説明

生活習慣病予防・改善用の油脂加工組成物

インスリン抵抗性の改善、内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効であるPPARγリガンド活性を有する化合物であるグラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有し、健康食品や保険機能食品などの飲食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品などに利用することができる生活習慣病予防及び/又は改善用の組成物、あるいは体重増加抑制及び/又は改善用の組成物を提供することを課題とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、又は医薬品、医薬部外品、化粧品などに使用することができる生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物に関する。
【背景技術】
近年、食生活の欧米化や運動不足など生活環境の悪化による肥満者の数は増大し、肥満の増加に伴う生活習慣病が大きな社会問題として取り上げられるようになった。ここでの生活習慣病としては内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などが挙げられ、これらはやがて動脈硬化症などの血管病を引き起こすマルチプル・リスク・ファクター症候群である。そこで肥満による体重増加を抑制し、これらの生活習慣病を予防及び/又は改善する効果を有する組成物が望まれており、その組成物の形態としては、日常的に摂取することができる健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、又は医薬品、医薬部外品、化粧品などが望まれている。
マルチプル・リスク・ファクター症候群は、ReavenによるシンドロームX(Diabetes,37,1595〜1607,1988)、Kaplanによる死の四重奏(Archives of Internal Medicine,149,1514〜1520,1989)、DeFronzoによるインスリン抵抗性症候群(Diabetes Care,14,173〜194,1991)、松澤による内臓脂肪症候群(Diabetes/Metabolism Reviews,13,3〜13,1997)と同じ病態概念であるメタボリックシンドロームと考えられ、これら症候群に共通する原因因子はインスリン抵抗性であると考えられている。
インスリン抵抗性の改善薬であるトログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体は、核内レセプターであるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(peroxisome proliferator−activated receptor γ:PPARγ)のリガンドとして働き、2型糖尿病患者におけるインスリン抵抗性を改善し、血糖低下作用を示すことが明らかにされている。さらに、これらチアゾリジン誘導体は、皮下脂肪を増加させるが内臓脂肪を低減させること、血中遊離脂肪酸低下作用、血圧低下作用、抗炎症作用などを示すことが明らかにされている(Martens,F.M.,et al,Drugs,62,1463〜1480,2002)。すなわち、PPARγリガンド活性を有する化合物は、インスリン抵抗性を改善し、内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効である。
甘草はマメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza属)の植物であり、食用や医薬用(生薬)として利用されており、主な品種としてグリキルリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza.glabra)、G.ウラレンシス(G.uralensis)、G.インフラータ(G.inflata)などが挙げられる。いずれの品種にも親水性成分であるグリチルリチン(グリチルリチン酸)は含まれているが、疎水性成分のフラボノイドは品種によって特異的な化合物が含まれている。この品種特異的なフラボノイドは、甘草の品種同定に利用されることもある。
甘草から得られる抽出物のうち、甘草フラボノイドを多く含み、グリチルリチン含量が極微量である甘草疎水性抽出物は、マルチプル・リスク・ファクター症候群の予防及び/又は改善に有用であることが見出されている(WO02/47699)。
一方、甘草疎水性抽出物に含まれる甘草疎水性フラボノイドは、水にほとんど溶解せず、また、有機溶媒抽出物のままでは固結し易く、着色の進行も早いなど、経時的変化が著しいという性質があるため、利用し難い。それを解決するために、甘草疎水性フラボノイドを中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解し、その甘草疎水性フラボノイド製剤を酸化防止剤、抗菌剤、酵素阻害剤、着色料、抗腫瘍剤、抗アレルギー剤、抗ウイルス剤として利用している(特許2794433号)。しかし、特許2794433号では、化合物の限定がなく、また、生活習慣病の予防及び/又は改善剤としての利用、さらに体重増加抑制及び/又は改善作用は知られていない。
上記に鑑み、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン及びヒスパグラブリジンBは、PPARγリガンド活性を有しているため、これらはインスリン抵抗性を改善し、内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効である。しかし、該化合物は、水への溶解性や安定性が良くないことから、飲食品や医薬品などへの利用が困難であるという欠点があった。よって、本発明は、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有し、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、又は医薬品、医薬部外品、化粧品などに利用することができる生活習慣病予防及び/又は改善用の組成物、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善用の組成物を提供することを課題とする。
【発明の開示】
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBまたはその塩、エステルもしくは配糖体をある種の油脂に特異的に溶解することにより、これらの化合物の安定性が向上し、また、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などへの加工性も向上することを見出し、さらに過栄養下での体重増加を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1側面は、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有することを特徴とする生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、本発明の第2はグラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有することを特徴とする体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、さらに体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物は、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有することを特徴としている。ここで述べる油脂加工組成物とは、該化合物を溶解した油脂、及びその油脂を含有してなる飲食用、医薬用、医薬部外用、化粧用等の組成物である。すなわち、該化合物を油脂に溶解した組成物、及びこれに他の対象物を混合してなる組成物、さらにはこれを加工してなる飲食用、医薬用、医薬部外用、化粧用等の組成物のいずれも油脂加工組成物に含まれる。該化合物の中でも、グラブリジンを含有し、かつグラブレン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有することが好ましい。さらに、グラブリジン及びグラブレンを含有し、かつグラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有することがより好ましい。とりわけ、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBを全て含有していることが最も好ましい。その総量としては、油脂加工組成物中に約0.01〜30重量%含有していることが好ましく、さらに約0.1〜30重量%含有していることがより好ましく、とりわけ約1〜10重量%含有していることが特に好ましい。約30重量%以上では該化合物を油脂に溶解できない場合がある。また、約0.01重量%以下では本発明の効果が充分に発揮されない場合がある。該化合物は、トログリタゾンやピオグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体と同様に、PPARγリガンド活性を有していることから、インスリン抵抗性を改善し、メタボリックシンドロームを構成する内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効である。
また本発明の油脂加工組成物に含まれるグラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBは、高脂肪・高糖分食の摂取等の過栄養が引き起こす肥満による体重増加の抑制及び/又は改善に有効である。
本発明で使用されるグラブリジン(glabridin)、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン(3’−hydroxyl−4’−O−methylglabridin)、4’−O−メチルグラブリジン(4’−O−methylglabridin)、ヒスパグラブリジンB(hyspaglabridin B)はイソフラバン(isoflavan)に分類されるフラボノイドであり、下記一般式(1)にて表される化合物である。

〔グラブリジンはR1=H、R2=OH、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジンはR1=OH、R2=OCH、4’−O−メチルグラブリジンはR1=H、R2=OCH、ヒスパグラブリジンBはR1〜R2が−CH=CH−C(CH−O−で六員環を構成する。〕
本発明で使用されるグラブレン(glabrene)は、イソフラブ−3−エン(isoflav−3−ene)に分類されるフラボノイドであり、下記式(2)で表される化合物である。

本発明で使用されるグラブロール(glabrol)は、フラバノン(flavanone)に分類されるフラボノイドであり、下記式(3)で表される化合物である。

グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBは、甘草の中でもグリキリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)に特異的に含まれる成分であり、他品種にはほとんど含まれていない。ただし、G.グラブラと他品種との雑種においては含まれる場合もある。該化合物は、ODSなどの逆相カラムを用いたHPLC分析により、他のフラボノイド成分と分離して検出、定量することができる。上記化合物の脂肪酸エステルなどのエステルもまた、本発明で好適に使用しうる。該エステルは、任意の有機または無機酸とで形成することができる。本発明の目的のために好適には、飲食用、医薬用または美容用に好適な酸を使用しうる。好ましくは脂肪酸を使用しうる。該脂肪酸は限定しないが、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸などの長鎖脂肪酸、および酢酸、酪酸などの短または中鎖脂肪酸が含まれる。
上記化合物の塩もまた、本発明で好適に使用しうる。上記化合物の溶液を、好適な飲食用、医薬用または美容用に許容される酸、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、またはリン酸の溶液と混合することによって形成しうる。さらに、上記化合物が酸性部分を有する場合、好適な飲食用、医薬用または美容用に許容されるその塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム、カリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;および好適な有機配位子、例えば第四級アンモニウム塩とで形成される塩を含む。
上記化合物の1または2以上の水酸基を介して糖部分に結合されたその配糖体も、本発明で好適に使用しうる。該配糖体の糖部分は、任意の糖であり得る。該糖部分は限定されないが、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類および多糖類を含みうる。
上記化合物は、少なくとも1つの不斉中心を有する場合、それらはエナンチオマーとして存在し得る。上記化合物が少なくとも2以上の不斉中心を有する場合、それらは、ジアステレオ異性体として存在し得る。そのような異性体およびその任意の割合の混合物は、本発明の範囲内に包含される。上記化合物は必要により置換されていてもよい。
本発明において、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBを得る方法は、特に限定されないが、G.グラブラ種の甘草より得ることができる。該化合物を甘草から得る場合、その方法は特に限定されないが、エタノール、酢酸エチル、アセトンなどの有機溶媒による抽出で得られる甘草疎水性抽出物に該化合物は含まれ、抽出物のまま使用してもよいが、さらにカラム処理、脱臭処理、脱色処理などにより粗精製又は精製したものを使用してもよい。勿論、該化合物は、その他植物等の天然由来、化学合成あるいは培養細胞などにより生合成した化合物のいずれも本発明において使用することができる。また、該化合物は、精製したものを使用することができるが、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などとして不適当な不純物を含有しない限り粗精製したものを使用することもできる。
本発明で使用される油脂は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含むグリセリン脂肪酸エステルであって、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリドを約50重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステル、より好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリドを約70重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステルである。ここでの中鎖脂肪酸トリグリセリドは、炭素原子数約6〜12の脂肪酸を構成脂肪酸とし、その脂肪酸の構成比率は特に限定されないが、炭素原子数約8〜10の脂肪酸の構成比率は約50重量%以上が好ましく、7約0重量%以上がより好ましい。とりわけ、約20℃での比重が約0.94〜0.96、約20℃での粘度が約23〜28cPの中鎖脂肪酸トリグリセリドがさらに好ましい。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、天然由来のものやエステル交換などにより調製したものなど、いずれも使用することができる。
また、本発明で使用される油脂は、部分グリセリドを含むグリセリン脂肪酸エステルであって、好ましくは部分グリセリドを約50重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステル、より好ましくは部分グリセリドを約70重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステルである。ここでの部分グリセリドとは、ジグリセリド(1,2−ジアシルグリセロール、1,3−ジアシルグリセロール)又はモノグリセリド(1−モノアシルグリセロール、2−モノアシルグリセロール)であり、いずれを用いても良いし、両者が混合されたものを用いても良いが、加工性の観点からジグリセリドが好ましい。また、部分グリセリドは、天然由来のものやエステル交換などにより調製したものなど、いずれも使用することができる。
さらに、本発明で使用される油脂は、上記の中鎖脂肪酸トリグリセリドと部分グリセリドが混合されたものを用いても良いし、中鎖脂肪酸の部分グリセリドを用いることもできる。
本発明において、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBを油脂に溶解する方法は、特に限定されず、通常の撹拌又は混合などの操作により実施できる。該化合物を含む抽出物、あるいは該化合物の粗精製品を用いる場合、該化合物以外の不純物が含まれているため、撹拌又は混合などの操作により該化合物を油脂に溶解した後に、濾過又は遠心分離などの操作により油脂に不溶な不純物を除去することが望ましい。該化合物の精製品を用いる場合、容易に溶液を得ることができる。また、該化合物を含む抽出物、あるいは該化合物の粗精製品を用いる場合、予めエタノールなどの有機溶媒に溶解し、その溶液と油脂を混合した後に、有機溶媒を留去することもできる。
一般に、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBは、粉末状態において不安定であり、エタノールなどの有機溶媒へ溶解しても安定性は改善されない。しかし、該化合物を本発明で使用する油脂に溶解することによりその安定性を改善することができる。また、該化合物は難水溶性であることから、本発明で使用する油脂に溶解することによりその吸収性が向上することも期待できる。本発明の組成物は飲食用、医薬用または美容用に許容される担体を含む。該医薬用担体は、例えば経口、経腸、経皮、皮下、または非経腸投与のため好適な任意の不活性、有機または無機材料であり得、限定されないが水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、微結晶性セルロース、スターチ、ナトリウムスターチグリコレート、燐酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、およびコロイド性二酸化ケイ素、などであることができる。そのような組成物はまた、他の薬理学的活性な剤、および慣行の添加物、例えば安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、および緩衝剤、などを含みうる。
本発明の生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物について、その形態は特に限定されず、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、又は医薬品、医薬部外品、化粧品などに利用することができる。例えば、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBよりなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を溶解している油脂を、そのまま単独で調理用、ソフトカプセル製剤用、ローション用などとして利用することができる。また油性の対象物と自由に混和することができるため、目的に応じて他の油脂と混合して物性を調整することが可能である。この場合、他の油脂は食品又は医薬品であることが好ましく、その種類及び使用量は、個々の製品に要求される物性や使用温度域などの諸条件を考慮して決定され、その種類及び使用量を調整することにより稠度や融点などの特性をコントロールすることができる。例えば、コーン油、ナタネ油、ハイエルシンナタネ油、大豆油、オリーブ油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、米糠油、パーム油、パーム核油などの植物油、魚油、牛脂、豚脂、乳脂、卵黄油などの動物油、又はこれらを原料として分別、水添、エステル交換などを行った油脂、あるいはこれらの混合油を使用することができる。
このようにして得られる油脂加工組成物は、サラダ油やフライ油などの液状油脂、マーガリンやショートニングなどの可塑性油脂としての利用や、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョンへ利用することができる。スプレードライなどにより粉体化して粉末油脂として利用してもよい。また、これらを原材料にして製造される飲食用の油脂加工組成物としては、ソフトカプセル、ハードカプセル、タブレット、チュアブル、バー、サシェットなど各種のタイプのサプリメント類、チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ビスケット、クラッカーなどの菓子類、アイスクリーム、氷菓などの冷菓類、乳飲料、清涼飲料、栄養ドリンク、美容ドリンクなどの飲料、うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類、蒲鉾、竹輪、半片などの練り製品、ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料、パン、ハム、スープ、各種レトルト食品、各種冷凍食品などが例示され、ペットフードや家畜飼料などへも利用することができる。
さらに、栄養強化を目的として、ビタミンA,C,D,Eなどの各種ビタミン類を添加、併用してもよいし、呈味剤としての各種塩類、各種香料、乳関連物質、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、発酵乳、乳脂肪などを添加、併用してもよい。また、上記以外の原材料として、通常の油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョンに使用される酸化防止剤、着色剤などを全て使用することができる。
上記の油脂加工組成物をソフトカプセル製剤として利用する場合、カプセル当たりにグラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を、その総量として、約0.01〜150mg、好ましくは約0.1〜150mg、さらに好ましくは約1〜50mg含んでいることが望ましい。また目的に応じて、ビタミンA,C,D,Eなどの各種ビタミン類、ミツロウなどの製剤用基剤、乳化剤などをさらに添加してもよい。この場合、乳化剤としては特に限定されず、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、リン脂質等が挙げられる。中でもグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、さらに好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノオレイン酸エステルやポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが特に好ましい。
本発明の生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物に含まれるグラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBが、その生活習慣病予防及び/又は改善の効果、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善の効果を発揮するために有効な量は、総量として成人一日一人当たり約0.01〜10mg/kg体重、好ましくは約0.1〜1mg/kg体重を摂取できる量の該化合物を油脂加工組成物中に含んでいることが望ましい。もっとも、該有効な量は、哺乳動物対象の年齢、体重、健康、性別、摂取の様式および時間、排出の割合、組成物の組み合わせ、および対象の状態の程度などに依存して異なり得るが、当業者周知の方法により実験的または経験的に決定することができる。本発明は、必要のあるまたはない哺乳動物対象に、本発明の組成物を投与することを含む、生活習慣病の予防および/または改善方法を提供する。該改善は、対象またはヘルスケア職業の判断におけるものであり得、および主観的(例えば意見)または客観的(例えば試験または診断方法によって測定可能である)ことができる。
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
アフガン産甘草(G.グラブラ)9.85kgからエタノール抽出(49.25L、45℃、2時間、2回抽出)、次いで濃縮により濃縮液4.4Lを得た。そのうち3Lをさらに濃縮して、活性炭処理、濃縮により甘草疎水性抽出物を含有したエタノール溶液811.2gを得た。濃縮液の残り1.4Lは比較例1に使用した。
上記のエタノール溶液629.2g(甘草疎水性抽出物125.8gを含有する)と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)であるアクターM−2(理研ビタミン(株):脂肪酸組成はC8:C10=99:1)187.6gを混合し、約80℃に保温しながら約1時間撹拌した後、減圧濃縮によりエタノールを除去した。吸引ろ過により不溶分を分離して、ろ別後のろ液にMCT45.7gをさらに添加し、油脂加工組成物としてMCT溶液297.0gを得た。
得られたMCT溶液1gをHPLC用メタノールに溶解し、全量を100mlとした。この溶液を試料として下記の条件にてHPLC分析を行った結果、MCT溶液1g当たりにグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンがそれぞれ6.6mg、30.8mg、12.6mg、3.7mg含まれていた(総量53.7mg、含有量5.4重量%)。
HPLC分析条件
分析カラムは、J’sphere ODS−H80,4.6×250mm(ワイエムシイ)をカラム温度40℃にて使用した。移動相は、20mMリン酸水溶液に対してアセトニトリルの比率を分析開始から20minまで35%で一定とし、20min以降75min後に70%となるように一定の比率で上昇させ、75minから80minまで80%で一定とするグラジエント条件で、流速1ml/minとした。注入量は20μlとし、検出波長は254nmとした。各化合物の保持時間は、グラブレンが40.0min、グラブリジンが50.2min、グラブロールが58.3min、4’−O−メチルグラブリジンが66.8minであった。
(比較例1)
実施例1にて使用した濃縮液を乾固・粉砕して得られた甘草疎水性抽出物100mgをHPLC用メタノールに溶解し、全量を100mlとした。この溶液を試料としてHPLC分析を行った結果、甘草疎水性抽出物1g当たりグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンはそれぞれ16.5mg、90.4mg、34.1mg、9.3mg含まれていた。
(比較例2)
実施例1にて使用したエタノール溶液100mgをHPLC用メタノールに溶解し、全量を20mlとした。この溶液を試料としてHPLC分析を行った結果、エタノール溶液1g当たりグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンはそれぞれ3.4mg、18.7mg、7.1mg、1.9mg含まれていた。
保存安定性試験
上記のMCT溶液について、グラブレン、グラブリジン、グラブロール及び4’−O−メチルグラブリジンの保存安定性試験を加速試験として80℃にて実施した。MCT溶液を湯浴80℃にて保温し、保存1時間、3時間及び5時間におけるグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンの含量をそれぞれ定量した。保存開始時における各化合物の含量を100%とし、保存後/保存開始時の含量の比により、保存安定性を表した。
保存安定性の試験結果を表1に示す。なお表中の化合物1はグラブレン、化合物2はグラブリジン、化合物3はグラブロール、化合物4は4’−O−メチルグラブリジンを表す。
比較例1の甘草疎水性抽出物を用いて同様に保存安定性試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例2のエタノール溶液を用いて同様に保存安定性試験を行った。その結果を表3に示す。



MCT溶液において化合物1〜4はいずれも安定であったのに対し、甘草疎水性抽出物及びそのエタノール溶液では特に化合物1及び2が不安定であり、保存時間に従って含量の減少が見られた。
これらの結果から、甘草疎水性抽出物及びそのエタノール溶液では化合物1及び2が不安定であるが、MCT溶液では化合物1〜4のいずれも安定であることが示された。本試験は80℃による加速試験であるため、室温付近の温度条件下ではさらに数日から数ヶ月は安定であることが判明した。
[実施例2]
実施例1と同様の製法により、甘草疎水性抽出物51.9gを含有するエタノール溶液103.7g及びMCT468.2gから、MCT溶液497.4gを得た。このMCT溶液についてHPLC分析を行った結果、MCT溶液1g当たりにグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンがそれぞれ1.2mg、12.3mg、1.9mg、0.9mg含まれていた(総量16.3mg、含有量1.6重量%)。
[実施例3]
内臓脂肪低減作用、体重増加抑制効果
C57BL/6Jマウス(雌、8週齢)に高脂肪・高糖分食を自由摂取にて8週間与え、食餌性の肥満状態にした。なお、高脂肪・高糖分食には、カゼイン25重量%、コーンスターチ14.869重量%、シュークロース20重量%、大豆油2重量%、ラード14重量%、牛脂14重量%、セルロースパウダー5重量%、AIN−93ミネラル混合3.5重量%、AIN−93ビタミン混合1重量%、重酒石酸コリン0.25重量%、第三ブチルヒドロキノン0.006重量%、L−シスチン0.375重量%の組成である半固形化精製飼料(オリエンタル酵母(株))を用いた。
その後マウスを4群(各群10匹)に分けA群、B群、C群、D群とし、実施例2のMCT溶液及びMCTを表4のように添加した粉末高脂肪・高糖分食(成分は上記と同様で粉末形態)を飼料として、それぞれ自由摂取にて8週間与えた。なお、MCTにはアクターM−2(理研ビタミン(株))を用いた。
サンプル投与後のマウスをエーテル麻酔下で開腹し、腹大動脈から採血して屠殺した後、腸間膜周辺脂肪、腎臓周辺脂肪、子宮周辺脂肪を摘出し、重量を測定した。なお、腸間膜周辺脂肪重量、腎臓周辺脂肪重量、子宮周辺脂肪重量の和を腹腔内脂肪重量とした。各群の体重推移、及び脂肪重量を測定した結果を表5に示す。
各群の摂餌量には差が認められなかったが、B群〜D群ではA群に比し有意な体重増加抑制効果が認められた。腸間膜周辺脂肪重量、腎臓周辺脂肪重量、子宮周辺脂肪重量及び腹腔内脂肪重量についても、A群に比しB群〜D群では有意な減少が認められた。すなわちマウスに高脂肪・高糖分食を与えると食餌性肥満状態となるが、この食餌に実施例2のMCT溶液を1%以上添加して与えると、有意な体重増加抑制効果及び腹腔内脂肪蓄積抑制効果があることが判明した。
この結果から、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBを含むMCT溶液は、高脂肪・高糖分食の摂取という過栄養条件下における体重増加の抑制及び内臓脂肪の低減に有効であることが示された。


[実施例4]
ソフトカプセル剤の製造(1)
実施例1のMCT溶液を、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いてゼラチン皮膜に圧入し、内容量350mgのソフトカプセル剤を得た。このカプセル当たりグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンはそれぞれ2.3mg、10.8mg、4.4mg、1.3mg含まれていた(総量18.8mg、含有量5.4重量%)。
ソフトカプセル剤の製造(2)
MCT(アクターM−2、理研ビタミン)57重量部にジグリセリンモノオレイン酸エステル(DO−100V、理研ビタミン)3重量部を溶解し、これに実施例1のMCT溶液40重量部を撹拌しながら添加して溶液を調製した。
この溶液を、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いてゼラチン皮膜に圧入し、内容量350mgのソフトカプセル剤を得た。このカプセル当たりグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンはそれぞれ0.9mg、4.3mg、1.8mg、0.5mg含まれていた(総量7.5mg、含有量2.1重量%)。
[実施例5]
粉末油脂の製造
デキストリン70重量部、カゼインNa20重量部を水400重量部に溶解して水相を調製した。
調製した水相に撹拌しながら実施例1のMCT溶液10重量部を添加し、ホモジナイザーにて乳化を行った後、本乳化液をスプレードライにて噴霧乾燥し、粉末油脂を得た。
[実施例6]
マーガリンの製造
硬化綿実油(商品名:スノーライト、鐘淵化学工業(株))80重量部、実施例1のMCT溶液20重量部、無塩バター(四つ葉乳業(株))10重量部に、グリセリンモノ脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS、理研ビタミン(株))0.2重量部、レシチン0.2重量部を添加し、60℃に加熱溶解し油相を調製した。
調製された油相84.9重量部に撹拌しながら水15.1重量部を添加し、20分間乳化を行った後、コンビネーターで冷却捏和してマーガリンを作製した。
[実施例7]
濃縮乳の製造
実施例1のMCT溶液10重量部を70℃に加温後、レシチン0.1重量部及びポリグリセリン脂肪酸エステル0.1重量部を順次溶解して油相を作製した。
脱脂粉乳25重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1重量部を60℃の水64.6重量部に溶解して水相を調製した。
調製した水相と油相を予備乳化した後、UHT殺菌機にて145℃で4秒間殺菌した。次いで真空冷却した後、均質化機により10MPaの圧力で均質化し、さらに10℃までプレート冷却して加工用濃縮乳を得た。
[実施例8]
マヨネーズの製造
醸造酢10重量部、食塩1重量部、砂糖0.6重量部、マスタード粉末0.2重量部、グルタミン酸ナトリウム0.2重量部を混合器の中に加え、15〜20℃下で攪拌・混合し水相を調製した。その後、米白絞油68重量部、実施例1のMCT溶液10重量部に卵黄10重量部を加え、攪拌乳化して得た乳化液(10〜15℃)を少しずつ加えながら15〜20℃下で攪拌し、予備乳化した。次いで、コロイドミルを用いて仕上げ乳化を行いマヨネーズを得た。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、又は医薬品、医薬部外品、化粧品などに利用することができる生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物、及び/又は体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物を得ることができる。本発明の油脂加工組成物は、インスリン抵抗性の改善、内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病の予防及び/又は改善、肥満すなわち体重増加の抑制及び/又は改善に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有し、かつ該化合物をその総量として約0.01〜30重量%含有する生活習慣病予防及び/又は改善用の油脂加工組成物。
【請求項2】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有し、かつ該化合物をその総量として約0.01〜30重量%含有する体重増加抑制及び/又は改善用の油脂加工組成物。
【請求項3】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を溶解している油脂を含有し、かつ該化合物をその総量として約0.01〜30重量%含有するインスリン抵抗性改善用の油脂加工組成物。
【請求項4】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を、その総量として成人一人一日当たり約0.01〜10mg/kg体重を摂取できる量を含む請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の油脂加工組成物。
【請求項5】
油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリド及び/又は部分グリセリドを含むグリセリン脂肪酸エステルである、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項6】
油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリドを約50重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステルである、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項7】
油脂が部分グリセリドを約50重量%以上含むグリセリン脂肪酸エステルである、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項8】
生活習慣病が内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症、および高血圧症からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求の範囲第1項記載の油脂加工組成物。
【請求項9】
生活習慣病が内臓脂肪型肥満及び/又は2型糖尿病である、請求の範囲第1項記載の油脂加工組成物。
【請求項10】
飲食用である請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項11】
医薬用である請求の範囲第1項1〜第9項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項12】
美容用である請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項13】
請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項記載の油脂加工組成物を封入してなるソフトカプセル製剤。
【請求項14】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を、その総量として、カプセル当たりに約0.01〜150mg含む請求の範囲第13項記載のソフトカプセル製剤。
【請求項15】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体が、グリキルリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)由来である請求の範囲第1項〜第14項のいずれか1項記載の油脂加工組成物。
【請求項16】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、およびヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物またはその塩、エステルもしくは配糖体を、油脂に溶解することを含む、請求の範囲第1項ないし第15項いずれか記載の組成物の製造方法。
【請求項17】
有効量の請求の範囲第1項ないし第15項いずれか記載の組成物を、必要のある哺乳動物対象に投与することを含む、哺乳動物の生活習慣病を予防及び/又は改善するための方法。

【国際公開番号】WO2005/011672
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512481(P2005−512481)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010381
【国際出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】