説明

生物学的サンプル処理用装置と方法

複数の基盤支持された生物学的サンプルの独立した、同時の処理を達成する装置と方法が説明される。1実施例では、小さい円弧内に配置された基盤ホルダーは、処理位置とアクセス位置の間で独立に移動可能であり、試薬は該基盤ホルダー内に保持された基盤へ、該基盤ホルダーの円弧に沿って移動するノズルプレートを通して供給される。開示された装置と方法は生物学的サンプルの簡潔処理の実施に特に好適である

【発明の詳細な説明】
【関連出願データ】
【0001】
本出願は引用によりここに組み入れられる2007年7月10日出願の米国特許仮出願第60/958916号の特典を請求する。
【技術分野】
【0002】
1.分野
本発明は分析用サンプルを準備する機器と方法に関する。特に、本発明は基盤上の生物学的サンプルの自動処理用の機器と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
原染色、特殊染色、免疫化学分析、及び原位置ハイブリッド形成{アイエスエイチ(ISH)}分析は、微小アレーサンプル、組織サンプル及び組織アレーサンプルを含む種々の生物学的サンプルの分析用に使われる。これらの技術は手動で、特に多数の異なる人により行われる時、本来的に一貫性がない。一貫性のない染色は、病理学者又は他の医学又は研究職員がサンプルを解釈し、種々のサンプル間の比較を行うことを難しくする。かくして、染色過程を自動化し、染色の非一貫性を減じるのに役立つ多数のデバイスと方法が説明されて来た。臨床及び研究の両市場の解剖病理学サービス用の労働コスト及び伸びる需要はサンプル処理過程の自動化向上の圧力を掛けている。
【0004】
自動化と協調した、実験室作業流れの改善(例えば、引用によりここに組み入れられる特許文献2参照)はサンプルのターンアラウンド時間を減じ得る。しかしながら、現在利用可能なサンプル処理器、特にバッチサンプル処理器により課される制限は、この様な“簡潔な”方法が作業流れを増加させる程度を減じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願公開第60/958916号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第11/639,586号明細書
【特許文献3】米国特許第6,943,029号明細書
【特許文献4】米国特許第6,945,128号明細書
【特許文献5】米国特許第6,416,713号明細書
【特許文献6】米国特許第6,192,945号明細書
【特許文献7】米国特許第6,045,759号明細書
【特許文献8】同時継続中の米国特許出願公開第11/032、324号明細書
【特許文献9】同時係属中の米国特許出願公開第11/818,223号明細書、“Laboratory Instrumentation Information Management and Control Network”
【特許文献10】米国特許出願公開第2006/0019303号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Horobin and Kiernan、“Conn’s biological stains:a handbook of dyes、stains and fluorochromes for use in biology and medicine”、10th ed.、Oxford:BIOS、ISBN1859960995、2002
【非特許文献2】Beesley、“Immunocytochemistry and in situ hybridization in the biomedical sciences”、 Boston:Birkhauser、ISBN 3764340657、2002
【発明の概要】
【0007】
生物学的サンプル処理装置が開示される。1実施例では、該装置は、各基盤ホルダーが種々の処理位置と種々のアクセス位置の間で自動的にそして独立して移動可能である複数の基盤ホルダーと、それらの種々の処理位置の2つ以上の基盤ホルダー上に保持された2枚以上の基盤を同時に処理するよう構成された移動可能なサンプル処理器と、を有する。特定の実施例では、該装置は、該装置内の他のサンプルの処理を中段することなく、サンプルが個別に加えられるか又は該システムから回収されることを可能にする仕方で、複数のサンプルの各々を独立に処理するよう構成される。開示されるシステムの特別の利点は、サンプル処理をサンプル準備とペース合わせする様な、そのサンプル処理用の簡潔な作業流れ方法との両立性である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】自動基盤処理装置の開示基盤処理部分の実施例の平面図である。
【図2】自動基盤処理装置の開示基盤処理部分の実施例の上から見た斜視図である。
【図3】自動基盤処理装置の開示基盤処理部分の実施例の下から見た斜視図である。
【図4】プレート円弧に沿って位置付けられた種々のノズルを有するノズルプレートの実施例の斜視図である。
【図5】処理位置とアクセス位置の間の移動を可能にするようサンプルレール上に設置された基盤ホルダーの実施例の斜視図である。
【図6】処理位置及びアクセス位置から基盤ホルダーを移動させる空気シリンダーを有し、サンプルレール上に設置された基盤ホルダーの実施例の斜視図である。又図6には、種々の基盤ホルダーを熱的に分離するのに役立つよう、或る実施例で利用されるスプラッシ遮蔽と周囲空気の管路が示される。
【図7】開示された装置の種々の基盤ホルダー間の熱的分離を改善するために、ガスマニフォールドからのガス流れが処理位置の基盤ホルダーを過ぎて如何に流れるかを図解する、基盤ホルダーの実施例の側面図である。
【図8】センサーをその外面上に有する基盤ホルダーの実施例の斜視図であり、この特定の実施例では、複数のステイタス指示器がカバー用層の下に示される。
【図9】図8で図解したカバー用層の下にあり、タッチセンサーと、各カラー又はカラーの組み合わせがユーザーに特定の条件を警報する、複数のカラーの複数のステイタスLED燈と、を有するプリント回路基板{ピーシービー(PCB)}の斜視図である。
【図10】細長いノズルプレートの第2端部のプレート円弧に沿って配置された複数のノズルの実施例を図解する略図であり、複数の基盤処理動作を行うため種々の種類のノズルを供給するよう作られた典型的タイプのフルイデック接続を図解する。
【図11】複数の基盤支持されたサンプルを独立に処理するための電気的接続及びデータ伝送の実施例を図解する略図である。
【図12】種々の処理プロトコルに従う複数のサンプルの実質的に連続した同時処理を行うコンピュータロジックスキームの実施例を図解する流れ図である。
【図13】“レール”が基盤エッジに沿うアスピレーター騎乗を有するレール付きサンプルアスピレーターの実施例の斜視図である。
【図14】ノズルプレート上に設置された移動可能な基盤アスピレーターの実施例を示す斜視図であり、該基盤アスピレーターは特定の基盤ホルダー内に保持された特定の基盤上に位置付けられる。
【図15】基盤アスピレーターの実施例内のノズルの配置の切り欠き図であり、基盤エッジは該アスピレーターが乗るレールとして機能するよう基盤エッジと接触している基盤アスピレーターの下面のアーク形状を示している。
【図16】配置された基盤と、表面温度を測定するため基盤面に狙いを付けた非接触センサーと、を有する基盤ホルダーの放射熱制御ユニットの実施例の斜視図である。
【図17】基盤ホルダーの放射熱制御ユニットの下部部分の斜視図であり、被加熱下面と熱的制御ユニット上に置かれた基盤との間の空気ギャップを形成するキャビテイを図解している。
【実施例1】
【0009】
幾つかの実施例の下記記述は本発明を更に図解する例を説明するが、本発明をそれに限定する意味ではない。上記に現れるそれらを含み、ここに含まれる節の全タイトルは本発明への限定と解釈されるべきでなく、寧ろ、それらは本明細書により提供される本発明の図解的記述を構成するため提供される。又、種々の図解実施例の理解で読者に役立つよう、用語の説明が本発明の実施例の展望の後に提供される。
【0010】
展望
1実施例では、各基盤ホルダーが種々の処理位置と種々のアクセス位置の間で自動的に、独立して移動可能な複数の基盤ホルダーを有する自動化された生物学的サンプル処理装置が開示される。例えば、該処理位置は生物学的サンプルが処理される装置内の位置であり、該アクセス位置はユーザーが装置内の他のサンプルの処理と干渉することなく基盤ホルダー上に基盤支持されたサンプルを置くことが出来る位置である。該装置は、例えば隣接する基盤ホルダー上の2つ以上の基盤の様に、それらの種々の処理位置の2つ以上の基盤ホルダー上に保持された2枚以上の基盤を同時に処理するよう構成された移動可能な基盤処理器を有する。該装置は更に、サンプルの処理の分断を最小にしながら、サンプル処理用に必要な試薬を補充するためのユーザーアクセスを可能にすると共に、又他のサンプルの処理完了の前に処理完了したサンプルへのユーザーアクセスが利用出来る仕方で運転されてもよい。更に、他のサンプルが既に該装置により処理される間に、追加の、個別サンプルの処理がスタートされてもよい。これらの特徴の全てと、ここで説明される他の特徴は、実験室職員に、一貫したレベルがないと言う長年のサンプル処理ニーヅを考慮して、作業流れを改善する柔軟性を提供する。
【0011】
開示する装置は複数の基盤ホルダーを備えており、該複数の基盤ホルダーは該複数の基盤ホルダーの各々と、従ってその上に置かれた基盤上に保持されたサンプルと、の独立した温度プログラミングを可能にする。1実施例では、該独立した熱的制御ユニットは該基盤が加熱面との直接接触により加熱される伝導加熱プラットフォームを有する。もう1つの実施例では、該独立した熱的制御ユニットは、該基盤が赤外線放射を放射する加熱面上
の空気ギャップを通して、放射と、ことによると対流と、により加熱される放射加熱プラットフォームを有する。なおもう1つの実施例では、該独立した熱的制御ユニットはペルチエ(Peltier)デバイスの様な加熱及び冷却プラットフォームを有する。勿論、伝導加熱、放射加熱、そして加熱及び冷却プラットフォームの如何なる組み合わせも該複数の基盤ホルダー上に含まれてもよい。
【0012】
特定の実施例で、該開示された装置は、基盤の上面、該基盤の該上面上の生物学的サンプル、そして該基盤の該上面の少なくとも1部分をカバーする或る容積の液体の少なくとも1つの温度を測定するよう位置付けられた非接触温度センサーを有する。より特定的な実施例では、該非接触温度センサーは、熱的制御ユニットが基盤サンプル又は液体を予め決められた温度に維持するよう、該熱的制御ユニット用の電源とフィードバックループで接続されている。
【0013】
他の特定の実施例では、該独立した熱的制御ユニットは該基盤ホルダーの1つ以上を過ぎる空気流源を有し、例えば該複数の基盤ホルダーの各々は別々の空気流源を有し、そして該基盤ホルダーの各々を過ぎる空気流れは分離されている。より特定的な実施例では、該基盤ホルダーの各々を過ぎる該空気流れは該基盤ホルダーを超える或る距離の共通点の方へ導かれる。
【0014】
該開示された装置のもう1つの実施例では、それらの種々の処理位置の該複数の基盤ホルダーは、実質的に同じ平面内で、小円弧半径を有する小円弧(180度より小さい円の部分)に実質的に沿って配置され、該基盤処理器は該小円弧の中心に回転可能に設置され(ベアリング上に於ける様に)、該小円弧の上の平面に平行で該平面内の通路に沿って移動する。特定の実施例では、該基盤処理器は、そこでそれが設置される第1端部と、第2端部と、を有する細長いノズルプレートであってもよく、そこでは該第2端部は該基盤ホルダーの該小円弧の方へ該ノズルプレートの長さに沿って配置される。該ノズルプレートの第2端部には、プレート円弧内に配置された複数のノズルが位置し、該プレート円弧は基盤ホルダーが沿うよう配置される小アークと実質的に同じ半径を有する。より特定的な実施例では、ノズルのプレート円弧は、基盤ホルダーが沿うよう配置される該小円弧より長さが短い。ノズルプレートの該第2端部に設置されたノズルは渦混合ノズル、バルク試薬ディスペンスノズル、ジェットドレインノズル、及び濯ぎノズル(例えば、引用によりここに組み入れられる特許文献3参照)の2つ以上と、後記する例3で論じるレール付きアスピレーターと、を有してもよい。
【0015】
もう1つの特定的実施例では、ノズルプレートは更に該ノズルプレート上に回転可能に設置された試薬カルーセルを有してもよい。そして、例えば、複数のディスペンサーが該ノズルプレートに直角なその軸線を有して設置された円柱状試薬カルーセルの円形プロフアイルの周りに配置されてもよい(例えば、その特許の各々が引用によりここに組み入れられる特許文献3,4,5,6及び7参照)。
【0016】
もう1つの実施例では、該装置は種々の処理位置の基盤ホルダーを収容する囲いを有し、該囲いからは該基盤ホルダーが種々のアクセス位置へと該囲いの外部に延びる。なおもう1つの実施例では、種々の処理位置の1つ以上の基盤ホルダー上に保持された生物学的サンプルの処理が自動的に続く一方、1つ以上の該サンプルホルダーは種々のアクセス位置にある。
【0017】
なおもう1つの特定的実施例では、自動化された生物学的サンプル処理装置が開示されるが、該装置は、円の小円弧に沿い実質的に同じ平面内で配置された複数の基盤ホルダーを有し、該円は第1半径を有する。細長いノズルプレートが該円の中心に回転可能に設置され、該小円弧の方へ、しかし該複数の基盤ホルダーの上の平面内で、そして該小円弧の
半径方向線に沿うよう延びる。円柱状の試薬ディスペンサーカルーセルが該細長いノズルプレート上に回転可能に設置され、該円柱状カルーセルは軸線と第2半径を有し、該第2半径は第1半径より短い。該円柱状カルーセルは該細長いノズルプレート上に、該カルーセル上の試薬ディスペンサーが、該円の中心の周りの該ノズルプレートの回転運動と該カルーセルのその軸線周りの回転運動との組み合わせにより、該小円弧に沿う基盤ホルダーの上に位置付けされ得るよう、設置される。より特定的な実施例では、該複数の基盤ホルダーの各々は、該小円弧から該小円弧の別々の半径方向線に沿い第2小円弧へ、外方へ独立して伸長可能である。もう1つのより特定的な実施例では、周囲空気は2つ以上の該基盤ホルダーを過ぎて該小円弧の半径方向線に沿うよう導かれ、なお更に特定的には、該周囲空気は該小円弧が1部である円の中心に向かって、該基盤ホルダーを過ぎるよう導かれる。第1基盤ホルダーを過ぎるよう導かれた周囲空気は、第2基盤ホルダーを過ぎるよう導かれた周囲空気から実質的に分離される。
【0018】
もう1つの側面では、自動化された生物学的処理装置で複数の基盤支持された生物学的サンプルの連続アクセス処理の方法が開示されるが、そこでは該装置は、別々の処理位置と別々のアクセス位置の間を各々自動的に、独立して移動可能な複数の別々の基盤支持ユニットを有する。1実施例では、該方法は基盤支持されたサンプルをアクセス位置の基盤支持ユニット上に置く過程と、ユーザーコマンドに応答して該基盤支持ユニットを処理位置へ自動的に移動させる過程と、該基盤支持ユニット上の処理位置に移動した該基盤支持されたサンプルを自動的に検出する過程と、そして該検出されたサンプルの処理を予め決められた順序の過程で始動する過程と、を具備する。該予め決められた順序の過程は、該装置により既に処理されつつある他のサンプル上で進行中の処理過程から独立に、そして該システムに後で加えられる追加のサンプル用に始動される処理過程から独立に、行われてもよい。
【0019】
特定の実施例では、該方法はサンプルの処理が完了した時ユーザーに自動的に警報する過程を有する。もう1つの特定の実施例では、サンプルは予め選択されたサンプルのグループ分けのメンバーであり、該方法は更にサンプルの該予め選択されたグループ分け内のサンプルの処理が完了した時ユーザーに自動的に警報する過程を有する。サンプルの予め選択されたグループ分けは、組織化学染色で処理されたサンプル、免疫化学試薬で処理されたサンプル、原位置ハイブリッド形成試薬で処理されたサンプルの2つ以上を有する。予め選択されたグループ分けの例は同じ実験材料又は患者から得られた2つ以上のサンプル、及び特定の患者の場合を検討する病理学者の様な1人の医学専門家により命じられる2つ以上のサンプルを含む。
【0020】
1つの特定の実施例では、アクセス位置から処理位置へのサンプルホルダーの移動を始動するユーザーコマンドは該基盤支持ユニットの外側部分上に配置されたセンサーを通して実行されるタッチコマンドを含む。ユーザーは又該装置からの完了サンプルの検索用に、完了したサンプルを基盤支持ユニット上で、アクセス位置内へ移動させるコマンドを入力するよう促される。該完了したサンプルを検索用にアクセス位置へ移動させるコマンドは又該基盤支持ユニットの外側部分上に配置されたセンサーを通して実行されるタッチコマンドであってもよい。より特定的な実施例では、該複数の基盤支持ユニットの各々の別々の処理位置と別々のアクセス位置は、円の小円弧の種々の半径方向線に沿って横たわる。
【0021】
該方法のもう1つの実施例では、サンプルの予め決められた順序の過程での処理を始動する過程は、該基盤支持されたサンプルに付随する機械読み込み可能なコードによりエンコードされた過程の順序に従い処理を始動する過程を有する。
【0022】
なおもう1つの実施例では、該方法は“ランディングゾーン”を有するが、該ランディ
ングゾーンは、ユーザーが該機器内で試薬コンテナーにアクセスし、該試薬を補充するか又は該試薬を変更するか、何れかを行えるように、サンプルが安全に留まる(例えば、乾燥しないで、又は或る時間枠内で除去されるべき試薬への延長露出をしないで)状態内で現在処理されつつある全サンプルの協調した中断を提供するため計算された時間の点である。この様なランディングゾーンは、新しく加えられたサンプルについての特定のテストの実施用に必要な試薬が、該ランディングゾーンが確立されている時には、既に処理されつつあるサンプルの処理を最小に分断するだけで加えられる様な時間の点を提供するため有利である。
【0023】
又、生物学的サンプル処理の生物学的サンプル準備との協調を改善する方法が開示される。該方法は、組織切片(フォルマリン固定され、パラフィンに埋め込まれた組織サンプル、新鮮凍結組織サンプル、或いは組織アレーサンプルの様な)をカットする過程と、該組織切片を、予め決められたセットの該組織切片用サンプル処理過程を指定する機械読み込み可能なコードを有する基盤上に置く過程と、該基盤上の該組織切片を生物学的サンプル処理装置の占められてない基盤支持ユニット内に置く過程であるが、該装置は該基盤支持ユニットの各々が別々の処理位置と別々のアクセス位置の間を自動的にそして独立して移動可能である複数の別々の基盤支持ユニットを有し、該占められてない基盤支持ユニットは該基盤を受けるアクセス位置に保持されている、該占められてない基盤支持ユニット内に置く過程と、該基盤支持ユニットを該処理位置へ移動させる過程と、そして該サンプルの処理を、該装置により既に処理されつつある他のサンプルの処理を中断することなく、始動する過程と、を具備する。該方法は、該装置の基盤支持ユニットが占められておらず、組織サンプルを支持する基盤を受けるよう用意されていることをユーザーに警報する、又は処理が完了した組織サンプルを支持する基盤が、占められてない基盤支持ユニットを提供するために該装置から検索され得ることをユーザーに警報する過程を更に有する。
【0024】
又、特に複数のサンプルの各々が該システムにより独立に処理される該システム上に、試薬を補充又は変更する機会を提供する生物学的サンプル処置システムの動作を制御する方法、システム及びプログラム記憶デバイスが開示される。該方法は該複数のサンプルの各サンプル用の中断点過程を決定する過程と、該複数のサンプルの全部用の該中断点を整合させることによりランディングゾーンを計算する過程と、そして該ランディングゾーンでサンプルの処理を自動的に停止し、試薬コンテナーが変更されるよう該システム上に保持される複数の試薬コンテナーへのアクセスを自動的に提供する過程と、を有する。
【0025】
本開示のこれら及び他の側面は下記用語及び例の論議を通して更に明らかになる。
【0026】
II.用語
他の様に規定されなければ、ここで使われる全ての技術的及び科学的用語は本開示発明が関連する同業者により共通に理解されると同じ意味を有する。
【0027】
文脈が明らかに他の様に指示しない場合、単数形の“1つの(“a”,“an”)”、及び“その(the)”は複数の指示物を含む。かくして、例えば、“試薬(a reagent)”の呼称は、2つ以上の試薬、3つ以上の試薬、或いは4つ以上の試薬の様に、1つ以上の試薬を呼称する。
【0028】
用語“生物学的サンプル”は、ウイルスを含む何等かの生物から得られた、又は何等かの生物を有する生体分子(タンパク質、ペプチッド、核酸、脂質、炭水化物、又はそれの組み合わせ、の様な)を備える何等かのサンプルを呼ぶ。生物の他の例は哺乳類(人間;猫、犬、馬、牛及び豚の様な獣医動物;そしてハツカネズミ、鼠及び霊長類の様な実験動物、の様な)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋動物、爬虫類、両生類、細菌、及びかびを含む。生物学的サンプルは組織サンプル(組織切片及び組織の針採取試料、の様な
)、細胞サンプル{ピーエイピー(Pap)の様な細胞学的塗抹又は血液塗抹又は顕微解剖により得られる細胞サンプル}、生物全体のサンプル(イースト又は細菌のサンプルの様な)、又は細胞の部分、断片又は細胞器官(細胞の溶解により及び遠心分離他での細胞の要素の分離により得られる様な)を含む。生物学的サンプルの他の例は血液、血清、尿、精液、糞便物質、髄液、間質性流体、粘液、涙、汗、うみ、採取組織(例えば、解剖採取又は針採取により得られる)、乳首吸引物、乳汁、膣液、唾液、スワブ(swabs)(頬のスワブの様な)又は最初の生物学的サンプルから得られた生体分子を含む何等かの材料を含む。
【0029】
用語“機械読み込み可能なコード”は情報内容を有する何等かの種類の光学的象徴、磁気パターン或いは電磁的又は静電的信号を呼ぶ。例えば、サンプル特定性、サンプル源、サンプルの管理チェーンに関する情報内容、サンプルを処理するインストラクション、サンプルの特性に関する情報、サンプルのテスト結果、サンプルの画像等。“コードリーダー”は機械読み込み可能なコード内に含まれる情報を解読、翻訳又は解釈することが出来る何等かの種類の機械、例えば、該コードを、自動化された手順を実行する、又は人間が読むことが出来る、又は人間が解釈出来る、形式の情報を表すコマンドに変換するデバイスである。コードリーダーは1つ以上の種々の種類の機械読み込み可能なコードと両立する。光学的象徴の例は文字、バーコードそしてデータ記号を含む。バーコードの特定の例は線形バーコード{イーエイエヌ.ユーピーシー(EAN.UPC)、イーエイエヌ(EAN)−128、アイテーエフ(ITF)−14及びコード39の様な}2次元スタック象徴及び2次元マトリックス象徴の様な多次元バーコードそして減少空間象徴(reduced−space symbologies)の様な複合バーコードを含む。2次元光学的象徴のなおより特定的な例は(p、q)コード、{ピーデーエフ(PDF)417}、データーマトリックス、マキシコード(maxicode)、ベリコード(vericode)、コーダブロック(codablock)、アズテックコード(aztec code)、コード16ケー(K)及びキューアール(QR)コードを含む。これら及び何等かの数の他の光学的象徴用のバーコードリーダーはよく知られている。機械読み込み可能なコードが文字(英語テキスト及びアラビヤ数字の様な英数字の様な)を含む場合、コードリーダーは光学的文字読み取り器{オーシーアール(OCR)}であってもよい。磁気ストライプは磁気パターンの形の情報を記憶出来るデバイスの唯一の例である。電磁的コードの例はアールエフアイデー(RFID)タグである。アールエフアイデータグは典型的に小さな金属アンテナとシリコンチップを有し、能動的又は受動的に成り得る。アールエフアイデーコードリーダーは公知であり、該アールエフアイデータグからの情報を受信するアンテナとトランシーバーを有するのが典型的である。アールエフアイデータグの情報内容は固定的或いは可変的であってもよい。もう1つの実施例では、該コードリーダーはCCDカメラを有し、該CCDカメラはサンプルの検出とバーコード又は文字の読み込みとの同時実行用に使われてもよい。使われ得る機械読み込み可能なコードの他の例はブラグ(Bragg)−回折格子とマイクロ又はナノバーコード(蛍光粒子の空間的及びスペクトルパターン又は磁気粒子の空間的パターンの様な)を含む。
【0030】
“複数”は例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上又は更には20以上の様な、2つ以上を呼ぶ。
【0031】
ここで使われる時、用語“試薬”はサンプルに液体又は液体配合物を加える過程を含むサンプル処理操作で使われる何等かの液体又は液体配合物を呼ぶ。試薬は溶液、乳濁液(emulsions)、懸濁液及び溶媒(純水か又はその混合物の何れか)を含む。試薬は水性又は非水性であってもよい。試薬の例は、抗体の溶液又は懸濁液、核酸プローブの溶液又は懸濁液、染料又は染色分子{エイチアンドイー(H&E)染色溶液及びピーエイピー(PAP)染色溶液の様な}の溶液又は懸濁液を含む。試薬の更に進んだ例はリモネンの様なパラフィンに埋め込まれた生物学的サンプルのパラフィン分解用溶媒及び/又は
溶液、水溶性洗剤溶液、及び炭化水素(例えば、アルカン、イソアルカンそしてキシレンの様な芳香性化合物)を含む。試薬の追加例はエタノール、水そしてそれらの混合物の様な生物学的サンプルを脱水又は水和し直させるため使われる溶媒(及びその混合物)を含む。
【0032】
用語“基盤”は生物学的サンプルが分析用に上に置かれる何等かの寸法の何等かの基盤(ガラス、水晶、プラスチック又はシリコンの様な)を呼び、特に標準的な約76.2mm*約25.4mm(3インチ*1インチ)のガラススライド又は標準的な75mm*25mmガラススライドの様な“顕微鏡スライド”、を呼ぶ。基盤上に置かれてもよい生物学的サンプルの例は細胞学的塗抹、薄い組織切片(採取組織からの様な)、又は代わりに、該サンプルは生物学的サンプルのアレー、例えば、組織アレー、DNAアレー、RNAアレー、タンパク質アレー、又はそれらの何等かの組み合わせであってもよい。かくして、1実施例では、組織切片、DNAサンプル、RNAサンプル、及び/又はタンパク質が特定の場所で基盤上に置かれる。基盤の追加例は、エスイーエルデーアイ(SELDI)及びエムエイエルデーアイ(MALDI)チップの様なサンプルの分析に役立つため使われる基盤を含む。
【0033】
用語“基盤処理操作”は上に既に置かれた生物学的サンプルを伴うか又は伴わずか何れかの顕微鏡スライドの様な基盤の何等かの処理又は操作、又は基盤上に置かれた生物学的サンプルの何等かの処理を呼ぶ。基盤処理操作の例は、清掃、加熱、冷却、乾燥、ベーキング、ラベル付け、インデックス作業、水銀堆積の除去、水和し直し、脱水、固定、パラフィン分解(de−paraffinizing)、脱石灰(decalcifying)、ブルーイング(bluing)、消化、保存、事前染色準備、溶媒交換、設置、染色とカバーガラス付け(coverslipping)とそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0034】
用語“染色”はここでは、生物学的サンプル内の特定分子(脂質、タンパク質又は核酸の様な)又は特定構造体{正常又は悪性の細胞、サイトソル、核、ゴルギ(Golgi)装置、又は細胞骨格}の存在、場所及び/又は量(濃度の様な)を検出及び/又は区別する生物学的サンプル(細胞塗沫又は組織切片)の何等かの処置を呼ぶため使われる。例えば、染色は特定細胞又は特定細胞構造体と生物学的サンプルの周囲部分の間のコントラストを提供し、該染色の強度は該サンプル内の特定分子の量のメザーを提供する。染色は、明視野の顕微鏡を用いてのみならず、位相差顕微鏡、電子顕微鏡及び蛍光顕微鏡の様な他の視認ツールをも用いた、分子、細胞構造体、及び生物の視認に役立つよう使われてもよい。或る染色方法は細胞の外形を見るため使われてもよい。他の染色方法は細胞の残りを染色することなく染色された或る細胞部分(分子又は構造体の様な)に依存する。染色方法の種類の例は組織化学法、免役組織化学法、及び分子間の反応(非共有結合の相互作用を含む)、例えば核酸分子間のハイブリッド形成、に基づく他の方法を含む。特定の染色方法は、ヘマトキシリンエオシン{エイチアンドイー(H&E)}染色法及びピーエイピー染色法の様な原染色方法、酵素結合免疫組織化学方法及び、蛍光原位置ハイブリッド形成{エフアイエスエイチ(FISH)}、発色性原位置ハイブリッド形成{シーアイエスエイチ(CISH)}及び銀原位置ハイブリッド形成{エスアイエスエイチ(SISH)}法の様な原位置RNA及びDNAハイブリッド形成法を含むが、これらに限定されない。染色方法の追加の特定例は例えば、非特許文献1及び2で見出される。
【0035】
III.例
例1−生物学的サンプル処理ユニット
種々の従来の染色機器は顕微鏡スライドのバッチが一緒に処理されるバッチアーキテクチャー式であった。バッチ規模は変わってもよいが、バッチ内の全スライドはグループとして、特に該スライドのバッチ内で共有される共通の処理過程を有するグループとして、
処理される。バッチ機器は、実験室を通しての作業の流れを如何にそれが分断するかに関し幾つかの欠点を有する。例えば、該機器は同様なスライドの全バッチが入手可能になるまでスタートされ得ず、さもなければ、充分でない少ないバッチを稼働させることはその機器の容量を犠牲にする。これはその日早く染色されるよう用意されたスライドが、その稼働を効率的にさせるために充分なスライドが入手可能になるまで待たねばならぬことを意味し、患者が深刻な医学的状態を有することを知った時に非常に重要である患者の結果を遅延させる。バッチ処理のもう1つの欠点は、異なる処理プロトコルを仕上げる時間がかなり変わる事実から生じる。例えば、簡単なアイエイチシープロトコルは2時間より短くて終了する一方、もっと複雑なアイエスエイチプロトコルは5時間以上掛かる。バッチとして一緒に稼働すると、より早く行われる短いプロトコルに供されたサンプルは、後の時刻に終わるゆっくりしたプロトコルへ人質に取られる。最も長いプロトコルが完了するまで、もっと早く終わったサンプルはどれも該機器から除去出来ず、それを行うには中断すること、そしてことによると長いプロトコル用の結果の完全性を妥協すること、無しには難しい。バッチ機器のなお更に進んだ欠陥は、同じ患者又は同じに求める看護専門家から発したサンプルが、それらが該機器から除去後手動で分類されねばならぬよう、幾つかのバッチ内で混ぜ合わされる傾向があることである。
【0036】
この例で説明される開示装置の特定の実施例は従来のバッチ機器の欠点を克服する。この実施例では、該装置内の各基盤(顕微鏡スライドの様な)の位置は他の位置から全く独立した、それ自身の染色プラットフォームである。その構成は、他の位置で処理される他の基盤の状態に無関係に、処理位置が利用可能な時は何時も新基盤の追加を可能にする。そして、更に、該構成はユーザーが、処理サンプルが完成するや否や、処理サンプルを除去することを可能にする。特定の実施例では、基盤支持されたサンプルは該装置からの除去時、何等かの予め選択されたグループ分けに従って自動的に分類される。例えば、基盤は、患者、病理学者、クリニック、染色の種類他に依る様な、該基盤に付随する何等かの種類の情報に依ってグループ分けされてもよい。これらの向上した作業流れ属性を提供するのに加えて、この例で説明される装置は、多数のアイエイチシープロトコル及び多数のアイエスエイチを、どんな組み合わせででも、そしてどんな順序ででも、この様なプロトコルが、単一のこの様なプロトコルに専用化されたバッチで、さもないと掛かる時間増加を招くことなく行うことが出来る。
【0037】
各基盤位置をそれ自身の独立した処置プラットフォームにすることは、この例の実施例では、各基盤ホルダーが染色“セル”の部分であり、各セルが1つの基盤に適合する、独立基盤ホルダーを通して達成される。各セルは熱的にも流体的にも他のセルから独立している。特に、各基盤は特定の基盤処理過程を達成するに必要などんな温度にも制御され、特定の処理過程で必要などんな試薬ででも処理され、そして温度、流体又は他の基盤の濯ぎ状態に関係なく必要な様に濯がれる。各セルは、他のセルの状態に影響することなくその処理スケジュールの必要性に依って搭載され、降ろされる。これは、この例の装置では、処理位置からアクセス位置へ移動可能であり、基盤がその上で処理されるヒータープラットフォームで達成され、そして特に、基盤処理器に近接した処理位置から、基盤を該ヒータープラットフォーム上へ乗せる又はそれから降ろすために該ヒータープラットフォームがオペレーターにアクセス可能なアクセス位置まで、該ヒータープラットフォームを動かす手段と組み合わされた、線形スライド上にあるヒータープラットフォームで達成される。
【0038】
該セルは、基盤ホルダー(ヒータープラットフォームの様な)上の基盤が該処理位置で基盤処理過程(ノズル、バーコードリーダー又は他のコードリーダー、サンプルセンサー、そして試薬ディスペンサー、の様な)時使われる種々のデバイスに近接して配置され、そしてアクセス位置でこの様なデバイスから離れるよう動かされる、ことを可能にする何等かの幾何学的パターンで配置されてもよい。この実施例では、種々の基盤処理デバイス
が1つのセルから次のそれへシーケンシャルに動くノズルプレートに取り付けられ、今度は該種々のデバイスを各セルへ持って来るが、特に2つ以上の異なるデバイスを2つ以上のセルへ同時に持って来る。
【0039】
1つの可能な配置は該セルを線形の流儀で相互に隣接して整合し、ノズルプレート上の該デバイスが各セルを過ぎてシーケンシャルに動かされ、特定のセル内で処理される基盤上の基盤処理過程の予め決められたシーケンスを実行するのに必要な様に利用されるよう、該ノズルプレートを線形ドライブ上で動かす。予め決められた処理過程を行うに必要なノズルプレートに沿った最後のデバイスが、処理過程が当然な最も遠い基盤にある時、該ノズルプレートは急速に他端に戻り、必要な程度に該セルを過ぎる横断を繰り返す。バルクの流体試薬(複数のプロトコルに共通な洗浄、パラフィン分解及びセル調節試薬)と空気が該ノズルプレート上のノズルに配管され、該ノズルプレートに取り付けられ、該サンプル上を回転する試薬カルーセルから特定の試薬(特定の抗体、特定の核酸プローブ、及び特定の検出化学剤、の様な)がディスペンスされる。代わりに、試薬は、ノズルプレートに取り付けられた注射器ポンプシステムを使ってディスペンスされてもよい。この形状の欠点は該機器の可成り長い長さであり、該長さは小さな実験室スペースで課題と成り得る。
【0040】
より小さい床スペースを使いながら同じ機能を達成する配備を、図を参照して今説明する。平面図で図1に示す様に、基盤処理組立体10の処理位置の各“セル”18はアクセス位置20へ移動可能な基盤ホルダーとして機能し、該図解実施例では、各セル18は円環の、約5°程度の小セグメントとして形作られる。該セル18は約533.4mm(約21インチ)の外側半径を有する円弧に配置されるので、30のセルは円弧の約155°を占め、該機器は幅約1066.8mm(約42インチ)、深さ約762mm(約30インチ)である。円弧形に配置された該セルを有して、ノズルプレート14はセルの円弧の中心で回転するので、種々の基盤処理デバイスが取り付けられるその外側エッジは該円弧の中心から一定半径方向距離に留まり、該セル上に配置される。
【0041】
図1の平面図で示される該基盤処理組立体10は又ベースプレート12{約15.9mm(0.625インチ)の厚さのエムアイシー(MIC)−6の様なアルミニウム工具用板製でもよい}を有し、該ベースプレートにノズルプレート14は回転可能に設置される。試薬カルーセル16はノズルプレート14上に回転可能に設置され、複数の試薬ディスペンサー22とディスペンサーハンマーアーム24とを有する。基盤処理組立体10の該円弧の周りには、或る実施例では各基盤ホルダーを過ぎるよう流される周囲空気を供給するためにブロワー28に接続されたガス導管26がある。弁(valving)30は空気シリンダー38への圧縮空気の独立源を提供し、該圧縮空気は処理位置のセル18をアクセス位置20へ、そして次いで該処理位置へ戻るよう動かすために使われる。図1には又、流体(及び圧縮空気及び/又は真空も)がフルイデックス供給モジュール(示されてない)を通ってノズルプレート14上のノズル(示されてない)に供給される柔軟な導管を保持するため使われるフルイデック導管接続部32及び34が示される。パン36は廃棄物捕捉モジュール(示されてない)へ導かれる廃棄流体を捕らえるためにセル18の下で基盤ホルダーの円弧の周りに延びている。
【0042】
図2は基盤処理組立体10の斜視図を提供し、該斜視図は図1の多くの特徴を図解するが、該セル18の外側部分38の図も提供しており、該外側部分は複数の種々の指示灯と、処理位置からアクセス位置へ、又はその逆のセルの移動を賦活するタッチセンサーと、を有する。又図2では、基盤に付けられた試薬が隣接セル内へ撥ね散ることを防止するのを助ける撥ねガード40が示される。ディスペンサーハンマー42はディスペンサーがディスペンサーハンマーアーム24の下に位置した時、ディスペンサー22を押し下げ、試薬を基盤上に噴射するよう動作する。
【0043】
図3はノズルプレート14と、該ノズルプレートに回転可能に設置された試薬カルーセル16の下側と、の斜視図を提供する。図1及び2に関連して論じた特徴に加えて、図3は又ノズルプレート14のピボット44,該装置内で該ノズルプレートを支持するベアリング46,そして該基盤処理組立体10の上面上の円弧内に配置された基盤処理セルを過ぎるよう、ノズルプレート14を回転させるトルクの伝達用に使われるプーリー48と、を示す。図3は又、細長い形のノズルプレート14を図解するが、該ノズルプレートは一端に該ノズルプレートがその周りに廻るピボット44を有し、そして第2端を有するが、該第2端は複数のノズル及び他のデバイス、すなわち、この実施例では、基盤検出センサー50,1対の重ね合わされた濯ぎノズル52(濯ぎ用ジェットの代わりのセットを提供するため上下されてもよい)、1セットのディスペンスノズル54そして渦混合ノズル56を支えている。
【0044】
図4はノズルプレート14の上からの斜視図を示し、試薬カルーセルは除去され、該ノズルプレートが周りを回転するピボット44を示す。より短い長さであるが、該装置のセルが中に配置される円弧と同じの半径の円弧を有する第2端部で、該ノズルプレートに、複数のノズルと、それらの基盤ホルダー内に保持された基盤を過ぎるよう動かされるデバイスと、が取り付けられる。この複数のノズルとデバイス内に、基盤検出センサー50,1対のスタックされた双濯ぎノズル52,6つの試薬ディスペンスノズルのセット54,4つの渦混合ノズル56,及びコードリーダー58が含まれる。基盤上を渡され、計画された基盤処理操作を達成するために必要で使われる合計9つのデバイス又はノズル用に、双濯ぎノズル52とディスペンスノズル54の間に追加のラベルなしノズルが示される。1実施例では、該ノズルプレート上の2つ以上のデバイス/ノズルを使って2つ以上の基盤が同時に処理される。追加のデバイスとノズルの種類がノズルプレートに追加されるか、又は示されたそれらと交換されてもよい(例えば、例3で論じられるレール付きアスピレーター又は基盤上のサンプルをベークするため使われる放射ヒーター)。
【0045】
図5は1つのセルを斜視図で示す。この実施例では、1端にバーコードを有する顕微鏡スライド60がヒータープラットフォーム62上に保持される。該組立体64はスライド66上に摺動可能に取り付けられる。取り付け点68は空気シリンダーが取り付けられる所であり、該空気シリンダーはセルを処理位置からアクセス位置へ動かすため使われる。スライド66はベース72に取り付けられ、該ベースは該セルが処理位置にある時柔軟なケーブル70を収容するが、該セルがアクセス位置(示されてない)へ動かされる時は、該柔軟なケーブルは該ベースから展開する。該柔軟ケーブル70は該ヒータープラットフォーム62と、該移動可能なセルの部分である他の電子デバイスと、への電気接続を提供する。
【0046】
図6は該装置の外側内の処理位置の1つのセル18を斜視図で示す。図5に示す特徴に加えて、図6も又、孔74(ガス導管26から導くこの様な孔のマニフォールドを構成する多数の孔の1つである)を有し、ヒータープラットフォーム62上に保持された基盤60を横切り周囲空気の様なガスを導く第2ガス導管76上に位置するガス導管26の断面を切り欠き図で図解する。又パン36はヒータープラットフォーム62の下に切り欠き図で示される。通して電気的コマンド及び電力が該セルに提供されるプリント回路基板80も示される。処理位置(示されている)からアクセス位置(図6に示される)へセルを動かすため使われるガスシリンダー38も図解されている。
【0047】
図7は1つのセルを断面で示す。この図で図解される該セルの追加的特徴は外側部分38の丁度背後に配置される第2プリント回路基板82であり、該基板は柔軟なケーブル70を通してプリント回路基板80に接続される。図8は1つのセルを斜視図で示すが、該図は該装置の外側から見た場合である。外側部分38の下にLED灯90,92,94,
及び98が配置される。外側部分38の下にはタッチセンサー96もある。1実施例では、頂部LED90は緑色であり、定常時、セルが空であることを示す。フラッシ時、それはセルが仕上がったサンプルを有することを示す。第2LED92はアンバー色であり、定常時該セルがサンプルを処理中であることを示す。第3LED94は赤色であり、フラッシ時エラー条件を示す。底部LED98は青色で、特定の分類(患者による様な)により求められるサンプルを有するセルを示すため使われる。センサー96は、セルを開いたり、閉じたりするため使われるモーメンタリー接触スイッチである。特定の実施例では、外側部分38は、外面をカバーするマイラー(Mylar)カバーシートであり、該LEDの位置にマッチし、該LEDからの光が該マイラーカバーシートを通して輝くことを可能にする孔(又は透明部分)を有する。
【0048】
図9はそのカバーを除去した第2プリント回路基板82を示すが、該回路基板に、LED90,92,94及び98と、センサー96、この場合、処理位置とアクセス位置の間で該セルを動かすタッチコマンドを賦活するタッチセンサー、とが接続される。
【0049】
図10は如何にノズルプレート14上のノズルプレートがバルク基板処理流体源及び圧縮空気源に接続されるかの実施例を図解する。この実施例で、圧縮空気源100は大量の試薬コンテナー102,104,及び106から小さなリザーバー110,112及び114へ流体を動かすために使われる。代わりの実施例では、該大きなコンテナーから該小さなリザーバーへ流体を動かすために蠕動型ポンプが使われる。示されてないが、該リザーバーの各々内にレベルセンサーが含まれており、そして別々の大きな及び小さなリザーバーがあるので、基盤が該小さなリザーバー内の残った試薬を使って処理される間に、リザーバーが空の時は、試薬が、該装置に、すなわち“その場で(on−the−fly)”該大きなリザーバーに、追加されてもよい。種々の設定では、複数の別々の弁配備を自身で有してもよい弁120,122,124及び126が、適当なノズル130,132,134,136,138,140及び142の方へ、適当な時に、例えばコンピュータ/マイクロプロセサー制御下で、圧縮空気及び試薬を導くよう使われる。
【0050】
図11は開示装置の実施例の電気接続/データ接続の略図を示す。図解された接続に加えて、開示された装置は、引用によりその出願がここに組み入れられる特許文献8及び9で論じられる様に、その制御器プリント回路基板を通して追加デバイス{追加の基盤処理装置、画像形成ステーション、登録(accession)ステーション、切断ステーション、他のコンピュータ、データベース、サーバー他}に接続されてもよい。
【0051】
図12は開示装置で複数サンプルの同時処理を行う方法の実施例を図解するフローチャートを示す。該ノズルプレートが基盤処理セルを過ぎるよう動かされると、基盤(スライドの様な)が検出され、それらの処理ステイタスが評価され、適当なノズル/デバイスが必要な場所に動かされる。一旦該ノズルプレートが特定時刻に処理される全サンプルを通り過ぎると、該ノズルは円弧内の第1サンプルの方へ戻るよう回転され、セルを過ぎるようノズルプレートを動かす過程が再開する。
【0052】
1実施例では、全基盤処理プロトコルはどの反応/処理も活動しないところで規定される多数の“中断点(pause points)”を有する。プロトコル内のこれらの場所では、基盤は中立の、非反応バッファーでカバーされ、一方染色シーケンスは中断する。もし全サンプルが同時に中断するなら、その染色操作は停止され、例えば試薬カルーセルに又はそれから新ディスペンサー又は小びんが追加される、或いは除去される。これらの中断点は“ランディングゾーン”と呼ばれる。しかしながら、試薬を付加又は除去するためランディングゾーンを使うことは基盤処理用の合計時間を増加させるので、それらの使用は最小化されるのが典型的である。
【0053】
上記で論じた図で図解されるデバイスに加えて、処理の前、途中及び/又は後に基盤の画像形成用にカメラを追加することも可能である。画像形成は、品質管理用に、或いは解釈用に医療従事者又は研究者へ画像を現実に伝送するために使用されてもよい。
【0054】
例2−レール付きサンプルアスピレーターユニット
1実施例では、レール付きサンプルアスピレーターユニットは基盤から残留試薬を除去するため利用される。該レール付きアスピレーターユニットは個別レール(例えば、引用によりここに組み入れられる特許文献10参照)を有し、更に試薬ディスペンス用手段を有してもよい。しかしながら、この例で論じられた特定の実施例では、基盤の頂面上のサンプルを妨害することなく、該アスピレーターヘッドと該基盤の頂面との間のギャップを精密に制御するために、該アスピレーターヘッドが該基盤を基準面として使うことを可能にするシステムへの改良が開示される。第2の改良は2セットの真空孔を有することであり、1つは真空ヘッドの底部と基盤の頂部の間に形成される小さなギャップから液体を引く孔であり、もう1つのセットは基盤上で引っ越しがある時、進行するヘッドの前に形成される水溜まりの頂部から液体を引く孔である。第2の、上部のセットの孔は水性の溜まり上に浮かびつつある低密度の液体を引き、それがサンプルに接し、ことによるとサンプルを損傷することを防止する。
【0055】
図13はアスピレーターヘッド200と、基盤を横切って該ヘッドを動かし、該ヘッドに真空と試薬を供給する付随手段と、の斜視図を示す。アスピレーターヘッド200は、外側吸引孔204,ガイド面206,下部吸引孔208,底面2210,上部吸引面212そして上部吸引孔214を有する。アスピレーターヘッド200はアスピレーターヘッド200を基盤に対し押すよう機能するディスペンスノズルばね218に取り付けられたディスペンスノズルマニフォールド216に取り付けられる。ディスペンスノズル220はディスペンスノズルマニフォールド216上に含まれる。ディスペンスノズルばね218はブラケット224を通してアクチュエーター組立体222に結合される。伸長するアクチュエーター部分226はレールを有し、該レールに沿ってアクチュエーター組立体222は移動可能である。ライン228は第1濯ぎ流体を該ディスペンスノズルマニフォールド216に提供し、ライン230は第2濯ぎ流体をディスペンスノズルマニフォールド216に提供する。真空ライン232は種々の吸引孔への真空接続を提供する。ライン228,230及び232は示されてないエネルギーチェーンを通過し、次いでこれ又示されてない弁に進む。該弁は適切な時期に開き、閉じるようコンピュータ制御下で自動的に順序付けされる。ラインは双方向弁を通り濯ぎ流体へ、或いは幾つかの流体の何れかに接続する分配弁へ、恒久的に配管される。濯ぎ流体は次の流体用の弁を簡単に駆動することにより容易に変えられる。
【0056】
図14は開示された基盤処理装置内の基盤202上に位置付けられたアスピレーターヘッド200を示す(明瞭化のためセル分離部は除去されている)。図13に関連して論じられた特徴に加えて、図14は支持部234,モールドされたヒーターベース236,基盤202上のラベル238,モールドされたヒーターベース236上の基盤ロケーターピン240,基盤先端支持部242,ゴムプラグ244,ステンレス鋼ヒータープレート246,及びランプ(ramp)248を示すが、該ランプは高いランド252から基盤面上へアスピレーターヘッドを動かすよう機能する。引き込められたアスピレーターヘッドが250として示される。
【0057】
図15は基盤の頂部コーナー266で基盤202と接するが、基盤の頂面264上では他の仕方で保持されるアスピレーターヘッドの底面210を示す断面図である。又、(既に上記で論じた他の特徴に加えて)アスピレーターヘッドの底部のスロープ付き面260と、基盤から離れるアスピレーターヘッドを上げるため使われるガイド面262と、が図解される。図15で見られる様に、該アスピレーター210の底部と基盤264の頂部の
間にギャップ268があり、該ギャップはスロープ付き面260の結果として変化する。
【0058】
該開示されたアスピレーターにより可能にされた基盤からの試薬の除去の技術は、基盤の頂部と平行で、約130マイクロメートルの小ギャップだけそれから上方へ変位された下面を有する真空ヘッドによる残留流体の真空吸引過程を有する。この底面には小孔のシリースがあり、該小孔は基盤の頂部から液体を引き出すために真空源につながっている。改良点は、該基盤のエッジ上にある真空ヘッドの僅かにスロープの付いた面により、該底面が該基盤上で固定した小さな距離に保持されることである。この僅かにスロープの付いた面は基盤の外側の、頂部のコーナーと接触するが、該頂部コーナーは“レール”として機能する。すなわち、該真空ヘッドは該基盤と接触し、該基盤に沿い並進するが、サンプルが置かれた基盤の頂面の実質的部分に接触しない。該ヘッドは基盤の頂部コーナーとのみ接触する。3度の角度で、エッジから57マイクロメートル入った時スロープ付き面は5マイクロメートルの高さ(典型的組織厚さ)まで上昇するので、サンプルの精々57マイクロメートルが、基盤の長さに沿いこの真空ヘッドを並進させることにより影響されるに過ぎない。これは基盤の全幅の0.5%より少ない。真空ヘッドが基盤にタッチする真空ヘッド上のスロープの小さな角度(3°)のために、基盤の幅の変動は基盤と該ヘッドの間の高さの小さな変動しかもたらさない。世界中で使われる顕微鏡スライド基盤の全範囲で、該高さ変動は130マイクロメートルの公称値から±30マイクロメートルである。これは、米国の24.8mmと狭い、そして日本の26.1mmと広い、顕微鏡スライドをカバーする。100から160マイクロメートルのギャップの変動は該真空ヘッドの適当な機能用に許容可能である。
【0059】
引き込められた時、該真空ヘッドは基盤の活動端部から半径方向に内方にある。試薬を真空吸引するため、真空ヘッドは基盤上で、端部までの全行程を半径方向に外方へ延ばされ、それが進む時試薬を真空吸引し、非常に少ない残留液体しか残さない。真空ヘッドから半径方向に内方へ位置付けられて、基盤の中心線の各側に1つで、1対のディスペンスノズルがある。該ヘッドが半径方向に外方へ動きつつある時、該真空へッドに続いて、この対のノズルを通して該基盤上に濯ぎ流体がディスペンスされ、それにより該ヘッドが通った後2,3ミリ秒に今まで真空吸引された基盤を濡らす。該真空ヘッドは次いで半径方向に内方へ引き込められ、丁度付けられた濯ぎ流体を、最初の真空吸引の通過後に残る少量の残留物と混合する。吸引後基盤上に残る残留液体は10マイクロリットルの桁である。付加された濯ぎ液容積は例えば300マイクロリットルであってもよい。4つの真空吸引サイクルを用いて、希釈度は(10/310)=10−6になる。
【0060】
例3−放射熱的制御ユニット
免疫組織化学{アイエイチシー(IHC)}及び原位置ハイブリッド形成{ISH}分析(例えば、セル調節、抗原回復、ターゲット回復、核酸変性、核酸ハイブリッド形成等)で使われる或る基盤処理過程は、より高く、より精密なサンプル温度を達成する願望を強くさせた。伝導加熱は、基盤とその上のサンプルの温度を上げるよう企て、特に温度を約80℃より上に、特に約100℃より上に、上げるよう企てると、幾つかの欠点をもたらす。該ヒーターの温度と該ヒーターに接する基盤の温度は同一であるのが理想的であるが、該ヒーター面と基盤の間の何等かのギャップは熱流の抵抗を呈し、該基盤の異なる部分に異なる温度を有させる。基盤を横切る熱抵抗はヒーター及び基盤の平坦度と、該ヒーター及び基盤の間の何等かのギャップが液体又は空気で充たされているかに依る。加えて、該平坦度の要求は、ヒータープレートが如何に薄く作られ得るかに制限を加える。必要な平坦度の度合いが高い程、該プレートは厚くあらねばならず、該プレートが厚い程その熱的質量は大きくなり、該質量はその温度が変化する速度を限定する。
【0061】
もし代わりに、該ヒーターと基盤が全く接しないようにヒーターと基盤の間に空気ギャップが使われるなら、ヒータープレートの平坦度は基盤に亘っての温度プロフアイルの均
一性の決定で大きな要因には最早ならない。この場合、熱伝達は主として放射により、伝導にはよらない。この様な構成では、該ヒーターと基盤の間に可成りの温度差があるが、熱伝達は該基盤に亘っては均一である。与えられたヒーター温度について基盤の温度の予測は可能であるが、もっと有効な解決策は、センサーのヒーター又は基盤との接触を要すること無く基盤温度を直接測定する赤外線センサーを使用することである。更に、赤外線センサーは基盤温度のみならず、サンプル温度及び基盤上に保持された液体(サンプルをカバーする様な)の温度の直接測定も可能にする。非接触赤外線温度センサーは、例えば、エグザージェン社(Exergen,Inc.){ウオータータウン、マサチューセッツ州(Watertown,MA)}、パーキンエルマー(Perkin Elmer){ウオルサム、マサチューセッツ州(Waltham,MA)}、レイテック(Raytek){サンタクルス、カリフォルニア州(Santa Cruz,CA)}及びミクロン(Mikron){オークランド、ニュージャージー州(Oakland,NJ)}から入手可能である。
【0062】
放射ヒーター、基盤及び赤外線センサーの相対的配置は達成可能な基盤温度均一性に影響し得る。或る実施例では、該放射ヒーターは、該基盤の下に位置付けられ、約0.5mmから約3.0mmの該ヒーターと該基盤の間の実質的に均一の空気ギャップ、例えば、約1.0mmの実質的に均一な空気ギャップ、を残す。該基盤の下のヒーターと、該基盤上のセンサーと、の設置は該ヒーター及び該センサーが相互に干渉する可能性を取り除く。該ヒーター及び該センサーの両者を該基盤の同じ側に置くことは可能であるが、この構成は該センサーがそれを通して基盤温度を検出するヒーター内の孔を要する。該ヒーター内の該孔は基盤温度を均一に保持することを難しくして、そして該基盤の上面の温度、該基盤の上面上のサンプルの温度或いは基盤の上面上の液体の温度を測定することを容易にはしない。もしセンサーが該基盤と該ヒーターの間に置かれるなら、該センサーは放射熱流れを阻止し、再び基盤温度の不均一性を引き起こす。
【0063】
上に示唆した様に、ヒーターを基盤に接しさせない他の利点はヒーターの平坦度が基盤温度均一性程重要でないことである。結果として、該ヒーターは非常に薄くされてもよく、それによりヒーターの熱的慣性を減じ、より高い及びより低い、両者での基盤温度変化速度の増加を可能にする。
【0064】
放射ヒーター及び赤外線センサーの構成の1実施例が図16で示される。この図で、基盤302は熱的制御ユニット300上に置かれる。赤外線センサー304は、その視野が該基盤の頂面、該基盤の頂面上のサンプル、及び該基盤の頂面上の液体の1つ以上と一致するよう基盤302上に位置付けられる。熱的制御ユニット300への電気リード線306及びセンサーリード線308は、該基盤の頂面、該基盤の該頂面上のサンプル、及び該基盤の該頂面上の液体の1つ以上の予め選択された設定点温度を保持するよう働く閉ループ電子機器(示されてない)の部分であってもよい。図17はこの実施例で該ユニットの頂部の下に配置された放射ヒーター312を表すために基盤が除去された熱的制御ユニット300を図解する。
【0065】
例4−機器制御
装置、システム、そして種々のサンプルセル内のサンプルの処理を制御するためのインストラクションを上に記憶した機械読み込み可能な媒体が、“ランアクセス(Run Access)”と呼ばれるモードである、スタートアップ(Startup)からランニング(Running)へ、そして又該機器が新サンプルを搭載される状態へ再び戻る、状態移行の全体セット、に適合するよう創られた。又、ユーザーが、現在処理されつつあるサンプルの処理の分断を最小にして該機器上で試薬を追加/変更することを可能にするランディングゾーン(Landing Zones)の実施例が説明される。
【0066】
1実施例(図18の流れ図で概説される)では、ランスタートアップ状態機械(run
startup state machine)は、染色機器をアクセスモードに入れるためにサンプルアクセスパネル上の“オン”ボタン(ここでは“バグ(Bug)”ボタンとも呼ばれる)をユーザーが押すよう求める。アクセスモードはコンプレッサーをスタートさせ、かくしてサンプル室へのアクセスを可能にする圧力を提供する。このモード中、試薬の搭載及び降ろし用に試薬フードにアクセス出来る。サンプルは、サンプル検出及びバーコード読み用のノズルプレート移動をトリガーすることなく、サンプル室へ付加され得る。次の状態へ進展するために、ユーザーはホストアップリケーションからランボタンを選択する必要がある。
【0067】
ランボタンが選択されると、該状態機械はランスタートアップモード内へ移動する。このモードは
●試薬フードをロックし、
●バルクの流体をプライムし、そしてパージし、
●試薬カルーセルをホーム位置へ移し、
●そしてノズルプレートをホーム位置へ移す。
一旦これらの動作が完了すると、該状態機械はランバッチスタンバイ(Run Batch Standby)モード内へ移動する。
【0068】
バーコード読み
該ランバッチスタンバイモード中は、試薬カルーセル上の試薬が読まれ、該読み値のバーコードデータを検索する請求が該ホストアップリケーションから行われる。
【0069】
●該試薬バーコード読みが位置1から位置35までスタートする
●遠隔ソフトウエアが各試薬バーコード読み値からのデータを記憶
●ホストソフトウエアがホストコマンドを通して試薬バーコードデータがホストアップリケーションへ戻されるよう請求し、適当な応答を受信する
●ホストアップリケーションが
〇製品がデータベース内に登録されていること
〇正しい機器の種類
〇充分なテストが残っていること
〇有効な満了日付け
〇活動中の試薬ステイタス
〇カルーセル上の位置付け(或る複数試薬は隣合って並んでいるよう要求される)
に基づいて試薬カルーセル上に搭載された試薬を適格とする。該試薬の何れかの適格化未達は該状態機械をアクセスモードへ戻す。試薬フードは違反試薬へのアクセスを可能にするためロックが外される。
【0070】
次に、ノズルプレートは、アクセスモードにいる間開いていたサンプル室の各々内でサンプル検出を行うために、サンプルからサンプルへの移動をスタートする。サンプルが検出されると、サンプルバーコードリーダーはそのバーコードデータを読む。ホストアップリケーションは該サンプルバーコードデータの検索を請求する。
【0071】
●サンプル引き出し器が開かれた第1位置へ移動し、もしサンプルがその位置にあればサンプルバーコードを検出し、読む
●次のサンプル位置へ移動し、サンプルバーコードを検出し、読み、全サンプルが読まれるまで繰り返す
●遠隔のソフトウエアが各サンプルバーコード読み値からのデータを記憶する
●ホストソフトウエアはホストコマンドを通してサンプルバーコードデータがホストアップリケーションへ戻されることを請求する
●遠隔ソフトウエアは応答メッセージで該バーコード情報をホストアップリケーションへ送信する
●ホストアップリケーションは
〇プロトコルがデータベース内にあること
〇正しい機器の種類
〇プロトコル過程が染色手順過程にマッチすること
〇該染色手順を行うのに要する所要試薬が該試薬カルーセル上に搭載されていることに基づいてそのケースのサンプルに割り当てられたプロトコルを適格とする。該プロトコルの何れかの適格化未達は該状態機械をアクセスモードへ戻す。該試薬フードは該試薬及びサンプル引き出し器へのアクセスを可能にするようロックを外される。
【0072】
一旦該バーコード読みが完了し、プロトコルと試薬が適格化されると、該状態機械はランスタンバイモードへ移動する。ホストアップリケーションは各サンプル位置用のマクロステップをコンパイルし、該遠隔のソフトウエアへダウンロードする。一旦該ダウンロードが完了すると、状態機械はランニングモードへ移動する。
【0073】
ランニング
サンプルはランニングモード中、ロック過程で処理される。このモード中加えられたどんなサンプルも、現在処理されつつあるサンプルと共にロック過程で検出される。該サンプルは、ノズルプレートが新サンプルを過ぎるようステップ動作を続ける時、検出され、読み込まれる。該ホストアップリケーションは
●バーコードデータを請求し、
●該プロトコルを適格化し、
●試薬が利用可能であることを適格化し、
●マクロ過程をコンパイルし、
●該マクロを遠隔ソフトウエアへダウンロードし、
●加えられたサンプル用の染色過程をスタートする。
この動作は現在ランしているサンプル上の染色過程に影響することなく行われる。
【0074】
完了サンプル状態
全サンプルがそれらのそれぞれの染色過程を完了した時、状態機械はランスタンバイモードへ移動する。このモードにいる間、試薬フードはロックされ、試薬を加える/取り除くためにアクセスすることは出来ない。内部試薬フードフラグは偽(FALSE)へ初期化され、変えられない。
【0075】
一旦サンプル引き出し器が開かれ、閉じられると、ノズルプレートはホーム位置へ移され、サンプル検出、バーコード読み、コンパイルそしてダウンロード過程を始め、究極的に該状態機械を通しての移動を再び始める。図18の実施例では、試薬へのアクセスを可能とするためにユーザーが状態機械をアクセスモードへ戻す能力は現在無い。
【0076】
サンプルが処理中でありながら試薬へのアクセスを可能にするランディングゾーンを有する第2実施例が図19の流れ図で示される。正常なランニング条件下で、サンプルは個別‘マクロゼロ’過程に抗してそれらの染色手順を行うことを実行する。これらの最適条件下では、サンプルは、他のサンプルのランニング、ユーザー介入、機器中断、他の様な外部課題と関係なく、処理される。これらは個別サンプル用の最適条件であるが、これは該機器をランさせている実験室技術者用には最適よりも劣るのであり、何故ならば試薬がゆっくり進行するか、又は換えられる必要があると、スループットは不利に影響され得るからである。
【0077】
実験室環境での該機器の利用可能性を高めるために、該装置及びシステムは大抵のサン
プル手順内に‘中断点(pause points)’を組み入れることが出来るが、該中断点はサンプル染色過程に不利に影響することなく、短時間の間サンプルが安全に中断されるサンプル処理手順内のポテンシャル点である。該機器は、どのマクロゼロ過程(macro zero step)で各サンプルを停止するかを該機器に知らせることにより、処理されつつあるサンプルを中断するよう告げられる。これは全体として、該機器の‘ランディングゾーン’を宣言し、現在ランしているサンプルの処理に影響する。
【0078】
該機器がランディングゾーンで中断するよう告げられると、サンプルの各ランを中断するマクロゼロ過程が、サンプル手順内の規定された中断点から発生された様に、ホストソフトウエアから該機器に渡される。該機器が現在処理しつつある過程番号を請求された中断過程と比較するチェックが各ランしているサンプルについて行われる。全中断過程が現在処理している過程より大きくなければならず、さもなければ該機器は全サンプルを中断する請求を拒絶し、普通の処理を続ける。
【0079】
ランディングゾーンで中断するコマンドを受け入れると、該機器のモードはランポージング(RunPausing)に変更され、各ランしているサンプルは、全てが中断されるまで、次々とその状態をランポージングに変更される。換言すれば、サンプルの次の処理は続くが、各サンプルが中断点マクロゼロ過程に達するまでに過ぎない。一旦、特定のサンプル用の処理が、請求された中断点マクロゼロ過程で行われると、該サンプル状態はランポーズド(RunPaused)に変えられる。サンプルがランポーズド状態に入る点のノズルプレート位置は保存される。該ランポーズド状態にある時、どんなマクロゼロ作業もそのサンプル上では行われない。一旦全ての活動的なサンプルがランポーズド状態に達すると、該機器モードはランポーズドに変えられ、そして該機器はランディングゾーンを達成する。
【0080】
一旦該ランディングゾーンが達成されると、ノズルプレートが中央位置に動かされ、その後ノズルプレート及び試薬トレーモーターのトルクは除去され、オペレータが該機器内の試薬にアクセスするために該ノズルプレート及び試薬トレーを動かすことを出来るだけ容易にする。一旦モーター運動が完了すると、該カバー蓋ロックは解除され、該カバー蓋スイッチはオペレータが蓋を開くかどうかを検出するためモニターされる。該機器は試薬が必要な様にアクセスされるよう用意されたことをオペレータに知らせる警報を鳴らす。最後に、該機器は、後の考慮用に、それが如何に長くランディングゾーンにいたかの時間計測をスタートする。
【0081】
ランディングゾーンにある間に行われる普通のアクションはオペレータがカバー蓋を開くこと、幾つかの試薬の変更、そして該蓋を閉めること、を含む。この様な場合、試薬は読み直されねばならず、ホストは該試薬が該機器内でサンプルを処理するため利用可能であることを確認せねばならない。このシナリオの詳細は下記で更に充分に説明される。もう1つの起こり得るシナリオは、オペレータがランディングゾーン内で規定された長さの時間内に該カバー蓋を開かない場合である。このシナリオでは、該ランディングゾーンはオペレータの介入無しに完了し、カバー蓋はロックされ、ノズルプレート及び試薬トレーはホームへ移し直される。該ランディングゾーンが上記シナリオの1つを経由して完了され、該カバー蓋がロックされモーターがもう1度ラン位置に移った後、該機器はランニングに変えられ、各活動サンプルはその状態をランリジューミング(RunResuming)に変えられる。該ノズルプレートは6秒毎に規則的進行をスタートする。該ノズルプレートが各サンプル用の前に保存された位置に達すると、そのサンプルの状態はランニングに変えられ、正常なマクロゼロ処理が再開する。かくして、要約し、図20を参照すると、
●ランディングゾーンはユーザーが、該機器がサンプルを処理しながら、利用可能な試薬在庫を補充するためディスペンサーカルーセルにアクセスする機会である。
●ランディングゾーンは該機器上で現在処理されつつあるサンプルの染色手順内にエンコードされた個別中断過程により規定される。
●手順作成者は、サンプルが引き延ばされた時間、付き添われずに留まる染色過程の重要でない範囲に沿って必要な頻度で中断点過程を挿入する。
●ランディングゾーンは全てのランするサンプルの染色手順に亘り、利用可能な中断点を整列することにより動的に計算される(図20参照)。
●ランディングゾーンは試薬カルーセルアクセス用の機会であり、従ってもしユーザーにより決して実行されないとすれば、ランディングゾーンは処理されつつあるサンプルのタイミング又は結果に影響を与えない。
●もしユーザーが特定のランディングゾーンを実行するよう選択するなら、ホストは該機器に呼称された中断点で各サンプルの染色過程を中断するよう指定する。
●1度に1つのサンプルで、該機器は、一旦サンプルが呼称中断点に達すると、サンプル実行を停止する。
【0082】
図19及び20の計画に関する更に進んだ詳細は次の様である。ランスタートアップ状態機械の第2実施例では、該機器は、他のサンプルを完了した後来るアイドル期間が与えられると、自動的に新サンプルの処理を再スタートすることが出来る。このサイクル性に適合する種々の状態機械が説明される。このスタートアップ過程は多くの種々の状態シーケンスを経由して始動され得るが、例えば、下記の様である。
1.アイドルモード(パワーサイクルの後の様な)から、ユーザーはユーザーインターフエース{ユーアイ(UI)}のランボタンを押すが、該操作は該機器(ランスタートアップモード)をプライム/パージし、ランアクセスモードに入るメッセージを送信する。
2.アクセスモードから、ユーザーはサンプルを搭載し、該ユーアイの該ランボタンを押すが、該操作は該機器(ランスタートアップモード)をパージし、ランリードリエイジェント(Run Read Reagent)モードに入るメッセージを送信する(行うべき作業がないランアクセスモードを結果的にスキップする)。
3.ランニングモードから、最後の動作サンプルが完了し、遠隔ソフトウエアは自身をランアクセスモードへ移行させる。
4.ランディングゾーン達成された後、該遠隔ソフトウエアは自身をランポーズドアクセス(Run Paused Access)モードへ移行させる。このモードはユーザーが行い得るものの中でより窮屈である{サンプル引き出し器(sample drawer)は開かれないが、試薬は変更/補給されてもよい}。
【0083】
ホスト及び該機器の両者は機器状態を変えることが出来る。該ホスト又は機器の何れかが何時状態移行を行う責任を有するか、はテキスト及びロジック図の両者に示される(図19参照)。
【0084】
タイマー
各タイマーは構成可能である。初期化時、ホストはこれらのタイマーの値を該機器へ送信する。該値はホストソフトウエアの引数(ARGUMENTS)表に記憶される。
【0085】
これらのタイマーは
●例えば30秒にセットされる、搭載済みサンプル引き出し器タイムアウト。
●例えば2秒にセットされる、開いた試薬フードタイムアウト。
【0086】
フラグ
フラグは下記を含む:
●カバー蓋フラグ{特に、“カバーリッドウォズリフテッド(CoverLidWasLifted)”}
〇このフラグはバーコードが走査された最後の時以来、試薬カルーセルの内容がユーザ
ーにより修正されたことを指示する。
〇試薬走査が始まる時フラグはクリヤされる(偽)。
〇試薬ドアが開かれた時フラグはセットされる(真)。
〇もしホストが全試薬を適格化出来ず、ユーザーが訂正アクションを取らねばならない時、フラグはセットされる(真)。
〇ホストがモードを“ランリードリエイジェントモード”にセットする時、試薬を読み直すかどうかを決めるためにフラグが使われる。
〇試薬IDデータをセットする2つのホストメッセージに否定応答するためフラグ(セットされて)が使われる。
〇一般に、ランスターティング、ランリジューミング又はランリードサンプルモードに入らないランリードリエイジェントモードからの何等かの状態移行、もフラグをクリヤする。これは試薬バーコード読み不良の場合をカバーする。
●カバー蓋の現在の状態
〇このフラグは試薬カバー/ドアの、開き又は閉じの現状態を示す。
〇状態を変えるイベントも、もしバーコードを読むなら、“ランアクセスモード”へのモード変更を引き起こす。
●ランディングゾーンフラグ
〇このフラグは機器がランディングゾーンで動作中であることを示す。
〇フラグは“ランポージングモード”が“ランポーズドアクセスモード”へ移行する時セットされる。
〇フラグは“ランリジューミングモード”が“ランニングモード”に移行する時クリヤされる。
【0087】
ランアクセスモード
該機器は、全サンプルが完了したか、又はスタート用ランまで導く過程中にエラーが起こったか、何れかの時にこのモードに入る。ロック解除時(バーコード読みモード中に)に試薬蓋を開くことは該機器をランアクセスモード(2つある!)の1つへの戻りに変える。又、試薬読み不良、サンプル読み不良、又はランコンパイル不良は、ホストが機器モードをランアクセスへの戻りに変えるよう導く。そこで、ユーザーはサンプルを降ろすか、試薬を変えるか、又はホストでランコンパイル問題を固定するか、何れかを行う。該ホストは次いでランリードリエイジェントモードに入るためにもう1つのモード変更コマンドを送る。
【0088】
ランアクセスモード時、試薬フードとサンプル室はアクセス可能である。該フードスイッチとサンプル室動作をモニターするタイマーが創られる。該タイマーは該状態機械内で次のテキストモードへ移動するためカウントダウンを始める。該タイマーは該試薬フードが開いている間解除される。一旦試薬フードが閉じると、該タイマーはリセットされ、カウントダウンをスタートする。サンプル引きだし器が開かれる度に該タイマーはリセットし、カウントダウンが再スタートする。又該タイマーはエスエスローデッド(ssLoaded)状態にサンプルが無い時も解除される。
●該モードを出るには、ホストでのエラー(試薬登録、サンプルバーコード、又はプロトコルの様な)を修正するユーザーのアクションの結果としてセットオペレーショナルモード(Set Operational Mode)コマンドが送信される。
●もし試薬フードが開いていれば、該モード変更はエヌエイケー(NAK)される(否定応答される)。
【0089】
ランポーズドアクセス(Run Paused Access)モード
このモードは、サンプルアクセスが禁じられる場合以外は、ランアクセスモードに似ている。これはランディングゾーン用に使われるランアクセスモードである。機器は成功したランポージングモードからこのモードに入るが、このモードではユーザーは次いで試薬
を望ましい様にシャッフル/搭載/降ろすために試薬フードを開いてもよい。ランポージングモードからランポーズドアクセスモードへの移行で、これがランディングゾーンであることを示すフラグがセットされる。ここで:
●ホストは該モードを出るためにリジュームコマンドを送信する。
●リジュームコマンドは試薬製品/製造番号/プライム用データと、再配置情報と、を指定するが、それは無視される。
●該試薬が走査を要するか否かの知識(カバー蓋フラグ)でランリードリエイジェントモードに入る。
●もし試薬フードが開いていれば、該リジュームは否定応答される。
【0090】
アイドル又はアクセスモード中のサンプル搭載
ユーザーがアイドル又はアクセスモード内でスタートする場合、もし、ランアクセスモードに達する前にサンプルが搭載されるなら、該スタートは該状態機械の通過路に影響する。アイドルモードでは、ユーザーは、該機器をランスタートアップにして(ホストメッセージを介して)、次いでランアクセスモードにする(該機器が自身で移行する)ためにPC上の“ランニング”ボタンを押してもよい。主な仮定はユーザーがサンプルを降ろすことのみなので、サンプル状態は全てエスエスエンプテイ(ssEmpty)にセットされる。
【0091】
もし機器がアイドルモードにあり、サンプル引き出し器を開く/閉じるのに充分な圧力を有するなら、該ユーザーは該ランニングボタンを押す前にサンプルを降ろし、又搭載してもよい。もしこれが起これば、該機器はランアクセスに留まり、サンプルが搭載されておりタイマーが未だランしつつないことを知らず、かくしてサンプル引きだし器(セル)の開閉のみが該機器を動作へ駆り立てるだろう。この1つのサンプルはランニングをスタートする。一旦該機器がランニングモードでサンプルを正常に処理しつつあると、アイドルの時搭載された何等かの他のサンプルは自動的に検出され、スタートされる。
【0092】
アクセスモードでは、該機器は圧力を与えられ、サンプルはより容易に搭載され/降ろされる。搭載されるサンプル位置は未だ決定され得ないので、ユーザーがPC上の“ランニング”ボタンを押すと、全サンプル状態は自動的にエスエスローデッドへ変えられる。該機器はランスタートアップへ行き(ホストメッセージを介して)、次いでそれはランアクセスモードへスキップし、正しくランリードリエイジェントモードへ行く。一旦ランリードサンプルモードに達すると、全サンプル位置が検出され、読まれる。
【0093】
又、もし該ユーザーがこれらのモードの何れかで何等かのサンプル引き出し器を開き、開いた侭にして、該ランニングボタンを押すなら、該ユーザーは最初に該サンプル引き出し器を閉じるよう促される。
【0094】
ランリードリエイジェントモード
該機器はこのモードにはランスタートアップモード、ランアクセスモード、又はランポーズドアクセスモードの何れかから入る。
●カバー蓋状態はこのモードに入るため閉じていなければならない。
●カバー蓋ソレノイドはこのモードでロックされない。
●該モードに入る時、もしカバー蓋フラグがクリヤされている(偽)なら、試薬読みはスキップされる。
●該モードに入る時、もしカバー蓋フラグがセットされている(真)なら、全試薬読みが行われる。
●このモードにエントリー時、カバー蓋フラグはクリヤされる。
●もしホストが、読み失敗又は無効バーコードがあると決定するなら、カバー蓋フラグがセットされる。
●このモードではサンプル引き出し器はアクセス可能である。開いた及び閉じたサンプル引き出し器はエスエスローデッド状態へ移行する。
【0095】
次いで、試薬バーコード読み過程は下記から成る:
●ノズルプレートが“機器中心”位置を探す。
●試薬カルーセルをホーム位置へ移す。
●位置1からスタートして位置35まで試薬バーコードを読む。
●遠隔ソフトウエアが各試薬バーコード読み値からのデータを記憶する。
●ホストソフトウエアが、ホストコマンドを通して該試薬バーコードデータがホストアップリケーションへ戻されるよう請求し、適当な応答が伴う。
●該ホストアップリケーションは
〇製品がデータベースに登録されていること、
〇正しい機器種類、
〇有効な満了日付け、
〇活動中の試薬ステイタス、
に基づいて該試薬カルーセル上に搭載された試薬を適格とする。
●もし試薬読み込みがランディングゾーンシーケンスで起こるなら、該試薬は
〇該カルーセル上の該位置付けが有効かどうか(或る試薬は隣り合って並んでいるよう求められる)
〇染色ランを完了するために充分なテストが残っているかどうか
を知って更に適格化され得る。
【0096】
もしユーザーが該試薬を読む間にフードを開くなら、その読みは停止し、該機器はランアクセスモードへ戻るよう移行する。
【0097】
一旦該試薬読みが(全部読む、又はそれをスキップする、の何れかにより)完了すると、遠隔ソフトウエアはランリエイジェントリードモード内におり、サブモードを“リエイジェントリードダン”へセットし、次いで待つ。その時、もしランディングゾーンフラグがセットされない場合
●もし試薬データが有効なら、
〇試薬識別子がホストによりダウンロードされる。
〇ホストはランリードサンプルモードへ行くようモード変更メッセージを送信する。
〇一旦該ランリードサンプルモードへの変更が達せられると、カバー蓋ソレノイドはロックされる。
●もしその試薬データが有効でないなら、
〇ホストはランアクセスモードへ行くようモード変更メッセージを送信する。
〇カバー蓋フラグがセットされる。
●もしこのモードで如何なる時も該カバー蓋が開かれているなら、
〇試薬読みは停止される。
〇該カバー蓋フラグはセットされる。
〇該モードはランアクセスモードへ戻るよう変更される。
【0098】
或いはもしランディングゾーンフラグがセットされる場合:
●もしドアがなお開いている間に、再開メッセージが送られるなら、該メッセージは否定応答される。
●もし試薬データが有効なら、
〇ホストは再開メッセージを送信し、該再開メッセージは試薬製品/製造番号/プライム用データと配置し直し情報と、を指定せねばならない。
〇該再開コマンドはランリジューミングモードへの移行を引き起こす。
〇一旦ランリジューミングモードへの変更が達せられると、カバー蓋ソレノイドはロッ
クされる。
●もし試薬データが有効でないなら、
〇ホストはランポーズドアクセスモードへ行くようモード変更メッセージを送信する。
〇該カバー蓋フラグはセットされる。
●もし該カバー蓋がこのモードで如何なる時も開かれているなら、
〇試薬読みは停止される。
〇カバー蓋フラグはセットされる。
〇モードはランポーズドアクセスモードへ変更される。
【0099】
ランリードサンプルモード
該機器はこのモードにはランリードリエイジェントモードから入り、該機器がこのモードにある時はカバー蓋ソレノイドがロックされる。
【0100】
遠隔ソフトウエアは非ランディングゾーンシーケンスの間、ホストによりこのモード内に置かれる。遠隔ソフトウエアは、特定位置でサンプルバーコードを読む必要があるかどうかを決定するため、該サンプルの状態をチェックする(エスエスローデッド状態)。
【0101】
もし何等かのサンプルが該エスエスローデッド状態にあるなら、該サンプルを読むために下記の過程が行われる:
●このモードではサンプル引き出し器を開くことが禁じられる。
●ノズルプレートをホーム位置へ移す。
●サンプル検出ステーションを検査が必要な第1サンプルへ進める。
●該サンプルの存在を検出する。
●どちらがより近いかに依って、サンプル検出ステーションを、検査を必要とする次のサンプルへ動かすか、又はバーコードリーダーステーションを、成功裡に検出された次のサンプルへ動かす。
●該エスエスローデッド状態にある全サンプルが、検出と、バーコードリーダーによる走査と、の両者が行われる(もしあれば)まで、繰り返す。
●遠隔ソフトウエアは各サンプルバーコード読み値からのデータを記憶する。
●ホストソフトウエアはホストコマンドを通して該サンプルバーコードデータがホストアップリケーションへ戻されるよう請求し、適当な応答が伴う。
●ホストアップリケーションは
〇プロトコル又はキーコードがそのデータベース内にあること、
〇正しい機器の種類、
〇染色手順過程とマッチするプロトコル過程、
〇該染色手順を行うのに要する所要試薬が試薬カルーセルに搭載されていること、
に基づいて、この場合のサンプルに割り当てられたプロトコルを適格とする。
●もし前の試薬読み値がランディングゾーンシーケンス用でない場合、その試薬は
〇カルーセル上のその位置付けが有効かどうか(或る試薬は隣り合って並んでいることを求められる)、
〇その染色ランを完了するのに充分なテストが残っているかどうか、
を知って今回適格とされてもよい。
【0102】
もしサンプル読み中にユーザーがフードを開くなら、該読みは停止し、該機器はランアクセスモードへ戻るよう移行する。
【0103】
一旦ゼロ以上のサンプル用のサンプル読みが完了すると、遠隔ソフトウエアはランサンプルリードモードにあり、サブモードを“サンプルリードダン”へセットする。
●もしデータが有効なら、ホストはランスターティングモードへ行くようモード変更メッセージを送信する。
●もしデータが有効でないなら、ホストはランアクセスモードへ行くようモード変更メッセージを送信する。
【0104】
ランスターティングモード
このモードで、ホストアップリケーションは各サンプル位置用のマクロ過程をコンパイルし、遠隔ソフトウエアへダウンロードする。第1染色ランダウンロードが完了すると(各サンプル用に1つあり、直列に到着する)、該遠隔ソフトウエアは自動的にランニングモードへ移行する。
【0105】
ランニングモード
該ランニングモード中、サンプル(サンプル上に於ける様に)はロック過程で処理される。このモード中に付加されるどんなサンプルも処理されつつあるサンプルと共にロック過程で検出される。サンプルは、ノズルプレートがステッピングを続けるにつれ、検出され、次いで読まれる。ホストアップリケーションは:
●バーコードデータを請求する。
●プロトコルを適格とする。
●試薬が充分なテストで利用可能であり、カルーセル上で正しく順序付けられている(隣り合って並ぶ要求)ことを適格とする。
●マクロ過程をコンパイルする。
●該マクロを遠隔ソフトウエアにダウンロードする。
●付加されたサンプル用の染色過程をスタートする。
【0106】
この動作は現在ランしているサンプルの染色過程に影響することなく行われる。
【0107】
ランポージングモード
機器はこのモードにランニングモードから入る。
●再開コマンドがここに送られるのは、ユーザーが機器を中断せず、ランニングモードへ戻ると決めた時である。
●再開コマンドは試薬製品/製造番号/プライム用データと配置し直し情報とを指定してもよいが、それは無視される。
●既に中断された何等かのサンプル位置は再スタートされる。
●次いでランニングモードに入る。
【0108】
完了したサンプル
全サンプルが染色過程を完了すると、遠隔ソフトウエアはランアクセスモードへ戻るよう移行する。このモードにある間、試薬フードはロック解除され、試薬を加える/除去するためアクセス可能である。
【0109】
ランアクセスモードで前に説明した様に、サンプル引き出し器アクセス用内部タイマーは、サンプル引き出し器が開かれ、サンプルをエスエスローデッド状態に置くよう閉じられるまで、賦活解除される。一旦該サンプル引き出し器が閉じられると、内部タイマーはカウントダウンを始める。各続くサンプル引き出し器の開閉は該タイマーをリセットする。一旦該タイマーが設定時間を果たし、試薬フードが閉じ位置になると、ノズルプレートはホーム位置へ移され、サンプル検出過程を始め、次いで状態機械を通して再びランニングモードへ続く。
【0110】
例5−ランディングゾーン−埋め込まれたソフトウエア設計改良点
ランディングゾーンパラメーター
ランディングゾーンの計算に精密に適合するために多数の構成可能なパラメーターが提供されるが、該パラメーターの幾つかが図20で図解される。
【0111】
総割り当てランディングゾーンタイムアウト
●何れか1つのサンプルがポーズド状態に留まれる最大秒数。これは、全処理サンプル位置が該中断点に来るに要した時間と、該機器が全試薬バーコードを再走査する時間と共に望まれたディスペンサーを切り替えるためユーザーが要する時間と、を含む。
●該機器はこのタイムアウトに達する前に、大きい警報をフード警告タイムアウト秒数だけ鳴らす。
●各サンプルはそれが現実に中断された時から別々に時間計測される。
●一旦或るサンプルでこのタイムアウトが満了すると、該機器は、該サンプルのラン報告書上に記載されるものを除き、サンプルレベルを上げる。
●該ソフトウエアは4時間に設定している(14,400秒)。
●ホストオプション引数を介して構成可能である(データタイプ23)
〇ランディングゾーン最大秒数
【0112】
■フード警告タイムアウト
●この値は、試薬カルーセルからディスペンサーの80%を交換するのにオペレータに掛かる最適時間を表す。
●一旦、ランディングゾーン中にユーザーにより試薬フードが開かれると、このタイムアウトは小エラー“スヌーズ”警報をドライブするため使われる。
●該フードがこのタイムアウト値より長く開き続けられると、機器は小エラー欠陥で警報する。
●一旦該フードが閉じられると該警報は静粛化する。
●もし該フードが再度開かれると、総割り当てランディングゾーンタイムアウトに達するまでその過程は繰り返される。
●10分(600秒)に設定される。
●ホストオプション引数を介して構成可能である(データタイプ23)
〇ランディングゾーンフード警告秒数
【0113】
■自動再開タイムアウト
●全サンプルが中断され、試薬フードが開かれずに留まった後、サンプル処理を自動的に再開する前に、機器が待つ時間。
●10分に設定される(600秒)
●ホストオプション引数を介して構成可能である(データタイプ23)
〇ランディングゾーン自動再開秒数
【0114】
■手動再開タイムアウト
●ランディングゾーン中に試薬フードが閉じられた後、ランリーディングリエイジェントモード内へ自動的に進み、試薬バーコードの走査を始める前に、該機器が待つ時間。
●2秒に設定される(2秒)
●遠隔の染色モジュールファームウエア内にハードウエアとしてコード化されている。
【0115】
ランディングゾーンアルゴリズム
●ランディングゾーンの精密な計算は精密なラン時間の計算に依る。
●一旦、現在該機器上で処理している各染色プロトコルの各個別手順の過程が実行するのに如何に長く掛かるかを確立すると、中断点間の時間が決定される。
●プロトコルと、各サンプルランのスタート時刻を提供されると、利用可能な中断点の第1セットが有効なランディングゾーンの確立を特定する。一旦第1ランディングゾーンが決定されると、全サンプルからの全中断点が空になるまで、連続するランディングゾーンを確立する過程を繰り返す。
●サンプル処理スループットを最適化し、そして最大中断時間を破らないことにより組
織損傷を防止するが、ユーザーが必要な試薬ディスペンサーをスイッチしバーコードを走査し直すためにたっぷりダウンタイムをなお提供するために、或るサンプルからの或る中断点は見逃される。
【0116】
規則と改良点
●機器が中断するよう指示された後、そして各サンプルの染色の実行を中断する過程にありながら、ユーザーはランディングゾーン指示を取り消し、そして再開する機会を有する。
●機器は指定された中断点に達するために、総割り当てランディングゾーンタイムアウトからフード警告タイムアウトの2倍を差し引いた時間までを提供される。
●ユーザーは機器が中断している間に選択されたランディングゾーンを取り消すオプションを有する。
●もし該ランディングゾーンは取り消されるがサンプルは未だそれらの中断点まで達してないなら、該ランディングゾーンはそれが取り消された後もオプションとして残る。しかしながら、もし該ランディングゾーンが取り消される前に、サンプルの何れか1つが指定中断点に達するなら、この様な中断されたサンプルは処理を再開し、その特定のランディングゾーンは最早該ユーザーには利用可能でない。
●一旦全サンプルが中断されると、もし試薬フードのシールがユーザーにより破られないなら、機器は自動再開タイムアウトを待った後、中断されたサンプルを自動的に再開する。
●該ユーザーが試薬フードを開いた後、該試薬フードを閉じるようユーザーに警告するために、フード警告タイムアウト秒数が過ぎた後警報が鳴る。
●もし総割り当てランディングゾーンタイムアウトが満了したなら、該割り当て時間ウインドウより長く静止していた各サンプルは下記結果:
12−65:ランディングゾーンは付き添い無く残された.サンプルは割り当て中断時間を越えた
ことへのランレポート内のエラーを告げられる。
●ユーザーがディスペンサー在庫ニーヅを申し述べ、手動再開タイムアウト秒数の間試薬フード閉じた後、機器は試薬バーコード読みを自動的にスタートする。
●機器が試薬バーコードを読む間、ユーザーは該機器をランディングゾーンへ戻すよう試薬フードを再度開いてもよい。
●中断されたサンプルにより現在“使用中”の全サンプルは、或る再配置は許されるが、試薬カルーセル上にある必要がある。
●一旦新ディスペンサー位置付け情報が該機器にダウンロードされると、プライムされてないディスペンサーはプライムされ、全中断サンプルの再開の実行が許される。
●もし必要なディスペンサーが試薬カルーセルから欠けていると分かる、或いは何等かの他のディスペンサー関連違反に遭遇するなら、該機器はランディングゾーン警報を鳴らし、該機器はランディングゾーンに留まる。
【0117】
他のディスペンサー関連違反は
●製品が登録されてない
●製品が満了している
●製品が消耗している
●製品が引数表から欠けている
●所要キット部品が欠けている
●ディスペンサーが相互のそばに存在せねばならない、ことである。
【0118】
試薬採取リスト
ユーザーによりランディングゾーンが選択された後、該選択されたランディングゾーン中に該機器に加える又は該機器から除去する試薬のリストを提供するために、試薬採取リ
ストが利用可能である。
【0119】
●そのリポートは、試薬名、製品種類、製品コードそして有効なプロトコルを有するが現在コンパイラーが失敗した状態にある全サンプル(すなわち、それらが必要とする試薬が該機器上にないためスタートすることが出来なかったサンプル)を処理するのに必要なテスト、を備える。
●該リポートは又現在試薬カルーセル上にあり、満了した又は消耗した又はサンプル処理により最早使用しない全ディスペンサーを有してもよい。このリポートは試薬カルーセルの位置、試薬名、製品種類、満了日付け及び選択されたランディングゾーンで該機器から除去されるべき各ディスペンサーの残りテストカウント、を有する。
【0120】
例6−グラフィカルユーザーインターフエース
図21及び22には、ユーザーに重要情報を運ぶグラフィカルユーザーインターフエースディスプレーのスクリーンのショットの例が示される。図21で、該ディスプレーの中央のバーグラフは、同時に処理されつつある幾つかのサンプルの各々の進行度合いをもたらす。占められたサンプルセルは番号付き位置の円弧内に書き留められており、それらのセル内のサンプルの各々の相対的進行度合いは中央のバーグラフで指示されている。
【0121】
図22では、ディスプレーは試薬カルーセル内に保持された試薬のステイタスのみならずサンプルセルのステイタス及びバルク流体のレベル{セル調整流体、バッフアー、濯ぎ溶液、鉱油(基盤上に保持されたサンプル上に置かれた水性液体上に“カバースリップ”を創るため使われる)の様な}の両者を示す。又廃棄物コンテナー内の廃棄物のレベルも表示される。該グラフィカルユーザーインターフエース内に表示されるこれらの特徴の全てはサンプル処理の実時間モニタリングを可能にし、サンプルが更に処理されることを防止する条件をユーザーに警報するのを助ける。
【0122】
詳細に図解実施例を説明したにも拘わらず、開示発明が明細書で説明した特定の実施例に限定されず、下記の請求項により規定される本発明の真の範囲と精神を離れることなく多くの変更が行われてもよいことは理解されるべきである。例えば、垂直格子又は垂直円弧内のサンプル処理器によりアクセスされる基盤支持ユニットのスタックを有する塔構造体と、該基盤支持ユニットがラインで存在し、該基盤支持ユニットのラインに平行な通路内を移動する基盤処理器を使って処理される線形構成と、の様な、開示された装置に対するサンプルの連続した、又は連続に近い追加及び回収を可能にする独立して移動可能な基盤支持ユニットの他の構成が考えられる。更に、本発明が関連する当業者はここに説明した実施例への多くの等価物をルーチンに過ぎない実験を通して認識又は確認出来るだろう。この様な等価物は該請求項の範囲内に入るよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板ホルダーであって、各基板ホルダーが種々の処理位置と種々のアクセス位置の間を自動的に、かつ、独立して移動可能である複数の基盤ホルダーと、そして
2つ以上の該基板ホルダー上に保持された2枚以上の基板を、該基板ホルダーの種々の処理位置で同時に処理するよう構成された移動可能な基盤処理器と、を具備する生物学的サンプル自動処理装置。
【請求項2】
該複数の基盤ホルダーが独立した熱的制御ユニットを備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
該独立した熱的制御ユニットが伝導加熱プラットフォームを有する請求項2記載の装置。
【請求項4】
該独立した熱的制御ユニットが放射加熱プラットフォームを有する請求項2記載の装置。
【請求項5】
該独立した熱的制御ユニットが加熱及び冷却プラットフォームを有する請求項2記載の装置。
【請求項6】
該加熱及び冷却プラットフォームがペルチエプラットフォームを有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
基盤の上面の少なくとも1つの温度を測定するよう位置付けされた非接触温度センサーと、該基盤の該上面上の生物学的サンプルと、そして該基盤の上面の少なくとも1部分をカバーする或る容積の液体と、を更に具備する請求項2記載の装置。
【請求項8】
該非接触温度センサーが該熱的制御ユニット用の電源を有するフィードバックループ内に接続される請求項7記載の装置。
【請求項9】
該独立した熱的制御ユニットが該基盤ホルダーの1つ以上を通過する空気流れの源を有する請求項2記載の装置。
【請求項10】
該複数の基盤ホルダーの各々が別々の空気流れ源を有する請求項9記載の装置。
【請求項11】
該基盤ホルダーの各々を通過する該空気流れが分離されている請求項10記載の装置。
【請求項12】
該基盤ホルダーの各々を通過する該空気流れが該基盤ホルダーを越えて或る距離の共通点の方へ導かれる請求項11記載の装置。
【請求項13】
該複数の基盤ホルダーの種々の処理位置にある該複数の基盤ホルダーが実質的に同じ平面内で、小さい円弧半径を有する小さい円弧に実質的に沿うように配置され、該基盤処理器が該小さい円弧の中心に回転可能に設置され、該小さい円弧の上の平面に平行で、かつ、該平面内の通路に沿い移動する請求項1記載の装置。
【請求項14】
該基盤処理器は、細長いノズルプレート自身の設置端部である第1端部と、そして第2端部と、を有する細長いノズルプレートを備えており、該第2端部は該基盤ホルダーの該小さい円弧の方へ該ノズルプレートの長さに沿って配置されており、そして該ノズルプレートは、プレート円弧内に配置された複数のノズルを有しており、該プレート円弧は、該基盤ホルダーが沿って配置される該小さい円弧と実質的に同じ半径を有している請求項13記載の装置。
【請求項15】
該ノズルのプレート円弧は、該基盤害ホルダーが沿って配置される該小さい円弧より長さが短い請求項14記載の装置。
【請求項16】
該基盤処理器が該ノズルプレート上に回転可能に設置される試薬カルーセルを更に備える請求項14記載の装置。
【請求項17】
複数のディスペンサーが、円柱状試薬カルーセルの軸線を該ノズルプレートに直角に設置された該円柱状試薬カルーセルの円形プロフアイルの周りに配置される請求項16記載の装置。
【請求項18】
該複数のノズルが、渦混合ノズル、バルク試薬ディスペンスノズル、ジェットドレインノズル、濯ぎノズル、及びレール付きアスピレーターの2つ以上を有する請求項14記載の装置。
【請求項19】
該種々の処理位置の基盤ホルダーを収容する囲いを更に具備しており、該囲いから該基盤ホルダーが種々のアクセス位置へと該囲いの外部に延びる請求項1記載の装置。
【請求項20】
該種々の処理位置の1つ以上の該基盤ホルダー上に保持された生物学的サンプルの処理が、該サンプルホルダーの1つ以上が該種々のアクセス位置にある間、自動的に続く請求項1記載の装置。
【請求項21】
第1半径を有する円の小さい円弧に沿い、実質的に同じ平面内に配置された複数の基盤ホルダーと、
該円の中心に回転可能に設置され、該複数の基盤ホルダーの上の平面内で該小さい円弧の方へ、該小さい円弧の半径方向線に沿って延びる、細長いノズルプレートと、そして
該細長いノズルプレート上に回転可能に設置される円柱状試薬ディスペンサーカルーセルと、を具備しており、該円柱状カルーセルは軸線と第2半径とを備えており、該第2半径は該第1半径より短く、該円柱状カルーセルは該細長いノズルプレート上に、該カルーセル上の試薬ディスペンサーが、該円の中心の周りの該ノズルプレートの回転運動と該カルーセルの軸線の周りの該カルーセルの回転運動の組み合わせにより、該小さい円弧に沿って基盤ホルダーの上に位置付けられるように設置される、生物学的サンプル自動処理装置。
【請求項22】
該複数の基盤ホルダーの各々が該小さい円弧から該小さい円弧の別々の半径線に沿い外方へ独立に伸長可能な請求項21記載の装置。
【請求項23】
周囲空気が2つ以上の該基盤ホルダーを過ぎるよう該小さい円弧の半径線に沿って向けられる請求項21記載の装置。
【請求項24】
周囲空気が、該小さい円弧が部分となる該円の中心に向かって該基盤ホルダーを通過するよう向けられる請求項23記載の装置。
【請求項25】
第1基盤ホルダー通過する向けられた周囲空気が第2基盤ホルダーを過ぎるよう向けられた周囲空気から実質的に分離される請求項23記載の装置。
【請求項26】
自動化された生物学的処理装置内の複数の基盤支持された生物学的サンプルの連続アクセス処理の方法であって、該装置は複数の別々の基盤支持ユニットを有しており、該基盤支持ユニットの各々が別々の処理位置と別々のアクセス位置の間で自動的に、かつ、独立して移動可能である方法において、
基盤支持されたサンプルをアクセス位置の基盤支持ユニット上に置く過程と、
ユーザーコマンドに応答して該基盤支持ユニットを処理位置へ自動的に移動させる過程と、
該基盤支持ユニット上の該処理位置内へ移動した該基盤支持されたサンプルを自動検出する過程と、そして
該検出されたサンプルの処理を予め決められた順序の過程で始動する過程であって、該予め決められた順序の過程が、該装置により既に処理されつつある他のサンプル上で進行中の処理過程から独立に、そして該システムに後で加えられる追加サンプル用に始動される処理過程から独立に、行われる始動する過程と、を具備する連続アクセス処理方法。
【請求項27】
該サンプルの処理が完了した時にユーザーに自動的に警報する過程を更に具備する請求項26記載の方法。
【請求項28】
該サンプル内にサンプルの予め選択されたグループ分けのメンバーがあり、該予め選択されたグループ分け内のサンプルの処理が完了した時にユーザーに自動的に警報する過程を更に具備する請求項26記載の方法。
【請求項29】
関連するサンプルの該予め選択されたグループ分けが、組織化学的染色で処理されたサンプル、免疫化学的試薬で処理されたサンプル、及び原位置ハイブリッド形成試薬で処理されたサンプルの2つ以上を有する請求項28の方法。
【請求項30】
関連するサンプルの該予め選択されたグループ分けが、同じ実験材料から得られた2つ以上のサンプルを有する請求項28記載の方法。
【請求項31】
関連するサンプルの該予め選択されたグループ分けが、1人の医学専門家により命じられた2つ以上のサンプルを有する請求項28記載の方法。
【請求項32】
該ユーザーコマンドが、該基盤支持ユニットの外側部分上に配置されたセンサーを通して実行されるタッチコマンドを有する請求項26記載の方法。
【請求項33】
該完了したサンプルを、該完了サンプルの該装置からの検索用に、該基盤支持ユニット上で該アクセス位置内へ移動させるコマンドを入力するようにユーザーに促す過程を更に具備する請求項27記載の方法。
【請求項34】
検索用に該完了サンプルを該アクセス位置へ移動させる該コマンドが、該基盤支持ユニットの外側部分上に配置されたセンサーを通して実行されるタッチコマンドを有する請求項33記載の方法。
【請求項35】
該予め決められた順序の過程で該サンプルの処理を始動する過程が、該基盤支持されたサンプルに付随した機械読み込み可能なコードによりエンコードされた過程の順序に従い処理を始動する過程を有する請求項26記載の方法。
【請求項36】
該複数の基盤支持ユニットの各々の別々の処理位置及び別々のアクセス位置が円の小さい円弧の種々の半径方向線に沿って横たわる請求項26記載の方法。
【請求項37】
組織切片をカットする過程と、
該組織切片を、該組織切片用のサンプル処理過程の予め決められたセットを指定する機械読み込み可能なコードを有する基盤上に置く過程と、
該基盤上の該組織切片を生物学的サンプル処理装置の占められてない基盤支持ユニット内に置く過程であって、該装置が複数の別々の基盤支持ユニットを有し、該基盤支持ユニ
ットの各々は別々の処理位置と別々のアクセス位置の間を自動的に、かつ独立して移動可能であり、該占められてない基盤支持ユニットは該基盤を受けるために該アクセス位置に保持される、基盤支持ユニット内に置く過程と、
該基盤支持ユニットを該処理位置へ移動させる過程と、そして
該装置により既に処理されつつある他のサンプルの処理を中断することなく該サンプルの処理を始動する過程と、を具備する生物学的サンプル処理過程の生物学的サンプル準備過程との協調を改善する方法。
【請求項38】
ユーザーに、該装置の基盤支持ユニットが占められておらず、組織サンプルを支持する基盤を受けるよう用意されていることを警報する過程、又は該ユーザーに、該占められてない基盤支持ユニットを提供するために、処理が完了した組織サンプルを支持する基盤が該装置から検索され得ることを警報する過程、を更に具備する請求項37記載の方法。
【請求項39】
生物学的サンプル処置システムの動作を、該システム上で試薬を補充又は変更する機会を提供するよう制御する方法であって、複数のサンプルの各々が独立して該システムにより処理される方法において、
該複数のサンプルの各サンプル用の中断点過程を決定する過程と、
該複数のサンプルの全部用に該中断点を整合させることによりランディングゾーンを計算する過程と、そして
該ランディングゾーンでのサンプルの処理を自動的に停止し、該システム上に保持された複数の試薬コンテナーへのアクセスを、該試薬コンテナーが変更され得るように自動的に提供する過程と、を具備する方法。
【請求項40】
コンピュータに接続された、複数のサンプルの独立した処理用の生物学的サンプル処理システムと、そして
該コンピュータ上に記憶された請求項39記載の方法を行うためのインストラクションと、を具備する生物学的サンプルを処理するシステム。
【請求項41】
機械により読み込み可能なプログラム記憶デバイスであって、請求項39記載の方法を行うために、該機械により読み込み可能なインストラクションのプログラムを有形で具体化しているプログラム記憶デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−533299(P2010−533299A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516160(P2010−516160)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/069151
【国際公開番号】WO2009/009419
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】