説明

生活習慣病予防または改善剤

【課題】食品、医薬品分野において、経口摂取することで、肝臓内の中性脂肪、総コレステロール濃度を低下させることができる生活習慣病予防/改善剤を提供する。
【解決手段】セロビオース含量が70質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上を0.1〜30質量%含み、グルコース含量が9質量%以下であるセロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする生活習慣病予防または改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品分野の内用剤において、糖組成が制御され、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制された、セロオリゴ糖を含有することで、肝臓内の中性脂肪、総コレステロール濃度を低下させる生活習慣病の予防または改善剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セロオリゴ糖は、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースの総称であり、1分子内に、グルコピラノース単位1〜6個が、β−1,4結合した少糖類である。
セロオリゴ糖は、ヒトには消化吸収され難く、低カロリー甘味料として有用であるのに加え、一般食品、機能性食品、化粧品、医薬品およびその添加剤、その他化学変換原料、発酵原料としても有用である(非特許文献1)。
【0003】
本発明は、糖尿病、動脈硬化、肝硬変等の成人病態の要因となりうる肝臓内脂質に着目し、特定の糖組成を有し、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制される、特定の糖組成を有するセロオリゴ糖を含有する生活習慣病予防または改善剤を服用することで、肝臓内脂質の低減効果を有するものである。
【0004】
これまでのセロオリゴ糖による脂質代謝への試みについては、以下の報告がある。
非特許文献1〜3には、糖組成として、セロビオースが85.7質量%、セロトリオース質量3.7%、グルコース含量9.3質量%であるセロオリゴ糖を用い、高ショ糖食(ショ糖64.7質量部、カゼイン25質量部、コーン油5質量部、ミネラル4質量部、ビタミン1質量部、塩酸コリン0.2質量部およびビタミンE0.05質量部)の1または2.5質量%を、該セロオリゴ糖で置換し、SD系雄性ラットを4週間飼育した結果が記載されている。該文献によると、上記糖組成のセロオリゴ糖の摂取で、無添加系に対し、血清総コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセライド、体脂肪率が低下している。しかしながら、該文献のセロオリゴ糖は、血清脂質の低減効果を有するものの、肝臓等の内臓重量には変化がなく、内臓脂質ついても低減効果が認められていない。それに対し、本発明は、特定の糖組成を有し、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制され、セロオリゴ糖を含有し、肝臓内の脂質低減効果に優れる生活習慣病の予防または改善剤である。従って、該文献の血清脂質低下性のセロオリゴ糖とは全く異なる。
【0005】
また、特許文献1には、乳酸菌(Lactbacillus rahamnosus)菌体とセロビオースを配合比で、1:2.5〜8含有せしめたことを特徴とする整腸及び脂質代謝促進用食・飼料添加物が記載されている。かかる文献では、基本食(カゼイン20.0部、DL−メオチニン0.3質量部、ミネラル3.5質量部、ビタミン1.0質量部、大豆油7.0質量部)の10質量%をセロビオースに置換し、Wister系雄性ラットを14日間飼育した結果が記載されている。該文献では、セロビオース単独添加系は、無添加に対し、血清、内臓の脂質代謝への効果はなく、セロビオースと上記乳酸菌を併用すると初めて、上記の脂質量が低減している。従って、本発明の如く、糖組成を高度に制御されたセロオリゴ糖を含有し、セロオリゴ糖単独で、肝臓内の脂肪量を低減する生活習慣病予防または改善剤とは本質的に異なる。また、該文献の脂質代謝促進食は、セロビオースと生菌を同時摂取する必要があるため、製剤とした場合の生菌の安定が悪く、服用するまでに、少なからず効果が低下する問題があった。
従って、特定の糖組成を有し、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制された、インスリン非上昇性のセロオリゴ糖を有効成分とし、これを服用することで、肝臓内脂質を低減する生活習慣病予防または改善剤は知られていなかった。
【0006】
【非特許文献1】ウッドケミカルズの最新技術,シーエムシー出版発行,66−72(2000)
【非特許文献2】日本栄養・食糧学会誌,49, No 3,143−148(1998)
【非特許文献3】Cellulose Communications,5,No 2,91−97(1998)
【特許文献1】特開2004−321068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、肝臓内の脂質低減性を有する生活習慣病予防または改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、糖組成を特定範囲に制御され、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制された、セロオリゴ糖が、肝臓内の脂質低下性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)セロビオース含量が70質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上を0.1〜30質量%含み、グルコース含量が9質量%以下であるセロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする生活習慣病予防または改善剤。
(2)上記オリゴ糖が、肝臓内の中性脂肪濃度の低下率が15%以上のオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)の生活習慣病予防または改善剤。
(3)上記オリゴ糖が、経口摂取による血中アディポネクチン濃度の低下率が30%以下のオリゴ糖であることを特徴とする上記(1)の生活習慣病予防または改善剤。
(4)上記(1)〜(3)の生活習慣病予防または改善剤を含有する医薬品。
(5)上記(1)〜(3)の生活習慣病予防または改善剤を含有する食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生活習慣病予防または改善剤を服用することで、肝臓内の脂質を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、特にその好ましい態様を中心に、以下具体的に説明する。
本発明におけるセロオリゴ糖は、セロビオースを70質量%以上含有する必要がある。セロビオース含量が高いほど、セロオリゴ糖の水溶解度が向上し、服用時の生体利用率が高まるため好ましい。このセロビオース含量は、86質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
【0011】
本発明におけるセロオリゴ糖におけるセロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上の含量は、0.1〜30質量%である。これらを含有することで、肝臓脂質の低下効果が高められる。但し、含量が高すぎると、溶解度が低くなり、上述の生体利用率が低減する。従って、この含量は上述の範囲を満たす必要がある。好ましい範囲は、0.1〜14質量%であり、0.1〜5質量%がより好ましい。
本発明におけるセロオリゴ糖のグルコース含量は、9質量%以下である。グルコース含量が低いことで、血中インスリン濃度の上昇を抑え、特に肝臓内の脂質代謝を高めることができる。グルコース含量は、3.5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。グルコース含量は、低いほど、上述の効果が大きくなるため、その下限値は特に制限されるものではない。
【0012】
以下に、本発明の生活習慣病予防または改善剤におけるセロオリゴ糖、グルコース含量の分析法を記す。本発明のセロオリゴ糖は、純水に1質量%濃度で溶解させた後、高速液体クロマトグラフィー(クロマトグラフィーシステム:島津製作所(株)製 商品名 SCL−10A、カラム:島津製作所製 商品名 Asahipak NHP−50、移動相:アセトニトリルまたは水=75/25(容積比))で分析できる。セロオリゴ糖の糖組成は、上述の方法で得られたクロマトグラムにおけるセロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースのピーク面積を質量換算し、総質量に占める、それぞれの質量百分率で表される。グルコースの含有率も、同様の方法で求められ、セロビオースとグルコースのピーク面積から算出される総質量に対するグルコースの質量の百分率で表される。
【0013】
本発明のセロオリゴ糖は、インスリン非上昇性であることが好ましい。このインスリン非上昇性とは、セロオリゴ糖を経口摂取した後の血中インスリン濃度が、経口摂取前のインスリン濃度に対し、上昇しないことを意味し、以下の方法で測定される。生後7週齢のSDラットを1週間AIN−93G(オリエンタル酵母工業製)の自由摂取で、1週間予備飼育後、16時間絶食させ、表1の各セロオリゴ糖水溶液を、ゾンデを用いて1500mg/kgを投与した。投与前および投与後、30分後に無麻酔下で、骸外静脈より採血し、インスリン濃度(ng/mL シバヤギ製 レビインスリンキット使用)を測定した。ここでいうインスリン非上昇性とは、上記のインスリン濃度の上昇率が、30%以下となることである。より好ましくは、インスリン濃度の上昇率が25%以下であり、特に好ましくは、20%以下である。
【0014】
本発明のセロオリゴ糖は、経口摂取時の血中アディポネクチン濃度の低下率が30%以下であることが好ましい。血中アディポネクチン濃度は、脂質代謝異常の指標であり、この低下率が小さいと、糖尿病、動脈硬化等の生活習慣病を生じないため好ましい。ここでいう、血中アディポネクチン濃度とは、血液を用いてELISA法(大塚製薬製 血中アディポネクチンELISAキット)で測定したアディポネクチン濃度(μg/mL−血液)のことである。その低下率とは、セロオリゴ糖の摂取と非摂取の血液を用い測定したアディポネクチン濃度から、以下の式で求められる。低下率(%)=((セロオリゴ糖非摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖非摂取時の濃度)(%)。アディポネクチン低下率は小さいほど、上述の効果が大きくなるため、25%以下がより好ましい。
【0015】
本発明のセロオリゴ糖は、肝臓内の中性脂肪濃度の低下率が15%以上であることが好ましい。この肝臓内の中性脂肪濃度の低下率が高いほど、糖尿病、動脈硬化、肝不全、肝硬変等の生活習慣病の予防/改善効果が高い。ここでいう、中性脂肪濃度とは、肝臓の単位量当たりに存在する中性脂肪量(mg/g−Wetliver)のことである。その低下率とは、セロオリゴ糖の摂取と非摂取の肝臓内の中性脂肪濃度から、以下の式で求められる。低下率(%)=((セロオリゴ糖非摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖非摂取時の濃度)(%)。中性脂肪濃度の低下率は大きいほど、上述の効果が大きくなる。従って、20%以上であることがより好ましい。
【0016】
本発明のセロオリゴ糖は、肝臓内の総コレステロール濃度の低下率が10%以上であることが好ましい。この肝臓内の総コレステロールの低下率が高いほど、糖尿病、動脈硬化、肝不全、肝硬変等の生活習慣病の予防/改善効果が高い。ここでいう、総コレステロール濃度も、上述の中性脂肪濃度と同様に、肝臓の単位量当たりに存在する総コレステロール量(mg/g−Wetliver)のことである。その低下率とは、セロオリゴ糖の摂取と非摂取の肝臓内の総コレステロール濃度から、以下の式で求められる。低下率(%)=((セロオリゴ糖非摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖非摂取時の濃度)(%)。総コレステロール濃度の低下率は大きいほど、上述の効果が大きくなる。従って、15%以上であることがより好ましい。
【0017】
本発明の生活習慣病予防とは、本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする予防剤を経口摂取することで、高糖質、高脂質、高カロリー等の食事を摂取した場合も、血中および内臓脂質の上昇を抑制し、糖尿病、動脈硬化、肥満、肝不全、肝硬変等の生活習慣病を予防できることである。
一方、本発明の生活習慣病改善とは、上述の生活習慣病を発病した状態から、本発明のセロオリゴ糖を摂取することで、血中および内臓脂質を低減し、上述の生活習慣病を改善することである。本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする生活習慣病予防/改善剤を経口摂取すると、上述の予防と改善の効果が得られる。
【0018】
本発明の生活習慣病予防/改善剤は、肝臓内の中性脂肪濃度および総コレステロール濃度の低下作用を有するものであるが、経口摂取により、血中脂質、肝臓以外の内臓脂質についても低下効果を有するものである。
本発明でいう血中脂質とは、血中の中性脂肪、HDL、LDL−コレステロール、リン脂質のことであり、血清または血漿を用い公知の測定方法で求められるものである。血中脂質の低下とは、上記の血中脂質の濃度を測定し、セロオリゴ糖の投与前の値、もしくはセロオリゴ糖非投与状態から低下していることである。
【0019】
また、本発明の内臓脂質とは、上述の肝臓内の中性脂肪、総コレステロール濃度に加え、肝臓内のHDL、LDL−コレステロール、リン脂質濃度、精巣上体の副睾丸脂質、腎臓周囲の腹腔内に存在する上述の脂質のことである。これらついても、血中脂質と同様に脂質濃度、または質量で表され、内臓脂質濃度の低下とは、セロオリゴ糖の投与前、もしくはセロオリゴ糖非投与状態から脂質濃度、または質量が低下していることを意味する。
【0020】
次に、本発明のセロオリゴ糖の製造方法について説明する。
本発明のセロオリゴ糖の起源には、特に制限はなく、セルロース系物質の加水分解で製造されたもの、グルコース等の単糖類またはその誘導体を縮合または糖転移させ製造されたものでもよいが、酵素分解法で得られたものが、安全性の点で好ましい。
酵素分解に使用するセルロース系物質としては、植物性でも、動物性でもよく、例えば、木材、竹、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、麦、稲、バクテリアセルロース等の含有する天然物由来の繊維質物質、またそれらを一旦溶剤に溶解させ再生させた再生セルロースでも、それらの化学処理を施しセルロース誘導体としたものでもよく、上記のうち、1種または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解または化学処理を経ない、天然セルロース系物質を用いると、得られたセロオリゴ糖に人体に有害な溶剤または化学物質が含まれないため好ましい。また、セルロース系物質は精製パルプの状態で使用することが好ましく、パルプの精製方法には特に制限はなく、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、NBKPパルプ等のいずれのパルプを使用してもよい。
【0021】
また、セルロース系物質を酵素分解する場合には、使用するセルロース系物質としては、一旦加水分解し、平均重合度を700以下に部分加水分解したセルロース系物質を用いると、セロオリゴ糖の収率を向上させる上で好ましい。さらに、該特定の重合度を有するセルロース系物質は、平均粒子径を100μm以下、コロイド状セルロース成分含有量を10質量%以上に制御したものを用いることが、酵素分解速度の向上、セロオリゴ糖選択率が向上するため好ましい。
【0022】
本発明では、セルロース系物質の加水分解に用いる酵素をセルラーゼといい、本発明で使用するセルラーゼとは、セルロースを分解する酵素の総称であり、セルロースへの分解活性を有していれば、本発明でいうセルラーゼに含まれる。セルラーゼ酵素源としては、例えば、セルラーゼ産生生菌体そのもの、セルラーゼ産生菌が分泌する酵素を精製したもの、精製酵素を賦形剤、安定化剤等の添加剤ともに製剤化したもの等が挙げられる。セルラーゼ製剤品の場合、それに添加される添加剤にも特に制限はなく、その剤形は、粉末、顆粒、液体等いずれでもよい。
【0023】
セルラーゼの起源についても、特に制限はないが、例えば、公知のセルラーゼを生産する微生物としては、トリコデルマ(Tricoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アエロモナス(Aeromonus)属、イルペックス(Irpex)属、スポロトリクム(Sporotrichum)属、フミコーラ(Humicola)属、セロビブリオ(Cellovibrio)属等の「セルラーゼ」(講談社サイエンティフィック発行(1987))、「セルロースの事典」(朝倉書店発行(2000))に記載される菌が生産するセルラーゼを挙げることができるが、セルロースを分解する酵素であれば、上記公知の菌由来の酵素に限らず、新規の菌由来の酵素も、本発明のセルラーゼに含まれる。
酵素分解方法は、公知の方法を使用すればよく、特に制限されるものではないが、一例としては、セルロース系物質を水性媒体中に懸濁させ、セルラーゼを添加し、攪拌または振とうしながら、加温して糖化反応を行う方法が挙げられる。
【0024】
上記方法において、懸濁方法、攪拌方法、セルラーゼ・基質の添加方法・添加順序、それらの濃度等の反応条件は、セロオリゴ糖がより高収率で得られるよう適宜調整されるものである。その際の、反応液のpH及び温度は、酵素が失活しない範囲内であればよく、一般的には、常圧で反応を行う場合、温度は5〜95℃、pHは1〜11の範囲でよい。また、この圧力、温度、pHについても、上記同様、セロオリゴ糖がより高収率で得られるよう適宜調整されるものである。
【0025】
上述の酵素分解により得られたセロオリゴ糖水溶液は、必要に応じて、脱色、脱塩、酵素除去等の精製処理を施すことができる。精製方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、例えば、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィー処理、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透ろ過等の濾過処理、晶析処理等を使用してもよく、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせてもよい。
セロオリゴ糖の精製方法の中でも、晶析処理は、セロオリゴ糖の組成を制御しやすいため好ましい。
【0026】
酵素分解法の一例としては、例えば、特願2004−218902、特願2004−323579、特願2005−125966、特願2005−125975、特願2006−041149(いずれも出願人:旭化成ケミカルズ株式会社)に開示される方法で製造されたセロオリゴ糖を使用することが好ましい。
【0027】
次に本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする生活習慣病予防/改善剤について説明する。
本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする生活習慣病予防/改善剤は、本発明のセロオリゴ糖を粉末状で、単独で使用しても、水溶液または分散液として使用しても、本発明のセロオリゴ糖に加え、食品素材、化粧品素材、医薬品薬効成分、またはそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分に含有され、顆粒、成型体、水溶液、水分散体、ペースト、ゲル状の食品/医薬品として使用してもよい。
【0028】
本発明の生活習慣病予防または改善剤におけるセロオリゴ糖の配合量は、0.01〜100質量%が好ましい。ここでいうセロオリゴ糖の配合量とは、本発明の生活習慣病予防/改善剤に含有されるセロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースの総量であり、このセロオリゴ糖の配合量が、0.01質量%未満では、血中及び又は内臓の脂質代謝において充分な効果が得られないため好ましくない。セロオリゴ糖配合量は高いほど、上述の脂質代謝効果が促進されるため、より好ましい範囲としては0.6質量%以上であり、特に好ましくは、0.75質量%以上である。
本発明の生活習慣病予防/改善剤は、本発明のセロオリゴ糖に加え、グルコース以外の少糖類または高甘味度甘味料を含んでもよい。セロオリゴ糖と少糖類、または高甘味度甘味料の配合比は、本発明の効果が得られれば制限されるものではないが、例えばセロオリゴ糖または少糖類の質量比で、0.1/99.9〜99.9/0.1である。
特に、難消化性の少糖類を添加することで、セロオリゴ糖の脂質代謝に加え、腸内有用細菌の賦活等の整腸作用も得られるため好ましい。さらに、本発明のセロオリゴ糖に、高甘味度甘味料を添加すると、セロオリゴ糖のカロリーを増加させずに、味質を調整できるため好ましい。
【0029】
この少糖類としては、例えば、ガラクトース、フラクトース、マンノース、アラビノース、ラムノース、リボース、キシロース、ソルボース等の単糖類およびそれらの還元物、スクロース、メリビオース、トレハロース、ラクトース、マルトース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース、ラクチュロース、キシロビオース等の2糖類およびそれらの還元物、ラクトスクロース、ラフィノース、マルトトトリオース、イソマルトース、パラチノース、ケストース、ゲンチオシルセロビオース等の3糖類およびそれらの還元物、マルトテトラオース、ゲンチオシルセロトリオース、ニストース等の4糖類およびそれらの還元物、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等の5または6糖類およびそれらの還元物、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、デキストラン等の環状少糖類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、カードラン等の水溶性多糖類およびそれらの還元物、ソルビトール、キシリトール、マルチロール、マンニトール、ラクチトール等の糖アルコール等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に甘味料として分類されるものが含まれる。これらの少糖類は、少糖類そのままであっても、溶解性等を改善する目的で、その化学構造の一部を、カルボキシル化、エチル化、メチル化、硫酸エステル化等の化学処理を施し、誘導体としたものを使用してもよい。
【0030】
高甘味度甘味料としては、サッカリン、甘草(グリチルリチン)、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に高甘味度甘味料として分類されるものが含まれる。これらの高甘味度甘味料も、甘味料そのままであっても、その化学構造の一部を他の置換機に置き換え、誘導体としたものを使用してもよい。
【0031】
本発明でいう構成成分とは、セロオリゴ糖以外の少糖類、高甘味度甘味料、食品素材、化粧品素材、医薬品薬効成分、色素、香料、金属、セラミックス又は賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤等の添加剤のことであり、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状などいずれの形態でもよく、例えば「食品添加物公定書」(廣川書店発行)、「化粧品原料基準」、「化粧品種別配合成分規格」(いずれも薬事日報社発行)、「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社発行)に記載のものを用いることが可能である。
また、それらは種々の目的でコーティング、リポソーム化等の加工を施したものであってもよい。これらの構成成分は単独で使用しても、複数を併用してもよい。本発明の生活習慣病予防または改善剤は、溶解、混合、分散、造粒、溶融・固化、圧縮、乾燥等の公知の方法で加工できる。
【0032】
以下に、本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする生活習慣病予防または改善剤と、食品素材、化粧品素材、医薬品薬効成分、またはそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分を含む食品または医薬品の製造方法について記述するが、本発明生活習慣病予防/改善剤の製造方法は、以下の方法に制限されるものではない。
【0033】
各成分の添加方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、1)セロオリゴ糖と構成成分を同時に添加し、混合または分散しても、2)セロオリゴ糖と特定の構成成分を予め混合または分散した後に、別の構成成分を添加し、混合または分散しても、3)2種以上の構成成分を予め混合または分散した後、セロオリゴ糖を添加し、混合または分散しても、これらの添加方法を組み合わせた方法でもよい。
【0034】
ここで用いる装置としては、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加しても、一括投入してもよい。また、各成分の混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機などの容器回転式混合機、あるいは高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機などの撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。
【0035】
分散方法としては、通常行われる分散方法であれば特に制限はないが、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する撹拌混合方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌混合方法、気体吹き込み式の撹拌混合方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する混合方法でも、シェーカーを使用する容器振とう式混合方法等を用いてもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。
【0036】
また、上述の混合、分散において、水又は有機溶剤に、必要に応じて界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤を添加した水系媒体を添加する順序には特に制限はないが、1)セロオリゴ糖に予め水系媒体を添加し、溶解または分散させた後に、他の構成成分を添加しても、2)構成成分に予め水系媒体を添加し、溶解または分散させた後に、セロオリゴ糖を添加しても、3)セロオリゴ糖と構成成分を予め混合または分散させた後に、水系媒体を添加してもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで得られた水溶液、分散体、乳液等の各液状、ペースト、ゲル等の各半固形状の食品または医薬品は、必要に応じて乾燥し、造粒、コーティング、成型等の加工を施してもよい。
【0037】
造粒・コーティング方法としては、公知の方法であれば特に制限はないが、攪拌式または流動層式のいずれもよく、それらを組み合わせた方法でもよい。攪拌式造粒機としては、例えばポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式の攪拌機、流動層式としては上部噴霧式、中央噴霧式、下部噴霧式、攪拌併用式、中央缶噴流式、ワースター式等が挙げられる。また、ローラーコンパクタを使用した乾式造粒を施してもよい。
【0038】
コーティングについては、予め造粒物を得、それに公知のコーティングを施してもよく、コーティングを施した後、さらに別のコーティングを施し多層状としてもよい。コーティング剤の噴霧方法としては、圧力ノズル、二流体ノズル、四流体ノズル、回転ディスク、超音波ノズル等を使用し活性成分溶液または分散液を噴霧する方法、管状ノズルから活性成分溶液または分散液を滴下する方法のいずれでもよい。活性成分溶液または分散液を添加する際には、セロオリゴ糖粒子表面に活性成分を積層させるようなレイヤリング、コーティングを施しても、セロオリゴ糖に担持させてもよく、構成成分溶液または分散液を結合液としてセロオリゴ糖と他の構成成分の混合物をマトリックス状に造粒させてもよい。レイヤリング、コーティングは湿式であっても、乾式であっても効果は同様である。
【0039】
成型方法としては、通常行われている方法であれば特に制限はないが、型枠を用いてもよく、圧縮、溶融、射出、圧延等の公知の成型方法が適用でき、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで用いられる成型機としては、圧縮成型機、溶融成型機、射出成型機、圧延成型機等が挙げられ、製菓用または化粧品または医薬品用成型機、米飯成型機、コンプレスド成型機、包あん機、蒲鉾製造装置、餃子・包子成型機、ファンデーション基材用圧縮成型機等の公知の成型機が使用できる。特に圧縮成型に関しては、型枠を使用し所望の形状に圧縮成形する方法、予めシート状に圧縮成形した後所望の形状に割断する方法でもよい。圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローラー式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の圧縮機を使用できる。
【0040】
次に、上述の生活習慣病予防または改善剤の製造において使用される構成成分の一例を記す。
例えば、食品素材またはそこで使用される添加剤としては、本発明のセロオリゴ糖に加え、必要に応じて、保存料・日持向上剤、酸化防止剤、甘味料、着色料、乳化剤、増粘剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤、スパイス・ハーブ、食品香料、酵素等を添加してもよい。これらの食品素材または添加剤は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0041】
保存料・日持向上剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸塩、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、エチルアルコール、ポリリジン、プロタミン、リゾチーム、ペクチン分解物、アラニン、チアミンラウリル硫酸塩、ユッカフォーム抽出物、キトサン、プロピレングリコール等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に保存料・日持向上剤として分類されるものが挙げられる。
【0042】
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、ビタミンE等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に酸化防止剤として分類されるものが挙げられる。
【0043】
甘味料としては、例えば、サッカリン、甘草、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、果糖、パノース、トレハロース、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール、還元パラチノース、還元みずあめ、マンニトール、カップリングシュガー、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳化オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、ラフィノース等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に甘味料として分類されるものが挙げられる。
【0044】
着色料としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色3号レーキ、赤色40号レーキ、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、青色1号レーキ、青色2号レーキ等の食用タール類、カロチン色素、アナトー色素、パプリカ色素、コチニール色素、クチナシ色素、ベニバナ色素、ベニコウジ色素、ビートレッド、アカネ色素、スピルリナ色素、アントシアニン色素、カラメル等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に、着色料として分類されるものが挙げられる。
【0045】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン、レシチン等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に乳化剤として分類されるものが挙げられる。
【0046】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、グルコマンナン、アルギン酸、サイリウムシードガム、ゼラチン、メチルセルロース、カードラン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、タマリンドガム、難消化性デキストリン等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に増粘剤として分類されるものが挙げられる。
【0047】
品質改良剤としては、大豆蛋白質、小麦蛋白質、カゼイン、カゼイネート、乳タンパク濃縮物、乳糖、リン酸塩等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に品質改良剤として分類されるものが挙げられる。
【0048】
調味料としては、例えば、グルタミン酸ソーダ、核酸系調味料、畜産エキス、水産系エキス、野菜エキス、酵母エキス、アミノ酸系調味料、魚醤調味料、コク味調味料、シーズニングオイル等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に調味料として分類されるものが挙げられる。
【0049】
酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に酸味料として分類されるものが挙げられる。
【0050】
強化剤としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンK、カロチノイド、牛骨カルシウム、卵殻カルシウム、炭酸カルシウム、真珠貝、真珠末、蛎殻、ホタテ貝殻カルシウム、珊瑚末、魚骨末、ドロマイト、塩化マグネシウム、酵母ミネラル、ヘム鉄、深層水、塩水湖水ミネラル、海草・植物由来ミネラル等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に強化剤として分類されるものが挙げられる。
【0051】
スパイス・ハーブとしては、例えば、胡椒、唐辛子、ピメンタ、バニラ豆、桂皮、丁子、肉くず、肉くずの花、カルダモン、アニス・大ウイキョウ、コリアンダー、クミン、カラウェイ、ういきょう・ジュニパー、しょうが、サフラン、うこん、ローレル・タイム、カレー等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)にスパイス・ハーブとして分類されるものが挙げられる。
【0052】
食用香料としては、例えば、ピーチフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等のフルーツフレーバー類、アロマフレーバー類、マルトール、フラネオール等のシュガーフレーバー類、ソトロン等のフレーバーエンハンサー類、フラボノイド類、カカオマス等のポリフェノール類、プリカーサーフレーバー類、ミートフレーバー類、コーヒーフレーバー類、ミルクフレーバー、メントール類、デカラクトン類等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に食用香料として分類されるものが挙げられる。
【0053】
酵素としては、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、レンネット、パンクレアチン、パパイン、リパーゼ、セルラーゼ、ブロメライン、ペクチナーゼ、リゾチーム、ヘスペリジナーゼ、プルラナーゼ、トランスグルタミナーゼ、ヘミセルラーゼ、β−ガラクタナーゼ、ラクターゼ、デキストラナーゼ、インベルターゼ、カタラーゼ、デアミナーゼ、ウレアーゼ、タンナーゼ、リポキシゲナーゼ、アデニルアミナーゼ等の「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に酵素として分類されるものが挙げられる。
【0054】
次に、医薬品薬効成分またはそれらで使用される添加剤の一例を示す。
医薬品薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経皮または経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
また、医薬品で使用される添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、増粘剤、界面活性剤、ゲル化剤等があり、これらは、単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0055】
賦形剤としては、アクリル酸デンプン、L−アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、あめ(粉)、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、イノシトール、エチルセルロース、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、塩化ナトリウム、オリーブ油、カオリン、カカオ脂、カゼイン、果糖、軽石粒、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥酵母、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥硫酸ナトリウム、乾燥硫酸マグネシウム、カンテン、カンテン末、キシリトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリセリン、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、L−グルタミン、クレー、クレー粒、クロスカルメロースナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ケイヒ末、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、結晶セルロース(粒)、ゲンマイコウジ、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、ゴマ油、小麦粉、コムギデンプン、小麦胚芽粉、コメコ、コメデンプン、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸フタル酸セルロース、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、β―シクロデキストリン、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、ジメチルポリシロキサン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム・ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、スクラワン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸マグネシウム、ステロテックスHM、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、精製白糖球状顆粒、セトステアリルアルコール、セトポリエチレングリコール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、第三リン酸カルシウム、ダイズ油、大豆不ケン化物、大豆レシチン、脱脂粉乳、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中性無水硫酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、デキストリン、天然ケイ酸アルミニウム、トウモロコシデンプン、トラガント末、二酸化ケイ素、乳酸カルシウム、乳糖、白色ワセリン、白糖、白糖・デンプン球状顆粒、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦芽葉青汁乾燥粉末、ハチミツ、パラフィン、バレイショデンプン、半消化体デンプン、人血清アルブミン、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フィチン酸、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、部分アルファー化デンプン、プルラン、プロピレングリコール、粉末還元麦芽糖水飴、粉末セルロース、ペクチン、ベントナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリエチレングリコール、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、水アメ、ミリスチン酸イソプロピル、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム造粒物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、綿実粉、綿実油、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、薬用炭、ラッカセイ油、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、粒状トウモトコシデンプン、流動パラフィン、dl−リンゴ酸、リン酸−水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に賦形剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0056】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポリビニルピロリドン、クロスポリビニルピロリドンコポリマー等の合成高分子等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に崩壊剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0057】
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に結合剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0058】
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に流動化剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0059】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0060】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に矯味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0061】
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に着香剤、香料として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0062】
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に着色剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0063】
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に甘味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0064】
溶剤としては、医薬品に使用されるものであれば、特に制限されるものではないが、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0065】
油脂としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステア リン酸ショ糖エステル、流動パラフィン等のパラフィン類、カルナウバロウ,硬化ヒマシ油等の硬化油類、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される油脂が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0066】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン糊等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に記載される増粘剤が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0067】
界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンサンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0068】
ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン等の動物性ゲル化剤、寒天、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カードラン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、微結晶セルロース等植物性多糖類、ポリビニルピロリドン等の化学合成高分子等の「日本薬局方」(廣川書店発行)、「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)にゲル化剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0069】
本発明のセロオリゴ糖含有食品の例としては、例えば、ゼリー、プリン、ヨーグルト等のゲル、マヨネーズ、ドレッシング、ソース類、たれ類、スープ、野菜加工品等の調味料、カレー、ハヤシ、ミートソース、シチュー、スープ等のレトルト食品、チルド食品、ハンバーグ、ベーコン、ソーセージ、サラミソーセージ、ハム類等の畜産加工品、蒲鉾、ちくわ、魚肉ハム・ソーセージ、揚げ蒲鉾等の水練製品、パン、生麺、乾麺、マカロニ、スパゲッティ、中華饅頭の皮、ケーキミックス、プレミックス、ホワイトソース、餃子・春巻等の皮類などの小麦加工食品、カレー、ソース、スープ、佃煮、ジャムなどの缶詰、瓶詰類、キャンデー、トローチ、錠菓、チョコレート、ビスケット、クッキー、米菓、和洋菓子、洋生菓子、スナック菓子、砂糖菓子、プリンなどの菓子類、フライ類、コロッケ、餃子、中華饅頭等の調理加工品、野菜ペースト、肉のミンチ、果実ペースト、魚介類のペースト等のペースト類である。また、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ホイップクリーム、練乳、バター、ヨーグルト、チーズ、ホワイトソース等の乳製品、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の油脂加工品等がある。さらに、コーラ等の炭酸飲料、炭酸入り、アルコール入り、乳製品と混合した果実飲料、果汁又は、果実入り飲料、乳性飲料等の飲料、コーヒー、牛乳、豆乳、ココア牛乳、フルーツ牛乳、ヨーグルト等の乳酸または乳性飲料等、煎茶、ウーロン茶、抹茶、紅茶等の茶飲料等に使用してもよい。
【0070】
本発明のセロオリゴ糖含有医薬品の例としては、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、エキス剤、丸剤の固形製剤が挙げられ、上記の固形製剤以外でも、菓子、健康食品、食感改良剤、食物繊維強化剤等の食品、固形ファンデーション、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料、セラミックス触媒等に利用されるものも本発明に含まれる。
【0071】
本発明で用いるセロオリゴ糖は、腸内細菌叢改善、乳酸菌、乳酸かん菌等の活性化、血中糖濃度、血中インシュリン濃度の低減、血中コレステロールの低減、体脂肪率の低減、脂質・糖質代謝促進機能、便通・便臭改善、抗う触性等の各種生理活性が期待できるため、上記の通常食品用途に加え、生理活性物質として、機能性食品、健康食品、ダイエット食品等の用途で使用してもよい。
【実施例】
【0072】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1]
普通寒天培地にトリコデルマ リーセイ(Tricoderma reesei)GL−1株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、受領番号FERM ABP−10323)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁および溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8〜4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上澄みを目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
【0073】
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース〜セロヘキサオース0.2質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
【0074】
[製造例2]
製造例1で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した。25℃で水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過し、40℃の通風式乾燥機で乾燥し、乳鉢で粉砕後、目開き150μmの篩いで篩下し、篩下粉末を目開き45μmの篩いで微粉を除去し、セロオリゴ糖粉末CE−1を得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表1に記す。
【0075】
[製造例3]
製造例1の菌株を、セロビブリオ ギルバス(Cellovibrio gilvus)に代え、培養時のpHを4〜10に変更し、酵素反応時の緩衝液をpH6.5のリン酸緩衝液に変更する以外は、製造例1と同様の方法でセロオリゴ糖水溶液を作成した。
得られたセロオリゴ糖水溶液を、活性炭を充填したカラムに通して、セロビオースリッチの画分を除去し、製造例2と同様の操作でセロオリゴ糖粉末CE−2を得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表1に記す。
【0076】
[製造例4]
製造例2のセロオリゴ糖の製造方法において、セロオリゴ糖水溶液に常温でエタノールを重量比で2.5倍加え、製造例1と同様に冷却晶析し、セロオリゴ糖粉末CE−3を得た。
[製造例5]
製造例3で得られたセロオリゴ糖水溶液を、そのまま噴霧乾燥(東京理化製 噴霧乾燥機 出口温度72℃)し、セロオリゴ糖粉末CE−4を得た。
【0077】
【表1】

【0078】
<インスリン非上昇性についての確認試験>
生後7週齢のSDラットを1週間AIN−93G(オリエンタル酵母工業製)の自由摂取で、1週間予備飼育後、16時間絶食させ、表1の各セロオリゴ糖水溶液を、ゾンデを用いて1500mg/kgを投与した。投与前および投与後、30分後に無麻酔下で、骸外静脈より採血し、インスリン濃度(ng/mL シバヤギ製 レビインスリンキット使用)を測定した。インスリン濃度の上昇率は、CE−1〜3で30%未満であり、これらのセロオリゴ糖がインスリン非上昇性であることを確認した。
【0079】
<自然発症2型糖尿病マウスにおける生活習慣病改善>
[実施例1〜3]
実験動物として、5週齢の雄KK−Aマウス(日本クレア製 Ta/Jcl)を用いた。マウスは、個別のステンレスケージに入れて、室温23±5℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明午前7時〜午後7時)、換気12回/時(フィルターにより除菌した新鮮空気)に維持された飼育室で動物を飼育した。
まず、5日間の予備飼育を行い、予備飼育中は、粉末飼料(CRF−1 オリエンタル酵母工業製)を給餌器に入れ、自由摂取させた。また、飲水として水道水を用い、飼育期間中は自由摂取させた。
予備飼育の後、コンピューターを用いた無作為法により、各群の群分け前の血糖値、体重がほぼ等しくなるように、1群10匹構成で群分けを行った。群分け後、粉末飼料を標準食(AIN−93G オリエンタル酵母工業製)に代え、同様に飼育した。セロオリゴ糖の添加効果は、上述の標準食中のショ糖を固定し、ショ糖以外の成分の内、2.5または5質量%を表1に示すCE−1〜3の各セロオリゴ糖粉末に代えて比較した。30日飼育および、60日飼育の結果を表2に示す。
【0080】
[比較例1、2]
セロオリゴ糖としてCE−3、CE−4を用いる以外は、実施例2と同じ条件で飼育を行った。結果を表2に示す。
【0081】
[比較例3]
コントロールとして、セロオリゴ糖を添加せず、標準食単独で飼育を行った。結果を表2に示す。摂餌量および体重は、試験を通し、実施例と比較例で有意差はなかった。
【0082】
<飼料組成>
カゼイン 20.0質量%
L−システイン 0.3質量%
コーンスターチ 39.7質量%
α化コーンスターチ 13.2質量%
ショ糖 10.0質量%
大豆油 7.0質量%
セルロースパウダー 5.0質量%
AIN−93ミネラル混合 3.5質量%
AIN−93ビタミン混合 1.0質量%
重酒石酸コリン 0.25質量%
第三ブチルヒドロキノン 0.0014質量%
※セロオリゴ糖添加系は、上述のショ糖量10.0質量%を固定し、その他の成分を混合物として、飼料総量に対し、5.0質量%をおきかえた。
【0083】
<試験項目および方法>
(体重測定)
群分け後30日、60日後において、各マウスの体重を測定した。
(摂餌量測定)
群分け後8、15、30、60日後に、各マウスのその日の摂餌量を測定した。
(採血および血液分析)
群分け後、15日、30日、60日後に、ヘパリン処理したキャピラリーを用いて、尾静脈から約100μLの血液を採血した。得られた血液は、遠心機(日立工機(株)製 商品名CF8DL)で、4℃、1972G、15分間の条件で遠心分離し、血漿について以下の項目の測定を行った。
・血中アディポネクチン濃度(大塚製薬製 アディポELISAキットを使用)
・血漿中性脂肪(和光純薬製 トリグリセライドE−テストワコーを使用)
・血漿総コレステロール(和光純薬製 コレステロール−E−テストワコーを使用)
(摘出器官についての測定)
投与60日後に、塩酸ケタミン50mg/kgおよびキシラジン2mg/kgの腹腔内投与麻酔下で、肝臓および副睾丸脂肪を摘出後、重量を測定し、液体窒素で凍結した。肝臓内の脂質は、上記の肝臓から脂質をヘキサン抽出し、肝臓内の総コレステロール濃度および中性脂肪濃度を測定した。
【0084】
【表2】

【0085】
表2の結果より、いずれの実施例も同一飼育期間において、血中アディポネクチンの低下率は30%以下に抑制され、肝臓内の中性脂肪濃度低下率も15%以上であった。それに対し、比較例1、2は血中アディポネクチン低下率、肝臓の中性脂肪濃度低下率ともに、本発明の範囲になかった。
また、実施例1〜3のセロオリゴ糖添加系は、比較例3に対し、血漿、腹腔内脂質において有意な低下を示した。実施例1と実施例2とを比較すると、飼料中のセロオリゴ糖含量が増加すると、短期間で効果が発現し、長期投与では、絶対値が低下した。実施例2と3の比較により、セロトリオース〜セロヘキサオースの含量が高いと、血中の効果発現は遅いが、肝臓脂質の低下が促進された。
また、比較例1と、実施例1〜3を比べると、飼料中のグルコース含量が多くとも、副睾丸脂質の低下作用を有するが、血中脂質への効果発現が遅れ、肝臓脂質には有意差はみられなかった。
さらに、比較例2は、セロビオース含量が70質量%未満であり、本発明の範囲にないため、実施例および比較例1に対し、副睾丸脂質量、血中脂質への効果が小さくなった。
【0086】
<健常ラットにおける生活習慣病改善>
[実施例4、5]
実験動物として、5週齢の雄SDラット(日本クレア製)を用いた。ラットは、個別のステンレスケージに入れて、室温23±5℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明午前7時〜午後7時)、換気12回/時(フィルターにより除菌した新鮮空気)に維持された飼育室で動物を飼育した。
まず、5日間の予備飼育を行い、予備飼育中は、粉末飼料(CRF−1 オリエンタル酵母工業製)を給餌器に入れ、自由摂取させた。また、飲水として水道水を用い、飼育期間中は自由摂取させた。
予備飼育の後、コンピューターを用いた無作為法により、各群の群分け前の血糖値、体重がほぼ等しくなるように、1群10匹構成で群分けを行った。群分け後も、粉末飼料代えることなく、同様に飼育した。
セロオリゴ糖は、上述のCE−1を精製水に溶解または懸濁し、160、1000mg/kgを、ゾンデを用いて、1回/日、13週間投与した。投与後、ペントバルビタール・ナトリウム30mg/kgを腹腔内に投与して麻酔した後、後大静脈腹部より血液を2.0〜2.5mL採血し、3.8w/v%クエン酸ナトリウム0.1mLを入れた試験管に血液0.9mLを分注し、1870Gで15分間遠心分離した。遠心後の血漿を用い、上述と同様に、血中アディポネクチン濃度、血漿および肝臓内の中性脂肪濃度を測定した。
【0087】
[比較例4]
セロオリゴ糖を投与しない以外は、実施例4と同様の操作で、飼育し、血中アディポネクチン濃度、血漿および肝臓内の中性脂肪濃度を測定した。
摂餌量および体重は、試験を通し、実施例と比較例で有意差はなかった。
【0088】
【表3】

【0089】
表3より、実施例は、比較例に対し、アディポネクチン濃度低下率が30%以下であり、肝臓内中性脂肪濃度の低下率が15%以上であり、本発明の範囲にあった。また、セロオリゴ糖投与系は、用量依存的に、血中および肝臓の脂質濃度が低下し、高用量系では肝臓重量も、低減する傾向がある。この試験により、健常ラットにおいても、セロオリゴ糖を摂取することで、摂餌量を変えずとも、血中および肝臓内脂質濃度を低減できた。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のセロオリゴ糖を有効成分とする生活習慣病予防/改善剤は、肝蔵内脂質を低減できるため、一般食品、機能性食品、医薬品分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロビオース含量が70質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースから選ばれる1種以上を0.1〜30質量%含み、グルコース含量が9質量%以下であるセロオリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする生活習慣病予防または改善剤。
【請求項2】
前記オリゴ糖が、肝臓内の中性脂肪濃度の低下率が15%以上のオリゴ糖であることを特徴とする請求項1記載の生活習慣病予防または改善剤。
【請求項3】
前記オリゴ糖が、経口摂取による血中アディポネクチン濃度の低下率が30%以下のオリゴ糖であることを特徴とする請求項1記載の生活習慣病予防または改善剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の生活習慣病予防または改善剤を含有する医薬品。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の生活習慣病予防または改善剤を含有する食品。

【公開番号】特開2008−1668(P2008−1668A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175066(P2006−175066)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】