説明

生物分解性ポリマー担体中のフルオシノロン製剤

疼痛および炎症に有効な処置を提供する。標的部位またはその付近での有効量のフルオシノロンの投与によって、炎症および疼痛および自己免疫障害を減少させる、予防するまたは処置することができる。いろいろな態様において、坐骨神経性疼痛および/または炎症を減少させる、予防するまたは処置するための生物分解性ポリマー中のフルオシノロン製剤を提供することができる。いろいろな態様において、移植片拒絶反応を少なくとも25日間予防する。いくつかの態様において、疼痛軽減は、少なくとも50日間、少なくとも100日間、少なくとも135日間、または少なくとも180日間でありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年4月18日出願の「Fluocinolone Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier」と称する米国予備特許出願第61/046,218号、および2009年3月27日出願の「Fluocinolone Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier」と称する米国特許出願第12/413,197号の出願日の恩典を主張する。これら特許出願は、本開示中に参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
[0001]炎症は、病原体、損傷した細胞または刺激原などの有害な刺激への血管組織の複雑な生物学的応答の結果である。有害な刺激を除去すること、更には、組織の治癒過程を開始することは、患者による試みの一部分である。この治癒過程を伴う増加した血流ゆえに、免疫系細胞の急速送達が存在し、それによって、炎症に関連した腫脹および発赤を患者に経験させる。
【0003】
[0002]炎症性応答は、炎症性細胞(例えば、好中球、好酸球および好塩基球などの骨髄性細胞)を引きつけ且つ引き留める分子を生産する内皮細胞によって傷害部位で開始することができる。次に、それら炎症性細胞は、内皮関門を介して周囲組織中へと輸送される。炎症性細胞、具体的には、好中球の結果として得られた蓄積に続いて、毒性酸素粒子の発生と、酸性ヒドロラーゼ、ならびにプロテアーゼ、エラスターゼおよびコラゲナーゼなどの分解性酵素を含有する好中性顆粒の放出が起こり、それが、局所組織破壊および炎症の原因となる。好中球は、更に、炎症を増幅させる誘引物質および補体アクチベーターを放出することがありうる。
【0004】
[0003]炎症性応答は、有害な物質を破壊し、希釈し、そして隔離することによって、更には、罹患組織の修復を刺激することによって、治癒過程においてある役割を果たすことがありうるが、炎症性応答は、有害でもありうるし、実際に、生命を危うくすることもありうる。五つの症状、すなわち、疼痛、発赤、熱、腫脹および機能喪失が、しばしば、炎症性応答を特徴付ける。例えば、炎症は、血管からの血漿の漏出を引き起こすかもしれない。この漏出は、有益な作用を有することがありうるが、それは、疼痛を引き起こすこともありうるし、そして未制御の場合、機能喪失をもたらし、重症の場合は死に至ることもありうる。アナフィラキシーショック、関節炎および痛風は、未制御のまたは不適当な炎症を特徴とする状態にある。
【0005】
[0004]特定の場合、傷害または感染が治癒後、前炎症性活性が存続する。これは、順次、疼痛情報を脳に伝達する感覚神経を残して、傷害または感染の不存在下において感作状態のままにする。結果として、患者は、疼痛を経験する。
【0006】
[0005]一つの特に有痛性の疾患は、坐骨神経痛である。坐骨神経痛は、しばしば、極めて消耗性でありうる慢性疾患であり、しかも疾患を有する者に、更には、その家族、友人および介護者に大変な犠牲を強いるかもしれない。坐骨神経痛は、脊髄の下方部分(腰部)から、下腿背部へ下り、そして足へと走る坐骨神経に関連した極めて有痛性の疾患である。坐骨神経痛は、概して、椎間板ヘルニアで始まり、その後、局所免疫系活性化をもたらす。椎間板ヘルニアは、更に、神経根を締め付けるまたは圧迫することによってそれを損傷して、その部位に更なる免疫系活性化をもたらすかもしれない。この有痛性疾患に有効な処置を開発することには大いに関心があったが、これまでのところ、坐骨神経痛の現行処置は、まだ一部分しか有効でない。
【0007】
[0006]炎症は、更に、免疫学的成分を有し、それが、具体的には、異種の組織または臓器移植片に問題を引き起こすことがありうる。移植片拒絶反応は、移植片のレシピエントの免疫系が、移植された組織(または臓器)を攻撃するまたは拒絶する時に起こる。
【0008】
[0007]拒絶反応を予防するために、医学界で移植片拒絶反応の可能性を減少させるのに用いられる一つの戦略は、近親個体から提供された組織を用いることである。その第一戦略と組み合わせて用いることができる第二の戦略は、提供された組織の拒絶反応をもたらすかもしれない免疫応答を抑制する化学的組成物を用いることである。
【0009】
[0008]炎症および/または移植された組織の免疫学的拒絶反応を減少させることが知られている一つの化合物は、フルオシノロンであり、それは、そのアセトニド形(C24H30F2O6)で、手移植片に関連してクリーム剤として局所投与された。それは、4b,12−ジフルオロ−6b−グリコロイル−5−ヒドロキシ−4a,6a,8,8−テトラメチル−4a,4b,5,6,6a,6b,9a,10,10a,10b,11,12−ドデカヒドロ−2H−ナフト[2’,1’:4,5]インデノ[1,2−d][1,3]ジオキソール−2−オンまたは6α−,9α−ジフルオロ−16α−ヒドロキシプレドニゾロン16,17−アセトニドと称することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0009]しかしながら、これまでのところ、徐放性フルオシノロンを利用して炎症、疼痛および/または免疫学的拒絶反応を減少させることを可能にするための満たされていない要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0010]組成物および方法であって、炎症および/または疼痛を減少させる、予防するまたは処置するために投与されるフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を含む組成物および方法を提供する。いろいろな態様において、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩は、坐骨神経痛などの有痛性状態を減少させる、予防するまたは処置するために投与することができる。いろいろな態様において、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩は、移植された組織の拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置するために投与することができる。
【0012】
[0011]提供されるこれら組成物および方法は、内部に配置されたフルオシノロンの長時間徐放性のために設計することができる。例えば、これら製剤および方法は、坐骨神経痛に関連して用いることができる。これら組成物および方法は、更に、糖尿病患者のための移植された膵島細胞に用いることができるし、そしてドナー膵島細胞が導入されるのと同時に埋込みすることができる。
【0013】
[0012]一つの態様により、医薬製剤であって:フルオシノロンおよび少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩は、製剤の約0.5wt.%〜約25wt.%を構成する医薬製剤が存在する。その医薬組成物は、例えば、ドラッグデポーの一部分であってよい。そのドラッグデポーは、(i)フルオシノロン(または一つまたはそれを超えるその薬学的に許容しうる塩)および一つまたは複数の生物分解性ポリマーだけから成ってよい;または(ii)本質的に、フルオシノロン(または一つまたはそれを超えるその薬学的に許容しうる塩)および一つまたは複数の生物分解性ポリマーから成ってよい;または(iii)フルオシノロン(または一つまたはそれを超えるその薬学的に許容しうる塩)、一つまたは複数の生物分解性ポリマー、および一つまたはそれを超える他の活性成分、界面活性剤、賦形剤または他の成分またはその組合せを含んでよい。製剤中に他の活性成分、界面活性剤、賦形剤または他の成分またはその組合せが存在する場合、いくつかの態様において、これら他の化合物またはそれらの組合せは、20wt.%未満、19wt.%未満、18wt.%未満、17wt.%未満、16wt.%未満、15wt.%未満、14wt.%未満、13wt.%未満、12wt.%未満、11wt.%未満、10wt.%未満、9wt.%未満、8wt.%未満、7wt.%未満、6wt.%未満、5wt.%未満、4wt.%未満、3wt.%未満、2wt.%未満、1wt.%未満または0.5wt.%未満を構成する。
【0014】
[0013]別の態様により、医薬製剤であって、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩は、製剤の約0.5wt.%〜約25wt.%を構成し、ここにおいて、少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)またはその組合せを含み、そしてこの少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、この製剤の少なくとも80wt.%を構成する医薬製剤が存在する。
【0015】
[0014]別の態様により、坐骨神経痛および/または組織移植片拒絶反応の処置を必要としている患者の坐骨神経痛および/または組織移植片拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置するための埋込可能ドラッグデポーであって、製剤の約0.05wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含む埋込可能ドラッグデポーが存在する。
【0016】
[0015]別の態様により、移植された組織の拒絶反応の処置を必要としている患者の移植された組織の拒絶反応を予防するための埋込可能ドラッグデポーであって、ドラッグデポーの約0.5wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)またはその組合せを含み、そしてこの少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、この製剤の少なくとも80wt.%を構成する埋込可能ドラッグデポーが存在する。
【0017】
[0016]別の態様により、このような処置を必要としている患者の処置用の埋込可能ドラッグデポーであって、ドラッグデポーの約0.5wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つのポリマーを含み、ここにおいて、少なくとも一つのポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−カプロラクトンおよびD,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトンの一つまたはそれを超えるものを含む埋込可能ドラッグデポーが存在する。
【0018】
[0017]別の態様により、埋込可能ドラッグデポーを製造する方法であって、生体適合性ポリマーおよび治療的有効量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を一緒にし、そしてその組合せから埋込可能ドラッグデポーを成形することを含む方法が存在する。
【0019】
[0018]いろいろな態様の追加の特徴および利点は、一部分は、以下の説明に示されるであろうし、そして一部分は、その説明から明らかであろう、またはいろいろな態様の実施によって習得することができる。いろいろな態様の目的および他の利点は、本明細書および請求の範囲に具体的に指摘される要素および組合せによって理解され且つ達成されるであろう。
【0020】
図面の簡単な説明
[0019]それら態様の他の側面、特徴、恩典および利点は、一部分は、以下の説明、請求の範囲および添付の図面に関して明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】[0020]図1は、フルオシノロンを含む14種類の製剤の表である。
【図2】[0021]図2は、累積API放出百分率で測定されるフルオシノロン累積 in vitro 放出プロフィールのグラフによる図示である。
【図3】[0022]図3は、特定のフルオシノロン製剤の1日放出マイクログラム計算値のグラフによる図示である。
【図4】[0023]図4は、次の投与:皮下に0.5μg/kg/日のフルオシノロン、85/15PLGA−0%、100−DL−7E、85/15 PLGA−20%、100−DL−5E−1%、100−DL−7E−5050 7Aおよび100−DL−7E−1%について、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目および57日目におけるベースラインからの百分率としての機械的閾値を示す棒グラフである。
【図5】[0024]図5は、次の投与:皮下に0.5μg/kg/日のフルオシノロン、85/15PLGA−0%、100−DL−7E、85/15 PLGA−20%、100−DL−5E−1%、100−DL−7E−5050 7Aおよび100−DL−7E−1%について、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、49日目および56日目におけるベースラインからの百分率としての熱刺激足逃避潜時を示す棒グラフである。
【図6】[0025]図6は、いくらかのフルオシノロン製剤の表である。
【図7】[0026]図7は、いくらかのフルオシノロン製剤の in vitro 溶出データを示す一連の四つのグラフである。
【図8】[0027]図8は、いくらかのフルオシノロン製剤の in vitro 溶出データを示す一連の三つのグラフである。
【図9】[0028]図9は、極めて類似の疼痛管理応答を有するNSAID(スリンダク)の画像であるが、それは、被包を妨げなかったし、縫合は再吸収された。
【図10】[0029]図10は、フルオシノロン埋込剤20wt% 85/15 PLGA+10%mPEGおよび1%wtフルオシノロン 100 DL 7E+5%PEG/7% 50/50 PLGA 7Aの画像である。外来の且つ炎症性の物質は、フルオシノロン埋込剤で媒介される炎症性応答の欠如ゆえに再吸収されなかった。更に、線維芽細胞などの細胞の付着ゆえに、被包は存在しなかった。
【図11】[0030]図11は、代表的なフルオシノロン製剤の in vivo 血漿血清レベルおよび in vitro 溶出プロフィールを示す。
【図12】[0031]図12は、代表的なフルオシノロン製剤の in vitro 溶出プロフィールおよび in vivo 血漿血清レベルを示す。
【0022】
[0032]図面が、原寸に比例して描かれているのではないということは理解されるはずである。更に、図中の対象間の関係は、原寸に比例していないことがありうるし、そして実際に、サイズに関して逆の関係を有することがありうる。図面は、示されている各々の対象の構造を理解させ且つ明らかにするためのものであり、したがって、いくつかの特徴は、ある構造の具体的な特徴を示すために誇張されていることがありうる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0033]本明細書および請求の範囲の目的について、特に断らない限り、本明細書および請求の範囲に用いられる成分の量、材料の百分率または比率、反応条件および他の数値を表している全ての数字は、いずれの場合も、「約」という用語で修飾されると理解されるはずである。したがって、そうではないと示されない限り、以下の明細書および請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明によって得られるように求められる所望の性質に依存して異なってよい近似値である。きわめて少なくとも、そして請求の範囲の範囲への均等物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各々の数値パラメーターは、少なくとも、報告されている有効数字の数に照らして、および普通の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。
【0024】
[0034]本発明の広い範囲を示している数値範囲およびパラメーターが、近似値であるということにもかかわらず、具体的な実施例に示されている数値は、できるだけ精密に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、本質的には、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差によって必然的に生じる一定の誤差を含有する。更に、本明細書中に開示の範囲は全て、そこに包含されるいずれかおよび全ての部分範囲を包含すると理解されるはずである。例えば、「1〜10」の範囲には、1の最小値および10の最大値(を含めた)間のいずれかおよび全ての部分範囲、すなわち、1に等しいまたはそれより大の最小値および10に等しいまたはそれ未満の最大値を有するいずれかおよび全ての部分範囲、例えば、5.5〜10が含まれる。
【0025】
[0035]定義
[0036]本明細書および請求の範囲に用いられる「ある(a,an)」および「その(the)」という単数形は、はっきりと且つ明確に一つの意味に制限されない限り、複数の意味を包含するということが留意される。したがって、例えば、「ドラッグデポー」の意味には、一つ、二つ、三つまたはそれを超えるドラッグデポーが含まれる。
【0026】
[0037]「ドラッグデポー」は、フルオシノロンが身体に投与される組成物である。したがって、ドラッグデポーは、所望の部位における埋込みおよび保持を容易にする物理的構造を含むことができる。ドラッグデポーも、ドラッグそれ自体を構成する。本明細書中で用いられる「ドラッグ」という用語は、概して、患者の生理を変化させるいずれかの物質を意味するものである。「ドラッグ」という用語は、本明細書中において、「治療薬」、「治療的有効量」および「活性な医薬成分(active pharmaceutical ingredient)」または「API」という用語と同じ意味に用いることができる。特に断らない限り、「ドラッグ」製剤には、1より多くの治療薬が含まれてよく、ここにおいて、治療薬の代表的な組合せには、二つまたはそれを超えるドラッグの組合せが含まれるということは理解されるであろう。ドラッグは、部位への送達のための治療薬の濃度勾配を与える。いろいろな態様において、ドラッグデポーは、投与部位から約0.01cm〜約10cmまでの距離で治療薬の最適ドラッグ濃度勾配を与え、そしてフルオシノロンを含む。ドラッグデポーには、ドラッグを保持している注入装置(例えば、ポンプ)またはペレットも含まれてよい。
【0027】
[0038]「治療的有効量」または「有効量」は、投与時に、ドラッグが、例えば、炎症の抑制、疼痛の減少または軽減、免疫応答の抑制による状態の改善等のような、生物学的活性の変更をもたらすようにある。患者に投与される投薬量は、投与されるドラッグの薬物動態学的性質、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格等)、症状の程度、同時処置、処置頻度、および所望の作用を含めたいろいろな因子に依存して、単回用量または多数回用量としてありうる。いくつかの態様において、その製剤は、即時放出用に設計される。他の態様において、製剤は、徐放用に設計される。他の態様において、製剤は、一つまたはそれを超える即時放出表面および一つまたはそれを超える徐放性表面を含む。
【0028】
[0039]「デポー」には、カプセル、ミクロスフェア、ミクロパーティクル、マイクロカプセル、ミクロファイバー、粒子、ナノスフェア、ナノパーティクル、コーティング、マトリックス、ウェファー、ピル、ペレット、エマルジョン、リポソーム、ミセル、ゲルまたは他の医薬送達組成物またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。ドラッグデポーは、薬剤を保持し且つ投与するポンプを含んでよい。いくつかの態様において、ドラッグデポーは、デポーからのドラッグの放出を可能にする細孔を有する。そのドラッグデポーは、デポー中において体液がドラッグに置き換わることを可能にするであろう。しかしながら、デポー中への細胞浸潤は、デポーの細孔サイズによって妨げられるであろう。この方法で、いくつかの態様において、デポーは、組織骨格として機能することはないし、組織成長を可能にすることもない。むしろ、ドラッグデポーは、ドラッグ送達に利用されるだけであろう。いくつかの態様において、ドラッグデポー中の細孔は、250〜500ミクロン未満であろう。この細孔サイズは、細胞がドラッグデポーに浸潤することおよび骨格形成する細胞を蓄えることを妨げるであろう。したがって、この態様において、ドラッグは、体液がドラッグデポーに入るにつれてドラッグデポーから溶出するであろうが、細胞が入ることは妨げられるであろう。いくつかの態様において、細孔がほとんどまたは全く存在しない場合、ドラッグは、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/またはヒト体内の他の同様の機構によってドラッグデポーから溶出するであろう。
【0029】
[0040]理想的には、デポーに適する材料は、好ましくは、FDA承認材料またはGRAS材料である薬学的に許容しうる生物分解性材料および/またはいずれかの生体吸収性材料である。これら材料は、ポリマー性または非ポリマー性でありうるし、更には、合成でありうるまたは天然に存在しうる、またはその組合せでありうる。
【0030】
[0041]「生物分解性」という用語は、ドラッグデポーの全部または一部分が、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/またはヒト体内の他の同様の機構によって、時間経過で分解するであろうということを包含する。いろいろな態様において、「生物分解性」は、デポー(例えば、ミクロパーティクル、ミクロスフェア等)が、体内において、治療薬が放出された後にまたは放出されている間に、無毒性成分へと破壊するまたは分解することができるということを包含する。「生物侵食性」により、デポーは、少なくとも一部分は、周囲組織中に見出される物質、体液との接触のために、または細胞性作用によって、時間経過で侵食するまたは分解するであろうということを意味する。「生体吸収性」により、デポーは、ヒト体内で、例えば、細胞または組織によって破壊され且つ吸収されるであろうということを意味する。「生体適合性」は、デポーが、標的組織部位において実質的な組織刺激または壊死を引き起こさないであろうということを意味する。
【0031】
[0042]「徐放性(sustained release)」および「持続放出(sustain release)」(長期放出または制御放出とも称される)という句は、本明細書中において、ヒトまたは他の哺乳動物体内に導入され、そして一つまたはそれを超える治療薬の流れを所定の時間にわたって、しかもその所定の時間中に所望の治療的作用を達成するのに十分な治療的レベルで連続的にまたは継続的に放出する一つまたはそれを超える治療薬を意味するのに用いられる。連続的または継続的放出流の意味は、ドラッグデポーまたはそのマトリックスまたは成分の in vivo 生物分解の結果として、または一つまたは複数の治療薬または一つまたは複数の治療薬のコンジュゲートの代謝性変換または溶解の結果として起こる放出を包含するものである。
【0032】
[0043]「即時放出」という句は、本明細書中において、体内に導入される治療薬であって、しかもドラッグの溶解または吸収を遅らせるまたは延長することを意図することなく、それが投与される場所において溶解するまたはその場所で吸収された状態になることが許される一つまたはそれを超える治療薬を意味するのに用いられる。
【0033】
[0044]それら二つのタイプの製剤(持続放出および即時放出)は、一緒に用いることができる。例えば、異なった形のドラッグの使用によってかまたは徐放性材料の異なった製剤の混合物によって異なった放出プロフィールを与える製剤の混合物を用いることができる。徐放性および即時放出は、一つまたはそれを超える同じデポー中であってよい。いろいろな態様において、徐放性および即時放出は、別々のデポーの一部分であってよい。例えば、フルオシノロンのボーラスまたは即時放出製剤は、標的部位またはその付近に置くことができるし、そして持続放出製剤も、同じ部位またはその付近に置くことができる、または異なったポリマーマトリックスおよび/または剤形の組合せによって同じ製剤中で与えることができる。したがって、ボーラスが完全に利用可能になった後でも、持続放出製剤は、予定の組織に活性成分を与え続けると考えられる。
【0034】
[0045]いろいろな態様において、ドラッグデポーは、埋込み後最初の24時間以内に初期バースト用量の治療薬をもたらすように設計することができる。「初期バースト」または「バースト作用」または「ボーラス用量」は、デポーが、水性液(例えば、滑液、脳脊髄液等)と接触状態になった後の最初の24時間中のデポーからの治療薬の放出を意味する。「バースト作用」は、デポーからの治療薬の増加した放出によると考えられる。別の態様において、デポー(例えば、ゲル)は、この初期バースト作用を免れるように設計される。
【0035】
[0046]疾患または状態の「処置すること」または「処置」は、疾患または状態の徴候または症状または免疫応答を軽減する努力において、一つまたはそれを超えるドラッグを患者(ヒト、他の標準またはそれ以外または他の哺乳動物)に投与することが含まれてよいプロトコルを実行することを意味する。軽減は、疾患または状態の徴候または症状が現れる前に、更には、それらの出現後に起こることがありうる。したがって、処置することまたは処置には、疾患または望ましくない状態の予防することまたは予防が含まれる。更に、処置すること、処置、予防することまたは予防は、徴候または症状の完全な軽減を必要としないし、治癒を必要としないし、そして具体的には、患者への最低限の作用のみを有するプロトコルを包含する。疼痛および/または炎症のいくつかの状態には、慢性状態、例えば、関節リウマチ、変形性関節症、坐骨神経痛、手根/足根管症候群、腰痛、下肢痛、上肢痛、癌、組織痛、および頸部、胸部および/または腰部の椎骨または椎間円板、回旋腱板、関節(articular joint)、TMJ、腱、靱帯、筋肉、の障害及び修復、組織または臓器移植片拒絶反応、などに関連した疼痛が含まれる。「炎症または組織または臓器拒絶反応を減少させること」は、炎症または拒絶反応の低減を包含するが、炎症または拒絶反応の徴候または症状の完全な軽減を必要としないし、治癒を必要としない。いろいろな態様において、炎症または組織または臓器拒絶反応を減少させることには、炎症および/または組織または臓器拒絶反応の最低限の低減も含まれる。
【0036】
[0047]「疼痛」という用語は、侵害受容および疼痛感覚を包含するが、それらは双方とも、当該技術分野において周知の疼痛スコアおよび他の方法を用いて、客観的に且つ主観的に評価することができる。いろいろな態様において、疼痛には、異痛症(例えば、普通の非有害刺激への増加した応答)または痛覚過敏(例えば、普通の有害または不快刺激への増加した応答)が含まれてよいが、それは、順次、現実には温熱性または機械的(触覚的)でありうる。いくつかの態様において、疼痛は、温熱感受性、機械的感受性および/または休息痛を特徴とする。他の態様において、疼痛は、機械的に誘発される疼痛または休息痛を含む。更に他の態様において、疼痛は、休息痛を含む。疼痛は、当該技術分野において周知のように、一次痛または二次痛でありうる。本明細書中で開示の方法および組成物によって減少可能、予防可能または処置可能な疼痛の代表的なタイプには、制限されることなく、腰痛、頸痛、下肢痛、根性痛、または腹部手術による腹痛、および上腕、頸部、背部、腰部、下肢のニューロパシー性疼痛、および椎間板または脊椎手術に起因する関連疼痛分布が含まれる。
【0037】
[0048]「限局」送達には、一つまたはそれを超えるドラッグを、組織内に、例えば、神経系の神経根または脳部分に、またはそれらにきわめて接近した状態(例えば、約10cm以内、または好ましくは、約5cm以内)で貯留する送達が含まれる。
【0038】
[0049]「坐骨神経痛」は、急性からニューロパシー性疼痛へ移行することがありうる疼痛の一例である。坐骨神経痛は、脊髄の下方部分(腰部)から、下腿背部へ下り、そして足へと走る坐骨神経に関連した疼痛を意味する。坐骨神経痛は、概して、椎間板ヘルニアで始まる。椎間板ヘルニア自体は、局所免疫系活性化をもたらす。椎間板ヘルニアは、更に、神経根を締め付けるまたは圧迫することによってそれを損傷して、その部位に更なる免疫系活性化をもたらすかもしれない。いろいろな態様において、ステロイドは、一つまたはそれを超える標的組織部位(例えば、神経根、脊髄神経節、疼痛の焦点部位、脊柱またはその付近等)にスタチンを局所投与することによって、坐骨神経痛および/または炎症を減少させる、処置するまたは予防するのに用いることができる。
【0039】
[0050]「哺乳動物」という用語は、ヒト、他の霊長類であって、チンパンジー、類人猿、オランウータンおよびサルなど、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ等が含まれるがこれに制限されるわけではない「哺乳類」という分類クラスからの生物を意味する。
【0040】
[0051]「拒絶反応」という用語は、生物が、細菌などの外来生物または例えば、移植片によって導入された外来組織を認識後、それを破壊しようとすることを可能にする生物の自己免疫応答を意味する。
【0041】
[0052]「放出速度プロフィール」という句は、一定の時間単位にわたって放出される活性成分の百分率、例えば、mcg/時、mcg/日、10日間の10%/日等を意味する。当業者は、放出速度プロフィールが、必ずしも直線的である必要はないかもしれないと承知している。
【0042】
[0053]「固形」という用語は、硬質材料を意味するものであるが、「半固形」は、ある程度の可撓性を有することで、デポーを折り曲げ且つ周囲組織必要条件に適合することを可能にする材料を意味するものである。
【0043】
[0054]「標的送達システム」は、必要とされるように標的部位またはその付近に貯留することができる一定量の治療薬を有する一つまたはそれを超えるドラッグデポー、ゲル、またはゲル中に分散したデポーの送達を提供する。
【0044】
[0055]本方法および組成物は、好適には、広範囲の免疫で媒介される障害の減少、予防または処置に用いることができる。本明細書中で用いられる「免疫で媒介される障害」という用語は、リンパ球様系統(Tリンパ球、Bリンパ球を含めた)または骨髄球様系統(顆粒球、マクロファージおよび単球を含めた)の細胞で媒介されるまたは部分的に媒介される望ましくない免疫反応または病理を意味し、それは、それが認められる患者に有害である。このような望ましくない免疫反応または病理は、Tリンパ球で媒介されるかもしれない、または多因性であり、例えば、自己免疫疾患、感染因子で誘発される免疫病理、同種移植片によるまたはそれに対する免疫反応、アトピー反応、アレルギー性反応および免疫増殖性障害を含めた慢性炎症性疾患である。これらは、多発性硬化症、関節リウマチ、変形性関節症、インスリン依存性糖尿病(I型糖尿病)、全身性エリテマトーデスおよび乾癬などの自己免疫疾患;感染因子で誘発される免疫病理であって、蠕虫感染(例えば、リーシュマニア症)、およびHIVを含めた特定のウイルス感染、およびライム病、結核およびらい腫らいを含めた細菌感染などのもの;組織移植片拒絶反応、移植片対宿主病;およびアトピー状態であって、喘息、およびアレルギー性鼻炎、食物アレルギーを含めた消化器アレルギーを含めたアレルギー、好酸球増加症、結膜炎または糸球体腎炎などのものが含まれるがこれに制限されるわけではない慢性炎症性疾患を含む。
【0045】
[0056]「組織」という用語は、血管組織、膵臓組織、肝組織、皮膚組織、腎組織、心臓組織、骨、肺、骨髄等が含まれるがこれに制限されるわけではない、生体からのまたは生体内のいずれかの体組織または臓器を意味する。
【0046】
[0057]「移植片」という用語は、ドナーと称することもできる第一原(例えば、生体または人工原)から、レシピエントと称することもできる第二原中への細胞または組織の挿入を意味する。それら細胞、組織または臓器は、同じまたは異なった種から(例えば、外因性)であってよい。移植片組織は、損傷したまたはそれ以外に欠損したまたは欠陥のある組織と交換することができるし、またはそれは、特定の組織を欠いている生体中に挿入することができるし、または移植片組織は、いずれのレシピエント生体組織も除去することなく、生体中に挿入することができる。
【0047】
[0058]「免疫抑制剤」は、自己免疫または免疫応答を抑制する治療薬を意味する。例えば、ステロイド(例えば、フルオシノロン)。ステロイドは、単独投与してよいし、または他の免疫抑制薬、例えば、シクロスポリンA、タクロリムス(tacrolimus)、シロリムス(sirolimus)等のようなものと一緒に投与してよい。
【0048】
[0059]「DLG」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0049】
[0060]「DL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド)を意味する。
【0050】
[0061]「LG」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0051】
[0062]「CL」という略語は、ポリカプロラクトンを意味する。
【0052】
[0063]「DLCL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0053】
[0064]「LCL」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0054】
[0065]「PGA」という略語は、ポリグリコリドを意味する。
【0055】
[0066]「G」という略語は、グリコール酸を意味する。
【0056】
[0067]「PEG」という略語は、ポリ(エチレングリコール)を意味する。
【0057】
[0068]「PLGA」という略語は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0058】
[0069]「PLA」という略語は、ポリラクチドを意味する。
【0059】
[0070]「POE」という略語は、ポリ(オルトエステル)を意味する。
【0060】
[0071]「L」という略語は、乳酸を意味する。
【0061】
[0072]ここで、本発明の特定の態様に詳細に言及するが、それらの例は、添付の図面に詳しく示されている。本発明を、詳しく示されている態様と一緒に記載するが、それらが、本発明をそれら態様に制限するものではないということは理解されるであろう。反対に、本発明は、請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に包含されうる全ての変更、修飾および均等物を包含するものである。
【0062】
[0073]フルオシノロン
[0074]フルオシノロンに言及する場合、特に断らない限りまたは文脈から明らかでない限り、本発明者は、フルオシノロンの薬学的に許容しうる塩、薬理学的に活性な誘導体、またはフルオシノロンの活性代謝産物にも言及しているということは理解される。本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる塩」は、開示された化合物の誘導体であって、親化合物が、その酸性または塩基性塩を作ることによって修飾されていてよいもの(例えば、エステルまたはアミン)を意味する。薬学的に許容しうる塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ性または有機塩が含まれるが、これに制限されるわけではない。薬学的に許容しうる塩には、例えば、無毒性無機酸または有機酸から形成される親化合物の慣用的な無毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような慣用的な無毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸または硝酸などの無機酸から誘導されるもの;または酢酸、フラン酸(fuoric)、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から製造される塩が含まれる。薬学的に許容しうるものには、更に、フルオシノロンのラセミ混合物((+)−Rおよび(−)−S鏡像異性体)またはデキストロ(dextro)異性体およびレボ(levo)異性体各々が個々に含まれる。フルオシノロンは、遊離酸または塩基の形であってよいし、または長時間作用性活性のためにペグ化されていてよい。
【0063】
[0075]哺乳動物への投与用のフルオシノロンの一つの一般的な形は、フルオシノロンアセトニドである。
【0064】
[0076]フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩は、筋弛緩薬と一緒に投与することができる。代表的な筋弛緩薬には、例として且つ制限としてではなく、塩化アルクロニウム、アトラクリウムベシレート(atracurium bescylate)、バクロフェン、カルバメート、カルボロニウム(carbolonium)、カリソプロドール、クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)、ダントロレン、臭化デカメトニウム(decamethonium bromide)、ファザジニウム(fazadinium)、ガラミントリエチオダイド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン(meladrazine)、メフェネシン(mephensin)、メタキサロン(metaxalone)、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン(metocurine iodide)、パンクロニウム、プリジノールメシレート、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム(suxethonium)、チオコルヒコシド(thiocolchicoside)、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン(tubocuarine)、ベクロニウムまたはその組合せが含まれる。
【0065】
[0077]ドラッグデポーは、フルオシノロンに加えて、他の治療薬を含むこともできる。これら治療薬は、いろいろな態様において、炎症カスケードにおけるTNF−αまたは他のタンパク質の転写または翻訳をブロックする。適する治療薬には、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS−188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6mAb(MRA,Tocilizumab, Chugai)、HMGB−1 mAb(Critical Therapeutics Inc.)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ(daclizumab)、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、リコンビナントヒトIL−10またはHuMax IL−15(抗IL15抗体)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0066】
[0078]他の適する治療薬には、IL−1阻害剤であって、リコンビナント非グリコシル化形のヒトインターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)である Kineret(登録商標)(アナキンラ(anakinra))、またはIL−1の作用をブロックする単クローン性抗体であるAMG108などが含まれる。治療薬には、更に、グルタメートおよびアスパルテートなどの興奮性アミノ酸;NMDA受容体、AMPA受容体および/またはカイニン酸受容体へのグルタメート結合のアンタゴニストまたは阻害剤が含まれる。インターロイキン1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF−α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF−α生産を減少させるもの)、骨形成タンパク質(BMP)2型およびBMP−4(TNF−αアクチベーターであるカスパーゼ8の阻害剤)、キナプリル(quinapril)(TNF−αをアップレギュレーションするアンギオテンシンIIの阻害剤)、IL−11などのインターフェロン(TNF−α受容体発現をモジュレーションするもの)、およびオーリントリカルボン酸(TNF−αを阻害するもの)も、炎症を減少させる治療薬として有用でありうる。更に、所望の場合、上のペグ化形を用いることができると考えられる。更に他の治療薬の例には、NFκB阻害剤;ジチオカルバメートなどの抗酸化剤;および他の化合物、例えば、スルファサラジンなどが含まれる。
【0067】
[0079]使用に適する治療薬の例には、更に、抗炎症薬、鎮痛薬または骨誘導性(osteoinductive)増殖因子またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。抗炎症薬には、アパゾン(apazone)、セレコキシブ(celecoxib)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エノール酸(ピロキシカム、メロキシカム(meloxicam))、エトドラク(etodolac)、フェナメート(fenamates)(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、金、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク(ketorolac)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン、ニメスリド(nimesulide)、サリシレート、スルファサラジン[2−ヒドロキシ−5−[−4−[C2−ピリジニルアミノ)スルホニル]アゾ]安息香酸]、スリンダク、テポキサリン(tepoxalin)またはトルメチン;更には、ジチオカルバメートなどの抗酸化剤;コルチゾール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルチカゾン(fluticasone)またはその組合せなどのステロイド類が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0068】
[0080]適するアナボリック増殖因子または抗異化増殖因子には、骨形成タンパク質、成長分化因子、LIM鉱化作用タンパク質、CDMPまたは前駆細胞またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0069】
[0081]適する鎮痛薬には、アセトアミノフェン、ブピバカイン(bupivicaine)、リドカイン、オピオイド鎮痛薬であって、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド(dextromoramide)、デゾシン(dezocine)、デキストロプロポキシフェン(dextropropoxyphene)、ジアモルフィン(diamorphine)、フェンタニール、アルフェンタニル(alfentanil)、スフェンタニル(sufentanil)、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン(ketobemidone)、レボメタジル(levomethadyl)、メピリジン(mepiridine)、メタドン、モルフィン、ナルブフィン(nalbuphine)、オピウム、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン(phenoperidine)、ピリトラミド(piritramide)、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、チリジン(tilidine)、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン(dezocine)、エプタゾシン(eptazocine)、フルピルチン(flupirtine)アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)などのもの、またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0070】
[0082]フルオシノロンデポー中に包含されてよい他の治療薬には、α受容体アゴニスト(例えば、α−1またはα−2受容体アゴニストまたはその組合せ)が含まれる。α−1アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、メタラミノール、オキシメタゾリン、フェニレフリン、2−(アニリノメチル)イミダゾリン、シネフリン(synephrine)またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけでは決してない。
【0071】
[0083]いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、α−2アドレナリン作動性受容体アゴニストを含むが、それは、鎮痛薬および/または抗炎症薬として作用する。本出願において有用なα−2アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、L−ノルエピネフリン、クロニジン、デキサメトデトミジン(dexmetdetomidine)、アプラクロニジン(apraclonidine)、メチルドパ、チザニジン、ブリモニジン(brimonidine)、キシロメタゾリン、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline)、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンズ、グアノキサベンズ(guanoxabenz)、グアネチジン、キシラジン、モクソニジン(moxonidine)、ミバゼロール(mivazerol)、リルメニジン(rilmenidine)、UK14,304、B−HT933、B−HT920、オクトパミンまたはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけでは決してない。
【0072】
[0084]他のαアドレナリン作動性アゴニストには、アミデフリン(amidephrine)、アミトラズ、アニソダミン(anisodamine)、アプラクロニジン、シラゾリン(cirazoline)、デトミジン(detomidine)、エピネフリン、エルゴタミン、エチレフリン(etilefrine)、インダニジン(indanidine)、ロフェキシジン、メデトミジン(medetomidine)、メフェンテルミン(mephentermine)、メタラミノール、メトキサミン、ミドドリン(midodrine)、ナファゾリン、ノルエピネフリン、ノルフェネフリン、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニルプロパノールアミン、リルメニジン、ロミフィジン(romifidine)、シネフリン、タリペキソール(talipexole)、チザニジンまたはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0073】
[0085]フルオシノロンは、非活性成分と一緒に投与することもできる。これら非活性成分は、一つまたは複数の治療薬の担持、その放出を安定化することおよび制御することを含めた多機能目的を有してよい。例えば、徐放過程は、溶液拡散機構によってよいし、またはそれは、侵食持続過程(erosion-sustained process)によって支配されてよい。典型的に、デポーは、生物分解性でありうる生体適合性材料を含んで成る固形または半固形製剤であろう。
【0074】
[0086]いろいろな態様において、非活性成分は、計画されたドラッグ送達期間に等しい(生物分解性成分について)またはそれを超える(非生物分解性成分について)一定時間、組織部位内で耐久性であろう。例えば、デポー材料は、体温に近いまたはそれより高いが、治療薬の脱組成物(decomposition)または分解(degradation)の温度より低い融点またはガラス転移温度を有してよい。しかしながら、デポー材料の所定の侵食を用いて、一つまたは複数の負荷された治療薬の遅い放出を与えることもできる。非生物分解性ポリマーには、PVCおよびポリウレタンが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0075】
[0087]いくつかの態様において、ドラッグデポーは、生物分解性でなくてよい。例えば、ドラッグデポーは、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマー性オレフィン、コポリエステル、およびスチレン系熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高い非鉄金属含有量および低い相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックスまたはその組合せを含んでよい。典型的に、これらタイプのドラッグデポーは、一定時間後に除去される必要がありうる。
【0076】
[0088]いくつかの場合、使用後にドラッグデポーを除去する必要がないことが望まれることがありうる。それらの場合、デポーは、生物分解性材料を含むことができる。標的組織またはその付近に配置された時に、長時間にわたって分解または崩壊可能である特性を有する且つこの目的に利用可能なきわめて多数の材料が存在する。生物分解性材料の化学の関数として、分解過程の機構は、事実上、加水分解性または酵素作用性または双方でありうる。いろいろな態様において、分解は、表面で(不均一または表面侵食)かまたはドラッグ送達システムデポーの至る所で一様に(均一またはバルク侵食)起こることがありうる。
【0077】
[0089]いろいろな態様において、デポーは、フルオシノロンの即時放出または徐放性を与えることができる生物侵食性、生体吸収性および/または生物分解性のバイオポリマーを含んでよい。適する徐放性バイオポリマーの例には、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート、ポリオルトエステル(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゲン(polyphosphazenes)、コラーゲン、デンプン、アルファ化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギネート、アルブミン、フィブリン、ビタミンE類似体であって、αトコフェリルアセテート、d−αトコフェリルスクシネート、D,L−ラクチドまたはL−ラクチドなどのもの、−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBTコポリマー(多活性)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック)、PEO−PPO−PAAコポリマー、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、SAIB(スクロースアセテートイソブチラート)またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。当業者は、mPEGを、PLGAの可塑剤として用いることができるが、同じ作用を達成するのに、他のポリマー/賦形剤を用いることができるということを承知している。
【0078】
[0090]いろいろな態様において、ドラッグデポーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン、グリコリド−カプロラクトンまたはその組合せを含む。
【0079】
[0091]デポーは、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたはリン酸ナトリウムなどの緩衝剤およびpH調整剤;分解/放出改変剤;ドラッグ放出調整剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル第二水銀および硝酸フェニル第二水銀、重硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコールおよびフェニルエチルアルコールなどの保存剤;溶解度調整剤;安定剤;および/または凝集改変剤などの不活性物質を含有してもよい。デポーが、脊椎部位に置かれる予定である場合、いろいろな態様において、デポーは、保存剤不含の滅菌材料を含んでよい。
【0080】
[0092]賦形剤のいくつかの例には、例えば、mPEG(メトキシポリエチレングリコール)、ソルビトール、D−ソルビトール、マルトデキストリン、シクロデキストリン、B−シクロデキストリン、PEG1500、Pluronic F68、Pluronic F127、5050 PLG 7Aまたはその組合せが含まれる。それら賦形剤は、0.001wt%または0.01wt.%〜50wt.%、5〜25wt%、または5〜12wt%の重量百分率で加えることができる。
【0081】
[0093]デポーは、異なったサイズ、形状および立体配置でありうる。ドラッグデポーのサイズ、形状および立体配置を決定する場合に考慮されうるいくつかの因子が存在する。例えば、サイズおよび形状は双方とも、埋込みまたは注射部位として選択される標的組織部位にドラッグデポーを配置する場合の容易さを考慮することができる。更に、そのシステムの形状およびサイズは、ドラッグデポーが埋込みまたは注射後に移動するのを最小限にするまたは妨げるように選択されるべきである。いろいろな態様において、ドラッグデポーは、球形、ロッドまたはファイバーなどの円筒形、ディスク、薄膜またはシートなどの平面等のような形状でありうる。可撓性は、ドラッグデポーの配置を容易にするように考慮すべきことでありうる。いろいろな態様において、ドラッグデポーは、異なったサイズでありうるが、例えば、ドラッグデポーは、約0.5mm〜5mmの長さであってよいし、そして約0.01〜約2mmの直径を有してよい。いろいろな態様において、ドラッグデポーは、約0.005mm〜1.0mm、例えば、0.05〜0.75mmなどの層厚みを有してよい。
【0082】
[0094]ラジオグラフィー用マーカーは、使用者が、患者の標的部位中に正確にデポーを配置するのを可能にするようにドラッグデポー上に包含されうる。これらラジオグラフィー用マーカーは、更に、使用者が、その部位におけるデポーの移動および分解を時間経過で追跡するのを可能にするであろう。この態様において、使用者は、多数の画像診断手順のいずれかを用いて、その部位にデポーを正確に配置することができる。このような画像診断手順には、例えば、X線画像化または蛍光透視法が含まれる。このようなラジオグラフィー用マーカーの例には、バリウム、リン酸カルシウムおよび/または金属ビーズもしくは粒子が含まれるが、これに制限されるわけではない。いろいろな態様において、ラジオグラフィー用マーカーは、球状形、またはデポーを囲む環でありうると考えられる。
【0083】
[0095]ゲル
[0096]いろいろな態様において、フルオシノロンは、ゲル(例えば、噴霧可能ゲル)中で投与される。そのゲルは、約1〜約500センチポアズ(cps)、1〜約200cps、または1〜約100cpsの範囲内の投与前粘度を有してよい。ゲルを標的部位に投与後、そのゲルの粘度は増加するであろうし、そしてゲルは、約1x10〜約6x10ダイン/cm、または2x10〜約5x10ダイン/cm、または5x10〜約5x10ダイン/cmの範囲内の弾性率(ヤング率)を有するであろう。
【0084】
[0097]一つの態様において、デポーは、接着性ゲルであって、そのゲル中に一様に分布しているフルオシノロンを含むものを含む。そのゲルは、前に示されているように、いずれか適するタイプのものであってよく、そしていったん配置された標的送達部位からゲルが移動するのを妨げるように十分に粘稠であるべきである;ゲルは、実際上、標的組織部位に「粘着」または接着すべきである。ゲルは、例えば、標的組織と接触時にまたは標的送達システムから展開した後に固化することができる。標的送達システムは、例えば、シリンジ、カテーテル、針またはカニューレ、またはいずれ他の適する装置であってよい。標的送達システムは、標的組織部位中にまたは上にゲルを注射することができる。治療薬は、標的組織部位にゲルを展開させる前に、そのゲル中に混合することができる。いろいろな態様において、ゲルは、二成分送達システムの一部分であってよく、そして二成分が混合された時に、化学過程は、ゲルを形成するように且つ標的組織にそれを粘着または接着させるように活性化される。
【0085】
[0098]いろいろな態様において、送達後に硬化するまたは剛化するゲルを提供する。典型的に、硬化性ゲル製剤は、約1x10〜約3x10ダイン/cm、または2x10〜約2x10ダイン/cm、または5x10〜約1x10ダイン/cmの範囲内の投与前弾性率を有してよい。投与後硬化性ゲル(送達後)は、ゴム状粘稠度を有してよく、しかも約1x10〜約2x10ダイン/cm、または1x10〜約7x10ダイン/cm、または2x10〜約5x10ダイン/cmの範囲内の弾性率を有してよい。他のIV(内部粘度)範囲には、約0.05〜約0.15dL/g、約0.10〜約0.20dL/g、約0.15〜約0.25dL/g、約0.20〜約0.30dL/g、約0.25〜約0.35dL/g、約0.30〜約0.35dL/g、約0.35〜約0.45dL/g、約0.40〜約0.45dL/g、約0.45〜約0.50dL/g、約0.50〜約0.70dL/g、約0.60〜約0.80dL/g、約0.70〜約0.90dL/g、および約0.80〜約1.00dL/gが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0086】
[0099]いろいろな態様において、ポリマーを含有するそれらゲル製剤について、ポリマー濃度は、ゲルが硬化する速度に影響することがありうる(例えば、より高いポリマー濃度を有するゲルは、より低いポリマー濃度を有するゲルよりも速やかに凝固することができる)。いろいろな態様において、ゲルが硬化した時、得られたマトリックスは固体であるが、組織の不規則な表面(例えば、骨の陥凹および/または突起)に適合することもできる。
【0087】
[00100]ゲル中に存在するポリマーの百分率は、ポリマー性組成物の粘度に影響することもありうる。例えば、より高い重量百分率のポリマーを有する組成物は、典型的に、より低い重量百分率のポリマーを有する組成物よりも濃厚で且つ粘稠である。より粘稠な組成物は、より遅く流れる傾向がある。したがって、より低い粘度を有する組成物は、いくつかの場合に好適でありうる。いくつかの態様において、ポリマーは、製剤の20wt.%〜90wt.%を構成する。
【0088】
[00101]いろいろな態様において、ゲルの分子量は、当該技術分野において知られている多くの方法によって変化することがありうる。ポリマーの分子量は、放出速度プロフィールおよび/または活性成分の送達持続期間を調節するように変化させることができる。概して、ポリマーの分子量が増加するにつれて、次の一つまたはそれを超えることが起こる、すなわち、バースト指数は一層低い、放出プロフィールはより平坦である、および/または送達持続期間はより長い。分子量を変化させる方法の選択は、典型的に、ゲルの組成(例えば、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、いろいろな態様において、ゲルが、一つまたはそれを超えるポリマーを含む場合、重合度は、ポリマー開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒または活性剤(例えば、DMPT)、架橋剤、重合剤の量、および/または反応時間を変えることによって制御することができる。非制限例として、調製されるポリマーは、50:50PLGA〜100PLAを含んでよく、そして分子量範囲は、0.45〜0.8dI/gであってよい。
【0089】
[00102]適するゲルポリマーは、有機溶媒中に可溶性であってよい。溶媒へのポリマーの溶解度は、そのポリマーの結晶化度、疎水性、水素結合性および分子量に依存して変化する。より低い分子量のポリマーは、通常は、高分子量ポリマーよりも容易に、有機溶媒中に溶解するであろう。高分子量ポリマーを包含するポリマー性ゲルは、低分子量ポリマーを包含するポリマー性粗組成物よりも速やかに凝固するまたは固化する傾向がある。高分子量ポリマーを包含するポリマー性ゲル製剤は、更に、低分子量ポリマーを包含するポリマー性ゲルよりも高い溶液粘度を有する傾向がある。
【0090】
[00103]当業者は、異なった末端基を含むポリマーのブレンドを有する埋込可能エラストマー性デポー組成物を用いた場合、得られた製剤は、より低いバースト指数および調節された送達持続期間を有するであろうと承知している。例えば、酸およびエステル末端基を含むポリマーを用いることができる。更に、ポリマーを形成するいろいろなモノマーのコモノマー比(例えば、ある与えられたポリマーのL/G(乳酸/グリコール酸)またはG/CL比)を変化させることにより、調節されたバースト指数および送達持続期間を有する得られたデポー組成物が存在するであろう。例えば、50:50のL/G比を有するポリマーを有するデポー組成物は、約2日〜約1か月である短い送達持続期間を有することができ;65:35のL/G比を有するポリマーを有するデポー組成物は、約2か月の送達持続期間を有することができ;75:25のL/G比または75:25のL/CL比を有するポリマーを有するデポー組成物は、約3か月〜約4か月の送達持続期間を有することでき;85:15のL/G比を有するポリマーを有するデポー組成物は、約5か月の送達持続期間を有することができ;25:75のL/CL比またはPLAを有するポリマーを有するデポー組成物は、6か月より大またはそれに等しい送達持続期間を有することができ;50%より大のGおよび10%より大のLを有するCL/G/Lのターポリマーを有するデポー組成物は、約1か月の送達持続期間を有することができ、そして50%未満のGおよび10%未満のLを有するCL/G/Lのターポリマーを有するデポー組成物は、6か月までの持続月数を有することができる。概して、CL含有量に相対してG含有量を増加させることは、送達持続期間を短くするが、G含有量に相対してCL含有量を増加させることは、送達持続期間を延長する。
【0091】
[00104]したがって、異なった分子量、末端基およびコモノマー比を有するポリマーのブレンドを有するデポー組成物は、より低いバースト指数および調節された送達持続期間を有するデポー製剤を生成するのに用いることができる。
【0092】
[00105]ゲルが、流動性ゲルであるように設計される場合、それは、ゲル中に用いられるポリマーの分子量および濃度に依存して、水の場合と同様に低い粘度から、ペーストの場合と同様に高い粘度へと変化することがありうる。ゲルの粘度は、ポリマー性組成物を、いずれか好都合な技法によって、例えば、ブラッシング、点滴、注射または塗布によって患者の組織に適用することができるように変化させることができる。ゲルのいろいろな粘度は、組成物を適用するのに用いられる技法に依存するであろう。
【0093】
[00106]いろいろな態様において、ゲルは、内部粘度(「I.V.」と略語で示され、単位は、デシリットル/グラムである)を有するが、それは、ゲルの分子量および分解時間の尺度である(例えば、高い内部粘度を有するゲルは、より高い分子量およびより長い分解時間を有する)。典型的に、高分子量を有するゲルは、より強いマトリックスを与え、そしてそのマトリックスは、分解するのにより多く時間を要する。対照的に、低分子量を有するゲルは、より速やかに分解し、そしてより軟質のマトリックスを与える。いろいろな態様において、ゲルは、約0.10dL/g〜約1.2dL/gまたは約0.10dL/g〜約0.40dL/gの内部粘度によって示されるような分子量を有する。
【0094】
[00107]いろいろな態様において、ゲルは、約300〜約5,000センチポアズ(cp)の粘度を有することがありうる。他の態様において、ゲルは、室温において約5〜約300cps、約10cps〜約50cps、約15cps〜約75cpsの粘度を有することがありうる。ゲルは、粘度増強剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、Carbopol、ポリ−(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、mPEG、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000またはその組合せなどを有してもよい。
【0095】
[00108]いろいろな態様において、ゲルは、合成または天然由来の高分子量生体適合性エラストマー性ポリマーから作られるヒドロゲルである。ヒドロゲルが有することが望まれる性質は、ヒト体内における機械的ストレス、具体的には、剪断および荷重に速やかに応答する能力である。
【0096】
[00109]天然源から得られるヒドロゲルは、in vivo 用途について生物分解性で且つ生体適合性である可能性があるので、特に興味をそそる。適するヒドロゲルには、天然ヒドロゲル、例えば、ゼラチン、コラーゲン、絹、エラスチン、フィブリンおよび多糖由来ポリマー様アガロースなどのもの、およびキトサン、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、架橋カルボキシル含有多糖類などの多糖類、またはその組合せが含まれる。合成ヒドロゲルには、ポリビニルアルコールから形成されるもの;ポリアクリル酸およびポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)などのアクリルアミド;ポリウレタン;ポリエチレングリコール(例えば、PEG3350、PEG4500、PEG8000);シリコーン;ポリイソブチレンおよびポリイソプレンなどのポリオレフィン;シリコーンおよびポリウレタンのコポリマー;ネオプレン;ニトリル;加硫ゴム;ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン);ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)などのアクリレート;およびアクリレートとN−ビニルピロリドンとのコポリマー;N−ビニルラクタム;ポリアクリロニトリル;またはその組合せが含まれるが、これに制限されるわけではない。それらヒドロゲル材料は、更に架橋されて、必要とされる強度を更に与えることができる。異なったタイプのポリウレタンの例には、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、脂肪族または芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート−ウレタンまたはシリコーンポリエーテル−ウレタンまたはその組合せが含まれる。
【0097】
[00110]いろいろな態様において、治療薬をゲル中に直接的に混合するよりもむしろ、ミクロスフェアであって、フルオシノロンを負荷されているミクロスフェアを、ゲル中に分散させることができる。一つの態様において、それらミクロスフェアは、フルオシノロンの徐放性を与える。また別の態様において、生物分解性であるゲルは、ミクロスフェアがフルオシノロンを放出するのを妨げる;したがって、ミクロスフェアは、それらがゲルから放出されるまで、フルオシノロンを放出しない。例えば、ゲルは、標的組織部位(例えば、神経根)の周囲に配置することができる。ゲル内に分散しているのは、所望の治療薬を被包している複数のミクロスフェアである。一定のこれらミクロスフェアは、いったんゲルから放出されると分解し、したがって、フルオシノロンを放出する。
【0098】
[00111]ミクロスフェアは、ほぼ流体のように、周囲組織タイプに依存して、比較的速やかに分散することができ、したがって、フルオシノロンを分散させることができる。いくつかの場合、これは、望ましいことがありうる;他の場合、それは、確定した標的部位に強固に束縛された状態でフルオシノロンを保持するのに一層望ましいことがありうる。本発明は、更に、治療薬の分散をそのように束縛するための接着性ゲルの使用を考えている。これらゲルは、例えば、椎間腔、脊椎管または周囲組織中に配置することができる。
【0099】
[00112]ドラッグ送達
[00113]デポーを、ドラッグ送達装置、例えば、シリンジ、ガンドラッグ送達装置、または標的臓器または解剖学的部分へのドラッグの適用に適するいずれかの医療装置の一部分でありうる「カニューレ」または「針」を用いて標的部位へ投与することができるということは、当業者に理解されるであろう。ドラッグデポー装置のカニューレまたは針は、患者への身体的および心理的外傷を最小限にするように設計される。
【0100】
[00114]カニューレまたは針には、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマー性オレフィン、コポリエステル、スチレン系熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高い非鉄金属含有量および低い相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックスまたはその組合せなどの材料から作ることができる管が含まれる。カニューレまたは針は、一つまたはそれを超えるテーパー付き区域を包含してもよい。いろいろな態様において、カニューレまたは針は、面取りされていてよい。カニューレまたは針は、更に、埋込みの部位に依存して、患者の正確な処置に不可欠なチップスタイル(tip style)を有してよい。チップスタイルの例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、撓みチップ(deflected tips)、Hustead、Lancet または Tuohey が含まれる。いろいろな態様において、カニューレまたは針は、更に、ノンコアリングであってよく、そして望ましくない針穿刺を免れるためにそれを覆う外装を有してよい。
【0101】
[00115]中空カニューレまたは針の寸法は、特に、埋込みの部位に依存するであろう。例えば、硬膜外空間の幅は、胸部については僅か約3〜5mm、そして腰部については約5〜7mmである。したがって、針またはカニューレは、いろいろな態様において、これら特定の部位について設計することができる。いろいろな態様において、カニューレまたは針は、椎間孔空間(spinal foraminal space)中の経孔(transforaminal)アプローチを用いて、例えば、炎症を起こした神経根と、その状態を処置するためにこの部位に埋込まれたドラッグデポーに沿って挿入することができる。典型的に、その経孔アプローチは、椎間孔を介して椎間空間に接近することを伴う。移植された組織または臓器について、デポーは、いろいろな態様において、移植時にその臓器部位に置くことができる。
【0102】
[00116]カニューレまたは針の長さについてのいくつかの例には、約50〜150mm長さ、例えば、硬膜外小児科使用には約65mm、標準的な成人には約85mm、および肥満成人患者には約110mmが含まれてよいが、これに制限されるわけではない。カニューレまたは針の太さも、埋込みの部位に依存するであろう。いろいろな態様において、その太さには、約0.05〜約1.655mmが含まれるが、これに制限されるわけではない。カニューレまたは針のゲージは、ヒトまたは動物体内への挿入用に、最大幅または最小の直径、または中間の直径であってよい。最大幅直径は、典型的に、約14ゲージであるが、最小直径は、約25ゲージである。いろいろな態様において、針またはカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。
【0103】
[00117]いろいろな態様において、ドラッグデポーおよび/またはゲルのように、カニューレまたは針は、皮膚下部位またはその付近の場所を示す線量ラジオグラフィー用マーカーを包含するので、使用者は、多数の画像診断手順のいずれかを用いて、その部位またはその付近にデポーを正確に配置することができる。このような画像診断手順には、例えば、X線画像化または蛍光透視法が含まれる。このようなラジオグラフィー用マーカーの例には、バリウム、カルシウムおよび/または金属ビーズもしくは粒子が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0104】
[00118]いろいろな態様において、針またはカニューレは、超音波、蛍光透視法、X線または他の画像化法によって可視化することができる透明または半透明部分を包含してよい。このような態様において、その透明または半透明部分には、放射線不透過性材料または超音波応答性形態(topography)が含まれてよく、それが、その材料または形態の不存在に相対する針またはカニューレのコントラストを増加させる。
【0105】
[00119]ドラッグデポー、および/またはドラッグを投与するための医療装置は、滅菌可能であってよい。いろいろな態様において、ドラッグデポー、および/またはドラッグを投与するための医療装置の一つまたはそれを超える成分は、最終的な包装の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品成分を別々に滅菌し且つ無菌環境で最終パッケージを集合させることを必要とする無菌操作などの操作によるよりも大きく無菌を確信させる。
【0106】
[00120]典型的に、いろいろな態様において、γ線は、最終滅菌工程において用いられるが、それは、装置中で深く透過するγ線からのイオン化エネルギーを利用することを必要とする。γ線は、微生物を死滅させる場合にきわめて有効であり、それらは、残留物を残さないし、装置に放射能を与える十分なエネルギーを有してもいない。γ線は、装置がパッケージ中である場合に用いることができるし、しかもγ滅菌は、高圧または真空状態を必要としないので、パッケージシールおよび他の成分にストレスを加えることがない。更に、γ線は、材料を透過性包装する要求を排除する。
【0107】
[00121]いろいろな態様において、電子ビーム(e−ビーム)照射は、一つまたはそれを超える装置成分を滅菌するのに用いることができる。e−ビーム照射は、概して、低透過率および高線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形を含む。e−ビーム照射は、それが、微生物の生殖細胞を含めた、接触状態のいろいろな化学結合および分子結合を変化させるという点で、γ処理に似ている。e−ビーム滅菌用に生成されるビームは、電気の加速および変換によって発生する電子の集中した高荷電の流れである。e−ビーム滅菌は、例えば、ドラッグデポーがゲル中に包含されている場合に用いることができる。
【0108】
[00122]他の方法も、デポーおよび/または一つまたはそれを超える装置成分を滅菌するのに用いることができるが、それには、例えば、酸化エチレンでのようなガス滅菌、または蒸気滅菌が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0109】
[00123]いろいろな態様において、キットであって、ドラッグデポーおよび/またはドラッグデポーを埋込むのに用いられるように一緒に組み合わされた医療装置と一緒に追加の部分を包含してよいキットを提供する。そのキットは、第一区画にドラッグデポー装置を包含してよい。第二区画は、ドラッグデポーを保持するキャニスターと、限局ドラッグ送達に必要ないずれか他の器具を包含してよい。第三区画は、グローブ、ドレープ、創傷包帯、および埋込み操作の無菌性を維持するための他の手順供給、更には、取扱説明書を包含してよい。第四区画は、追加のカニューレおよび/または針を包含してよい。第五区画は、ラジオグラフィー画像化用の物質を包含してよい。各々の器具は、放射線滅菌されているプラスチックパウチ中に別々に包装されていてよい。キットのカバーは、埋込み手順の図解を包含してよく、そして透明プラスチックカバーを、それら区画の上に置いて、無菌性を維持することができる。
【0110】
[00124]いろいろな態様において、患者の部位中に治療薬を送達する方法であって、標的組織部位またはその付近にカニューレを挿入し、そして患者の皮膚下標的部位にドラッグデポーを埋込み、そしてその標的部位においてゲルを噴霧、ブラッシング、点滴、注射または塗布して、標的部位に接着したドラッグデポーを保持するまたは有することを含む方法を提供する。この方法で、標的部位から離れたドラッグデポーの望ましくない移動を減少させるまたは排除する。
【0111】
[00125]いろいろな態様において、ドラッグデポーを中に分散させているゲルを所望の部位に投与するには、最初に、カニューレまたは針を、皮膚および軟組織を介して下の標的組織部位へ挿入し、そしてゲルを標的部位またはその付近に投与することができる。それら態様において、ドラッグデポーがゲルとは別個の場合、最初に、カニューレまたは針を、皮膚および軟組織を介して下の注射部位へ挿入することができ、そして一つまたはそれを超えるゲル基層を、標的部位へ投与することができる。一つまたはそれを超える基層の投与後、ドラッグデポーを、その一つまたは複数の基層上または中に埋込むことができるので、ゲルは、そのデポーを適所に保持するまたは移動を減少させることができる。必要ならば、引き続きの一つまたは複数のゲル層を、ドラッグデポー上に適用して、デポーを取り囲み、そして更に、それを適所に保持することができる。或いは、ドラッグデポーを、最初に埋込み後、それを適所に保持するように、ゲルをドラッグデポーのまわりに置くことができる。ゲルを用いることにより、ドラッグデポーの正確な且つ精密な埋込みは、患者への最小限の身体的および心理的外傷で達成することができる。ゲルは、更に、ドラッグデポーを標的部位へ縫合する要求を免れて、患者への身体的および心理的外傷を減少させる。
【0112】
[00126]いろいろな態様において、標的部位が脊椎部分を含む場合、体液の一部分(例えば、脊髄液等)を、最初に、標的部位からカニューレまたは針を介して抜き取り後、デポーを投与(例えば、配置、点滴、注射または埋込み等)することができる。その標的部位は、再水和(例えば、体液の再充満)するであろうし、そしてこの水性環境は、ドラッグをデポーから放出させるであろう。
【0113】
[00127]脊椎部位が示されているが、上記のように、ドラッグデポーは、少なくとも一つの筋肉、靱帯、腱、軟骨、椎間板、椎間孔空間、脊髄神経根付近または脊椎管が含まれるがこれに制限されるわけではない、任意の皮膚下部位に送達することができる。
【0114】
[00128]本発明のフルオシノロンを基剤とする製剤は、医薬調製物の形の薬剤として用いることができる。それら調製物は、固形または液体で且つ有機物または無機物であってよい適する医薬担体と一緒の投与において形成され、そして所望のように非経口または他の投与に適当な形で置くことができる。当業者は、既知の担体には、水、ゼラチン、ラクトース、デンプン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、シカリルアルコール(sicaryl alcohol)、タルク、植物油、ベンジルアルコール、ガム、ロウ、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび他の既知の薬剤用担体が含まれるが、これに制限されるわけではないと承知している。
【0115】
[00129]非経口投与には、更に、例えば、カテーテルを介して医薬組成物をを投与する注入ポンプ;標的部位またはその付近に挿入することができる埋込可能ミニポンプ;1時間につき一定量の組成物をまたは間欠的ボーラス用量で投与することができる埋込可能制御放出装置または徐放性送達システムが含まれてよい。使用に適するポンプの一例は、SynchroMed(登録商標)(Medtronic, Minneapolis, Minnesota)ポンプである。このポンプは、三つの密封室を有する。一つには、電子モジュールおよび電池が入っている。二つ目には、蠕動ポンプおよびドラッグリザーバーが入っている。三つ目には、医薬組成物を蠕動ポンプ中に押し込むのに必要な圧力を与える不活性ガスが入っている。ポンプに充填するために、医薬組成物は、リザーバー充填口を介して膨張可能リザーバーに注入される。不活性ガスは、リザーバー上で圧力を生じ、そしてその圧力が、フィルターを介し且つポンプ室中へと医薬組成物を押し込む。次に、医薬組成物を、ポンプ室からカテーテル中へと装置外にポンプ輸送することで、それを標的部位に貯留させるであろう。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサーによって制御される。これは、同様のまたは異なった量の医薬組成物を連続的に、特定の時点に、または送達間の設定間隔で送達するのにポンプを用いることを可能にする。
【0116】
[00130]本発明の別の態様は、組織移植片を与えられた哺乳動物を処置する方法であって、治療的有効量のフルオシノロンを皮膚下の標的部位に投与することを含む方法に関する。フルオシノロン(または薬学的に許容しうる塩)は、例えば、ドラッグデポーとして標的組織部位に局所投与することができる。
【0117】
[00131]いくつかの態様において、フルオシノロンは、ミクロパーティクル、ミクロスフェア、マイクロカプセルおよび/またはミクロファイバーを含む複数のデポー中に被包されている。
【0118】
[00132]いくつかの態様において、埋込可能ドラッグデポーを製造する方法が存在する。その方法は、生体適合性ポリマーおよび治療的有効量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を一緒にし、そしてその組合せから埋込可能ドラッグデポーを成形することを含むことができる。
【0119】
[00133]いくつかの態様において、フルオシノロンは、非経口投与に適している。本明細書中で用いられる「非経口」は、胃腸管を迂回する投与様式を意味し、それには、例えば、静脈内、筋肉内、連続または間欠的注入、腹腔内、胸骨内、皮下、術中、髄腔内、椎間板内、椎間板周囲、硬膜外、脊椎周囲、関節内注射またはその組合せが含まれる。いくつかの態様において、注射は、髄腔内であるが、それは、脊椎管(脊髄周囲の髄腔内空間)中への注射を意味する。注射は、更に、筋肉または他の組織中へであってよい。
【0120】
[00134]いろいろな態様において、フルオシノロンを含むドラッグデポーは、生体適合性ポリマーおよび治療的有効量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を一緒にし、そしてその組合せから埋込可能ドラッグデポーを成形することによって製造することができる。
【0121】
[00135]ドラッグデポーの少なくとも一部分を、一つまたは複数の生体適合性ポリマー、一つまたは複数の治療薬および任意の材料から成形するために、溶液加工技術および/または熱可塑性加工技術を含めたいろいろな技術が利用可能である。溶液加工技術を用いる場合、典型的に、一つまたはそれを超える溶媒種を含有する溶媒系を選択する。その溶媒系は、概して、目的の少なくとも一つの成分、例えば、生体適合性ポリマーおよび/または治療薬に良好な溶媒である。溶媒系を調製する具体的な溶媒種は、乾燥速度および表面張力を含めた他の特性に基づいて選択することもありうる。
【0122】
[00136]溶液加工技術には、溶媒流延技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶媒噴霧技術、浸漬技術、空気懸濁を含めた機械的懸濁によるコーティングを行う技術(例えば、流動コーティング)、インクジェット技術および静電技術が含まれる。適所で、上に挙げたものなどの技術を繰り返しまたは組み合わせて、デポーを作り上げて(build up)、所望の放出速度および所望の厚みを得ることができる。
【0123】
[00137]いろいろな態様において、溶媒および生体適合性ポリマーを含有する溶液を一緒にし、そして所望のサイズおよび形状の型に入れる。この方法で、バリアー層、潤滑層等を含めたポリマー性区域を成形することができる。所望ならば、その溶液は、更に、一つまたはそれを超える次のもの、すなわち、フルオシノロンおよび一つまたは複数の他の治療薬および他の任意の添加剤であって、一つまたは複数のラジオグラフィー用物質などのもの等を、溶解した形または分散した形で含むことができる。これは、溶媒除去後に、これら種を含有するポリマー性マトリックス区域を生じる。他の態様において、溶解したまたは分散した治療薬を含む溶媒を含有する溶液を、先在するポリマー性区域に適用し、それを、溶液加工技術および熱可塑性加工技術を含めたいろいろな技術を用いて成形することができ、そこで、治療薬をポリマー性区域中に吸収させる。
【0124】
[00138]デポーまたはその一部分を成形するための熱可塑性加工技術には、成形技術(例えば、射出成形、回転成形等)、押出技術(例えば、押出、同時押出、多層押出等)および流延が含まれる。
【0125】
[00139]いろいろな態様による熱可塑性加工は、一つまたはそれを超える段階において、一つまたは複数の生体適合性ポリマーと、一つまたはそれを超える次のもの、すなわち、フルオシノロン、一つまたは複数の任意の追加の治療薬、一つまたは複数のラジオグラフィー用物質等を混合するまたは配合することを含む。次に、得られた混合物を造形して、埋込可能ドラッグデポーにする。その混合および造形作業は、このような目的について当該技術分野において知られているいずれかの慣用的な装置を用いて行うことができる。
【0126】
[00140]熱可塑性加工中に、例えば、このような加工に関連している高温および/または機械的剪断ゆえに、一つまたは複数の治療薬が分解する可能性が存在する。例えば、フルオシノロンは、通常の熱可塑性加工条件下において実質的に分解することがありうる。したがって、加工は、好ましくは、修飾条件下で行われ、それが、一つまたは複数の治療薬の実質的な分解を妨げる。多少の分解は、熱可塑性加工中に不可避であるかもしれないということは理解されるが、分解は、概して、10%またはそれ未満に限られる。加工中に一つまたは複数の治療薬の実質的な分解を免れるように制御することができる加工条件の中には、温度、加えられる剪断速度、加えられる剪断応力、治療薬を含有する混合物の滞留時間、およびポリマー性材料および一つまたは複数の治療薬を混合する技術がある。
【0127】
[00141]生体適合性ポリマーを一つまたは複数の治療薬およびいずれかの追加の添加剤と混合してまたは配合して、それらの実質的に均一な混合物を形成することは、当該技術分野において知られているし且つポリマー性材料を添加剤と混合するのに慣用的に用いられるいずれかの装置で行うことができる。
【0128】
[00142]熱可塑性材料が用いられる場合、ポリマーメルトは、生体適合性ポリマーを加熱することによって形成されてよく、それを、いろいろな添加剤(例えば、一つまたは複数の治療薬、不活性成分等)と混合して、混合物を形成することができる。そのようにする一般的な方法は、一つまたは複数の生体適合性ポリマーおよび一つまたは複数の添加剤の混合物に機械的剪断を加えることである。一つまたは複数の生体適合性ポリマーおよび一つまたは複数の添加剤をこの様式で混合することができる装置には、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、高速ミキサー、ロスケトル(ross kettles)等のような装置が含まれる。
【0129】
[00143]一つまたは複数の生体適合性ポリマーおよびいろいろな添加剤はいずれも、所望ならば(例えば、他の理由の中でも、治療薬の実質的な分解を妨げるために)、最終的な熱可塑性混合および造形工程の前に予備混合することができる。
【0130】
[00144]例えば、いろいろな態様において、生体適合性ポリマーは、治療薬が存在していた場合にそれの実質的な分解を引き起こすと考えられる温度および機械的剪断の条件下において、ラジオグラフィー用物質(例えば、放射線不透過性剤)と予備配合される。次に、この予備配合された材料を、より低い温度および機械的剪断の条件下において治療薬と混合し、そして得られた混合物を造形して、フルオシノロン含有ドラッグデポーにする。逆に、別の態様において、生体適合性ポリマーは、低減した温度および機械的剪断の条件下において治療薬と予備配合することができる。次に、この予備配合された材料を、同じく低減した温度および機械的剪断の条件下において、例えば、放射線不透過性剤と混合し、そして得られた混合物を造形して、ドラッグデポーにする。
【0131】
[00145]生体適合性ポリマーおよび治療薬および他の添加剤の混合物を達成するのに用いられる条件は、例えば、用いられる一つまたは複数の具体的な生体適合性ポリマーおよび一つまたは複数の添加剤、更には、用いられる混合装置のタイプを含めた多数の因子に依存するであろう。
【0132】
[00146]例として、異なった生体適合性ポリマーは、典型的に、異なった温度での混合を容易にするように軟化するであろう。例えば、デポーが、PLGAまたはPLAポリマー、放射線不透過性剤(例えば、次炭酸ビスマス)、および熱および/または機械的剪断によって分解しやすい治療薬(例えば、フルオシノロン)を含んで成形される場合、いろいろな態様において、PGLAまたはPLAは、放射線不透過性剤と、例えば、約150℃〜170℃の温度で予備混合することができる。次に、治療薬を、その予備混合された組成物と一緒にし、そしてPGLAまたはPLA組成物につてい典型的であるよりも実質的に低い温度および機械的剪断の条件で追加の熱可塑性加工を行う。例えば、押出機を用いる場合、典型的に、バレル温度、容量出力を制御して剪断を制限し、したがって、一つまたは複数の治療薬の実質的な分解を妨げる。例えば、治療薬および予備混合された組成物は、二軸スクリュー押出機を実質的により低い温度(例えば、100〜105℃)で用いて、そして実質的に低減した容量出力(概して、200cc/分未満の容量出力に相当する、例えば、全容量の30%未満)を用いて混合/配合することができる。これら温度またはそれより高い温度での加工は、実質的な治療薬分解を引き起こすであろうから、この加工温度は、フルオシノロンの融点より十分に低いということが注目される。更に、特定の態様において、加工温度は、治療薬を含めた、組成物中の全ての生物活性化合物の融点より低いであろうということが注目される。配合後、得られたデポーを、同様に低減した温度および剪断の条件下で造形して、所望の形にする。
【0133】
[00147]他の態様において、一つまたは複数の生物分解性ポリマーおよび一つまたはそれを超える治療薬を、非熱可塑性技術を用いて予備混合する。例えば、生体適合性ポリマーは、一つまたはそれを超える溶媒種を含有する溶媒系中に溶解させることができる。いずれか所望の物質(例えば、放射線不透過性剤、治療薬、または放射線不透過性剤および治療薬双方)も、その溶媒系中に溶解または分散させることができる。次に、溶媒を、得られた溶液/分散液から除去して、固形材料を形成させる。次に、得られた固形材料は、所望ならば、追加の熱可塑性加工(例えば、押出)用に造粒することができる。
【0134】
[00148]別の例として、治療薬は、溶媒系中に溶解または分散させることができ、次に、それを、先在するドラッグデポーに適用し(先在するドラッグデポーは、溶液および熱可塑性加工技術を含めたいろいろな技術を用いて成形することができ、そしてそれは、放射線不透過性剤および/または粘度増強剤を含めたいろいろな添加剤を含むことができる)、そこで、治療薬をドラッグデポー上または中に吸収させる。上のように、次に、得られた固形材料は、所望ならば、追加の加工用に造粒することができる。
【0135】
[00149]典型的に、押出法は、一つまたは複数の生体適合性ポリマー、一つまたは複数の治療薬および一つまたは複数の放射線不透過性剤を含むドラッグデポーを成形するのに用いることができる。同時押出を用いてもよく、それは、同じまたは異なった層または区域を含むドラッグデポー(例えば、即時および/または持続ドラッグ放出を可能にする体液透過性を有する一つまたはそれを超えるポリマー性マトリックス層または区域を含む構造)を製造するのに用いることができる造形法である。多区域デポーも、同時射出または逐次射出成形技術などの他の加工および造形技術によって成形することができる。
【0136】
[00150]いろいろな態様において、熱可塑性加工から出現することができるデポー(例えば、ペレット)を冷却する。冷却法の例には、空気冷却および/または冷却浴中浸漬が含まれる。いくつかの態様において、水浴を用いて、押出デポーを冷却する。しかしながら、フルオシノロンなどの水溶性治療薬を用いる場合、浸漬時間は、浴中への治療薬の不必要な損失を免れるように最小限にするべきである。
【0137】
[00151]いろいろな態様において、浴を除去後の周囲または温エアジェットの使用による水または水分の即時除去は、更に、デポー表面上のドラッグの再結晶を妨げるであろうし、したがって、埋込みまたは挿入時の高ドラッグ用量「初期バースト」または「ボーラス用量」を、これが望まれない放出プロフィールである場合、制御するまたは最小限にするであろう。
【0138】
[00152]いろいろな態様において、ドラッグデポーは、ドラッグにポリマーを混合または噴霧後、デポーを所望の形状に成形することによって製造することができる。いろいろな態様において、フルオシノロンを用い、そしてPLGAまたはPEG550ポリマーを混合または噴霧し、そして得られたデポーを、押出によって成形し且つ乾燥させることができる。
【0139】
[00153]いろいろな態様において、医薬製剤であって、フルオシノロンおよび少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、フルオシノロンは、製剤の約0.05wt.%〜約25wt.%を構成する医薬製剤が存在する。いくつかの態様において、その薬剤フルオシノロンは、製剤の約2または3wt.%〜約20wt.%、約3wt.%〜約18wt.%、約5wt.%〜約15wt.%、または約7.5wt.%〜約12.5wt.%を構成する。
【0140】
[00154]いくつかの態様において、少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLA)またはポリ(オルトエステル)(POE)またはその組合せを含む。そのポリ(乳酸−コ−グリコール酸)は、ポリグリコリド(PGA)およびポリラクチドの混合物を含んでよく、そしていくつかの態様において、その混合物中には、ポリグリコリドより多いポリラクチドが存在する。いろいろな態様において、100%ポリラクチドおよび0%ポリグリコリド;95%ポリラクチドおよび5%ポリグリコリド;90%ポリラクチドおよび10%ポリグリコリド;85%ポリラクチドおよび15%ポリグリコリド;80%ポリラクチドおよび20%ポリグリコリド;75%ポリラクチドおよび25%ポリグリコリド;70%ポリラクチドおよび30%ポリグリコリド;65%ポリラクチドおよび35%ポリグリコリド;60%ポリラクチドおよび40%ポリグリコリド;55%ポリラクチドおよび45%ポリグリコリド;50%ポリラクチドおよび50%ポリグリコリド;45%ポリラクチドおよび55%ポリグリコリド;40%ポリラクチドおよび60%ポリグリコリド;35%ポリラクチドおよび65%ポリグリコリド;30%ポリラクチドおよび70%ポリグリコリド;25%ポリラクチドおよび75%ポリグリコリド;20%ポリラクチドおよび80%ポリグリコリド;15%ポリラクチドおよび85%ポリグリコリド;10%ポリラクチドおよび90%ポリグリコリド;5%ポリラクチドおよび95%ポリグリコリド;および0%ポリラクチドおよび100%ポリグリコリドが存在する。
【0141】
[00155]ポリラクチドおよびポリグリコリド双方を含むいろいろな態様において、少なくとも95%ポリラクチド;少なくとも90%ポリラクチド;少なくとも85%ポリラクチド;少なくとも80%ポリラクチド;少なくとも75%ポリラクチド;少なくとも70%ポリラクチド;少なくとも65%ポリラクチド;少なくとも60%ポリラクチド;少なくとも55%;少なくとも50%ポリラクチド;少なくとも45%ポリラクチド;少なくとも40%ポリラクチド;少なくとも35%ポリラクチド;少なくとも30%ポリラクチド;少なくとも25%ポリラクチド;少なくとも20%ポリラクチド;少なくとも15%ポリラクチド;少なくとも10%ポリラクチド;または少なくとも5%ポリラクチドが存在し;そしてそのバイオポリマーの残部は、ポリグリコリドである。
【0142】
[00156]いくつかの態様において、生物分解性ポリマーは、製剤の少なくとも50wt.%、少なくとも60wt.%、少なくとも70wt.%、少なくとも80wt.%、製剤の少なくとも85wt.%、製剤の少なくとも90wt.%、製剤の少なくとも95wt.%;製剤の少なくとも97wt.%;製剤の少なくとも99wt.%;または製剤の少なくとも99.5wt.%を構成する。いくつかの態様において、少なくとも一つの生物分解性ポリマーおよびフルオシノロンは、医薬製剤の単独成分である。
【0143】
[00157]いくつかの態様において、少なくとも75%の粒子は、約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、少なくとも85%の粒子は、約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、少なくとも95%の粒子は、約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、全ての粒子は、約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。
【0144】
[00158]いくつかの態様において、少なくとも75%の粒子は、約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、少なくとも85%の粒子は、約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、少なくとも95%の粒子は、約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様において、全ての粒子は、約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。
【0145】
[00159]いくつかの態様において、医薬製剤であって、フルオシノロンおよび少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、このフルオシノロンは、製剤の約0.05wt.%〜約25wt.%を構成し、ここにおいて、少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)またはその組合せを含み、そしてこの少なくとも一つの生物分解性ポリマーは、この製剤の少なくとも80wt.%を構成する医薬製剤が存在する。
【0146】
[00160]いくつかの態様において、急性疼痛を処置する方法が存在する。これら方法は、医薬組成物を生物に投与することを含み、ここにおいて、この医薬組成物は、約0.05wt.%〜約25wt.%の製剤および少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含む。いくつかの態様において、その負荷量は、約5wt.%〜約10wt.%である。いくつかの態様において、負荷量は、約10wt.%〜約20wt.%である。いろいろな態様において、フルオシノロン負荷量は、0.5wt%である。
【0147】
[00161]いくつかの態様において、より多い負荷量の、例えば、少なくとも20wt.%、少なくとも30wt.%、少なくとも40wt.%、少なくとも50wt.%、少なくとも60wt.%、少なくとも70wt.%、少なくとも80wt.%、または少なくとも90wt.%のフルオシノロンが存在する。
【0148】
[00162]三角測量の戦略は、これら医薬製剤を投与する場合に有効でありうる。したがって、医薬製剤を含む複数(少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個等)のドラッグデポーは、標的組織部位(疼痛発生器または疼痛発生部位としても知られる)の周囲に、その標的組織部位が、2個存在する場合のそれら製剤の間である区域かまたは、一連の複数の製剤で境界線が画成される部位内である区域の中にあるように置くことができる。
【0149】
[00163]いくつかの態様において、それら製剤は、いろいろな長さ、幅、直径等で、僅かに硬質である。例えば、ある種の製剤は、0.50mmの直径および4mmの長さを有してよい。粒子サイズは、乳鉢・乳棒(mort and pestle)、ジェット乾燥またはジェットミリングなどの技法によって変更することができるということは留意されるはずである。
【0150】
[00164]フルオシノロンは、いろいろな医薬製造業者から入手可能である。フルオシノロンの投薬量は、約0.0005〜約100μg/日であってよい。更なるフルオシノロン投薬量には、約0.0005〜約50μg/日;約0.0005〜約25μg/日;約0.0005〜約10μg/日;約0.0005〜約5μg/日;約0.0005〜約1μg/日;約0.005〜約0.75μg/日;約0.0005〜約0.5μg/日;約0.0005〜約0.25μg/日;約0.0005〜約0.1μg/日;約0.0005〜約0.075μg/日;約0.0005〜約0.05μg/日;約0.001〜約0.025μg/日;約0.001〜約0.01μg/日;約0.001〜約0.0075μg/日;約0.001〜約0.005μg/日;約0.001〜約0.025μg/日;および0.002〜約0.025μg/日が含まれる。別の態様において、フルオシノロンの投薬量は、約0.001〜約15μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投薬量は、約0.001〜約10μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投薬量は、約0.001〜約5μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投薬量は、約0.001〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、40〜600μg/日である。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、200〜400μg/日である。投与用製剤は、所望の量の(desired about of)化合物が所望の時間にわたって放出されることを可能にする十分な量の活性成分を含有するように調製することができる。
【0151】
[00165]いくつかの態様において、フルオシノロンが、2〜3μg/日の速度で少なくとも3日間放出されるような十分なフルオシノロンが存在する。いくつかの態様において、この放出速度は、少なくとも10日間、少なくとも15日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、少なくとも50日間、少なくとも90日間、少なくとも100日間、少なくとも135日間、少なくとも150日間、または少なくとも180日間継続する。
【0152】
[00166]いくつかの態様について、バイオポリマーで製剤化される300〜350マイクログラムのフルオシノロンを、ヒトの標的組織部位またはその付近に埋め込む。標的部位を三角測量する多数の部位にフルオシノロンを埋め込む場合、いくつかの態様において、各々の部位のフルオシノロンの全量は、全300〜350マイクログラムの分数である。例えば、324マイクログラムの単回用量を1か所の部位に、または162マイクログラムの二つの別々の用量を2か所の部位に、または108マイクログラムの三つの別々の用量を、組織部位を三角測量する3か所の部位に埋め込むことができる。全投薬量を、生物に有害であると考えられる投薬量よりも少ない量に制限することは重要である。しかしながら、いくつかの態様において、複数の部位が存在する場合、各々の部位は、単回適用において投与されたかもしれない全用量より少量を含有することができるが、各々の部位が、独立して放出プロフィールを有するであろうということを記憶することは重要であり、しかもバイオポリマーの濃度および物質は、したがって、徐放性が十分な時間にわたって起こることを確実にするように調整されるべきである。
【0153】
[00167]いくつかの態様において、フルオシノロンまたはフルオシノロンおよびポリマーを含むドラッグデポーが存在し、ここにおいて、ポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチドカプロラクトンおよびD,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトンのもう一つである。
【0154】
[00168]いろいろな態様において、ボーラス用量またはボーラス作用は、1日、2日、3日、4日または5日にわたって続き、その維持用量は、一層長く(例えば、0.02mgの1日用量のフルオシノロンを135日にわたって)続く。いろいろな態様において、この溶出プロフィールを達成可能なポリマーには、比較的高いラクチド/グリコリド比を有するポリマー(例えば、85/15PLGA;90/10PLGA;DL−PLA)が含まれる。
【0155】
[00169]ここに、本発明を概ね記載してきたが、それは、例示として与えられていて且つ断らない限り本発明を制限するものではない以下の実施例への以下の言及によって一層容易に理解することができる。
【実施例】
【0156】
[00170]実施例
[00171]特定の略語を、いくつかの表および図面に用いる。略語。「DL」または「DL−PLA」という略語は、ポリ(DL−ラクチド)を意味する。「PLGA」という略語は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0157】
[00172]ポリマーが、ヘテロポリマーまたはコポリマーである場合、しばしば、モノマー種の混合物がポリマー中に存在する。そのモル比は、示すことができるし、そして0:100〜100:0、およびこれらモル比の間の範囲であってよい。例えば、85:15PLGAの85は、ポリマー中のDL(ポリDL−ラクチド)の85モノマーモル%を意味し、15は、ポリマー中のPGA(ポリグリコリド)のモルパーセントを意味する。
【0158】
[00173]ポリマーについての表中のコードは、次のように説明される。最初の一つまたは複数の数字は、DL−ラクチド(例えば、ポリラクチド)対グリコリド(例えば、ポリグリコリド)のモノマーモル百分率比を意味する。最初の数字に続く文字コードは、一つまたは複数のポリマーを意味し、ポリマー識別子である。そのポリマーの文字コードに続く二番目の数字は、標的IV指示子であり、dl/gでの範囲の中点値の10倍である。特定のIV指示子の意味は、下の表Aに示されている。
【0159】
[00174]表A
【0160】
【表1】

【0161】
[00175]ポリマーのコード中の最後の文字は、末端基指示子である。例えば、「E」は、エステル末端基を意味し、「A」は、酸末端基を意味する。
【0162】
[00176]それらポリマーは、酸およびエステル末端基などの異なった末端基を有してよい。異なった末端基を有するポリマーのブレンドを有する埋込可能エラストマー性デポーを用いるが、得られた製剤は、より低いバースト指数および調節された送達持続期間を有するであろう。例えば、酸(例えば、カルボン酸)およびエステル末端基(例えば、ラウリル、メチルおよび/またはエチルエステル末端基)を有するポリマーを用いることができる。
【0163】
[00177]例として、100 DL 7Eは、0.60〜0.80dL/gの内部粘度を有するポリマーである。それは、エステル末端基を有する100%ポリ(DL−ラクチド)を含有する。それは、Lakeshore Biomaterials, Birmingham, Alabama より入手可能である。
【0164】
[00178]実施例1
[00179]図1は、賦形剤不含の一つの製剤を含めた、フルオシノロンおよび賦形剤を含有する14種類の製剤の表を提供する。図2は、いくつかが照射されている図1の製剤についての累積API放出百分率のグラフを提供する。(説明文中、FL(フルオシノロン)の百分率が概数で表されていることに注目されたい)。図3は、図1の最後の6種類の製剤について計算された1日放出マイクログラムを提供する。
【0165】
[00180]in vitro 溶出研究は、0.5%SDS含有リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中において37℃で行った。簡単にいうと、ロッド(n=3)を秤量後、10mLのPBS中に浸漬した。規則的な時間間隔で、そのPBSを分析用に取り出し、そして10mLの新しいPBSで置き換えた。PBS溶出緩衝液を、フルオシノロン含有量について、UV−Vis分光測定を用いて分析した。
【0166】
[00181]実施例2
[00182]ニューロパシー性疼痛の2か月慢性狭窄傷害(CCI)モデルを用いて、生物侵食性ポリマー中に被包されたコルチコステロイドであるフルオシノロンのいろいろな製剤を、皮下(SC)に与えられたフルオシノロンと比較して評価した。下の表Bに与えられているいろいろな製剤を、疼痛関連行動を減少させることについて評価した。熱刺激足逃避潜時を、ベースライン、術後7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日および56日に評価し、機械的閾値を、術後8日、15日、22日、29日、36日、43日、50日および57日に評価した。これら試験結果を示す棒グラフを、図4および図5に示す。
【0167】
[00183]7種類の被験動物群が存在した。各々の被験動物に、表Aに記載の投与群(n=8)にしたがって、試験品または対照品の処置を与えた。群1には、ドラッグ注射を毎日与えた。群2〜群7には、神経を完全に包囲するように尾部のCCIに埋め込まれる固形ポリマー埋込剤を与えた。
【0168】
【表2】

【0169】
機械的異痛症を、いろいろな剛さ(2.0〜15.0g)を有する von Frey モノフィラメント(Stoelting, Wood Dale, IL)を用いて、前に記載のように1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目および57日目に測定した(図5〜6を参照されたい)。被験動物を、孔あき金属プラットホーム上に置き、そしてそれらの周囲状況に最低15分間慣れさせた後、試験を行った。50%足引っ込め閾値応答を、刺激強さの逐次的増加および/または減少(Dixon の「アップダウン法(up-down method)」)によって決定した。フィラメントは各々、座屈(buckling)作用を引き起こすのに十分な圧力で適用した。5秒後の足上げ/引っ込め応答の不存在は、次の一層高重量のフィラメントの使用を促した。正の応答を示す足引っ込めは、一層弱いフィラメントの使用を促した。最初の応答(すなわち、足引っ込め)後、試験を、4回の追加測定のために続け、そして応答閾値を計算するのに用いた。4回連続した正の応答には、0.25gのスコアを与え、そして5回連続した負の応答(すなわち、足引っ込めなし)には、15gのスコアを与えた。50%足引っ込め閾値を、式:10(Xf+kd)/10,000[式中、Xfは、用いられた最終 von Frey フィラメントであり(log単位)、kは、応答パターンを分析する値であり(Chaplan et al. によって公表された表から得られる)、そしてdは、平均刺激差である(log単位)]を用いて計算した。平均および平均の標準誤差(SEM)は、各々の処置群について決定した。
【0170】
[00185]データを、図4および図5にグラフで示すが、それは、フルオシノロンドラッグデポーが、対照(未負荷ポリマーデポー)と比較した場合、疼痛および/または炎症を減少させることにおいて少なくとも57日間有効であったということを示している。
【0171】
[00186]実施例3
フルオシノロン製剤および放出プロフィール
[00187]フルオシノロンは、グルココルチコイド活性を有する強力なステロイドである。一貫して放出させるために、追加の賦形剤をポリマー製剤に加えた。例えば、1%〜20%フルオシノロンのドラッグ負荷量では、85/15PLGAまたはDL−PLAまたはDL−PLAおよび50/50PLGA混合物を、約10%〜98%の量で加えることができる。そのデポーを押出し、そしていろいろなサイズ(例えば、0.75(長さ)X0.75mm(直径)、0.8X0.8mm、1X1mmのペレットサイズ)にすることができる。
【0172】
[00188]図6、表Cは、製造されたいろいろなフルオシノロン製剤と、図7および図8に示される0%〜60%累積放出のフルオシノロン放出速度で38日〜100日にわたるそれらの溶出プロフィールのいくつかを示す。このタイプの放出プロフィールは、疼痛および/または炎症、または組織または臓器移植片拒絶反応を減少させる、処置するまたは予防する場合に有益であると考えられる。
【0173】
[00189]図10は、20wt%の85/15PLGA+10%mPEGおよび1%wtフルオシノロン 100 DL 7E+5%PEG/7% 50/50 PLGA 7Aのフルオシノロン埋込剤の画像である。外来の且つ炎症性の物質は、フルオシノロン埋込剤で媒介される炎症性応答の欠如ゆえに再吸収されなかった。更に、線維芽細胞などの細胞の付着ゆえに、被包は存在しなかった。図9は、極めて類似の疼痛管理応答を有するNSAID(スリンダク)の画像であるが、それは被包を妨げなかったし、縫合は再吸収された。
【0174】
[00190]試験を行って、フルオシノロンが、ヒト細胞に毒性であるかどうか決定した。試験された細胞系は、ヒト平滑筋血管細胞であった。それら結果は、フルオシノロンが、これら細胞タイプに毒性でないことを示した。
【0175】
実施例4
[00191]目的:これら研究の目的は、生物分解性ポリマー剤形からの in vivo ドラッグ溶出速度を評価すること、および前に得られた in vitro データとそれを比較することであった。
【0176】
[00192]実験方法要約:24匹の Sprague Dawley ラットを、この研究に利用した。どのラットにも、2個または3個の皮下(SQ)埋込剤を埋込みした(被験動物1匹につき2か所の部位)。群1には、活性な負荷ポリマーを与えた。群2には、未負荷(対照)ポリマーを与えた(被験動物1匹につき3か所の部位)。
【0177】
[00193]ポリマーペレットは、背側正中皮膚切開(約2cm長さ)を行い且つ鈍的剥離で外側SQポケット(約1cmx1cm)を作ることによって埋込みした。それらペレットを、鉗子で貯留させた。皮膚切開は、皮膚ステープルを用いて閉じた。
【0178】
[00194]ラットを、埋込み手順から回復させ、そして所定のスケジュールにしたがって、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目および66日目に屠殺した。剖検で、残っている剤形を確かめ、そしていくつかの部分を回収した。その剤形の回収部分を秤量し、そしてドラッグ含有量について分析した。最後に、血液試料を、心臓穿刺によって集め(約1mL)、EDTA試験管に移した。EDTA中の血漿を、将来のドラッグ分析用に単離した。表Dは、用いられたフルオシノロンデポーおよび試験パラメーターを要約している。
【0179】
【表3】

【0180】
[00195]図11は、フルオシノロンを含有する12個のデポー(2か所の部位に埋め込まれた6個のデポー)の in vitro 1日放出プロフィールおよび in vivo 1日血漿レベルを示す。この投薬量は、普通のヒト用量のほぼ二倍量である(ヒトの場合、6個のデポーが用いられると考えられる)。フルオシノロンの初期バーストまたは即時放出は、約3日間認められ、in vitro 試験について1.5〜3.5mcg/日以上に達した。in vivo 血漿レベルは、血漿中に約400〜600pg/mlの初期バーストを約3日で有したが、それは、12個のデポーが埋め込まれたことを考えると比較的低い。約3日後、デポーからの in vitro 1日ドラッグ放出は、100日間以上一貫した放出で約0.01〜約2.5mcg/日であった。フルオシノロンの in vivo 血漿レベルも、約30日後に一貫して、150〜250ピコグラム/ml範囲内の血漿レベルに達した。
【0181】
[00196]次のフルオシノロン製剤を、表Eにおいて製造した。
【0182】
[00197]IVIVC−2研究・表Eフルオシノロン含有量純度および結果
【0183】
【表4】

【0184】
[00198]表Eのペレットの溶出プロフィールを、図12に示す。フルオシノロンドラッグデポーは、in vivo でデポーから溶出した約20%〜25%のフルオシノロンを30日間有した。in vivo ドラッグデポーは、ペレットを外植し且つデポーから溶出したドラッグwt%を測定することによって測定した。in vitro ドラッグ溶出は、PBSまたはPBSおよびSDSを用い且つ累積溶出wt%を測定して測定した。in vitro 溶出は、in vivo 溶出と相関したが、その場合、ドラッグの初期バースト作用および即時放出が、最初の3日以内に存在した後、それぞれ、57日間または30日間までの一貫した徐放性が存在した。
【0185】
[00199]本明細書中に記載のいろいろな態様に、本明細書中の教示の精神または範囲から逸脱することなく、いろいろな修飾および変更を行うことができるということは、当業者に明らかであろう。したがって、いろいろな態様は、本教示の範囲内のいろいろな態様の他の修飾および変更を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛、炎症および/または組織移植片拒絶反応の処置を必要としている患者の疼痛、炎症および/または組織移植片拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置するための埋込可能ドラッグデポーであって、ドラッグデポーの約0.5wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含み、ここにおいて、該ドラッグデポーが、フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を、少なくとも3日間にわたって放出することができる、前記埋込可能ドラッグデポー。
【請求項2】
前記疼痛および/または炎症が、坐骨神経痛による、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項3】
前記フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩が、ドラッグデポーの約1wt.%〜約20wt.%を構成する、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項4】
前記少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ドラッグデポーの少なくとも80wt.%を構成する、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項5】
前記少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ドラッグデポーの少なくとも90wt.%を構成する、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項6】
少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチドグリコリド−ε−カプロラクトン、ポリ(グリコリド−ε−カプロラクトン)またはその組合せの一つまたはそれを超えるものを含む、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項7】
少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を含み、該ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)が、ポリグリコリドおよびポリラクチドの混合物を含む、請求項6に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項8】
前記混合物が、ポリグリコリドより多いポリラクチドを含む、請求項6に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項9】
前記フルオシノロンが、フルオシノロンアセトニドを含む、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項10】
ドラッグデポーが、(i)ボーラス用量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を皮膚下部位に放出し;そして(ii)有効量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を少なくとも50日間にわたって放出する、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項11】
少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)またはその組合せを含み、そして該少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、前記ドラッグデポーの少なくとも80wt.%を構成する、請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項12】
炎症、疼痛および/または組織移植片拒絶反応の処置を必要としている患者の炎症、疼痛および/または組織移植片拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置するための埋込可能ドラッグデポーであって、ドラッグデポーの約0.5wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンアセトニドと、少なくとも一つのポリマーを含み、ここにおいて、該少なくとも一つのポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチドカプロラクトンまたはD,L−ラクチドグリコリド−ε−カプロラクトンの一つまたはそれを超えるものを含む、前記埋込可能ドラッグデポー。
【請求項13】
炎症、疼痛および/または組織移植片拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置する方法であって、このような処置を必要としている患者の標的組織部位にドラッグデポーを埋込みして、組織移植片拒絶反応を減少させる、予防するまたは処置することを含み、ここにおいて、該ドラッグデポーが、ドラッグデポーの約0.05wt.%〜約25wt.%の量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも一つの生物分解性ポリマーを含む、前記方法。
【請求項14】
前記フルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩が、ドラッグデポーの約1wt.%〜約15wt.%を構成する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記生物分解性ポリマーが、ドラッグデポーの少なくとも80wt.%を構成する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチドカプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトンまたはその組合せの一つまたはそれを超えるものを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも一つの生物分解性ポリマーが、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を含み、該ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)が、ポリグリコリドおよびポリラクチドの混合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物が、ポリグリコリドより多いポリラクチドを含む、請求項17に記載の埋込可能ドラッグデポー。
【請求項19】
前記埋込みが、前記ドラッグデポーを、疼痛発生器を三角測量する複数の部位に適用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の埋込可能ドラッグデポーを製造する方法であって、生体適合性ポリマーおよび治療的有効量のフルオシノロンまたはその薬学的に許容しうる塩を一緒にし、そしてその組合せから埋込可能ドラッグデポーを成形することを含む、前記方法。

【図1】
image rotate

【図8】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2011−508791(P2011−508791A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542440(P2010−542440)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/041043
【国際公開番号】WO2009/129511
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】