説明

生物学的標的の免疫磁気捕捉および撮像の方法

本発明は、複雑なマトリックス試料に存在する、統計的に有意な数の関心対象の生物学的細胞または他の生物学的分析物を標識する、単離する、検出する、および/または数え上げるための方法およびシステムに関する。試料混合物からの関心対象の生物学的標的の単離は、免疫磁気分離法によって行われる。撮像チャンバーの中に試料が導入されると、捕捉複合体(生物学的標的-磁気捕捉剤)は磁場に引き寄せられ、撮像システムの焦点面にあるチャンバー表面にくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本願は、2008年1月7日に出願された米国仮特許出願第61/019,482号に係る優先権を主張する。前記で引用された開示の全てが参照により組み入れられる。
【0002】
A.発明の分野
本発明は、概して、細胞、胞子、または細菌などの生物学的分析物の検出に関する。より具体的には、本発明は、広範囲の濃度で存在しうる、ならびに複雑な生物学的試料または環境試料マトリックスに位置しうる生物学的分析物の免疫磁気単離および蛍光検出に関する。
【背景技術】
【0003】
B.関連技術の説明
生物学的細胞の研究、特徴付け、および全数調査は、裸眼では直接見ることができないものを視覚化する撮像ツールを用いることに常に頼ってきた。1665年にRobert Hookeが初めて細胞を科学的に観察したと報告してから(The Cell-A molecular approach; Geoffrey M. Cooper. ASM Press. 1997(非特許文献1))、顕微鏡法の分野から細胞生物学の分野が生まれた。初期の基本的な明視野光学顕微鏡から最新の走査型電子顕微鏡まで、細胞生物学者らは、これらの技術の高い倍率および分解能を利用した。今日、デジタルイメージングと、これらの強力な顕微鏡とが一体化したことにより、この分野の範囲はさらに拡大している。現在、多種多様な試料を迅速にかつ自動的に分析するために、顕微鏡法と強力な画像処理法を組み合わせることができる。
【0004】
顕微鏡の撮像能力は数世紀にわたって進歩してきたが、通常、試料調製は今なお撮像の前に行われる別個の作業である。通常、試料中の関心対象の標的要素(細胞核または細胞膜など)は、目に見えるようにするために染色または着色される。分析の必要とされる全ての段階、例えば、試料の調製、標的細胞の撮像および特徴付け、次いで、試料分析後の撮像チャンバーの再生を行う一体型の器具は無い。顕微鏡スライドガラスおよびカバーガラスは使いやすく安価なために、試料を収容するのに今なお広く用いられている。多くのラボオンチップ法が、検出器として何らかの形の顕微鏡(明視野顕微鏡または蛍光顕微鏡)および撮像アプローチを用いている。しかしながら、多くの場合、小型の撮像チャンバーの周囲では一体化がなされていない。この点で、多くのラボオンチップデバイスは依然として初期段階にある。走査型電子顕微鏡(SEM)機器でも試料調製は自動化されておらず、それぞれの試料は個々にピンに乗せられ、分析の前に金属でコーティングされる必要がある。従って、顕微鏡システムは、処理能力の欠如による痛手を受けている。試料調製、焦点面への試料の配置、および関心対象の領域の位置決めは依然として手間のかかるプロセスである。
【0005】
細胞表面上のマーカーの細胞(サイズ、形状)特徴の特徴付けはフローサイトメトリーでも行うことができる。1970年代後半から、フローサイトメトリーによって科学者は様々な細胞タイプを分析することが可能になった。フローサイトメトリーは、速度、細胞生存および細胞機能の保存、ならびに複数の細胞パラメータの同時測定を含む、他の細胞に基づく技法を上回る非常に多くの利点を提供する。
【0006】
フローサイトメトリーの魅力は、蛍光技術の柔軟性および感度と、この技法の高速かつ強力なデータ統合能力の組み合わせからきている。フローサイトメトリーは、現在、細胞選別および分析の方法のゴールドスタンダードである(Bioinformatics Market Research 2006 Report # 06-030:「influencing brand preference in the flow cytometry market」(非特許文献2))。フローサイトメーターは細胞分析の処理能力を改善するが、高価であり、技術的に操作しにくい。最も手頃なフローサイトメーターモデルでも価格は100,000ドルを超え、さらに高性能のモデルの価格は300,000ドルを超える。さらに、フローサイトメーターは十分な訓練を受けたオペレーターを必要とし、光学部品の位置関係の変化の影響を非常に受けやすい。結果として、これらの機器を購入および操作する全費用のために、多くの研究所、特に、資源の乏しい国にある研究所には手が届かないものとなっている。さらに、フローシステムは、典型的には、1度に1個の粒子から測定値をとる設計となっており、従って、複数の粒子から画像を集めるのに必要な時間が長い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】The Cell-A molecular approach; Geoffrey M. Cooper. ASM Press. 1997
【非特許文献2】Bioinformatics Market Research 2006 Report # 06-030:「influencing brand preference in the flow cytometry market」
【発明の概要】
【0008】
1つの態様において、本発明は、試料中の細胞を固定化および検出するための方法を提供する。前記方法は、(a)試料と、試料中に存在しうる生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気捕捉剤を接触させる段階;(b)試料と、生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第1の標識剤を接触させる段階;(c)試料アリコートをチャンバーに導入する段階;(d)磁場をチャンバーにかけて、チャンバーの表面に磁気捕捉剤を引き寄せる段階;(e)磁気捕捉剤への結合によりチャンバーの表面に固定化され、かつ標識剤への結合により標識された生物学的標的を検出するおよび数え上げる段階;ならびに(f)固定化かつ標識された生物学的標的を検出するおよび数え上げる段階を含む。ある態様では、前記方法は、統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されたかどうか確かめる段階、および統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されるまで、1つまたは複数のさらなる試料アリコートをチャンバーに導入する段階をさらに含む。ある態様では、前記方法は、チャンバーの表面に固定化された標識された生物学的標的の数が最大閾値を超えるかどうか確かめる段階と、最大閾値を超えていれば、撮像チャンバーを清掃する段階、および統計的に有意であるが、最大閾値より少ない数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されるまで、1つまたは複数のより小さな試料アリコートをチャンバーに導入する段階をさらに含む。ある態様では、前記方法は、検出された生物学的標的のカウントを記録する段階をさらに含む。
【0009】
磁気捕捉剤および標識剤は、同じエピトープに対する特異的親和性を有してもよく、異なるエピトープに対する特異的親和性を有してもよい。試料は、試料をチャンバーに導入する前または試料をチャンバーに導入した後に、磁気捕捉剤と接触されてもよい。試料は、試料をチャンバーに導入する前または試料をチャンバーに導入した後に、標識剤と接触されてもよい。本発明のある特定の局面において、試料は、第1の捕捉剤とは異なるエピトープに対する特異的親和性を有するさらなる磁気捕捉剤、例えば、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第20、第50、またはそれ以上の磁気捕捉剤と接触されてもよい。
【0010】
異なるエピトープは、第1の捕捉剤によって認識されるエピトープと同じ生物学的標的上にあってもよく、異なる生物学的標的上にあってもよい。本発明のある特定の局面において、試料は、生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有するさらなる標識剤、例えば、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、またはそれ以上の標識剤と接触されてもよい。ここで、さらなる標識剤は、第1の標識剤の標識とは異なる標識で標識される。一部の態様において、第1の標識剤および第2、第3、第4、第5などの標識剤は、異なる生物学的標的集団に存在する異なるエピトープに対する特異的親和性を有する。
【0011】
別の態様において、本発明は、試料中の1つまたは複数の生物学的標的集団および/または亜集団を固定化および検出するための方法を提供する。前記方法は、(a)試料と、試料中に存在しうる生物学的標的集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気捕捉剤を接触させる段階;(b)試料と、生物学的標的集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第1の標識剤を接触させる段階;(c)試料と、生物学的標的集団中の第1の生物学的標的亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第2の標識剤を接触させる段階;(d)試料と、生物学的標的集団中の第2の生物学的標的亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第3の標識剤を接触させる段階;(e)試料アリコートをチャンバーに導入する段階;(f)磁場をチャンバーにかけて、チャンバーの表面に磁気捕捉剤を引き寄せる段階;(g)磁気捕捉剤への結合によりチャンバーの表面に固定化され、かつ第1の標識剤への結合により標識された生物学的標的を検出するおよび数え上げる段階;(h)第1の標識剤、第2の標識剤、および第3の標識剤のそれぞれで標識された、固定化された生物学的標的を検出するおよび数え上げる段階を含む。ある態様では、前記方法は、統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されたかどうかを確かめる段階、および統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されるまで、1つまたは複数のさらなる試料アリコートをチャンバーに導入する段階をさらに含む。
【0012】
ある特定の局面において、前記方法は、検出された生物学的標的の数と、試料中の生物学的標的の数を相関付ける段階をさらに含む。相関付ける段階は、例えば、試料中の生物学的標的の濃度を求める段階、および/または試料中の生物学的標的の総数を求める段階を含んでもよい。2種類またはそれ以上の生物学的標的がアッセイされる場合、前記方法は、生物学的標的の第1の集団または亜集団と生物学的標的の第2の集団または亜集団の比を求める段階をさらに含んでもよい。前記方法はまた、生物学的標的集団内の第1の生物学的標的亜集団の割合を計算する段階も含んでもよい。前記方法は、細胞集団中の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、またはそれ以上の細胞亜集団の割合を計算する段階をさらに含んでもよい。
【0013】
一部の態様において、前記方法は、磁場によって固定されなかった試料成分を除去するために、撮像チャンバーにおいて生物学的標的の検出および数え上げを行う前に洗浄段階を行う段階をさらに含む。洗浄段階は、それぞれの検出および数え上げの前の、試料ローディングプロセス中に行われてもよく、最後の検出および数え上げ段階の前だけ行われてもよい。
【0014】
生物学的標的は、任意の関心対象の生物学的標的でよい。特定の態様において、生物学的標的は細胞である。細胞は、例えば、真核細胞または原核細胞でもよい。真核細胞には、哺乳動物細胞、魚類細胞、両生類細胞、鳥類細胞、爬虫類細胞、昆虫細胞、植物細胞、または菌類細胞が含まれるが、これに限定されない。本発明のある特定の局面において、細胞は、リンパ球、白血球、または単球である。原核細胞は、例えば、細菌細胞または細菌胞子でもよく、当業者に公知の関心対象の他の任意の生物学的分析物でもよい。生物学的標的が細胞である場合、捕捉剤および標識剤によって検出されるエピトープは、好ましくは、細胞表面にあるエピトープである。例えば、生物学的標的がT細胞であれば、エピトープは、CD3、CD4、CD8、CD45、CD38、および/またはCD70の1つまたは複数でもよい。
【0015】
生物学的標的は試料中にあってもよい。試料は、細胞を含有する任意の組成物でもよく、細胞を含有すると疑われる任意の組成物でよい。本発明のある特定の局面において、試料は、ヒトなどの被験体から得られた体液(全血、血清、唾液、尿、精子を含むが、これに限定されない)でもよい。本発明の一部の局面では、被験体には疾患があるか、または疾患の疑いがある。例えば、被験体には、細菌感染またはウイルス感染によって引き起こされる疾患があってもよい。1つの態様において、被験体はHIV感染しているか、またはHIV感染の疑いがある。本発明の他の局面において、試料は、土、水、または空気試料などの環境試料であるか、またはその周囲で見出される他の物質である。
【0016】
捕捉剤は、関心対象の生物学的標的に特異的に結合する、抗体、アプタマー、核酸プローブでもよく、DNAまたはRNA、タンパク質、または天然もしくは合成の他の任意の分子などがあるが、これに限定されない。捕捉剤は、磁気粒子と結合することによって磁気に応答する。例えば、捕捉剤は、カルボキシ官能化磁気粒子に結合されてもよい。磁気粒子は、磁性、常磁性、または超常磁性でもよい。器具の磁場によって引き寄せることができる磁気複合体を作り出すために、複数の捕捉剤単位を生物学的標的の周りに使用することができる。捕捉剤戦略には、関心対象の集団より大きな生物学的標的集団を捕捉することが含まれてもよい。
【0017】
標識剤は、関心対象の標的分析物に特異的に結合する、抗体、アプタマー、核酸プローブでもよく、DNAまたはRNA、タンパク質、または天然もしくは合成の他の任意の分子などがあるが、これに限定されない。標識剤は、レポーター分子、例えば、蛍光分子または当業者に公知の他の生物学的標識と結合しているので、器具によって検出可能である。捕捉剤および磁場によって捕捉された生物学的標的の一部は、必ずしも、標識試薬によって明らかにされないことがある。
【0018】
標識剤はレポーターと呼ばれることがあり、それと結び付いた分子の検出を容易にする分子のことである。直接的なレポーター分子には、フルオロフォア、発色団およびラジオフォア(radiophore)が含まれる。フルオロフォアの非限定的な例には、赤色蛍光スクアリン(squarine)色素、例えば2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキサレートなど、赤外色素、例えば2,4ビス[3,3-ジメチル-2(1H-ベンズ[e]インドリニデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキサレートなど、または橙色蛍光スクアリン色素、例えば2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレート(diololate)が含まれる。フルオロフォアのさらなる非限定的な例には、量子ドット、Alexa Fluor(登録商標)色素、AMCA、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)-FL、BODIPY(登録商標)-R6G、BODIPY(登録商標)-TMR、BODIPY(登録商標)-TRX、Cascade Blue(登録商標)、Cy2(商標)、Cy3(商標)およびCy5(商標)を含むが、これに限定されないCyDye(商標)、DNAインターカレート色素、 6FAM(商標)、フルオレセイン、HEX(商標)、6-JOE、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue(商標)、REG、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むが、これに限定されないフィコビリンタンパク質、Rhodamine Green(商標)、Rhodamine Red(商標)、ROX(商標)、TAMRA(商標)、TET(商標)、テトラメチルローダミンまたはTexas Red(登録商標)が含まれる。チラミド(PerkinElmer)などの信号増幅試薬を、蛍光信号を増強するために用いることもできる。間接的レポーター分子には、検出のために、ストレプトアビジン-フィコエリトリンなどの別の分子に結合しなければならないビオチンが含まれる。また、標識の対、例えば、蛍光共鳴エネルギー転移対または色素クエンチャー対などを用いることもできる。
【0019】
本発明はまた、本明細書において開示される方法に関連して使用することができる様々な成分を提供するキットも提供する。1つの態様において、キットは、1種類または複数の種類の磁気捕捉剤および1種類または複数の種類の標識剤を含んでもよい。ある特定の局面において、キットは、生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気抗体および生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する標識剤を含む。
【0020】
1つの態様において、本発明は、生物学的標的の免疫原性捕捉および撮像を行うためのシステムを提供する。ある特定の局面において、システムは、撮像システム;撮像システムに導入されるように適合され、生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する標識剤および磁気捕捉剤;磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および標識剤を固定化するために、磁場を撮像システムに選択的に導入するための磁石を備える。
【0021】
本明細書に記載した任意の方法または組成物は、本明細書に記載した他の任意の方法または組成物に対して組み込むことができるものと想定している。
【0022】
特許請求の範囲における「または(or)」という用語の使用は、選択肢の択一のみを指すこと、または選択肢が互いに排他的であることが明示的に示されている場合を除き、「および/または」を意味して用いられるが、本開示は選択肢の択一のみおよび「および/または」を指すという定義も支持する。
【0023】
本出願の全体を通じて、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイスまたは方法に関する誤差の標準偏差を含むことを意味するために用いられる。
【0024】
長年にわたる特許法に従い、「1つの(a)」および「1つの(an)」という語は、特許請求の範囲または明細書において「含む(comprising)」という語とともに用いられた場合、別に明確に記述された場合を除き、1つまたは複数を表す。
【0025】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。しかし、これらの詳細な説明および具体的な例は、本発明の具体的な態様を示してはいるものの、本発明の精神および範囲内にあるさまざまな変化および修正がこの詳細な説明から当業者には明らかになると考えられるため、例示に過ぎないものとして与えられることが理解されるべきである。
【0026】
図面の簡単な説明
以下の図面は本明細書の一部をなしており、これらは本発明のある面をさらに実証するために含められる。これらの図面の1つまたは複数を、本明細書中に提示した特定の態様の詳細な説明とともに参照することにより、本発明はさらに良く理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】流体取扱いシステムのブロック図を示す。
【図1B】流体取扱いシステムのブロック図を示す。
【図1C】流体取扱いシステムのブロック図を示す。
【図2】撮像デバイスの光学形状構成のブロック図を示す。
【図3】撮像システムのブロック図を示す。
【図4】撮像システムのブロック図を示す。
【図5】撮像システムのブロック図を示す。
【図6】撮像システムの側面図を示す模式図である。
【図7】試料ローディング中の様々な時点における撮像システムの視野を示す。
【図8】3つの検出チャンネルを用いて得られた画像を示す。
【図9】標識ビーズを示す、分類チャンネルを用いて得られた倒立像である。
【図10】標識CD4+細胞および標識ビーズを示す、レポーターチャンネルを用いて得られた倒立像である。
【図11】さらなる試料アリコートが撮像チャンバーに導入されると、視野にある物体の密度が増加することを示す一連の倒立像である。
【図12】高濃度試料の撮像を示す一連の倒立像である。アリコート1は濃度が高すぎて適切に分析することができない。撮像チャンバーの完全洗浄の後に、アリコート1の1/3サイズの第2のアリコートをチャンバーにローディングした。アリコート2も濃度が高すぎて適切に分析することができなかった。撮像チャンバーをもう1回、完全洗浄した後に、アリコート1の1/6サイズの第3のアリコートをチャンバーに導入した。アリコート3によって、チャンバー内に、さらなる処理に受け入れられる濃度の物体が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0028】
例示的な態様の説明
本発明は、複雑なマトリックス試料に存在する、統計的に有意な数の関心対象の生物学的細胞または他の生物学的分析物を標識する、単離する、検出する、および/または数え上げるための方法およびシステムに関する。試料混合物からの関心対象の生物学的標的の単離は、免疫磁気分離法によって行われる。関心対象の生物学的標的上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気捕捉剤が生物学的標的に結合すると、生物学的標的は磁気に応答するようになる。器具の撮像チャンバー内に試料が導入されると、捕捉複合体(生物学的標的-磁気捕捉剤)は磁場に引き寄せられ、撮像システムの焦点面にあるチャンバー表面にある。試料の残り(非磁気)は、好ましくは、撮像チャンバーから洗い流される。この方法は、撮像システム、例えば、本明細書に記載の撮像システム、および参照として本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/757,841号、発明の名称「Systems and methods for performing measurements of one or more materials」に記載の器具によって実行することができる。
【0029】
生物学的標的はまた、検出薬剤、例えば、蛍光標識抗体を用いて試料中で直接標識される。生物学的標的を標識すると、器具の光学機能および撮像機能を用いて、捕捉された生物学的標的を視覚化することができる。器具の多重能力(複数の励起光源および複数の検出チャンネル)のために、複数の生物学的標的集団を同定することができる。例えば、ある生物学的標的を複数の標識により(この生物学的標的は複数の集団または亜集団に属する)、または異なる生物学的標的を独特の標識により同定することができる(それぞれの生物学的標的は独特の集団または亜集団に属する)。
【0030】
単離および標識された生物学的標的の数え上げは、典型的には、撮像チャンバーにおいて蛍光物体と暗い背景とを区別し、画像処理アルゴリズムを適用して、生物学的標的のサイズ、半径、丸み、および他の関連する測定値に基づいて生物学的標的を同定およびカウントすることによって行われる。
【0031】
撮像チャンバーへの試料の導入はリアルタイムでモニタリングすることができる。この器具の能力は、統計的に有意な数の生物学的標的を単離するために試料サイズを調節することを可能にする。低濃度の生物学的標的を有する試料は、典型的な試料より多い量で撮像チャンバーにローディングされる。または、高濃度の生物学的標的を有する試料は、さらに少ない量でローディングされる。試料ローディング段階が完了したら、標的とされた全ての生物学的標的集団は、画像処理アルゴリズムを用いて数え上げられる。分析の終わりに、所望であれば、磁場を取り除くことによって、撮像チャンバーは完全洗浄および再生される。
【0032】
試料中の生物学的標的の濃度は、撮像チャンバーの視野内の生物学的標的を数え上げ、器具にローディングされた試料の総体積、視野面積と撮像チャンバーの総面積の比、および捕捉効率を知ることによって計算することができる。生物学的標的が撮像チャンバーにローディングされたら、磁場の存在により捕捉される。ある特定の用途では、このシステムおよび方法は、関心対象の生物学的標的についての器具の捕捉効率が分かるやり方で特徴付けられる必要がある。さらに、撮像チャンバーもまた、撮像された視野がチャンバー総表面積の既知のサブセットとなるやり方で十分に特徴付けられている。画像処理アルゴリズムは視野内の細胞を数え上げるのを可能にし、検出された細胞の数に応じて、さらなる試料をローディングするように命令するか、代わりに洗浄シーケンスを作動させる。
【0033】
捕捉効率は、チャンバー内にローディングされた生物学的標的の総数に対する、チャンバー内に捕捉された生物学的標的の割合である。捕捉効率に影響を及ぼす要因は数多くある。生物学的標的が細胞である場合、これらの要因には、関心対象の細胞の表面上で利用可能な受容体(またはマーカー)の数;表面に結合した磁気粒子の数、特定の受容体に対する捕捉剤(例えば、抗体)の親和性、ならびにインキュベーション時間および試薬濃度;磁場の強度;チャンバーのサイズおよび深さ;試料の粘性;ならびにチャンバーを通過する時の試料の速度が含まれうる。
【0034】
捕捉効率に関連して2つの独立した目標:最大化および特徴付けがある。捕捉効率を最大化すると、さらに小さな試料サイズを使用することが可能になる。これにより、定性アッセイ(例えば、環境試料中の炭疽菌胞子の検出)の検出限界が小さくなる。定性アッセイでは、目標は、ある特定の細胞、細菌、または胞子の有無を検出することにあり、試料内の濃度を定量することにない。試料を小さな撮像チャンバーに押しやることによって、視野内に関心対象の分析物が存在する確率は高くなり、検出限界は改善する。定量アッセイの場合、目標は、ある特定の標的の有無を検出するだけでなく、試料内の標的の濃度を定量することにもある。この場合、検出された標的(例えば、細胞)の数と試料中の標的(例えば、細胞)の実際の数とを相関できるようにするために、捕捉効率は特徴付けられ、一定になる必要がある。捕捉効率は、既知量の生物学的標的(例えば、ある特定の細胞集団)を有する標準試料を使用し、この試料を撮像チャンバーにローディングし、検出できた生物学的標的の数を測定することによって特徴付けおよび測定することができる。次いで、検出された生物学的標的の数と生物学的標的の実際の数を比較して、捕捉効率を計算することができる。
【0035】
従来の「添加体積(the added volumes)」分析法に基づく代替法は、試料アリコートを作る段階および任意の試料処理段階の前に各アリコートに既知量の生物学的標的を添加する段階を伴う。各アリコートの生物学的標的を測定すると、固有パラメータに捕捉効率(および試料処理プロトコールにおける、または試料からの他の任意のばらつき)を含む検量線を作成することができる。次いで、試料中の生物学的標的の測定値を検量線に外挿して、試料中の細胞濃度を計算することができる。この方法は、細胞濃度がかなり低いために、全試料がローディングされても、捕捉された細胞の数が統計的に有意にならない試料の場合に特に関心が高いだろう。既知量の細胞を添加し、検量線を作成することによって、この方法は、さらに旧式の方法により規定される閾値より低い濃度の測定を可能にする。
【0036】
撮像チャンバーもまた生物学的標的を効率的に捕捉する能力に影響を及ぼし、そのデザインは特定の用途に合わせることができる。総試料サイズが極めて小さく、捕捉しようとする生物学的標的の潜在的な数が少ない用途の場合、捕捉効率を最大化する必要があり、最小の寸法を有する撮像チャンバーを使用することができる。チャンバーの幅および長さが短いことは、捕捉された生物学的標的が小さな撮像表面に分散しており、このために視野内の細胞密度が高いことを意味する。さらに、薄いチャンバーは生物学的標的を小さな磁力勾配に供し、試料全体を磁石の近くに保つ。生物学的標的が磁石の近くにあればあるほど、磁場の引力は強くなり、捕捉効率は高くなる。試料サイズが極めて大きくなりうる用途および定性応答で十分な用途の場合には、試料導入の速度を速める必要なく、同じ時間枠内でさらに多くの試料を処理するために、さらに大きな寸法を有する撮像チャンバーを設計することができる。
【0037】
機器の倍率は、異なるサイズの細胞、胞子、または細菌の検出に合わせて変更および最適化することができる。分析物が大きければ大きいほど、必要とされる倍率は小さくなる。標的検出の限定要因は光路全体の分解能である。物体を同定し、サイズ、形状、または半径に応じて効率的に特徴付けることができる画像処理アルゴリズムを有するために、物体サイズは、好ましくは、少なくとも5x5ピクセルである。
【0038】
画像処理アルゴリズムは視野の原画像から生物学的標的の数を求める。視野内のそれぞれの蛍光物体はバックグラウンド信号と比較して同定される。次いで、それぞれの物体は、サイズ(ピクセル幅の数およびピクセル長の数)、丸み(物体の周囲長の二乗を(4xPix物体の面積)で割ったものの比と定義する)、ならびに/または必要と考えられる関心対象の他の測定値(直径、面積、半径など)によって特徴付けられる。このアプローチを用いると、ランダムなサイズおよび形状の非特異的な蛍光物体が、数え上げられた総カウントから排除される。残りの全ての物体は生物学的標的カウントに含まれる。
【0039】
最初の検出および数え上げプロセスが行われたら、試料中の細胞の最終濃度を計算する前に反復プロセスが開始されてもよい。このやり方では、カウントされた標的(例えば、ビーズ、細胞、または他の生物学的標的)の数は、統計的に有意とみなされるある特定の閾値を上回ることがある。30を上回る試料サイズの場合に正規分布統計解析を行うことができるので、下限閾値30が用いられることが多い。しかしながら、画像処理および測定エラーの影響を最小限にするために、他の下限閾値、例えば、35、40、45、または50を使用することができる。上限として、閾値は、所定の数の標的、例えば、100個、200個、300個、400個、500個、または1000個の標的によって規定することができる。閾値はまた、視野内に存在するダブレット(doublet)の数に従って規定することもできる。視野内の標的の数が増加するにつれて、2つの標的が重複する確率は高くなり、ダブレットは頻繁に生じる。ダブレットが生じる頻度が、ローディングされた試料の体積に対してもはや直線でなくなった時は、上限閾値に達したとみなすことができる。
【0040】
標的の数が下限閾値より少ない場合、画像処理アルゴリズムは、数え上げ段階を繰り返す前に、さらなる試料をローディングするように命令する。この反復プロセスは、視野内の標的の数が、上限閾値より少ない所定の最小閾値に達するまで行われる。または、別々の数え上げからのカウントを、数え上げ間の撮像チャンバーの完全洗浄とともに省き、次いで、最小閾値に達するまで合わせることができる。上限閾値を超えたら、磁場を撮像チャンバーから取り除き、(例えば、ドライブ液/洗浄液をバイパスラインおよびチャンバーに押し出すことによって)撮像チャンバーを清掃し、さらに小さな試料アリコートを撮像チャンバーにローディングしてもよい。最終数え上げ段階は、細胞濃度をさらに計算するための基準として役立つ。
【0041】
最小閾値および最大閾値の戦略は簡単なために魅力的であるが、検出された物体の数が十分であるかどうか決定するために、他の戦略または他の条件を規定および実行することができる。例えば、高カウント閾値を規定する最大カウントを有する代わりに、カウントされている物体のサイズを同時に測定することができる。高濃度試料であれば、多くの標的物体はかなり重なり合っているだろう。分離しなければ、重なり合っている物体は1個の物体としてカウントされるが、そのサイズは大きな凝集物の特徴を示す。従って、ある特定のサイズを上回る物体の数を数え上げ、これらの大きな物体の最大カウントを規定することも、濃度が高すぎる試料を同定するのに役立つだろう。
【0042】
例えば、正確なシリンジポンプを用いて、試料を試料ループに引き込み、ドライブ液主ラインに注入するために、チャンバー内にローディングされた試料の総体積が分かる。この二重ラインアプローチを用いると、試料導入を減速するだけでなく試料粘性を下げ、捕捉効率を改善するために、試料をリアルタイムで希釈することが可能になる。ドライブ液は、試料を希釈することができる緩衝液溶液に溶解している。ドライブ液は、洗浄緩衝液と同じ緩衝液でもよい。試料ラインとドライブ液主ラインを合流させることによって、ドライブ液は試料を効率的に希釈し、撮像チャンバーに運ぶ。試料とドライブ液主ラインが合流する速度を変更すると、異なる希釈率が得られる。これにより、異なる体積の試料、特に、少ない体積の試料を効率的にローディングすることが可能になる。
【0043】
生物学的標的の複数の集団および/または亜集団が同時に分析される場合、複数の蛍光標識または他のレポーター分子を用いて、生物学的標的の異なる集団および/または亜集団を区別することができる。使用されたそれぞれの検出チャンネルならびに生物学的標的のそれぞれの集団および/または亜集団について、前の段落に記載の計算が繰り返される。それぞれの計算において、生物学的標的の捕捉効率は同じでも異なってもよい。どのような場合でも、シングルプレックス(single-plex)モードと同様に、試料中の生物学的標的の濃度を計算できるようにするために、捕捉効率は特徴付けられる必要がある。
【0044】
一定したシステム性能を確認するために、対照シリーズが用いられ、試料を分析する前に流されてもよい。このような対照は、蛍光磁気マイクロスフェア、例えば、Luminex MagPlexビーズのシリーズを含んでもよい。対照シリーズは、様々な磁鉄鉱含有率を有するマイクロスフェアを作り出すことによって構築される。これらを区別するために、それぞれマイクロスフェアシリーズは、例えば、標準的なLuminex染色プロトコールを用いて固有にコード化することができる。マイクロスフェア上に別個のシリーズを作り出すために、当業者であれば、サイズ差、光散乱サイン(light scattering signature)、発光、光吸収などがあるが、これに限定されない他のコード化法も使用することができる。次いで、それぞれのシリーズは、そのコードおよび捕捉効率の予測値によって規定され、捕捉効率の予測値と一致する捕捉効率の実測値を有するように、機器を較正することができる。
【0045】
マイクロスフェア対照シリーズはまた、生物学的標的の磁化を特徴付けるために使用することもできる。標的の捕捉効率とマイクロスフェア対照の捕捉効率を比較することによって、標的の周囲にある磁鉄鉱含有率を対照の磁鉄鉱含有率と比較して評価することができる。次いで、全アッセイを妥当な時間、維持しながら、標的の周囲にある磁鉄鉱含有率が十分になるように、インキュベーション時間を最適化することができる。
【0046】
A.撮像システム
図1〜6は、本明細書に記載の方法を実施することができる様々な器具を例示している。図が原寸通りに描かれてはいないことに留意されたい。詳細には、図の要素のうちいくつかの縮尺は、それらの要素の特性を強調するために非常に誇張されている。同様の構成をとりうる複数の図に示された要素は、同じ参照番号を用いて指し示されている。さらに、これらの器具の説明は例示にすぎず、本発明を実施する大まかなやり方を当業者に開示する目的で示されている。本説明を考慮すれば、さらなる変更および代わりの態様は当業者に明らかであろう。
【0047】
図1A、1B、1C、および図2に図示した態様は、概して、1つまたは複数の材料を、1つまたは複数の貯蔵ベッセルから測定デバイスの撮像空間(imaging volume)に移すように構成されたシステムに関する。本システムは、3つの主な成分:流体取扱い、光学形状構成、および粒子固定化サブシステムを有する。図1A〜Cは、3つの形状構成にある流体取扱いサブシステムの機能成分を示すのに対して、図2は、光学サブシステムの機能成分を例示する。
【0048】
図1A〜Cの流体取扱いサブシステムにおいて、試料は、試料貯蔵ベッセル12から測定デバイスの撮像チャンバー10に移される。撮像空間は撮像チャンバー10として構成されてもよく、当技術分野において公知の任意の適した形状構成を有してもよい。貯蔵ベッセル12は、Vacutainer、遠心管、注射器、マイクロタイタープレート、または当技術分野において公知の他の任意の適切な試料容器として構成されてもよい。
【0049】
本システムはまた、流体を貯蔵リザーバーに引き込み、後で、貯蔵リザーバーからチャンバー10の撮像空間に追い出すように構成された双方向ポンプ14を含む。ポンプ14は、当技術分野において公知の任意の適した形状構成を有しうる。生物学的標的は、本明細書においてさらに説明されるように曝露時間の間に実質的に固定されているので、パルスフリー流、例えば、高価なシリンジポンプから得られるパルスフリー流は必要とされない。ポンプ14と試料弁18との間のある長さのチューブ16から十分なリザーバーを形成することができる。このようなリザーバーは通称「試料ループ」と呼ばれている。チューブは任意の適した形状構成を有しうる。試料弁18の機能は、試料貯蔵ベッセル12から吸引している時に試料プローブ15をリザーバー(試料ループ16)に接続し、分配している時にリザーバーを撮像チャンバー10に接続することである。試料弁18は、当技術分野において公知の任意の適した弁を含みうる。
【0050】
貯蔵リザーバー(試料ループ16)のポンプ末端に、ポンプ弁20が用いられる。図1Aでは、ポンプ弁20は、ドライブ溶液貯蔵ベッセルおよび洗浄溶液貯蔵ベッセルに接続される。この形状構成は、異なる組成物のドライブ溶液および洗浄溶液が望ましい場合に使用することができる。しかしながら、ドライブ溶液および洗浄溶液として同じ溶液が用いられてもよく、この場合、1つの貯蔵ベッセルが用いられてもよい。図1Bおよび1Cは、ドライブ溶液/洗浄溶液貯蔵ベッセルに接続したポンプ弁20を示す。図1Cは、試料の残りが貯蔵されている試料ループ16を使用する必要なく、試料の一部を導入した後に撮像チャンバー10の洗浄を可能にするバイパスライン17を示す。従って、バイパスラインを用いると、異なる試料濃度に対応し、この方法のダイナミックレンジを広げるために、試料ループ16にある同じ試料から少量のアリコートを連続ローディングすることができる。バイパスライン17が無ければ、洗浄とそれに続く撮像チャンバー10へのさらなる試料のローディングは、試料ループ16を完全に洗い流し、次いで、試料貯蔵ベッセル12から試料をさらに収集して、試料ループ16を再ローディングすることを伴う。このアプローチは機能するが、バイパスラインを使用する時と比較して効率が低く、多くの試料が無駄になる。ポンプ弁20は、当技術分野において公知の任意の適した弁を含みうる。別の態様において、ポンプ弁および洗浄弁を組み合わせて1つの弁にすることができる。ポンプ14はまた、撮像チャンバー10の中の1つまたは複数の材料および他の任意の流体を廃棄物ベッセル24に移すように構成されうる。廃棄物ベッセル24は、当技術分野において公知の任意の適した形状構成を有しうる。
【0051】
撮像チャンバー10の中に試料をローディングするために、図1A〜Cに示された流体取扱いサブシステムを操作する3つの主要なモード、すなわち、試料洗浄のあるローディング手順、試料洗浄の無いローディング手順、および反復ローディング手順がある。図1Aに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄の無いローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
【0052】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3に動かす。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液をチャンバーに押し出して、チャンバー10を清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0053】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15を試料貯蔵ベッセル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁18にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262を撮像チャンバー10に動かす。
10)試料ループ16から撮像チャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
【0054】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0055】
図1Aに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄のあるローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0056】
洗浄溶液のプレローディング:
1)ポンプ弁20を位置bにする。
2)洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)洗浄溶液をチャンバーに押し出す。
6)試料弁18を位置1から2にする。
7)洗浄溶液をプローブ15に押し出す(試料ループ16およびプローブ15には洗浄溶液がプレローディングされている)。
【0057】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)試料の後に続く試料ループ16の中の洗浄溶液を捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
12)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
【0058】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0059】
図1Aに示された流体取扱いサブシステムにおいて、反復ローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0060】
洗浄溶液のプレローディング:
1)ポンプ弁20を位置bにする。
2)洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)洗浄溶液をチャンバーに押し出す。
6)試料弁18を位置1から2にする。
7)洗浄溶液をプローブ15に押し出す(試料ループ16およびプローブ15には洗浄溶液がプレローディングされている)。
【0061】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)試料の後に続く試料ループ16の中の洗浄溶液を捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
12)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
13)画像分析アルゴリズムを用いて画像を処理し、さらなる試料をローディングする必要があるかどうか確かめる。さらなる試料をローディングする必要があれば、段階1でローディングシーケンスを再開する。さらなる試料が必要なければ、「清掃システム」シーケンスに進む。
【0062】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0063】
図1Bに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄の無いローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3に動かす。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバーに押し出して、チャンバー10を清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0064】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15を試料貯蔵ベッセル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁18にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262を撮像チャンバー10に動かす。
10)試料ループ16から撮像チャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
【0065】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0066】
図1Bに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄のあるローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0067】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)試料の後に続く試料ループ16の中のドライブ溶液/洗浄溶液を捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
12)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
【0068】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0069】
図1Bに示された流体取扱いサブシステムにおいて、反復ローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0070】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)試料の後に続く試料ループ16の中のドライブ溶液/洗浄溶液を捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
12)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
13)画像分析アルゴリズムを用いて画像を処理し、さらなる試料をローディングする必要があるかどうか確かめる。さらなる試料をローディングする必要があれば、段階1でローディングシーケンスを再開する。さらなる試料が必要なければ、「清掃システム」シーケンスに進む。
【0071】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0072】
図1Cに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄の無いローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3に動かす。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバーに押し出して、チャンバー10を清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0073】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15を試料貯蔵ベッセル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁18にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262を撮像チャンバー10に動かす。
10)試料ループ16から撮像チャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)捕捉複合体が固定化されている状態で画像を撮る。
【0074】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)磁石262を撮像チャンバー10から離す。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0075】
図1Cに示された流体取扱いサブシステムにおいて、試料洗浄のあるローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0076】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)ポンプ弁20を位置aにする。
12)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
13)ポンプ弁20を位置bにする。
14)ドライブ溶液/洗浄溶液をバイパスライン17に通し、画像チャンバー10の中の捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
15)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
【0077】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0078】
図1Cに示された流体取扱いサブシステムにおいて、反復ローディング手順は、一般的に、以下の通りに行われる。
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0079】
試料のローディング:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から2にする。
5)プローブ15をウェル12に下げる。
6)試料を試料ループ16にローディングする。
7)プローブ15を上げ、空気が試料弁にあり、全試料が試料ループ16に入るまで引っ張る。
8)試料弁18を位置1から3にする。
9)磁石262をチャンバー10に動かす。
10)試料ループ16からチャンバー10に試料を押し出して、磁気捕捉剤ならびに磁気捕捉剤に結合している任意の生物学的標的および検出薬剤(捕捉複合体)を捕捉する。
11)ポンプ弁20を位置aにする。
12)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
13)ポンプ弁20を位置bにする。
14)ドライブ溶液/洗浄溶液をバイパスライン17に通し、画像チャンバー10の中の捕捉複合体の上に押し出して、捕捉複合体を「洗浄」する。
15)捕捉複合体が固定化された状態で写真を撮る。
16)画像分析アルゴリズムを用いて画像を処理し、さらなる試料をローディングする必要があるかどうか確かめる。さらなる試料をチャンバー10の中にローディングする必要があれば、さらなる試料が依然として試料ループ16の中にある場合は段階10で、さらなる試料を最初から試料ループ16にローディングする必要がある場合は段階1でローディングシーケンスを再開する。さらなる試料をチャンバー10に入れる必要がなければ、「清掃システム」シーケンスに進む。
【0080】
清掃システム:
1)ポンプ弁20を位置aにする。
2)ドライブ溶液/洗浄溶液をローディングする。
3)ポンプ弁20を位置cにする。
4)試料弁18を位置1から3にする。
5)チャンバー10から磁石262を取り除く。
6)ドライブ溶液/洗浄溶液をチャンバー10に押し出して、チャンバーを清掃する。
7)試料弁18を位置1から2にする。
8)ドライブ溶液/洗浄溶液をプローブ15に押し出して、プローブを清掃する。
【0081】
試料が「洗浄」される試料洗浄手順および反復ローディング手順を使用する利点は、周囲の溶液から、生物学的標的に結合しなかった検出薬剤を除去することにある。処理を簡便にするために、一部のアッセイでは洗浄段階を行わず、これは、典型的には、生物学的標的からのアッセイ応答を測定した時に高い「バックグラウンド」信号を生じさせる。
【0082】
光学部品サブシステム8が図2に大まかに示されている。サブシステム8は、システムの光学部品の反対の撮像チャンバー10の側に配置された磁石要素262を含む。磁石要素262は、当技術分野において公知の任意の適した磁石要素、例えば、適切な磁場を生じるのに使用することができる永久磁石または電磁石を含みうる。このように、磁気捕捉複合体に結合した生物学的標的は、チャンバーの側面にある磁石要素262により生じた磁場を用いて、撮像チャンバー10の中に実質的に固定化することができる。図2では、磁石要素262は撮像チャンバー10に隣接して示されたが、撮像チャンバー10に連結されてもよく、撮像チャンバー10の中に一体となっていてもよく、撮像チャンバー10から間隔をおいて配置されてもよい。さらに、図2は、撮像チャンバーのすぐ近くに配置された1個の磁石要素を示しているが、このシステムは複数の磁石要素を含みうることが理解されるはずである。
【0083】
測定デバイスにより信号が取得された後に、磁場は、(例えば、ソレノイドを用いて永久磁石を動かすことによって、またはスイッチで電磁石をオンおよびオフにすることによって)取り除かれてもよく、生物学的標的が撮像チャンバー10から出てもよい。
【0084】
最も簡単な撮像チャンバー10のデザインは、磁石262がビーズを内面に引き寄せた時に内面全体にわたってビーズがランダムに分散するように、磁石要素のすぐ近くにある撮像チャンバーの側面に比較的滑らかな内面を有する撮像チャンバーである。しかしながら、撮像チャンバー10はまた、本明細書に詳述するように磁場がかけられた時に、捕捉複合体、特に、スポットを「保持」するように設計することもできる。
【0085】
捕捉複合体がチャンバー10の中に固定化されると、照明モジュール(LEDs44、46)は検出薬剤を励起するように操作される。この態様では、検出薬剤はフルオロフォアで標識されている。撮像センサー72(CCD)は画像を捕捉し、画像が処理される(例えば、参照として本明細書に組み入れられる、Rothにより2006年9月21日に出願された、米国特許出願第11/534,166号、発明の名称「Methods and Systems for Image Data Processing」を参照されたい)。磁石262は試料を放出し、デバイスは清掃される。
【0086】
本発明による生物学的標的を撮像するために、LEDs44、46、チャンバー10、および磁石262に対する撮像センサー72の位置を調節することができる。この態様において、検出薬剤には、独特の特徴、すなわち、光子を吸収し、好ましくない方向に(均一に全ての角度にわたって)再び発する、検出薬剤に取り付けられた色素がある。LEDs44、46による照明および撮像センサー(CCD72)の位置は、撮像センサー(CCD72)の視野(FOV)内の、生物学的標的に結合した任意の検出薬剤の「角度空間(angle space)」を最適化するように選択される。磁石262はチャンバー10の裏にあるので、照明および撮像システムに利用可能な角度空間は磁石の上方にある半球である。この照明角度空間を照明光学部品(LEDs44、46)が覆う範囲が大きければ大きいほど、撮像中に検出薬剤に付与される出力は大きくなる。同様に、照明角度空間上の収集角度(collection angle)(開口数)が大きければ大きいほど、多くの光束を撮像レンズ52(図2)が収集し、撮像センサー72(CCD検出器)に送ることができる。撮像センサーに割り当てられた角度と、照明システムに割り当てられた角度はバランスをとらなければならない。
【0087】
低価格で製造可能にするために、撮像レンズ52の開口数の実用限界は、倍率4の場合、約0.3である。さらに高い倍率の場合には、同じ費用目安を守りながら撮像レンズ52の開口数を増やすことができる。レンズ52の費用に影響を及ぼす他の要因は視野および周波帯の広さである。0.3の開口数は、おおよそ35度のフルアングル(full angle)である。
【0088】
照明モジュール、例えば、LEDs44、46を配置する場合、LEDの輝度ならびに励起フィルター47の費用が制限になる場合がある。LEDのエテンデュー(etendue)から、視野(FOV)にわたって最大LED光束を得るために、検出薬剤の角度空間の何が必要とされるかが決まる(エテンデューは、光源の面積と光源の立体角をかけたものであり、発せられた光束の幾何学的特徴を規定する)。FOVが比較的大きければ、必要とされる角度空間は小さく、従って、より多くのLEDsを使用することができる。
【0089】
本発明によるこのようなシステムの別の態様を図3に示した。この態様では、試料は、貯蔵ベッセル12から撮像空間10に移される。このシステムはまた、流体を貯蔵リザーバーに引き込み、後で、貯蔵リザーバーをから撮像空間に追い出すように構成された1つの双方向ポンプ14も含む。ポンプ14は、当技術分野において公知の任意の適した形状構成を有しうる。捕捉複合体は、本明細書においてさらに説明されるように曝露時間の間に実質的に固定されているので、パルスフリー流、例えば、高価なシリンジポンプから得られるパルスフリー流は、本明細書に記載のシステム態様には必要とされない。ポンプ14と試料弁18との間のある長さのチューブ16から十分なリザーバーを形成することができる。このようなリザーバーは通称「試料ループ」と呼ばれている。新鮮な水(または他の適した試薬)を貯蔵ベッセル22から撮像空間に流すために、貯蔵リザーバーのポンプ末端にポンプ弁20が用いられる。ポンプ弁20は、当技術分野において公知の任意の適した弁を含みうる。試料弁およびポンプ弁を組み合わせて1つの弁にすることができることに留意のこと(図示せず)。ポンプ14はまた、撮像空間10の中の1つまたは複数の材料および他の任意の流体を廃棄物ベッセル24に移すように構成されてもよい。廃棄物ベッセル24は、当技術分野において公知の任意の適した形状構成を有しうる。
【0090】
1つまたは複数の材料を、1つまたは複数の貯蔵ベッセルから測定デバイスの撮像空間に移すように構成された別態様のシステムを、図4に示した。この形状構成では、システムは、流体を試料ベッセル12から撮像空間10に直接引き込み、次いで、廃棄物ベッセル24から出るように構成されたポンプ26を含む。ポンプ26は、当技術分野において公知の任意の適したポンプ、例えば、蠕動ポンプを有しうる。撮像空間10、試料ベッセル12、および廃棄物ベッセル24は、前記のような構成をとってもよい。試料ベッセル12と洗浄液ベッセル22と撮像空間10との間の任意の弁28は、試料を撮像空間に移すかどうかに応じて、または洗浄液を撮像空間に移すかどうかに応じて(例えば、洗浄機能を遂行する場合)、位置を変えるような構成をとってもよい。弁28は、当技術分野において公知の任意の適した弁を含みうる。さらに、貯蔵ベッセル22は前記のような構成をとってもよい。図4に示された態様は、この態様が一時リザーバーを含まず、1つ少ない弁を含み、流体を一方向にしか動かさないように構成されたポンプを利用するので図3に示された態様と異なる。
【0091】
1つまたは複数の材料を1つまたは複数の貯蔵ベッセルから測定デバイスの撮像空間に移すように構成された、さらなる態様のシステムを、図5に示した。この態様は、図4に示された態様の試料弁/洗浄弁28が2つの弁30および32で置換されている以外は、図4に示された態様の形状構成と類似の形状構成を有する。弁30および32は、当技術分野において公知の任意の適した弁を含みうる。例えば、弁30および32は、流体を、貯蔵ベッセル12および22からそれぞれ撮像空間10に別々におよび同時に移すように構成された開放型/密閉型の弁を含みうる。貯蔵ベッセル12および22ならびに撮像空間10は、本明細書に記載のような構成をとってもよい。
【0092】
このように別々の洗浄経路および試料経路(すなわち、貯蔵ベッセル12から撮像空間10に1つの経路および貯蔵ベッセル22から撮像空間10にもう1つの別々の経路)を設けると、図4に示された態様の局面の全てを実現することが可能になり、試料が撮像空間10に移された時に、洗浄液および/または1つもしくは複数の試薬を、測定しようとする試料に混合する能力が加わる。撮像空間内で捕捉複合体が離れて(例えば、撮像チャンバー表面上で離れて)分散するように試料を希釈するために、試料が撮像空間に移された時に、洗浄液および/または1つもしくは複数の試薬と試料との混合が行われてもよい。
【0093】
図6は、測定デバイスの撮像空間内の1つまたは複数の材料を撮像するように構成されたシステムの1つの態様を例示している。このシステム態様は、検出器34、36、および38を含む。検出器34、36、および38は、CCDカメラまたは当技術分野において公知の他の任意の適切な撮像デバイスであってよい。検出器のそれぞれは、同じ形状構成を有しても異なる形状構成を有してもよい。検出器のそれぞれは、光(例えば、撮像チャンバー10によって規定される撮像空間内の捕捉複合体40から蛍光発光される光)を異なる波長または波長帯で検出するように構成することができる。さらに、検出器のそれぞれは、撮像チャンバー10内の捕捉複合体40の画像または「捕捉蛍光像」を生成するように構成することができる。
【0094】
本システムはまた、異なる波長または異なる波長帯を有する光を発するように構成された光源44および46も含む(例えば、光源の一方が赤色光を発するように構成することができ、もう一方の光源が緑色光を発するように構成することができる)。光源44および46によって発せられる光には、例えば、紫外線、可視光、または近赤外光の波長スペクトルのいずれかの部分にある光が含まれうる。光源44および46は、LEDまたは当技術分野で公知の他の任意の適した光源を含みうる。光源44および46は、撮像チャンバー10の周辺部の上に並べられる。さらに、光源は、各光源が撮像チャンバー10内の捕捉複合体40に異なる向きで光を当てるように撮像チャンバーの上に並べられる。
【0095】
本システムはまた、光源44および46とそれぞれ連結されたフィルター48および50も含む。フィルター48および50は、バンドパスフィルターまたは当技術分野で公知の他の任意の適したスペクトルフィルターであってよい。このようにして、本システムは、光源44および46ならびにフィルター48および50を、捕捉複合体に異なる波長または異なる波長帯の光を連続して照射するために用いることができる。
【0096】
本システムはまた、照射「リング」の中心(またはほぼ中心)に配置されたレンズ52も含みうる。レンズ52は、当技術分野で公知の任意の適した屈折性光学素子を含みうる。レンズ52は、捕捉複合体から散乱および/または蛍光発光された光を、1つまたは複数のダイクロイックフィルターおよび1つまたは複数の光バンドパスフィルターを含みうる1つまたは複数の光学素子を介して、1つまたは複数のモノクロームCCD検出器(例えば、検出器34、36および38)に撮像させるように構成されている。例えば、レンズ52から出た光はダイクロイックフィルター54に向かうが、それは当技術分野で公知の任意の適したダイクロイック光学素子を含みうる。ダイクロイックフィルター54は、1つの波長または波長帯の光を反射して、他の波長または波長帯の光を透過させるように構成されている。ダイクロイックフィルター54によって反射された光はフィルター56に向かうが、それはバンドパスフィルターまたは他の適したスペクトルフィルターであってよい。フィルター56を出た光は検出器34に向かう。
【0097】
レンズ52を透過した光はダイクロイックフィルター58に向かってもよいが、それは、当技術分野で公知の任意の適したダイクロイック光学素子を含みうる。ダイクロイックフィルター58は、1つの波長または波長帯の光を反射して、他の波長または波長帯の光を透過させるように構成されてもよい。ダイクロイックフィルター58を透過した光はフィルター60に向かうが、それはバンドパスフィルターまたは他の適したスペクトルフィルターであってよい。フィルター60を出た光は検出器36に向かう。ダイクロイックフィルター58によって反射された光はフィルター62に向かうが、それはバンドパスフィルターまたは他の適したスペクトルフィルターであってよい。フィルター62を出た光は検出器38に向かう。さらに、図6に示されたシステムは2つの光源を含むが、任意の適した数の光源を含みうることが理解されるはずである。さらに、図6に示されたシステムは、異なる波長または波長帯で、捕捉複合体から散乱および/または蛍光発光した光を撮像させるように構成された3つの検出器を含むが、2つまたはそれ以上の検出器を含んでもよいことが理解されるはずである。例えば、本システムは、分類チャンネルおよびレポーターチャンネルを同時に測定するのに使用することができる2つまたはそれ以上のCCD検出器(任意で、固定フィルター)を含んでもよく、それによって、さらに高い測定処理能力が得られる。
【0098】
従って、図6に示されたシステムは、関心対象のいくつかの波長で、捕捉複合体40からの蛍光発光を表す複数または一連の画像を生成するように構成されている。さらに、本システムは、捕捉複合体の蛍光発光を表す複数または一連のデジタル画像をプロセッサ(すなわち、処理エンジン)に供給するように構成することができる。本システムはプロセッサを含んでも含まなくともよい(図示せず)。プロセッサは、検出器34、36および38からの画像データを取得する(例えば、受信する)ように構成することができる。例えば、プロセッサは、検出器34、36および38と、当技術分野で公知の任意の適した様式で連結することができる(例えば、それぞれが検出器の1つとプロセッサを連結させる伝送媒体(図示せず)を介して、それぞれが検出器の1つとプロセッサの間に連結されているアナログ-デジタル変換器などの1つまたは複数の電子部品(図示せず)を介して、など)。
【0099】
プロセッサは、これらの画像を処理および分析して、例えば、捕捉された生物学的標的を分類および数え上げるように構成することができる。この情報は、各捕捉複合体に関する各波長についての蛍光の強さに関する項目を有するデータ配列などの任意の適した形式にある、プロセッサによる出力でもよい。具体的には、プロセッサは、画像の処理および分析のための方法の1つまたは複数の段階を遂行するように構成することができる。図6に示されたもののようなシステムによって生成される画像の処理および分析のための方法の例は、参照により本明細書に組み入れられる、Rothにより2006年9月21日に出願された、米国特許出願第11/534,166号、発明の名称「Methods and Systems for Image Data Processing」に例示される。さらに、本明細書に記載のシステムは、この特許出願に記載のように構成されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法は、この特許出願に記載の任意の方法の任意の段階を含んでもよい。
【0100】
例えば、1つの態様において、プロセッサは、画像を分析して、捕捉剤(例えば、磁気抗体)の結合によってチャンバーの表面に固定化され、検出薬剤(例えば、標識抗体)の結合によって標識された、生物学的標的(例えば、細胞)を検出するおよび数え上げるように、ならびに統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されているかどうか確かめるように構成することができる。次いで、プロセッサは、統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されていなければ、さらに多くの試料をチャンバーに添加することを促すように構成されている。プロセッサは、統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されるまで、検出、数え上げ、確認、および試料添加のプロセスを繰り返す。次いで、プロセッサは、画像のさらなる処理および分析を続行する。前述のように、プロセッサは、統計的に有意な数の標識された生物学的標的がチャンバーの表面に固定化されていなければ、さらに多くの試料をチャンバーに添加することを促すように構成されている。プロセッサは、(例えば、可聴信号または可視信号によって)使用者に、さらなる試料をチャンバーに送達するために手動で注入するか、またはポンプを動かすように促すことによって、さらに多くの試料を添加するように促してもよい。または、ポンプは、プロセッサからの信号を受信することによって、さらなる試料をチャンバーに送達するように動作するように、プロセッサの管理下にあってもよい。
【0101】
プロセッサは、典型的なパーソナルコンピュータ、汎用大型コンピュータシステム、ワークステーションなどに一般的に含まれるもののようなプロセッサであってよい。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つまたは複数のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するものとして幅広く定義することができる。プロセッサは、他の任意の適切な機能的ハードウェアを用いて実行することができる。例えば、プロセッサには、ファームウェア内に固定プログラムを伴うデジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または超高速集積回路(VHSIC)ハードウェア記述言語(VHDL)などの高水準プログラミング言語で「記述された」シーケンシャルロジックを用いる他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)が含まれうる。もう1つの例において、前記で引用された特許出願に記載されたコンピュータに実行される方法の1つまたは複数の段階を遂行するためにプロセッサ上で実行可能なプログラム命令(図示せず)を、要望に応じて、適宜C++で記述されたセクションを伴うC#、ActiveXコントロール、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)などの高水準言語、または他の技術もしくは方法でコード化することができる。プログラム命令は、手続きベースの手法、コンポーネントベースの手法、および/またはオブジェクト指向の技法を特に含む、さまざまな様式のいずれかで実行することができる。
【0102】
前記で引用された特許出願に記載されたもののような方法を実行するプログラム命令は、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクもしくは光ディスク、または磁気テープなどのコンピュータ可読媒体に含まれてもよい。
【0103】
B.抗体
抗体を調製および特徴付ける方法は当技術分野において周知である。簡単に述べると、ポリクローナル抗体は、動物を、関心対象のポリペプチドを含む免疫原で免疫し、免疫した動物から抗血清を収集することによって調製される。抗血清を産生するために広範囲の動物種を使用することができる。典型的には、抗-抗血清(anti-antisera)を産生するために用いられる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、ヤギ、またはウマを含む非ヒト動物である。ウサギは血液量が比較的多いので、ポリクローナル抗体の産生に好ましい選択肢である。
【0104】
ある特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントと知られる非特異的な免疫応答刺激物質を用いることによって増強することができる。例示的なアジュバントには、完全フロイントアジュバント(死滅した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する非特異的な免疫応答刺激物質)、不完全フロイントアジュバント、および水酸化アルミニウムアジュバントが含まれる。
【0105】
ポリクローナル抗体の産生に用いられる免疫原組成物の量は、免疫原の特性ならびに免疫化に用いられる動物に応じて異なる。免疫原を投与するために、様々な経路を使用することができる(皮下経路、筋肉内経路、皮内経路、静脈内経路、および腹腔内経路)。ポリクローナル抗体の産生は、免疫化した後の様々な時点で、免疫した動物の血液をサンプリングすることによってモニタリングすることができる。次に、さらに追加免疫注射を行ってもよい。追加免疫および力価測定のプロセスは、適切な力価に達するまで繰り返される。望ましいレベルの免疫原性が得られたら、免疫した動物は採血され、血清が単離および保管されてもよく、ならびに/またはmAbsを作製するのに動物が用いられてもよい。
【0106】
MAbsは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,196,265号に例示される技法などの周知の技法を用いて容易に調製することができる。典型的には、この技法は、適切な動物を、選択された免疫原組成物で免疫する段階を伴う。免疫用組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効なやり方で投与される。モノクローナル抗体の産生には、マウスおよびラットなどのげっ歯類が一般的に用いられる。
【0107】
免疫化の後に、mAb作製プロトコールに用いるために、抗体産生能を有する体細胞、具体的には、Bリンパ球(B細胞)が選択される。これらの細胞は、生検により採取された脾臓、扁桃腺、またはリンパ節から得られてもよく、末梢血試料から得られてもよい。脾臓細胞および末梢血細胞が好ましく、前者は、分裂中の形質芽球段階にある抗体産生細胞の供給源が豊富なためであり、後者は、末梢血が容易に入手できるためである。多くの場合、一団の動物が免疫されており、最も高い抗体価を有する動物の脾臓が取り出され、注射器を用いて脾臓をホモジナイズすることによって脾臓リンパ球が得られるだろう。典型的には、免疫したマウスからの脾臓は、約5x107〜2x108リンパ球を含有する。
【0108】
次いで、免疫した動物に由来する抗体産生Bリンパ球と、不死骨髄腫細胞、一般的に、免疫した動物と同じ種の不死骨髄腫細胞を融合させる。ハイブリドーマ作製融合手順に使用するのに適した骨髄腫細胞株は、好ましくは、抗体を産生せず、融合効率が高く、ある特定の選択培地では増殖不能にする酵素欠損を有する。この選択培地は、望ましい融合細胞(ハイブリドーマ)しか増殖を助けない。
【0109】
抗体を産生する脾臓またはリンパ節細胞と骨髄腫細胞のハイブリッドを作製する方法は、通常、2:1の比で、体細胞と骨髄腫細胞を混合する段階を含む。だが、この比は、細胞膜融合を促進する作用因子(化学的または電気的)の存在下では、それぞれ、約20:1〜約1:1の間で変化してもよい。融合手順は、通常、低頻度で、生存可能なハイブリッドを産生する。しかしながら、選択培地中で培養することによって、生存可能な融合ハイブリッドは、融合していない親細胞(特に、通常、無限分裂し続ける融合していない骨髄腫細胞)と区別されるので、このことは問題とならない。一般的に、選択培地は、組織培地中でのヌクレオチドの新規合成をブロックする薬剤を含有する培地である。例示的な薬剤は、アミノプテリン、メトトレキセート、およびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキセートは、プリンおよびピリミジン両方の新規合成をブロックするが、アザセリンはプリン合成のみをブロックする。アミノプテリンまたはメトトレキセートが用いられた場合、培地には、ヒポキサンチンおよびチミジンがヌクレオチド源として添加される(HAT培地)。アザセリンが用いられた場合、培地にはヒポキサンチンが添加される。
【0110】
この培養によってハイブリドーマ集団が得られ、これから特異的なハイブリドーマが選択される。典型的には、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレート中でのシングルクローン希釈によって細胞を培養し、続いて、(約2〜3週間後に)望ましい反応性について個々のクローン上清を試験することによって行われる。このアッセイは、例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、細胞傷害性アッセイ、プラークアッセイ、ドット免疫結合アッセイなどの、感度が高く、簡単で、かつ迅速なアッセイであるべきである。
【0111】
次いで、選択されたハイブリドーマを連続希釈し、個々の抗体産生細胞株にクローン化する。次いで、このクローンは無限増殖してmAbsを生じることができる。細胞株は、mAb産生のために二通りの基本的なやり方で利用することができる。ハイブリドーマ試料は、最初の融合のための体細胞および骨髄腫細胞を得るのに用いられたタイプの組織適合性動物に(多くの場合、腹腔に)注射されてもよい。注射された動物は、融合細胞ハイブリッドにより産生される特異的なモノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発生する。次いで、動物の体液、例えば、血清または腹水を採取して、高濃度のmAbsを得ることができる。また、個々の細胞株はインビトロで培養されてもよく、mAbsは、天然では、高濃度で容易に得ることができる培地に分泌される。いずれの手段でも産生されたmAbsは、所望であれば、濾過、遠心分離および様々なクロマトグラフィー法、例えば、HPLCまたはアフィニティクロマトグラフィーを用いてさらに精製することができる。
【0112】
C.アプタマー
アプタマーは、様々な分子標的、例えば、低分子、タンパク質、核酸、さらには細胞、組織および生物に結合するように、繰り返し選択することによって設計された核酸配列である。アプタマーは、抗体の分子認識特性に匹敵する分子認識特性を提供する。さらに、アプタマーは、完全にインビトロで操作することができ、化学合成によって容易に生成され、望ましい貯蔵特性を有するので、抗体を上回る利点を提供する。アプタマーは、典型的には、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)プロセスおよびそのバリエーションによって作り出される。SELEXプロセスは、例えば、米国特許第5,270,163号および同第5,475,096号(どちらも参照により組み入れられる)に記載されている。
【0113】
D.キット
本明細書に記載の組成物はいずれもキットに含めることができる。例えば、キットは、標的の細胞または細胞集団を単離、分離、または検出するのに使用できるように、本発明の適切に分注された磁気抗体および/または標識抗体組成物を含んでもよい。キットはまた、1つまたは複数の緩衝液、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液または洗浄緩衝液を含んでもよい。キットの成分は、水性培地に溶解して、または凍結乾燥した形で包装されてもよい。キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、注射器または他の容器手段を含んでもよく、これらに成分が入れられてもよく、好ましくは、適切に分注される。キットに複数の成分がある場合、キットは、一般的に、さらなる成分を別個に入れることができる、第2の容器、第3の容器、または他のさらなる容器も含む。しかしながら、成分の様々な組み合わせをバイアルを含めることができる。本発明のキットはまた、典型的には、市販のために密に閉じ込めて、抗体を入れるための手段および他の任意の試薬容器も含む。このような容器は、ボール紙または射出成形もしくは吹込み成形のプラスチック容器を含んでもよく、この中に望ましいバイアル、瓶などが保持される。
【0114】
キットの成分が1つまたは複数の液体溶液に溶解して提供される場合、液体溶液は水溶液でもよく、滅菌水溶液が特に好ましい。
【0115】
しかしながら、キットのある特定の成分が乾燥粉末として提供されてもよい。試薬および/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は、適切な溶媒を添加することによって再構成することができる。溶媒は別の容器手段に入れて提供できることも想像される。
【0116】
キットはまた、キット成分を使用するための説明書を含んでもよい。説明書は、実行可能なバリエーションを含んでもよい。
【実施例】
【0117】
E.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含められる。以下の実施例において開示される技法が、本発明の実施において十分に機能することが発明者らによって見いだされた技術を代表しており、そのため、本発明の実施に好ましい態様を構成すると見なされることが当業者には理解されるはずである。しかし、当業者は、本発明の開示に鑑みて、開示された具体的な態様に多くの変化を加えることができ、それでもなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を入手しうることも理解するはずである。
【0118】
実施例1
CD4細胞の数え上げ
本実施例では、磁気捕捉抗体は、全てのCD4リンパ球ならびに全てのCD4単球を捕捉する抗CD4抗体である。検出抗体は、蛍光標識と結合した同じまたは別の抗CD4抗体である。リアルタイム分析プロセスによって、撮像チャンバーに存在するCD4細胞集団がモニタリングされる。試料ローディング段階の終わりに、数え上げられたCD4細胞は全て、捕捉抗体によって捕捉され、検出抗体によって標識された全てのCD4リンパ球およびCD4単球に対応する。
【0119】
全血試料を収集し、抗凝血薬として2mM EDTAを含有するBD Vacutainer(BD Biosciences # 366452)に入れて保管する。試料20μLをピペットで1.5mL遠心管に入れる。血液試料20μLを含有する遠心管に、磁気抗CD4捕捉抗体(IMag(商標)抗ヒトCD4粒子-BD Biosciencesカタログ番号:557767)5μLを直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、フィコエリトリン(PE)標識抗CD4検出抗体(R-PE結合マウス抗ヒトモノクローナル抗体-BD Biosciencesカタログ番号555347)5μLも直接添加する。ピペッターを用いて混合を行う。これ以上、試料を混合することなく、20分間インキュベートする。PBS/BSA溶液(Prepackaged PBS/BSA:Sigma P3688)1mLを用いて試料を希釈し、試料を撮像チャンバーに注入する。
【0120】
試料導入を開始したらすぐに、器具の磁場をオンにする。試料を連続して視覚化し、新たな試料アリコートを導入すると、さらに多くの試料アリコートを続けてローディングするか、この段階を終了するかを決定することができる。ローディング段階が完了したら、撮像チャンバーの視野内の細胞を数え上げ、ローディングされた試料の体積、視野サイズと磁場に供された撮像チャンバー表面のサイズとの比、および器具の捕捉効率に従って、試料1マイクロリットルあたりの細胞数を計算する。
【0121】
実施例2
差し引き戦略によるCD4リンパ球の数え上げ
本実施例では、磁気捕捉抗体は、全てのCD4リンパ球ならびに全てのCD4単球を捕捉する抗CD4抗体である。検出抗体のカクテルは、ある蛍光標識と結合した抗CD4抗体(標識1)および別の蛍光標識と結合した抗CD14抗体(標識2)である。リアルタイム分析プロセスによって、撮像チャンバーに存在するCD4細胞集団がモニタリングされる。試料ローディング段階の終わりに、数え上げられたCD4細胞は全て、捕捉抗体によって捕捉され、試料中に存在する全てのCD4リンパ球およびCD4単球に対応する。数え上げられたCD14細胞は全て、捕捉抗体によって捕捉され、試料中に存在する単球集団のみに対応する。CD4リンパ球のカウントは、総CD4カウントから単球カウントを推定することによって計算される。
【0122】
全血試料を収集し、抗凝血薬として2mM EDTAを含有するBD Vacutainer(BD Biosciences # 366452)に入れて保管する。試料20μLをピペットで1.5mL遠心管に入れる。血液試料20μLを含有する遠心管に、磁気抗CD4捕捉抗体5μLを直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、読み取り器具と適合する蛍光分子で標識された抗CD4検出抗体5μLも直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、前の蛍光分子と異なる蛍光分子で標識され、読み取り器具とも適合する抗CD14検出抗体5μLも直接添加する。ピペッターを用いて混合を行う。これ以上、試料を混合することなく、20分間インキュベートする。PBS/BSA溶液(Prepackaged PBS/BSA:Sigma P3688)1mLを用いて試料を希釈し、読み取り機器の注入用シリンジに入れる。試料アリコートを撮像チャンバーに注入する。
【0123】
試料導入を開始したらすぐに、器具の磁場をオンにする。(CD4蛍光標識専用の検出チャンネルを用いて)試料を連続して視覚化し、新たな試料アリコートを導入すると、さらに多くの試料アリコートを続けてローディングするか、この段階を終了するかを決定することができる。ローディング段階が完了したら、器具の2つの検出チャンネルを用いて、撮像チャンバーの視野内のCD4細胞およびCD14細胞を連続して数え上げる。ローディングされた試料の体積、視野サイズと磁場に供された撮像チャンバー表面のサイズとの比、および器具の捕捉効率に従って、試料1マイクロリットルあたりの細胞数を計算する。
【0124】
実施例3
CD3細胞、CD4細胞、およびCD8細胞の臨床上関連するカウントの測定
本実施例では、磁気捕捉抗体は、全てのリンパ球を捕捉する抗CD3抗体である。検出抗体のカクテルは、ある蛍光標識と結合した抗CD3抗体(標識1)、別の蛍光標識と結合した抗CD4抗体(標識2)、および第3のフルオロフォアと結合した抗CD8抗体(標識3)を含む。リアルタイム分析プロセスによって、撮像チャンバーに存在するCD3細胞集団がモニタリングされる。図7は、時点T1、T2、...Tn、およびTfinalで、CD3集団(すなわち、全てのリンパ球)を検出する「標識1」検出チャンネルを用いた撮像システム視野を示す。撮像処理アルゴリズムによって、ある特定の閾値を上回る数の細胞が数え上げられるまで、捕捉された細胞の検出および数え上げをくりかえし行う。視野内の細胞の数が、規定された閾値に達したら、試料ローディングシーケンスを終了する。試料ローディング段階の終わりに、3種類のフルオロフォアのうちの1つに割り当てられた、3つの検出チャンネルのそれぞれにおいて、3回の読み取りを行う。蛍光標識1専用の標識1検出チャンネルは、図8Aに示したように、全てのリンパ球に対応する全てのCD3細胞を数え上げる。標識2検出チャンネルは、図8Bに示したように、CD4リンパ球亜集団を数え上げる。最後に、標識3検出チャンネルは、図8Cに示したように、CD8リンパ球亜集団を数え上げる。CD4とCD8の比およびCD3細胞に対する割合は、これもCD4細胞と同様に、3回の測定値から計算することができる。
【0125】
全血試料を収集し、抗凝血薬として2mM EDTAを含有するBD Vacutainer(BD Biosciences # 366452)に入れて保管する。試料20μLをピペットで1.5mL遠心管に入れる。血液試料20μLを含有する遠心管に、磁気抗CD3捕捉抗体5μLを直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、読み取り器具と適合する蛍光分子(標識1)で標識された抗CD3検出抗体5μLも直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、前の蛍光分子と異なる第2の蛍光分子(標識2)で標識され、読み取り器具とも適合する抗CD4検出抗体5μLも直接添加する。血液試料20μLを含有する遠心管に、前の2つの蛍光分子と異なる第3の蛍光分子(標識3)で標識され、読み取り器具とも適合する抗CD8検出抗体5μLも直接添加する。ピペッターを用いて混合を行う。これ以上、試料を混合することなく、20分間インキュベートする。PBS/BSA溶液(Prepackaged PBS/BSA:Sigma P3688)1mLを用いて試料を希釈し、読み取り機器の注入用シリンジに入れる。試料アリコートを撮像チャンバーに注入する。
【0126】
試料導入を開始したらすぐに、器具の磁場をオンにする。(CD3蛍光標識専用の検出チャンネルを用いて)試料を連続して視覚化し、新たな試料アリコートを導入すると、さらに多くの試料アリコートを続けてローディングするか、この段階を終了するかを決定することができる。ローディング段階が完了したら、器具の3つの検出チャンネルを用いて、撮像チャンバーの視野内のCD3細胞、CD4細胞、およびCD8細胞を連続して数え上げる。ローディングされた試料の体積、視野サイズと磁場に供された撮像チャンバー表面のサイズとの比、および器具の捕捉効率に従って、試料1マイクロリットルあたりの細胞数を計算する。
【0127】
実施例4
全血からのCD4細胞の分離および検出
PBS/BSA 1mLを、抗凝血薬として2mM EDTAを含有するBD Vacutainer(BD Biosciences # 366452)に添加した。PBS/BSA/EDTA 20μLを1.5mL遠心管に移した。滅菌したフィンガープリック(finger prick)を用いて、1滴または2滴の血液を収集して、1.5mL遠心管に直接入れる。血液試料を含有する遠心管に、磁気抗CD4捕捉抗体(IMag(商標)抗ヒトCD4粒子-BD Biosciencesカタログ番号:557767)1μLまたは5μLを添加する。血液試料を含有する遠心管に、読み取り器具と適合する蛍光分子(R-PE結合マウス抗ヒトモノクローナル抗体-BD Biosciencesカタログ番号555347)で標識された抗CD4検出抗体1μLまたは5μLも添加する。ピペッターを用いて混合を行う。これ以上、試料を混合することなく、20〜25分間インキュベートする。PBS/BSA溶液(Prepackaged PBS/BSA:Sigma P3688)1mL、400μL、または200μLを用いて試料を希釈し、読み取り機器の注入用シリンジに入れる。試料アリコートを撮像チャンバーに注入する。試料調製マトリックスを表1に示した。
【0128】
【表1】

【0129】
撮像機器は、Chandler and al.(米国特許第6,632,526号)による先行技術に記載の方法に従って、Luminexで開発された較正ビーズを用いて初期化した。これらの較正ビーズは、それぞれの検出チャンネルにおいて蛍光信号を出して、システムのオートフォーカスを可能にする。洗浄シークエンスの後に、一部のビーズはチャンバー内に残り、視野の特定の領域を突き止めるのに用いられた。試料導入を開始したらすぐに、器具の磁場をオンにした。試料の粘性が高いのにもかかわらず、磁場によって引き寄せられ、撮像チャンバー表面に固定化された捕捉磁気抗体によって、細胞は十分に磁化された。緑色励起LEDおよびレポーター検出チャンネルを用いて、標識細胞を撮像した。撮像チャンバー内に残っているビーズもまた、緑色励起およびレポーター検出チャンネルを用いて撮像した。さらに、励起源として赤色LEDsおよびCL1検出チャンネルを用いて、ビーズを撮像した。ビーズは分類色素およびレポーター色素を両方とも含有するので、両画像に現われる。CD4特異的細胞はレポーターチャンネルにのみ現われる。分類チャンネルおよびレポーターチャンネルからの倒立像を、それぞれ、図9および図10に示した。試料1にはCD4細胞からの信号は検出されなかったが、試料2および試料3にはCD4細胞からの信号は検出された。
【0130】
本研究から、撮像システムは、磁気ナノ粒子(サイズ:100〜400nM)でコーティングされた抗体との結合によって磁気に応答するようになった細胞を引き寄せることができることが分かった。細胞は、試料マトリックス中で、捕捉抗体および検出抗体の両方によって直接標識され、結合速度が速くなることはほとんどなかった。抗体を添加し、ピペット機能を用いて試料および試薬混合物を混合した時には、混合しか起こらなかった。
【0131】
実施例5
複数の試料アリコートの連続ローディング
複数の試料アリコートの連続ローディングを実証するために、29,900ビーズ/mLの濃度の蛍光ビーズ溶液を調製した。ローディングされた初回アリコートは50μLであった。第1のアリコートがチャンバー内にあり、磁場の影響下に置かれたら、バイパスラインを用いて試料マトリックスの洗浄を行った。次いで、撮像システムが試料画像を収集した。第1のアリコートをチャンバーから取り除かずに、第2の50μLアリコートもチャンバー内に導入し、再度、バイパスラインを用いて試料マトリックスの洗浄を行った。8つのアリコートをチャンバー内に注入するまで、このプロセスを繰り返した。図11は、アリコート1、3、6および8について収集された写真の小さな部分および拡大した部分を示す。さらに多くの50μLアリコートを撮像チャンバーに注入した時に、ビーズカウントの増加が見られた。最終的に、試料8の写真が示すように、試料が多すぎるので、標的物体が重なり合ってしまい、大きな凝集物として現われた。これは、試料の過負荷を防ぐ上限閾値の必要があることを示している。
【0132】
実施例6
高濃度試料のローディング
高濃度試料の取扱いを実証するために、2990万ビーズ/mLの濃度の蛍光ビーズ溶液を調製した。ローディングされた初回アリコートは50μLであった。第1のアリコートがチャンバー内にあり、磁場の影響下に置かれたら、バイパスラインを用いて試料マトリックスの洗浄を行った。次いで、撮像システムが試料画像を収集した。図12は、アリコート1、2、および3について収集された写真の小さな部分および拡大した部分、ならびにアリコート間のチャンバーの画像を示す。第1のアリコートの濃度が高すぎるように見えたので、磁場を取り除き、チャンバーを完全に空にし、バイパスラインを用いて洗浄した。その一方で、使用していない試料部分は試料ループ中にあり未接触のままであった。図12の下画像は、この再生段階の直後に撮られたものであり、チャンバーの完全洗浄を確認するものである。次いで、磁場を再度加え、さらに少ないアリコート(17μL)をチャンバーに注入した。バイパスラインを用いて、試料マトリックスの洗浄を行った。このアリコートの濃度も高すぎるように見えた。磁場を取り除き、再度、バイパスラインを用いてチャンバーを完全に清掃したが、試料のうち残っているものは試料ループ中にとどまっている(図12の2番目の下画像は洗浄効率を示す)。最後に、磁場を再度加え、第3のさらに少ないアリコート(8μL)を試料ループからチャンバーに押し出した。このアリコートは、正確な分析および数え上げを行うのに十分な数のビーズをチャンバー内にもたらした。
【0133】
本明細書で開示および請求された組成物および方法はすべて、本開示に鑑みて、必要以上の実験を行うことなしに作製および遂行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して説明してきたが、本明細書に記載した組成物および方法ならびに本発明の段階または段階の順序に対して、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなしに変化を適用しうることは当業者には明らかであると考えられる。より具体的には、化学的にも生理的にも類縁関係にある特定の作用物質を本明細書に記載した作用物質の代わりに用いても同一または類似の結果が得られることは明らかであると考えられる。当業者にとって明白なこのようなすべての類似した代替物および変更物は、添付する特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の精神、範囲および概念の範囲内にあると考えられる。
【0134】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書中に記載したものを補足する例示的な手順上またはその他の詳細を提供する範囲で、参照として明確に本明細書に組み入れられる。
Bioinformatics Market Research 2006 Report # 06-030: influencing brand preference in the flow cytometry market
The Cell - A molecular approach; Geoffrey M. Cooper. ASM Press. 1997
米国特許第4,196,265号
米国特許第5,270,163号
米国特許第5,475,096号
米国特許第6,632,526号
米国特許出願第11/534,166号
米国特許出願第11/757,841号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の細胞を固定化および検出するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試料と、試料中に存在しうる第1の細胞上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気抗体を接触させる段階;
(b)試料と、細胞上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第1の標識抗体を接触させる段階;
(c)試料アリコートをチャンバーに導入する段階;
(d)磁場をチャンバーにかけて、チャンバーの表面に磁気抗体を引き寄せる段階;
(e)チャンバーを洗浄して、チャンバーの表面に固定化されなかった試料部分を除去する段階;
(f)磁気抗体の結合によりチャンバーの表面に固定化され、かつ標識抗体の結合により標識された細胞を検出するおよび数え上げる段階;
(g)統計的に有意な数の標識細胞がチャンバーの表面に固定化されたかどうか確かめる段階;
(h)統計的に有意な数の標識細胞がチャンバーの表面に固定化されるまで段階(c)〜(g)を繰り返す段階;および
(i)固定化かつ標識された細胞を検出するおよび数え上げる段階。
【請求項2】
試料が体液である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
試料が環境試料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
細胞がリンパ球、白血球、または単球である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
細胞が細菌細胞、胞子、または菌類細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
磁気抗体および標識抗体が、同じエピトープに対する特異的親和性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
磁気抗体および標識抗体が、異なるエピトープに対する特異的親和性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
試料をチャンバーに導入する前に、試料が標識抗体と接触される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
試料をチャンバーに導入した後に、試料が標識抗体と接触される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
標識抗体が蛍光標識抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
検出された細胞の数と試料中の細胞の数を相関付ける段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
試料と、細胞上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第2の標識抗体を接触させる段階をさらに含み、第2の標識抗体が第1の標識抗体の標識とは異なる標識で標識されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第1の標識抗体および第2の標識抗体が、異なる細胞集団上に存在する異なるエピトープに対する特異的親和性を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
試料と、試料中に存在しうる複数の異なる細胞上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する複数の異なる磁気抗体を接触させる段階;および
試料と、複数の異なる細胞上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する複数の異なる標識抗体を接触させる段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
試料中の1つまたは複数の細胞集団および/または亜集団を固定化および検出するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試料と、試料中に存在しうる細胞集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する磁気抗体を接触させる段階;
(b)試料と、細胞集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第1の標識抗体を接触させる段階;
(c)試料と、細胞集団中の第1の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第2の標識抗体を接触させる段階;
(d)試料と、細胞集団中の第2の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第3の標識抗体を接触させる段階;
(e)試料アリコートをチャンバーに導入する段階;
(f)磁場をチャンバーにかけて、チャンバーの表面に磁気抗体を引き寄せる段階;
(g)チャンバーを洗浄して、チャンバーの表面に固定化されなかった試料部分を除去する段階;
(h)磁気抗体の結合によりチャンバーの表面に固定化され、かつ第1の標識抗体の結合により標識された細胞を検出するおよび数え上げる段階;
(i)統計的に有意な数の標識細胞がチャンバーの表面に固定化されたかどうか確かめる段階;
(j)統計的に有意な数の標識細胞がチャンバーの表面に固定化されるまで段階(e)〜(i)を繰り返す段階;および
(j)第1の標識抗体、第2の標識抗体、および第3の標識抗体のそれぞれで標識された、固定化された細胞を検出するおよび数え上げる段階。
【請求項16】
第1の細胞亜集団と第2の細胞亜集団との比を求める段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
細胞集団中の第1の細胞亜集団の割合を計算する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
細胞集団中の第2の細胞亜集団の割合を計算する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
試料中の細胞集団の濃度を求める段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
試料と、細胞集団中の第3の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第4の標識抗体を接触させる段階;および
第4の標識抗体で標識された、固定化された細胞を検出するおよび数え上げる段階
をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
試料と、細胞集団中の第4の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第5の標識抗体を接触させる段階;
試料と、細胞集団中の第5の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第6の標識抗体を接触させる段階;
試料と、細胞集団中の第6の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第7の標識抗体を接触させる段階;
試料と、細胞集団中の第7の細胞亜集団上の特定のエピトープに対して特異的親和性を有する第8の標識抗体を接触させる段階;および
第5の標識抗体、第6の標識抗体、第7の標識抗体、および第8の標識抗体で標識された、固定化された細胞を検出するおよび数え上げる段階
をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
細胞集団中の第3の細胞亜集団、第4の細胞亜集団、第5の細胞亜集団、第6の細胞亜集団、および第7の細胞亜集団の割合を計算する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−509405(P2011−509405A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541594(P2010−541594)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030281
【国際公開番号】WO2009/089254
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】