説明

生地の処理方法

本発明では、水性媒体中のポリマーA及びBと生地を接触させる工程を含む生地の処理方法が提供され、ここで
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、水性媒体は6未満のpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地の処理方法に関する。本発明は更に、生地の処理のための組成物及びキットに関する。本発明は、この応用を参考にして以下に記載されるであろう。しかしながら本発明は、この特定の使用分野に制限されないことが予測されるであろう。
【背景技術】
【0002】
本明細書を通じて従来技術のいずれの議論も、そのような従来技術が広く既知であること、または当該技術分野の一般的な共通の知見を形成することを認めるものとして、いずれの態様でも考慮されるべきではない。
【0003】
US2006046950A(Penninger及びBastigkeit, 2006)は、汚れ放出可能なアルキルまたはヒドロキシアルキルセルロース誘導体と、ポリペプチド、ヒドロゲル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、並びにアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のホモポリマー、並びにアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のコポリマー、並びに前記ホモポリマーとコポリマーとの混合物からなるクラスから選択される吸湿性ポリマーとの組み合わせを含む、生地材料の洗浄用洗剤組成物を教示している。セルロース誘導体と組み合わせた吸湿性ポリマーの使用は、改良された洗浄特性を導くと開示されている。
【0004】
EP025696(Unilever, 1988)は、汚れ懸濁物の改良が、洗剤組成物にビニルピロリドンポリマーと非イオン性セルロースエーテルとの混合物を添加することによって達成されることを教示している。
【0005】
GB994353(Domestos, 1965)は、特定のポリマー材料の混合物が、合成表面活性剤に基づく未成熟の洗剤組成物に取り込まれた際に、同じ洗浄組成物に単独で添加された際の個々のポリマー単独の活性と比較して、増大した抗再析を提供することを教示している。
【0006】
US3771951(Berni等, 1973)及びGB133803(Gaf Corp, 1973)は、水溶性界面活性剤、及び水溶性ポリビニルアルコールと水溶性ポリビニルピロリドンとの混合物を含む洗剤組成物が、汚れ懸濁物の増大した度合いを示すことを教示している。
【0007】
上述の方法は、汚れの改良された抗再析と生地の良好な洗浄を提供することを報告している。しかしながら、生地のその後の水洗い後の汚れの減少は報告されていない。更に、前記洗浄組成物は、界面活性剤を必須に含み、先浄水のpHはアルカリ性または中性である。
【0008】
US4007305(Kahar等, 1977)は、最適な汚れの放出と汚れの撥水特性を与える生地に対する満足な耐久性のない仕上がりを提供するという問題に応えている。この文献によれば、7.5−11のpH値を有し、カルボン酸基を有する水溶性親水性汚れ放出ポリマーと、分散した疎水性汚れ撥水性フルオロケミカルを含むアルカリ水性媒体で処理しなければならない。
【0009】
他方で、生地の変性のための各種の工業的処理が、汚れに対して生地をより感受性にすることが知られている。このタイプの生地の変性は、通常生地の製造の間で実施される。この処理は、基質特異的であることに加えて、家庭で実施することが比較的困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2006046950A(Penninger及びBastigkeit, 2006)
【特許文献2】EP025696(Unilever, 1988)
【特許文献3】GB994353(Domestos, 1965)
【特許文献4】US3771951(Berni等, 1973)
【特許文献5】GB133803(Gaf Corp, 1973)
【特許文献6】US4007305(Kahar等, 1977)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的の一つは、家庭で容易に使用できる生地の汚れを減少する方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、生地の汚れを減少するための生地の処理方法を提供することである。
【0013】
本発明のまた別の目的は、その後の洗浄の効力を改善する生地の処理方法を提供することである。
【0014】
本発明のまた別の目的は、香料や蛍光剤といった有益な薬剤の増大した沈着を可能にする生地の汚れの減少方法を提供することである。
【0015】
本発明のまた別の目的は、コットン、ポリエステル、及びポリコットンといった各種のタイプの生地で有効である生地の処理方法を提供することである。
【0016】
本発明のまた別の目的は、家庭で実施するのが比較的容易である生地の処理方法を提供することである。
【0017】
本発明者は驚くべきことに、一方が複数のヒドロキシル基を含み、他方が複数のカルボニル基またはエーテル基を含む二種類の異なるポリマーを有する酸性のpHを有する水性媒体と生地を接触させることが、ポリマーの沈着を増大し、汚れの減少、その後の洗浄の容易性、及び有益な試薬の増大した沈着のような利益を与えることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第一の特徴点によれば、水性媒体中のポリマーA及びBと生地を接触させる工程を含む生地の処理方法が提供され、ここで
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、水性媒体は6未満のpHを有する。
【0019】
本発明の第二の特徴点によれば、1から99重量%のポリマーA、1から99重量%のポリマーB、及び0から10重量%の酸性成分を含む生地の処理のための組成物が提供され、ここで
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、前記組成物の1%水溶液のpHは6未満である。
【0020】
本発明の第三の特徴点によれば、第二の特徴点の組成物と、使用のための一連の説明書とを含む生地の処理のためのキットが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
生地
処理できる生地は、合成並びに天然の繊維を含む。生地としては、コットン、ポリコットン、ポリエステル、シルク、またはナイロンが挙げられる。本発明の方法は、衣類及び他の布製品及び家庭の洗濯で典型的な洗濯物を形成するアパレル材料を処理するために使用できる。本発明の方法に従って処理できる家庭の材料は、ベッドカバー、毛布、カーペット、カーテン、及びクッションを含むがこれらに制限されない。本発明の方法は、生地の処理のために主として記載されるが、本発明の方法は、ジュート、レザー、デニム、及びカンバスのような他の材料を処理するためにも有利には使用できると考慮される。本発明の方法は、靴、レインウェアー、及びジャケットのような製品を処理するために使用できると考慮される。
【0022】
ポリマーA
本発明によれば、ポリマーAは複数のヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する。ポリマーAは好ましくは300から10の分子量を有する。ポリマーAは、ビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択される。
【0023】
本発明に係るポリマーAのある非制限的な例は、以下のものを含む:
(a)ビニルアルコールまたはポリビニルアルコールのホモポリマー;
(b)エチレングリコールまたはプロピレングリコールのホモポリマー、即ちポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;
(c)カルボン酸のホモポリマー、即ちポリカルボン酸、例えばポリアクリル酸、ポリマレイン酸、またはアクリル酸とマレイン酸のコポリマー;
(d)ポリサッカリド、例えばデンプン、セルロース、アルギン酸ナトリウム、天然ゴム、及びそれらの変性材料、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース。
【0024】
ビニルアルコールのホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは10000から1000000、より好ましくは50000から500000、最も好ましくは50000から200000の分子量を有する。使用できる市販品のポリビニルアルコールは、GOHSENOL(登録商標; Nippon Synthetic Chemical Industry)、NOWIOL(登録商標; Clariant)、及びPOVAL(登録商標; Kuraray)を含む。
【0025】
アルキレングリコールのホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは4000から20000、より好ましくは5000から15000、最も好ましくは5000から10000の分子量を有する。市販品のポリアルキレングリコールが使用できる。市販品のポリアルキレングリコールのいくつかの例は、POLYGLYKOL(登録商標; Clariant)及びCARBOWAX(登録商標; Union Carbide)を含む。
【0026】
カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは2000から10000000、より好ましくは50000から1000000、最も好ましくは90000から500000の分子量を有する。
【0027】
サッカリドのホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは1000から10、より好ましくは10000から10、最も好ましくは100000から10の分子量を有する。
【0028】
ポリマーAは合成であっても天然でも良い。しかしながら、合成ポリマーは天然ポリマーよりも好ましい。
【0029】
好ましい特徴点によれば、ポリマーAは水溶性である。
【0030】
ポリマーAは、ビニルアルコールまたはカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択されることが好ましい。
【0031】
カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくはポリアクリル酸またはそのコポリマーである。例として、SOKALAN(登録商標)PA(BASF)、及びCARBOPOL(登録商標; Lubrizol)が含まれる。
【0032】
ポリマーAの量は、好ましくは生地の領域(cm)当たり0.005から2、より好ましくは0.02から1、最も好ましくは0.05から0.5mgである。
【0033】
ポリマーB
本発明によれば、ポリマーBはエーテル基またはカルボニル基を含むモノマー単位を有する。ポリマーBは、好ましくは1000から10の分子量を有する。ポリマーBは、ビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択される。
【0034】
カルボン酸及び/またはサッカリド及び/またはポリアルキレングリコール/エーテルのポリマー及びホモポリマーは、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、及びカルボニル基またはエーテル基のいずれかを含むため、ポリマーAまたはポリマーBとして両者とも選択されるのに適する。しかしながら、必須の特徴点によれば、ポリマーAとポリマーBは同じクラスのものではない。ポリマーAとBが異なるクラスのポリマーから選択されることが特に好ましい。理論的に制限されたいとは思わないが、二つのポリマーAとBは、水に溶解した際、ポリマーAとBのそれぞれよりも低い溶解度を有する複合体を形成し、それが増大した沈着と他の利益に寄与すると解される。
【0035】
ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは1000から10000000、より好ましくは10000から1000000、最も好ましくは30000から500000の分子量を有する。市販品のポリビニルピロリドンが使用でき、その例の一つはLUVISKOL(登録商標; BASF)である。
【0036】
ポリアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーは、20000を超える分子量を有する。前記分子量は、好ましくは20000から1000000、より好ましくは30000から500000、最も好ましくは50000から200000である。
【0037】
サッカリドのホモポリマーまたはコポリマーは、好ましくは1000から10、より好ましくは10000から10、最も好ましくは100000から10の分子量を有する。いずれかの市販品のポリアルキレンオキシド、例えばPOLYOX(登録商標; Dow Chemical Co)が本発明によって使用できる。
【0038】
ポリマーBは合成であっても天然でも良い。しかしながら、合成ポリマーは天然ポリマーより好ましい。
【0039】
好ましい特徴点によれば、ポリマーBは水溶性である。
【0040】
ポリマーBはビニルピロリドンまたはアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択されることが特に好ましい。
【0041】
ポリマーBの量は、好ましくは生地の領域(cm)当たり0.005から2、より好ましくは0.02から1、最も好ましくは0.05から0.5mgである。
【0042】
特に好ましいポリマーAとポリマーBの組み合わせのいくつかの例が以下に記載される。
【0043】
表1:ポリマーの好ましい組み合わせ
【表1】

【0044】
最も好ましいポリマーの組み合わせは、上記表1の初めの三種類、即ちPAA−PVP、PAA−PEO及びPEG−PAAのものである。
【0045】
水性媒体
本発明によれば、二種類のポリマーは、6未満のpHを有する水性媒体中で生地と接触される。水性媒体は、好ましくは5未満、より好ましくは4未満のpHを有する。水性媒体は、好ましくは1を超える、より好ましくは2を超えるpHを有する。
【0046】
前記ポリマーが水性媒体に添加される際、水性媒体のpHは6未満である態様となるように選択されて良い。好ましくは酸性成分が水性媒体に添加されて、水性媒体のpHを6未満とするようにする。生成した水性媒体のpHを6未満に低下する酸性成分は当業者に周知であり、いずれかの適切な酸性成分が選択されて良い。
【0047】
水性媒体は、ポリマーAまたはポリマーBのいずれか、あるいは両者のポリマーを含んでも良い。別法として、両者のポリマーの一方は、本発明の方法の間で水性媒体に添加されても良い。
ポリマーAは、水性媒体と混合された際に、水性媒体の0.005から10重量%、より好ましくは0.05から5重量%、最も好ましくは0.05から2重量%の範囲である。
【0048】
ポリマーBは、水性媒体と混合された際に、水性媒体の0.005から10重量%、より好ましくは0.01から5重量%、最も好ましくは0.01から2重量%の範囲である。
【0049】
水性媒体は、好ましくは電解質を含む。電解質は、好ましくは水性媒体の0.001から5重量%、より好ましくは0.01から1重量%、最も好ましくは0.04から0.2重量%の範囲である。
【0050】
理論によって制限されることを所望するわけではないが、電解質の添加は、本発明の方法を、比較的低量のポリマーA及びBで実施することを可能にすると解される。
【0051】
本発明によって使用できる電解質は、水溶性イオン性塩を含む。前記塩のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または三価金属カチオンを含む。前記塩のアニオンは、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、、及びリン酸塩を含む。電解質のいくつかの例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはカルシウムの塩化物、硫酸塩、または硝酸塩を含む。カルシウム塩が特に好ましい。
【0052】
好ましい特徴点によれば、水性媒体は、200ppm以下のアニオン性界面活性剤を含む。水性媒体は、100ppm以下、より好ましくは50ppm未満のアニオン性界面活性剤を含む。水性媒体がアニオン性界面活性剤を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0053】
水性媒体は、少なくとも一つの有益な試薬を含むことが好ましい。水性媒体に含むことができる有益な試薬は、香料、蛍光剤、脱臭剤、抗菌剤、色直し色素、青味剤のような成分を含むがこれらに限定されない。本発明の利点の一つは、有益な試薬の沈着が増大する点である。
【0054】
方法順序
生地はポリマーA及びBと、いずれかの順序で連続的にまたは同時にのいずれかで接触されると考慮される。従って生地は、ポリマーAと接触されて、引き続きポリマーBと接触されて良い。別法として生地は、ポリマーBと接触されて、引き続きポリマーAと接触されても良い。生地は、ポリマーAとBの両者と同時に接触されても良い。生地は両者のポリマーと同時に接触されても良いが、生地はいずれかの順序で連続的にポリマーと接触されることが好ましい。
【0055】
接触方法
ポリマーAとBとの生地の接触工程は、いずれかの適切な態様で実施できる。
【0056】
ポリマーAまたはポリマーBまたは両者は、生地と接触される前に水性媒体と混合される。別法として、ポリマーAは生地と接触される前にアルコール及びアセトンのような溶媒を含む非水性媒体と混合されても良い。しかしながら、ポリマーまたは両者のポリマーは、生地と接触される前に水性媒体と混合されることが好ましい。生地は、一つ以上のポリマーを含む水性媒体に浸漬されて良い。別法として、一つ以上のポリマーを含む水性媒体を、生地にスプレーしても良い。
【0057】
ポリマーA及びBのいずれかは、処理される生地の表面に対して擦られて良いアブレイダブルスティックの形態で使用され、その後水性媒体と接触されても良いことも考慮される。
【0058】
組成物
本発明の第二の特徴点によれば、1から99重量%のポリマーA、1から99重量%のポリマーB、及び0から10重量%の酸性成分を含む生地の処理のための組成物が提供され、ここで
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、前記組成物の1%水溶液のpHは6未満である。
【0059】
前記組成物は、好ましくは5から95重量%、より好ましくは10から90重量%、最も好ましくは20から80重量%のポリマーAを含む。前記組成物は、好ましくは5から95重量%、より好ましくは10から90重量%、最も好ましくは20から80重量%のポリマーBを含む。
【0060】
前記ポリマーは、前記組成物の1%水溶液のpHが6未満となるように選択されて良い。好ましくは、前記組成物の1%水溶液のpHが6未満となることを確保するために、前記組成物の0.1から10重量%で、前記組成物中に酸性成分が存在する。生成した水性媒体のpHを6未満に低下する酸性成分は当業者に周知であり、いずれかの適切な酸性成分が選択されて良い。
【0061】
キット
本発明の第三の特徴点によれば、第二の特徴点の組成物と、使用のための一連の説明書とを含む生地の処理のためのキットが提供される。
【0062】
ポリマーAとBとは別個の実装形態、即ちポリマーAとBとが別個の実装に個々に保持されているか、二つの区画の実装形態の別個の区画に保持されていることが特に好ましい。
【実施例】
【0063】
本発明は、ここで実施例で説明されるであろう。実施例は説明の目的のみを有するものであり、いずれの態様でも本発明の範囲を制限するものではない。
【0064】
材料と方法
以下の材料が実施例で使用された:
【0065】
表2:実施例で使用される材料
【表2】

【0066】
沈着
ポリマーAは、実施例1及び2並びに比較例1−Aから2−Bでは、450000の分子量のポリアクリル酸であった。ポリマーBは、実施例1並びに比較例A及びBでは、90000の分子量のポリビニルピロリドンであった。実施例2並びに比較例C、D及び2AでのポリマーBは、100000の分子量のポリエチレンオキシドであった。
【0067】
沈着の研究のために、約10gの生地を溶液中のポリマーで処理し、処理された生地の乾燥の後に重量測定により重量の増分を調べた。
【0068】
表3:コットン、ポリコットン、及びポリエステル生地に対するポリマーの沈着
【表3】

【0069】
この結果から、本発明の方法によって一緒に使用された際の二種類のポリマーの沈着は、ポリマーの一方のみで処理された生地と比較して有意に高いことが観察できる。
【0070】
汚れ
汚れのプロトコール
生地をポリマーで処理し乾かした。乾かした生地をナトリウムアルキルベンゼンスルホネート(50ppm)の添加によって安定化した水中の炭素スス分散物(150ppm)に浸漬した。生地を炭素スス溶液から取り出し、水中で迅速にすすいで乾かした。反射率の変化(ΔR)、即ち汚れ処理の前後での生地の反射率の差異は生地の汚れ具合の測定値であり、ΔRのマイナスの値は生地の汚れを示す。
【0071】
以下の表では、以下の略語を使用している:
PEG17500−分子量17500のポリエチレングリコール
PAA8000−分子量8000のポリエアクリル酸
PVA124000−分子量125000のポリビニルアルコール
PVP90000−分子量90000のポリビニルピロリドン。
【0072】
表4:炭素ススでのコットン生地の汚れ
【表4】

【0073】
この結果から、本発明の方法において処理された生地の汚れは、未処理の生地(比較例I)より有意に低く、一方のみのポリマーで処理した生地(比較例F、G及びH)に対しても有意に低い。
【0074】
洗浄
洗浄プロトコール
生地をポリマーで処理し乾かした。乾かした生地をナトリウムアルキルベンゼンスルホネート(50ppm)の添加によって安定化した水中の炭素スス分散物(150ppm)に浸漬した。次いで生地を乾かした。乾かした生地を水、水中の炭酸ナトリウム溶液(0.15重量%)、及び水中の市販品の洗剤(SURF EXCEL(登録商標)0.3重量%)で洗浄した。反射率の変化(ΔR)は生地の洗浄の測定値であった。ΔRの値が大きいとより良好な洗浄を示す。
【0075】
ポリマーAは分子量2000のポリアクリル酸であり、ポリマーBは分子量90000のポリビニルピロリドンであった。実施例6では、0.2重量%の水性媒体で両者のポリマーを使用した。水性媒体のpHは3.0であった。比較例J及びKでは、ポリマーAとBをそれぞれ単独で使用し、それぞれ水性媒体の0.4重量%であった(それぞれpH2.7及び7.0)。比較例Lは未処理の生地である(pH7)。生地(コットン、ポリコットン及びポリエステル)を、所定のプロトコールに従って洗浄し、その結果が以下に要約されている。
【0076】
表5:炭素ススで汚された生地の洗浄
【表5】

【0077】
この結果から、本発明の範囲内にある実施例6についての洗浄効率は、本発明の範囲外である比較例J、K及びLで得られた洗浄効率より高い。特に、炭酸ナトリウムまたは水で洗浄した場合に洗浄効率はより良好である。更にこの結果は、市販品の洗剤で洗浄した際に、ポリコットン及びポリエステルで特に洗浄効率が増大することを示す。
【0078】
電解質の効果
ポリマーAは分子量450000のポリアクリル酸であり、ポリマーBは分子量1300000のポリビニルピロリドンであった。全ての実施例では、両者のポリマーを水性媒体の0.1重量%で使用した。電解質添加の効果を、全水性媒体の0.1重量%での各種の電解質を添加することにより調べた。水性媒体のpHは、2.7から3.0の範囲であった。生地(コットン、ポリコットン及びポリエステル)を、水中の炭酸ナトリウム(0.15重量%)を使用して洗浄した。その結果が、洗浄効率の観点で以下に要約されている。
【0079】
表6:電解質の添加の効果
【表6】

【0080】
この結果から、電解質の添加は、特にポリコットン及びポリエステル生地について、洗浄効率のさらなる増大を導くことが明らかである。更に、コットン生地については、塩化カルシウムが特に洗浄効率の増大を与える。
【0081】
香料沈着
プロトコール
アリルアミルグリコレートを代表的な香料成分として用いた。ポリマーAは分子量450000を有するポリアクリル酸であり、ポリマーBは分子量90000を有するポリビニルピロリドンであった。水性媒体にそれぞれ0.1重量%でポリマーAとBの両者を有する実施例11−pH2.8、水性媒体にそれぞれ0.2重量%でポリマーAとポリマーBをそれぞれ単独で有するそれぞれ比較例M−pH3及び比較例N−pH7、並びに未処理の生地として比較例O−pH7に対して香料を添加した。生地を臭気分析器により香料の保持について試験し、0〜5(0のスコアは臭気強度がないことを示し、5のスコアは最大の臭気強度を示す)のスケールで記録した。詳細は以下の表に要約される。
【0082】
表7:生地に対する香料の沈着
【表7】

【0083】
上記の表の結果から、60分での香料強度は、本発明の方法によって処理された生地について有意に高い。
【0084】
蛍光沈着
以下の実験を、蛍光剤として2ppmのCBSX(CIBA;登録商標)を使用して実施した。ポリマーAとBの詳細は以下に要約され、併せてコットンでの反射率の値によって測定された白色スコアに関する結果が示されている。
【0085】
表8:生地に対する蛍光の沈着
【表8】

【0086】
この結果から、白色スコアによって示される蛍光沈着は、未処理の生地(比較例R)または一方のみのポリマーで処理された生地(比較例P及びQ)と比較して、本発明の方法によるポリマーAとBの両者で処理された生地(実施例12)で増大することが明らかである。
【0087】
上記実施例は、本発明の方法を実施できる態様を明確且つ十分に記載していると理解されるであろう。更に、本発明の方法は、生地の汚れを減少し、後の洗浄の効率を改善し、有益な試薬の沈着の増大を可能にし、コットン、ポリコットン及びポリエステルを含む各種のタイプの生地で有効である生地の処理方法を提供する目的に適合できることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中のポリマーA及びBと生地を接触させる工程を含む生地の処理方法であって、
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、水性媒体は6未満のpHを有する、方法。
【請求項2】
水性媒体が200ppm以下のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーAがビニルアルコールまたはカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーBがビニルピロリドンまたはアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーがポリアクリル酸またはそのコポリマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水性媒体が電解質を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電解質が前記媒体の0.001から5重量%の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記水性媒体のpHが1から10の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
生地がポリマーA及びBといずれかの順序で連続的にまたは同時に接触される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1から99重量%のポリマーA、1から99重量%のポリマーB、及び0から10重量%の酸性成分を含む生地の処理のための組成物であって、
(a)ポリマーAはビニルアルコール、アルキレングリコール、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;及び
(b)ポリマーBはビニルピロリドン、アルキレンオキシド、サッカリド、及びカルボン酸のホモポリマーまたはコポリマーからなるクラスから選択され;
ポリマーA及びBは同じクラスのものではなく、前記組成物の1%水溶液のpHは6未満である、組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物と使用のための説明書とを含む、生地の処理のためのキット。

【公表番号】特表2011−506788(P2011−506788A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537346(P2010−537346)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064764
【国際公開番号】WO2009/077255
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】