説明

生物学的標本を処理するための自動システムおよび方法

【課題】自動化および自動化に関する精度を増加させ、検査プロセスにおいて処理される標本の移動の量を減少させ、そして遅れ時間、不都合ならびに反復的な診断工程および処理工程に関する分解の可能性を減少させる、生物学的標本の処理および検査のシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】生物学的標本を処理するための方法であって、スライドに生物学的標本を提供する工程;該標本の画像を作成する工程;パターン認識技術を使用して、該画像を既知の情報と比較する工程;および該画像を解釈する工程を包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験室環境において、生物学的標本を処理および検査するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の設定において、生物学的標本の検査は、診断の目的で必要とされる。一般的に言えば、病理学者および他の診断医は、患者からのサンプルを収集して研究し、そして顕微鏡検査および他のデバイスを利用して、これらのサンプルを細胞レベルで評価する。多数の工程が、代表的に、病理学および他の診断プロセスに包含される。これらの工程としては、生物学的サンプル(例えば、血液および組織)の収集、サンプルの処理、顕微鏡スライドの準備、染色、検査、再試験または再染色、さらなるサンプルの収集、サンプルの再検査、および最終的には、診断知見の提供が挙げられる。多数の医療人員または獣医学人員が、診断プロセスに関与し得る。これらの人員としては、外科医、瀉血士または他のサンプルを収集する手術人員、病理学者、組織学者およびサンプルを処理し、輸送し、そして検査する他の人員などが挙げられる。手術室から実験室に渡し、そして診断医または外科医へと戻す、組織取り扱い手順の複雑さは、大きい医療環境(ここでは、1日の基礎で多量のサンプルが取り扱われ、処理され、そして検査される必要がある)において、次第に複雑になっている。
【0003】
組織取り扱い手順の種々の工程は、器具を使用して自動化されており、これらの器具の各々は、代表的に、専用のコンピュータまたはオンボードでコンピュータ化された制御器によって、制御される。いくつかの実験室においては、情報が、自動化された器具および/またはネットワーク化された実験室もしくは病院の情報システム(例えば、患者または追跡データの格納のためのもの)の間で、共有され得る。自動化された器具の1つの例は、自動組織処理システムであり、このシステムにおいて、自動化された様式で、生物学的サンプルが固定され、そしてパラフィンで浸潤される。このような組織処理システムは、TISSUE−TEK(登録商標)VIPTM処理システムおよびTISSUE−TEK(登録商標)XPRESS(登録商標)処理システムであり、これらは、Torrance,CaliforniaのSakura Finetek U.S.A.,Inc.から入手可能である。
【0004】
自動化の別の例は、自動化された顕微鏡スライドカバーガラス配置機であり、これは、カバーガラスを、顕微鏡のスライドに、自動化された様式で適用する。このような自動化されたカバーガラス配置機の例は、TISSUE−TEK(登録商標)SCATMカバーガラス配置機であり、これは、Torrance,CaliforniaのSakura Finetek U.S.A.,Inc.から入手可能である。実験室における自動化のさらなる例は、自動化された顕微鏡スライド染色機であり、ここで、種々の染料、他の試薬および洗浄液が、顕微鏡スライドのバッチに自動的に適用される。このような自動化されたスライド染色機の例は、TISSUE−TEK(登録商標)DRSTM染色機システムであり、これは、Torrance,CaliforniaのSakura Finetek U.S.A.,Inc.から入手可能である。
【0005】
自動化器具の補助にもかかわらず、病理学者、他の診断医および実験室の人員は、代表的に、生物学的サンプルの処理および検査の間の多数の工程に関わらなければならない。例えば、一旦、サンプルが染色されると、顕微鏡スライド上の切片化された染色済みサンプルは、代表的に、顕微鏡下で物理的に検査される。これは代表的に、顕微鏡スライドを、その実験室の外部にいる診断医に輸送することを包含するか、または他の場合においては、診断医がその実験室に行って、その顕微鏡スライドを検査することを包含し得る。この最初の検査工程に続いて、診断医は、さらなる試験が必要とされるか否かを評価する。このようなさらなる試験は、患者からさらなるサンプルを収集すること、またはすでに収集されたサンプルをさらに試験することを包含し得る。例えば、診断医は、既存のサンプルがさらに切片化され、そして異なる染色レジメンまたは他のプロトコルが適用されることを必要とし得る。この結果として、1回以上の収集、肉眼での検査、処理、浸潤、包埋、切片化、カバーガラスの配置、染色、検査などの反復が生じ得る。この全ての結果として、時間の遅れおよび組織の損傷が起こり得る。さらなる試験および手順の反復に続いて、病理学者は、検査プロセスを繰り返し、次いで、なおさらなる試験を、反復的な様式で、最終的な知見に達するまで必要とし得る。これらのプロセスにおいて、自動化された器具を用いてさえも、多数の輸送が存在し、そして人の介在が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、自動化および自動化に関する精度を増加させ、検査プロセスにおいて処理される標本の移動の量を減少させ、そして遅れ時間、不都合ならびに反復的な診断工程および処理工程に関する分解の可能性を減少させる、生物学的標本の処理および検査のシステムおよび方法が、必要とされる。さらに、これらのプロセスの増加した速度が、診断および処置を増強することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
生物学的標本を処理するための方法であって、
スライドに生物学的標本を提供する工程;
該標本の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該画像を既知の情報と比較する工程;および
該画像を解釈する工程、
を包含する、方法。
【0008】
(項目2)
上記標本の染色が、該標本の画像を作成する工程の前に望ましいか否かを決定する工程をさらに包含する、項目1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0009】
(項目3)
上記標本の染色が望ましいか否かを決定する工程の後に、該標本の染色を実施する工程をさらに包含する、項目2に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0010】
(項目4)
上記標本の第二の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該第二の画像を既知の画像と比較する工程;および
該第二の画像を解釈する工程、
をさらに包含する、項目3に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0011】
(項目5)
第二の標本が、上記画像を解釈する工程の後に望ましいか否かを決定する工程をさらに包含する、項目1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0012】
(項目6)
上記第二の標本を有する第二のスライドを得る工程をさらに包含する、項目5に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0013】
(項目7)
上記第二の標本を染色する工程をさらに包含する、項目6に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0014】
(項目8)
上記第二の標本の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該第二の標本の画像を既知の画像と比較する工程;および
該第二の標本の画像を解釈する工程、
をさらに包含する、項目7に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0015】
(項目9)
上記スライドに生物学的標本を提供する工程が、
生物学的材料を得る工程;
該材料の切片を作製する工程;および
該材料の切片を顕微鏡スライド上に配置する工程、
を包含する、項目1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0016】
(項目10)
上記スライドに標本を提供する工程が、該標本を染色する工程をさらに包含する、項目9に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0017】
(項目11)
上記スライドに標本を提供する工程が、上記顕微鏡スライドにカバーガラスを配置する工程をさらに包含する、項目9に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0018】
(項目12)
上記標本の画像を作成する工程が、
該標本が顕微鏡によって見えるように、上記スライドを位置決めする工程;および
該標本の画像を記録する工程、
を包含する、項目1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0019】
(項目13)
上記標本の画像を記録する工程が、該標本のデジタル画像を得る工程を包含する、項目12に記載の生物学的標本を処理する方法。
【0020】
(項目14)
生物学的標本を処理するシステムであって、
生物学的材料取り扱いシステム;
該材料取り扱いシステムと通信する、通信インフラストラクチャ;
該通信インフラストラクチャと通信し、そしてスライドの画像データを生成する、スライド画像化モジュール;および
該画像データの初期解釈を生成するために、該スライド画像データを利用して、該スライド画像化モジュールと通信する、解釈モジュール、
を備える、システム。
【0021】
(項目15)
染色指示データを生成する決定モジュール;および
少なくとも1つの染色手順を実施し、そして該染色指示データを受信する、スライド染色モジュール、
をさらに備える、項目14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【0022】
(項目16)
切片化デバイス;および
切片化指示受信モジュール、
をさらに備える、項目15に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【0023】
(項目17)
カバーガラスモジュールをさらに備える、項目16に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【0024】
(項目18)
上記解釈モジュールが、上記通信インフラストラクチャを介して上記スライド画像化モジュールと通信している、項目14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【0025】
(項目19)
上記解釈モジュールが、直接データ経路を介して上記スライド画像化モジュールと通信している、項目14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【0026】
(項目20)
スライド解釈の方法であって、
生物学的標本の画像を得る工程;
既知の情報を有するデータベースにアクセスする工程;
パターン認識技術を使用して、該画像を該既知の情報と比較する工程;および
該画像を解釈する工程、
を包含する、方法。
【0027】
(項目21)
上記画像を解釈する工程が、
上記画像と上記既知の情報との間の1つ以上の比較を評価する工程;
該画像が既知の情報からなるか否かの決定を行う工程;および
該決定を通信する工程、
を包含する、項目20に記載のスライド解釈の方法。
【0028】
(項目22)
上記決定を通信する工程が、上記標本の画像が同じ型の標本の正常な画像からなるか否かを通信する工程を包含する、項目21に記載のスライド解釈の方法。
【0029】
(項目23)
上記決定を通信する工程が、上記標本の第二の画像が既知の情報とのさらなる比較を受けることが望ましいか否かを通信する工程をさらに包含する、項目22に記載のスライド解釈の方法。
【0030】
実験室用スライドを管理および解釈するための、自動化されたシステムおよび方法であって、スライドが染色され、次いでデジタル画像化され、そしてこれらの画像が、診断のための照会および記憶装置への配置の前に、解釈される。これらの画像の解釈は、デジタル化された画像を種々の供給源からの既知のサンプルパターンと比較することへの、パターン認識原理の適用を包含する。さらに、この解釈の結果に基づいて、スライドは、さらなる試験または染色を受け得、そしてさらなるサンプルが、調製され得、そして試験され得る。これらの標本は、試験的な診断と共に、診断医に送達され得る。
【0031】
(発明の要旨)
本発明は、自動化された生物学的標本処理および試験の公知のシステムおよび方法の欠点を、自動化されたシステムを提供することによって、かなりの程度まで軽減する。本発明の自動化されたシステムにおいて、生物学的標本は、ネットワーク通信を介して提供されるフィードバックデータを用いて処理され、そして診断画像データが作成され、そして所望の人物(例えば、診断医)に送達され、そしてさらなる指示が、反復的な処理および再検討のために生成され得、所望であれば、個々のスライドの再検討の必要がない。
【0032】
本発明のシステムにおいて、生物学的サンプルを収集および処理し、顕微鏡データの画像を撮影し、これらの画像を再検討のために望ましいように送達し、次いでさらなる処理工程を決定するための、自動化された処理装置が提供される。1つの実施例において、標本が収集され、次いで、染色された顕微鏡スライドを作製するために、必要に応じて処理される。この実施例は、自動化された組織処理(パラフィン浸潤が挙げられる)を包含し、データが、病院または実験室の情報システムに記録される。この処理された標本は、必要に応じて、同じ自動化機械または別の自動化機械においての包埋のために、次に回される。ここでまた、データが、必要に応じて生成され、そして記録される。次いで、包埋された標本は、切片化のために次に回され得、データがまた、必要に応じて生成され、そして記録される。これらの切片は、必要に応じて、顕微鏡スライド上に配置され、カバーガラスを配置され、そして必要に応じて、任意の所望の順序で、パラフィンを除去され、洗浄され、そして染色される。データがまた、これらの自動化プロセスにおける任意の所望の時点で、必要に応じて生成され、そして記録される。完成した顕微鏡スライドは、顕微鏡検査下で、例えば、電荷結合素子(CCD)イメージャーデジタルカメラを使用することによって画像化され、そしてこの画像データは、必要に応じて格納され、そして送達される。1つの実施形態において、この画像データは、解釈モジュール(例えば、パターン認識システム)に回され、このモジュールは、予備的な診断(例えば、パターンデータベースまたはパターン決定プロトコルとの比較に基づく)を行う。さらなる顕微鏡スライドの作製は、この解釈システムの決定(例えば、さらなる染色;またはさらなる切片化、染色、カバーガラス配置;またはさらなるサンプル収集、処理、包埋、切片化、カバーガラス配置など)に依存して、自動的に指示され得る。次いで、さらなる画像が作成され、そして必要に応じてパターン認識モジュールを使用して検査され、そして何らかのさらなる処理が、必要とされ得る。
【0033】
さらに、診断医(例えば、外科医または病理学者)は、この画像データにアクセスし得、そして解釈モジュールが、このプロセスの間の任意の時点または終了時に、報告を行ない、必要に応じて、さらなる診断活動を要求するか、または自動化システムに指示を与える。1つの実施例において、診断医は、さらなる切片化プロトコルおよび染色プロトコルが実施されることを指図する。さらに、画像データまたはパターン認識の報告に基づいて、診断医は、1つ以上の顕微鏡スライドを、ヒトによる検査のために送達することを要求し得る。あるいは、このシステムは、1つ以上の顕微鏡スライドを、診断医への送達のために指定された領域に自動的に位置決めし得るか、またはこのシステムは、これらのスライドを、他の任意の方式で利用可能にし得、これによって、診断医による検査が実施され得る。
【0034】
1つの実施形態において、「反射染色」手順が、実行される。この手順において、システムは、生物学的サンプルの特定の染色および/または試験を、解釈モジュールの報告のパターン認識報告に基づいて、推奨する。
【0035】
本発明の別の局面において、情報と生物学的サンプルとの両方の移動が、提供される。例えば、生物学的サンプルは、処理、包埋、顕微鏡切片作成法、染色および必要に応じたカバーガラス配置のシステムを通して、イメージャーへと進められる。画像化の後に、このサンプルは、さらなる切片化、染色などを受け得、その後、病理学者または記憶装置に送られ得る。この材料処理デバイスにおいて生成された情報は、他のデバイスおよびコンピュータ(とりわけ、解釈モジュール、情報システム、診断医のワークステーションが挙げられる)によってアクセスされ、そして他の様式で共有され得る。
【0036】
本発明の別の局面において、画像データは、情報経路(例えば、1つのネットワークまたは複数のネットワーク)を通して、解釈モジュールに伝達され得、この解釈モジュールは、1つ以上のデータベースと通信しており、そして自動化された解釈を補助するための、パターン認識を実施する。一旦、解釈が結果を生成すると、このシステムは、この材料がさらなる試験を受けるように経路決めし得るか、さらなる材料が試験されるように要求し得るか、またはこの材料を診断医もしくは保存設備へと経路決めし得る。1つの実施例において、診断医は、結果が自分の考慮のために利用可能であることを、電気的な通知(例えば、電子メール、コンピュータスクリーンのポップアップ通知、バナー通知、ポケットベルメッセージまたは自動電話による呼び出し)によって知らされ得る。診断医は、画像データ、解釈報告、および/または他のデータを考慮し得、そしてその解釈に同意しても、同意しなくても、他の診断を提供しても、他のさらなる手順を指図してもよい。診断医または技術者はまた、必要に応じて介入して、解釈モジュールによるさらなる手順の推奨を無視し得る。
【0037】
このシステムは、サンプルを種々の様式で経路決めし得る。例えば、サンプルは、正常であると解釈され得、そして診断医に発送され得る。あるいは、サンプルは、異常または疾患であると解釈され得、そして予備的な知見とともに、診断医に発送され得る。このサンプルはまた、知見も推奨も確認されずに異常であると解釈され得、従って、評価のために診断医に送られ得る。
【0038】
解釈モジュールは、画像化システムによって提供される画像データに加えて、その報告を述べるために任意の所望のデータにアクセスし得る。例えば、解釈モジュールは、患者の記録を考慮して、以前の状態および種々の持病に関する既知の危険因子を決定し得る。同様に、情報システム内の他の画像が比較され得、そして複数の目的(例えば、疾患の進行の評価)を達成するために、考慮され得る。このプロセスにおいて獲得された情報に基づいて、このシステムは、特定の患者の進行中の状態をモニタリングし得るか、またはこのシステムをより広範な規模で使用して、多数の個体に関する疫学的情報を評価し得る。
【0039】
本発明の1つの手短な局面において、生物学的標本を処理するシステムが提供され、このシステムは、生物学的材料取り扱いシステム、この材料取り扱いシステムと通信する通信インフラストラクチャ、スライド画像化モジュール、およびこのスライド画像化モジュールと通信している解釈モジュールを備える。この解釈モジュールは、画像データの初期の解釈を生成するために、スライド画像データを利用する。このスライド画像化モジュールは、直接データリンク(無線もしくは有線)を介してか、通信インフラストラクチャを介してかのいずれかで、またはこれらの両方を介して、解釈モジュールと通信する。本発明の他の局面において、決定モジュール(染色指示データを生成する)および/またはスライド染色モジュール(少なくとも1つの染色手順を実施してこの染色指示データを受信する)、ならびに/あるいは切片化デバイス、および/または切片化指示受信モジュール、および/またはカバーガラス配置モジュール、および/または他の材料取り扱い構成要素もしくは材料処理構成要素(材料画像データを作成し、そしてこの画像データを、観察または解釈のために、自動化システムおよび/または人のいずれかに移動させるために適切である)が備えられる。
【0040】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明を、添付の図面と共に検討することによって、明らかになる。図面において、同じ参照番号は、全体を通して、同じ部品を表す。
【発明の効果】
【0041】
本発明によって、自動化および自動化に関する精度を増加させ、検査プロセスにおいて処理される標本の移動の量を減少させ、そして遅れ時間、不都合ならびに反復的な診断工程および処理工程に関する分解の可能性を減少させる、生物学的標本の処理および検査のシステムおよび方法が、提供される。さらに、これらのプロセスの増加した速度が、診断および処置を増強する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(発明の詳細な説明)
以下の段落において、本発明は、添付の図面を参照して、例として詳細に記載される。本明細書全体にわたって示される好ましい実施形態および実施例は、本発明の限定としてではなく、例としてみなされるべきである。本明細書中において使用される場合、「本発明」とは、本明細書中に記載される本発明の実施形態のいずれか1つ、およびあらゆる均等物をいう。さらに、本明細書全体にわたる本発明の種々の局面に対する言及は、全ての本願の実施形態または方法が、参照される局面を包含しなければならないことを意味するわけではない。
【0043】
概要において、本発明のシステムは、図1に示されるような一連の操作を実施するための装置およびシステム(組織収集、処理、検査および反復する処理または収集が挙げられる)を含む。ボックス10に図示されるように、生物学的サンプルが、例えば、生検または血液の引き抜きを介して、収集される。この生物学的サンプルは、材料取り扱いシステムに、手での輸送、カートまたは自動化された輸送を介してのいずれでも、運ばれる。病院の実施形態において、この標本は、現場にあっても離れた位置にあっても、医療実験室に送達され得る。標本、または標本群は、ボックス20に図示されるように、所望の検査のために適切な状態に処理される。
【0044】
このような検査のためにサンプルを処理するための、多数の可能性が存在する。例えば、血液サンプルが引き抜かれ得、そして少量が、顕微鏡スライド上に配置され得、そしてカバーガラスを配置され得る。(例えば、血液学の実験室においてなされるように)。次いで、必要に応じた染色または他の試験プロトコルが、実施され得る。図2〜図5に図示される実施形態において、組織サンプルは、検査のために適切な状態に処理され得る。例えば、パラフィンで浸潤および包埋され、切片化され、染色/試験され、顕微鏡スライド上に配置され、そしてカバーガラスを配置される。一般的にいえば、このシステムは、画像化モジュールにおける画像化、ならびに診断医による画像データおよび/またはサンプルの検査を可能にするために充分な、生物学的サンプルの処理を提供する。本明細書中において使用される場合、「診断医」とは、画像データを見ることを望み得るあらゆる人物(例えば、病理学者、外科医、看護士、研究者、技術者、および管理者)をいうことに留意するべきである。
【0045】
サンプルまたはサンプル群が、検査のために準備された後に、ボックス30に図示されるように、このサンプルは検査され得、そしてデータが、診断医および/または解釈モジュールに利用可能にされ得る。1つの実施形態において、この検査は、例えば顕微鏡を介して、光学的に実施されるが、他の形態の検査もまた、実施され得る。画像データは、例えば、CCD技術を含むデジタルイメージャーを使用して、作成され得る。この画像データは、好ましくは、所望される場合に診断医によってアクセスされるために利用可能にされ、そして必要に応じて、診断医は、例えば、電子的な通知によって、例えば、電子メール、コンピュータスクリーンのポップアップ通知、バナー通知、ポケットベルメッセージまたは自動電話による呼び出しによって、通知される。好ましい実施形態において、この画像データはまた、解釈モジュールにアクセスされ得るか、または他の様式で利用可能にされ得る。この解釈モジュールは、予備診断を行うために、診断処理を、例えば、パターン認識技術を使用することによって実施し、そしてさらなる処理についての指示または推奨を生成する。さらなる処理(ボックス40に図示される)としては、さらなる生物学的サンプルを収集すること、またはすでに収集されたサンプルをさらに処理すること(例えば、(ボックス10および20に図示されるものに対する)さらなる試験手順もしくは染色プロトコル、または異なる試験手順もしくは染色プロトコルの実施)が挙げられ得る。次いで、サンプルの検査、画像化および解釈が、システムまたは診断医が完了したとみなすまで続けられ得る。これらの繰り返される試験および検査は、本明細書中で、反復する処理、試験または検査と称される。本発明の別の局面において、診断医は、解釈モジュールによって作成された比較データに基づく報告にアクセスし得る。本発明のさらなる局面において、診断医は、さらなる反復する処理、試験または検査を指図または実施し得る。
【0046】
図2〜図5は、本発明に従って、生物学的標本を処理および検査するための、自動化システムの例を図示する。これらの図において、情報経路は、実線および/または実線矢印で図示されており、そして材料経路は、二重線および白抜き矢印で示されている。本明細書中において使用される場合、「材料」とは、医療手順、剖検、獣医学的手順、または研究実験室手順において検査され得る、あらゆる生物学的材料(組織学的標本および細胞学的標本が挙げられる)をいう。生物学的材料としては、組織サンプルまたは組織標本、および/もしくは生物学的流体(例えば、血液、血漿など)が挙げられ得る。図示される実施例は、組織に関して記載されるが、記載されるシステムは、そのように限定されない。本明細書中において使用される場合、生物学的材料は、標本、サンプルまたは材料と交換可能であるように言及される。
【0047】
図示される実施例において、材料経路は、実験室または病院において物理的にサンプルが移動し得る輸送経路の例を表す。1つのステーションから次のステーションへの材料の代表的な進行が、矢印の方向によって示される。しかし、処理ステーションは、材料の流れの方向と同様に、例として提供されることが理解されるべきである。より多いか、より少ないか、または他の処理ステーションが、本発明の実施において使用され得ること、ならびに/あるいはより多いか、より少ないか、または他の材料経路および方向が、本発明の実施において使用され得ることが、理解されるべきである。
【0048】
材料経路によって示されるように材料を輸送するために充分な、任意の形態の輸送が使用され得る。例えば、材料は、1つのステーションから次のステーションへとロボットにより輸送され得る。材料はさらに、または代替的に、1つのステーションから次のステーションへと手で運ばれ得る。さらに、材料を1つのステーションから別のステーションへと物理的に移動させることを必要とせずに、1つの機械が複数の工程を実施し得る。
【0049】
図2の実施形態において、肉眼検査ステーション1080が提供され、このステーションにおいて、組織の肉眼検査操作が実施され得る。もちろん、肉眼検査は、常に必要なわけではないこと(特に、生物学的流体を処理する場合)が理解されるべきである。肉眼検査ステーションの後に、サンプルは、図示される実施例において、処理および包埋ステーション1090へと、材料経路1087上を移動し得る。
【0050】
処理および包埋ステーションは、パラフィンで浸潤および包埋されたサンプルに至る、手動または自動の処理を包含し得る。処理および包埋システム1090は、複数片の自動処理設備を備え得るか、またはこのシステムは、1つ以上の片の自動処理設備と手動プロセスとの組み合わせを備え得ることが、理解されるべきである。1つの実施例において、自動化組織プロセッサが、処理および包埋ステーション1090において使用される。別の実施形態において、自動化包埋器具が使用される。別の実施形態において、これらの器具は、2つの異なる位置にあり、そしてこれらの位置の間に、材料経路(図示せず)が存在する。あるいは、これらの器具は、1つの器具に組み込まれ得るか、または間の輸送を自動化して2つの器具に組み込まれ得る。同じことが、本明細書中で議論される全ての処理ステーションについて、あてはまる。すなわち、これらの処理ステーションは、必要に応じて組み合わせられ得、そして自動化され得る。このことは、利用可能であるか、開発中であるか、または場合により将来開発される、多数の自動化解決法のいずれについても、本発明のシステムが適用可能である点で、本発明のシステムの融通性を反映する。
【0051】
処理および包埋システム1090に続いて、材料は、経路1097に沿って、顕微鏡切片作成ステーション1100(「顕微鏡切片作成法」ともまた称される)に輸送され得る。材料の切片(すなわち、スライス)は、顕微鏡切片作成ステーション1100において作製されるが、顕微鏡検査のために十分に薄い切片を作製する任意の技術が使用され得ることが、理解されるべきである。薄い材料切片が検査のために必要とされない場合、顕微鏡切片作成法は必要とされないことが、理解されるべきである。
【0052】
本発明の代表的な実施において、顕微鏡切片作製ステーション1100において作製される切片は、顕微鏡スライド上に配置される。顕微鏡切片作成法1100に続いて、生物学的組織の切片(およびスライド)は、経路1107に沿って、染色システム1110へと移動し得る。任意の染色または他の試験プロトコルが、必要に応じて実施され得る。好ましい実施形態において、自動化染色機が使用される。1つの実施例において、ヘマトキシリンおよびエオシン(「H&E」)での染色が、染色システム1110において実施される。染色に続いて、サンプルは、材料経路1117に沿って、カバーガラス設置システム1120に輸送され、カバーガラスを配置され得る。カバーガラス配置および染色は、両方とも任意であり、そして包含される場合、手動で実施されても自動的に実施されてもよいことが、理解されるべきである。
【0053】
図2に示される実施形態において、染色システム1110は、カバーガラス配置システム1120の前に、材料経路に沿って位置するが、この配置は必須ではなく、これらのシステムに関連する工程は、他の順序で実施され得る。1つの特に望ましい実施例において、カバーガラス配置システム1120は、染色システム1110の前に位置する。この実施例において、カバーされたスライドは、顕微鏡スライドに適用され得、次いで、カバーガラスが、染色システム1110に輸送され得る。染色後、このスライドは、イメージャー1130に進められ得る。
【0054】
1つの実施形態において、カバーガラス配置システムおよび染色システムは、自動化され、そして1つの自動化デバイスに組み合わせられる。別の代替例において、カバーガラス配置システムは、必要とされない。なお別の実施形態において、カバーガラス配置システム1120は、材料経路中で、イメージャー1130の下流に位置する。従って、カバーガラスが適用される場合、この適用は、画像化の前または後のいずれか、および染色の前または後のいずれかで、任意の望ましい位置で行われ得ることが、理解されるべきである。一般的にいえば、カバーガラス配置システム1120に続いて、検査前処理が完了し、そして組織サンプルは、検査処理の準備ができている。
【0055】
材料が材料経路に沿って処理システムを通って進むにつれて、情報が、多数のデバイスの間で、通信インフラストラクチャ1200を形成する種々の情報経路を使用して共有され得る。通信インフラストラクチャ1200は、個人と、コンピュータシステムと、そして/または自動化処理システムとの間での通信を可能にする、任意の形態の通信システムであり得ることに留意するべきである。1つの実施例において、通信インフラストラクチャは、有線であるか、無線であるか、または有線と無線との組み合わせである、コンピュータネットワークであり得る。例えば、情報アクセス点は、ネットワークに有線接続され得、そして/または無線ポータルを介してこのネットワークに接続され得る。図示される実施例は、通信がネットワークを介して実施されるネットワークシステムを示すが、直接通信もまた、考慮され得る。例えば、1つの実施形態において、処理および包埋システム1090は、染色システム1110との直接通信を有し得、そして染色システム1110中のノードを介する通信ネットワークにアクセスし得るか、あるいは処理および包埋システム1090は、直接ネットワークリンクを有し得る。種々のシステム構成要素の間での情報の適切な共有を可能にする、任意の適切な通信経路構造体が企図されることが、理解されるべきである。同様に、他の実施形態において、全てのシステム構成要素が、直接通信経路を有さないかもしれないことが、理解されるべきである。さらに、通信経路は、任意の形態(例えば、デジタル、アナログ、有線、無線、紙、口頭、電話など)を採り得ることが、理解されるべきである。
【0056】
1つの実施形態において、実験室のネットワークが、実験室の器具(参照番号1080、1090、1100、1110、1120、1130、1140、1230、で示される)と、実験室の情報システム1220と、他のワークステーション1240および1245(これは、例えば、1つ以上のパーソナルコンピュータおよび/またはコンピュータサーバのようなコンピュータシステムを備え得る)との間の通信インフラストラクチャ1200の一部として提供され得る。実験室のネットワークは、病院のネットワークとネットワークを形成し得、この病院のネットワークもまた、通信インフラストラクチャ1200の一部である。このような実施形態において、他のデバイスは、実験室の情報システム1220または他の実験室デバイスにおいて、通信インフラストラクチャ1200を介して利用可能な情報へのアクセスを有し得る。このような他のデバイスとしては、例えば、診断医ワークステーションまたは管理者ワークステーション1240、病院の情報システム1210、およびいくつかの実施形態においては、解釈モジュール1230もまた挙げられる。情報経路の融通性は、必要な情報の流れが、処理されている生物学的サンプルの望ましいものを追跡すること、および必要な情報を適切なユーザに分配することを可能にすることに関することが、理解されるべきである。多数の代替の通信システム構造体は、この必要性に合うように選択され得、そして図示および議論される実施例は、説明の目的のみで提供され、このシステムの範囲も融通性も制限しない。
【0057】
図示される実施例を参照すると、情報経路1085は、肉眼検査ステーション1080と他の任意の望ましい構成要素との間の、通信インフラストラクチャ1200を介する通信経路の一例を現す。同様に、通信経路1095、1105、1115、1125、1135、1155、1215、1225、1235、1245、1255、および1265は、処理および包埋ステーション1090と、顕微鏡切片作成法1100と、染色システム1110と、カバーガラス配置システム1120と、イメージャー1130と、格納設備1150と、病院の情報システム1210と、実験室の情報システム1220と、解釈モジュール1230と、診断医ワークステーション1240と、技術者ワークステーション1250と、そして/またはローカルもしくはリモートのデータ記憶装置1260、あるいは他の任意の望ましい構成要素との間の通信経路の例を表す。
【0058】
情報の共有は、自動化されても、手動であっても、概念上のものであってもよい。例えば、情報は、互いに通信する2つの機械によって直接共有され得、この情報が、この情報を別のデバイスに手で入力し得るユーザに利用可能にされ得るか、または図2に示される1つより多くのデバイスを備える1つの機械が、内部通信して係合し得る。この情報の共有は、しばしば、双方向通信を包含する。例えば、慢性的な状態を有する患者からの画像が、患者情報記憶装置のデータベースに送信され得、そしてこの状態の進行をモニタリングする目的で、同じ患者に関して以前に得られた情報が、このデータベースから検索される。別の実施形態において、材料経路における各ステーションは、通信インフラストラクチャ1200を介して通信し得、そしてこれらのステーションは、これらの材料経路に沿った材料の進行、および他の情報を、以下でさらに詳細に議論されるように、通信し得る。
【0059】
本発明の別の実施形態において、このシステム全体にわたる生物学的標本、容器、加工片、および位置は、機械が理解可能な暗号(例えば、RFIDタグ、形状識別子、色識別子、数字または単語、他の光学的な暗号、バーコードなどによって提供される)を用いて、同定され得る。これらの識別子は、データベースに提供されるデータ(例えば、PC(任意の計算デバイス)、病院の情報システム1210、実験室の情報システム1220、またはこれらの任意の組み合わせによって、データ格納デバイス1260中に維持されるデータ)を生成するために記録され得る。追跡され得るデータの例としては、患者の情報および病歴、収集される生物学的サンプルに関する情報、生物学的サンプルの到着時刻および発送時刻、サンプルに対して実施される試験、サンプルに対して実施されるプロセス、サンプルに適用される試薬、行われる診断、関連する画像などが挙げられる。
【0060】
生物学的標本を処理および検査するための自動化システムによって実施される、次の工程は、この標本を検査することである。この工程において、生物学的サンプルは、必要に応じて画像化のために処理された後に、イメージャー1130によって受容される。図2に図示される実施例において、この処理は、一旦、望ましい染色が、例えば、染色システム1110において完了し、そして必要に応じて、顕微鏡スライドが、カバーガラスシステム1120内で(染色の前または後のいずれかに)適用されると、充分である。材料標本の少なくとも1つの画像が、イメージャー1130によって得られる。イメージャー1130は、1つ以上のイメージャーを備え得る。このイメージャーは、解釈モジュール1230において解釈され得る画像を生成する、任意のシステムであり得る。図示される実施形態において、イメージャー1130は、顕微鏡、およびこの顕微鏡の視野のデジタル画像を記録し得るカメラを備える。例えば、光学CCDベースのカメラが、デジタル画像データを生成するために使用され得る。このデジタル画像データは、解釈モジュール1230、診断医ワークステーション1240、および/または技術者ワークステーションによって必要とされる場合に、ならびに/あるいはこの画像データにアクセスする必要があるあらゆる人物(例えば、診断医または実験室の人員)によって望まれる場合に、このデータへのアクセスを提供する、任意の様式で格納され得る。適切なデータ記憶装置の例は、イメージャー1130に付随するローカル格納デバイス(例えば、ハードドライブ、リムーバブルメモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ(例えば、CDまたはDVD)など)、および/あるいはネットワークメモリ(例えば、データ記憶装置1260によって図式的に図示されるもの)である。画像データに加えて、任意の形態の情報が、イメージャー1130によって生成され得ることが、留意されるべきである。例えば、イメージャー1130は、必要に応じて、他の型のデータ(例えば、画像データに関連する患者情報のログ)に関連し得、そして本明細書中以下でさらに議論されるとおりである。あるいは、別の処理システムは、画像データと他のデータとを関連付け得る。
【0061】
生成される情報の型は、解釈モジュール1230がその解釈処理を実施し、そして望ましい報告を作成するために充分であることが、意図される。解釈モジュール1230は、任意の望ましい形態(例えば、記載された計算システム)を採り得るか、あるいは、解釈モジュールは、複数の目的で使用される計算システムにおいて実行されるモジュールであり得る。さらなる実施例において、自立型であっても、イメージャー1130の一部であっても、病院の情報システム1210の一部であっても、実験室の情報システム1220の一部であっても、データがイメージャー1130によって受信され得るいずれかの位置にあってもよい。これらの図は、1つの解釈モジュール1230を図示するが、複数の情報モジュール1230がまた使用され得ることが、理解されるべきである。さらなる実施例において、診断医ワークステーション1245は、解釈モジュール1230または解釈モジュールクライアント(診断医が、利用可能なデータ(イメージャー1130からの画像データが挙げられるが、これらに限定されない)に基づいて解釈をローカルで実施できるようにする)を備え得る。
【0062】
図2の実施形態において、解釈モジュール1230は、通信インフラストラクチャ1200を介して通信する。解釈モジュール1230は、必要に応じて、イメージャー1130から直接であっても、データ格納設備1260を介してでも、ローカルデータ記憶装置を介してでも、データにアクセスし得る。解釈モジュールは、画像データおよび他のデータを使用して、分析および推奨を実施する。1つの実施形態において、分析は、解釈モジュール1230のパターン認識システムにおけるパターン認識分析を包含する。パターン認識の1つの形態において、イメージャー1130からの画像データは、既知のパターンのデータベースと比較される。充分なレベルの対応が見出されたら、適合パターンが位置決めされ、この位置において、推奨、診断またはさらなる処理指示がなされ得る。パターンデータベースは、解釈モジュール1230の一部であり得るか、または例えば、データ記憶装置1260もしくは実験室の情報システム1220におけるように、極端に位置決めされ得る。
【0063】
イメージャー1130における画像化に続いて、画像化されたサンプルのさらなる処理は、技術者、診断医もしくは他の人員によって方向付けられるようにか、または好ましくは、解釈モジュール1230によって自動的に示されるように、経路決定され得る。例えば、解釈モジュール1230は、特定のサンプルがさらなる処理を受ける必要があるか(この場合には、このサンプルは、材料経路1147に沿って進行し得る)、またはこのサンプルは、格納設備1150に行くべきであるか(この場合には、このサンプルは、材料経路1157に沿って進行する)、またはこのサンプルは、人員による調査のために診断医または他の人員の元に行くべきか(この場合には、このサンプルは、材料経路1247に沿って進行する)を決定するように、構成される。図示される実施例において、サンプルがさらなる処理のために進行する場合、サンプルは、通路1147を介して染色機1110まで戻り、この通路においてこのサンプルは、他の操作(例えば、特殊な染色、免疫組織化学(「IHC」)、インサイチュハイブリダイゼーション(「ISH」)、複合化手順または他の染色手順もしくは試験手順を受け得る。引き続いて、このサンプルは、すでに議論されたように、材料経路に沿って進められ得、例えば、イメージャー1130に戻り得る。最終的に、試験されて画像化されたサンプルは、記憶装置1150によって示されるように格納されることが望ましい。この実施例において、診断医または他の人員による、人員による調査の後に、このサンプルは、さらなる処理のために、例えば、染色システム1110に戻され得るか、または格納のために、例えば、格納設備1150に戻され得る。後に、処理されたサンプルは、必要に応じて、格納設備1150から検索され得る。
【0064】
ワークステーション(例えば、診断医ワークステーション1240または他のワークステーション(例えば、技術者ワークステーション1250))は、任意の望ましい構造を有し得、この構造としては、通信インフラストラクチャ1200を介してこのシステムの他の構成要素と通信する、計算システムが挙げられる。これらのワークステーションはまた、必要に応じて、作業領域において有用であり得る他の構成要素(例えば、材料格納ユニット、家具、電話など)を備え得る。1つの実施形態において、ワークステーション1240、1250は、生物学的サンプルの処理に関する情報、および処理の結果(イメージャー1130からの画像データおよび解釈モジュール1230からの解釈データまたは報告が挙げられる)へのアクセスを提供する。
【0065】
生物学的標本を処理するためのシステムの他の実施例が、図3、図4および図5に図示されている。図3は、反射染色モジュール2300が、染色システム1110、イメージャー1130および解釈モジュール1230を備え、これらが一緒にグループにされ、そして1つの自動化器具(反射染色モジュール2300)として実装される、実施形態を図示する。あるいは、これらは、異なる位置の別々の器具であり得る。検査前処理が反射染色モジュール2300の内側と外側との両方の器具(例えば、肉眼検査1080、処理および包埋システム1090、顕微鏡切片作成法1100ならびに染色およびカバーガラス配置システム1110、1120)によって、実施され得る。すでに議論されたように、カバーガラス配置および染色は、1つの器具の中で任意の望ましい順序で、または交互に位置し得ることが、理解されるべきである。2つの染色システムが、この実施形態において、染色システム1110の一部として図示されている。具体的には、染色システム1110は、H&E/SS染色およびカバーガラス配置2110、ならびにIHC/ISH染色およびカバーガラス配置2160を備える。H&E/SS染色およびカバーガラス配置2110において、生物学的サンプルは、H&E染色またはスペシャルステイン(special stain)(「SS」)染色、および必要に応じたカバーガラス配置を受け得る。IHC/ISH染色およびカバーガラス配置2160において、材料は、免疫組織化学(「IHC」)染色またはインサイチュハイブリダイゼーション(「ISH」)を受け得、そしてカバーガラスは、必要に応じて、このスライドに適用され得る。他の染色プロトコルまたは試験プロトコルもまた、実施され得る。染色機/カバースリップ配置機1110、1120に続いて、生物学的サンプルは、材料経路1117に沿って、反射染色モジュール2300内のイメージャー1130に進む。材料経路1117は、任意であり、そしてサンプルは静止したままであり得るか、または中間の位置まで移動し得、この位置で、画像データがイメージャー1130によって作成されることが、理解されるべきである。
【0066】
図示される実施例において、画像データは、データ経路2135に沿って、反射染色ユニット2300内に位置する解釈モジュール1230まで進む。直接データ経路が示されるが、先に議論された装置(ネットワークを含む)のいずれかによる通信が使用されて、データを解釈モジュール1230に提供し得るか、または解釈モジュール1230がデータにアクセスし得るアクセス位置(例えば、ローカルまたはリモートのデータ格納モジュール1260)を提供し得ることが、理解されるべきである。通信インフラストラクチャ1200は、図3には図示されないが、種々の構成要素が、通信インフラストラクチャ1200へのデータ経路、あるいは互いの間でのデータ経路を有することが、理解されるべきである。この実施例において、診断医ワークステーション1240と反射染色モジュール2300との間の情報経路2305、および格納設備1150と反射染色モジュール2300との間の情報経路2175が、図示されている。これらの情報経路は、図示されるような直接情報経路であっても、図3には示されない通信インフラストラクチャ1200を介する間接経路であってもよいことが、理解されるべきである。生物学的サンプルの引き続く処理はまた、解釈モジュール1230の診断医または他の人員によって示されるように、先に議論された反復的な処理において、実施され得る。図3はまた、診断医ネットワークステーション1240と記憶装置1150との間の材料経路を図示する。
【0067】
図4は、本発明が実施され得る、材料および情報を取り扱う装置の別の代替の実施形態を図示する。先に記載された実施形態と同様に、実線矢印は、上で定義されたように、情報の経路を示すために使用される(例えば、情報経路3105、情報経路3175、および情報経路3235)。さらに、より太い白抜きの矢印は、上で定義されたように、材料経路を示すために使用される(例えば、材料経路3087、材料経路3097、材料経路3107、材料経路3177、材料経路3157、および材料経路3237)。
【0068】
図4に示される実施形態は、図3に示される実施形態との多くの類似点を有する。簡単に言えば、材料は、肉眼検査1080から、処理および法埋1090へ、そして顕微鏡切片作成法1100へ、次いで反射染色3300へと進む。反射染色から、この材料は、診断医ワークステーション1240または記憶装置1150へ、そしてこれらの2つのステーションの間へと送られ得る。これらのステーションの各々は、図3に関して上で議論された対応するステーションと同じ仕様、ならびに材料および情報共有特徴を有する。
【0069】
図4に図示されるシステムは、複数の組織収集システムおよび検査前処理システムが、より大きいシステムに組み合わせられ得ることを実証する。従って、1つの実験室において、複数の肉眼検査ステーション1080、処理および包埋ステーション1090、ならびに/または顕微鏡切片作成法1100が存在し得る。同様に、1つより多くの反射染色モジュール3300ステーションが存在し得、これらの全ては、診断医ワークステーション1240を通して、病理学者と通信し得る。好ましい実施形態において、図4に示されるシステムは、非常に自動化されており、人力を有意に増加させることなく、非常に効率的な実験室を提供する。
【0070】
ここで図5を参照すると、本発明が実施され得る材料および情報取り扱いシステムの別の代替の実施形態が、図示されている。細い実線矢印は、上で定義されたように、情報の経路を示すために使用され、これには、情報経路4105、情報経路4155、情報経路4175、情報経路4205、情報経路1225、情報経路1245、および情報経路4305が挙げられる。より太い白抜きの矢印は、上で定義されたように、材料経路を示すために使用され、これには、材料経路1087、材料経路1097、材料経路1107、材料経路4157、材料経路4177、および材料経路4237が挙げられる。
【0071】
簡単に言えば、材料は、肉眼検査1080から処理および法埋1090へ、そして顕微鏡切片作成法1100へ、次いで反射染色システム4300へと進む。反射染色システム4300から、この材料は、診断医の再検討4150および/または記憶装置4170の間で前後に送られ得、そしてまた、これらの2つのステーションの各々の間で、送られ得る。これらのステーションの各々は、図3の実施形態に関連して上で議論された、対応するステーションと同じ仕様および材料共有特徴を有する。
【0072】
図5に示される実施形態は、実験室通信インフラストラクチャ4400を備え、これは、情報が、2つ以上のステーションの間で通信されることを可能にする。本明細書中に示されるように、この通信は、顕微鏡切片作成法1100と、反射染色システム4300と、材料経路内に位置する診断医ワークステーション4150と、材料経路の外側に位置する診断医ワークステーション1240と、記憶装置4170と、実験室の情報システム1220と、通信インフラストラクチャ4200との間で、起こり得る。
【0073】
通信インフラストラクチャ4200は、病院内の他の位置への情報の通信を提供し、そして外部の位置(例えば、大学、他の病院、遠隔設備、およびインターネット)への情報の通信を提供し得る。実験室の通信インフラストラクチャ4400と通信インフラストラクチャ4200との間の通信経路4205は、任意であることが、理解されるべきである。通信経路4205が取り除かれると、図5に示される、材料および情報を取り扱う装置の実施形態は、閉じた系になり、そして依然として、材料サンプルを評価するように、そして自分に含まれるデータベース(例えば、実験室内の情報システム1220または反射染色システム4300内の任意のデータベースまたは実験室の通信インフラストラクチャ4400と通信する他の任意のステーション)に基づく知見を提供するように、作動し得る。従って、情報経路4205を取り除くと、独立型の実験室用の材料および情報を取り扱うシステムが得られる。
【0074】
図6において、自動化システムにおいて生物学的標本を処理および検査する方法が、示される。最初に、工程5100において、標本(例えば、組織サンプル)が、試験のために収集される。この工程は、例えば、生検によって収集すること、または患者から流体を引き抜くこと、または他の方法でサンプルを患者から取り出すことによってサンプルを収集することを包含し得る。次に、工程5110において、そのサンプルが、切片化のために処理されなければならない。この処理工程は、この処理工程は、この材料が、例えば、凍結またはパラフィン包埋のような手順を受けることを必要とし得る。
【0075】
次に、工程5120に示されるように、切片が、例えば、顕微鏡切片作成法または他の切片作製デバイスを用いて、作製される。一旦、切片化されると、この材料は、スライド上に配置され、そして工程5130および5140によって示されるように、H&E染色を受け得る。2つの経路が、これらの工程について示されており、これらの工程は任意の順序で実施され得ることを図示する。これらの手順の後に、カバーガラスが、必要に応じたカバーガラス配置工程5150において、必要に応じて、このスライド上に配置され得る。
【0076】
画像化5160は、図6の流れ図中に示される次の工程である。この工程において、1つ以上のイメージャーが、好ましくは、材料の1つ以上の画像を得るために使用される。これらの画像は、他の画像または情報と比較され得る。好ましい実施形態において、染色されたスライドは、顕微鏡の下に配置され、そして少なくとも1つのデジタルカラー画像が作成される。次の工程において、この画像は、工程5170に示されるように、パターン認識を使用して解釈される。この工程は、自動化パターン認識技術を使用して、画像を解釈し、そしてその材料の最初の評価を提供することを包含する。好ましい実施形態において、解釈モジュール(図示せず)は、以下に議論されるように、この工程を達成するために使用される。この解釈の結果に基づいて、次の工程(工程5180)は、画像化された特定の材料がさらなる試験または染色を受けるべきであるか否かを問い合わせる。好ましくは、この工程は、解釈結果が、いずれかの未同定の異常を含むか否かを決定する。異常を含む場合、かつこのシステムが、これらのスライドのさらなる染色または試験がこの異常を同定することを補助し得ると決定する場合には、このスライドは、工程5190によって示されるように、さらなる染色または試験を受ける。次に、このスライドは、画像化工程5160に戻され、この工程において、このプロセスは、繰り返され得る。
【0077】
解釈が、その材料が正常であるか、認識された異常性を伴う異常であるか、またはさらなる試験を必要としない、認識されない異常性を伴う異常であるかを同定した後に、工程5180(「解釈に基づいて、スライドに対する他の試験が必要とされるか?」)からの決定は、「いいえ」の応答である。一旦、「いいえ」の決定が生じると、材料およびスライドは、最終工程5210(「スライドを病理学者または記憶装置に送達」、以下でより詳細に議論される)において、診断医に送られ得るか、または格納され得る。さらに、工程5180(「解釈に基づいて、スライドに対する他の試験が必要とされるか?」)からの「いいえ」の結果はまた、このプロセスを次の決定工程に進め、この工程は、工程5200に示されるように、解釈に基づいて、さらなる切片が必要とされるか否かを決定する。
【0078】
工程5200は、1つ以上のさらなるスライドが、さらなる試験を受けるために調製されるべきであるか否かを質問する。この工程は、問題の材料が異常であることがわかり、他のサンプルをさらに試験することが望ましい場合に、肯定で答えられる。工程5200からの「はい」の応答は、このプロセスを、先の工程5120(組織切片を作製)に戻し、そしてこのプロセスは、この工程から続けられる。このシステムの別の実施形態において、生物学的材料の数個の切片が、最初に、工程5120において調製され得る。この実施形態において、工程5200(「解釈に基づいて、他の切片が必要とされるか?」)からの肯定の応答は、すでに調製されたスライドのうちの1つの染色を指示する。
【0079】
図6の工程5200(「解釈に基づいて、他の切片が必要とされるか?」)をさらに参照すると、切片が画像化された材料に対してさらなる試験が推奨されない場合、「いいえ」の応答が生成され、そしてこの材料は、病理学者に送られるか、または格納されるかのいずれかである。この最終工程5210は、このスライドを、診断医または格納装置に送ることである。複数のスライドが画像化を受ける場合、好ましいシステムは、そのプロセスが完了するまで、個々のスライドの一時的な格納を提供し、この完了の際に、全てのスライドならびに予備的な知見および決定に関する情報は、診断医に一緒に通信され得る。
【0080】
代替の実施形態において、各スライドは、最終工程において、記憶装置に送られ、そして画像、解釈および他の情報は、少しずつの様式で、診断医に送信される。例えば、この実施形態は、情報を電子的に診断医のコンピュータに送達し得、その結果、この診断医は、リアルタイムで、情報およびシステム作動の進行にアクセスする。全ての画像化および生物学的材料の評価の完了の際に、メッセージが、診断医に通信され得、このプロセスの完了を告げ得る。
【0081】
一旦、病理学者または他の診断医が、図6に示されるプロセスによって通信される情報のいずれかまたは全てを再検討すると、この人物は、以前に研究された材料をさらに試験することを推奨し得るか、またはさらなる材料が、さらなる試験を受けるために、収集されるか、処理されるか、または切片化されることを要求し得る。これらの状況下で、診断医は、この流れ図の適切な工程から、このプロセスを開始し得る。
【0082】
図6に示される流れ図は、予め規定された染色プロトコルの追加によって、改変され得る。これらのプロトコルは、多数のスライドを作製し、そして器官または予め同定された医学的状態に基づく。例えば、実験室は、3つの染色のパネルを、乳房組織サンプルについて慣用的に実施することを選択し得、その結果、全てのスライドが画像化され、そして解釈され、その後、病理学者または診断医によって、再検討される。
【0083】
図7は、解釈モジュール(図示せず)によって画像データを解釈するための方法の例を、具体的には、図6に示される本発明の実施形態の工程5170に従って使用されるように、図示する。図6においてと同様に、図7における矢印は、材料または情報の特定の移動ではなく、1つの工程から次の工程への進行を表す。
【0084】
この解釈モジュールシステムは、工程6100に示されるような、画像化工程5160からの画像情報の受信で開始する。好ましくは、この画像データ情報は、デバイス間で自動的に移動される。
【0085】
この解釈モジュールが画像データを受信した後に、このモジュールは、工程6110(データベースにアクセス)において、1つ以上の利用可能なデータベースから、情報を収集し得る。これらのデータベースは、病院の情報システム、実験室の情報システム、および/または患者のデータベース(例えば、上で議論されたもの)に含まれ得る。
【0086】
データベースからの情報は、工程6120(必要に応じた分類の狭小化)で望まれるように、フィルタまたはスクリーニングされ得る。この工程において、データベースの情報を特定のデータに集束させるため、あるいは、データベースの情報から特定のデータを排除するための、基準が利用され得る。例えば、組織型に関する情報は、同じ型の材料の組織に関する情報への通信を制限するために使用され得る。別の実施例として、通信された情報は、同じ患者の特定の状態の進行の追跡を容易にする目的で、この患者からの以前のサンプルの撮影画像に集束され得る。
【0087】
一旦、解釈モジュールがデータベースにアクセスし、そして任意の必要に応じた狭小化基準が適用されると、パターン認識工程6130を実施するように進められ得る。この工程において、サンプルの画像データが、データベースからの既知の情報と比較される。この比較がなされた後に、次の工程6140は、解釈を要求する。ここで、解釈モジュールは、パターン認識の間になされた比較に基づいて、予備的な知見を提供し得る。このシステムは、必要に応じて、進行の前に1回以上、工程6100(データベースにアクセス)に戻ることによって、この方法を繰り返し得る。
【0088】
好ましい実施形態において、解釈工程6140はまた、さらなる試験または染色が、すでに試験されたサンプルに対して実施されるべきであるか否か、および/あるいはさらなるサンプルが試験されるべきであるか否かに関する情報を生成する。生成される情報は、図6に示される流れ図における後の決定を行う際に、診断医またはシステムを補助し得る。生成される情報としては、例えば、実施されるべきさらなる試験または手順の型が挙げられ得る。いずれの場合においても、解釈モジュールは、上で議論されたように、好ましくは、その評価、予備的な知見、推奨、および他の情報を、通信インフラストラクチャ、実験室の通信インフラストラクチャ、または他の適切な構成要素に通信する。パターン認識データの解釈に続いて次の工程は、サンプルが、図6の工程5180に示されるような、さらなる試験が必要とされるか否かを決定する工程に進められることを要求する。
【0089】
従って、スライドを管理および解釈するための、システムおよび方法が提供される。当業者は、本発明が、説明の目的であって限定の目的ではない、本明細書中に提示される好ましい実施形態以外によって実施され得ること、および本発明が、添付の特許請求の範囲のみによって限定されることを理解する。本明細書中で議論された特定の実施形態についての均等物が、同様に、本発明を実施し得ることが、留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明による、生物学的標本を処理および検査する自動化システムにおいて実施される工程の概略のブロック図である。
【図2】図2は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムの1つの例のブロック図である。
【図3】図3は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムの別の例のブロック図である。
【図4】図4は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムの別の例のブロック図である。
【図5】図5は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムの別の例のブロック図である。
【図6】図6は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムによって実施される処理工程の例を図示する流れ図である。
【図7】図7は、本発明による、生物学的標本を処理および検査するための自動化システムによって実施される処理工程の例を図示する流れ図である。
【符号の説明】
【0091】
1150 記憶装置
1080 肉眼検査ステーション
1090 処理および包埋システム
1100 顕微鏡切片作成法
1120 カバーガラス配置機システム
1130 イメージャー
1240 診断医ワークステーション
1250 技術者ワークステーション
1260 データ格納
1200 通信インフラストラクチャ
1210 病院の情報システム
1220 実験室の情報システム
1230 解釈モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的標本を処理するための方法であって、
スライドに生物学的標本を提供する工程;
該標本の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該画像を既知の情報と比較する工程;および
該画像を解釈する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記標本の染色が、該標本の画像を作成する工程の前に望ましいか否かを決定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項3】
前記標本の染色が望ましいか否かを決定する工程の後に、該標本の染色を実施する工程をさらに包含する、請求項2に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項4】
前記標本の第二の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該第二の画像を既知の画像と比較する工程;および
該第二の画像を解釈する工程、
をさらに包含する、請求項3に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項5】
第二の標本が、前記画像を解釈する工程の後に望ましいか否かを決定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項6】
前記第二の標本を有する第二のスライドを得る工程をさらに包含する、請求項5に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項7】
前記第二の標本を染色する工程をさらに包含する、請求項6に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項8】
前記第二の標本の画像を作成する工程;
パターン認識技術を使用して、該第二の標本の画像を既知の画像と比較する工程;および
該第二の標本の画像を解釈する工程、
をさらに包含する、請求項7に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項9】
前記スライドに生物学的標本を提供する工程が、
生物学的材料を得る工程;
該材料の切片を作製する工程;および
該材料の切片を顕微鏡スライド上に配置する工程、
を包含する、請求項1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項10】
前記スライドに標本を提供する工程が、該標本を染色する工程をさらに包含する、請求項9に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項11】
前記スライドに標本を提供する工程が、前記顕微鏡スライドにカバーガラスを配置する工程をさらに包含する、請求項9に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項12】
前記標本の画像を作成する工程が、
該標本が顕微鏡によって見えるように、前記スライドを位置決めする工程;および
該標本の画像を記録する工程、
を包含する、請求項1に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項13】
前記標本の画像を記録する工程が、該標本のデジタル画像を得る工程を包含する、請求項12に記載の生物学的標本を処理する方法。
【請求項14】
生物学的標本を処理するシステムであって、
生物学的材料取り扱いシステム;
該材料取り扱いシステムと通信する、通信インフラストラクチャ;
該通信インフラストラクチャと通信し、そしてスライドの画像データを生成する、スライド画像化モジュール;および
該画像データの初期解釈を生成するために、該スライド画像データを利用して、該スライド画像化モジュールと通信する、解釈モジュール、
を備える、システム。
【請求項15】
染色指示データを生成する決定モジュール;および
少なくとも1つの染色手順を実施し、そして該染色指示データを受信する、スライド染色モジュール、
をさらに備える、請求項14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【請求項16】
切片化デバイス;および
切片化指示受信モジュール、
をさらに備える、請求項15に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【請求項17】
カバーガラスモジュールをさらに備える、請求項16に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【請求項18】
前記解釈モジュールが、前記通信インフラストラクチャを介して前記スライド画像化モジュールと通信している、請求項14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【請求項19】
前記解釈モジュールが、直接データ経路を介して前記スライド画像化モジュールと通信している、請求項14に記載の生物学的標本を処理するシステム。
【請求項20】
スライド解釈の方法であって、
生物学的標本の画像を得る工程;
既知の情報を有するデータベースにアクセスする工程;
パターン認識技術を使用して、該画像を該既知の情報と比較する工程;および
該画像を解釈する工程、
を包含する、方法。
【請求項21】
前記画像を解釈する工程が、
前記画像と前記既知の情報との間の1つ以上の比較を評価する工程;
該画像が既知の情報からなるか否かの決定を行う工程;および
該決定を通信する工程、
を包含する、請求項20に記載のスライド解釈の方法。
【請求項22】
前記決定を通信する工程が、前記標本の画像が同じ型の標本の正常な画像からなるか否かを通信する工程を包含する、請求項21に記載のスライド解釈の方法。
【請求項23】
前記決定を通信する工程が、前記標本の第二の画像が既知の情報とのさらなる比較を受けることが望ましいか否かを通信する工程をさらに包含する、請求項22に記載のスライド解釈の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−192821(P2007−192821A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8099(P2007−8099)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(504462571)サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】