説明

生成ガスの生成方法及び生成装置

【課題】バイオマスの処理における負荷の増大と、生成ガスの高品質化を両立できる生成ガスの生成方法及び装置を提供する。
【解決手段】反応管壁21により外部から分離された原料流路22において、上流端22a側から下流端22b側に向けてバイオマスM1を含む原料流体F2を供給し、第1の加熱手段F1により、原料流路22の外部から反応管壁21を介して原料流路22の原料流体F2を加熱する生成ガスの生成方法又は装置において、原料流路22は、第1の加熱手段F1による加熱によってバイオマスの少なくとも1部がガス化する第1ガス化反応を生じる第1ガス化領域23と、第1ガス化領域23よりも下流端22b側に位置する第2ガス化領域25を有し、第2ガス化領域25において、第2の加熱手段30により、原料流体F2の追加熱を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はバイオマスを利便性の高いガス形態のガス燃料へ改質するガス化技術、及び、バイオマスからメタノールやGTL(Gas To Liquid fuel,石油同等燃料)などの化学合成用原料となる合成ガスを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木本類、草本類などの固体系バイオマスのエネルギー変換は直接燃焼による熱利用が主で、この場合、高度なエネルギー利用は困難である。例えば発電の場合、木質チップ・ボイラで水蒸気を発生させ、水蒸気タービンによる発電方式が一般的となるが、1000〜3000kW規模で、8〜12%の発電効率に止まっているのが実情である。100kW規模の小規模では電力出力は得られない。現在、小規模から大規模まで、バイオマスのエネルギー高効率利用のためガス化技術が開発されているが、空気または酸素の理論量以下でバイオマスを半燃焼させる部分酸化法が主流であり、煤・タールの発生が多く、また発熱のため使われた相当量のCO(空気を用いた場合には更に多量の窒素)が生成ガス(合成ガス)中に混入するため、高品質の合成ガスを得ることは困難であった。
【0003】
バイオマスの高度エネルギー利用のためには、自動車燃料としての使用や燃料輸送などの観点から、液体燃料への転換が一つの好ましい形態である。しかし、現状では、バイオマスからの液体燃料製法は糖質、でんぷん等を原料とした発酵によるエタノール燃料、あるいは植物油をメタノールによってエステル交換したBDF(バイオディーゼル油燃料)など、主として食料を原料とし、耕作面積当りの収量が低い植物を利用する手法のみでの実用化にとどまっている。
【0004】
すなわち、食料以外の草本類・木本類のバイオマスを対象として、熱化学的手法で、高品質の化学合成原料となる合成ガスに転換し得る、ガス化装置はまだ実用化に至っていない状況である。
【0005】
本願発明者らは、以上の状況に鑑み、タールや煤の発生が殆どなく、高品位の化学合成用燃料となり得るガス化方法を考案した(特開2009−001826)。
【0006】
すなわち、粉砕した草本類若しくは木本類などからなるバイオマスを、外部加熱空間(加熱流路)と反応管壁により遮断(分離)されたガス化空間(原料流路)内に供給し、且つこの加熱流路より反応管壁を介して加熱して、吸熱反応により原料流路内で、該原料流路内に吹き込まれる高温水蒸気とバイオマスのガス化反応を生じせしめるバイオマスのガス化方法である。
【0007】
この方法では、バイオマスの簡略化した分子式Cにおいて、m=1.3、n=0.9とした場合の水蒸気/バイオマスのモル比を0.3〜15に設定することにより、遊離炭素、即ちタール・煤の発生を抑制し、合成ガスを化学合成に適正な組成に高めることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−001826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者らが提案した上記方法(特開2009−001826)は、原料流路と加熱流路を反応管壁によって分離することで、加熱流路内の加熱源(高温の外熱ガス等の加熱流体)が原料流路に流入することを防止し、バイオマスのガス化に必要となる反応熱は、加熱源から反応管壁を介して主に熱輻射により供給する外熱方式が採用されている。そのため、部分酸化法におけるCOの混入や、多量の煤・タールが発生するなどの問題が解消され、バイオマス資源から発電用ガスエンジンに適合する、高カロリーで、クリーンなガス燃料を生成することが可能である。さらに、生成ガスの組成を化学原料となる合成ガス組成に適正化することも可能である。また、本方法では、小規模でもバイオマスのガス化を行うことが可能である。本方法における加熱源としては、バイオマスなどの可燃物を燃焼させることにより発生させた外熱ガスを使用することがエネルギー効率や経済性の面から好ましい。
【0010】
本方法により生成した生成ガスは、発電又は熱利用のためのガス燃料としても使用可能であり、さらに、既存技術のメタノール合成やFT(フィッシャー・トロプシュ、石油性状)合成などの液体燃料を合成するための合成ガスとしても使用可能である。
【0011】
しかし、本願発明者らの検討により、上記方法には、以下に述べる点で改善の余地があることが明らかとなった。
【0012】
すなわち、液体燃料の合成原料として使用する場合には、水素と一酸化炭素の含有量(H+CO含有量)が多いこと、及び/又は、水素と一酸化炭素比のモル比(H/CO比)が高いことが望ましいが、バイオマスの種類や性状等によってはその達成が困難な場合があった。
【0013】
また、生成ガスをガス燃料又は合成ガスのいずれに使用する場合であっても、生成ガスは、煤、タールの原因となるエチレンC等の含有量(モル濃度)がなるべく少ないことが望ましい。ところが、上記方法では、使用するバイオマスの種類や性状(組成、粒径)等によっては、C含有量が高くなり、合成ガスの品質や生成工程上の問題を生じる場合があった。
【0014】
合成ガスにおけるH+CO含有量は65%以上であることが好ましく、H/CO比は1.5以上、特に1.8以上であることが好ましく、C含有量は3%以下、特に2%以下であることが好ましい。
【0015】
更に、生成ガス(特に合成ガス)の生成では、十分な負荷が取れる(バイオマスの処理量を多くする)ことが重要であるが、バイオマスの種類や性状等によっては、十分な負荷と、高品質化(特に、合成ガスとしての高品質化)の両立が困難な場合があった。
【0016】
例えば、特開2009−001826の方法において、加熱流体を原料流体の下流側から供給した場合には、下流側での原料流体の昇温は容易であり、高品質の(H+CO含有量が多く、H/CO比が高く、及び/又は、C含有量が少ない)生成ガスを生成できる利点がある一方で、上流側の原料流体を十分に昇温させることが難しく、十分な負荷が取れなくなる問題がある。逆に、加熱流体を原料流体の上流側から供給した場合には、上流側での原料流体の昇温が容易であり、十分な負荷を取ることが可能となるが、下流側の原料流体を十分に昇温させることが難しく、そのために、高品質の生成ガスを生成することできない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願では、
反応管壁により外部から分離された原料流路において、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体を供給し、
第1の加熱手段により、前記原料流路の外部から前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体を加熱する生成ガスの生成方法であって、
前記原料流路は、前記第1の加熱手段による前記加熱によって前記バイオマスの少なくとも1部がガス化する第1ガス化反応を生じる第1ガス化領域と、前記第1ガス化領域よりも前記下流端側に位置する第2ガス化領域を有し、
前記第2ガス化領域において、第2の加熱手段により、前記原料流体の追加熱が行われることを特徴とする生成ガスの生成方法、又は、
原料流路において、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体を供給し、
反応管壁により前記原料流路から分離された加熱流路において、前記原料流路に沿って前記上流端側から前記下流端側に向けて加熱流体を供給し、
前記加熱流体の熱を前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体に供給することで前記原料流体を加熱する生成ガスの生成方法であって、
前記原料流路における所定の部位において、前記加熱流体からの熱によって前記原料流体の温度を800℃〜1000℃に上昇させ、
前記所定の部位よりも下流側において、第2の加熱手段による追加熱を行うことにより、前記原料流体の温度を900℃〜1100℃に上昇させることを特徴とする生成ガスの生成方法、又は、
反応管壁により外部から分離され、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体が供給される原料流路と、
第1の加熱手段とを備え、
前記第1の加熱手段により、前記原料流路の外部から前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体を加熱する生成ガスの生成装置であって、
前記原料流路は、前記第1の加熱手段による前記加熱によって前記バイオマスの少なくとも1部がガス化する第1ガス化反応を生じる第1ガス化領域と、前記第1ガス化領域よりも前記下流端側に位置する第2ガス化領域を有し、
前記第2ガス化領域において、前記原料流体の追加熱を行う第2の加熱手段を更に備えることを特徴とする生成ガスの生成装置が開示される。
【0018】
上記各発明では、反応管壁によって外部から分離された原料流路においてバイオマスを含む原料流体を供給し、反応管壁を介して原料流路の原料流体を加熱することでバイオマスのガス化を行う外熱方式が採用されている。このため、部分酸化法(原料流路内においてバイオマスを燃焼させた熱によってバイオマスをガス化する方法)と異なり、煤・タールの発生が少ない、クリーンな生成ガスを得ることが可能である。
【0019】
そして、第1の加熱手段の加熱によって、原料流路の上流側のある部分(第1ガス化領域)においてバイオマスの少なくとも1部をガス化させるとともに、当該第1ガス化領域よりも下流端側に位置する原料流路の部分(第2ガス化領域)において、第2の加熱手段による追加熱を行うものとした。したがって、第1の加熱手段により第1ガス化領域を適切に加熱することにより、十分な負荷を取ることが可能であり、第2の加熱手段により第2ガス化領域を適切に加熱することにより、生成ガスを高品質化し、生成ガス中のH+CO含有量を増加させ、H/CO比を高め、及び/又は、C含有量を減少させることができる。このように、上流側での第1の加熱手段による加熱と、下流側での第2の加熱手段による加熱を独立に段階的に行うようにしたため、十分な負荷と生成ガスの高品質化の両立が容易となる。
【0020】
本願において「バイオマス」は、生物由来の資源を意味する。好ましく使用できる「バイオマス」には、固体系の木本類、草木類、例えば、杉等の木質類、剪定枝、バーク、サトウキビ、ネピアグラス、稲藁等が含まれる。
【0021】
本願において「生成ガス」は、バイオマスを主原料としてバイオマスの分解や反応水との反応等により生成されるガスを意味し、「生成ガス」のうち、燃料として使用されるものを「ガス燃料」と呼び、液体燃料等の合成の原料として使用されるものを「合成ガス」と呼ぶ。
【0022】
本願において「流体」は、流動性のある物体を意味し、気体、及び、粉末や粒子と気体の流動性のある混合物は「流体」に含まれる。
【0023】
本願において「原料流体」は、バイオマスを含む流体を意味する。
【0024】
本願における「流路」は、流体を供給することができる空間、又は、流体が通過することができる空間を意味する。
【0025】
好ましい実施形態では、前記第1の加熱手段が、前記原料流路と前記反応管壁により分離された加熱流路において前記上流端側から前記下流端側に向けて供給される加熱流体である。この場合、第1の加熱手段である加熱流体が原料流体と同方向に(原料流体の上流端側から下流端側に向けて)供給される。従って、原料流体の上流側乃至第1ガス化領域の効率的な加熱が可能となり、十分な負荷を取ることが容易となる。本願における「加熱流体」は、原料流体を加熱するために加熱流路に供給される流体を意味する。
【0026】
好ましい実施形態では、前記加熱流体が、可燃物を燃焼させることにより昇温させたガスである。この場合、生成ガス生成におけるエネルギー効率や経済性を向上させることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、前記第1ガス化領域が前記加熱流路内に収容されている。
【0028】
好ましい実施形態では、前記第2ガス化領域の複数の位置において、前記追加熱が複数段階で行われる。この場合、生成ガスの高品質化のための温度制御をより精密に行うことができる。
【0029】
好ましい実施形態では、前記第2ガス化領域において、炭化水素を分解して水素を発生させる反応が前記1ガス化領域よりも高速又は高効率で進行する。
【0030】
好ましい実施形態では、前記第1ガス化領域において、前記原料流体が前記第1の加熱手段によって800℃〜1000℃に加熱される。
【0031】
好ましい実施形態では、前記第2ガス化領域において、前記原料流体が前記第2の加熱手段よって900℃〜1100℃に加熱される。
【0032】
好ましい実施形態では、前記追加熱は、前記原料流体が前記第1の加熱手段による前記加熱によって800℃以上に昇温した位置よりも下流端側において行われる。
【0033】
好ましい実施形態では、前記原料流路が、灰分を排出するための排出口を有し、前記追加熱は、前記排出口よりも下流端側において行われる。
【0034】
好ましい実施形態では、前記追加熱は、前記加熱流路において燃料を燃焼させることにより行われる。
【0035】
好ましい実施形態では、前記追加熱は、所定温度以上のガスを前記加熱流路に導入することにより行われる。
【0036】
好ましい実施形態では、前記追加熱は、電気加熱により行われる。
【0037】
好ましい実施形態では、前記追加熱による前記原料流体の昇温が100℃〜300℃である。
【0038】
好ましい実施形態では、生成される前記生成ガス中の水素/一酸化炭素のモル比が1.5以上である。
【0039】
好ましい実施形態では、生成される前記生成ガス中の水素及び一酸化炭素の含有濃度が65%以上である。
【0040】
好ましい実施形態では、生成される前記生成ガス中のエチレンの含有濃度が3%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】好ましい実施形態に従う生成ガスの生成装置及び生成方法を示す説明図。
【図2】比較例の生成ガスの生成装置を示す説明図。
【図3】比較例の生成ガスの生成装置を示す説明図。
【図4】効果検証実験の結果を示す説明図。
【図5】好ましい実施形態に従う生成ガスの生成装置及び生成方法を示す説明図。
【図6】好ましい実施形態に従う生成ガスの生成装置及び生成方法を示す説明図。
【図7】好ましい実施形態に従う生成ガスの生成装置を含む例示的なバイオマスエネルギー利用システムを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は好ましい実施形態に従う生成ガスの生成装置及び生成方法(実施例)を示す説明図である。
【0043】
図示のように、ガス生成装置は、加熱炉10及び反応管20を有している。
【0044】
加熱炉10は、耐火材の外壁及び隔壁により形成された、供給口11から排出口12に至る所定長さの加熱流路(空間)13を有しており、第1の加熱手段である加熱流体F1が、供給口11から供給されて、加熱流路13を通過し、排出口12から排出される。図では、供給口11及び排出口12が単一の場合が示されているが、いずれか一方又は双方を複数とすることも可能である。加熱流体F1には、任意の方法により適切な温度範囲に加熱したガス等の流体を使用することができるが、エネルギー効率や経済性等の観点から、バイオマスを燃焼することで得られる高温の外熱ガスF1を使用することが好ましい。外熱ガスF1の供給口11付近における温度は、1000℃〜1250℃であることが好ましく、1150℃〜1200℃であることがより好ましい。
【0045】
反応管20は、所定長さの筒状の部材である。反応管20の断面形状、長さ、素材等は任意である。反応管20は、加熱流路13内に収容された反応管壁21を有し、反応管壁21の内側に上流端22aから下流端22bに至る原料流路(空間)22が形成されている。生成ガスの生成原料となるバイオマスM1及び反応水(水蒸気)M2は、上流端22a側から供給され、これらの混合物からなる原料流体F2は、加熱流路13を通過して下流端22b側から排出される。反応水M2は、予熱した状態で原料流路22に供給することが好ましい。反応水M2の予熱温度は好ましくは400℃〜900℃、より好ましくは450℃〜750℃である。原料流体F2は、原料流路22を通過する過程でガス化や分解などの反応によって組成を変化させていくが、この変化の前後を通じて「原料流体」の名称を使用する。
【0046】
反応管壁21は、原料流路22を加熱流路13から分離するものであり、原料流路22と加熱流路13の間での物質(分子や粒子)の流入、流出が遮断される。反応管壁21は、耐熱金属などの熱伝導性の材料で構成することができ、加熱流路13を通過する加熱流体F1の熱が反応管壁21を介する熱伝導や熱輻射によって原料流路22内の原料流体F2に伝達される。
【0047】
本実施形態では、加熱流路13における加熱流体F1の通過方向と、原料流路22における原料流体F2の通過方向を同方向とする方式(順流式)が採用されている。すなわち、供給口11は下流端22bよりも上流端22aに近い位置に設けられ、排出口12は上流端22aよりも下流端22bに近い位置に設けられ、供給口11から供給された加熱流体F1は、原料流路22の上流端22a側から下流端22b側に向けて、原料流路22に沿って加熱流路13を通過する。したがって、原料流路22の上流端22a側の部分は、加熱流体F1の上流端22a側で加熱流体F1と接触して加熱され、原料流路22の下流端22b側の部分は、加熱流体F1の下流側で加熱流体F1と接触する。
【0048】
上流端22aから供給された原料流体F2は、上流端22a側の所定部分(1次ガス化領域23)で加熱流体F1からの熱によって加熱され、ガス化反応(1次ガス化反応)によってガス化される。バイオマスは、その主要構成元素であるC、H、Oの含有比率から概略C1.30.9と表すことができるが、灰分を除く有機成分のほぼ全量が水蒸気との吸熱反応により、〔H、CO、CH、C,CO]を主成分とするガスに転換される。生成するガス組成は、バイオマスの種類(セルローズ、ヘミセルローズ、リグニン等)による影響を殆ど受けない。
【0049】
下記(式1)は、800℃、常圧(0.1MPa)での1次ガス化反応の反応式の一例である。反応に関与する反応水量、生成ガスの組成、吸熱量等は反応温度等の条件によって変化するが、1次ガス化反応の完了に要する時間は、800℃〜850℃で0.5秒、850℃〜900℃で0.2秒と非常に短時間である。
C1.3H2O0.9+0.4H2O
→ 0.8H2+0.7CO+0.3CH4+0.02C2H4+0.3CO2-39.7kcal/mol (式1)
【0050】
1次ガス化温度(1次ガス化の際の原料流体F2の温度/1次ガス化領域23における原料流体F2の温度)が800℃未満では煤煙の発生量が増加し、原料流路22の詰まり、及び/又は、生成ガスF3の品質低下等の不都合を生じ得る。このため、1次ガス化温度は、800℃以上、特に、830℃以上であることが好ましい。
【0051】
多くのバイオマスは、ガス化(1次ガス化)の際に灰分(常温において固体の物質)を発生させるが、1次ガス化温度が900℃を越えると、多くのバイオマスについて、灰分が溶融することによる原料流路22の目詰まり等の不都合を生じ得る。より低融点灰のバイオマスであってもこの不都合を回避できるようにするために、1次ガス化温度は900℃以下、特に、870℃以下であることが好ましい。
【0052】
上記の理由から、1次ガス化領域23において、原料流体F2を800℃〜900℃、特に、830℃〜870℃に昇温させることが好ましい。
【0053】
800℃〜900℃の1次ガス化では、それよりも高温(例えば1000℃)のガス化と比較すると、Hが少なく、COが多く、Cが多い組成となるため、そのままでは、高品質の合成ガスとはならないが、本実施形態では、後述の後流部(2次ガス化領域25)における第2の加熱手段(追加熱手段)30による追加熱が行われることで、合成ガスF3の高品質化が図られる。
【0054】
反応管20の途中には、ガス化により生じた灰分を連続的又はある時間毎に排出するための排出口24が設けられている。灰分の多くの部分は1次ガス化反応により生じるため、排出口24は1次ガス化領域23の下流側に設けることが好ましい。排出口24は、好ましくは、上流端22aから供給された原料流体F2が800℃まで上昇する位置よりも下流側、より好ましくは、830℃まで上昇する位置よりも下流側に配置される。
【0055】
1次ガス化領域23よりも下流側に位置する2次ガス化領域25には、1又は複数の第2の加熱手段30が配置される。
【0056】
第2の加熱手段30は、原料流体F2に追加的な熱を供給することで原料流体F2を昇温させるための任意の手段である。第2の加熱手段30の具体例としては下記(1)〜(3)を挙げることができる。
(1)加熱流路13内にガス燃料又は液体燃料を吹き込むためのノズル等を取り付け、ノズルからの燃料を燃焼させたときの熱で原料流体F2を昇温させる。加熱流体F1としてバイオマス等を燃焼させることにより発生させた外熱ガスを使用する場合であれば、第2の加熱手段30の位置での外熱ガスの温度及び酸素濃度を所定値以上とすることにより、ガス燃料又は液体燃料を吹き込むだけで、別途着火手段や酸素などの助燃剤を使用しなくても、燃料に着火し、燃焼を維持することができる。第2の加熱手段30の位置における外熱ガスF1の温度は、650℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましい。第2の加熱手段30の位置における外熱ガスF1の酸素含有量は、1.5%以上であることが望ましく、2%以上であることがより好ましい。
(2)加熱流路13内に高温の流体を吹き込むための供給口を設け、当該供給口からの高温の流体によって原料流体F2を昇温させる。高温の流体は、バイオマス等を燃焼させることで発生させた外熱ガスなど、加熱流体F1と同一の流体を使用することができ、或いは、他の任意の手段で昇温させた任意のガス等の流体を使用することができる。ここで使用する高温の流体の温度は、1000℃〜1250℃であることが好ましく、1100℃〜1200℃であることがより好ましい。
(3)電気加熱(抵抗加熱、誘導加熱)により原料流体F2を昇温させる。この場合、ジュール熱を発生させるための導電体は、加熱流路13,原料流路22のいずれに配置しても良く、或いは、反応管20の全部又は一部を導電体で形成し、反応管20に通電することでジュール熱を発生させても良い。
【0057】
第2の加熱手段30は、好ましくは、上流端22aからの原料流体F2が800℃まで上昇する位置よりも下流側、より好ましくは、830℃まで上昇する位置よりも下流側に配置することができ、当該位置よりも下流側の原料流体F2を加熱するものとすることができる。第2の加熱手段30は、好ましくは、排出口24よりも下流側に配置することができ、排出口24よりも下流側の原料流体F2を加熱するものとすることができる。
【0058】
図では、原料流体F2の通過方向における異なる位置に2つの第2の加熱手段30を配置した場合が示されているが、第2の加熱手段30は1つでも良く、3つ以上でも良い。第2の加熱手段30を2つ以上使用する場合、原料流体F2の通過方向における同一又はそれぞれ異なる位置に第2の加熱手段30を配置することができる。
【0059】
2次ガス化領域25において第2の加熱手段30により原料流体F2は加熱され、これにより、2次ガス化反応が生じて原料流体F2のガス組成が変化する。2次ガス化反応では、下記(式2)の反応が進行しており、その結果、Cが分解し新たなHが生成される。
+4HO → 2CO+6H (式2)
この時、同時に煤・タールの分解も進み、高品質の生成ガスを得ることができる。
【0060】
2次ガス化温度(第2の加熱手段30により加熱された原料流体F2の温度)は高温である程、(式2)の反応が高速又は高効率で進行し、生成ガス中のH含有量が増加する点で好ましいが、エネルギー効率や反応管20の高耐熱仕様化によるコスト増等の問題を考慮すると、2次ガス化温度は、900℃〜1100℃であることが好ましく、950℃〜1050℃であることがより好ましい。第2の加熱手段30による原料流体F2の昇温は、好ましくは50℃〜250℃であり、より好ましくは100℃〜200℃である。
【0061】
2次ガス化反応では、下記(式3)、(式4)の反応も進行すると考えられるが、これらの反動速度は(式2)と比較して格段に遅いため、生成ガス組成に与える影響はさほど大きくない。
CH+2HO → CO+4H (式3)
CO+HO → CO+H (式4)
【0062】
2次ガス化領域25において上記の追加熱が行われる結果、H+CO含有量が多く(好ましくは65%以上)、H/CO比が高く(好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上)、及び/又は、C含有量が少ない(好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下)などの優れた特性の生成ガスF3を生成することができ、特に、合成ガスとしての品質を向上させることができる。また、原料流体F2を上流側と下流側とで別の加熱源により(上流側は加熱流体F1により、下流側は第2の加熱手段30により)昇温させる構成を採用したため、加熱流体F1をさほど高温にしなくても、処理量の増大と生成ガスF3の高品質化の両立が可能である。そのため、反応管20が部分的に極端な高温になる不都合が解消され、反応管20の低耐熱仕様化や長寿命化を図ることが可能になる。
【0063】
生成された生成ガスF3は下流端22b側から排出され、ガス燃料として使用又は貯留され、或いは、後段の処理工程においてメタノール等の液体燃料の合成ガスとして使用される。
【0064】
図2,3は、発明の効果検証実験において使用した比較例1,2のガス生成装置であり、図1に対応する構成には同一の符号が付されている。
【0065】
比較例1(図2)では、加熱流路13における加熱流体F1の通過方向が図1と逆である。すなわち、原料流体F2の下流側から上流側に向けて加熱流体F1が供給される逆流式である。この装置では、原料流体F2の下流側は高温の加熱流体F1によって十分な温度に加熱することができるため、H含有量の高い生成ガスを生成することが可能であるが、原料流体F2の上流側では加熱流体F1の温度が低下するため、原料流体F2の上流側を十分に昇温させることが困難であり、そのために、負荷が取れない(バイオマスの処理量が少ない)欠点がある。
【0066】
比較例2(図3)は、図1と同様、原料流体F2の上流側から下流側に向けて加熱流体F1が供給される順流式であるが、第2の加熱手段30を有さない(第2の加熱手段30による原料流体F2の加熱が行われない)点が図1の実施例と相違する。比較例2では、原料流体F2の上流側は高温の加熱流体F1によって十分な温度に加熱することができるため、負荷は取れる(バイオマスの処理量を多く出来る)が、原料流体F2の下流側を十分に昇温させることが困難であり、そのために、高品質の合成ガスを生成することが困難となる欠点がある。
【0067】
図1の装置では、図2,3の装置における上記問題が解消される。すなわち、加熱流体F1が原料流体F2の上流側から供給されるため、原料流体F2の上流側(1次ガス化領域23)を十分な温度に加熱することで負荷を取る(バイオマスの処理量を多くする)ことが容易である。更に、原料流体F2が下流側(2次ガス化領域25)において第2の加熱手段30によって加熱されるため、H+CO含有量が多く、H/CO比が高く、及び/又は、C含有量が少ない高品質の生成ガスを生成することが可能である。
【0068】
図1〜3の装置を用いた効果検証実験の結果を図4に示す。この実験では、杉を粉砕することで得られた粒径3mm以下の粉末をバイオマスM1として使用した。また、杉の粉砕で生じた3mm以上のチップを熱ガス発生炉で燃焼することにより1270℃〜1350℃の外熱ガスを発生させた。この外熱ガスを、図1〜3における加熱流体F1として加熱流路13に供給した。図1の実施例については、この外熱ガスを、符号30で示す位置(2カ所)に設けた供給口から加熱流路13に吹き込むことにより追加熱を行った。図4における温度(a)〜(e)は、図1〜3のa〜eで示した位置に設置した熱電対で測定した温度である。すなわち、温度(a)は、上流端22aにおける原料流路22内の原料流体F2の温度、温度(b)及び(d)は、第1ガス化領域23及び第2ガス化領域25における加熱流路13内の外熱ガスF1の温度、温度(c)及び(e)は、第1ガス化領域23及び第2ガス化領域25における原料流路22内の原料流体F2の温度である。
【0069】
図4から判るように、比較例1では負荷が十分に上がらなかった(粉体(杉)供給量/バイオマスの処理量が少なかった)。比較例2では、生成された生成ガスのH+CO含有量が少なく、H/CO比が小さい点でメタノール等の液体燃料の合成ガスに適さない。また、Cの含有量が高い。これに対して、実施例では、負荷は十分であり、生成ガスの品質も高い(H+CO含有量が多く、H/CO比が高く、Cの含有量が少ない)。
【0070】
図1の生成ガスの生成装置及び生成方法の変形形態として、供給口11付近、あるいは、1次ガス化領域23(特に上流側)において第3の加熱手段30aによる追加加熱を行うことが可能である。この変形形態は、加熱流体F1による加熱のみでは、上記した好ましい1次ガス化温度を得ることが出来ない場合に特に有用であり、第3の加熱手段30aによる追加加熱によって、1次ガス化機能を確保する(上記の1次ガス化温度まで原料流体F2の温度を上昇させる)ことが可能である。第3の加熱手段30aは、第2の加熱手段(追加熱手段)30と同様の加熱手段とすることができる。
【0071】
図5は、他の好ましい実施形態に係る生成ガスの生成装置及び生成方法を示す説明図であり、図1に対応する構成には同一の符号が付されている。
【0072】
図示のように、図5の実施形態は、加熱流路13における加熱流体F1の通過方向と、原料流路22における原料流体F2の通過方向を逆方向とする方式(逆流式)である点と、加熱流路13における加熱流体F1の下流側の位置(好ましくは、第1ガス化領域23又はその近傍、特に好ましくは、排出口11付近)に第3の加熱手段30bを有する点が図1と相違し、その他の点は、図1と共通である。
【0073】
図5の装置では、原料流体F2の上流側では、第3の加熱手段30bによる追加加熱を行うことで、十分な負荷を取る(バイオマスの処理量を多くする)ことが可能である。そして、原料ガスF2の下流側(第2ガス化領域25)では、より高温の加熱流体F1と第2の加熱手段30によって原料ガスF2をより効果的に昇温させ、H+CO含有量が多く、H/CO比が高く、及び/又は、C含有量が少ない高品質の生成ガスを生成することが可能である。
【0074】
図6Aは、他の好ましい実施形態に係る生成ガスの生成装置及び生成方法を示す説明図であり、図1に対応する構成には同一の符号が付されている。
【0075】
図示のように、この実施形態は、合流点26よりも上流端22a側において原料流路22が第1,第2分岐管27,28に分岐し、バイオマスM1が第1分岐管27から導入され、反応水M2が第2分岐管28から導入される点を除いて、図1と同様の構成を有している。従って、反応水M2は、加熱流体F1によって予備的に加熱された状態でバイオマスM1と混合される。
【0076】
図6Bは、合流点26の詳細を示す説明図である。
【0077】
図示のように、合流点26の反応管壁21の内側に、中央に開口部31を持つコニカル(逆円錐台)型整流板32が設けられ、該開口部31から第2分岐管28からの高温の反応水M2が吹き込まれ、第1分岐管27から投入されたバイオマスM1を浮遊させながらバイオマスM1と混合される。バイオマスM1と反応水M2からなる原料流体F2は、合流点26から下流側の所定長さの領域である1次ガス化領域23において加熱流体F1からの熱によって加熱されてガス化する(第1ガス化反応)。第1ガス化反応によりガス化された加熱流体F1は、1次ガス化領域23よりも下流側の2次ガス化領域25において第2の加熱手段30により追加熱されて第2ガス化反応が生じ、これにより生成ガスの高品質化が達成される。
【0078】
図7は、ガス生成装置101を含む例示的なバイオマスエネルギー利用システム100を示す説明図である。
【0079】
システム100は、バイオマス原料111を粉砕するための粉砕設備102を有している。粉砕設備102は、バイオマス原料111を受け入れて平均粒径3mm以下、好ましくは1mm以下の微粉に粉砕し、平均粒径3mm以下のバイオマス微粉112と平均粒径3mmを超えるバイオマス粗粉113を分別して排出する。粉砕設備102は、粉砕機とインパクトミルを組み合わせて構成することができる。バイオマス粗粉又はチップ113は熱ガス発生炉103に供給され、空気などの支燃剤によりバイオマス粗粉又はチップ113を1200〜1350℃程度で燃焼させることで高温の外熱ガス114が生成される。
【0080】
ガス生成装置101は、図1,5,6のガス生成装置と同様の構成とすることができる。粉砕設備102から供給されるバイオマス微粉112は、別途供給される反応水(水蒸気)115とともに反応管20の原料流路22に導かれ、熱ガス発生炉103から供給される外熱ガス114は加熱流路13に導かれる。外熱ガス114は原料流路22の反応管壁を介して原料流路22内のバイオマス微粉112及び反応水115からなる原料流体を加熱し、1次ガス化領域23において1次ガス化反応を生じさせる。1次ガス反応により生成したガスは、1次ガス化領域よりも下流側の2次ガス化領域において第2の加熱手段30により追加熱され、2次ガス化反応によってH+CO含有量が多く、H/CO比が高く、及び/又は、C含有量が低い高品質の生成ガス118が生成される。
【0081】
システム100は、脱水装置104、ガスタンク105、ガスエンジン106、化学合成反応装置119、熱利用設備120等を更に備え得る。
【0082】
脱水装置104は内部に冷却伝熱面を持ち、塔内に導入されたガス中の水分、硫黄化合物(HS等)、塩素分(HC1)等の高沸点物を凝縮して除去可能な構造を有する。ガスタンク105は生成ガスを水封式などの任意の方式で貯留可能な構造を有する。
【0083】
生成ガス116,118は、ガスエンジン106、化学合成反応装置119、熱利用設備120等において使用される。ガスエンジン106は、生成ガス118を燃料として発電するものであり、化学合成反応装置119はFT合成等の手法により、メタノールなどの液体燃料合成するものであり、熱利用設備120は生成ガスの燃焼熱を暖房等に利用するものである。
【0084】
以上、好ましい実施形態を説明したが、添付特許請求の範囲に記載の発明は上記実施形態に限定されない。
【0085】
例えば、上記実施形態では、原料流路22の上流端22aから下流端22bに至る全体が加熱流路13内に収容された場合を示したが、例えば、原料流路22の上流側の所定部分(1次ガス化領域23を含む部分)のみを加熱流路13内に配置してこの部分のみを加熱流体F1により加熱し、第2の加熱手段30による加熱は、加熱流路13とは別の空間で行うことも可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、蛇行した形状の加熱流路13及び原料流路22示したが、これらの一方又は双方を直線状、螺旋状などの他の任意の形状とすることも可能である。上記追加熱方式は逆流方式にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0087】
10・・・加熱炉、11・・・供給口、12・・・排出口、13・・・加熱流路、20・・・反応管、21・・・反応管壁、22・・・原料流路、23・・・1次ガス化領域、24・・・排出口、25・・・2次ガス化領域、26・・・合流点、27・・・第1分岐管、28・・・第2分岐管、30・・・第2の加熱手段、31・・・開口部、32・・・整流板、M1・・・バイオマス、M2・・・反応水、F1・・・加熱流体、F2・・・原料流体、F3・・・生成ガス、100・・・バイオマスエネルギー利用システム、101・・・ガス生成装置、102・・・粉砕設備、103・・・熱ガス発生炉、104・・・脱水装置、105・・・ガスタンク、106・・・ガスエンジン、111・・・バイオマス原料、112・・・バイオマス微粉、113・・・バイオマス粗粉、114・・・外熱ガス、115・・・反応水、118・・・生成ガス、119・・・化学合成反応装置、120・・・熱利用設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管壁により外部から分離された原料流路において、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体を供給し、
第1の加熱手段により、前記原料流路の外部から前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体を加熱する生成ガスの生成方法であって、
前記原料流路は、前記第1の加熱手段による前記加熱によって前記バイオマスの少なくとも1部がガス化する第1ガス化反応を生じる第1ガス化領域と、前記第1ガス化領域よりも前記下流端側に位置する第2ガス化領域を有し、
前記第2ガス化領域において、第2の加熱手段により、前記原料流体の追加熱が行われることを特徴とする生成ガスの生成方法。
【請求項2】
前記第1の加熱手段が、前記原料流路と前記反応管壁により分離された加熱流路において前記上流端側から前記下流端側に向けて供給される加熱流体であることを特徴とする請求項1に記載の合成ガスの生成方法。
【請求項3】
前記第1ガス化領域において、第3の加熱手段により、前記原料流体の追加熱が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項4】
前記加熱流体が、可燃物を燃焼させることにより昇温させたガスであることを特徴とする請求項2に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項5】
前記第1ガス化領域および前記第2ガス化領域が前記加熱流路内に収容されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項6】
前記第2ガス化領域の複数の位置において、前記追加熱が複数段階で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項7】
前記第2ガス化領域において、炭化水素を分解して水素を発生させる反応が前記1ガス化領域よりも高速又は高効率で進行することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項8】
前記第1ガス化領域において、前記原料流体が前記第1の加熱手段によって800℃〜1000℃に加熱されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項9】
前記第2ガス化領域において、前記原料流体が前記第2の加熱手段よって900℃〜1100℃に加熱されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項10】
前記追加熱は、前記原料流体が前記第1の加熱手段による前記加熱によって800℃以上に昇温した位置よりも前記下流端側において行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法
【請求項11】
前記原料流路が、灰分を排出するための排出口を有し、
前記追加熱は、前記排出口よりも前記下流端側において行われることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項12】
前記追加熱は、前記加熱流路において燃料を燃焼させることにより行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項13】
前記追加熱は、所定温度以上のガスを前記加熱流路に導入することにより行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項14】
前記追加熱は、電気加熱により行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。
【請求項15】
前記追加熱による前記原料流体の昇温が100℃〜200℃であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の生成ガスの生成方法。

【請求項16】
原料流路において、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体を供給し、
反応管壁により前記原料流路から分離された加熱流路において、前記原料流路に沿って前記上流端側から前記下流端側に向けて加熱流体を供給し、
前記加熱流体の熱を前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体に供給することで前記原料流体を加熱する生成ガスの生成方法であって、
前記原料流路における所定の部位において、前記前記加熱流体からの熱によって前記原料流体の温度を800℃〜1000℃に上昇させ、
前記所定の部位よりも下流側において、第2の加熱手段による追加熱を行うことにより、前記原料流体の温度を900℃〜1100℃に上昇させることを特徴とする生成ガスの生成方法。
【請求項17】
反応管壁により外部から分離され、上流端側から下流端側に向けてバイオマスを含む原料流体が供給される原料流路と、
第1の加熱手段とを備え、
前記第1の加熱手段により、前記原料流路の外部から前記反応管壁を介して前記原料流路の前記原料流体を加熱する生成ガスの生成装置であって、
前記原料流路は、前記第1の加熱手段による前記加熱によって前記バイオマスの少なくとも1部がガス化する第1ガス化反応を生じる第1ガス化領域と、前記第1ガス化領域よりも前記下流端側に位置する第2ガス化領域を有し、
前記第2ガス化領域において、前記原料流体の追加熱を行う第2の加熱手段を更に備えることを特徴とする生成ガスの生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−6914(P2013−6914A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138966(P2011−138966)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(502435889)学校法人長崎総合科学大学 (20)
【出願人】(507078728)バイオマスエナジー株式会社 (4)