説明

生物学的試験において使用するためのサンプル物質とサンプル物質を充填するための方法

【課題】生物学的試験において使用するためのサンプル基板を提供すること。
【解決手段】本発明のサンプル基板は、少なくとも1つのサンプルウェルを規定する第1の部材、および少なくとも1つのサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材を有する。少なくとも1つのサンプルウェル閉鎖要素は、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成され得る。サンプル基板を充填する方法もまた提供される。1つの局面において、サンプル基板は、試験デバイス中で試験されるべき1つ以上のサンプルで充填され得る。このような試験デバイスは、サーマルサイクラーまたは他の適切な生物学的試験デバイスを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、試験されるべきサンプルを保存するためのデバイスに関する。より具体的には、本教示は、生物学的試験デバイスにおいて使用するための種々のサンプル物質、およびサンプル物質を充填するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的試験は、疾患を検出およびモニタリングする際の重要なツールとなってきている。生物学的試験の分野において、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および他の反応を実施することによって核酸を増幅するために、サーマルサイクリングが用いられている。PCRは、「消耗品」を用いて実施され得、この消耗品は、比較的安価で、使い捨て可能であり、容易に入手可能であり、そしてしばしば、複数のサンプルウェルを有する、例えば、PCRチューブ、チップ、サンプルプレート、トレイ、またはマイクロカードのようなサンプル基板であり、従って、処理および試験されるべきサンプルの容量を変更することを可能にする。上記のように、比較的少量の空間で多数の反応を可能にし得る1つのこのような消耗品は、マイクロカードとして一般に知られており、広範囲の容量を有する個々のウェルを含み得るマイクロタイタープレートの空間的な改変物である。
【0003】
マイクロカードは、サンプルウェルの各々を乾燥した試薬または試験されるべきサンプルの他の類似の要素で「事前ローディング(pre−loading)」され得る。この事前ローディングは、事前ローディングカードを試験施設に提供して、所望の試験サンプルをさらに充填させる、マイクロカードの製造業者によってなされ得る。このような事前ローディングマイクロカードは、それらのカードを所望の試験用に構成する試験施設の能力を、製造業者からすでに注文されたカードの構成に制限し得る。さらに、試験施設は、新たに構成したカードが正常業者から運搬されるのを待つ必要があり得、所望の試験を遅らせる可能性がある。今日用いられているマイクロカードは、より小さな試験施設には、維持するのに費用がかかり得る充填デバイスを用いて、試験施設において充填され得る。ユーザーによって、種々の試験サンプルを用いて試験用の所望の構成に、完全に構成され得る、低コストの消耗品に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
教示に従って、生物学的試験において使用するためのサンプル基板が提供され、この基板は、少なくとも1つのサンプルウェルを規定する第1の部材と、少なくとも1つのサンプルウェルを実質的にシールするための手段を備える第2の部材とを有する。実質的にシールするための手段は、第2の部材の残りに関して移動可能であり得る。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)生物学的試験における使用のためのサンプル基板であって、以下:
試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材;および
複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材であって、各サンプルウェル閉鎖要素が、該第2の部材の残りに関して移動可能である、部材
を備え、
該第2の部材が、覆われていない位置から覆われた位置まで、該第1の部材に関して移動可能であり、該覆われていない位置において、該複数のサンプルウェルが覆われておらず、該覆われた位置において該複数のサンプルウェルは実質的に該第2の部材によって覆われており、
該覆われた位置にある場合、該複数のサンプルウェル閉鎖要素の少なくとも1つが、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで該複数の閉鎖要素の少なくとも1つを移動することによって、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように該第2の部材が構成される、サンプル基板。
(2)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つが、キャップを備え、該キャップは、該キャップを取り囲む環状リムを備える、項目1に記載のサンプル基板。
(3)前記キャップが、その対応するサンプルウェルの内側表面を係合するように構成された円筒状部分をさらに備える、項目2に記載のサンプル基板。
(4)前記環状リムが、前記キャップに十分な力が与えられた際に、該キャップを前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置まで移動するスナップスイッチを備える、項目2に記載のサンプル基板。
(5)前記環状リムが、前記第2の部材の残りに関して、複数のキャップの少なくとも1つを前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置まで移動することを可能にするように構成されている、項目2に記載のサンプル基板。
(6)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つの一部が、該閉鎖要素が前記第2の所定の位置にある場合に、前記対応するサンプルウェル内に存在する、項目1に記載のサンプル基板。
(7)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つおよびその対応するサンプルウェルのうちの少なくとも一方が、該閉鎖要素が前記第1の所定の位置にある場合の、前記試験されるべきサンプルの容量と比較して、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つが前記第2の所定の位置にある場合に、該サンプルウェル内に該試験されるべきサンプルの実質的に同じ容量を維持するために曲がるように構成された可撓性部分を備える、項目1に記載のサンプル基板。
(8)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つおよびその対応するサンプルウェルが、該閉鎖要素が前記第1の所定の位置にある場合の、前記試験されるべきサンプルの容量と比較して、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つが前記第2の所定の位置にある場合に、該サンプルウェル内に該試験されるべきサンプルの実質的に同じ容量を維持するために曲がるように構成された可撓性部分を備える、項目1に記載のサンプル基板。
(9)前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡している少なくとも1つのレザバをさらに備える、項目1に記載のサンプル基板。
(10)前記レザバが、流体チャネルを介して前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡している、項目9に記載のサンプル基板。
(11)前記サンプル基板が、前記流体チャネルと前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つとの間の分枝流体チャネルをさらに備える、項目10に記載のサンプル基板。
(12)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つが、前記第1の所定の位置にある場合にその対応するサンプルウェルと前記レザバとの間の流体連絡を許容し、かつ、前記第2の所定の位置にある場合に、該レザバと該サンプルウェルとの間の流体連絡を防止する、項目9に記載のサンプル基板。
(13)前記少なくとも1つのレザバは、前記第2の部材が前記覆われた位置にある場合、前記試験されるべきサンプルで充填され得る、項目9に記載のサンプル基板。
(14)前記少なくとも1つのレザバが、複数のレザバを備える、項目9に記載のサンプル基板。
(15)前記複数のレザバの各々が、前記複数のサンプルウェルの別個の部分と流体連絡している、項目14に記載のサンプル基板。
(16)前記少なくとも1つの閉鎖要素の少なくとも一部が、光導体を備える、項目1に記載のサンプル基板。
(17)前記少なくとも1つの閉鎖要素の可撓性部分に配置された光導体をさらに備える、項目7に記載のサンプル基板。
(18)前記複数のサンプルウェルが、マトリクス内に位置決めされる、項目1に記載のサンプル基板。
(19)前記複数の閉鎖要素が、マトリクス内に位置決めされ、かつ、該複数の閉鎖要素の各々が、前記複数のサンプルウェルの対応する1つと嵌合するように構成される、項目18に記載のサンプル基板。
(20)4、8、12、16、24、48、96、128、384および1536のサンプルウェルの少なくとも1つならびに対応する閉鎖要素を備える、項目19に記載のサンプル基板。
(21)前記サンプル基板が前記覆われた位置にある場合に、前記第1の部材と前記第2の部材との間に位置決めされる、接着膜をさらに備える、項目1に記載のサンプル基板。
(22)前記接着膜が、前記サンプル基板の最初の使用の前に、前記第1の部材に固定されている、項目21に記載のサンプル基板。
(23)前記接着膜が、前記サンプル基板の最初の使用の前に、前記第2の部材に固定されている、項目21に記載のサンプル基板。
(24)前記第1の部材が、第1のプレートを備え、かつ前記第2の部材が第2のプレートを備える、項目1に記載のサンプル基板。
(25)前記サンプル基板が、マイクロカードを備える、項目1に記載のサンプル基板。
(26)前記サンプル基板が、マイクロタイタープレートを備える、項目1に記載のサンプル基板。
(27)サンプル基板を充填する方法であって、以下:
第1の物質を、該サンプル基板の第1の部分により規定される複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れる工程;
第2の物質を該複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れる工程;
該複数のサンプルウェルを実質的に覆うように、該第1の部材に関して該サンプル基板の第2の部材を移動する工程;および
該複数のサンプルウェルの少なくとも1つを実質的にシールするように、該第2の部材によって備えられる複数の閉鎖要素の少なくとも1つを、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動する工程
を包含する、方法。
(28)前記第1の物質が試薬を含み、かつ、前記第2の物質が、試験されるべき生物学的サンプルを含む、項目27に記載の方法。
(29)前記第1の物質および前記第2の物質が、前記第2の部材が前記複数のサンプルウェルを実質的に覆うように移動される前に、該複数のサンプルウェルの少なくとも1つの中に入れられる、項目27に記載の方法。
(30)前記第1の物質および前記第2の物質が、ピペットによって前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つの中に入れられる、項目29に記載の方法。
(31)前記第2の部材が前記複数のサンプルウェルを実質的に覆うように移動される前に、前記第1の物質が、該サンプルウェルの少なくとも1つの中に入れられる、項目27に記載の方法。
(32)前記第1の物質が、ピペットによって前記サンプルウェルの少なくとも1つの中に入れられる、項目31に記載の方法。
(33)前記第2の部材が前記複数のサンプルウェルを実質的に覆うように移動された後に、前記第2の物質が該複数のサンプルウェルの少なくとも1つの中に入れられる、項目31に記載の方法。
(34)前記第2の物質が、サンプルカードのレザバ内に入れられ、真空ローディングおよび遠心ローディングの少なくとも1つによって前記複数のサンプルウェルに移動される、項目33に記載の方法。
(35)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つを移動する工程が、取付け具(fixture)を使用して該複数の閉鎖要素の少なくとも1つに圧力を適用し、これによって、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つを、その対応するサンプルウェルに関して、そして、前記第2の部材に関して移動する工程を包含する、項目27に記載の方法。
(36)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つの一部が、該複数の閉鎖要素が移動する場合に、その対応するサンプルウェルを実質的にシールするように変形する、項目27に記載の方法。
(37)前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つの一部が、その対応する閉鎖要素が移動する場合に、該サンプルウェルを実質的にシールするように変形する、項目27に記載の方法。
(38)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つの一部、および、その対応するサンプルウェルの一部が、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つが移動する場合に、その対応するサンプルウェルを実質的にシールするように各々変形する、項目27に記載の方法。
(39)前記閉鎖要素の少なくとも1つの一部が、該閉鎖要素の少なくとも1つがその対応するサンプルウェルを実質的にシールする場合、その対応するサンプルウェルに含まれる前記第1の物質および前記第2の物質の中に少なくとも部分的に浸される、項目27に記載の方法。
(40)前記閉鎖要素の浸された部分が、光導体を備える、項目39に記載の方法。
(41)生物学的試験における使用のためのサンプル基板であって、以下:
複数のサンプルウェルを規定する第1の部材;および
複数の対応するサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材
を備え、該複数の閉鎖要素の各々が、該複数のサンプルウェルの1つに対応し、該第2の部材は、開位置から覆われた位置まで、該第1の部材に関して移動可能であり、該開位置において、該複数のサンプルウェルは開いており、該覆われた位置において、該複数のサンプルウェルは、該第2の部材により実質的に覆われており、
該複数のサンプルウェル閉鎖要素は、各々、該第2の部材の残りに関して、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動可能であり、該第2の部材が、閉位置にある場合、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成されている、サンプル基板。
(42)前記複数の閉鎖要素が、各々、キャップおよび該キャップを取り囲む環状リムを備える、項目41に記載のサンプル基板。
(43)前記キャップがさらに、その対応するサンプルウェルの内側表面と係合するように構成された円筒状部分を備える、項目42に記載のサンプル基板。
(44)前記環状リムが、十分な力が前記キャップに与えられた際に、該キャップを前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置まで移動するスナップスイッチを備える、項目42に記載のサンプル基板。
(45)前記キャップの一部が、前記閉鎖要素が前記第2の所定の位置にある場合、対応するサンプルウェル内に存在する、項目42に記載のサンプル基板。
(46)前記サンプルウェルおよび前記キャップの各々が、前記閉鎖要素が前記第1の所定の位置にある場合の該サンプルウェル内の試験されるべきサンプルの容量と比較して、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つが前記第2の所定の位置にある場合に該サンプルウェル内に実質的に同じ容量の試験されるべきサンプルを維持するように曲がるように構成された可撓性部分を備える、項目45に記載のサンプル基板。
(47)前記キャップ上に配置された光導体をさらに備える、項目46に記載のサンプル基板。
(48)前記光導体が、前記閉鎖要素が前記第2の所定の位置にある場合に前記キャップの残りの前縁が少なくとも前記サンプルウェル内に延びるまで、該サンプルウェル内に延びる、項目47に記載のサンプル基板。
(49)前記光導体が、前記閉鎖要素が前記第2の所定の位置にある場合に、前記キャップの残りの前縁を超えて前記サンプルウェル内へと延びる、項目48に記載のサンプル基板。
(50)前記サンプル基板が、マイクロカードを備える、項目41に記載のサンプル基板。
(51)前記サンプル基板が、マイクロタイタープレートを備える、項目41に記載のサンプル基板。
(52)生物学的試験において使用するためのサンプル基板であって、以下:
少なくとも1つのサンプルウェルを規定する第1の部材;および
該少なくとも1つのサンプルウェルを実質的にシールするための手段を備える第2の部材
を備え、該実質的にシールするための手段は、該第2の部材の残りに関して、第1の所定の位置から第2の所定の位置に移動可能であり、その結果、該実質的にシールするための手段の少なくとも一部が、該サンプルウェル内にある、サンプル基板。
(53)前記第2の部材が、前記第1の部材に関して開位置から覆われた位置まで移動可能であり、該開位置において、前記複数のサンプルウェルが開いており、該覆われた位置において、該複数のサンプルウェルが、該第2の部材によって実質的に覆われている、項目52に記載のサンプル基板。
(54)前記実質的にシールするための手段が前記第2の部材が前記閉位置にある場合に、前記対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成されている、項目53に記載のサンプル基板。
(55)前記実質的にシールするための手段が、可撓性の環状リムにより取り囲まれる移動可能なキャップを備え、該可撓性の環状リムが、該移動可能なキャップを前記サンプルウェルに関して移動させ、そして、該サンプルウェルを実質的にシールさせるように構成される、項目52に記載のサンプル基板。
(56)前記移動可能なキャップが、その対応するサンプルウェルの内側表面を係合するように構成された円筒状部分を備える、項目55に記載のサンプル基板。
(57)生物学的試験において使用するためのサンプル基板であって、以下:
試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材;および
複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材であって、該サンプルウェル閉鎖要素の各々は、該第2の部材の残りに関して移動可能である、第2の部材
を備え、
該第2の部材は、覆われていない位置から覆われた位置まで、該第1の部材に関して移動可能であり、該覆われていない位置において、該複数のサンプルウェルが覆われておらず、該覆われた位置において該複数のサンプルウェルは実質的に該第2の部材によって覆われており、
該第2の部材が該覆われた位置にある場合、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つを第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動することによって、該複数のサンプルウェルの少なくとも1つが、対応するサンプルウェル閉鎖要素を実質的にシールするように構成され、
最初の使用の前に、該サンプル基板が試験されるべき物質を含まず、該覆われていない位置にあるサンプルウェルを有する、サンプル基板。
(58)生物学的試験において使用するためのサンプル基板であって、以下: 試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材;および
複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材であって、該サンプルウェル閉鎖要素の各々が、該第2の部材の残りに関して移動可能である、第2の部材
を備え、
該第2の部材は、覆われていない位置から覆われた位置まで、該第1の部材に関して移動可能であり、該覆われていない位置において、該複数のサンプルウェルが覆われておらず、該覆われた位置において該複数のサンプルウェルは実質的に該第2の部材によって覆われており、
該複数のサンプルウェル閉鎖要素の少なくとも1つは、該第2の部材が該覆われた位置にある場合に、該複数の閉鎖要素の少なくとも1つを第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動することによって、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成され、
該サンプル基板が、該覆われた位置にあり、かつ、該サンプルウェルの少なくとも1つの中に含まれる試験されるべき物質を有し、該複数のサンプルウェルの少なくとも1つが、該閉鎖要素によって実質的にシールされている、サンプル基板。
(59)生物学的試験において使用するためのサンプル基板であって、以下:
試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材;ならびに
複数のサンプルウェル閉鎖要素、および該サンプル閉鎖要素を接続する表面を備える第2の部材であって、該サンプルウェル閉鎖要素の各々が、以下:
対応するサンプルウェルにフィットするような寸法の突出した部材を有するキャップ;および
該キャップと該第2の部材の表面とを接続する可撓性環状ヒンジ部材
を備え、
該可撓性環状ヒンジ部材が、該キャップが、該対応するサンプルウェルを実質的に覆う第1の別個の位置と、該キャップが、該対応するサンプルウェルを実質的にシールする第2の別個の位置との間をスナップするように構成されている、第2の部材
を備える、サンプル基板。
(60)前記可撓性環状ヒンジ部材が、最初に前記第1の別個の位置に撓まされ、次いで、前記キャップ上に所定の力が与えられると、前記第2の別個の位置にスナップされる、項目59に記載のサンプル基板。
(61)前記突出した部材が円筒状であり、かつ、前記対応するサンプルウェルが円筒状である、項目59に記載のサンプル基板。
(62)前記第1の部材が、前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡している少なくとも1つのレザバをさらに備える、項目59に記載のサンプル基板。
(63)前記第1の部材が流体チャネルをさらに備え、その結果、前記キャップが前記第1の別個の位置にある場合に、前記レザバが前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡する、項目62に記載のサンプル基板。
(64)前記複数の閉鎖要素の少なくとも1つが、前記キャップが前記第1の別個の位置にある場合に、その対応するサンプルウェルと前記レザバとの間の流体連絡を許容し、そして、該キャップが前記第2の別個の位置にある場合に、該レザバと該サンプルウェルとの間の流体連絡を防止する、項目63に記載のサンプル基板。
(65)前記第2の別個の位置において、前記キャップの底部部分が、前記流体チャネルが前記複数のサンプルウェルの少なくとも1つと連絡することをブロックする、項目64に記載のサンプル基板。
(66)生物学的試験において使用するためのサンプル基板であって、以下:
試験されるべきサンプルを含むためのサンプルウェルのアレイを規定する第1のプレート様部材;ならびに
サンプルウェル閉鎖要素のアレイおよび該サンプルウェル閉鎖要素を接続する表面を備える第2のプレート様部材であって、該サンプルウェル閉鎖要素は、該サンプルウェルのアレイと対応して位置付けられ、該サンプルウェル閉鎖要素の各々は、以下:
対応するサンプルウェルにフィットするような寸法の円筒状部材および底部部分を有するキャップ、ならびに
該キャップと該第2のプレート様部材の表面とを接続する可撓性環状ヒンジ部材
を備え、該可撓性環状ヒンジ部材が、オーバーセンターヒンジを備え、その結果、該ヒンジ部材が、該キャップが該サンプルウェルから間隔を空けている第1の別個の位置と、該キャップの底部部分が、該サンプルウェルの中に位置付けられる第2の別個の位置との間をスナップし、該対応するサンプルウェルを実質的にシールする、サンプル基板。
【0005】
本明細書中で使用される場合、用語「実質的にシールする」とは、それによって、サンプルウェルが、本質的に封鎖され、その結果、サンプルウェル内に含まれる物質が、サンプルウェルの中に留まり、サンプルウェルの外側の物質が、サンプルウェル内に入ることが実質的に阻害される状態をいう。「実質的にシールされた」は、それによってサンプルウェルに物質が出入りし得ない状態を規定することは意図しないが、サンプルウェル内のサンプルの隔離レベルが、所望の試験を生じさせるために十分な封着状態を規定することが意図される。例示の目的としてのみ、「実質的にシールされた」この状態は、マイクロカードの金属性裏打ちを変形させて、試験を生じさせるためにサンプルを十分に隔離することによって、マイクロカード内のサンプルウェルをシールする方法によって達成されるものと同様の状態を記載することが意図される。
【0006】
別の局面に従って、生物学的試験に使用するためのサンプル基板は、試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材、および複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材を備える。サンプルウェル閉鎖要素の各々は、第2の部材の残りに関して移動可能であり得る。第2の部材は、覆われていない位置から、覆われた位置まで、第1の部材に関して移動可能であり得、覆われていない位置において、複数のサンプルウェルは覆われておらず、覆われた位置において、複数のサンプルウェルは、第2の部材によって実質的に覆われている。複数のサンプルウェル閉鎖要素の少なくとも1つは、第2のプレートが覆われた位置にある場合に、複数の閉鎖要素の少なくとも1つを第1の所定の位置から第2の所定の位置へと移動することによって、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成され得る。
【0007】
なお別の局面に従って、複数の閉鎖要素の少なくとも1つは、キャップおよびキャップを取り囲む環状リムを備え得る。
【0008】
別の局面において、キャップは、その対応するサンプルウェルの内側表面と係合するように構成された円筒状部分を備え得る。
【0009】
さらなる局面において、環状リムは、キャップに十分な力が与えられた際に、キャップを第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動するスナップスイッチを備え得る。
【0010】
なお別の局面において、環状リムは、複数のキャップの少なくとも1つを、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで、第2の部材の残りに関して移動することを可能にするように構成され得る。
【0011】
別の局面に従って、複数の閉鎖要素の少なくとも1つの一部は、閉鎖要素が第2の所定の位置にある場合に、対応するサンプルウェル内に留まり得る。
【0012】
別の局面において、複数の閉鎖要素の少なくとも1つ、およびその対応するサンプルウェルは、複数の閉鎖要素の少なくとも1つが第2の所定の位置にある場合に、この閉鎖要素が第1の所定の位置にある場合の試験されるべきサンプルの容量と比較して実質的に同じ容量の試験されるべきサンプルをサンプルウェル内に維持するために傾くように構成された可撓性部分を備え得る。
【0013】
なお別の局面において、サンプル基板は、複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡する少なくとも1つのレザバを備え得る。
【0014】
別の局面に従って、レザバは、流体チャネルを介して複数のサンプルウェルの少なくとも1つと流体連絡し得る。
【0015】
さらなる局面において、サンプル基板は、流体チャネルと複数のサンプルウェルの少なくとも1つとの間に分枝流体チャネルを備え得る。
【0016】
なお別の局面に従って、複数の閉鎖要素の少なくとも1つは、第1の所定の位置にある場合にその対応するサンプルウェルとレザバとの間の流体連絡を許容し、そして、第2の所定の位置にある場合に、レザバとサンプルウェルとの間の流体連絡を妨げる。
【0017】
別の局面に従って、少なくとも1つのレザバは、第2の部材が覆われた位置にある場合に、試験されるべきサンプルで充填され得る。
【0018】
別の局面において、少なくとも1つのレザバは、複数のレザバを含み得る。
【0019】
なお別の局面において、複数のレザバの各々は、複数のサンプルウェルの別個の部分と流体連絡し得る。
【0020】
別の局面において、少なくとも1つの閉鎖要素の少なくとも一部は、光導体を備え得る。
【0021】
別の局面において、光導体は、少なくとも1つの閉鎖要素の可撓性部分上に位置付けられ得る。
【0022】
別の局面に従って、複数のサンプルウェルは、マトリクス内に位置決めされ得る。
【0023】
なお別の局面に従って、複数の閉鎖要素は、マトリクス内に位置決めされ得、そして、複数の閉鎖要素の各々は、複数のサンプルウェルの対応する1つと嵌合するように構成され得る。
【0024】
別の局面において、サンプル基板は、4、8、12、16、24、48、96、128、384および1536のサンプルウェルの少なくとも1つおよび対応する閉鎖要素を備え得る。
【0025】
なお別の局面において、接着膜は、マイクロカードが覆われた位置にある場合に、第1の部材と第2の部材との間に位置決めされ得る。
【0026】
別の局面に従って、マイクロカードの第1の使用の前に、接着膜が、第1の部材または第2の部材に固定され得る。
【0027】
なお別の局面に従って、第1の部材が第1のプレートを備え得、かつ、第2の部材が第2のプレートを備え得る。
【0028】
別の局面において、サンプル基板は、マイクロカードを備える。なお別の局面において、サンプル基板は、マイクロタイタープレートを備える。
【0029】
別の局面において、サンプル基板を充填する方法は、第1の物質を、サンプル基板の第1の部材により規定される複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れる工程、第2の物質を、複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れる工程、サンプル基板の第2の部材を第1の部材に関して移動させ、複数のサンプルウェルを実質的に覆う工程、および第2の部材が備える複数の閉鎖要素の少なくとも1つを、第1の所定の位置から第2の所定の位置へと移動させ、複数のサンプルウェルの少なくとも1つを実質的にシールする工程を包含し得る。
【0030】
なお別の局面において、第1の物質は、試薬を含み得、そして、第2の物質は、試験されるべき生物学的サンプルを含み得る。
【0031】
別の局面に従って、第1の物質および第2の物質は、第2のプレートが移動されて、複数のサンプルウェルを実質的に覆う前に、複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れられ得る。
【0032】
さらなる局面に従って、第1の物質および第2の物質は、ピペットを介して複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れられ得る。
【0033】
なお別の局面に従って、第1の物質は、第2の部材が移動されて、複数のサンプルウェルを実質的に覆う前に、サンプルウェルの少なくとも1つに入れられ得る。
【0034】
別の局面において、第1の物質は、ピペットを介して少なくとも1つのサンプルウェルに入れられ得る。
【0035】
なお別の局面において、第2の物質は、第2の部材が移動されて、複数のサンプルウェルを実質的に覆った後に、複数のサンプルウェルの少なくとも1つに入れられ得る。
【0036】
別の局面に従って、第2の物質は、サンプル基板のレザバに入れられ得、かつ、真空ローディングおよび遠心ローディングの少なくとも1つによって複数のサンプルウェルに移され得る。
【0037】
なお別の局面に従って、複数の閉鎖要素の少なくとも1つを移動する工程は、複数の閉鎖要素の少なくとも1つに圧力を適用するための取付け具(fixture)を使用し、従って、複数の閉鎖要素の少なくとも1つを、対応するサンプルウェルに関して、そして、第2の部材に関して移動する工程を包含する。
【0038】
別の局面において、複数の閉鎖要素の少なくとも1つの一部は、複数の閉鎖要素が移動され、その対応するサンプルウェルを実質的にシールする場合に、変形し得る。
【0039】
なお別の局面において、複数のサンプルウェルの少なくとも1つの一部は、その対応する閉鎖要素が移動して、サンプルウェルを実質的にシールする場合に、変形し得る。
【0040】
別の局面に従って、閉鎖要素の少なくとも1つの一部は、少なくとも1つの閉鎖要素がその対応するサンプルウェルを実質的にシールする場合に、その対応するサンプルウェル内に含まれる第1の物質および第2の物質中に少なくとも部分的に浸漬され得る。
【0041】
なお別の局面に従って、閉鎖要素の浸漬された部分は、光導体を備え得る。
【0042】
1つの局面において、生物学的試験において使用するためのサンプル基板は、複数のサンプルウェルを規定する第1の部材、および、複数の対応するサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材を備え得、複数の閉鎖要素の各々は、複数のサンプルウェルの1つに対応する。第2の部材は、開位置から覆われた位置まで第1の部材に関して移動可能であり得、開位置において、複数のサンプルウェルは開いており、覆われた位置において、複数のサンプルウェルは、第2の部材によって実質的に覆われている。複数のサンプルウェル閉鎖要素は、各々、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで、第2の部材の残りに関して移動可能であり得、第2の部材が閉位置にある場合に対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成される。
【0043】
別の局面において、生物学的試験において使用するためのサンプル基板は、試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材、および複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材を備え得る。サンプルウェル閉鎖要素の各々は、第2の部材の残りに関して移動可能であり得る。第2の部材は、覆われていない位置から覆われた位置まで、第1の部材に関して移動可能であり得、覆われていない位置において、複数のサンプルウェルは覆われておらず、覆われた位置において複数のサンプルウェ
ルは第2の部材によって実質的に覆われている。複数のサンプルウェル閉鎖要素の少なくとも1つは、第2のプレートが覆われた位置にある場合、複数の閉鎖要素の少なくとも1つを、第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動することによって、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成され得る。第1の使用の前に、マイクロカードが、試験されるべき物質を含まないサンプルウェルを有し得、そして、覆われていない位置にあり得る。
【0044】
別の局面に従って、生物学的試験において使用するためのサンプル基板は、試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材、および、複数のサンプルウェル閉鎖要素を備える第2の部材を備え得る。各サンプルウェル閉鎖要素は、第2の部材の残りに関して移動可能であり得る。第2の部材は、覆われていない位置から覆われた位置まで、第1の部材に関して移動可能であり得、覆われていない位置において、複数のサンプルウェルは覆われておらず、覆われた位置においては、複数のサンプルウェルが第2の部材によって実質的に覆われている。複数のサンプルウェル閉鎖要素の少なくとも1つは、第2のプレートが覆われた位置にある場合に、複数の閉鎖要素の少なくとも1つを第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動することによって、対応するサンプルウェルを実質的にシールするように構成され得る。マイクロカードは、覆われた位置にあり得、そして、少なくとも1つのサンプルウェル内に含まれる、試験されるべき物質を有し得、複数のサンプルウェルの少なくとも1つは、閉鎖要素によって実質的にシールされている。
【0045】
なお別の局面において、生物学的試験において使用するためのサンプル基板は、試験されるべきサンプルを含むための複数のサンプルウェルを規定する第1の部材、ならびに、複数のサンプルウェル閉鎖要素およびサンプルウェル閉鎖要素を接続する表面を備える第2の部材を備え得る。サンプルウェル閉鎖要素の各々は、対応するサンプルウェル内にフィットするような寸法の突出部材を備えるキャップ、ならびにキャップおよび第2の部材の表面を接続する可撓性環状ヒンジ部材を備え得る。可撓性環状ヒンジ部材は、キャップが対応するサンプルウェルを実質的に覆う第1の別個の位置と、キャップが対応するサンプルウェルを実質的にシールする第2の別個の位置との間をスナップするように構成され得る。
【0046】
なお別の局面において、生物学的試験において使用するためのサンプル基板は、試験されるべきサンプルを含むためのサンプルウェルのアレイを規定する第1のプレート様部材、ならびに、サンプルウェル閉鎖要素のアレイ、およびサンプルウェル閉鎖要素を接続する表面を備える第2のプレート様部材を備え得る。サンプルウェル閉鎖要素は、サンプルウェルのアレイと対応するように位置決めされ得る。サンプルウェル閉鎖要素の各々は、対応するサンプルウェルおよび底部にフィットするような寸法の円筒状部材を備えるキャップ、ならびに、キャップおよび第2のプレート様部材の表面を接続する可撓性環状ヒンジ部材を備え得る。可撓性環状ヒンジ部材は、オーバーセンター(over−center)ヒンジを備え得、その結果、ヒンジ部材は、キャップがサンプルウェルから間隔を空けている第1の別個の位置と、キャップの底部が、サンプルウェル内に位置決めされ、対応するサンプルウェルを実質的にシールする第2の別個の位置との間をスナップする。
【0047】
上記の一般的な説明および以下の種々の実施形態の説明の両方が、例示的かつ説明的であるのみであり、限定的ではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(種々の実施形態の説明)
ここで、種々の例示的な実施形態に対して参照がなされ、これらの例は、添付の図面に例示される。可能な限り、同じ部品または同様の部品を参照するために、図面および明細
書において同じ参照番号が用いられ、そして、アルファベットの接尾辞または数字の接頭辞を伴う同じ参照番号は、類似の部品を参照するために使用される。
【0049】
種々の実施形態に従って、サンプル基板が提供される。1つの局面において、サンプル基板は、試験デバイス中で試験されるべき1つ以上のサンプルで充填され得る。このような試験デバイスは、サーマルサイクラーまたは他の適切な生物学的試験デバイスを含み得る。種々の局面において、サンプル基板は、第1の部材内に配置された複数のサンプルウェルを備え得、このサンプルウェルの各々は、第2の部材内に配置された付随する閉鎖要素を有する。いくつかの実施形態において、2つの部材が、単一のピースを形成し得、そして、第1の(「覆われていない」)位置にあるサンプルウェルへの開架(open access)を可能し、かつ、第2の(「覆われた」)位置にあるサンプルウェルを覆うように、互いに関して移動可能であり得る。
【0050】
用語「マイクロカード」が明細書中で使用されるが、本教示は、例えば、マイクロタイタープレート、サンプルトレイなどのような任意の型のサンプル基板において適切であることが理解されるべきである。図1〜3に示すような種々の実施形態において、マイクロカード10のようなサンプル基板が提供される。マイクロカード10は、サーマルサイクリングデバイスにおいて生物学的物質のサンプルをサーマルサイクルするために構成され得る。サーマルサイクリングデバイスは、生物学的物質のサンプルについて核酸増幅を実施するために構成され得る。生物学的サンプルの核酸増幅を実施する1つの方法は、PCRである。種々のPCR方法が当該分野で公知であり、たとえば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(これらの全開示は、あらゆる目的のために、参考として本明細書により援用される)に記載される。核酸増幅の他の方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。これらおよび他の方法は、米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号により詳細に記載され、これらもまた、本明細書中に参考として援用される。
【0051】
特定の実施形態において、マイクロカードは、リアルタイム検出システムと共に使用され得る。リアルタイム検出システムは、当該分野で公知であり、たとえば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(上記で、本明細書中に援用される)により詳細に記載される。リアルタイム検出の間に、サーマルサイクリングの間にサンプルの種々の特徴が検出される。リアルタイム検出は、正確かつ効率的な検出、核酸増幅の間のサンプルのモニタリングを可能にする。あるいは、マイクロカードは、サンプルの核酸の終点検出を行なうサーマルサイクリングデバイスにおいて使用され得る。PCRにおいて使用されるサーマルサイクラーのさらなる例としては、米国特許第5,038,852号および同第5,333,675号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。
【0052】
図1において、開位置で、かつ、第1の部材またはプレート12および第2の部材またはプレート14を有するマイクロカード10の平面図が、示される。第1のプレート12および第2のプレート14は、ヒンジ要素16を介して接続され、このヒンジ要素は、例えば、活発なヒンジ(living hinge)型であり得る。マイクロカード10は、PCR試験および活発なヒンジを含むための両方に適している、ポリプロピレンのような物質からなる単一のユニットとして形成され得る。PCR試験デバイスにおいて使用するために適切な特有の特徴を提供し得る他の物質もまた、使用され得る。特定の実施形態において、マイクロカード10が、単一のピースとして形成されることが望ましくあり得るが、プレート12および14を、ヒンジ要素によって連結される別個のピースとして形成することもまた可能であり得、このヒンジ要素は、プレート12もしくは14のうちの1つと一体になっており、かつ他方に結合されるか、または、両方に結合された別個の要
素であり得る。
【0053】
図1に示すように、プレート12は、複数のサンプルウェル(またはサンプルチャンバ)20a〜20cを規定する。本明細書中で実施されるように、プレート12は、3つの128サンプルウェルのセットに分けられた384サンプルウェルを規定する。図1に示すように、128ウェルの各セットは、8×16マトリクスで構成される。広範な種々の構成が可能であることが理解されるべきである。他の一般的な構成としては、例えば、48、96および384のサンプルウェルマトリクスが挙げられるが、本教示は、任意の数のサンプルウェルに適切である。プレート12はまた、分枝チャネル26a〜26cを介してサンプルウェル20a〜20cに接続し、それにより、それぞれのレザバ24a〜24cと流体連絡している複数のチャネル22a〜22cを規定する。各々384サンプルウェルの3分の1と流体連絡している、3つのレザバ24a〜24cが図示されるが、他の構成が可能である。例えば、全てのサンプルウェル20と流体連絡している1つのレザバが提供され得るか、または、各々、1つのチャネルと連絡している24のレザバが存在し得る。さらに、サンプルウェルの所望の部分と連絡するように、任意の他の数のレザバが意図され得る。
【0054】
マイクロカードのようなサンプル基板は、1つ以上のサンプルウェル内に試薬が「スポット」され得、次いで乾燥される。本明細書中で使用される場合、スポッティングは、しばしばピペットを用いて、流体(例えば、試薬)をサンプルウェルに入れるプロセスを規定するが、他の適切な充填手段もまた使用され得る。これらの事前ローディングマイクロカードは、次いで、別の流体(例えば、試験されるべき生物学的サンプル)で充填され、その結果、PCRプロセスの間に、試薬とサンプルとの間の反応を生じ得る。マイクロカード10と同様に、従来のマイクロカードは、試験されるべきサンプルで充填され得る1つ以上のレザバを有し得る。ついで、レザバに含まれるサンプル流体が、例えば、真空ローディングまたは遠心ローディングによってならびに、当該分野で公知の生物学的サンプルをサンプルウェルにロードするための任意の他の手段によって、サンプルウェルを通過し、それにより、カードが、遠心機の中でスピンダウンされて、液体が、レザバからレザバが連絡するサンプルウェルに移される。
【0055】
マイクロカード10は、いくらか同様の様式で使用され得るが、ユーザーの各個々のウェルへの開かれたアクセスを可能にするので、マイクロカードの遠心方法に、より柔軟性を提供し得る。例えば、ユーザーは、マイクロカードが、図1に示される開いた、すなわち「覆われていない」位置にある場合に、自身の選択した試薬を1つ以上のサンプルウェル20a〜20cにスポットし得る。マイクロカード10は、自動ピペッティング機器と適合可能であるように構成され得るか、または、手動のピペッティングもしくは他のスポッティング手段のために適応され得る。このようなユーザーが構成可能なカードは、事前ローディングカードに頼ることなく、試験においてどのサンプルおよび試薬を使用するかを、試験時に決定することを可能にし得る。
【0056】
ユーザーはまた、サンプルウェル内に種々の試薬を導入し得る。図1に示されるように、例えば、ユーザーは、マイクロカードが覆われていない位置にある場合、128の別個の試薬を、サンプルウェル20aの各々に導入し得る。次いで、レザバ24aが、生物学的サンプルで充填され得、このサンプルが、PCR試験の間に、異なる試薬の各々と反応し得る。この手順は、試薬をサンプルウェル20b、20cにロードするために繰り返され得、そして、別個の生物学的サンプルが、レザバ24bおよび24cの各々に入れられ得る。このような構成は、次いで、例えば、種々の疾患または他の状態について3人の個体をスクリーニングするために使用され得る。さらに、ウェル20a〜20cの各々に異なる試薬をスポッティングすることによって、単一の生物学的サンプルが、レザバ24a〜24cの各々にロードされ得る。従って、図1〜3に図示されるマイクロカードを用い
ると、単一のサンプルが、384の異なる特性についてスクリーニングされ得る。
【0057】
別の試験構成において、各ウェルに、別個の生物学的サンプルがロードされ得、そして、1つ以上のレザバに、単一の試薬または別個の試薬でロードされ得る。リザーブカードと呼ばれ得るこの構成は、種々の生物学的サンプルにおける単一の条件のスクリーニングを可能にし得る。例えば、1つの集団が、1つの条件の存在についてスクリーニングされ得る。本明細書中に記載されるローディングマイクロカードの種々の構成は、単なる例示である。レザバ数、およびサンプルウェルへのサンプル/試薬ローディングの両方の他の構成は、本明細書中に含まれる開示の教示から明らかであり得る。
【0058】
一旦、レザバ24a〜24cが充填され、サンプルウェル20a〜20cが適切にスポットされると、次いで、プレート14が、図2(プレート12の外側表面に示される)に見られるように、プレート12上を覆って保持され得る。図2は、覆われた位置を示し、覆われた位置において、複数のサンプルウェル20a〜20cは、プレート14によって実質的に覆われている。レザバ24a〜24cは、プレート14によって完全に覆われているように図示されるが、レザバ24a〜24cについての特定の実施形態において、プレート14がプレート12を覆う位置に移動された後に、レザバ24a〜24cが充填され得るように、開口部(図示せず)が備えつけられることが可能である。開口部は、プレート12またはプレート14のいずれかの中に配置される貫通穴の形態であり得、その結果、ピペットもしくは他の充填手段によるアクセスを可能にするか、または、遠心ローディングされたマイクロカードで可能なように、レザバは、カードの周縁に沿って、実質的に空いていてもよい。
【0059】
従来のマイクロカードを用いると、サンプルウェルは、しばしば、ポリプロピレンカード中に備え付けられるが、ポリプロピレンに加えて、他のPCR適合性物質が使用され得る。フォイルバッキングが、カードに接着され、サンプルウェル、チャネルおよび/またはレザバの各々を閉鎖し、従って、種々のレザバ、サンプルウェルとレザバとの間の所望の間隔を維持し得る。同等に隔離された被膜を提供するために、接着膜30(図3A〜3Dを参照のこと)が、プレート12と14との間に提供され得る。接着膜30は、ポリプロピレン、LEXAN、MYLARまたは任意の他の適切なPCR適合性物質のような物質から作製され得る。接着膜30は、一旦マイクロカード10が閉じた位置に来ると、プレート12または14のいずれかを、まず接着バッキングに固定して、プレート12と14との間の所望のシールを提供し得る。図3A〜3Dに図示するように、膜30は、まず、プレート14に固定され、そして、プレート12と接着するように移動する。膜30は、好ましくは、プレート12と接着するように構成され、その結果、レザバ24a〜24cとサンプルウェル20a〜20cとの間の、チャネル22a〜22cおよび分枝チャネル26a〜26cを介する流体連絡が、プレート12および14が互いに接着している場合に維持される。膜30は、非蛍光性で、かつ、高タック特性を有するもののような、PCR適合性の接着剤でコーティングされ得る。膜30は、レザバ24a〜24cから、サンプルウェル20a〜20cの各々までの流体流れを阻害しないように構成されることが望ましい。
【0060】
プレート12を覆う位置に移動され得るプレート14は、例えば、図3Bに示されるように、複数の閉鎖要素40を備える。各閉鎖要素40は、一旦、サンプルウェルがPCR試験の間の反応のための所望の流体で充填されると、サンプルウェルを実質的に覆い、次いで、実質的にシールするように、対応するサンプルウェル20に対して位置決めされて構成される。種々の実施形態において、閉鎖要素40は、可撓性環状リム42およびキャップ44を備える。図3Bに示される実施形態において、可撓性環状リム42は、プレート14をキャップ44に接続するヒンジを規定する。可撓性環状リム42は、キャップ44を取り囲むが、以下に記載する閉鎖手順の間の、キャップ44の軸方向の移動を許容す
る。
【0061】
種々の実施形態において、キャップ44は、円筒状部材45および底部部材47を備える。円筒状部材45は、キャップ44の上面48から下向きに延びる。円筒状部材45は、好ましくは、サンプルウェル20の内側円筒状表面ときっちりとフィットするか、または、干渉ばめを有するような寸法の外側表面49を備え、キャップがサンプルウェル内へと下向きに移動する場合、サンプルウェルを実質的にシールする。キャップ44は、キャップの上面48に置かれる外部の力によって下向きに移動して環状リム(またはヒンジ)42を旋回させ得、その結果、キャップ44は、サンプルウェル20内を軸方向に移動する。図3B〜3Dに示される環状リム42は、第1の所定の(または別個の)位置(図3B〜3C)から、第1の所定の位置から下向きの第2の所定の(または別個の)位置(図3D)まで、下向きにスナップするように構成される。環状リム42は、2つの所定の(または別個の)位置:第1の位置(図3B〜3C)または第2の位置(図3D)のいずれかにキャップを維持する、オーバーセンターヒンジを規定し得る。
【0062】
図3A〜3Dは、図1のマイクロカード10のサンプルウェルの1つを、スポット、閉鎖、充填および実質的にシールする連続動作を示す(単純には、a〜cの記号は、図3A〜3Dにおける要素20、22、24および26を参照して書かれる)。図3Aにおいて実施するように、プレート12内に配置されるサンプルウェル20に、試薬50がスポットされた。このことは、プレート14をプレート12上に置く前後になされ得る。図3Bに見られるように、プレート14が次いで、例えば、プレート14を、ヒンジ要素16の周りを回転させ、プレート14に圧力を加えることによって、プレート12を覆う位置(また、「覆われた」位置とも呼ばれる)に移動され得る。接着膜30は、プレート12とプレート14との間のシールを提供し得るが、チャネル分枝26を介して空いた流体経路を維持し得、このチャネル分枝26は、チャネル22に接続し、最終的にレザバ24につながる。図3Bは、第1の位置にある閉鎖要素40およびキャップ44を示す。種々の実施形態において、第1の位置は、ヒンジ(または環状リム)42の別個の所定の位置である。
【0063】
図3Cは、なお、第1の位置にある閉鎖要素40およびキャップ44を示す。図3Cに示されるように、レザバ24aに含まれる流体60は、例えば、真空力または遠心力によって、チャネル分枝26を介してサンプルウェル20へと流れ、それによって、サンプルウェル20中の試薬50と混合する。一旦所望の流体および反応物がサンプルウェル20内で合わせられると、キャップ44は、サンプルウェル20内の第2の位置へと移動し、図3Dに示されるように、チャネル分枝26からサンプルウェル20を実質的にシールまたは隔離し得る。示される例において、キャップ44は、ユーザーが、十分な力でキャップ44の上面48を下向きに押して、キャップの底部をサンプルウェル20内を軸方向にスライドさせることによって、第2の位置まで移動され得る。あるいは、任意の型のプレス機構を用いて、キャップ44の上面48を下向きに押し得る。
【0064】
ヒンジ(または環状リム)42は、閉鎖要素40(キャップ44を含む)が、キャップが、特定の所定の点を超えて下がる際に、第1の位置(図3B〜3Cに示される)から第2の位置(図3Dに示される)へと、スナップするように構成される。一旦キャップ44が第2の位置に来ると、キャップは、実質的に下がり、その結果、キャップ44の底部部材47が、チャネル分枝26をブロックし、それゆえ、チャネル分枝26とサンプルウェル20との間の流体連絡を妨げる。キャップ44の円筒状部材45の外側表面49は、サンプルウェル20の内側表面ときっちりとした間隔を有するように構成され得る。キャップ44の外側表面49と、サンプルウェルの内側表面との係合は、キャップ44とサンプルウェル20との間の実質的な封着を促進する。例えば、キャップ44は、個別に、または、実質的に一度に、実質的にシールされた位置へと移動され得る。
【0065】
特定の実施形態において、キャップの底部部材47は、可撓性部分が備え付けられ得る。図3Dに示されるように、底部部材47は、可撓性部分46を備え得る。同様に、図3Dにまた示されるように、サンプルウェル20を規定するプレート12の一部がまた、可撓性部分20−1を備え付けられ得る。可撓性部分46および20−1は、サンプルウェル20内に含まれる流体、試薬50およびサンプル60の組合せを補う。なぜならば、キャップ44は、反対方向に出っ張って、サンプルウェル20内に実質的に同じ流体容量を維持することによって、サンプルウェル20を実質的にシールする位置まで移動されるからである。本明細書中において使用される場合、「実質的に同じ容量」とは、キャップ44が適所に移動され、サンプルウェル20を実質的にシールする前後に、サンプルウェル内に含まれる物質の容量を言うことを意図する。実質的に同じ容量は、サンプルウェル内の容量が、全く同じままであることを意味することは意図せず、キャップ44が適所に移動されるように、同じ量の物質がサンプルウェル20から流れる可能性を可能にすることを意図する。可撓性部分46および20−1をマイクロカード10に組み込むことによって、キャップ44およびサンプルウェル20は、そうでなければキャップがサンプルウェル内の場所に移動する際に、キャップによって置き換えられるサンプル物質の少なくともいくらかを補うことができる。本教示のマイクロカードを用いると、使用するPCR試験デバイスの構成に依存して、キャップ44を通じてか、または、サンプルウェル20の底部を通じてのいずれかで、放射が検出デバイスに方向付けられ得る。
【0066】
PCR試験の間、所望されない濃縮が、サンプルウェル内で形成し得、そして、放射(例えば、蛍光)が通過し、PCR試験装置により検出され得るサンプルウェル20の視窓を隠し得る。本教示に従うマイクロカードの種々の実施形態により達成される利点は、キャップ44が、サンプルウェル20内に挿入され、その結果、一部分(例えば、可撓性部分46)が、サンプルと接触し得ることである。キャップ44の一部がサンプルと直接接触すると、放射は、サンプルウェル20内のいかなる濃縮の可能性によっても影響されることなく、プレート14をより容易に通過し得る。
【0067】
さらに、従来のデバイスを用いると、サンプルウェルが所望の反応物で充填された後に、サンプルウェルをステークすることが必要であり得る。フォイルバッキングを有するマイクロカードの場合、このことは、しばしば、針または他の適切なデバイスを用いて金属バッキングを変形することによって達成され、その結果、フォイルバッキングは、供給チャネル(例えば、チャネル分枝26)へと突出し、そして、その供給チャネルおよびレザバと流体連絡しないように、チャネルをブロックする。閉鎖要素40は、ウェル20内のそのスナップフィットによって、サンプルウェル20を実質的にシールし、従って、マイクロカードをステークする必要性を排除するこの機能を実行し得る。
【0068】
キャップ44を実質的にシールされた位置まで移動させるために、キャップ44の上面45と接触し、キャップをサンプルウェル20内の位置に押し得る取付け具が備え付けられ得る。この同じ取付け具が、マイクロカード10が、例えば、遠心ローディングまたは真空ローディングによって充填される前に、プレート12および14をまた整列および嵌合し得る、2段階プレスとして備え付けられ得る。プレート12および14は、干渉ばめによって互いにフィットし得、それによって、プレート12および14の一方が、プレート12および14の他方の外周の周りと、2つのプレートを互いに保持するために十分な干渉ばめでフィットするように構成されたリムを有する。他のスナップフィット手段(例えば、スナップタブ)ならびに他の適切な閉鎖手段が、プレート12および14を互いにフィットするために使用され得る。一方のプレートを加熱し、そして、他方のプレートを冷却して、2つのプレート12、14の間の一時的なサイズの差異を達成することがまた望ましくあり得る。プレート12および14は、次いで、閉じた位置へと移動され、その温度が同じになるにつれて、きっちりとした干渉ばめが達成され得る。使用される取付け
具は、2つのプレート間のこの選択的な温度差を提供するように構成され得る。
【0069】
上記の説明から明らかであるように、本教示はまた、サンプル基板を充填する方法も含み得る。
【0070】
上述のように、マイクロカードは、他の構成を有し得、他の構成としては、サンプルウェルおよびレザバの数が挙げられるがこれらに限定されない。マイクロカード110は、閉じた位置で図4に図示され、プレート112の外側表面に面するように見える。マイクロカード110は、図1に示されるマクロカードに対して、多くの点で類似するが、96のサンプルウェル120を有する。サンプルウェル120は、各々、分枝チャネル126によって、複数の主要チャネル122の1つに流体連絡している。チャネル122は、レザバ124とさらに連絡している。マイクロカード120はまた、領域170を含み、この領域において、カードについての情報が記載され得るか、カードまたはその内容についての情報を含むステッカーが貼り付けられ得る。このような情報は、バーコード、書面による情報の形態または、カードもしくはそこに含まれるサンプルの所望の特徴を示すのに適切な任意の他の形態であり得る。
【0071】
別の実施形態に従って、レザバまたは供給チャネルを備えないが、その他は実質的にマイクロカード10と同じである、マイクロカード210が図5に図示される。マイクロカード210は、96のサンプルウェル220を有するように図示されるが、任意の数のサンプルウェルが提供され得る。マイクロカード210はまた、ヒンジ216を介して接続される、第1のプレート212および第2のプレート214を備える。プレート214は、キャップ244を取り囲む可撓性環状リム242を備える閉鎖要素240を備え、この閉鎖要素は、図1〜3を参照して上記される閉鎖要素と類似の様式で機能する。マイクロカード210は、PCR環境において使用され得、それによって、ユーザーは、試薬およびサンプルの各々、または任意の他の試験されることが望ましい物質を、別個に各サンプルウェル220に充填することを所望し得る。マイクロカード210は、ユーザーによって所望されるように、1つ以上のサンプルウェル220内に、完全に異なる反応物質を有するために適切であり得るか、または、真空ローディングもしくは遠心ローディングのような充填機器が利用可能でない状況において使用され得る。試験流体は、ピペットを用いて、手動または自動で、ならびに、マイクロカードサンプルウェルを充填するために適切な任意の他の手段によって導入され得る。
【0072】
一旦充填されると、マイクロカード210は、上に記載され、かつ、図6A〜6C(サンプルウェル220の部分断面図を示す)に図示されるものと類似の様式で閉鎖され得る。図6Aに示されるように、サンプルウェル220は、例えばピペッティングによって、所望のサンプル250が充填またはスポットされる。この実施形態において、サンプル250は、試薬およびサンプルの両方を含み得る。さらに、この例では、スポッティングは、試薬およびサンプルの片方または両方のいずれかの充填を指し得る。次いで、プレート214が、プレート212を覆って図6Bに図示されるような閉位置に、図1〜3の実施形態において上記されるものと類似の様式で位置決めされる。各ウェル220は、プレート212内で完全に隔離されているので、膜は、種々のサンプルの隔離を補助するために必須であるわけではない。必要とされるわけではないが、膜30(図3A〜3Dを参照のこと)に類似する膜(図6A〜6Cに示されない)を備えて、プレート212および214を閉鎖関係に維持することを補助することが望ましくあり得る。一旦閉鎖されると、次いで、キャップ244が、本明細書中に記載されるものと類似の様式で、図6Cに見られるような置き換えられたサンプル流体を補うために突出している可撓性部分220−1および246を用いて、サンプルウェル220を実質的にシールするように圧縮され得る。
【0073】
図5に図示されるマイクロカード210に類似する別の実施形態に従って、第1のプレ
ート312および第2のプレート314、ならびに、96のサンプルウェル320を有する閉鎖されたマイクロカード310が図7に示される。供給チャネルは、このようなマイクロカードにおいて必須ではないので、サンプルウェル320は、マイクロカード全体のより小さなサイズを可能にするため、および/または、マイクロカード210とサイズが同一であるマイクロカード内のより高いサンプルウェル密度を可能にするために、補われ、かつ、より近く一緒に移動され得る。言い換えると、図7の実施形態におけるサンプルウェルは、図1〜6に示されるマイクロカードにおけるサンプルウェルとは異なり、マトリクス内に位置決めされない。
【0074】
別の例示的な実施形態において、図8は、光導体280のさらなる特徴を有するサンプルウェル220を図示する。キャップ244は、サンプル250内に浸されるように構成され、ウェル内の濃縮の利点を最小限にするという利点を提供するが、光導体280は、可撓性部分246上または可撓性部分246の一部として形成され得る。光導体280は、サンプルウェル220内をさらに延びるように設計され、キャップ244の一部が、サンプル250内に十分に浸されることをさらに保証する。光導体280は、ポリプロピレンの円筒形突出部、または、PCR試験に所望される所望の放射透過特性に適切な、任意の他のサイズもしくは形状であり得る。光導体280はまた、サンプルウェル220内へおよびサンプルウェル220からの放射を集中させるか、または方向付けることを補助し得るオプティクスを組み込み得る。可撓性環状リム242は、キャップ244を取り囲み、そして、図5〜6に記載されるものと類似の様式で機能する。
【0075】
マイクロカード10、110、210および310は、互いに関して移動可能な第1の部材および第2の部材を有するカードに関して上記されるが、本教示はまた、第1の部材および第2の部材が、互いに関して固定されているカードにも適用され得る。このようなカードは、従来のカードでもなされているように、事前スポッティングされ得るが、サンプルウェルを実質的にシールするために複数の閉鎖要素を含む。本質的には、この配置のカードは、フォイルバッキングを使用する代わりに、第1の部材に固定され、かつ、閉鎖要素を備える、第2の部材に類似するポリプロピレン部材を有し得る。この実施形態において、例えば、事前スポッティングされたカードは、閉鎖要素を組み込み得、従って、閉鎖要素を、サンプルウェルを実質的にシールするための場所に移動することで、ステーキングを置き換えることを可能にする。
【0076】
種々の改変およびバリエーションが、上記の構造および方法に対してなされ得ることが、当業者に明らかである。従って、本教示は、明細書中に記載される例に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、本教示は、改変およびバリエーションを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、少なくとも1つの例示的な実施形態を例示する。
【図1】図1は、開位置の、384のサンプルウェルを有するマイクロカードの平面図である。
【図2】図2は、閉位置の図1のマイクロカードの平面図である。
【図3A】図3A〜3Dは、図1のマイクロカードのサンプルウェルの部分断面図であり、サンプルウェルを充填および実質的にシールする工程の経過を示す。
【図3C】図3A〜3Dは、図1のマイクロカードのサンプルウェルの部分断面図であり、サンプルウェルを充填および実質的にシールする工程の経過を示す。
【図4】図4は、96のサンプルウェルを有するマイクロカードの代替的な実施形態の平面図である。
【図5】図5は、開位置の、マイクロカードの代替的な実施形態の平面図である。
【図6】図6A〜6Cは、図5のマイクロカードのサンプルウェルの部分断面図であり、サンプルウェルを充填および実質的にシールする工程の経過を示す。
【図7】図7は、マイクロカードの代替的な実施形態の平面図である。
【図8】図8は、光導体を有するマイクロカードの代替的な実施形態のサンプルウェルの部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−69161(P2009−69161A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292726(P2008−292726)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【分割の表示】特願2004−557577(P2004−557577)の分割
【原出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】