説明

生地、ストレッチ衣料及び肌着

【課題】優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することができ、かつ、紫外線による強度の低下を大幅に抑制することが可能な生地、ストレッチ衣料及び肌着を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマーからなる繊維と、ポリウレタンからなる繊維との編み組織からなる生地であって、前記ポリウレタンからなる繊維の混率が5〜35重量%であり、かつ、熱可塑性エラストマーからなる繊維は繊度が20〜100デシテックスである生地。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することができ、かつ、紫外線による強度の低下を大幅に抑制することが可能な生地、ストレッチ衣料及び肌着に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、夏季用の肌着として、清涼感に優れた繊維及び該繊維を用いた繊維製品が研究されている。このような接触冷感に優れた繊維を得る方法としては、従来は、例えば、繊維の吸水性を向上させたり、繊維の熱伝導性を向上させたりする方法等が行われていた。
吸水性を向上させた繊維としては、例えば、カルボキシル基や水酸基等の親水性基を導入した樹脂からなる繊維等が挙げられる。
熱伝導性を向上させた繊維としては、例えば、熱伝導性の高いフィラーを練り込んだ樹脂からなる繊維や表面にメッキ処理を施した繊維等が挙げられる。
しかし、このような繊維を用いた場合、確かに理論的には接触冷感が得られることが期待できるものの、実際にヒトによる官能試験を行うと、ほとんど未処理のものと変わるところがなく、接触冷感を実感できることはなかった。
【0003】
これに対して、特許文献1及び特許文献2には、ポリアミドエラストマーを含有する繊維が開示されている。
これらの繊維では、清涼感を与える機能の他にも、常湿下では吸水せずサラリとしている一方で、汗をかいて高湿状態になったときには汗を素早く吸水できるという吸放湿特性に関する機能;吸水した汗を素早く拡散して乾燥する拡散特性に関する機能等を有しており、接触冷感、吸放湿特性及び拡散特性のバランス良く実現することが可能となっている。
【0004】
しかしながら、これらの繊維は長時間の天日干しを繰り返し行ったり、長時間の炎天下での使用を継続したりする際等において強力が低下する傾向があり、そのような過酷な使用環境にさらされる場合には問題となる場合がある。
特に近年、スポーツウェア用途向け等の高度な機能要求に応えるため、紫外線による強度低下対策が従来よりも高いレベルで求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−270075号公報
【特許文献2】特開2005−036361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することができ、かつ、紫外線による強度の低下を大幅に抑制することが可能な生地、ストレッチ衣料及び肌着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱可塑性エラストマーからなる繊維と、ポリウレタンからなる繊維との編み組織からなる生地であって、前記ポリウレタンからなる繊維の混率が5〜35重量%であり、かつ、熱可塑性エラストマーからなる繊維は繊度が20〜100デシテックスである生地である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、接触冷感に優れた熱可塑性エラストマーからなる所定の繊度を有する繊維に、更にポリウレタンからなる繊維を所定の混率で加えて編成することにより、紫外線による強度劣化を抑制することができ、優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することが可能となることから、特にストレッチ衣料、肌着等の衣料に好適に使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の生地は、接触冷感に優れた熱可塑性エラストマーからなる繊維を有する。
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維は、着用時に直接肌に接したときにヒヤリとした感覚を惹起し、清涼感を与えることができる。
【0010】
上記熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアミド系エラストマーとしては特に限定されず、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリエステルアミド共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらのポリアミド系エラストマーのうち市販されているものとしては、例えば、ペバックス(アルケマ社製)、UBEナイロン(宇部興産社製)、グリロンELX、グリルアミドELY(以上、エムス昭和電工社製)、ダイアミド、ベスタミド(以上、ダイセル・デクサ社製)等が挙げられる。
【0011】
上記熱可塑性エラストマーのなかでも、下記式(1)で表されるポリエーテルブロックアミド共重合体は、極めて優れた帯電防止効果が得られること、紡糸性に優れること、及び、比重が小さく、軽い生地や肌着を作製できることから特に好適である。このようなポリエーテルブロックアミド共重合体のうち市販されているものとしては、例えば、ペバックス(アルケマ社製)等が挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
式(1)中、PAはポリアミドを表し、PEはポリエーテルを表す。
【0014】
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維は、一般に、べたつき感があり紡糸も困難である場合がある。このような場合には、他の樹脂と併用してもかまわない。
【0015】
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維は、本発明の効果を損なわない範囲で、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
【0016】
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維は繊度が20〜100デシテックスである。好ましくは25〜95デシテックス、より好ましくは30〜90デシテックスである。20デシテックスよりも繊度が小さくなると、充分な接触冷感が得られにくくなり、100デシテックスより繊度が大きくなると生地の耐光性が落ちる。
【0017】
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維が、上記熱可塑性エラストマー以外の他の樹脂を含有する場合には、これらの樹脂の混合物を紡糸してなるものであってもよいし、コンジュゲート繊維であってもよい。
上記他の樹脂としては特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、PET、PBT、PTT等のポリエステル系樹脂、レーヨン、アクリル等が挙げられる。なかでも、ポリアミド系樹脂が好適である。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記コンジュゲート繊維は特に限定されず、例えば、芯鞘型コンジュゲート繊維、サイドバイサイド型コンジュゲート繊維、放射型コンジュゲート繊維、中空環状型コンジュゲート繊維等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマーからなる繊維が上記芯鞘型コンジュゲート繊維である場合、芯部に上記熱可塑性エラストマー、鞘部に上記他の樹脂を用いてもよいし、芯部に上記他の樹脂、鞘部に上記熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
【0019】
上記芯鞘型コンジュゲート繊維の形状は特に限定されず、例えば、繊維の長さ方向に対して垂直に切断した場合の断面形状が真円のものであってもよいし、楕円等であってもよい。また、芯部と鞘部とが同心円状に形成された同心芯鞘型コンジュゲート繊維であってもよく、芯部と鞘部とが偏心的に形成された偏心芯鞘型コンジュゲート繊維であってもよい。更に、鞘部の一部が開口した部分開口芯鞘型コンジュゲート繊維であってもよい。加えて、繊維の長さ方向に対して垂直に切断した場合に芯部が複数存在するような構造であってもよい。
【0020】
本発明の生地は、ポリウレタンからなる繊維を有する。
上記ポリウレタンからなる繊維としては、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオールをジオール成分とし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とし、エチレンジアミン等をジアミン成分とするポリエーテル系ポリウレタン繊維や、ポリカプロラクトンやアジピン酸/1,6ヘキサンジオール/ネオペンチルグリコールからなるポリエステル等からなるポリエステルジオールとブタンジオール等の脂肪族ジオール等をジオール成分とし、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とするポリエステル系ポリウレタン繊維、分子中にウレア結合を有するポリウレタン繊維等を使用することができる。
【0021】
本発明の生地では、ポリウレタンからなる繊維の混率の下限が5重量%、上限が35重量%である。混率を上記範囲内とすることで、上記熱可塑性エラストマーからなる繊維が有する高い接触冷感を低減させることなく、紫外線による強度劣化を効果的に抑制することが可能となる。
上記混率が5重量%未満であると、紫外線による強度劣化の抑制効果を充分に発現することができず、35重量%を超えると、上記熱可塑性エラストマーからなる繊維が有する接触冷感性を低下させる。上記ポリウレタンからなる繊維の混率の好ましい下限は5.5重量%、好ましい上限は30重量%である。
【0022】
本発明の生地は、熱可塑性エラストマーからなる繊維と、ポリウレタンからなる繊維とをベア天竺編みで編成したものであることが好ましい。これにより、接触冷感が極めて高くなるとともに、生地の耐光性が非常に優れたものとなる。
更に、本発明の生地は、プレーティング編みで編成されていることが好ましい。
【0023】
本発明の生地は、qmax値が0.2J/sec/cm以上であることが好ましい。
max値は、一定面積、一定質量の熱板に所定の熱を蓄え、これが試料表面に接触した直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱流量のピーク値である。qmax値は、着衣したときに試料に奪われる体温をシミュレートしていると考えられ、qmax値が大きいほど着衣時に奪われる体温が大きく、接触冷感が高いと考えられる。qmax値が0.2J/sec/cm未満であると、官能試験を行っても大半の人が接触冷感を感じない。より好ましくは0.21J/sec/cm以上、更に好ましくは0.22J/sec/cm以上である。特に好ましくは0.24J/sec/cm以上である。
【0024】
本発明の生地を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記熱可塑性エラストマーを含有するペレットを用いて溶融紡糸を行う方法等の従来公知の方法を用いて、熱可塑性エラストマーからなる繊維を作製した後、ポリウレタンからなる繊維と所定の混率で編成することにより製造することができる。
また、上記他の樹脂を用いたコンジュゲート繊維を用いる場合は、熱可塑性エラストマーを含有するペレット、及び、上記他の樹脂を含有するペレットを複合紡糸装置に投入し、溶融紡糸することにより、コンジュゲート繊維を得る方法等が挙げられる。
【0025】
本発明の生地を用いてなるストレッチ衣料や、本発明の生地を用いてなる肌着もまた、本発明の1つである。これらの用途に使用した場合、特に本発明の効果を充分に発揮することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することができ、かつ、紫外線による強度の低下を大幅に抑制することが可能な生地、ストレッチ衣料及び肌着を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が50デシテックス(24フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度33デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=76.9:23.1となる生地(目付:151.8g/m)を作製した。
【0029】
(実施例2)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が90デシテックス(34フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度33デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=84.1:15.9となる生地(目付:202.5g/m)を作製した。
【0030】
(実施例3)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が40デシテックス(12フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度33デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=71.0:29.0となる生地(目付:136.6g/m)を作製した。
【0031】
(実施例4)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が90デシテックス(34フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度44デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=79.8:20.2となる生地(目付:219.7g/m)を作製した。
【0032】
(実施例5)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が70デシテックス(24フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度11デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=94.5:5.5となる生地(目付:158.2g/m)を作製した。
【0033】
(実施例6)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が30デシテックス(12フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度11デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=84.1:15.9となる生地(目付:105.4g/m)を作製した。
【0034】
(比較例1)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が120デシテックス(34フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸及びポリウレタンからなる糸(繊度33デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率が熱可塑性ポリアミド系エラストマー糸:ポリウレタン糸=87.8:12.2となる生地(目付:244.2g/m)を作製した。
【0035】
(比較例2)
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス MV1041SA01」)100重量部と酸化チタン(堺化学工業社製、「D−918」)5重量部を溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度が120デシテックス(34フィラメント構成)の糸を得た。得られた熱可塑性ポリアミド系エラストマーからなる糸を用いてフライス編成となるように編み立てを行うことにより生地(目付:152.4g/m)を作製した。
【0036】
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレートからなる糸(繊度110デシテックス、36フィラメント構成)及びポリウレタンからなる糸(繊度22デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率がポリエチレンテレフタレート糸:ポリウレタン糸=89.5:10.5となる生地(目付:104.8g/m)を作製した。
【0037】
(比較例4)
ナイロンからなる糸(繊度77デシテックス、34フィラメント構成)及びポリウレタンからなる糸(繊度22デシテックス)を用いてベア天竺編成となるように編み立てを行い、混率がナイロン糸:ポリウレタン糸=83.4:16.6となる生地(目付:145.6g/m)を作製した。
【0038】
(比較例5)
ポリエチレンテレフタレートからなる糸(繊度110デシテックス、36フィラメント構成)を用いて天竺編成となるように編み立てを行うことにより生地(目付:108.7g/m)を作製した。
【0039】
(比較例6)
綿からなる糸(繊度約118デシテックス)を用いてフライス編成となるように編み立てを行うことにより生地(目付:151.9g/m)を作製した。
【0040】
(評価)
実施例及び比較例で得られた生地について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
【0041】
(1)qmax値の測定
20.5℃の温度に設定した試料台の上に各生地を置き、生地の上に32.5℃の温度に温められた貯熱板を接触圧0.098N/cmで重ねた直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱量のピーク値を測定した。測定には、サーモラボII型精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製)を用いた。
【0042】
(2)生地破裂強度保持率
実施例及び比較例で得られた生地を20cm×20cmにカットして試料とし、この試料を20cm×20cmの白い厚紙に貼り付けた。次いで、フェードメーター(スガ試験機社製、紫外線オートフェードメーターU48AUB)を用いて、試料に30時間フェード照射を行った。その後、得られた試料について、JIS L 1018A法に準拠した方法で生地破裂強度を測定した。
そして、フェード照射を行わない場合の生地破裂強度との比(30時間フェード照射を行った後の生地破裂強度/フェード照射を行わない場合の生地破裂強度)を算出して、パーセント表示に換算したものを生地破裂強度保持率とした。
なお、80時間フェード照射を行う場合についても同様に生地破裂強度保持率を測定した。
【0043】
(3)解糸強力保持率
実施例及び比較例で得られた生地に30時間フェード照射を行った後に解糸し、JIS L 1013法に準拠し、試料長100mm、引張速度を200mm/minで引張強伸度を測定した。
そして、フェード照射を行わない場合の引張破断強力との比(30時間フェード照射を行った後の引張破断強力/フェード照射を行わない場合の引張破断強力)を算出して、パーセント表示に換算したものを解糸強力保持率とした。
なお、80時間フェード照射を行う場合についても同様に解糸強力保持率を測定した。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、優れた接触冷感、風合い及び肌触りを持続することができ、かつ、紫外線による強度の低下を大幅に抑制することが可能な生地、ストレッチ衣料及び肌着を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーからなる繊維と、ポリウレタンからなる繊維との編み組織からなる生地であって、前記ポリウレタンからなる繊維の混率が5〜35重量%であり、かつ、熱可塑性エラストマーからなる繊維は繊度が20〜100デシテックスであることを特徴とする生地。
【請求項2】
プレーティング編みで編成されていることを特徴とする請求項1記載の生地。
【請求項3】
ベア天竺で編成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の生地。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系エラストマーであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の生地。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーは、ポリエーテルブロックアミド共重合体であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の生地。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載の生地を用いてなることを特徴とするストレッチ衣料。
【請求項7】
請求項1、2、3、4又は5記載の生地を用いてなることを特徴とする肌着。

【公開番号】特開2012−97375(P2012−97375A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246520(P2010−246520)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】