説明

生物学的適用のためのフォトニックシェルコアが架橋し、官能化されたナノ構造

本発明は、ある範囲の造影、診断および治療に用いるのに有用な、光学機能を有する架橋型超分子構造および超分子集合体を含む光学薬剤を提供する。本発明の超分子構造および超分子集合体は、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルを含み、この光学機能は、1個以上の光活性部分を含む1個以上の接続基を組み込むことによって達成される。さらに、本発明は、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルを含む1個以上の本発明の光学薬剤を用いる、造影方法、検知方法および治療方法を含む。本発明は、系内で監視する方法を含み、例えば、化学的な環境変化または生理学的な環境変化に応答して、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルの物理的変化および/または構造変化が起こり、これによって、ミセルからの発光波長または発光強度が、測定可能なほど変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、それぞれ、2007年11月7日および2008年10月20日に出願された、米国仮出願第60/986,171号および同第61/106,842号(これらは、本明細書と矛盾しない程度まで、参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
自己集合型ナノ構造は、生物医学用途で有益である可能性が高い化学特性および物理特性を有する、ナノ材料の一種である。化学治療薬のような水難溶性の薬物を封入し、可溶化し、送達しやすくするための汎用的なナノ材料プラットフォームとして、例えば、両親媒性ポリマーミセルの超分子構造が提案されている。標的となるリガンドを両親媒性ポリマーミセルの超分子構造に組み込むことによって、特定の細胞種、組織および臓器を標的として医薬を送達するのに有効な経路が得られる見込みが高い。薬物の配合および送達にミセル超分子構造を使用することは、現時点で、かなり大きな研究目的となっているが、他の生物医学分野で使用する自己集合型ナノ構造の開発は、実質的にほとんど進んでいない。
【0003】
ポリマーミセルの超分子構造は、典型的には、溶液環境中で、両親媒性ポリマーが、エントロピー的に有利なように自己集合することによって形成される。例えば、水溶液中で、空間的に分割された親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーが、臨界ミセル濃度(CMC)より高い濃度で与えられると、疎水性領域が、中心に疎水性コアを形成し、親水性領域が、自己集合し、水相にさらされる外側の疎水性コロナ領域を形成するように、ポリマーが凝集し、自己集合する。両親媒性ポリマーミセルがコア−コロナ構造をとることによって、疎水性コアが、疎水性分子を可溶化させることが可能な遮蔽された相を与え、外側のコロナ領域が、少なくとも部分的に溶媒和し、これらのナノ構造にコロイド安定性を付与するため、有用な物理特性が得られる。
【0004】
ブロックコポリマーおよび架橋ブロックコポリマー集合体のような多くの両親媒性ポリマー系は、薬物の配合および送達のような生物医学用途に適するように特定的に改変され、開発されている。以下の参考文献には、ブロックコポリマーによる薬物送達系を含む両親媒性ポリマーによる薬物送達系の例が記載されており、この内容を、すべて本明細書に援用する。(1)非特許文献1;(2)Qinggao Ma、Edward E.Remsen、Tomasz、Kowalewski、Jacob Schaefer、Karen Wooley Nano Lett.2001、1、651 Jones、M.−C.;Leroux J.−C.;(3)「Polymeric Micelles:A New Generation of Colloidal Drug Carriers」Eur.J.Pharm.Biopharm.1999、48、101−111;および(4)非特許文献2。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Li、Yali;Sun、Guorong;Xu、Jinqi;Wooley、Karen L.、ShellCrosslinked Nanoparticles:Progress Report on their Design for Drug Delivery;Nanotechnology in Therapeutics(2007)、381−407
【非特許文献2】Kwon、G.S.;Naito、M.;Kataoka、K.;Yokoyama、M.;Sakurai、Y.;Okano、T.「Block Copolymer Micelles as Vehicles for Hydrophobic Drugs」Colloids and Surfaces、B:Biointerfaces 1994、2、429−34
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、造影、視覚化、診断のためのモニタリング、および光線治療に用いるための組成物、製剤および配合物を含む光学薬剤(optical agent)を提供する。本発明の光学薬剤は、シェルが架橋したミセルのような超分子構造を含む、さまざまな生物医学用途のための外因性要素として機能する1個以上の光活性部分を含む、少なくとも1個の接続基を組み込んだフォトニックナノ構造およびナノ集合体を含む。本発明の光学薬剤は、光学的および構造的に有用な機能を付与する接続基を有する超分子構造を含む。ある実施形態では、例えば、ポリマー要素に共有結合によって架橋する機能を有する接続基が存在することによって、架橋したシェルで安定化した超分子構造が得られ、例えば、発色団、フルオロフォア、光増感剤および/または光反応種として機能することによって、有用な光学機能を付与する。本発明の光学薬剤の中には、フォトニックナノ構造またはナノ集合体と共有結合または非共有結合によって結合する1個以上の標的化リガンドをさらに含み、特定の臓器、組織、細胞種または腫瘍部位のような特定の生体環境に、光学薬剤を投与し、光学薬剤がこれらの生体環境を標的とし、および/または光学薬剤をこれらの生体環境に局在化させるための特異性を与える。本発明の光学薬剤は、場合により、バイオコンジュゲートを含む。
【0007】
本発明の光学薬剤は、断層撮影、臓器の機能をモニタリングし、評価する方法、解剖による視覚化、冠動脈造影法、蛍光内視鏡検査および腫瘍の検出および造影のような、in vivo、in vitroおよびex vivoの種々の生物医学的な診断用途、視覚化用途および造影用途に有用である。ある実施形態では、例えば、シェルが架橋したミセルを含む、本発明のフォトニックナノ構造およびナノ集合体は、例えば、患者のpHおよび/または臓器の機能を系内で監視することが可能な、化学的および生理学的な検知に用いる組成物を与える。あるいは、シェルが架橋したミセルを含む、本発明のフォトニックナノ構造およびナノ集合体は、多光子造影法および光音響造影法といった光学的な造影法で用いる光学有機プローブおよびコントラスト剤を与える。本発明の光学薬剤は、光線治療法、イメージガイド手術、治療薬の投与および標的に特異的な投与、および内視鏡による手術および治療を含む種々の治療用途に有用である。ある実施形態では、例えば、シェルが架橋したミセルを含む、本発明のフォトニックナノ構造およびナノ集合体は、標的となる生体環境、臓器または組織に加えられた電磁放射線を吸収し、内部で、所望の治療効果を付与することが可能な光線治療薬に電磁放射線を移動させるような、光学薬剤を与える。
【0008】
ある局面では、本発明は、ポリマー要素を共有結合によって架橋し、有用な光学機能を付与するための二官能接続基を有する、架橋性超分子構造を含む光学薬剤を与える。この局面の光学薬剤は、架橋ブロックコポリマーを含み、架橋ブロックコポリマーは、それぞれ、親水性ブロックと疎水性ブロックとを含む。さらに、この局面の光学薬剤は、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分に対し、共有結合によって架橋する接続基を含む。いくつかの光学薬剤に関し、ブロックコポリマーの親水性ブロックに接続する接続基の少なくとも一部分は、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)で励起可能なフルオロフォアまたは光増感剤のような、1個以上の光活性部分を含む。ブロックコポリマーおよび接続基要素の組成は、光学薬剤が、水溶液中で超分子構造を形成するように選択される。この得られた超分子構造は、内側に、ブロックコポリマーの疎水性ブロックを含む疎水性コアを有する。さらに、得られた超分子構造は、ブロックコポリマーの親水性ブロックを含む、共有結合によって架橋する親水性シェルを含む。ある実施形態では、光学薬剤は、水溶液中で、光学機能を有するミセル、小胞、二層、折りたたまれたシート、管状ミセル、環状ミセルまたは円盤状ミセルを含む超分子構造を形成する。本発明の光学薬剤としては、例えば、シェルが架橋したミセルが挙げられ、このミセルは、場合により、断面の直径が5nm〜100nmの範囲にわたって選択され、発色団、フルオロフォアまたは光線治療薬として機能することが可能なものであり、場合により、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)で励起可能である。本発明のミセル型光学薬剤の物理的な寸法は、毒性、免疫応答、生体適合性および/または生体でのクリアランスを考慮した多くの因子によって選択してもよい。
【0009】
接続基の組成および架橋度(extent of cross linking)の選択によって、少なくとも部分的には、本発明の光学薬剤の超分子構造および超分子集合体の光学特性、物理特性、生理学的特性および化学特性、例えば、励起波長、発光波長、ストークスシフト、量子収率、断面の寸法、架橋度、安定性、生体適合性、患者に投与した際の生理学的なクリアランスなどが決まる。本発明の光学薬剤に使用する接続基の活性化部分として有用なものには、染料、フルオロフォア、発色団、光増感剤、光反応剤、光線治療薬、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体がある。ある実施形態では、例えば、接続基と、親水性ブロックのモノマーとの化学量論比は、0.1:100〜75:100の範囲、場合により、1:100〜75:100の範囲、場合により、10:100〜75:100の範囲、場合により、30:100〜75:100の範囲にわたって選択される。
【0010】
診断、造影および生理学的な検知に適用するのに魅力的な実施形態では、本発明の光学薬剤の接続基の少なくとも一部分が、1個以上の発色団および/またはフルオロフォアを含む。この局面で有用な接続基としては、蛍光染料を含む、可視染料および/または近赤外染料が挙げられる。ある実施形態では、例えば、接続基は、400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を吸収して励起し、場合により、400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を発光することが可能な発色団官能基および/またはフルオロフォア官能基である。約700nm〜約1200nm、場合により、いくつかの用途では、400nm〜900nm、場合により、いくつかの用途では、700nm〜900nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を吸収して励起する接続基を組み込むことは、上述の波長を有する電磁放射線が、いくつかの生体サンプルおよび生体環境(例えば、生体組織)によって有効に伝達されるような、特定の診断および治療に適用するのに特に有用である。ある実施形態では、本発明の光学薬剤は、例えば、10nm〜200nm、場合により、いくつかの用途では、20nm〜200nm、場合により、いくつかの用途では、50nm〜200nmの範囲にわたって選択されるストークスシフトを有する1個以上のフルオロフォアを含む。本発明の光学薬剤として有用な接続基の光活性部分としては、限定されないが、フェニルキサンテン、フェノチアジン、フェノセレナジン、シアニン、インドシアニン、スクアライン(squaraine)、ジピロロピリミドン、アントラキノン、テトラセン、キノリン、ピラジン、アクリジン、アクリドン、フェナントリジン、アゾ染料、ローダミン、フェノキサジン、アズレン、アザアズレン、トリフェニルメタン染料、インドール、ベンゾインドール、インドカルボシアニン、Nile Red染料、ベンゾインドカルボシアニン、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体が挙げられる。ある実施形態では、本発明の光学薬剤は、ブロックコポリマーの親水性ブロックに架橋するピラジン系接続基を含み、場合により、ピラジン系アミノ接続基、例えば、ピラジン系ジアミノ接続基またはピラジン系テトラアミノ接続基を含む。
【0011】
シェルが架橋した超分子構造を有する本発明の光学薬剤にとって、ある範囲の接続化学が有用である。例えば、コポリマーの親水性ブロックと、1個以上のアミン、イミン基、スルフヒドリル基、アジド基、カルボニル基、イミドエステル基、スクシンイミジルエステル基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、チオール基、チオシアネート基、アクリレート基またはハロ基を含む架橋試薬との化学反応によって、架橋することができる。例えば、架橋試薬と、アミド化を介して接続基と接続するための1個以上のエステル部位を有する1個以上のモノマーを含有するコポリマーの親水性ブロックとの化学反応によって、架橋することができる。ある実施形態では、コポリマーの親水性ブロックは、接続基に接続するためのN−アクリルオキシスクシンイミドモノマーを含む。いくつかの実施形態では、例えば、コポリマーの親水性ブロックは、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分と、接続基とのカルボキサミド結合またはジスルフィド結合を介して架橋する。本発明の接続基は、場合により、C〜C30ポリ(エチレングリコール)(PEG)スペーサーを含むか、または置換C〜C30アルキル鎖または置換されていないC〜C30アルキル鎖のようなスぺーサー部分を含む。本発明の接続基は、場合により、1個以上のアミノ酸基またはアミノ酸誘導体を含む。ある実施形態では、例えば、本発明の光学薬剤には、限定されないが、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンおよびホモアルギニンを含む1個以上の塩基性アミノ酸基またはアミノ酸誘導体を有する接続基が組み込まれる。1個以上の塩基性アミノ酸を含有する接続基を使用することは、本発明で、ブロックコポリマーの親水基のモノマー間の高い架橋度を達成するのに有益である。
【0012】
光線治療に適用するのに魅力的な実施形態では、光学薬剤の接続基の光活性部分は、場合により、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)の波長を有する電磁放射線を吸収することによって励起可能な、光線治療薬または光線治療薬の前駆体といった1個以上の光反応性部分を含む。いくつかの実施形態では、例えば、接続基は、電磁放射線を吸収し、腫瘍または他の病変を分解するような所望の治療効果を開始させることが可能である。ある実施形態では、例えば、本発明の光学薬剤は、可視光または近赤外光を吸収し、所望の治療効果を達成することが可能な光解離性結合(photolabile bond)の開裂、および/または反応種(例えば、ラジカル、イオン、ナイトレン、カーバインなど)を生じるエネルギー移動プロセスを起こす1個以上の光増感剤を含有する接続基を含む。ある実施形態では、光学薬剤は、700nm〜1200nm、場合により、いくつかの用途では、400nm〜900nm、場合により、いくつかの用途では、700nm〜900nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を吸収すると、反応種(例えば、ラジカル、イオン、ナイトレン、カーバインなど)を生じる接続基を含む光線治療薬を含む。
【0013】
本発明のこの局面の光学薬剤の接続基として有用な光反応性部分としては、限定されないが、1型または2型の光線治療薬、例えば、シアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ローダミン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノセレナジン、フルオレセイン、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、スクアライン、コリン、クロコニウム、アゾ染料、メチン染料、インドレニウム染料、ハロゲン、アントラシリン、アジド、C〜C20ペルオキシアルキル、C〜C20ペルオキシアリール、C〜C20スルフェナートアルキル、スルフェナートアリール、ジアゾ染料、塩素、ナフタロシアニン、メチレンブルー、カルコゲンピリリウム類似体、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体が挙げられる。
【0014】
ブロックコポリマーの組成の選択によって、部分的に、本発明の光学薬剤の超分子構造および超分子集合体の光学特性、物理特性、生理学的特性および化学特性、例えば、励起波長、発光波長、ストークスシフト、量子収率、断面の寸法、架橋度、安定性、生体適合性、患者に投与した際の生理学的なクリアランスなどが決まる。ある実施形態では、本発明は、超分子構造または超分子集合体、例えば、シェルが架橋したミセル組成物である光学薬剤を提供し、このポリマー要素の少なくとも一部分が、疎水性ブロックに直接的または間接的に結合した親水性ブロックを有するジブロックコポリマーを含む。この明細書の文脈で、直接的に結合とは、親水性ブロックおよび疎水性ブロックが、互いに共有結合によって直接結合しているブロックコポリマーを指し、間接的に結合とは、親水性ブロックおよび疎水性ブロックが、スペーサーまたは接続基を介して間接的に接続しているブロックコポリマーを指す。本発明のブロックコポリマーの親水性ブロックおよび疎水性ブロックは、さまざまな長さであってもよく、例えば、10〜250モノマーの範囲にわたって選択される長さを有していてもよい。本発明の光学薬剤の超分子構造および超分子集合体の親水性ブロックは、例えば、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)カップリング反応または光によって開始する架橋反応を用い、ブロックコポリマーの間を有効に架橋することができる。本発明の光学薬剤の有用な親水性ブロックとしては、限定されないが、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロック、ポリ(N−(アクリロイルオキシ)スクシンイミド)ポリマーブロック;ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ポリマーブロック;ポリ(エチレングリコール)ポリマーブロック、ポリ(p−ビニルベンズアルデヒド)ブロックおよびポリ(フェニルビニルケトン)ブロック、またはこれらのコポリマーが挙げられる。本発明の光学薬剤の有用な疎水性ブロックとしては、限定されないが、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)ポリマーブロック;ポリスチレンポリマーブロック;ポリアクリレートポリマーブロック、ポリ(プロピレングリコール)ポリマーブロック;ポリ(アミノ酸)ポリマーブロック;ポリ(エステル)ポリマーブロック;ポリ(ε−カプロラクトン)ポリマーブロック、およびリン脂質;またはこれらのコポリマーが挙げられる。
【0015】
本発明の親水性ブロックおよび疎水性ブロックは、場合により、臓器の機能または生理学的な状態を系内で検知し、監視するといった、所定の生物医学用途で有用なさらなる化学特性および/または物理特性を与えるように特定的に改変された組成物を有する。ある実施形態では、ブロックコポリマーの親水性ブロック、または疎水性ブロック、または両ブロックは、特定の化学環境または生理学的状態に応答し、この化学環境または生理学的状態の変化に応答して、超分子構造が、膨張または収縮といった構造変化を起こす官能基を含む。本発明の特定の光学薬剤では、例えば、親水性ブロック、疎水性ブロック、または両ブロックは、pHに応答する1個以上の酸性官能基または塩基性官能基を含み、超分子構造は、水溶液のpH変化に応答して、容積が変化する。本発明のこの特定の光学薬剤の特徴を、化学環境または生理学的状態を検知および/または監視するいくつかの方法、例えば、系内でpHを監視する方法で使用する。
【0016】
本発明の光学薬剤は、場合により、組織、臓器、細胞および腫瘍に特異的に投与し、送達するような、標的を有する投与および送達を可能にするバイオコンジュゲートを含む。ある実施形態では、例えば、本発明の光学薬剤は、シェルが架橋したミセルのような超分子構造または超分子集合体に接続する、1個以上の標的化リガンドをさらに含む。本発明の標的化リガンドは、本発明の光学薬剤のブロックコポリマーの少なくとも一部分にある親水性ブロックと共有結合してもよく、またはこの親水性ブロックと非共有結合によって会合してもよい。有用な標的化リガンドとしては、限定されないが、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、炭水化物、ホルモン、脂質、薬物、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体が挙げられる。
【0017】
本発明の組成物は、水溶液状態で提供される、本発明の1つ以上の光学薬剤を含む配合物および製剤、例えば、医薬的に許容される配合物または製剤を含む。場合により、本発明の組成物は、1つ以上の医薬的に許容される界面活性剤、バッファ、電解質、塩、担体および/または賦形剤をさらに含む。本発明の光学薬剤としては、シェルが架橋したミセルのような、治療薬が、コポリマーの1つ以上のブロックと物理的に会合しているか、または共有結合している超分子構造および超分子集合体が挙げられる。ある実施形態では、本発明の光学薬剤は、超分子構造に少なくとも部分的に囲まれた1個以上の治療薬、例えば、1種類の疎水性薬物または疎水性薬物の組み合わせ、疎水性生物薬剤、または疎水性光線治療薬をさらに含む。本発明は、例えば、治療薬が、疎水性コアに非共有結合によって会合した光学薬剤を含む。本発明のこの局面の治療薬は、場合により、1型または2型の光線治療薬といった光線治療薬、または化学治療薬を含む。
【0018】
別の局面では、本発明は、光学造影法を提供する。この方法では、有効量の本発明の光学薬剤を哺乳動物(例えば、治療を受けている患者)に投与する。この局面では、光学薬剤の少なくとも1つの光活性部分は、場合により、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)の波長を有する電磁放射線を吸収することによって励起可能な、少なくとも1個の発色団および/またはフルオロフォアを含む。投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光する。次いで、光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出する。いくつかの実施形態では、光学薬剤から蛍光が励起されてもよく(例えば、電磁放射線の露光によって)、場合により、多光子励起プロセスによって、光学薬剤から蛍光が励起されてもよい。400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を使用することは、臓器、組織および/または腫瘍の造影、解剖による視覚化、光によるガイド手術および内視鏡による手術のための生物医学用途を含む、本発明の系内での光学造影法に有用な場合がある。
【0019】
別の局面では、本発明は、光ダイナミック療法を提供する方法を提供する。この方法では、有効量の本発明の光学薬剤を哺乳動物(例えば、治療を受けている患者)に投与する。この局面では、光学薬剤の少なくとも1つの光活性部分は、場合により、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)の波長を有する電磁放射線を吸収することによって励起可能な、1個以上の光線治療薬を含む。投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光する。いくつかの実施形態では、光学薬剤は、例えば、光学薬剤に適切な標的化リガンドを組み込むことによって、哺乳動物の所定の臓器、組織または腫瘍部位を標的としていてもよい。400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を使用することは、本発明のいくつかの光線治療法にとって有用な場合がある。光学薬剤に電磁放射線を露光すると、光線治療薬が活性化し、例えば、光線治療薬の放出および/または光線治療薬の1個以上の光解離性結合の開裂が起こり、1個以上の反応種(例えば、遊離ラジカル、イオンなど)が発生する。
【0020】
別の局面では、本発明は、生理学的な状況または状態を監視する方法を提供する。この方法では、有効量の本発明の光学薬剤を哺乳動物(例えば、治療を受けている患者)に投与する。さらに、投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光する。それに加え、光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出する。いくつかの実施形態では、哺乳動物に投与した光学薬剤から発生した電磁放射線の波長および強度の変化を、時間の関数として検出、測定および/または監視してもよい。いくつかの実施形態では、親水性ブロック、疎水性ブロック、または両ブロックは、pHに応答する1個以上の官能基を含んでおり、超分子構造は、生理学的な状態の変化または化学環境の変化に応答して構造変化を受け、哺乳動物に投与した光学薬剤から発生した電磁放射線の強度または波長を測定可能なほど変化させる。ある実施形態では、例えば、生理学的な状態の変化または化学環境の変化に応答する構造変化によって、光学薬剤の蛍光が消光されるか、または強くなるか、または光学薬剤の蛍光の発光波長が変化する。本発明のこの局面の方法は、系内でpHを監視する方法、および哺乳動物の腎機能を監視する方法を含み、この場合、光学薬剤は、哺乳動物の腎臓で浄化される。
【0021】
別の局面では、本発明は、光学薬剤を製造する方法を提供する。この方法では、ブロックコポリマーの各々が親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含む複数のブロックコポリマーを水溶液に溶解し、ブロックコポリマーが水溶液中で自己集合し、ミセル構造のような超分子構造を形成する。次いで、超分子構造のブロックコポリマーを、1個以上の光活性部分を含む架橋試薬と接触させるか、場合により、ピラジン系アミノ架橋基、例えば、ピラジン系ジアミノ架橋基またはピラジン系テトラアミノ架橋基と接触させる。場合により、親水基のモノマーの少なくとも一部分は、N−アクリルオキシスクシンイミド(NAS)モノマーを含む。さらに、超分子構造のブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、架橋試薬から生成する接続基を介して架橋し、光学薬剤を形成する。いくつかの実施形態では、水溶液中でブロックコポリマーが自己集合してミセル構造を形成し、次いで、架橋して、シェルが架橋したミセルを得る。場合により、EDCカップリング反応または光によって開始する架橋反応によって、架橋してもよい。場合により、この架橋によって、1〜75%、場合により、20〜75%の範囲にわたって選択されるコポリマーの親水性ブロックの架橋度が達成されてもよい。いくつかの実施形態では、7より大きなpHで溶解してもよい。このような実施形態では、水溶液に溶解したブロックコポリマーのpHを、約7までゆっくりと下げてもよい。
【0022】
別の局面では、本発明は、医療での光学造影手順で使用する光学薬剤を提供する。ある実施形態では、本発明の手順は、(i)1個以上の光活性部分が、1個以上の発色団および/またはフルオロフォアを含む、本明細書に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、(ii)哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップと、(iii)光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出するステップとを含む。
【0023】
別の局面では、本発明は、医療での光ダイナミック療法の手順で使用する光学薬剤を提供する。ある実施形態では、本発明の手順は、(i)1個以上の光活性部分に1個以上の光線治療薬を含む、本明細書に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、(ii)哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップとを含む。
【0024】
別の局面では、本発明は、生理学的な状況または状態を監視する医療手段で使用する光学薬剤を提供する。ある実施形態では、本発明の手順は、(i)本明細書に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、(ii)哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップと、(iii)光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出するステップとを含む。
【0025】
別の局面では、本発明は、(i)それぞれのブロックコポリマーが、疎水性ブロックに直接的または間接的に結合したポリ(アクリル酸)ポリマーブロックを含む、架橋ブロックコポリマーと、(ii)ブロックコポリマーのポリ(アクリル酸)ポリマーブロックの少なくとも一部分に共有結合によって架橋したピラジン含有接続基とを含む、シェルが架橋したミセルを提供し、ここで、ピラジン含有接続基は、カルボキサミド結合によって、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーに結合している。この局面の実施形態では、ピラジン含有接続基と、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーとのモル比は、1:100〜75:100の範囲にわたって選択される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、SCK形成の例を示す。両親媒性ブロックコポリマーは、疎水性コアを有するミセルに自己集合する。次いで、このブロックコポリマーを官能基化し、個々のポリマー間の架橋を形成する。このコポリマーの架橋によって、疎水性コアの周囲にシェルを形成する。
【図2】図2は、本発明の方法および組成物において、シェルを光架橋するのに有用な、二官能光プローブ部分の例を与える。
【図3】図3は、本発明の光接続基を用いる架橋化学によって、SCKを含有するフォトニックシェルを形成するための合成経路を示す模式図を与える。
【図4A】図4Aは、シェルが光架橋したナノ粒子構造の一例を示す。
【図4B】図4Bは、pH上昇および/pH低下が、シェルが光架橋したナノ粒子に与える影響を示す。
【図5】図5は、溶液pHを調節し、次いで、フルオロフォアでシェルを架橋する際に、pH応答性のSCKを構築することによる、ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)の水中ミセル集合体を示す。
【図6】図6Aは、平均高さ8nmの、本発明のフォトニックSCKミセルの代表的なAFM画像を示す。図6Bは、pHの関数として、2(左)、3(中央)および4(右)の流体力学直径を示す。図6Cは、pHの関数として、SCK3および4、およびPAA/Xリンカーの蛍光発光を正規化したものを示す。それぞれのデータセットで、低分子としての架橋リンカーの蛍光強度を、SCKシェル中の架橋濃度で、溶液中の架橋リンカーで観察される値に正規化する。
【図7】図7は、pHの関数として、フォトニックSCKの膨張/収縮を示す。
【図8】図8は、pHおよびフルオロフォア付着量の関数として、SCK3および4の正規化した蛍光発光を示す(左側:アクリル酸残基に対し、ピラジン6.25mol%、右側:アクリル酸残基に対し、ピラジン12.5mol%)。
【図9】図9は、pHの関数として、II−aおよびII−bの蛍光測定値を示すデータを示している。
【図10】図10は、実施例1および2の光架橋基の合成法を示す合成スキームを示している。
【図11】図11は、実施例3の光架橋基の合成法を示す合成スキームを示している。
【図12】図12は、実施例4の光架橋基の合成法を示す合成スキームを示している。
【図13】図13は、実施例5の光架橋基の合成法を示す合成スキームを示している。
【図14】図14は、実施例6の、シェルが光架橋したナノ粒子の合成法を示す合成スキームを示している。
【図15】図15は、実施例7の、シェルが光架橋したナノ粒子の合成法を示す合成スキームを示している。
【図16】図16は、実施例8の、シェルが光架橋したナノ粒子の合成法を示す合成スキームを示している。
【図17】図17は、pHの関数として、実施例2の光架橋基の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図18】図18は、pHの関数として、実施例5の、シェルが光架橋したナノ粒子の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図19】図19は、pHの関数として、実施例3の光架橋基の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図20】図20は、pHの関数として、実施例6の、シェルが光架橋したナノ粒子の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図21】図21は、pHの関数として、実施例7の、シェルが光架橋したナノ粒子の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図22】図22は、pHの関数として、実施例8の、シェルが光架橋したナノ粒子の吸光度および蛍光を示すデータを示している。
【図23】図23は、実施例5の化合物4から作成したミセルと、実施例5の化合物5から作成した小胞のTEM画像を与える。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な記載)
一般的に、本明細書で使用する用語および句は、当該技術分野で認識されている意味を有しており、この意味は、標準的な教科書、定期刊行物および当業者に既知の内容を参照すれば見出すことができる。以下の定義は、本明細書の文脈において、これらの用語および句の特定的な用途を明確にするために提供するものである。
【0028】
「光学薬剤」は、一般的に、ある環境および/またはサンプルに入る電磁放射線および/またはある環境および/またはサンプルから出る電磁放射線とカップリングする組成物、製剤および/または配合物を指す。いくつかの用途では、例えば、本発明の光学薬剤を、生体サンプルに入る電磁放射線および/または生体サンプルから出る電磁放射線とカップリングさせるために、生体環境または生体サンプル、例えば、患者、哺乳動物、臓器、組織、腫瘍、腫瘍部位、切断した組織または細胞の物質、細胞抽出物および/または生体液、コロイドおよび/または懸濁物に投与する。いくつかの実施形態では、本発明の光学薬剤は、生体サンプルおよび/または生体環境に与えられる電磁放射線を吸収するか、伝えるか、および/または散乱させる。いくつかの実施形態では、本発明の光学薬剤は、生体サンプルおよび/または生体環境に与えられる電磁放射線によって励起し、蛍光プロセス、リン光プロセス、化学発光プロセスおよび/または光音響プロセスによって電磁放射線を発生する。いくつかの実施形態では、本発明の光学薬剤は、生体サンプルおよび/または生体環境に与えられる電磁放射線を吸収し、例えば、1つ以上の光解離性結合の光開裂または光分解を含む、光分解またはその他の光によって開始する化学反応によって活性化し、ナイトレン、カーバイン、遊離ラジカルおよび/またはイオンのような反応種を生成する。いくつかの実施形態では、本発明の光学薬剤は、生体サンプルおよび/または生体環境に与えられた電磁放射線によって励起し、吸収したエネルギーの少なくとも一部を、近くにある部分、分子、複合体または集合体に放射によって伝達するか、または放射以外の方法によって伝達する。
【0029】
本発明の光学薬剤としては、限定されないが、コントラスト剤、イメージング剤、染料、光増感剤、光活性化剤および光反応剤、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体が挙げられる。本発明の光学薬剤は、光活性部分、例えば、フルオロフォア、発色団、光増感剤および光反応性部分を含む少なくとも1個の接続基が組み込まれたミセル、小胞、二層、折りたたまれたシート、管状ミセル、環状ミセルまたは円盤状ミセルを含む超分子構造のような、フォトニックナノ構造およびナノ集合体を含む。
【0030】
「超分子構造」は、共有結合しているか、または物理的に会合しているか、または共有結合もしており、物理的に会合もしている分子の集合体を含む構造を指す。超分子構造としては、例えば、親水性ブロックおよび疎水基を含むブロックコポリマーのような分子の集合体が挙げられる。本発明のいくつかの超分子構造では、ブロックコポリマーの親水性部分は、連続する水相に面する外側に位置し、親水性シェルまたはコロナ相を形成し、ブロックコポリマーの疎水性部分は、内側に位置し、内側の疎水性コアを形成する。本発明の超分子構造としては、限定されないが、ミセル、小胞、二層、折りたたまれたシート、管状ミセル、環状ミセルまたは円盤状ミセルが挙げられる。本発明の超分子構造は、自己集合する構造を含む。超分子構造は、シェルが架橋したミセル構造のような架橋性構造を含む。
【0031】
「ポリマー」は、典型的にはモノマーと呼ばれる複数の繰り返し化学基を含む、分子を指す。ポリマーは、十分に明確に決まった順序または無作為な分布で与えられる、種類がさまざまなモノマーを任意の数含む。「コポリマー」は、一般的には、ヘテロポリマーとも呼ばれるが、2個以上の異なる種類のモノマーが、同じポリマーに接続して形成されるポリマーである。「ブロックコポリマー」は、ブロックを含むか、または空間的に分割された領域を含むコポリマーの一種であり、異なる領域は、異なる組成、化学特性および/または物理特性を有する、異なるモノマーが重合したものを含む。ブロックコポリマーでは、隣接するブロックは、構成的に異なっている。すなわち、隣接するブロックは、異なる種類のモノマーから誘導される構造単位を含むか、または同じ種類のモノマーから誘導されるが、構造単位の組成または順序の分布が異なる構造単位を含む。ブロックコポリマーの異なるブロック(または領域)は、異なる末端に存在するか、またはポリマー内部に存在してもよく(例えば、[A][B])、または所定の順序で与えられてもよい([A][B][A][B])。「ジブロックコポリマー」は、2個の異なるポリマーブロックを有するブロックコポリマーを指す。「トリブロックコポリマー」は、3個の異なるポリマーブロックを有するブロックコポリマーを指す。「ポリブロックコポリマー」は、少なくとも2個の異なるポリマーブロックを有するブロックコポリマーを指し、例えば、2個、3個、4個、5個などの異なるポリマーブロックを有するブロックコポリマーを指す。本発明の光学薬剤は、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマーおよびポリブロックコポリマーを含む超分子構造を含む。場合により、本発明のブロックコポリマーは、PEGブロック(すなわち、(CHCHO)−)を含む。
【0032】
「光活性部分」は、一般的に、光学機能を有する、分子の要素を指す。光活性部分としては、例えば、本発明の組成物および方法で、フルオロフォア、発色団、光増感剤および/または光反応性部分として機能する官能基および置換基が挙げられる。光活性部分は、蛍光のような電磁放射線を吸収し、活性化し、1個以上の光解離性結合が開裂する際の多くのプロセス、およびエネルギーが移動するプロセスを受ける。この文脈で、光反応性とは、電磁放射線を吸収することによって活性化し、次いで、化学反応またはエネルギー移動反応を受ける組成物および組成物の成分を指す。本発明は、可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)で励起可能な光活性部分を含む接続基を有する、シェルが架橋したミセルのような超分子構造を含む光学薬剤を含む。
【0033】
本明細書で使用する場合、「親水性」は、少なくとも1個の親水基を有する分子および/または分子の要素(例えば、ブロックポリマーの官能基、モノマーなど)を指し、疎水性は、少なくとも1個の疎水基を有する分子および/または分子の要素(例えば、ブロックポリマーの官能基、モノマーなど)を指す。親水性分子またはその要素は、イオン性基および/または極性基を有する傾向があり、疎水性分子またはその要素は、非イオン性基および/または非極性基を有する傾向がある。親水性分子またはその要素は、水素結合および双極子−双極子相互作用を含む、水溶液との安定化する相互作用に関与する傾向がある。疎水性分子またはその要素は、水溶液との安定化する相互作用には関与しない傾向があり、熱力学的により安定な状態を得るために、水溶液中でクラスターを形成することが多い。本発明のブロックコポリマーの観点で、親水性ブロックは、両親媒性ブロックコポリマーの疎水基よりも親水性が高く、疎水基は、両親媒性ポリマーの親水性ブロックよりも疎水性が高い。
【0034】
「標的化リガンド」は、標的化機能および/または分子認識機能を与える要素を指す。本発明の組成物および方法で有用な標的化リガンドは、1つ以上の生体分子または生体活性分子、およびそのフラグメントおよび/または誘導体、例えば、ホルモン、アミノ酸、ペプチド、ペプチド模倣物、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、酵素、炭水化物、糖模倣物、脂質、アルブミン、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、受容体、シクロデキストリンのような包接化合物、および受容体に結合する分子を含む。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「診断」、「診断の」および他の語源から派生した用語は、当該技術分野で理解されているとおりであり、さらに、健康状態または疾患状態を全体的に監視すること、特性決定すること、および/または特定することを含むことを意図している。この用語は、予後診断の概念も包含することを意味している。例えば、癌の診断は、初期の決定および/またはすでに得られている知見の結果とは無関係のその後の1つ以上の評価を含んでいてもよい。この用語は、必ずしも、特定の状態または結果の予想が、所定のレベルで確実であることを暗示しているわけではない。
【0036】
本明細書で定義される場合、「接触させる」は、本発明で使用する化合物を、微生物、微生物培養物または基質のような別の要素と物理的に接触させることを意味する。別の実施形態では、用語「接触させる」は、本発明で使用する化合物を、治療を受ける被検体に導入し、この化合物をin vivoで接触させることを意味する。
【0037】
アルキル基は、直鎖、分枝鎖および環状のアルキル基を含む。アルキル基としては、1〜30個の炭素原子を含むものが挙げられる。アルキル基は、1〜3個の炭素原子を有する低分子アルキル基を含む。アルキル基は、4〜10個の炭素原子を有する中程度の長さのアルキル基を含む。アルキル基は、11個以上の炭素原子を有するアルキル基、特に、10〜30個の炭素原子を有するアルキル基を含む。環状アルキル基としては、1個以上の環を含むものが挙げられる。環状アルキル基としては、3、4、5、6、7、8、9または10員環の炭素環を有するものが挙げられ、特に、3、4、5、6または7員環の炭素環を有するものが挙げられる。環状アルキル基の炭素環は、アルキル基を有していてもよい。環状アルキル基は、二環アルキル基および三環アルキル基を含んでいてもよい。アルキル基は、場合により、置換されている。置換アルキル基としては、アリール基で置換されたものが挙げられ、この基も、場合により、置換されていてもよい。特定のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、分枝ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、分枝ヘキシル基およびシクロヘキシル基が挙げられ、これらはすべて、場合により、置換されている。置換アルキル基は、完全にハロゲン化されたアルキル基または一部ハロゲン化されたアルキル基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子および/またはヨウ素原子と置き換わったアルキル基を含む。置換アルキル基は、完全にフッ素化されたアルキル基または一部フッ素化されたアルキル基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子と置き換わったアルキル基を含む。アルコキシル基は、酸素に結合したアルキル基であり、式R−Oによってあらわすことができる。
【0038】
アルケニル基は、直鎖、分枝鎖および環状のアルケニル基を含む。アルケニル基としては、1個、2個、またはそれ以上の二重結合を含むもの、二重結合のうち、2個以上が共役二重結合であるものが挙げられる。アルキル基としては、2〜20個の炭素原子を含むものが挙げられる。アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を有する低分子アルケニル基を含む。アルケニル基は、4〜10個の炭素原子を有する中程度の長さのアルケニル基を含む。アルケニル基は、11個以上の炭素原子を有するアルケニル基、特に、10〜20個の炭素原子を有するアルケニル基を含む。環状アルケニル基としては、1個以上の環を含むものが挙げられる。環状アルケニル基としては、二重結合が環の内部にあるもの、または二重結合が、環に結合したアルケニル基に存在するものが挙げられる。環状アルケニル基としては、3、4、5、6、7、8、9または10員環の炭素環を有するものが挙げられ、特に、3、4、5、6または7員環の炭素環を有するものが挙げられる。環状アルケニル基の炭素環は、アルキル基を有していてもよい。環状アルケニル基は、二環アルキル基および三環アルキル基を含んでいてもよい。アルケニル基は、場合により、置換されている。置換アルケニル基としては、アルキル基またはアリール基で置換されたものが挙げられ、これらの基も、場合により、置換されていてもよい。特定のアルケニル基としては、エテニル、プロパ−1−エニル、プロパ−2−エニル、シクロプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、シクロブタ−1−エニル、シクロブタ−2−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−2−エニル、分枝ペンテニル、シクロペンタ−1−エニル、ヘキサ−1−エニル、分枝ヘキセニル、シクロヘキセニルが挙げられ、これらはすべて、場合により、置換されている。置換アルケニル基は、完全にハロゲン化されたアルケニル基または一部ハロゲン化されたアルケニル基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子および/またはヨウ素原子と置き換わったアルケニル基を含む。置換アルケニル基は、完全にフッ素化されたアルケニル基または一部フッ素化されたアルケニル基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子と置き換わったアルケニル基を含む。
【0039】
アリール基は、1個以上の5員環または6員環の芳香族環またはヘテロ芳香族環を有するものを含む。アリール基は、1個以上の縮合した芳香族環を含有していてもよい。ヘテロ芳香族環は、1個以上のN原子、O原子またはS原子を環に含んでいてもよい。ヘテロ芳香族環は、1個、2個または3個のNを含んでいる環、1個または2個のOを含んでいる環、および1個または2個のSを含んでいる環、または、1個または2個または3個のN、OまたはSを組み合わせて含んでいる環を含む。アリール基は、場合により、置換されている。置換アリールとしては、アルキル基またはアルケニル基で置換されたものが挙げられ、これらの基も、場合により、置換されていてもよい。特定のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ピリジニル基およびナフチル基が挙げられ、これらはすべて、場合により、置換されている。置換アリール基は、完全にハロゲン化されたアリール基または一部ハロゲン化されたアリール基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子および/またはヨウ素原子と置き換わったアリール基を含む。置換アリール基は、完全にフッ素化されたアリール基または一部フッ素化されたアリール基を含み、例えば、1個以上の水素が、1個以上のフッ素原子と置き換わったアリール基を含む。
【0040】
アリールアルキル基は、1個以上のアリール基で置換されたアルキル基であり、アルキル基は、場合により、さらなる置換基を有しており、アリール基は、場合により、置換されている。特定のアルキルアリール基は、フェニル−置換アルキル基、例えば、フェニルメチル基である。もう一つの記載方法として、アルキルアリール基は、1個以上ノアルキル基で置換されたアリール基として記載されるものであり、アルキル基は、場合により、さらなる置換基を有しており、アリール基は、場合により、置換されている。特定のアルキルアリール基は、アルキル置換されたフェニル基であり、例えば、メチルフェニルである。置換アリールアルキル基は、完全にハロゲン化されたアリールアルキル基または一部ハロゲン化されたアリールアルキル基を含み、例えば、1個以上の水素を有する1個以上のアルキルおよび/またはアリールが、1個以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子および/またはヨウ素原子と置き換わったアリールアルキル基を含む。
【0041】
任意のアルキル基、アルケニル基およびアリール基の任意の置換としては、以下の1個以上の置換基での置換が挙げられる。ハロゲン基、−CN基、−COOR基、−OR基、−COR基、−OCOOR基、−CON(R)基、−OCON(R)基、−N(R)基、−NO基、−SR基、−SOR基、−SON(R)基または−SOR基。アルキル基の任意の置換としては、1個以上のアルケニル基、アリール基、またはアルケニル基とアリール基の両方での置換が挙げられ、アルケニル基またはアリール基は、場合により、置換されている。アルケニル基の任意の置換は、1個以上のアルキル基、アリール基、またはアルキル基とアリール基の両方での置換が挙げられ、アルキル基またはアリール基は、場合により、置換されている。アリール基の任意の置換は、アリール環を1個以上のアルキル基、アルケニル基、またはアルキル基とアルケニル基の両方で置換することが挙げられ、アルキル基またはアルケニル基は、場合により、置換されている。
【0042】
アルキル基、アルケニル基およびアリール基の任意の置換基としては、以下のものが挙げられる。
【0043】
−COOR、Rは、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;
−COR、Rは、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;
−CON(R)、Rは、それぞれ互いに独立して、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;RとRとで、1個以上の二重結合を含有してもよい環を形成してもよく;
−OCON(R)、Rは、それぞれ互いに独立して、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;RとRとで、1個以上の二重結合を含有してもよい環を形成してもよく;
−N(R)、Rは、それぞれ互いに独立して、水素またはアルキル基、アシル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基またはアセチル基であり、これらはすべて、場合により置換されているか;またはRとRとで、1個以上の二重結合を含有してもよい環を形成してもよい。
【0044】
−SR、−SORまたは−SOR、Rは、それぞれ互いに独立して、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;−SRの場合、Rは、水素であってもよく;
−OCOOR、Rは、アルキル基またはアリール基であり;
−SON(R)、Rは、水素、アルキル基またはアリール基であり、RとRとで、環を形成していてもよく;
−OR、R=H、アルキル、アリールまたはアシルであり;例えば、Rは、−OCORを与えるアシルであってもよく、Rは、水素またはアルキル基またはアリール基であり、さらに特定的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはフェニル基であり、これらはすべて、場合により置換されており;
置換アルキル基は、ハロアルキル基を含み、特に、トリハロメチル基、特にトリフルオロメチル基を含む。特定の置換アリール基としては、ハロ一置換フェニル基、ハロ二置換フェニル基、ハロ三置換フェニル基、ハロ四置換フェニル基およびハロ五置換フェニル基が挙げられ、ハロ一置換ナフタレン基、ハロ二置換ナフタレン基、ハロ三置換ナフタレン基、ハロ四置換ナフタレン基、ハロ五置換ナフタレン基、ハロ六置換ナフタレン基およびハロ七置換ナフタレン基、3−ハロ置換フェニル基または4−ハロ置換フェニル基、3−アルキル置換フェニル基または4−アルキル置換フェニル基、3−アルコキシ置換フェニル基または4−アルコキシ置換フェニル基、3−RCO置換フェニル基または4−RCO置換フェニル基、5−ハロ置換ナフタレン基または6−ハロ置換ナフタレン基が挙げられる。より特定的には、置換アリール基としては、アセチルフェニル基、特に、4−アセチルフェニル基;フルオロフェニル基、特に、3−フルオロフェニル基および4−フルオロフェニル基;クロロフェニル基、特に、3−クロロフェニル基および4−クロロフェニル基;メチルフェニル基、特に、4−メチルフェニル基、およびメトキシフェニル基、特に、4−メトキシフェニル基が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、本明細書で定義したアルキル基から誘導された二価の基を指す。アルキレン基は、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中で、架橋基および/またはスペーサー基として機能する。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキレン」は、本明細書で定義したシクロアルキル基から誘導された二価の基を指す。シクロアルキレン基は、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中で、架橋基および/またはスペーサー基として機能する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニレン」は、本明細書で定義したアルケニル基から誘導された二価の基を指す。アルケニレン基は、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中で、架橋基および/またはスペーサー基として機能する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニレン」は、本明細書で定義したシクロアルケニル基から誘導された二価の基を指す。シクロアルケニレン基は、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中で、架橋基および/またはスペーサー基として機能する。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニレン」は、本明細書で定義したアルキニル基から誘導された二価の基を指す。アルキニレン基は、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中で、架橋基および/またはスペーサー基として機能する。
【0050】
1個以上の置換基を含有する上述のいずれかの基について、このような基は、立体的に実現不可能な置換基または置換パターンおよび/または合成的に実現不可能な置換基または置換パターンを含まないことが理解される。さらに、本発明の化合物は、これらの化合物を置換して生じる、すべての立体化学的な異性体を含む。
【0051】
医薬的に許容される塩は、医薬的に許容されるアニオンおよび/またはカチオンを含む。医薬的に許容されるカチオンとしては、特に、アルカリ金属カチオン(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属カチオン(例えば、Ca2+、Mg2+)、毒性のない重金属カチオンおよびアンモニウム(NH)および置換アンモニウム(N(R’)、R’は、水素、アルキルまたは置換アルキルであり、すなわち、メチル、エチルまたはヒドロキシエチルである。特定的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオンおよびトリエタノールアンモニウムカチオン)。医薬的に許容されるアニオンとしては、特に、ハロゲン化物イオン(例えば、Cl、Br)、硫酸イオン、酢酸イオン(例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン)、アスコルビン酸イオン、アスパラギン酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオンおよび乳酸イオンが挙げられる。
【0052】
本発明の化合物は、1個以上のキラル中心を含有していてもよい。したがって、本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマー、および1個以上の立体異性体を豊富に含む混合物を含むことを意図している。本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲は、上述の化合物のラセミ形態も、個々のエナンチオマーおよびラセミ体ではない混合物も包含する。
【0053】
本明細書に記載の組成物の多くは、溶液で与えられる場合には、少なくとも部分的にはイオンとして存在し、当業者にはわかるように、本発明の組成物は、部分的にイオン化した形態または完全にイオン化した形態を含む。特定の例は、例えば、溶液中で、イオン形態および非イオン形態が平衡状態にある、ブロックコポリマーのポリマー骨格および接続基の酸性基および塩基性基に関するものである。本明細書で記載する組成物および式は、すべて、pH1〜14、場合により、pH3〜12,場合により、pH6〜8の溶液条件で存在する、完全にイオン化した形態および部分的にイオン化した形態を含む。本明細書に記載する組成物および式は、すべて、生理的条件で存在する、完全にイオン化した形態および部分的にイオン化した形態を含む。
【0054】
本発明の方法を記載するまえに、本発明は、記載した特定の方法論、プロトコル、細胞株および試薬は、変えてもよいため、記載したものに限定されるものではないことが理解される。さらに、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を記載するためだけに用いており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図はないことも理解されるべきである。
【0055】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、他の意味であると明確に記載されていない限り、複数形のものも示す。したがって、例えば、「1つの細胞」は、複数個の細胞および当業者にとって既知の等価物などを含む。同様に、用語「a」(または「an」)、「1つ以上の」および「少なくとも1つの」は、本明細書では同じ意味で使用してもよい。用語「〜を含む」「〜を含有する」および「〜を有する」も、同じ意味で使用してもよいことも注記しておく。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」は、予防も含み、障害を緩和する治療も含む。本明細書で使用される場合、用語「低減する」、「抑える」および「阻害する」は、低下させるか、または減らすという共通の意味を有する。
【0057】
特定の実施形態では、本発明は、本発明で有用な光学薬剤を患者または被検体に投与するステップを包含する。「患者」または「被検体」は、本明細書では同じ意味で用いられ、動物を指す。特に、動物は、哺乳動物、好ましくは、ヒトを指す。被検体は、(1)本発明の光学薬剤を投与することによって、改善可能または治療可能な状態であるか、または(2)本発明の光学薬剤を投与することによって、ある状態になるのを予防できる。
【0058】
他の意味であると定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似しているか、または等価な任意の方法および材料を、本発明を実施するか、または試験する際に使用してもよいが、好ましい方法および材料を、ここに記載している。本明細書で記載したすべての刊行物を、本発明と組み合わせて使用可能な、この刊行物で報告されている化学物質、細胞株、ベクター、動物、装置、統計分析および方法論を記載し、開示する目的で、本明細書に援用する。本発明が、従来発明という観点で、このような開示に先行しないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0059】
本発明の開示内容は、一般的に、光活性分子(例えば、フルオロフォア、発色団、光増感剤および光反応性官能基)を、物理的な会合および共有結合による架橋の化学を用い、ポリマーミセルに組み込むという概念に関するものである。得られたナノ系は、in vivoでの造影、視覚化、監視および光治療に適用するのに有用である。
【0060】
現在、研究すべき対象は、両親媒性ブロックコポリマーの超分子集合体を、共有結合によってシェルが架橋すること(SCK)が可能なミセルにし、コア−シェル型ナノ粒子を形成することに関する。図1は、シェルが架橋したミセル構造の形成例を示す模式図を与える。本発明の局面は、前駆体ミセルを形成し、得られたSCKの最終的な形態および環境への応答性に寄与する、ブロックコポリマーの化学的性質を含む。これらの系の詳細な合成法は、SCK形成前またはSCK形成後の態様で、ナノ構造の外側に、組織を標的とする付属物および/または造影用付属物を組み込むことによって達成可能である。それに加え、SCKナノ粒子の内側に入り込んだコアに官能基を接続する化学が開発されている。
【0061】
本発明の方法および組成物は、SCK形成のミセル架橋ステップで、光接続系として二官能光学プローブ分子を使用する。得られたSCKナノ構造は、特定の数の光学プローブの複製品を含有する、共有結合によって安定化されたシェルを含む。光学プローブ分子は、例えば、NIR励起および発光が、それぞれ黄色−緑色から赤色までの範囲にわたる、二官能ピラジンから、Nile Red誘導体、インドシアニン誘導体まで多岐にわたっていてもよい。図2は、本発明の方法および組成物の光架橋するシェルに使用する、二官能光学プローブ部分の例を与える。
【0062】
図3は、本発明の接続基を用いた架橋化学による、フォトニックシェルを含有するSCKを形成する合成経路を示す模式図を与える。
【0063】
本発明のフォトニックナノ系およびその組成物は、多くの生物医学用途で使用可能である。
【0064】
ある実施形態では、フォトニックナノ系およびその組成物は、化学的および/または生理学的なセンサおよび検知方法を可能にする。いくつかの実施形態では、pHに応答して形態が変化する(例えば、高いpHでは膨張し、低いpHでは収縮する)ブロックコポリマーミセル系を、異なるpKaを有する官能基(例えば、フェノール/カルボキシレートカセット)に組み込んでもよい。これらの形態変化の光物理的結果は、高いpHでは「蛍光が発生」し、低いpHでは、近い位置で消光してしまうため、「蛍光が消光される」という現象であらわれる。代わりの実施形態では、これらの形態変化の光物理的結果は、供給電圧に比例したpH測定を可能にするナノ構造の関数として、発光の最大値がシフトするという現象であらわれる。ピラジンは、四極子であり、ピラジンの光物理特性は、pH変化に対してかなり感度が低いため、得られた光物理的変化は、ナノ構造の形態のみの関数である。Nile Red類似体は、双極子であり、溶媒に対して高感度であり、pHに対しても高感度である可能性が高く、得られた形態変化は、ナノ構造の形態と、共有結合したプローブの局所的な内部環境との関数である。図4Aは、本明細書の、シェルが光架橋したナノ粒子の例を示す。図4Bは、光架橋したナノ粒子に対する、pH上昇および/またはpH低下の影響を模式的に示す。
【0065】
ある実施形態では、フォトニックナノ系およびその組成物は、組織化したフォトニックシェル構造を有する光学プローブを含む、光学イメージング剤を与える。本組成物をこの分野で適用するのに有用な本発明の局面は、(i)in vivoでのナノ構造の感度を、低分子プローブの感度よりも高める潜在的な可能性、(ii)シェル−染料の配置を組織化し、蛍光を高め、および/または波長の有用なシフトを誘発する潜在的な可能性、(iii)この有機ナノ構造を有する半導体量子ドットシステムを刺激する潜在的な可能性、および(iv)ピラジンの四極性が、ナノ構造によって高められた性質によって、2個の光子による蛍光を、組織のさらに深いところまで浸透させ、空間解像度を上げる潜在的な可能性を含む。
【0066】
ある実施形態では、フォトニックナノ系およびその組成物は、I型光線治療薬の単体およびアンテナを与える。この局面の実施形態では、本発明のフォトニックナノ系およびその組成物のフォトニックシェルは、適切なレーザ光を吸収し、この構造のシェルおよび/またはコアと物理的に会合しているか、または安定な結合または光解離性結合のいずれかによって共有結合しているI型光線治療薬の作用部を内部に向けて(FRETを介して)移動させる「アンテナ/トランスデューサ」として働く。I型光線治療薬の作用部は、レーザを照射すると、細胞毒性を有する反応性中間体に分解する薬剤の接合可能な誘導体であってもよい。このナノ粒子を使った戦略によって、in vivoで大量の薬を送達することができる。それに加えて、上述のナノ粒子治療薬は、外側に適切に存在するリガンドを用い、所望の位置を標的とすることができる(例えば、A、Bombesin、EGF、VEGFなど)。
【0067】
ある実施形態では、フォトニックナノ系およびその組成物は、光音響造影法および光音響治療の薬剤を与える。この局面の実施形態では、フォトニックシェルSCKは、光音響造影法および光音響治療のための光学有機プローブを与える。長い波長を有するプローブ(cypate類似体)の多くの複製物を含有するフォトニックシェルを、吸収に基づく光音響造影法のために優れた断面を得るように調節してもよい。
【0068】
本発明は、ある範囲の造影、診断および治療に用いるのに有用な、光学機能を有する架橋型超分子構造および超分子集合体を含む光学薬剤を与える。本発明の超分子構造および超分子集合体は、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルを含み、この光学機能は、1個以上の光活性部分を含む1個以上の接続基を組み込むことによって達成される。さらに、本発明は、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルを含む1個以上の本発明の光学薬剤を用いる、造影方法、検知方法および治療方法を含む。本発明は、系内で監視する方法を含み、例えば、化学的な環境変化または生理学的な環境変化に応答して、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルの物理的変化および/または構造変化が起こり、これによって、ミセルからの発光波長または発光強度が、測定可能なほど変化する。
【0069】
ある局面では、本発明は、シェルが架橋した、光学機能を有するミセルを含む光学薬剤を与え、(i)ブロックコポリマーの各々が親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含む、複数の架橋ブロックコポリマーと、(ii)ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分を共有結合によって架橋する、複数の接続基とを含み、この接続基の少なくとも一部分が、1個以上の光活性部分、例えば、発色団、フルオロフォアおよび/または光線治療薬を含む。シェルが架橋した、光学機能を有するミセルは、内側に、ブロックコポリマーの疎水性ブロックを含む疎水性コアと、ブロックコポリマーの親水性ブロックを含む、共有結合した親水性シェルとを含む。場合により、架橋したミセルの架橋度は、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの1%〜75%、場合により、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの10〜75%の範囲にわたって選択される。
【0070】
生物医学用途で有用な、シェルが架橋した、光学機能を有するミセル組成物は、例えば、ポリ(アクリル酸)ポリマー親水性ブロックを有するブロックコポリマーを、場合により、20〜250モノマー単位含む。ある実施形態では、例えば、1個以上の光活性部分を含む接続基は、カルボキサミド結合によって、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーの少なくとも一部分に結合している。
【0071】
ある実施形態では、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【0072】
【化1】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、式中、PMは、接続基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント(例えば、側鎖)からなる群から選択され;
およびZは、それぞれ独立して、
【0073】
【化2】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して0または1である。本明細書で使用される場合、aまたはbが0に等しいという記載は、それぞれ、この式にZ基またはZ基が存在しないことをあらわす。式(FX1)に適用する場合、aまたはbが0に等しいという記載は、例えば、この式で、PMが、隣接する窒素に直接結合していることをあらわす。本明細書で使用される場合、eが0に等しいという記載は、この式にZ基および/またはZ基が存在しないことをあらわす。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。本発明は、式(FX1)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0074】
本発明の光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX1)によって接続基に結合しており、接続基PMは、電磁放射線スペクトルの可視領域(例えば、400nm〜750nm)および/または近赤外領域(例えば、750〜1300nm)の波長を有する電磁放射線を吸収することによって励起可能な、少なくとも1個の発色団基および/またはフルオロフォア基を含む。ある実施形態では、例えば、接続基PMは、フェニルキサンテン、フェノチアジン、フェノセレナジン、シアニン、インドシアニン、スクアライン、ジピロロピリミドン、アントラキノン、テトラセン、キノリン、ピラジン、アクリジン、アクリドン、フェナントリジン、アゾ染料、ローダミン、フェノキサジン、アズレン、アザアズレン、トリフェニルメタン染料、インドール、ベンゾインドール、インドカルボシアニン、Nile Red染料またはベンゾインドカルボシアニン、およびこれらの接合体、複合体、フラグメントおよび誘導体からなる群から選択される発色団基またはフルオロフォア基を含む。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX1)によって接続基に結合しており、PMは、1個以上のピラジン基を含む。
【0075】
PMが、コポリマーの親水性ブロックに対し、スペーサーを介して接続している実施形態では、ZおよびZは、それぞれ独立して、アミド、C〜C10アルキレン、C〜C10シクロアルキレン、ポリ(アルキレングリコール)、C〜C10アルケニレン、C〜C10シクロアルキレン、カルボニルまたはC〜C10アルキニレンである。ある実施形態では、ZおよびZのうち、少なくとも1つは、−(CHCHO)−(PEG、ポリ(エチレングリコール))を含む置換基であり、bは、1〜10の範囲にわたって選択される。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX1)によって接続基に結合しており、RおよびRの少なくとも1つは、そして場合により、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アシル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、ハロ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、C〜C20アルコキシカルボニルまたは天然または非天然のアミノ酸またはフラグメント(例えば、側鎖)である。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX1)によって接続基に結合しており、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アリールまたはC〜C10アシルである。
【0076】
ある実施形態では、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、ピラジン系アミノ接続基のようなピラジン系接続基に結合している。ある実施形態では、例えば、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、以下の式
【0077】
【化3】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント(例えば、側鎖)からなる群から選択され;
およびZは、それぞれ独立して、
【0078】
【化4】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して0または1である。本発明は、式(FX2)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0079】
本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX2)によって接続基に結合しており、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アシル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、ハロ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、C〜C20アルコキシカルボニルまたは天然または非天然のアミノ酸またはフラグメント(例えば、側鎖)である。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX2)によって接続基に結合しており、R〜Rの少なくとも1つは、そして場合により、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アリールまたはC〜C10アシルである。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX2)によって接続基に結合しており、ZおよびZは、それぞれ独立して、アミド、C〜C10アルキレン、C〜C10シクロアルキレン、ポリ(アルキレングリコール)、C〜C10アルケニレン、C〜C10シクロアルキレン、カルボニルまたはC〜C10アルキニレンである。ある実施形態では、ZおよびZのうち、少なくとも1つは、−(CHCHO)−(PEG、ポリ(エチレングリコール))を含む置換基であり、bは、1〜10の範囲にわたって選択される。
【0080】
ある実施形態では、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分は、カルボキサミド結合スキーム(例えば、アミノカルボニル基)を介して、ピラジン系接続基に結合している。ある実施形態では、例えば、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、以下の式
【0081】
【化5】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、R〜R14は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント(例えば、側鎖)からなる群から選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;Z〜Zは、それぞれ独立して、
【0082】
【化6】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択される。ある実施形態では、eは、1〜5の範囲にわたって選択される。本発明は、式(FX3)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0083】
式(FX3)で示されるブロックコポリマーの親水性ブロックの間に架橋を有する本発明の光学薬剤では、R、R11、R13およびR14のうち、少なくとも1つは、天然または非天然の塩基性アミノ酸の側鎖であり、例えば、R、R11、R13およびR14のうち、少なくとも1つは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンおよびホモアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖である。ある実施形態では、R、R11、R13およびR14のうち、少なくとも1つは、
【0084】
【化7】

および
【0085】
【化8】

からなる群から選択され;dは、1〜4の範囲にわたって選択され、cは、1〜7の範囲にわたって選択され、R15およびR16は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント(例えば、側鎖)からなる群から選択され、場合により、R15とR16とで、4〜8個の炭素を有する脂肪族環または芳香族環を形成してもよく、この脂肪族環または芳香族環は、場合により,1個以上のS、CまたはOといったヘテロ原子で置換されていてもよい。ある実施形態では、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素またはC〜Cアルキルである。
【0086】
本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX3)によって接続基に結合しており、R〜R16は、それぞれ独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アシル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、ハロ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、C〜C20アルコキシカルボニル、または天然または非天然のアミノ酸またはフラグメント(例えば、側鎖)である。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX3)によって接続基に結合しており、R〜R16の少なくとも1つは、そして場合により、R〜R16はそれぞれ独立して、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アリールまたはC〜C10アシルである。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX3)によって接続基に結合しており、Z〜Zは、それぞれ独立して、アミド、C〜C10アルキレン、C〜C10シクロアルキレン、ポリ(アルキレングリコール)、C〜C10アルケニレン、C〜C10シクロアルキレン、カルボニルまたはC〜C10アルキニレンである。ある実施形態では、Z〜Zのうち、少なくとも1つは、−(CHCHO)−(PEG、ポリ(エチレングリコール))を含む置換基であり、bは、1〜10の範囲にわたって選択される。
【0087】
ある実施形態では、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、1個以上のグアニジン部分またはグアニジン誘導体部分(例えば、アルギニンというアミノ酸の側鎖)を有するピラジン系接続基に結合している。ある実施形態では、例えば、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、以下の式
【0088】
【化9】

または
【0089】
【化10】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、式中、R〜R、R〜R10、R12、Z、Z、Z、Z、e、uおよびvは、上に式(FX3)について記載した本文で定義されるとおりである。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX4)または(FX5)によって接続基に結合しており、R〜R、R〜R10およびR12は、それぞれ独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アシル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、ハロ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、C〜C20アルコキシカルボニルまたは天然または非天然のアミノ酸またはフラグメント(例えば、側鎖)である。本発明は、式(FX4)および(FX5)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0090】
本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX4)または(FX5)によって接続基に結合しており、R〜R、R〜R10およびR12のうち、少なくとも1つは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アリールまたはC〜C10アシルである。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX4)または(FX5)によって接続基に結合しており、Z〜Zは、それぞれ独立して、アミド、C〜C10アルキレン、C〜C10シクロアルキレン、ポリ(アルキレングリコール)、C〜C10アルケニレン、C〜C10シクロアルキレン、カルボニルまたはC〜C10アルキニレンである。ある実施形態では、Z〜Zのうち、少なくとも1つは、−(CHCHO)−(PEG、ポリ(エチレングリコール))を含む置換基であり、bは、1〜10の範囲にわたって選択される。
【0091】
この局面の一実施形態では、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、以下の式
【0092】
【化11】

【0093】
【化12】

【0094】
【化13】

または
【0095】
【化14】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、式中、R〜R10、R12、e、uおよびvは、上に式(FX3)について記載した本文で定義されるとおりであり、i、j、kおよびlは、それぞれ独立して、0〜9の範囲にわたって選択され、q、r、sおよびtは、それぞれ独立して、1〜3の範囲にわたって選択される。本発明は、式(FX5)〜(FX9)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0096】
本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX6)、(FX7)、(FX8)または(FX9)によって接続基に結合しており、R〜R10およびR12は、それぞれ独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アシル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、ハロ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、C〜C20アルコキシカルボニルまたは天然または非天然のアミノ酸またはフラグメント(例えば、側鎖)である。本発明のある光学薬剤では、ブロックコポリマーの親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、式(FX6)、(FX7)、(FX8)または(FX9)によって接続基に結合しており、R〜R10およびR12のうち、少なくとも1つは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アリールまたはC〜C10アシルである。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。
【0097】
場合により官能化した、本発明のシェルが架橋したミセル組成物は、1個以上のピラジン光活性部分またはその接合体または誘導体で架橋したポリ(アクリル酸)ポリマー親水性ブロックを有する、ブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、例えば、ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分は、以下の式
【0098】
【化15】

を有する接続基に結合したモノマーを含む。
【0099】
当業者ならわかることであるが、本発明は、有機合成化学およびポリマー化学の分野で既知の他の種類の共有結合を介した架橋性超分子構造および組成物を含む。
【0100】
場合により官能化した、本発明のシェルが架橋したミセルは、以下の構造を有するブロックコポリマーおよび接続基を含む。
【0101】
【化16】

式中、PM、R、R、Z、Z、aおよびbは、上に式(FX1)について記載した本文で定義されるとおりであり;pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、またはこのコポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;LおよびLは、それぞれ独立して、
【0102】
【化17】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり;[疎水性ブロック]は、ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である。本発明は、式(FX10)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。本明細書で使用される場合、xまたはyが0に等しいという記載は、それぞれ、この式にL基またはL基が存在しないことをあらわす。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。場合により、pは、50〜200の範囲にわたって選択される。本発明のある光学薬剤では、式(FX10)を有するブロックコポリマーの少なくとも一部分および接続基、およびPMは、1個以上のピラジン基を含む。
【0103】
特定の実施形態では、R17およびR18は、それぞれ独立して、コポリマーのさらなる親水性ブロックである。特定の実施形態では、R17およびR18は、それぞれ独立して、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロック、ポリ(N−(アクリロイルオキシ)スクシンイミド)ポリマーブロック;ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ポリマーブロック;ポリ(エチレングリコール)ポリマーブロック、ポリ(p−ビニルベンズアルデヒド)ブロックまたはポリ(フェニルビニルケトン)ブロックからなる群から選択される親水性ブロックである。ある実施形態では、R17およびR18は、それぞれ−(CHCHO)−であり、hは、10〜500の範囲にわたって選択される。
【0104】
式(FX10)に示したように、ブロックコポリマーのポリマー骨格の一部分は、角括弧(すなわち、添え字「p」のついている括弧)で示されており、親水性ブロックの繰り返し単位を示す。ポリマー骨格のこの部分のそれぞれの繰り返し単位では、nおよびmは、独立して、0および1の値を有していてもよく、このことは、この繰り返し単位のモノマーが、この実施形態で、ポリマー骨格の中でさまざまであってもよいことを示す。この構造は、架橋ブロックコポリマー間の架橋度および架橋構造が、ポリマー骨格の中でさまざまであってもよいという事実を反映している。例えば、nおよびmは、式(FX10)で示すポリマー骨格の第1のユニットについて、両方とも1であってもよく、このことは、このユニットに、架橋したモノマー基および架橋していないモノマー基の両方が存在することを意味し、ポリマー骨格の第2の繰り返しユニットで、mが1に等しく、nが0に等しくてもよいということは、この第2のユニットに、架橋したモノマー基のみが存在することを意味する。したがって、式(FX10)〜(FX18)の光学薬剤は、架橋度がさまざまな組成物群をあらわし、例えば、架橋度は1〜75%、場合により、20〜75%である。ブロックコポリマーの親水性ブロックは、任意の数のさらなる化学領域を有していてもよい。ある実施形態では、例えば、R17および/またはR18は、独立して、−(CHCHO)−(すなわち、(PEG、ポリ(エチレングリコール)))を含む置換基であり、bは、1〜10の範囲にわたって選択される。
【0105】
ある実施形態では、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、ピラジン系アミノ接続基のようなピラジン系接続基に結合している。ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0106】
【化18】

を有し、式中、R〜R、R17、R18、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、xおよびyは、上に式(FX1)、(FX2)および(FX10)について記載した本文で定義されるとおりである。本発明は、式(FX11)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0107】
ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0108】
【化19】

を有し、R〜R14、R17、R18、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、x、u、vおよびyは、上に式(FX1)、(FX2)、(FX3)、(FX10)および(FX11)について記載した本文で定義されるとおりである。本発明は、式(FX12)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0109】
ある実施形態では、親水性ブロックのモノマーの少なくとも一部分が、1個以上のグアニジン部分またはグアニジン誘導体部分(例えば、アルギニンというアミノ酸の側鎖)を有するピラジン系接続基に結合している。ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0110】
【化20】

または
【0111】
【化21】

を有し、式中、R〜R14、R17、R18、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、x、u、vおよびyは、上に式(FX1)〜(FX5)、(FX10)、(FX11)および(FX12)について記載した本文で定義されるとおりである。本発明は、式(FX13)および(FX14)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0112】
ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0113】
【化22】

【0114】
【化23】

【0115】
【化24】

または
【0116】
【化25】

を有し、式中、R〜R14、R17、R18、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、x、y、i、j、k、l、q、r、s、t、u、v、xおよびyは、上に式(FX1)〜(FX14)について記載した本文で定義されるとおりである。本発明は、式(FX15)〜(FX18)のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含む組成物を含む。
【0117】
ある実施形態では、本発明の光学的な官能基を有するシェルが架橋したミセルは、以下の構造を有するブロックコポリマーおよびピラジン接続基の要素
【0118】
【化26】

または
【0119】
【化27】

、およびそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)を含み、式中、fは、20〜250の範囲にわたって選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、またはこのコポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;LおよびLは、それぞれ独立して、
【0120】
【化28】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり;[疎水性ブロック]は、ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である。本明細書で使用される場合、xまたはyが0に等しいという記載は、それぞれ、この式にL基またはL基が存在しないことをあらわす。ある実施形態では、各eは、独立して、1〜5の範囲にわたって選択される。場合により、pは、50〜200の範囲にわたって選択される。
【0121】
式(FX10)〜(FX20)の疎水性ブロック([疎水性ブロック]であらわされる)は、本発明の光学薬剤の望ましい適用法および使用によって、組成が広範囲にわたっていてもよい。ある実施形態では、[疎水性ブロック]の組成は、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)ポリマーブロック;ポリスチレンポリマーブロック;ポリアクリレートポリマーブロック、ポリ(プロピレングリコール)ポリマーブロック;ポリ(アミノ酸)ポリマーブロック;ポリ(エステル)ポリマーブロック;ポリ(ε−カプロラクトン)ポリマーブロック、およびリン脂質;またはこれらのコポリマーからなる群から選択される。ある実施形態では、[疎水性ブロック]は、フェニル、フェノールおよび/またはその誘導体のような、1個以上のアリール基を含むモノマーを含む。ある実施形態では、疎水性ブロックは、210〜250、場合により、40〜100の範囲にわたって選択されるモノマー数を有する。ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0122】
【化29】

を有するか、そのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)であり、式中、PM、R、R、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、y、x、R17、R18は、上に式(FX1)〜(FX19)について記載した本文で定義されるとおりであり、各gは、独立して、20〜250の範囲にわたって選択される。
【0123】
ある実施形態では、ブロックコポリマーの少なくとも一部分の親水基は、ポリ(エチレングリコール)領域(PEG)、例えば、−(CHCHO)−を含む領域をさらに含み、ここで、hは、10〜500の範囲にわたって選択され、場合により、20〜100の範囲にわたって選択される。ある実施形態では、例えば、光学薬剤のブロックコポリマーの少なくとも一部分および接続基は、以下の式
【0124】
【化30】

を有するか、そのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび/またはイオン形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)であり、式中、PM、R、R、Z、Z、L、L、a、b、n、m、p、y、xは、上に式(FX1)〜(FX19)について記載した本文で定義されるとおりであり、各hは、独立して、10〜500の範囲にわたって選択される。
【0125】
(参考文献および改変例による、援用に関する記載)
本明細書全体に記載したあらゆる参考文献、例えば、発行済の特許または特許権付与済の特許を含む特許文書または等価物、特許公開明細書、および特許ではない文献または他の情報源は、個々の文献が、本明細書の開示内容と少なくとも部分的に矛盾しない程度まで援用されているかのように、その全体を本明細書に援用する(例えば、部分的に矛盾する参考文献は、その参考文献の矛盾する箇所のみを部分的に除いて援用する)。
【0126】
本明細書で記載したあらゆる特許および刊行物は、本発明が関連する当該技術分野の技術レベルを示すものである。本明細書に引用した参考文献は、いくつかの場合には、それぞれの出願日時点の当該技術分野の技術常識を示すために、その全体を本明細書に援用し、この情報を、必要な場合、従来技術である特定の実施形態を排除する(例えば、特許請求の範囲からはずす)ために使用することができる。例えば、ある化合物を特許請求の範囲に記載している場合、本明細書に開示した参考文献(特に、参考にした特許文献)に開示されている特定の化合物を含む、当該技術分野で既知の化合物は、本発明の特許請求の範囲に含まれないことを意図していることも理解されるべきである。
【0127】
ある置換基群が本明細書に開示されている場合、その群の任意の異性体およびエナンチオマーを含む、その群の個々の選択肢およびすべての部分集合、および置換基を用いて形成可能な化合物群は、別個に開示されている。ある化合物が特許請求の範囲に記載されている場合、本明細書に開示した参考文献に開示されている化合物を含む、当該技術分野で既知の化合物を含まないことを意図していることも理解されるべきである。Markush群または他の群を本明細書で使用している場合、その群の個々のすべての選択肢およびすべての組み合わせ、およびその群の可能な組み合わせの部分集合は、その開示内容に個々に含まれることが意図されている。
【0128】
他の意味であると記載されていない限り、記載した要素または例示した要素のあらゆる配合物および組成物を、本発明を実施するために使用してもよい。当業者は、同じ化合物に違う名称を付けてもよいと知っているため、化合物の特定の名称は、一例であることが意図されている。ある化合物が、例えば、式または化学名で、その化合物の特定の異性体またはエナンチオマーを明記しないで本明細書に記載されている場合、その記載は、個々に、または任意の組み合わせで記載した化合物のあらゆる異性体およびエナンチオマーを含むことが意図されている。当業者は、過度の実験を行うことなく、特定的に例示されている以外の方法、デバイス要素、出発物質および合成方法を、本発明を実施するのに使用してもよいことを理解するであろう。任意の方法、デバイス要素、出発物質および合成方法のあらゆる当該技術分野で既知の機能的等価物は、本発明に含まれることが意図されている。明細書中に、例えば、温度範囲、時間範囲または組成物範囲のような、ある範囲が記載されている場合はいつでも、その範囲に含まれるすべての中間的な範囲および部分的な範囲、およびすべての個々の値は、本開示内容に含まれることが意図されている。
【0129】
明細書中に、例えば、温度範囲、時間範囲、組成物範囲または濃度範囲のような、ある範囲が記載されている場合はいつでも、その範囲に含まれるすべての中間的な範囲および部分的な範囲、およびすべての個々の値は、本開示内容に含まれることが意図されている。本明細書で使用される場合、範囲は、明らかに、その範囲の終点として与えられている値を含む。例えば、1〜100の範囲は、1および100といった終点の値を明らかに含む。本明細書の記載に含まれる範囲または部分的な範囲のうち、任意の部分的な範囲または個々の値が、本明細書の特許請求の範囲から除外されてもよいことも理解されるであろう。
【0130】
本明細書で使用される場合、「含む」は、「包含する」、「含有する」または「〜を特徴とする」と同じ意味であり、包括的であるか、または非限定的であり、引用されていないさらなる要素または方法のステップを除外しない。本明細書で使用される場合、「〜からなる」は、特許請求の範囲の要素で特定されていない任意の要素、ステップまたは成分を除外する。本明細書で使用される場合、「〜から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本となる特徴および新規な特徴に実質的な影響を与えない物質またはステップを除外しない。用語「含む」が本明細書で引用される場合、特に、組成物の成分を記載する場合、またはデバイスの要素を記載する場合、その引用されている成分または要素から本質的になる組成物および方法、および引用されている成分または要素からなる組成物および方法を包含することが理解される。本明細書に例示しながら適切に記載した本発明は、本明細書に明確に開示されていない任意の1つ以上の要素、1つ以上の限定事項が存在しない状態で実施してもよい。
【0131】
使用した用語および表現は、記載するという観点から使用しているものであり、限定する観点で使用しているものではなく、この用語および表現に、図示し、記載した特徴またはその一部分の任意の等価物を排除するという意図はないが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内で、種々の改変が可能であることは理解される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴によって明確に開示されているが、本明細書に開示した概念の改変および変形は、当業者が思いつくものであり、このような改変および変形は、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0132】
本明細書に開示した多くの分子は、1個以上のイオン化可能な基を含有する[プロトンを除去可能な基(例えば、−COOH)または付加可能な基(例えば、アミン)または四級化可能な基(例えば、アミン)]。このような分子のあらゆる可能なイオン形態およびその塩は、開示した本明細書に個々に含まれていることが意図されている。本明細書の化合物の塩に関し、当業者は、所与の用途のために本発明の塩を調製するのに適した、広範囲の利用可能な対イオンから選択することができる。特定の用途では、塩を調製するための所与のアニオンまたはカチオンを選択することによって、その塩の溶解度を上げたり、または下げたりすることが可能である。
【0133】
他の意味であると記載されていない限り、本明細書に記載するか、または例示した化合物の配合物または組み合わせを、本発明を実施するのに使用してもよい。
【0134】
本発明の組成物、製剤および配合物を、診断薬および光線力学治療薬と併用してもよい。例えば、有効量の本発明の組成物、製剤および配合物を、医薬的に許容される配合物の状態で患者に投与する。投与の後に、光による診断および光線療法と組み合わせた手順を行う。例えば、光による診断および光線療法と組み合わせるための化合物を含む組成物を、患者に投与し、その濃度、局在化、または他のパラメータは、目的の標的部位で決定する。標的部位の位置を決定するために、2種類以上の測定を行ってもよい。化合物が標的部位に蓄積するのにかかる時間は、薬物動態のような因子によって変わり、約30分〜2日間の間で変動する場合がある。部位を特定したら、この手順の光線療法の部分を、部位を決定してすぐに、または部位から薬剤が除去されてしまう前に行ってもよい。クリアランスは、薬物動態のような因子によって変わる。
【0135】
本発明の組成物、製剤および配合物を、腸投与、非経口投与、局所投与、エアロゾル、吸入または皮膚投与のための診断用組成物または治療用組成物に配合してもよい。組成物、製剤および配合物の局所送達または皮膚送達は、エアロゾル配合物、クリーム、ゲル、溶液などを含んでいてもよい。本発明の組成物、製剤および配合物を、所望の診断効果および/または治療効果を達成するのに有効な用量で投薬する。この投薬量は、組成物中で使用する特定の組成物、試験対象の臓器または組織、臨床手順で使用する装置、達成する治療の効率などによって変わる。これらの組成物、製剤および配合物は、有効量の組成物を、想定されている投与の種類に適した従来の医薬担体および賦形剤とともに含有している。これらの組成物、製剤および配合物は、場合により、安定化剤および皮膚浸透向上剤を含んでいてもよい。
【0136】
本発明の方法は、本発明の化合物を含む「有効量」の本発明の診断用および治療用の組成物、製剤および配合物を投与し、患者の生体の状態および/または疾患の状態を診断し、造影し、監視し、評価し、治療し、低減するか、または制御するステップを含む。用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、個体に投与した場合、生体の状態および/または疾患の状態を診断し、造影し、監視し、評価し、治療し、低減するか、または制御するのに有効な診断用配合物および治療用配合物の量を指す。当該技術分野で理解されているように、所与の組成物または配合物の有効量は、少なくとも部分的に、投与態様(例えば、静脈内投与、経口投与、局所投与)、使用する任意の担体またはビヒクル、および配合物を投与する特定の個体(年齢、体重、状態、性別など)によって変わる。投薬必要量は、使用する特定の配合物、投与経路および臨床上の目的とともに変動する「有効量」を達成する必要がある。標準的な薬理試験の手順で得られた結果に基づき、活性薬物の推定1日投薬量を、当該技術分野で理解されているように決定することができる。
【0137】
任意の適切な投与形態を、本発明の診断用配合物および治療用配合物と組み合わせて使用することができる。本発明の診断用配合物および治療用配合物を、静脈投与、経口投薬形態で投与、腹腔内投与、皮下投与、または筋肉内投与してもよく、すべて、薬学分野の当業者に周知の投薬形態を用いて投与する。
【0138】
本発明の診断用配合物および治療用配合物を、単独で投与してもよいが、選択した投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択した医薬担体とともに投与してもよい。
【0139】
本発明の診断用配合物および治療用配合物、および本発明の医薬は、1つ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでいてもよい。このような組成物および医薬は、例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences、第17版、Alfonoso R.Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1985)に記載の許容される医薬手順にしたがって調製し、この文献の内容を、本明細書に援用する。
【0140】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって、さらに理解されるであろう。
【実施例】
【0141】
(実施例1:光学造影および監視のための、フォトニックシェル架橋型ナノ粒子プローブ)
シェルが架橋したミセルは、大量の化学治療薬および診断薬を送達することから、外側に存在する多価の腫瘍に特異的なリガンドによってin vivoで腫瘍を標的化することまで、種々の生物医学用途にとって優れたナノ構造プラットフォームであることがわかっている。これらのシステムが極めて汎用性であることは、製造が容易であること(両親媒性ブロックコポリマーを、ポリマー鎖部分の一部分を可溶化するように選択された溶媒に入れることによる)、および最終的なコア−シェル形態または他の(複数の)区画を有する形態の両方から誘導されるものである。一般的に、親水性の架橋性成分としてポリ(アクリル酸)を含む両親媒性ブロックコポリマーから誘導される、シェルが架橋したknedel様(SCK)ナノ粒子の場合、別個のナノ粒子を作成するために、非官能ジアミンを用い、カルボキシレートを多く含むシェルを化学的に架橋する。コア領域を、疎水性ブロックコポリマー部分から親水性ポリマー鎖に移す場合、または化学的に削っていく戦略によって低分子に分解する場合、共有結合によって架橋したシェル層は、構造の一体性を保持しており、ナノサイズのかごの骨格を形成し、環境条件の変化によって膨張したり、収縮したりすることが可能である。
【0142】
この実施例で、本願発明者らは、ブロックコポリマーミセルを、水中で組織化/分解させるために、SCKを形成するための固有で自然に優しい化学的アプローチとして、有機溶媒を使用せずに、コア領域の可逆性の疎水性/親水性を使用することを示した。この観点で、本願発明者らは、単純なポリマーナノ粒子を、官能性架橋基を用い、可逆性の疎水性およびナノ粒子の膨張/収縮の概念を一緒に用いることによって、精密な検知デバイスに加工することができることを示している。官能性架橋基は、構造の一体性および光学シグナルを与え、水溶液のpH変化によって促進されるSCK内の局所的な変化に介在し、探索する。生理的範囲でpHが変化した結果、フルオロフォア−シェルが架橋したナノ粒子(フルオロフォア−SCK)の光物理特性が顕著に向上する。現在のシステムは、高いpHでシェルが膨張すると蛍光が強くなり、低いpHでシェルが収縮すると蛍光が消光されるように設計されている(図5の構造および模式図を参照)。本願発明者らは、SCKシェル内に蛍光性架橋基を共有結合によって接続すると、この挙動を独自に与えることを示している。
【0143】
シェルが架橋したフォトニックナノ粒子(SCK)は、フルオロフォアとミセルとの間を架橋することによって調製した。これらの固有のフォトニックSCKについては、蛍光の増幅/消光に影響を与えるpH感受性の膨張/収縮を起こす能力を含め、この実施例で記載している。
【0144】
フルオロフォア−SCKは、ジブロックコポリマー前駆体であるポリ(アクリル酸)103−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)41、PAA−b−PpHSから組織化し、この前駆体は、ニトロオキシドが介在する重合によって合成した。まず、高いpHでブロックコポリマーに溶解し、次いで、この溶液のpHを7までゆっくりと下げることによってミセルを得て、この時点で、プロトン化したPpHSブロックが疎水性コアを形成し、脱プロトン化したPAAブロックを調整することによって親水性シェルを形成した。図5は、ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)から、水中で、溶液pHを調整しながらミセルを調製する方法を示す。
【0145】
得られたミセル溶液2を、末端がジアミノのピラジンを、アクリル酸残基に対して6.25mol%または12.5mol%用いてインキュベートし、EDCIを加え、異なる量のフルオロフォアがシェルに組み込まれ、したがって、架橋度の異なるSCK3または4を得た。反応混合物の溶液を超純水で4日間透析し、副生成物である尿素および任意の結合していないピラジンフルオロフォアを除去した。次いで、原子間力顕微鏡(AFM)および透過型電子顕微鏡(TEM)によって、SCKの寸法を測定した。AFMで測定した高さは、SCK3および4について6±2nmおよび8±2nmと観察され、TEMで測定した直径は、9±2nmおよび9±2nmであった。SCK溶液を超純水(約pH7)で3日間透析し、5mM PBS 5mLをそれぞれ含有し、pH値が4.5、6.1、8.0、9.5または11.0の6個のバイアルにSCK溶液を分け、SCKの流体力学直径および蛍光の光物理特性に与える影響を分析するために、異なるpH環境にSCKを置いた。
【0146】
いくつかの実験では、得られたミセル溶液を、末端がジアミノのピラジンを、3つのエチレンオキシド単位が存在しない状態(I)または存在する状態(II)で、アクリル酸残基に対して6.25mol%(a)または12.5mol%(b)用いてインキュベートした。得られたミセルおよび架橋基の溶液は、EDCIを加えることによって、共有結合によって架橋し、流体力学直径が約20nm(DLSで測定した場合)であり、高さが約8nm(原子間力顕微鏡、AFMで測定した場合)のナノ粒子が得られた。図6は、平均高さが8nmの、I−aの代表的なAFM画像を示す。SCK溶液を、5mM PBSに対し、pH7.4で3日間透析し、5mM PBS 5mLをそれぞれ含有し、pH値が4.5、6.1、8.0、9.5、11.0または12.8の6個のバイアルにSCK溶液を分けた。
【0147】
SCK溶液のpHが高くなると、ナノ粒子の膨張において、以下の2つの因子が主要な役割をはたす。(1)ポリ(アクリル酸)ブロックが脱プロトン化するにつれて、負の電荷を有するカルボキシレートが、既定のSCK構造内のPAA鎖を互いに反発させる。(2)PpHSブロックが高いpH(すなわち、>10)で脱プロトン化するにつれて、PpHコアの親水性が高まり、水分子が、シェルが架橋したナノ粒子に入り込む。組成物が、SCKの二重シェルおよびコアが、pHによって、自身の引力、例えば水素結合、疎水性の影響およびπスタッキングによる相互作用が失われる際に、蛍光を発することによって膨張する機構に応答するが、低いpH値で再び自己集合が完成するにつれて蛍光が消光されることが可能なように、アシルアミド−ピラジン架橋が、含まれる(図5を参照)。D2h対称性のために、2,6−ジアミノ−2,5−ジアミド置換されたピラジンは、pH変化にはあまり感受性が高くない光物理特性を示す四極子染料である。
【0148】
SCKがpHに応答して膨張するという利点が得られるのは、末端がジアミンのピラジンであり、分子内水素結合が失われると蛍光が発生するが、水素結合が再び確立すると、蛍光が消光される。図5は、フォトニックSCKの膨張/収縮をpHの関数として示す。ここで、Iの場合、n=0であり、IIの場合、n=3である。これらのピラジン分子は、pH変化にはあまり感受性が高くない光物理特性を示す四極子染料である。したがって、得られた光物理的変化は、ナノ構造の形態の関数である。
【0149】
ピラジン単位とPAAシェルとが共有結合によって架橋し、これによって、pHを検知するのに有望なフォトニックSCKが得られる。ピラジンとPAAシェルとが共有結合によって架橋すると、生物医学用途に有望なフォトニックSCKを構築する。本願発明者らは、pH4.5〜9.5で、脱プロトン化したPAAシェルの光物理的結果と、pH9.5〜11で、PpHSコアの光物理的結果を観察することを期待した。本願発明者らの仮説を試験するために、得られたSCK溶液で、pHが4.5〜11.0の範囲で、UV−可視光および蛍光の測定値を集め、ピラジン濃度を決定し、次いで、蛍光強度値に対し、濃度を正規化した(図8を参照)。この局面を示すために、得られたSCK溶液で、異なるpH値でUV−可視光および蛍光の測定を行ない、それぞれのセットのピラジン付着量が一貫していることを確認し、フォトニックSCKの光物理特性が高まっていることを観察した。フォトニックSCKの光物理特性を観察するために、SCKシェル層内にあるピラジンのデータを、PAAと物理的に会合しているピラジン架橋基に対し、および緩衝液中の低分子として異なるピラジン付着率を有する2種類のSCKで比較した。
【0150】
UV−可視光のデータおよび蛍光のデータは、pHの関数として、フルオロフォア−SCKが膨張すると、蛍光の発生に介在する局所的な固有の環境を与えるという仮説を支持している。3および4のUV−可視光の測定値は、これらのデータセットで有意な変化がないことを示しており、このことから、各サンプルのピラジン付着量の一致を確認した。しかし、3と4とで、蛍光発光強度は大きく異なっており(図8)、このことは、試験したpH領域すべてにわたって、蛍光が消光されることなく、SCKシェル領域に、限られた量のフルオロフォア系架橋基が存在していてもよいことを示唆している。動的光散乱データ(図6Bを参照)は、架橋強度が高くなると(4の場合、12.5mol%フルオロフォア)、SCK流体力学直径の変動が小さくなり、架橋度が低いと(3の場合、6.25mol%)、pHが高くなるにつれて、シェルおよびコアが顕著に膨張する(図6Bを参照)ため、この示唆をさらに支持するものである。最も顕著な蛍光の増幅は、生理学的に関連のあるpH範囲であるpH6.1〜8.0で起こる(表1)。図6Aは、平均高さが8nmの、本発明のフォトニックSCKミセルの代表的なAFM画像を示す。
【0151】
しかし、蛍光の測定値は、溶液pHが4.5から11.0まで上昇するにつれて、顕著に大きくなり、6.1から8.0で最も顕著に大きくなった。図8および図9は、pHの関数として、I−a、I−b、II−aおよびII−bの蛍光測定値を示す。SCKサンプルのセットは、4種類とも、このpH領域で最も蛍光が大きくなった(表1を参照)。UV−可視光および蛍光の測定値は、高いpHでフルオロフォア−SCKが膨張すると、ピラジン分子の水素結合が開裂し、蛍光の発生量が低下する。しかし、pH12.8では、蛍光は顕著に低下した(表1のI−bおよびII−bを参照)。このpH領域で、脱プロトン化したPpHSの消光効果が優先し、正味の蛍光が低下した。
【0152】
【表1】

SCKシェル内で共有結合によって架橋している場合のみ、pHが高くなるにつれて、ピラジンフルオロフォアの蛍光発光が増加した。図6Cに示しているように、溶液中に低分子として存在するピラジン架橋基、またはPAA存在下でのピラジン架橋基は、pHが4.5から6.1まで上昇したとき、蛍光強度はまったく変化しないか、またはわずかに低下し、pHが8.0まで上がると強度は低下し、pH11.0までは一定値であり、pH11.0では、蛍光強度はわずかに大きくなっていることが観察された。対照的に、蛍光発光は、3のピリジンで顕著な増加が観察され(表2)、残りのアクリル酸残基が脱プロトン化することにより、シェルが膨張すると予想されるpH範囲では、pH4.5で観察した蛍光強度と比較すると、約330%に上昇し、フェノール基が脱プロトン化し、コア領域が膨張するにつれて、蛍光は約370%となった。4の架橋度は高く、ピラジン付着率も高く、ナノ構造の膨張は限られており、ピラジン−ピラジンの蛍光の消光が促進され、蛍光強度に対する影響も低下していた(図6Cおよび表2)。
【0153】
【表2】

したがって、これらの結果から、SCK形成のセル架橋ステップの光接続系として二官能光学プローブ分子を用い、フルオロフォア−SCKの調製が成功していることと、フルオロフォア−SCKの特性とを示した。本願発明者らは、pH応答性ポリマーから誘導されるナノ構造に、共有結合を組み込むことによって、pHを検知する集合体を作成するために、pHに対する感度が低いフルオロフォアを利用する。次いで、二官能フルオロフォアを、SCK形成のシェル架橋ステップの光架橋系として記載した。
【0154】
動的光散乱データおよびUV−可視光/蛍光の測定値から、異なるpKの官能基を組み込むことによって(すなわち、フェノール/カルボキシレート)、フルオロフォア−SCKが、pHに対して形態学的に応答する(高いpHで膨張し、低いpHでしぼむ)ことが示された。これらの形態変化の光物理的結果は、高いpHでは「蛍光が発生」し、低いpHでは、近い位置で消光してしまうため、「蛍光が消光される」という現象であらわれる。これらの新しいフォトニックナノ系の生物医学用途は、他の用途の中でも、化学センサ/生理センサが挙げられる。
【0155】
(実験の章)
ポリ(tert−ブチルアクリレート)104(5)の合成:フレームドライした50mL Schlenkフラスコに、磁気攪拌棒を取り付け、N雰囲気下、室温(rt)で、2,2,5−トリメチル−3−(1’−フェニルエトキシ)−4−フェニル−3−アザヘキサン(600mg、1.84mmol)、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロオキシド(20.0mg、0.092mmol)およびアクリル酸tert−ブチル(31.5g、245mmol)を加えた。反応フラスコを密閉し、rt(すなわち、室温)で10分間攪拌した。凍結−減圧−融解サイクルを3回繰り返し、反応混合物を脱気した。最後のサイクルが終わった後、反応混合物をrtまで戻し、10分間攪拌した後、あらかじめ125℃に熱しておいた油浴に浸し、重合を開始させた。72時間後、H NMR分析によって、モノマー転化率が72%に達していることがわかった。反応フラスコを液体Nにすばやく浸し、重合反応を停止させた。反応混合物をTHFに溶解し、HO/MeOH(v:v、1:4)で3回沈殿させ、白色粉末を得た(19.3g、モノマー転化率を基準として、収率85%);Mn,GPC=13,700Da、PDI=1.1、DP=104。
【0156】
ポリ(tert−ブチルアクリレート)104−b−ポリ(アセトキシスチレン)41(6)の合成:フレームドライした50mL Schlenkフラスコに、磁気攪拌棒を取り付け、N雰囲気下、rtで、5(3.0g、0.22mmol)および4−アセトキシスチレン(4.44g、27.4mmol)を加えた。反応混合物をrtで1時間攪拌し、均一溶液を得た。凍結−減圧−融解サイクルを3回繰り返し、反応混合物を脱気した。最後のサイクルが終わった後、反応混合物をrtまで戻し、10分間攪拌した後、あらかじめ125℃に熱しておいた油浴に浸し、重合を開始させた。6時間後、H NMR分析によって、モノマー転化率が32%に達していることがわかった。反応フラスコを液体Nに浸し、重合反応を停止させた後、反応混合物にTHFを加え、ポリマーをHO/MeOH(v:v、1:4)で3回沈殿させて精製し、6を白色粉末として得た(3.73g、収率83%);Mn,GPC=17,400Da、PDI=1.3、DP=41。
【0157】
ポリ(tert−ブチルアクリレート)104−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)41(7)の調製:25mL丸底(RB)フラスコに、(6)(3.0g、0.15mmol)およびMeOH(10mL)を加え、rtで10分間攪拌した。濁った混合物を乾留するまでゆっくりと加熱した。溶液が透明になったらすぐに、ナトリウムメトキシドMeOH溶液(25wt%)(26mg、0.12mmol)をシリンジで加えた。反応混合物を環流状態でさらに4時間加熱した。rtまで冷却した後、4%の酢酸を含む水で反応混合物を沈殿させ、7を白色固体として得た(2.6g、収率95%)。Mn,NMR=18,600Da。
【0158】
ポリ(アクリル酸)104−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)41(1)の合成:50mL RBフラスコに攪拌棒を取り付け、7(2.5g、0.13mmol)およびトリフルオロ酢酸(20.2g、177mmol)を加えた。反応混合物をrtで24時間攪拌した。過剰量の酸を減圧下で除去した。残渣をTHF 10mLに溶解し、超純水(18.0MΩ−cm)で3日間透析することによって精製し、凍結乾燥して、1を白色粉末として得た(1.6g、収率95%)。Mn,NMR=12,000Da。
【0159】
1からミセル2を調製:50mL RBフラスコに磁気攪拌棒を取り付け、1(2.0mg、0.16μmol)および超純水15mLを加えた。1.0M NaOH溶液を加え、pH値を12に調節し、透明溶液を得た。1.0M HClを滴下してpH値を7まで下げた後、ミセル化が開始した。rtでさらに12時間攪拌した後、このミセル溶液を、SCK3および4を構築するために直接使用した。
【0160】
ミセル2から、シェルが架橋したナノ粒子(SCK3または4)を調製:50mL RBフラスコに磁気攪拌棒を取り付け、ミセルの超純水溶液(15.0mL、カルボン酸残基0.016mmol)を加えた。この溶液に、3,6−ジアミノ−N,N−ビス(2−アミノエチル)ピラジン−2,5−ジカルボキサミド(架橋度12.5%の場合は、0.397mg、1.12μmol(アクリル酸残基に対し、6.25mol%)、または架橋度25%の場合は、0.794mg、2.24μmol(アクリル酸残基に対し、12.5mol%)の超純水1mL溶液を加えた。反応混合物をrtで2時間攪拌した。この溶液に、1−[3’−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジド(EDCI、架橋度12.5%の場合は、0.849mg、2.86μmol、または架橋度25%の場合は、1.70mg、5.72μmol)の超純水1mL溶液をシリンジポンプで1時間滴下し、反応混合物をrtでさらに16時間攪拌した。最後に、あらかじめ浸しておいた透析管(MWCO 約3,500Da)に反応混合物を移し、超純水で3日間透析し、低分子の出発物質および副生成物を除去し、SCK3および4の水溶液を得た。DLS試験、UV−可視光試験および蛍光試験のために、5mM PBS(5mM NaCl含有)をそれぞれ含有し、pH値が4.5、6.1、8.0、9.5および11の6個のバイアルにSCK溶液を分けた。
【0161】
3,6−ジアミノ−N,N−ビス(2−アミノエチル)ピラジン−2,5−ジカルボキサミドの合成:3,6−ジアミノピラジン−2,5−ジカルボン酸ナトリウム(500mg、2.07mmol)、2−アミノエチルカルバミン酸tert−ブチル(673mg、4.20mmol)、HOBt(836mg、5.46mmol)およびEDCI(1.05g、5.48mmol)をDMF(25mL)中で混合し、16時間攪拌し、濃縮した。残渣を1N NaHSO(200mL)とEtOAc(200mL)とに分配した。有機層を分離し、水で洗浄し(200mL×3回)、飽和NaHCOで洗浄し(200mL×3回)、塩水で洗浄した。MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、ビスアミドを橙色泡状物として得た。770mg、収率76%。H NMR(300MHz,DMSO−d)主要な配座異性体,δ 8.44(t,J=5.7Hz,2H),6.90(t,J=5.7Hz,2H),6.48(br,4H),2.93−3.16(m,8H),1.37(s,9H),1.36(s,9H)ppm。13C NMR(75MHz,DMSO−d),δ 165.1,155.5,155.4,146.0,126.2,77.7,77.5,45.2,44.5,28.2ppm。LC−MS(0.1%TFA中、10分でアセトニトリル15−95%の勾配)、1本のピークの保持時間=30mmカラムで7.18分、(M+H)=483amu。この生成物(770mg、1.60mmol)を塩化メチレン(100mL)と混合し、これにTFA(25mL)を加え、反応物を室温で2時間攪拌した。混合物を濃縮し、残渣をメタノール(15mL)に溶解した。ジエチルエーテル(200mL)を加え、橙色固体沈殿を濾過によって単離し、高減圧下で乾燥し、橙色粉末を得た。627mg、収率77%。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 8.70(t,J=6Hz,2H),7.86(br,6H),6.50(br,4H),3.46−3.58(m,4H),3.26−3.40(m,4H)ppm。13C NMR(75MHz,DMSO−d)δ 166.4,146.8,127.0,39.4,37.4ppm。LC−MS(0.1%TFA中、10分でアセトニトリル15−95%の勾配)、1本のピークの保持時間=30mmカラムで2.60分、(M+H)=283amu。UV−可視光(PBS中、100μM)λabs=435nm。蛍光(100nM)λex=449nm、λem=562nm。この生成物を1N HCl水溶液と共沸させることによって(100mL×3回)、HCl塩に変換した。
【0162】
(実施例2:光架橋基の一般的な合成方法)
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Analtech 0.15mm シリカゲル 60−GF254プレートで行った。UV光を当てるか、ヨウ素と接触させるか、またはエタノール性PMA溶液に浸した後、加熱することによって視覚化した。抽出用溶媒は、HPLCグレードまたはACSグレードのものであった。クロマトグラフィーは、Stillの方法で、Merck シリカゲル60(230〜400メッシュ)を用い、所定の溶媒系で行った。NMRスペクトルは、Bruker ARX−500分光計またはVarian Mercury−300分光計で得た。H NMRスペクトルは、テトラメチルシランを基準としたppmをδスケールで報告した。データを以下のように報告した。化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=広がっている、obs=不明瞭)、カップリング定数(Hz)および帰属または相対積分値。13C NMRスペクトルは、重水素化溶媒の中心の値を基準としたppmで報告した。曖昧で分解できないものは、化学シフトをまとめて記載した。分取用逆相液体クロマトグラフィーは、サンプルループ5mLを備えるAllTech Model 7125 Rheodyne Injector Valve、AllTech Model 426型ポンプ、内臓型記録装置を備えているISCO UA−6吸光度検出器、ピーク分離器および11型光学ユニット、ISCO Foxy 200フラクションコレクターで、Lobar LiChroprep RP−18(40〜63μm)をあらかじめ充填してあるカラムを用い、Waters XBrigdge Preparative C18 OBD 30×150mmカラムを用いるWaters Autopurification Systemで、低圧系で行った。LCMSは、Agilent Eclipse(XDB−C18、4.6×30mm、3.5−Micron)、Rapid Resolution CartridgesおよびAgilent Eclipse(XDB−C18 4.6×250mm、3.5−Micron)カラムを用い、Shimadzu LCMS−2010Aで行った。GCMSは、DB5キャピラリーカラム(30m×0.25mm I.D.、膜厚1.0μ)を用い、Varian Saturn 2000で行った。MALDI質量スペクトルは、PE Biosystems Voyager System 2052で行った。電子吸収スペクトルは、Shimadzu UV−3101PC UV−可視光−NIR scanning spectrophotometerを用い、リン酸緩衝生理食塩水中で測定した。発光スペクトルは、Jobin Yvon Fluorolog−3蛍光分光計を用い、リン酸緩衝生理食塩水中で記録した。
【0163】
(省略形)
AFM 原子間力顕微鏡法
Arg アルギニン
DMF ジメチルホルムアミド
DLS 動的光散乱
DP 重合度
Dz 流体力学直径の強度平均
Dn 流体力学直径の数平均
EDC−HCl 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
ESI 電子スプレーイオン化
EtOAc 酢酸エチル
GPC ゲル浸透クロマトグラフィー
HOBt−H2O 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HRMS 高分解能質量分析
IR 赤外分光法
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析法
MeOH メタノール
Mn 数平均分子量
MS 質量分析法
MWCO 分子量のカットオフ
NMR 核磁気共鳴分光法
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PDI 多分散指数
PMA リンモリブデン酸染色
PTA リンタングステン酸染色
SCK シェルが架橋したナノ粒子
TEA トリエチルアミン
TEM 透過型電子顕微鏡法
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
(光架橋基の化学)
光架橋基の実施例1:3,6−ジアミノ−N,N−ビス(2−アミノエチル)ピラジン−2,5−ジカルボキサミド 二TFA塩。図10は、実施例1の光架橋基を製造する合成経路を示す。
【0164】
【化31】

ステップ1.3,6−ジアミノ−N,N−ビス[2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノエチル]ピラジン−2,5−ジカルボキサミドの合成
【0165】
【化32】

3,6−ジアミノピラジン−2,5−ジカルボン酸ナトリウム(500mg、2.07mmol)、2−アミノエチルカルバミン酸tert−ブチル(673mg、4.20mmol)、HOBt−HO(836mg、5.46mmol)およびEDC−HCl(1.05g、5.48mmol)をDMF(25mL)中で混合し、16時間攪拌し、濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)と1N NaHSO(100mL)とに分配した。層を分離し、EtOAc溶液を、水(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)および塩水(100mL)で洗浄した。EtOAc層を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮し、ビスアミド770mg(収率76%)を橙色泡状物として得た。H NMR(300MHz,DMSO−d),主要な配座異性体,δ 8.44(t,J=5.7Hz,2H),6.90(t,J=5.7Hz,2H),6.48(bs,4H),2.93−3.16(complex m,8H),1.37(s,9H),1.36(s,9H)。13C NMR(75MHz,DMSO−d),配座異性体 δ165.1(s),155.5(bs),155.4(bs),146.0(s),126.2(s),77.7(bs),77.5(bs),45.2(bt),44.5(bt),28.2(q)。
【0166】
ステップ2.ステップ1の生成物(770mg、1.60mmol)を塩化メチレン(100mL)と混合し、TFA(25mL)を加え、反応物を室温で2時間攪拌した。混合物を濃縮し、残渣をメタノール(15mL)に入れた。エーテル(200mL)を加え、橙色の固体沈殿を濾過によって単離し、高減圧下で乾燥し、実施例1の光架橋基627mg(収率77%)を橙色粉末として得た。H NMR(300MHz,DMSO−d),δ 8.70(t,J=6Hz,2H),7.86(bs,6H),6.50(bs,4H),3.46−3.58(m,4H),3.26−3.40(m,4H).13C NMR(75MHz,DMSO−d)δ 166.4(s),146.8(s),127.0(s),39.4(t),37.4(t)。LCMS(0.1%TFA中、10分でアセトニトリル5−95%の勾配)、1本のピークの保持時間=30mmカラムで3.62分、(M+H)=283。UV/可視光(PBS中、100μM)λabs=435nm。蛍光(100nM)λex=449nm、λem=562nm。
【0167】
光架橋基の実施例2:3,6−ジアミノ−N,N−ビス(2−アミノエチル)ピラジン−2,5−ジカルボキサミド 二塩酸塩。図10は、実施例2の光架橋基を製造する合成経路を示す。
【0168】
【化33】

実施例1のステップ1で得た生成物(351mg、0.73mmol)を4N HCl−ジオキサン(35mL)に溶解し、反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応物を濃縮し、エーテル(100mL)で微粉化し、実施例2の光架橋基226mg(収率87%)を橙色固体として得た。MS(ESI)m/z=283[M+H]。UV/可視光(PBS中、100μM)λabs=435nm。蛍光(100nM)λex=449nm、λem=562nm。
【0169】
実施例3の光架橋基:3,6−ジアミノ−N,N−ビス(3−(2−(2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)ピラジン−2,5−ジカルボキサミド 二塩酸塩。図11は、実施例3の光架橋基を製造する合成経路を示す。
【0170】
【化34】

ステップ1.1,1’−(3,6−ジアミノピラジン−2,5−ジイル)ビス(1−オキソ−6,9,12−トリオキサ−2−アザペンタデカン−15,1−ジイル)ジカルバミン酸tert−ブチルの合成。
【0171】
【化35】

3,6−ジアミノピラジン−2,5−ジカルボン酸(0.31g、1.56mmol)、3−(2−(2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピルカルバミン酸tert−ブチル(1.00g、3.12mmol)、EDC・HCl(0.72g、3.74mmol)およびHOBt(0.50、3.74mmol)の混合物を、DMF(35mL)中、室温で16時間攪拌した。濃縮し、光架橋基の実施例1と同様に処理し、未精製のビス−アミドを得て、これをさらに精製することなく、次のステップに進んだ。HRMS C366612Naとして計算値、825.4692[M+Na];実測値、825.4674。
【0172】
ステップ2.ステップ1で得た上述の粗生成物の混合物(約1.20g、1.50mmol)を4N HCl−ジオキサン(10mL)に加え、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。濃縮し、残渣をヘキサン−エーテル 1:1(100mL)で微粉化し、ポンプで高減圧状態にし、実施例3の光架橋基を粘性橙色油状物として得た。LCMS(0.1%TFA中、10分でアセトニトリル5−95%の勾配)、1本のピークの保持時間=30mmカラムで5.70分、[M+H]=603。UV/可視光(PBS中、100μM)λabs=435nm。蛍光(100nM)λex=449nm、λem=562nm。
【0173】
光架橋基の実施例4:3,6−ジアミノ−N2,N5−ビス[N−(2−アミノエチル)−アルギニンアミド]−ピラジン−2,5−ジカルボキサミド四TFA塩。図12は、実施例4の光架橋基を製造する合成経路を示す。
【0174】
【化36】

ステップ1.3,6−ジアミノ−N2,N5−ビス(N−pbf−アルギニンメチルエステル)−ピラジン−2,5−ジカルボキサミドの合成。
【0175】
【化37】

3,6−ジアミノピラジン−2,5−ジカルボン酸(0.90g、4.54mmol)、H−Arg(pbf)−OMe・HCl(4.77g、9.99mmol)、EDC(1.53g、9.99mmol)、HOBt(1.34g、9.99mmol)およびTEA(726μL、9.99mmol)の混合物をDMF(35mL)中、室温で16時間攪拌した。濃縮し、光架橋基の実施例1と同様に処理した後、シリカゲル栓で濾過し、未精製のビス−アミドを得て、これをさらに精製することなく、次のステップに進んだ。
【0176】
ステップ2.3,6−ジアミノ−N2,N5−ビス(N−pbf−アルギニン)−ピラジン−2,5−ジカルボキサミド 二リチウム塩の合成。
【0177】
【化38】

ステップ1で得た生成物(2.40g、2.30mmol)のTHF(35mL)溶液を、水酸化リチウム(276mg、11.5mmol)の水(5.0mL)溶液で処理した。室温で1時間攪拌した後、HPLC分析によって、反応が終了していることを示した。ドライアイスを加えて反応を停止させ、濃縮した。この物質をさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0178】
ステップ3.3,6−ジアミノ−N,N−ビス[N−(2−Bocアミノエチル)−アルギニンアミド]−ピラジン−2,5−ジ−カルボキサミドの合成。
【0179】
【化39】

ステップ2で得た生成物(1.00g、0.97mmol)、2−アミノエチル−カルバミン酸tert−ブチル(350mg、2.19mmol)、EDC・HCl(420mg、2.19mmol)、HOBt(290mg、2.15mmol)およびTEA(約0.5mL)の混合物を、DMF(50mL)中、室温で16時間攪拌した。反応物を濃縮し、残渣を光架橋基の実施例1と同様に処理し、生成物1.05gを赤色の半固体として得た。MS(ESI)[M+H]=1300;[M+Na]=1323。この物質をさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0180】
ステップ4.実施例4の光架橋基の合成。ステップ3で得た生成物(900mg、0.69mmol)に、TFA(9.25mL)、水(25μL)およびトリイソプロピルシラン(25μL)を加えた。得られた混合物を室温で72時間攪拌した(簡便には、週末の間攪拌)。反応混合物を濃縮した。残渣を分取HPLC(C18、30×150mmカラム、HO中、12分間で、ACN 5%から95%、0.1%TFA)で精製し、実施例4の光架橋基178mg(収率26%)を赤色泡状物として得た。HRMS C224316として計算値、595.3648[M+H];実測値、595.3654。
【0181】
ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)の化学:ニトロオキシドを介するラジカル重合による、ブロックコポリマーの合成
ポリ(tert−ブチルアクリレート)104(I)の合成:50mL Schlenkフラスコに、磁気攪拌棒を取り付け、2,2,5−トリメチル−3−(1−フェニルエトキシ)−4−フェニル−3−アザヘキサン(500mg、1.34mmol)、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロオキシド(17.0mg、0.077mmol)およびアクリル酸tert−ブチル(16.4g、128mmol)を混合した。反応混合物に対し、凍結−減圧−融解サイクルを3回繰り返した。反応物を、あらかじめ熱しておいた油浴ですみやかに125℃まで加熱した。23時間後、液体窒素で反応を停止させた。反応混合物をTHFに溶解し、20%HOのMeOH溶液で3回沈殿させ、白色粉末を得た(7.17g、収率86%)。M=13,700Da、PDI=1.1、DP=40、転化率=61%。
【0182】
ポリ(tert−ブチルアクリレート)104−b−ポリ(アセトキシスチレン)41(II)の合成:50mL Schlenkフラスコに、I(2.0g、0.37mmol)、4−アセトキシスチレン(5.95g、37mmol)およびDMF(0.5mL)を加え、均一混合物を得た。反応物を、あらかじめ熱しておいた油浴ですみやかに125℃まで加熱し、攪拌しながら23時間加熱した。反応混合物をTHFに溶解し、20%HOのMeOH溶液で3回沈殿させ、白色粉末を得た(5.81g、収率91%);M=17,402 Da、PDI=1.3、DP=70、転化率=80%。
【0183】
ポリ(tert−ブチルアクリレート)110(III)の合成:50mL Schlenkフラスコに、磁気攪拌棒を取り付け、2,2,5−トリメチル−3−(1−フェニルエトキシ)−4−フェニル−3−アザヘキサン(600mg、1.84mmol)、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロオキシド(20.0mg、0.092mmol)およびアクリル酸tert−ブチル(31.5g、245mmol)を混合した。反応混合物に対し、凍結−減圧−融解サイクルを3回繰り返した。反応物を、あらかじめ熱しておいた油浴ですみやかに125℃まで加熱した。72時間後、液体窒素で反応を停止させた。反応混合物をTHFに溶解し、20%HOのMeOH溶液で3回沈殿させ、白色粉末を得た(19.33g、収率73%)。M=14,400Da、PDI=1.1、DP=40、転化率=61%。
【0184】
ポリ(tert−ブチルアクリレート)110−b−ポリ(アセトキシスチレン)207(IV)の合成:50mL Schlenkフラスコに、III(1.70g、0.108mmol)、4−アセトキシスチレン(11.87g、64.6mmol)、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロオキシド(1.19mg、5.39μmol)およびDMF(4.0mL)を加え、均一混合物を得た。反応物を、あらかじめ熱しておいた油浴で125℃まで加熱し、8時間攪拌した。反応混合物をTHFに溶解し、20%HOのMeOH溶液で3回沈殿させ、白色粉末を得た(3.84g、収率74%)。M=48,300Da、PDI=1.3、DP=200、転化率=35%。
【0185】
【化40】

IIまたはIVを加水分解し、ポリ(tert−ブチルアクリレート)104−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)41(V)またはポリ(tert−ブチルアクリレート)110−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)207(VI)を得る:25mL rbフラスコに、II(3.0g、0.148mmol)またはIV(3.84g、0.08mmol)と、MeOH(10mL)とを加え、rtで10分間攪拌した。濁った混合物を還流するまでゆっくりと加熱した。溶液が透明になったらすぐに、ナトリウムメトキシド(25%MeOH溶液)(26mg、0.12mmolまたは76mg、0.35mmol)をシリンジで反応容器に加えた。反応混合物を環流状態で4時間加熱した。酢酸(4%水溶液)で反応混合物を沈殿させ、2.6g(収率95%)、MNMR=18,600Da(V)または3.0g(収率97%)、MNMR=38,700Da(VI)を得た。
【0186】
VまたはVIを酸分解し、ポリ(アクリル酸)104−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)41(VII)またはポリ(アクリル酸)110−b−ポリ(p−ヒドロキシスチレン)207(VIII)を得る:Schlenkフラスコに攪拌棒を取り付け、V(2.5g、0.134mmol)またはVI(2.9g、0.075mmol)を加えた。過剰量のトリフルオロ酢酸(20.2g、177mmol)をシリンジで反応容器に加え、ブロックコポリマーを溶解し、24時間攪拌した。反応混合物を塩化メチレン10mLに溶解した。残った酸および溶媒を減圧下で除去した。精製プロセスを3回繰り返した。わずかに桃色の溶液を超純水で3日間透析し、凍結乾燥し、白色ポリマー1.6gまたは2.4gを得た(収率95%または94%)。IR(ν):3438(OHの分子間H結合、分子内H結合)、2928(COOHダイマー)、1654(COOHの分子内H結合)、1560−1384(COOHアニオン)、1249(アリール−OH)、1172−1123(C−OH)cm−1
【0187】
【化41】

(光架橋したナノ粒子プローブの化学)
VIIまたはVIIIから、ミセルの調製:まず、ブロックコポリマーVIIまたはVIII 2mgを、超純水15mLに溶解し、12時間攪拌することによって、ミセルを調製した。
【0188】
ミセルから、シェルが架橋したナノ粒子(SCK)を調製:ミセル溶液のpHを5〜6に調節した。電動ピペットを用い、末端がジアミンの架橋基6.25mol%または12.5mol%(濃度2.392mg/mLまたは6.2957mg/mLのストック溶液から)をミセル溶液に加え、3時間攪拌した。この反応混合物に、計量ポンプを用い、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジドの超純水溶液(12.5mol%または25.0mol%)を滴下した。反応混合物をrtで24時間攪拌し、あらかじめ浸しておいた透析管(MWCO 約3.5kDa)に反応混合物を移し、5mM PBS溶液で3日間透析し、低分子を除去した。TEM試験およびAFM試験のために、SCK溶液を超純水で3日間、さらに透析し、NaOH/HClを加えて、pHが所望の値になるように調節した。DLS試験、UV−可視光試験および蛍光試験のために、5mM PBSをそれぞれ含有し、pH値が4.5、6.1、8.0、9.5、11.0および12.8の6個のバイアルにSCK溶液を分けた。
【0189】
特性決定法:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による、ポリマーの特性決定:ポリマーI、II、IIIおよびIVの分子量および分子量分布(PDI)をGPCで決定した。GPCを、Waters 2414示差屈折計、PD2020 dual angle(15°および90°)光散乱検出器(Precision Detectors、Inc.)および5μm Mixed C、500Åおよび10Å、300×7.5mmカラム(Polymer Laboratories Inc.)の3種類のカラムPLゲルを取り付けた、Waters 1515 HPLC(Waters Chromatography、Inc.)で行った。このシステムを、ポリマー溶媒として使用する無水THF中、35℃で流速1.0mL/分で溶出させ、平衡状態にした。既知の濃度(約3mg/mL)でポリマー溶液を調製し、注入容積は200μLを用いた。Precision Acquireソフトウェアを用いてデータを収集し、Discovery 32ソフトウェア(Precision Detectors、Inc.)を用いて分析を行った。検出器のディレイボリュームおよび光散乱検出器の較正定数は、ほぼ単分散のポリスチレン標準(Pressure Chemical Co.、M=90kDa、M/M<1.04)を用いた較正によって決定した。示差屈折計は、既知の屈折指数の増分dn/dc(0.184mL/g)を有する標準的なポリスチレンリファレンス物質(SRM 706 NIST)で較正した。分析したポリマーのdn/dc値を、示差屈折計の応答から決定した。
【0190】
動的光散乱(DLS)による、SCKまたはミセルの分析:水溶液中のSCKの流体力学直径(Dz、Dn)およびサイズ分布を、動的光散乱法(DLS)で決定した。DLS装置は、BI−200SM型ゴニオメータ、BI−9000AT型デジタル相関器、EMI−9865型光電子増倍管、および95−2型Arイオンレーザ(Lexel、Corp.;Farmindale、NY)を含むBrookhaven Instruments Limited(Holtsville、NY)システムで構成されており、514.5nmで操作した。測定を20(1℃で行った。分析する前に、溶液を、5414型microfuge(Brinkman Instruments、Inc.;Westbury、NY)で4分間遠心分離処理し、粒子を除去した。固定角90°で散乱光を集めた。デジタル相関器は、522の比率で配置したチャネルで操作し、初期の遅れは0.1μsであり、最終的な遅れは5.0μsであり、持続時間は15分間であった。光電子増倍管は、開口部が200μmのものを使用し、入射レーザの強度は、光子係数が200kcpsになるように調節した。強度の自己相関機能のベースラインの測定値および計算値が、0.1%以内で一致する測定値のみを使用し、粒径を算出した。粒径分布および分布平均の計算は、単一指数フィッティング、キュムラント分析および制限付き非負最少二乗による粒径分布分析の一般的な操作を用い、ISDAソフトウエアパッケージ(Brookhaven Instruments Company)で行いた。PBSのストック溶液を、NaHPO 7.564g、NaHPO 19.681gおよびNaCl 11.688gを、超純水4Lに溶解することによって調製した。溶解し終わったら、NaOHまたはHClを加え、所望のpH値にした。孔のサイズが0.45μmのナイロン膜フィルタでサンプルを濾過し、粉および任意の大きなミセルではない凝集物を除去した。
【0191】
原子間力顕微鏡(AFM)による、SCKまたはミセルの分析:周囲条件下、空気中、タッピングモードAFMで、SCCの高さの測定および分布を決定した。AFM装置は、Nanoscope III BioScopeシステム(Digital Instruments、Veeco Metrology Group;Santa Barbara、CA)および標準シリコンチップ(OTESPA−70;L、160μm;法線方向ばね定数、50N/m;共振周波数、224−272kHz)で構成されていた。新しく切断したマイカにサンプル溶液を落とし(2μL)、蒸着させ、空気で乾燥した。
【0192】
透過型電子顕微鏡(TEM)による、SCKまたはミセルの分析:TEMサンプルを水で希釈し(9:1)、1%リンタングステン酸(PTA)染色液でさらに希釈した(1:1)。表面の親水性を高めるために、プラズマ処理によってカーボングリッドを調製した。拡大率100,000倍で顕微鏡写真を集め、NISTから得た41nmポリアクリルアミドビーズ標準で較正した。少なくとも3つの異なる顕微鏡写真から最少で150この粒子を分析し、粒径のヒストグラムを作成した。
【0193】
UV−可視光/蛍光による、SCKの分析:UV−可視光分光法によるデータを、Varian Cary 1E UV−可視光分光光度計で得た。蛍光分光データを、Varian Cary Eclipse Fluorescence分光光度計で得た。ナノ粒子ストック溶液から、約0.13mg/mLで各サンプルを独立して調製した。4.5、6.1、8.0、9.5、11.0および12.8の種々のpH値で、サンプル溶液をλem=435nmで励起し、445〜800nmの範囲でリファレンス発光スペクトルを記録した。
【0194】
実施例3:シェルが光架橋したナノ粒子の光学的結果
本発明の組成物の光学特性を評価した。実施例2の光架橋基、実施例3の光架橋基、実施例5のシェルが光架橋したナノ粒子、実施例6のシェルが光架橋したナノ粒子、実施例7のシェルが光架橋したナノ粒子、および実施例8のシェルが光架橋したナノ粒子について、pHの関数として、吸光度および蛍光を測定した。
【0195】
コントロール実験:実施例2の光架橋基のみ(ナノシェルに架橋する前)の蛍光発生量の変化。図17に示したように、この分子は、四極子の性質に起因して、分子自体はpH変化に対し、比較的感度が低く、増加するpHの関数として、実施例2の光架橋基では、蛍光の変化率は10%未満である。
【0196】
実施例5のシェルが光架橋したナノ粒子:pHの関数としての、蛍光発生量。ブロックコポリマーVIIを、実施例2の光架橋基 6.25%で架橋し、図13に示しているように、実施例5のシェルが光架橋したナノ粒子を得た。図18に示しているように、蛍光中の四極子の数の増加が、増加するpHの関数として、実施例Bの光架橋基 6.25%で架橋したミセルで観察された。
【0197】
コントロール実験:実施例3の光架橋基のみ(ナノシェルに架橋する前)の蛍光発生量の変化を、pHの関数として決定し、図19に示している。しかし、実施例3の光架橋基は、増加するpHの関数として、蛍光が約30%低下した。
【0198】
実施例6のシェルが光架橋したナノ粒子:pHの関数としての、蛍光発生量。ブロックコポリマーVIIを、実施例3の光架橋基 6.25%で架橋し、図14に示しているように、実施例6のシェルが光架橋したナノ粒子を得た。図20は、増加するpHの関数として、実施例3の光架橋基 6.25%で架橋したミセルで、蛍光が90%増加したことを示している。
【0199】
実施例7のシェルが光架橋したナノ粒子:pHの関数としての、蛍光発生量。ブロックコポリマーVIIを、実施例2の光架橋基 12.5%で架橋し、図15に示しているように、実施例7のシェルが光架橋したナノ粒子を得た。図21は、生理学的なpH範囲で、実施例7のシェルが光架橋したナノ粒子の蛍光発生量が実質的に増加したことを示す。pHが4.5〜8.0に上がるにつれて、シェルのカルボン酸が脱プロトン化することによって膨張が誘発され、pHが、フェノールのpKaを超え、9.5〜11.0の範囲になると、フェノレート形成が誘発されるため、さらに膨張が誘発される。さらにpHが上がると(12.8まで)、ピラジン架橋を有するNH基の脱プロトン化によって、蛍光は低下する。
【0200】
実施例8のシェルが光架橋したナノ粒子:pHの関数としての、蛍光発生量。ブロックコポリマーVIIを、実施例3の光架橋基 12.5%で架橋し、図16に示しているように、実施例8のシェルが光架橋したナノ粒子を得た。図22に示しているように、上の実施例と同様に、生理的pH範囲の中で、蛍光発生量は増える。
【0201】
実施例4:さらなる架橋系
さらなる光架橋系を特定するために、さらなる化学を探索した。
【0202】
【化42】

実施例4の光架橋基と、ブロックコポリマーVIIとをあらかじめ会合させる。グアニジン基は、広範囲のpH(約3〜12)でシェルのカルボキシレート領域と配位して塩の架橋を形成し、架橋を促進することができる。それに加えて、グアニジニウムの正電荷によって、周囲のpHを調節し、ナノ粒子の膨張性を調節することができる。
【0203】
【化43】

光架橋基の実施例9
【0204】
【化44】

光架橋基の実施例10
【0205】
【化45】

光架橋基の実施例11:aおよびbは、任意の整数であり、ポリ−Argを含有する架橋基を形成するのに、最も好ましくは1〜7である。
【0206】
【化46】

光架橋基の実施例12
【0207】
【化47】

光架橋基の実施例13
【0208】
【化48】

光架橋基の実施例14
【0209】
【化49】

光架橋基の実施例15
【0210】
【化50】

光架橋基の実施例16(pKaを調節するためのポリフェノール)
【0211】
【化51】

光架橋基の実施例17(pKaを調節するためのポリフェノールおよびポリArg)
【0212】
【化52】

光架橋基の一般的な実施例18:R、R、R、Rは、aおよびbで定義される繰り返し単位において、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸であってもよい。
【0213】
実施例5:官能化可能な、架橋したナノ構造の構築
(緒言)
過去10年の間に、両親媒性ブロックコポリマー前駆体から組織化したナノサイズのミセルおよび小胞は、薬物、診断薬および治療薬の送達を制御することから、特定の疾患を標的とし、種々の官能基を導入することによって生体での機構を報告することまでにわたるナノ医薬の分野への適用が有望なため、多くの関心がはらわれてきた。このナノサイズの系の熱力学的安定性は、臨界ミセル/小胞濃度を超えた状態でのみ達成され、したがって、in vivoでのこの系の安定性には、関心が高い。この制限を克服するために、ミセルのシェル/コア領域にわたる共有結合による架橋、または小胞の膜領域にわたる共有結合による架橋が、丈夫なナノ構造を与えるための有効な方法論として開発され、示されてきた。
【0214】
この実施例では、機能的なブロックコポリマー系は、あらかじめ組み込まれている活性エステルをアミド化部位として含有するN−アクリルオキシスクシンイミド(NAS)モノマービルディングブロックに基づいて確立された。一連のピラジン系ジアミノ架橋基(この実施例5のスキーム1、架橋基1〜3)を、監視用プローブとして作用するピラジンと反応している間、有望な因子を探索するように設計した。さらに、これらの架橋型ナノ構造の光物理特性を観察し、光学造影および監視のための有望な適用を探索した。
【0215】
【化53】

実施例5のスキーム1:ピラジン系ジアミノ架橋基の化学構造
(結果および考察)
実施例5のスキーム1に示しているように、PEO45に基づくマクロ連鎖移動剤(macro−CTA)から出発し、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合によって、十分に規定されたジブロックコポリマーPEO45−b−PNAS95およびPEO45−b−PNAS105を得た。これらの2つのポリマーのGPC分析(実施例5のスキーム1、挿入図)は、NASモノマー転化率が高い状態であっても(それぞれ90%および95%)、明らかに単峰性の分子量分布を示した。スチレンでさらに鎖を伸長させ、トリブロックコポリマーPEO45−b−PNAS95−b−PS60(化合物4)およびPEO45−b−PNAS105−b−PS50(化合物5)を得た。
【0216】
【化54】

実施例5のスキーム1.両親媒性トリブロックコポリマーの調製。ジブロック(上側)コポリマーおよびトリブロック(下側)コポリマーのDMF SECプロフィールが挿入されている。
【0217】
水、PEOのための選択的な溶媒を、すべてのブロックに共通の溶媒であるDMFにポリマー前駆体を溶かした溶液に加えることからなる、典型的な自己集合プロトコルを利用した。興味深いことに、化合物4は、流体力学直径が約50nmのミセルを与え、一方、化合物5の集合体からは、流体力学直径が約160nmの小胞が生成した(図23を参照)。図23は、実施例5の化合物4から作成したミセル(左側)と、実施例5の化合物5から作成した小胞(右側)のTEM画像を与える。
【0218】
架橋基2の親水性の方が大きかったが、架橋基1および2の架橋/官能基化効率は、ほとんど同じであった。それぞれの名目上の架橋度(それぞれ、20%、50%および100%)で、実際の架橋度は、最大で30%であった。正電荷を有する架橋基3を用い、それぞれの名目上の架橋度で、実際の架橋度の最大値を60%まで顕著に高めることができた。この値の増加は、二官能ビス−アルギニル−ピラジン3のグアニジン部分と、ミセル化プロセス中に活性エステルを部分的に加水分解することによって生じる、コポリマーNASから誘導されるカルボキシレートとの間の強い静電相互作用によるものであった。本発明は、1個以上の天然または非天然のアミノ酸基、特に、1個以上の塩基性アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンおよびホモアルギニンを有する種々の架橋部分の使用を含む。したがって、架橋基3と、ミセル/小胞とを、グアニジン−カルボキシレート錯体を介してあらかじめ配位させることによって、鎖内のアミド架橋反応の効率を大きく高めた。これらすべてのナノサイズの物体の形態は、名目上の架橋度20%および50%で架橋させた後に、ミセルおよび小胞を維持しており、名目上の架橋度100%で、異なる形態が、架橋したミセルで観察された。
【0219】
次いで、これらのフォトニックナノ粒子および小胞の光物理特性を測定した。架橋基1および2の場合、名目上100%架橋したナノ粒子のみが、架橋基自体と同様のUV−可視光プロフィールを示し、名目上20%架橋したミセルでは、青色シフト(約35nm)が観察された。架橋基3の場合、名目上20%架橋したミセルで、青色シフト(約40nm)も観察されたが、名目上50%架橋したナノ粒子は、440nmで架橋基と同じ最大UV−可視光吸収をすでに示していた。これらのナノサイズの物体はすべて、pH5.5〜8.5の範囲で、pH感受性の蛍光増幅が300%まで高まっていた。DLSで測定した場合、観察したpH範囲で、これらのナノ粒子および小胞の流体力学直径の変化は明らかではなかった。
【0220】
官能化したPNAS部分を有する新規両親媒性トリブロックコポリマー系を確立した。この官能化ポリマーをさらに処理し、興味深い化学量論を有し、pH感受性の光物理特性を有する、官能化したナノ構造を得る。さらに、この方法によると、実際の架橋度の定量が容易になる。
【0221】
この実施例は、官能化されたナノサイズの物体に変換可能な、十分に規定された反応性ブロックコポリマーを与える、官能化モノマーのラジカル重合を制御する有用性を強調するものである。可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を用い、十分に規定された両親媒性トリブロックコポリマーポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(N−アクリルオキシスクシンイミド)−b−ポリスチレン(PEO−b−PNAS−b−PS)を得た。これらのポリマー前駆体を、水性媒体中で、高度に官能基化可能なナノ粒子およびナノサイズの小胞になるように組織化した。アミド化中に、一連のピラジン系ジアミノ架橋基を用いて系内で架橋した後、反応効率が、架橋基の組成および性質によって変わることがわかった。ピラジンフルオロフォアの光物理特性(すなわち、UV吸収および蛍光)が、ポリマー集合体に共有結合によって組み込んだ後に変化していることもわかった。これらの結果は、架橋度を直接「視覚化」するだけではなく、光架橋したナノ構造を、光学造影および監視に利用することができることを示している。
【0222】
(参考文献)
【0223】
【数1】

【0224】
【数2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学薬剤であって、前記光学薬剤は:
架橋ブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの各々が親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含む、架橋ブロックコポリマーと、
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分を共有結合によって架橋する接続基とを含み、前記接続基の少なくとも一部分が、1個以上の光活性部分を含み、
前記光学薬剤が、水溶液中で超分子構造を形成し、前記超分子構造が、内側の疎水性コアと、共有結合によって架橋した親水性シェルとを有し、前記内側の疎水性コアは、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックを含み、前記共有結合によって架橋した親水性シェルは、前記ブロックコポリマーの親水性ブロックを含む、光学薬剤。
【請求項2】
前記超分子構造が、シェルが架橋したミセルを含む、請求項1に記載の光学薬剤。
【請求項3】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上のフルオロフォアまたは発色団を含む、請求項1および2のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項4】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上の可視染料または近赤外染料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項5】
前記1個以上の光活性部分が、400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を吸収して励起し、かつ400nm〜1300nmにわたる範囲から選択される波長を有する電磁放射線を発光することが可能な1個以上のフルオロフォアを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項6】
前記1個以上の光活性部分が、10nm〜200nmの範囲にわたって選択されるストークスシフトを有する1個以上のフルオロフォアを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項7】
前記1個以上の光活性部分が、フェニルキサンテン、フェノチアジン、フェノセレナジン、シアニン、インドシアニン、スクアライン、ジピロロピリミドン、アントラキノン、テトラセン、キノリン、ピラジン、アクリジン、アクリドン、フェナントリジン、アゾ染料、ローダミン、フェノキサジン、アズレン、アザアズレン、トリフェニルメタン染料、インドール、ベンゾインドール、インドカルボシアニン、Nile Red染料またはベンゾインドカルボシアニンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項8】
前記1個以上の光活性部分が、ピラジンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項9】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上の光反応性部分を含む、請求項1および2のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項10】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上の光線治療薬を含む、請求項1、2、8および9のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項11】
前記1個以上の光活性部分が、シアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ローダミン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノセレナジン、フルオレセイン、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、スクアライン、コリン、クロコニウム、アゾ染料、メチン染料、インドレニウム染料、ハロゲン、アントラシリン、アジド、C〜C20ペルオキシアルキル、C〜C20ペルオキシアリール、C〜C20スルフェナートアルキル、スルフェナートアリール、ジアゾ染料、塩素、ナフタロシアニン、メチレンブルーまたはカルコゲンピリリウム類似体を含む、請求項1、2、8、9および10のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項12】
前記超分子構造が、ミセル、小胞、二層、折りたたまれたシート、管状ミセル、環状ミセルまたは円盤状ミセルである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項13】
前記超分子構造に少なくとも部分的にカプセル化された治療薬をさらに含み、前記治療薬が、前記疎水性コアと非共有結合によって会合している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項14】
前記治療薬が、シアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ローダミン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノセレナジン、フルオレセイン、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、スクアライン、コリン、クロコニウム、アゾ染料、メチン染料、インドレニウム染料、ハロゲン、アントラシリン、アジド、C〜C20ペルオキシアルキル、C〜C20ペルオキシアリール、C〜C20スルフェナートアルキル、スルフェナートアリール、ジアゾ染料、塩素、ナフタロシアニン、メチレンブルーまたはカルコゲンピリリウム類似体である、請求項13に記載の光学薬剤。
【請求項15】
前記ブロックコポリマーの少なくとも一部分の親水性ブロックに結合する1個以上の標的化リガンドをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項16】
前記標的化リガンドが、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、炭水化物、ホルモン、脂質または薬物である、請求項15に記載の光学薬剤。
【請求項17】
前記光学薬剤が、シェルが架橋した、断面の直径が5nm〜100nmの範囲にわたって選択されるミセルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項18】
前記親水性ブロック、疎水性ブロックまたは接続基が、pHに応答する1個以上の官能基を含み、前記超分子構造が、前記水溶液のpH変化に応答して構造を変える、請求項1〜17のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項19】
前記親水性ブロック、疎水性ブロックまたは接続基が、pHに応答する1個以上の酸性官能基または塩基性官能基を含み、前記超分子構造が、前記水溶液のpH変化に応答して容積変化を受ける、請求項1〜18のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項20】
前記接続基と、前記親水性ブロックのモノマーとのモル比が、1:100〜75:100の範囲にわたって選択される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項21】
前記ブロックコポリマーが、ジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項22】
前記疎水性ブロックが、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)ポリマーブロック;ポリスチレンポリマーブロック;ポリアクリレートポリマーブロック、ポリ(プロピレングリコール)ポリマーブロック;ポリ(アミノ酸)ポリマーブロック;ポリ(エステル)ポリマーブロック;ポリ(ε−カプロラクトン)ポリマーブロック、またはリン脂質;あるいはこれらのコポリマーである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項23】
前記親水性ブロックが、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロック、ポリ(N−(アクリロイルオキシ)スクシンイミド)ポリマーブロック;ポリ(N−アクリロイルモルホリン)ポリマーブロック;ポリ(エチレングリコール)ポリマーブロック、ポリ(p−ビニルベンズアルデヒド)ブロックまたはポリ(フェニルビニルケトン)ブロック;またはこれらのコポリマーである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項24】
前記親水性ブロックが、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックであり、前記接続基が、カルボキサミド結合によって、前記ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーに結合している、請求項1〜23のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項25】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【化55】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、PMは、前記接続基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;ZおよびZは、それぞれ独立して、
【化56】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して0または1である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項26】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【化57】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;ZおよびZは、それぞれ独立して、
【化58】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して0または1である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項27】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【化59】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、R〜R14は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;Z〜Zは、それぞれ独立して、
【化60】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項28】
、R11、R13およびR14の少なくとも1つが、
【化61】

であり、dは、1〜4の範囲にわたって選択され、cは、1〜7の範囲にわたって選択され、R15およびR16は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択されるか;またはR15とR16とで、4〜8個の炭素を有する脂肪族環または芳香族環を形成する、請求項27に記載の光学薬剤。
【請求項29】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【化62】

または
【化63】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、R〜R、R、R10およびR12は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;Z〜Zは、それぞれ独立して、
【化64】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項30】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分が、以下の式
【化65】

【化66】

【化67】

または
【化68】

を有する接続基に結合するモノマーを含み、
式中、R〜R、R、R10およびR12は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;Z〜Zは、それぞれ独立して、
【化69】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;i、j、kおよびlは、それぞれ独立して、0〜9の範囲にわたって選択され、q、r、sおよびtは、それぞれ独立して、1〜3の範囲にわたって選択される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項31】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基が、以下の式
【化70】

を有し、
式中、PMは、接続基であり;pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;RおよびRは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、または前記コポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され、Z、Z、LおよびLは、それぞれ独立して、
【化71】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり;[疎水性ブロック]は、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項32】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基が、以下の式
【化72】

を有し、
式中、pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;R〜Rは、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、または前記コポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;Z、Z、LおよびLは、それぞれ独立して、
【化73】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり;[疎水性ブロック]は、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である、請求項1〜31のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項33】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基が、以下の式
【化74】

を有し、
式中、pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;R〜R14は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、または前記コポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;Z〜Z、LおよびLは、それぞれ独立して、
【化75】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;[疎水性ブロック]は、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項34】
、R11、R13およびR14のうち、少なくとも1つが、
【化76】

であり;dは、1〜4の範囲にわたって選択され、cは、1〜7の範囲にわたって選択され、R15およびR16は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択されるか;またはR15とR16とで、4〜8個の炭素を有する脂肪族環または芳香族環を形成する、請求項33に記載の光学薬剤。
【請求項35】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基が、以下の式
【化77】

または
【化78】

を有し、
式中、pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;R〜R、R、R10およびR12〜R14は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、または前記コポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;Z〜Z、LおよびLは、それぞれ独立して、
【化79】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;[疎水性ブロック]は、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項36】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分および接続基が、以下の式
【化80】

【化81】

【化82】

または
【化83】

を有し、
式中、pは、20〜250の範囲にわたって選択され、それぞれのp値について独立して、nは、独立して、1または0に等しく、mは、独立して、1または0に等しく;R〜R、R、R10およびR12〜R14は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメントからなる群から選択され;R17およびR18は、それぞれ独立して、−R、−COOR、−COR、−CON(R)、−OCON(R)、−N(R)、−SR、−SOR、−SOR、−OCOOR、−SON(R)および−ORからなる群から選択され;Rは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アリール、C〜C20カルボニル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシ、ハロ、アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトリル基、アジド基、ニトロ基、アシル基、チオール基、または天然または非天然のアミノ酸またはそのフラグメント、または前記コポリマーのさらなる親水性ブロックからなる群から選択され;LおよびLは、それぞれ独立して、
【化84】

であり、1個以上のCH基が、NH、O、S、カルボニル(C=O)またはスルホニル(S=OまたはO=S=O)に置き換わっていてもよく;2個の隣接するCH基が、−CH=CH−または−C≡C−に置き換わっていてもよく;各eが、独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であり;uおよびvは、それぞれ独立して、0〜10の範囲にわたって選択され;[疎水性ブロック]は、前記ブロックコポリマーの疎水性ブロックであり;xおよびyは、それぞれ独立して、0または1であり;i、j、kおよびlは、それぞれ独立して、0〜9の範囲にわたって選択され、q、r、sおよびtは、それぞれ独立して、1〜3の範囲にわたって選択される、請求項1〜35のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項37】
17およびR18が、それぞれ−(CHCHO)−であり、hが、10〜500の範囲にわたって選択される、請求項31〜36のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項38】
前記接続基(PM)が、フェニルキサンテン、フェノチアジン、フェノセレナジン、シアニン、インドシアニン、スクアライン、ジピロロピリミドン、アントラキノン、テトラセン、キノリン、ピラジン、アクリジン、アクリドン、フェナントリジン、アゾ染料、ローダミン、フェノキサジン、アズレン、アザアズレン、トリフェニルメタン染料、インドール、ベンゾインドール、インドカルボシアニン、Nile Red染料またはベンゾインドカルボシアニンである、請求項25または31に記載の光学薬剤。
【請求項39】
前記接続基(PM)が、シアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ローダミン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェノセレナジン、フルオレセイン、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、スクアライン、コリン、クロコニウム、アゾ染料、メチン染料、インドレニウム染料、ハロゲン、アントラシリン、アジド、C〜C20ペルオキシアルキル、C〜C20ペルオキシアリール、C〜C20スルフェナートアルキル、スルフェナートアリール、ジアゾ染料、塩素、ナフタロシアニン、メチレンブルーまたはカルコゲンピリリウム類似体である、請求項25または31に記載の光学薬剤。
【請求項40】
前記接続基(PM)がピラジンである、請求項25または31に記載の光学薬剤。
【請求項41】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上の発色団および/またはフルオロフォアを含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、
前記哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップと、
前記光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出するステップとを含む、医学的な光学造影手順で使用するための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項42】
前記光学薬剤に、400nm〜1300nmの範囲にわたって選択される波長を有する電磁放射線を露光する、請求項41に記載の光学薬剤。
【請求項43】
前記手順が、前記光学薬剤から蛍光を励起させるステップをさらに含む、請求項41〜42のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項44】
前記手順が、前記哺乳動物の腫瘍を造影する方法を含み、前記投与するステップによって、前記腫瘍に前記光学薬剤を提供する、請求項41〜43のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項45】
前記1個以上の光活性部分が、1個以上の光線治療薬を含む請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、
前記哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップとを含む、医学的な光ダイナミック療法手順で使用するための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項46】
前記光学薬剤に、400nm〜1300nmの範囲にわたって選択される波長を有する電磁放射線を露光する、請求項45に記載の光学薬剤。
【請求項47】
前記哺乳動物に投与した光学薬剤に電磁放射線を露光するステップによって、前記光線治療薬の1個以上の光解離性結合が開裂する、請求項45〜46のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項48】
前記哺乳動物に投与した光学薬剤に電磁放射線を露光するステップによって、前記1つ以上の光線治療薬の少なくとも1つを活性化させる、請求項45〜46のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項49】
前記哺乳動物に投与した光学薬剤に電磁放射線を露光するステップによって、前記1つ以上の光線治療薬の少なくとも1つを放出させる、請求項45〜46のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項50】
前記手順が、前記光学薬剤を、前記哺乳動物の選択された臓器に標的化させるステップをさらに含む、請求項45〜49のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項51】
前記光学薬剤を、前記哺乳動物の選択された臓器型に標的化させるステップをさらに含む、請求項45〜49のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項52】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤を、哺乳動物に有効量投与するステップと、
前記哺乳動物に投与した光学薬剤を、電磁放射線に露光するステップと、
前記光学薬剤によって伝わるか、散乱するか、または放出される電磁放射線を検出するステップとを含む、生理的な状況または状態を監視するための医学的な手順で使用するための、請求項1〜40のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項53】
前記手順が、前記哺乳動物に投与した光学薬剤によって放出される電磁放射線の波長または強度の変化を検出または測定するステップをさらに含む、請求項52に記載の光学薬剤。
【請求項54】
前記手順が、前記哺乳動物のpHを監視する方法を含み、前記親水性ブロック、疎水性ブロックまたは接続基が、pHに応答する1個以上の官能基を含み、前記超分子構造が、pH変化に応答して構造変化を受け、前記構造変化によって、前記哺乳動物に投与した光学薬剤によって放出される電磁放射線の波長または強度の変化が生じる、請求項52〜53のいずれか1項に記載の光学薬剤。
【請求項55】
前記pH変化に応答する構造変化によって、前記光学薬剤の蛍光が消光される、請求項54に記載の光学薬剤。
【請求項56】
前記pH変化に応答する構造変化によって、前記光学薬剤の蛍光が強くなる、請求項54に記載の光学薬剤。
【請求項57】
前記親水性ブロック、疎水性ブロックまたは接続基が、pHに応答する1個以上の酸性官能基または塩基性官能基を含み、前記超分子構造が、前記水溶液のpH変化に応答して容積変化を受け、前記容積変化によって、前記哺乳動物に投与した光学薬剤によって放出される電磁放射線の波長または強度の変化が生じる、請求項54に記載の光学薬剤。
【請求項58】
前記手順が、前記哺乳動物の腎機能を監視する方法を含み、前記光学薬剤が、哺乳動物によって腎臓で浄化される、請求項52に記載の光学薬剤。
【請求項59】
前記手順が、
前記露光に起因する前記光学薬剤による蛍光を励起させるステップと、
前記投与するステップの後の第1の所定時間に、前記蛍光の第1の強度を測定するステップと、
前記投与するステップの後の、前記第1の所定時間の後の第2の所定時間に、前記蛍光の第2の強度を測定するステップと、
前記蛍光の第1の強度と前記蛍光の第2の強度とを比較し、それによって前記哺乳動物の腎機能を監視するステップとをさらに含む、請求項58に記載の光学薬剤。
【請求項60】
光学薬剤を製造するための方法であって、前記方法は:
複数のブロックコポリマーを水溶液に溶解するステップであって、前記ブロックコポリマーの各々が親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含み、前記ブロックコポリマーは、水溶液中で自己集合して超分子構造を形成する、ステップと、
前記超分子構造のブロックコポリマーと1個以上の光活性部分を含む架橋試薬とを接触させるステップと、
前記超分子構造を有するブロックコポリマーの親水性ブロックの少なくとも一部分を、前記架橋試薬から生成した接続基を介して架橋させ、前記光学薬剤を製造する、光学薬剤を製造する方法。
【請求項61】
前記架橋するステップが、EDCカップリング反応によって行われる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記架橋によって、1〜75%の範囲にわたって選択される架橋度が達成される、請求項60〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ブロックコポリマーが、前記水溶液中で自己集合し、ミセル構造を形成する、請求項60〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記溶解するステップが、7より大きいpHで行われ、前記方法が、前記水溶液中に溶解したブロックコポリマーのpHを、約7までゆっくりと下げるステップをさらに含む、請求項60〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記架橋試薬が、ピラジン含有試薬を含む、請求項60〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記ブロックコポリマーの親水性ブロックが、ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックである、請求項60〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
シェルが架橋したミセルであって、前記シェルが架橋したミセルは:
架橋ブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの各々が、疎水性ブロックに直接的または間接的に結合したポリ(アクリル酸)ポリマーブロックを含む、架橋ブロックコポリマーと、
前記ブロックコポリマーのポリ(アクリル酸)ポリマーブロックの少なくとも一部分を共有結合によって結合するピラジン含有接続基とを含み、
前記ピラジン含有接続基が、前記ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーにカルボキサミド結合によって結合する、シェルが架橋したミセル。
【請求項68】
前記ピラジン含有接続基と、前記ポリ(アクリル酸)ポリマーブロックのモノマーとのモル比が、1:100〜75:100の範囲にわたって選択される、請求項67に記載のシェルが架橋したミセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2011−503067(P2011−503067A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533106(P2010−533106)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/012575
【国際公開番号】WO2009/061473
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【出願人】(597025806)ワシントン・ユニバーシティ (26)
【氏名又は名称原語表記】Washington University School of Medicine
【Fターム(参考)】