログラム、すなわち、速度、時間及び温度を確定することはそれほど簡単ではない。問題を複雑にするのは、標本の密度、使用するグラジェント(gradient)、希望する分離のタイプ、試料の容量等の様々な要因である。その上、多数の遠心分離機が利用可能であるため、使用する特定の遠心分離機の性能、ロータ、チューブ及びアダプタのタイプをさらに考慮しなければならない。
【0003】
現在の遠心分離機は、関係する試料の特定の遠心分離実験のために運転パラメータ、すなわち、運転プログラムを決定することをユーザに要求する。これには当然、同じ実験条件のためのプロトコルを見出すべく、退屈で時間のかかる文献調査を行うことが含まれる。非常に多数のプロトコルが多くの遠心分離実験のために規定され、まだ開発され続けている。しばしば、ユーザは、希望する実験には類似してはいるものの、その他の点では特殊な仕事に適さないような遠心分離プロトコルを見出すであろう。しかし、次に、所望の実験に適するプロトコル・パラメータを求めて、一連の遠心分離試運転を行う必要がある。
【0004】
遠心分離装置の発展は、典型的に高速遠心分離の過度な応力に耐えられるロータの設計、高性能温度調整式ロータ室、より速い遠心分離速度を可能にする軽量チューブ及びアダプタ設計等のようなハードウエアの性能の改善に向けられてきた。その他の発展は、遠心分離時間の最短縮化に向けられている。例えば、本発明の出願人に譲渡された米国特許第4,941,868 号及び第5,171,206 号は、遠心分離時間の最短縮化を開示している。'868号特許は、沈殿閾値が様々な速度設定に対して到達される経過時間を予測するために、勾配食塩沈降(gradient salt sedimentation) の動的シミュレーションを使用している。これら予測された経過時間の知識があると、遠心分離機の最高速度での運転を可能にし、したがって遠心分離時間を短縮し、同時に勾配食塩(gradient salt) の沈降を避けることができる。'206号特許は、最高のロータ速度を維持すべく、ロータ速度を継続的に調整することによって遠心分離時間を短縮するものである。E.I.デュポン・ド・ヌムールに譲渡された米国特許第5,287,265 号では、入力装置がロータ速度設定の端末送信を容易にするが、ロータ速度設定が2 桁から6 桁までの範囲に及ぶという事実によって生じる不便をアドレス指定に導入する。
【0005】
遠心分離装置におけるこのような発展にもかかわらず、実際の実験遂行のための、正しいプロトコルの探求及び適切な運転プログラムの決定が、未だに研究者の課題となっている。しかし、遠心分離機は、研究者が手近な問題の解決に使用する多数のツールの一つであるため、使用が容易でなければならない。遠心分離機の運転用作動運転プログラムを計算し、実際の実験のために遠心分離機を調整することは、アドレス指定される問題には一般的に関連しない。研究者は、注意をそらしたり、そのために非能率的な傾向のある不必要な細部に負担をかけられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要なことは、遠心分離を行おうとする試料の観点から研究者が遠心分離プロトコルと相互作用をすることができるようにする運転方法及び装置であり、特定の速度の設定やロータの選定ではない。運転方法及び装置は、また、多くの既知の遠心分離プロトコルと新しく開発されたプロトコルの両方の管理を容易にするために必要である。
【解決手段、作用および効果】
【0007】
本発明は、遠心分離機と、複数の遠心分離プロトコルのデータ格納器とを含む。プロトコルは、遠心分離機の運転に関係する全てのデータを含み、それらのデータには、標本の物理的パラメータ、分離方法、遠心分離機及び関係するハードウエアの特性、及び、運転プログラム等が含まれる。プロトコルは、遠心分離機のハードウエア要素の使用に関する説明、プロトコルに関する個人観察の記録等のために用いる音声フィールド又は映像フィールドを含むことができる。好ましい実施例においては、プロトコル記録は、ユーザによるアクセスのためにデータベースに記録すなわち格納される。商業的に入手可能のデータベース・システムを使用してもよい。
【0008】
データベース・インターフェースは、ユーザが、所望のプロトコルを探索し、プロトコルを選択し、選択したプロトコルを使用する遠心分離運転を開始することを可能にする。ユーザ・インターフェースは、ユーザが所望のプロトコルのためにデータベースを探索することを可能にする。さらに、ユーザ・インターフェースは、探索、又は、存在するプロトコルの修正のいずれかにより、ユーザがプロトコルを規定することを可能にする。
【0009】
コントローラ手段は、選択されたプロトコル記録から運転プログラムを得るための、プロトコル・データベースと遠心分離機との間のデータリンクを提供する。コントロール手段は、選択されたプロトコル記録を得るべくデータベースをアクセスする。運転プログラムは、次いで、遠心分離機の運転に使用される。従って、プロトコル・データベースは、研究者が使用する特定のハードウエアの詳細を考慮することなく、探索に集中することを可能にする。
【0010】
好ましい実施例は、また、狭域ネットワーク(LAN)及び広域ネットワークにアクセス(WAN)することを含む。従って、2以上のパーソナル・コンピュータ(PS)は、LANを通して単一のプロトコル・データベースを分配することができる。データベースは、1つのPC、ファイルサーバとして作用する別のPC、又は、分配されたデータベースとしての多数のPCに存在させることができる。インターネットのようなWANへのアクセスは、遠隔のデータベースが全ての既知のプロトコル用中央ライブラリーとして作用することを可能にする。そのようなデータベースは、分割したデータベースを局所位置に支持しかつ維持する負担を軽減し、又は、局所的に維持されたプロトコル・データベースに対する補足として作用する。他の実施例においては、コントローラ手段は、2以上のPSによりLANを通してアクセスすることができ、また、2以上の遠心分離装置を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数の構成要素を接続した本発明に係る遠心分離方法の実施に用いる遠心分離装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明に従うプロトコル記録の一実施例を示す図である。
【図3】本発明のソフトウエアの一実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明に従って遠心分離機を運転するためのシーケンスの一実施例を示すフローチャートである。
【図5】プロトコル記録を補足する追加のファイルの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
10 遠心分離装置
100〜104 遠心分離機
110〜114 パーソナルコンピュータ(PS)
120 広域ネットワーク(WAW)
130 データ線
140 データベース
142a,142b 遠隔のデータベース
150 プリンタ
200 プロトコル記録
201 運転プログラム・ステップ
304a,304b ユーザ・インターフェース
202,204,206,208,210 追補ファイル
220,222,224,226,228,232,234 リンク
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照するに、本発明の遠心分離方法の実施に用いる遠心分離装置は、データ線130を介してパーソナル・コンピュータ(PC)110に結合された遠心分離機100を含む。1つの実施形態において、データ線130は、PC110の直列ポートを遠心分離機100の直列インターフェースに接続するRS−232ケーブルであってもよい。しかし、本発明は、汎用インターフェースバス(GPIB)として知られている標準の計装インターフェースのような他の標準接続手段を用いても同様に作用させることができる。
【0014】
1つのPC110が2以上の遠心分離機100〜104と通信する形態であってもよい。これの代わりに、2以上のPC110〜114が1又は2以上の遠心分離機にアクセスする形態としてもよい。一般に、PCが遠心分離機と通信して制御するように、多くのPC及び多くの遠心分離機がネットワーク配置に接続される。そのような適用において、データ線130は、イーサーネット、10ベースT(10Base-T)、トークンリング等の、狭域ネットワーク(LAN)の主要要素であってもよい。使用する主要要素のタイプに依存して、複数のPC及び複数の遠心分離機は、全機器にわたって通信することができるように必要なハードウエアを組み込んでいる。そのようなハードウエアは、関係する技術分野における当業者の理解の範囲内にあるものと考慮される。
【0015】
本発明の一実施例においては、プロトコル・データベースは単一のPC内に含まれている。図1に示す実施例は、ネットワークを通してアクセスされるプロトコル・データベース140を示す。この場合、データベース140は、PC110〜114のそれぞれからデータベースにアクセスすることができるファイルサーバである。また、図1はネットワークを通してアクセスすることができるプリンタ150を示す。
【0016】
図1は、さらに、通信線132を通してアクセスすることができる広域ネットワーク(WAN)120を示す。遠隔のデータベース142a,142bは、ローカルのデータベース140に比べ、広域ネットワーク120を通してアクセスされる。例えば、通信線132は、統合サービスデジタル網(ISDN)であってもよく、また、データベース142a,142bはワールドワイドウエブ(word wide web) のウエブページ(web page)であってもよい。これの代わりに、データベースは、電話回線を通してアクセスされるとともに、遠心分離プロトコルの探索をしかつダウンロードをするための電話回線網及びFTP通信プロトコルを使用する遠隔のコンピュータに配置されていてもよい。遠隔のデータベースは、どこかの研究者により開発された公知のプロトコルの統合(中央)ライブラリーとして使用することができる。これとは逆に、研究者は彼自身の使用のためにプロトコルの探索及びダウンロードをするために統合化データベースに対し、ダイヤルしてもよいし、他の方法でアクセスしてもよい。
【0017】
図2A及び図2Bは、本発明に従うプロトコル記録の典型的なフィールドの一例を示す。プロトコル名は、プロトコル記録と一致している。創作者は、プロトコルを開発した1以上の人と一致している。試料材料(サンプル材料)のフィールドは、分析する生物化学試料と一致している。最適化基準は、達成される分離特性又は属性に関する。充分に多量のサンプルを利用することができる確実な実験のためには、重要な最大の要素が十分に分離されるならば、幅広い分離境界での分離となる短いスピン時間が許容される。しかし、少量のサンプルしか得られない場合は、満足する分離を達成するために長いスピン時間を必要とする。それゆえに、最適化基準のフィールドは、サンプルのスピン時間の粗い識別を提供する。分離方法及びグラジェント(gradient)のフィールドは、実行する分離の種類を指定している。典型的な分離方法は、等密度及び小球化のプロトコルを含むが、これに限定されない。等密度分離のような確実な分離プロトコルは、密度傾斜解法を必要とする。これらの場合、プロトコル記録のグラジェントのフィールドは、使用する傾斜解法と一致している。
【0018】
遠心分離機、ロータ、チューブ及びアダプタのフィールドは、プロトコル記録に説明された遠心分離実験のためのハードウエアを指定する。遠心分離機のフィールドは、遠心分離機の種類又はモデルを特定する付加的な識別サブフィールドを含んでいてもよい。識別サブフィールドは、装置が1以上の遠心分離機を備える形態であるときに使用されて、特定の遠心分離機を識別するように作用する。
【0019】
運転プログラムは、遠心分離試験の速度及び期間を記載している。運転プログラムは、また、ロータ室の設定温度を記載している。確実なアプリケーションにおいて、サンプルは、遠心分離工程の間、多数の速度及び温度の設定値を通して処理される。図2Bは、基本的なプロトコル記録200の拡張として、運転プログラム・ステップの付加を示している。図2(B)から明らかなように、運転プログラムのフィールドからのリンクは、運転プログラム・ステップ201と一致しており、プロトコル記録により規定される分離のための測定の複数の、速度、期間及び温度の設定値を順に記載している。
【0020】
本発明のソフトウエアを図3に示すブロック図に関連して説明する。データベース・インターフェース300は、プロトコル記録の、新設、修正及び削除、プロトコル記録を位置付けるための検索能力、及び、データの完全性を確実にするための記録ロッキングのようなプロトコル・データベース140をアクセスするためのユティリティーを提供する。
【0021】
コントローラ302は、遠心分離機100〜104に対する制御及び監視のアクセスをする。コントローラ302は、また、選択されたプロトコル用の運転プログラム・ステップ201(図2)を検索するためにデータベース140に対してアクセスし、次いで遠心分離機に送る。コントローラは、また、情報が利用できるならば、遠心分離機100〜104からのステイタス情報を検索することができる。たとえば、現在のロータ速度及び温度の読み取りは、遠心分離機から得ることができる。この場合、コントローラ302は、情報のために遠心分離機を周期的に呼び出しポーリングをする。
【0022】
コントローラ302は、通常の直列又は並列ポート及び計装固有のバスアーキテクチァを含む1以上のチャンネルを介して遠心分離機と通信することができる。通信チャンネルの個々の形は重大ではない。従って、高周波リンク(ラジオリンク)、赤外線リンク、又は、他のワイヤレス・チャンネルも等しく用いることができる。使用する中心チャンネルの個々の種類は、遠心分離機のインターフェース能力の機能をより高める。図3に示すコントローラ302は、各遠心分離機用のコントローラを形成することができるが、1以上の遠心分離機を稼働させる機器構成とされている。
【0023】
ユーザ・インターフェース304a,304bは、装置に対するユーザのアクセスを提供する。一例において、ユーザ・インターフェース304aは、データベース・インターフェース300を経るプロトコル記録データベース140へのアクセスを提供する。ユーザ・インターフェース304aは、ユーザがプロトコル記録を、創作し、修正し、及び、削除することを許す。加えて、ユーザ・インターフェースは、ユーザがプロトコル記録の個々のフィールドを探索することを許す。データテーブル140が商業的に得ることができるデータテーブルの1つである場合には、ユーザ・インターフェース304aは、データテーブルにより提供される使用ユーザ・インターフェースツールを実行するのに好ましい。しかし、これはこのケースでは必要でない。データテーブルをアクセスする他のユーザ・インターフェースも等しく用いることができる。例えば、ユーザ・インターフェースは、エキスパート・システムであってもよい。これは、エキスパート・システムがプロトコル記録を容易に規定すべく、及び、ユーザの要求に適したプロトコル記録を位置付けるべく、一連の疑問及び提案を通してユーザを案内するという利点を有する。ユーザ・インターフェースの他の特徴は、例えば、選択されたハードウエアが分離方法と両立することをユーザ・インターフェースで確認すること、のような一貫性検査を含む。
【0024】
ユーザ・インターフェース304a,304bは、コントローラ302と通信する。コントローラは、プロトコル記録の基準、すなわち、選択されたプロトコル記録に対応する運転プログラム・ステップ201のリスト又はプロトコル名(図2)のいずれかをユーザ・インターフェースから入手している。これとは逆に、コントローラは、遠心分離機から得られたステイタス情報をユーザに運ばれるべきユーザ・インターフェースに送り返してもよい。ユーザ・インターフェースは、また、遠隔プロトコル記録データベース142a,142bをアクセスするために、広域ネットワークに対するアクセスを含む。
【0025】
図3のユーザ・インターフェース304a,304bはブロックで示されているが、ユーザ・インターフェースを単一のハードウエア・モジュールで構成しなくてもよい。多くの個々のプログラムがユーザ・インターフェースを含むことは可能である。例えば、データベースの特定のユーザ・インターフェースは、ターミナル通信パッケージ又はウエブ検索(web browser) をネットワークのアクセス用に使用するようなネットワークアクセスソフトウエア及びデータベースアクセスのために用いてもよい。
【0026】
図3に示すソフトウエア要素は単一のワークステーション内で遂行するように提供することができる。従って、ユーザ・インターフェース304a、データテーブル140,300及びコントローラ302は、PCで実行するオペレーティング・システム(OS)の能力に依存して、独立した複数の実効プロセス又は単一のプロセスのように、単一のPCに存在させてもよい。他方、ソフトウエア要素は、狭域ネットワーク(図1)上の多数のPCのそれぞれに完全に分配してもよい。例えば、データテーブル140,300は、ユーザ・インターフェース304a,304bを実行するワークステーションにネットワークにより接続されるファイルサーバに存在させてもよい。同様に、コントローラ302は、分離機械で遂行させてもよいし、ファイルサーバと共存させてもよい。他の形態は、当業者にとって容易に得ることができるし、同様に動作する。特殊な形態は本発明の作動に重要ではないが、その作動はOSの能力に大きく依存する。
【0027】
本発明の典型的なオペレーションを、図4に示すフローチャート400に関連して説明する。先ず、ユーザは、ユーザ・インターフェースを介してプロトコル記録データベース140,142a,142bをアクセスしてプロトコル記録を指定する(ステップ402)。プロトコル記録の選択は、図2(A)に示すプロトコル記録のフィールドのいずれかをキー等により選択することができる。従って、ユーザはDNAの等密度分離のために探索してもよい。探索基準(search criteria)は、“サンプル材料=DNA”及び“分離方法=等密度”から構成することができる。探索は、“グラジェント=サッカロース”をさらに選択することにより狭めてもよい。一般的には、いくつかのフィールド又はフィールドの結合は、特定のプロトコルを位置付ける試みにおいて探索される。
【0028】
次いで、プロトコル記録を選択すると、ユーザは、そのプロトコル記録をコントローラ302に通信する。次いで、コントローラは、指定されたプロトコル記録を得るべくデータテーブル140にアクセスする(ステップ404)。次いで、対応する運転プログラム・ステップ202がコントローラによりアクセスされる(ステップ406)。これらの代わりに、ステップ404,406は、指定されたプロトコル記録をコントローラで最初にアクセスすることなく、ラン・タイム記録をアクセスすることができるならば、効果的に結合される。さらに他の方法として、ユーザ・インターフェースのために、ラン・タイム記録を受け、それをコントローラ302に送るようにしてもよい。
【0029】
プロトコルに依存して、1以上の運転プログラム・ステップ201は、遠心分離動作を完全に指定することを必要としてもよい。コントローラ302は、各運転プログラム・ステップを入手し、速度、時間及び温度の設定値を遠心分離機に送出する(ステップ408)。次いで、遠心分離機は、指定された設定値に従って遠心分離動作を開始する(ステップ410)。次いで、コントローラは、指定された期間が経過するまで、次の運転プログラムが回復される点で(ステップ414,406)、中休みをする(ステップ412a)。全ての運転プログラム・ステップが実行されると、遠心分離作業は終了する。
【0030】
コントローラ302は、また、その現在のオペレーティング・ステイタスのために遠心分離機をポーリングすることが可能になり、遠心分離機がまた能力を備えられたと考慮する。遠心分離動作の各プログラム・ステップの始め及び終わり付近で遠心分離機の現在の速度及び温度を知るように利用してもよい。また、遠心分離機が正しく作動していることを確実にすべく現在の状態を監視するように利用してもよい。図4は、コントローラが現在の動作状態のために遠心分離機にポーリングをするポーリング・ステップ412bを仮想的に示している。この情報は、ユーザに表示するためにユーザ・インターフェースに送出してもよいし、またファイルに記憶してもよい。遠心分離機のキャリブレーションに応じては、ポーリング・ステップを実行しなくてもよい。
【0031】
本発明の好ましい実施例においては、図2(A)に示すプロトコル記録のフィールドのいずれかを補充する付加的な情報を含む。図5は、複数のプロトコル記録200を示す。各プロトコル記録のために、遠心分離機、ロータ、チューブ及びアダプタのフィールドは、プロトコルのために使用された特定のハードウエアに特有の情報を含む他のフィールドにそれぞれ結合されている。例えば、遠心分離機のフィールドは、特定の遠心分離機に特有の情報を含む複数の遠心分離機・ファイル202の1つに結合されるリンク220を含む。ロータのフィールドは、複数のロータ・ファイル204の1つに結合されるリンク222を含む。チューブのフィールドは複数のチューブ・ファイル206の1つに結合されるリンク224を含み、アダプタのフィールドは複数のアダプタ・ファイル208の1つに結合されるリンク226を含む。
【0032】
これら追補のファイル202〜208は、テキスト及び音声/映像ファイルのいくつかの組み合わせから構成されている。それらは、個々のハードウエアの取り扱い法を説明する情報を提供する。遠心分離機・ファイル202は、例えば、分離機への試料の装填法、分離機特有の特徴、分離機のオペレーション等を説明する映像及び音声クリップを含む。チューブ及びアダプタ・ファイル206及び208は、ハードウエアを遠心分離機にローディングする方法、及び、識別目的のためのハードウエアの情報を含んでいてもよい。
【0033】
追補ファイル202〜208のいくつかは、他の追補ファイルに結合されるリンクを含む。例えば、各遠心分離機・ファイル202は、個々の遠心分離機で使用するロータを識別するように、ロータ・ファイル204へのリンク232を有していてもよい。同様に、各ロータ・ファイル204は、分離機で使用するチューブ及びアダプタを識別するように、チューブ・ファイル206又はアダプタ・ファイル208へのリンク234を有していてもよい。チューブフィルタは、アダプタフィルタへのリンク236を有していてもよい。これらのファイルは、プロトコル記録の定義段階の間、特に有効である。追補ファイル202〜208は、ユーザ・インターフェースがハードウエアの有用性及び両立性のような情報をユーザに提供することを許し、従ってユーザによる推測作業を除去する。
【0034】
図5は、リンク228を介してプロトコル記録からアクセスすることができるファイルの付加セットを示す。これらのファイルは、一般的な補助ファイルであり、装置の使用に関する情報を含む。実際上、プロトコル記録の各フィールドは、追補のために遠心分離機のセットアップを補助すべく原文に従った視聴覚情報を提供するように、1以上の追補ファイルと共同させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生化学試料を識別する第1の識別器、識別方法を指定する第2の識別器、前記生化学試料の物理的特性を指定する第1のパラメータ、前記生化学試料の遠心分離に使用するハードウエアを指定する第2のパラメータ、及び前記生化学試料を遠心分離する運転プログラムを指定する第3のパラメータをそれぞれ有する複数のプロトコル記録のデータテーブルを創作する工程と、
複数のプロトコル記録を格納する工程であって、プロトコル記録に関する情報のためにユーザにより提供された内部の一貫性を確実にし、前記情報をプロトコル記録として前記データベースに記録することを含む格納工程と、
前記複数のプロトコル記録の中からプロトコル記録を識別する工程と、
識別されたプロトコル記録に従って遠心分離機を稼働させる工程であって、識別されたプロトコル記録に従って前記運転プログラムを検索すべく前記データベースにアクセスし、検索された運転プログラムを前記遠心分離機に送出することを含む工程とを含む、生化学試料の遠心分離方法。
【請求項2】
前記格納する工程は、さらに、広域ネットワークを介して通信し、遠隔のデータベースにアクセスし、前記遠隔のデータベースからプロトコル記録をダウンロードすることを含む、請求項1に記載の遠心分離方法。
【請求項3】
前記格納する工程は、さらに、前記プロトコル記録と共同するハードウエアに関する視聴覚ファイルを選択し、選択された視聴覚ファイルを前記遠隔のデータベースからダウンロードすることを含む、請求項1に記載の遠心分離方法。
【請求項4】
前記プロトコル記録を識別する工程は指定された生化学試料の遠心分離に使用するハードウエアに関する視聴覚情報を表示することを含む、請求項3に記載の遠心分離方法。
【請求項5】
前記プロトコル記録を識別する工程は生化学試料及びその分離方法を指定することを含む、請求項1に記載の遠心分離法。
【請求項6】
前記プロトコル記録を識別する工程は、さらに、前記生化学試料の1以上の物理的特性を指定することを含む、請求項5に記載の遠心分離方法。
【請求項7】
前記遠心分離機を稼働させる工程は、さらに、少なくとも第1及び第2の遠心分離機を選択することを含む、請求項1に記載の遠心分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−60566(P2010−60566A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253670(P2009−253670)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【分割の表示】特願平10−25175の分割
【原出願日】平成10年1月23日(1998.1.23)
【出願人】(591028256)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】BECKMAN COULTER,INCORPORATED
【Fターム(参考)】