説明

生物学的分析のためのパッケージング装置

本発明は、自動生物学的分析のパッケージング装置に関し、このパッケージング装置は、分析サンプルと、その試薬と、体液サンプルの1以上の分析を実施するのに必要な情報と、該当する方法の場合には、その分析からの廃棄物を受けることを目的とする位置とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液の分析の分野、さらに特には体液の分析のための自動機械の分野に関する。本発明は、極めて特には自動分析機械に導入されることを目的とする装置(または支持物)に関し、この装置は、分析するサンプルと、そのサンプルを分析するのに必要な試薬および/またはその廃棄物を中和するのに必要な試薬だけでなく、自動機械によって行われる分析に必要な情報と、その廃棄物を受け、所望により分析の終了時に中和することを目的とする少なくとも1つの容器も兼ね備えている。
【背景技術】
【0002】
自動機械による分析の前にサンプルを支持することを目的とする装置は、当技術分野の現状において公知である。
【0003】
TORAY INDUSTRIESの欧州特許出願 EP0567093では、それぞれに3本の反応チューブと、1本の希釈チューブと、1本のサンプル用チューブが入ったいくつかのカートリッジを含むラックシステムが記載されている。この装置は、自動分析機械専用のものであり、試薬を容器に分配する「試薬分配ユニット」と呼ばれる追加ユニットを必要とし、電動式シリンジを使用して試薬を前記ラックカートリッジに分配する。
【0004】
さらに、この装置には、サンプルで行われる分析に適した統合情報システムはなく、分析の終了時にその廃棄物を受けることを目的とする容器も備えていない。
【0005】
HICHEM DIAGNOSTICSの国際出願 WO8/606488では、必要な分析によって異なる試薬または抗体が入っている、プラスチック材料から作られた、密閉容器が配置されているいくつかの凹所を備えた長方形の分析キットが記載されている。そのキャビティの底には、技術者によって前記容器の上部表面に圧力が加えられたときに、前記容器の下部表面が破れるように意図された鋭い突起部があり、それにより試薬が放出する。
【0006】
このキットは単純なタイプの分析を可能にするだけであり、上記の全てには、所望の分析プロトコールにより確立された順序に従って試薬を放出させる人の介入が必要である。
【0007】
さらに、このキットは品質管理のための統合手段を備えておらず、自動分析機械には適さず、分析の終了時にその廃棄物を受けることを目的とする容器も備えていない。その結果を読み取る方法は与えられていない。
【0008】
Olympus Opticalの特許出願DE4313807Aでは、有効期限、使用期限などについての特定の情報が入ったバーコードシステムを含む、試薬または抗体を含み得るコンパクトシステムが記載されている。このシステムの容器内では血液−試薬反応は行われない。このシステムは、分析の終了時にその廃棄物を受けることを目的とする容器を備えていない。
【0009】
CHIRON DIAGNOSTIC CORPORATIONのUS特許5788928では、試薬の用量を受けることを目的とする、液体の混合を容易にする特定の形状を有するパックが記載されている。揺動攪拌用装置により試薬を自動的に混合することが可能となっている。
【0010】
試薬はこのパックに直接入っておらず、特定の分析装置への統合のためにその形状が与えられている。最後に、この装置には、サンプルで行われる分析に適した情報システムまたは分析の終了時にその廃棄物を受けることを目的とする容器はない。
【0011】
HOFFMAN LA ROCHEのUS特許5578272では、自動生化学分析機械において使用することができるカートリッジに組み込まれる試薬のキットの特徴が記載されている。分析するサンプルはこのカートリッジに入っていない。このカートリッジに組み込まれる試薬には、液体を採取し、それを反応槽へと運ぶ針が入り、それ自体はこのカートリッジに入っていない。このキットは、試薬に関するデータを読み取ることを可能にするバーコードも備えている。反応物の混合は攪拌システムを用いて別々に行われる。このパックに反応槽は組み込まれていない。バーコードには、行われる分析のタイプについてまたは使用される方法についての情報は含まれない。このキットは、分析の終了時にその廃棄物を受けることを目的とする容器を備えていない。
【発明の開示】
【0012】
液体サンプルの自動分析用装置は存在するが、そこには、分析するサンプルと、そのサンプルを分析するのに必要な試薬だけでなく、その廃棄物の回収と、所望によりそれらの中和を可能にする容器も、特に生物学的分析の範囲内で、自動機械によってその分析を行うのに必要な情報も兼ね備えている装置の必要性があると理解される。
【0013】
本発明の対象は、生物学的分析のためのパッケージング装置であって、少なくとも1つの分析サンプルと、少なくとも1つの試薬と、該分析によって生じる廃棄物の回収を可能にする少なくとも1つの容器と、該分析サンプルの少なくとも1つの分析を行うのに必要な情報を含む少なくとも1つの情報システムとを含むことを特徴とするパッケージング装置である。
【0014】
本発明による装置は、体液、特に血液、極めて特に全血のサンプルの分析に特に適している。
【0015】
本発明による装置には、事前に準備することができるという利点がある。よって、この装置は、行わなければならない分析(または複数の分析)に必要な、所望によりすでに希釈されている、想定される分析(または複数の分析)を行うのに必要で十分な量で使用することができる状態の、利用可能な試薬(または複数の試薬)だけでなく、その分析(または複数の分析)を行うために導入される、自動機械に必要な一連の情報も含む。さらに、この装置は分析の廃棄物の回収を可能にする。これに関して、本発明による装置は、廃棄物を中和するための少なくとも1つの手段も含み得る。
【0016】
このようにして準備された前記装置は、分析するサンプルが前記装置に導入されるまで前記装置に入っているエレメントの保存に適合する条件下で保存することができる。
【0017】
本発明による装置の特定の使用形態では、分析(この分析のパラメーターは情報手段に記憶される)に必要な分析サンプルの量は、この装置の自動機械への導入前に、オペレーターによってこの装置に導入することができる。
【0018】
そのため、本発明による装置は、オペレーターによる介入を最大限に抑え、このオペレーターはこの装置に分析サンプルを導入し、その装置を自動機械内に入れ、その装置を始動すること以外してはならず、そこで、自動機械が情報手段内にある情報を解釈し、その分析を行う。
【0019】
本発明による装置の別の使用形態では、分析するサンプルはこの装置に導入することができ、分析(この分析のパラメーターは情報手段に記憶される)に必要なサンプルの量は、自動機械によって自動的に採取することができる。このバージョンでは、情報手段は自動機械によって採取されるサンプルの量についての情報も含むと理解される。
【0020】
本発明の対象は、小型自動機械において特に有用である。特定の分析が低コストで行われることを可能にする。さらに、その支持物に直接情報システムが存在し、さらにその容器内に全ての試薬が存在することから、本発明を完全に自律的な確実な方法で使用することが可能である。自動機械において使用する場合、そのオペレーターは、測定方法または試薬に関するデータを入力または選択するために介入する必要がなく、それが時間の節約および処理エラーの低減となる。
【0021】
本発明の対象は1回以上使用することができる。分析後廃棄することができるし、または1回再使用し、清浄し、滅菌することもできる。この種の装置は、特定の分析に、または頻繁に使用されない機器に特に適している(《ドクターテスト》の概念)。
【0022】
本発明による装置は、抗体を用いたイムノタイピング分析(immunotyping analyses)に特に適している。
【0023】
より正確に言えば、本発明による装置は、
試薬を受けることを目的とする少なくとも1つの位置と、
分析のための生体サンプルを受けることを目的とする少なくとも1つの位置と;
該分析によって生じる廃棄物を受けることを目的とする少なくとも1つの位置と;
自動機械によって該分析を行うのに必要な少なくとも1つの情報支持物と
を含む。
【0024】
本発明によれば、前記試薬の少なくとも1つは前記分析の廃棄物を中和するための薬剤であり得る。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、前記中和剤は、前記廃棄物を受けることを目的とする前記位置に直接導入することができる。
【0026】
特定の実施形態では、本発明による装置は、基準を受けることを目的とする少なくとも1つの位置も含み得る。
さらに別の特定の実施形態では、本発明による装置は、前記分析に必要な反応が行われる少なくとも1つの位置も含み得る。
【0027】
本文では、以下の概念を次のとおり定義する:
支持物:一連の容器を一緒に保持するハウジング。このハウジングは情報システムのための支持物でもある。
容器:試薬、基準およびサンプル、品質管理手段ならびに分析の廃棄物を入れることができる、前記支持物内に直接作られたチューブまたはキャビティ。一連の容器は前記支持物内に組み込むことができる;
試薬:求められる反応におよび/または前記廃棄物を中和するのに必要な一連の製品、例えば化学化合物、抗体、染料またはさらに酵素;
基準:前記装置のキャリブレーションを可能にする試薬および/または分析の陽性もしくは陰性対照。これは内部品質管理を可能にする基準の測定および/または反応である;
情報システム:求められる分析に関する情報の、特に自動分析機械による読み込みおよび/または書き込みを可能にする任意の装置:
全血分析器:血漿または血清で作動する機器(「生化学用」と呼ばれる機器)とは対照的に血液の全ての成分を含む血液のチューブ上で分析を行う分析器。全血分析器の一例として細胞計数器を挙げることができる;
インキュベーター:容器に入れられた溶液を保存し、所望により化学的または生化学反応に必要な時間の間攪拌することを可能にするスペース。インキュベーター内では温度、光度、圧力および攪拌を制御することができる;
分析前処置:サンプルを全血分析器に通す前にそのサンプルを準備する処置。全血のサンプルに対する処置により、内容物の曝気、攪拌、その分析に関連する情報の読み込み、品質管理マネージメント、サンプル中の血餅の探索およびサンプルの移動、内容物中の血液レベルの制御、インキュベーションに必要な化学反応物の調製、ある特定の温度へのサンプルの調整が可能である;
診断プロフィール:診断を導くことを可能にするいくつかの血液学的パラメーター、生化学的パラメーターおよび/または免疫学的パラメーターのリンク;
前記廃棄物を中和する薬剤:前記反応組成物の少なくとも1つを不活性化することが可能な、任意の化学的もしくは生物学的分子または有機分子、あるいは固体または液体形態中にこれらの分子の1つを含む任意の組成物。例えば微生物を中和する薬剤、またはさらに環境を尊重することが可能な殺菌剤もしくは解毒剤。
【0028】
本発明によれば、前記情報支持物は、行われる分析に関する情報を記憶することが可能な任意の手段であり得る。その情報は、支持物上に載せることができ、所望により、本発明による装置が統合される分析装置に組み込まれた、好適なリーダーによって読み取ることができる。例えば、前記情報支持物はバーコード、電子チップ例えばRFIDチップなど、磁気バンドもしくは標識またはさらにこれらのエレメントの少なくとも2つの組合せでもあり得る。
【0029】
前記情報支持物は、測定方法および/または前記試薬の使用および/または前記分析サンプルの処理に関する情報を含み得る。前記情報支持物はまた、前記装置に入っている製品の保存に関する任意の情報特に使用期限なども含み得る。例えば、前記情報システムは、攪拌の開始および/もしくは維持のために、および/または前記反応を正確に進行させるのに必要なインキュベーションのために必要な情報、ならびに/あるいは前記装置に入れられる前記試薬の使用法および/または特徴についての情報を含み得、かつ/あるいはキャリブレーションが行われかつ/または異なるタイプの分析の品質管理が行われることを可能にし、かつ/または該情報の履歴を確立することも可能にする。前記情報システムは、前記廃棄物の管理および/または中和に必要な任意の情報も含み得る。
【0030】
特定の実施形態では、本発明による装置は、該装置に入れられる物質の取り扱いおよび/または攪拌および/または熱調節を容易にすることを可能にする、所望により機械的な、少なくとも1つ以上の手段も含み得る。
【0031】
操作を容易にすることを可能にする手段とは、前記装置へのアクセスを可能にするスライドレールまたはサイドフラップを含む、前記装置を前記分析器に導入しまたは前記分析器から回収することを可能にする任意の手段を意味する。
【0032】
攪拌を可能にする手段とは、固定プラットフォームと可動式シャフトで構成される機械システムを意味し、この可動式シャフト上に前記装置が取り付けられ、このシャフト上でこの装置の回転が可能となる。
【0033】
熱調節を可能にする手段とは、分析サンプルおよび/またはその試薬を、行われる分析に適合する温度にすることを可能にする任意の手段を意味する。そのため、この手段は加熱または冷却手段であり得る。これに関して、この用途にはペルチェ機器を挙げることができる。
【0034】
本発明によれば、前記支持物は固定または可動であり得る。前記支持物は、温度、衝撃および/または化学試薬に対する優れた耐性を有する任意の材料から作ることができる。前記支持物は、プラスチック材料から作られ得ることが好ましい。
【0035】
これらのいわゆる工業用プラスチック材料には、主要なフッ化炭素樹脂を挙げることができ、そのフッ化炭素樹脂にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレンの変性コポリマー(ETFE)またはさらにエチレン/クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)が含まれる。ある特定の高密度ポリエチレンタイプの熱可塑性プラスチック(PEHD)も使用することができる。
【0036】
本発明によれば、前記装置は考えられる全ての形状を有し得るが、それはそれらの形状がそれらの形状を受けることを目的とする自動機械に適合する条件においてである。当業者は、前記装置の形状を該自動機械に応じて適合させる方法を理解している。
【0037】
本発明によれば、前記試薬もしくは分析サンプルもしくは前記廃棄物を受けることを目的とする、前記装置における前記位置または所望により前記反応が行われる前記位置は、同時であろうとなかろうと、前記試薬および/もしくはサンプルおよび/もしくは前記廃棄物および/もしくは反応混合物を直接受けることができる任意の形状のキャビティまたは、前記試薬および/もしくはサンプルおよび/もしくは前記廃棄物および/もしくは前記反応混合物が収容された容器、例えばチューブであり得る。
【0038】
必要に応じて、前記位置のいずれか一方、または両方が同時に、前記試薬および/またはサンプルを直接または間接的に受けることができることは理解される。一例として前記試薬が、前記試薬を受けることを目的とする前記位置に直接導入され、前記サンプルが容器、例えばチューブに導入され、その容器自体が前記サンプルを受けることを目的とする、前記装置の前記位置に導入されている装置が挙げられ得る。
【0039】
本発明によれば、前記分析体液サンプルを受けることを目的とする位置は、前記サンプルが収容された容器を受けるように作られる。
【0040】
前記試薬および/またはサンプルが前記位置に直接導入される特定の実施形態では、前記位置は、前記位置を閉鎖することが可能な任意の手段をさらに受けることができる。例えば前記位置に完全に適合し、所望により前記位置にねじ込むストッパー、またはさらに前記試薬を含む前記位置を完全に遮断するために前記装置を密閉する、任意の好適な材料から作られたメンブレンシールが挙げられ得る。
【0041】
前記試薬が存在する前記位置の閉鎖を可能にする前記手段は、前記装置を前記自動機械に導入する前に取り除くことができるか、または例えば前記自動機械によって直接制御される針が貫通することができる材料によって提供することができることは理解される。
【0042】
本発明による装置は、手動モードを用いるものを含む任意の生物学的分析装置において使用することができる。該装置は、有利には自動または半自動機器において使用することができる。本発明による装置を使用することができる機器には、自動血液学的機械が挙げられ得る。
【0043】
本発明による装置は、少なくとも2つのバージョンで想定することができる:
【0044】
第1のバージョンでは、前記支持物は、全てが一連の同一の試験を可能にする同じ試薬を含む一連の位置と、基準を含む1つの位置とを含む。よって、このバージョンでは、いくつかの異なるサンプルが同じ分析を受けることができる。
【0045】
第2のバージョンでは、前記支持物は、それぞれが単一種の試験を可能にするそれぞれに異なる試薬を含む一連の位置と、基準を含む1つの位置とを含む。よって、このバージョンでは、同じサンプルがいくつかの処置を受けることができる。
【0046】
前述の装置を実施することを特徴とする生物学的分析法もまた本発明の対象である。
【0047】
前述の装置を実施することを特徴とする自動生物学的分析機械、特に体液の分析のための自動機械もまた本発明の対象である。
【0048】
図面は、ある特定の構成において前記支持物を示しているが、この構成は前記実施によっては変化し得る。特に、前記支持物の形状は単に示したものであり;前記容器が円形に配置された円形支持物が考えられる。さらに、異なる容器の形状、数および配置は変化し得る。
【0049】
本発明の対象、特徴および利点は、添付の図面を参照して、例示的な限定されない例として与えられる以下の説明から得られる:
【0050】
図(1)は、斜視図(1A)または側面図(1B)によって表した、組み込まれる容器2と、前記サンプル専用の従来のチューブを受け入れるように構成された位置11とが適切に配置された本発明による装置に相当する。
【0051】
装置1は、硬質プラスチックから作られ、位置2および4は支持物内に直接成形され、これらの位置は支持物の不可欠な部分である。ここでは、2タイプの位置を示し、位置4は基準を受けることを目的とし、位置2は分析することを目的とする試薬を含んでいる。試薬および使用方法に関する情報を含む情報システム3(この場合ではRFIDチップ)は、分析器内に配置される好適なリーダーによって読み取ることができるように、この装置に沿って配置される。密閉により閉鎖される位置は、試薬へのアクセスを可能にするために、衝撃によりまたは衝撃なしで貫通される。
【0052】
その際、分析に必要な試薬の用量が、サンプルを含む位置に自動的に送り込まれ、そこで反応が起こる。かかる装置はまた、所定用量の分析サンプルが、必要とされる用量の試薬を含むそれぞれの位置に自動的に送り込まれることによって分析が行われることを可能にする。
【0053】
この例では、前記装置は、サンプルの分析中に使用された体液および液体薬品を使用後に受けることを目的とする容器14も備え、この容器には分析の廃棄物を中和することが可能な固体または液体試薬を入れておくことができる。
【0054】
この例では、前記装置は、機器の専用コンパートメント内に収容され、いくつかのノッチ5を用いて設置される。
【0055】
図2は、支持物内に組み込まれる前記位置が適切に配置された本発明による装置1を斜視図(2A)または側面図(2B)により示す。この場合、装置1は、硬質プラスチックから作られ、位置9、10および12は支持物内に直接成形され、これらの位置は支持物の不可欠な部分を構成する。ここでは、3タイプの位置を示し、位置9は基準を受けることを目的とし、位置10は分析サンプルを受けることを目的とし、位置12は分析することを目的とする試薬を含んでいる。試薬および使用方法に関する情報を含む情報システム8(この場合ではRFIDチップ)は、分析器内に配置される好適なリーダーによって読み取ることができるように、この支持物に沿って配置される。密閉により閉鎖される位置は、試薬へのアクセスを可能にするために、衝撃によりまたは衝撃なしで貫通される。
【0056】
本発明による装置のこの変形の使用方法は、図1の変形について記載されている方法と同一である。
【0057】
図(3)は、本発明によって組み込まれる装置を備えた分析器を図式的に示す。
【0058】
この場合、自動モードの装置1は、この用途に設けられた位置13を備えた全血用血球計数器に組み込まれる。この装置は、血球計数器の前面から血球計数器に導入することができるが、その構成からその側面からまたはその背面からの導入も可能である。この装置は、分析ブロック内に縦方向に設置される。
【0059】
本発明による装置の利用についての以下の実施例により本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1:
仏国特許番号第01/02489号に記載されている多重パラメーター法により自動装置で血液サンプルを分析する。全血サンプル中の白血球の分析後、隣接する亜集団:単球およびリンパ球との近接性から成分を分離し、正確に計数することができないエリア内の成分の存在を観察する。この観察によりこの分析器に対する懸念が生まれるか生まれないかは分からないが、それでもさらなる;制御分析がこのエリアの成分を分離し、所望により同定するのに必要であることは分かる。
【0061】
かかる場合では、この制御は、塗布を行うことと、最大数百個の細胞において顕微鏡による白血球分画の細胞計数を実施することとからなるであろう。得られた結果と自動分析の結果との間には、単に推定された統計学的な関係が成り立つ。
【0062】
フローサイトメトリーによりほぼ同じ結果を得ることは実際に可能であるが、またしても日常的に得られる第1の分析との直接的な関係は存在せず、操作の有用性と精度は低い。
【0063】
本発明は、さらなる制御を与えることが可能であり、それゆえ第1の分析にさらなる情報を与えることが可能である。本発明は、標準的な分析に重ね合わせられるマーキングした特定の1以上の亜集団により証明することからなる。本発明者らの実施例において鑑別を行うために、日常的な分析と同時に抗CD45抗体を使用して、正常な成分にプラスの印を付ける。このマーカーは、白血球成分例えばリンパ球、好酸球、単球、好塩基球および好中球(発現が減少する順)に関して具体的に表される。
【0064】
この場合、使用する装置は、抗CD45抗体と、試薬と、所望により洗浄液と、基準と、その廃棄物を受けるための位置とを含むモノリージェント装置(a monoreagent device)(第1のバージョン)である。
【0065】
分析前段階において、装置に入れられた基準を用いて装置をモニタリングすることができ、この基準によりサンプルを通す前に光学測定成分の量を確認することが可能となる。サンプルのインキュベーション期間を考慮して、同時平行処理時間内にこのキャリブレーションを行うことができる。
【0066】
この分析は次のように行う:
本発明による装置を機器に配置する
支持物に取り付けられた情報システム(この場合はチップ)内にある情報を読み取る
分析方法および試薬の特性に関するデータを入力する
分析する全血サンプル50μlを採取する
前記装置の容器の1つにおいて、蛍光染料とコンジュゲートした抗CD45モノクローナル抗体の溶液50μlと混合する
サンプリング針を清浄する
より良い反応を促進するために前記装置を攪拌する
前記装置内で、前記装置を囲む温度維持システムによって維持される周囲温度で前記溶液をインキュベートする
基準のサンプルを前記装置に入れる
インキュベーション中に測定用セルをキャリブレートする
サンプリング針を清浄する
分析器のサンプリング針を用いて血液/抗体溶液のサンプルを採取する
日常的な分析および白血球同定のための核酸染料試薬を注入する
このようにして得られた溶液を分析のために光学ベンチへと移す
次のパラメーターを測定するために、光学セルに前記溶液を注入し、循環を行う
細胞計数を可能にするインピーダンスによる成分の容積(RES)
軸に沿って回折した光(FSC)の測定
直角に散乱した光(SSC)の測定
核酸染料の直交する蛍光(FL1)の測定
抗CD45抗体とコンジュゲートした前記染料の直交する蛍光(FL2)の測定。
そのデータを獲得し、処理する。それらの結果を出し、画像化する。
分析中に使用された血液サンプルおよび試薬を含む溶液を前記針に戻す
それらを、前記分析によって生じる体液および液体薬品の回収および中和を目的とする容器に入れる。
【0067】
最初の4つのパラメーターは日常的に使用されるパラメーターであり、最後のパラメーター(FL2)は上記に説明した細胞同定検証機能にのみ用いられる。
【0068】
実施例2:
このバージョンでは、使用する本発明による装置は、いくつかの試薬と基準とを含む(第2のバージョン)。
【0069】
好中球細胞集団でのCD64表面抗原の発現が炎症現象特有の生物学的応答であることは知られている。
【0070】
さらに、CD163表面抗原はマクロファージの表面において高度に発現される。それも炎症現象特有のものである。
【0071】
使用する試薬は、白血球細胞の表面抗原発現の炎症特徴を証明することを可能にする2つのモノクローナル抗体(抗CD64および抗CD163)である。
【0072】
基準は、計器をキャリブレートするために、そして反応方法を標準化するために使用される蛍光ビーズの懸濁液である。
【0073】
この分析は次のように行う:
該装置を機器に配置する
前記装置の支持物に取り付けられたチップ上にある情報を読み取る
分析方法に関するデータを入力する
分析する全血サンプル50μlを採取する
1つの容器において、それぞれが異なる蛍光染料とコンジュゲートした抗CD64および抗CD163モノクローナル抗体の溶液50μlと混合する
サンプリング針を清浄する
キャリブレーション用のビーズ溶液のサンプルを前記装置へと移す
より良い反応を促進するために前記装置を攪拌する
前記装置内で、前記装置を囲む温度維持システムによって維持される周囲温度で前記溶液をインキュベートする
インキュベーション中に測定用セルをキャリブレートする
赤血球溶血溶液(赤血球の溶解)を注入する
サンプリング針を用いて血液/抗体溶液のサンプルを採取する
このようにして得られた溶液を分析のために光学ベンチへと移す
次のパラメーターを測定するために、光学セルに前記溶液を注入し、光学ベンチの循環を行う:
インピーダンスによる成分の容積(RES)および計数
軸に沿って回折した光(FSC)の測定
直角に散乱した光(SSC)の測定
抗CD64抗体および抗CD163抗体とコンジュゲートした前記染料の直交する蛍光(FL1とFL2)の測定。
そのデータを獲得し、処理する。それらの結果を出し、画像化する。
分析中に使用された血液サンプルおよび試薬を含む溶液を前記針に戻す
それらを、前記分析によって生じる体液および液体薬品の回収および中和を目的とする容器に入れる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】斜視図(1A)または側面図(1B)によって示された本発明による装置を表す。
【図2】本発明による装置を斜視図(2A)または側面図(2B)により示す。
【図3】本発明による装置が組み込まれた分析器を図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的分析のためのパッケージング装置(1)であって、少なくとも1つの分析サンプル(10,11)と、少なくとも1つの試薬と、該分析からの廃棄物の回収を可能にする少なくとも1つの容器(14)と、該分析サンプルの少なくとも1つの分析を行うのに必要な情報を含む少なくとも1つの情報システム(3,8)とを含むパッケージング装置であり、該試薬の少なくとも1つが該分析からの廃棄物を中和する薬剤であることを特徴とするパッケージング装置。
【請求項2】
試薬を受けることを目的とする少なくとも1つの位置と、
分析のための生体サンプルを受けることを目的とする少なくとも1つの位置と;
該分析によって生じる廃棄物を受けることを目的とする少なくとも1つの位置と;
自動機械によって該分析を行うのに必要な情報支持物と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記生体サンプルが体液、特に血液、極めて特に全血のサンプルであることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記中和剤が前記廃棄物を受けることを目的とする前記位置に直接導入されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
基準を受けることを目的とする少なくとも1つの位置をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
分析に必要な反応が行われる少なくとも1つの位置をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記試薬および/もしくは分析サンプルおよび/もしくは前記分析によって生じる前記廃棄物を受けることを目的とする前記位置ならびに/または所望により前記反応が行われる前記位置が、前記試薬および/もしくはサンプルおよび/もしくは廃棄物および/もしくは反応混合物または前記試薬および/もしくはサンプルおよび/もしくは廃棄物および/もしくは反応混合物が収容された容器のいずれかを直接受けることができるキャビティであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記情報支持物が、測定方法および/もしくは前記試薬の使用および/もしくは前記分析サンプルの処理に関する情報ならびに/または該装置に入っている製品の保存に関する情報を記憶することを可能にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記情報支持物内にある前記情報が、攪拌の開始および/もしくは維持のために、および/または前記反応を正確に進行させるのに必要なインキュベーションのために必要な情報、ならびに/あるいは該装置に入れられる前記試薬の使用法および/または特徴についての情報、ならびに/あるいは行われる種々のタイプの分析のキャリブレーションおよび/もしくは品質管理を処理することを可能にし、かつ/または該情報の履歴を確立することを可能にする情報であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記情報支持物が電子チップ、バーコード、磁気標識またはこれらのエレメントの少なくとも2つの組合せであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
該装置に入れられる物質の取り扱いおよび/または攪拌および/または熱調節を容易にすることを可能にする、所望により機械的な、システムをさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
衝撃および/または化学試薬に対する優れた耐性を有する材料から作られた、好ましくはプラスチック材料から作られたものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
フッ化炭素樹脂から作られたものであることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記フッ化炭素樹脂がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレンの変性コポリマー(ETFE)またはさらにエチレン/クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)からも選択されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
全てが一連の同一の試験を可能にする同じ試薬を含む一連の位置と、基準を含む1つの位置と、前記廃棄物を受けることを目的とする1つの位置とを含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
それぞれが単一タイプの試験を可能にするそれぞれに異なる試薬を含む一連の位置と、基準を含む1つの位置と、前記廃棄物を受けることを目的とする1つの位置とを含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置を実施することを特徴とする生物学的分析のための方法。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置を実施することを特徴とする体液の分析のための自動機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−537808(P2009−537808A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510497(P2009−510497)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000821
【国際公開番号】WO2007/132095
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508185409)ホリバ アーベーイクス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (2)
【Fターム(参考)】