説明

生物工場管理支援装置

【課題】 生物工場の生産物の利便性を向上させる生物工場管理支援装置を提供する。
【解決手段】 本発明の生物工場管理支援装置では、統御手段は、生産工場通信手段によって、生物工場から生物工場関連情報を取得して生物工場関連情報記憶手段及び仮想社会関連情報記憶手段に記憶し、かつ、生物工場に対して生物工場関連情報を提供し、また、統御手段は、利用者通信手段によって、利用者に生物工場関連情報記憶手段に記憶された生物工場関連情報及び仮想社会関連情報記憶手段に記憶された仮想社会関連情報を提供し、かつ、利用者から情報を取得し、利用者情報授受手段は、利用者の種類に応じた複数のサービス利用者候補テーブルを含み、統御手段指示に従い、複数のサービス利用者候補テーブルの中から利用者に対応したサービス利用者テーブルを選択し、統御手段は、前記選択されたサービス利用者テーブルを介して前記利用者と情報の授受を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物工場管理支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、農業分野の生産効率及び食の安全性の観点から、植物工場による野菜等の植物が生産されている(例えば、特許文献1参照)。特に、レタス等のように周年計画生産できるような品種は、植物工場での生産に適している。また、植物工場による野菜の生産では、光、温度、水及び肥料等の育成環境を完全に制御可能であるため、路地栽培に比べ、野菜の品質及び安全性を高めることが可能である。
【0003】
一方、石油及び石炭等の化石燃料に代わる次世代のエネルギーとしてバイオエタノールがある。バイオエタノールとしては、トウモロコシを発酵させて製造するバイオエタノールが主流である。しかし、トウモロコシは食糧であり、これをエタノールに変換してエネルギー源として使用することには反対意見もある。そこで、このような事情に鑑み、藻類を大量培養し、これを発酵源にすることが提案され、一部で実施されている。藻類の大量培養は、専用のプラント(工場)で実施されている。
【0004】
このように、食糧生産及びエネルギー生産の両面から生物を生産する生物工場が注目されている。生物工場では、生物を育成する育成技術と生産技術とに大別できる。育成技術の開発は、生物学、農学及びバイオテクノロジー的なアプローチで実施されている。また、生産技術は、作業の効率化等の観点からロボット工学等のアプローチにより実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−118957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、生物工場の研究開発は、生物生産の効率化を目的としているものがほとんどであり、生物工場で生産される野菜等の消費者の利便性の向上を目的としたものは無かった。
【0007】
そこで、本発明は、生物工場で生産される生産物を利用する利用者の利便性を向上可能な生物工場管理支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の生物工場管理支援装置は、
生物工場と情報通信可能な生物工場通信手段と、
利用者と情報通信可能な利用者通信手段と、
仮想空間において、複数の生物工場から形成される生物工場仮想社会を統御する統御手段と、
前記生物工場関連情報記憶手段と、
前記仮想社会関連情報記憶手段と、
前記利用者に応じて情報の授受を行う利用者情報授受手段と、
を含み、
前記統御手段は、前記生産工場通信手段によって、前記生物工場から前記生物工場関連情報を取得して前記生物工場関連情報記憶手段及び前記仮想社会関連情報記憶手段に記憶し、かつ、前記生物工場に対して前記生物工場関連情報を提供し、
前記統御手段は、前記利用者通信手段によって、前記利用者に前記生物工場関連情報記憶手段に記憶された前記生物工関連情報及び前記仮想社会関連情報記憶手段に記憶された前記仮想社会関連情報を提供し、かつ、前記利用者から情報を取得し、
前記利用者情報授受手段は、利用者の種類に応じた複数のサービス利用者候補テーブルを含み、前記統御手段指示に従い、前記複数のサービス利用者候補テーブルの中から利用者に対応したサービス利用者テーブルを選択し、
前記統御手段は、前記選択されたサービス利用者テーブルを介して前記利用者と情報の授受を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生物工場管理支援装置によれば、生物工場の生産物の利用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、生物工場情報管理支援装置(生物工場の遠隔サービスクラウド)と、生物工場及び利用者とを含むシステムの一例を示す説明図である。
【図2】図2は、図1における生物工場の遠隔サービスクラウドの概略を示す説明図である。
【図3】図3は、サービス利用者テーブル(サービス利用者候補テーブル)の概略を示す説明図である。
【図4】図4は、生物工場部品表による処理の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、生物工場部品表による処理の別の例を示す説明図である。
【図6】図6は、生物工場情報管理支援装置(生物工場の遠隔サービスクラウド)による生物工場管理の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、生物工場情報管理支援装置(生物工場の遠隔サービスクラウド)による生物工場管理の別の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、生物工場情報管理支援装置(生物工場の遠隔サービスクラウド)による生物工場管理のさらに別の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、生物工場情報管理支援装置(生物工場の遠隔サービスクラウド)による生物工場管理のさらに別の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、生物工場(藻類工場)の一例の概略を示すブロック図である。
【図11】図11は、図10の生物工場に用いる部品表の例を示す説明図である。
【図12】図12は、図10の生物工場に用いる部品表の別の例を示す説明図である。(A)は、部品表の階層の一例を示す図であり、(B)は、実際の部品表の書式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、「利用者」は、特に制限されず、例えば、野菜等の一般消費者、料理店関係者、外食チェーン会社関係者、食品加工工場関係者、エネルギー関連関係者等があげられ、さらに、生物工場関係者も含まれる。すなわち、本発明の生物工場管理支援装置によれば、自らが関わる生物工場の管理を、例えば、インターネットを介し、自宅、会社、生物工場等において実施可能である。
【0012】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記選択されたサービス利用者テーブルは、利用者の要求情報に応じ、前記統御手段により、前記生物工場関連情報記憶手段の前記生物工場関連情報及び前記仮想社会関連情報記憶手段の前記仮想社会関連情報を基に回答を作成し、前記利用者情報通信手段を介して前記回答を前記利用者に提供することが好ましい。
【0013】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記選択されたサービス利用者テーブルは、利用者の要求に応じ、前記統御手段により、前記利用者の要求情報を、前記生物工場通信手段を介して、前記生物工場に提供することが好ましい。
【0014】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記生物工場関連情報記憶手段に、生物工場生産情報及び生物工場管理情報が記憶され、
前記仮想社会関連情報記憶手段に、社会環境情報及び社会履歴情報が記憶され、
前記生物工場生産情報が、部品表の形態で記憶されていることが好ましい。
【0015】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記部品表が、階層構造であることが好ましい。
【0016】
本発明の生物工場管理支援装置の前記生物工場において、プラント連動制御、生物育成環境制御、生物監視制御及びヒト作業制御が実施され、前記各制御情報が、前記部品表で管理されることが好ましい。
【0017】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記生物工場通信手段及び前記利用者通信手段が回線を介して情報を通信することが好ましい。前記回線は、例えば、電話回線、インターネット、イントラネット、LAN等があげられる。
【0018】
本発明の生物工場管理支援装置において、前記生物工場は、例えば、藻類工場であってもよいが、その他に、野菜等の植物工場、魚介類の養殖工場、家畜の生産工場等があげられる。
【0019】
次に、本発明のコンピュタープログラムは、本発明の生物工場管理支援装置をコンピュター上で機能させることが可能なコンピュタープログラムである。
【0020】
また、本発明の記録媒体は、本発明のコンピュタープログラムを格納したコンピュター読み取り可能な記録媒体である。
【0021】
次に、本発明の実施形態について説明する。但し、下記の実施形態は、本発明の例示であり、よって、本発明は、下記の実施形態により制限及び限定されない。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の生物工場情報管理支援装置と、生物工場及び利用者とを含むシステムの一例を示す説明図である。図示のとおり、このシステムにおいては、生物工場の遠隔サービスクラウド2を介して、利用者(利用者端末)31ないし35と、生物工場11ないし12とが、相互に情報の交換及び連動をすることが可能である。生物工場の遠隔サービスクラウド2は、本発明の「生物工場情報管理支援装置」に該当する。これにより、様々な利用者が、リアルタイムに、生物工場における計画および現在の状況を共有及び参照可能である。利用者端末は、特に限定されないが、例えば、デスクトップパソコン(図1中の31)、ラップトップパソコン(例えばネットブック、図1中の32)、スマートフォン(図1中の33)、携帯電話(図1中の34)、テレビ(図1中の35)等が挙げられる。利用者としては、例えば、特に限定されないが、例えば、生産者、消費者、支援者(例えば支援サービス業者)、自治体、運送業者、小売業者、卸業者、研究者、他地域在住者等が挙げられる。生物工場11は、プラント連動制御手段111、育成環境制御手段112、生物監視制御手段113、ヒト制御(ヒト作業制御)手段114及び生物工場全体制御手段115を含む管理システムを有する。生物工場全体制御手段115は、生物工場の遠隔サービスクラウド2からの指示、情報等を受け取ることにより、プラント連動制御手段111、育成環境制御手段112、生物監視制御手段113、及びヒト作業制御手段114を制御可能である。ただし、生物工場11の構成は例示であって、本発明における生物工場および生物工場管理システムの構成は、これに限定されない。また、図1においては、生物工場の遠隔サービスクラウド2は、さらに別の生物工場12と連動可能であり、生物工場11(拠点A)及び12(拠点B)を、それぞれ独立に制御することが可能である。なお、本発明はこれに限定されず、生物工場の遠隔サービスクラウドは、1つのみの生物工場と連動しても良いし、3つ以上の任意の数の生物工場と連動しても良い。このように、本発明の生物工場の遠隔サービスクラウドは、生物工場と、前記生物工場で生産される生物に関するサービスの提供者又は収受者とをスムースにつなぐ役割をする。
【0023】
図2は、図1における生物工場の遠隔サービスクラウドの概略を示す説明図である。図示のとおり、この生物工場の遠隔サービスクラウド2は、社会マネージメントエージェント21、生物工場部品表記憶手段221、社会環境情報記憶手段222、社会履歴情報記憶手段223、生産管理情報記憶手段224、サービス利用者候補テーブル記憶手段231、及びサービス利用者テーブル提示手段232を含む。社会マネージメントエージェント21は、本発明の前記「統御手段」に該当する。生物工場部品表記憶手段221及び生産管理情報記憶手段224は、本発明の前記「生物工場関連情報記憶手段」に該当する。社会環境情報記憶手段222及び社会履歴情報記憶手段223は、本発明の前記「仮想社会関連情報記憶手段」に該当する。サービス利用者候補テーブル記憶手段231及びサービス利用者テーブル提示手段232は、本発明の前記「利用者情報授受手段」に該当する。前記「生物工場通信手段」及び前記「利用者情報授受手段」は、図示していない。図示の遠隔サービスクラウド2は、その内部において、生物工場に関する社会を制御可能である。全体を制御するのは、主に、社会マネージメントエージェント21である。すなわち、まず、社会マネージメントエージェント21は、生物工場部品表記憶手段221、社会環境情報記憶手段222、社会履歴情報記憶手段223、及び生産管理情報記憶手段224と、それぞれ個別に連動可能である。具体的には、社会マネージメントエージェント21は、利用者通信手段(図示せず)を介して利用者31からのアクセスに応じ、生物工場部品表記憶手段221、社会環境情報記憶手段222、社会履歴情報記憶手段223、又は生産管理情報記憶手段224との間で周辺情報の参照、加工、伝達、又は、前記各手段への情報の保存等を実行可能である。生物工場部品表記憶手段221は、生物工場通信手段(図示せず)を介し、生物工場11内の生物工場全体制御手段(図1中の115)と連動して、生物工場内の生産物(生物)を部品表で管理するとともに、前記部品表をリアルタイムに更新可能である。
【0024】
サービス利用者候補テーブル記憶手段231は、待機しているエージェントであり、サービスを受けられる利用者の管理、アクセス者のテーブルのコピー等をする。具体的には、サービス利用者候補テーブル記憶手段231は、例えば、社会マネージメントエージェント21と連動して、アクセスしてきた利用者(例えば、消費者、生産者、支援者等)に応じた適切なサービス利用者テーブル(利用者毎のエージェント)を選択し、サービス利用者テーブル提示手段232を介して提示する。すなわち、サービス利用者候補テーブル231により、利用者と、生物工場に関する社会とを同時共有することが可能である。
【0025】
サービス利用者テーブル提示手段232は、サービス利用者候補テーブル記憶手段231とともに待機しているエージェント(インターフェースエージェント)であり、様々なエージェントからの受付を待っている。すなわち、サービス利用者テーブル提示手段232は、この遠隔サービスクラウド2内のシステムにアクセスして活動トリガーになるエージェントであると言える。サービス利用者テーブル提示手段232は、社会マネージメントエージェント21と連動して、利用者31に、適切な情報を提示し、社会マネージメントエージェント21を介して、生物工場11の情報の参照、制御等を可能にする。具体的には、サービス利用者テーブル提示手段232は、利用者31からアクセスがあると、社会マネージメントエージェント21に、アクセスがあったことを通知する。社会マネージメントエージェント21は、サービス利用者候補テーブル231の中から、アクセスした利用者31の種類に応じた適切なサービス利用者テーブル(エージェント)を決定し、サービス利用者テーブル提示手段232に呼び出す。サービス利用者テーブル提示手段232は、呼び出されたサービス利用者テーブル(エージェント)を用い、社会マネージメントエージェント21を介して、生物工場部品表記憶手段221、社会環境情報記憶手段222、社会履歴情報記憶手段223、及び生産管理情報記憶手段224中の各種データベースの中から、必要なデータを選択して参照する。サービス利用者テーブル提示手段232は、前記データを用い、利用者31の要求に対応した適切な回答を生成し、利用者31に返答する。なお、サービス利用者候補テーブル231の中で、「関係利用者」テーブルから別のエージェントの呼び出しが必要であれば、呼び出す。例えば、生産者が利用者であって、生産者の関係利用者テーブルに「生産者支援サービス業者」が登録されていた場合は、生産者エージェントが、生産者支援サービス業者エージェントを呼び出し、生産者がエージェント処理により支援を受けることができる。
【0026】
図2の遠隔サービスクラウド2によれば、例えば、下記(1)〜(4)のような効果が得られる。ただし、これは例示であって、本発明を限定しない。
(1)サービス者別の個別機能が不要
(2)利用者に関係する者と情報共有が可能
(3)生物工場のメンテが柔軟になる
(4)利用者のITレベルに合わせた内容のサービスを提供可能
【0027】
図3に、サービス利用者テーブル(サービス利用者候補テーブル)の概略を示す。図示のとおり、サービス利用者候補テーブル231は、自身が記憶(保存)しているサービス利用者のシート(アクセスしてきた利用者に適合した適切なシート)をコピーし、サービス利用者テーブル提示手段(図2中の232)に提示する。本発明では、通常のシステムのように、システム設計時に画面構成を完全に決めてしまわず、できるだけ多様な利用者に対応できるように、リアルタイムに画面を決める仕組みにすることが好ましい。各サービス利用者テーブルが有するエージェント機能は、特に制限されないが、例えば、以下のとおりである。
[1:利用者の社会レベルの判定]
エージェントの処理結果を利用者に通知する場合に、利用者のITスキル等に合わせて、例えば、図面を簡単にするか(ITが苦手な人向け)、又は高度な画面にするかの判定に用いる。
[2:関係利用者エージェントの呼び出し]
利用者の要求に合わせて、他のエージェント(関係利用者エージェント)を動かす必要がある場合に、前記他のエージェントを動かす。例えば、生産者が、障害発生での利用の場合には、生産支援サービス業者エージェントも呼び出す等が挙げられる。
[3:機能マップの作成]
システム全体としての機能一覧の中から、利用者が利用できる機能を記述しておく。スーパユーザは、システム全体の機能を利用できる。
【0028】
なお、図3中の「本エージェントのI/F処理部」「本エージェントの内部処理部」「本エージェントの知識部」は、それぞれ、下記を意味する。

本エージェントのI/F処理部:各エージェントが他のエージェントと対話する処理部
本エージェントの内部処理部:内部処理を実行する処理部
本エージェントの知識部:処理結果を蓄積する部分
【0029】
つぎに、図2における生物工場部品表について説明する。図4に、生物工場部品表による処理の一例を示す。図示のとおり、この例において、生物工場部品表記憶手段221には、モノ品番、稼動状態及び関連リンクの情報が記録された部品表が記憶されている。モノ品番における「モノ」とは、生物工場における生産物すなわち生物のことである。この部品表により、生物工場内のモノを管理する。この部品表は、例えば、リアルタイムで更新可能である。なお、本発明において、部品表への記録事項は、図4における例示に限定されず、任意である。生物工場部品表記憶手段221は、生物工場11内の生物工場管理システムとリアルタイムに連動(マッピングPG)可能である。図4の生物工場管理システムは、図1と同様、プラント連動制御手段111、育成環境制御手段112、生物監視制御手段113、ヒト作業制御手段114、及びそれら全てを制御する生物工場全体制御手段115を含む。また、生物工場部品表記憶手段221は、社会マネージメントエージェント(図2中の21)と連動し、情報の加工(例えば、自身が記憶しているデータの書き換え)等が可能である。
【0030】
図5に、生物工場部品表による処理の別の例を示す。同図は、工場部品表記憶手段(図示せず)から呼び出して用いる部品表の種類が異なる以外は、図4と同じである。同図において用いる表は、図示のとおり、プラント連動制御の表、育成環境制御の表、生物監視制御の表、及び、ヒト作業制御の表の4つである。管理のキーは全て品番とする。このように、工場の全てを部品表で管理することで、例えば、設備、生産物、及び人の全体管理が、部品表のみでできる。これにより、例えば、下記(1)〜(3)のような効果が得られる。ただし、これは例示であって、本発明を限定しない。
(1)育成環境と生産物(生物)との関連性が分かり、かつ、生産物(生物)を育成環境情報と紐付けできる。
(2)生産段階からのトレーサビリティ情報を生成できる。
(3)部品表の構成変換により、プラント連動制御の表、育成環境制御の表、生物監視制御の表、及び、ヒト作業制御の4つの関連性が直ぐに分かるので、様々な利用者に柔軟に対応できる。
【0031】
図6に、生物工場の遠隔サービスクラウドによる生物工場管理の一例を示す。具体的には、同図は、生産者である利用者が生物工場を監視する場合であって、生物工場に異常(異状)なしと判断する場合を表す。図6において、生物工場11及びその中の生物工場管理システムは、図1、4及び5と同様である。利用者(利用者端末)31は、図1又は2と同様である。生物工場の遠隔サービスクラウドも、図示していない部分を含めて、図1及び2と同様である。図6に示す通り、プラント連動制御手段111では、例えば、汚泥、糞尿などのCO含有ガスの取込などを制御する。育成環境制御手段112では、例えば、温度、CO濃度などのICT環境を制御する。生物監視制御手段113では、例えば、生物の育成状況を制御する。ヒト作業制御手段114では、例えば、現場作業員状況を制御する。ただし、これらの制御項目は単なる例示であり、実際の制御項目は任意である。同図では、プラント連動制御手段111、育成環境制御手段112、生物監視制御手段113、及びヒト作業制御手段114の4つにおける全ての制御項目を、部品表(生物工場部品表)で管理する。図示のとおり、生産者(利用者)31は、サービス利用者テーブル提示手段232及び社会マネージメントエージェント21を介して生物工場部品表記憶手段221にアクセスし、部品表を参照する。生物工場部品表記憶手段221は、社会マネージメントエージェント21及びサービス利用者テーブル提示手段232を介して利用者31に4つの制御手段111〜114における状況を返答する。同図では、生物工場に異常がない場合であるから、生産者31が前記返答を受領後、特段の処理をせずに監視を終了する。
【0032】
図7に、生物工場の遠隔サービスクラウドによる生物工場管理の別の一例を示す。同図の例は、生物工場に異常がある以外は、図6の例と同じである。図示のとおり、この例による処理は、例えば、下記(1)〜(5)の順序で行う。
(1)生産者(利用者)31は、工場の状況を参照するために、クラウドにアクセスする。
(2)サービス利用者テーブル提示手段232は、社会マネージメントエージェント21を介して生物工場部品表記憶手段221に記憶されている部品表を参照する。
(3)生物工場部品表記憶手段221は、社会マネージメントエージェント21に、4つの制御手段111〜114における状況を返答する。この状況には、異常が含まれている。なお、同図の例では、部品表の項目にメーカが記載されているため、異常のモノに対する対応は何処に依頼すべきかが分かる。さらに、後述する部品階層により、関連するモノも分かる。
(4)社会マネージメントエージェント21は、サービス利用者候補テーブル記憶手段231にアクセスし、生産者支援サービス業者のテーブルを検出し、対応予告を発信する。何を対応すべきかは部品表から検出されている。
(5)社会マネージメントエージェント21は、生産者31に、異常に対する対応をアドバイスする。
【0033】
図8に、生物工場の遠隔サービスクラウドによる生物工場管理のさらに別の一例を示す。同図の例は、利用者31が販売店又は消費者であることと、生物が需要計画通りに生産されているか監視する例であること以外は、図6又は7と同様である。図示のとおり、この例による処理は、例えば、下記(1)〜(5)の順序で行う。
(1)販売店又は消費者(利用者)31は、工場における生物の生産状況を参照するために、クラウドにアクセスする。
(2)サービス利用者テーブル提示手段232は、社会マネージメントエージェント21を介して生物工場部品表記憶手段221に記憶されている部品表を参照する。
(3)生物工場部品表記憶手段221は、社会マネージメントエージェント21に、生物監視制御手段113における生物監視制御情報を返答する。同図の例では、工場の生産物(すなわち生物)の部品表に記載されている生物監視制御情報により、現時点の生産状況が分かり、管理することができる。
さらに、社会マネージメントエージェント21は、生産管理情報記憶手段224に記憶されている生産計画を参照する。これにより、出荷見込みの生産状況が分かる。すなわち、前記生産計画及び前記生物監視制御情報の2つにより、高精度の出荷情報が得られる。
(4)部品表と生物生産管理情報から、出荷計画との食い違いが検出された場合は、社会マネージメントエージェント21は、サービス利用者候補テーブル記憶手段231にアクセスし、生産者に対応予告を発信する。
(5)社会マネージメントエージェント21は、販売店又は消費者31に、出荷予定を知らせる。
【0034】
図9に、生物工場の遠隔サービスクラウドによる生物工場管理のさらに別の一例を示す。同図の例は、利用者31が畜産系・都市型未利用バイオマス業者であることと、生物工場における原料(バイオマス)が計画通りに利用されているか監視する例であること以外は、図8と同様である。図示のとおり、この例による処理は、例えば、下記(1)〜(5)の順序で行う。
(1)畜産系・都市型未利用バイオマス業者(利用者)31は、工場において利用される原料(バイオマス)の利用状況を参照するために、クラウドにアクセスする。
(2)サービス利用者テーブル提示手段232は、社会マネージメントエージェント21を介して生物工場部品表記憶手段221に記憶されている部品表を参照する。
(3)生物工場部品表記憶手段221は、社会マネージメントエージェント21に、プラント連動制御手段111及び育成環境制御手段112における情報を返答する。同図の例では、工場の原料(バイオマス)の部品表に記載されているプラント連動制御と育成環境制御の稼動状況により、原料利用状況が分かり、管理することができる。
さらに、社会マネージメントエージェント21は、生産管理情報記憶手段224に記憶されている生産計画を参照する。これにより、原料利用見込みの状況が分かる。すなわち、前記生産計画及びプラント連動制御と育成環境制御の稼動状況の2つにより、高精度の原料(バイオマス)利用情報が得られる。
(4)部品表と生物生産管理情報から、原料利用計画との食い違いが検出された場合は、社会マネージメントエージェント21は、サービス利用者候補テーブル記憶手段231にアクセスし、生産者に対応予告を発信する。
(5)社会マネージメントエージェント21は、畜産系・都市型未利用バイオマス業者31に、出荷予定を知らせる。
【0035】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0036】
本発明において、生物工場は、特に限定されず、例えば、海藻工場、植物工場、魚介類の養殖工場、動物の育成工場等が挙げられる。本実施形態では、主に、生物工場が海藻(藻類)工場である場合について説明する。
【0037】
図10のブロック図に、本実施形態の海藻(藻類)工場の概略を示す。図示のとおり、この海藻(藻類)工場13は、培養水製造装置131、藻類培養装置132及び藻類回収装置133を含む。培養水製造装置(CO溶解装置)131は、COを溶解した培養水を製造し、藻類培養装置132に送り込むことができる。藻類培養装置132は、培養した海藻(藻類)を、藻類回収装置133に送り込んで回収させることができる。
【0038】
図10の海藻(藻類)工場13においては、例えば、実施形態1と同様に、プラント連動制御、育成環境制御、生物監視制御、及びヒト作業制御の4つを部品表に記載し、海藻工場13の全体を部品表で管理することができる。図11に、図10の生物工場(海藻工場)13に用いる部品表の例を示す。図11に示すとおり、部品表は、複数あり、少なくとも、培養水製造工程(CO溶解装置)の部品表、藻類回収工程(脱水装置)の部品表、及び藻類培養工程(高速培養槽)の部品表を含む。藻類培養工程(高速培養槽)の部品表は、さらに、育成環境制御の表及び生物監視制御の表を含む。培養水製造工程(CO溶解装置)の部品表、及び藻類回収工程(脱水装置)の部品表は、プラント連動制御の表に相当する。藻類培養工程(高速培養槽)の部品表としては、前記のとおり、育成環境制御の表及び生物監視制御の表を組み合わせて用いることが好ましいが、いずれか一方のみでも良い。なお、生物監視制御については、例えば、生産する「生物そのもの」を、部品表で管理しても良い。また、図11は例示であり、図10の海藻工場13の部品表は、これに限定されない。例えば、ヒト作業制御の部品表は、図11に示していないが、プラント連動制御、育成環境制御、生物監視制御、及びヒト作業制御のいずれも、部品表に記載するか否かは任意である。
【0039】
図12に、図11の生物工場に用いる部品表の別の例を示す。図示のとおり、この部品表は、階層構造である。具体的には、図12(A)に示すとおり、最上位の階層に、高速培養槽(a)について記載され、その直下の階層に、培養槽ライン(A)及び(B)について記載されている。培養槽ライン(A)の直下の階層には、培養槽(1)及び(2)について、培養槽ライン(B)の直下の階層には、培養槽(3)及び(4)について、それぞれ記載されている。培養槽(1)〜(4)の直下の階層には、それぞれの培養槽において培養する藻類(あ)〜(え)について記載されている。実際の書式としては、図12(B)に示すように、図12(A)に記載の全ての事項が、品番とともに、一つの部品表に記載されている。このように、部品表を階層構造とすることで、例えば、生物工場の管理がしやすくなる。
【0040】
生物工場の生産物である生物(例えば、藻類など)を部品表で管理することによれば、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、まず、生物(藻類など)だけを部品表で管理するのではなく、生産装置である培養槽などと一緒に管理することで、生物がどのような装置でどのように生産されたのか、という情報を得ることができる。また、例えば、生物工場の装置が修理されたなどの場合に、装置の管理バージョンをアップするか、又は品番を変えることで、いつから別の装置で生物が生産されたかが履歴として分かる。さらに、部品表の項目として、装置の設定値や育成環境の情報をもたせると、細かな育成環境も履歴として分かる。これらの情報管理によって、出荷段階のみならず、生産(育成)段階からのトレーサビリティも可能になるため、トレーサビリティの改善にもなる。また、例えば、ある装置が故障した場合に、その装置配下で生産されている生物生産にどれだけ影響するかも部品表からすぐに分かる。さらに、製造業の背系部品表→生産部品表変換のように、同じ拠点で同じ生物(藻類など)がどれだけ生産できるかも瞬時に分かる。ただし、これらの効果は例示であり、本発明を何ら限定しない。また、本発明において、部品表の使用は、任意である。
【0041】
なお、本実施形態では、海藻工場の例を示したが、本実施形態の説明と同様の部品表(例えば、図11及び12に示したような階層構造の部品表)は、海藻工場に限定されず、どのような生物工場にも適用できる。
【符号の説明】
【0042】
2 生物工場の遠隔サービスクラウド
11、12 生物工場
13 海藻(藻類)工場
21 社会マネージメントエージェント
31、32、33、34、35 利用者端末
111 プラント連動制御手段
112 育成環境制御手段
113 生物監視制御手段
114 ヒト作業制御手段
115 生物工場全体制御手段
131 培養水製造装置
132 藻類培養装置
133 藻類回収装置
221 生物工場部品表記憶手段
222 社会環境情報記憶手段
223 社会履歴情報記憶手段
224 生産管理情報記憶手段
231 サービス利用者候補テーブル記憶手段
232 サービス利用者テーブル提示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物工場と情報通信可能な生物工場通信手段と、
利用者と情報通信可能な利用者通信手段と、
仮想空間において、複数の生物工場から形成される生物工場仮想社会を統御する統御手段と、
前記生物工場関連情報記憶手段と、
前記仮想社会関連情報記憶手段と、
前記利用者に応じて情報の授受を行う利用者情報授受手段と、
を含み、
前記統御手段は、前記生産工場通信手段によって、前記生物工場から前記生物工場関連情報を取得して前記生物工場関連情報記憶手段及び前記仮想社会関連情報記憶手段に記憶し、かつ、前記生物工場に対して前記生物工場関連情報を提供し、
前記統御手段は、前記利用者通信手段によって、前記利用者に前記生物工場関連情報記憶手段に記憶された前記生物工関連情報及び前記仮想社会関連情報記憶手段に記憶された前記仮想社会関連情報を提供し、かつ、前記利用者から情報を取得し、
前記利用者情報授受手段は、利用者の種類に応じた複数のサービス利用者候補テーブルを含み、前記統御手段指示に従い、前記複数のサービス利用者候補テーブルの中から利用者に対応したサービス利用者テーブルを選択し、
前記統御手段は、前記選択されたサービス利用者テーブルを介して前記利用者と情報の授受を行う
ことを特徴とする生物工場情報管理支援装置。
【請求項2】
前記選択されたサービス利用者テーブルは、利用者の要求情報に応じ、前記統御手段により、前記生物工場関連情報記憶手段の前記生物工場関連情報及び前記仮想社会関連情報記憶手段の前記仮想社会関連情報を基に回答を作成し、前記利用者情報通信手段を介して前記回答を前記利用者に提供することを特徴とする請求項1記載の生物工場情報管理支援装置。
【請求項3】
前記選択されたサービス利用者テーブルは、利用者の要求に応じ、前記統御手段により、前記利用者の要求情報を、前記生物工場通信手段を介して、前記生物工場に提供することを特徴とする請求項1または2記載の生物工場情報管理支援装置。
【請求項4】
前記生物工場関連情報記憶手段に、生物工場生産情報及び生物工場管理情報が記憶され、
前記仮想社会関連情報記憶手段に、社会環境情報及び社会履歴情報が記憶され、
前記生物工場生産情報が、部品表の形態で記憶されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生物工場管理支援装置。
【請求項5】
前記部品表が、階層構造であることを特徴とする請求項4記載の生物工場管理支援装置。
【請求項6】
前記生物工場において、プラント連動制御、生物育成環境制御、生物監視制御及びヒト作業制御が実施され、前記各制御情報が、前記部品表で管理されることを特徴とする請求項4または5記載の生物工場管理支援装置。
【請求項7】
前記生物工場通信手段及び前記利用者通信手段が回線を介して情報を通信することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の生物工場管理支援装置。
【請求項8】
前記生物工場が、藻類工場であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の生物工場管理支援装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の生物工場管理支援装置をコンピュター上で機能させることが可能なコンピュタープログラム。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュタープログラムを格納したコンピュター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−216086(P2012−216086A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81052(P2011−81052)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)