生物におけるイムノモデュレーションのための組成物および方法
【課題】治療ポリペプチド、および免疫応答のモデュレーションを必要としているホスト生物において免疫応答をモデュレーションする方法の提供。
【解決手段】癌、SCID、AIDSもしくは予防接種において免疫系を増強するため;または例えば、慢性関節リウマチもしくはループスにおいて免疫系を抑制するために、リンホカインポリペプチド部分、例えば、IL−15、IL−2または両方の組み合わせと、インターロイキンレセプターポリペプチド部分、例えばIL−15Ra、IL−2Raまたは両方の組み合わせを含む、有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体を、投与を必用としている生物に投与する。
【解決手段】癌、SCID、AIDSもしくは予防接種において免疫系を増強するため;または例えば、慢性関節リウマチもしくはループスにおいて免疫系を抑制するために、リンホカインポリペプチド部分、例えば、IL−15、IL−2または両方の組み合わせと、インターロイキンレセプターポリペプチド部分、例えばIL−15Ra、IL−2Raまたは両方の組み合わせを含む、有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体を、投与を必用としている生物に投与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
この出願は、35U.S.C.§119(e)の下に、2005年5月17日に出願されたU.S.Provisisional Patent Application No.60/681,663の利益を主張する資格を与えられている。その開示はそのまま参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
合衆国が支援している研究に関する供述
合衆国政府は、National Institutes of Health(NIH)により与えられた、Grant No.:R01-AI51583 Role of IL-15 in CD8T Cell Development and Responseに従う本発明における一定の権利を有する。
【0003】
配列リスト
本願は、生物における免疫モデュレーションのための組成物および方法と題する、2005年5月17日に出願されたU.S.Provisisional Patent Application No.60/681,663と共に合衆国特許および商標庁に先に提出した配列リストおよび配列リストの同一CRFを、参照によりそのまま本明細書に組みこむ。CRFは、ファイル:“IL-15_LLefrancois.txt;”作出:2005年5月17日;OS:MS Windows XP;サイズ:31KBにおいて、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列、配列番号1〜16を含有する。37CFR 1.821(e)に従って、本願のためのコンピューター読み取り可能な形態として、その出願で提出された以前に提出されたコンピューター読み取り可能な形態をどうか使用ください。該配列リストの同じペーパーコピーを、本願においてそれと共に提出する。
【0004】
技術分野
本発明は、治療ポリペプチド組成物およびそれを必用としている生物に投与して免疫機能をモデュレーションするための方法に関する。特に、本発明は、生物に投与されたとき改良されたインビボ半減時間および有効性を示す、リンホカインポリペプチド部分およびリンホカインレセプター部分を含む有効量の治療タンパク質の投与に関する。
【0005】
背景
リンパ球は、免疫システム調節に関与するタイプの白血球である。2つの広い種類のリンパ球、即ちT細胞およびB細胞がある。T細胞は細胞性免疫の責任を担い。これに対して、B細胞は体液性免疫(抗体に関する)の責任を担っている。T細胞は、これらのリンパ球が胸腺で成熟するのでこのように名付けられ、そしてB細胞は骨髄で成熟するのでこのように名付けられる。リンパ球は、リンパ系システムにおいてはるかに多く行き渡っておりそしてB細胞、T細胞、キラーT細胞およびナチュラルキラー細胞を含む。B細胞は、病原体に結合して病原体を破壊することができる抗体を作る。CD4+(ヘルパー)T細胞は免疫応答を調整する(それらはHIV感染において欠損するものである)。CD8+(細胞傷害性)T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞は、ウイルスにより感染されているかまたは抗原性配列を示す身体の細胞を殺すことができる。
【0006】
ナチュラルキラー細胞は、ヒト自然免疫応答の重要な成分を構成するCD56(+)CD3(−)大型顆粒リンパ球である。その強力な細胞溶解活性のほかに、NK細胞は、病原体除去において極めて重大な役割を果たす多数の免疫調節性サイトカインおよびケモカインを発現する。更に、NKと他の免疫細胞との相互作用は、適応免疫応答または抗原特異的免疫応答をトリガーすることに関係している。
【0007】
免疫細胞と炎症性細胞との相互作用は、主に、サイトカインタンパク質、例えば、細胞成長、分化および機能的活性化を促進することができるリンホカイン、例えばインターロイキン(IL)により媒介される。現在、少なくとも23種のインターロイキンおよびそれらの種々のスプライス変異体が記載されている。これらのサイトカインのいくらかは、異なる生物学的効果を媒介するが、重なり合う活性を有することができる。インターロイキンの構造および機能の理解は、免疫および炎症の基本的生物学の新規な且つ重要な洞察をもたらした。例えば、インターロイキン2(IL−2)およびIL−15は、T細胞およびNK細胞の発生、ホメオスタシスおよび機能に関係している部分的に重なり合う性質を有する2つの別のサイトカインである。
【0008】
以前にT細胞成長因子と呼ばれたIL−2は、抗原で活性化されたT細胞により産生される強力な免疫調節性リンホカインである。それは、刺激された時成熟Tリンパ球により産生されるが、ある種のT細胞リンパ腫細胞により構成的にも産生される。IL−2は、T細胞分化の分子的性質の研究に有用でありそして、それはナチュラルキラー細胞活性を増化させるので、癌、ウイルスもしくはバクテリア感染に対する免疫応答をモデュレーションするのに有用でありうる。IL−2は、BおよびTリンパ球の両方のための成長ホルモンとして作用することもでき、そしてこれらのリンパ球のクローンエクスパンションおよび成熟を刺激することもできる。IL−2は、IL−2Rα(「IL−2Ra」)、IL−2Rβ(「IL−2Rb」)および−γ(「gC」)鎖からなるそのレセプター(R)複合体に結合し、そして第2メッセンジャー、最終的に遺伝子発現を刺激する主としてチロシンキナーゼを介してその効果を及ぼす。
【0009】
レセプター鎖のヘテロトリマー化は、Il−2に対する高いアフィニティー結合をもたらす。造血細胞システムにおけるIL−2Raの機能的重要性は周知である。しかしながら、IL−2Raが腫瘍形成において演じる潜在的役割は、まだ十分には解明されていない。IL−2Ra発現は、白血病、リンパ腫、肺癌、乳癌、頭部および頚部癌および前立腺癌を含む多くのタイプの癌において見出された。腫瘍におけるIL−2Raの高い発現は、患者の劣悪な予後と相関している。
【0010】
IL−15は、リンホカインの4つのαヘリックスバンドルファミリー(four α-helix bundle families)のメンバーでありそしてそのmRNAは、非造血性細胞系統および造血性細胞系統の両方の広範な組織内に検出され得るが、T細胞によっては産生されない。IL−15は、多分短いタンパク質半減時間および厳しい転写および翻訳コントロールによりインビボでタンパク質レベルで検出することは困難である。IL−15は、免疫システムの発達(development)において重要な役割を果たす身体における多くの細胞により作られる可溶性タンパク質である。IL−15は、細胞傷害性T細胞リンパ球細胞系(CTLL)および末梢血T細胞増殖を刺激することができそして末梢血単核細胞をエフェクター機能を示すように誘導することができる14kDa〜16kDaタンパク質として、成人T細胞白血病細胞系およびサル腎臓上皮細胞系において同時に発見された。
【0011】
IL−15は、免疫系の発達およびコントロールにおいて多方面に関与する役割を演じる。更に詳しくは、IL−15は、CD8+T細胞、NK細胞、キラーT細胞、B細胞、腸上皮内リンパ球(IEL)および抗原提示細胞(APC)の機能、発達、生存および増殖に影響を与える。IL−15−/−およびIL−15Ra−/−トランスジェニックマウスの両方共、末梢NKおよびキラーT細胞集団、ある種のIELサブセットおよび大部分のメモリー表現型CD8+T細胞を欠いていることが証明された。更に、抗原特異的メモリーCD8+T細胞は上記両タイプのノックアウトマウスにおいて病原体に応答して発達することができるが、得られるメモリーCD8+T細胞プールは、時間と共に劇的な侵食(erosion)を受ける。長期メモリーCD8+T細胞増殖および生存を媒介することにおけるIL−15の極めて重大な役割を示唆している。
【0012】
IL−15レセプター(R)は、3つのポリペプチド、タイプ特異的IL−15Rα(「IL−15Ra」)、IL−2/IL−15Rβ(「IL−2Rb」)および共通γ鎖(多数のサイトカインレセプターにより共有される「gC」)、からなる。高アフィニティーIL−15Ra鎖
【数1】
は、共有されたIL−2RbおよびgCとのヘテロトリマー複合体を形成すると考えられる。IL−15と同様に、IL−15Raは、広く多様な細胞型により発現されるが、必ずしもIL−2RbおよびgCと共にではなく発現されると考えられる。IL−15Ra、IL−2RbおよびgC鎖は、ヘテロトリマーレセプターとして会合すると考えられるけれども、これが生理学的に適切な形態のIL−15レセプターであるかどうかは、推測の域を出ないままである。例えば、IL−15Ra鎖は、IL−15の存在下にIL−2Rb/gCと共沈殿しない。
【0013】
更に、IL−2Ra鎖と違って、IL−15Ra鎖は、シグナル伝達を明らかに媒介する。IL−15Raは、IL−2Raタンパク質に対する構造的類似性を共有する58〜60kDaタンパク質である。IL−15RaおよびIL−2Ra遺伝子も、同様なイントロン−エキソン構造を共有そしてヒト染色体10p14−p15上で密接に連鎖している。ヒトIL−15Raは、レセプターのマウス形態と約45%アミノ酸(aa)相同性を共有する。異なるエキソンを含む選択的スプライシング事象から生じるIL−15RamRNAの8つのアイソフォームが同定された。エキソン2の排除(ΔExon2)は、IL−15に結合しないIL−15Raアイソフォームをもたらす。ヒトIL−15RaΔExon3cDNAは、30アミノ酸シグナル配列、Nで連結された1つのグリコシル化部位を含有する175アミノ酸細胞外領域、21アミノ酸膜貫通ドメインおよび41アミノ酸細胞質テイルを含有する267アミノ酸(aa)タンパク質をコードする。
【0014】
IL−15シグナリングは、IL−15Ra、IL−2RbおよびgCのヘテロトリマー複合体により;IL−2RbおよびgCのヘテロダイマー複合体により;またはマスト細胞上に見出された新規な60〜65kDaIL−15RXサブユニットにより起こりうる。(Anderson, D.M. et al., 1995, J. Biol. Chem. 270:29862-29869; Waldemann, T.A. and Y.Tagaya, 1999, Ann. Rev. Immunol., 17:19-49; Dubois, S. et al., 1999, J. Biol. Chem. 274:26978-26984)。最近、IL−15のIL−15Raへの結合は、TRAF2結合についてTNFRIと競合することにより繊維芽細胞におけるTNF−α媒介アポトーシスに拮抗することか報告された(Bulfone-Paus, S. et al., 1999, FASEB 13:1575-1585)。
【0015】
免疫系に対するIL−15の既知の効果を考えると、多数のグループが、IL−15をターゲティングしてホストの利益となるように免疫系を操作することを提唱した。IL−15投与は、免疫応答を強めるためまたは免疫系再構成を増強するために使用されたが、IL−15活性の遮断(blockade)は自己免疫応答を抑制することができる。例えば、IL−15活性ブロッキング突然変異体IL−15Fcタンパク質またはIL−15Raの可溶性形態の投与は、関節炎および同種移植片生存のマウスモデルにおける治療的潜在力を有する。
【0016】
反対に、予防接種または感染期間中のアジュバントとして投与されたIL−15(タンパク質またはDNA発現ベクター)は、CD8+T細胞免疫を増強し、そしてIL−15処理は、Mycobacterium tuberclosisおよびEscherichia coliの致死用量からのマウスの保護を高めることができる。更に、IL−15治療は、抗HIV免疫を刺激しそしてインビトロでHIV感染患者からのCD4+およびCD8+リンパ球の生存を増加させる。IL−15は、骨髄移植の後に免疫再構成を促進することもできる。いくつかのグループは、IL−15治療は、化学療法、Toll様レセプターアゴニストまたは腫瘍反応性CD8+T細胞の養子移入と協力して、各治療単独と比較して、マウス腫瘍モデルにおける増加した生存または完全な腫瘍退行をもたらすことができるということを見出した。かくして、IL−15活性の操作は、多数の臨床状態における治療様式として潜在力を有する。
【0017】
IL−15は、免疫応答の増加が望ましい多くの研究で現在使用されている。これらは、腫瘍および感染に対するワクチンの有効性を増加させることおよび明白な予防接種の不存在下に癌を除去する身体の能力を増大させることを含む。更に、IL−15は、骨髄移植後またはAIDSにおいて免疫系を再生させるのを助けることができる。しかしながら、インビボでのIL−15の半減時間は、非常に短く(分〜1時間など)、これは有効性が不十分な1つの理由である。現在では、IL−15活性の任意の効果を得るための唯一の方法は、大用量を使用することによるものであり、そしてIL−15だけでは必ずしも有効ではない。研究は、分子改変を使用してIL−15の半減時間を増加させようと試みたが、これらは一般に効果がなかった。例えば、IL−15のPEG化(タンパク質半減時間を増化させるためによく行われる技術)は、半減時間を増加させるが、サイトカインの活性の大部分を破壊し、実際、PEG−IL−15はIL−15活性のアンタゴニストである。
【0018】
従って、適当な治療形態のIL−15であって、免疫をモデュレーションするかまたは増強させる目的でそれを必用としている生物に投与されたとき、より長い半減時間およびより低い投薬量でより高い有効性を示す適当な治療形態のIL−15を提供するためのまだ満たされていない要求が存在する。このような治療は、IL−15単独の効果を超えるホスト免疫系の増強を同時に提供しながら、より少ないサイトカインの投与を可能とするであろう。
【0019】
我々の研究は、IL−15Raは、IL−15Ra発現の必要なしにIL−2/15Rb/gC複合体を発現する対抗する細胞(opposing cells)に、IL−15を「トランス提示する(transpresent)」ように作用することを示した。更に、インビトロで、抗体Fc領域に共有結合により連結されたIL−15Ra(IL−15Ra−Fc)の可溶性部分からなるキメラに結合したIL−15(R&D Systems,Inc., Minneapolis, MN)は、両成分単独と対照的に、IL−15Ra−/−メモリーCD8T細胞の生存を支持する。
【0020】
IL−15Raの可溶性部分は、IL−15作用の阻害剤であることは当業者により一般に知られている。事実、公表された研究は、IL−15RaがインビトロおよびインビボでIL−15活性を阻害することができることを示した。現在、IL−15とIL−15Raをインビボ処理として投与の前にプレカップリングさせた(precoupled)システムはまだ誰も考案していない。
【0021】
発明の要約
本発明は、一般に、治療ポリペプチド組成物およびそれを必用としている個体にそれを投与する方法に関する。本発明は、核酸およびそれによりコードされたポリペプチドならびに、本発明の核酸を含有する核酸ベクターを含む関連した組成物、本発明の核酸を含有する細胞系および本発明の治療ポリペプチドに結合する抗体(例えばポリクローナル、モノクローナル、キメラ等)に関する。本発明は、少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部とのプレカップリングさせた複合体において少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部を含む治療剤を発生させるための方法にも関する。驚くべきことに且つ意外にも、本発明のプレカップリングされた組み合わせは、IL−15単独の投与で観察されたよりもインビボでのより長い半減時間および高い治療有効性を示すことが観察された。
【0022】
本発明は、更に、配列番号1〜4および13〜16に示されたヌクレオチド配列に対する少なくとも25%の相同性を有する核酸分子を包含する。NOVXポリペプチドのアミノ酸配列における変化をもたらすDNA配列多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在しうることは、当業者により認識されるであろう。NOVX遺伝子におけるこのような遺伝子多型は、自然のアレル変異により集団内の個体間に存在しうる。本明細書で使用された用語「遺伝子」および「リコンビナント遺伝子」は、好ましくは脊椎動物からのインターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプターポリペプチドをコードするオープンリーディグフレーム(ORF)を含む核酸分子を指す。このような自然のアレル変異は、典型的にはヌクレオチド配列における1〜5%分散をもたらすことができる。自然のアレル変異の結果でありそしてポリペプチドの機能的活性を変化させない、任意のおよびすべてのこのようなヌクレオチド変異ならびに、配列番号5〜12のポリペプチドにおける得られるアミノ酸多型は、本発明の範囲内にあることを意図する。
【0023】
1つの局面では、本発明は、リンホカインまたはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子に関する。更に、本発明は、リンホカインレセプターまたはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子に関する。本発明のこの局面は、実質的に、完全長タンパク質、野生型もしくは突然変異体ポリペプチド;分離したセグメンド(discrete segments)、ドメイン、サブドメイン、フラグメント、欠失もしくは挿入突然変異;キメラ;およびアイソフォームおよびスプライス変異体をコードするポリヌクレオチドの使用を意図する。本発明のこの局面は、単一オープンリーディグフレーム(ORF)内に少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部をコードするセグメントと連続した、少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部をコードするセグメントを含む核酸も含む。ある態様では、本発明の核酸は、転写調節因子配列(例えば、プロモーター、誘導性プロモーター、エンハンサー等);融合タンパク質配列(例えば、His−タグ、GST、GFP、抗体Fc部分、抗生物質耐性、シグナルペプチド等);および/またはポリペプチドコード配列の5’末端、3’末端もしくはポリペプチドコード配列内の位置に配置されたリンカー配列;および/またはその組合わせに相当する少なくとも1つの追加のポリヌクレオチドセグメントを含む。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、真核細胞もしくは細胞抽出物、原核細胞もしくは細胞抽出物および/またはその組合わせにおけるクローニングおよび/または発現のために適当な、適当なウイルスベクター、バクテリアプラスミド、または人工的染色体内に配置されてもよい。
【0024】
ある局面では、本発明は、インターロイキンレセプターポリペプチド、例えばIL−2Ra(配列番号9および11)またはIL−15Ra(配列番号7および8)(その一部および組み合わせを含む)とのプレカップリングされたタンパク質複合体において、インターロイキンポリペプチド、例えばIL−2(配列番号10および12)またはIL−15(配列番号5および6)(その一部および組み合わせを含む)を含む治療組成物に関する。ある態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11に対して少なくとも40%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせとのプレカップリングされた複合体における、配列番号5、6、10、12に対する少なくとも40%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせを含む治療ポリペプチド組成物に関する。ある他の態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11に対して少なくとも80%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせとのプレカップリングされたタンパク質複合体における、配列番号5、6、10、12に対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせを含む治療ポリペプチド組成物に関する。
【0025】
他の局面では、本発明は、本発明のポリペプチド複合体におけるキメラポリペプチドの使用に関する。ある態様では、本発明は、1つ以上のインターロイキン、インターロイキンレセプター、その一部および組合わせを含むキメラポリペプチドを含む。他の態様では、本発明は、抗体のFc部分と共有結合により連結されそして抗体のFc部分と連続した、少なくとも1つのインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部、例えばインターロイキンレセプターの可溶性部分および/またはリガンド結合ドメインを含むキメラポリペプチドを含む。本発明のキメラ分子は、当業者により認識される任意の数の組合わせにおいて単一ORF内に所望のエレメントを含有するポリヌクレオチドを発現することによりリコンビナントに合成されうる。他のキメラポリペプチド、例えばヒトIL−15Ra(1Met−94ILe)−K−(129Pro−205Thr)−リンカー−Fcポリペプチドは、R&D Systems(Minneapolis,MN)から市販されている。
【0026】
他の局面では、キメラポリヌクレオチド分子は、真核または原核細胞または生物において使用するのに適当な、サブクローニング、発現、精製または他のルーチンな遺伝子操作のための、核酸ベクター、例えばプラスミドまたはウイルスDNA構築物内に含有される。更に、キメラポリレヌクレオチド分子は、リンホカインもしくはリンホカインレセプター部分をコードする領域間に遺伝子操作により挿入された、追加のコード配列または非コード配列を場合により含有していてもよい。1つの態様では、インターロイキンまたはその一部をコードする核酸は、インターロイキンレセプター部分とタンデム連結において配置される。なお更なる態様では、リンカー配列は、第1核酸の末端コドンと第2核酸の第1コドンとの間に挿入される。これらのリンカーは、適当な任意の長さおよびタイプであることができ、そして、例えば、ポリペプチド折りたたみにおける立体的拘束を減少させるため、プロテアーゼもしくはヌクレアーゼ開裂部位を導入するため、または化学的改変、コンジュゲーションまたは他の機能的エレメントのための好都合な部位を与えるために使用されうる。
【0027】
好ましい態様では、候補タンパク質はヒトタンパク質である。他の態様では、候補タンパク質は、真核生物タンパク質、例えば、哺乳動物タンパク質またはマウスタンパク質である。他の局面では、本発明は、インターロイキン、インターロイキンレセプターもしくはその一部、および/またはキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドをコードするトランスジーンを含有するトランスジェニック細胞または生物を特徴とする。他の局面では、本発明は、例えば細胞のゲノムDNAへの組込みにより、エピソーム的保持によりまたは人工的染色体の一部として、本発明のポリヌクレオチド構築物を含有する1つ以上の遺伝子的に変更された細胞系に関する。関連した局面では、本発明は、本発明の個々の成分または全体のポリペプチド複合体をコードする核酸の改変されたホスト細胞による発現に関する。ある態様では、トランスジーンは、トランスジェニック細胞に対して通常外因性であるタンパク質をコードする。ある態様では、トランスジーンはヒトタンパク質をコードする。ある態様では、トランスジーンは、異種プロモーターに連結される。他の態様では、トランスジーンはそのネイティブプロモーターに連結される。
【0028】
他の局面では、本発明は、本発明のポリペプチド複合体またはその成分の別個のエピトープを認識しそして該別個のエピトープに結合する、抗体、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはキメラ抗体に関する。ある局面では、本発明は、本発明の複合体の成分、本発明の複合体、他のリンホカイン、他のリンホカインレセプターまたはそれらの組合わせに対して特異的な抗体の投与に関する。1つの態様では、本発明は、インターロイキン、例えばIL−2、IL−7またはIL−15であって、該インターロイキンに対して特異的な抗体にプレカップリングされた、インターロイキン、例えばIL−2、IL−7またはIL−15を含む。他の態様では、本発明の方法は、インターロイキンおよび該インターロイキンに対して特異的に抗体を含む有効量のプレカップリングされた複合体を、それを必用としている個体に投与することを含む、個体における疾患を処置するための方法を含む。
【0029】
他の局面では、本発明は、少なくとも1種のリンホカインポリペプチドもしくはその一部と少なくとも1つのリンホカインレセプターポリペプチドもしくはその一部とのプレカップリングされた複合体を含む免疫モデュレーション性の治療剤(immunomodulatory therapeutic)を製造するための方法に関する。ある態様では、本発明は、成分ポリペプチドを発現もしくは合成し、該ポリペプチドを単離し、該ポリペプチドを精製および/または濃縮し、そして前記複合体を形成することを含む、インビトロで本発明の複合体を創生するための方法を含む。この局面では、本発明は、ホスト細胞または細胞抽出物から単離されたポリペプチドからの本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体の創生であって、該複合体の各ポリペプチド成分が2つの分離した核酸から発現されるかまたはフレーム内でタンデムで連結されたインターロイキンおよびインターロイキンレセプターを含むキメラを含む単一のオープンリーディグフレームとして発現される、創生に関する。精製は、当業者に知られているクロマトグラフィー手段により行うことができ、そして例えば、アフィニティー精製、サイズ排除、イオン交換、ヒドロキシアパタイト、HPLC等を含むことができる。
【0030】
他の局面では、本発明は、免疫細胞活性および増殖を誘導し、増強しまたは抑制するための方法であって、有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体を、それを必用としている個体に投与することを含み、該プレカップリングされたポリペプチド複合体が少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部および少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部を含む、方法に関する。本発明の関連した局面では、複合体は、抗原、例えば、バクテリア、ウイルス、タンパク質、ペプチド、核酸等に対するホスト生物の免疫または免疫応答を増大させるのに使用することができる。本発明の前述の目的のすべては、IL−15、IL−2、IL−15RaまたはIL−2Raポリペプチド、その一部および組合わせの使用を意図する。更に他の局面では、本発明は、配列番号1〜4および13〜16の1種以上をコードするベクターを生物に投与することを含む、生物を処理する方法を含む。
【0031】
他の局面では、本発明は、メモリーT細胞、B細胞およびNK細胞の増殖および生存を増加させるために有用なプレカップリングされたポリペプチド複合体に関する。このようなものとして、本発明の治療剤の投与を使用して、実際のワクチンブースターの必要なしに、予め存在している免疫(例えば、以前に予防接種された個体)を増強させることもできる。ある局面では、例えば、予防接種の増強のため、SCIDまたはAIDS患者における免疫を増強させるためおよび癌の処置のために、本発明の治療は行われる。
【0032】
更に他の局面では、本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体は、ホスト生物の免疫応答が生物に対して有害である場合にホスト生物の免疫応答を抑制するのに有用である。例えば、本発明の複合体は、慢性関節リウマチまたはループスのような自己免疫疾患および状態に罹っている個体で観察されるとおり、抗原、例えば自己抗原に対するホスト生物の免疫または免疫応答を抑制するのに使用されうる。本発明のこの局面のある態様では、プレカップリングされたポリペプチド複合体は、免疫細胞を活性化することができないかまたはそれらの増殖を刺激することができないリンホカインおよびリンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部を含む。例えば、複合体のポリペプチド成分は、IL−2もしくはIL−15経路を介するシグナリングを阻害する突然変異、欠失、挿入または化学的改変を含有することができる。
【0033】
上記した局面のいずれかにおいて、プレカップリングされたポリペプチド複合体は、任意の適当な経路(例えば、静脈内、経口、非経口、皮下、局所、尻、鼻等)を介しそして場合により任意の薬学的に許容され得る賦形剤、担体と共に、および/または他の有効成分(例えば、NSAIDS、免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤、抗腫瘍原性剤(Anti-oncogenics)、抗生物質、スルホンアミド等)と組み合わせて、任意の薬学的に許容され得る形態(例えば、液剤、散剤、丸剤、コントロールされた放出処方等)において投与されうる。前記は、非限定的例として与えられそして特定の処方は、当業者により認識されうる多数の因子に依存して、本明細書に明白に組み込まれている任意の数の方法で変えることができる。
【0034】
更に他の局面では、本発明は、適当な容器、その中に配置された薬学的に許容され得る形態にある本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体またはその成分およびその使用のためのインストラクションを含むキットに関する。
【0035】
他の局面では、本発明は、説明された方法において使用するための突然変異されたおよび改変された核酸を含有するライブラリーおよびそこに同定された核酸の産生に関する。
【0036】
他の局面では、本発明は、サンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターポリペプチド複合体の存在を検出する方法に関する。この方法では、サンプルを、ポリペプチド間の複合体の形成を可能とする条件下に選択的に結合する化合物または抗体と接触させる。複合体は、もし存在するならば、検出され、それによりサンプル内のポリペプチド複合体を同定する。サンプルをリンホカインもしくはリンホカインレセプター核酸プローブもしくはプライマーと接触させ、核酸プローブもしくはプライマーがサンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターキメラ核酸分子に結合したかどうかを検出することにより、サンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターキメラ核酸分子の存在を検出する方法も本発明内に含まれる。
【0037】
本発明のシステム、方法およびプロセスと関連した追加の有利な特徴および機能性は、下記する詳細な説明から明らかになるであろう。本発明の背景を説明するために、特に実施に関する追加の詳細を与えるために本明細書で使用される刊行物および他の資料は、参照により組み込まれそして便宜上添付した参考文献に列挙されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcの共投与は、外因性IL−15に対するCD8+T細胞増殖応答を増強させる。−1日目にマウスは約1×107のコンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球(congenic CFSE-labeled,CD8-enriched lymphocytes)を腹腔内に受け取り、そして0日目にPBS;IL−15(約2.5μg):またはIL−15(2.5μg)を伴うIL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。CD8+脾細胞をCFSE蛍光およびCD45.1発現(上部パネル)についてフローサイトメトリーにより4日目に解析し;またはCD45.1+CD8+細胞をCFSE蛍光およびCD44発現(中部パネル)について解析した。下部パネル:−1日目に、マウスは、約6.5×105テトラマー+OVA特異的メモリーCD8+T細胞を含有するCFSE標識されたCD8+T細胞濃縮された脾細胞を受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)またはIL−15(約2.5μg)を伴うIL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。ドナーテトラマー+脾細胞を、CFSE蛍光について4日目にフローサイトメトリーにより解析した。IL−15Ra−Fc処理単独は、増殖に対する効果を持たなかった(データは示されていない)。データは、3マウス/グループで3つの同様な実験の代表値である。
【図2】NK細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcに対して高度に応答性である。−1日目に、マウスは、約1.5×107のコンジェニックなCFSE標識されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBS;IL−15(約2.5μg):またはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。脾細胞を4日目にフローサイトメトリーにより解析した。サンプルは、ドナー集団における指示されたことに対してゲーティングされた。データは3マウス/グループで2つの実験の代表値である。
【図3】CD8+T細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理に応答して迅速に分裂する。−1日目に、マウスは、約1×107のコンジェニックなCFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。末梢血リンパ球を1〜4日目にフローサイトメトリーにより解析した。示されたサンプルは、生きているドナーCD8T細胞に対してゲーティングされた。PBS処理は細胞分裂に対する効果を持たなかった(データは示されていない)。
【図4】IL−15Ra−FcのIL−15との共投与は、IL−15効能を顕著に増強する。(a)−1日目に、マウスは、約1.5×106のコンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS(示されていない)、IL−15(約5μg)または変化する用量のIL−15+IL−15Ra−Fc(約2.5μg+15μg、約0.5μg+3μg、約0.1μg+0.6μg、または約0.02μg+0.12μg)を腹腔内に受け取った。(b)−1日目に、各マウスは、約4.5×106の、コンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS(示されていない)、IL−15(約0.5μg)+IL−15Ra−Fc(約3μg)または変化する用量のIL−15(約12.5μg、25μg、または37.5μg)を腹腔内に受け取った。CD8+脾細胞をフローサイトメトリーによりCFSE希釈について4日目に解析した。
【図5】複合体化されたIL−15+IL−15Ra−Fcの活性はIL−2Raを必用とするが、応答する細胞によるIL−15Ra発現を必要としない。(a)−1日目に、マウスは、コンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたIL−15Ra−/−リンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)またIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内で処理された。4日目にCD8+ドナー脾細胞を、CFSE蛍光およびCD122発現について解析した。(b)−1日目に、正常なマウスは、コンジェニックな、CFSE標識された野生型またはIL−2/IL−15Ra−/−脾細胞を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内で処理された。CD8+ドナー脾細胞を、フローサイトメトリーにより4日目にCFSE希釈について解析した。
【図6】CD8+T細胞のプレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcで推進された増殖は、MHCクラスI発現を必要とするが、IL−7またはDCを必要としない。(a)−1日目に、B6およびβ2m−/−マウスは、正常なB6およびナイーブOT−I−RAG−/−CFSE標識されたCD8+T細胞の混合物を受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。(b)−1日目に、IL−7+/−またはIL−7−/−マウスは、コンジェニックな、CFSE標識されたCD8濃縮されたリンパ球を受け取った。0日目に、マウスは、IL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)を腹腔内に受け取った。(c)−1日目にB6またはCD11c−DTR骨髄で産生されたキメラは、碑細胞を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15Ra−Fc(約15μg)+IL−15(約2.5μg)で腹腔内処理された。すべてのマウスを、0、1および3日目にDTで処理した。すべての場合に、ドナーCD+脾細胞を4日目にCFSE希釈について解析した。
【図7】ナイーブCD8+T細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理に応答してエフェクター表現型および機能を獲得する。−1日目にマウスは、ナイーブおよびメモリーOT−I−RAG−/−細胞の混合物(a)またはナイーブOT−I−RAG−/−細胞のみ(b−d)を受け取り、そして0日目にPBSまたはIL−15(約2.5μg)を伴うrmIL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。4日後、碑細胞を(a)CFSE強度、(b)ドナーOT−Iの百分率およびCD44発現について検査した。(c)−1日目に、マウスは、約7×105ナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)、IL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)または約1×105pfu VSV−OVAで処理された。4日目に、碑細胞をインビトロでSIINFEKLと共にまたはSIINFEKLを伴わないで約5時間インキュベーションし、そしてIFN−aの産生を細胞内染色により解析した。(d)−1日目に、マウスは、約2×106ナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取り、そしてPBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理され、または約1×105pfuのVSV−OVAで静脈内処理された。処理後4日目に、各マウスは、CFSE標識された(約0.25μM)非ペプチドパルスド碑細胞およびCFSE標識された(約2.5μM)SIINFEKLペプチドパルスド碑細胞の混合物を受け取った。4時間後、碑細胞をCFSE標識されたターゲット集団の存在について解析した。
【図8】プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理は、ナイーブCD8+T細胞からメモリー細胞を発生させる。1日目に、B6マウスは、約6×106CFSE標識されたナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取りそして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。44日後、碑細胞をドナーOT−ICD8+T細胞の百分率(上部パネル)およびCD44およびCD122のOT−I発現(中部および下部パネル)について解析した。
【図9】本発明のIL−15+IL−15Ra−Fc融合タンパク質−融合タンパク質のマウスバージョンの例。この実施例では、一般的構築物は、増強された発現及びプロセッシングのためのIL−2シグナルペプチド、IL−15遺伝子またはその一部、立体的自由度およびタンパク質折りたたみを促進するための可変リンカー領域、(任意の所望の長さまたは配列であってもよい)、IL−15Ra遺伝子の可溶性もしくは細胞外部分およびヒトIgGのFc部分を含む。ヒト相同体の遺伝子またはその一部は、同様な方式で置換されることができる。同様に、IL−2またはIL−2Ra遺伝子またはその一部は、IL−15またはIL−15Ra遺伝子またはその一部との組み合わせも含むキメラ構築物において置換されることができる。
【図10】IL−15+IL−15Ra−Fc融合タンパク質は、CD8+T細胞およびNK細胞の増殖を誘発する。CFSE標識されたリンパ球を正常なマウスに移入し、次いでそれを〜10μgのIL−15+IL−15Ra融合タンパク質で処理した。4日後、碑細胞を単離しそしてフローサイトメトリーにより解析した。
【図11】マウスにおけるIL−15+IL−15Raタンパク質複合体により減少した肝臓癌量。約1×105B6−F1メラノーマ細胞を脾臓内に注射した(肝臓に腫瘍を指向する)。1および7日後に、マウスをPBS(コントロール)、2.5μgIL−15または2.5μgIL−15+IL−15Ra複合体で処理した。接種の14日後、腫瘍を肝臓において計数し、そして脾臓の重量を計った。
【図12】IL−15をIL−15Raに複合体化させることは、インビボでの半減時間およびバイオアベイラビリティーを顕著に増強させる。(A)2.5μgのヒトIL−15単独またはIL−15Raにプレ複合体化されたIL−15を腹腔内注射によりマウスに投与した。指示された時間に、血清を得、そしてIL−15の存在についてELISAにより試験した。存在する全IL−15を、標準濃度曲線から計算した。(B)半減時間をAにおける減衰曲線の線形部分から計算した。
【0039】
発明の詳細な説明
好ましい態様の組成物および方法の例では、治療ポリペプチドの有用な且つ有利な発生が提供される。好ましい態様では、本発明は、リンホカインもしくはその一部およびリンホカインレセプターもしくはその一部を含む治療ポリペプチド複合体に関する。用語「リンホカインレセプター」または「インターロイキンレセプター」は、それぞれのリンホカインまたはインターロイキンに対する膜貫通レセプターを指し、そしてある態様では、該リンホカインまたはインターロイキンに結合することができる抗体を含むことができる。この状況では、抗体は、リンホカインまたはインターロイキンポリペプチドに対する「レセプター」として有効に機能する。
【0040】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明は、本発明の治療の活性は、ポリペプチド複合体のレセプター部分が、シグナリング分子部分をターゲット細胞の表面のそのそれぞれのレセプター(1つまたは複数)に提示するように機能する、「トランス提示(trans-presentation)」と呼ばれるプロセスから生じるということを仮定している。例えば、実験的証拠は、IL−15RaはIL−15レセプターのβおよびγ鎖を通じてインビボでT細胞および他の細胞にIL−15をトランス提示することを示す。この理論は、IL−15単独は殆ど活性を持たないが、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra複合体は図1に示されたとおりメモリーT細胞増殖を推進すること(IL−15活性の特徴の1つ)および腫瘍量(tumor burden)を減少させること表1、に対する実質的な活性を有することを示す、マウスにおけるインビボでの結果により支持される。IL−15をIL−15Ra鎖にプレカップリングさせることにより、IL−15の生物学的活性はマウスにおいて顕著に増大した(図1〜8および10〜12)。
【0041】
明白に特記しない限り、下記の定義は、当技術分野で知られた用語の定義を補足する。
【0042】
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボ核酸、リボヌクレオチドおよびリボ核酸、およびそのホーリマー形態を指し、そして一本鎖または二本鎖形態を含む。明白に限定されない限り、用語「核酸」は、天然のヌクレオチドの既知のアナログ、例えば、参照核酸と同様な結合性を有するペプチド核酸(「PNAs」)を含む。更に、好ましい態様のいずれかにおいて、特定のヌクレオチドまたは核酸配列は、保存的変異(例えば、縮重コドン置換(degenerate codon substitution)、下記参照)、相補性配列および明白に示された配列を含む。縮重コドン置換は、1つ以上の選ばれたコドンの第3の位置が同じアミノ酸をもたらす任意のヌクレオチドで置換されている、縮重コドン置換である。用語核酸は、用語「遺伝子」、「DNA」、「cDNA」、「オリゴヌクレオチド」、「RNA」、「mRNA」、「ヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」等に対して包括的である。
【0043】
本明細書で使用された、用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結されたヌクレオチド残基を指す。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノムまたはcDNA配列に基づくことができまたはゲノムまたはcDNA配列からデザインされ得、そして特定の細胞または組織において同一の、類似したまたは相補性DNAまたはRNAの存在を増幅、確認または示すのに使用される。オリゴヌクレオチドは、約長さが約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さが約15nt〜30ntを有する核酸配列を含む。本発明の1つの態様では、長さが100ntより少ない核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜4または13〜16の少なくとも6個の連続したヌクレオチドを更に含むであろう。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成されそしてプローブとして使用することもできる。
【0044】
「リコンビナント」核酸は、インビトロまたは人工的(天然には存在しないことを意味する)方法または2つ以上の核酸の組換えにより産生された任意の核酸である。
【0045】
用語「遺伝子」は、与えられたRNAまたはタンパク質の発現と関連した核酸の任意のセグメントを指す。従って、遺伝子は、発現されたRNAs(典型的にはポリペプチドコード配列を含む)をコードする領域およびしばしばそれらの発現のために必要な調節配列を含む。遺伝子は、関心のあるソースからのクローニングまたは既知のもしくは予測された配列情報から合成することを含む種々のソースから得ることができ、そして特別に所望されるパラメーターを有するようにデザインされた配列を含むことができる。
【0046】
他の態様では、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1〜4および13〜16に示されたヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。本明細書で使用された、用語「相補性」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson−CrickまたはHoogsteen塩基対形成を指し、そして用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物または関連したポリペプチドまたは化合物またはそれらの組み合わせ間の物理的または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン性、非イオン性、ファンデルワールス、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は直接または間接的であることができる。間接相互作用は、他のポリペプチドまたは化合物の効果を通じてまたは該効果によることができる。直接結合は、他のポリペプチドまたは化合物の効果を通じてまたは該効果により起こらないで、その代わりに他の実質的な化学的中間体なしの、相互作用を指す。本明細書で提供された「フラグメント」は、核酸の場合には特異的ハイブリダイゼーションを可能としまたはアミノ酸の場合にはエピトープの特異的認識を可能とするのに十分な長さである、少なくとも6個の(連続した)核酸または少なくとも4個の(連続した)アミノ酸の配列として定義され、そして多くても完全長配列より少ない部分である。フラグメントは、選択される核酸またはアミノ酸配列の任意の連続した部分に由来することができる。完全長クローンは、ATG翻訳開始コドンおよびインフレーム停止コドン(in-frame stop codon)を含有するものとして同定される。従って、ATG翻訳開始コドンを欠いている任意の開示されたNOVXヌクレオチド配列は、それぞれのポリペプチドのトランケーションされたC末端フラグメントをコードし、そして対応する完全長cDNAは、開示された配列の5’方向に延びていることを必用とする。インフレーム停止コドンを欠いている任意の開示されたヌクレオチド配列は、同様にそれぞれのポリペプチドのトランケーションされたN末端フラグメントをコードし、そして対応する完全長cDNAは開示された配列の3’方向に延びていることを必用とする。
【0047】
用語「ホスト細胞」は、異種核酸を保有するのにまたは異種核酸によりコードされたペプチドまたはタンパク質を発現するのに使用されうる細胞を含む。ホスト細胞は、細胞のネイティブな(非リコンビナント)形態内で見出されない遺伝子、遺伝子が改変されそして人工的手段により細胞に再導入されるネイティブな形態の細胞において見出される遺伝子、または細胞から核酸を除去することなく人工的に改変された細胞に対して内因性の核酸を含有することができる。ホスト細胞は真核細胞または原核細胞であることができる。例えば、バクテリアテ細胞は、核酸配列を保有もしくはクローニングするのにまたはポリペプチドを発現するのに使用することができる。バクテリアテの培養のために必要な一般的成長条件は、BERGEY'S MANUAL OF SYSTEMATIC BACTERIOLOGY, Vol.1,N.R.Krieg, ed., Williams and Wilkins,Baltimore/London(1984)に見出されうる。「ホスト細胞」は、内因性遺伝子もしくはプロモーターまたはその両方が本発明の複合体のポリペプチド成分の1種以上を産生するように改変されているホスト細胞であることもできる。
【0048】
「誘導体」は、直接に、改変によりまたは部分的置換によりネイティブ化合物から形成された核酸配列またはアミノ酸配列である。「アナログ」は、ネイティブな化合物に類似した、しかしネイティブな化合物と同じではない構造を有する核酸配列またはアミノ酸配列であり、例えばそれらはある成分または側鎖に関してそれとは異なる。アナログは、合成されてもよくまたは異なる発生起源に由来することができ、そして野生型と比較して類似したまたは反対の代謝活性を有することができる。相同体は、異なる種に由来する特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
【0049】
誘導体およびアナログは、完全長であるかまたは完全長以外であることができる。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログは、種々の態様において、同じサイズの核酸またはアミノ酸配列に対してまたは当技術分野で知られているコンピューター相同性プログラムによりアライメントが行われるアライメントされた配列と比較するとき、少なくとも約30%、45%、70%、80%または95%一致(好ましい同一性は80〜90%)するかまたはそのコード核酸がストリンジェントな、中程度にストリジェントな、または低ストリンジェントな条件下に本発明のタンパク質をコードする配列の相補体にハイブリダイゼーションすることができる、本発明の核酸またはタンパク質に対して実質的に相同性である領域を含む分子を含むが、それらに限定されない。例えば、Ausubel, et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley&Sons, New York, N.Y., 1993参照。核酸誘導体および改変は、遺伝子置換、部位特異的突然変異、欠失、挿入、組み換え、修復、シャフリング、エンドヌクレアーゼ消化、PCR、サブクローニング、および関連した技術により得られた核酸誘導体および改変を含む。
【0050】
「相同体」は、自然に生じることができるか、または関連した配列を有する1つ以上の核酸の人工的合成または関連した核酸を産生するための1つ以上の核酸の改変により創生されうる。核酸は、それらが天然にまたは人工的に共通の先祖配列に由来するとき相同性である(例えばオーソログまたはパラログ)。2つの核酸間の相同性が明白に述べられていなければ、相同性は2つ以上の配列間の核酸比較により推定することができる。配列がある程度の配列類似性、例えば、一次アミノ酸構造レベルで約30%より高い配列類似性を示すならば、それらは共通の先祖を共有すると結論される。類似性の程度は変わるであろうし、そして重要な因子は、例えば、全体の類似性の程度、コード配列の特定の領域内の類似性の程度、非コード配列の類似性およびポリペプチドの活性を含む。本発明の目的で、遺伝子は、もしも核酸配列が組換えを可能とするのに十分に類似しているならば、相同性である。
【0051】
2種以上の核酸またはポリペプチドに関して、用語「相同性」または「同一性」は、同じであるか類似している2つ以上の配列またはサブ配列であって、BLAST、ClustalW、または当業者により入手可能な他のアルゴリズムなどの配列比較アルゴリズムの1つを使用してまたは目で見る検査により測定して、最大対応について比較およびアライメントされるとき、同じであるアミノ酸またはヌクレオチドの特定された百分率を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。配列比較および相同性決定のために、典型的には、1つの配列は、試験配列を比較するための基準配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および基準配列をコンピューターに入力し、必要に応じてサブ配列座標を指定しそして配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次いで配列比較アルゴリズムは、指示されたプログラムパラメーターに基づいて基準配列に対する試験配列(1つまたは複数)の百分率配列一致を計算する。相同性の他の決定は、ストリンジェントな条件下の核酸のハイブリダイゼーションを含む。
【0052】
フレーズ「ハイブリダイゼーションする」は、その配列が複合体混合物(例えば全細胞)DNAまたはRNA内に存在するときを含めて、ストリンジェントな条件下の特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二本鎖化(duplexing)またはハイブリダイゼーションすることを指す。
【0053】
本明細書で使用された用語「プレカップリングされた」は、ターゲット部位、例えば免疫細胞における活性化または結合の前に個々のポリペプチド成分を組み合わせて活性な複合体を形成する状況を指す。これは、個々のポリペプチド複合体成分が合成されるかまたはリコンビナントに発現され、次いで単離されそして組み合わされて生物への投与の前にインビトロで複合体を形成する状況;キメラまたは融合ポリペプチド(即ち、複合体の各分離したタンパク質成分が単一ポリペプチド鎖に含有されている)がインタクトな複合体として合成されまたはリコンビナントに発現される状況;および/または個々のポリペプチド複合体成分が個体に同時に、例えば静脈内に投与されそしてin situまたはインビボで複合体を形成する状況を含む。
【0054】
核酸配列の「保存的突然変異」は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸をコードするこれらのヌクレオチドを指すか、またはヌクレオチドがアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列を指す。これは、遺伝子コードは「縮重している」、即ち、多数の異なる核酸が同じアミノ酸をコードする、ということに基づいている。例えば、コドンGTT、GTA、GTCおよびGTGは、すべてアミノ酸バリンをコードする。従って、バリンがコドンにより特定されるすべての位置で、コドンはコードされたポリペプチドを変えることなく、上記した対応するコドンのいずれかに変えることができる。このような核酸変異は、「サイレント突然変異」であり、これは「保存的突然変異」の1つの種類である。特記しない限り、アミノ酸をコードする本明細書で記載されたすべてのヌクレオチド配列は、すべての可能なサイレント変異も含む。当業者は、核酸における各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるATGを除いて)は、標準技術により機能的に同一の分子を生じるように改変されうることを認識するであろう。従って、突然変異誘発が使用される各場合に、アミノ酸をコードする核酸の各「サイレント突然変異」は、事実上含まれる。
【0055】
更に、当業者は、「保存的突然変異」が、核酸変更が化学的に同様なアミノ酸の置換をもたらす、コード配列における単一アミノ酸または少数のアミノ酸を変更、付加または欠失させる核酸の置換、欠失または付加も含むことを認識するであろう。お互いに対する保存的置換として働くことができるアミノ酸は、下記のもの:塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q);親水性:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I);疎水性:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);硫黄含有:メチオニン(M)、システイン(C)、を含む。更に、保存的変異により異なる配列は一般に相同性である。
【0056】
「サブ配列」は、それぞれ核酸またはアミノ酸のより長い配列の一部(例えばポリペプチド)を含む核酸またはアミノ酸の配列を指す。
【0057】
核酸「オペロン」は、他の核酸配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーションシグナル、または他の遺伝子であってそれがコード配列の転写を増加させる場合の他の遺伝子との機能的関係において位置している遺伝子を含む。
【0058】
本明細書で使用される「突然変異誘発」は、PCR突然変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、エラープローンPCR突然変異誘発、等および本明細書で記載された技術のいずれかによる反復遺伝子組換えなどの当技術分野で知られた技術を含む。
【0059】
突然変異誘発、PCR、クローニング等を含む本発明の実施に有用な分子生物学的技術の説明は、Berger and Kimmel, GUIDE TO MOLECULAR CLONING TECHNIQUES, METGODS IN ENZYMOLOGY, volume 152, Academic Press, Inc., San Diego, Calif. (Berger); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING-A LABORATORY MANUAL (2nd Ed), Vol. 1-3,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989, and CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, F.M.Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associatres, Inc. and John Wiley & Sons, Inc.; Berger, Sambrook, and Ausubel, as well as Mullis et al., U.S.Pat.No.4,683,202(1987); PCR PROTOCOLS A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS(Innis et al, eds), Academic Press, Inc., San Diego, Calif.(1990)(Innis); Arnheim & Levinson(Oct. 1, 1990)C&EN 36-47; Leung, et al., A methods for random mutagenesis of a defined DNA segment using a modified polymerase chain reaction.Technique: J Methods Cell Molec Biol 1(1): 11-15(1989)を含む。これらはすべての目的で参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。本発明の例示的方法は、配列突然変異誘発、組換えまたはその両方ならびに個々の遺伝子のスクリーニングまたは選択を含む。
【0060】
本明細書で使用された用語「リンホカイン」、「インターロイキン」、「IL−15」または「IL−2」は、例えば、完全長配列、セグメント、ドメインもしくは分離した部分、置換、挿入および欠失突然変異体、同じもしくは他のリンホカインとのキメラ、アイソフォーム、スプライス変異体およびその任意の組合わせを含む対応するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のすべての形態を集約的に指すために使用される。
【0061】
本明細書で使用された、用語「IL−15Ra」または「IL−2Ra」は、例えば、完全長配列、セグメント、ドメインもしくは分離した部分、置換、挿入および欠失突然変異体、同じもしくは他のリンホカインレセプターとのキメラ、アイソフォーム、スプライス変異体およびその任意の組合わせを含む対応するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のすべての形態を集約的に指すために使用される。
【0062】
核酸分子
ある態様では、本発明は、リンホカインもしくはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子ならびにリンホカインレセプターもしくはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子を含む。核酸態様のいずれかにおいて、本発明は、完全長タンパク質、野生型もしくは突然変異体ポリペプチド;分離したセグメント、ドメイン、サブドメイン、フラグメント、欠失もしくは挿入突然変異;キメラ;およびアイソフォームおよびスプライス変異体を実質的にコードするポリヌクレオチドの使用を意図する。ある好ましい態様では、本発明は、単一オープンリーディグフレームまたはORF(即ち、開始コドンから停止コドンまで)内で少なく共1つのリンホカインレセプターもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドセグメントと連続した、少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドセグメントを含む核酸を含む。ある態様では、本発明の核酸は、転写調節配列(例えば、プロモーター、誘導性プロモーター、エンハンサー等);融合タンパク質配列(例えば、His−タグ、GST、GFP、抗体Fc部分、抗生物質耐性、シグナルペプチド等);および/またはポリペプチドコード配列の5’末端、3’末端もしくはポリペプチドコード配列内の位置に配置されたリンカー配列;および/またはその組合わせを含む少なくとも1つの追加のポリヌクレオチドセグメントを含む。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、真核細胞もしくは細胞抽出物、原核細胞もしくは細胞抽出物および/またはその組合わせにおけるクローニングおよび/または発現のために適当なウイルスベクター、バクテリアプラスミド、または人工的染色体内に配置されていてもよい。
【0063】
リコンビナント核酸のプラスミドベクターもしくはホスト細胞またはその両方へのクローニング、サブクローニングおよび移入のための多くの技術およびライブラリースクリーニングおよび選択のための技術が当技術分野で知られており、そしてこれらのフォーマットおよび/または技術の各々は、本発明に一般に適用可能である。例えば、本発明で使用される核酸を操作するための一般的技術を開示するテキストは、"Current Protocols in Molecular Biology"(Ausubel et al., eds., 1994)); Sambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual"(2nd ed. 1989); and Kriegler,"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Mannual"(1990),を含み、その内容および適切な教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明の他の局面は、配列番号5〜12またはその誘導体、フラグメントもしくは相同体をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書で使用された用語「ベクター」は、他の核酸を輸送することができる核酸分子であって、該他の核酸に「作用可能に連結されている」核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは環状二本鎖DNAループであってそれに追加のDNAセグメントをライゲーションさせることができる環状二本鎖DNAループを指す。他のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、該ウイルスベクターに追加のDNA配列をライゲーションすることができる。あるベクターは、それらが導入されるホスト細胞において自律複製することができる(例えば、バクテリア複製起点を有するバクテリアベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、ホスト細胞に導入されるとホスト細胞のゲノムに組み込まれ、それによりホストゲノムと共に複製される。更に、あるベクターは、該ベクターが作用的に連結されている(operatively linked)遺伝子の発現を指向することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、リコンビナントDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態にある。本明細書では、「プラスミド」および「ベクターは、は相互に交換可能に使用され得る。何故ならば、プラスミドは最も普通に使用される形態のベクターであるからである。しかしながら、本発明は、同等な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製に欠陥のあるレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターのこのような他の形態を含むことを意図する。
【0065】
本発明のリコンビナント発現ベクターは、ホスト細胞における核酸の発現のための適当な形態にある本発明の核酸を含み、これは、リコンビナント発現ベクターが、発現のために使用されるべきホスト細胞に基づいて選ばれた1つ以上の調節配列であって、発現されるべき核酸配列に作用的に連結されている1つ以上の調節配列を含むことを意味する。リコンビナント発現ベクターの範囲内で、「作用可能に連結された(operably linked)」は、関心のあるヌクレオチド配列が、該ヌクレオチド配列の発現(例えばインビトロ転写/翻訳システムにおいてまたはベクターがホスト細胞に導入されるときはホスト細胞において)を可能とする方式で調節配列(1つまたは複数)に連結されていることを意味することを意図する。
【0066】
用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現コントロールエレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くのタイプのホスト細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向する調節配列およびあるホスト細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向する調節配列(例えば組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターのデザインは、トランスフォーメーションされるべきホスト細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベル等の如きファクターに依存しうることは当業者により認識されるであろう。本発明の発現ベクターは、ホスト細胞に導入されることができ、それにより本明細書に記載の核酸によりコードされた融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを産生することができる。本発明のリコンビナント発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるタンパク質の発現のためにデザインされうる。例えば、タンパク質は、Escherichia coliなどのバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現されうる。適当なホスト細胞は、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に更に検討されている。または、リコンビナント発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写および翻訳されうる。
【0067】
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質の発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターによりEscherichia coliにおいて最も頻繁に行われる。融合ベクターは、その中にコードされたタンパク質に、通常リコンビナントタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、典型的には、3つの目的:(i)リコンビナントタンパク質の発現を増加させるため;(ii)リコンビナントタンパク質の溶解度を増加させるためおよび(iii)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することによりリコンビナントタンパク質の精製を助けるために役立つ。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解開裂部位は、融合部分の接合部として導入されて、融合タンパク質の精製の後に融合部分からのリコンビナントタンパク質の分離を可能とする。このような酵素およびそれらのコグネイト認識配列は、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを、それぞれ、ターゲットリコンビナントタンパク質に融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Jofnson,1988.Gene 67: 31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N. J.)を含む。
【0068】
適当な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例は、pTrc(Amarann et al., (1988)Gene69:301-315)およびpET11d(Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)60-89)を含む。
【0069】
E.coliにおけるリコンビナントタンパク質発現を最大にするための1つのストラテジーは、リコンビナントタンパク質をタンパク質分解的に開裂する能力が損なわれたホストバクテリアにおいてタンパク質を発現することである。例えば、Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)119-128)参照。他のストラテジーは、各アミノ酸のための個々のコドンがE.coliにおいて優先的に利用されるコドンであるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20:2111-2118参照)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準DNA合成技術により行うことができる。他の態様では、発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母Saccharomyces cerevisaeにおける発現のためのベクターの例は、pYepSec(Baldari, et al., 1987. EMBO J.6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, 1982. Cewll 30: 933-943)、pJRY88(Schultz et al., 1987. Gene 54: 113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif)およびpicZ(In Vitrogen Corp, San Diego, Calif.)を含む。または、ポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して昆虫細胞において発現されうる。培養された昆虫細胞(例えばSF9細胞)におけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smith, et al., 1983. Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170:31-39)を含む。
【0070】
更に他の態様では、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例は、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmann, et al., 1987. SMBO J. 6: 187-195)を含む。哺乳動物細胞において使用されるとき、発現ベクターのコントロール機能は、しばしばウイルス調節エレメントにより与えられる。例えば、よく使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適当な発現システムについては、例えば、Sambrock, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nded., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989 のChapter 16 and 17参照。
【0071】
他の態様では、リコンビナント哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的な核酸の発現を指向することができる(例えば組織特異的調節エレメントが核酸を発現するのに使用される)。組織特異的調節エレメントは当技術分野で知られている。適当な組織特異的プロモーターの非限定的例は、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., 1987.Genes Dev. 1:268-277)、リンパ腫特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞レセプターのプロモーター(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8:729-733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerki, et al., 1983. Cell 33:729-740; Queen and Baltimore, 1983.Cell 33:741-748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985.Science 230: 912-916)および乳腺特異的プロモーター(例えば乳腺プロモーター;U.S.Pat.No.4,873,316 and Europeaqn Application Publication No. 264,166)を含む。発生的に調節されたプロモーター、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3:537-546)も包含される。
【0072】
本発明の1つの態様では、出発核酸セグメントを、まず最初に本明細書で参照されたフォーマットのいずれかにより組み替えて、リコンビナント核酸のライブラリーを発生させる。ライブラリーは、サイズを変えることができ、例えば、約10〜約109のメンバーの範囲にある。一般に、最初の核酸セグメントおよび発生した核酸のリコンビナントライブラリーは、完全長コード配列(即ち、開始コドン、コード配列および停止コドンを含むオープンリーディグフレーム(ORF))および任意の必須の調節配列、例えば、発現のために必用なプロモーターおよびポリアデニル化配列を含む。しかしながら、リコンビナント核酸がこれらのエレメントを含有していない場合には、ライブラリーのリコンビナント核酸は、リコンビナントクローンのスクリーニングおよび選択の前に欠損配列(missing sequences)を含むベクターに挿入されうる。
【0073】
リコンビナント核酸配列は、発現することができるリコンビナントセグメントのライブラリーをもたらすインビボフォーマットにおいて組合わせることができる。または、組換えは、インビトロで行うことができそしてリコンビナントライブラリーは、スクリーニングおよび選択の工程の前に所望の細胞型に導入される。本発明のある態様では、リコンビナント核酸ライブラリーを第1ホスト中で増幅し、次いでそのホストから回収し、そして発現、選択、またはスクリーニングまたは任意の他の望ましいパラメーターの理由で第2ホストに導入する。リコンビナント核酸をホスト細胞に導入する方式は、細胞型の核酸取り込み特徴に依存する(例えば、ウイルスレセプターを有する、コンジュゲーションすることができる、自然にコンピテントである、および/またはDNAガンまたは電気パルスを必要とする)。リコンビナントDNA遺伝子のライブラリーの導入後に、細胞を遺伝子の発現が起こることを可能とするように増殖させることができる。
【0074】
態様のいずれかにおいて、リンホカインまたはリンホカインレセプターをコードする核酸は、1つ以上のネイキッドDNAs;適切な発現ベクター内に配置されそしてエピソーム的に維持された(maintained episomally)1つ以上の核酸;ホスト細胞のゲノムに組み込まれた1つ以上の核酸;複合体の成分をコードする内因性遺伝子の改変されたバージョン;1つ以上の調節核酸配列と組み合わせた1つ以上の核酸;またはそれらの組み合わせとして存在することができる。1つの態様では、ホスト細胞の内因性インターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプター遺伝子は、細胞がインターロイキンポリペプチド、可溶性インターロイキンレセプターポリペプチドおよびインターロイキン/インターロイキンレセプター複合体ポリペプチド(これらは標準技術を使用して単離および精製されうる)の組合せを産生するように、相同的組換え技術を使用して改変される。この態様のいずれかにおいて、リンホカイン成分をコードする核酸は、配列番号1、2、14、15、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。更に、態様のいずれかにおいて、リンホカインレセプター成分をコードする核酸は、配列番号3、4、13、16、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。リンホカイン、リンホカインレセプター部分および/またはリンホカイン/リンホカインレセプターキメラをコードする核酸は、場合により、ORFの5’末端、3’末端またはORFの範囲内の任意の位置に、リンカーペプチドまたは融合タンパク質成分、例えば、His−Tag、FLAG−Tag、GFP、GST、抗体部分、シグナルペプチド等を含むことができる。
【0075】
好ましい態様において、本発明の核酸は、リンホカインレセプターの可溶性(即ち、細胞外)部分をコードするポリヌクレオチドを含む。特定の好ましい態様では、本発明は、シグナルペプチド、リンホカイン、リンカーペプチドおよびリンホカインレセプターの可溶性部分および抗体のFc部分をコードする連続した核酸を含む。本明細書に記載の態様のいずれも、当業者に周知の標準分子生物学的アプローチおよび遺伝子アプローチを使用して達成されうる。態様のいずれかにおいて、配列番号1〜4および13〜16のオープンリーディグフレームまたはその一部をコードするcDNAは、市販のバクテリア発現プラスミド、例えば、pGEM(Promega)またはpBluescript(Stratagene)ベクター、または真核生物発現ベクター、例えばバキュロウイルスシステム、pCEP、pcDNAベクターまたはそれらの誘導体の1つに組み込まれることができる。
【0076】
ある態様では、本発明は、配列番号5〜12のポリペプチドまたはその一部をコードする単離されたポリヌクレオチド配列を含む。「単離された核酸配列」は、コード配列のいずれかとじかに連続していないポリヌクレオチドであって、その由来元の生物の天然に存在するゲノムにおいてはそれは該コード配列とじかに連続している(5’端部のそれおよび3’端部のそれ)ポリヌクレオチドを意味する。従って、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれているか;自律的複製プラスミドもしくはウイルスに組み込まれているか;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれているかまたは他の配列とは独立した別個の分子(例えば、cDNA)として存在する、リコンビナントDNAを含む。このヌクレオチドは、改変された形態のDNAまたはRNAであることができる。改変は、天然に存在する塩基の既知の置換、改変された塩基、例えば5−メチルシトシン、改変された糖、例えば2’−メトキシおよび2’−フルオロ糖および改変された主鎖、例えばホスホロチオエートおよびメチルホスホネートとの糖もしくはヌクレオチド間(主鎖)連結を含むが、それらに限定されない。
【0077】
ポリヌクレオチドは、DNA分子、cDNA分子、ゲノムDNA分子またはRNA分子であることができる。DNAまたはRNAとしてのポリヌクレオチドは、T(チミジン)がU(ウラシル)であることもできる配列を含むことができる。ポリヌクレオチドは、配列番号1〜4および13〜16に対して相補性であることができ、ここで相補性は、2つのヌクレオチド間の正確な対形成する能力を指す。例えば、ポリヌクレオチドのある位置におけるヌクレオチドが逆平行DNAもしくはRNA鎖における同じ位置のヌクレオチドとワトソン−クリック対形成することができるならば、このポリヌクレオチドとDNAもしくはRNA分子はその位置で互いに相補性である。ポリヌクレオチドとDNAもしくはRNA分子は、各分子における十分な数の対応する位置が所望のプロセスを実施するためにお互いにハイブリダイゼーションすることができるヌクレオチドにより占められるとき、お互いに実質的に相補性である。本明細書で使用された、ハイブリダイゼーションは、相補性ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間のワトソン−クリック水素結合を意味する。
【0078】
更に、配列番号1〜4および13〜16のすべてまたは一部をコードするポリヌクレオチドが含まれる。このようなポリヌクレオチドは、天然に存在するDNA分子、合成DNA分子および意図的に操作されたDNA分子を含む。例えば、ポリヌクレオチドは、分子生物学技術分野で知られている技術により部位特異的突然変異誘発に供されることができる。20の天然に存在するアミノ酸があり、その大部分は、1つより多くのコドンにより特定される。従って、縮重ヌクレオチド配列が含まれる。ポリヌクレオチドは、1つ以上のアミノ酸残基の一致または位置に関して天然に存在する形態とは異なる(ポリペプチドについて特定された残基のすべてより少ない残基を含有する欠失アナログ、1つ以上の特定された残基が他の残基により置換されている置換アナログおよび1つ以上のアミノ酸残基がポリペプチドの末端または中間部分に付加されている付加アナログ)且つ天然に存在する形態の一部またはすべての性質を共有する、抗原性ポリペプチドのポリペプチドアナログ、フラグメントまたは誘導体をコードするポリヌクレオチドも含む。これらの分子は、例えば、選ばれた非哺乳動物ホストによる発現のために適当なコドンの組み込み;制限エンドヌクレアーゼ酵素による開裂のための部位の提供;および容易に発現されるベクターの構築を促進する追加の最初の、末端のまたは中間のDNA配列の提供を含む。
【0079】
ポリヌクレオチドは、タンパク質主鎖に置換、挿入または欠失を含有するポリペプチドまたは完全長タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。関連したポリペプチドは、種々の欠失、置換および他の改変に対する相同性の程度を割り当てることによりアライメントされる。相同性は、全体のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに沿ってまたは連続した残基のサブセットに沿って決定されうる。百分率一致は、2つの配列を比較するとき同一であるアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。百分率類似性は、2つの配列を比較するとき、化学的に類似しているアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。相同性ポリペプチドは、好ましくは25%以上同一であり、好ましくは30%以上同一であり、更に好ましくは35%以上同一でありまたは最も好ましくは、40%以上同一である。
【0080】
本明細書に開示されたプラスミドは、市販されているか、制限なしに公的に入手可能であるかまたは周知の公開された手順のルーチンな適用により入手可能なプラスミドから構築されうる。多くのプラスミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターは周知でありそして容易に入手可能であるか、または当業者は使用のために適当な任意の数の他のプラスミドを容易に構築することができる。これらのベクターは、適当なホスト細胞にトランスフォーメーションされて、細胞運搬体の生物学的活性を有するポリペプチドの産生のためのホスト細胞ベクターシステムを形成することができる。適当なホストは、微生物、例えばバクテリア、酵母、昆虫または哺乳動物生物または細胞系を含む。適当なバクテリアの例は、E.coliおよびB.subtilisである。好ましい酵母ベクターは、pRS426−Galである。適当な酵母の例は、SaccharomycesおよびPichiaである。適当な両生類細胞はゼノプス細胞である。昆虫細胞系のための適当なベクターは、バキュロウイルスベクターを含む。ラットまたはヒト細胞は好ましい哺乳動物細胞である。
【0081】
リコンビナントDNAによるホスト細胞のトランスフォーメーションは、当業者に周知の慣用の技術により行うことができる。「トランスフォーメーション」は、新規なDNA(即ち、細胞に対して外因性のDNA)の組み込みの後に細胞において誘導された永久的または一過性の遺伝子変化を意味する。細胞が哺乳動物細胞である場合は、永久的遺伝子変化は、一般に、細胞のゲノムへのDNAの導入により達成される。「トランスフォーメーションされた細胞」または「ホスト細胞」は、細胞(例えば原核細胞または真核細胞)であって、それに(またはその先祖に)リコンビナントDNA技術によって本発明のポリペプチド(即ち、INDYポリペプチド)をコードするDNA分子またはそのフラグメントが導入されている、細胞を意味する。
【0082】
ホストが原核生物、例えばE.coliである場合は、DNAを取りこむことができるコンピテント細胞は、対数増殖期後に回収され次いで当技術分野で周知の手順によりCaCl2法により処理された細胞から、調製されうる。または、MgCl2もしくはRbClを使用することができる。トランスフォーメーションは、ホスト細胞のプロトプラストを形成した後またはエレクトロポレーションにより行うこともできる。
【0083】
ホストが真核生物であるときは、DNAによるトランスフェクションのこのような方法は、リン酸カルシウム共沈法、慣用の機械的方法、例えばマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームに包まれたプラスミドの挿入またはウイルスベクターならびに当技術分野で知られている他の方法を含む。真核細胞は、この開示のポリペプチドをコードするDNA配列およびヘルペスシンプレックスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子により共トランスフェクションされることもできる。他の方法は、シミアンウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルスなどの真核生物ウイルスベクターを使用して、真核細胞を一過性に感染またはトランスフォーメーションしそしてタンパク質を発現することである。(Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982)。好ましくは、真核生物ホストは、本明細書に記載されたホスト細胞として利用される。真核細胞は、酵母細胞(例えば、Sacchromyces cerevisiae)であることができまたはヒト細胞を含む哺乳動物細胞であることができる。
【0084】
リコンビナントウイルスまたはウイルスエレメントを利用して発現を指向する哺乳動物細胞システムは、工学的に産生されうる。例えば、アデノウイルス発現ベクターを使用するとき、外来タンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルス転写/翻訳コントロール複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列にライゲーションさせることができる。このキメラ遺伝子は、次いでインビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノム内に挿入されうる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入は、感染したホストにおいて生存可能でありそしてポリペプチドを発現することができるリコンビナントウイルスをもたらすであろう(例えば、Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.81:3655-3659, 1984)。
【0085】
リコンビナントタンパク質の長期間の高収率産生のために、安定な発現が好ましい。ウイルス複製起点(viral origins of replication)を含有する発現ベクターを使用するよりはむしろ、適切な発現コントロールエレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)によりコントロールされたインターロイキン/インターロイキンレセプター融合タンパク質をコードするcDNAおよび選択可能なマーカーでホスト細胞をトランスフォーメーションすることができる。リコンビナントプラスミドにおける選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を与えそして細胞がプラスミドをその染色体に安定に組み込みそして成長して病巣(foci)を形成することを可能とし、病巣は細胞系にクローニングされそしてエキスパンションされうる。例えば、外来DNAの導入の後、工学的に産生された細胞は、濃縮された培地において1〜2日成長させることができ、次いで選択培地に切り替えられる。ヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:233,1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 48:2026, 1962)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowry et al., Cell 22: 817, 1980)遺伝子を含むがそれらに限定されない多数の選択システムを使用することができる。
【0086】
他の態様では、本発明は、インターロイキンポリペプチド、インターロイキンレセプターポリペプチド、抗体ポリペプチドおよびキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドまたは生物学的に活性なその一部をコードする単離された核酸分子に関する。ハイブリダイゼーションプローブとして使用してキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターコード核酸を同定するために十分な核酸フラグメントおよびキメラインターロイキン/インターロイキンレセプター核酸分子の増幅および/または突然変異のためのPCRプライマーとして使用するためのフラグメントも本発明内に含まれる。本明細書で使用された用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して発生させたDNAまたはRNAのアナログならびにその誘導体、フラグメントおよび相同体を含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることができるが、好ましくは二本鎖DNAを含む。
【0087】
更に他の好ましい態様では、本発明は、(a)少なくとも2つのリンホカインまたはリンホカインレセプターからの核酸を組み換えて核酸のまライブラリーを創生すること;(b)リコンビナント遺伝子をコンピテント細胞にトランスフォーメーションすること;(c)細胞をスクリーニングすること;(d)他の核酸との組換えのための更なるサイクルのために所望の核酸を単離することの1つ以上を含む本発明の核酸を単離するための方法を含む。本発明の方法は、リコンビナント核酸、プラスミドベクターまたはその両方の構築およびトランスフォーメーションされたホスト細胞における遺伝子の発現を含むこともできる。これらの目標を達成するために必用な分子クローニング技術は、当技術分野で周知である。
【0088】
インターロイキンコード核酸は、成熟インターロイキンポリペプチドをコードすることができる。本明細書で使用された、本発明において開示された「成熟した」形態のポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在するポリペプチド、前駆体形態、プレプロプロテインまたはプロプロテインの産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロプロテインは、非限定的例として、対応する遺伝子によりコードされた完全長遺伝子産物を含む。または、それは、本明細書に記載されたORFによりコードされたポリペプチド、前駆体またはプロプロテインとして定義されうる。産物「成熟」形態は、非限定的例として、遺伝子産物を生じさせる細胞(ホスト細胞)内で行われうる1つ以上の天然に存在するプロセッシング工程の結果として生じる。「成熟」形態のポリペプチドまたはタンパク質をもたらすこのようなプロセッシング工程の例は、ORFの開始コドンによりコードされたN末端メチオニン(Met)残基の開裂またはシグナルペプチドもしくはリーダー配列のタンパク質分解開裂を含む。かくして、残基1〜n(式中、残基1はN末端メチオニンである)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、N末端メチオニンの除去後に残っている残基2〜nを有するであろう。または、残基1から残基MetまでのN末端シグナル配列が開裂されている、残基1〜nを有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、残っている残基Met+1から残基nまでの残基を有するであろう。更に本明細書で使用された「成熟」形態のポリペプチドまたはタンパク質は、タンパク質分解開裂事象以外の翻訳後の改変から生じることができる。このような追加のプロセスは、非限定的例として、グリコシル化、ミリストイル化、オリゴマー化またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これらのプロセスの1つのみの操作またはそれらのいずれかの組合わせから生じることができる。
【0089】
本発明の核酸は、cDNA、mRNAを使用して、または別法として、標準PCR増幅技術に従う適切なオリゴヌクレオチドプライマーと共にテンプレートとしてゲノムDNAを使用して、増幅することができる。更に、配列番号1〜4および13〜16に対応するオリゴヌクレオチドおよびその一部および組み合わせは、例えば自動化DNA合成機を使用して、標準合成技術により調製することができる。
【0090】
ポリペプチド
本発明は、インターロイキンの治療有効性は、インターロイキンをインターロイキンレセプターまたはその可溶性部分にプレカップリングまたは複合体化することにより増強させることができるという驚くべき且つ予想外の発見に基づいている。ある態様では、本発明は、本発明の治療ポリペプチド複合体を形成するための方法を含む。1つの態様では、この方法は、適当な量の少なくとも1つのリンホカインポリペプチドまたはその一部を提供し、適当な量の少なくとも1つのリンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部を提供し、適当なpHおよびイオン条件化下に、複合体形成を可能とするのに十分な期間、リンホカインおよびリンホカインレセプターポリペプチドを混合し、そして場合により複合体を濃縮または精製することを含む。複合体のポリペプチドは、例えば、標準方法に従うペプチド合成機を使用し;細胞または細胞抽出物において別々に各成分ポリペプチドを発現させ、次いでポリペプチドを単離しそして精製することにより、形成されうる。場合により、本発明の治療ポリペプチド複合体は、同じ細胞または細胞抽出物において本発明の複合体の両ポリペプチド成分を発現させ、次いで例えば、クロマトグラフィー技術、例えば、リンホカイン部分に対する抗体、リンホカインレセプター部分に対する抗体または複合体に対する抗体によるアフィニティークロマトグラフィーを使用して、複合体を単離および精製することにより、形成されうる。更に、本発明は、フレーム内の(in-frame)且つインターロイキンレセプターまたはその一部と連続した、インターロイキンを含むキメラまたは融合タンパク質の発現を含む。
【0091】
図12は、本発明の複合体が、IL−15単独の投与に対してインビボでのより長い半減時間を示す治療組成物をもたらす、ことを示す。従って、好ましい態様では、本発明の治療ポリペプチド複合体は、少なくとも1つのリンホカインレセプターとプレカップリングまたは複合体化された少なくとも1つのリンホカインポリペプチドまたはその一部を含み、その際該複合体はIL−15単独より長いインビボ半減時間および高い有効性を示す。他の態様では、複合体は、約1時間より長いインビボ半減時間を示す。この態様の1つの局面では、本発明の治療複合体は、バクテリア細胞または真核細胞において発現されたリコンビナントポリペプチドから形成されるかまたは化学的に合成されたペプチドの使用により形成される。ある態様では、リンホカインポリペプチドまたはその一部は、配列番号5、6、10、12およびその組合わせからなる群より選ばれるメンバーである。ある態様では、リンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部は、配列番号7、8、9、11およびその組合わせからなる群より選ばれるメンバーである。他の態様では、本発明の治療複合体は、それを必要としている生物に投与されるとき、リンホカイン、例えばIL−15またはIL−2単独の送達に比較して、増加した有効性を示す。
【0092】
他の好ましい態様では、本発明は、インターロイキンポリペプチドを可溶性インターロイキンレセプタードメインと共にインキュベーションすることによりまたはリンホカインポリヌクレオチドセグメントおよびリンホカインレセプターポリヌクレオチドセグメントを含む新規なキメラ核酸分子を発現させることにより発生させた、少なくとも1つのインターロイキンレセプター、例えば、IL−15Ra、IL−2Ra、その一部または組み合わせとプレカップリングされまたは複合体化された少なくとも1つのインターロイキン、例えば、IL−15、IL−2、その一部または組み合わせを含む、プレカップリングされた治療ポリペプチド複合体を創生する方法に関する。好ましい態様では、本発明は、リンホカイン部分およびリンホカインレセプター部分を提供し、そして複合体形成を可能とするための、イオンおよびpH緩衝化条件下に適当な長さの時間結合させることを含む、リンホカインおよびリンホカインレセプターをプレカップリングさせる方法を提供する。特に好ましい態様では、リンホカインポリペプチドは、配列番号5、6、その一部または組み合わせからなる群より選ばれ、そしてリンホカインレセプターポリペプチドは、配列番号7、8、その一部または組み合わせからなる群より選ばれる。1つの態様では、本発明は、バッファー、例えばPBS中に再懸濁させた単離されたポリペプチド成分を提供し、ポリペプチドを混合し、そして約26〜約40℃で約1〜約60分間インキュベーションすることを含む、複合体を形成するための方法を含む。更なる態様では、リンホカインレセプターポリペプチドは、リンホカイン結合部分および抗体Fc部分のキメラを含む。好ましい態様では、配列番号6またはその一部、および配列番号8−Fcキメラ分子を両方ともPBS中に懸濁させ、混合しそして約35〜約39℃で約20分〜約40分間インキュベーションする。
【0093】
他の態様では、配列番号5〜12に対して相同性の実質的に純粋なポリペプチドが提供される。「実質的に純粋なポリペプチド」は、天然にインターロイキンもしくはインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を伴っている成分から分離された、インターロイキンもしくはインターロイキンレセプターまたはその一部である。典型的には、ポリペプチドは、それが少なくとも60重量%であり、それが自然に結合しているタンパク質および自然に存在する有機分子を含まないとき、実質的に純粋である。好ましくは調製物は、少なくとも75重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%インターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプターポリペプチドである。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、天然のソース(例えば、真核細胞)からの抽出により;ポリペプチドをコードするリコンビナント核酸の発現により;またはタンパク質を化学的に合成することにより得られうる。純度は、任意の適当な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりまたはHPLC分析により測定されうる。
【0094】
インターロイキンおよびインターロイキンレセプターポリペプチドの機能のために必須のアミノ酸は、当技術分野で知られた技法、例えば部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発に従って同定されうる(Cunningham and Wells, Science 244:1081-1085, 1989; Bass et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4498-4502, 1991)。後者の技術において、単一のアラニン突然変異を分子中の種々の異なる残基において導入し、そして得られる突然変異体分子を生物学的活性について試験して(例えば、リガンド結合およびシグナル伝達)、分子の活性に決定的に重要なアミノ酸残基を同定する。リガンドタンパク質相互作用の部位は、核磁気共鳴、結晶学またはフォトアフィニティー標識化などの技術により決定される結晶構造の解析により決定することもできる(例えば、de Vos et al., Science 255: 306-312, 1992; Smith et al., J. Mol. 224:899-904, 1992; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992参照)。必須アミノ酸の一致は、関連したタンパク質との相同性の解析から推測することもできる。
【0095】
多重アミノ酸置換は、突然変異誘発およびスクリーニングの既知の方法、例えばReidhaar-Olson and Sauer(Science 241: 53-57, 1988; またはSauer Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156,1989)により開示された方法を使用して行われそして試験されうる。簡単に言えば、これらの著者は、ポリペプチドにおける2つ以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドについて選択し、次いで突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して各位置における許容できる置換のスペクトルを決定するための方法を開示している。使用することができる他の方法は、ファージディスプレー(例えば、Lowman et al., Biochem. 30: 10832-10837, 1991; Ladner et al., U.S.Pat.No.5,223,409; Huse, WIPO Publication WO 92/06204)および領域特異的突然変異誘発(region-directed mutagenesis)(Derbyshire et al., Gene 46: 145, 1986; Ner et al., DNA 7: 127, 1988)を含む。上記に開示された突然変異誘発方法は、高スループットスクリーニング法と組み合わせて、ホスト細胞においてクローニングされた、突然変異誘発されたタンパク質の活性を検出することができる。活性なタンパク質またはその一部(例えばリガンド結合フラグメント)をコードする突然変異誘発されたDNA分子は、ホスト細胞から回収することができそして現代の装置を使用して迅速に配列決定することができる。これらの方法は、関心のあるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な決定を可能としそして未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0096】
上記した方法を使用して、当業者は、配列番号5〜12またはそのアレル変異体に対して実質的に相同性でありそして野生型ポリペプチドの性質を保持する種々のポリペプチドを調製することができる。本明細書で表現されそして特許請求の範囲に請求された、用語「配列番号5〜12により規定されたポリペプチド」は、ポリペプチドのすべてのアレル変異体および種オーソログ(species orthologs)を含む。本明細書で使用される用語「ポリペプチド」は、改変された配列、例えば、糖タンパク質を含み、そして特に、天然に存在するポリペプチドまたはタンパク質ならびに、少なくとも2つの異なるコンフォメーションにおいて存在し、両コンフォメーションは同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有するが異なる三次元構造を有する、リコンビナントにまたは合成により合成されるポリペプチドまたはタンパク質を包含することを意図する。「フラグメント」は、天然に存在するタンパク質の一部である。フラグメントは、天然に存在するタンパク質と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有することができる。
【0097】
この開示は、多数の基準のいずれかにより判定して、インターロイキンおよびインターロイキンレセプター遺伝子産物に機能的に同等なタンパク質も包含し、該基準は、得られる生物学的効果、例えば免疫細胞の増殖などの表現型の変化、遺伝子発現の変化、例えばIL−15および/またはIL−2シグナリング経路の活性化を確認する特異的バイオマーカーの変化、を含むがそれらに限定されない。このような機能的に同等なタンパク質は、記載されたヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列の範囲内のアミノ酸残基の付加または置換を含むが、サイレント変化または「保存的突然変異」をもたらし、従って機能的に同等な遺伝子産物を産生する。基準配列に対して100%未満同一であるポリペプチド配列の場合に、非同一の位置は好ましくはしかし必ずしもそうではないが、基準配列に対する保存的置換である。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1つ以上の予言された非必須アミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野内で定義された。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷のない極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、タンパク質における予言された非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファリーからの他のアミノ酸残基で置換される。または、他の態様では、飽和突然変異誘発によるなどの突然変異が、コード配列のすべてまたは一部に沿ってランダムに導入され得、そして得られる突然変異体は、生物学的活性についてスクリーニングされて活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされたタンパク質を、当技術分野で知られた任意のリコンビナント技術により発現することができそしてタンパク質の活性を決定することができる。
【0098】
ポリヌクレオチドは、例えば、カラムでの捕捉または抗体の使用により精製を促進する付加されたC末端またはN末端アミノ酸のためのコード配列の付加などの追加の配列を与えるようにデザインすることもできる。このようなタグは、例えば、ニッケルカラムでのポリペプチドの精製を可能とするヒスチジンに富んだタグを含む。このような遺伝子改変技術および適当な追加の配列は、分子生物学の分野で周知である。
【0099】
他の態様では、本発明は、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも30%の相同性を有するポリペプチドを、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも30%の相同性を有するポリペプチドと共に含むペプチド複合体に関する。他の態様では、本発明は、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドを、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドと共に含むペプチド複合体に関する。他の態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーとカップリングさせたまたは複合体化させた、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。
【0100】
細胞増殖、例えば、免疫細胞増殖、腫瘍量もしくは形成の減少または腫瘍耐性の増加は、本発明の複合体の有効性を評価するのに使用することができるパラメーターである。本発明の方法に使用するために適当な細胞の増殖能力を評価するための多くの方法があることは、当業者により理解されるであろう。例えば、上記Li et al.(1997)に記載されたとおり、細胞を、BrdUでインビトロで(またはインビボで)標識して分裂している細胞の百分率を決定することができまたはコロニー形成アッセイを使用して評価することができる。増殖能力の解析のために適当な細胞は、組織培養で成長させた細胞、試験化合物で処理された動物から単離された細胞、生きている動物の一部である細胞、または動物から得られた組織切片の一部である細胞を含む。
【0101】
本発明の上記アッセイ法の1つより多くの態様では、インターロイキン、インターロイキンレセプターまたはインターロイキン/インターロイキンレセプター複合体を固定化して、複合体化されていない形態のタンパク質からの複合体化されたタンパク質の分離を促進することは望ましくありうる。1つの態様では、タンパク質の1つまたは両方がマトリックスに結合することを可能とするドメインを付加するインターロイキンまたはインターロイキンレセプター融合タンパク質が提供されうる。例えば、GST−融合タンパク質またはGST−ターゲット融合タンパク質はグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、そしてインターロイキンとインターロイキンレセプターの混合物を複合体形成を促す条件下に(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)インキュベーションさせる。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウエルを洗浄して任意の結合していない成分を除去し、ビーズの場合には固定化されたマトリックスおよび複合体の量を直接または間接に決定する。または、複合体をマトリックスから解離させることができ、そして量または活性を標準技術を使用して決定することができる。
【0102】
マトリックス上のタンパク質を固定化するための他の技術を本発明で使用することもできる。例えば、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用してタンパク質を固定化することができる。当技術分野で周知の技術(例えばビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)からビオチニル化タンパク質分子を調製することができ、そしてストレプトアビジンでコーティングされた96ウエルプレート(Pierce Chemical)のウエルにおいて固定化することができる。または、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターと反応性であるが結合を妨害しない抗体を、プレートのウエルに誘導体化することができ、そしてタンパク質複合体を抗体コンジュゲーションによりウエル内に捕捉することができる。GST−固定化複合体について上記した方法の外に、このような複合体を検出するための方法は、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターポリペプチドと反応性の抗体を使用する複合体の免疫検出および、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターポリペプチドと会合した酵素活性を検出することに頼る酵素結合アッセイを含む。
【0103】
他の好ましい態様は、有効量の本発明の治療ポリペプチド複合体を個体に投与することを含む、免疫応答をモデュレーション、抑制または増大させるための方法に関する。この方法の他の局面は、少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤、佐剤、生物学的に活性な作用物質またはそれらの組み合わせと組み合わせて有効量の治療ポリペプチド複合体を投与することを含む。
【0104】
他の態様では、本発明は、リンホカイン単独よりも、実質的により長いインビボ半減時間および実質的により高い有効性を示すリンホカインおよびリンホカインレセプターのプレカップリングされた複合体の投与により、免疫の増強を必用としている生物の免疫を増強するための方法を提供する。更に、この態様は、リンホカイン応答性免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞等のホメオスタティック増殖を推進する方法も含む。好ましい態様のあるものでは、本発明の態様が、ヒト免疫グロブリンFcフラグメントを含有するリンホカインレセプター分子の使用を含む。例えば、IL−15Ra−Fc構築物は、R&D Systems(Minneapolis, MN)から市販されている。更に、本発明の複合体のリンホカインレセプタードメインは場合により免疫グロブリンFcフラグメントを除去されてもよいことは、当業者により認識されるであろう。
【0105】
他の態様では、本発明は、癌、感染に対する免疫応答を増加させるためまたは任意の種類の予防接種を増強させるためのアジュバントとして複合体を適用するための方法を含む。この態様の1つの局面では、本発明の複合体は、骨髄移植、幹細胞移植の後またはAIDS等の免疫不全の場合に免疫系再構成を増強させるために使用される。本発明は、本発明の複合体を使用して、後に養子免疫治療のために使用されうるインビトロでのリンパ球の成長を助ける方法であって、患者を提供し;患者からある容積の血液を取り出し;そして患者のリンパ球を単離し;リンパ球を有効量の本発明の複合体で処理し;そして処理されたリンパ球を患者に戻し投与することを含む、方法も含む。
【0106】
好ましい態様の更に他のものでは、本発明は、リンホカイン活性、例えばIL−15のアンタゴニストとして使用されるように改変された複合体を使用する方法を含む。例えば、リンホカインまたはリンホカインレセプター、例えばIL−15またはIL−15Raの配列改変により、組み合わされた複合体は、インビトロでのリンホカイン活性の阻害剤とされうる。このような分子は、自己免疫、移植片拒絶または移植片対ホスト病における潜在的治療効果を有することができる。
【0107】
好ましい態様のいずれかにおいて、リンホカイン/リンホカインレセプター複合体分子の可能なリコンビナント形態のいずれかが意図される。例えば、リンホカインレセプター遺伝子、例えば、IL−2Ra、IL−15Ra、その一部または組み合わせおよび場合により抗体のFc部分、に融合されたリンホカイン遺伝子、例えばIL−2、IL−15、その一部または組み合わせを含有する遺伝子構築物から産生された単一鎖ポリペプチド分子。ある態様では、遺伝子構築物は、リンカーポリペプチドをコードする1つ以上の核酸配列を更に含むことができる。複合体における立体的拘束またはコンフォメーション拘束を緩和するのに役立つことに加えて、リンカー配列は、他の性質、例えば、ヌクレアーゼ認識配列、プロテアーゼ認識配列、光反応性ドメイン、疎水性ドメイン、親水性ドメイン、活性ドメイン、酵素機能、化学的改変もしくはコンジュゲーションのための部位、精製のための部位、等を付与することができると考えられる。更なる態様では、本発明は、複合体のマルチマー形態、例えば、ダイマー、トリマー等の発現を可能とするようにタンデムでライゲーションされた少なくとも1つのリンホカイン遺伝子および少なくとも1つのリンホカインレセプター遺伝子からなるキメラ分子を提供する。これらのタンパク質は、真核細胞または原核細胞において産生することもできる。
【0108】
キメラおよび融合タンパク質
前記したとおり、本発明は、キメラタンパク質または融合タンパク質も提供する。本明細書で使用された、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、他のポリペプチド、例えば、配列番号5〜12またはその一部から選ばれた1つ以上のポリペプチド、に作用的に連結されたポリペプチドを含む。これに対して、配列番号5〜12から選ばれたポリペプチドは少なくとも30%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。融合タンパク質内では、ポリペプチドは、配列番号5〜12から選ばれたポリペプチドのすべてまたは一部に相当することができる。1つの態様では、融合タンパク質は、タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。他の態様では、融合タンパク質は、配列番号5〜12から選ばれた少なくとも1つのタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。更に他の態様では、融合タンパク質は、配列番号5〜12から選ばれた少なくとも1つのタンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質の範囲内で、用語「作用的に連結された」は、別個のポリペプチドがN末端またはC末端でお互いにフレーム内で融合されていることを示すことを意図する。
【0109】
上記アッセイ法の1つより多くの態様で、本発明のキメラポリペプチドを固定化してタンパク質の分離を促進することが望ましくありうる。1つの態様では、タンパク質がマトリックスに結合することを可能とするドメインを付加する融合タンパク質が提供されうる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質またはビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーション。
【0110】
1つの態様では、融合タンパク質は、ポリペプチド配列がGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のN末端またはC末端に融合されているGST−融合タンパク質である。他の態様では、融合タンパク質はそのN末端に異種シグナル配列を含有する。あるホスト細胞(例えば哺乳動物ホスト細胞)では、発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用により増加させることができる。更に他の態様では、融合タンパクは、本発明のポリペプチドまたはポリペプチド複合体が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合されている免疫グロブリン融合タンパク質である。1つの態様では、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、医薬組成物に配合することができ、そして被験体に投与してリガンドと細胞の表面のタンパク質との相互作用をモデュレーションすることができる。免疫グロブリン融合タンパク質は、コグネートリガンドのバイオアベイラビリティーに影響を及ぼすのに使用することができる。リガンド相互作用の抑制は、増殖および分化障害の処置の両方ならびに細胞生存をモデュレーションすること(例えば促進または抑制すること)のために治療的に有用でありうる。更に、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、免疫原として使用して、被験体において抗体を産生させ、リガンドを精製しそしてスクリーニングアッセイにおいて相互作用を抑制する分子を同定することができる。
【0111】
本発明のキメラまたは融合タンパク質は、標準リコンビナントDNA技術により産生することができる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、慣用の技術に従って、例えば、ライゲーションのための平滑末端または付着末端、適切な末端を与えるための制限酵素消化、必要に応じて付着末端の充填(filling-in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理および酵素ライゲーションにより、インフレームで互いにライゲーションされる。他の態様では、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む慣用の技術により合成されうる。または、後にアニーリングされそして再増幅されてキメラ遺伝子配列を発生することができる2つの連続した遺伝子フラグメント間の相補性オーバーハングを生じるアンカープライマーを使用して、遺伝子フラグメントのPCR増幅を行うことができる(例えば、Ausbel, et al.(eds) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley&Sons, 1992参照)。更に、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)を既にコードする多くの発現ベクターが市販されている。配列番号1〜4および13〜16の1つ以上を、融合部分が所望のポリペプチドにフレーム内で連結されるように、このような発現ベクターにクローニングすることができる。
【0112】
抗体
本明細書で使用された用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、即ち、少なくとも1つの、好ましくは2つの重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略記される)および少なくとも1つの、好ましくは2つの軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略記される)を含む、抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントおよびFab発現ライブラリーを含むが、それらに限定されない。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域(FR)」と呼ばれる、より保存された領域に散在した(interspersed)「相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる、超化変性の領域に更に小分けされうる。フレームワーク領域およびCDR’sの長さは、正確に定義されている(Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S.Department of Health and Human Services, NIH Publication No.91-3242, and Chthia, C. et al. (1987) J.Mol.Biol.196:901-917、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。各VHおよびVLは、下記の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、にアミノ末端からカルボキシ末端まで配列された3つのCDR’sおよび4つのFRsからなる。一般に、ヒトから得られた抗体分子は、クラス、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのいずれかに関し、これらは分子中に存在する重鎖の性質により互いに異なる。あるクラスは、IgG1、IgG2およびその他などのサブクラスも有する。更に、ヒトでは、軽鎖は、κ鎖またはλ鎖であることができる。本明細書での抗体に関する言及は、すべてのこのようなクラス、サブクラスおよびヒト抗体種のタイプに対する言及を含む。
【0113】
抗体は、免疫感作剤として関心のあるペプチドを含有するインタクトなポリペプチドまたはフラグメントから調製されうる。好ましい抗原性ポリペプチドフラグメントは、配列番号5〜12の15〜100の連続したアミノ酸である。1つの態様では、ペプチドは、ポリペプチドの非膜貫通ドメイン、例えば細胞外ドメインまたは細胞内ドメインに位置している。例示的抗体または抗体フラグメントは、細胞外環境からアクセス可能なそしてタンパク質の機能性を変化させるエピトープに結合する。ある態様では、本発明は、配列番号5〜12、その変異体、一部および/または組み合わせのいずれかの1つ以上のエピトープを認識する且つ該エピトープに対して特異的な抗体を含む。他の態様では、本発明の抗体は、インターロイキン/インターロイキンレセプター複合体それ自体に対して特異的であることができる。更に他の態様では、インターロイキンに対して特異的な抗体は、「インターロイキンレセプター」として機能することができ、即ち、インターロイキンレセプターポリペプチド、即ち、IL−15Raおよび/またはIL−2Raの可溶性部分を含む複合体で観察された機構と同様なトランス提示機構において機能することができる。別の態様では、本発明の抗体は、インターロイキン/インターロイキンレセプター相互作用をターゲティングしそしてそれを妨害してインターロイキンシグナリングを抑制することができる。
【0114】
ポリクローナル抗体の調製は、分子生物学技術分野において周知であり、例えば、Production of Polyclonal Antisera in Immunochemical Processes(Manson, ed), pages1-5(Humana Press 1992) and Coligan et al., Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats, Mice and Hamsters in Current Protocols in Immunology, section2.4.1(1992)参照。モノクローナル抗体の調製も当技術分野で周知である;例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, npage 726(Cold Spring Harbor Pub. 1988)。
【0115】
モノクローナル抗体は、マウスまたはウサギに抗原を含む組成物を注射し、血清サンプルを取り出すことにより抗体産生の存在を証明し、脾臓を取り出してBリンパ球を得、リンパ球をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを産生し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を産生するポジティブクローンを選択しそしてハイブリドーマ培養物から抗体を単離することにより得ることができる。モノクローナル抗体は、当技術分野で周知の技術によりハイブリドーマ培養物から単離および精製することができる。
【0116】
他の態様では、抗体は、リコンビナントに産生することができ、例えば、ファージディスプレーによりまたはコンビナトリアル法により産生されうる。ファージディスプレーおよびコンビナトリアル法を使用して、配列番号5〜12またはそのフラグメントに結合する抗体を単離することができる(例えば、Ladner et al. International Publication No. WO91/17271; Winter et al. International Publication WO92/20791; Markland et al. International Publication No. WO92/15679; Breiting et al. International Publication WO93/01288; McCafferty et al. International Publication No.WO92/01047; Garrard et al. International Publication No. WO92/09690; Ladner et al. International Publication No. WO90/02809; Fuchs et al.(1991)Bio/Technology9:1370-1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81-85; Huse et al.(1989)Science246:1275-1281; Griffths et al.(1993)EMBO J.12:725-734; Hawkins et al.(1992)K Mol Biol 226:889-896; Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628; Gram et al.(1992) PNAS 89:3576-3580; Garrad et al.(1991)Bio/ Technology 9:1373-1377; Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133-4137; and Barbas et al.(1991)PNAS 88:7978-7982に記載されているとおり)。
【0117】
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系よりはむしろヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを使用して発生させることもできる。関心のある抗原で免疫感作されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾細胞を使用して、ヒトタンパク質からのエピトープに対する特異的アフィニティーを有するヒトmAbsを分泌するハイブリドーマを産生する(例えば、Wood et al. Intenational Application WO91/00906, Kucherlapati et al. PCT publication WO91/10741; Lonberg et al. Intenational Application WO92/03918; Kay et al. Intenational Application92/03917; Lonberg, N. et al/ 1994 Nature 368:856-859; Green, L.L. et al. 1994 Nature Genet. 7:13-21; Morrison, S.L. et al.1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855; Bruggeman et al.1993 Year Immunol 7:33-40; Tuailon et al. 1993 PNAS 90:3720-3724; Bruggeman et al.1991 Eur J Immunol 21:1323-1326参照)。
【0118】
本発明の複合体の成分または複合体それ自体に対する治療的に有用な抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体に由来することができる。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重可変鎖および軽可変鎖からのマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移し、次いでヒト残基をマウス対応物のフレームワーク領域に置換することにより産生される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分の使用は、マウス定常領域の免疫原性と関連した潜在的問題を予防する。ヒト化モノクローナル抗体を産生するための技術は、Iones et al., Nature 321: 522, 1986 and Singer et al., J. Immunol. 150:2844,1993において見出されうる。抗体は、コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体フラグメントに由来することもでき;例えばBarbas et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2, 119, 1991参照。
【0119】
更に、キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的特異性のヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることにより得ることができ;例えば、Takeda et al., Nature 314: 544-546,1985参照。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物に由来するキメラ抗体である。
【0120】
抗イディオタイプ技術を使用して、エピトープを模擬するモノクローナル抗体を産生することができる。第1モノクローナル抗体に対して作られた抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第1モノクローナル抗体により結合されたエピトープの「イメージ」である超可変領域において結合ドメインを有するであろう。または、単一鎖抗体を産生するのに使用された技術は、単一鎖抗体を産生するのに使用することができる。単一鎖抗体は、アミノ酸ブリッジを介してFv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントを連結して単一鎖ポリペプチドをもたらすことにより形成される。特異的エピトープ、例えば細胞外エピトープを認識する抗体フラグメントは、当技術分野で周知の技術により発生させることができる。このようなフラグメントは、タンパク質分解消化により産生されたFabフラグメント、およびジスルフィドブリッジを還元することにより発生されたFabフラグメントを含む。免疫治療様に使用されるとき、モノクローナル抗体、そのフラグメント、またはその両方は、治療剤で標識されていなくても標識されていてもよい。これらの作用物質は、当技術分野で周知の技術によりモノクローナル抗体に直接または間接にカップリングされ得、そして薬物、放射性同位元素、レクチンおよび毒素などの作用物質を含む。
【0121】
モノクローナル抗体の投与のための投薬量範囲は、所望の効果を生じるのに十分大きく、そして年齢、状態、重量、性、年齢および処置されるべき状態の程度と共に変わり、そして当業者により容易に決定することができる。投薬量は、約0.1mg/kg〜約2000mg/kgであることができる。モノクローナル抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内および/または皮下に投与することができる。
【0122】
本発明のある態様では、抗原性ペプチドにより含まれる少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の表面に位置する配列番号5〜12の領域、例えば親水性領域である。タンパク質配列の疎水性解析は、ポリペプチドのその領域が特に親水性であり、従って抗体産生をターゲティングするために有用な表面残基をコードしていそうであることを示すであろう。抗体産生をターゲティングするための手段として、親水性および疎水性の領域を示すヒドロパシープロットは、例えば、the Kyte Doolittle or the Hopp Woods法を含む当技術分野で周知の任意の方法により、フーリエ変換を伴いまたは伴わないで、発生させることができる。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:3824-3828; Kyte and Doolittle 1982,J. Mol. Biol. 157:105-142参照。これらはそのまま参照により本明細書に組み込まれる。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくは相同体内の1つ以上のドメインに対して特異的な抗体も本発明で提供される。本発明のタンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログ、相同体またはオーソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の発生において免疫原として利用することができる。
【0123】
ヒト抗体
完全ヒト抗体は、本質的に、CDRsを含む軽鎖および重鎖の両方の全体の配列がヒト遺伝子から生じる抗体分子に関する。このような抗体は、本明細書では「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」と呼ばれる。ヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 7:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)により調製されうる。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施において利用することができ、そしてヒトハイブリドーマを使用することにより(Cote, et al., 1983.Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)またはヒトB細胞をエプスタインバールウイルスでインビトロでトランスフォーメーションすることにより(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96参照)調製されうる。
【0124】
更に、ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリーを含む追加の技術を使用して産生することもできる(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227:381(1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581(1991)。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリンローカスをトランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されているマウスに導入することにより作ることができる。チャレンジされると、ヒト抗体産生が観察され、これは遺伝子再編成(gene rearrangement)、アセンブリーおよび抗体レパートリーを含む、すべての点でヒトで見られることに密接に類似している。このアプローチは、例えば、U.S.Pat.Nos. 5,545,807; 5,545,806; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 5,661,016, およびMarks et al. (Bio/Technology 10, 779-783(1992)); Lonberg et al.(Nature 368 856-859(1996)); Morrison(Nature Biotechnology 14, 845-51(1996)); Neuberger(Nature Biotechnology 14, 826(1996)); およびLonberg and Huszar(Intern. Rev. Immunol. 13 65-93(1995))に記載されている。
【0125】
ヒト抗体は、更に抗原によるチャレンジに応答して動物の内因性抗体よりはむしろ完全ヒト抗体を産生するように改変されているトランスジェニック非ヒト動物を使用して産生されうる。(PCT publication WO94/02602参照)。非ヒトホストにおける重および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性遺伝子を無能力化し、そしてヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする活性なローカスをホストの遺伝子に挿入する。ヒト遺伝子を、例えば、必用なヒトDNAセグメントを含有する酵母人工染色体を使用して組み込む。次いで、すべての所望の改変を与える動物は、改変の完全相補体(full complement)より少なく含有する中間トランスジェニック動物を交雑することにより先祖として得られる。このような非ヒト動物の好ましい態様はマウスであり、そしてPCT publications WO96/33735およびWO96/34096に開示されたXenomouse(商標)と呼ばれる。この動物は、完全にヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体の調製のように、関心のある免疫原による免疫感作後に動物から直接得ることができ、またはモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマなどの動物に由来する不死化されたB細胞から得ることができる。更に、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子を回収しそして発現させて直接抗体を得ることができるか、またはさらに改変して例えば単一鎖Fv分子などの抗体のアナログを得ることができる。
【0126】
Fabフラグメントおよび単一鎖抗体
本発明に従えは、本発明の抗原性タンパク質に対して特異的な単一鎖抗体の産生に技術を適合させることができる(例えば、U.S.Pat.No.4,946,778参照)。更に、方法をFab発現ライブラリーの構築のために適合させて((例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 1275-1281)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログまたは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速な且つ有効な同定を可能とすることができる。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、(i)抗体分子のペプシン消化により産生されたF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより発生させたFabフラグメント;(iii)ハパインおよび還元剤による抗体分子の処理により発生させたFabフラグメントおよび(iv)Fvフラグメントを含むがそれらに限定されない当技術分野で知られた技術による産生させることができる。
【0127】
二重特異的抗体
二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。この場合に、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質に対してである。第2結合ターゲットは任意の他の抗原であり、そして有利には細胞表面タンパク質またはレセプターまたはレセプターサブユニットである。
【0128】
二重特異的抗体を作るための方法は当技術分野で知られている。従来は、二重特異的抗体のリコンビナント産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づいている(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな種別の故に、これらのハイブリドーマ(クアドロマ(quadromas)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、その1つのみが正しい二重特異的構造を有する。正しい分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィー工程により達成される。同様な手順は、1993年5月13日に公表されたWO93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659(1991)に開示されている。
【0129】
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合されうる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。融合体の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する第1重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、そして適当なホスト生物に共トランスフェクションする。二重特異的抗体を発生させる更なる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210(1986)参照。
【0130】
WO96/27011に記載の他のアプローチに従えば、抗体分子の対間の界面は、リコンビナント細胞培養物から回収されるヘテロダイマーの百分率を最大にするように工学的に作成される。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きい側鎖(1つまたは複数)に同じまたは類似したサイズの補償「キャビティー」は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはトレオニン)で置換することにより第2抗体分子の表面に創生される。これは、ホモダイマーなどの他の望まれない最終産物に対するヘテロダイマーの収率を増化させるための機構を与える。
【0131】
二重特異的抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異的抗体)として調製されうる。抗体フラグメントから二重特異的抗体を発生するための技術は、文献に記載されている。例えば、二重特異的抗体は、化学的連結を使用して調製されうる。Brennan et al., Science 229:81(1985)は、インタクトな抗体をタンパク質分解により開裂させてF(ab’)2フラグメントを発生させる技法を記載する。これらのフラグメントは、ジチオール複合化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下に還元されて近接ジチオールを安定化しそして分子間ジスルフィド形成を防止する。次いで発生したFab’フラグメントをチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に転換させる。Fab’−TNB誘導体の1つを、次いでメルカプトエチルアミンによる還元によりFab’−チオールに再転換しそして等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異的抗体を形成する。産生された二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための作用物質として使用することができる。
【0132】
更に、Fab’フラグメントは、E.coliから直接回収することができ、そして化学的にカップリングさせて二重特異的抗体を形成することができる。Shalaby et al., J.Exp. Med.175:217-225(1992)は、完全にヒト化された二重特異的抗体F(ab‘)2分子の産生を説明する。各Fab’フラグメントをE.coliから別々に分泌させそしてインビトロで指向された化学的カップリングに供して二重特異的抗体を形成した。かくして形成された二重特異的抗体は、ErbB2レセプターおよび正常なヒトT細胞を過発現する細胞に結合することができ、そしてヒト乳癌ターゲットに対してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性をトリガーすることができた。
【0133】
二重特異的抗体フラグメントをリコンビナント細胞培養物から直接作成しそして単離するための種々の技術も記載されている。例えば、二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生された。Kostelny et al., J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法は、抗体ホモダイマーの産生のために利用することもできる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448(1993)により記載された「ダイアボディー」技術は、二重特異的抗体フラグメントを作るための別の機構を与えた。このフラグメントは、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能とするのにはあまりにも短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインを、他のフラグメントの相補性VLおよびVHドメインと対形成するように強制され、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単一鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異的抗体フラグメントを作るための他のストラテジーも報告された。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368(1994)参照。2より多くの結合価を有する抗体が意図される。例えば、三重特異的抗体を調製することができる。Tutt et al., J. Immunol. 147:60(1991)。
【0134】
例示的二重特異的抗体は、2つの異なるエピトープに結合することができ、その少なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原に起源する。または、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームを、T細胞レセプター分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)またはIgGのためのFcレセプター(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)などの白血球上のトリガリング分子に結合するアームと組み合わせて、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞防御機構に焦点を合わせることができる。二重特異的抗体は、特定の抗原を発現する細胞に細胞傷害剤(cytotoxic agent)指向させるのに使用することもできる。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞傷害剤または放射性核種キレーター、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAに結合するアームを有する。
【0135】
ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も、本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合により結合された抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望まれない細胞にターゲティングするため(U.S.Pat.No.4,676,980)およびHIV感染の処置のため(WO91/00360; WO92/200373; EP03089)に提供された。該抗体は、架橋剤を含む合成タンパク質化学を含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製されうることを意図する。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成することにより構築することができる。この目的に適当な試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートおよび例えばU.S.Pat.No.4,676,980に開示された試薬を含む。
【0136】
イムノコンジュゲート
本発明は、化学療法剤、毒素(例えば、バクテリア、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそのフラグメント)または放射性同位元素(即ち、放射性コンジュゲート)などの細胞傷害剤にコンジュゲーションされた抗体を含むイムノコンジュゲートにも関する。抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トリレン2,6−ジイソシアナート)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作られる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science, 238:1098(1987)に記載の如く調製されうる。炭素14標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的キレート化剤である。WO94/11026参照。
【0137】
他の態様では、抗体を腫瘍プレターゲティングにおける利用のための「レセプター」にコンジュゲーションさせることができ、その際抗体−レセプターコンジュゲートは、患者に投与され、次いで清浄剤を使用して結合していないコンジュゲートを循環から除去し、次いで細胞傷害剤にコンジュゲーションされる「リガンド」を投与する。
【0138】
イムノリポソーム
本明細書に開示された抗体をイムノリポソームとして処方することもできる。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688(1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030(1980);およびU.S.Pat.Nos.4,485,045および4,544,545に記載の如き当技術分野で知られている方法により調製される。増強された循環時間を有するリポソームは、U.S.Pat.No.5,013,556に開示されている。
【0139】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG−誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発法により発生させることができる。リポソームを、ジスルフィド交換反応を介してChem. 257:286-288(1982)のフィルターを通して押し出す。化学療法剤(ドクソルビシンなどの)は場合によりリポソーム内に含有される。例えば、Gabizon et al., K. National Cancer Inst., 81(19):1484(1989)参照。
【0140】
本発明の抗体の治療的に有効な量は、一般に治療目的を達成するのに必用な量に関する。上記したとおり、これは、ある場合にはターゲットの機能を妨害しそしてある場合には生理学的応答を促進する、抗体とそのターゲット抗原との結合相互作用であることができる。投与されるのに必要な量は、更にその特異的抗原に対する抗体の結合アフィニティーに依存し、そして投与された抗体が、抗体を投与される他の被験体の遊離量から枯渇する速度にも依存するであろう。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な用量の普通の範囲は、非限定的例として、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であることができる。普通の投与頻度は、例えば2回/日〜1回/週の範囲にあることができる。
【0141】
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体および本明細書に開示されたスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、医薬組成物の形態で種々の障害の処置のために投与することができる。このような組成物の調製に関係する原理及び考慮事項ならびに成分の選択の指針は、例えば、Remington: The Science And Practice Of Pharmacy 19thed.(Alfonso R. Gennaro, et al., editors)Mack Pub.Co., Faston, Pa.: 1995; Drug Absorption Enhancement: Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorme,Pa., 1994; and Peptide And Protein Drug Delivery(Advances In Pareteral Sciences, Vol.4), 1991, M.Dekker, New Yorkにおいて提供される。
【0142】
有効成分は、例えばコアセルベーション技術によりまたは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルに閉じ込められる(entrapped)こともでき、コロイド薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルション内に閉じ込められてもよい。インビボ投与のために使用されるべき処方は無菌でなければならない。これは、無菌ろ過膜を通すろ過により容易に達成される。
【0143】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適当な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスであって、成形品、例えばフイルムまたはマイクロカプセルの形態にある半透過性マトリックスを含む。徐放性マトリックスの適当な例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ−(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)またはポリラクチド(U.S.Pat.No.3,773,919)、L−グルタミンとγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリドアセタートからなる注射可能なマイクロスフェア)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。オチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは100日以上の間分子の放出を可能とするが、あるヒドロゲルは、より短い時間の期間タンパク質を放出する。
【0144】
ELISAアッセイ
アナライトタンパク質を決定するための作用物質は、アナライトタンパク質に結合することができる抗体、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル、または更に好ましくはモノクローナル抗体であることができる。インタクトな抗体、そのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab)2)を使用することができる。プローブまたは抗体に関して、用語「標識された」は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリングさせる(即ち、物理的に連結すること)ことによるプローブまたは抗体の直接標識ならびに直接標識される他の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含することを意図する。間接標識の例は、蛍光的に標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出およびDNAプローブを蛍光的に標識されたストレプトアビジンで検出することができるような、ビオチンによるDNAプローブの端部標識を含む。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞および生物学的流体ならびに被験体内に存在する組織、細胞および流体を含むことを意図する。従って、血液ならびに、血清、血漿またはリンパを含む血液の画分または成分は、用語「生物学的サンプル」の使用の範囲内に含まれる。即ち、本発明の検出方法を使用して、インビトロおよびインビボで生物学的サンプル中のアナライトmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出することができる。例えば、アナライトmRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションを含む。アナライトタンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素結合イムノソーベントアッセイ(ELISAs)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を含む。アナライトゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術は、サザーンハイブリダイゼーションを含む。イムノアッセイを行うための技法は、例えば、“ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology”, Vol. 42, J. R. Crowther(Ed.)Human Press, Totowa, N.J., 1995; “Immunoassay”, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, Calif., 1996; and “Practice and Thory of Enzyme Immunoassays”, P.Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amstersam, 1985.に記載されている。更に、アナライトタンパク質の検出のためのインビボ技術は、標識された抗アナライトタンパク質抗体を被験体に導入することを含む。例えば、抗体を放射能マーカーで標識することができ、被験体においてそれが存在および位置することは、標準イメージング技術により腔内または経皮的に単独でまたはエフェクター細胞と共に検出されうる。
【0145】
治療的使用及び処方
本発明の核酸およびタンパク質は、代謝障害、糖尿病、肥満、感染疾患、食欲不振、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害および種々の異常脂血症(dyslipidemias)、肥満と関連した代謝障害、慢性疾患および種々の癌と関連した代謝症候群Xおよび廃棄障害、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心臓欠陥、大動脈弁狭窄症、心房中隔欠損(atrial septal defect)(ASD)、房室(A−V)管欠損、動脈管(ductus arteriosus)、肺狭窄症、サブ大動脈狭窄症、心室中隔欠損(VSD)、弁疾患、結節状硬化症、強皮症、エリテマトーデス(lupus erythematosus)、肥満、移植、副腎白質異栄養症、先天性副腎過形成(congenital adrenal hyperplasia)、前立腺癌、新生物(neoplasm)、腺癌、リンパ腫、子宮癌、受精能、白血病、血友病、凝固亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫不全、移植片対ホスト病、AIDS、気管支喘息、リウマチ様疾患および骨関節症、クローン病、多発性硬化症、オーブライト遺伝性骨ジストロフィーおよび他の疾患、障害および状態などを含むが、それらに限定されない種々の疾患に関係する潜在力のある予防および治療用途において有用である。
【0146】
本発明の治療複合体の投与用の製剤は、無菌の水性または非水性溶液剤、懸濁剤、および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、乳液または懸濁液を含み、これらは食塩および緩衝化媒体を含む。ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、流体および栄養補充剤、電解質補充剤を含む乳酸化リンゲル静脈内ビヒクルなどを含む。例えば、抗微生物剤、酸化防止剤、キレート化剤および不活性ガスなどの如き保存剤および他の添加剤を加えることができる。
【0147】
本発明の核酸分子、ポリペプチドおよび抗体(本明細書では「有効化合物」と呼ばれる)ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログおよび相同体は、投与のために適当な医薬組成物中に配合することができる。このような組成物は、典型的には、核酸分子、タンパク質または抗体および薬学的に許容され得る担体を含む。本明細書で使用された「薬学的に許容され得る担体」は、薬学的投与に適合性の、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗バクテリア剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、当技術分野の標準参照テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最近版に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。このような担体または希釈剤の例は、水、生理的食塩水、リンゲル液、デキストロース液および5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。リポソームまたは非水性ビヒクル、例えば脂肪油も使用することができる。薬学的に有効な物質のためのこのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野で周知である。任意の慣用の媒体または作用物質が有効化合物と非適合性である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補充の有効化合物も組成物に配合することができる。
【0148】
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路に適合性であるように処方される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(即ち、局所)、経粘膜、腹腔内および直腸投与を含む。非経口、皮内または皮下適用のために使用される溶液剤または懸濁剤は、下記の成分:無菌の希釈剤、例えば注射用の水、食塩水、脂肪油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗バクテリア剤、例えばベンジルアルコールもしくはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウム;キレート化剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩ならびに張力調節剤、例えば塩化ナトリウムもしくはデキストロースを含むことができる。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸もしくは水酸化ナトリウムで調節することができる。非経口用製剤は、ガラスもしくはプラスチックから作られたアンプル、使い捨て可能な注射器または多用量バイアル(multiple dose vials)に封入されうる。
【0149】
注射可能な使用に適当な医薬組成物は、無菌水性溶液剤(水溶性である場合)または分散剤(dispersions)および無菌の注射剤もしくは分散剤のその場での調製用の無菌散剤を含む。静脈内投与のために、適当な担体は、生理学的食塩水、静菌水(bacteriostatic water)、Cremophor(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合に、組成物は、無菌でなければならずそして容易に注射可能な程度に流動性であるべきである。それは、製造および保存の条件下に安定でなければならず、そしてバクテリア及び真菌類などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には必用な粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の阻止は、種々の抗バクテリア剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成することができる。多くの場合に、組成物中に等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことは好ましいであろう。注射可能な組成物の長期の吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含ませることにより引き起こすことができる。
【0150】
無菌の注射剤は、適切な溶媒中に、必用な量の有効化合物(例えば、本発明の治療複合体)を、必用に応じて上記した成分の1つまたは組み合わせと共に混合し、次いで、ろ過滅菌を行うことにより調製されうる。一般に、分散剤は、基礎分散媒(basic dispersion medium)および上記した成分からの必要な他の成分を含有する無菌のビヒクル中に有効化合物を配合することにより調製される。無菌の注射剤の調製用の無菌の散剤の場合には、調製方法は、有効成分+先に無菌ろ過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分の散剤を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0151】
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用になる担体を含む。それらは、ゼラチンカプセル中に包まれるかまたは錠剤中に圧縮されうる。経口治療投与の目的で、有効化合物を賦形剤と共に配合し、そして錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物は、流体担体中の前記化合物を経口的に適用し、うがいをし(swished)、吐き出すかまたは飲みこむ、うがい剤として使用するための流体担体を使用して調製することもできる。薬学的に適合性の結合剤および/または佐剤物質は、組成物の一都部として含まれうる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は、下記の成分いずれかまたは類似した性質の化合物:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes);流動促進剤(glidant)、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または矯味・矯臭剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーを含有することができる。
【0152】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、結合剤(例えば、プレゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を使用して、慣用の手段により調製された錠剤もしくはカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとることができ、またはそれらは、使用の前に水または他のビヒクルと共に構成するための乾燥製品として提供されてもよい。このような液体製剤は、薬学的に許容され得る添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別化植物油);および保存剤(たとえば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を使用して慣用の手段により調製されうる。製剤は、適当ならば、緩衝剤塩、矯味・矯臭剤、着色剤および甘味剤を含有することもできる。
【0153】
経口投与用の製剤は、有効化合物のコントロールされた放出を与えるように適当に処方されうる。口腔内投与のために、組成物は、慣用の方法で処方された錠剤またはトローチ剤の形態をとることができる。吸入による投与のために、本発明に従って使用するための化合物は、適当な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスの使用により、加圧されたパックまたはネブライザーからエアゾルスプレー組成(aerosol spray presentation)の形態で都合よく送達される。加圧されたエアゾルの場合に、投薬単位(dosage unit)は、計量された量を送達するための弁を設けることにより決定されうる。化合物とラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を含有する、吸入器または通気器で使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを処方することができる。化合物は、注射により、例えば、濃縮塊注射(bolus injection)または連続注入により非経口投与用に処方することができる。注射用の処方は、加えられた保存剤と共に、単位剤形において、例えばアンプルまたは多用量容器において提供されうる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤または乳剤のような形態をとることができ、そして懸濁化剤、安定剤および/または分散化剤などのような処方剤(formulatory agents)を含有することができる。または、有効成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水との構成のための散剤形態にあることができる。化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を含有する坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物において処方することもできる。これまでに述べた処方に加えて、化合物は、デポ製剤として処方することもできる。このような長く作用する処方は、移植により(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。従って、例えば、化合物は、適当なポリマーまたは疎水性物質と共に(例えば、許容され得る油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共にまたは僅かに可溶性誘導体として、例えば僅かに可溶性の塩として処方することができる。
【0154】
吸入による投与のために、化合物は、適当な推進剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧された容器もしくは分配器または噴霧器からエアゾルスプレーの形態で送達される。
【0155】
全身性投与は、経粘膜または経皮手段によることもできる。経粘膜または経皮投与のために、透過されるべきバリアーに対して適切な浸透剤を処方中に使用する。このような浸透剤は、当技術分野で公知でありそして、例えば、経粘膜投与用の洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用により達成されうる。経皮投与のために、有効化合物は、当技術分野で公知の軟膏剤(ointments)、膏薬剤(salves)、ゲル剤またはクリーム剤に処方される。
【0156】
1つの態様では、有効化合物は、移植片およびマイクロカプセル化送達システムを含む、コントロールされた放出処方などの身体からの迅速な除去に対して化合物を保護する担体と共に調製される。生物分解性、生物適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。このような処方を調製するための方法は、当業者には明らかであろう。これらの物質は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染細胞にターゲティングしたリポソームを含む)を、薬学的に許容され得る担体として使用することもできる。これらは、例えば、U.S.Pat.No.4,522,811に記載された、当業者に知られている方法に従って調製されうる。
【0157】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位剤形(dosage unit form)において経口または非経口組成物を処方することは特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、 処置されるべき被験体のための一単位投薬量(unitary dosage)として適合した物理的に分離した単位を指し;各単位は、必要な薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の有効化合物を含有する。本発明の単位剤形のための明細は、有効化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果および個体の処置のためのこのような有効化合物を配合することの当技術分野における固有の限界、により指令されそしてこれらに直接依存する。
【0158】
本発明の核酸分子を、ベクターに挿入することができそして遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、U.S.Pat.No.5,328,470)によりまたは立体空間的注射(例えば、Chen, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057)により被験体に送達されうる。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容され得る希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことができ、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれている徐放性マトリックスを含むことができる。または、完全な遺伝子送達ベクターが、リコンビナント細胞、例えばレトロウイルスベクターからインタクトに産生されうる場合には、医薬製剤は、遺伝子送達システムを産生する1種以上の細胞を含むことができる。医薬組成物は、投与のための指示と共に、容器、パックまたは分配器内に含まれうる。
【0159】
治療有効用量は、症侯の軽減または遅延をもたらすのに十分な治療複合体のその量を指す。このような化合物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための細胞培養物または実験動物における標準薬学的手順により決定されうる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療インデツクスでありそしてそれは比LD50/ED50として表現されうる。大きな治療インデツクスを示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用することはできるが、感染していない細胞への潜在的損傷を最小にし、それにより副作用を減少させるために、このような化合物を罹患した組織の部位にターゲティングする送達システムをデザインするように注意を払うべきである。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量の範囲を処方する際に使用することができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性を殆ど伴わないかまたは全然伴わないでED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変わることができる。本発明の方法で使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから評価されうる。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(即ち、症候の最大の半分の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するのに使用することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0160】
医薬組成物は、1種以上の生理学的に許容され得る担体または賦形剤を使用して慣用の方式で処方することができる。かくして、化合物およびその生理学的に許容され得る塩および溶媒を、吸入または通気(insufflation)(口または鼻を通して)または経口、口腔内、静脈内、腹腔内、非経口または直腸投与による投与用に処方することができる。
【0161】
本明細書に記載された方法、選択ストラテジー、物質または成分の任意の1つを利用するキットまたはシステムも本発明に従って開示される。本発明の開示に従う例示的キットは、場合により、追加的に、方法もしくはアッセイを行うためのインストラクション、パッケージング物質、アッセイ、装置またはシステム成分等を含有する1つ以上の容器を含むであろう。
【0162】
更なる局面では、本発明は、本明細書に開示された複合体および使用方法を具体化するキットを提供する。本発明のキットは、場合により、下記:(1)本明細書に開示されたポリペプチドまたは核酸成分;(2)本明細書に開示された方法を実施するためおよび/または本明細書の選択手順を操作するためのインストラクション;(3)1つ以上の検出アッセイ成分;(4)核酸もしくはポリペプチド、他の核酸、トランスジェニック植物、動物、細胞等を保持するための容器および(5)パッケージング物質、の1つ以上を含む。
【0163】
トランスジェニック生物
本発明の方法で使用されるトランスジェニック細胞または動物は、例えば、インターロイキンとインターロイキンレセプターを含むキメラポリペプチドのコピーをコードするトランスジーンを含むことができる。トランスジーンは、ヒトタンパク質を含む、トランスジェニック細胞または動物に対して普通外因性であるタンパク質をコードすることができる。トランスジーンは、異種またはネイティブプロモーターに連結されうる。
【0164】
この開示は、更にトランスジェニック動物を産生する方法に関する。当技術分野で知られている技術を使用して、動物にトランスジーンを導入して動物の始祖系統を産生することができる。このような技術は、前核マイクロインジェクション;生殖系列へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Putten et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6148-6152, 1985;胚幹細胞における遺伝子ターゲティング(Thompson et al., Cell 56: 313-321,1989);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol, Cell Biol. 3:1803-1814, 1983;および精子媒介遺伝子移入((Lavitrano, et al., Cell 57:717-229,1989)を含むが、それらに限定されない。このような技術の概説については、Gorden, Intl.Rev.Cytol.115:171-229,1989参照。従って、本発明は、キメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドをコードするトランスジーンを含有するトランスジェニック生物を特徴とする。トランスジェニック生物は、真核細胞、例えば、酵母細胞、昆虫、例えば、虫またはハエ、魚、爬虫類、鳥または哺乳動物、例えばげっ歯動物であることができる。トランスジェニック生物は、更に、内因性遺伝子における遺伝子変更、例えば点突然変異、挿入または欠失を含むことができる。
【0165】
本発明のホスト細胞、例えば培養物中の原核または真核ホスト細胞を使用して、本発明のポリペプチド成分または複合体を産生する(即ち、発現する)ことができる。従って、本発明は、タンパク質が産生されるような適当な培地中で本発明のホスト細胞(それにタンパク質をコードするリコンビナント発現ベクターが導入されている)を培養することを含む。他の態様では、この方法は、更に培地またはホスト細胞からタンパク質を単離することを含む。
【0166】
本発明の他の局面は、本発明のリコンビナント発現ベクターが導入されているホスト細胞に関する。用語「ホスト細胞」および「リコンビナントホスト細胞」は本明細書では交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験体細胞を指すのみならずこのような細胞の先祖または潜在的先祖も指すことは理解される。ある改変は突然変異または環境的影響により後の世代において起こりうるので、このような先祖は、実際には、親細胞と同じでなくてよいが、依然として本明細書で使用された用語の範囲内に含まれる。ホスト細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であることができる。例えば、タンパク質は、バクテリア細胞、例えばE.coli、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現されうる。他の適当なホスト細胞は当業者に知られている。
【0167】
ベクターDNAは、慣用のトランスフォーメーションまたはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入されうる。本明細書で使用された、用語「トランスフォーメーションおよび「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含む、外来核酸(例えばDNA)をホスト細胞に導入するための種々の当技術分野で認識された技術を指すことを意図する。ホスト細胞をトランスフォーメーションまたはトランスフェクションするための適当な方法は、Sambrock, et al. (MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nded., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cols Spring Harbor, N. Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
【0168】
哺乳動物の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞の少さなフラクションのみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組み込み体(integrants)を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗体に対する抵抗)をコードする遺伝子を、一般に関心のある遺伝子と共にホスト細胞に導入する。種々の選択可能なマーカーは、薬物、例えば、G418、ヒグロマイシンおよびメトトレキセートに対する耐性を与えるマーカーを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、タンパク質をコードするベクターと同じベクター上でホスト細胞に導入されることができ、または別々のベクター上で導入されうる。導入された核酸で安定にトランスフェクションされた細胞は、薬物選択(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込まれた細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ)により同定することができる。
【0169】
本発明のホスト細胞は、非ヒトトランスジェニック動物を産生するのに使用することもできる。例えば、1つの態様では、本発明のホスト細胞は、受精した卵母細胞またはタンパク質コード配列が導入されている胚性幹細胞である。このようなホスト細胞は、次いで非ヒトトランスジェニック動物であって、そのゲノムに外因性ポリペプチド配列が導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性ポリペプチド配列が変更されている相同性リコンビナント動物(homologous recombinant animals)を創生するのに使用することができる。このような動物は、タンパク質の機能および/または活性を研究するためおよび/またはタンパク質活性のモデュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書で使用された「トランスジェニック動物」は、動物の細胞の1つ以上がトランスジーンを含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、更に好ましくは、ラットまたはマウスなどのゲッ歯類である。トランスジェニック動物の他の例は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等を含む。トランスジーンは、トランスジェニック動物を発生させる細胞のゲノムに組み込まれそして成熟動物のゲノムに残っていて、それによりトランスジェニック動物の1種以上の細胞型または組織におけるコードされた遺伝子産物の発現を指向する、外因性DNAである。本明細書で使用された、「相同性リコンビナント動物」は、動物の発生の前に、内因性遺伝子と、動物の細胞、例えば動物の胚細胞に導入された外因性DNA分子との間の相同的組換えにより内因性遺伝子が変更されている非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、更に好ましくはマウスである。
【0170】
本発明の好ましい態様の例は下記に示される。当業者により理解されるとおり、本発明に記載され、それにより本発明に組み込まれた技術が一般に適用されそして本発明の一般的範囲から逸脱することなく任意の数の方法において変わることができる。可記の実施例は、好ましい態様の例として与えられそして本発明を限定するものではない。例えば、成分の相対的量を変えて異なる所望の効果を達成することができ、追加の成分を加えることができ、および/または同様な成分が、記載された成分の1つ以上を類似した成分で置換することができる。
【0171】
実施例1
IL−15およびIL−15Raの共投与は、インビボでのCD8メモリーT細胞およびNK細胞増殖を駆動する。
IL−15およびリコンビナントマウスIL−15Ra−Fc(rmIL−15Ra−Fc)の共投与がインビボでIL−15活性を媒介することができるかどうかを決定するために、我々は、養子移入モデルを利用して、CD8+T細胞の増殖に対するIL−15の効果を測定した。CD45.1CFSE標識され濃縮された脾臓CD8+T細胞(CD45.1 CFSE labeled enriched splenic CD8+T cells)を正常なCD45.2マウスおよびrmIL−15Ra−Fc(約15μg)に移入した。IL−15単独による処理の4日後、ドナーCD8+T細胞集団の約11%は我々の以前の結果と合致して分裂した(図1a、上部パネル)。極めて対照的に、rmIL−15Ra−Fcに結合したIL−15の同じ量の共投与は、ドナーCD8+T細胞の約60%の増殖をもたらした(図1)。更に、IL−15単独に対応するCD8T細胞の大多数は一度分裂したが、組み合わせ処理に対応する細胞は5〜7回の分裂を受け、細胞数の実質的な増化をもたらした(データは示されていない)。分裂している細胞の大部分は、高いレベルのCD44を発現し、対応する細胞が主としてメモリーCD8+T細胞であるかまたは、CD44がアップレギュレーションされた(図1a、下部パネル)ことを示唆する。重要なことであるが、rmIL−15Ra−Fc単独の投与は、CD8+T細胞の増殖を誘導しなかった(データは示されていない)。注目すべきことに、可溶性形態のrmIL−15RaのIL−15との共投与も、ドナーCD8+T細胞の増強された増殖をもたらしたが、IL−15単独およびrmIL−15Ra−Fcと組み合わされたIL−15に対して中間のレベルをもたらした(データは示されていない)。真正のメモリーCD8T細胞に対する組み合わせた治療の作用を試験するために、我々は、OVAを発現するリコンビナント水泡性口内炎ウイルス(VSV−OVA)による感染により発生させた、CFSE標識されたオブアルブミン(OVA)特異的CD8+メモリーT細胞を養子移入した。上記結果と同様に、組み合わせたIL−15/IL−15Ra−Fc処理に対応する抗原特異的メモリーCD8+T細胞は、IL−15単独で得られた程度よりはるかに高い程度に増殖した(図1b)。
【0172】
過去の研究は、B細胞、NK細胞およびNKT細胞増殖のインデューサーとしてIL−15を関係付けたがCD4+T細胞増殖のインデューサーを関係付けなかった。従って、我々は、養子移入システムを使用してこれらの細胞型の増殖を誘導するためのIL−15およびレセプターと複合体化されたIL−15の能力を検査した。CD4+T細胞およびB細胞は約2.5μgのIL−15に応答して増殖しなかったが、NK細胞は非常に僅かに増殖した(図2)。対照的に、rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与は、NK細胞の甚だしい増殖を誘導したが、B細胞は応答しなかった。NK−T細胞の応答は、NK細胞の応答に類似していた(デ―タは示されていない)。興味深いことに、IL−15はマウスCD4+T細胞の増殖を媒介すると考えられないけれども、CD4+T細胞は、投与された複合体に対する中間的応答を示した。
【0173】
実施例2
複合体化されたIL−15/IL−15RaはインビボでIL−15活性を大いに増強する
我々は、次いでrmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与に対する増殖応答の早期速度論を検討した。CFSE希釈は処理の1日後では無視できるものであったが、2日までにドナーCD8+T細胞集団の約36%が分裂し、第3および第4回の分裂においで認識できる数の細胞があった(図3)。3日までにドナーCD8+T細胞の約59%が分裂し、多くの細胞は5〜6回の分裂にあり、4日までに約73%が分裂し、いくらかの細胞は第7回の分裂にあった。これらの結果および他の結果は、単一用量のIL−15/IL−15Ra−Fcの最大効果は処理の約4日後に達成され、続いてドナーCD8+T細胞がメモリーCD8+T細胞の特徴的な長引く増殖率(protracted rate of proliferation)に入ったことを示した(データは示されていない)。
【0174】
IL−15単独の処理に対する組み合わされた処理により得られた活性の増強の近似を得るために、我々は、養子移入モデルを使用してIL−15およびIL−15/rmIL−15Ra−Fcのタイトレーションを行った。比較は、CFSE希釈により評価されたドナーCD8+T細胞増殖の程度に基づいていた。約0.6μgのIL−15Ra−Fcと組み合わせた約0.1μgのIL−15の用量は、約5μgのIL−15の増殖のレベルに類似した増殖のレベルを誘導した(図4a)。かくして、このタイプの実験では、IL−15活性は、rmIL−15Ra−Fcとの共投与により〜50倍増強された。この実質的な増強を考慮して、我々は、IL−15単独でこのレベルの活性を達成することができるかどうかを調べた。約37.5μgのIL−15の投与によってさえ、レセプターで複合体化されたIL−15約0.5μgで得られた増殖のレベルは達成できなかった(図4b)。これらの結果は、IL−15Raアベイラビリティーがインビボで限定されているかも知れないことを示唆している。何故ならば、IL−15レベルを増化させても、活性の更なる増大は得られなかったからである。
【0175】
実施例3
複合体化されたIL−15/IL−15Raは、IL−15Rbを必用とするトランス提示を介して作用を及ぼす。
複合体化されたIL−15/IL−15Raの効果は、対応する細胞型に対する直接または間接の効果により媒介されうる。もし直接ならば、その場合にはターゲット細胞はIL−15R成分(1つまたは複数)を発現することか必要であろうということが予想されうる。これを試験するために、我々は、CFSE標識されたIL−15Ra−/−CD8+T細胞をIL−15Ra−/−ホストに移入しそしてマウスをIL−15または複合体化されたIL−15/IL−15Raで処理した。IL−15は、IL−15Raの不存在下ではトランスプレゼンテーションされることができず、そして増殖を誘導しなかった(図5a)。他方、IL−15/rmIL−15Ra−Fc処理されたマウスからのドナーCD8+T細胞は甚だしく増殖した。更に、主としてナイーブ表現型CD8+T細胞からなるIL−15Ra−/−ドナー細胞は、分裂と共にCD44およびCD122のそれらの発現を漸次に増加させた。応答するT細胞は、複合体化されたIL−15/IL−15Raに応答するためにIL−15Raを必用としなかったので、我々はこの効果の媒介におけるIL−15Rb(CD122)の役割を調べた。このために、我々は、CFSE標識されたCD122+/+またはCD122−/−CD8+T細胞を正常なマウスに移入しそして処理の4日後にCFSE希釈についてドナー細胞を解析した。コントロール細胞は、IL−15/IL−15Ra−Fc処理に応答して活発に増殖したが、CD122−/−ドナーCD8+T細胞は共投与に応答して増殖しなかった(図5b)。これらの結果は、一緒になって、IL−15/IL−15Ra−Fcは、多分γCとの共同においてIL−15Rbとの相互作用を通じて直接トランスプレゼンテーションを介して作用を及ぼすことを示した。
【0176】
実施例4
強制されたIL−15トランスプレゼンテーションにより誘導された増殖は、MHCクラスIを必用とするが、IL−7または樹状細胞を必要としない
ナイーブT細胞はMHCクラスIおよびそれらの生存のための内因性ペプチドを必要とするが、メモリーCD8T細胞生存および増殖は、MHCクラスI非依存性であると考えられる。空のホスト(empty hosts)におけるこれらのサブセットのホメオスタティック増殖は、同様なMHC要求を示す。これらの結果を考えると、rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与により誘導される増殖のためのMHC要求を決定することは重要であった。かくして、我々は、ナイーブTCRトランスジェニックCD8+T細胞(OT−I)および濃縮されたB6CD8+T細胞(メモリ細胞を含有する)を、正常なマウスまたはMHCクラスI欠失(b2−ミクログロブリン−/−)マウスに共移入した。興味深いことに、ナイーブOT−IRAG−/−CD8T細胞は、MHCクラスIが十分なホストにおいて複合体による処理に応答して活発に増殖した。対照的に、MHCクラスI−/−ホストでは、ナイーブT細胞増殖は起らなかった(図6a)。同様に、B6CD8T細胞は正常なホスト中で増殖したが、驚くべきことに、MHCクラスI−/−ホストでは増殖は実質的になかった。これらのデータは、IL−15/IL−15Raによる増殖の誘導は、ナイーブおよびメモリーCD8+T細胞の両方についてMHCクラスI依存性であることを示した。rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与により誘導された増殖応答はMHCクラスIのホスト発現に依存していたので、我々は、役割を演じているかもしれない他の基準を調べることを望んだ。我々は、IL−7の関与を調べた。何故ならば、このサイトカインは、免疫不全ホストにおいてCD8T細胞のホメオスタティック増殖に必須であるからである。CFSE標識されたCD8+T細胞をコントロールマウスまたはIL−7−/−マウスに移入しそして組み合わせたIL−15/rmIL−15Ra−Fcを投与した。IL−7の存在下または不存在下に、CD8+T細胞は、IL−15Ra−FcとのIL−15に十分同等に応答して増殖し(図6b)、これは、IL−7が我々のシステムではIL−15媒介増殖に関与していないことを示す。以前の研究は、IL−15活性を媒介することにおいて樹状細胞(DC)の潜在力を強調しており、そしてDCによるMHC発現がT細胞ホメオスタシスにおいて重要でありうる。DCがIL−15/IL−15Ra共投与により誘導される増殖応答において何の役割を演じるかを試験するために、我々は、DCが条件的に枯渇されうるシステムを利用した。CD11c−DTRマウスは、CD11cプロモーターのコントロール下にサルジフテリア毒素レセプターを発現し、CD11c+細胞をDTに感受性にし、これはDCの>95%を除去する。非造血細胞に対する効果の結果として、インタクトなCD11c−DTRマウスに対するDTの毒性により、我々は、CD11c−DTR骨髄および正常なB6ホストを使用してキメラを発生させた。CFSE標識されたCD8+T細胞を次いでIL−15/IL−15Ra複合体の投与の前にDTで処理されたキメラに移入した。興味深いことに、我々は、DT処理されたコントロールまたはCD11c−DTRキメラ間にCD8+T細胞増殖の差を見いださなかった(図6c)。従って、MHCクラスIはIL−15媒介増殖に対して必須であったけれども、DCは必用ではなかった。
【0177】
実施例5
IL−15/IL−15Ra免疫治療は、ナイーブT細胞活性化およびエフェクター機能を誘導する
先の実験で、我々は、CD44低ポリクローナルCD8T細胞およびナイープTCRトランスジェニックT細胞が、IL−15Ra−Fcと共投与されるときのIL−15に対して応答することに留意した(図5および6)。ホメオスタティックな条件下に、CD8メモリーT細胞は、ナイーブCD8+T細胞よりもはるかに高いIL−15に対する応答を示すことを考慮して、我々は、複合体化されたIL−15/IL−15Ra−Fcに対するこれらの2つのサブセットの応答を直接比較することを望んだ。そうするために、CFSE標識されたメモリーOT−IおよびナイーブOT−ICD8+T細胞を同じコンジェニックC57BL/6ホストに養子移入しそして増殖をIL−15/IL−15Ra−Fcによる処理の4日後に解析した。驚くべきことに、ナイーブOT−ICD8T細胞は、メモリーOT−ICD8+T細胞と殆ど同じく増殖した(図7a)。ナイーブOT−I細胞も、コントロール複合体に応答して〜10倍エキスパンションしそしてCD44をアップレギュレーションした。ナイーブT細胞において誘導された活発な増殖に照らして、エフェクター機能が付随的に誘導されたかどうかを確立することは興味深いことであった。この問題を試験するために、我々は、ナイーブOT−ICD8+T細胞をコンジェニックC57BL/6ホストに養子移入し、そしてインビトロキリングアッセイを使用して、IL−15/IL−15Ra−Fcによる処理の4日後または比較のためにオブアルブミンを発現するリコンビナント水泡性口内炎ウイルス(VSV−OVA)による感染の後に抗原特異的溶解活性を測定した。興味深いことに、IL−15/rmIL−15Ra−Fc処理は、ウイルス感染により得られたレベルに類似した、活発な抗原特異的溶解活性の誘導をもたらした(図7c)。溶解活性に加えて、IL−15/IL−15Ra−FcまたはVSV−OVA感染により活性化されたナイーブOT−ICD8+T細胞の大多数は、ペプチドによるインビトロ再刺激に続いて、高いレベルのIFNgを産生した(図7d)。この結果は、コントロール(PBS)およびIL−15処理したマウスからIFNgを産生するOT−I細胞の無視できる頻度と対照的であった(図7d)。従って、IL−15Ra−FcのIL−15との共投与によるナイーブCD8+T細胞におけるエフェクター機能の誘導は、感染により得られた活性化と同様であった。
【0178】
実施例6
複合体化されたIL−15/IL−15Ra−FCによるナイーブT細胞の処理は、メモリーCD8+T細胞を発生する。
ナイーブT細胞はトランスプレゼンテーションされたIL−15に応答してエフェクター細胞に成長したけれども、これが一過性の効果であるかまたはメモリーT細胞発達(memory T cell development)をもたらしたかどうかは、まだ確められていない。従って、我々は、ナイーブOT−IT細胞移入およびIL−15/IL−15Ra−Fc処理の44日後OT−IT細胞の数および表現型を解析した。この時点で、非処理マウスに比較してIL−15/IL−15Ra投与の後〜5倍高い百分率のOT−I細胞が存在していた(図8、上部パネル)。更にこれらの細胞の殆どすべてが高いレベルのCD44およびCD122を発現した(図8、中間および下部パネル)。従って、抗原の不存在下ですら、IL−15/IL−15Ra−Fc処理は、メモリーCD8+T細胞の発達を誘導することができた。
【0179】
最近の発見は、予防接種、腫瘍免疫治療および免疫不全における免疫系再構築のためのアジュパントとしてのIL−15の使用を支持する。癌処置の場合に、リンパ球減少症の誘導が養子移入されたリンパ球の機能的活性を増強するのに現在使用されている。この療法は、リンパ球減少症で駆動されたホメオスタティック増殖を受けるCD8+T細胞は溶解およびサイトカイン産生活性を有するエフェクター細胞に分化するという発見に基づいている。CD8+T細胞のエフェクターおよびメモリー表現型細胞への分化もまたMHCクラスI発現を必要とする。従って、インタクトなホストにおけるIL−15/IL−15Ra−fC複合体により誘導された増殖および機能的活性は、リンパ球減少症によりトリガーされたホメオスタティック増殖に模擬していた。更に、複合体による処理により得られた増殖のレベルは、高い用量のIL−15単独によっては達成できなかった。IL−15を産生する同じ細胞、サイトカインをトランスプレゼンテーションすることもできるので、遊離IL−15Raのアベイラビリティーは限定されている可能性がある。更に、IL−15の短い半減時間は、レセプターに複合体化されるとき延長されうる。従って、IL−15単独による処理は、このサイトカインの完全治療潜在力を達成しそうもない。IL−15/IL−15Raの組み合わせた投与は、これらの問題を回避することができそして改良された有効性を与える。
【0180】
複合体化されたIL−15/IL−15Raの作用の機構は、ナイーブおよびメモリーT細胞ホメオスタティック生存および増殖に対する要求に関する最近の状態を考えれば、特に興味深いことであった。普通の条件下に、ナイーブおよびメモリーCD8+T細胞の両方の生存はIL−7を必用とするが、IL−15は、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞のホメオスタティック増殖のために必須である。リンパ球減少症環境において、IL−7は、ナイーブCD8+T細胞およびCD4+T細胞のホメオスタティック増殖のために必用であり、そしてCD8+メモリーT細胞ホメオスタティック増殖を媒介することにおいてIL−15と共に役割を演じる。従って、ナイーブCD8+T細胞がIL−15/IL−15Ra複合体に強く応答することは予想外であった。しかしながら、IL−15−/−マウスでは、ナイーブCD8+T細胞プールは約50%減少し、これはナイーブCD8+T細胞発達および/または生存は、IL−5を必要とすることを示唆していることに留意されるべきである。いずれにせよ、レセプターが結合したIL−15/IL−15Raにより推進されるナイーブCD8+T細胞の増殖は、IL−7非依存性でありそしてIL−15Ra発現を必要とした。この結果は、ナイーブCD8+T細胞はIL−15/IL−15Raに応答するのに十分なレベルのIL−15Raを発現するが、可溶性IL−15単独に対してはそうではないことを示した。更に、ナイーブCD8+T細胞は、エフェクター機能を獲得し、次いで高いレベルのCD44およびCD122を発現する長く生きるメモリーCD8+T細胞に発達した。興味深いことに、IL−15/IL−15RaでトリガーされたナイーブまたはメモリーCD8+T細胞の活性化は、MHCクラスI発現を必用とした。ナイーブCD8+T細胞の生存はMHCに依存するが、CD8メモリーT細胞の生存はMHC非依存性であると考えられる。従って、レセプター複合体化されたIL−15により誘導されたメモリー細胞増殖におけるMHCクラスIの必要性は幾分予想外であったが、以前に示されたとおり、メモリー細胞の機能の面でMHCについての役割を支持する。我々の発見は、インタクトなホストにおける活発なNKおよびCD8+T細胞エキスパンションおよびエフェクター分化を推進することにおいてIL−15の潜在力を例示する。いずれのアジュバントに関しても、このような活性化が自己免疫も増強させうるかどうかを決定することは必用であろう。にもかかわらず、このシステムは、免疫不全におけるまたは骨髄もしくは幹細胞移植後の免疫再構築を支援するための手段を与えることができる。更に、癌の処置における養子免疫治療も、IL−15/IL−15Raの投与により増大されうるが、複合体単独による処理は、内因性抗原特異的T細胞およびNK/NKT細胞の十分なエキスパンションを推進して、あるレベルの保護を与えうることも可能である。免疫治療におけるこの新規な複合体の潜在力を決定するのに、更なる研究が必要である。
【0181】
【表1】
【0182】
例示的方法
マウス。C57BL/6−Ly5.1マウスは、The Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から購入された。C57BL/6−Ly5.2マウスは、Charls Riverから購入された。OT−Iマウス系は、寛大にもDr.W.R.Heath(WEHI,Parkville,Australia)およびDr.F.Carbone(Monash Medical School,Prahan,Victoria,Austrakia)により提供されそしてRAG−/−バックグラウンド上のC57BL/6−Ly5.2系として維持された。
【0183】
IL−15Ra−/−マウス22は、寛大にもDr.Averil Ma(UCSF)により提供された。IL−2Rb−/−マウスからの脾細胞は、寛大にもDr.Michael Farrar(UMINN)により提供された。DTRトランスジェニックマウスは、Dr.D.Littman(Skirball Institute,NY,NY)からの贈答であった。マウスは、UCONN Health Center施設でC57BL/6に10回戻し交雑された。DTR Tg+マウスは、前記したとおりテイルDNAのPCRによりスクリーニングされた。IL−7−/−マウスは、起源としてDNAX Research Institute of Molecular and Cellular Biology(palo Alt,CA)から得られ、そしてC57BL/6x/Olaハイブリッドバックグラウンド上に維持された。
【0184】
IL−15処理。リコンビナントマウスIL−15Ra−Fcキメラ分子をR&D Systems,Inc.(Minneapolis, MN)から購入した。両方共hPBSに懸濁させたhIL−15およびrmIL−15Ra−Fcを混合しそして約37℃で約30分間インキュベーションした。各マウスは、特記しない限り、200ul PBS中の2.5μgIL−15および15μgrmIL−15Ra−Fcを受け取った。
【0185】
ヒト。エキソン3を欠いているヒトIL−15Ra−E3の細胞外ドメインをコードするDNA配列(Anderson, D. et al., 1995, J.Biol.Chem.270:29862-29869)を6Xヒスチジンタグ付きのヒトIgG1のFcにポリペプチドリンカーを介して融合させた。キメラタンパク質をバキュロウイルス発現システムを使用してSf21細胞において発現させた。分子質量。リコンビナント成熟ヒトIL−15Ra/Fcはジスルフィド連結されたホモダイマータンパク質である。N末端配列決定に基づいて、リコンビナントヒトIL−15Raタンパク質は、アミノ末端にILe31を有する。還元されたヒトIL−15Ra/Fcモノマーは、約42.6kDaの計算分子質量を有する。グリコシル化の結果として、リコンビナントモノマーは、還元条件下にSDS−PAGEにおいて約60〜70kDaタンパク質として移動する。
【0186】
マウス。マウスIL−15Raの細胞外ドメインのアミノ酸残基33〜205と連結されたヒトCD33からの単一ペプチドをコードするDNA配列(Giri, J.G. et al., 1995, EMBO. 14:3654-3663)を、ポリペプチドリンカーを介してヒトIgG1のFc領域に融合させた。キメラタンパク質をマウスミエローマ細胞系、NS0において発現させた。分子質量。リコンビナント成熟マウスIL−15Ra−Fcは、ジスルフィド連結されたホモダイマータンパク質である。N末端配列決定に基づいて、リコンビナントマウスIL−15Ra−Fcタンパク質は、アミノ末端にGly33を有する。還元されたマウスIL−15Ra−Fcモノマーは、44.9kDaの計算分子質量を有する。グリコシル化の結果として、リコンビナントタンパク質は、還元条件下にSDS−PAGEにおいて約80〜90kDaタンパク質として移動する。完全長IL−15Ra−Fcのほかに、この調製物はタンパク質分解開裂により発生した少量の(10%)遊離IL−15RaおよびFcも含有する。遊離IL−15RaおよびFcは、還元条件下にSDS−PAGEにおいてそれぞれ約42kDaおよび35kDaタンパク質として移動する。
【0187】
細胞のCFSE標識および養子移入。リンパ球を脾臓および/または末梢リンパ節から(リンパ球集団の単離で述べられたとおり)単離し、そして10×106細胞/mlでHBSS(約1%HGPG)中に再懸濁させ、次いで37℃で加温した。細胞をCFSE(0.01mM;Molecular Probes,Eugene,OR)と約10分間インキュベーションしそして反応を約1%HGPGおよび約5%FCSを有するHBSSで抑えた。細胞をHBSS(約1%HGPG)で2回洗浄した。CFSE標識された細胞をPBS中に再懸濁させ(1〜20×106細胞)そしてコンジェニックマウスに静脈内注射した。細胞を指示された時間に単離し、そしてCD45アレル状態および表面マーカーのそれらの発現およびCFSE強度を使用してドナー細胞の存在について解析した。
【0188】
リンパ球集団の単離及び免疫蛍光分析。つや消しのガラススライドを使用して脾臓をホモジナイジングすることによりHBSS(約1%HGPGを伴う)中の単一細胞懸濁液を創り出した。赤血球を溶解しそして碑細胞をNitexを通してろ化した。指示された時点で、リンパ球を単離しそしてドナーCFSE標識された細胞を、それらのCD−45アレル状態を使用して検出するか、またはOVA特異的ドナー細胞を、先に述べたとおりに産生されたOVA由来のペプチドSIINFEKLを含有するH2Kbテトラマーを使用して検出した。染色のために、リンパ球をPBS/約0.2%BSA/約0.1%NaN3(FACSバッファー)中に約3〜15×106/200μlの濃度で懸濁させた。テトラマーについて染色するときは、細胞をOVA−テトラマーAPC+適当な希釈率の抗CD8PerCpと約1時間室温でインキュベーションした。細胞をFACSバッファーで洗浄し、そして抗CD44PEで約4℃にて約20分間染色し、洗浄し、次いでPBS中に約3%パラホルムアルデヒドで固定した。相対的蛍光強度をFACScalibur(BD Biosciences,San Jose,CA)て測定した。FlowJo Software(Tree Star,San Carlos,CA)を使用してデータを解析した。
【0189】
インビボ細胞傷害アッセイ。このアッセイは、本質的に前記したとおりに行った。正常な碑細胞を低い(約0.25um)または高い(約2.5um)CFSEレベルに標識し、そしてCFSE高細胞を、約1μg/ml SIINFEKLペプチドと約37℃で約45分間インキュベーションした。同数の(10×106)の各集団を混合しそして、そして処理されていないまたはIL−15/IL−15Raで処理されたまたは4日前にニワトリオブアルブミンを発現する水泡性口内炎ウイルス1×105pfuで感染された、OT−I移入されたマウスに静脈内に注射した。4時間後に、脾細胞をCFSE高およびCFSE低集団の存在について解析した。百分率溶解=[1−(プライミングされなかった割合(ratio unprimed)/プライミングされた割合(ratio primed))]×100。割合=百分率CFSE低/百分率CFSE高。
【0190】
IFN−gの細胞内検出.リンパ球を脾臓から単離し、そして約1μg/ml Golgistop(BD PharMingen)と共に、約1μg/mlのOVA由来のペプチドSIINFEKLを伴ってまたは伴って、約5時間培養した。培養後に、細胞を表面分子について染色し、次いで固定し、そして細胞膜をサイトフィックス(cytofix)/サイトペルム(cytoperm)溶液(BD PharMingen)中で透過性化し、そして抗IFN−gPEまたはコントロールラットIgG1PEで染色した。細胞を洗浄しそして蛍光強度をFACScaliburで測定した。
【0191】
骨髄キメラ。大腿骨および:けい骨(tibias)を、CD11c−DTRTg+マウスまたは非Tg同腹仔から採取した。骨髄(BM)を注射器でフラッシュアウトし、そして70umナイロンメッシュを通して単一細胞懸濁液を発生した。赤血球(RBC)を溶解し、そして細胞を、HEPESS、L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンサルフェートを補充したHBSS(HBSS−HGPG)に再懸濁した。BMから成熟T細胞を除去するために、細胞を抗Thyl腹水(T24)とインキュベーションし、HBSS−HGPG中で1回洗浄し、次いでLow−Tox−Mウサギ補体(Low-Tox-M rabbit complement)(Cedarlane Laboratories, Ontario, Canada)と共に約37℃で約45分間インキュベーションした。CD45.1レシピエントB6マウスを照射し(約1,000ラド)、次いで約2〜5×106骨髄細胞を静脈内に移入した。マウスは、使用の前に8週間休養させた。PBS中のジフテリア毒素(Sigma, St Louis, MO)を、約4ng/g体重でマウスに腹腔内に投与した。キメラは、サイトカイン処置の1日前にDT、サイトカイン処理のすぐ前の用量、およびサイトカイン処理の3日後の最終用量を受け取った。
【0192】
【表2】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
この出願は、35U.S.C.§119(e)の下に、2005年5月17日に出願されたU.S.Provisisional Patent Application No.60/681,663の利益を主張する資格を与えられている。その開示はそのまま参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
合衆国が支援している研究に関する供述
合衆国政府は、National Institutes of Health(NIH)により与えられた、Grant No.:R01-AI51583 Role of IL-15 in CD8T Cell Development and Responseに従う本発明における一定の権利を有する。
【0003】
配列リスト
本願は、生物における免疫モデュレーションのための組成物および方法と題する、2005年5月17日に出願されたU.S.Provisisional Patent Application No.60/681,663と共に合衆国特許および商標庁に先に提出した配列リストおよび配列リストの同一CRFを、参照によりそのまま本明細書に組みこむ。CRFは、ファイル:“IL-15_LLefrancois.txt;”作出:2005年5月17日;OS:MS Windows XP;サイズ:31KBにおいて、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列、配列番号1〜16を含有する。37CFR 1.821(e)に従って、本願のためのコンピューター読み取り可能な形態として、その出願で提出された以前に提出されたコンピューター読み取り可能な形態をどうか使用ください。該配列リストの同じペーパーコピーを、本願においてそれと共に提出する。
【0004】
技術分野
本発明は、治療ポリペプチド組成物およびそれを必用としている生物に投与して免疫機能をモデュレーションするための方法に関する。特に、本発明は、生物に投与されたとき改良されたインビボ半減時間および有効性を示す、リンホカインポリペプチド部分およびリンホカインレセプター部分を含む有効量の治療タンパク質の投与に関する。
【0005】
背景
リンパ球は、免疫システム調節に関与するタイプの白血球である。2つの広い種類のリンパ球、即ちT細胞およびB細胞がある。T細胞は細胞性免疫の責任を担い。これに対して、B細胞は体液性免疫(抗体に関する)の責任を担っている。T細胞は、これらのリンパ球が胸腺で成熟するのでこのように名付けられ、そしてB細胞は骨髄で成熟するのでこのように名付けられる。リンパ球は、リンパ系システムにおいてはるかに多く行き渡っておりそしてB細胞、T細胞、キラーT細胞およびナチュラルキラー細胞を含む。B細胞は、病原体に結合して病原体を破壊することができる抗体を作る。CD4+(ヘルパー)T細胞は免疫応答を調整する(それらはHIV感染において欠損するものである)。CD8+(細胞傷害性)T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞は、ウイルスにより感染されているかまたは抗原性配列を示す身体の細胞を殺すことができる。
【0006】
ナチュラルキラー細胞は、ヒト自然免疫応答の重要な成分を構成するCD56(+)CD3(−)大型顆粒リンパ球である。その強力な細胞溶解活性のほかに、NK細胞は、病原体除去において極めて重大な役割を果たす多数の免疫調節性サイトカインおよびケモカインを発現する。更に、NKと他の免疫細胞との相互作用は、適応免疫応答または抗原特異的免疫応答をトリガーすることに関係している。
【0007】
免疫細胞と炎症性細胞との相互作用は、主に、サイトカインタンパク質、例えば、細胞成長、分化および機能的活性化を促進することができるリンホカイン、例えばインターロイキン(IL)により媒介される。現在、少なくとも23種のインターロイキンおよびそれらの種々のスプライス変異体が記載されている。これらのサイトカインのいくらかは、異なる生物学的効果を媒介するが、重なり合う活性を有することができる。インターロイキンの構造および機能の理解は、免疫および炎症の基本的生物学の新規な且つ重要な洞察をもたらした。例えば、インターロイキン2(IL−2)およびIL−15は、T細胞およびNK細胞の発生、ホメオスタシスおよび機能に関係している部分的に重なり合う性質を有する2つの別のサイトカインである。
【0008】
以前にT細胞成長因子と呼ばれたIL−2は、抗原で活性化されたT細胞により産生される強力な免疫調節性リンホカインである。それは、刺激された時成熟Tリンパ球により産生されるが、ある種のT細胞リンパ腫細胞により構成的にも産生される。IL−2は、T細胞分化の分子的性質の研究に有用でありそして、それはナチュラルキラー細胞活性を増化させるので、癌、ウイルスもしくはバクテリア感染に対する免疫応答をモデュレーションするのに有用でありうる。IL−2は、BおよびTリンパ球の両方のための成長ホルモンとして作用することもでき、そしてこれらのリンパ球のクローンエクスパンションおよび成熟を刺激することもできる。IL−2は、IL−2Rα(「IL−2Ra」)、IL−2Rβ(「IL−2Rb」)および−γ(「gC」)鎖からなるそのレセプター(R)複合体に結合し、そして第2メッセンジャー、最終的に遺伝子発現を刺激する主としてチロシンキナーゼを介してその効果を及ぼす。
【0009】
レセプター鎖のヘテロトリマー化は、Il−2に対する高いアフィニティー結合をもたらす。造血細胞システムにおけるIL−2Raの機能的重要性は周知である。しかしながら、IL−2Raが腫瘍形成において演じる潜在的役割は、まだ十分には解明されていない。IL−2Ra発現は、白血病、リンパ腫、肺癌、乳癌、頭部および頚部癌および前立腺癌を含む多くのタイプの癌において見出された。腫瘍におけるIL−2Raの高い発現は、患者の劣悪な予後と相関している。
【0010】
IL−15は、リンホカインの4つのαヘリックスバンドルファミリー(four α-helix bundle families)のメンバーでありそしてそのmRNAは、非造血性細胞系統および造血性細胞系統の両方の広範な組織内に検出され得るが、T細胞によっては産生されない。IL−15は、多分短いタンパク質半減時間および厳しい転写および翻訳コントロールによりインビボでタンパク質レベルで検出することは困難である。IL−15は、免疫システムの発達(development)において重要な役割を果たす身体における多くの細胞により作られる可溶性タンパク質である。IL−15は、細胞傷害性T細胞リンパ球細胞系(CTLL)および末梢血T細胞増殖を刺激することができそして末梢血単核細胞をエフェクター機能を示すように誘導することができる14kDa〜16kDaタンパク質として、成人T細胞白血病細胞系およびサル腎臓上皮細胞系において同時に発見された。
【0011】
IL−15は、免疫系の発達およびコントロールにおいて多方面に関与する役割を演じる。更に詳しくは、IL−15は、CD8+T細胞、NK細胞、キラーT細胞、B細胞、腸上皮内リンパ球(IEL)および抗原提示細胞(APC)の機能、発達、生存および増殖に影響を与える。IL−15−/−およびIL−15Ra−/−トランスジェニックマウスの両方共、末梢NKおよびキラーT細胞集団、ある種のIELサブセットおよび大部分のメモリー表現型CD8+T細胞を欠いていることが証明された。更に、抗原特異的メモリーCD8+T細胞は上記両タイプのノックアウトマウスにおいて病原体に応答して発達することができるが、得られるメモリーCD8+T細胞プールは、時間と共に劇的な侵食(erosion)を受ける。長期メモリーCD8+T細胞増殖および生存を媒介することにおけるIL−15の極めて重大な役割を示唆している。
【0012】
IL−15レセプター(R)は、3つのポリペプチド、タイプ特異的IL−15Rα(「IL−15Ra」)、IL−2/IL−15Rβ(「IL−2Rb」)および共通γ鎖(多数のサイトカインレセプターにより共有される「gC」)、からなる。高アフィニティーIL−15Ra鎖
【数1】
は、共有されたIL−2RbおよびgCとのヘテロトリマー複合体を形成すると考えられる。IL−15と同様に、IL−15Raは、広く多様な細胞型により発現されるが、必ずしもIL−2RbおよびgCと共にではなく発現されると考えられる。IL−15Ra、IL−2RbおよびgC鎖は、ヘテロトリマーレセプターとして会合すると考えられるけれども、これが生理学的に適切な形態のIL−15レセプターであるかどうかは、推測の域を出ないままである。例えば、IL−15Ra鎖は、IL−15の存在下にIL−2Rb/gCと共沈殿しない。
【0013】
更に、IL−2Ra鎖と違って、IL−15Ra鎖は、シグナル伝達を明らかに媒介する。IL−15Raは、IL−2Raタンパク質に対する構造的類似性を共有する58〜60kDaタンパク質である。IL−15RaおよびIL−2Ra遺伝子も、同様なイントロン−エキソン構造を共有そしてヒト染色体10p14−p15上で密接に連鎖している。ヒトIL−15Raは、レセプターのマウス形態と約45%アミノ酸(aa)相同性を共有する。異なるエキソンを含む選択的スプライシング事象から生じるIL−15RamRNAの8つのアイソフォームが同定された。エキソン2の排除(ΔExon2)は、IL−15に結合しないIL−15Raアイソフォームをもたらす。ヒトIL−15RaΔExon3cDNAは、30アミノ酸シグナル配列、Nで連結された1つのグリコシル化部位を含有する175アミノ酸細胞外領域、21アミノ酸膜貫通ドメインおよび41アミノ酸細胞質テイルを含有する267アミノ酸(aa)タンパク質をコードする。
【0014】
IL−15シグナリングは、IL−15Ra、IL−2RbおよびgCのヘテロトリマー複合体により;IL−2RbおよびgCのヘテロダイマー複合体により;またはマスト細胞上に見出された新規な60〜65kDaIL−15RXサブユニットにより起こりうる。(Anderson, D.M. et al., 1995, J. Biol. Chem. 270:29862-29869; Waldemann, T.A. and Y.Tagaya, 1999, Ann. Rev. Immunol., 17:19-49; Dubois, S. et al., 1999, J. Biol. Chem. 274:26978-26984)。最近、IL−15のIL−15Raへの結合は、TRAF2結合についてTNFRIと競合することにより繊維芽細胞におけるTNF−α媒介アポトーシスに拮抗することか報告された(Bulfone-Paus, S. et al., 1999, FASEB 13:1575-1585)。
【0015】
免疫系に対するIL−15の既知の効果を考えると、多数のグループが、IL−15をターゲティングしてホストの利益となるように免疫系を操作することを提唱した。IL−15投与は、免疫応答を強めるためまたは免疫系再構成を増強するために使用されたが、IL−15活性の遮断(blockade)は自己免疫応答を抑制することができる。例えば、IL−15活性ブロッキング突然変異体IL−15Fcタンパク質またはIL−15Raの可溶性形態の投与は、関節炎および同種移植片生存のマウスモデルにおける治療的潜在力を有する。
【0016】
反対に、予防接種または感染期間中のアジュバントとして投与されたIL−15(タンパク質またはDNA発現ベクター)は、CD8+T細胞免疫を増強し、そしてIL−15処理は、Mycobacterium tuberclosisおよびEscherichia coliの致死用量からのマウスの保護を高めることができる。更に、IL−15治療は、抗HIV免疫を刺激しそしてインビトロでHIV感染患者からのCD4+およびCD8+リンパ球の生存を増加させる。IL−15は、骨髄移植の後に免疫再構成を促進することもできる。いくつかのグループは、IL−15治療は、化学療法、Toll様レセプターアゴニストまたは腫瘍反応性CD8+T細胞の養子移入と協力して、各治療単独と比較して、マウス腫瘍モデルにおける増加した生存または完全な腫瘍退行をもたらすことができるということを見出した。かくして、IL−15活性の操作は、多数の臨床状態における治療様式として潜在力を有する。
【0017】
IL−15は、免疫応答の増加が望ましい多くの研究で現在使用されている。これらは、腫瘍および感染に対するワクチンの有効性を増加させることおよび明白な予防接種の不存在下に癌を除去する身体の能力を増大させることを含む。更に、IL−15は、骨髄移植後またはAIDSにおいて免疫系を再生させるのを助けることができる。しかしながら、インビボでのIL−15の半減時間は、非常に短く(分〜1時間など)、これは有効性が不十分な1つの理由である。現在では、IL−15活性の任意の効果を得るための唯一の方法は、大用量を使用することによるものであり、そしてIL−15だけでは必ずしも有効ではない。研究は、分子改変を使用してIL−15の半減時間を増加させようと試みたが、これらは一般に効果がなかった。例えば、IL−15のPEG化(タンパク質半減時間を増化させるためによく行われる技術)は、半減時間を増加させるが、サイトカインの活性の大部分を破壊し、実際、PEG−IL−15はIL−15活性のアンタゴニストである。
【0018】
従って、適当な治療形態のIL−15であって、免疫をモデュレーションするかまたは増強させる目的でそれを必用としている生物に投与されたとき、より長い半減時間およびより低い投薬量でより高い有効性を示す適当な治療形態のIL−15を提供するためのまだ満たされていない要求が存在する。このような治療は、IL−15単独の効果を超えるホスト免疫系の増強を同時に提供しながら、より少ないサイトカインの投与を可能とするであろう。
【0019】
我々の研究は、IL−15Raは、IL−15Ra発現の必要なしにIL−2/15Rb/gC複合体を発現する対抗する細胞(opposing cells)に、IL−15を「トランス提示する(transpresent)」ように作用することを示した。更に、インビトロで、抗体Fc領域に共有結合により連結されたIL−15Ra(IL−15Ra−Fc)の可溶性部分からなるキメラに結合したIL−15(R&D Systems,Inc., Minneapolis, MN)は、両成分単独と対照的に、IL−15Ra−/−メモリーCD8T細胞の生存を支持する。
【0020】
IL−15Raの可溶性部分は、IL−15作用の阻害剤であることは当業者により一般に知られている。事実、公表された研究は、IL−15RaがインビトロおよびインビボでIL−15活性を阻害することができることを示した。現在、IL−15とIL−15Raをインビボ処理として投与の前にプレカップリングさせた(precoupled)システムはまだ誰も考案していない。
【0021】
発明の要約
本発明は、一般に、治療ポリペプチド組成物およびそれを必用としている個体にそれを投与する方法に関する。本発明は、核酸およびそれによりコードされたポリペプチドならびに、本発明の核酸を含有する核酸ベクターを含む関連した組成物、本発明の核酸を含有する細胞系および本発明の治療ポリペプチドに結合する抗体(例えばポリクローナル、モノクローナル、キメラ等)に関する。本発明は、少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部とのプレカップリングさせた複合体において少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部を含む治療剤を発生させるための方法にも関する。驚くべきことに且つ意外にも、本発明のプレカップリングされた組み合わせは、IL−15単独の投与で観察されたよりもインビボでのより長い半減時間および高い治療有効性を示すことが観察された。
【0022】
本発明は、更に、配列番号1〜4および13〜16に示されたヌクレオチド配列に対する少なくとも25%の相同性を有する核酸分子を包含する。NOVXポリペプチドのアミノ酸配列における変化をもたらすDNA配列多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在しうることは、当業者により認識されるであろう。NOVX遺伝子におけるこのような遺伝子多型は、自然のアレル変異により集団内の個体間に存在しうる。本明細書で使用された用語「遺伝子」および「リコンビナント遺伝子」は、好ましくは脊椎動物からのインターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプターポリペプチドをコードするオープンリーディグフレーム(ORF)を含む核酸分子を指す。このような自然のアレル変異は、典型的にはヌクレオチド配列における1〜5%分散をもたらすことができる。自然のアレル変異の結果でありそしてポリペプチドの機能的活性を変化させない、任意のおよびすべてのこのようなヌクレオチド変異ならびに、配列番号5〜12のポリペプチドにおける得られるアミノ酸多型は、本発明の範囲内にあることを意図する。
【0023】
1つの局面では、本発明は、リンホカインまたはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子に関する。更に、本発明は、リンホカインレセプターまたはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子に関する。本発明のこの局面は、実質的に、完全長タンパク質、野生型もしくは突然変異体ポリペプチド;分離したセグメンド(discrete segments)、ドメイン、サブドメイン、フラグメント、欠失もしくは挿入突然変異;キメラ;およびアイソフォームおよびスプライス変異体をコードするポリヌクレオチドの使用を意図する。本発明のこの局面は、単一オープンリーディグフレーム(ORF)内に少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部をコードするセグメントと連続した、少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部をコードするセグメントを含む核酸も含む。ある態様では、本発明の核酸は、転写調節因子配列(例えば、プロモーター、誘導性プロモーター、エンハンサー等);融合タンパク質配列(例えば、His−タグ、GST、GFP、抗体Fc部分、抗生物質耐性、シグナルペプチド等);および/またはポリペプチドコード配列の5’末端、3’末端もしくはポリペプチドコード配列内の位置に配置されたリンカー配列;および/またはその組合わせに相当する少なくとも1つの追加のポリヌクレオチドセグメントを含む。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、真核細胞もしくは細胞抽出物、原核細胞もしくは細胞抽出物および/またはその組合わせにおけるクローニングおよび/または発現のために適当な、適当なウイルスベクター、バクテリアプラスミド、または人工的染色体内に配置されてもよい。
【0024】
ある局面では、本発明は、インターロイキンレセプターポリペプチド、例えばIL−2Ra(配列番号9および11)またはIL−15Ra(配列番号7および8)(その一部および組み合わせを含む)とのプレカップリングされたタンパク質複合体において、インターロイキンポリペプチド、例えばIL−2(配列番号10および12)またはIL−15(配列番号5および6)(その一部および組み合わせを含む)を含む治療組成物に関する。ある態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11に対して少なくとも40%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせとのプレカップリングされた複合体における、配列番号5、6、10、12に対する少なくとも40%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせを含む治療ポリペプチド組成物に関する。ある他の態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11に対して少なくとも80%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせとのプレカップリングされたタンパク質複合体における、配列番号5、6、10、12に対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチド、それらの一部または組合わせを含む治療ポリペプチド組成物に関する。
【0025】
他の局面では、本発明は、本発明のポリペプチド複合体におけるキメラポリペプチドの使用に関する。ある態様では、本発明は、1つ以上のインターロイキン、インターロイキンレセプター、その一部および組合わせを含むキメラポリペプチドを含む。他の態様では、本発明は、抗体のFc部分と共有結合により連結されそして抗体のFc部分と連続した、少なくとも1つのインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部、例えばインターロイキンレセプターの可溶性部分および/またはリガンド結合ドメインを含むキメラポリペプチドを含む。本発明のキメラ分子は、当業者により認識される任意の数の組合わせにおいて単一ORF内に所望のエレメントを含有するポリヌクレオチドを発現することによりリコンビナントに合成されうる。他のキメラポリペプチド、例えばヒトIL−15Ra(1Met−94ILe)−K−(129Pro−205Thr)−リンカー−Fcポリペプチドは、R&D Systems(Minneapolis,MN)から市販されている。
【0026】
他の局面では、キメラポリヌクレオチド分子は、真核または原核細胞または生物において使用するのに適当な、サブクローニング、発現、精製または他のルーチンな遺伝子操作のための、核酸ベクター、例えばプラスミドまたはウイルスDNA構築物内に含有される。更に、キメラポリレヌクレオチド分子は、リンホカインもしくはリンホカインレセプター部分をコードする領域間に遺伝子操作により挿入された、追加のコード配列または非コード配列を場合により含有していてもよい。1つの態様では、インターロイキンまたはその一部をコードする核酸は、インターロイキンレセプター部分とタンデム連結において配置される。なお更なる態様では、リンカー配列は、第1核酸の末端コドンと第2核酸の第1コドンとの間に挿入される。これらのリンカーは、適当な任意の長さおよびタイプであることができ、そして、例えば、ポリペプチド折りたたみにおける立体的拘束を減少させるため、プロテアーゼもしくはヌクレアーゼ開裂部位を導入するため、または化学的改変、コンジュゲーションまたは他の機能的エレメントのための好都合な部位を与えるために使用されうる。
【0027】
好ましい態様では、候補タンパク質はヒトタンパク質である。他の態様では、候補タンパク質は、真核生物タンパク質、例えば、哺乳動物タンパク質またはマウスタンパク質である。他の局面では、本発明は、インターロイキン、インターロイキンレセプターもしくはその一部、および/またはキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドをコードするトランスジーンを含有するトランスジェニック細胞または生物を特徴とする。他の局面では、本発明は、例えば細胞のゲノムDNAへの組込みにより、エピソーム的保持によりまたは人工的染色体の一部として、本発明のポリヌクレオチド構築物を含有する1つ以上の遺伝子的に変更された細胞系に関する。関連した局面では、本発明は、本発明の個々の成分または全体のポリペプチド複合体をコードする核酸の改変されたホスト細胞による発現に関する。ある態様では、トランスジーンは、トランスジェニック細胞に対して通常外因性であるタンパク質をコードする。ある態様では、トランスジーンはヒトタンパク質をコードする。ある態様では、トランスジーンは、異種プロモーターに連結される。他の態様では、トランスジーンはそのネイティブプロモーターに連結される。
【0028】
他の局面では、本発明は、本発明のポリペプチド複合体またはその成分の別個のエピトープを認識しそして該別個のエピトープに結合する、抗体、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体またはキメラ抗体に関する。ある局面では、本発明は、本発明の複合体の成分、本発明の複合体、他のリンホカイン、他のリンホカインレセプターまたはそれらの組合わせに対して特異的な抗体の投与に関する。1つの態様では、本発明は、インターロイキン、例えばIL−2、IL−7またはIL−15であって、該インターロイキンに対して特異的な抗体にプレカップリングされた、インターロイキン、例えばIL−2、IL−7またはIL−15を含む。他の態様では、本発明の方法は、インターロイキンおよび該インターロイキンに対して特異的に抗体を含む有効量のプレカップリングされた複合体を、それを必用としている個体に投与することを含む、個体における疾患を処置するための方法を含む。
【0029】
他の局面では、本発明は、少なくとも1種のリンホカインポリペプチドもしくはその一部と少なくとも1つのリンホカインレセプターポリペプチドもしくはその一部とのプレカップリングされた複合体を含む免疫モデュレーション性の治療剤(immunomodulatory therapeutic)を製造するための方法に関する。ある態様では、本発明は、成分ポリペプチドを発現もしくは合成し、該ポリペプチドを単離し、該ポリペプチドを精製および/または濃縮し、そして前記複合体を形成することを含む、インビトロで本発明の複合体を創生するための方法を含む。この局面では、本発明は、ホスト細胞または細胞抽出物から単離されたポリペプチドからの本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体の創生であって、該複合体の各ポリペプチド成分が2つの分離した核酸から発現されるかまたはフレーム内でタンデムで連結されたインターロイキンおよびインターロイキンレセプターを含むキメラを含む単一のオープンリーディグフレームとして発現される、創生に関する。精製は、当業者に知られているクロマトグラフィー手段により行うことができ、そして例えば、アフィニティー精製、サイズ排除、イオン交換、ヒドロキシアパタイト、HPLC等を含むことができる。
【0030】
他の局面では、本発明は、免疫細胞活性および増殖を誘導し、増強しまたは抑制するための方法であって、有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体を、それを必用としている個体に投与することを含み、該プレカップリングされたポリペプチド複合体が少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部および少なくとも1つのリンホカインレセプターもしくはその一部を含む、方法に関する。本発明の関連した局面では、複合体は、抗原、例えば、バクテリア、ウイルス、タンパク質、ペプチド、核酸等に対するホスト生物の免疫または免疫応答を増大させるのに使用することができる。本発明の前述の目的のすべては、IL−15、IL−2、IL−15RaまたはIL−2Raポリペプチド、その一部および組合わせの使用を意図する。更に他の局面では、本発明は、配列番号1〜4および13〜16の1種以上をコードするベクターを生物に投与することを含む、生物を処理する方法を含む。
【0031】
他の局面では、本発明は、メモリーT細胞、B細胞およびNK細胞の増殖および生存を増加させるために有用なプレカップリングされたポリペプチド複合体に関する。このようなものとして、本発明の治療剤の投与を使用して、実際のワクチンブースターの必要なしに、予め存在している免疫(例えば、以前に予防接種された個体)を増強させることもできる。ある局面では、例えば、予防接種の増強のため、SCIDまたはAIDS患者における免疫を増強させるためおよび癌の処置のために、本発明の治療は行われる。
【0032】
更に他の局面では、本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体は、ホスト生物の免疫応答が生物に対して有害である場合にホスト生物の免疫応答を抑制するのに有用である。例えば、本発明の複合体は、慢性関節リウマチまたはループスのような自己免疫疾患および状態に罹っている個体で観察されるとおり、抗原、例えば自己抗原に対するホスト生物の免疫または免疫応答を抑制するのに使用されうる。本発明のこの局面のある態様では、プレカップリングされたポリペプチド複合体は、免疫細胞を活性化することができないかまたはそれらの増殖を刺激することができないリンホカインおよびリンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部を含む。例えば、複合体のポリペプチド成分は、IL−2もしくはIL−15経路を介するシグナリングを阻害する突然変異、欠失、挿入または化学的改変を含有することができる。
【0033】
上記した局面のいずれかにおいて、プレカップリングされたポリペプチド複合体は、任意の適当な経路(例えば、静脈内、経口、非経口、皮下、局所、尻、鼻等)を介しそして場合により任意の薬学的に許容され得る賦形剤、担体と共に、および/または他の有効成分(例えば、NSAIDS、免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤、抗腫瘍原性剤(Anti-oncogenics)、抗生物質、スルホンアミド等)と組み合わせて、任意の薬学的に許容され得る形態(例えば、液剤、散剤、丸剤、コントロールされた放出処方等)において投与されうる。前記は、非限定的例として与えられそして特定の処方は、当業者により認識されうる多数の因子に依存して、本明細書に明白に組み込まれている任意の数の方法で変えることができる。
【0034】
更に他の局面では、本発明は、適当な容器、その中に配置された薬学的に許容され得る形態にある本発明のプレカップリングされたポリペプチド複合体またはその成分およびその使用のためのインストラクションを含むキットに関する。
【0035】
他の局面では、本発明は、説明された方法において使用するための突然変異されたおよび改変された核酸を含有するライブラリーおよびそこに同定された核酸の産生に関する。
【0036】
他の局面では、本発明は、サンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターポリペプチド複合体の存在を検出する方法に関する。この方法では、サンプルを、ポリペプチド間の複合体の形成を可能とする条件下に選択的に結合する化合物または抗体と接触させる。複合体は、もし存在するならば、検出され、それによりサンプル内のポリペプチド複合体を同定する。サンプルをリンホカインもしくはリンホカインレセプター核酸プローブもしくはプライマーと接触させ、核酸プローブもしくはプライマーがサンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターキメラ核酸分子に結合したかどうかを検出することにより、サンプル中のリンホカイン−リンホカインレセプターキメラ核酸分子の存在を検出する方法も本発明内に含まれる。
【0037】
本発明のシステム、方法およびプロセスと関連した追加の有利な特徴および機能性は、下記する詳細な説明から明らかになるであろう。本発明の背景を説明するために、特に実施に関する追加の詳細を与えるために本明細書で使用される刊行物および他の資料は、参照により組み込まれそして便宜上添付した参考文献に列挙されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcの共投与は、外因性IL−15に対するCD8+T細胞増殖応答を増強させる。−1日目にマウスは約1×107のコンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球(congenic CFSE-labeled,CD8-enriched lymphocytes)を腹腔内に受け取り、そして0日目にPBS;IL−15(約2.5μg):またはIL−15(2.5μg)を伴うIL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。CD8+脾細胞をCFSE蛍光およびCD45.1発現(上部パネル)についてフローサイトメトリーにより4日目に解析し;またはCD45.1+CD8+細胞をCFSE蛍光およびCD44発現(中部パネル)について解析した。下部パネル:−1日目に、マウスは、約6.5×105テトラマー+OVA特異的メモリーCD8+T細胞を含有するCFSE標識されたCD8+T細胞濃縮された脾細胞を受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)またはIL−15(約2.5μg)を伴うIL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。ドナーテトラマー+脾細胞を、CFSE蛍光について4日目にフローサイトメトリーにより解析した。IL−15Ra−Fc処理単独は、増殖に対する効果を持たなかった(データは示されていない)。データは、3マウス/グループで3つの同様な実験の代表値である。
【図2】NK細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcに対して高度に応答性である。−1日目に、マウスは、約1.5×107のコンジェニックなCFSE標識されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBS;IL−15(約2.5μg):またはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。脾細胞を4日目にフローサイトメトリーにより解析した。サンプルは、ドナー集団における指示されたことに対してゲーティングされた。データは3マウス/グループで2つの実験の代表値である。
【図3】CD8+T細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理に応答して迅速に分裂する。−1日目に、マウスは、約1×107のコンジェニックなCFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。末梢血リンパ球を1〜4日目にフローサイトメトリーにより解析した。示されたサンプルは、生きているドナーCD8T細胞に対してゲーティングされた。PBS処理は細胞分裂に対する効果を持たなかった(データは示されていない)。
【図4】IL−15Ra−FcのIL−15との共投与は、IL−15効能を顕著に増強する。(a)−1日目に、マウスは、約1.5×106のコンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS(示されていない)、IL−15(約5μg)または変化する用量のIL−15+IL−15Ra−Fc(約2.5μg+15μg、約0.5μg+3μg、約0.1μg+0.6μg、または約0.02μg+0.12μg)を腹腔内に受け取った。(b)−1日目に、各マウスは、約4.5×106の、コンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたリンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS(示されていない)、IL−15(約0.5μg)+IL−15Ra−Fc(約3μg)または変化する用量のIL−15(約12.5μg、25μg、または37.5μg)を腹腔内に受け取った。CD8+脾細胞をフローサイトメトリーによりCFSE希釈について4日目に解析した。
【図5】複合体化されたIL−15+IL−15Ra−Fcの活性はIL−2Raを必用とするが、応答する細胞によるIL−15Ra発現を必要としない。(a)−1日目に、マウスは、コンジェニックな、CFSE標識された、CD8濃縮されたIL−15Ra−/−リンパ球を静脈内に受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)またIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内で処理された。4日目にCD8+ドナー脾細胞を、CFSE蛍光およびCD122発現について解析した。(b)−1日目に、正常なマウスは、コンジェニックな、CFSE標識された野生型またはIL−2/IL−15Ra−/−脾細胞を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内で処理された。CD8+ドナー脾細胞を、フローサイトメトリーにより4日目にCFSE希釈について解析した。
【図6】CD8+T細胞のプレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fcで推進された増殖は、MHCクラスI発現を必要とするが、IL−7またはDCを必要としない。(a)−1日目に、B6およびβ2m−/−マウスは、正常なB6およびナイーブOT−I−RAG−/−CFSE標識されたCD8+T細胞の混合物を受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。(b)−1日目に、IL−7+/−またはIL−7−/−マウスは、コンジェニックな、CFSE標識されたCD8濃縮されたリンパ球を受け取った。0日目に、マウスは、IL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)を腹腔内に受け取った。(c)−1日目にB6またはCD11c−DTR骨髄で産生されたキメラは、碑細胞を静脈内に受け取り、そして0日目に、PBSまたはIL−15Ra−Fc(約15μg)+IL−15(約2.5μg)で腹腔内処理された。すべてのマウスを、0、1および3日目にDTで処理した。すべての場合に、ドナーCD+脾細胞を4日目にCFSE希釈について解析した。
【図7】ナイーブCD8+T細胞は、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理に応答してエフェクター表現型および機能を獲得する。−1日目にマウスは、ナイーブおよびメモリーOT−I−RAG−/−細胞の混合物(a)またはナイーブOT−I−RAG−/−細胞のみ(b−d)を受け取り、そして0日目にPBSまたはIL−15(約2.5μg)を伴うrmIL−15Ra−Fc(約15μg)で処理された。4日後、碑細胞を(a)CFSE強度、(b)ドナーOT−Iの百分率およびCD44発現について検査した。(c)−1日目に、マウスは、約7×105ナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取り、そして0日目にPBS、IL−15(約2.5μg)、IL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)または約1×105pfu VSV−OVAで処理された。4日目に、碑細胞をインビトロでSIINFEKLと共にまたはSIINFEKLを伴わないで約5時間インキュベーションし、そしてIFN−aの産生を細胞内染色により解析した。(d)−1日目に、マウスは、約2×106ナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取り、そしてPBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理され、または約1×105pfuのVSV−OVAで静脈内処理された。処理後4日目に、各マウスは、CFSE標識された(約0.25μM)非ペプチドパルスド碑細胞およびCFSE標識された(約2.5μM)SIINFEKLペプチドパルスド碑細胞の混合物を受け取った。4時間後、碑細胞をCFSE標識されたターゲット集団の存在について解析した。
【図8】プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra−Fc処理は、ナイーブCD8+T細胞からメモリー細胞を発生させる。1日目に、B6マウスは、約6×106CFSE標識されたナイーブOT−I−RAG−/−細胞を受け取りそして0日目に、PBSまたはIL−15(約2.5μg)+IL−15Ra−Fc(約15μg)で腹腔内処理された。44日後、碑細胞をドナーOT−ICD8+T細胞の百分率(上部パネル)およびCD44およびCD122のOT−I発現(中部および下部パネル)について解析した。
【図9】本発明のIL−15+IL−15Ra−Fc融合タンパク質−融合タンパク質のマウスバージョンの例。この実施例では、一般的構築物は、増強された発現及びプロセッシングのためのIL−2シグナルペプチド、IL−15遺伝子またはその一部、立体的自由度およびタンパク質折りたたみを促進するための可変リンカー領域、(任意の所望の長さまたは配列であってもよい)、IL−15Ra遺伝子の可溶性もしくは細胞外部分およびヒトIgGのFc部分を含む。ヒト相同体の遺伝子またはその一部は、同様な方式で置換されることができる。同様に、IL−2またはIL−2Ra遺伝子またはその一部は、IL−15またはIL−15Ra遺伝子またはその一部との組み合わせも含むキメラ構築物において置換されることができる。
【図10】IL−15+IL−15Ra−Fc融合タンパク質は、CD8+T細胞およびNK細胞の増殖を誘発する。CFSE標識されたリンパ球を正常なマウスに移入し、次いでそれを〜10μgのIL−15+IL−15Ra融合タンパク質で処理した。4日後、碑細胞を単離しそしてフローサイトメトリーにより解析した。
【図11】マウスにおけるIL−15+IL−15Raタンパク質複合体により減少した肝臓癌量。約1×105B6−F1メラノーマ細胞を脾臓内に注射した(肝臓に腫瘍を指向する)。1および7日後に、マウスをPBS(コントロール)、2.5μgIL−15または2.5μgIL−15+IL−15Ra複合体で処理した。接種の14日後、腫瘍を肝臓において計数し、そして脾臓の重量を計った。
【図12】IL−15をIL−15Raに複合体化させることは、インビボでの半減時間およびバイオアベイラビリティーを顕著に増強させる。(A)2.5μgのヒトIL−15単独またはIL−15Raにプレ複合体化されたIL−15を腹腔内注射によりマウスに投与した。指示された時間に、血清を得、そしてIL−15の存在についてELISAにより試験した。存在する全IL−15を、標準濃度曲線から計算した。(B)半減時間をAにおける減衰曲線の線形部分から計算した。
【0039】
発明の詳細な説明
好ましい態様の組成物および方法の例では、治療ポリペプチドの有用な且つ有利な発生が提供される。好ましい態様では、本発明は、リンホカインもしくはその一部およびリンホカインレセプターもしくはその一部を含む治療ポリペプチド複合体に関する。用語「リンホカインレセプター」または「インターロイキンレセプター」は、それぞれのリンホカインまたはインターロイキンに対する膜貫通レセプターを指し、そしてある態様では、該リンホカインまたはインターロイキンに結合することができる抗体を含むことができる。この状況では、抗体は、リンホカインまたはインターロイキンポリペプチドに対する「レセプター」として有効に機能する。
【0040】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明は、本発明の治療の活性は、ポリペプチド複合体のレセプター部分が、シグナリング分子部分をターゲット細胞の表面のそのそれぞれのレセプター(1つまたは複数)に提示するように機能する、「トランス提示(trans-presentation)」と呼ばれるプロセスから生じるということを仮定している。例えば、実験的証拠は、IL−15RaはIL−15レセプターのβおよびγ鎖を通じてインビボでT細胞および他の細胞にIL−15をトランス提示することを示す。この理論は、IL−15単独は殆ど活性を持たないが、プレカップリングされたIL−15+IL−15Ra複合体は図1に示されたとおりメモリーT細胞増殖を推進すること(IL−15活性の特徴の1つ)および腫瘍量(tumor burden)を減少させること表1、に対する実質的な活性を有することを示す、マウスにおけるインビボでの結果により支持される。IL−15をIL−15Ra鎖にプレカップリングさせることにより、IL−15の生物学的活性はマウスにおいて顕著に増大した(図1〜8および10〜12)。
【0041】
明白に特記しない限り、下記の定義は、当技術分野で知られた用語の定義を補足する。
【0042】
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボ核酸、リボヌクレオチドおよびリボ核酸、およびそのホーリマー形態を指し、そして一本鎖または二本鎖形態を含む。明白に限定されない限り、用語「核酸」は、天然のヌクレオチドの既知のアナログ、例えば、参照核酸と同様な結合性を有するペプチド核酸(「PNAs」)を含む。更に、好ましい態様のいずれかにおいて、特定のヌクレオチドまたは核酸配列は、保存的変異(例えば、縮重コドン置換(degenerate codon substitution)、下記参照)、相補性配列および明白に示された配列を含む。縮重コドン置換は、1つ以上の選ばれたコドンの第3の位置が同じアミノ酸をもたらす任意のヌクレオチドで置換されている、縮重コドン置換である。用語核酸は、用語「遺伝子」、「DNA」、「cDNA」、「オリゴヌクレオチド」、「RNA」、「mRNA」、「ヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」等に対して包括的である。
【0043】
本明細書で使用された、用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結されたヌクレオチド残基を指す。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノムまたはcDNA配列に基づくことができまたはゲノムまたはcDNA配列からデザインされ得、そして特定の細胞または組織において同一の、類似したまたは相補性DNAまたはRNAの存在を増幅、確認または示すのに使用される。オリゴヌクレオチドは、約長さが約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さが約15nt〜30ntを有する核酸配列を含む。本発明の1つの態様では、長さが100ntより少ない核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜4または13〜16の少なくとも6個の連続したヌクレオチドを更に含むであろう。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成されそしてプローブとして使用することもできる。
【0044】
「リコンビナント」核酸は、インビトロまたは人工的(天然には存在しないことを意味する)方法または2つ以上の核酸の組換えにより産生された任意の核酸である。
【0045】
用語「遺伝子」は、与えられたRNAまたはタンパク質の発現と関連した核酸の任意のセグメントを指す。従って、遺伝子は、発現されたRNAs(典型的にはポリペプチドコード配列を含む)をコードする領域およびしばしばそれらの発現のために必要な調節配列を含む。遺伝子は、関心のあるソースからのクローニングまたは既知のもしくは予測された配列情報から合成することを含む種々のソースから得ることができ、そして特別に所望されるパラメーターを有するようにデザインされた配列を含むことができる。
【0046】
他の態様では、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1〜4および13〜16に示されたヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。本明細書で使用された、用語「相補性」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson−CrickまたはHoogsteen塩基対形成を指し、そして用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物または関連したポリペプチドまたは化合物またはそれらの組み合わせ間の物理的または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン性、非イオン性、ファンデルワールス、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は直接または間接的であることができる。間接相互作用は、他のポリペプチドまたは化合物の効果を通じてまたは該効果によることができる。直接結合は、他のポリペプチドまたは化合物の効果を通じてまたは該効果により起こらないで、その代わりに他の実質的な化学的中間体なしの、相互作用を指す。本明細書で提供された「フラグメント」は、核酸の場合には特異的ハイブリダイゼーションを可能としまたはアミノ酸の場合にはエピトープの特異的認識を可能とするのに十分な長さである、少なくとも6個の(連続した)核酸または少なくとも4個の(連続した)アミノ酸の配列として定義され、そして多くても完全長配列より少ない部分である。フラグメントは、選択される核酸またはアミノ酸配列の任意の連続した部分に由来することができる。完全長クローンは、ATG翻訳開始コドンおよびインフレーム停止コドン(in-frame stop codon)を含有するものとして同定される。従って、ATG翻訳開始コドンを欠いている任意の開示されたNOVXヌクレオチド配列は、それぞれのポリペプチドのトランケーションされたC末端フラグメントをコードし、そして対応する完全長cDNAは、開示された配列の5’方向に延びていることを必用とする。インフレーム停止コドンを欠いている任意の開示されたヌクレオチド配列は、同様にそれぞれのポリペプチドのトランケーションされたN末端フラグメントをコードし、そして対応する完全長cDNAは開示された配列の3’方向に延びていることを必用とする。
【0047】
用語「ホスト細胞」は、異種核酸を保有するのにまたは異種核酸によりコードされたペプチドまたはタンパク質を発現するのに使用されうる細胞を含む。ホスト細胞は、細胞のネイティブな(非リコンビナント)形態内で見出されない遺伝子、遺伝子が改変されそして人工的手段により細胞に再導入されるネイティブな形態の細胞において見出される遺伝子、または細胞から核酸を除去することなく人工的に改変された細胞に対して内因性の核酸を含有することができる。ホスト細胞は真核細胞または原核細胞であることができる。例えば、バクテリアテ細胞は、核酸配列を保有もしくはクローニングするのにまたはポリペプチドを発現するのに使用することができる。バクテリアテの培養のために必要な一般的成長条件は、BERGEY'S MANUAL OF SYSTEMATIC BACTERIOLOGY, Vol.1,N.R.Krieg, ed., Williams and Wilkins,Baltimore/London(1984)に見出されうる。「ホスト細胞」は、内因性遺伝子もしくはプロモーターまたはその両方が本発明の複合体のポリペプチド成分の1種以上を産生するように改変されているホスト細胞であることもできる。
【0048】
「誘導体」は、直接に、改変によりまたは部分的置換によりネイティブ化合物から形成された核酸配列またはアミノ酸配列である。「アナログ」は、ネイティブな化合物に類似した、しかしネイティブな化合物と同じではない構造を有する核酸配列またはアミノ酸配列であり、例えばそれらはある成分または側鎖に関してそれとは異なる。アナログは、合成されてもよくまたは異なる発生起源に由来することができ、そして野生型と比較して類似したまたは反対の代謝活性を有することができる。相同体は、異なる種に由来する特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
【0049】
誘導体およびアナログは、完全長であるかまたは完全長以外であることができる。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログは、種々の態様において、同じサイズの核酸またはアミノ酸配列に対してまたは当技術分野で知られているコンピューター相同性プログラムによりアライメントが行われるアライメントされた配列と比較するとき、少なくとも約30%、45%、70%、80%または95%一致(好ましい同一性は80〜90%)するかまたはそのコード核酸がストリンジェントな、中程度にストリジェントな、または低ストリンジェントな条件下に本発明のタンパク質をコードする配列の相補体にハイブリダイゼーションすることができる、本発明の核酸またはタンパク質に対して実質的に相同性である領域を含む分子を含むが、それらに限定されない。例えば、Ausubel, et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley&Sons, New York, N.Y., 1993参照。核酸誘導体および改変は、遺伝子置換、部位特異的突然変異、欠失、挿入、組み換え、修復、シャフリング、エンドヌクレアーゼ消化、PCR、サブクローニング、および関連した技術により得られた核酸誘導体および改変を含む。
【0050】
「相同体」は、自然に生じることができるか、または関連した配列を有する1つ以上の核酸の人工的合成または関連した核酸を産生するための1つ以上の核酸の改変により創生されうる。核酸は、それらが天然にまたは人工的に共通の先祖配列に由来するとき相同性である(例えばオーソログまたはパラログ)。2つの核酸間の相同性が明白に述べられていなければ、相同性は2つ以上の配列間の核酸比較により推定することができる。配列がある程度の配列類似性、例えば、一次アミノ酸構造レベルで約30%より高い配列類似性を示すならば、それらは共通の先祖を共有すると結論される。類似性の程度は変わるであろうし、そして重要な因子は、例えば、全体の類似性の程度、コード配列の特定の領域内の類似性の程度、非コード配列の類似性およびポリペプチドの活性を含む。本発明の目的で、遺伝子は、もしも核酸配列が組換えを可能とするのに十分に類似しているならば、相同性である。
【0051】
2種以上の核酸またはポリペプチドに関して、用語「相同性」または「同一性」は、同じであるか類似している2つ以上の配列またはサブ配列であって、BLAST、ClustalW、または当業者により入手可能な他のアルゴリズムなどの配列比較アルゴリズムの1つを使用してまたは目で見る検査により測定して、最大対応について比較およびアライメントされるとき、同じであるアミノ酸またはヌクレオチドの特定された百分率を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。配列比較および相同性決定のために、典型的には、1つの配列は、試験配列を比較するための基準配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および基準配列をコンピューターに入力し、必要に応じてサブ配列座標を指定しそして配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次いで配列比較アルゴリズムは、指示されたプログラムパラメーターに基づいて基準配列に対する試験配列(1つまたは複数)の百分率配列一致を計算する。相同性の他の決定は、ストリンジェントな条件下の核酸のハイブリダイゼーションを含む。
【0052】
フレーズ「ハイブリダイゼーションする」は、その配列が複合体混合物(例えば全細胞)DNAまたはRNA内に存在するときを含めて、ストリンジェントな条件下の特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二本鎖化(duplexing)またはハイブリダイゼーションすることを指す。
【0053】
本明細書で使用された用語「プレカップリングされた」は、ターゲット部位、例えば免疫細胞における活性化または結合の前に個々のポリペプチド成分を組み合わせて活性な複合体を形成する状況を指す。これは、個々のポリペプチド複合体成分が合成されるかまたはリコンビナントに発現され、次いで単離されそして組み合わされて生物への投与の前にインビトロで複合体を形成する状況;キメラまたは融合ポリペプチド(即ち、複合体の各分離したタンパク質成分が単一ポリペプチド鎖に含有されている)がインタクトな複合体として合成されまたはリコンビナントに発現される状況;および/または個々のポリペプチド複合体成分が個体に同時に、例えば静脈内に投与されそしてin situまたはインビボで複合体を形成する状況を含む。
【0054】
核酸配列の「保存的突然変異」は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸をコードするこれらのヌクレオチドを指すか、またはヌクレオチドがアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列を指す。これは、遺伝子コードは「縮重している」、即ち、多数の異なる核酸が同じアミノ酸をコードする、ということに基づいている。例えば、コドンGTT、GTA、GTCおよびGTGは、すべてアミノ酸バリンをコードする。従って、バリンがコドンにより特定されるすべての位置で、コドンはコードされたポリペプチドを変えることなく、上記した対応するコドンのいずれかに変えることができる。このような核酸変異は、「サイレント突然変異」であり、これは「保存的突然変異」の1つの種類である。特記しない限り、アミノ酸をコードする本明細書で記載されたすべてのヌクレオチド配列は、すべての可能なサイレント変異も含む。当業者は、核酸における各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるATGを除いて)は、標準技術により機能的に同一の分子を生じるように改変されうることを認識するであろう。従って、突然変異誘発が使用される各場合に、アミノ酸をコードする核酸の各「サイレント突然変異」は、事実上含まれる。
【0055】
更に、当業者は、「保存的突然変異」が、核酸変更が化学的に同様なアミノ酸の置換をもたらす、コード配列における単一アミノ酸または少数のアミノ酸を変更、付加または欠失させる核酸の置換、欠失または付加も含むことを認識するであろう。お互いに対する保存的置換として働くことができるアミノ酸は、下記のもの:塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q);親水性:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I);疎水性:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);硫黄含有:メチオニン(M)、システイン(C)、を含む。更に、保存的変異により異なる配列は一般に相同性である。
【0056】
「サブ配列」は、それぞれ核酸またはアミノ酸のより長い配列の一部(例えばポリペプチド)を含む核酸またはアミノ酸の配列を指す。
【0057】
核酸「オペロン」は、他の核酸配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーションシグナル、または他の遺伝子であってそれがコード配列の転写を増加させる場合の他の遺伝子との機能的関係において位置している遺伝子を含む。
【0058】
本明細書で使用される「突然変異誘発」は、PCR突然変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、エラープローンPCR突然変異誘発、等および本明細書で記載された技術のいずれかによる反復遺伝子組換えなどの当技術分野で知られた技術を含む。
【0059】
突然変異誘発、PCR、クローニング等を含む本発明の実施に有用な分子生物学的技術の説明は、Berger and Kimmel, GUIDE TO MOLECULAR CLONING TECHNIQUES, METGODS IN ENZYMOLOGY, volume 152, Academic Press, Inc., San Diego, Calif. (Berger); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING-A LABORATORY MANUAL (2nd Ed), Vol. 1-3,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989, and CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, F.M.Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associatres, Inc. and John Wiley & Sons, Inc.; Berger, Sambrook, and Ausubel, as well as Mullis et al., U.S.Pat.No.4,683,202(1987); PCR PROTOCOLS A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS(Innis et al, eds), Academic Press, Inc., San Diego, Calif.(1990)(Innis); Arnheim & Levinson(Oct. 1, 1990)C&EN 36-47; Leung, et al., A methods for random mutagenesis of a defined DNA segment using a modified polymerase chain reaction.Technique: J Methods Cell Molec Biol 1(1): 11-15(1989)を含む。これらはすべての目的で参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。本発明の例示的方法は、配列突然変異誘発、組換えまたはその両方ならびに個々の遺伝子のスクリーニングまたは選択を含む。
【0060】
本明細書で使用された用語「リンホカイン」、「インターロイキン」、「IL−15」または「IL−2」は、例えば、完全長配列、セグメント、ドメインもしくは分離した部分、置換、挿入および欠失突然変異体、同じもしくは他のリンホカインとのキメラ、アイソフォーム、スプライス変異体およびその任意の組合わせを含む対応するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のすべての形態を集約的に指すために使用される。
【0061】
本明細書で使用された、用語「IL−15Ra」または「IL−2Ra」は、例えば、完全長配列、セグメント、ドメインもしくは分離した部分、置換、挿入および欠失突然変異体、同じもしくは他のリンホカインレセプターとのキメラ、アイソフォーム、スプライス変異体およびその任意の組合わせを含む対応するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のすべての形態を集約的に指すために使用される。
【0062】
核酸分子
ある態様では、本発明は、リンホカインもしくはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子ならびにリンホカインレセプターもしくはその一部をコードする核酸およびポリヌクレオチド分子を含む。核酸態様のいずれかにおいて、本発明は、完全長タンパク質、野生型もしくは突然変異体ポリペプチド;分離したセグメント、ドメイン、サブドメイン、フラグメント、欠失もしくは挿入突然変異;キメラ;およびアイソフォームおよびスプライス変異体を実質的にコードするポリヌクレオチドの使用を意図する。ある好ましい態様では、本発明は、単一オープンリーディグフレームまたはORF(即ち、開始コドンから停止コドンまで)内で少なく共1つのリンホカインレセプターもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドセグメントと連続した、少なくとも1つのリンホカインもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドセグメントを含む核酸を含む。ある態様では、本発明の核酸は、転写調節配列(例えば、プロモーター、誘導性プロモーター、エンハンサー等);融合タンパク質配列(例えば、His−タグ、GST、GFP、抗体Fc部分、抗生物質耐性、シグナルペプチド等);および/またはポリペプチドコード配列の5’末端、3’末端もしくはポリペプチドコード配列内の位置に配置されたリンカー配列;および/またはその組合わせを含む少なくとも1つの追加のポリヌクレオチドセグメントを含む。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、真核細胞もしくは細胞抽出物、原核細胞もしくは細胞抽出物および/またはその組合わせにおけるクローニングおよび/または発現のために適当なウイルスベクター、バクテリアプラスミド、または人工的染色体内に配置されていてもよい。
【0063】
リコンビナント核酸のプラスミドベクターもしくはホスト細胞またはその両方へのクローニング、サブクローニングおよび移入のための多くの技術およびライブラリースクリーニングおよび選択のための技術が当技術分野で知られており、そしてこれらのフォーマットおよび/または技術の各々は、本発明に一般に適用可能である。例えば、本発明で使用される核酸を操作するための一般的技術を開示するテキストは、"Current Protocols in Molecular Biology"(Ausubel et al., eds., 1994)); Sambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual"(2nd ed. 1989); and Kriegler,"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Mannual"(1990),を含み、その内容および適切な教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明の他の局面は、配列番号5〜12またはその誘導体、フラグメントもしくは相同体をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書で使用された用語「ベクター」は、他の核酸を輸送することができる核酸分子であって、該他の核酸に「作用可能に連結されている」核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは環状二本鎖DNAループであってそれに追加のDNAセグメントをライゲーションさせることができる環状二本鎖DNAループを指す。他のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、該ウイルスベクターに追加のDNA配列をライゲーションすることができる。あるベクターは、それらが導入されるホスト細胞において自律複製することができる(例えば、バクテリア複製起点を有するバクテリアベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、ホスト細胞に導入されるとホスト細胞のゲノムに組み込まれ、それによりホストゲノムと共に複製される。更に、あるベクターは、該ベクターが作用的に連結されている(operatively linked)遺伝子の発現を指向することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、リコンビナントDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態にある。本明細書では、「プラスミド」および「ベクターは、は相互に交換可能に使用され得る。何故ならば、プラスミドは最も普通に使用される形態のベクターであるからである。しかしながら、本発明は、同等な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製に欠陥のあるレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターのこのような他の形態を含むことを意図する。
【0065】
本発明のリコンビナント発現ベクターは、ホスト細胞における核酸の発現のための適当な形態にある本発明の核酸を含み、これは、リコンビナント発現ベクターが、発現のために使用されるべきホスト細胞に基づいて選ばれた1つ以上の調節配列であって、発現されるべき核酸配列に作用的に連結されている1つ以上の調節配列を含むことを意味する。リコンビナント発現ベクターの範囲内で、「作用可能に連結された(operably linked)」は、関心のあるヌクレオチド配列が、該ヌクレオチド配列の発現(例えばインビトロ転写/翻訳システムにおいてまたはベクターがホスト細胞に導入されるときはホスト細胞において)を可能とする方式で調節配列(1つまたは複数)に連結されていることを意味することを意図する。
【0066】
用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現コントロールエレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くのタイプのホスト細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向する調節配列およびあるホスト細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向する調節配列(例えば組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターのデザインは、トランスフォーメーションされるべきホスト細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベル等の如きファクターに依存しうることは当業者により認識されるであろう。本発明の発現ベクターは、ホスト細胞に導入されることができ、それにより本明細書に記載の核酸によりコードされた融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを産生することができる。本発明のリコンビナント発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるタンパク質の発現のためにデザインされうる。例えば、タンパク質は、Escherichia coliなどのバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現されうる。適当なホスト細胞は、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に更に検討されている。または、リコンビナント発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写および翻訳されうる。
【0067】
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質の発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するベクターによりEscherichia coliにおいて最も頻繁に行われる。融合ベクターは、その中にコードされたタンパク質に、通常リコンビナントタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、典型的には、3つの目的:(i)リコンビナントタンパク質の発現を増加させるため;(ii)リコンビナントタンパク質の溶解度を増加させるためおよび(iii)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することによりリコンビナントタンパク質の精製を助けるために役立つ。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解開裂部位は、融合部分の接合部として導入されて、融合タンパク質の精製の後に融合部分からのリコンビナントタンパク質の分離を可能とする。このような酵素およびそれらのコグネイト認識配列は、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを、それぞれ、ターゲットリコンビナントタンパク質に融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Jofnson,1988.Gene 67: 31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N. J.)を含む。
【0068】
適当な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例は、pTrc(Amarann et al., (1988)Gene69:301-315)およびpET11d(Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)60-89)を含む。
【0069】
E.coliにおけるリコンビナントタンパク質発現を最大にするための1つのストラテジーは、リコンビナントタンパク質をタンパク質分解的に開裂する能力が損なわれたホストバクテリアにおいてタンパク質を発現することである。例えば、Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)119-128)参照。他のストラテジーは、各アミノ酸のための個々のコドンがE.coliにおいて優先的に利用されるコドンであるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20:2111-2118参照)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準DNA合成技術により行うことができる。他の態様では、発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母Saccharomyces cerevisaeにおける発現のためのベクターの例は、pYepSec(Baldari, et al., 1987. EMBO J.6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, 1982. Cewll 30: 933-943)、pJRY88(Schultz et al., 1987. Gene 54: 113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif)およびpicZ(In Vitrogen Corp, San Diego, Calif.)を含む。または、ポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して昆虫細胞において発現されうる。培養された昆虫細胞(例えばSF9細胞)におけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smith, et al., 1983. Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170:31-39)を含む。
【0070】
更に他の態様では、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例は、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmann, et al., 1987. SMBO J. 6: 187-195)を含む。哺乳動物細胞において使用されるとき、発現ベクターのコントロール機能は、しばしばウイルス調節エレメントにより与えられる。例えば、よく使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適当な発現システムについては、例えば、Sambrock, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nded., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989 のChapter 16 and 17参照。
【0071】
他の態様では、リコンビナント哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的な核酸の発現を指向することができる(例えば組織特異的調節エレメントが核酸を発現するのに使用される)。組織特異的調節エレメントは当技術分野で知られている。適当な組織特異的プロモーターの非限定的例は、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., 1987.Genes Dev. 1:268-277)、リンパ腫特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞レセプターのプロモーター(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8:729-733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerki, et al., 1983. Cell 33:729-740; Queen and Baltimore, 1983.Cell 33:741-748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985.Science 230: 912-916)および乳腺特異的プロモーター(例えば乳腺プロモーター;U.S.Pat.No.4,873,316 and Europeaqn Application Publication No. 264,166)を含む。発生的に調節されたプロモーター、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3:537-546)も包含される。
【0072】
本発明の1つの態様では、出発核酸セグメントを、まず最初に本明細書で参照されたフォーマットのいずれかにより組み替えて、リコンビナント核酸のライブラリーを発生させる。ライブラリーは、サイズを変えることができ、例えば、約10〜約109のメンバーの範囲にある。一般に、最初の核酸セグメントおよび発生した核酸のリコンビナントライブラリーは、完全長コード配列(即ち、開始コドン、コード配列および停止コドンを含むオープンリーディグフレーム(ORF))および任意の必須の調節配列、例えば、発現のために必用なプロモーターおよびポリアデニル化配列を含む。しかしながら、リコンビナント核酸がこれらのエレメントを含有していない場合には、ライブラリーのリコンビナント核酸は、リコンビナントクローンのスクリーニングおよび選択の前に欠損配列(missing sequences)を含むベクターに挿入されうる。
【0073】
リコンビナント核酸配列は、発現することができるリコンビナントセグメントのライブラリーをもたらすインビボフォーマットにおいて組合わせることができる。または、組換えは、インビトロで行うことができそしてリコンビナントライブラリーは、スクリーニングおよび選択の工程の前に所望の細胞型に導入される。本発明のある態様では、リコンビナント核酸ライブラリーを第1ホスト中で増幅し、次いでそのホストから回収し、そして発現、選択、またはスクリーニングまたは任意の他の望ましいパラメーターの理由で第2ホストに導入する。リコンビナント核酸をホスト細胞に導入する方式は、細胞型の核酸取り込み特徴に依存する(例えば、ウイルスレセプターを有する、コンジュゲーションすることができる、自然にコンピテントである、および/またはDNAガンまたは電気パルスを必要とする)。リコンビナントDNA遺伝子のライブラリーの導入後に、細胞を遺伝子の発現が起こることを可能とするように増殖させることができる。
【0074】
態様のいずれかにおいて、リンホカインまたはリンホカインレセプターをコードする核酸は、1つ以上のネイキッドDNAs;適切な発現ベクター内に配置されそしてエピソーム的に維持された(maintained episomally)1つ以上の核酸;ホスト細胞のゲノムに組み込まれた1つ以上の核酸;複合体の成分をコードする内因性遺伝子の改変されたバージョン;1つ以上の調節核酸配列と組み合わせた1つ以上の核酸;またはそれらの組み合わせとして存在することができる。1つの態様では、ホスト細胞の内因性インターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプター遺伝子は、細胞がインターロイキンポリペプチド、可溶性インターロイキンレセプターポリペプチドおよびインターロイキン/インターロイキンレセプター複合体ポリペプチド(これらは標準技術を使用して単離および精製されうる)の組合せを産生するように、相同的組換え技術を使用して改変される。この態様のいずれかにおいて、リンホカイン成分をコードする核酸は、配列番号1、2、14、15、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。更に、態様のいずれかにおいて、リンホカインレセプター成分をコードする核酸は、配列番号3、4、13、16、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。リンホカイン、リンホカインレセプター部分および/またはリンホカイン/リンホカインレセプターキメラをコードする核酸は、場合により、ORFの5’末端、3’末端またはORFの範囲内の任意の位置に、リンカーペプチドまたは融合タンパク質成分、例えば、His−Tag、FLAG−Tag、GFP、GST、抗体部分、シグナルペプチド等を含むことができる。
【0075】
好ましい態様において、本発明の核酸は、リンホカインレセプターの可溶性(即ち、細胞外)部分をコードするポリヌクレオチドを含む。特定の好ましい態様では、本発明は、シグナルペプチド、リンホカイン、リンカーペプチドおよびリンホカインレセプターの可溶性部分および抗体のFc部分をコードする連続した核酸を含む。本明細書に記載の態様のいずれも、当業者に周知の標準分子生物学的アプローチおよび遺伝子アプローチを使用して達成されうる。態様のいずれかにおいて、配列番号1〜4および13〜16のオープンリーディグフレームまたはその一部をコードするcDNAは、市販のバクテリア発現プラスミド、例えば、pGEM(Promega)またはpBluescript(Stratagene)ベクター、または真核生物発現ベクター、例えばバキュロウイルスシステム、pCEP、pcDNAベクターまたはそれらの誘導体の1つに組み込まれることができる。
【0076】
ある態様では、本発明は、配列番号5〜12のポリペプチドまたはその一部をコードする単離されたポリヌクレオチド配列を含む。「単離された核酸配列」は、コード配列のいずれかとじかに連続していないポリヌクレオチドであって、その由来元の生物の天然に存在するゲノムにおいてはそれは該コード配列とじかに連続している(5’端部のそれおよび3’端部のそれ)ポリヌクレオチドを意味する。従って、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれているか;自律的複製プラスミドもしくはウイルスに組み込まれているか;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれているかまたは他の配列とは独立した別個の分子(例えば、cDNA)として存在する、リコンビナントDNAを含む。このヌクレオチドは、改変された形態のDNAまたはRNAであることができる。改変は、天然に存在する塩基の既知の置換、改変された塩基、例えば5−メチルシトシン、改変された糖、例えば2’−メトキシおよび2’−フルオロ糖および改変された主鎖、例えばホスホロチオエートおよびメチルホスホネートとの糖もしくはヌクレオチド間(主鎖)連結を含むが、それらに限定されない。
【0077】
ポリヌクレオチドは、DNA分子、cDNA分子、ゲノムDNA分子またはRNA分子であることができる。DNAまたはRNAとしてのポリヌクレオチドは、T(チミジン)がU(ウラシル)であることもできる配列を含むことができる。ポリヌクレオチドは、配列番号1〜4および13〜16に対して相補性であることができ、ここで相補性は、2つのヌクレオチド間の正確な対形成する能力を指す。例えば、ポリヌクレオチドのある位置におけるヌクレオチドが逆平行DNAもしくはRNA鎖における同じ位置のヌクレオチドとワトソン−クリック対形成することができるならば、このポリヌクレオチドとDNAもしくはRNA分子はその位置で互いに相補性である。ポリヌクレオチドとDNAもしくはRNA分子は、各分子における十分な数の対応する位置が所望のプロセスを実施するためにお互いにハイブリダイゼーションすることができるヌクレオチドにより占められるとき、お互いに実質的に相補性である。本明細書で使用された、ハイブリダイゼーションは、相補性ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間のワトソン−クリック水素結合を意味する。
【0078】
更に、配列番号1〜4および13〜16のすべてまたは一部をコードするポリヌクレオチドが含まれる。このようなポリヌクレオチドは、天然に存在するDNA分子、合成DNA分子および意図的に操作されたDNA分子を含む。例えば、ポリヌクレオチドは、分子生物学技術分野で知られている技術により部位特異的突然変異誘発に供されることができる。20の天然に存在するアミノ酸があり、その大部分は、1つより多くのコドンにより特定される。従って、縮重ヌクレオチド配列が含まれる。ポリヌクレオチドは、1つ以上のアミノ酸残基の一致または位置に関して天然に存在する形態とは異なる(ポリペプチドについて特定された残基のすべてより少ない残基を含有する欠失アナログ、1つ以上の特定された残基が他の残基により置換されている置換アナログおよび1つ以上のアミノ酸残基がポリペプチドの末端または中間部分に付加されている付加アナログ)且つ天然に存在する形態の一部またはすべての性質を共有する、抗原性ポリペプチドのポリペプチドアナログ、フラグメントまたは誘導体をコードするポリヌクレオチドも含む。これらの分子は、例えば、選ばれた非哺乳動物ホストによる発現のために適当なコドンの組み込み;制限エンドヌクレアーゼ酵素による開裂のための部位の提供;および容易に発現されるベクターの構築を促進する追加の最初の、末端のまたは中間のDNA配列の提供を含む。
【0079】
ポリヌクレオチドは、タンパク質主鎖に置換、挿入または欠失を含有するポリペプチドまたは完全長タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。関連したポリペプチドは、種々の欠失、置換および他の改変に対する相同性の程度を割り当てることによりアライメントされる。相同性は、全体のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに沿ってまたは連続した残基のサブセットに沿って決定されうる。百分率一致は、2つの配列を比較するとき同一であるアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。百分率類似性は、2つの配列を比較するとき、化学的に類似しているアミノ酸またはヌクレオチドの百分率である。相同性ポリペプチドは、好ましくは25%以上同一であり、好ましくは30%以上同一であり、更に好ましくは35%以上同一でありまたは最も好ましくは、40%以上同一である。
【0080】
本明細書に開示されたプラスミドは、市販されているか、制限なしに公的に入手可能であるかまたは周知の公開された手順のルーチンな適用により入手可能なプラスミドから構築されうる。多くのプラスミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターは周知でありそして容易に入手可能であるか、または当業者は使用のために適当な任意の数の他のプラスミドを容易に構築することができる。これらのベクターは、適当なホスト細胞にトランスフォーメーションされて、細胞運搬体の生物学的活性を有するポリペプチドの産生のためのホスト細胞ベクターシステムを形成することができる。適当なホストは、微生物、例えばバクテリア、酵母、昆虫または哺乳動物生物または細胞系を含む。適当なバクテリアの例は、E.coliおよびB.subtilisである。好ましい酵母ベクターは、pRS426−Galである。適当な酵母の例は、SaccharomycesおよびPichiaである。適当な両生類細胞はゼノプス細胞である。昆虫細胞系のための適当なベクターは、バキュロウイルスベクターを含む。ラットまたはヒト細胞は好ましい哺乳動物細胞である。
【0081】
リコンビナントDNAによるホスト細胞のトランスフォーメーションは、当業者に周知の慣用の技術により行うことができる。「トランスフォーメーション」は、新規なDNA(即ち、細胞に対して外因性のDNA)の組み込みの後に細胞において誘導された永久的または一過性の遺伝子変化を意味する。細胞が哺乳動物細胞である場合は、永久的遺伝子変化は、一般に、細胞のゲノムへのDNAの導入により達成される。「トランスフォーメーションされた細胞」または「ホスト細胞」は、細胞(例えば原核細胞または真核細胞)であって、それに(またはその先祖に)リコンビナントDNA技術によって本発明のポリペプチド(即ち、INDYポリペプチド)をコードするDNA分子またはそのフラグメントが導入されている、細胞を意味する。
【0082】
ホストが原核生物、例えばE.coliである場合は、DNAを取りこむことができるコンピテント細胞は、対数増殖期後に回収され次いで当技術分野で周知の手順によりCaCl2法により処理された細胞から、調製されうる。または、MgCl2もしくはRbClを使用することができる。トランスフォーメーションは、ホスト細胞のプロトプラストを形成した後またはエレクトロポレーションにより行うこともできる。
【0083】
ホストが真核生物であるときは、DNAによるトランスフェクションのこのような方法は、リン酸カルシウム共沈法、慣用の機械的方法、例えばマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームに包まれたプラスミドの挿入またはウイルスベクターならびに当技術分野で知られている他の方法を含む。真核細胞は、この開示のポリペプチドをコードするDNA配列およびヘルペスシンプレックスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子により共トランスフェクションされることもできる。他の方法は、シミアンウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルスなどの真核生物ウイルスベクターを使用して、真核細胞を一過性に感染またはトランスフォーメーションしそしてタンパク質を発現することである。(Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982)。好ましくは、真核生物ホストは、本明細書に記載されたホスト細胞として利用される。真核細胞は、酵母細胞(例えば、Sacchromyces cerevisiae)であることができまたはヒト細胞を含む哺乳動物細胞であることができる。
【0084】
リコンビナントウイルスまたはウイルスエレメントを利用して発現を指向する哺乳動物細胞システムは、工学的に産生されうる。例えば、アデノウイルス発現ベクターを使用するとき、外来タンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルス転写/翻訳コントロール複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列にライゲーションさせることができる。このキメラ遺伝子は、次いでインビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノム内に挿入されうる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入は、感染したホストにおいて生存可能でありそしてポリペプチドを発現することができるリコンビナントウイルスをもたらすであろう(例えば、Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.81:3655-3659, 1984)。
【0085】
リコンビナントタンパク質の長期間の高収率産生のために、安定な発現が好ましい。ウイルス複製起点(viral origins of replication)を含有する発現ベクターを使用するよりはむしろ、適切な発現コントロールエレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)によりコントロールされたインターロイキン/インターロイキンレセプター融合タンパク質をコードするcDNAおよび選択可能なマーカーでホスト細胞をトランスフォーメーションすることができる。リコンビナントプラスミドにおける選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を与えそして細胞がプラスミドをその染色体に安定に組み込みそして成長して病巣(foci)を形成することを可能とし、病巣は細胞系にクローニングされそしてエキスパンションされうる。例えば、外来DNAの導入の後、工学的に産生された細胞は、濃縮された培地において1〜2日成長させることができ、次いで選択培地に切り替えられる。ヘルペスシンプレックスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:233,1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 48:2026, 1962)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowry et al., Cell 22: 817, 1980)遺伝子を含むがそれらに限定されない多数の選択システムを使用することができる。
【0086】
他の態様では、本発明は、インターロイキンポリペプチド、インターロイキンレセプターポリペプチド、抗体ポリペプチドおよびキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドまたは生物学的に活性なその一部をコードする単離された核酸分子に関する。ハイブリダイゼーションプローブとして使用してキメラインターロイキン/インターロイキンレセプターコード核酸を同定するために十分な核酸フラグメントおよびキメラインターロイキン/インターロイキンレセプター核酸分子の増幅および/または突然変異のためのPCRプライマーとして使用するためのフラグメントも本発明内に含まれる。本明細書で使用された用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して発生させたDNAまたはRNAのアナログならびにその誘導体、フラグメントおよび相同体を含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることができるが、好ましくは二本鎖DNAを含む。
【0087】
更に他の好ましい態様では、本発明は、(a)少なくとも2つのリンホカインまたはリンホカインレセプターからの核酸を組み換えて核酸のまライブラリーを創生すること;(b)リコンビナント遺伝子をコンピテント細胞にトランスフォーメーションすること;(c)細胞をスクリーニングすること;(d)他の核酸との組換えのための更なるサイクルのために所望の核酸を単離することの1つ以上を含む本発明の核酸を単離するための方法を含む。本発明の方法は、リコンビナント核酸、プラスミドベクターまたはその両方の構築およびトランスフォーメーションされたホスト細胞における遺伝子の発現を含むこともできる。これらの目標を達成するために必用な分子クローニング技術は、当技術分野で周知である。
【0088】
インターロイキンコード核酸は、成熟インターロイキンポリペプチドをコードすることができる。本明細書で使用された、本発明において開示された「成熟した」形態のポリペプチドまたはタンパク質は、天然に存在するポリペプチド、前駆体形態、プレプロプロテインまたはプロプロテインの産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロプロテインは、非限定的例として、対応する遺伝子によりコードされた完全長遺伝子産物を含む。または、それは、本明細書に記載されたORFによりコードされたポリペプチド、前駆体またはプロプロテインとして定義されうる。産物「成熟」形態は、非限定的例として、遺伝子産物を生じさせる細胞(ホスト細胞)内で行われうる1つ以上の天然に存在するプロセッシング工程の結果として生じる。「成熟」形態のポリペプチドまたはタンパク質をもたらすこのようなプロセッシング工程の例は、ORFの開始コドンによりコードされたN末端メチオニン(Met)残基の開裂またはシグナルペプチドもしくはリーダー配列のタンパク質分解開裂を含む。かくして、残基1〜n(式中、残基1はN末端メチオニンである)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、N末端メチオニンの除去後に残っている残基2〜nを有するであろう。または、残基1から残基MetまでのN末端シグナル配列が開裂されている、残基1〜nを有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、残っている残基Met+1から残基nまでの残基を有するであろう。更に本明細書で使用された「成熟」形態のポリペプチドまたはタンパク質は、タンパク質分解開裂事象以外の翻訳後の改変から生じることができる。このような追加のプロセスは、非限定的例として、グリコシル化、ミリストイル化、オリゴマー化またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これらのプロセスの1つのみの操作またはそれらのいずれかの組合わせから生じることができる。
【0089】
本発明の核酸は、cDNA、mRNAを使用して、または別法として、標準PCR増幅技術に従う適切なオリゴヌクレオチドプライマーと共にテンプレートとしてゲノムDNAを使用して、増幅することができる。更に、配列番号1〜4および13〜16に対応するオリゴヌクレオチドおよびその一部および組み合わせは、例えば自動化DNA合成機を使用して、標準合成技術により調製することができる。
【0090】
ポリペプチド
本発明は、インターロイキンの治療有効性は、インターロイキンをインターロイキンレセプターまたはその可溶性部分にプレカップリングまたは複合体化することにより増強させることができるという驚くべき且つ予想外の発見に基づいている。ある態様では、本発明は、本発明の治療ポリペプチド複合体を形成するための方法を含む。1つの態様では、この方法は、適当な量の少なくとも1つのリンホカインポリペプチドまたはその一部を提供し、適当な量の少なくとも1つのリンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部を提供し、適当なpHおよびイオン条件化下に、複合体形成を可能とするのに十分な期間、リンホカインおよびリンホカインレセプターポリペプチドを混合し、そして場合により複合体を濃縮または精製することを含む。複合体のポリペプチドは、例えば、標準方法に従うペプチド合成機を使用し;細胞または細胞抽出物において別々に各成分ポリペプチドを発現させ、次いでポリペプチドを単離しそして精製することにより、形成されうる。場合により、本発明の治療ポリペプチド複合体は、同じ細胞または細胞抽出物において本発明の複合体の両ポリペプチド成分を発現させ、次いで例えば、クロマトグラフィー技術、例えば、リンホカイン部分に対する抗体、リンホカインレセプター部分に対する抗体または複合体に対する抗体によるアフィニティークロマトグラフィーを使用して、複合体を単離および精製することにより、形成されうる。更に、本発明は、フレーム内の(in-frame)且つインターロイキンレセプターまたはその一部と連続した、インターロイキンを含むキメラまたは融合タンパク質の発現を含む。
【0091】
図12は、本発明の複合体が、IL−15単独の投与に対してインビボでのより長い半減時間を示す治療組成物をもたらす、ことを示す。従って、好ましい態様では、本発明の治療ポリペプチド複合体は、少なくとも1つのリンホカインレセプターとプレカップリングまたは複合体化された少なくとも1つのリンホカインポリペプチドまたはその一部を含み、その際該複合体はIL−15単独より長いインビボ半減時間および高い有効性を示す。他の態様では、複合体は、約1時間より長いインビボ半減時間を示す。この態様の1つの局面では、本発明の治療複合体は、バクテリア細胞または真核細胞において発現されたリコンビナントポリペプチドから形成されるかまたは化学的に合成されたペプチドの使用により形成される。ある態様では、リンホカインポリペプチドまたはその一部は、配列番号5、6、10、12およびその組合わせからなる群より選ばれるメンバーである。ある態様では、リンホカインレセプターポリペプチドまたはその一部は、配列番号7、8、9、11およびその組合わせからなる群より選ばれるメンバーである。他の態様では、本発明の治療複合体は、それを必要としている生物に投与されるとき、リンホカイン、例えばIL−15またはIL−2単独の送達に比較して、増加した有効性を示す。
【0092】
他の好ましい態様では、本発明は、インターロイキンポリペプチドを可溶性インターロイキンレセプタードメインと共にインキュベーションすることによりまたはリンホカインポリヌクレオチドセグメントおよびリンホカインレセプターポリヌクレオチドセグメントを含む新規なキメラ核酸分子を発現させることにより発生させた、少なくとも1つのインターロイキンレセプター、例えば、IL−15Ra、IL−2Ra、その一部または組み合わせとプレカップリングされまたは複合体化された少なくとも1つのインターロイキン、例えば、IL−15、IL−2、その一部または組み合わせを含む、プレカップリングされた治療ポリペプチド複合体を創生する方法に関する。好ましい態様では、本発明は、リンホカイン部分およびリンホカインレセプター部分を提供し、そして複合体形成を可能とするための、イオンおよびpH緩衝化条件下に適当な長さの時間結合させることを含む、リンホカインおよびリンホカインレセプターをプレカップリングさせる方法を提供する。特に好ましい態様では、リンホカインポリペプチドは、配列番号5、6、その一部または組み合わせからなる群より選ばれ、そしてリンホカインレセプターポリペプチドは、配列番号7、8、その一部または組み合わせからなる群より選ばれる。1つの態様では、本発明は、バッファー、例えばPBS中に再懸濁させた単離されたポリペプチド成分を提供し、ポリペプチドを混合し、そして約26〜約40℃で約1〜約60分間インキュベーションすることを含む、複合体を形成するための方法を含む。更なる態様では、リンホカインレセプターポリペプチドは、リンホカイン結合部分および抗体Fc部分のキメラを含む。好ましい態様では、配列番号6またはその一部、および配列番号8−Fcキメラ分子を両方ともPBS中に懸濁させ、混合しそして約35〜約39℃で約20分〜約40分間インキュベーションする。
【0093】
他の態様では、配列番号5〜12に対して相同性の実質的に純粋なポリペプチドが提供される。「実質的に純粋なポリペプチド」は、天然にインターロイキンもしくはインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を伴っている成分から分離された、インターロイキンもしくはインターロイキンレセプターまたはその一部である。典型的には、ポリペプチドは、それが少なくとも60重量%であり、それが自然に結合しているタンパク質および自然に存在する有機分子を含まないとき、実質的に純粋である。好ましくは調製物は、少なくとも75重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%インターロイキンおよび/またはインターロイキンレセプターポリペプチドである。実質的に純粋なポリペプチドは、例えば、天然のソース(例えば、真核細胞)からの抽出により;ポリペプチドをコードするリコンビナント核酸の発現により;またはタンパク質を化学的に合成することにより得られうる。純度は、任意の適当な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりまたはHPLC分析により測定されうる。
【0094】
インターロイキンおよびインターロイキンレセプターポリペプチドの機能のために必須のアミノ酸は、当技術分野で知られた技法、例えば部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発に従って同定されうる(Cunningham and Wells, Science 244:1081-1085, 1989; Bass et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4498-4502, 1991)。後者の技術において、単一のアラニン突然変異を分子中の種々の異なる残基において導入し、そして得られる突然変異体分子を生物学的活性について試験して(例えば、リガンド結合およびシグナル伝達)、分子の活性に決定的に重要なアミノ酸残基を同定する。リガンドタンパク質相互作用の部位は、核磁気共鳴、結晶学またはフォトアフィニティー標識化などの技術により決定される結晶構造の解析により決定することもできる(例えば、de Vos et al., Science 255: 306-312, 1992; Smith et al., J. Mol. 224:899-904, 1992; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992参照)。必須アミノ酸の一致は、関連したタンパク質との相同性の解析から推測することもできる。
【0095】
多重アミノ酸置換は、突然変異誘発およびスクリーニングの既知の方法、例えばReidhaar-Olson and Sauer(Science 241: 53-57, 1988; またはSauer Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156,1989)により開示された方法を使用して行われそして試験されうる。簡単に言えば、これらの著者は、ポリペプチドにおける2つ以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドについて選択し、次いで突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して各位置における許容できる置換のスペクトルを決定するための方法を開示している。使用することができる他の方法は、ファージディスプレー(例えば、Lowman et al., Biochem. 30: 10832-10837, 1991; Ladner et al., U.S.Pat.No.5,223,409; Huse, WIPO Publication WO 92/06204)および領域特異的突然変異誘発(region-directed mutagenesis)(Derbyshire et al., Gene 46: 145, 1986; Ner et al., DNA 7: 127, 1988)を含む。上記に開示された突然変異誘発方法は、高スループットスクリーニング法と組み合わせて、ホスト細胞においてクローニングされた、突然変異誘発されたタンパク質の活性を検出することができる。活性なタンパク質またはその一部(例えばリガンド結合フラグメント)をコードする突然変異誘発されたDNA分子は、ホスト細胞から回収することができそして現代の装置を使用して迅速に配列決定することができる。これらの方法は、関心のあるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な決定を可能としそして未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0096】
上記した方法を使用して、当業者は、配列番号5〜12またはそのアレル変異体に対して実質的に相同性でありそして野生型ポリペプチドの性質を保持する種々のポリペプチドを調製することができる。本明細書で表現されそして特許請求の範囲に請求された、用語「配列番号5〜12により規定されたポリペプチド」は、ポリペプチドのすべてのアレル変異体および種オーソログ(species orthologs)を含む。本明細書で使用される用語「ポリペプチド」は、改変された配列、例えば、糖タンパク質を含み、そして特に、天然に存在するポリペプチドまたはタンパク質ならびに、少なくとも2つの異なるコンフォメーションにおいて存在し、両コンフォメーションは同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有するが異なる三次元構造を有する、リコンビナントにまたは合成により合成されるポリペプチドまたはタンパク質を包含することを意図する。「フラグメント」は、天然に存在するタンパク質の一部である。フラグメントは、天然に存在するタンパク質と同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有することができる。
【0097】
この開示は、多数の基準のいずれかにより判定して、インターロイキンおよびインターロイキンレセプター遺伝子産物に機能的に同等なタンパク質も包含し、該基準は、得られる生物学的効果、例えば免疫細胞の増殖などの表現型の変化、遺伝子発現の変化、例えばIL−15および/またはIL−2シグナリング経路の活性化を確認する特異的バイオマーカーの変化、を含むがそれらに限定されない。このような機能的に同等なタンパク質は、記載されたヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列の範囲内のアミノ酸残基の付加または置換を含むが、サイレント変化または「保存的突然変異」をもたらし、従って機能的に同等な遺伝子産物を産生する。基準配列に対して100%未満同一であるポリペプチド配列の場合に、非同一の位置は好ましくはしかし必ずしもそうではないが、基準配列に対する保存的置換である。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1つ以上の予言された非必須アミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野内で定義された。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷のない極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、タンパク質における予言された非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファリーからの他のアミノ酸残基で置換される。または、他の態様では、飽和突然変異誘発によるなどの突然変異が、コード配列のすべてまたは一部に沿ってランダムに導入され得、そして得られる突然変異体は、生物学的活性についてスクリーニングされて活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされたタンパク質を、当技術分野で知られた任意のリコンビナント技術により発現することができそしてタンパク質の活性を決定することができる。
【0098】
ポリヌクレオチドは、例えば、カラムでの捕捉または抗体の使用により精製を促進する付加されたC末端またはN末端アミノ酸のためのコード配列の付加などの追加の配列を与えるようにデザインすることもできる。このようなタグは、例えば、ニッケルカラムでのポリペプチドの精製を可能とするヒスチジンに富んだタグを含む。このような遺伝子改変技術および適当な追加の配列は、分子生物学の分野で周知である。
【0099】
他の態様では、本発明は、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも30%の相同性を有するポリペプチドを、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも30%の相同性を有するポリペプチドと共に含むペプチド複合体に関する。他の態様では、本発明は、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドを、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドと共に含むペプチド複合体に関する。他の態様では、本発明は、配列番号7、8、9、11、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーとカップリングさせたまたは複合体化させた、配列番号5、6、10、12、その一部および組み合わせからなる群より選ばれるメンバーを含む。
【0100】
細胞増殖、例えば、免疫細胞増殖、腫瘍量もしくは形成の減少または腫瘍耐性の増加は、本発明の複合体の有効性を評価するのに使用することができるパラメーターである。本発明の方法に使用するために適当な細胞の増殖能力を評価するための多くの方法があることは、当業者により理解されるであろう。例えば、上記Li et al.(1997)に記載されたとおり、細胞を、BrdUでインビトロで(またはインビボで)標識して分裂している細胞の百分率を決定することができまたはコロニー形成アッセイを使用して評価することができる。増殖能力の解析のために適当な細胞は、組織培養で成長させた細胞、試験化合物で処理された動物から単離された細胞、生きている動物の一部である細胞、または動物から得られた組織切片の一部である細胞を含む。
【0101】
本発明の上記アッセイ法の1つより多くの態様では、インターロイキン、インターロイキンレセプターまたはインターロイキン/インターロイキンレセプター複合体を固定化して、複合体化されていない形態のタンパク質からの複合体化されたタンパク質の分離を促進することは望ましくありうる。1つの態様では、タンパク質の1つまたは両方がマトリックスに結合することを可能とするドメインを付加するインターロイキンまたはインターロイキンレセプター融合タンパク質が提供されうる。例えば、GST−融合タンパク質またはGST−ターゲット融合タンパク質はグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、そしてインターロイキンとインターロイキンレセプターの混合物を複合体形成を促す条件下に(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)インキュベーションさせる。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウエルを洗浄して任意の結合していない成分を除去し、ビーズの場合には固定化されたマトリックスおよび複合体の量を直接または間接に決定する。または、複合体をマトリックスから解離させることができ、そして量または活性を標準技術を使用して決定することができる。
【0102】
マトリックス上のタンパク質を固定化するための他の技術を本発明で使用することもできる。例えば、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用してタンパク質を固定化することができる。当技術分野で周知の技術(例えばビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)からビオチニル化タンパク質分子を調製することができ、そしてストレプトアビジンでコーティングされた96ウエルプレート(Pierce Chemical)のウエルにおいて固定化することができる。または、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターと反応性であるが結合を妨害しない抗体を、プレートのウエルに誘導体化することができ、そしてタンパク質複合体を抗体コンジュゲーションによりウエル内に捕捉することができる。GST−固定化複合体について上記した方法の外に、このような複合体を検出するための方法は、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターポリペプチドと反応性の抗体を使用する複合体の免疫検出および、インターロイキンまたはインターロイキンレセプターポリペプチドと会合した酵素活性を検出することに頼る酵素結合アッセイを含む。
【0103】
他の好ましい態様は、有効量の本発明の治療ポリペプチド複合体を個体に投与することを含む、免疫応答をモデュレーション、抑制または増大させるための方法に関する。この方法の他の局面は、少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤、佐剤、生物学的に活性な作用物質またはそれらの組み合わせと組み合わせて有効量の治療ポリペプチド複合体を投与することを含む。
【0104】
他の態様では、本発明は、リンホカイン単独よりも、実質的により長いインビボ半減時間および実質的により高い有効性を示すリンホカインおよびリンホカインレセプターのプレカップリングされた複合体の投与により、免疫の増強を必用としている生物の免疫を増強するための方法を提供する。更に、この態様は、リンホカイン応答性免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞等のホメオスタティック増殖を推進する方法も含む。好ましい態様のあるものでは、本発明の態様が、ヒト免疫グロブリンFcフラグメントを含有するリンホカインレセプター分子の使用を含む。例えば、IL−15Ra−Fc構築物は、R&D Systems(Minneapolis, MN)から市販されている。更に、本発明の複合体のリンホカインレセプタードメインは場合により免疫グロブリンFcフラグメントを除去されてもよいことは、当業者により認識されるであろう。
【0105】
他の態様では、本発明は、癌、感染に対する免疫応答を増加させるためまたは任意の種類の予防接種を増強させるためのアジュバントとして複合体を適用するための方法を含む。この態様の1つの局面では、本発明の複合体は、骨髄移植、幹細胞移植の後またはAIDS等の免疫不全の場合に免疫系再構成を増強させるために使用される。本発明は、本発明の複合体を使用して、後に養子免疫治療のために使用されうるインビトロでのリンパ球の成長を助ける方法であって、患者を提供し;患者からある容積の血液を取り出し;そして患者のリンパ球を単離し;リンパ球を有効量の本発明の複合体で処理し;そして処理されたリンパ球を患者に戻し投与することを含む、方法も含む。
【0106】
好ましい態様の更に他のものでは、本発明は、リンホカイン活性、例えばIL−15のアンタゴニストとして使用されるように改変された複合体を使用する方法を含む。例えば、リンホカインまたはリンホカインレセプター、例えばIL−15またはIL−15Raの配列改変により、組み合わされた複合体は、インビトロでのリンホカイン活性の阻害剤とされうる。このような分子は、自己免疫、移植片拒絶または移植片対ホスト病における潜在的治療効果を有することができる。
【0107】
好ましい態様のいずれかにおいて、リンホカイン/リンホカインレセプター複合体分子の可能なリコンビナント形態のいずれかが意図される。例えば、リンホカインレセプター遺伝子、例えば、IL−2Ra、IL−15Ra、その一部または組み合わせおよび場合により抗体のFc部分、に融合されたリンホカイン遺伝子、例えばIL−2、IL−15、その一部または組み合わせを含有する遺伝子構築物から産生された単一鎖ポリペプチド分子。ある態様では、遺伝子構築物は、リンカーポリペプチドをコードする1つ以上の核酸配列を更に含むことができる。複合体における立体的拘束またはコンフォメーション拘束を緩和するのに役立つことに加えて、リンカー配列は、他の性質、例えば、ヌクレアーゼ認識配列、プロテアーゼ認識配列、光反応性ドメイン、疎水性ドメイン、親水性ドメイン、活性ドメイン、酵素機能、化学的改変もしくはコンジュゲーションのための部位、精製のための部位、等を付与することができると考えられる。更なる態様では、本発明は、複合体のマルチマー形態、例えば、ダイマー、トリマー等の発現を可能とするようにタンデムでライゲーションされた少なくとも1つのリンホカイン遺伝子および少なくとも1つのリンホカインレセプター遺伝子からなるキメラ分子を提供する。これらのタンパク質は、真核細胞または原核細胞において産生することもできる。
【0108】
キメラおよび融合タンパク質
前記したとおり、本発明は、キメラタンパク質または融合タンパク質も提供する。本明細書で使用された、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、他のポリペプチド、例えば、配列番号5〜12またはその一部から選ばれた1つ以上のポリペプチド、に作用的に連結されたポリペプチドを含む。これに対して、配列番号5〜12から選ばれたポリペプチドは少なくとも30%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。融合タンパク質内では、ポリペプチドは、配列番号5〜12から選ばれたポリペプチドのすべてまたは一部に相当することができる。1つの態様では、融合タンパク質は、タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。他の態様では、融合タンパク質は、配列番号5〜12から選ばれた少なくとも1つのタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。更に他の態様では、融合タンパク質は、配列番号5〜12から選ばれた少なくとも1つのタンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質の範囲内で、用語「作用的に連結された」は、別個のポリペプチドがN末端またはC末端でお互いにフレーム内で融合されていることを示すことを意図する。
【0109】
上記アッセイ法の1つより多くの態様で、本発明のキメラポリペプチドを固定化してタンパク質の分離を促進することが望ましくありうる。1つの態様では、タンパク質がマトリックスに結合することを可能とするドメインを付加する融合タンパク質が提供されうる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質またはビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーション。
【0110】
1つの態様では、融合タンパク質は、ポリペプチド配列がGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のN末端またはC末端に融合されているGST−融合タンパク質である。他の態様では、融合タンパク質はそのN末端に異種シグナル配列を含有する。あるホスト細胞(例えば哺乳動物ホスト細胞)では、発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用により増加させることができる。更に他の態様では、融合タンパクは、本発明のポリペプチドまたはポリペプチド複合体が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合されている免疫グロブリン融合タンパク質である。1つの態様では、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、医薬組成物に配合することができ、そして被験体に投与してリガンドと細胞の表面のタンパク質との相互作用をモデュレーションすることができる。免疫グロブリン融合タンパク質は、コグネートリガンドのバイオアベイラビリティーに影響を及ぼすのに使用することができる。リガンド相互作用の抑制は、増殖および分化障害の処置の両方ならびに細胞生存をモデュレーションすること(例えば促進または抑制すること)のために治療的に有用でありうる。更に、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、免疫原として使用して、被験体において抗体を産生させ、リガンドを精製しそしてスクリーニングアッセイにおいて相互作用を抑制する分子を同定することができる。
【0111】
本発明のキメラまたは融合タンパク質は、標準リコンビナントDNA技術により産生することができる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、慣用の技術に従って、例えば、ライゲーションのための平滑末端または付着末端、適切な末端を与えるための制限酵素消化、必要に応じて付着末端の充填(filling-in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理および酵素ライゲーションにより、インフレームで互いにライゲーションされる。他の態様では、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む慣用の技術により合成されうる。または、後にアニーリングされそして再増幅されてキメラ遺伝子配列を発生することができる2つの連続した遺伝子フラグメント間の相補性オーバーハングを生じるアンカープライマーを使用して、遺伝子フラグメントのPCR増幅を行うことができる(例えば、Ausbel, et al.(eds) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley&Sons, 1992参照)。更に、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)を既にコードする多くの発現ベクターが市販されている。配列番号1〜4および13〜16の1つ以上を、融合部分が所望のポリペプチドにフレーム内で連結されるように、このような発現ベクターにクローニングすることができる。
【0112】
抗体
本明細書で使用された用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、即ち、少なくとも1つの、好ましくは2つの重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略記される)および少なくとも1つの、好ましくは2つの軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略記される)を含む、抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントおよびFab発現ライブラリーを含むが、それらに限定されない。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域(FR)」と呼ばれる、より保存された領域に散在した(interspersed)「相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる、超化変性の領域に更に小分けされうる。フレームワーク領域およびCDR’sの長さは、正確に定義されている(Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S.Department of Health and Human Services, NIH Publication No.91-3242, and Chthia, C. et al. (1987) J.Mol.Biol.196:901-917、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。各VHおよびVLは、下記の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、にアミノ末端からカルボキシ末端まで配列された3つのCDR’sおよび4つのFRsからなる。一般に、ヒトから得られた抗体分子は、クラス、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのいずれかに関し、これらは分子中に存在する重鎖の性質により互いに異なる。あるクラスは、IgG1、IgG2およびその他などのサブクラスも有する。更に、ヒトでは、軽鎖は、κ鎖またはλ鎖であることができる。本明細書での抗体に関する言及は、すべてのこのようなクラス、サブクラスおよびヒト抗体種のタイプに対する言及を含む。
【0113】
抗体は、免疫感作剤として関心のあるペプチドを含有するインタクトなポリペプチドまたはフラグメントから調製されうる。好ましい抗原性ポリペプチドフラグメントは、配列番号5〜12の15〜100の連続したアミノ酸である。1つの態様では、ペプチドは、ポリペプチドの非膜貫通ドメイン、例えば細胞外ドメインまたは細胞内ドメインに位置している。例示的抗体または抗体フラグメントは、細胞外環境からアクセス可能なそしてタンパク質の機能性を変化させるエピトープに結合する。ある態様では、本発明は、配列番号5〜12、その変異体、一部および/または組み合わせのいずれかの1つ以上のエピトープを認識する且つ該エピトープに対して特異的な抗体を含む。他の態様では、本発明の抗体は、インターロイキン/インターロイキンレセプター複合体それ自体に対して特異的であることができる。更に他の態様では、インターロイキンに対して特異的な抗体は、「インターロイキンレセプター」として機能することができ、即ち、インターロイキンレセプターポリペプチド、即ち、IL−15Raおよび/またはIL−2Raの可溶性部分を含む複合体で観察された機構と同様なトランス提示機構において機能することができる。別の態様では、本発明の抗体は、インターロイキン/インターロイキンレセプター相互作用をターゲティングしそしてそれを妨害してインターロイキンシグナリングを抑制することができる。
【0114】
ポリクローナル抗体の調製は、分子生物学技術分野において周知であり、例えば、Production of Polyclonal Antisera in Immunochemical Processes(Manson, ed), pages1-5(Humana Press 1992) and Coligan et al., Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats, Mice and Hamsters in Current Protocols in Immunology, section2.4.1(1992)参照。モノクローナル抗体の調製も当技術分野で周知である;例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, npage 726(Cold Spring Harbor Pub. 1988)。
【0115】
モノクローナル抗体は、マウスまたはウサギに抗原を含む組成物を注射し、血清サンプルを取り出すことにより抗体産生の存在を証明し、脾臓を取り出してBリンパ球を得、リンパ球をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを産生し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を産生するポジティブクローンを選択しそしてハイブリドーマ培養物から抗体を単離することにより得ることができる。モノクローナル抗体は、当技術分野で周知の技術によりハイブリドーマ培養物から単離および精製することができる。
【0116】
他の態様では、抗体は、リコンビナントに産生することができ、例えば、ファージディスプレーによりまたはコンビナトリアル法により産生されうる。ファージディスプレーおよびコンビナトリアル法を使用して、配列番号5〜12またはそのフラグメントに結合する抗体を単離することができる(例えば、Ladner et al. International Publication No. WO91/17271; Winter et al. International Publication WO92/20791; Markland et al. International Publication No. WO92/15679; Breiting et al. International Publication WO93/01288; McCafferty et al. International Publication No.WO92/01047; Garrard et al. International Publication No. WO92/09690; Ladner et al. International Publication No. WO90/02809; Fuchs et al.(1991)Bio/Technology9:1370-1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81-85; Huse et al.(1989)Science246:1275-1281; Griffths et al.(1993)EMBO J.12:725-734; Hawkins et al.(1992)K Mol Biol 226:889-896; Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628; Gram et al.(1992) PNAS 89:3576-3580; Garrad et al.(1991)Bio/ Technology 9:1373-1377; Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133-4137; and Barbas et al.(1991)PNAS 88:7978-7982に記載されているとおり)。
【0117】
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系よりはむしろヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを使用して発生させることもできる。関心のある抗原で免疫感作されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾細胞を使用して、ヒトタンパク質からのエピトープに対する特異的アフィニティーを有するヒトmAbsを分泌するハイブリドーマを産生する(例えば、Wood et al. Intenational Application WO91/00906, Kucherlapati et al. PCT publication WO91/10741; Lonberg et al. Intenational Application WO92/03918; Kay et al. Intenational Application92/03917; Lonberg, N. et al/ 1994 Nature 368:856-859; Green, L.L. et al. 1994 Nature Genet. 7:13-21; Morrison, S.L. et al.1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855; Bruggeman et al.1993 Year Immunol 7:33-40; Tuailon et al. 1993 PNAS 90:3720-3724; Bruggeman et al.1991 Eur J Immunol 21:1323-1326参照)。
【0118】
本発明の複合体の成分または複合体それ自体に対する治療的に有用な抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体に由来することができる。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重可変鎖および軽可変鎖からのマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに移し、次いでヒト残基をマウス対応物のフレームワーク領域に置換することにより産生される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分の使用は、マウス定常領域の免疫原性と関連した潜在的問題を予防する。ヒト化モノクローナル抗体を産生するための技術は、Iones et al., Nature 321: 522, 1986 and Singer et al., J. Immunol. 150:2844,1993において見出されうる。抗体は、コンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーから単離されたヒト抗体フラグメントに由来することもでき;例えばBarbas et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2, 119, 1991参照。
【0119】
更に、キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的特異性のヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることにより得ることができ;例えば、Takeda et al., Nature 314: 544-546,1985参照。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物に由来するキメラ抗体である。
【0120】
抗イディオタイプ技術を使用して、エピトープを模擬するモノクローナル抗体を産生することができる。第1モノクローナル抗体に対して作られた抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第1モノクローナル抗体により結合されたエピトープの「イメージ」である超可変領域において結合ドメインを有するであろう。または、単一鎖抗体を産生するのに使用された技術は、単一鎖抗体を産生するのに使用することができる。単一鎖抗体は、アミノ酸ブリッジを介してFv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントを連結して単一鎖ポリペプチドをもたらすことにより形成される。特異的エピトープ、例えば細胞外エピトープを認識する抗体フラグメントは、当技術分野で周知の技術により発生させることができる。このようなフラグメントは、タンパク質分解消化により産生されたFabフラグメント、およびジスルフィドブリッジを還元することにより発生されたFabフラグメントを含む。免疫治療様に使用されるとき、モノクローナル抗体、そのフラグメント、またはその両方は、治療剤で標識されていなくても標識されていてもよい。これらの作用物質は、当技術分野で周知の技術によりモノクローナル抗体に直接または間接にカップリングされ得、そして薬物、放射性同位元素、レクチンおよび毒素などの作用物質を含む。
【0121】
モノクローナル抗体の投与のための投薬量範囲は、所望の効果を生じるのに十分大きく、そして年齢、状態、重量、性、年齢および処置されるべき状態の程度と共に変わり、そして当業者により容易に決定することができる。投薬量は、約0.1mg/kg〜約2000mg/kgであることができる。モノクローナル抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内および/または皮下に投与することができる。
【0122】
本発明のある態様では、抗原性ペプチドにより含まれる少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の表面に位置する配列番号5〜12の領域、例えば親水性領域である。タンパク質配列の疎水性解析は、ポリペプチドのその領域が特に親水性であり、従って抗体産生をターゲティングするために有用な表面残基をコードしていそうであることを示すであろう。抗体産生をターゲティングするための手段として、親水性および疎水性の領域を示すヒドロパシープロットは、例えば、the Kyte Doolittle or the Hopp Woods法を含む当技術分野で周知の任意の方法により、フーリエ変換を伴いまたは伴わないで、発生させることができる。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:3824-3828; Kyte and Doolittle 1982,J. Mol. Biol. 157:105-142参照。これらはそのまま参照により本明細書に組み込まれる。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくは相同体内の1つ以上のドメインに対して特異的な抗体も本発明で提供される。本発明のタンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログ、相同体またはオーソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の発生において免疫原として利用することができる。
【0123】
ヒト抗体
完全ヒト抗体は、本質的に、CDRsを含む軽鎖および重鎖の両方の全体の配列がヒト遺伝子から生じる抗体分子に関する。このような抗体は、本明細書では「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」と呼ばれる。ヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 7:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)により調製されうる。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施において利用することができ、そしてヒトハイブリドーマを使用することにより(Cote, et al., 1983.Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)またはヒトB細胞をエプスタインバールウイルスでインビトロでトランスフォーメーションすることにより(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96参照)調製されうる。
【0124】
更に、ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリーを含む追加の技術を使用して産生することもできる(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227:381(1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581(1991)。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリンローカスをトランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されているマウスに導入することにより作ることができる。チャレンジされると、ヒト抗体産生が観察され、これは遺伝子再編成(gene rearrangement)、アセンブリーおよび抗体レパートリーを含む、すべての点でヒトで見られることに密接に類似している。このアプローチは、例えば、U.S.Pat.Nos. 5,545,807; 5,545,806; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 5,661,016, およびMarks et al. (Bio/Technology 10, 779-783(1992)); Lonberg et al.(Nature 368 856-859(1996)); Morrison(Nature Biotechnology 14, 845-51(1996)); Neuberger(Nature Biotechnology 14, 826(1996)); およびLonberg and Huszar(Intern. Rev. Immunol. 13 65-93(1995))に記載されている。
【0125】
ヒト抗体は、更に抗原によるチャレンジに応答して動物の内因性抗体よりはむしろ完全ヒト抗体を産生するように改変されているトランスジェニック非ヒト動物を使用して産生されうる。(PCT publication WO94/02602参照)。非ヒトホストにおける重および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性遺伝子を無能力化し、そしてヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする活性なローカスをホストの遺伝子に挿入する。ヒト遺伝子を、例えば、必用なヒトDNAセグメントを含有する酵母人工染色体を使用して組み込む。次いで、すべての所望の改変を与える動物は、改変の完全相補体(full complement)より少なく含有する中間トランスジェニック動物を交雑することにより先祖として得られる。このような非ヒト動物の好ましい態様はマウスであり、そしてPCT publications WO96/33735およびWO96/34096に開示されたXenomouse(商標)と呼ばれる。この動物は、完全にヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体の調製のように、関心のある免疫原による免疫感作後に動物から直接得ることができ、またはモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマなどの動物に由来する不死化されたB細胞から得ることができる。更に、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子を回収しそして発現させて直接抗体を得ることができるか、またはさらに改変して例えば単一鎖Fv分子などの抗体のアナログを得ることができる。
【0126】
Fabフラグメントおよび単一鎖抗体
本発明に従えは、本発明の抗原性タンパク質に対して特異的な単一鎖抗体の産生に技術を適合させることができる(例えば、U.S.Pat.No.4,946,778参照)。更に、方法をFab発現ライブラリーの構築のために適合させて((例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 1275-1281)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログまたは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速な且つ有効な同定を可能とすることができる。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、(i)抗体分子のペプシン消化により産生されたF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより発生させたFabフラグメント;(iii)ハパインおよび還元剤による抗体分子の処理により発生させたFabフラグメントおよび(iv)Fvフラグメントを含むがそれらに限定されない当技術分野で知られた技術による産生させることができる。
【0127】
二重特異的抗体
二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。この場合に、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質に対してである。第2結合ターゲットは任意の他の抗原であり、そして有利には細胞表面タンパク質またはレセプターまたはレセプターサブユニットである。
【0128】
二重特異的抗体を作るための方法は当技術分野で知られている。従来は、二重特異的抗体のリコンビナント産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づいている(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな種別の故に、これらのハイブリドーマ(クアドロマ(quadromas)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、その1つのみが正しい二重特異的構造を有する。正しい分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィー工程により達成される。同様な手順は、1993年5月13日に公表されたWO93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659(1991)に開示されている。
【0129】
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合されうる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。融合体の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する第1重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、そして適当なホスト生物に共トランスフェクションする。二重特異的抗体を発生させる更なる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210(1986)参照。
【0130】
WO96/27011に記載の他のアプローチに従えば、抗体分子の対間の界面は、リコンビナント細胞培養物から回収されるヘテロダイマーの百分率を最大にするように工学的に作成される。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きい側鎖(1つまたは複数)に同じまたは類似したサイズの補償「キャビティー」は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはトレオニン)で置換することにより第2抗体分子の表面に創生される。これは、ホモダイマーなどの他の望まれない最終産物に対するヘテロダイマーの収率を増化させるための機構を与える。
【0131】
二重特異的抗体は、完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異的抗体)として調製されうる。抗体フラグメントから二重特異的抗体を発生するための技術は、文献に記載されている。例えば、二重特異的抗体は、化学的連結を使用して調製されうる。Brennan et al., Science 229:81(1985)は、インタクトな抗体をタンパク質分解により開裂させてF(ab’)2フラグメントを発生させる技法を記載する。これらのフラグメントは、ジチオール複合化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下に還元されて近接ジチオールを安定化しそして分子間ジスルフィド形成を防止する。次いで発生したFab’フラグメントをチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に転換させる。Fab’−TNB誘導体の1つを、次いでメルカプトエチルアミンによる還元によりFab’−チオールに再転換しそして等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して二重特異的抗体を形成する。産生された二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための作用物質として使用することができる。
【0132】
更に、Fab’フラグメントは、E.coliから直接回収することができ、そして化学的にカップリングさせて二重特異的抗体を形成することができる。Shalaby et al., J.Exp. Med.175:217-225(1992)は、完全にヒト化された二重特異的抗体F(ab‘)2分子の産生を説明する。各Fab’フラグメントをE.coliから別々に分泌させそしてインビトロで指向された化学的カップリングに供して二重特異的抗体を形成した。かくして形成された二重特異的抗体は、ErbB2レセプターおよび正常なヒトT細胞を過発現する細胞に結合することができ、そしてヒト乳癌ターゲットに対してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性をトリガーすることができた。
【0133】
二重特異的抗体フラグメントをリコンビナント細胞培養物から直接作成しそして単離するための種々の技術も記載されている。例えば、二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生された。Kostelny et al., J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。FosおよびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、次いで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法は、抗体ホモダイマーの産生のために利用することもできる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448(1993)により記載された「ダイアボディー」技術は、二重特異的抗体フラグメントを作るための別の機構を与えた。このフラグメントは、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能とするのにはあまりにも短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインを、他のフラグメントの相補性VLおよびVHドメインと対形成するように強制され、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単一鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異的抗体フラグメントを作るための他のストラテジーも報告された。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368(1994)参照。2より多くの結合価を有する抗体が意図される。例えば、三重特異的抗体を調製することができる。Tutt et al., J. Immunol. 147:60(1991)。
【0134】
例示的二重特異的抗体は、2つの異なるエピトープに結合することができ、その少なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原に起源する。または、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームを、T細胞レセプター分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)またはIgGのためのFcレセプター(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)などの白血球上のトリガリング分子に結合するアームと組み合わせて、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞防御機構に焦点を合わせることができる。二重特異的抗体は、特定の抗原を発現する細胞に細胞傷害剤(cytotoxic agent)指向させるのに使用することもできる。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞傷害剤または放射性核種キレーター、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAに結合するアームを有する。
【0135】
ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も、本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合により結合された抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望まれない細胞にターゲティングするため(U.S.Pat.No.4,676,980)およびHIV感染の処置のため(WO91/00360; WO92/200373; EP03089)に提供された。該抗体は、架橋剤を含む合成タンパク質化学を含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製されうることを意図する。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成することにより構築することができる。この目的に適当な試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートおよび例えばU.S.Pat.No.4,676,980に開示された試薬を含む。
【0136】
イムノコンジュゲート
本発明は、化学療法剤、毒素(例えば、バクテリア、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそのフラグメント)または放射性同位元素(即ち、放射性コンジュゲート)などの細胞傷害剤にコンジュゲーションされた抗体を含むイムノコンジュゲートにも関する。抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トリレン2,6−ジイソシアナート)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作られる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science, 238:1098(1987)に記載の如く調製されうる。炭素14標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的キレート化剤である。WO94/11026参照。
【0137】
他の態様では、抗体を腫瘍プレターゲティングにおける利用のための「レセプター」にコンジュゲーションさせることができ、その際抗体−レセプターコンジュゲートは、患者に投与され、次いで清浄剤を使用して結合していないコンジュゲートを循環から除去し、次いで細胞傷害剤にコンジュゲーションされる「リガンド」を投与する。
【0138】
イムノリポソーム
本明細書に開示された抗体をイムノリポソームとして処方することもできる。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688(1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030(1980);およびU.S.Pat.Nos.4,485,045および4,544,545に記載の如き当技術分野で知られている方法により調製される。増強された循環時間を有するリポソームは、U.S.Pat.No.5,013,556に開示されている。
【0139】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG−誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発法により発生させることができる。リポソームを、ジスルフィド交換反応を介してChem. 257:286-288(1982)のフィルターを通して押し出す。化学療法剤(ドクソルビシンなどの)は場合によりリポソーム内に含有される。例えば、Gabizon et al., K. National Cancer Inst., 81(19):1484(1989)参照。
【0140】
本発明の抗体の治療的に有効な量は、一般に治療目的を達成するのに必用な量に関する。上記したとおり、これは、ある場合にはターゲットの機能を妨害しそしてある場合には生理学的応答を促進する、抗体とそのターゲット抗原との結合相互作用であることができる。投与されるのに必要な量は、更にその特異的抗原に対する抗体の結合アフィニティーに依存し、そして投与された抗体が、抗体を投与される他の被験体の遊離量から枯渇する速度にも依存するであろう。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な用量の普通の範囲は、非限定的例として、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であることができる。普通の投与頻度は、例えば2回/日〜1回/週の範囲にあることができる。
【0141】
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体および本明細書に開示されたスクリーニングアッセイで同定された他の分子は、医薬組成物の形態で種々の障害の処置のために投与することができる。このような組成物の調製に関係する原理及び考慮事項ならびに成分の選択の指針は、例えば、Remington: The Science And Practice Of Pharmacy 19thed.(Alfonso R. Gennaro, et al., editors)Mack Pub.Co., Faston, Pa.: 1995; Drug Absorption Enhancement: Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorme,Pa., 1994; and Peptide And Protein Drug Delivery(Advances In Pareteral Sciences, Vol.4), 1991, M.Dekker, New Yorkにおいて提供される。
【0142】
有効成分は、例えばコアセルベーション技術によりまたは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルに閉じ込められる(entrapped)こともでき、コロイド薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルション内に閉じ込められてもよい。インビボ投与のために使用されるべき処方は無菌でなければならない。これは、無菌ろ過膜を通すろ過により容易に達成される。
【0143】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適当な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスであって、成形品、例えばフイルムまたはマイクロカプセルの形態にある半透過性マトリックスを含む。徐放性マトリックスの適当な例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ−(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)またはポリラクチド(U.S.Pat.No.3,773,919)、L−グルタミンとγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリドアセタートからなる注射可能なマイクロスフェア)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。オチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは100日以上の間分子の放出を可能とするが、あるヒドロゲルは、より短い時間の期間タンパク質を放出する。
【0144】
ELISAアッセイ
アナライトタンパク質を決定するための作用物質は、アナライトタンパク質に結合することができる抗体、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル、または更に好ましくはモノクローナル抗体であることができる。インタクトな抗体、そのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab)2)を使用することができる。プローブまたは抗体に関して、用語「標識された」は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリングさせる(即ち、物理的に連結すること)ことによるプローブまたは抗体の直接標識ならびに直接標識される他の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含することを意図する。間接標識の例は、蛍光的に標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出およびDNAプローブを蛍光的に標識されたストレプトアビジンで検出することができるような、ビオチンによるDNAプローブの端部標識を含む。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞および生物学的流体ならびに被験体内に存在する組織、細胞および流体を含むことを意図する。従って、血液ならびに、血清、血漿またはリンパを含む血液の画分または成分は、用語「生物学的サンプル」の使用の範囲内に含まれる。即ち、本発明の検出方法を使用して、インビトロおよびインビボで生物学的サンプル中のアナライトmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出することができる。例えば、アナライトmRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーションを含む。アナライトタンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素結合イムノソーベントアッセイ(ELISAs)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を含む。アナライトゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術は、サザーンハイブリダイゼーションを含む。イムノアッセイを行うための技法は、例えば、“ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology”, Vol. 42, J. R. Crowther(Ed.)Human Press, Totowa, N.J., 1995; “Immunoassay”, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, Calif., 1996; and “Practice and Thory of Enzyme Immunoassays”, P.Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amstersam, 1985.に記載されている。更に、アナライトタンパク質の検出のためのインビボ技術は、標識された抗アナライトタンパク質抗体を被験体に導入することを含む。例えば、抗体を放射能マーカーで標識することができ、被験体においてそれが存在および位置することは、標準イメージング技術により腔内または経皮的に単独でまたはエフェクター細胞と共に検出されうる。
【0145】
治療的使用及び処方
本発明の核酸およびタンパク質は、代謝障害、糖尿病、肥満、感染疾患、食欲不振、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害および種々の異常脂血症(dyslipidemias)、肥満と関連した代謝障害、慢性疾患および種々の癌と関連した代謝症候群Xおよび廃棄障害、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心臓欠陥、大動脈弁狭窄症、心房中隔欠損(atrial septal defect)(ASD)、房室(A−V)管欠損、動脈管(ductus arteriosus)、肺狭窄症、サブ大動脈狭窄症、心室中隔欠損(VSD)、弁疾患、結節状硬化症、強皮症、エリテマトーデス(lupus erythematosus)、肥満、移植、副腎白質異栄養症、先天性副腎過形成(congenital adrenal hyperplasia)、前立腺癌、新生物(neoplasm)、腺癌、リンパ腫、子宮癌、受精能、白血病、血友病、凝固亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫不全、移植片対ホスト病、AIDS、気管支喘息、リウマチ様疾患および骨関節症、クローン病、多発性硬化症、オーブライト遺伝性骨ジストロフィーおよび他の疾患、障害および状態などを含むが、それらに限定されない種々の疾患に関係する潜在力のある予防および治療用途において有用である。
【0146】
本発明の治療複合体の投与用の製剤は、無菌の水性または非水性溶液剤、懸濁剤、および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、乳液または懸濁液を含み、これらは食塩および緩衝化媒体を含む。ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、流体および栄養補充剤、電解質補充剤を含む乳酸化リンゲル静脈内ビヒクルなどを含む。例えば、抗微生物剤、酸化防止剤、キレート化剤および不活性ガスなどの如き保存剤および他の添加剤を加えることができる。
【0147】
本発明の核酸分子、ポリペプチドおよび抗体(本明細書では「有効化合物」と呼ばれる)ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログおよび相同体は、投与のために適当な医薬組成物中に配合することができる。このような組成物は、典型的には、核酸分子、タンパク質または抗体および薬学的に許容され得る担体を含む。本明細書で使用された「薬学的に許容され得る担体」は、薬学的投与に適合性の、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗バクテリア剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、当技術分野の標準参照テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最近版に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。このような担体または希釈剤の例は、水、生理的食塩水、リンゲル液、デキストロース液および5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。リポソームまたは非水性ビヒクル、例えば脂肪油も使用することができる。薬学的に有効な物質のためのこのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野で周知である。任意の慣用の媒体または作用物質が有効化合物と非適合性である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補充の有効化合物も組成物に配合することができる。
【0148】
本発明の医薬組成物は、その意図する投与経路に適合性であるように処方される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(即ち、局所)、経粘膜、腹腔内および直腸投与を含む。非経口、皮内または皮下適用のために使用される溶液剤または懸濁剤は、下記の成分:無菌の希釈剤、例えば注射用の水、食塩水、脂肪油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗バクテリア剤、例えばベンジルアルコールもしくはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウム;キレート化剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩ならびに張力調節剤、例えば塩化ナトリウムもしくはデキストロースを含むことができる。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸もしくは水酸化ナトリウムで調節することができる。非経口用製剤は、ガラスもしくはプラスチックから作られたアンプル、使い捨て可能な注射器または多用量バイアル(multiple dose vials)に封入されうる。
【0149】
注射可能な使用に適当な医薬組成物は、無菌水性溶液剤(水溶性である場合)または分散剤(dispersions)および無菌の注射剤もしくは分散剤のその場での調製用の無菌散剤を含む。静脈内投与のために、適当な担体は、生理学的食塩水、静菌水(bacteriostatic water)、Cremophor(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合に、組成物は、無菌でなければならずそして容易に注射可能な程度に流動性であるべきである。それは、製造および保存の条件下に安定でなければならず、そしてバクテリア及び真菌類などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には必用な粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の阻止は、種々の抗バクテリア剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成することができる。多くの場合に、組成物中に等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことは好ましいであろう。注射可能な組成物の長期の吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含ませることにより引き起こすことができる。
【0150】
無菌の注射剤は、適切な溶媒中に、必用な量の有効化合物(例えば、本発明の治療複合体)を、必用に応じて上記した成分の1つまたは組み合わせと共に混合し、次いで、ろ過滅菌を行うことにより調製されうる。一般に、分散剤は、基礎分散媒(basic dispersion medium)および上記した成分からの必要な他の成分を含有する無菌のビヒクル中に有効化合物を配合することにより調製される。無菌の注射剤の調製用の無菌の散剤の場合には、調製方法は、有効成分+先に無菌ろ過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分の散剤を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0151】
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用になる担体を含む。それらは、ゼラチンカプセル中に包まれるかまたは錠剤中に圧縮されうる。経口治療投与の目的で、有効化合物を賦形剤と共に配合し、そして錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物は、流体担体中の前記化合物を経口的に適用し、うがいをし(swished)、吐き出すかまたは飲みこむ、うがい剤として使用するための流体担体を使用して調製することもできる。薬学的に適合性の結合剤および/または佐剤物質は、組成物の一都部として含まれうる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は、下記の成分いずれかまたは類似した性質の化合物:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes);流動促進剤(glidant)、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または矯味・矯臭剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーを含有することができる。
【0152】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、結合剤(例えば、プレゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を使用して、慣用の手段により調製された錠剤もしくはカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態をとることができ、またはそれらは、使用の前に水または他のビヒクルと共に構成するための乾燥製品として提供されてもよい。このような液体製剤は、薬学的に許容され得る添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別化植物油);および保存剤(たとえば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を使用して慣用の手段により調製されうる。製剤は、適当ならば、緩衝剤塩、矯味・矯臭剤、着色剤および甘味剤を含有することもできる。
【0153】
経口投与用の製剤は、有効化合物のコントロールされた放出を与えるように適当に処方されうる。口腔内投与のために、組成物は、慣用の方法で処方された錠剤またはトローチ剤の形態をとることができる。吸入による投与のために、本発明に従って使用するための化合物は、適当な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスの使用により、加圧されたパックまたはネブライザーからエアゾルスプレー組成(aerosol spray presentation)の形態で都合よく送達される。加圧されたエアゾルの場合に、投薬単位(dosage unit)は、計量された量を送達するための弁を設けることにより決定されうる。化合物とラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を含有する、吸入器または通気器で使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを処方することができる。化合物は、注射により、例えば、濃縮塊注射(bolus injection)または連続注入により非経口投与用に処方することができる。注射用の処方は、加えられた保存剤と共に、単位剤形において、例えばアンプルまたは多用量容器において提供されうる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤または乳剤のような形態をとることができ、そして懸濁化剤、安定剤および/または分散化剤などのような処方剤(formulatory agents)を含有することができる。または、有効成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水との構成のための散剤形態にあることができる。化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を含有する坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物において処方することもできる。これまでに述べた処方に加えて、化合物は、デポ製剤として処方することもできる。このような長く作用する処方は、移植により(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。従って、例えば、化合物は、適当なポリマーまたは疎水性物質と共に(例えば、許容され得る油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共にまたは僅かに可溶性誘導体として、例えば僅かに可溶性の塩として処方することができる。
【0154】
吸入による投与のために、化合物は、適当な推進剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧された容器もしくは分配器または噴霧器からエアゾルスプレーの形態で送達される。
【0155】
全身性投与は、経粘膜または経皮手段によることもできる。経粘膜または経皮投与のために、透過されるべきバリアーに対して適切な浸透剤を処方中に使用する。このような浸透剤は、当技術分野で公知でありそして、例えば、経粘膜投与用の洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用により達成されうる。経皮投与のために、有効化合物は、当技術分野で公知の軟膏剤(ointments)、膏薬剤(salves)、ゲル剤またはクリーム剤に処方される。
【0156】
1つの態様では、有効化合物は、移植片およびマイクロカプセル化送達システムを含む、コントロールされた放出処方などの身体からの迅速な除去に対して化合物を保護する担体と共に調製される。生物分解性、生物適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。このような処方を調製するための方法は、当業者には明らかであろう。これらの物質は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染細胞にターゲティングしたリポソームを含む)を、薬学的に許容され得る担体として使用することもできる。これらは、例えば、U.S.Pat.No.4,522,811に記載された、当業者に知られている方法に従って調製されうる。
【0157】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位剤形(dosage unit form)において経口または非経口組成物を処方することは特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、 処置されるべき被験体のための一単位投薬量(unitary dosage)として適合した物理的に分離した単位を指し;各単位は、必要な薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の有効化合物を含有する。本発明の単位剤形のための明細は、有効化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果および個体の処置のためのこのような有効化合物を配合することの当技術分野における固有の限界、により指令されそしてこれらに直接依存する。
【0158】
本発明の核酸分子を、ベクターに挿入することができそして遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、U.S.Pat.No.5,328,470)によりまたは立体空間的注射(例えば、Chen, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057)により被験体に送達されうる。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容され得る希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含むことができ、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれている徐放性マトリックスを含むことができる。または、完全な遺伝子送達ベクターが、リコンビナント細胞、例えばレトロウイルスベクターからインタクトに産生されうる場合には、医薬製剤は、遺伝子送達システムを産生する1種以上の細胞を含むことができる。医薬組成物は、投与のための指示と共に、容器、パックまたは分配器内に含まれうる。
【0159】
治療有効用量は、症侯の軽減または遅延をもたらすのに十分な治療複合体のその量を指す。このような化合物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための細胞培養物または実験動物における標準薬学的手順により決定されうる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療インデツクスでありそしてそれは比LD50/ED50として表現されうる。大きな治療インデツクスを示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用することはできるが、感染していない細胞への潜在的損傷を最小にし、それにより副作用を減少させるために、このような化合物を罹患した組織の部位にターゲティングする送達システムをデザインするように注意を払うべきである。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量の範囲を処方する際に使用することができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性を殆ど伴わないかまたは全然伴わないでED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変わることができる。本発明の方法で使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから評価されうる。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(即ち、症候の最大の半分の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するのに使用することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0160】
医薬組成物は、1種以上の生理学的に許容され得る担体または賦形剤を使用して慣用の方式で処方することができる。かくして、化合物およびその生理学的に許容され得る塩および溶媒を、吸入または通気(insufflation)(口または鼻を通して)または経口、口腔内、静脈内、腹腔内、非経口または直腸投与による投与用に処方することができる。
【0161】
本明細書に記載された方法、選択ストラテジー、物質または成分の任意の1つを利用するキットまたはシステムも本発明に従って開示される。本発明の開示に従う例示的キットは、場合により、追加的に、方法もしくはアッセイを行うためのインストラクション、パッケージング物質、アッセイ、装置またはシステム成分等を含有する1つ以上の容器を含むであろう。
【0162】
更なる局面では、本発明は、本明細書に開示された複合体および使用方法を具体化するキットを提供する。本発明のキットは、場合により、下記:(1)本明細書に開示されたポリペプチドまたは核酸成分;(2)本明細書に開示された方法を実施するためおよび/または本明細書の選択手順を操作するためのインストラクション;(3)1つ以上の検出アッセイ成分;(4)核酸もしくはポリペプチド、他の核酸、トランスジェニック植物、動物、細胞等を保持するための容器および(5)パッケージング物質、の1つ以上を含む。
【0163】
トランスジェニック生物
本発明の方法で使用されるトランスジェニック細胞または動物は、例えば、インターロイキンとインターロイキンレセプターを含むキメラポリペプチドのコピーをコードするトランスジーンを含むことができる。トランスジーンは、ヒトタンパク質を含む、トランスジェニック細胞または動物に対して普通外因性であるタンパク質をコードすることができる。トランスジーンは、異種またはネイティブプロモーターに連結されうる。
【0164】
この開示は、更にトランスジェニック動物を産生する方法に関する。当技術分野で知られている技術を使用して、動物にトランスジーンを導入して動物の始祖系統を産生することができる。このような技術は、前核マイクロインジェクション;生殖系列へのレトロウイルス媒介遺伝子移入(Van der Putten et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6148-6152, 1985;胚幹細胞における遺伝子ターゲティング(Thompson et al., Cell 56: 313-321,1989);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol, Cell Biol. 3:1803-1814, 1983;および精子媒介遺伝子移入((Lavitrano, et al., Cell 57:717-229,1989)を含むが、それらに限定されない。このような技術の概説については、Gorden, Intl.Rev.Cytol.115:171-229,1989参照。従って、本発明は、キメラインターロイキン/インターロイキンレセプターポリペプチドをコードするトランスジーンを含有するトランスジェニック生物を特徴とする。トランスジェニック生物は、真核細胞、例えば、酵母細胞、昆虫、例えば、虫またはハエ、魚、爬虫類、鳥または哺乳動物、例えばげっ歯動物であることができる。トランスジェニック生物は、更に、内因性遺伝子における遺伝子変更、例えば点突然変異、挿入または欠失を含むことができる。
【0165】
本発明のホスト細胞、例えば培養物中の原核または真核ホスト細胞を使用して、本発明のポリペプチド成分または複合体を産生する(即ち、発現する)ことができる。従って、本発明は、タンパク質が産生されるような適当な培地中で本発明のホスト細胞(それにタンパク質をコードするリコンビナント発現ベクターが導入されている)を培養することを含む。他の態様では、この方法は、更に培地またはホスト細胞からタンパク質を単離することを含む。
【0166】
本発明の他の局面は、本発明のリコンビナント発現ベクターが導入されているホスト細胞に関する。用語「ホスト細胞」および「リコンビナントホスト細胞」は本明細書では交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験体細胞を指すのみならずこのような細胞の先祖または潜在的先祖も指すことは理解される。ある改変は突然変異または環境的影響により後の世代において起こりうるので、このような先祖は、実際には、親細胞と同じでなくてよいが、依然として本明細書で使用された用語の範囲内に含まれる。ホスト細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であることができる。例えば、タンパク質は、バクテリア細胞、例えばE.coli、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現されうる。他の適当なホスト細胞は当業者に知られている。
【0167】
ベクターDNAは、慣用のトランスフォーメーションまたはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入されうる。本明細書で使用された、用語「トランスフォーメーションおよび「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含む、外来核酸(例えばDNA)をホスト細胞に導入するための種々の当技術分野で認識された技術を指すことを意図する。ホスト細胞をトランスフォーメーションまたはトランスフェクションするための適当な方法は、Sambrock, et al. (MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nded., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cols Spring Harbor, N. Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
【0168】
哺乳動物の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞の少さなフラクションのみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組み込み体(integrants)を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗体に対する抵抗)をコードする遺伝子を、一般に関心のある遺伝子と共にホスト細胞に導入する。種々の選択可能なマーカーは、薬物、例えば、G418、ヒグロマイシンおよびメトトレキセートに対する耐性を与えるマーカーを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、タンパク質をコードするベクターと同じベクター上でホスト細胞に導入されることができ、または別々のベクター上で導入されうる。導入された核酸で安定にトランスフェクションされた細胞は、薬物選択(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込まれた細胞は生存するが、他の細胞は死ぬ)により同定することができる。
【0169】
本発明のホスト細胞は、非ヒトトランスジェニック動物を産生するのに使用することもできる。例えば、1つの態様では、本発明のホスト細胞は、受精した卵母細胞またはタンパク質コード配列が導入されている胚性幹細胞である。このようなホスト細胞は、次いで非ヒトトランスジェニック動物であって、そのゲノムに外因性ポリペプチド配列が導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性ポリペプチド配列が変更されている相同性リコンビナント動物(homologous recombinant animals)を創生するのに使用することができる。このような動物は、タンパク質の機能および/または活性を研究するためおよび/またはタンパク質活性のモデュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書で使用された「トランスジェニック動物」は、動物の細胞の1つ以上がトランスジーンを含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、更に好ましくは、ラットまたはマウスなどのゲッ歯類である。トランスジェニック動物の他の例は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等を含む。トランスジーンは、トランスジェニック動物を発生させる細胞のゲノムに組み込まれそして成熟動物のゲノムに残っていて、それによりトランスジェニック動物の1種以上の細胞型または組織におけるコードされた遺伝子産物の発現を指向する、外因性DNAである。本明細書で使用された、「相同性リコンビナント動物」は、動物の発生の前に、内因性遺伝子と、動物の細胞、例えば動物の胚細胞に導入された外因性DNA分子との間の相同的組換えにより内因性遺伝子が変更されている非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、更に好ましくはマウスである。
【0170】
本発明の好ましい態様の例は下記に示される。当業者により理解されるとおり、本発明に記載され、それにより本発明に組み込まれた技術が一般に適用されそして本発明の一般的範囲から逸脱することなく任意の数の方法において変わることができる。可記の実施例は、好ましい態様の例として与えられそして本発明を限定するものではない。例えば、成分の相対的量を変えて異なる所望の効果を達成することができ、追加の成分を加えることができ、および/または同様な成分が、記載された成分の1つ以上を類似した成分で置換することができる。
【0171】
実施例1
IL−15およびIL−15Raの共投与は、インビボでのCD8メモリーT細胞およびNK細胞増殖を駆動する。
IL−15およびリコンビナントマウスIL−15Ra−Fc(rmIL−15Ra−Fc)の共投与がインビボでIL−15活性を媒介することができるかどうかを決定するために、我々は、養子移入モデルを利用して、CD8+T細胞の増殖に対するIL−15の効果を測定した。CD45.1CFSE標識され濃縮された脾臓CD8+T細胞(CD45.1 CFSE labeled enriched splenic CD8+T cells)を正常なCD45.2マウスおよびrmIL−15Ra−Fc(約15μg)に移入した。IL−15単独による処理の4日後、ドナーCD8+T細胞集団の約11%は我々の以前の結果と合致して分裂した(図1a、上部パネル)。極めて対照的に、rmIL−15Ra−Fcに結合したIL−15の同じ量の共投与は、ドナーCD8+T細胞の約60%の増殖をもたらした(図1)。更に、IL−15単独に対応するCD8T細胞の大多数は一度分裂したが、組み合わせ処理に対応する細胞は5〜7回の分裂を受け、細胞数の実質的な増化をもたらした(データは示されていない)。分裂している細胞の大部分は、高いレベルのCD44を発現し、対応する細胞が主としてメモリーCD8+T細胞であるかまたは、CD44がアップレギュレーションされた(図1a、下部パネル)ことを示唆する。重要なことであるが、rmIL−15Ra−Fc単独の投与は、CD8+T細胞の増殖を誘導しなかった(データは示されていない)。注目すべきことに、可溶性形態のrmIL−15RaのIL−15との共投与も、ドナーCD8+T細胞の増強された増殖をもたらしたが、IL−15単独およびrmIL−15Ra−Fcと組み合わされたIL−15に対して中間のレベルをもたらした(データは示されていない)。真正のメモリーCD8T細胞に対する組み合わせた治療の作用を試験するために、我々は、OVAを発現するリコンビナント水泡性口内炎ウイルス(VSV−OVA)による感染により発生させた、CFSE標識されたオブアルブミン(OVA)特異的CD8+メモリーT細胞を養子移入した。上記結果と同様に、組み合わせたIL−15/IL−15Ra−Fc処理に対応する抗原特異的メモリーCD8+T細胞は、IL−15単独で得られた程度よりはるかに高い程度に増殖した(図1b)。
【0172】
過去の研究は、B細胞、NK細胞およびNKT細胞増殖のインデューサーとしてIL−15を関係付けたがCD4+T細胞増殖のインデューサーを関係付けなかった。従って、我々は、養子移入システムを使用してこれらの細胞型の増殖を誘導するためのIL−15およびレセプターと複合体化されたIL−15の能力を検査した。CD4+T細胞およびB細胞は約2.5μgのIL−15に応答して増殖しなかったが、NK細胞は非常に僅かに増殖した(図2)。対照的に、rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与は、NK細胞の甚だしい増殖を誘導したが、B細胞は応答しなかった。NK−T細胞の応答は、NK細胞の応答に類似していた(デ―タは示されていない)。興味深いことに、IL−15はマウスCD4+T細胞の増殖を媒介すると考えられないけれども、CD4+T細胞は、投与された複合体に対する中間的応答を示した。
【0173】
実施例2
複合体化されたIL−15/IL−15RaはインビボでIL−15活性を大いに増強する
我々は、次いでrmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与に対する増殖応答の早期速度論を検討した。CFSE希釈は処理の1日後では無視できるものであったが、2日までにドナーCD8+T細胞集団の約36%が分裂し、第3および第4回の分裂においで認識できる数の細胞があった(図3)。3日までにドナーCD8+T細胞の約59%が分裂し、多くの細胞は5〜6回の分裂にあり、4日までに約73%が分裂し、いくらかの細胞は第7回の分裂にあった。これらの結果および他の結果は、単一用量のIL−15/IL−15Ra−Fcの最大効果は処理の約4日後に達成され、続いてドナーCD8+T細胞がメモリーCD8+T細胞の特徴的な長引く増殖率(protracted rate of proliferation)に入ったことを示した(データは示されていない)。
【0174】
IL−15単独の処理に対する組み合わされた処理により得られた活性の増強の近似を得るために、我々は、養子移入モデルを使用してIL−15およびIL−15/rmIL−15Ra−Fcのタイトレーションを行った。比較は、CFSE希釈により評価されたドナーCD8+T細胞増殖の程度に基づいていた。約0.6μgのIL−15Ra−Fcと組み合わせた約0.1μgのIL−15の用量は、約5μgのIL−15の増殖のレベルに類似した増殖のレベルを誘導した(図4a)。かくして、このタイプの実験では、IL−15活性は、rmIL−15Ra−Fcとの共投与により〜50倍増強された。この実質的な増強を考慮して、我々は、IL−15単独でこのレベルの活性を達成することができるかどうかを調べた。約37.5μgのIL−15の投与によってさえ、レセプターで複合体化されたIL−15約0.5μgで得られた増殖のレベルは達成できなかった(図4b)。これらの結果は、IL−15Raアベイラビリティーがインビボで限定されているかも知れないことを示唆している。何故ならば、IL−15レベルを増化させても、活性の更なる増大は得られなかったからである。
【0175】
実施例3
複合体化されたIL−15/IL−15Raは、IL−15Rbを必用とするトランス提示を介して作用を及ぼす。
複合体化されたIL−15/IL−15Raの効果は、対応する細胞型に対する直接または間接の効果により媒介されうる。もし直接ならば、その場合にはターゲット細胞はIL−15R成分(1つまたは複数)を発現することか必要であろうということが予想されうる。これを試験するために、我々は、CFSE標識されたIL−15Ra−/−CD8+T細胞をIL−15Ra−/−ホストに移入しそしてマウスをIL−15または複合体化されたIL−15/IL−15Raで処理した。IL−15は、IL−15Raの不存在下ではトランスプレゼンテーションされることができず、そして増殖を誘導しなかった(図5a)。他方、IL−15/rmIL−15Ra−Fc処理されたマウスからのドナーCD8+T細胞は甚だしく増殖した。更に、主としてナイーブ表現型CD8+T細胞からなるIL−15Ra−/−ドナー細胞は、分裂と共にCD44およびCD122のそれらの発現を漸次に増加させた。応答するT細胞は、複合体化されたIL−15/IL−15Raに応答するためにIL−15Raを必用としなかったので、我々はこの効果の媒介におけるIL−15Rb(CD122)の役割を調べた。このために、我々は、CFSE標識されたCD122+/+またはCD122−/−CD8+T細胞を正常なマウスに移入しそして処理の4日後にCFSE希釈についてドナー細胞を解析した。コントロール細胞は、IL−15/IL−15Ra−Fc処理に応答して活発に増殖したが、CD122−/−ドナーCD8+T細胞は共投与に応答して増殖しなかった(図5b)。これらの結果は、一緒になって、IL−15/IL−15Ra−Fcは、多分γCとの共同においてIL−15Rbとの相互作用を通じて直接トランスプレゼンテーションを介して作用を及ぼすことを示した。
【0176】
実施例4
強制されたIL−15トランスプレゼンテーションにより誘導された増殖は、MHCクラスIを必用とするが、IL−7または樹状細胞を必要としない
ナイーブT細胞はMHCクラスIおよびそれらの生存のための内因性ペプチドを必要とするが、メモリーCD8T細胞生存および増殖は、MHCクラスI非依存性であると考えられる。空のホスト(empty hosts)におけるこれらのサブセットのホメオスタティック増殖は、同様なMHC要求を示す。これらの結果を考えると、rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与により誘導される増殖のためのMHC要求を決定することは重要であった。かくして、我々は、ナイーブTCRトランスジェニックCD8+T細胞(OT−I)および濃縮されたB6CD8+T細胞(メモリ細胞を含有する)を、正常なマウスまたはMHCクラスI欠失(b2−ミクログロブリン−/−)マウスに共移入した。興味深いことに、ナイーブOT−IRAG−/−CD8T細胞は、MHCクラスIが十分なホストにおいて複合体による処理に応答して活発に増殖した。対照的に、MHCクラスI−/−ホストでは、ナイーブT細胞増殖は起らなかった(図6a)。同様に、B6CD8T細胞は正常なホスト中で増殖したが、驚くべきことに、MHCクラスI−/−ホストでは増殖は実質的になかった。これらのデータは、IL−15/IL−15Raによる増殖の誘導は、ナイーブおよびメモリーCD8+T細胞の両方についてMHCクラスI依存性であることを示した。rmIL−15Ra−FcのIL−15との共投与により誘導された増殖応答はMHCクラスIのホスト発現に依存していたので、我々は、役割を演じているかもしれない他の基準を調べることを望んだ。我々は、IL−7の関与を調べた。何故ならば、このサイトカインは、免疫不全ホストにおいてCD8T細胞のホメオスタティック増殖に必須であるからである。CFSE標識されたCD8+T細胞をコントロールマウスまたはIL−7−/−マウスに移入しそして組み合わせたIL−15/rmIL−15Ra−Fcを投与した。IL−7の存在下または不存在下に、CD8+T細胞は、IL−15Ra−FcとのIL−15に十分同等に応答して増殖し(図6b)、これは、IL−7が我々のシステムではIL−15媒介増殖に関与していないことを示す。以前の研究は、IL−15活性を媒介することにおいて樹状細胞(DC)の潜在力を強調しており、そしてDCによるMHC発現がT細胞ホメオスタシスにおいて重要でありうる。DCがIL−15/IL−15Ra共投与により誘導される増殖応答において何の役割を演じるかを試験するために、我々は、DCが条件的に枯渇されうるシステムを利用した。CD11c−DTRマウスは、CD11cプロモーターのコントロール下にサルジフテリア毒素レセプターを発現し、CD11c+細胞をDTに感受性にし、これはDCの>95%を除去する。非造血細胞に対する効果の結果として、インタクトなCD11c−DTRマウスに対するDTの毒性により、我々は、CD11c−DTR骨髄および正常なB6ホストを使用してキメラを発生させた。CFSE標識されたCD8+T細胞を次いでIL−15/IL−15Ra複合体の投与の前にDTで処理されたキメラに移入した。興味深いことに、我々は、DT処理されたコントロールまたはCD11c−DTRキメラ間にCD8+T細胞増殖の差を見いださなかった(図6c)。従って、MHCクラスIはIL−15媒介増殖に対して必須であったけれども、DCは必用ではなかった。
【0177】
実施例5
IL−15/IL−15Ra免疫治療は、ナイーブT細胞活性化およびエフェクター機能を誘導する
先の実験で、我々は、CD44低ポリクローナルCD8T細胞およびナイープTCRトランスジェニックT細胞が、IL−15Ra−Fcと共投与されるときのIL−15に対して応答することに留意した(図5および6)。ホメオスタティックな条件下に、CD8メモリーT細胞は、ナイーブCD8+T細胞よりもはるかに高いIL−15に対する応答を示すことを考慮して、我々は、複合体化されたIL−15/IL−15Ra−Fcに対するこれらの2つのサブセットの応答を直接比較することを望んだ。そうするために、CFSE標識されたメモリーOT−IおよびナイーブOT−ICD8+T細胞を同じコンジェニックC57BL/6ホストに養子移入しそして増殖をIL−15/IL−15Ra−Fcによる処理の4日後に解析した。驚くべきことに、ナイーブOT−ICD8T細胞は、メモリーOT−ICD8+T細胞と殆ど同じく増殖した(図7a)。ナイーブOT−I細胞も、コントロール複合体に応答して〜10倍エキスパンションしそしてCD44をアップレギュレーションした。ナイーブT細胞において誘導された活発な増殖に照らして、エフェクター機能が付随的に誘導されたかどうかを確立することは興味深いことであった。この問題を試験するために、我々は、ナイーブOT−ICD8+T細胞をコンジェニックC57BL/6ホストに養子移入し、そしてインビトロキリングアッセイを使用して、IL−15/IL−15Ra−Fcによる処理の4日後または比較のためにオブアルブミンを発現するリコンビナント水泡性口内炎ウイルス(VSV−OVA)による感染の後に抗原特異的溶解活性を測定した。興味深いことに、IL−15/rmIL−15Ra−Fc処理は、ウイルス感染により得られたレベルに類似した、活発な抗原特異的溶解活性の誘導をもたらした(図7c)。溶解活性に加えて、IL−15/IL−15Ra−FcまたはVSV−OVA感染により活性化されたナイーブOT−ICD8+T細胞の大多数は、ペプチドによるインビトロ再刺激に続いて、高いレベルのIFNgを産生した(図7d)。この結果は、コントロール(PBS)およびIL−15処理したマウスからIFNgを産生するOT−I細胞の無視できる頻度と対照的であった(図7d)。従って、IL−15Ra−FcのIL−15との共投与によるナイーブCD8+T細胞におけるエフェクター機能の誘導は、感染により得られた活性化と同様であった。
【0178】
実施例6
複合体化されたIL−15/IL−15Ra−FCによるナイーブT細胞の処理は、メモリーCD8+T細胞を発生する。
ナイーブT細胞はトランスプレゼンテーションされたIL−15に応答してエフェクター細胞に成長したけれども、これが一過性の効果であるかまたはメモリーT細胞発達(memory T cell development)をもたらしたかどうかは、まだ確められていない。従って、我々は、ナイーブOT−IT細胞移入およびIL−15/IL−15Ra−Fc処理の44日後OT−IT細胞の数および表現型を解析した。この時点で、非処理マウスに比較してIL−15/IL−15Ra投与の後〜5倍高い百分率のOT−I細胞が存在していた(図8、上部パネル)。更にこれらの細胞の殆どすべてが高いレベルのCD44およびCD122を発現した(図8、中間および下部パネル)。従って、抗原の不存在下ですら、IL−15/IL−15Ra−Fc処理は、メモリーCD8+T細胞の発達を誘導することができた。
【0179】
最近の発見は、予防接種、腫瘍免疫治療および免疫不全における免疫系再構築のためのアジュパントとしてのIL−15の使用を支持する。癌処置の場合に、リンパ球減少症の誘導が養子移入されたリンパ球の機能的活性を増強するのに現在使用されている。この療法は、リンパ球減少症で駆動されたホメオスタティック増殖を受けるCD8+T細胞は溶解およびサイトカイン産生活性を有するエフェクター細胞に分化するという発見に基づいている。CD8+T細胞のエフェクターおよびメモリー表現型細胞への分化もまたMHCクラスI発現を必要とする。従って、インタクトなホストにおけるIL−15/IL−15Ra−fC複合体により誘導された増殖および機能的活性は、リンパ球減少症によりトリガーされたホメオスタティック増殖に模擬していた。更に、複合体による処理により得られた増殖のレベルは、高い用量のIL−15単独によっては達成できなかった。IL−15を産生する同じ細胞、サイトカインをトランスプレゼンテーションすることもできるので、遊離IL−15Raのアベイラビリティーは限定されている可能性がある。更に、IL−15の短い半減時間は、レセプターに複合体化されるとき延長されうる。従って、IL−15単独による処理は、このサイトカインの完全治療潜在力を達成しそうもない。IL−15/IL−15Raの組み合わせた投与は、これらの問題を回避することができそして改良された有効性を与える。
【0180】
複合体化されたIL−15/IL−15Raの作用の機構は、ナイーブおよびメモリーT細胞ホメオスタティック生存および増殖に対する要求に関する最近の状態を考えれば、特に興味深いことであった。普通の条件下に、ナイーブおよびメモリーCD8+T細胞の両方の生存はIL−7を必用とするが、IL−15は、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞のホメオスタティック増殖のために必須である。リンパ球減少症環境において、IL−7は、ナイーブCD8+T細胞およびCD4+T細胞のホメオスタティック増殖のために必用であり、そしてCD8+メモリーT細胞ホメオスタティック増殖を媒介することにおいてIL−15と共に役割を演じる。従って、ナイーブCD8+T細胞がIL−15/IL−15Ra複合体に強く応答することは予想外であった。しかしながら、IL−15−/−マウスでは、ナイーブCD8+T細胞プールは約50%減少し、これはナイーブCD8+T細胞発達および/または生存は、IL−5を必要とすることを示唆していることに留意されるべきである。いずれにせよ、レセプターが結合したIL−15/IL−15Raにより推進されるナイーブCD8+T細胞の増殖は、IL−7非依存性でありそしてIL−15Ra発現を必要とした。この結果は、ナイーブCD8+T細胞はIL−15/IL−15Raに応答するのに十分なレベルのIL−15Raを発現するが、可溶性IL−15単独に対してはそうではないことを示した。更に、ナイーブCD8+T細胞は、エフェクター機能を獲得し、次いで高いレベルのCD44およびCD122を発現する長く生きるメモリーCD8+T細胞に発達した。興味深いことに、IL−15/IL−15RaでトリガーされたナイーブまたはメモリーCD8+T細胞の活性化は、MHCクラスI発現を必用とした。ナイーブCD8+T細胞の生存はMHCに依存するが、CD8メモリーT細胞の生存はMHC非依存性であると考えられる。従って、レセプター複合体化されたIL−15により誘導されたメモリー細胞増殖におけるMHCクラスIの必要性は幾分予想外であったが、以前に示されたとおり、メモリー細胞の機能の面でMHCについての役割を支持する。我々の発見は、インタクトなホストにおける活発なNKおよびCD8+T細胞エキスパンションおよびエフェクター分化を推進することにおいてIL−15の潜在力を例示する。いずれのアジュバントに関しても、このような活性化が自己免疫も増強させうるかどうかを決定することは必用であろう。にもかかわらず、このシステムは、免疫不全におけるまたは骨髄もしくは幹細胞移植後の免疫再構築を支援するための手段を与えることができる。更に、癌の処置における養子免疫治療も、IL−15/IL−15Raの投与により増大されうるが、複合体単独による処理は、内因性抗原特異的T細胞およびNK/NKT細胞の十分なエキスパンションを推進して、あるレベルの保護を与えうることも可能である。免疫治療におけるこの新規な複合体の潜在力を決定するのに、更なる研究が必要である。
【0181】
【表1】
【0182】
例示的方法
マウス。C57BL/6−Ly5.1マウスは、The Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から購入された。C57BL/6−Ly5.2マウスは、Charls Riverから購入された。OT−Iマウス系は、寛大にもDr.W.R.Heath(WEHI,Parkville,Australia)およびDr.F.Carbone(Monash Medical School,Prahan,Victoria,Austrakia)により提供されそしてRAG−/−バックグラウンド上のC57BL/6−Ly5.2系として維持された。
【0183】
IL−15Ra−/−マウス22は、寛大にもDr.Averil Ma(UCSF)により提供された。IL−2Rb−/−マウスからの脾細胞は、寛大にもDr.Michael Farrar(UMINN)により提供された。DTRトランスジェニックマウスは、Dr.D.Littman(Skirball Institute,NY,NY)からの贈答であった。マウスは、UCONN Health Center施設でC57BL/6に10回戻し交雑された。DTR Tg+マウスは、前記したとおりテイルDNAのPCRによりスクリーニングされた。IL−7−/−マウスは、起源としてDNAX Research Institute of Molecular and Cellular Biology(palo Alt,CA)から得られ、そしてC57BL/6x/Olaハイブリッドバックグラウンド上に維持された。
【0184】
IL−15処理。リコンビナントマウスIL−15Ra−Fcキメラ分子をR&D Systems,Inc.(Minneapolis, MN)から購入した。両方共hPBSに懸濁させたhIL−15およびrmIL−15Ra−Fcを混合しそして約37℃で約30分間インキュベーションした。各マウスは、特記しない限り、200ul PBS中の2.5μgIL−15および15μgrmIL−15Ra−Fcを受け取った。
【0185】
ヒト。エキソン3を欠いているヒトIL−15Ra−E3の細胞外ドメインをコードするDNA配列(Anderson, D. et al., 1995, J.Biol.Chem.270:29862-29869)を6Xヒスチジンタグ付きのヒトIgG1のFcにポリペプチドリンカーを介して融合させた。キメラタンパク質をバキュロウイルス発現システムを使用してSf21細胞において発現させた。分子質量。リコンビナント成熟ヒトIL−15Ra/Fcはジスルフィド連結されたホモダイマータンパク質である。N末端配列決定に基づいて、リコンビナントヒトIL−15Raタンパク質は、アミノ末端にILe31を有する。還元されたヒトIL−15Ra/Fcモノマーは、約42.6kDaの計算分子質量を有する。グリコシル化の結果として、リコンビナントモノマーは、還元条件下にSDS−PAGEにおいて約60〜70kDaタンパク質として移動する。
【0186】
マウス。マウスIL−15Raの細胞外ドメインのアミノ酸残基33〜205と連結されたヒトCD33からの単一ペプチドをコードするDNA配列(Giri, J.G. et al., 1995, EMBO. 14:3654-3663)を、ポリペプチドリンカーを介してヒトIgG1のFc領域に融合させた。キメラタンパク質をマウスミエローマ細胞系、NS0において発現させた。分子質量。リコンビナント成熟マウスIL−15Ra−Fcは、ジスルフィド連結されたホモダイマータンパク質である。N末端配列決定に基づいて、リコンビナントマウスIL−15Ra−Fcタンパク質は、アミノ末端にGly33を有する。還元されたマウスIL−15Ra−Fcモノマーは、44.9kDaの計算分子質量を有する。グリコシル化の結果として、リコンビナントタンパク質は、還元条件下にSDS−PAGEにおいて約80〜90kDaタンパク質として移動する。完全長IL−15Ra−Fcのほかに、この調製物はタンパク質分解開裂により発生した少量の(10%)遊離IL−15RaおよびFcも含有する。遊離IL−15RaおよびFcは、還元条件下にSDS−PAGEにおいてそれぞれ約42kDaおよび35kDaタンパク質として移動する。
【0187】
細胞のCFSE標識および養子移入。リンパ球を脾臓および/または末梢リンパ節から(リンパ球集団の単離で述べられたとおり)単離し、そして10×106細胞/mlでHBSS(約1%HGPG)中に再懸濁させ、次いで37℃で加温した。細胞をCFSE(0.01mM;Molecular Probes,Eugene,OR)と約10分間インキュベーションしそして反応を約1%HGPGおよび約5%FCSを有するHBSSで抑えた。細胞をHBSS(約1%HGPG)で2回洗浄した。CFSE標識された細胞をPBS中に再懸濁させ(1〜20×106細胞)そしてコンジェニックマウスに静脈内注射した。細胞を指示された時間に単離し、そしてCD45アレル状態および表面マーカーのそれらの発現およびCFSE強度を使用してドナー細胞の存在について解析した。
【0188】
リンパ球集団の単離及び免疫蛍光分析。つや消しのガラススライドを使用して脾臓をホモジナイジングすることによりHBSS(約1%HGPGを伴う)中の単一細胞懸濁液を創り出した。赤血球を溶解しそして碑細胞をNitexを通してろ化した。指示された時点で、リンパ球を単離しそしてドナーCFSE標識された細胞を、それらのCD−45アレル状態を使用して検出するか、またはOVA特異的ドナー細胞を、先に述べたとおりに産生されたOVA由来のペプチドSIINFEKLを含有するH2Kbテトラマーを使用して検出した。染色のために、リンパ球をPBS/約0.2%BSA/約0.1%NaN3(FACSバッファー)中に約3〜15×106/200μlの濃度で懸濁させた。テトラマーについて染色するときは、細胞をOVA−テトラマーAPC+適当な希釈率の抗CD8PerCpと約1時間室温でインキュベーションした。細胞をFACSバッファーで洗浄し、そして抗CD44PEで約4℃にて約20分間染色し、洗浄し、次いでPBS中に約3%パラホルムアルデヒドで固定した。相対的蛍光強度をFACScalibur(BD Biosciences,San Jose,CA)て測定した。FlowJo Software(Tree Star,San Carlos,CA)を使用してデータを解析した。
【0189】
インビボ細胞傷害アッセイ。このアッセイは、本質的に前記したとおりに行った。正常な碑細胞を低い(約0.25um)または高い(約2.5um)CFSEレベルに標識し、そしてCFSE高細胞を、約1μg/ml SIINFEKLペプチドと約37℃で約45分間インキュベーションした。同数の(10×106)の各集団を混合しそして、そして処理されていないまたはIL−15/IL−15Raで処理されたまたは4日前にニワトリオブアルブミンを発現する水泡性口内炎ウイルス1×105pfuで感染された、OT−I移入されたマウスに静脈内に注射した。4時間後に、脾細胞をCFSE高およびCFSE低集団の存在について解析した。百分率溶解=[1−(プライミングされなかった割合(ratio unprimed)/プライミングされた割合(ratio primed))]×100。割合=百分率CFSE低/百分率CFSE高。
【0190】
IFN−gの細胞内検出.リンパ球を脾臓から単離し、そして約1μg/ml Golgistop(BD PharMingen)と共に、約1μg/mlのOVA由来のペプチドSIINFEKLを伴ってまたは伴って、約5時間培養した。培養後に、細胞を表面分子について染色し、次いで固定し、そして細胞膜をサイトフィックス(cytofix)/サイトペルム(cytoperm)溶液(BD PharMingen)中で透過性化し、そして抗IFN−gPEまたはコントロールラットIgG1PEで染色した。細胞を洗浄しそして蛍光強度をFACScaliburで測定した。
【0191】
骨髄キメラ。大腿骨および:けい骨(tibias)を、CD11c−DTRTg+マウスまたは非Tg同腹仔から採取した。骨髄(BM)を注射器でフラッシュアウトし、そして70umナイロンメッシュを通して単一細胞懸濁液を発生した。赤血球(RBC)を溶解し、そして細胞を、HEPESS、L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンサルフェートを補充したHBSS(HBSS−HGPG)に再懸濁した。BMから成熟T細胞を除去するために、細胞を抗Thyl腹水(T24)とインキュベーションし、HBSS−HGPG中で1回洗浄し、次いでLow−Tox−Mウサギ補体(Low-Tox-M rabbit complement)(Cedarlane Laboratories, Ontario, Canada)と共に約37℃で約45分間インキュベーションした。CD45.1レシピエントB6マウスを照射し(約1,000ラド)、次いで約2〜5×106骨髄細胞を静脈内に移入した。マウスは、使用の前に8週間休養させた。PBS中のジフテリア毒素(Sigma, St Louis, MO)を、約4ng/g体重でマウスに腹腔内に投与した。キメラは、サイトカイン処置の1日前にDT、サイトカイン処理のすぐ前の用量、およびサイトカイン処理の3日後の最終用量を受け取った。
【0192】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキンポリペプチドまたはその一部および該インターロイキンポリペプチドに結合することができるインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を含み、該インターロイキンポリペプチド成分と、該インターロイキンレセプターポリペプチド成分がプレカップリングされている、ポリペプチド複合体。
【請求項2】
前記インターロイキンポリペプチドまたはその一部が、配列番号5、6、10、12からなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも40%の相同性を有する一次アミノ酸構造を有する、請求項1に記載のポリペプチド複合体、およびその組み合わせ。
【請求項3】
前記インターロイキンポリペプチド部分が、アミノ末端にシグナルペプチド配列を更に含む、請求項2に記載のポリペプチド複合体。
【請求項4】
前記インターロイキンレセプターまたはその一部が、インターロイキンに対して特異的な抗体、または配列番号7、8、9、11からなる群より選ばれるメンバーに対して少なくとも40%の相同性を有する一次アミノ酸構造を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載のポリペプチド複合体、その一部および組み合わせ。
【請求項5】
インターロイキンレセプター成分が、抗体Fc部分を更に含む、請求項4に記載のポリペプチド複合体。
【請求項6】
プレカップリングされた複合体が、少なくとも1時間のインビボ半減時間を有する、請求項1に記載のポリペプチド複合体。
【請求項7】
複合体が、単一ポリペプチド鎖内に、インターロイキンポリペプチドまたはその一部およびインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を含む、請求項1に記載のポリペプチド複合体。
【請求項8】
配列番号3、4、13、16からなる群より選ばれる核酸に対して少なくとも40%の相同性を有するポリヌクレオチドセグメント、その一部および組み合わせと連続した、配列番号1、2、14、15からなる群より選ばれる核酸に対して少なくとも40%の相同性を有するポリヌクレオチドセグメント、その一部および組み合わせを含み、インターロイキンポリヌクレオチドおよびインターロイキンレセプターポリヌクレオチドが単一ポリペプチドとして発現されることができる、請求項1に記載のポリペプチド複合体をコードする核酸。
【請求項9】
抗体Fc部分をコードするポリヌクレオチドセグメントを更に含む、請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
請求項9の核酸分子を含有する単離されたホスト細胞。
【請求項11】
インターロイキンポリペプチドまたはその一部を提供し;
該インターロイキンに結合することができるインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を提供し;そして
該インターロイキンポリペプチドと該インターロイキンレセプターポリペプチドを、約5.5〜約8.5のpHを有する適当なバッファー中で、約26℃〜約40℃で、約1分〜約120分間組合せそしてインキュベーションする、
工程を含む、ポリペプチド複合体を作成する方法。
【請求項12】
前記インターロイキンポリペプチドまたはその一部が配列番号5、6、10、12からなる群より選ばれるメンバーおよびその組み合わせに対して少なくとも40%の相同性を有し、そして、前記インターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部が配列番号7、8、9.11からなる群より選ばれるメンバーおよびその組み合わせに対して少なくとも40%の相同性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
有効量の請求項12に記載のポリペプチド複合体で免疫細胞を処理することを含む、免疫細胞の活性を増加させる方法。
【請求項14】
請求項12に記載のポリペプチド複合体を提供し;そして
薬学的に許容され得る形態の有効量の前記ポリペプチド複合体を、それを必要としている生物に投与する、
工程を含む、生物における免疫機能をモデュレーションする方法。
【請求項15】
ポリペプチド複合体が前記生物における免疫機能を増強させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリペプチド複合体が、前記生物における免疫機能を抑制する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
得られるポリペプチド複合体が約1時間より長いインビボ半減時間を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
請求項12のポリペプチ複合体であって、該複合体は、該ポリペプチド複合体がその中に配置されている適当な容器とその使用のためのインストラクションとを含むキットに含有されている、請求項12に記載のポリペプチド複合体。
【請求項19】
有効量の前記複合体を、インターロイキン単独を使用して投与された用量の約0.1%〜約90%に等しい用量で、それを必用としている生物に投与する、請求項12に記載のポリペプチド複合体。
【請求項20】
配列番号6に由来するインターロイキンポリペプチド部分、および配列番号7に由来するインターロイキンレセプターポリペプチド部分を含む有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体の投与を含み、そして、配列番号7に由来するインターロイキンレセプターポリペプチド部分が、配列番号6に由来する前記インターロイキンポリペプチド部分に結合することができる、生物における免疫応答をモデュレーションするための方法。
【請求項1】
インターロイキンポリペプチドまたはその一部および該インターロイキンポリペプチドに結合することができるインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を含み、該インターロイキンポリペプチド成分と、該インターロイキンレセプターポリペプチド成分がプレカップリングされている、ポリペプチド複合体。
【請求項2】
前記インターロイキンポリペプチドまたはその一部が、配列番号5、6、10、12からなる群より選ばれるメンバーに対する少なくとも40%の相同性を有する一次アミノ酸構造を有する、請求項1に記載のポリペプチド複合体、およびその組み合わせ。
【請求項3】
前記インターロイキンポリペプチド部分が、アミノ末端にシグナルペプチド配列を更に含む、請求項2に記載のポリペプチド複合体。
【請求項4】
前記インターロイキンレセプターまたはその一部が、インターロイキンに対して特異的な抗体、または配列番号7、8、9、11からなる群より選ばれるメンバーに対して少なくとも40%の相同性を有する一次アミノ酸構造を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載のポリペプチド複合体、その一部および組み合わせ。
【請求項5】
インターロイキンレセプター成分が、抗体Fc部分を更に含む、請求項4に記載のポリペプチド複合体。
【請求項6】
プレカップリングされた複合体が、少なくとも1時間のインビボ半減時間を有する、請求項1に記載のポリペプチド複合体。
【請求項7】
複合体が、単一ポリペプチド鎖内に、インターロイキンポリペプチドまたはその一部およびインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を含む、請求項1に記載のポリペプチド複合体。
【請求項8】
配列番号3、4、13、16からなる群より選ばれる核酸に対して少なくとも40%の相同性を有するポリヌクレオチドセグメント、その一部および組み合わせと連続した、配列番号1、2、14、15からなる群より選ばれる核酸に対して少なくとも40%の相同性を有するポリヌクレオチドセグメント、その一部および組み合わせを含み、インターロイキンポリヌクレオチドおよびインターロイキンレセプターポリヌクレオチドが単一ポリペプチドとして発現されることができる、請求項1に記載のポリペプチド複合体をコードする核酸。
【請求項9】
抗体Fc部分をコードするポリヌクレオチドセグメントを更に含む、請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
請求項9の核酸分子を含有する単離されたホスト細胞。
【請求項11】
インターロイキンポリペプチドまたはその一部を提供し;
該インターロイキンに結合することができるインターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部を提供し;そして
該インターロイキンポリペプチドと該インターロイキンレセプターポリペプチドを、約5.5〜約8.5のpHを有する適当なバッファー中で、約26℃〜約40℃で、約1分〜約120分間組合せそしてインキュベーションする、
工程を含む、ポリペプチド複合体を作成する方法。
【請求項12】
前記インターロイキンポリペプチドまたはその一部が配列番号5、6、10、12からなる群より選ばれるメンバーおよびその組み合わせに対して少なくとも40%の相同性を有し、そして、前記インターロイキンレセプターポリペプチドまたはその一部が配列番号7、8、9.11からなる群より選ばれるメンバーおよびその組み合わせに対して少なくとも40%の相同性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
有効量の請求項12に記載のポリペプチド複合体で免疫細胞を処理することを含む、免疫細胞の活性を増加させる方法。
【請求項14】
請求項12に記載のポリペプチド複合体を提供し;そして
薬学的に許容され得る形態の有効量の前記ポリペプチド複合体を、それを必要としている生物に投与する、
工程を含む、生物における免疫機能をモデュレーションする方法。
【請求項15】
ポリペプチド複合体が前記生物における免疫機能を増強させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリペプチド複合体が、前記生物における免疫機能を抑制する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
得られるポリペプチド複合体が約1時間より長いインビボ半減時間を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
請求項12のポリペプチ複合体であって、該複合体は、該ポリペプチド複合体がその中に配置されている適当な容器とその使用のためのインストラクションとを含むキットに含有されている、請求項12に記載のポリペプチド複合体。
【請求項19】
有効量の前記複合体を、インターロイキン単独を使用して投与された用量の約0.1%〜約90%に等しい用量で、それを必用としている生物に投与する、請求項12に記載のポリペプチド複合体。
【請求項20】
配列番号6に由来するインターロイキンポリペプチド部分、および配列番号7に由来するインターロイキンレセプターポリペプチド部分を含む有効量のプレカップリングされたポリペプチド複合体の投与を含み、そして、配列番号7に由来するインターロイキンレセプターポリペプチド部分が、配列番号6に由来する前記インターロイキンポリペプチド部分に結合することができる、生物における免疫応答をモデュレーションするための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−67632(P2013−67632A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−250608(P2012−250608)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2008−512531(P2008−512531)の分割
【原出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(501315876)ユニバーシティ オブ コネチカット (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250608(P2012−250608)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2008−512531(P2008−512531)の分割
【原出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(501315876)ユニバーシティ オブ コネチカット (22)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]