説明

生物学的検出物品

サンプル中の細胞を検出するための物品(610)が提供される。この物品は、細胞抽出剤を含むヒドロゲル(640)を含む。使用方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/101,546号及び同第61/101,563号(両方とも2008年9月30日出願)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
サンプル(例えば表面、水、空気など)内の生物学的分析物の存在を評価するのに使用することができる、さまざまな試験が利用可能である。そのような試験には、ホタルルシフェラーゼ反応を用いたATP検出に基づく試験、比色計を用いたタンパク質検出に基づく試験、微生物培養技法を用いた微生物検出に基づく試験、及び免疫化学技法を用いた微生物検出に基づく試験が挙げられる。表面は、スワブ装置を用いて、又は寒天平板などの培養装置との直接接触によって、サンプル採取することができる。このサンプルは、生きた細胞の存在、特に生きた微生物の存在について分析することができる。
【0003】
これらの試験結果はしばしば、表面の清浄さに関する判断に用いられる。例えば、試験を使用して、食品加工機器が、生産に使用するのに十分洗浄されているかどうかを判断することができる。上記の試験は、汚染した表面の検出には有用であるが、試験実施には数多くの工程が必要であり得、また生きた細胞及び死んだ細胞の存在を迅速及び/又は容易に区別できないことがあり、場合によっては、結果を判定できるまでに長い時間(例えば数時間又は数日)を必要とすることがある。
【0004】
これらの試験は、生きた微生物の存在を示すのに使用され得る。そのような試験では、生きた細胞に伴う生物学的分析物(例えばATP)を放出するために、細胞抽出剤が使用されることが多い。細胞外物質(例えば、死んだ又はストレスのかかった動物細胞、植物細胞、及び/又は微生物から環境中に放出された非細胞内ATPなど)の存在が、高い「バックグラウンド」濃度のATPを生じることがあり、これが生きた細胞の検出を複雑にし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生きた細胞を検出するために数多くの方法及び装置が利用可能であるが、生きた細胞、特に生きた微生物細胞の検出のための単純かつ信頼できる試験のニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
全般に、本開示は、サンプル内の生きた細胞を検出するための物品及び方法に関連する。この物品及び方法により、表面上の細菌などの細胞の存在を迅速に検出(例えば蛍光、化学発光、又は色反応などにより)することが可能になる。いくつかの実施形態において、本発明物品は「サンプルレディ」であり、すなわちこの物品は、サンプル中の生きた細胞を検出するために必要なすべての機能を含んでいる。いくつかの態様において、本発明の物品及び方法は、真核細胞(例えば植物細胞又は動物細胞)に関連する生物学的分析物(例えばATP又は酵素)を、原核細胞(例えば細菌細胞)に関連する類似又は同一の生物学的分析物と区別するための手段を提供する。更に、本発明の物品及び方法は、環境中に遊離している生物学的分析物(すなわち、非細胞性の生物学的分析物)を、生きた細胞に関連する類似又は同一の生物学的分析物と区別するための手段を提供する。本開示の方法により、操作者は、サンプル、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含む液体混合物を即座に生成することが可能になる。いくつかの実施形態において、この方法は操作者に対し、液体混合物を生成した後、所定の時間内に、この混合物中の生物学的分析物の量を測定して、サンプル中の非細胞性生物学的分析物の量を決定する手段を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は操作者に対し、有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから液体混合物中へ放出される所定の時間後に、生物学的分析物の量を測定して、サンプル中の非細胞性物質及び生きた細胞からの生物学的分析物の量を調べる手段を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は操作者に対し、第一の所定時間以内に、生物学的分析物の量の第一測定を実施し、更に、有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから放出される第二の所定時間内に、生物学的分析物の量の第二測定を実施して、サンプル中の生きた細胞の存在を検出する手段を提供する。いくつかの実施形態において、この方法により操作者は、サンプル中の生物学的分析物が、生きた植物細胞又は動物細胞から放出されたものか、それとも生きた微生物細胞(例えば細菌)から放出されたものかどうかを区別することが可能になる。本発明は、食品調理サービス施設、医療環境などの、比較的厳しい現場環境において操作者が使用することができる。
【0007】
一態様において、本開示は、サンプル中の細胞を検出するための物品を提供する。この物品は、ヒドロゲルを含む封入部を含むことができ、ここでこのヒドロゲルは細胞抽出剤を含む。
【0008】
本開示の物品は、サンプル取得装置を含むことができ、ここでこのサンプル取得装置は封入部を含む。
【0009】
本開示の物品は、ハウジングを含むことができ、ここでこのハウジングは封入部を含む。
【0010】
別の一態様において、本開示は、細胞抽出剤を含むヒドロゲルが配置されたサンプル取得装置を提供する。
【0011】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルは、固体基材上にコーティングすることができる。
【0012】
別の一態様において、本開示はキットを提供する。このキットはハウジングを含み得、このハウジングは、サンプル取得装置と、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを受容するよう構成された開口部を含む。所望により、このキットは、サンプル取得装置を更に含むことができる。
【0013】
用語解説
本明細書で使用されるとき、「生物学的分析物」は、生物内に生じる、又は生物によって形成される、分子又はその誘導体を指す。例えば、生物学的分析物には、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖、多糖、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ得るが、これらに限定されない。生物学的分析物の具体的な例には、代謝産物(例えばブドウ球菌エンテロトキシン)、アレルゲン(例えばピーナッツアレルゲン)、ホルモン、毒素(例えばBacillus属下痢毒素、アフラトキシンなど)、RNA(例えば、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例えばプラスミドDNA、植物DNAなど)、タグ付きタンパク質、抗体、抗原、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0014】
「サンプル取得装置」は本明細書では広義に使用され、液体、半固体、又は固体のサンプル物質を採取するのに使用される用具を指す。サンプル取得装置の非限定的な例には、スワブ、ワイプ、スポンジ、しゃくし、スパチュラ、ピペット、ピペット先端、及びサイフォンホースが挙げられる。
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロゲル」は、親水性であり、かつ極性溶媒によって膨潤しているか又は膨潤可能であるかのいずれかの、高分子材料を指す。ポリマー材料は、通常、極性溶媒と接触すると膨潤はするが溶解はしない。すなわち、ヒドロゲルは、極性溶媒に不溶性である。膨潤したヒドロゲルは、乾燥することで、極性溶媒の少なくとも一部を除去することができる。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「細胞抽出剤」は、細胞膜若しくは細胞壁の浸透性を改変するか、又は細胞(例えば体細胞若しくは微生物細胞)の膜及び/若しくは壁の一体性を(すなわち、溶解若しくは孔の形成により)破壊することにより、生きた細胞に通常見られる生物学的分析物の抽出又は放出をもたらすような、任意の化合物又は化合物の組み合わせを指す。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「検出システム」は、生物学的分析物を検出するのに使用される構成成分を指し、これには酵素、酵素基質、結合相手(例えば抗体又は受容体)、標識、染料、並びに吸光度若しくは反射率、蛍光、及び/又は発光(例えば生物発光若しくは化学発光)を検出するための装置が含まれる。
【0018】
語句「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供し得る発明の実施形態を示す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0019】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が現れる説明及び請求項を制限する意図を持たない。
【0020】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。よって、例えば、「1つの(a)」検出試薬を含むハウジングとは、ハウジングが「1つ又は複数の」検出試薬を含み得ることを意味するものとして解釈することができる。
【0021】
用語「及び/又は」は、挙げられた要素の1つ若しくはすべて、又は挙げられた要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0022】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が包含される。
【0023】
上記の本発明の概要は、本発明の開示した実施形態それぞれ又はすべての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【0024】
本発明は、以下に列挙される図面を参照して更に説明され、類似構造は、いくつかの図にわたって、類似番号によって参照される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ヒドロゲルが上に配置されたサンプル取得装置の一実施形態の側面図。
【図2】ヒドロゲルが入った封入部を含むサンプル取得装置の一実施形態の部分的断面図。
【図3】ヒドロゲルが中に配置されたハウジングの一実施形態の断面図。
【図4】脆弱シールを更に含む、図3のハウジングの断面図。
【図5】ヒドロゲル、脆弱シール、及び検出試薬を含む、ハウジングの一実施形態の断面図。
【図6A】図5のハウジングを含む検出装置の一実施形態の断面図、及びサンプル取得装置がその中の第一位置に配置された側面図。
【図6B】同じサンプル取得装置がその中の第二位置に配置された状態の、図6Aの検出装置の部分的断面図。
【図7】ハウジング、ヒドロゲルが間に配置された複数の脆弱シール、及びサンプル取得装置を含む、検出装置の一実施形態の部分的断面図。
【図8】ハウジング、ヒドロゲルを含むキャリア、及びサンプル取得装置を含む、検出装置の一実施形態の部分的断面図。
【図9】図8のキャリアの底面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に引用されている特許、特許出願、政府出版物、政府規制、及び参照文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。何らかの不一致がある場合は、定義を含めて本明細書の記述が優先される。
【0027】
生物学的分析物は、サンプル中の生きた細胞など、生物学的物質の存在を検出するのに使用することができる。生物学的分析物は、それらが関与し得るさまざまな反応によって検出することができる(例えば結合反応、触媒反応など)。
【0028】
化学発光反応は、流体中及び処理済み材料中の細胞(例えば細菌細胞)を検出するのに、さまざまな形態で使用することができる。本開示のいくつかの実施形態において、酵素ルシフェラーゼの存在下におけるアデノシン三リン酸(ATP)とルシフェリンとの反応に基づく化学発光反応による光の生成は、生物学的分析物ATPを検出するための信号生成のための化学的根拠を提供する。ATPは、あらゆる微生物細胞を含め、生きているすべての細胞中に存在するため、この方法は、サンプル中の生きた細胞の数の、定量的又は準定量的評価を得るための迅速な分析を提供することができる。基礎となっている反応の性質、その発見の経緯、及び適用性の一般分野に関する初期の論説は、E.N.Harvey(1957)、A History of Luminescence:From the Earliest Times Until 1900、Amer.Phil.Soc.、Philadelphia、Pa.及びW.D.McElroy and B.L.Strehler(1949)、Arch.Biochem.Biophys.22:420〜433に記載されている。
【0029】
細菌及びその他の微生物種はある程度のATPを含んでいるため、ATP検出は、細菌及びその他の微生物種を検出するのに信頼性の高い手段である。ATPから得られる化学結合エネルギーは、ホタルPhotinus pyralisの尾部で起こる生物発光反応に利用されている。この反応の生化学的構成成分はATPを含まずに分離することができ、これを他の供給源のATPを検出するのに使用することができる。このホタルの生物発光反応のメカニズムは、十分に特性付けられている(DeLuca,M.ら、1979 Anal.Biochem.95:194〜198)。
【0030】
本開示の発明物品及び方法は、生きた細胞からの生物学的分析物の放出を好都合に制御するための単純な方法を提供し、これにより、未知のサンプル中の生きた細胞の存在、所望によりその種類(例えば微生物か非微生物か)及び所望によりその量を調べることができる。この物品及び方法には、細胞抽出剤を含むヒドロゲルが含まれる。本発明の方法は、米国特許出願第61/101,563号「BIODETECTION METHODS」(2008年9月30日出願)に開示されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
ヒドロゲル
本開示の物品には、ヒドロゲルが含まれる。好適なヒドロゲルには、架橋ヒドロゲル、膨潤ヒドロゲル、及び乾燥又は部分的に乾燥したヒドロゲルが挙げられる。
【0032】
本開示の好適なヒドロゲルには、例えば、ヒドロゲル、及びそのヒドロゲルから製造されるポリマービーズが挙げられ、これらはPCT国際公開特許公報第WO 2007/146722号に記述されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
その他の好適なヒドロゲルには、エチレン性不飽和カルボキシル含有モノマーと、カルボン酸、ビニルスルホン酸、セルロースモノマー、ポリビニルアルコールから選択されるコモノマーとを含む、ポリマー(米国特許出願公開第US2004/0157971号に記載);でんぷん、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、及びこれらのコポリマーを含むポリマー(米国特許出願公開第US 2006/0062854号に記載);分子量2000ダルトン未満の、多官能基ポリ(アルキレンオキシド)のフリーラジカル重合性マクロモノマーを含むポリマー(米国特許第7,005,143号に記載);液体媒体にさらされると架橋するシラン官能化ポリエチレンオキシドを含むポリマー(米国特許第6,967,261号に記載);ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びプロピレングリコールから選択される少なくとも1つのアルコールを伴うポリウレタンプレポリマーを含むポリマー(米国特許第6,861,067号に記載);多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン及びゼラチンから選択される親水性ポリマーを含むポリマー(米国特許第6,669,981号に記載)が挙げられ、これらの開示はすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。その他の好適なヒドロゲルには、寒天、アガロース、ポリアクリルアミドヒドロゲル、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0034】
本開示は、成形ヒドロゲルを含む物品及び方法を提供する。成形ヒドロゲルには、例えば、ビーズ、シート、リボン、及び繊維に成形したヒドロゲルが挙げられる。成形ヒドロゲルの更なる例、及び成形ヒドロゲルを製造することができる代表的なプロセスは、米国特許出願公開第2008/0207794 A1号、「POLYMERIC FIBERS AND METHODS OF MAKING」及び米国特許出願第61/013,085号、「METHODS OF MAKING SHAPED POLYMERIC MATERIALS」に開示されており、これらは両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
本開示のヒドロゲルは、細胞抽出剤を含み得る。細胞抽出剤を含むヒドロゲルは、2つの基本的プロセスで製造することができる。第一のプロセスでは、細胞抽出剤が、ヒドロゲルポリマーの合成中にヒドロゲル内に組み込まれる。第一のプロセスの例は、PCT国際公開特許公報第WO 2007/146722号、及び本明細書に記述されている調製例1に見出すことができる。第二のプロセスでは、細胞抽出剤が、ヒドロゲルポリマーの合成後にヒドロゲル内に組み込まれる。例えば、ヒドロゲルを細胞抽出剤の溶液に入れ、細胞抽出剤をヒドロゲルに吸収及び/又は吸着させる。第二のプロセスの例は、後述の調製例5に記述されている。第二のプロセスの更なる例は、ヒドロゲルにイオン性モノマーを組み込む、例えばカチオン性モノマーをヒドロゲル内に組み込むことである(本明細書の調製例2に記述)。
【0036】
本開示のヒドロゲルは、酵素又は酵素基質などの検出試薬系を含み得る。そのようなヒドロゲルは、検出試薬を保存、及び/又はサンプル中の生きた細胞検出のためにサンプルと細胞抽出剤とを含む液体混合物に対して送達するのに、便利に使用することができる。
【0037】
ヒドロゲルポリマーの合成中に、酵素をヒドロゲル内に組み込むことができる。例えば、後述の調製例4に記載されているように、ポリマーの合成中にヒドロゲルにルシフェラーゼを組み込むことができる。ヒドロゲルの合成後に、酵素をヒドロゲル内に組み込むことができる。例えば、後述の調製例8に記載されているように、ヒドロゲルにルシフェラーゼを組み込むことができる。
【0038】
ヒドロゲルポリマーの合成中に、酵素基質をヒドロゲル内に組み込むことができる。例えば、後述の調製例3に記載されているように、ポリマーの合成中にヒドロゲルにルシフェリンを組み込むことができる。ヒドロゲルの合成後に、酵素基質をヒドロゲルに組み込むことができる。例えば、後述の調製例7に記載されているように、ヒドロゲルにルシフェリンを組み込むことができる。
【0039】
酵素などのタンパク質を、ヒドロゲルに組み込むことができる。例えば、ヒドロゲルの合成中にヒドロゲルに酵素(ルシフェラーゼ)を組み込む例は、後述の調製例4に記述されている。タンパク質はヒドロゲルポリマー合成中にヒドロゲルに組み込むことができるものの、重合プロセスに使用される化学物質及び/又はプロセス(例えば紫外線硬化プロセス)は、特定のタンパク質(例えば、特定の酵素、又は抗体などの結合タンパク質)によりいくらかの生物活性を損う可能性がある。タンパク質は、後述の調製例8に記載されているように、ヒドロゲル合成後にヒドロゲルに組み込むこともできる。ヒドロゲルの合成後にヒドロゲルにタンパク質を組み込むと、タンパク質の生物活性の保持改善がもたらされ得る。
【0040】
いくつかの用途においては、細胞抽出剤又は検出試薬を含むヒドロゲルが、乾燥状態又は部分的乾燥状態であることが望ましい場合がある。例えば、蒸発プロセス、熱対流炉、電子レンジ、及び真空炉内での乾燥、並びに凍結乾燥などの、当業者に既知の方法によって、膨潤ヒドロゲルを乾燥させることができる。この乾燥したヒドロゲルを液体又は水溶液にさらすと、細胞抽出剤又は検出試薬がヒドロゲルから拡散し得る。細胞抽出剤又は検出試薬は、液体又は水溶液にさらされるまでは、ビーズ内で本質的に休止状態に留まっていることができる。すなわち、細胞抽出剤は、ビーズが液体にさらされるまで、この乾燥ヒドロゲル内に保存されることができる。これにより、不要時に細胞抽出剤又は検出試薬の無駄や損失を防ぐことができ、加水分解、酸化、又はその他のメカニズムによって劣化する可能性がある、数多くの感湿性の細胞抽出剤又は検出試薬の安定性を改善することができる。
【0041】
細胞抽出剤
本開示のヒドロゲルは、細胞抽出剤を含み得る。化学的細胞抽出剤には、タンパク質(例えば細胞溶解性ペプチド及び酵素)などの生化学物質が含まれる。いくつかの実施形態において、細胞抽出剤は細胞の浸透性を高め、これにより細胞の内部からの生物学的分析物の放出を起こす。いくつかの実施形態において、細胞抽出剤は、細胞の溶解(例えば破裂又は部分的破裂)を起こすか又は促進することができる。
【0042】
細胞抽出剤には、当該技術分野において既知のさまざまな化学物質及び化学物質混合物が挙げられ、例えば、界面活性剤及び第四級アミン、ビグアニド、界面活性剤、フェノール類、細胞溶解性ペプチド、並びに酵素が挙げられる。典型的に、細胞抽出剤はヒドロゲルに対して強くは結合せず(共有結合的にも非共有結合的にも)、ヒドロゲルが水性液体に接触するとヒドロゲルから出て拡散することができる。いくつかの実施形態において、ヒドロゲルが生成される前駆体組成物には、例えばPCT国際公開特許WO 2007/146722号(参照により本明細書に組み込まれる)に記述されているアニオン性又はカチオン性モノマーが含まれ得、これはヒドロゲルに組み込まれ、これにより細胞抽出剤の活性を保つことができる。いくつかの実施形態において、アニオン性又はカチオン性モノマーは、ヒドロゲルの表面に架橋され得る。ヒドロゲルのビーズ又は繊維をカチオン性モノマーの溶液に短時間浸してからすぐに取り出し、化学線(例えば紫外線、電子線)を使用して架橋させることができる。これにより、カチオン性モノマーが、ヒドロゲルのビーズ又は繊維の外表面に化学的に結合することになる。
【0043】
界面活性剤は、一般に、親水基及び疎水基の両方を含有する。ヒドロゲルは、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性(ampholytic)、両性(amphoteric)及び双極性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択される1つ以上の界面活性剤を含有し得る。水中で解離し、カチオン及びアニオンを放出する界面活性剤は、イオン性と称される。存在する場合には、両性(ampholytic)、両性(amphoteric)及び双極性界面活性剤は、一般に、1つ以上のアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用される。好適な界面活性剤及び第四級アミンの非限定的な例には、TRITON X−100、Nonidet P−40(NP−40)、Tergitol、サルコシル、Tween、SDS、Igepal、サポニン、CHAPSO、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、「セトリミド」(ドデシル−、テトラデシル−、及びヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミドの混合物)、塩化セチルピリジウム、メタ(アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、並びに(メタ)アクリロキシアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及び2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩)が挙げられる。他の好適なモノマーの第四級アミノ塩には、ジメチルアルキルアンモニウム基として、アルキル基が2〜22個の炭素原子又は2〜20個の炭素原子を有するものが挙げられる。すなわち、モノマーは式−N(CH(C2n+1の基を含み、式中、nは2〜22の値を有する整数である。代表的なモノマーには、以下の式のモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【化1】


式中、nは2〜22の範囲の整数である。
【0044】
好適なビグアニド(ビス−ビグアニドを含む)の非限定的な例には、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、p−クロロフェニルビグアニド、4−クロロ−ベンズヒドリルビグアニド、アレキシジン、ハロゲン化ヘキシジン(例えばクロルヘキシジン(1,1’−ヘキサメチレン−ビス−5−(4−クロロフェニルビグアニド)を含むがこれに限定されない)、及びこれらの塩が挙げられる。
【0045】
好適なフェノール類の非限定的な例には、フェノール、サリチル酸、2−フェニルフェノール、4−t−アミルフェノール、
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、ヘキサクロロフェン、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール(PCMX)、2−ベンジル−4−クロロフェノール、トリクロサン、ブチル化ヒドロキシトルエン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、4−ノニルフェノール、キシレノール、ビスフェノールA、
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、並びにフェノチアジン類(クロルプロマジン、プロクロルペラジン、及びチオリジジンなど)が挙げられる。
【0046】
好適な細胞溶解性ペプチドの非限定的例には、A−23187(カルシウムイオノフォア)、デルマセプチン、リステリオリシン(Listerolysin)、レナレキシン、アエロリシン、デルマトキシン、マクラチン、ラナテウリン(Ranateurin)、アンホテリシンB、動物毒液由来の直接溶解因子、マガイニン、ルゴシン(Rugosin)、アスカフィン(Ascaphin)、ジフテリア毒素、マキシミン(Maxymin)、サポニン、Aspergillus属溶血素、ジスチンクチン(Distinctin)、メリチン、黄色ブドウ球菌毒素(α、β、χ、δ)、アラメシチン、エスクレチン、メトリジオリシン、ストレプトリシンO、アポリポタンパク質、フィリピン(Filipin)、ニゲリシン、ストレプトリシンS、ATPトランスロカーゼ、ガエグリン、ナイスタチン、シネキシン、ボンビニン、GALA、オセラチン、スルファクチン、ブレビニン、グラミシジン、P25、ツブリン、ブフォリン、らせん構造赤血球溶解ペプチド、パルストリン、バリノマイシン、カエリン、溶血素、ホスホリパーゼ類、ビブリオリシン、セレオリシン、イオノマイシン、フィロキシン、コリシン類、KALA、ポリエン抗生物質、デルマジスチンクチン、LAGA、ポリミキシンBが挙げられる。
【0047】
好適な酵素の非限定的な例には、リゾチーム、リソスタフィン、バクテリオファージ溶解素、アクロモペプチダーゼ、ラビアーゼ、ムタノリジン、ストレプトリジン、テタノリジン、a−ヘモリジン、リチカーゼ、菌類由来の溶解酵素、セルラーゼ、ペクチナーゼ、Driselase(登録商標)、Viscozyme(登録商標)L、ペクトリアーゼが挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態において、細胞抽出剤のさまざまな組み合わせが、前駆体組成物(これからヒドロゲルが合成される)中、又はソルビン酸塩(ヒドロゲルの合成後にヒドロゲル内に搭載される)中に使用できる。前駆体組成物又はその結果として生じるヒドロゲルと相溶する任意の他の既知の細胞抽出剤を用いることができる。これらのものとしては、クロルヘキシジン塩、例えば、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、グリセリン及びプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル及びモノエーテル、例えばモノラウリン酸グリセロール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、モノカプリル酸グリセロール、モノカプリン酸グリセロール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノカプリン酸プロピレングリコール、(C12〜C22)疎水性物質及び四級アンモニウム基又はプロトン化三級アミノ基を含むフェノール類、界面活性剤及びポリマー、四級シラン及びポリ四級アミンのような四級アミノ含有化合物、例えば、ポリヘキサメチレンビグアニド、遷移金属イオン、例えば銅含有化合物、亜鉛含有化合物、及び銀含有化合物、例えば、金属銀、銀塩、例えば、塩化銀、酸化銀、及びスルファジアジン銀、メチルパラベン類、エチルパラベン類、プロピルパラベン類、ブチルパラベン類、オクテニデン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、又は上記の任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
好適な細胞抽出剤には更に、ジアルキルアンモニウム塩(N−(n−ドデシル)−ジエタノールアミンなど);カチオン性エトキシル化アミン類(「Genaminox K−10」、Genaminox K−12、「Genamin TCL030」、及び「Genamin C100」など);アミジン類(プロパミジン及びジブロモプロパミジンなど);ペプチド抗生物質(ポリミキシンB及びナイシンなど);ポリエン抗生物質(ナイスタチン、アンホテリシンB、及びナタマイシンなど);イミダゾール類(エコナゾール、クロトラミゾール及びミコナゾールなど);酸化剤(安定な形態の塩素及びヨウ素など);並びに米国特許第7,422,868号(この全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記述されている細胞抽出剤が挙げられる。
【0050】
細胞抽出剤は、本発明の検出システム(例えばルシフェラーゼ酵素などの検出試薬)を不活性化しないよう選択されるのが好ましい。強い細胞抽出剤(例えばイオン性洗剤など)を必要とする微生物については、改善された検出システム(例えば、これら試薬の存在下で強化された安定性を示すルシフェラーゼなどで、これらは米国特許出願第2003/0104507号に開示されているものが挙げられ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる)が特に好ましい。
【0051】
本発明の方法は、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤を放出させることにより、生きた細胞からの生物学的分析物の放出を起こす。本開示には、当該技術分野において既知のさまざまな細胞抽出剤が含まれ、これらそれぞれは、ヒドロゲルから異なる速度で放出され得、かつ、他とは異なる濃度で生きた細胞に対して影響を及ぼし得る。以下は、細胞抽出剤の選択、及びヒドロゲル中に含める有効量の決定の際に、考慮すべき要素に関するガイダンスを提供する。
【0052】
どの細胞抽出剤の有効性も、濃度及び曝露時間という主に2つの要素によって決定されることは、当該技術分野において既知である。すなわち、一般に、細胞抽出剤の濃度が高いほど、生きた細胞にもたらす効果(例えば、細胞膜の浸透化及び/又は細胞からの生物学的分析物の放出)は大きくなる。更に、任意の所定濃度の細胞抽出剤において、一般に、細胞抽出剤に生きた細胞をさらす時間が長いほど、細胞抽出剤の効果は大きくなる。他の付帯的な要素(例えばpH、共溶媒、イオン強度、及び温度)は、特定の細胞抽出剤の有効性に影響を与えることが当該技術分野において既知である。これらの付帯的要素は、例えば、温度制御器、緩衝液、サンプル調製などによって制御できることが知られている。これらの要素並びに細胞抽出剤は、生物学的分析物の検出に使用される検出システムに対して影響を与えることもできる。いくつかの単純な実験を実施することによって、本開示の物品を生成し本開示の方法を実行するのに有効な量の細胞抽出剤を決定することは、当業者の把握する領域内である。更なるガイダンスが、本明細書の実施例において提供される。
【0053】
細胞及び/又は検出システムに対する、さまざまな濃度の細胞抽出剤の効果を判定するための初期実験を実施することができる。最初に、細胞抽出剤を含むヒドロゲルは、生物学的分析物検出システムに対する影響に関してスクリーニングを行うことができる。例えば、ヒドロゲルは、本明細書の実施例19に記述されているものに類似のATPアッセイ(細菌細胞なし)にかけることができる。このアッセイを試薬等級ATP溶液(例えば約0.1〜約100ピコモルのATP)で実行することができ、ヒドロゲルを伴うサンプル中のルシフェラーゼ反応によって発光する生物発光量を、ヒドロゲルのないサンプルによって発光する生物発光量と比較することができる。好ましくは、ヒドロゲルを伴うサンプル中の生物発光量は、ヒドロゲルのないサンプル中の生物発光量の50%を超える。より好ましくは、ヒドロゲルを伴うサンプル中の生物発光量は、ヒドロゲルのないサンプル中の生物発光量の90%を超える。最も好ましくは、ヒドロゲルを伴うサンプル中の生物発光量は、ヒドロゲルのないサンプル中の生物発光量の95%を超える。
【0054】
加えて、細胞からの生物学的分析物の放出に対するヒドロゲルの効果は、実施例19に記述されているように、実験によって決定することができる。例えば、細胞(例えば黄色ブドウ球菌などの微生物細胞)の懸濁液を、比較的幅広い範囲の濃度の細胞抽出剤(例えばBARDAC 205M)に、検出システムの存在下で、一定時間(例えば数分以内)さらすことにより、細胞からの生物学的分析物を検出することができる(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、及びpH約7.6〜7.8の緩衝液を含むATP検出システム)。この生物学的分析物を定期的に測定し、第一測定は通常、細胞抽出剤を混合液に加えた直後に行い、これにより、細胞からの生物学的分析物(この例ではATP)の放出が検出できるかどうかを調べることができる。この結果は、その細胞から放出される生物学的分析物を検出するための最適条件(すなわち、細胞抽出剤の液体濃度及び曝露時間)を示すことができる。表24に示すように、この結果は、より高い細胞抽出剤の濃度で、細胞抽出剤は効果が低くなることがあり、及び/又は検出システムに干渉することがある(すなわち、検出試薬によって発生した光又は色を吸収することがある)ことも示し得る。
【0055】
液体混合物中の細胞抽出剤の有効量を決定した後、本明細書に記述されている方法によってヒドロゲルに組み込む細胞抽出剤の量を考慮すべきである。細胞抽出剤を含むヒドロゲルが液体混合物を形成するとき(例えば、水性懸濁液中に生きた細胞を含むことが疑われるサンプル)、細胞抽出剤の濃度がヒドロゲルと液体との間で平衡に達するまで、細胞抽出剤はヒドロゲルから出て拡散する。理論に束縛されるものではないが、平衡に達するまで、細胞抽出剤の濃度勾配が液体中に存在し、ヒドロゲルの近くにある液体部分ではより高濃度の抽出剤が存在すると推定できる。細胞抽出剤の濃度が、細胞を含む液体部分で有効濃度に達すると、細胞は生物学的分析物を放出する。放出された生物学的分析物は、ここで、検出システムによって検出することができるようになる。
【0056】
サンプルを含む液体中で細胞抽出剤を有効濃度にするのは、いくつかの要素によって制御することができる。例えば、ヒドロゲルに搭載された細胞抽出剤の量は、平衡に達した液体中での細胞抽出剤の最終濃度に影響する。加えて、ヒドロゲルの量、及び液体混合物中のヒドロゲルの表面積値は、ヒドロゲルからの細胞抽出剤の放出速度、及び平衡時の液体中での細胞抽出剤の最終濃度に影響し得る。更に、水性媒体の温度は、ヒドロゲルが細胞抽出剤を放出する速度に影響し得る。他の要素、例えば細胞抽出剤及びヒドロゲルのイオン特性及び/又は疎水性特性が、ヒドロゲルから放出される細胞抽出剤の量、及び細胞抽出剤がヒドロゲルから放出される速度に影響し得る。これらの要素のすべてを、サンプル中の細胞の検出のために、望ましいパラメータ(例えばその物品の製造時検討事項及びその方法の結果を得るまでの時間など)を達成するよう、当業者が定期的に実験を行うことにより最適化することができる。一般的に、ヒドロゲルとサンプル材料を含むある量の液体との間で細胞抽出剤が平衡に達したときに、少なくとも細胞抽出剤の有効量(ヒドロゲルなしの実験により決定される)を達成できるのに十分な細胞抽出剤をヒドロゲルに組み込むのが望ましい。ヒドロゲルが有効量の細胞抽出剤を放出するのにかかる時間を短縮するためには、ヒドロゲルに、(ヒドロゲルなしの実験で決定された量よりも)より多くの量の細胞抽出剤を加えることが望ましい場合がある。
【0057】
いくつかの実施形態において、細胞抽出剤の有効濃度を達成することには、サイズ選択したヒドロゲル組成物を使用することが含まれ得る。例えば、ヒドロゲルビーズに細胞抽出剤(例えば、BARDAC 205Mの50%(w/v)水溶液、又は塩化ベンザルコニウムの10%、17.5%、又は25%(w/v)水溶液)を搭載することができる(例えば吸収及び/又は吸着によって)。このヒドロゲルビーズは、均一なサイズのビーズを得るよう、サイズ選択することができる(例えば、Glison Company(オハイオ州ルイスセンター)から販売されている異なる微細シリーズのメッシュサイズであるNo.10(2.0mm)、No.12(1.7mm)、No.14(1.4mm)、No.16(1.18mm)及びNo.18(1.0mm)の8”(20.3cm)試験用丸型ふるいにかけることによって)。このヒドロゲルビーズは、細胞抽出剤を搭載する前及び/又は後で、サイズ選択することができる。いくつかの実施形態において、サイズ選択されたヒドロゲルビーズの平均直径は約1.0mm、約1.18mm、約1.4mm、約1.7mm、又は約2.0mmであり得る。いくつかの実施形態において、サイズ選択されたヒドロゲルビーズの平均直径は1.0mm未満であってもよい。いくつかの実施形態において、サイズ選択されたヒドロゲルビーズの平均直径は2.0mmより大きくてもよい。有利なことに、サイズ選択されたヒドロゲルビーズは、ヒドロゲルが細胞抽出剤の有効量を放出するのにかかる時間をより良く制御することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、サイズ選択されたヒドロゲルビーズの選択された量を、検出装置に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、BARDAC 205Mを含むヒドロゲルビーズを約2.5mg〜約4mg、検出装置に使用することができる。いくつかの実施形態において、BARDAC 205Mを含むヒドロゲルビーズを約5mg〜約10mg、検出装置に使用することができる。いくつかの実施形態において、BARDAC 205Mを含むヒドロゲルビーズを約11mg〜約14mg、検出装置に使用することができる。
【0059】
細胞抽出剤は、ヒドロゲル内に拡散し、ヒドロゲルから出て拡散し、又はその両方であり得る。拡散速度は、例えば、高分子材料及び架橋密度を変えること、ヒドロゲルが作製される極性溶媒を変えること、ヒドロゲルが作製される極性溶媒中の細胞抽出剤の溶解度を変えること、並びに細胞抽出剤の分子量を変えることによって、制御可能であるべきである。拡散速度は、ヒドロゲルの形状、サイズ、及び表面トポグラフィーを変えることによっても改善することができる。
【0060】
ヒドロゲルは、液体サンプル材料と静的に接触させるか、動的に接触させる(すなわち、例えば振動、攪拌、エアレーション、又は圧縮によって混合)か、あるいはこれらの組み合わせで接触させることができる。実施例16は、混合により、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤をより迅速に放出させることができることを示している。実施例17は、ヒドロゲルの圧縮により、ヒドロゲルから有効量の細胞抽出剤をより迅速に放出させることができることを示している。ヒドロゲルの圧縮には、例えば、表面に対してヒドロゲルを押し付けること、及び/又はヒドロゲルを破砕することが含まれ得る。よって、いくつかの実施形態において、混合することにより、細胞抽出剤のより迅速な放出が有利にもたらされ、これによりサンプル中の生物学的分析物(例えば生きた細胞から)のより迅速な検出がもたらされ得る。いくつかの実施形態において、ヒドロゲルの圧縮(例えばスワブ若しくはスパチュラ、キャリア(後述)、又は他の好適な用具などのサンプル取得装置を使用してヒドロゲルに対し圧力を加えることによって)により、細胞抽出剤のより迅速な放出が有利にもたらされ、これによりサンプル中の生物学的分析物のより迅速な検出がもたらされ得る。加えて、ヒドロゲル圧縮の工程は、操作者に便利な時点で細胞抽出剤の放出を加速させるために行うことができる。いくつかの実施形態において、静的な接触は、有効量の細胞抽出剤放出を遅らせることがあるため、生物学的分析物の検出の前に、操作者が他の処理(例えば試薬の追加、装置の較正、及び/又は検体の輸送など)を実施するための追加時間を提供することができる。いくつかの実施形態において、最初の生物学的分析物測定が行われるまでは混合物を静的に保持し、それから、有効量の細胞抽出剤放出に必要な時間を短縮するために動的にサンプルを混合することが、有利な場合がある。
【0061】
本発明の方法において機能的な最も好ましい濃度又は濃度範囲は、異なる微生物及び異なる細胞抽出剤によって異なり、本明細書に記述されている方法、又は当業者に周知の方法を用いて経験的に決定され得ることが、十分に予測される。
【0062】
サンプル及びサンプル取得装置:
本開示の物品及び方法は、サンプル中の生物学的分析物の検出を提供する。いくつかの実施形態において、この物品及び方法は、サンプル中の生きた細胞からの生物学的分析物の検出を提供する。特定の好ましい実施形態において、この物品及び方法は、サンプル中の生きた微生物細胞の検出を提供する。特定の好ましい実施形態において、この物品及び方法は、サンプル中の生きた細菌細胞の検出を提供する。
【0063】
本明細書で使用されるとき、用語「サンプル」は、最も広義で使用される。サンプルは、本発明の使用により分析される生物学的分析物(例えばATP)を含むことが疑われる組成物である。サンプルはしばしば、所望により培地又は細胞可溶化物中において、1個の細胞又は細胞集団を含むことが知られているか又は含むことが疑われるものであるが、サンプルはまた、付着した1個の細胞又は細胞集団を含むことが疑われる固体表面(例えばスワブ、膜、フィルター、粒子)でもあり得る。そのような固体表面については、その固体を液体(例えば水溶液)と接触させることにより水性サンプルを作製することが想到される。場合によっては、サンプルを濾過してサンプルを生成することが望ましい(例えば、本発明のプロセスによって液体又は気体サンプルを試験する場合)。大量の希釈された気体又は液体からサンプルを採取する場合は、濾過することが好ましい。濾液は、例えば液体中に懸濁させてから、本開示のヒドロゲルと接触させることができる。
【0064】
好適なサンプルには、固体材料(例えば微粒子、フィルター)、半固体材料(ゲル、固体の懸濁液、又はスラリー)、液体、又はこれらの組み合わせのサンプルが挙げられる。好適なサンプルには更に、固体、液体、又はこれらの組み合わせを含む表面残留物が挙げられる。表面残留物の非限定的な例には、環境表面(例えば床、壁、天井、媒介物、機器、水、及び水容器、エアフィルター)、食品表面(例えば野菜、果物、及び肉の表面)、食品加工表面(例えば食品加工装置及びまな板)、並びに臨床表面(例えば組織サンプル、皮膚、及び粘膜)からの残留物が挙げられる。
【0065】
生物学的分析物の検出のためのサンプル材料(表面残留物を含む)の採取は、当該技術分野において既知である。スパチュラ、スポンジ、スワブなど、さまざまなサンプル取得装置について記述がなされている。本開示では、本明細書に記述されるように、独自の機能及び有用性を備えたサンプル取得装置を提供する。
【0066】
ここで図を参照すると、図1は、本開示による一実施形態のサンプル取得装置130の側面図を示す。サンプル取得装置130は、ハンドル131を含み、これはサンプル採取中に操作者が掴むことができる。ハンドルは、端部132と、所望により複数の固定部材133とを含む。固定部材133は、ハウジング(例えば図3及び4に示すハウジング320又はハウジング420)に滑動可能にフィットするよう形成され得る。いくつかの実施形態において、固定部材133は、耐液性封止シールを形成してハウジングからの流体の漏れを防ぐことができる。
【0067】
サンプル取得装置130は、細長いシャフト134及び先端139を更に含む。いくつかの実施形態において、シャフト134は中空であってよい。シャフト134は、ハンドル131と反対側の、シャフト134の端部近くに位置する、先端139を含む。先端139は、サンプル材料を採取するのに使用することができ、例えば繊維(レーヨン若しくはダクロン繊維など)又はフォーム(ポリウレタンフォームなど)などの多孔質材料から構成することができ、これをシャフト134に付けることができる。いくつかの実施形態において、先端139は、米国特許出願第61/029,063号(2007年12月5日出願)「SAMPLE ACQUISITION DEVICE」(この全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、成形先端であってよい。サンプル取得装置130の構成は、当該技術分野において既知であり、例えば米国特許第5,266,266号(この全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0068】
所望により、サンプル取得装置130は更に、細胞抽出剤を含むヒドロゲル140を含み得る。いくつかの実施形態において、ヒドロゲル140は、サンプル採取に使用される先端139とは別の位置(例えば図1に示すようにシャフト134上)に、サンプル取得装置130の中又は表面に配置される。ヒドロゲル140は、本明細書に記述されるようにシャフト134上にコーティングすることができ、又は、例えば感圧接着剤若しくは水溶性接着剤(図示なし)によってシャフト134に接着することができる。接着剤は、生きた細胞からの生物学的分析物を検出するために使用される検出システムとの適合性に関して選択されるべきである(すなわち、接着剤は、検出システムの精度又は感受性を顕著に損うものであってはならない)。
【0069】
使用中、サンプル取得装置130の先端139は、サンプル材料(例えば固体、半固体、懸濁液、スラリー、液体、表面など)と接触して、細胞を含むことが疑われるサンプルを得る。サンプル取得装置130は、本明細書に記述されているように、サンプルを検出システムに移すのに使用することができる。
【0070】
図2は、本開示による別の実施形態のサンプル取得装置230の部分的断面図を示す。この実施形態において、サンプル取得装置230は、端部232を有するハンドル231、ハウジング(図示なし)内に滑動可能にフィットする所望による固定部材233、中空の細長いシャフト234、及び多孔質材料を含む先端239を含む。サンプル取得装置230は、シャフト234の内部に配置された細胞抽出剤を含むヒドロゲル240を更に含む。これにより、サンプル取得装置230は、ヒドロゲル240を含む封入部(シャフト234)を提供する。先端239を構成する材料は、ヒドロゲル240が材料を通って先端239から流出することなく、シャフト234の内部に液体が自由に流れることができるよう、十分に多孔質である。
【0071】
使用中、サンプル取得装置230は、表面(好ましくは乾いた表面)に接触させて、サンプル材料を取得するのに使用することができる。サンプル取得後、サンプル取得装置230の先端239は液体(例えば水又は緩衝液、所望により、酵素及び/又は酵素基質などの検出試薬を含む)で湿潤され、これにより有効量の細胞抽出剤がヒドロゲル240から放出され、サンプル材料に接触する。有効量の細胞抽出剤がヒドロゲル240から放出されることにより、サンプル取得装置230は、本明細書に記述されているように、生きた細胞からの生物学的分析物を検出するための方法にて使用することが可能となる。
【0072】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含むサンプル取得装置の別の一実施形態(図示せず)は、Nasonによる米国特許第5,266,266号(以下、「Nason特許」と称する)で開示されている「Specimen Test Unit」から誘導されることができる。具体的には、Nason特許の図7〜9を参照すると、本明細書に記述されているサンプル取得装置のハンドルは、ハウジング底部14(試薬チャンバ36を形成する)及び封止シール付属品48のNasonの機能要素を組み入れるよう改変することができ、これには、中空スワブシャフト22に接続された中央分配通路50(所望によりハウジングキャップ30を備える)が含まれる。封止シール付属品48の中央通路50は、細径スコア(reduced diameter score)56を介して通路50内部の端部で封止シール付属品48に接続された延長したロッドセグメント54の形態にて、ブレークオフ先端(break-off nib)52によって閉じられることができる。これにより、本開示の一実施形態において、サンプル取得装置ハンドルは、Nasonにより記述されているように、試薬チャンバを含む。この実施形態のサンプル取得装置のハンドル内にある試薬チャンバは、細胞抽出剤を含むヒドロゲル粒子(例えばビーズ)を含む。これにより、この実施形態のサンプル取得装置は、ヒドロゲルを含む封入部(試薬チャンバ36)を提供する。この実施形態において、ヒドロゲル粒子は、ヒドロゲルから細胞抽出剤の放出を引き起こす液体媒体中に懸濁していない。ヒドロゲル粒子は、個々の粒子が中央通路50及び中空シャフト22に入り自由に通り抜けられるような大きさ及び形状にされる。
【0073】
使用中、試薬チャンバを有するハンドルを含むサンプル取得装置は、本明細書に記述されるようにサンプルを取得するのに使用することができる。サンプルが液体の場合、Nason特許に記述されているように、ブレークオフ先端52が作動して、シャフトを貫通するヒドロゲルの通路がスワブ先端内の液体サンプルに接触し、これによりサンプルとヒドロゲルとを含む液体混合物の形成が可能となる。このサンプルとヒドロゲルとを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた細胞に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。サンプルが固体又は半固体の場合、サンプル取得装置の先端は液体溶液に接触又は浸すことができ、Nason特許に記述されているようにブレークオフ先端52が作動でき、これによりシャフトを貫通するヒドロゲルの通路がスワブ先端内の液体サンプルに接触し、これによりサンプルとヒドロゲルとを含む液体混合物の形成が可能となる。このサンプルとヒドロゲルとを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた細胞に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0074】
検出装置
図3は、本開示による検出装置のハウジング320の一実施形態の断面図を示す。ハウジング320は、サンプル取得装置を受容するよう構成されている開口部322、及び少なくとも1つの壁324を含む。ハウジング320内に、細胞抽出剤を含むヒドロゲル340が配置される。これにより、ハウジング320はヒドロゲル340を収容する封入部を提供する。
【0075】
図3において、ヒドロゲル340は、全体的に球形のビーズの形態の成形ヒドロゲルである。ビーズは、ハウジング320での使用に好適な、本明細書に開示されているさまざまな形状のヒドロゲルの一例にすぎないことが理解されよう。
【0076】
いくつかの実施形態において(図示なし)、ヒドロゲル340は固体基材(例えばハウジング320の壁324)の上にコーティングすることができる。本開示のヒドロゲル340をコーティングすることができる、その他の好適な固体基材の非限定的な例(図示なし)には、ポリマーフィルム、繊維、不織布、セラミック粒子、紙、及びポリマービーズが挙げられる。固体基材は、さまざまなプロセスによってヒドロゲル340でコーティングすることができ、例えば、ディップコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、スプレー、キスコーティング、グラビアコーティング、オフセットグラビアコーティング、及び/又は印刷手法(スクリーン印刷及びインクジェット印刷など)を使用して、望ましい場合にはパターンで、基材上にヒドロゲル組成物を塗布することができる。コーティングプロセスの選択は、固体基材の形状及び寸法によって影響され、任意の所与の固体基材をコーティングするための好適なプロセスを判別することは、当業者の把握する範囲内である。
【0077】
本実施形態及び他のすべての実施形態(例えば図1、2、4、5、6A〜B、7、及び8に説明される実施形態)において、ヒドロゲル(例えばヒドロゲル340)は、複数(例えば少なくとも2個、3個、4個、5個、10個以下、20個以下、50個以下、100個以下、500個以下、1000個以下)の、ビーズ、繊維、リボン、コーティングされた基材などのヒドロゲル体を含み得る。例えば、ヒドロゲル340は、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、10個以下、20個以下、50個以下、100個以下、500個以下、1000個以下、又はそれ以上のヒドロゲル体を含み得る。
【0078】
ハウジング320の壁324は、例えば円筒形であり得る。他の有用な形状(複数の壁324を含む場合がある)が可能であり、これは当業者の把握する範囲内であることが理解されよう。ハウジング320は、例えばプラスチック(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート)又はガラスなど、さまざまな材料で構成することができる。好ましくは、ハウジング320の少なくとも一部分は、光(例えば可視光)を透過させる光学的特性を有する材料から構成される。好適な材料は、例えばATP試験などの生化学的アッセイに使用される装置において周知である。
【0079】
所望により、ハウジング320はキャップ(図示なし)を含むことができ、これはハウジング320の開口部322を覆う形状及び寸法にすることができる。他のハウジング(例えば図4及び図5にそれぞれ示され、本明細書で説明される、ハウジング420及びハウジング520)も、キャップを含み得ることが認識されよう。
【0080】
いくつかの実施形態において、ハウジング320は、サンプル取得装置(図示なし)と共に使用することができる。所望により、サンプル取得装置は、例えば図1及び図2にそれぞれ示され、本明細書で説明される、サンプル取得装置130又は230のように、ヒドロゲルを含んでもよい。サンプル取得装置中のヒドロゲルは、ヒドロゲル340と同じ組成物及び/又は量の細胞抽出剤を含み得る。サンプル取得装置中のヒドロゲルは、ヒドロゲル340とは異なる組成物及び/又は量の細胞抽出剤を含み得る。いくつかの実施形態において、サンプル取得装置は体細胞抽出剤を含むことができ、ハウジング320は微生物細胞抽出剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、サンプル取得装置は微生物細胞抽出剤を含むことができ、ハウジング320は体細胞抽出剤を含むことができる。他のハウジング(例えば図4及び図5にそれぞれ示され、本明細書で説明される、ハウジング420及びハウジング520)は、所望によりヒドロゲルを含み得るサンプル取得装置を同様に含んでもよいことが理解されよう。
【0081】
ハウジング320は、サンプル中の生きた細胞を検出するための方法に使用することができる。使用中、操作者はハウジング320内で液体(例えば水性液体、又はグリコール及び/若しくはアルコールを含む水溶液)混合物を形成することができ、この混合物は液体サンプル及びヒドロゲル340を含む。いくつかの実施形態において、この混合物は検出試薬を更に含むことができる。サンプルとヒドロゲル440とを含む液体混合物は、生きた微生物に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0082】
図4は、本開示による検出装置のハウジング420の一実施形態の部分的断面図を示す。ハウジング420は、サンプル取得装置を受容するよう構成されている開口部422を備えた壁424を含む。脆弱シール460が、ハウジング420を、上のコンパートメント426と反応槽428との2つの部分に区分する。反応槽428内には、ヒドロゲル440が配置される。これにより、ハウジング420はヒドロゲル440を収容する封入部を提供する。
【0083】
脆弱シール460は、上のコンパートメント426(これにはハウジング420の開口部422が含まれる)と反応槽428との間のバリアを形成する。いくつかの実施形態において、この脆弱シール460は耐水性バリアである。脆弱シール460は、さまざまな脆い材質から構成することができ、この材質には、例えば、ポリマーフィルム、金属コーティングされたポリマーフィルム、金属ホイル、溶解性フィルム(例えば低分子量のポリビニルアルコール又はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)で製造されたフィルム)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
脆弱シール460は、さまざまな技法を用いてハウジング420の壁424に接続することができる。脆弱シール460を壁424に取り付けるための好適な技法としては、超音波溶接、任意の熱接着技法(例えば熱及び/又は圧力を加えて壁424の一部、脆弱シール460の一部、又はその両方を融解する)、接着剤結合、ステープル、及び縫合が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい一実施形態では、脆弱シール460は、超音波溶接プロセスを使用して壁424に取り付けられる。
【0085】
ハウジング420は、サンプル中の細胞を検出するための方法に使用することができる。本開示の方法には、本明細書に記述されるように、サンプル材料とヒドロゲル440とを含む液体混合物を形成することが含まれ、かつ、生物学的分析物を検出することが含まれる。
【0086】
サンプルが液体サンプル(例えば水、ジュース、牛乳、肉汁、野菜洗浄液、食品抽出物、体液及び分泌物、唾液、創傷滲出物、並びに血液)の場合、その液体サンプルは直接、上のチャンバ426に移すことができる(例えば注ぐ又はピペットを用いて)。検出試薬は、サンプルをハウジング420に移す前にサンプルに加えることができる。検出試薬は、サンプルをハウジング420に移した後にサンプルに加えることができる。検出試薬は、サンプルをハウジング420に移しているときにサンプルに加えることができる。脆弱シール460は、液体サンプルをハウジング420に移す前に、破ることができる(例えばピペット先端又はサンプル取得装置で突き刺すことによって)。脆弱シール460は、液体サンプルをハウジング420に移した後に、破ることができる。脆弱シール460は、液体サンプルをハウジング420に移しているときに破ることができる。液体サンプルがハウジング420内にあり、脆弱シールが破られると、サンプルとヒドロゲル440とを含む液体混合物が形成される。このサンプルとヒドロゲル440とを含む液体混合物は、生きた微生物に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0087】
サンプルが固体サンプルの場合(例えば粉末、微粒子、半固体、サンプル取得装置で採取された残留物、エアフィルター)、ハウジング420は容器として有利に用いることができ、この中でサンプルを、例えば水又は緩衝液などの液体懸濁媒体と混合することができる。好ましくは、液体懸濁媒体は微生物を実質的に含まない。より好ましくは、液体懸濁媒体は無菌である。固体サンプルを液体懸濁媒体と混合する前、後又は最中に、検出試薬をこの液体懸濁媒体に加えることができる。固体サンプルを液体懸濁媒体と混合する前、後、又は最中のいずれかの時点で、脆弱シール460を破ることができ(例えばピペット先端又はスワブで突き刺すことによって)、これにより、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲル440とを含む液体混合物を形成することができる。このサンプルとヒドロゲル440とを含む液体混合物は、生きた細胞に関連する生物学的分析物を検出する方法に使用することができる。
【0088】
図5は、本開示による検出装置のハウジング520の一実施形態の部分的断面図を示す。ハウジング520は、サンプル取得装置を受容するよう構成されている開口部522を備えた壁524を含む。脆弱シール560が、そのハウジング520を、上のコンパートメント526と反応槽528との2つの部分に区分する。上のコンパートメント526内に、細胞抽出剤を含むヒドロゲル540が配置される。反応槽528は、検出試薬570を更に含む。
【0089】
図5において、ヒドロゲル540は、ハウジング520の上のチャンバ526内、脆弱シール560の上に配置される。これにより、ハウジング520はヒドロゲル540を収容する封入部を提供する。いくつかの実施形態において(図示なし)、ヒドロゲル540は、上のチャンバ526の脆弱シール560又は壁524に結合していてよい。例えば、ヒドロゲル540は、ハウジング520の上のチャンバ526の一部を形成する表面(例えば脆弱シール560及び/又は壁524)の1つに、接着剤で接合(例えば感圧接着剤又は水溶性接着剤を介して)、あるいはコーティングすることができる。
【0090】
ハウジング520の試薬槽528は、検出試薬570を含む。所望により、この検出試薬570は検出試薬を含むことができる(すなわち、検出試薬はこの検出試薬570中に溶解及び/又は懸濁されてよい)。他の実施形態において(図示なし)、試薬槽528は、検出試薬570の代わりに、乾燥検出試薬(例えば粉末、粒子、微粒子、錠剤、ペレットなど)が含むことができる。
【0091】
ハウジング520は、サンプル中の細胞を検出するための方法に使用することができる。本開示の方法には、本明細書に記述されるように、サンプル材料とヒドロゲル440とを含む液体混合物を形成することが含まれ、かつ、生物学的分析物を検出することが含まれる。
【0092】
サンプルが液体サンプル(例えば水、ジュース、牛乳、肉汁、野菜洗浄液、食品抽出物、体液及び分泌物、唾液、創傷滲出物、並びに血液)の場合、その液体サンプルは直接、上のチャンバ526に移すことができ(例えば注ぐ又はピペットを用いて)、これによりサンプルとヒドロゲル540とを含む液体混合物を形成することができる。ハウジング520にサンプルを移す前、後又は最中に、検出試薬をこの液体サンプルに加えることができる。ハウジング520に液体サンプルを移す前、後又は最中に、脆弱シール560を破ることができる(例えばピペット先端又はスワブで突き刺すことによって)。サンプルとヒドロゲル540とを含む液体混合物は、脆弱シール560を破る前及び/又は後に、生きた微生物に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0093】
サンプルが固体サンプルの場合(例えば粉末、微粒子、半固体、サンプル取得装置で採取された残留物)、ハウジング520は容器として有利に用いることができ、この中でサンプルを、例えば水又は緩衝液などの液体懸濁媒体と混合することができる。好ましくは、液体懸濁媒体は微生物を実質的に含まない。より好ましくは、液体懸濁媒体は無菌である。
【0094】
固体サンプルと液体懸濁媒体とを混合することにより、サンプルとヒドロゲル540とを含む液体混合物が形成される。固体サンプルを液体懸濁媒体と混合する前、後又は最中に、検出試薬をこの液体懸濁媒体に加えることができる。固体サンプルを液体懸濁媒体と混合するプロセスの前、後、又は最中に、脆弱シール560を破ることができる(例えばピペット先端又はスワブで突き刺すことによって)。このサンプルとヒドロゲル540とを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた微生物に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0095】
図6A〜6Bは、本開示による検出装置610の部分的断面図を示す。図6Aを参照すると、検出装置610は、本明細書に記述されるように、ハウジング620とサンプル取得装置630とを含む。ハウジング620は、脆弱シール660、上のコンパートメント626に配置された細胞抽出剤を含むヒドロゲル640、及び所望により、試薬槽628に配置された検出試薬670を含む。これにより、ハウジング620はヒドロゲル640を収容する封入部を提供する。検出試薬670は、検出試薬を更に含んでもよい。
【0096】
サンプル取得装置630は、ハンドル631を含み、これはサンプル採取中に操作者が掴むことができる。サンプル取得装置630は図6Aにおいて第一位置「A」に示されており、ハンドル631は実質的にハウジング620の外に延びている。一般に、ハンドル631は、検出装置610の保管中は位置「A」にある。使用中、サンプル取得装置630がハウジング620から引き抜かれ、先端629はサンプルを採取する領域又は材料に接触する。サンプル採取後、サンプル取得装置をハウジング620に再び挿入し、典型的には、ハウジング620が定位置に保持されている間、ハンドル631の端部632をハウジング620の方に(例えば指の力で)押して、サンプル取得装置630をほぼ位置「B」へと動かし、これにより先端639が脆弱シール660を貫通して、反応槽628内の検出試薬670(存在する場合)に入る(図6Bを参照)。先端639が脆弱シール660を破ると、ヒドロゲル640も反応槽628内に移動する。このプロセスにより、サンプルとヒドロゲル640とを含む液体混合物が形成される。このサンプルとヒドロゲル640とを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた細胞に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0097】
図7は、本明細書に記述されるように、ハウジング720とサンプル取得装置730とを含む検出装置710の断面図を示す。ハウジング720は、脆弱シール760a及び760bによって、上のチャンバ726と反応槽728とに区分されている。脆弱シール760aと760bとの間には、細胞抽出剤を含むヒドロゲル740が配置される。これにより、ハウジング720はヒドロゲル740を収容する封入部を提供する。反応槽728は検出試薬770を含む。
【0098】
使用中、サンプル取得装置730の先端739は、前述のように、サンプル材料(例えば固体、半固体、懸濁液、スラリー、液体、表面など)と接触する。サンプルを採取した後、サンプル取得装置730をハウジング720に再び挿入し、前述のように、ハンドルをハウジング720の方に押して、これにより先端739が脆弱シール760a及び760bを貫通して、反応槽728内の検出試薬に入る。先端739が脆弱シール760a及び760bを貫通すると、ヒドロゲル740も反応槽728内の検出試薬770内に移動する。このプロセスにより、サンプルとヒドロゲル740とを含む液体混合物が形成される。このサンプルとヒドロゲル740とを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた微生物に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0099】
図8は、本開示による検出装置810の部分的断面図を示す。検出装置810は、本明細書に両方とも記述されるように、ハウジング820とサンプル取得装置830とを含む。本明細書に記述される脆弱シール860bは、ハウジングを、上のコンパートメント826と試薬チャンバ828との2つの部分に区分している。試薬チャンバ828は検出試薬870を含み、これは液体検出試薬870(図示)、又は本明細書に記述される乾燥検出試薬であり得る。上のコンパートメント824内に滑動可能に配置され、脆弱シール860bの近位にあるのは、キャリア880である。キャリア880は、細胞抽出剤を含むヒドロゲル840と、所望により脆弱シール860aとを含む。これにより、キャリア880はヒドロゲル840を収容する封入部を提供する。キャリア880は、例えば、成形プラスチック(例えばポリプロピレン又はポリエチレン)から構成され得る。図示されている実施形態において、脆弱シール860aは、保管及び取扱い時に、ヒドロゲル840(ヒドロゲルビーズとして示されている)をキャリア880内に保持する機能を果たす。いくつかの実施形態において、ヒドロゲル840はキャリア880上にコーティングされ、保管及び取扱い時にヒドロゲル840を保持するための脆弱シール860aは不要になり得る。
【0100】
使用中、サンプル取得装置830は検出装置810から取り出され、本明細書に記述されているように、先端839上にサンプルが採取される。サンプル取得装置830をハウジング820に再び挿入し、図6A〜Bの検出装置に関して述べたように、ハンドル831をハウジング820内に押す。サンプル取得装置830の先端839が脆弱シール860A(存在する場合)を破り、脆弱シール860bを超えてキャリア880を押し出す。サンプルを含む先端839が検出試薬870に接触するとキャリア880が検出試薬870中に落ち、これにより、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物が形成される。このサンプルとヒドロゲル840とを含む液体混合物は、本明細書に記述されるように、生きた細胞に関連する生物学的分析物の検出に使用することができる。
【0101】
図9は、図8のキャリア980の一実施形態の底面斜視図を示す。キャリア980は、円筒形の壁982と底部984とを含む。壁982は、ハウジング(図示なし)内に滑動可能にフィットするような形状及び寸法にされる。キャリア980は、所望により脆弱シール960aを更に含む。底部984には穴985及び穿刺部材986があり、この穿刺部材が穿刺点988を形成している。穿刺点988は、ハウジング(図示なし)内の脆弱シールを破るのを容易にすることができる。
【0102】
生きた細胞からの生物学的分析物の検出方法:
本開示の方法は、有効量の細胞抽出剤にさらされた後の、生きた細胞(例えば生きた微生物)から放出された生物学的分析物を検出するための方法を含む。
【0103】
生物学的分析物の検出は、検出システムの使用を伴う。ヌクレオチド(例えばATP)、ポリヌクレオチド(例えばDNA若しくはRNA)、又は酵素(例えばNADHデヒドロゲナーゼ若しくはアデニル酸キナーゼ)などの特定の生物学的分析物についての検出システムは、当該技術分野において既知であり、本開示に従って使用することができる。本開示の方法は、生物学的分析物を検出するための既知の検出システムを含む。好ましくは、この検出システムの精度及び感受性は、細胞抽出剤によって顕著に低減されない。より好ましくは、検出システムは、均質アッセイを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、検出システムは、検出試薬を含む。検出試薬には、例えば、染料、酵素、酵素基質、結合相手(例えば抗体、モノクローナル抗体、レクチン、受容体)、及び/又は補助因子が含まれる。いくつかの実施形態において、検出システムは機器を含む。検出機器の非限定的な例には、分光光度計、照度計、プレートリーダー、サーモサイクラー、インキュベーターが挙げられる。
【0105】
検出システムは当該技術分野において既知であり、生物学的分析物を比色(すなわち吸光度及び/又は光散乱による)、蛍光、又は発光によって検出するのに使用することができる。発光による生体分子検出の例は、F.Gorus and E.Schram(Applications of bio−and chemiluminescence in the clinical laboratory、1979、Clin.Chem.25:512〜519)に記述されている。
【0106】
生物学的分析物検出システムの一例として、ATP検出システムがある。ATP検出システムは、酵素(例えばルシフェラーゼ)及び酵素基質(例えばルシフェリン)を含み得る。ATP検出システムは、照度計を更に含み得る。いくつかの実施形態において、照度計には、例えばFB−12単管照度計(Berthold Detection Systems USA(テネシー州オークリッジ))などのベンチトップ型照度計が含まれ得る。いくつかの実施形態において、照度計には、例えばNG照度計UNG2(3M Company(英国ブリッジェンド))などの携帯型照度計が含まれ得る。
【0107】
本開示の方法は、生きた細胞を含むことが疑われるサンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む、液体混合物を形成することを含む。本開示の方法は、生物学的分析物を検出することを更に含む。生物学的分析物の検出は、サンプル中の生物学的分析物の量を定量化することを更に含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、生物学的分析物の検出には、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物が形成される容器内(例えば試験管、マルチウェルプレートなど)で、分析物を直接検出することが含まれ得る。いくつかの実施形態において、生物学的分析物の検出には、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物が形成される容器とは別の容器に、その液体混合物の少なくとも一部を移すことが含まれ得る。いくつかの実施形態において、生物学的分析物の検出には、例えばpH調整、希釈、濾過、遠心分離、抽出などの1つ以上のサンプル調製プロセスが含まれることがある。
【0109】
いくつかの実施形態において、生物学的分析物は、単一時点で検出される。いくつかの実施形態において、生物学的分析物は、2回以上の時点で検出される。2回以上の時点で生物学的分析物が検出される場合、1回目(例えば、サンプルの少なくとも一部において生きた細胞からの生物学的分析物放出を起こすための有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから放出される前)の時点で検出された生物学的分析物の量を、2回目(例えば、サンプルの少なくとも一部において生きた細胞からの生物学的分析物放出を起こすための有効量の細胞抽出剤がヒドロゲルから放出された後)の時点で検出された生物学的分析物の量と比べることができる。いくつかの実施形態において、1回以上の時点での生物学的分析物の測定は、プロセッサを備えた機器で実施される。特定の好ましい実施形態において、1回目の時点の生物学的分析物の量と、2回目時点での生物学的分析物の量との比較は、プロセッサによって実施される。
【0110】
例えば、操作者は、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物を形成した後のサンプルにおいて、生物学的分析物の量を測定する。この第一測定(T)における生物学的分析物の量は、「遊離」(すなわち非細胞性)の生物学的分析物、及び/又は、サンプル中の非生存細胞に由来する生物学的分析物の存在を示し得る。いくつかの実施形態において、この第一測定は、サンプルと、細胞抽出剤を含むドロゲルとを含む液体混合物を形成した直後(例えば約1秒後)に行うことができる。いくつかの実施形態において、第一測定は、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物を形成してから少なくとも約5秒後、少なくとも約10秒後、少なくとも約20秒後、少なくとも約30秒後、少なくとも約40秒後、少なくとも約60秒後、少なくとも約80秒後、少なくとも約100秒後、少なくとも約120秒後、少なくとも約150秒後、少なくとも約180秒後、少なくとも約240秒後、少なくとも約5分後、少なくとも約10分後、少なくとも約20分後に行うことができる。これらの時間は例示的なものであり、生物学的分析物の検出を開始するまでの時間のみが挙げられている。生物学的分析物の検出の開始には、サンプルの希釈、及び/又は、細胞抽出剤の活性を阻害する試薬の添加が含まれ得る。特定の検出システム(例えば核酸増幅又はELISA)は、通常、完了するのに数分〜数時間かかり得ることが理解されるであろう。
【0111】
操作者は、生物学的分析物の第一測定を行った後、細胞抽出剤を含むヒドロゲルにサンプルを一定時間接触させる。サンプルを一定時間ヒドロゲルと接触させた後、生物学的分析物の第二測定が行われる。いくつかの実施形態において、この第二測定は、生物学的分析物の第一測定を行ってから、約0.5秒以内、約1秒以内、約5秒以内、約10秒以内、約20秒以内、約30秒以内、約40秒以内、約60秒以内、約90秒以内、約120秒以内、約180秒以内、約300秒以内、約10分以内、約20分以内、約60分以内、又はそれ以降に行うことができる。これらの時間は例示的なものであり、生物学的分析物の検出の第一測定を開始してから、生物学的分析物の検出の第二測定を開始するまでの時間のみが挙げられている。生物学的分析物の検出の開始には、サンプルの希釈、及び/又は、細胞抽出剤の活性を阻害する試薬の添加が含まれ得る。
【0112】
好ましくは、生物学的分析物の第一測定は、サンプルと、細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物を形成してから約1秒後〜約240秒後に行われ、第一測定の後に行われる第二測定は、液体混合物を形成してから約1.5秒後〜約540秒後に行われる。より好ましくは、生物学的分析物の第一測定は、液体混合物を形成してから約1秒後〜約180秒後に行われ、第一測定の後に行われる第二測定は、液体混合物を形成してから約1.5秒後〜約120秒後に行われる。最も好ましくは、生物学的分析物の第一測定は、液体混合物を形成してから約1秒後〜約5秒後に行われ、第一測定の後に行われる第二測定は、液体混合物を形成してから約1.5秒後〜約10秒後に行われる。
【0113】
操作者は、第一測定で検出された生物学的分析物の量を、第二測定で検出された生物学的分析物の量と比較する。第二測定で検出された生物学的分析物の量の増加は、サンプル中に1つ以上の生きた細胞が存在することを示す。
【0114】
特定の方法において、生きた体細胞(例えば非微生物細胞)の存在を検出することが望ましい場合がある。これらの実施形態において、ヒドロゲルには、体細胞から生物学的分析物を選択的に放出させる細胞抽出剤が含まれる。体細胞抽出剤の非限定的な例には、例えば非イオン性エトキシル化アルキルフェノール類などの非イオン性洗剤が挙げられ、これには、エトキシル化オクチルフェノールTriton X−100(TX−100)及びその他のエトキシル化アルキルフェノール類;ベタイン洗剤、例えばカルボキシプロピルベタイン(CB−18)、NP−40、TWEEN、Tergitol、Igepal、市販のM−NRS(Celsis(イリノイ州シカゴ))、M−PER(Pierce(イリノイ州ロックフォード))、CelLytic M(Sigma Aldrich)が挙げられるが、これらに限定されない。細胞抽出剤は、好ましくは、分析物及びその検出試薬を不活性化しないよう選択される。
【0115】
特定の方法において、生きた微生物細胞の存在を検出することが望ましい場合がある。これらの実施形態において、ヒドロゲルには、微生物細胞から生物学的分析物を選択的に放出させる細胞抽出剤が含まれる。微生物細胞抽出剤の非限定的な例には、四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、「セトリミド」(ドデシル−、テトラデシル−、及びヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミドの混合物)、塩化セチルピリジウム;アミン類、例えばトリエチルアミン(TEA)及びトリエタノールアミン(TeolA);ビス−ビグアニド類、例えばクロルヘキシジン、アレキシジン及びポリヘキサメチレンビグアニド;ジアルキルアンモニウム塩、例えばN−(n−ドデシル)−ジエタノールアミン、抗生物質、例えばポリミキシンB(例えばポリミキシンB1及びポリミキシンB2)、ポリミキシン−β−ノナペプチド(PMBN);アルキルグルコシド又はアルキルチオグルコシド、例えばオクチル−β−D−1−チオグルコピラノシド(全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,174,704号を参照);非イオン性洗剤、例えば非イオン性エトキシル化アルキルフェノール類、これにはエトキシル化オクチルフェノールTriton X−100(TX−100)及びその他のエトキシル化アルキルフェノール類が含まれるが、これらの限定されない);ベタイン洗剤、例えばカルボキシプロピルベタイン(CB−18);並びにカチオン性、抗菌性、孔形成性、膜活性、及び/又は細胞壁活性のポリマー、例えばポリリシン、ナイシン、マガイニン、メリチン、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼA活性化ペプチド(PLAP);バクテリオファージ、及び同様物が挙げられる。例えば、イオン性界面活性化合物を開示しているMorbeら、Microbiol.Res.(1997)vol.152、pp.385〜394、及び米国特許第4,303,752号を参照のこと(これらは全体が参照により本明細書に組み込まれる)。細胞抽出剤は、生物学的分析物、及び/又はその生物学的分析物を検出するのに使用される検出試薬を不活性化しないよう選択されるのが好ましい。
【0116】
サンプル中の生きた微生物細胞の存在を検出するための特定の代替方法において、サンプルは一定時間、体細胞抽出剤で前処理することができる(例えば、体細胞を抽出するのに十分な時間、サンプルを体細胞抽出剤に接触させてしてから、サンプルと、微生物細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む液体混合物を形成する)。この代替の実施形態において、第一測定で検出される生物学的分析物の量には、体細胞から放出されたいかなる生物学的分析物も含まれ、第二測定で検出された追加の生物学的分析物(もしあれば)の量は、サンプル中の生きた微生物細胞からの生物学的分析物を含むことになる。
【実施例】
【0117】
ここで、本発明は、できる限り可能な説明のため、発明者により予見されたいくつかの具体的な実施形態を参照にして記載されてきた。現在予見されていない修正などの、本発明の実体のない修正は、仮定的であっても、それらと同等のものを構成し得る。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される詳細及び構造によって限定されず、むしろ以下の請求項及びそれと同等のものによってのみ限定されるべきである。
【0118】
調製例1
ヒドロゲル重合中のヒドロゲルビーズへの細胞抽出剤の組み込み。
【0119】
ビーズは、PCT国際公開特許公報WO 2007/146722号の実施例1に記述されているように製造され、ここでは、脱イオン水が、望ましい搭載溶液に置き換えられた。20モルのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO20−TMPTA)(SR415、Sartomer(ペンシルバニア州エクセター)から販売)40グラム、脱イオン(DI)水60グラム、及び光開始剤0.8グラム(IRGACURE 2959、Ciba Specialty Chemicals(ニューヨーク州タリータウン)から販売)を混合することによって、均質な前駆体組成物を調製した。前駆体組成物を漏斗内へ注いで、前駆体組成物が、2.0ミリメートル径のオリフィスを通って漏斗から出るようにした。前駆体組成物は、0.91メートル長、51ミリメートル径の石英管の垂直軸に沿って落下した。石英管はUV曝露ゾーンを通って延びており、UV曝露ゾーンは、光シールドと、240W/cmの照射器(Fusion UV Systems、メリーランド州ゲーサーズバーグから販売)とによって画定されている。照射器には、25cm長の「H」バルブが備え付けられており、バルブは、バルブの向きが落下中の前駆体組成物と平行になるように、一体化された後部反射器に結合されている。照射器の下に、ポリマービーズが得られた。プロセス全体は、周囲条件の下で行われた。
【0120】
BARDAC 205 M及び208M(四級アンモニウム化合物とアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの配合物;Lonza Group Ltd.(スイス、ヴァレ)から販売)のヒドロゲルビーズが次のように調製された:PCT国際公開特許公報WO 2007/146722号の実施例1の記述に従い、20グラムのEO20−TMPTA、30グラムのBARDAC 205M又は208M溶液、及び0.4グラムのIrgacure 2959を混合し、UV光を照射して、ビーズを調製した。ビーズは、BARDAC 205M及び208Mの脱イオン水溶液12.5%及び25%(w/v)溶液を使用して調製した。ビーズ回収後、瓶に入れて室温で保管した。ビーズは以下のように命名された:
【0121】
【表1】

【0122】
調製例2
ヒドロゲル重合中のヒドロゲルビーズへのカチオン性モノマーの組み込み。
【0123】
カチオン性モノマーを有するポリマービーズは、PCT国際公開特許WO2007/146722号の実施例30〜34の記述に従って調製された。ビーズ製造に使用された前駆体組成物を表1に示す。前駆体組成物の種々の成分をアンバージャー内で、抗菌性モノマーが溶解するまで一緒に攪拌した。
【0124】
DMAEMA−CBrを、機械攪拌器、温度プローブ、及び凝縮器を取り付けた三つ口丸底反応フラスコ内で生成した。反応フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート234部、アセトン617部、1−ブロモエタン500部、及びBHT酸化防止剤0.5部を入れた。この混合物を24時間、35℃で攪拌した。この時点で、反応混合物を室温まで冷まし、わずかに黄色い透明溶液が得られた。この溶液を丸底フラスコに移し、減圧下40℃で回転蒸発によりアセトンを除去した。結果として得られた固体を、低温の酢酸エチルで洗い、減圧下40℃で乾燥させた。同様の手順を用いて、1−ブロモオクタンを1−ブロモデカン及び1−ブロモドデカンに置き換えることにより、それぞれDMAEMA−C10Br及びDMAEMA−C12Brが形成された。
【0125】
3−(アクリロアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドは、東京化成工業(Tokyo Kasei Kogyo Ltd)(日本)から入手した。Ageflex FA−1Q80MCは、Ciba Specialty Chemicalsから入手した。
【0126】
【表2】

【0127】
調製例3
ヒドロゲル重合中のヒドロゲルビーズへのルシフェリンの組み込み。
【0128】
ルシフェリンを含むヒドロゲルビーズが、次のように同様に生成された:PCT国際公開特許公報WO 2007/146722 A1号の実施例1の記述に従い、20部のEO20−TMPTAを、30部のルシフェリン(14mMのリン酸緩衝液30mL中2mg、pH 6.4)及び0.4部の光開始剤(IRGACURE 2959)を混合し、UV光を照射して、ビーズを調製した。このビーズは次いで瓶に入れて4℃で保管し、Luciferin−1sと命名された。
【0129】
調製例4
ヒドロゲル重合中のヒドロゲルビーズへのルシフェラーゼの組み込み。
【0130】
ルシフェラーゼを含むヒドロゲルビーズが、次のように生成された:PCT国際公開特許公報WO 2007/146722 A1号の実施例1の記述に従い、20部のポリマーを、30部のルシフェラーゼ(14mMのリン酸緩衝液30mL中、6.8mg/mLを150μL、pH 6.4)及び0.4部の光開始剤(IRGACURE 2959)を混合し、UV光を照射して、ビーズを調製した。このビーズは次いで瓶に入れて4℃で保管し、Luciferase−1sと命名された。
【0131】
調製例5
ヒドロゲル重合後のヒドロゲルビーズへの細胞抽出剤の組み込み。
【0132】
ヒドロゲルビーズは、PCT国際公開特許公報WO 2007/146722号の実施例1の記述に従い、調製された。活性ビーズは、PCT国際公開特許公報WO 2007/146722号の実施例19の記述に従って乾燥させ、次いで実施例23の記述に従って活性溶液に浸すことによって、調製された。ビーズ1グラムを60℃で2時間乾燥させて、ビーズから水を除去した。乾燥させたビーズを2グラムのBARDAC 205Mに、室温で少なくとも3時間〜一晩浸した。浸漬後、ビーズをブフナー漏斗に注いでビーズの水分を切り、次いで10〜20mLの蒸留水ですすいだ。ペーパータオルを押し付けることによって、過剰の水をビーズ表面から除去した。このビーズは、BARDAC 205Mの10%、12.5%、20%、25%、50%及び100%(w/v)水溶液、208Mの5%、10%、12.5%、25%及び50%水溶液、トリクロサン(Ciba Specialty Chemicals)の20%溶液、クロロヘキシジンジグルコネート(CHG;Sigma Aldrich(ミズーリ州セントルイス))の1%及び5%溶液、並びにセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB;Sigma Aldrich)の0.25%及び0.5%溶液を使用して調製された。このビーズは次いで瓶に入れて室温で保管された。ビーズは以下のように命名された。
【0133】
【表3】

【0134】
VANTOCIL(Arch Chemicals、コネチカット州ノーウォーク))、CARBOSHIELD(Lonza)及びVantocilとCarboShieldとの配合物のヒドロゲルビーズが同様に調製された。乾燥されたヒドロゲルビーズを、VANTOCILの50%溶液(蒸留水中)、又はCARBOSHIELD 1000の100%溶液、又はVantocil 50%溶液とCarboshield 100%溶液との1:1混合物に浸した。VANTOCILとCARBOSHIELDとの混合物を有するビーズは、25%のVantocilビーズ及び50%のCarboshieldのビーズをもたらした。このビーズは次いで瓶に入れて室温で保管し、以下のように命名された。
【0135】
【表4】

【0136】
調製例6
ヒドロゲル重合後のヒドロゲル繊維への細胞抽出剤の組み込み。
【0137】
ポリマー繊維は、米国特許出願公開第US2008/207794号の実施例1の記述に従って作製された。脱イオン水中で、約500グラムの40重量% 20モルEO20−TMPTA(SR415、Sartomerから販売)と、1重量%の光開始剤(IRGACURE 2959、Ciba Specialty Chemicalsから販売)とを含有する、均質な前駆体組成物が調製された。この前駆体組成物を、米国特許出願公開第US2008/207794号の実施例1の記述に従って処理して、ポリマー繊維を作製した。
【0138】
繊維1グラムを60℃で2時間乾燥させて、繊維から水を除去した。乾燥させた繊維を2グラムの50% BARDAC 205M溶液に室温で少なくとも3時間〜一晩浸した。浸漬後、繊維をブフナー漏斗に注いで繊維の水分を切り、次いで10〜20mLの蒸留水ですすいだ。ペーパータオルを押し付けることによって、過剰の水を繊維表面から除去した。この繊維は次いで瓶に入れて室温で保管された。
【0139】
調製例7
ヒドロゲル重合後のヒドロゲルビーズへのルシフェリンの組み込み。
【0140】
ヒドロゲルビーズ(1×グラム)を60℃で2時間乾燥させ、2×グラムのルシフェリン溶液(14mMのリン酸緩衝液30mL中2mg、pH6.4)に4℃で少なくとも16時間浸した。浸漬後、ビーズをブフナー漏斗に注いでビーズの水分を切り、次いで蒸留水ですすいだ。ペーパータオルを押し付けることによって、過剰の水をビーズ表面から除去した。このビーズは次いで瓶に入れて4℃で保管し、Luciferin−1pと命名された。
【0141】
調製例8
ヒドロゲル重合後のヒドロゲルビーズへの酵素の組み込み。
【0142】
ヒドロゲルビーズ(1×グラム)を60℃で2時間乾燥させ、2×グラムのルシフェラーゼ溶液(14mMのリン酸緩衝液30mL中、6.8mg/mLを150μL、pH6.4)に4℃で少なくとも16時間浸した。浸漬後、ビーズをブフナー漏斗に注いでビーズの水分を切り、次いで蒸留水ですすいだ。ペーパータオルを押し付けることによって、過剰の水をビーズ表面から除去した。リゾチーム又はリソスタフィンを含むヒドロゲルビーズは同様に、0.5mg/mLのリゾチーム又は50μg/mLのリソスタフィンを含む50mM TRIS溶液(pH 8.0)2×グラムに浸して調製した。このビーズは次いで瓶に入れて4℃で保管され、Luciferase−1p、Lysozyme−1p及びLysostaphin−1pと命名された。
【0143】
調製例9
ヒドロゲル重合及びヒドロゲルビーズへの細胞抽出剤組み込みの後の、ヒドロゲルビーズのサイズ選択。
【0144】
ヒドロゲルビーズは、PCT国際公開特許公報WO 2007/146722号の実施例1の記述に従い、調製された。このヒドロゲルビーズは、Glison Company(オハイオ州ルイスセンター)の、異なる微細シリーズのメッシュサイズであるNo.10(2.0mm)、No.12(1.7mm)、No.14(1.4mm)、No.16(1.18mm)及びNo.18(1.0mm)の8”(20.3cm)試験用丸型ふるいにかけて、均一なサイズのビーズを得た。ビーズは、モデルAS200振盪器(Retsch,Inc.(ペンシルバニア州ニュータウン))を使用し、1.00mm/「g」で15秒間隔に設定してふるいにかけた。各バッチの合計振盪時間は10分間であった。調製例5の記述に従って、さまざまにサイズ選択されたビーズから、活性ビーズが調製された。一部のビーズは、50%(w/v)BARDAC 205M水溶液を使用して調製された。他のビーズは、塩化ベンザルコニウム(BAC;Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル))の10%、17.5%、又は25%(w/v)水溶液を使用して調製された。このビーズは次いでアンバージャーに入れ、室温で保管された。ビーズは以下のように命名された。
【0145】
【表5】

【0146】
(実施例1)
S.aureus及びE.coli細胞からのATP放出に対する、BARDAC 205M消毒剤搭載ヒドロゲルビーズの効果
【0147】
この実施例で使用された微生物種(表2)はATCC(バージニア州マナサス)から入手された。3M(商標)Clean−Trace(商標)表面ATPシステム及びNG照度計UNG2は、3M Company(ミネソタ州セントポール)から入手された。レーヨン先端アプリケータは、Puritan Medical Products(メイン州ギルフォード)から入手された。BARDAC 205Mを含むビーズは、調製例5に従って作製された。
【0148】
【表6】

【0149】
微生物株の純粋培養物をトリプシン大豆培養液に接種し、37℃で一晩培養した。Clean−Trace表面ATP衛生試験の一部のスワブ(微生物細胞抽出剤を含む)を、滅菌済みレーヨン先端アプリケータ(微生物細胞抽出剤を含まない)に置き換えた。さまざまな量(1mL当たりそれぞれ約10、10及び10のコロニー形成単位(CFU))の細菌を、バターフィールド緩衝液中に懸濁させ、細胞懸濁液を直接、Clean−Trace表面ATPスワブ(10μL)又はレーヨン先端アプリケータ(100μL)に加えた。各スワブ又はアプリケータは、メーカーの指示に従い、試薬チャンバ内に押し込んで活性化した。試験装置をすぐに、NG照度計UNG2の読取りチャンバ内に挿入し、相対的光単位(RLU)の初期(T)測定値を記録した。BARDAC 205Mを含むヒドロゲルビーズ(205M−1p)1個を、試験装置の一部に加え、照度計の「Unplanned Testing(無計画試験)」モードを用いて、続くRLU測定値を20秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで行った。NG照度計に付属のソフトウェアを使用してデータをダウンロードした。205M−1pビーズは、表3のデータに示されているように、細菌を溶解させ、細胞からATPを放出させることができた。相対的光単位(RLU)は、BARDAC 205Mビーズがある場合は経時的に増加し、ビーズがない場合のバックグラウンド値は増加しなかった。Clean−Trace表面ATPスワブを使用した実験では、RLUは20秒以内に最大値に達してから、減少し始めたことを示した。
【0150】
【表7】

【0151】
(実施例2)
S.aureusからのATP放出に対する、VANTOCIL及びCARBOSHIELD消毒剤搭載ヒドロゲルビーズの効果。
【0152】
S.aureus一晩培養物が、実施例1の記述に従って調製された。VANTOCIL及び/又はCARBOSHIELDを含むヒドロゲルビーズは、調製例5の記述に従って調製された。ルシフェラーゼ/ルシフェリン液体試薬溶液(300μL)をClean−Trace表面ATP衛生試験装置から取り出し、1.5mL微量遠心管に移した。細菌培養物をバターフィールド緩衝液で10CFU/mLに希釈し、この希釈懸濁液10μLを、個々の微量遠心管に直接加えた(すなわち、管1本当たり約10CFU)。細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(FB−12単管照度計、Berthold Detection Systems USA(テネシー州オークリッジ))に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。FB12 Sirius PCソフトウェアを使用する照度計から、初期値(及びそれ以降の発光測定値)が得られた。光信号は1秒間集積され、その結果はRLU/秒で表わされる。
【0153】
VANTOCIL(Van−1p)、CARBOSHIELD(Carbo−1p)、又はVANTOCILとCARBOSHIELDとの両方(Van−Carbo−1p)を含むヒドロゲルビーズを個々の管に加え、RLU測定値を10秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで行った(表3)。
【0154】
表4に示すように、個々の消毒剤又は消毒剤混合物を含むヒドロゲルビーズは、S.aureus細胞からATPを抽出し、そのATPは、Clean−Trace表面ATP装置のATP検出試薬と反応した。相対的光単位(RLU)は、消毒剤を搭載したビーズを受け入れた管において経時的に増加したが、ビーズを含まない管では、時間が経ってもRLUの有意な増加は見られなかった。
【0155】
【表8】

【0156】
(実施例3).
S.aureus及びE.coli細胞からのATP放出に対する、消毒剤搭載ビーズの数の影響。
【0157】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。実施例1の記述に従って、3M Clean−Trace表面ATPシステムスワブを、滅菌レーヨン先端アプリケータに置き換えた。細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で約10CFU/mLに希釈した。この懸濁液の100μLアリコートをスワブに直接加えた。BARDAC 205Mヒドロゲルビーズは、調製例5の記述に従って調製された。最高3個のヒドロゲルビーズ(すなわちビーズ0個、1個、又は3個)を個々の試験装置に加え、各アプリケータをClean−Trace表面ATP試験装置に挿入して、メーカーの指示に従ってATP検出を作動させた。この試験装置をすぐにNG照度計UNG2の読取りチャンバに挿入し、照度計の「Unplanned Testing(無計画試験)」モードを用いて、RLU測定値を20秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで行った。結果を表5に示す。データは、BARDAC 205Mビーズ205M−1pが細菌を浸透化し、細胞からATPを放出させたことを示している。相対的光単位(RLU)は、BARDACビーズを含むサンプルにおいて経時的に増加し、ビーズの数が多い場合には短時間でより大きな増加が観察された。これに対して、ビーズのないサンプルでは、RLUの同じような増加は示されなかった。
【0158】
【表9】

【0159】
(実施例4)
さまざまな量の微生物細胞抽出剤にさらされた微生物細胞からのATPの検出。
【0160】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。これらの試験に使用する直前に、細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で希釈して、濃度約10及び10CFU/mLとした。Clean−Trace表面ATPシステムからルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬(300μL)を取り出し、1.5mL微量遠心管に加えた。10μLの量の細菌懸濁液を、試薬の入った個々の微量遠心管に直接加えた。BARDAC 205Mヒドロゲルビーズは、調製例5の記述に従って調製された。最高3個のヒドロゲルビーズ(すなわちビーズ0個、1個、又は3個)を各管に加えた。実施例2の記述に従い、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付きFB−12単管照度計)において、相対的光単位(RLU)を10秒間隔で記録した。この実験結果を表6に示す。この結果は、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)が、細菌を溶解させ、細胞からATPを放出させることができたことを示している。相対的光単位(RLU)は、少なくとも1個のBARDAC 205Mビーズを含む管において経時的に増加し、ビーズの数が多い場合に短時間でより大きな増加が観察された。ビーズを含まない管は、RLUの有意な増加は示さなかった。
【0161】
【表10】

【0162】
(実施例5)
BARDAC 205M抗菌剤を含むヒドロゲルビーズにさらされた、生きた微生物細胞及び死んだ微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0163】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。トリプシン大豆培養液中の一晩培養物1mL(約10CFU/mL)を10分間煮沸して、細胞を溶解させた。生きた細胞の懸濁液と死んだ細胞の懸濁液の両方を、バターフィールド緩衝液で約10及び10CFU/mLに希釈した。実施例1の記述に従って、3M Clean−Trace表面ATPシステムスワブを、滅菌レーヨン先端アプリケータに置き換えた。10μLの量の生菌の懸濁液、死菌の懸濁液、又は生菌の懸濁液と死菌の懸濁液との混合物を、レーヨンアプリケータ又はClean−Trace表面ATPスワブに直接加えた。BARDAC 205Mヒドロゲルビーズ(205M−1p)1個を試験装置に加え、各アプリケータ又はスワブを、Clean−Trace表面ATP試験装置に挿入して、メーカーの指示に従ってATP検出を作動させた。この試験装置をNG照度計UNG2機器に挿入し、照度計の「Unplanned Testing(無計画試験)」モードを用いて、このRLU測定値を15秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで行った。結果を表7に示す。死んだ細胞を含むサンプルで観察されたRLUは約30秒以内に最大値に達し、BARDACビーズを加えても、測定可能なRLUに有意な変化は生じなかった。生きた細胞及び死んだ細胞の両方を含むサンプルにおいては、BARDACビーズを加えると、数分間かけて比較的ゆるやかにRLUが増加し、ビーズが生きた細胞からATPを放出させたことを示している。一方、Clean−Trace表面ATPスワブ(細胞抽出剤を含む)を含む管は、RLUが最初に増加し、約30秒〜1分以内に最大値に達することを示した。
【0164】
【表11】

【0165】
(実施例6)
追加した純粋ATPの存在下でBARDAC 205M抗菌剤を含むヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0166】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。これらの試験に使用する直前に、細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で希釈して、濃度約10CFU/mLとした。Clean−Trace表面ATPシステムからルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬(300μL)を取り出し、1.5mL微量遠心管に加えた。ATP(Sigma−Aldrich)の100nM溶液を滅菌水で調製した。ATP溶液10μLを、試薬の入った個々の微量遠心管に加えた。細菌懸濁液10μLを、試薬及びATPの入った一部の管に加えた。BARDAC 205Mヒドロゲルビーズを、調製例5の記述に従って調製し、ビーズ1個(205M−1p)を一部の管に加えた。実施例2の記述に従い、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付きFB−12単管照度計)において、相対的光単位(RLU)を10秒間隔で記録した。この実験結果を表8に示す。この結果は、純粋なATP含有溶液に細菌を加えると、BARDAC 205Mビーズの存在下において、信号が増加することを示している。ビーズからの抽出剤は、細胞からATPを放出させることができ、これによりATP濃度の増加が生じ、これが純粋なATPバックグラウンドを上回る信号増加に寄与している。ビーズも細菌も含まない管は、純粋なATPのみの場合に比べて、RLUの有意な増加は示さなかった。
【0167】
【表12】

【0168】
(実施例7)
牛乳中の生きた微生物ATPの検出。
【0169】
S.aureusの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。BARDAC 205Mビーズは、調製例5の記述に従って調製された。新鮮な未殺菌牛乳を、ワイオミング州リバーフォールズの牧場から入手した。この牛乳をバターフィールド緩衝液で希釈した(100倍及び1000倍)。希釈した牛乳100μLを、1.5mL管中で、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬100μLと混合し、実施例2の記述に従い、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付きFB−12単管照度計)で、初期(T)発光測定値を記録した。数回の測定後、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)1個を牛乳に加え、続く発光測定値を10秒間隔で記録した。他のサンプルには、S.aureus(10μLバターフィールド緩衝液中に約10個の細胞)を加え、初期発光測定を行った後、205M−1pビーズ1個をサンプルに加えた。続く発光測定値を10秒間隔で記録した。結果を表9に示す。データは、牛乳に追加した細菌をBARDACビーズが溶解させ、細胞からATPを放出させることができ、これにより高い発光測定値が生じたことを示している。追加した細菌のないサンプルでは、BARDACビーズを追加した後の発光の同じような増加は示さなかった。
【0170】
【表13】

【0171】
(実施例8)
微生物ATPと体細胞ATPとの識別。
【0172】
CRFKネコ腎臓細胞(CCL−94、ATCC)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で、8%血清と共に、CO雰囲気中37℃で培養して、集密度70%を得た。瓶から培地を取り出し、細胞の単層を洗浄し、約5分間トリプシン化した(0.25%トリプシン)。離れた細胞を新鮮な培地で希釈し、3Kで5分間遠心分離にかけた。この細胞を更に2回洗い、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁させた。細胞をPBSで希釈して、望ましい細胞濃度を得た。1.5mL管中で、細胞100μLを、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬100μLと混合した。1つの実験において、この管を、実施例2の記述に従い、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付きFB−12単管照度計)に入れ、初期発光測定値を記録した。いくつかの初期測定後、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)1個を細胞懸濁液に加え、発光を10秒間隔でモニターした。別の実験において、S.aureus(バターフィールド緩衝液10μL中に約10個又は10個の細胞)を管に加えてから、発光測定を開始した。結果を表10に示す。データは、BARDACビーズが、哺乳類細胞及び細菌細胞の両方からのATP放出を引き起こし、ビーズを加えた後に発光の増加をもたらすことができたことを示している。別の実験において、CRFK細胞及びBARDACビーズの入ったサンプルで、発光がモニターされた。3分後、S.aureus細胞を同じサンプルに加え、更に2分間、発光がモニターされた。その結果は、表10に示すように、S.aureus細胞の追加によって発光量が増加したことを示している。
【0173】
【表14】

【0174】
(実施例9)
食物抽出物における生きた微生物細胞からのATPの検出。
【0175】
ストマッカーバッグ中のPBS 100mLに、食品サンプル10gを加え、ストマッカー中で消化することによって、さまざまな食物抽出物(ホウレンソウ、バナナ、七面鳥ひき肉)が調製された。100μLのホウレンソウ及びバナナ抽出物、並びに100μLの希釈した七面鳥肉抽出物(10倍及び100倍)を、1.5mL管中で、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬100μLと混合し、ベンチトップ型照度計(20/20n単管照度計、Turner Biosystems(カリフォルニア州サニーベール))でバックグラウンド測定値が測定された。照度計に付属の20/20n SISソフトウェアを使用する照度計から初期値(及びそれ以降の発光測定値)が得られた。光信号は1秒間集積され、その結果はRLU/秒で表わされる。何回かの測定後、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)1個を食物抽出物に加え、10秒間隔でATP放出がモニターされた。バックグラウンドレベルはバナナ及び七面鳥肉抽出物で非常に高く、BARDACビーズ追加によってレベルは増加した。2分後、S.aureus細胞(10個)を食物抽出物及びBARDACビーズを含む同じサンプルに加え、更に4分間、ATP放出をモニターした。ATPレベルは、S.aureus細胞の追加によって増加した(表11)。
【0176】
【表15】

【0177】
(実施例10)
水中の微生物細胞からのATPの検出。
【0178】
S.aureusの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。地域の冷却塔2ヶ所から、冷却塔水サンプルを取得した。各冷却塔の水100μLを、個々の1.5mL微量遠心管内で、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLと混合した。実施例9の記述に従い、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)で、10秒間隔で発光が測定された。何回かの測定の後、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)1個を水サンプルに加え、追加の発光測定値を記録して、水サンプル中の固有の細胞からATPが放出されたかどうかを調べた。同じ冷却塔からの冷却水の他のサンプルに対し、約10CFUのS.aureus(10μLのバターフィールド緩衝液中に懸濁)を、ルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬の入った個々の1.5mL管に加えた。ベンチトップ型照度計(20/20n単管照度計)で発光が測定された。バックグラウンド(T)測定を行った後、BARDAC 205Mビーズ(205M−1p)1個をサンプルに加え、10秒間隔で発光が記録された。結果を表12に示す。データは、水に追加した細菌をBARDACビーズが溶解させ、また細胞からATPを放出させることができ、これにより経時的に発光が増加したことを示している。
【0179】
【表16】

【0180】
(実施例11)
水性抽出剤、及び抽出剤を含むヒドロゲルビーズにさらされた生きた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0181】
BARDAC 205M及び208Mビーズが、調製例5の記述に従って製造された。1gのBARDAC 205Mビーズ(205M−1p)を、100mLの蒸留水に加え、水溶性抗菌剤成分をビーズからバルク溶媒中に45分間拡散させた。このビーズを取り出し、抗菌剤溶液(「ビーズ抽出液」)を取り置いた。放出された四級塩化アンモニウム(QAC)の量を、LaMotte QAC試験キットモデルQT−DR(LaMotte Company、メリーランド州チェスタータウン)を使用して推定した。45分経過後に放出されたQACの量は240ppmであった。
【0182】
蒸留水で、溶菌液(0.07% w/vクロルヘキシジンジグルコネート(CHG、Sigma Aldrich)及び0.16% w/v Triton−X 100、Sigma Aldrich)が調製された。実施例1の記述に従ってS.aureus一晩培養物を調製し、細胞をバターフィールド緩衝液で希釈した。約10個の細胞が入った1.5mL微量遠心管中に、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを加えた。溶菌液(25又は50μL)又はビーズ抽出液(25又は50μL)を、微量遠心管の1つに加え、結果として得られる発光を、実施例9の記述に従って、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)でモニターした。別のサンプルセットにBARDAC 205M又は208Mビーズ1個を加え、発光を同様にモニターした。結果を表13に示す。データは、細菌からのATPの放出によって生成された発光は、BARDACビーズを受け入れたサンプルにおいて非常にゆるやかであったことを示している。一方、溶菌液又はビーズ抽出液を受け入れたサンプルは、発光の急激な増加を示し、細菌からのATPの急速な放出に対応している。
【0183】
【表17】

【0184】
(実施例12)
さまざまな量の抽出剤を含むヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0185】
さまざまな量のBARDAC 205M又は208Mを有するヒドロゲルビーズが、調製例5の記述に従って調製された。S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。ビーズ1個又はClean−Trace表面ATPスワブを各管に加えた。細胞からのATP放出によって起こる発光を、実施例9の記述に従って、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)で10秒間隔で記録した。結果を表14及び表15に示す。データは、ビーズを含むサンプルにおいてATP放出が非常にゆるやかであったことを示している。一方、スワブ(これには細胞抽出剤溶液が含まれる)を含むサンプルでは、細胞からのATPの非常に急速な放出が示された。
【0186】
【表18】

【0187】
【表19】

【0188】
(実施例13)
さまざまな抗菌剤搭載ヒドロゲルビーズにさらされたS.aureusからのATPの放出。
【0189】
さまざまな量のBARDAC 205M又は208Mを有するヒドロゲルビーズが、調製例1の記述に従って調製された。S.aureus一晩培養物が、実施例1の記述に従って調製された。微量遠心管(1.5mL)が、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを加えることによって準備された。希釈した懸濁液100μLを、個々の微量遠心管に直接加えた(すなわち管1本当たり約10CFU)。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。抽出剤を含むヒドロゲルビーズを個々の管に加え、RLU測定値を10秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで、又は減少し始めるまで行った(表16)。データは、ビーズ製剤の4つすべてが、微生物細胞からのATP放出を起こしたことを示している。
【0190】
【表20】

【0191】
(実施例14)
抗菌剤搭載ヒドロゲルビーズにさらされたさまざまな微生物細胞からのATPの放出。
【0192】
さまざまな量のBARDAC 205M又は208Mを有するヒドロゲルビーズが、調製例5の記述に従って調製された。S.aureus、P.aeruginosa及びS.epidermidisの培養物が、実施例1の記述に従って調製された。微量遠心管(1.5mL)が、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを加えることによって準備された。希釈した懸濁液100μLを、個々の微量遠心管に直接加えた(すなわち管1本当たり約10CFU)。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。抽出剤を含むヒドロゲルビーズを個々の管に加え、RLU測定値を10秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで、又は減少し始めるまで行った(表17)。データは、ビーズ製剤すべてが、微生物細胞からのATP放出を起こしたことを示している。
【0193】
【表21】

【0194】
(実施例15)
BARDAC 205Mヒドロゲルビーズにさらされたさまざまな微生物細胞からのATPの放出。
【0195】
BARDAC 205Mの50%溶液を有するヒドロゲルビーズが、調製例5の記述に従って調製された。多くの異なる微生物の培養物が、実施例1の記述に従って調製された。微量遠心管(1.5mL)が、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを加えることによって準備された。希釈した懸濁液100μLを、個々の微量遠心管に直接加えた(すなわち管1本当たり約10又は10又は10CFU)。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。50% BARDAC 205M溶液から製造したヒドロゲルビーズ(205M−2p)を個々の管に加え、RLU測定値を10秒間隔で記録し、RLU値が平坦になるまで、又は減少し始めるまで行った(表18)。データは、BARDAC 205Mを含むヒドロゲルビーズがさまざまな微生物細胞からのATP放出を起こしたことを示している。
【0196】
【表22】

【0197】
(実施例16)
連続攪拌した場合と攪拌しない場合の、ヒドロゲルビーズを含むBARDAC 205Mにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0198】
BARDAC 205M(205M−2p)の50%溶液を有するヒドロゲルビーズが、調製例5の記述に従って調製された。S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU又は10含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。205M−1pビーズ1個を各管に加えた。一方の管セットは、各読取りの間5秒間、渦動させ、細胞からのATP放出による発光を10秒間隔で記録した。もう一方の管セットは、渦動させず、各読取りの間5秒間静置した。結果を表19に示す。データは、混合した管ではATP放出が非常に急速であり、混合しなかったサンプルでは非常にゆるやかであったことを示している。
【0199】
【表23】

【0200】
(実施例17)
ヒドロゲルビーズを含む、破砕したBARDAC 205M及び破砕していないBARDAC 205Mにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0201】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU又は10含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。BARDAC 205Mビーズ(205M−2p)1個を各管に加え、一方の管セットでは、滅菌綿棒の丸い端部を使ってビーズを破砕した。細胞からのATP放出による発光を、10秒間隔で記録した。結果を表20に示す。データは、破砕したビーズは細胞からATPを急速に放出し、一方で破砕していないビーズは、ATPレベルのゆるやかな増加を示している。
【0202】
【表24】

【0203】
(実施例18)
さまざまな抽出剤を含むヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0204】
さまざまな量のクロルヘキシジンジグルコネート(CHG)又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)及びトリクロサンを有するヒドロゲルビーズが、調製例5の記述に従って調製された。S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。抽出剤を含むビーズ1個を各チューブに加えた。細胞からのATP放出による発光を、10秒間隔で記録した。結果を表21に示す。データは、CHG、CTAB及びトリクロサンビーズが細胞からATPを放出させることができたことを示している。
【0205】
【表25】

【0206】
(実施例19)
カチオン性モノマーを含むヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0207】
カチオン性モノマーを有するヒドロゲルビーズが、調製例2の記述に従って調製された。S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。抽出剤を含むビーズ1個を各チューブに加えた。細胞からのATP放出による発光を、10秒間隔で記録した。結果を表22に示す。データは、カチオン性モノマーを含むビーズが、細胞からATPを放出させることができたことを示している。
【0208】
【表26】

【0209】
(実施例20)
微生物抽出剤を含むヒドロゲル繊維にさらされた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出。
【0210】
ヒドロゲル繊維は、調製例6の記述に従って調製された。S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを、各細菌培養物の1つを約10CFU又は10CFU含む個々の1.5mL微量遠心管に加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。抽出剤を含むヒドロゲル繊維約5mgを、各管に加えた。細胞からのATP放出による発光を、10秒間隔で記録した。結果を表23に示す。データは、微生物抽出剤を含む繊維が、細胞からATPを放出させることができることを示している。
【0211】
【表27】

【0212】
(実施例21)
水性抽出剤にさらされた生きた微生物細胞の懸濁液からのATPの検出
【0213】
BARDAC 205Mを水で希釈して、0.1%、0.5%、及び1%の水溶液とした。実施例1に説明されるようにS.aureus及びE.coli一晩培養物を調製し、細胞をバターフィールド緩衝液で希釈した。約10個の細胞が入った1.5mL微量遠心管に、Clean−Trace表面ATPシステムのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬100μLを加えた。実施例9の記述に従って、細菌懸濁液を加えてからすぐに、管をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)に入れ、RLUの初期(T)測定値を記録した。BARDAC 205M溶液を1〜5μLを、微量遠心管それぞれに加え、結果として生じる発光を、ベンチトップ型照度計(20/20n単管照度計)でモニターした。結果を表24に示す。良好な信号を達成するBARDAC 205Mの有効濃度は0.0025〜0.005%であった。
【0214】
【表28】

【0215】
(実施例22)
ルシフェリンヒドロゲルビーズ
【0216】
ルシフェリンを含むヒドロゲルビーズが、直接法(調製例3)又は後吸収法(post-absorption)(調製例7)のいずれかを使用して製造された。
【0217】
100μLのPBS、10μLの1μM ATP、及び1μLの6.8μg/mLルシフェラーゼを入れた微量遠心管が準備された。実施例9の記述に従い、バックグラウンド測定値をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計)で測定し、ルシフェリンを含むヒドロゲルビーズを管に加えた後、10秒間隔で測定した。後吸収ビーズは、調製ビーズよりも活性が高かった(表24)。
【0218】
【表29】

【0219】
(実施例23)
ルシフェラーゼヒドロゲルビーズ
【0220】
ルシフェラーゼを含むヒドロゲルビーズが、直接法(調製例4)又は後吸収法(調製例8)のいずれかを使用して製造された。
【0221】
100μLのルシフェラーゼアッセイ基質緩衝液(Promega Corporation、ウィスコンシン州マディソン)の入った微量遠心管が準備された。バックグラウンド測定値をベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計、実施例9の記述に従う)で測定し、ルシフェラーゼを含むヒドロゲルビーズを管に加えた後、10秒間隔で測定した。両方のタイプのビーズが、良好な活性を示した(表26)。
【0222】
【表30】

【0223】
類似の実験において、後吸収ルシフェラーゼビーズの数を増やした場合の効果が試験された。100μLのルシフェラーゼアッセイ基質緩衝液(Promega)の入った微量遠心管が準備され、ルシフェラーゼヒドロゲルビーズ(管1本当たりビーズ1〜4個)を加えた。すぐに、ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付きFB−12単管照度計、実施例2の記述に従う)で発光をモニターした。実験は同じものを3回実施した。表27に示す結果は、管当たりのビーズの数とルシフェラーゼ活性量との間には全般的に線形関係があることを示している。
【0224】
【表31】

【0225】
(実施例24)
さまざまなサイズのBARDAC 205M搭載ヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞からのATPの検出。
【0226】
S.aureus一晩培養物が、実施例1の記述に従って調製された。これらの試験に使用する直前に、細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で希釈して、濃度約10CFU/mLとした。Clean−Trace表面ATPシステムからルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬(600μL)を取り出し、1.5mL微量遠心管に加えた。10μLの量の細菌懸濁液を、試薬の入った個々の微量遠心管に直接加えた。サイズ選択されたBARDAC 205Mヒドロゲルビーズは、調製例9の記述に従って調製された。各サイズ選択された群のヒドロゲルビーズ3個を管に加え、各ビーズについて別々の管5本で試験を実施した。ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計、実施例9の記述に従う)で、10秒間隔で発光が測定された。この実験結果を表28及び29に示す。表に示す重量は、それぞれの各管中にあるビーズの合計質量を示す。この結果は、サイズ選択されたBARDAC 205Mビーズすべてが細菌を溶解させ、細胞からATPを放出させることができたことを示している。
【0227】
【表32】

【0228】
【表33】

【0229】
(実施例25)
さまざまなサイズの塩化ベンザルコニウム搭載ヒドロゲルビーズにさらされた微生物細胞からのATPの検出。
【0230】
S.aureus及びE.coliの一晩培養物を、実施例1の記述に従って調製した。これらの試験に使用する直前に、細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で希釈して、濃度約10CFU/mLとした。Clean−Trace表面ATPシステムからルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬(600μL)を取り出し、1.5mL微量遠心管に加えた。10μLの量の細菌懸濁液を、試薬の入った個々の微量遠心管に直接加えた。サイズ選択されたBACヒドロゲルビーズは、調製例9の記述に従って調製された。各サイズ選択された群から、ヒドロゲルビーズ6個(BAC−1p)又はヒドロゲルビーズ8個(BAC−2p、BAC−3p及びBAC−4p)を管に加え、各ビーズについて別々のいくつかの管で試験を実施した。ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計、実施例9の記述に従う)で、10秒間隔で発光が測定された。この実験の結果を表30〜32に示す。表に示す重量は、それぞれの各管中にあるビーズの合計質量を示す。この結果は、BAC搭載ビーズが細菌を溶解し、細胞からATPを放出させることができたことを示している。BACを含むサイズ選択されたビーズ(1.4〜1.7mm及び1.18〜1.4mmビーズ)は、複製でも一貫して、信号を着実に増加させた。
【0231】
【表34】

【0232】
【表35】

【0233】
【表36】

【0234】
(実施例26)
S.aureusからのATP放出に対する、塩化ベンザルコニウム搭載ビーズの数の影響。
【0235】
S.aureus一晩培養物が、実施例1の記述に従って調製された。これらの試験に使用する直前に、細菌懸濁液をバターフィールド緩衝液で希釈して、濃度約10及び10CFU/mLとした。Clean−Trace表面ATPシステムからルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬(600μL)を取り出し、1.5mL微量遠心管に加えた。10μLの量の細菌懸濁液を、試薬の入った個々の微量遠心管に直接加えた。サイズ選択されたBACヒドロゲルビーズは、調製例9の記述に従って調製された。さまざまな量のヒドロゲルビーズ(BAC−3p)を管に加え、いくつかの複製において試験を行った。ベンチトップ型照度計(ソフトウェア付き20/20n単管照度計、実施例9の記述に従う)で、10秒間隔で発光が測定された。この実験の結果を表33及び34に示す。表に示す重量は、それぞれの各管中にあるビーズの合計質量を示す。この結果は、BAC搭載ビーズが細菌を溶解し、細胞からATPを放出させることができたことを示している。BACを含むサイズ選択されたビーズ(1.18〜1.4mmビーズ)は、異なる量のビーズを有する複製でも一貫して、信号を着実に増加させた。
【0236】
【表37】

【0237】
【表38】

【0238】
ここで、本発明は、できる限り可能な説明のため、発明者により予見されたいくつかの具体的な実施形態を参照して記載してきた。現在予見されていない修正などの、本発明の実体のない修正は、仮定的であっても、それらと同等のものを構成し得る。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される詳細及び構造によって限定されず、むしろ以下の請求項及びそれと同等のものによってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の細胞を検出するための物品であって、前記物品は、開口部を備えたハウジング、サンプル取得装置、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含み、前記ハウジングは前記サンプル取得装置を受容するよう構成されている、物品。
【請求項2】
前記ヒドロゲルが前記ハウジング内に配置されている、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ヒドロゲルが前記サンプル取得装置内に配置されている、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記サンプル取得装置が中空シャフトを含み、前記ヒドロゲルが前記中空シャフト内に配置されている、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記サンプル取得装置が試薬チャンバを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記試薬チャンバが検出試薬を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記検出試薬が、酵素、酵素基質、指示染料、ステイン、抗体、及びポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記検出試薬が、ATPを検出するための試薬を含む、請求項6又は7に記載の物品。
【請求項9】
前記検出試薬が、ルシフェラーゼ又はルシフェリンを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記検出試薬が、アデニル酸キナーゼを検出するための試薬を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
サンプル中の細胞を検出するための物品であって、前記物品は、サンプルを受容するよう構成されている開口部を備えたハウジング、試薬チャンバを含むサンプル取得装置、及び細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含み、前記ヒドロゲルは前記試薬チャンバ内に配置されている、物品。
【請求項12】
前記ヒドロゲルが成形ヒドロゲルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記成形ヒドロゲルがビーズ、繊維、リボン又はシートである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロゲルが固体基材上にコーティングされている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記固体基材が、ポリマーフィルム、繊維、不織布、セラミック粒子、及びポリマービーズからなる群から選択される、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記細胞抽出剤が、四級アミン、ビグアニド、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、フェノール類、細胞溶解性ペプチド、及び酵素からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
前記細胞抽出剤が微生物細胞抽出剤である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
体細胞抽出剤を更に含む、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記ハウジング内にコンパートメントを形成する脆いバリアを更に含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記コンパートメントが検出試薬を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記検出試薬が、酵素、酵素基質、指示染料、ステイン、抗体、及びポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記検出試薬が、ATPを検出するための試薬を含む、請求項20又は21に記載の物品。
【請求項23】
前記検出試薬が、ルシフェラーゼ又はルシフェリンを含む、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記脆いバリアが前記ヒドロゲルを含む、請求項19に記載の物品。
【請求項25】
前記コンパートメントが前記ヒドロゲルを含む、請求項18〜23のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
前記ヒドロゲルが水膨潤ヒドロゲルを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の物品。
【請求項27】
サンプル中の細胞を検出するための物品であって、前記物品が、開口部を備えたハウジング、サンプル取得装置、及び少なくとも2つの種類のヒドロゲルを含み、前記ハウジングは前記サンプル取得装置を受容するよう構成されている、物品。
【請求項28】
前記少なくとも2つのヒドロゲル種類のうち1つが、細胞抽出剤を含む、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記2つのヒドロゲル種類のうち少なくとも1つが、検出試薬を含む、請求項27又は28に記載の物品。
【請求項30】
前記検出試薬が、酵素、酵素基質、指示染料、ステイン、抗体、及びポリヌクレオチドからなる群から選択される、請求項29に記載の物品。
【請求項31】
前記検出試薬が、ATPを検出するための試薬を含む、請求項29又は30に記載の物品。
【請求項32】
前記検出試薬が、ルシフェラーゼ又はルシフェリンを含む、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
サンプル中の細胞を検出するための物品であって、前記物品は、サンプルを受容するよう構成されている開口部を備えたハウジング、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、及び検出試薬を含み、前記ヒドロゲル及び前記検出試薬は前記ハウジング内に配置されている、物品。
【請求項34】
前記ハウジングがコンパートメントを更に含む、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記ヒドロゲル又は前記検出試薬が前記コンパートメント内に配置されている、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルが配置された、サンプル取得装置。
【請求項37】
前記細胞抽出剤が微生物細胞抽出剤を含む、請求項36に記載のサンプル取得装置。
【請求項38】
前記細胞抽出剤が体細胞抽出剤を含む、請求項36に記載のサンプル取得装置。
【請求項39】
検出試薬を含むヒドロゲルを含む、サンプル取得装置。
【請求項40】
サンプルを受容するよう構成されている開口部を含むハウジング、細胞抽出剤を含むヒドロゲル、及び検出システムを含む、キット。
【請求項41】
サンプル取得装置を更に含み、前記開口部が前記サンプル取得装置を受容するよう構成されている、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記細胞抽出剤が微生物細胞抽出剤である、請求項40又は41に記載のキット。
【請求項43】
体細胞抽出剤を更に含む、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルと、細胞を含むことが疑われるサンプルとを提供する工程と、
前記サンプルと前記ヒドロゲルとを含む液体混合物を形成する工程と、
前記液体混合物中の分析物を検出する工程と、
を含む、サンプル中の細胞を検出する方法。
【請求項45】
サンプル取得装置と、前記サンプル取得装置を受容するよう構成されている開口部を含むハウジングと、細胞抽出剤を内部に配置されて含むヒドロゲルとを提供する工程と、
前記サンプル取得装置でサンプル材料を取得する工程と、
前記サンプル材料と前記ヒドロゲルとを含む液体混合物を形成する工程と、
前記液体混合物中の分析物を検出する工程と、
を含む、サンプル中の細胞を検出する方法。
【請求項46】
細胞抽出剤を含むヒドロゲルを含むサンプル取得装置と、前記サンプル取得装置を受容するよう構成されている開口部を含むハウジングとを提供する工程と、
前記サンプル取得装置でサンプル材料を取得する工程と、
前記サンプル材料と前記ヒドロゲルとを含む液体混合物を形成する工程と、
前記液体混合物中の分析物を検出する工程と、
を含む、サンプル中の細胞を検出する方法。
【請求項47】
サンプル取得装置及びハウジングを提供する工程であって、前記ハウジングが、
前記サンプル取得装置を受容するよう構成された開口部と、
細胞抽出剤を含むヒドロゲルとを含む工程と、
前記サンプル取得装置でサンプル材料を取得する工程と、
前記サンプル材料と前記ヒドロゲルとを含む液体混合物を形成する工程と、
前記液体混合物中の分析物を検出する工程と、
を含む、サンプル中の細胞を検出する方法。
【請求項48】
前記分析物の検出が、生きた細胞の存在を示すものである、請求項44〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記分析物の検出が、検出システムの使用を含む、請求項44〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
分析物の検出が、微生物細胞に関係する分析物を検出することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
体細胞抽出剤を提供し、前記サンプルを前記体細胞抽出剤と接触させる工程を更に含む、請求項44〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記分析物の検出が、前記分析物の量を定量化することを含む、請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記分析物の量が、2回又はそれ以上定量化される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
第一時点で検出された前記分析物の量が、第二時点で検出された分析物の量と比較される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記分析物の検出が、細胞からのATPの検出を含む、請求項44〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ATPの検出が、微生物細胞からのATPの検出を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ATPの検出が、細菌細胞からのATPの検出を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記分析物の検出が、前記分析物を免疫学的に検出することを含む、請求項44〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記分析物の検出が、前記分析物を遺伝学的に検出することを含む、請求項44〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記分析物の検出が、前記サンプル中の生きた細胞から放出された酵素を検出することを含む、請求項44〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記分析物の検出が、比色法、蛍光法、又は発光法によって検出することを含む、請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記ヒドロゲルを圧縮する工程を更に含む、請求項44〜61のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−503988(P2012−503988A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529300(P2011−529300)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058538
【国際公開番号】WO2010/039627
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】