説明

生活反応情報通報装置及び生活モニターシステム

【目的】一般家庭でも簡易に設置でき、しかも遠隔監視を安価に行うことのできる生活反応情報通報装置及びそれを用いた生活モニターシステムを提供することである。
【構成】トイレットペーパーホルダー17に設けた赤外線検知器2から出力された人検知信号aを入力して制御することにより、自動発信制御信号(通報信号)bを送出する。携帯電話機4を呼出しモードにして登録発信先の携帯電話機7に人検知信号aに基づく生活反応情報を呼出し信号により通報する。監視者の携帯電話機7には着信履歴情報(携帯電話機4の発信元と着信時刻)として該通報が記録される。監視者は着信履歴情報から監視対象者16の安否を遠隔的に監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一人暮らしの老人や障害者等の安否を遠距離から監視可能な生活反応情報通報装置及びそれを用いた生活モニターシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢社会になった現在は核家族社会でもある。年老いた親と子供が一緒に生活できず、親が田舎で一人暮らしをしている場合が増えてきている。このような親元を離れた状況下では、子供としては、親が元気で通常の生活を送っているかどうかは非常に心配になるが、頻繁な帰省もままならず、簡単且つ費用を掛けずに知ることが難しかった。
【0003】
老人等の安否を遠距離から監視するための生活モニターシステムとして、従来、家庭内にある電気製品を利用して遠隔監視を行うことが提案されている。例えば、特許文献1には、電気ポットの給湯スイッチのオン・オフ操作等の情報を専用の信号搬送路又は有線電話回線等を利用して発信し、監視対象の老人等が通常の生活を無事に過ごしているか否かを操作時刻や操作回数によって確認して安否等の確認する生活モニターシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、電動式トイレ装置を介して生活反応情報をネットワーク通信できる機構を設けたトイレ情報通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−138761号公報
【特許文献2】特開2002−42278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記生活モニターシステムの場合には、電気ポットの給湯スイッチのオン・オフ操作等の生活反応情報信号を専用の信号搬送路又は有線電話回線等を介して発信し、監視側の端末パソコンに送信する。しかしながら、このようなパソコン通信による監視を行う生活モニターシステムにおいては、システム運用に高価なパソコンの購入費用を要し、しかも、監視に必要なパソコン操作を覚える必要も生じて、一般家庭だけでなく事業所等においても簡易に取り扱えないという問題を生じていた。
【0007】
また、給湯器等の使用状況を生活反応の情報源とすると、冬季は電気給湯器をよく利用されるものの、夏季にはほとんど使用しない場合が多く、一年を通して監視することができなかった。使用頻度が少ないにも拘わらず電気製品に通電しておくことも待機電力の消費無駄を生じてしまい、一般に収入源の少ない老人等に経済的負担をかけて好ましくない。
【0008】
特許文献2のトイレ情報通信装置においては、生活反応の情報源としてトイレの利用状況を利用するため年間通しての監視を可能にしている。即ち、トイレの利用状況監視であれば、トイレの一日の利用回数は大体決まっており、全く利用されなかった場合には、居住老人が倒れたり、外出したりした状況等が容易に想定され、監視精度を確保することができる。しかしながら、特許文献2のトイレ情報通信装置においても、トイレブース内に設置された通信媒体を介してネットワークに接続された集中管理装置へデータを送信する通信ネットワークシステムの構築を必要としており、システム構築に要する設置費用が嵩むといった問題を生じた。
【0009】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、一般家庭でも簡易に設置でき、しかも遠隔監視を安価に行うことのできる生活反応情報通報装置及びそれを用いた生活モニターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の形態は、トイレ用具に設置され、周辺の人体を検知する人検知手段と、前記人検知手段から出力された人検知信号を入力して制御し、通報信号を送出する通信制御装置と、予め登録された発信先の他の無線通信装置に自動発信する自動発信機能を備えた無線通信装置を前記トイレ用具に設置又はその周辺に配置し、前記通信制御装置から前記通報信号を送出することにより前記無線通信装置の前記自動発信機能を起動して、前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報する生活反応情報通報装置である。
【0011】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記通信制御装置は、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とを含み、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出する生活反応情報通報装置である。
【0012】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記通信制御装置は、前記人検知信号の入力時、前記通報信号を所定回数送出した後、一定時間経過後、前記人検知信号が新たに入力されることを条件として前記通報信号を送出する生活反応情報通報装置である。
【0013】
本発明の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記無線通信装置は前記自動発信機能を具備した携帯電話機からなり、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行う生活反応情報通報装置である。
【0014】
本発明の第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記トイレ用具はトイレットペーパーホルダーからなり、前記トイレットペーパーホルダーの一部に前記人検知手段を設置した生活反応情報通報装置である。
【0015】
本発明の第6の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記トイレ用具はトイレ用消臭剤を収納した消臭用具又は芳香剤を収納した芳香用具からなり、前記消臭用具又は前記芳香用具の一部に前記人検知手段を設置した生活反応情報通報装置である。
【0016】
本発明の第7の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記トイレ用具は花瓶、タオル掛け具又は鏡の置物からなり、前記花瓶、前記タオル掛け具又は前記鏡の置物の一部に前記人検知手段を設置した生活反応情報通報装置である。
【0017】
本発明の第8の形態は、第1〜第7のいずれかの形態において、前記人検知手段は、赤外線検知センサ、超音波検知センサ又は光反射式センサのいずれかからなる生活反応情報通報装置である。
【0018】
本発明の第9の形態は、第1〜第8のいずれかの形態に係る生活反応情報通報装置を備え、前記生活反応情報通報装置に設けた前記無線通信装置に予め登録された前記発信先の無線通信装置が遠隔地点に配置され、前記生活反応情報通報装置から前記発信先の無線通信装置に対し前記通報を行うことにより、前記トイレ用具の設置エリア内にモニター対象の人の存在を遠隔的に確認する生活モニターシステムである。
【0019】
本発明の第10の形態は、第9の形態において、前記通信制御装置は、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とを含み、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出する生活モニターシステムである。
【0020】
本発明の第11の形態は、第9又は第10の形態において、前記無線通信装置は前記自動発信機能を具備した携帯電話機からなり、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行う生活モニターシステムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の形態によれば、トイレ用具に設置され、周辺の人体を検知する人検知手段と、前記人検知手段から出力された人検知信号を入力して制御し、通報信号を送出する通信制御装置と、予め登録された発信先の他の無線通信装置に自動発信する自動発信機能を備えた無線通信装置を前記トイレ用具に設置又はその周辺に配置し、前記通信制御装置から前記通報信号を送出することにより前記無線通信装置の前記自動発信機能を起動して、前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報するので、老人等の監視対象者の在住する居宅や施設のトイレに設置された前記トイレ用具に前記無線通信装置を設置又はその周辺に配置するだけで、前記無線通信装置を通じて前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報することができ、特定施設に限らず一般家庭でも簡易に設置でき、しかも遠隔監視を安価に行うことができる。
なお、本発明における前記生活反応情報の通報は、例えば、監視者の携帯電話機に、呼出し着信に限らずメールの着信履歴を残すことにより実行することができる。
【0022】
前記無線通信装置は、前記登録発信先の他の無線通信装置に通信可能な専用の通信機能を具備した通信装置により構成することができ、また市販の携帯電話機を使用してもよい。前記無線通信装置を前記トイレ用具に設置するだけでなく、有線接続又は無線通信接続により、トイレ内外に配置するようにしてもよい。
【0023】
本発明の第2の形態によれば、前記通信制御装置を、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とにより構成して、老人等の監視対象者の在住する居宅や施設のトイレに設置された前記トイレ用具に設置又はその周辺に配置するだけで、前記登録発信先の他の無線通信装置に通信可能な専用の通信機能を具備させ、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出するので、前記無線通信装置を通じて前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報することができ、遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。特に、既製の携帯電話機を用いずに、発信用の前記通信制御装置の機能を前記他の無線通信装置への前記通信に必要な部材及び回路基板により構成できるので、不要な部品点数を削減してより低価格化を図ることができる。前記識別情報記憶手段には、電話番号を特定するための固有ID番号が記録されたICカード、例えば、SIM(Subscriber Identity Module Card)などを使用することができる。
【0024】
本発明の第3の形態によれば、前記通信制御装置は、前記人検知信号の入力時、前記通報信号を所定回数送出した後、一定時間経過後、前記人検知信号が新たに入力されることを条件として前記通報信号を送出するので、例えば、前記登録発信先の他の無線通信装置に使用する電話機に通報する回数を抑制して前記通報に掛る通話料金を廉価に抑え、遠隔監視費用を低減することができる。
【0025】
本発明の第4の形態によれば、前記無線通信装置は前記自動発信機能を具備した携帯電話機からなり、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行うので、遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0026】
本発明の第5の形態によれば、前記トイレットペーパーホルダーの一部に前記人検知手段を設置した前記トイレ用具を使用することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0027】
本発明の第6の形態によれば、前記消臭用具又は前記芳香用具の一部に前記人検知手段を設置した前記トイレ用具を使用することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0028】
本発明の第7の形態によれば、前記花瓶、前記タオル掛け具又は前記鏡の置物の一部に前記人検知手段を設置した前記トイレ用具を使用することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0029】
本発明の第8の形態によれば、前記人検知手段は、赤外線検知センサ、超音波検知センサ又は光反射式センサのいずれかからなるで、トイレ内の監視対象者の検知を確実に行え、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0030】
本発明の第9の形態によれば、本発明に係る生活反応情報通報装置を備え、前記生活反応情報通報装置に設けた前記無線通信装置に予め登録された前記発信先の無線通信装置が遠隔地点に配置され、前記生活反応情報通報装置から前記発信先の無線通信装置に対し前記通報を行うことにより、前記トイレ用具の設置エリア内にモニター対象の人の存在を遠隔的に確認するので、老人等の監視対象者の在住する居宅や施設のトイレに設置された前記トイレ用具に前記無線通信装置を設置又はその周辺に配置するだけで、パソコンの設置や通信ネットワークシステムの構築を行うことなく、前記無線通信装置を通じて前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報することができ、特定施設に限らず一般家庭でも簡易に設置でき、しかも遠隔監視を安価に行うことができる。
【0031】
本発明の第10の形態によれば、前記通信制御装置を、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とにより構成して、老人等の監視対象者の在住する居宅や施設のトイレに設置された前記トイレ用具に設置又はその周辺に配置するだけで、前記登録発信先の他の無線通信装置に通信可能な専用の通信機能を具備させ、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出するので、前記無線通信装置を通じて前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報することができ、遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる生活モニターシステムを実現することができる。
【0032】
本発明の第11の形態によれば、前記無線通信装置に前記自動発信機能を具備した携帯電話機を用いて、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行うので、遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる生活モニターシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態である生活反応情報通報装置1の構成図である。
【図2】生活反応情報通報装置1に用いる赤外線検知器2を設置したトイレットペーパーホルダー17の側面及び正面を示す図である。
【図3】生活反応情報通報装置1の制御部3による生活モニター監視処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る通信制御装置の変形例の構成図である。
【図5】本発明に係る人体検知手段の変形例の構成図である。
【図6】本発明に係る人体検知手段の別の変形例の構成図である。
【図7】図5及び図6の各人体検知手段を含む生活反応情報通報装置の構成図である。
【図8】本発明に係るトイレ用具の種々の変形例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態に係る生活反応情報通報装置1を図面を参照して以下に説明する。本実施形態は生活反応情報通報装置1の無線通信装置に携帯電話機を使用し、トイレ用具のトイレットペーパーホルダー17に赤外線検知器2(人体検知手段)を設置した場合である。
図1は生活反応情報通報装置1の構成を示す。図2は赤外線検知器2を設置したトイレットペーパーホルダー17の側面図(2A)及び正面図(2B)を示す。
【0035】
本実施形態の生活反応情報通報装置1は、トイレットペーパーホルダー17に設置された赤外線検知器2、赤外線検知器2による人検知信号を入力して制御し、通報信号を送出する制御部(通信制御装置)3、携帯電話機4及び電源5からなる。電源5は商用電源と接続されるACアダプタからなり、電源5を通じて入力された電源電圧は電源ライン11を介して、赤外線検知器2、制御部3及び携帯電話機4に供給可能になっている。
【0036】
赤外線検知器2は人体から放出された赤外線を検知する焦電型赤外線センサからなる。赤外線検知器2は前記赤外線の検知により人体検知信号aを信号線8を介して制御部3に出力する。図2に示すように、トイレットペーパーホルダー17は、壁据付部材18と、壁据付部材18から起立形成され、トイレットペーパー21の軸芯20を回動自在に軸支する一対のホルダー部材19と、ホルダー部材19の上部に設けたペーパーカッター部材22からなる。壁据付部材18の下部には携帯電話機4の載置板23が設けられている。片方のホルダー部材19の下部19aには、赤外線センサのレンズ部を露出させた状態で、制御部3の構成部材を収容した筐体3aが設置されている。携帯電話機4は、トイレットペーパーホルダー17に内設するだけでなく、トイレ入口、トイレ壁面、トイレットペーパーホルダー17の外側面などにフックを取付て、制御部3と有線接続又は無線通信可能にした携帯電話機4のストラップ紐を該フックに引っ掛けるなどして外部に設置するようにしてもよい。
【0037】
トイレ装置は、便座13及び開閉蓋14を備えた便器12と、水洗タンク15からなる。トイレットペーパーホルダー17は、便座13に着座した監視対象者16から放出される赤外線を前記レンズ部を介して前記赤外線センサにより検出する正面位置に、トイレ壁面などに取り付けられている。トイレットペーパーホルダー17を監視対象者の横側に設置して、側方より人体赤外線を検知するようにしてもよい。
【0038】
制御部3は、CPU、ROM及びRAMからなりタイマー監視機能を具備したマイクプロセッサにより構成され、本発明に係る通信制御装置に対応する。該ROMには本発明に係る通信制御プログラムが格納されている。人体検知信号aの制御部3への入力に基づき、制御部3にて通報信号(自動発信制御信号)bが生成され、 自動発信制御信号bが信号ケーブル9を介して携帯電話機4に送出される。携帯電話機4には、監視者の所有する携帯電話機7の携帯電話番号が発信先として予め登録されている。携帯電話機4は、他機に自動発信する自動発信機能を具備しており、自動発信制御信号bの入力により、前記登録発信先の携帯電話機7に呼出し信号cを内蔵アンテナ10を通じて送信する。呼出し信号cは携帯電話機4を通話契約している電話会社の通信経由装置6を経由した呼出し信号dとして、監視者の所有する携帯電話機7に送信される。
【0039】
生活反応情報通報装置1において、制御部3のCPUの制御下で実行される前記通信制御プログラムに基づく、監視対象者の生活モニター監視処理手順を以下に説明する。
【0040】
図3は制御部3による生活モニター監視処理手順を示す。
人体検知可能な赤外線検知器2を備えたトイレットペーパーホルダー17をトイレ内に設置した状態で、老人等の監視対象者16がトイレを利用すると、赤外線検知器2によって人体検知信号aが制御部3に出力される(ステップS1)。人体検知信号aの入力により、制御部3のタイマー機能が作動し、タイマー監視時間T1がセットされる(ステップS2)。タイマー監視時間T1は2秒〜10秒の値に設定可能であり、本実施形態では3秒に設定されている。
【0041】
上記タイマー起動により、制御部3から自動発信制御信号bが生成されて、携帯電話機4に送出される(ステップS3)。自動発信制御信号bのオン状態はタイマー監視時間T1のタイムアップまで継続され(ステップS4)、タイマー監視時間T1の経過後、自動発信制御信号bがオフされる(ステップS5)。自動発信制御信号bがタイマー監視時間T1の間、オンされることにより、携帯電話機4は呼出しモードになって、発信先として予め登録されている監視者所有の携帯電話機7の携帯電話番号により自動発信機能を起動して、呼出し信号cを出力する(ステップS6)。呼出し信号cは内蔵アンテナ10を通じて基地局に送信され、通信経由装置6を経由した呼出し信号dとして携帯電話機7に与えられる。上記のようにして、1回目のタイマー監視時間T1の期間、自動発信制御信号bが出力されて携帯電話機4を呼出しモードにセットする。
【0042】
携帯電話機4を呼出しモードにセットした後、制御部3のタイマー機能が再び作動し、タイマー監視時間T2がセットされる(ステップS7)。タイマー監視時間T2は2秒〜10秒の値に設定可能であり、本実施形態では6秒に設定されている。タイマー監視時間T2の経過してタイムアップした後(ステップS8)、2回目の自動発信制御信号bの出力処理を実行する(ステップS9〜S12)。即ち、自動発信制御信号bのオン状態はタイマー監視時間T3のタイムアップまで継続され、タイマー監視時間T3の経過後、自動発信制御信号bがオフされる(ステップS9〜S12)。タイマー監視時間T3は2秒〜10秒の値に設定可能であり、本実施形態では、タイマー監視時間T1と同じ3秒に設定されている。自動発信制御信号bがタイマー監視時間T3の間、オンされることにより、携帯電話機4は呼出しモードの停止状態になって、呼出し信号cの出力を停止する(ステップS13)。
【0043】
以上の2回の自動発信制御信号bのオン・オフがタイマー監視時間T2の時間間隔をおいて実行されることにより、呼出し信号cによる呼出しが行われ、所謂ワン切りによる通信が携帯電話機7に行われる。トイレットペーパーホルダー17に設けた赤外線検知器2から出力された人検知信号aを入力して制御することにより、自動発信制御信号(通報信号)bを送出して、携帯電話機4を呼出しモードにし、登録発信先の携帯電話機7に人検知信号aに基づく生活反応情報を呼出し信号d(c)により通報することができる。監視者の携帯電話機7には着信履歴情報(携帯電話機4の発信元と着信時刻)として該通報が記録される。監視者は着信履歴情報から監視対象者16の安否を遠隔的に監視することができる。該通報は呼出しのみで通信回線が遮断されるため、通話料は発生せず、携帯電話機4の利用費用は基本料金のみで済み、経済的な遠隔監視を行うことができる。従って、本実施形態によれば、生活反応情報通報装置1を老人等の監視対象者の在住する居宅や施設のトイレに設置することにより、生活反応情報を携帯電話機4を通じて遠隔地点にある携帯電話機7に通報することができ、特定施設に限らず一般家庭でも簡易に設置でき、しかも遠隔監視を安価に行える生活モニターシステムを簡易且つ安価に構築することができる。
【0044】
生活反応情報通報装置1においては、人検知信号aに基づく携帯電話機4の呼出しを連続して発生させると、通常通話と紛らわしくなるので、これを回避すべく、生活反応情報の通報を間欠的に実行するようにしている。即ち、1回目の呼出し処理を行った後(ステップS13)、タイマー監視時間T4がセットされる(ステップS14)。タイマー監視時間T4は10〜60分にセット可能であり、好ましくは監視対象者16の平均的トイレ利用間隔に準拠した時間配分がよく、本実施形態では20分に設定されている。従って、タイマー監視時間T4(20分)がタイムアップした後(ステップS15)、人検知信号aが新たに入力されること(ステップS1)を条件として通報信号の送出が行われるので、前記登録発信先の携帯電話機7にワン切通報する回数を抑制して前記通報に掛る通話料金を廉価に抑え、遠隔監視費用を低減することができる。
本実施形態においては携帯電話機7へのワン切により生活反応情報の通報を行うが、これに限らず、携帯電話機7のメールアドレス(又はメール送信可能な電話番号)を制御部3に予め登録、記憶しておき、通報信号bを送出して携帯電話機4をメール通信モードにし、携帯電話機4に予め登録、記憶させた送信メッセージ、例えば、「元気ですよ。」を携帯電話機7にメール送信して、該メールの着信を残して通報するようにしてもよい。
【0045】
本発明に係る無線通信装置は、前記登録発信先の他の無線通信装置に通信可能な専用の通信機能を具備した通信装置により構成してもよい。
【0046】
図4は本発明に係る通信制御装置の変形例の構成を示す。
通信制御装置100は、生活反応情報通報装置1における制御部3の通報信号生成機能と携帯電話機7の自動発信機能を有する制御構成を具備する。即ち、通信制御装置100は、CPU及びメモリからなるマイクロプロセッサを有した制御部101と、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報(ID情報)を記録したICカードからなるSIMカード(識別情報記憶手段)104と、特定の電話番号に基づき、予め登録した発信先に発信する発信プログラムを記憶するROM(発信プログラム記憶手段)102と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う電話網通信部(通信制御手段)105とからなる。ROM102に格納された発信プログラムは、生活反応情報通報装置1における前記通信制御プログラムと同様の通信制御シーケンスからなる。通信制御装置100の該メモリには、監視者の携帯電話機7の発信先が予め記憶、登録されている。
【0047】
SIMカード104はSIMカード装着インタフェース部103に装着され、制御部101のCPUの制御によりID情報が読み出される。制御部100には、赤外線検知器2によって検知された人体検知信号aが信号線106を介して入力される。人体検知信号aが制御部100に入力されると、SIMカード装着インタフェース部103に装着されたSIMカード104から読み出した電話番号に基づき、携帯電話機と同様の呼出しモードにおける自動発信制御信号(通報信号)を生成し、電話網通信部(通信制御手段)105を介して、登録発信先に呼出し信号cを出力して通報し、生活反応情報通報装置1と同様に、監視者の携帯電話機7に生活反応情報として着信履歴情報(SIMカード104による発信元と着信時刻)が記録させることができる。
【0048】
通信制御装置100を用いれば、生活反応情報通報装置1と同様の登録発信先の他の携帯電話機に通信可能な専用の通信機能を具備させ、人検知信号aの入力により、発信プログラムを起動して無線通信制御を行って自動発信制御信号を送出するので、携帯電話機4を用いる場合と比べて、監視対象者16には不要な表示機能や操作機能を省くことができ、より安価に遠隔監視を行うことができる。
通信制御装置100においても、携帯電話機7へのワン切による生活反応情報の通報に限らず、携帯電話機7のメールアドレス(又はメール送信可能な電話番号)と、例えば、「元気ですよ。」のような送信メッセージをROM102に予め登録、記憶しておき、通報信号の生成により、携帯電話機7に該送信メッセージをメール送信して、該メールの着信を残して通報することができる。複数の送信メッセージをROM102に登録可能にして、いずれかの送信メッセージを選択してメール送信可能にしてもよい。
【0049】
生活反応情報通報装置1においては、人検知が比較的広範囲に行える赤外線検知器2を使用しているが、人検知手段には、トイレ用具に設置可能であれば、何れの監視対象者検知可能な検知手段を使用することができる。図5及び図6に人検知手段の変形例を、図7に図5及び図6の各人検知手段を用いた生活反応情報通報装置を示す。なお、図5〜図7において、図1及び図2と同様の部材につき同じ符号を付している。
【0050】
図5は本発明に係る人体検知手段(投光器24及び受光器25からなる光反射式検知器2A)の変形例の構成を示す。図7の(7A)は光反射式検知器2Aを含む生活反応情報通報装置1Aの構成を示す。
【0051】
図5の(5A)及び(5B)はトイレットペーパーホルダー17の一部を利用して、投受光器2Aを設置した側面及び正面の配置構成を示す。投光器24及び受光器25は片方のホルダー部材19の下部19aに、監視対象者16に投受光可能に対向配置されている。投光器24及び受光器25を監視対象者16の側方より投受光可能に配置されてもよい。
【0052】
投光器24からの光が監視対象者16に反射して受光器25に入射することにより人体検知信号aを発生させることができる。従って、生活反応情報通報装置1Aによれば、老人等の監視対象者16がトイレを利用すると、光反射式検知器2Aによって、気温、湿度の環境の影響を受けずに、人体検知が行えるので、生活反応情報通報装置1と同様に、遠隔監視設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0053】
図6は本発明に係る人体検知手段(超音波送信器26及び超音波受信器27からなる超音波式検知器2B)の変形例の構成を示す。図7の(7A)は超音波式検知器2Bを含む生活反応情報通報装置1Aの構成を示す。
【0054】
図6の(6A)及び(6B)はトイレットペーパーホルダー17の一部を利用して、超音波式検知器2Bを設置した側面及び正面の配置構成を示す。超音波送信器26及び超音波受信器27は片方のホルダー部材19の下部19aに、監視対象者16に超音波送受信可能に対向配置されている。超音波送信器26及び超音波受信器27を監視対象者16の側方より超音波送受信可能に配置されてもよい。
【0055】
超音波送信器26から送信された超音波が監視対象者16に反射して超音波受信器27に受信されることにより人体検知信号aを発生させることができる。従って、生活反応情報通報装置1Bによれば、老人等の監視対象者16がトイレを利用すると、超音波式検知器2Bによって、光反射式検知器2Aと同様、気温、湿度の環境の影響を受けずに、人体検知が行えるので、生活反応情報通報装置1と同様に、遠隔監視設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0056】
人体検知手段の設置対象はトイレットペーパーホルダーに限らず、トイレ内に設置される各種トイレ用具を使用することができる。
【0057】
図8は本発明に係るトイレ用具の種々の変形例を示す。
同図(8A)に示すように、トイレ消臭剤又はトイレ芳香剤が収容され、トイレ消臭剤又はトイレ芳香剤の放散口31を備えたトイレ消臭(芳香)用具30の側部に赤外線検知器2等各種の人検知手段32を設置することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0058】
同図(8B)に示すように、生け花(又は造花)34の差入口を設けた壁掛け用花瓶33の正面側に赤外線検知器2等各種の人検知手段35を設置することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0059】
同図(8C)に示すように、手拭きタオル38が掛けられるハンガー37を備えたタオル掛け具36の正面側に赤外線検知器2等各種の人検知手段39を設置することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0060】
同図(8D)に示すように、鏡面41が設けられたトイレミラー40の正面側に各種の人検知手段42を設置することにより、遠隔監視付帯設備を簡便化して遠隔監視を簡単且つ安価に行うことができる。
【0061】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、例えば、携帯電話機の呼出し機能を利用して、一人暮らしの老人の生活反応情報を簡単且つ安価に遠隔監視することができる生活反応情報通報装置及びそれを用いた生活モニターシステムを実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 生活反応情報通報装置
1A 生活反応情報通報装置
1B 生活反応情報通報装置
2 赤外線検知器
2A 投受光器
2B 超音波式検知器
3 制御部
3a 筐体
4 携帯電話機
5 電源
6 通信経由装置
7 携帯電話機
8 信号線
9 信号ケーブル
10 内蔵アンテナ
11 電源ライン
12 便器
13 便座
14 開閉蓋
15 水洗タンク
16 監視対象者
17 トイレットペーパーホルダー
18 壁据付部材
19 ホルダー部材
19a 下部
20 軸芯
21 トイレットペーパー
22 ペーパーカッター部材
23 載置板
24 投光器
25 受光器
26 超音波送信器
27 超音波受信器
30 トイレ消臭(芳香)用具
31 放散口
32 人検知手段
33 壁掛け用花瓶
34 生け花
35 人検知手段
36 タオル掛け具
37 ハンガー
38 手拭きタオル
39 人検知手段
40 トイレミラー
41 鏡面
42 人検知手段
100 通信制御装置
101 制御部
102 ROM
103 SIMカード装着インタフェース部
104 SIMカード
105 電話網通信部
106 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ用具に設置され、周辺の人体を検知する人検知手段と、前記人検知手段から出力された人検知信号を入力して制御し、通報信号を送出する通信制御装置と、予め登録された発信先の他の無線通信装置に自動発信する自動発信機能を備えた無線通信装置を前記トイレ用具に設置又はその周辺に配置し、前記通信制御装置から前記通報信号を送出することにより前記無線通信装置の前記自動発信機能を起動して、前記人検知信号に基づく生活反応情報を前記登録発信先の他の無線通信装置に通報することを特徴とする生活反応情報通報装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とを含み、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出する請求項1に記載の生活反応情報通報装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記人検知信号の入力時、前記通報信号を所定回数送出した後、一定時間経過後、前記人検知信号が新たに入力されることを条件として前記通報信号を送出する請求項1又は2に記載の生活反応情報通報装置。
【請求項4】
前記無線通信装置は前記自動発信機能を具備した携帯電話機からなり、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行う請求項1、2又は3に記載の生活反応情報通報装置。
【請求項5】
前記トイレ用具はトイレットペーパーホルダーからなり、前記トイレットペーパーホルダーの一部に前記人検知手段を設置した請求項1〜4のいずれかに記載の生活反応情報通報装置。
【請求項6】
前記トイレ用具はトイレ用消臭剤を収納した消臭用具又は芳香剤を収納した芳香用具からなり、前記消臭用具又は前記芳香用具の一部に前記人検知手段を設置した請求項1〜4のいずれかに記載の生活反応情報通報装置。
【請求項7】
前記トイレ用具は花瓶、タオル掛け具又は鏡の置物からなり、前記花瓶、前記タオル掛け具又は前記鏡の置物の一部に前記人検知手段を設置した請求項1〜4のいずれかに記載の生活反応情報通報装置。
【請求項8】
前記人検知手段は、赤外線検知センサ、超音波検知センサ又は光反射式センサのいずれかからなる請求項1〜7のいずれかに記載の生活反応情報通報装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の生活反応情報通報装置を備え、前記生活反応情報通報装置に設けた前記無線通信装置に予め登録された前記発信先の無線通信装置が遠隔地点に配置され、前記生活反応情報通報装置から前記発信先の無線通信装置に対し前記通報を行うことにより、前記トイレ用具の設置エリア内にモニター対象の人の存在を遠隔的に確認することを特徴とする生活モニターシステム。
【請求項10】
前記通信制御装置は、所定の電話会社と契約した特定の電話番号を含む識別情報を記録した識別情報記憶手段と、前記特定の電話番号に基づき、前記発信先に発信する発信プログラムを記憶する発信プログラム記憶手段と、前記発信プログラムに基づき、前記電話会社の基地局を通じて無線通信制御を行う通信制御手段とを含み、前記人検知信号の入力により、前記発信プログラムを起動して無線通信制御を行って前記通報信号を送出する請求項9に記載の生活モニターシステム。
【請求項11】
前記無線通信装置は前記自動発信機能を具備した携帯電話機からなり、前記通信制御装置からの前記通報信号の送出により、前記登録発信先の別の携帯電話機の呼出しを行って前記通報を行う請求項9又は10に記載の生活モニターシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103788(P2012−103788A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249848(P2010−249848)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(507211185)株式会社アイ・エム・ジー (1)
【Fターム(参考)】