説明

生物汚れ検出器およびその使用方法

固体支持部材と、固体支持部材に固定化された特異的な指標と、固体支持部材をその上に保有する保持部材とを含む生物汚れ検出器が提供され、該保持部材および固体支持部材は、固体支持部材と表面との接触を容易にするように構成される。上記検出器の使用方法も提供されており、該方法は、上記の生物汚れ検出器を表面と接触させ、該接触により、バイオ汚れの存在下で特異的な指標の修飾が開始されることと、生物汚れ検出器を表面から回収することと、検出可能な応答について検出器の固体支持部材を検査し、それにより、固体支持体に固定化された特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することとを含む。更にもう1つの態様では、本発明は、生物汚れ検出器および該検出器の使用方法を提供し、該検出器は、少なくとも1つのアミンまたは4官能性コーティングで処理された固体支持部材と、該コーティングに固定化された特異的な指標とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物汚れ検出器および生物汚れ検出器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な表面の生物汚れを検出する汎用能力が所望されている。商業または家庭のいずれかの環境における食料の調理では、食料の調理表面などにおける生物汚れの検出は、その表面上で調理される食料品の交差汚染を防止するために価値がある。汚染物質の例としては、細菌、細菌を含有する食品(例えば、生肉およびその汁)、または特定の生体液を挙げることができる。交差汚染を防止するために、台所および浴室の表面(例えば、カウンター、まな板、トイレ)、部屋の表面(例えば、床、壁)などの生物汚れと接触していることが疑われる特定の表面上の汚れのレベルを決定するのが望ましいことがある。清浄度の評価は、使用中に生体液にさらされる医療装置の表面にとって重要である。医療装置の例としては、内視鏡、カテーテル、および他の装置の表面が挙げられる。
【0003】
特定の表面の清浄度を試験するためのキットが市販されているが、利用可能なキットでは、通常、分析のためにサンプルを外部の研究所に送付する必要がある。分析のためにサンプルを外部の研究所に送付することに関連する時間は、依頼者が回答を受け取るために必要とされる時間に含まれるはずである。更に、病原体の分析では通常培養法が用いられ、従って微生物研究設備および訓練された微生物学者の専門知識が必要とされる。
【0004】
ヘルスケアの分野では、内視鏡などの医療装置は、装置が生物汚れにさらされる医療処置において有用性を見出す。内視鏡は、例えば、患者の体内での医療処置において使用され、この際、内視鏡は自然の開口部または外科的な開口部を通して体内に挿入される。内視鏡は、体内の領域を検分して器官、関節、または体腔の検査を容易にするため、そして検分される領域に光を伝送するための光ファイバーを運ぶことができる多数のチャネルを含む。電気外科プローブまたは鉗子などの手術機器は内視鏡のチャネルを通り抜けることができ、チャネルは、流体または気体を供給したり、吸引力を提供したり、あるいはサンプリングカテーテルを中に通したりするために使用することもできる。
【0005】
事実上、人間の体のどの部分でも内視鏡でアクセスすることができ、典型的な手術部位には、耳、咽喉、尿路、肺、腸および腹腔が含まれる。結腸鏡検査処置において使用される内視鏡は、ポリープ、潰瘍および炎症の存在についての結腸および大腸の内部の直接検査を可能にする。ポリープまたは腫瘍などの異物は、内視鏡によって外科的に除去することができる。
【0006】
明らかであるように、内視鏡は、外科的処置における使用中に様々な体の汚れにさらされる。このような汚れには、血液、糞便、様々な組織からの細胞物質などが含まれ、これらの汚れはいずれも、ウィルスまたは細菌の源を提供し得る。体内で使用されるため、各内視鏡は、使用後にその都度徹底的に洗浄および消毒され、次の医療処置または外科的処置で医療装置を使用する前に汚れ含有表面の全てが消毒されることが保証されなければならない。再使用可能な内視鏡において用いられる1つの推奨される洗浄方法では、汚れた内視鏡は、初めに手作業の洗浄工程で洗浄され、できるだけ多くの汚れが機器の汚れた表面の全てから除去される。その後、手作業で洗浄された内視鏡において高レベルの消毒工程が実施され、再使用できる状態にされる。通常、手作業の洗浄工程は、機器をクリーニングブラシまたは同様の機器でこすり洗いすることによって実施される。手作業の洗浄工程は、ブラシが機器の表面からもう汚れを拾い上げないと思われるまで実施される。有効な手作業の洗浄方法が行なわれないと、細菌汚染は十分に低いレベルまで低減されず、従って、次の高レベルの消毒方法が有効でないかもしれない可能性が増大し得る。現在、手作業の洗浄工程の効力の迅速な決定を提供する標準試験方法は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々な表面の洗浄または消毒方法の効力を評価できることが望ましい。長期の培養時間を回避し、特定の生物汚れの存在の迅速な同定を容易にする方法を提供することが望ましい。また、上記の方法の実施において使用することができる物品または装置を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、
固体支持部材と、
固体支持部材に固定化された特異的な指標と、
その上に固体支持体部材を保有する保持部材と、
を含む生物汚れ検出器を提供し、該保持部材および固体支持部材は、固体支持部材と表面との接触を容易にするように構成される。
【0009】
もう1つの態様では、本発明は表面に関連する生物汚れを検出するための方法を提供し、該方法は、
上記の生物汚れ検出器を表面と接触させ、該接触により、バイオ汚れの存在下で特異的な指標の修飾が開始されることと、
生物汚れ検出器を表面から回収することと、
検出可能な応答について検出器の固体支持部材を検査し、それにより、固体支持体に固定化された特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む。
【0010】
更にもう1つの態様では、本発明は、
少なくとも1つのアミンまたは4官能性コーティングで処理された固体支持部材と、
該コーティングに固定化された特異的な指標と、
を含む38生物汚れ検出器を提供する。
【0011】
更にもう1つの態様では、本発明は、表面に関連する生物汚れを検出するための方法を提供し、該方法は、
上記の生物汚れ検出器を表面と接触させ、該接触により、バイオ汚れの存在下で特異的な指標の修飾が開始されることと、
生物汚れ検出器を表面から回収することと、
検出可能な応答について検出器の固体支持部材を検査し、それにより、固体支持体に固定化された特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む。
【0012】
本明細書での使用において、本発明の様々な実施形態の説明で使用される用語は、他に記載されない限りはその普通の習慣的な意味を有すると理解されるであろう。便宜上、以下のように特定の用語に対しては特定の定義が提供される。
【0013】
「生物汚れ(biological soil)」または「バイオ汚れ(bio soil)」は、例として、体液(例えば、唾液、血液、消化液)、糞便、細胞物質および組織、微生物、細菌、ウィルス、病原体、およびその他の生物学的または生化学的物質(酵素および部分的または完全に消化された食料を含む)を指す。生物汚れの源は様々であり得るが、血液、人体、動物体、植物、ならびに例えば汚染されるかまたは少なくとも部分的に消化および/または分解された食肉、鶏肉、酪農製品などの様々な食品が含まれる。
【0014】
本明細書における使用では、「患者の汚れ(patient soil)」は、人体から装置を取り出した後に医療装置に残存する生物汚れを指す。
【0015】
「特異的な指標(specific indicator)」は、酵素またはタンパク質、例えば生物汚れ中に見出される酵素などと相互に作用し、それにより、目に見える色の変化などの検出可能な応答、あるいは特異的な指標の蛍光または発光特性の検出可能な変化を提供し得る1つまたは複数の化合物を指す。
【0016】
「固定化」は、基質が水にさらされたときに基質からの化合物の除去を阻止することができるような形で、固体基質上に化合物を保持することを指す。
【0017】
好ましい実施形態の更なる詳細は、発明を実施するための最良の形態および特許請求の範囲を含む本開示の残りの部分において提供される。
【0018】
好ましい実施形態の説明では、様々な図が参照される。図中、参照番号は描かれる実施形態の特徴を識別するために使用され、同様の参照番号は同様の構造を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、生物汚れの検出器および検出方法を提供する。本発明の検出器は、固体支持部材に固定化された1つまたは複数の特異的な指標を使用し、特異的な指標は、生物汚れと接触したときに検出可能な応答を提供する。本発明は、通常、生物汚れの存在を示すマーカーまたは分析物(例えば、検出可能な生化学物質)の検出に関する。検出可能なマーカーとしては生物汚れ中に見出される成分があり、生物汚れ成分中に見出されるかあるいはそれに由来する様々なタンパク質または酵素のいずれかを含む。本発明の検出器および方法は、医療装置で実施される洗浄工程の有効性を決定するための使用に適する。例えば、食料の調理または加工に使用される表面を含むその他の表面上のバイオ汚れの検出など、本発明の装置の更なる用途も考えられる。
【0020】
1つの態様では、本発明は、医療装置の表面などの表面のバイオ汚れと、固体支持部材に固定化された特異的な指標とを関連させるための手段を提供する。特異的な指標は、表面からのバイオ汚れが特異的な指標と反応して検出可能で比較的迅速な応答を生じるように、バイオ汚れの成分に対するその感度で選択され得る。検出可能な応答は、固体支持部材の表面における色の変化の形で、あるいは特異的な指標の蛍光特性の変化によって提供され得る。様々な実施形態において、本発明の装置は上記の固体支持部材を含み、該固体支持部材は、試験表面と直接接触させるために使用されてもよいし、あるいは、例えば、固体支持部材と、試験表面をすすぐために使用した液体とを接触させることによってバイオ汚れの存在を試験するために間接的に使用されてもよい。通常、後者の実施形態は、液体の捕獲により、固体支持部材および固定化された特異的な指標が、表面からすすぎ落とされたバイオ汚れにさらされるように、固体支持部材に固定化された特異的な指標が保有される容器内での液体の捕獲を提供するであろう。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、医療装置上の生物汚れの存在を決定するための手段を提供する。本発明のこのような用途の1つは、例えば、内視鏡の手作業の洗浄工程に続く生物汚れの検出である。内視鏡は、自然の開口部または皮膚の小さい切開部を通して装置を挿入することによって、体内の領域の直接的な検分を可能にする。内視鏡には、一連のレンズを用いる硬い構造のものもあれば、柔軟性であり、光ファイバーを用いて体内の関心のある領域を照らし、外科医が見る接眼レンズに画像を伝送して戻すものもある。外科手術機器は、手術領域内の構造物の電気外科または操作、把持または粉砕などの外科的処置を実施するために、内視鏡のチャネルを通って体内に入れることができる。また、内視鏡チャネルは、流体または気体を手術部位に供給したり、吸引力を提供したり、あるいはカテーテルまたはレーザー光パイプの位置決めを容易にすることができる。柔軟性の内視鏡の場合、操作ハンドルにより、外科医は、内視鏡の先端を手術部位の所望の位置に操作することができる。
【0022】
医療処置における内視鏡の使用に続いて、手作業の洗浄方法を用いて、内視鏡の外側表面、ならびに暴露される各チャネルの内側表面または内腔から、目に見えるバイオ汚れが除去される。手作業の洗浄工程の後、機器は適切な高レベルの消毒剤を用いて消毒され得る。本発明は、内視鏡または他の医療装置上の残留生物汚れの存在を検出して、洗浄工程が成功したかどうか、あるいは洗浄工程を繰り返されなければならないような検出可能な汚れが装置上にまだ存在するかどうかを決定するための手段を提供する。汚れが検出されなければ、内視鏡または他の医療装置は、高レベルの消毒の準備ができていると考えられる。
【0023】
本発明の実施形態は、通常、内視鏡上のバイオ汚れの検出におけるその使用に関連して説明されるが、本発明が内視鏡検査の用途に限定されてはならないことは認識されるであろう。本発明は、ヘルスケア産業における患者の準備、検査および/または治療のため使用される他の医療装置および表面を試験するために使用することもできる。更に、本発明は、不適切な洗浄などが原因で表面が汚れるかもしれないという懸念が存在し得る食料および飲料産業などのヘルスケア産業以外の様々な産業のいずれかにおいて使用することができる。更には、本発明は、浴室表面や台所表面などを含む家庭および事務所の表面の試験において有用である。その様々な態様において、本発明は、検出可能な量のバイオ汚れの存在についてどんな表面でも迅速に試験するのに適する。
【0024】
少なくとも1つの態様では、本発明は、特異的な指標を生物汚れ成分と接触させて検出可能な応答を生じるための手段を有する特異的な指標を含む検出器を提供する。本明細書において更に説明されるように、検出器は様々な実施形態のいずれかで提供することができ、特異的な指標は生物汚れを適切に検出するように選択され、特異的な指標を生物汚れ成分と接触させるための手段も、様々な形態のいずれかで提供することができる。本発明の実施形態およびその様々な構成要素は、以下で更に説明および議論される。
【0025】
本発明の様々な実施形態において、固体支持部材は、固体支持部材に固定化された特異的な指標と一緒に提供される。様々な図面を参照すると、図1aは、第1の表面12および第2の表面14を有する固体支持部材10の実施形態を示す。描かれた実施形態では、支持体10は、開放領域すなわち細孔22と、細孔22の間に延在する固体部分24とを含む多孔性材料である、任意的な裏打ち16が支持体10の第2の表面14に付着される。例えば、支持体が内視鏡などの医療装置のチャネル内に押入される際に、著しい伸長または引張に耐えることができるように、任意的なスクリム18が支持体10内を通って延在し、支持体10の更なる強度を提供する。スクリム18は、織材料、不織材料または編材料を含む様々な補強材料のいずれかを含むことができる。
【0026】
特異的な指標化学は、支持体の少なくとも1つの領域において、固体支持部材10に固定化される。図1aに示される実施形態では、特異的な指標化学は、第1の表面12と一部分が関連する層20と見なされる。特異的な指標層20は、主に、第1の表面12と関連するが、指標は、支持体10の本体内を通って延在してもよい(支持体10の陰影部分により示される)。指標は、固体支持部材の表面の層に沿って固体支持部材と関連してもよい(例えば、層20)し、あるいは指標は、固体支持部材の表面と一部が関連してもよいし、あるいは指標は、主にまたは完全に固体支持部材10の本体内に配設されてもよいと考えられる。本明細書における使用では、固体支持部材に対する特異的な指標の配置に関する場合の「固定化される」は、固体支持部材に対する特異的な指標の全ての可能な配置を包含し、固体支持部材の表面、または表面上における特異的な指標の配置に限定されることは意図しないと理解され得る。更に、固体支持部材の複数の領域が、特異的な指標と関連してもよく、同じ固体支持部材における多数の(例えば、2つ以上の化学的に異なる)特異的な指標の使用は、本発明の範囲内で考えられる。
【0027】
図1bを参照すると、もう1つの固体支持部材110は、不織材料もしくは単一の方向またはランダムに配列され得る繊維のアセンブリ122を含む布の形で示されている。不織固体支持部材110は、(1)繊維122の機械的な連結による方法、(2)熱可塑性または結合繊維の溶融による方法、あるいは(3)繊維と、ゴム、デンプン、のり、カゼイン、ラテックス、またはセルロース誘導体、もしくは合成樹脂などの適切なバインダーとの接着結合による方法を含む当業者には既知の方法で互いに結合させることができる。
【0028】
図1aの実施形態と同様に、図1bの固体支持部材110は、第1の表面112および第2の表面114を含む。任意的な裏打ち116は、支持体110の第2の表面114に付着される。任意的なスクリム118は、支持体110内を通って延在し、例えば、支持体110が内視鏡などの医療装置のチャネルに押入れられるときなどの使用中に予期される伸長または引張に、支持体110が耐えることができるように補強を提供する。特異的な指標化学は、支持体の少なくとも1つの領域において固体支持部材110に固定化される。図1bに示される実施形態では、特異的な指標化学は、第1の表面112と一部が関連するが、支持体110の本体内を通って延在する層120とみなされる(支持体110の陰影部分により示される)。その他の態様では、図1aおよび1bの実施形態は、実質的に同一である。
【0029】
図1cを参照すると、第1の表面212および第2の表面214を有するもう1つの固体支持部材210が示される。任意的な裏打ち216は、支持体210の第2の表面214に付着され、任意的なスクリム218は支持体210内を通って延在して、支持体210を補強する。特異的な指標化学は、支持体の少なくとも1つの領域において固体支持部材210に固定化される。図1cに示される実施形態では、特異的な指標化学は、第1の表面212と一部が関連するが、支持体210の本体内を通って延在する層220とみなされる(支持体210の陰影部分により示される)。固体支持部材210は、固体支持部材に固定化された特異的な指標層220を有することができる様々な材料のいずれかを含むことができる。このような材料は、本明細書中の他の箇所で説明される。残りの全ての態様において、図1a、1bおよび1cの実施形態は、実質的に同一である。
【0030】
図1a〜1cの上記の実施形態の固体支持部材は、例えば、食料と接触された表面(例えば、食料の調理表面、食料または食肉加工領域など)、浴室および台所の流し台、カウンター、まな板、トイレ表面、床、壁、ならびに生物汚れが存在し得る他の表面のような様々な表面上のバイオ汚れの検出のための使い捨てまたは処分できるワイプとして使用することができる。このようなワイプは、乾燥して使用されてもよいし(例えば、湿った表面上で)、あるいは、水または水溶液で湿潤されてもよい。いくつかの実施形態では、バイオ汚れについて表面が試験されると同時に表面の洗浄または消毒が実施されるように、洗浄または消毒溶液がワイプ内に取り込まれ得る。従って、本発明は、特異的な指標が患者の汚れの成分と相互に作用してワイプの表面における観察可能な色の変化またはワイプの表面の蛍光の変化を提供したときに、表面の更なる洗浄または消毒が実施されるように、表面の清浄度の評価において有用なワイプを提供する。
【0031】
言及したように、固体支持部材は、特異的な指標の固定化のための基質である。固体支持部材に適切な材料は、望ましい表面特性を有する単一の基材か、あるいは複合構造体のいずれかでよい。固体支持部材が単一の基材であれば、適切な材料は、90度未満、好ましくは50度未満、最も好ましくは10度未満の水との接触角を示すポリマー、無機、または有機および無機混合表面である。適切な材料としては、カルボキシル基およびその塩、アルデヒド、スルホン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、4級化アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド(例えば、2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニル)、オキシアルキレン、およびイミダゾールなどの官能基を含有するポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらの官能基を含有する、あるいは含有するように調製できるポリマーまたはコポリマーとしては、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸(その塩を含む)から合成されたポリマーおよびコポリマーなどのカルボキシル含有ポリマー、ポリアルコキシラート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(例えば、テキサス州ヒューストン(Houston,Texas)のEVALカンパニー・オブ・アメリカ(EVAL Company of America)(EVALCA)から商品名EVAL F101Aで入手可能)などのポリビニルアルコールおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ナイロン6,6などのポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース、レーヨン、ポリホスファート、ポリペプチド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
適切な無機材料としては、金属酸化物、水和物、および金属−水酸基(例えば、ケイ素水酸基(Si−OH)官能性表面)が挙げられる。有機および無機の両方の混合材料であり、支持体として適切な構造の材料としては、金属アルコキシド(例えば、テトラエトキシオルトシリケート、n−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン)および有機モノマーの共重合に基づくものなどの高分子複合体およびセラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
固体支持部材が複合構造体である実施形態では、第1の材料または基材は、どの高分子、無機、または有機および無機混合材料でもよく、そこに、望ましい表面特性を有する第2の材料またはコーティング材料が接着され得る。適切な基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンフッ化ビニリデン(THV)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース誘導体、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、および上記のものの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
基材は、当業者に知られている適切なコーティング材料の適用または表面処理によって変性されて、90度未満、通常は50度未満、一般的には10未満の水の接触角を有する表面が調製される。適切なコーティング材料は、カルボン酸およびその塩、アルデヒド、スルホン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、4級化アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド基(例えば、2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニル)、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン(2003年11月14日に出願された米国特許出願第10/713174号明細書の実施例11に記載されるものなど)、グリシジル、スクシンイミド基およびイミダゾールなどの1つまたは複数の官能基を含むモノマー、ポリマー、または反応性金属アルコキシドから調製することができる。コーティング材料は、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、スルホニウム、およびホスホニウムを含むがこれらに限定されない官能基を含有しないが、次に、化学反応(例えば、酸化、加水分解、分解)により変性されてこれらの基を表面に露出させることができるモノマー、ポリマー、または反応性金属アルコキシドから調製することもできる。コーティング材料は、パターンコーティング(例えば、コーティング材料は基材上の所々に滴下され得る)を含む既知のコーティング方法を用いて施すことができる。固体支持部材に適切なコーティング材料の調製のための表面処理方法としては、酸素プラズマ、コロナ処理、火炎処理、化学蒸着、グラフト重合、および物理蒸着が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中での使用では、「コーティング」という用語は、連続コーティング、不連続コーティング、不連続パターンで適用または構成されたコーティング、連続パターンで適用されるが幾何学的または非幾何学的な形状で構成されたコーティングなど、第2の材料が固体支持部材上の第1の材料に施された全ての構造を含むと理解されるであろう。
【0035】
固体支持部材は、フィルム、セルロース誘導体材料などの不織材料、およびレーヨン/ポリプロピレン不織材料(例えば、テネシー州ナッシュビル(Nashville,Tennessee)のBBAノンウーブンズ(BBA Nonwovens)から商品名ノボネット(Novonette)149−051で入手可能なもの)を含む材料、ならびにレーヨンおよびポリエステルを含む不織材料(例えば、70%レーヨン/30%ポリエステル)、織材料または編材料(例えば、綿、レーヨン、またはポリマー材料から調製される)、網状フォーム(例えば、ポリウレタン)、連続気泡フォーム(例えば、(メタ)アクリレート、ポリスチレンジビニルベンゼン)、多孔性セラミック無機フリット(例えば、シリカ、アルミナ)、繊維、粒子被覆支持体、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ(例えば、ブラシのような形態に配列される)、繊維バンドルおよび膜を含む材料を含むように製造することができる。医療装置(例えば、内視鏡)のチャネル内に挿入されるような本発明のいくつかの実施形態では、固体支持部材は、固体支持部材がチャネルの全長を通って押される、および/または引かれる場合に構造上の欠陥(例えば、チャネルを引裂く、あるいはチャネル内に残物を残す)を経験することなく、チャネルの内側表面との接触を保持しながら医療装置の内側チャネルに適合してその中に収まることができる適合性、柔軟性、高完全性の材料を含む。
【0036】
固体支持部材として使用するのに適切なポリマー膜には転相法から得られるものが含まれ、この場合、最初は均一なポリマー溶液がキャスティングされてクーラーインターフェース(例えば、水浴または冷却キャスティングホイール)にさらされ、そして温度を低下させることにより溶液フィルムにおいて相分離が誘導される(熱誘起相分離または「TIPS」)。適切なTIPSフィルムまたは膜は、広範囲の物理的膜特性および微視的な細孔サイズを有することができる。これらは、様々なポリマーから作製される比較的剛性または非剛性の基質であり得る。米国特許第4,539,256号明細書および米国特許第5,120,594号明細書の教示に従って製造されるTIPS膜は本発明における使用に適切であり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(例えば、テキサス州ヒューストンのEVALカンパニー・オブ・アメリカ(EVALCA)から商品名EVAL F101Aで入手可能)を含むことができる。膜は、親水性ポリマーでコーティングされたTIPS HDPEまたはポリプロピレン膜(例えば、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマーまたはEVAL)、あるいはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドまたは4級化ジメチルアミノエチルアクリレートを取り込んだポリマーなどの親水性の強塩基性正帯電コーティングで被覆されたTIPSポリプロピレン支持体のような材料の組み合わせを含むことができる。また膜は、フロリダ州ペンサコラ(Pensacola,Florida)のパール・コーポレーション(Pall Corporation)から商品名「SB−6407」で市販されている膜などの第4級アンモニウム基を有するポリエーテルスルホンコポリマーを含む強塩基性の正帯電膜も含むことができる。他の支持体は、正帯電ナイロン6,6材料などのナイロン材料を含む非剛性ポリマーおよび他の材料(例えば、フロリダ州ペンサコラのパール・コーポレーションから商品名バイオダイン(Biodyne)Bで入手可能なもの、およびミネソタ州ミネトンカ(Minnetonka,Minnesota)のGEオスモニクス・ラブソトア(GE Osmonics Labstore)から商品名マグナプローブ(Magnaprobe)で入手可能なもの)、パール・コーポレーションから商品名GHP−450で入手可能な0.45ミクロンの細孔サイズを有する親水性処理ポリプロピレン膜、ポリオレフィン(親水性処理を有する)、ポリエステル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネートなどから調製された不織材料を含むことができる。材料の組み合わせが固体支持部材として使用されてもよく、上記の説明は、上述の材料を単独および他の材料と組み合わせて含むと理解されるべきである。
【0037】
特異的な指標に関して、特異的な指標として使用するのに適する化合物は、バイオ汚れの成分と相互に作用して検出可能な応答を提供することができる様々な材料のいずれかから選択することができる。特異的な指標の選択において考慮すべきことは、洗浄溶液またはその成分、もしくは内視鏡などの医療装置のための手作業の洗浄工程の間に取り込まれた物質などの生物汚れに由来しない他の物質と反応しない指標を選択することである。特異的な指標として、個々の化合物および化合物の組み合わせを使用することができる。適切な特異的な指標としては、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−ホスファート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、米国特許第6,395,561B1号明細書、米国特許第6,306,5989B1号明細書、米国特許第6,277,652号明細書、米国特許第6,183,722号明細書、米国特許第6,080,423号明細書および国際公開第01/71317号パンフレットに記載されるようなポリジアセチレン、クーマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue)染料のタンパク質への結合に基づくブラッドフォード(Bradford)アッセイ(イリノイ州ロックフォード(Rockford, Illinois)のピアス・バイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology Inc.)から入手可能)、タンパク質によるリンモリブデン−タングステン混合酸クロモゲンの還元に基づくローリー(Lowry)アッセイ、アルカリ溶液中のCu+2とタンパク質との相互作用に基づくビウレット(Biuret)アッセイ、ならびにタンパク質の存在下でCu+2イオンのCu+1への還元を検出するためのビシンコニン酸(BCA)(イリノイ州ロックフォードのピアス・バイオテクノロジー社から入手可能)が挙げられる。固体支持部材に固定化された2つ以上の上記のものの組み合わせも、本発明の範囲内で考えられる。更に、塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)または他の電子受容体と組み合わせてインドリル官能性指標が使用される場合、生物汚れの存在下でより迅速な発色が生じるであろう。
【0038】
酵素活性は、一価または二価の金属イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムの添加によって高めることができる。マンガン塩は、早期の発色(例えば、バイオ汚れの不在下で)を回避するためにNBTを含む指標配合物中に取り込むことができる。
【0039】
検出器がワイプとして提供される実施形態では、特異的な指標は、通常、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、および2つ以上の上記のものの組み合わせを含む。塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)または他の電子受容体は、生物汚れの存在下におけるより迅速な発色のために上記の特異的な指標に添加され得る。
【0040】
酵素活性は、一価または二価の金属イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムの添加によって高めることができる。マンガン塩は、早期の発色(例えば、バイオ汚れの不在下で)を回避するためにNBTを含む指標配合物中に取り込むことができる。
【0041】
例えば、吸着、イオン交換、エントラップメント、マイクロカプセル化、架橋、共重合、エントラップメントおよび架橋、配合、ならびに共有結合など、特異的な指標を支持体に固定化する多数の異なる手段を用いることができる。指標の支持体への吸着は、指標と支持体との間のファンデルワールス、静電および/または疎水性の相互作用の結果として生じる。イオン交換は、指標の電荷と支持体の電荷の間の静電引力による指標の支持体への結合をもたらす。エントラップメントは、支持体の微視的または巨視的な空隙の内部に指標を機械的に捕獲することを意味する。マイクロカプセル化またはカプセル化は、通常は要因となる物理的または化学的事象(例えば、局部相対湿度の突然の変化)に対して曝露まで指標を外部環境から保護するために化学的に異なるコーティングのいずれかで指標化学を被覆することを含む。指標は、反応基が結合されている場合には、表面グラフトまたは支持体本体内への共重合のいずれかによって支持体の上または中に架橋されるか、あるいは支持体内にエントラップされ、次に架橋され得る。また指標は、押出加工によって、添加剤として高分子支持体内に配合され得る。指標の支持体への共有結合は、指標上の官能基と反応する1つまたは複数の配位子で官能基化された固体支持部材により達成することができる。典型的な配位子には、本明細書中の実施例において言及されるものが含まれる。固定化は、固相の指標と溶液相の反応物との間の反応の立体障害を回避する形で達成されることが望ましい。更に、固定化は、指標を不活性化してはならない。特に有用で便利な技法は、指標化学の微多孔膜中でのエントラップメント、および/また指標化学の支持体への吸着である。
【0042】
特異的な指標の選択は、生物汚れ中に存在するマーカーによって影響され得る。検出のための典型的なマーカーとしては、タンパク質、内毒素、酵素、およびアデノシン三リン酸(ATP)などのヌクレオチドが挙げられる。タンパク質は、ヒトの分泌物中および微生物細胞成分中のその遍在的な存在のために、生物汚れの存在の有用なマーカーである。内毒素の存在は、グラム陰性細菌のリポ多糖成分を表示するであろう。酵素活性の検出は、哺乳類、植物または微生物が起源であり得る酵素の存在を表すであろう。検出のために適切な酵素としては、ヒトの分泌物中によく見られるガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、ラクトシダーゼなど、ならびに微生物源または植物源に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。他のマーカーとしては、スルファターゼおよび脂肪酸エステラーゼがある。
【0043】
図7〜10を参照すると、本発明に従う検出器310が示されており、それぞれの図は、これから説明される異なる特徴を組み込んでいる。検出器310は、固体支持部材312を保持するための保持部材314と関連される固体支持部材312を含む。保持部材314は、第1の端部316と、第2の端部318と、第1の端部316と第2の端部318の間に延在する長尺本体部分320とを含む。図7の実施形態では、固体支持部材は、保持部材314の第1の端部316に付着される。更に、保持部材314の長さは所望される通りに変更することができ、通常、固体支持部材312に固定化された特異的な指標と試験すべき表面との接触を容易にするハンドルとしての機能を果たすような寸法にされる。この構造では、固体支持部材312は、手の届かないか、あるいはアクセスできない表面に到達するように位置決めまたは延出され得る。言い換えると、検出器310のユーザーは、固体支持部材より遠位の保持部材314の端部(例えば、第2の端部318)を把持し、保持部材314の長尺本体部分320の全長を用いて、固体支持部材およびそれに関連される特異的な指標により比較的遠いまたはアクセスできない表面に到達することができる。いくつかの実施形態では、保持部材は、内視鏡のチャネルなどの医療機器のチャネル内に収まるような寸法にされ、固体支持部材312および特異的な指標が、患者の汚れを含むバイオ汚れの存在についてチャネル壁をサンプリングできるようにする。
【0044】
図8を参照すると、検出器310は、保持部材314の第2の端部318に付着された固体支持部材312を含む。また、保持部材314の第1の端部316には、洗浄ブラシ322が提供および付着される。この構造では、洗浄ブラシ322は、洗浄手段を提供する。いくつかの実施形態では、ブラシ322は、内視鏡などの医療装置を洗浄するような大きさにして構成され、通常、ブラシ322は、医療装置のチャネル内を洗浄するような大きさにして構成される。洗浄操作に続いて、次に検出器310を用いて、装置上、特に装置のチャネル内に残存するバイオ汚れの存在を試験することができる。
【0045】
上記の実施形態では、保持部材は、通常、永久的または取外しできない形で固体支持部材に付着される。言い換えると、固体支持部材と保持部材との間の取付けは、通常、これらの部品を互いに分離できるようにすることを目的としない。取付けの方法に関して、固体支持部材および保持部材は当業者に知られている方法で互いに取り付けることができ、接着性取付け、溶融結合、機械的な取付け(例えば、ステープル、ボタン、スナップなど)が含まれるが、これらに限定されない。固体支持部材の保持部材への全ての取付け方法は当業者の技能の範囲内であり、本発明の開示の中に包含されると考えられる。
【0046】
図9は検出器310のさらにもう1つの形態を示しており、ブラシ322は、保持部材314の第1の端部316と関連される。固体支持部材312は保持部材314から分離して示されており、固体支持部材312が解放可能に保持部材314と関連されることを説明する。言い換えると、固体支持部材は検出器310の別の構成要素として提供され、保持部材312から分離されるが、長尺本体部分320の長さに沿った任意の場所、もしくは第1の端部316または第2の端部318のいずれかにおいて保持部材314に付着させることができる。更に、保持部材314およびブラシ322が、その後の用途で使用するために必要に応じて洗浄、消毒、そしておそらく滅菌されるように、固体支持部材は使用後に保持部材314から取り外すことができる。描かれた形態では、固体支持部材312は、固体支持部材の端部に翼状突起313aおよび313bを含む。翼状突起313aおよび313bは薄鋼または金属ワイヤを有する内部補強構造を含み、突起313aおよび313bのそれぞれにいくらかの補強を与え、固体支持部材312が保持部材314に付着されるための手段(例えば、保持部材314の外周のまわりに翼状突起を手でひねることによる)を提供することができる。あるいは、翼状突起313aおよび313bはそれぞれ、2つの突起が互いにそして保持部材314に固定されるのを可能にするような長さを有し得る。固体支持部材312および保持部材314が、任意の既知の手段(例えば、クリップ、接着剤または他の留め具の使用による)によって互いに解放可能に付着され得ることは認識されるであろう。
【0047】
図9に示される検出器の形態では、検出器310には、単一の保持部材314と、1つまたは複数の特異的な指標で前処理された多数の固体支持部材312とが設けられてもよい。このような配置では、多数の固体支持部材312は、同一の特異的な指標または異なる特異的な指標を含むことができる。
【0048】
図10〜13aは、本発明の検出器の固体支持部材の別の形態を示す。図11は、保持部材364に沿って位置決めされた固体支持部材360を描く。固体支持部材360は、保持部材364から垂直に突出する複数の剛毛状部材362で構成される。医療装置のチャネル内のバイオ汚れの検出などの用途では、チャネル内に位置決めされたときに固体支持部材360が実質的にチャネルの表面全体をサンプリングすることを保証するために、このような剛毛状部材362は、十分な数で提供される。
【0049】
図11は、本発明において有用な固体支持部材370のもう1つの形態を描く。支持部材は、内視鏡の内部チャネルのサンプリングにおいて双方向の使用を可能にするように構成される。言い換えると、固体支持部材370は、検出可能なバイオ汚れの有無を決定する際に、医療装置の内部チャネルを通って押すおよび/または引くことができる。更に、固体支持部材370は、バイオ汚れの存在下における色の変化の視覚的な同定を容易にする比較的大きい表面積を含む。
【0050】
図12は、本発明において有用な固体支持部材380のもう1つの形態を描く。図示されるように、固体支持部材380は、医療装置の内部チャネルを単一の方向に通って案内されるように構成されるフォーム材料から製造され得る。固体支持部材380は、例えば図11の実施形態における固体支持部材370よりも少ない材料を用いて製造することができる。しかしながら、固体支持部材380は、バイオ汚れと、固体支持部材に関連される特異的な指標との相互作用によって生じる色の変化の迅速で比較的容易な同定を容易にするのに十分な表面積を含む。
【0051】
図13aは、やや三角形の表面を含む旗形の固体支持部材390を有する検出器388のもう1つの形態を描く。固体支持部材390は保持部材392に付着され、保持部材に取り付けられた第1の縁部394と、第1の縁部394から遠い第2の縁部396とを含む。第2の縁部396は、側面の縁部395および397が、第1の縁部394と第2の縁部394の間に非平行で延在するように、第1の縁部394よりも短い。更に、側面の縁部395と保持部材392との間に形成される角度(αで表される)は、約45度で描かれる。いくつかの実施形態では、角度は図示されるものと異なっていてもよいが、一般には90度未満、より一般には45度未満であり、多くの場合、約20度と約45度との間である。この形態では、固体支持部材390は、医療装置内のチャネルのサンプリングにおいて有用である。固体支持部材390と保持部材392との間の角度αは、例えば、医療装置のチャネル内に挿入されたときに、保持部材392のまわりに固体支持部材390を均一に巻きつけることを容易にする。また、固体支持部材390は、固体支持部材390が保持部材392のまわりに巻きつけられた形態で提供され得ることも認識されるであろう。このような形態では、側面の縁部395と保持部材392との間の角度の大きさは、検出器388の全体的な性能においてあまり重要でなくなる。
【0052】
図13bは、内視鏡などの医療装置内のチャネル400の壁のサンプリングにおける検出器388の使用を説明する。固体支持部材390は、固体支持部材を保持部材392のまわりに「コルクスクリュー」またはらせん状のパターンでカールするまたは巻きつけることを容易にする長さを有する。固体支持部材390のらせん状の巻きつけは、検出器388が矢印で示される方向にチャネル400を通って移動される際に、固体支持部材390の表面と、チャネル表面全体に沿ったチャネル壁との接触を容易にする。いくつかの実施形態では、固体支持部材の長さは、約50mmである。
【0053】
ここで図14を参照すると、固体支持部材420は、本発明に従って、保持部材422に付着されて描かれている。固体支持部材420は、第1の材料で構成される第1の領域424と、第2の材料で構成される第2の領域426とを含む。適切な第1および第2の材料には、本明細書の他の箇所に記載されるものが含まれる。いくつかの実施形態では、第1の材料は、例えば、ナイロン不織シートを含むことができ、第2の材料は、第1の材料に付着された複数のTIPS膜セグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の材料は、TIPSセグメントに施された(例えば、噴霧された)ホットメルト接着剤を用いて互いに付着される。この構造では、特異的な指標は、第2の領域426内に固定化され得る。特異的な指標が比色である実施形態では、特異的な指標とバイオ汚れとの相互作用によって生じる第2の材料426の色の変化において第1の材料と第2の材料との間の色の対比を明白に高め得る背景色を提供するように第1の材料が選択されれば、バイオ汚れの検出を高めることができる。
【0054】
ここで図15を参照すると、固体支持体430は、本発明に従って、保持部材432に付着されて描かれている。図14に描かれる実施形態と同様に、固体支持部材430は、第1の材料で構成される第1の領域434と、第2の材料で構成される第2の領域436とを含む。この構造では、特異的な指標は、特異的な指標を第2の領域436内で固体支持部材に印刷するなどによって、第2の領域436内に固定化され得る。特異的な指標が比色である実施形態では、指標とバイオ汚れとの相互作用によって生じる第2の材料436の色の変化において第1の材料と第2の材料との間の色の対比を明白に高め得る背景色を提供するように第1の材料が選択されれば、バイオ汚れの検出を高めることができる。
【0055】
本発明の検出器の構造では、特異的な指標の溶液は、固体支持部材上にコーティングされ得る。次に、溶媒は蒸発され、それにより、固体支持部材に固定化された指標化合物が残される。いくつかの実施形態では、特異的な指標の細孔内における物理的なエントラップメントにより、あるいは例えば、ファンデルワールス力によって、もしくは固体支持部材で使用される材料との疎水性および/またはイオン相互作用によって、特異的な指標が固体支持部材の細孔内に保持されるように、固体支持部材は多孔性であり得る。いくつかの実施形態では、固体支持部材を親水性にするため、および/または特異的な指標化合物と共有結合できるようにするために、固体支持部材は、特異的な指標を施す前に処理されてもよい。特異的な指標の溶液は、固体支持部材の表面全体にわたって均一にコーティングされてもよいし、あるいは表面のいくらかの部分を被覆するパターンで表面にコーティングされてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、固体支持部材の表面は均一な白色で提供され、特異的な指標は、白色表面の少なくとも一部に固定化され得る。これらの実施形態では、白色背景は、特異的な指標とバイオ汚れとの間の反応により生じる色に対して鮮明な色の対比を提供し、比色反応の同定を更に容易にするであろう。いくつかの実施形態では、固体支持部材の表面は、最初は、低蛍光性の背景を含み、特異的な指標とバイオ汚れとの間の反応において蛍光の変化の検出を容易にすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、指標化合物が所定のまたは規則正しいパターンで支持体の表面に施される場合には、指標化合物と生物汚れとの間の反応の検出を高めることができる。更に、図22a〜22cに示されるパターンなどの固体支持部材の表面の背景パターンは、比色反応の存在を高めるまたは強調するように提供され得る。図面のそれぞれにおいて、左から右に進むと経過が説明され、比色反応により容易にされる最初のパターンから最終パターンへの変化が示される。図22aを参照すると、一連の小さい接近してグループ化された濃く着色した背景の円460が、着色していないかまたは薄く着色した前景の円462で構成される第2のパターンと共に提供される。上記の円462は、背景の円460よりも薄い色の目に見える円を含むか、あるいは前景の円462は、固体支持部材の表面に固定化された特異的な指標の無色パターンを表し得る。生物汚れの検出の際、比色反応は、前景の円462が目に見えて濃くなるようにし、その結果、関連される固体支持部材の表面は、比色反応が進行し、完了するにつれて異なる外観を呈する。図22aに示されるパターンでは、一連の対角線上に延在する破線は、固体支持部材の表面の矩形領域を占める一連の連続線になると思われる。
【0058】
同様に、図22bは、前景の円またはドット466および背景の円またはドット468のパターンを説明しており、これらは、比色反応含が進行し、完了するにつれて幾何学的なパターンに進行する。図22cは、背景の円472のシリーズまたはパターンを説明しており、これらは、初めは薄く着色したパターンとして、あるいは固体支持部材に施された無色で検出不能な表面処理として与えることができる。ラインセグメント474で示される印刷または固定されたマークは、背景の円472の上に提供される。比色反応が進行するにつれて、背景の円は、背景の円474の外観が視覚的に支配的な特徴になり、セグメント474の存在を隠すまで目に見えて濃くなる。上記のようなパターンは、特異的な指標を固体支持部材に与え、表面のバイオ汚れの存在を示す比色反応の視覚認識を容易にするための可能な形態として、本発明の範囲内で考えられる。
【0059】
本発明の実施形態では、図22a〜22cに関連して説明したようなパターンは、固体支持部材に刻印または付着される。パターンは、表面のサンプリングに続いて比色応答を視覚的に検査すべき固体支持部材上の領域を表す。通常、このような反応の簡単で迅速な視覚的な同定を容易にするようにパターンの領域は十分大きいが、本発明は、パターンまたは別の形で特異的な指標により処理された固体支持部材における特定の寸法またはサイズの領域に限定されない。
【0060】
言及したように、本発明の検出器は、医療装置の表面などの表面、あるいは例えば食料調理表面などのバイオ汚れにさらされたかもしれないその他の表面のバイオ汚れの検出において有用である。表面のバイオ汚れの存在を検出するために、図7〜14に関連して上記で説明した検出器は、
固体支持部材および特異的な指標を表面と接触させることと、
固体支持部材を表面から回収することと、
検出可能な応答について検出器の固体支持部材を検査し、それにより、固体支持部材に固定化された特異的な指標が生物汚れ成分と相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む方法において使用することができる。
【0061】
上記の方法では、保持部材(例えば、図7の保持部材314)の軸に沿ってユーザーが検出器を把持し、固体支持部材および特異的な指標が表面と接触するように、固体支持部材を検査中の表面の位置に延出させることによって、検出器を取り扱うことができる。通常、試験中の表面および/または固体支持部材は、少なくともわずかに湿っているであろう(例えば、水による)。周囲温度における表面との接触は、通常、バイオ汚れ(存在すれば)と特異的な指標との間の相互作用を開始させるのに十分である。検出器が表面から回収されるときに、固体支持部材は、色の変化などの外観の変化について検査され得る。いくつかの実施形態では、固体支持部材は、固体支持部材の蛍光の変化を検出するように検査される。色、外観または蛍光の変化は、バイオ汚れの存在を示す。通常、外観または蛍光の変化は、比較的短い時間で固体支持部材において検出可能であろう。一般に、検出可能な変化は、15分以下、より一般的には10分未満、更により一般には5分未満、そして多くの場合は1分未満のうちに観察されるであろう。実施例において示されるように、検出可能な変化は、30秒以内、またはそれより短い時間で固体支持部材において明白であることが多い。更に、固体支持部材は、生物汚れと接触する前に特異的な指標を保持すると共に、特異的な指標とバイオ汚れとの間の相互作用から生じる反応生成物も保持する。
【0062】
本発明の検出器は、任意の表面のバイオ汚れの検出のために使用することができる。このような表面の典型例は、食料調理領域や食料加工領域などの食料と接触する表面である。浴室および台所表面(例えば、流し台、カウンター、まな板、およびトイレ表面)、床および壁などの潜在的にバイオ汚れを含むどの表面も、本発明の検出器でサンプリングすることができる。上記の実施形態の態様では、表面がバイオ汚れについて試験されるのと同時に表面の洗浄または消毒が実施されるように、洗浄または消毒溶液が固体支持部材内に取り込まれてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、検出器は、医療装置の内部チャネル内のバイオ汚れの検出に有用である。例えば再利用できる内視鏡の再処理では、本発明の検出器は、内視鏡の再処理のために通常用いられる洗浄工程後の残留バイオ汚れの存在の決定において有用である。特に、医療または外科処置で使用された汚れた内視鏡は、通常、最初の手作業の洗浄工程によって洗浄され、内部チャネルの表面を含む機器の表面から目に見えるくずやバイオ汚れが除去される。これは通常、ブラシと、内視鏡の表面に施される酵素洗浄化合物を含む洗浄溶液または溶媒とにより達成される。内視鏡の表面は、通常、ブラシでこすり洗いされ、目に見える検出可能なバイオ汚れの全てが医療装置の表面から除去される。その後、内視鏡は、高レベルの消毒剤を用いる消毒工程を受ける。高レベルの消毒剤による装置の消毒の後、再度使用できるように、内視鏡は十分にすすがれ、乾燥される。
【0064】
上記の手作業の洗浄工程の有効性を評価するために、図7〜14を参照して上記で説明された本発明の検出器を使用して、内視鏡に高レベルの消毒を施す前に、内視鏡の表面のいずれかに検出可能なバイオ汚れが残っているかどうかを決定することができる。このような方法において、本発明の検出器は、固体支持部材と表面との第1の接触によって使用される。いくつかの実施形態では、検出器の保持部材は、内視鏡または他の医療装置のチャネル内に収まって固体支持部材をチャネルの壁と接触して配置するような寸法にされる。チャネル内で使用される場合、固体支持部材に関連される特異的な指標とチャネル壁との接触を容易にするような形で固体支持体がチャネル内に収まるように、固体支持部材は通常、非常に柔軟性の材料から選択される。保持部材は、通常、チャネルの全長に沿って固体支持部材がチャネルの壁にさらされ得ることを保証するために十分な長さを有する。医療装置におけるチャネル壁のサンプリングは通常、単一の方向にチャネルを通して検出器をスライドさせることによって達成されるであろう。
【0065】
本発明のもう1つの態様では、検出器は、試験中の表面を水または別の液体ですすぎ、その後、すすぎ流体と固体支持部材に固定化された特異的な指標との接触を容易にするような形ですすぎ流体を捕獲することによって固体支持部材上のバイオ汚れの検出を容易にする形態で提供される。
【0066】
ここで図2を参照すると、検出器のもう1つの実施形態が本発明に従って描かれており、これから説明される。内視鏡500が示されており、その内部チャネルのうちの1つがバイオ汚れの存在について試験されている。内視鏡500の一端部502において、適切なサンプリングまたはすすぎ流体508(例えば、水、リン酸緩衝食塩水)がチャネルの全長のサンプリングを容易にするような形で内視鏡500のチャネル内に挿入され、流体508は、内視鏡500のチャネルからその第2の端部504で出て行く。サンプリング流体508は、チャネルを通って流体を押入する適切な量の力により内視鏡500のチャネル内に分配される。いくつかの実施形態では、シリンジ506などの流体分配装置を用いて、所定の量のサンプリング流体508を内視鏡500のチャネル内に分配する。サンプリング流体508は、内視鏡500の第2の端部504から出て、固体支持部材510の領域512内に固定化された特異的な指標を有する固体支持部材510と接触する。
【0067】
本発明が内視鏡のサンプリングに限定されないことは認識されるであろう。サンプリング流体は様々な表面のどれにでも施すことができ、続いて固体支持部材に固定化された特異的な指標と接触させることができる。サンプリング流体の液体は、流体がサンプリング中のチャネルまたは他の表面から出て行く際にサンプリング流体の通路内に固体支持部材を配置するなどの方法で固体支持部材と接触されてもよい。いくつかの実施形態では、固体支持部材は単に、サンプリング流体の流れの中に配置される。
【0068】
いくつかの実施形態では、固体支持部材512は、流体が内視鏡500のチャネルなどの試験中の表面と接触された後、サンプリング流体508を捕獲することもできる容器内に位置決めされる。図3〜6は、本発明において使用するのに適切な容器520を説明する。図3〜6の実施形態において使用される容器が、蛍光の励起および発光波長ならびに視覚的な検出のための光の可視光波長に対して通常透過性であることは認識されるであろう。
【0069】
図3には、容器520が示されており、蓋522は、サンプリング流体をガラス瓶528内に入れるためのオリフィス526を画定する開放上側表面524を有する。いくつかの実施形態では、上側表面524は、医療装置の端部(例えば、内視鏡500の端部504)上にぴったり収まるような寸法にされた柔軟性材料(例えば、シリコーンゴム)を含み、サンプリング流体がチャネルからガラス瓶528内に直接移されるようにし、それによって、跳ね返りなどによるサンプリング流体の損失が回避される。蓋522の上側表面524のオリフィス526を通って容器520内に流入するサンプリング流体の流れにさらすために特異的な指標で処理された領域532が位置決めされるように、固体支持部材530はガラス瓶528内に位置決めされる。固体支持部材530は、ガラス瓶528の内壁と、固体支持部材530を構成する材料の縁部との間に摩擦で適合して、ガラス瓶528内に位置決めされてもよい。あるいは、固体支持部材530は、例えば適切な接着剤を用いて、ガラス瓶528内に付着されてもよい。特異的な指標は、バイオ汚れの存在に対して比色応答を提供してもよいし、ガラス瓶528の壁を通して検出可能な蛍光応答を提供してもよい。
【0070】
図4を参照すると、容器の構造は、図3で記載したものと同一である。しかしながら、固体支持部材540はガラス瓶528の内部壁に付着され、特異的な指標は、固体支持部材540内のストリップ542に固定化される。通常、固体支持部材540は、本明細書中に記載されるような材料を含み、固体支持部材540は、ガラス瓶528の内部壁に付着される。あるいは、固体支持部材は、シリカ、カチオンポリマー(例えば、ナイロン)、アミン含有ポリマー、アミン含有オルガノシロキサンなどの、ガラス瓶528の内部壁に堆積した吸着性材料を含むこともできる。固体支持部材540はガラス瓶528の壁と緊密に接触して、バイオ汚れと相互に作用する特異的な指標の比色または蛍光応答を部分的に分かりにくくするするかもしれないサンプリング流体による比色または蛍光の吸収を最小限にする。
【0071】
図5では、固体支持部材550は、固定化された特異的な指標を含む領域552を有する材料のストリップを含む。固体支持部材550は、一対の接着剤ストリップ554および556によりガラス瓶528の壁の対向する側面に束縛される。固体支持部材550は、領域552の特異的な指標もガラス瓶内の中央の位置にあるようにガラス瓶528内のほぼ中央に位置決めされ、固体支持部材550の両側においてサンプリング流体との接触を容易にする。
【0072】
図6は、固体支持部材がガラス瓶528の内部壁の領域560である本発明の実施形態を描いている。比色反応が壁において発生するパターンとして目に見えて明白になるように特異的な指標をガラス瓶528の壁に化学的に固定化することによって、特異的な指標は固体支持部材560に固定化される。あるいは、特異的な指標とサンプリング流体中のバイオ汚れとの間で反応が生じると流体が着色されるか蛍光を発するように、特異的な指標はサンプリング流体中に溶解してもよい。通常、ガラス瓶528は、視覚または蛍光検出のいずれかによる検出限界を高めるような路長を提供しなければならない。
【0073】
図16〜18を参照すると、本発明のもう1つの実施形態が示されており、これから説明される。ここで、真空に引きながら、表面から容器内に引き込まれたサンプリング流体を捕獲するために、容器600のもう1つの形態が描かれている。図16は、サンプリング流体が中に入る前の容器600を描く。スポンジ602は容器内に位置決めされ、固体支持部材604はスポンジの表面と関連される。特異的な指標は、本明細書中に記載される材料で構成される固体支持部材604の領域606内に固定化される。注入口610はサンプリング流体源(例えば、内視鏡)とつながり、排出口612は容器を真空ポンプに接続させる。図16から始まり図19で終わるように描かれる経過において、容器600(最初は空である)は、排出口612に接続された真空に引かれながら、注入口610からサンプリング流体を受け入れる。スポンジ602は、サンプリング流体が容器600内に引き込まれるときにサンプリング流体を吸収する。使用されるサンプリング流体の体積に依存して、スポンジ602はサンプリング流体で充満されて膨潤し、それにより、容器600は流体で充満したスポンジ602により充満される(図18を参照)。スポンジ602内のサンプリング流体が固体支持部材604およびそこに固定化された特異的な指標と接触するように、固体支持部材604および特異的な指標はスポンジ602と緊密に接触する。既に説明したように、比色または蛍光反応は、固体支持部材において検出され、サンプリング流体中のバイオ汚れの存在を示す。
【0074】
もう1つの実施形態において、図19〜21は、既に説明したように注入口610および排出口612のポートを有する容器を説明する。しかしながら、スポンジ626は、スポンジ602よりも実質的に小さい。固定化された特異的な指標の領域606を有する固体支持部材604は、スポンジ626の上部において容器内に配置される。図19〜21に描かれる経過において、サンプリング流体と接触するとスポンジ626は、充満したスポンジ626が開口部610および612を塞ぐまで膨潤する(図21を参照)。他の全ての態様では、図19〜21の実施形態は、図16〜18で説明したものと同じである。
【0075】
いくつかの実施形態では、固体支持部材は、上記の実施形態で議論した容器などの保持部材の上または中に位置決めされ得る。保持部材は、通常、固体支持部材および特異的な指標を支持し、保持部材は、液体と固体支持部材との接触を容易にするように位置決めされる。保持部材は、液体が試験中の表面と接触した後に特異的な指標と液体との接触を容易にするように固体支持部材を保有および保持するどんな構造または構成でもよいことが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、保持部材は、液体を収集および保持することができる容器(例えば、図3〜6および16〜21に記載されるような容器)であり、固体支持体および特異的な指標は、液体と特異的な指標との接触を容易にするように容器内に位置決めされ、液体は容器内に収集される。いくつかの実施形態では、保持部材は液体を導くことができる構造を含み、固体支持体および特異的な指標は、液体が保持部材を通って導かれるときに液体と固体支持部材との接触を容易にするように保持部材内に位置決めされる。液体を導くことができる典型的な構造には、例えば、液体が保持部材内に入る流体注入口と、液体が保持部材から出る流体排出口とを有する管状部材が含まれ、固体支持体および特異的な指標は、通常、流体注入口と流体排出口との間の保持部材内に位置決めされる。
【0076】
言及したように、上記の構成要素を用いるサンプリング流体の使用は、
表面を液体と接触させることと、
液体が表面と接触された後に、液体を、請求項1に記載の検出器の固体支持部材および特異的な指標と接触させることと、
検出可能な応答について固体支持部材を検査して、特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む、表面に関連したバイオ汚れの検出方法を提供する。
【0077】
本発明のこの態様では、液体を使用してサンプリング中の表面と接触させ、表面に保持されたバイオ汚れを解放および除去し、その後、除去された汚れを容器内に洗い流し、バイオ汚れは容器内で特異的な指標と相互に作用することができる。液体は、バイオ汚れが閉じ込められたかもしれない接合部または接続領域内の空間を含むサンプリング中の表面の全ての部分を探査することができる。液体は、サンプリング中の表面と接触した後、本明細書中で説明されるように、固体支持体に固定化された特異的な指標と接触される。いくつかの実施形態では、生物汚れ検出器は受動的なモードで液体を用いることができ、液体は表面に送られて、その後、補助なしに特異的な指標と接触される。いくつかの実施形態では、生物汚れ検出器には真空が提供されて、固体支持材料の表面への液体の送達が補助される。医療装置のチャネル内の潜在的に汚染された全ての表面からバイオ汚れを解放するための液体の使用は、本明細書中で説明されるように、保持部材に付着された固体支持部材で直接探査されるには小さすぎるチャネル(例えば、内視鏡の空気および水のチャネル)のサンプリングを容易にすることができる。更に、図16〜21を参照して上記で説明した真空で駆動される実施形態は、通常、病院の真空システムに適合性でなければならない。
【0078】
上記の装置および使用方法は、内視鏡などの医療装置におけるバイオ汚れの検出における使用に限定されないことも認識されるであろう。食料と接触された表面などの他の表面も、生物汚れの有無を決定するためにサンプリングすることができる。どんな表面も、記載される本発明の装置および方法を用いてバイオ汚れの存在のためにサンプリングすることができる。
【0079】
好ましい実施形態の更なる特徴は、以下の非限定的な実施例において更に説明される。
【実施例】
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
実施例1
12.5μLのBCIPと、50μLのNBTと、50μLのTRIS緩衝液と、37.5μLの水とを混ぜ合わせることによってBCIP/NBT3部ホスファターゼ基質系(キルケゴール&ペリー・ラボラトリーズ社(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc.)を用いて溶液を作った。マイクロピペットを用いてバイオダインBフィルムの粗面にスポッティングして、BCIP/NBT3部ホスファターゼ基質系から作った5μLの溶液を配置し、30分間空気乾燥させた。スポッティングしたフィルムに、3.6単位/mLの濃度の5μLのアルカリホスファターゼ(カルビオケム(Calbiochem))を再スポッティングした。
【0084】
26秒後に、アルカリホスファターゼの存在を示す青紫色のスポットが現れた。
【0085】
実施例2
50mLの0.1Mの脱イオン水中のTRISを、7mLの0.1NのHClおよび43mLの脱イオン水と混合することによって、pH=8.9の0.05MのTRIS緩衝液を調製した。25mgのBCIPを、3mLの1,2−プロパンジオール、2mLのグリセロール、および5mLの0.05MのTRIS緩衝液(pH=8.9)の混合物と混ぜ合わせることによって、第1の溶液を調製した。50mgのNBTを、3mLの1,2−プロパンジオール、2mLのグリセロール、および5mLの0.05MのTRIS緩衝液(pH=9)と混ぜ合わせることによって、第2の溶液を調製した。次に、100μLの第1の溶液を100μLの第2の溶液、100μLの0.1mg/mLの水中のMnCl2およびpH=9の1mLのTRIS緩衝液と混合した。得られた溶液をマイクロピペットを用いてスポッティングして、バイオダインBフィルムの粗面に5μLのスポットを配置し、フィルムを室温で30分間空気乾燥させた。次に、3.5単位/mLまたは1.7単位/mLの濃度のアルカリホスファターゼ(カルビオケム)の5μLのスポットを、既にスポッティングされたフィルム上に配置した。
【0086】
色の応答を得るための平均時間は、3.5単位/mLのアルカリホスファターゼでは45秒であり、1.7単位/mLのアルカリホスファターゼでは20秒であった。
【0087】
実施例3
3つの溶液、A、B、およびCを別々に調製した。溶液Aは、25mgのバイオシンス(Biosynth)からのBCIPを10mLの脱イオン水中に溶解することによって調製した。溶液Bは、50mgのNBTを10mLの脱イオン水中に溶解することによって調製した。溶液Cは、100mgのMgCl2および100mgのMnCl2を、実施例2に記載したように調製した10mLのTRIS緩衝液に添加することによって調製した。400μLの溶液Aを100μLの溶液Bおよび500μLの溶液Cと混ぜ合わせることによって実行1〜10のための溶液を調製した。800μLの溶液Aを100μLの溶液Bおよび100μLの溶液Cと混ぜ合わせることによって実行11〜20のための溶液を調製した。300μLの溶液Aを300μLの溶液Bおよび400μLの溶液Cと混ぜ合わせることによって実行21〜30のための溶液を調製した。マイクロピペットを用いて、得られた溶液それぞれ5マイクロリットルをバイオダインBフィルムにスポット状で配置し、室温で30分間空気乾燥させた。実行6〜10、16〜20、および26〜30において、乾燥したフィルムを流動水道水ですすぎ、もう一度、室温で30分間空気乾燥させた。実行1〜30の乾燥後、3.5、1.79、0.89、0.45、および0.1単位/mLの濃度の5μLのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)溶液をそれぞれ、乾燥したスポットの上に配置し、結果として生じる灰黒色を見るのに必要とされる時間を記録した。表1に示される結果は、3つのスポットの平均とした。
【0088】
【表4】

【0089】
流動水道水によるすすぎ、あるいはBCIPの濃度の変化にかかわらず、2分経たないうちに発色した。酵素の濃度は、実行20では検出限界に達した。
【0090】
実施例4
メーカーの使用説明書(キルケゴール&ペリー・ラボラトリーズ社)に従って、1×濃度の50μLのBCI−gal/2mLの鉄緩衝溶液を調製した。2×濃度の100μLのBCI−gal/2mLの鉄緩衝溶液を調製した。次に、4×濃度の100μLのBCI−gal/1mLの鉄緩衝溶液を調製した。マイクロピペットを用いて、1×、2×および4×の各溶液をオスモニクス(Osmonics)正帯電ナイロン膜上にスポッティングして、10μLの液滴を配置し、フィルムを室温で30分間空気乾燥させた。次に、5.9、0.59、0.059、および0.0059単位/スポットまたは0.5、0.05、0.005、0.0005mg/スポットの濃度のβ−ガラクトシダーゼ(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)により590単位/mLで供給される)の液滴10μLを配置した。発色に必要とされる時間を秒数で記録した。結果は、表2に示される。
【0091】
【表5】

【0092】
実施例5
マイクロピペットを用いてエスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液をバイオダインBフィルムの粗面にスポッティングして5μLの液滴を配置し、フィルムを室温で30分間空気乾燥させた。次に、625、312.5、156.25、78.125、および39.0625の濃度のβ−グルコシダーゼの5μLの液滴をエスクリン/FeCl3スポット上に配置し、発色に必要とされる時間を記録した。エスクリンは、純粋な酵素系と共に十分に作用した。結果は表3に示される。
【0093】
【表6】

【0094】
実施例6
試験管をエスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の100μLの溶液で充満させた。次に、5、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.05、0.025、および0.0025単位/mLの濃度の100μLのβ−グルコシダーゼを、エスクリン/FeCl3溶液を含有する試験管内に滴下して、緑色から黒色への色の変化が生じるのに必要な時間を記録した。結果は表4に示される。
【0095】
【表7】

【0096】
実施例7
マイクロピペットを用いてエスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液をバイオダインBフィルムの粗面にスポッティングして5μLの液滴を配置し、フィルムを室温で30分間空気乾燥させた。ミネソタ州ロチェスター(Rochester,MN)のメイヨークリニック(Mayo Clinic)において結腸鏡検査手順に続いて結腸鏡の生検内腔(biopsy lumen)を通して10mLのリン酸緩衝食塩水を流すことによって、臨床内視鏡の汚れサンプル(患者の汚れ)を収集した。次に、100μLの臨床内視鏡の汚れサンプルをエスクリン/FeCl3スポットの上に配置し、発色に必要な時間を記録した。発色は、10分よりも長くかかった。
【0097】
実施例8
マイクロピペットを用いてメトリセル(Metricel)SB−6407膜の4つのサンプルをスポッティングして、1つのスポットあたり10μLのBCIP/NBT溶液を配置した。スポットを室温で空気乾燥させた。スポッティングした1つの膜に、1つのスポットあたり10μLのアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(500μg/mLの蒸留水中のアルカリホスファターゼ)を再スポッティングした。BCIP/NBTスポッティングした膜のうち2つには、それぞれ、手作業洗浄の前および手作業洗浄の後に使用済胃腸内視鏡から得られた10μL(1つのスポットあたり)の流体サンプルを再スポッティングした。4番目のBCIP/NBTスポッティングした膜には、1つのスポットあたり10μLの蒸留水を再スポッティングした。
【0098】
純粋なサンプルおよび洗浄前のサンプルの両方において、酵素と指標の反応生成物による青紫色が酵素の添加の2分以内に現れた。洗浄後のサンプルは、2分以内に目に見える比色応答を示さず、蒸留水だけで処理したスポットも示さなかった。結果は表5に示される。
【0099】
【表8】

【0100】
実施例9
水の急冷浴中に押し出すかわりに、押し出した膜を、米国特許第5,120,594号明細書に記載されるような冷却したパターン化キャスティングホイール上に取った点以外は米国特許第4,539,256号明細書(実施例23)に記載される方法に従って、HDPE TIPS膜を作った。
【0101】
いくつかのHDPE TIPS膜を金属フレームに固定し、60:40のIPA:水中の2.5%のEVOH溶液を注ぎ、ゴムスプレッダーを用いて広げて滑らかにすることによってコーティングし、過剰分を除去した。コーティングした膜を室温で一晩乾燥させた。6つのサンプルを、脱イオン水中のポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(PDAMAC)(<100,000MW、40重量%の水中で供給)の5:1、2:1および1:1溶液と、脱イオン水中のポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(100,000〜200,000MW、20重量%の水中で供給)の5:1、2:1および1:1溶液とを注ぐことによってコーティングし、周囲温度で乾燥させた。EVOHおよびPDAMACでコーティングした膜に、実施例1と同様に1つのスポットあたり10μLのBCIP/NBT溶液をスポッティングし、乾燥させた。次に、これらのスポットに、蒸留水中500μg/mLの濃度で、1つのスポットあたり10μLのアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液を再スポッティングした。
【0102】
青紫の比色応答は、PDAMACコーティングしたサンプルでは、2分以内で目に見えたが、EVOHだけでコーティングしたサンプルでは見えなかった。PDAMACコーティングしたサンプルの両方において、応答速度は、5:1>2:1>1:1であった。結果は、表6に示される。
【0103】
【表9】

【0104】
実施例10
マイクロピペットを用いて、1つのスポットあたり約5マイクロリットルのBCIP/NBT溶液を、シリカゲルガラス付き(Silica Gel Glass Backed)TLCプレート(2.54cm×7.62cm)上に配置した。モデル#HG−751ヒートガン(ウィスコンシン州ラシーン(Racine,WI)のマスター・アプライアンス社(Master Appliance Corp.))により供給される温風を用いてスポットを乾燥させた。スポッティングしたガラスプレートの1つをコントロールとして用い、水浴に入れなかった。その他のスポッティングしたガラスプレート(試験プレート)を水浴(25℃)に2分間入れ、取り出し、ヒートガンを用いて再度乾燥させた。次に、5マイクロリットルのアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(25mgホスファターゼ/mL水)を、試験プレートおよびコントロールプレート上の指標スポットに配置した。全ての酵素指標の組み合わせで、反応した指標による紫色は、2分以内に顕著であった。続いて、コントロールプレートおよび試験プレートの両方における全ての着色スポットでは、水浴(25℃)に入れたときに、色は洗い流されなかった。この実験の結果は、スポッティングした酵素指標が、水で洗浄した後でさえシリカに結合したままであり、その結合状態で酵素と反応することを示した。更に、実験は、反応した酵素指標が水の存在下でシリカに結合したままであることを実証した。
【0105】
実施例11
メトリセルSB−6407膜(第4級アンモニウム基を含む、パールから入手可能)に実施例1と同様にBCIP/NBTをスポッティングし、流動水道水ですすぎ、乾燥させ、アルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)と反応させた。酵素と指標の反応生成物による青紫色は酵素の添加の2分以内に現れ、水で洗い流せなかった。
【0106】
比較例A
テックスワイプ(TexWipe)スワブ(swab)(ニュージャージー州アッパーサドルリバー(Upper Saddle River,NJ)のテックスワイプ社(Texwipe Co,Inc.)からの商品#TX712A)を、実施例11のメトリセル膜と同じ方法で処理した。スワブを実施例11と同様に水で洗浄すると、指標はスワブから洗い流された。更に、テックスワイプスワブ上で指標と酵素の反応から生じる色は、流動水道水ですすぐと容易に洗い流された。
【0107】
比較例B
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定するステップと、DMF中0.0003g/mLの濃度の2mLのX−glc溶液を膜に負荷するステップと、膜を58℃で20分間乾燥させるステップとによって、コーティングしていないPP TIPS膜からなる支持体を調製した。次に、マイクロピペットを用いて、負荷した膜上に、100単位/mLの濃度の10μLの純粋なβ−グルコシダーゼ溶液のスポットを配置し、発色に必要な時間を記録することによって、比色応答について膜を試験した。酵素水溶液は、表面にスポッティングされたときに膜を湿潤させなかった。応答は観察されなかった。
【0108】
実施例12
プラスチックピペットを用いて、約1mLのEVAL溶液(60:40のイソプロピルアルコール:水中に2.8%(w/w)のEVAL)を分配し、均一に広げることによって、HDPE TIPS膜をコーティングした。更に、乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を直径10.08cmのフープに固定するステップと、0.15g/mLの濃度の2mLのX−glc溶液を膜に負荷するステップと、インキュベータ(マサチューセッツ州アンドーバー(Andover,MA)のGCAコーポレーション(GCA Corporation)からのプレサイション・メカニカル・コンベクション・インキュベータ)内で膜を58℃で20分間乾燥させるステップとによって、コーティングした膜を調製した。
【0109】
次に、マイクロピペットを用いて、負荷した膜上に、試薬グレード水中100、50、25、12.5、6.3および3.1単位/mLの濃度の10μLのβ−グルコシダーゼ溶液をスポット状に配置し、発色に必要な時間を記録することによって、比色応答について膜を室温で試験した。実行6では、室温で50分後に色が生じなかったときに、実行1〜6を含む膜を、インキュベータ内で10分間、58℃に加熱した。次に、膜をインキュベータから取り出し、室温に冷却した。実施例において室温で一晩発色し続けた。結果は表7に示される。
【0110】
【表10】

【0111】
実施例13
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織布をフープに固定するステップと、DMF中0.15g/mLの濃度の2.5mLのX−glc溶液を不織支持体に負荷するステップと、膜を58℃で20分間乾燥させるステップとによって、レーヨン/PP不織支持体を調製した。次に、マイクロピペットを用いて、試薬グレード水中に100、50、25、12.5、6.3および3.1単位/mLの濃度の10μLのβ−グルコシダーゼ溶液を、負荷した支持体上にスポット状に配置し、発色に必要な時間を記録することによって、X−glcが負荷された不織支持体を室温で比色応答について試験した。実行6では、室温で21分後に色が生じなかったときに、実行1〜6を含む膜をインキュベータ内で10分間、58℃に加熱した。次に、膜をインキュベータから取り出し、室温に冷却した。一晩発色を続けた。比色応答とテクスチャード加工した背景との間の対比は、実施例12のTIPS膜支持体よりも色の検出を明らかに速くする。結果は表8に示される。
【0112】
【表11】

【0113】
実施例14
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定するステップと、プラスチックピペット(カリフォルニア州サンフェルナンド(San Fernando,CA)のSAMCOトランスファー・ピペッツ(SAMCO Transfer Pipettes))を用いて、60:40のイソプロピルアルコール:水中の2.8%(w/w)のEVALであるEVAL溶液を膜にスポッティングするステップと、スポッティングした膜を25℃で一晩空気乾燥するステップと、膜上のスポットにDMF中0.22g/mLの濃度の2mLのX−glc化学を負荷するステップと、スポッティングした膜を58℃で20分間乾燥するステップとによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。膜は、EVALが表面にスポッティングされたところだけ、酵素水溶液によって湿潤可能であった。
【0114】
次に、マイクロピペットを用いて、負荷した膜上に、試薬グレード水中100、50、25、12.5、6.3および3.1単位/mLの濃度の10μLのβ−グルコシダーゼ溶液を、EVAL/X−glcスポット上に配置し、膜を比色応答について試験した。色は、一晩発色し続けた。サンプルは特定の領域に拘束されたので、色はEVALコーティングしたHDPE(実施例12)の場合よりも鮮やかであったが、応答は速くには生じなかった。結果は表9に示される。
【0115】
【表12】

【0116】
実施例15
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定するステップと、プラスチックピペットを用いて、60:40のイソプロピルアルコール:水中の2.8%(w/w)のEVALであるEVAL溶液を膜にスポッティングするステップと、スポッティングした膜を25℃で一晩乾燥するステップと、膜上の親水性スポットのいくつかにDMF中0.15g/mLの濃度の25μLのX−glc、またはDMF中0.15g/mLの濃度の25μLのX−gal(バイオシンス社(Biosynth AG,Inc.))を負荷するステップと、スポッティングした膜を58℃で5分間乾燥するステップと、膜上のその他の親水性スポットに25μLのクーマシー・プラス(Coomassie Plus)(登録商標)タンパク質アッセイ試薬を負荷するステップと、58℃で20分乾燥するステップとによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。
【0117】
次に、マイクロピペットを用いて、試薬グレード水中20μLのβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)または試薬グレード水中20μLのβ−ガラクトシダーゼ(ワーシントン・バイオケミカル社(Worthington Biochemical Corp.)を、100単位/mLの濃度でEVAL/X−glcまたはEVAL/X−galスポット上にそれぞれ配置し、発色に必要な時間を記録することによって、スポッティングした膜を比色応答について試験した。
【0118】
更に、マイクロバイオロジクス(Microbiologics)からの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)MBL0484を、トリプトシン大豆ブロス(tryptic soy broth)(メリーランド州スパークス(Sparks,MD)のベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson and Company))中、37℃で一晩(16時間)成長させ、スポッティングした膜を比色応答について試験するために用いた。マイクロピペットを用いて、子ウシ血清中の緑膿菌(108CFU/mL)の20μLの連続の1:10希釈物を、それぞれのタイプの指標が負荷された親水性スポット上に配置した。
【0119】
試薬グレード水中の酵素、β−グルコシダーゼは、X−glc化学では、1.5分以内に応答を生じた。一方、X−gal化学では、試薬グレード水中の酵素、β−ガラクトシダーゼは、1分以内に青色の応答を生じた。クーマシー化学は、緑膿菌培養物の全ての希釈物に対して20秒以内に応答を生じた。108CFU/mLの緑膿菌培養物は、X−galまたはX−glc化学では応答を生じなかった。
【0120】
実施例16
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定するステップと、プラスチックピペットを用いて、60:40のイソプロピルアルコール:水中の2.8%(w/w)のEVALであるEVAL溶液を膜にスポッティングするステップと、スポッティングした膜を25℃で一晩空気乾燥するステップと、膜上の6つの親水性スポットに、DMF中それぞれ0.07g/mLの濃度のX−glc、X−gal(バイオシンス社)、およびX−phos−p−tol化学の20μLの組み合わせを負荷するステップと、膜上の別の6つの親水性スポットに、DMF中それぞれ0.06g/mLの濃度のマゼンタ(Magenta)(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−gal、およびマゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学の20μLの組み合わせを負荷するステップと、58℃で20分間乾燥するステップとによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。
【0121】
次に、マイクロピペットを用いて、負荷した膜上のコーティングした親水性スポットのそれぞれのタイプに対して、試薬グレード水中の20μLのβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)(100単位/mL)と、試薬グレード水中の20μLのβ−ガラクトシダーゼ(ワーシントン・バイオケミカル社)(100単位/mL)と、20μLの子ウシ血清と、20μLの臨床内視鏡の汚れサンプル(ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック)とを配置して、発色に必要な時間を記録することによって、膜を比色応答について試験した。臨床内視鏡の汚れサンプル(患者の汚れ)は、結腸鏡検査手順、および結腸鏡の洗浄手段に続いて結腸鏡の生検内腔を通して10mLのリン酸緩衝食塩水を流すことによって収集した。
【0122】
β−グルコシダーゼは、マゼンタ(登録商標)の組み合わせでは1分以内、そしてX−化学の組み合わせでは2分以内で反応した。β−ガラクトシダーゼは、X−化学の組み合わせおよびマゼンタ(登録商標)化学の組み合わせのそれぞれで2分以内に反応した。子ウシ血清は、10分以内では反応しなかった。メイヨーからのPB78臨床サンプルは、マゼンタ(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−gal、またはマゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学の組み合わせでは4分以内、X−glc、X−gal、またはX−phos−p−tol化学の組み合わせでは6分以内で反応した。
【0123】
実施例17
実施例15に記載されるように、HDPE TIPS膜支持体をフープに設置し、EVAL溶液をスポッティングして乾燥させた。続いて、スポッティングした膜にヘキサデカン中1.5mLの1:1000のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシランをコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄して、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理膜上の親水性スポットに、0.2g全基質/mL(各化学について0.07gX−化学/mL)の濃度のDMF中のX−glc、X−gal(バイオシンス社)、およびX−phos−p−tol化学の20μLの組み合わせをスポッティングし、約20分間反応させた。0.14MのNaCl(ニュージャージー州ジブスタウン(Gibbstown,NJ)のEMサイエンス(EM Science))、0.006MのK2HPO4(シグマ−アルドリッチ)および0.02MのKH2PO4(シグマ−アルドリッチ)を混ぜ合わせることによって、pH7.4のPBS緩衝液を調製した。PBS緩衝液および1%のトゥイーン(Tween)(登録商標)80で処理膜を2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0124】
次に、20μLのβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)、β−ガラクトシダーゼ(ワーシントン・バイオケミカル社)、子ウシ血清、および実施例16で調製した臨床内視鏡の汚れサンプルを用いて、膜上の親水性スポットを比色応答について試験し、発色に必要とされる時間を記録した。発色に必要とされる時間は2分の時間内ではなかったが、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、および1つの汚れた内視鏡サンプルでは、X−gal、X−glc、およびX−phosの組み合わせを用いて2時間以内に色が生じた。
【0125】
実施例18
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定し、実施例12に記載されるようなEVALを膜にコーティングし、コーティングした膜に0.0003g/mLの濃度の2mLの4−MU−β−D−glc化学を負荷し、58℃で20分間乾燥することによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。
【0126】
次に、負荷した膜に、10μLの純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液、および試薬グレード水中50、25、12.5、6.3、および3.1単位/mLの希釈物をスポッティングし、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、膜を蛍光応答について試験した。結果は表10に示される。
【0127】
【表13】

【0128】
実施例19
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織布をフープに固定し、不織布に、DMF中0.0003g/mLの濃度の3mLの4−MU−β−D−glc化学をコーティングし、58℃で20分間乾燥することによって、レーヨン/PP不織支持体を調製した。次に、負荷した膜に、10μLの純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液、ならびに試薬グレード水中の50、25、12.5、6.3、および3.1単位/mLの希釈物をスポッティングし、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、膜を蛍光応答について試験した。結果は表11に示される。
【0129】
【表14】

【0130】
実施例20
実施例18に記載したように、HDPE TIPS膜支持体をフープに設置し、EVAL溶液でコーティングし、続いて1.5mLの1:1000のヘキサデカン中のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシランでコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄して、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理膜にDMF中0.0003g/mLの濃度の20μLの4−MU−β−D−glc化学の溶液をコーティングし、実施例17に記載したように調製したpH7.4のPBS緩衝液、および1%トゥイーン(登録商標)80で2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0131】
次に、マイクロピペットを用いて10μLのβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)を膜上にスポット状に配置し、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、コーティングした膜を蛍光応答について試験した。100単位/mLにおける酵素溶液の蛍光応答は、瞬時であった。
【0132】
実施例21
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定し、膜に、DMF中0.0003g/mLの濃度の3mLの4−MU−β−D−glc化学をコーティングし、58℃で20分間乾燥することによって、GHP−450膜支持体を調製した。次に、負荷した膜に、10μLの純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液、ならびに試薬グレード水中の50、25、12.5、6.3、および3.1単位/mLの希釈物をスポッティングし、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、膜を蛍光応答について試験した。結果は表12に示される。
【0133】
【表15】

【0134】
実施例22
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定し、膜に、実施例12に記載されるようなEVALをコーティングし、続いて0.8mg/mLの濃度の2mLのOPA溶液をコーティングし、58℃で30分間乾燥することによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。次に、負荷した膜に、試薬グレード水中2、1、0.5、0.25、0.13および0.06mg/mLの10μLのBSA溶液をスポッティングし、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、膜を蛍光応答について試験した。結果は表13に示される。
【0135】
【表16】

【0136】
実施例23
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織布をフープに固定し、膜に、0.8mg/mLの濃度の3mLのOPA溶液を負荷し、58℃で30分間乾燥することによって、レーヨン/PP不織支持体を調製した。次に、マイクロピペットを用いて、負荷した膜に、試薬グレード水中2、1、0.5、0.25、0.13および0.06mg/mLの10μLのBSA溶液をスポッティングし、蛍光応答が生じるまで膜をUV光(365nm)に露光して時間を記録することによって、不織支持体を蛍光応答について試験した。結果は表14に示される。
【0137】
【表17】

【0138】
実施例24
まず、25mgの5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート二ナトリウム塩を10mLの脱イオン水中に溶解し、次に50mgのNBTを10mLの脱イオン水中に溶解することによって、2つの溶液を調製した。次に、実施例2に記載したように、4つの10mLのTRIS緩衝溶液(A、B、C、D)を調製した。緩衝溶液Aには、250mgのMnCl2を添加した。緩衝溶液Bには、250mgのMgCl2を添加した。緩衝溶液Cには、250mgのMgCl2および250mgのMnCl2を添加した。緩衝溶液Dには、金属塩の添加は行わなかった。400μLの5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート二ナトリウム塩/水溶液、100μLのNBT/水溶液、および500μLの緩衝溶液A、B、C、またはDを混ぜ合わせることによって、4つの5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート二ナトリウム塩/NBT/緩衝溶液を調製した。得られた4つの指標溶液は、それぞれ指標溶液1、2、3および4と名付けた。それぞれ5マイクロリットルの4つの溶液を、マイクロピペットを用いて、バイオダインBフィルムにスポット状に配置した。スポットを室温で30分空気乾燥させた。各スポットに、1.79単位/mLの濃度の5マイクロリットルのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)を再スポッティングした。発色に必要とされる時間、フィルム上の初期指標スポット色、ならびに周囲温度および光条件で1日および1週間のエージング後の指標スポットの色を記録した。
【0139】
MnCl2およびMgCl2を含有するサンプルは、アルカリホスファターゼ酵素による発色のための時間の短縮を示した。指標溶液4(MnCl2もMgCl2も含有しない)と同様の方法でエージングしたMgCl2単独のサンプルは、まだらな色をもたらした。マンガン塩含有スポットの黄色は、未反応の指標と、反応した指標の茶黒色との間の良好な対比を与えた。結果は表15に示される。
【0140】
【表18】

【0141】
実施例25
実施例15に記載したように、HDPE TIPS膜支持体をフープに設置し、EVAL溶液をスポッティングし、乾燥させた。次に、膜上の各親水性スポットに、200μLのX−gal(キルケゴール&ペリー・ラボラトリーズ社)を1mLの鉄緩衝液と混ぜ合わせることにより調製した10μLのX−gal溶液か、4mLのBCIP、1mLのNBT、および5mLのTRIS緩衝液を混ぜ合わせることにより調製した10μLのBCIP/NBT(キルケゴール&ペリー・ラボラトリーズ社からの3部ホスファターゼ基質系)か、0.3g/Lの水と混ぜ合わせ、121℃で15分間オートクレーブ処理することにより調製した10μLの4−MU−β−D−galか、0.3g/Lの水と混ぜ合わせ、121℃で15分間オートクレーブ処理することにより調製した10μLの4−MU−β−D−glcか、あるいは、100マイクロリットルのDMF中に0.03g溶解し、100mLの水で希釈することにより調製した10μLの4−MU−phosを負荷した。マイクロピペットを用いて溶液を膜上に配置し、室温で空気乾燥させた。
【0142】
次に、負荷した膜上のコーティングした親水性スポットのそれぞれのタイプに対して、マイクロピペットを用いて、188、18.8、9.4、および1.88単位/mLの濃度の試薬グレード水中の10μLのβ−ガラクトシダーゼ(シグマ(Sigma))、50、5、2.5および0.5単位/mLの濃度の試薬グレード水中の10μLのβ−グルコシダーゼ(ワーシントン・バイオケミカル社)、あるいは3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度の試薬グレード水中の10μLのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)を配置し、発色に必要な時間を記録することによって、膜を比色応答について試験した。結果は表16に示される。
【0143】
【表19】

【0144】
実施例26
実施例12に記載されるように、乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜をフープに固定し、EVALで膜をコーティングし、続いて、4mLのBCIP、1mLのNBT、および5mLのTRIS緩衝液を混ぜ合わせることにより調製した6滴の10μLのBCIP/NBT(キルケゴール&ペリー・ラボラトリーズ社からの3部ホスファターゼ基質系)を、マイクロピペットを用いてスポット状に配置し、室温で空気乾燥させることによって、HDPE TIPS膜支持体を調製した。
【0145】
次に、マイクロピペットを用いて、3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度の試薬グレード水中の10μLのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)をBCIP/NBTの5つのスポット上に配置することによって、膜を比色応答について試験した。6番目のBCIP/NBTスポットは、10μLの水で同様に試験した。発色に必要な時間を記録した。結果は表17に示される。
【0146】
【表20】

【0147】
実施例27
まず、5mgの5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート二ナトリウム塩を10mLの脱イオン水中に溶解し、次に、50mgのNBTを10mLの脱イオン水中に溶解することによって、2つの溶液を調製した。次に、実施例2に記載したように、10mLのTRIS緩衝溶液を調製し、100mgのMnCl2および100mgのMgCl2を添加した。次に、300マイクロリットルの5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート溶液および300マイクロリットルのNBT溶液を、400マイクロリットルのMgCl2およびMnCl2を含有するTRIS緩衝溶液と混ぜ合わせた。5マイクロリットルの指標溶液を使用し、マイクロピペットを用いてバイオダインBフィルム(1cm×3cm)片上に30個のスポットを配置した(1mm直径および1mm間隔)。内視鏡の生検チャネルの内側をシミュレートするポリエチレン管に、患者の汚れた内視鏡から流された2mLの内容物を充満させ、次に空にした。10秒以内に、スポッティングしたバイオダインBフィルムを汚れたポリエチレン管の内腔に押し入れた。比色反応は20秒以内に生じ、従って、患者の汚れた内視鏡の内容物で汚れたポリエチレン内腔におけるアルカリホスファターゼの存在が示された。
【0148】
実施例28
いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドの3つのアミン含有シランと、湿潤剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)とにより、ディップコーティングで処理した。まず、わずかに酸性の95パーセントの水/5パーセントのエタノール溶液を、硫酸を一滴ずつ添加することにより調製し、pH=4を得た。GPSおよび各アミノシランを、それぞれ5/5/90の比率で酸性溶液に添加した。不織布をアミノシラン溶液のうちの1つに浸漬させた後、それを2つの連続的なエタノール浴に浸漬し、オーブン(ミネソタ州レークビル(Lakeville,MN)のデスパッチ(Despatch)からモデルLFD1−42−3で市販されている)において、70℃で1時間半〜2時間熱硬化した。アミン含有不織布との比較では、不織布の1つのサンプルは未処理のままにし、1つのサンプルは、GPSで処理しただけであった(アミン基は存在しない)。
【0149】
マイクロピペットを使用して、NBT/BCIP1−ステップ(Step)(登録商標)溶液のいくつかの5−マイクロリットルのスポットを、3つのアミノシラン処理サンプル、未処理サンプルおよびGPS処理サンプルのそれぞれに配置した。これらのスポットを室温で少なくとも30分間空気乾燥させた。次に、マイクロピペットを用いて、3.5、1.75、0.35、および0.175単位/mLの濃度の5マイクロリットルのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)を、不織支持体上のNBT/BCIPの乾燥スポット上に配置した。比較のために、マイクロピペットを用いて5マイクロリットルの殺菌した超純水(0単位/mLの酵素)もNBT/BCIPの更なる乾燥スポット上に配置した。色の最初の出現に必要とされる時間を記録し、結果は表18に示される。
【0150】
未反応NBT/BCIP1−ステップ(登録商標)溶液の背景色が時間と共に変化されるかどうかを決定するために、不織支持体上のNBT/BCIPの未反応の乾燥スポットのいくつかを初期の色および1日後の色の変化について観察した。これらの観察は、表19に示される。
【0151】
【表21】

【0152】
【表22】

【0153】
実施例29
いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、実施例28に記載したように、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドの3つのアミン含有シランのうちの1つと、湿潤剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)とで処理した。更に、不織布の1つのサンプルは、未処理のままにした。溶液A、溶液B、および溶液Cと名付けた3つの溶液を、実施例3および24に記載した溶液と同様の方法で調製した。25mgのBCIPを10mLの脱イオン水と混ぜ合わせることによって溶液Aを調製した。15mgのNBTを10mLの脱イオン水中に溶解することによって溶液Bを調製した。それぞれ250mgのMnCl2およびMgCl2を混ぜ合わせ、10mLのTRIS緩衝液中に溶解することによって溶液Cを調製した(pH=8.9)。実施例2についての記載に従って、TRIS緩衝液を調製した。400マイクロリットルの溶液A、100マイクロリットルの溶液B、および500マイクロリットルの溶液Cを混ぜ合わせることによって指標溶液を調製し、MnCl2およびMgCl2塩を有する4:1:5の比率のBCIP:NBT:TRIS緩衝液がもたらされた。マイクロピペットを用いて、4:1:5指標溶液のいくつかの5マイクロリットルの液滴を、3つのアミノシラン処理サンプルおよび未処理サンプルのそれぞれの上にスポット化パターンで配置した。これらのスポットを室温で少なくとも30分間空気乾燥させた。次に、マイクロピペットを用いて、1.00、0.50、0.10、0.05、および0.01単位/mLの濃度の5マイクロリットルのアルカリホスファターゼ(カルビオケム)を、指標溶液の乾燥スポット上に配置した。比較のために、マイクロピペットを用いて、5マイクロリットルの脱イオン水(0単位/1mLの酵素)も指標溶液の更なる乾燥スポットに配置した。特徴的な紫黒色の最初の出現に必要とされる時間を記録し、結果は表20に示される。
【0154】
未反応の4:1:5のBCIP:NBT:TRIS緩衝液ならびにMnCl2およびMgCl2塩の背景色が時間と共に変化されるかどうかを決定するために、不織支持体上の未反応の乾燥スポットのいくつかを初期の色および1日後(乾燥)の色の変化について観察した。更に、指標の色の安定性を決定するために、反応および未反応の両方の乾燥サンプルを水中に1日(湿潤)および1週間(湿潤)浸漬し、色の変化を観察した。(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンおよびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドで処理したサンプルは、酵素との反応の前後に、BCIP/NBT/TRIS溶液を用いて安定な色を示した。結果は表21に示される。
【0155】
【表23】

【0156】
【表24】

【0157】
実施例30
いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、実施例28について記載したように、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンおよびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドの2つのアミン含有シランのうちの1つと、湿潤剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)とで処理した。更に、1つの不織布サンプルは、未処理のままにした。マイクロピペットを用いて、実施例29で記載したように調製した数個の5−マイクロリットルの液滴の4:1:5の指標溶液を、スポット化パターンで2つのアミノシラン処理サンプルおよび未処理サンプルのそれぞれの上に配置した。これらのスポットを室温で少なくとも30分間空気乾燥させた。6つ(処理および未処理につき2つずつ)の乾燥サンプルを用いて、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上の10マイクロリットルの液滴のアルカリホスファターゼ(カルビオケム)(1単位/ミリリットル)を拭き取った。別の6つ(処理および未処理につき2つずつ)の乾燥サンプルを十分に湿潤するまで超純水中に浸漬し、これを用いて、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上の20マイクロリットルの液滴のアルカリホスファターゼ(3.5単位/ミリリットル)を拭き取った。特徴的な紫黒色の最初の出現に必要な時間を記録した。アミノシラン処理した不織布は、乾燥または湿潤のいずれかで使用したときに色の変化を示した。液滴を示す最初の形状は保持された。コントロールサンプルは、酵素との反応後に指標化学のスメアリングを示した。結果は表22に示される。
【0158】
【表25】

【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1a】本発明に従う固体支持部材の1つの実施形態の一部の断面の側面図である。
【図1b】本発明に従う固体支持部材のもう1つの実施形態の一部の断面の側面図である。
【図1c】本発明に従う固体支持部材のもう1つの実施形態の一部の断面の側面図である。
【図2】本発明に従う検出器の実施形態を表す斜視図である。
【図3】図2に描かれる実施形態の特徴の異なる実施形態の斜視図である。
【図4】図2に描かれる実施形態の特徴の異なる実施形態の斜視図である。
【図5】図2に描かれる実施形態の特徴の異なる実施形態の斜視図である。
【図6】図2に描かれる実施形態の特徴の異なる実施形態の斜視図である。
【図7】本発明に従う検出器の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の斜視図である。
【図9】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の斜視図である。
【図10】本発明に従う検出器のための保持部材および固体支持部材の実施形態を示す図である。
【図11】本発明に従う検出器のための保持部材および固体支持部材の実施形態を示す図である。
【図12】本発明に従う検出器のための保持部材および固体支持部材の実施形態を示す図である。
【図13a】本発明の特徴のもう1つの実施形態を示す側面図である。
【図13b】本発明に従って図13aの装置を使用する方法を説明する一部断面の側面図である。
【図14】本発明に従う検出器のための保持部材および固体支持部材のもう1つの実施形態を示す。
【図15】本発明に従う検出器のための保持部材および固体支持部材のもう1つの実施形態を示す。
【図16】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図17】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図18】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図19】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図20】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図21】本発明に従う検出器のもう1つの実施形態の特徴の図である。
【図22a】本発明の実施形態において使用することができるパターンの図である。
【図22b】本発明の実施形態において使用することができるパターンの図である。
【図22c】本発明の実施形態において使用することができるパターンの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持部材と、
前記固体支持部材に固定化された特異的な指標と、
その上に前記固体支持部材を保有する保持部材と、
を含む生物汚れ検出器であって、前記保持部材および前記固体支持部材が、前記固体支持部材と表面との接触を容易にするように構成された生物汚れ検出器。
【請求項2】
前記固体支持部材が、少なくとも1つのポリマー、無機材料、ならびに有機および無機混合材料からなる群から選択される第1の材料を含む、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項3】
前記ポリマーが官能基を含有するポリマーから選択され、前記官能基が、カルボキシルおよびその塩、アルデヒド、スルホン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、4級化アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、イミダゾール、ならびに2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の生物汚れ検出器。
【請求項4】
前記官能基を含有するポリマーが、カルボキシル含有ポリマー、ポリアルコキシラート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、セルロース、レーヨン、ポリホスファート、ポリペプチド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択されるポリマーおよびコポリマーを含む、請求項3に記載の生物汚れ検出器。
【請求項5】
前記無機材料が、金属酸化物、水和物、金属−水酸基および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の生物汚れ検出器。
【請求項6】
前記有機および無機混合材料が、高分子複合体、セラマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の生物汚れ検出器。
【請求項7】
前記固体支持部材が、少なくとも1つのポリマー、無機材料、ならびに有機および無機混合材料からなる群から選択される第1の材料と、前記第1の材料に取り付けられた第2の材料とを含む、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項8】
前記第1の材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース誘導体、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、および上記のものの組み合わせから選択される、請求項7に記載の生物汚れ検出器。
【請求項9】
前記第2の材料が親水性であり、モノマー、ポリマー、反応性金属アルコキシドおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の生物汚れ検出器。
【請求項10】
前記第2の材料が、カルボキシルおよびその塩、アルデヒド、スルホン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、4級化アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン、グリシジル、スクシンイミド、イミダゾール、ならびに2つ以上の上記のものの組み合わせから選択される1つまたは複数の官能基を含む、請求項9に記載の生物汚れ検出器。
【請求項11】
前記固体支持部材が、フィルム、不織材料、織材料、編材料、網状フォーム、連続気泡フォーム、多孔性セラミック無機フリット、繊維、粒子被覆支持体、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ、およびポリマー膜からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載の生物汚れ検出器。
【請求項12】
前記ポリマー膜が、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン−ビニルコポリマー、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される材料を含む熱誘起相分離膜を含む、請求項11に記載の生物汚れ検出器。
【請求項13】
前記固体支持部材が、親水性コーティングを更に含む、請求項2に記載の生物汚れ検出器。
【請求項14】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−ホスファート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、ポリジアセチレン、ブラッドフォードアッセイ、ローリー、ビウレットアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項15】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファートからなる群から選択される1つまたは複数のインドリル官能性指標と組み合わせてNBTを含む、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項16】
前記特異的な指標が、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムおよび1つまたは複数の上記のものの組み合わせから選択される一価または二価の金属イオンを更に含む、請求項15に記載の生物汚れ指標。
【請求項17】
前記特異的な指標が、タンパク質、内毒素、酵素、ヌクレオチドおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される生物汚れ成分を検出するように選択される、請求項1に記載の生物汚れ指標。
【請求項18】
前記ヌクレオチドが、アデノシン三リン酸である、請求項17に記載の生物汚れ指標。
【請求項19】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、およびラクトシダーゼ、ならびにこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の生物汚れ指標。
【請求項20】
前記特異的な指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するように選択される、請求項1に記載の生物汚れ指標。
【請求項21】
前記保持部材がチャネル内に収まるような寸法にされ、前記保持部材が、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部の間に延在する長尺本体部分とを含む、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項22】
前記固体支持部材が、前記保持部材に解放可能に付着される、請求項1に記載の生物汚れ検出器。
【請求項23】
表面に関連する生物汚れを検出するための方法であって、以下のステップ:
請求項1に記載の生物汚れ検出器を表面と接触させ、前記接触により、バイオ汚れの存在下で特異的な指標の修飾が開始されることと、
前記生物汚れ検出器を前記表面から回収することと、
検出可能な応答について前記検出器の固体支持部材を検査し、それにより、前記固体支持体に固定化された特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記特異的な指標が、タンパク質、内毒素、酵素、ヌクレオチドおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される生物汚れ成分を検出するように選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ヌクレオチドが、アデノシン三リン酸である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、およびラクトシダーゼを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記特異的な指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するように選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記表面が、医療装置のチャネルである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記医療装置が、内視鏡である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−ホスファート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、ポリジアセチレン、ブラッドフォードアッセイ、ローリー、ビウレットアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファートからなる群から選択される1つまたは複数のインドリル官能性指標と組み合わせてNBTを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記特異的な指標が、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムおよび1つまたは複数の上記のものの組み合わせから選択される一価または二価の金属イオンを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固体支持部材の検出可能な応答についての検査が、前記固体支持体の色の変化についての視覚的検査を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記固体支持部材の検出可能な応答についての検査が、前記固体支持部材の蛍光の変化についての検査を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、10分以内に検出可能な応答がある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、5分以内に検出可能な応答がある、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、1分未満で検出可能な応答がある、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つのアミンまたは4官能性コーティングで処理された固体支持部材と、
前記コーティングに固定化された特異的な指標と、
を含む、生物汚れ検出器。
【請求項39】
前記固体支持部材が、不織材料である、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項40】
前記不織材料が、セルロース系材料を含む、請求項39に記載の生物汚れ検出器。
【請求項41】
前記不織材料が、70%のレーヨンおよび30%のポリエステルを含む、請求項39に記載の生物汚れ検出器。
【請求項42】
前記固体支持部材が、フィルム、不織材料、織材料、編材料、網状フォーム、連続気泡フォーム、繊維、粒子被覆支持体、スポンジ、およびポリマー膜からなる群から選択される材料を含む、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項43】
前記ポリマー膜が、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン−ビニルコポリマーおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される材料を含む熱誘起相分離膜を含む、請求項42に記載の生物汚れ検出器。
【請求項44】
前記固体支持部材が、親水性コーティングを更に含む、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項45】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項46】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファートからなる群から選択される1つまたは複数のインドリル官能性指標と組み合わせてNBTを含む、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項47】
前記特異的な指標が、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムおよび1つまたは複数の上記のものの組み合わせから選択される一価または二価の金属イオンを更に含む、請求項46に記載の生物汚れ指標。
【請求項48】
前記特異的な指標が、タンパク質、内毒素、酵素、ヌクレオチドおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される生物汚れ成分を検出するように選択される、請求項38に記載の生物汚れ指標。
【請求項49】
前記ヌクレオチドが、アデノシン三リン酸である、請求項48に記載の生物汚れ指標。
【請求項50】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、およびラクトシダーゼ、ならびにこれらの組み合わせを含む、請求項48に記載の生物汚れ指標。
【請求項51】
前記特異的な指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するように選択される、請求項38に記載の生物汚れ指標。
【請求項52】
前記固体支持部材が、アミン含有シランを更に含む、請求項38に記載の生物汚れ検出器。
【請求項53】
前記アミン含有シランが、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項52に記載の生物汚れ検出器。
【請求項54】
表面に関連する生物汚れを検出するための方法であって、以下のステップ:
請求項38に記載の生物汚れ検出器を表面と接触させ、前記接触により、バイオ汚れの存在下で特異的な指標の修飾が開始されることと、
前記生物汚れ検出器を前記表面から回収することと、
検出可能な応答について前記検出器の固体支持部材を検査し、それにより、前記固体支持体に固定化された特異的な指標が生物汚れと相互に作用したかどうかを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項55】
前記特異的な指標が、タンパク質、内毒素、酵素、ヌクレオチドおよび2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される生物汚れ成分を検出するように選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ヌクレオチドが、アデノシン三リン酸である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、およびラクトシダーゼを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記特異的な指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するように選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、および2つ以上の上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記特異的な指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスファートからなる群から選択される1つまたは複数のインドリル官能性指標と組み合わせてNBTを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記固体支持部材の検出可能な応答についての検査が、前記固体支持体の色の変化についての視覚的検査を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、10分以内に検出可能な応答がある、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、5分以内に検出可能な応答がある、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記生物汚れ検出器と表面との接触後、1分未満で検出可能な応答がある、請求項61に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【図22c】
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【公表番号】特表2007−536557(P2007−536557A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513147(P2007−513147)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/011851
【国際公開番号】WO2005/114184
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】