説明

生物活性ベクターの放射性フッ素化法

本発明は、式(V)又は(VI)のコンジュゲート、これらの放射性医薬品としての使用、これらの合成方法、及びかかる方法で使用される合成中間体に関する。
【化1】


式中、Xは−CO−NH−、−NH−、−O−、−NHCONH−又は−NHCSNH−である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽電子放出核種で標識した生物活性ベクターを含む診断薬及び放射線診断薬に関する。本発明はさらに、ベクターの[18F]フッ素化法及び試薬に関するが、ベクターとは生物学的標的に特異的な親和性を示す分子であると定義され、好ましくはペプチドである。得られた18F標識コンジュゲートは放射性医薬品、特に陽電子放出断層撮影法(PET)用の放射線医薬品として有用である。
【背景技術】
【0002】
画像診断用放射標識生物活性ペプチドの応用は核医学において重要性を増しつつある。特定の細胞型と選択的に相互作用する生物活性分子は、放射能を標的組織に送達するのに有用である。例えば、放射標識ペプチドは、画像診断及び放射線治療のための腫瘍、梗塞及び感染組織への放射性核種の送達に多大な可能性をもつ。18Fは半減期が約110分であり、多くの受容体イメージング検査に格好の陽電子放出核種である。したがって、18F標識生物活性ペプチドは、PETで多種多様な疾患の定量的検出及び性質決定に有用性を保つので、多大な臨床的将来性がある。
【特許文献1】国際公開第01/77415号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/006491号パンフレット
【非特許文献1】Wahl他、Tetrahedron Letts. 37, 6861(1996)
【非特許文献2】Atherton,E.及びSheppard,R.C.;”Solid Phase Synthesis”; IRL Press: Oxford, 1989
【非特許文献3】Brask他、Bioorg. Med. Chem.Lett. 11(2001) 697−700
【非特許文献4】Haka他、J.Labelled Cpds. & Radiopharms 1989 27(7)823
【非特許文献5】Borden他、J.Org.Chem., 1985, 50, 531−534
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
18F標識ペプチドの問題の一つは、既存の18F標識剤は調製に時間がかかることである。ペプチド及びタンパク質の18Fでの効率的な標識は、好適な補欠分子族を用いたときにしか達成されない。かかる補欠分子族としては、N−スクシニミジル−4−[18F]フルオロベンゾエート、m−マレイミド−N−(p−[18F]フルオロベンジル)−ベンズアミド、N−(p−[18F]フルオロフェニル)マレイミド、及び4−[18F]フルオロフェナシルブロミドを始めとして幾つか文献に記載されている。現在ペプチド及びタンパク質の18F標識に用いられている方法はほとんどすべてフッ素標識シントンの活性エステルを利用する。ペプチド及びタンパク質は、活性エステルと反応し得る官能基を複数含んでいる可能性があるので、こうした現行法は部位特異的ではない。例えば、リジン残基を3個含有するペプチドは、標識シントンに対して反応性がすべて等しいアミン官能基を3個有する。したがって、穏和な条件下で18Fを特にペプチドに迅速かつ化学選択的に導入して18F標識生成物を高い放射化学的収率及び純度で得ることができる18F標識補欠分子族及び方法に対するニーズが依然として存在する。さらに、臨床の場での放射性医薬品の合成を容易にする自動化に適した方法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応又は式(III)の化合物と式(IV)化合物との反応によってそれぞれ式(V)又は(VI)のコンジュゲートを得ることを含んでなる放射性フッ素化法を提供する。
【0005】
【化1】

【0006】
式中、R1は、アルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、又はジオールもしくはN末端セリン残基のような官能基であって、酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することができるものである。
【0007】
R2は、水性緩衝液のような穏和な条件下で、R1と部位特異的に反応して安定なコンジュゲートを与える官能基である。R2としては、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドのようなアンモニア誘導体があり、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基である。
【0008】
R3は、R4と部位特異的に反応する官能基である。R3としては、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドのようなアンモニア誘導体があり、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基である。
【0009】
R4は、アルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、又はジオールもしくはN末端セリン残基のような官能基であって、酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することができるものである。
【0010】
【化2】

【0011】
式中、Xは−CO−NH−、−NH−、−O−、−NHCONH−又は−NHCSNH−、好ましくは−CO−NH−、−NH−又は−O−であり、YはH、アルキル又はアリール置換基である。
【0012】
式(II)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物におけるリンカー基は以下の群から選択される。
【0013】
【化3】

【0014】
式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
pは0又は1の整数であり、
ZはO又はSである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
式(II)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物におけるリンカー基は、得られる式(V)又は(VI)のコンジュゲートにおける好ましい排出特性など、良好なインビボ薬物動態が得られるように選択される。親油性及び/又は電荷の異なるリンカー基を使用することによって、診断の必要性に応じてペプチドのインビボ薬物動態を大きく変化させることができる。例えば、式(V)又は(VI)のコンジュゲートを腎排泄によって身体から除去することが望まれる場合には親水性リンカーを使用し、肝胆道排泄による除去が望ましい場合には疎水性リンカーを使用する。ポリエチレングリコール部分を含むリンカーは血液クリアランスが遅いことが判明しており、状況によっては望ましい。
【0016】
好適には、R1アルデヒドは、1,2−ジオール又は1,2アミノアルコール基を含有する前駆体官能化ベクターのインサイツ酸化によって生成させる。例えば、後者は、Wahl他のTetrahedron Letts. 37, 6861(1996)に記載のアミノ酸Fmoc−Dpr(Boc−Ser)−OHを用いた合成でペプチド配列に直接挿入することができる。同様に、式(IV)の化合物のR4アルデヒドは、前駆体の酸化によって生成し得る。
【0017】
式(I)及び(IV)の化合物においてそれぞれR1又はR4部分の生成に使用し得る好適な酸化剤としては、過ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、パラ過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸ナトリウム及びメタ過ヨウ素酸カリウムが挙げられる。
【0018】
式(I)及び(IV)の化合物並びに本発明の関連する態様におけるR1及びR4は、好ましくは−CHO、>C=O、−CH(−OCHCHO−)のような−CH(−O−C1〜4アルキル−O−)、及び−CH(OCHのような−CH(OC1〜4アルキル)から選択され、好ましい態様では、R1及びR4は−CHOである。
【0019】
式(II)及び(III)の化合物並びに本発明の関連する態様におけるR2及びR3は、好ましくは−NHNH、−C(O)NHNH、及び−ONHから選択され、好ましくは−ONHである。
【0020】
式(V)及び(VI)の化合物並びに本発明の関連する態様におけるYは、好ましくはH、C1〜6アルキル(メチルなど)又はフェニルである。
【0021】
この反応は、適当な溶媒、例えばpH域2〜11、好適には3〜11、さらに好適には3〜6の水性緩衝液中、5〜70℃の適度な温度、好ましくは室温で実施し得る。
【0022】
本発明は、化学選択性の高い放射標識法を提供し、ペプチド又はベクター前駆体の合成時に標識の正確な導入部位を予め選択できる。ライゲーション反応はベクターの予め選定した所定の部位で起こり、生成する可能性のある生成物は1種類である。この方法は化学選択的であり、多種多様なペプチド、生体分子及び低分子量薬剤全般に応用できると考えられる。
【0023】
別の態様では、本発明は、式(Ia)の化合物と式(IIa)の化合物との反応又は式(IIIa)の化合物と式(IVa)化合物との反応によってそれぞれ式(Va)又は(VIa)のコンジュゲートを得ることを含んでなる放射性フッ素化法を提供する。
【0024】
【化4】

【0025】
式中、R1及びR4は、それぞれ式(I)及び(IV)の化合物に関して上記で定義した通りであり、
式(IIa)及び(IVa)の化合物におけるリンカー基は各々C1〜60ヒドロカルビル基、好適にはC1〜30ヒドロカルビル基であって、適宜酸素又は窒素のような1〜30個のヘテロ原子、好適には1〜10個のヘテロ原子を含むものである。好適なリンカー基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル鎖、芳香族、ポリ芳香族及びヘテロ芳香族環、さらにエチレングリコール、アミノ酸又は炭水化物サブユニットを含むポリマーが挙げられる。
【0026】
【化5】

【0027】
式中、YはH、アルキル又はアリール置換基であり、リンカー基は、式(IIa)又は(IVa)の化合物に関して定義した通りである。
【0028】
「ヒドロカルビル基」という用語は、炭素と水素からなる有機置換基をいい、かかる基は、飽和、不飽和又は芳香族部分を含んでいてもよい。
【0029】
好ましい態様では、本発明は、式(VII)の化合物と式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)の化合物との反応によってそれぞれ式(XII)〜(XV)の化合物を得ることを含む放射性フッ素化法を提供する。
【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
Xは−CO−NH−、−NH−又は−O−、好ましくは−O−であり、
YはH、アルキル又はアリール置換基である。
【0033】
【化8】

【0034】
式中、Xは、式(VII)の化合物に関して定義した通りであり、m及びnは、式(VIII〜XI)の化合物に関して定義した通りである。
【0035】
反応は、適当な溶媒、例えばpH域2〜11、好適には3〜11、さらに好適には3〜6の水性緩衝液中、5〜70℃の適度な温度、好ましくは室温で実施し得る。
【0036】
式(I)もしくは(III)のベクター化合物又は式(II)もしくは(IV)のシントンのアミン部分を官能基として使用する場合、また本発明のさらに具体的に記載した態様においても、得られたシッフ塩基を安定化させるための還元段階を含んでいると有用である考えられる。この段階での好適な還元剤は、当業者に周知であり、水素化ホウ素ナトリウム及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。
【0037】
別の好ましい態様では、本発明は、式(XVI)の化合物と式(XVII)、(XVIII)、(XIX)又は(XX)の化合物との反応によってそれぞれ式(XXI)、(XXII)、(XXIII)又は(XXIV)の化合物を得ることを含んでなる放射性フッ素化法を提供する。
【0038】
【化9】

【0039】
式中、YはH、アルキル又はアリール置換基である。
【0040】
【化10】

【0041】
式中、m及びnは、前述の化合物に関して定義した通りであり、Wは−CONH−、−NH−又は−O−である。
【0042】
【化11】

【0043】
式中、Wは−CONH−、−NH−又は−O−であり、
m、nは、式(XIII〜XI)の化合物に関して定義した通りであり、YはH、アルキル又はアリール部分である。
【0044】
この反応は、適当な溶媒、例えばpH域2〜11、好適には3〜11、さらに好適には3〜6の水性緩衝液中、5〜70℃の適度な温度、好ましくは室温で実施し得る。
【0045】
式(I)及び(III)並びに本発明のその他の態様では、特記しない限り、標識に適したベクターはペプチドであり、ソマトスタチンアナログ、例えばオクトレオチド、ボンベシン、血管作用性小腸ペプチド、走化性ペプチドアナログ、αメラニン細胞刺激刺激ホルモン、ニューロテンシン、Arg−Gly−Aspペプチドとそのアナログ、ヒトプロインスリン連結ペプチド、エンドセリン、アンジオテンシン、ホルミル−ノルロイシル−ロイシル−フェニルアラニル−ノルロイシル−チロシル−リジンが挙げられる。標識に好ましいペプチドはArg−Gly−Aspペプチドとそのアナログ、例えば国際公開第01/77415号及び同第03/006491号に記載されたものである。好ましいペプチドは以下のフラグメントを含む。
【0046】
【化12】

【0047】
ある具体的態様では、式(I)又は(III)のペプチドは式(A)のものである。
【0048】
【化13】

【0049】
式中、Xは、−NH又は次式式のものである。
【0050】
【化14】

【0051】
式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【0052】
当業者には自明であろうが、本発明の方法は、その他の生体分子、例えばタンパク質、ホルモン、オリゴヌクレオチド、抗体フラグメントなど、並びに薬剤様低分子の放射性フッ素化に使用して様々なPETトレーサーを得ることができる。
【0053】
式(IIa)及び(IVa)並びに本発明のその他の態様では、特記しない限り、リンカーはC1〜60ヒドロカルビル基、好適にはC1〜30ヒドロカルビル基であり、適宜、酸素又は窒素のような1〜30個のヘテロ原子、好適には1〜10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、良好なインビボ薬物動態が得られるように選択される。好適なリンカー基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル鎖、芳香族、ポリ芳香族及びヘテロ芳香族環、並びにエチレングリコール、アミノ酸又は炭水化物サブユニットを含むポリマーが挙げられる。式(IIa)及び(IVa)並びに本発明のその他の態様における好ましいリンカー基としては、以下の群から選択されるものが挙げられる。
【0054】
【化15】

【0055】
式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
pは0又は1の整数であり、ZはO又はSである。
【0056】
式(IIa)及び(IVa)並びに本発明のその他の態様における特に好ましいリンカー基は、以下の群から選択し得る。
【0057】
【化16】

【0058】
式(I)及び(III)の化合物は、ペプチド合成の常法、例えばAtherton,E.及びSheppard,R.C.,”Solid Phase Synthesis”, IRL Press: Oxford, 1989に記載の固相ペプチド合成で調製し得る。式(I)又は(III)の化合物への基R1及びR3の導入は、ペプチドのN末端又はC末端の反応、或いはペプチド配列中の他の官能基でその修飾によってベクターの結合特性が影響されないものとの反応で達成できる。好ましい例では、Novabiochem社から市販のアミノ酸Fmoc−Ams(Boc)−OH又はFmoc−Dpr(Boc−Aoa)−OHを使用して、アミノキシ基、NH−O−をペプチド配列に直接導入することができる。官能基R1及びR3は、好ましくは、ペプチドアミノ官能基と活性化酸との反応によって形成された安定なアミド結合の形成によって導入され、ペプチドの合成中又は合成後に導入される。前駆体が酸である場合、R1及びR3は、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)やN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)のような活性化剤をその場で使用して導入することができる。
【0059】
別の態様では、本発明は、例えば上述の方法によるペプチド及びタンパク質の標識に有用な新規な18F−補欠分子族を提供する。
【0060】
そこで、式(II)又は式(IV)の化合物、或いは式(IIa)、(IVa)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)又は(XX)の化合物が提供されるが、これらはすべて上記で定義した通りであり、以下の事項を条件とする。
(i)式(II)の化合物においてリンカーがフェニルであるときは、R2はアミノキシ(好適には−ONH)である。
(ii)式(IV)の化合物ではリンカーはフェニルではない。
(iii)式(IVa)の化合物では、リンカーはフェニルでも、ハロ、ヒドロキシ又はベンジルオキシで置換されたフェニルでもない。
(iv)式(X)の化合物では、nは0ではない。
【0061】
本明細書に記載の方法で用いられる式(IV)の好ましい化合物であって、それ自体特許請求の範囲に記載される化合物には、以下のものがある。
【0062】
【化17】

【0063】
別の態様では、本発明は、式(I)及び(III)の化合物、並びに式(Ia)、(IIIa)、(VII)、(XVI)の化合物を提供するが、これらはすべて上記で定義した通りである。式(I)、(III)、(Ia)、(IIIa)、(VII)及び(XVI)の好ましい化合物は、ベクターがArg−Gly−Aspペプチド又はその上述のアナログであるものであり、特にベクターが式(A)であるものである。
【0064】
【化18】

【0065】
式中、Xは−NH又は次式のものである。
【0066】
【化19】

【0067】
式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【0068】
別の態様では、本発明は、式(V)及び(VI)の放射標識コンジュゲート、並びに式(Va)、(VIa)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)、(XXIV)の化合物を提供するが、これらはすべて上記で定義した通りである。式(V)、(VI)、(Va)、(VIa)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)及び(XXIV)の好ましい化合物は、ベクターがArg−Gly−Aspペプチド又はその上述のアナログであるものであり、特にベクターが式(A)のものである
【0069】
【化20】

【0070】
式中、Xは−NH又は次式の式のものである。
【0071】
【化21】

【0072】
式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【0073】
式(II)の化合物は、対応する式(XXV)の前駆体から、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのような適当な溶媒中、通常室温又は昇温(例えば最高150℃、好適には60〜120℃)で、或いはマイクロ波加熱によって、サイクロトロン生成水性[18F]フッ化物(好適には、塩基(例えば、テトラブチルアンモニウム又はKCO/Kryptofix−222)からの蒸発によって予め活性化しておいたもの)と反応させた後、酸分解処理のような常法でN−保護基を除去することによって調製し得る。
【0074】
【化22】

【0075】
式中、Lは脱離基、好ましくはp−トルエンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネートもしくはメタンスルホネート又はハロゲン化物であり、リンカーは上記で定義した通りであり、Xは、好ましくは−CO−NH−、−NH−又は−O−であり、R5及びR6は、H、又はt−ブチルオキシカルボニルなどの好適な保護基である。
【0076】
式(IV)の化合物は、対応する式(XXVI)の前駆体又はその保護誘導体から、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのような適当な溶媒中、通常室温又は昇温(例えば最高120℃)で、サイクロトロン生成水性[18F]フッ化物(好適には、塩基(例えば、テトラブチルアンモニウム又はKCO/Kryptofix−222)からの蒸発によって予め活性化しておいたもの)と反応させることによって調製し得る。式(XXVI)の化合物のアルデヒド又はケトン官能基は、フッ素化後の単なる酸処理によって、アセタールやケタールのような保護前駆体から迅速に生成させることもできる。
【0077】
【化23】

【0078】
式中、Lは脱離基、好ましくはp−トルエンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、又はメタンスルホネート、或いはハロゲン化物であり、リンカーは、前に定義した通りであり、Yは、好ましくはH、アルキル又はアリール置換基である。好ましい例では、式(IV)の化合物は式(XXVII)の化合物から調製される。
【0079】
【化24】

【0080】
式中、Lは、p−トルエンスルホネートやトリフルオロメタンスルホネート、メタンスルホネート、ハロゲン化物などの脱離基であり、リンカーは、上記で定義した通りであり、アミド結合を介して保護セリン誘導体に連結している。この場合、O−保護基R6は好ましくはt−ブチルであり、R5は上記で定義した通りである。アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのような適当な溶媒中、通常室温又は昇温(例えば最高150℃、好適には60〜120℃)で、或いはマイクロ波加熱によって、サイクロトロン生成水性[18F]フッ化物(好適には、塩基(例えば、テトラブチルアンモニウム又はKCO/Kryptofix−222)からの蒸発によって予め活性化しておいたもの)と反応させた後、O及びN−保護基を除去し、過ヨウ素酸塩のような酸化剤でアルデヒドに酸化させる。
【0081】
ある好ましい態様では、式(IV)の化合物は、Brask他のBioorg. Med. Chem.Lett. 11(2001) 697−700に記載のBAL法を用いて、ポリマービーズ、コーティング、マイクロデバイスのような固体担体上、例えば樹脂上で調製し得る。ペプチドアルデヒドは、PEG−AMPS樹脂上でのアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールによるO−PALアルデヒドの還元的アミノ化から開始し、リンカー成分でのアシル化によって合成される。この態様では、ポリマー結合生成物から過剰の試薬及び放射性フッ素化反応の副生物を洗浄によって分離し得る。酸処理によって、以下に示す通り、固体担体から式(IV)の化合物が直接得られる。
【0082】
【化25】

【0083】
式中、L及びリンカーは、上述の通りである。
【0084】
この方法は、式(IV)の化合物の自動合成に特に適している。
【0085】
本発明は、有効量(例えば、インビボPETイメージング用に有効な量)の一般式(V)又は(VI)の化合物或いは式(Va)、(VIa)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)又は(XXIV)の化合物であって、すべて上記で定義した化合物を、薬学的に許容される1種以上の補助薬、賦形剤又は希釈剤と共に含む放射性医薬品組成物も提供する。
【0086】
本発明の好ましい実施形態は、医療用、特に腫瘍イメージング(好適にはPET)用の一般式(V)又は(VI)の化合物、或いは式(Va)、(VIa)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)又は(XXIV)の化合物に関する。これらの化合物はすべて上記で定義したものであり、ベクターはArg−Gly−Aspペプチド又はそのアナログであって、例えば国際公開第01/77415号及び同第03/006491号に記載のようなもの、好ましくは、以下のフラグメントを含むペプチドである。
【0087】
【化26】

【0088】
さらに好ましくは、ベクターは式(A)のペプチドである
【0089】
【化27】

【0090】
式中、Xは、−NH又は次式のものである。
【0091】
【化28】

【0092】
式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【0093】
本発明の放射標識コンジュゲートは、PETイメージングのため、所望の信号が得られる十分な量で患者に投与すればよく、典型的な放射性核種投与量は体重70kg当たり0.01〜100mCi、好ましくは0.1〜50mCiで通常十分である。
【0094】
したがって、本発明による放射性標識コンジュゲートは、当業者の技術常識に属する方法で、生理学的に許容される担体又は賦形剤を用いて投与用に処方すればよい。例えば上述の化合物は、適宜薬学的に許容される賦形剤を添加して、水性媒体に懸濁又は溶解し、次いで得られた溶液又は懸濁液を滅菌すればよい。別の態様では、本発明は、インビボイメージング法、好適にはPET、好ましくは腫瘍のイメージング法で使用される放射性医薬品を製造するための本発明の放射性標識コンジュゲートの使用を提供し、放射性医薬品をヒト又は動物の身体に投与し、身体の少なくとも一部の画像を生成することを含む。
【0095】
さらに別の態様では、本発明は、ヒト又は動物の身体の画像を生成する方法を提供するが、当該方法は、身体、例えば血管系に本発明に係る放射標識コンジュゲートを含む放射性医薬品を投与し、PETを用いて放射性医薬品を分布させた身体の少なくとも一部の画像を生成することを含む。
【0096】
別の態様では、本発明は、癌に付随する症状に作用する薬剤、好ましくは血管形成を抑制する薬剤(例えば細胞障害性薬剤)によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニターする方法を提供するが、当該方法は、本発明に係る放射標識コンジュゲートを身体に投与し、細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαvβ3受容体によるコンジュゲートの取込みを検出することを含み、投与及び検出を、適宜、しかし好ましくは、上記薬剤による治療前、治療中及び治療後に繰返し実施する。
【0097】
本発明のさらに別の実施形態では、式(II)又は(IV)の補欠分子族と式(I)又は(III)の化合物を含む、放射性フッ素化トレーサー調製用キットを提供する。
【0098】
本発明の別の態様では、式(XXV)の補欠分子族と式(I)の化合物を含む、放射性フッ素化トレーサー調製用キットを提供する。本発明の別の態様では、式(XXVI)又は(XXVII)の補欠分子族と式(III)の化合物を含む、放射性フッ素化トレーサー調製用キットを提供する。
【0099】
キットの使用に際して、上述の方法を用いて、式(XXV)の化合物を対応する式(II)の化合物に、式(XXVI)又は(XXVII)の化合物を対応する式(IV)の化合物にそれぞれ変換する。好ましくは、式(II)及び(IV)の化合物は、反応混合物を固相抽出(SPE)カートリッジに流して、不要な反応体から分離し得る。SPEカートリッジには、グラファイトパッド、C18固定相又はイオン交換樹脂を含むものがある。次いで式(II)及び(IV)の化合物を、式(I)及び(III)の化合物にそれぞれ添加するが、これは水性緩衝液(pH3〜11)に好適に溶解し得る。適度な温度で1〜70分間反応させた後、標識ペプチドを例えばSPEで精製し、回収すればよい。
【実施例】
【0100】
以下の実施例によって本発明を例証するが、実施例では以下の略語を用いる。
【0101】
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
NMR:核磁気共鳴
TFA:トリフルオロ酢酸
hr(s):時間
min(s):分
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
MeOH:メタノール
TLC:薄層クロマトグラフィー
TIS:トリイソプロピルシラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
PyAOP:[7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート]
Boc:t−ブトキシカルボニル。
【0102】
実施例1: 4−トリメチルアンモニウムベンズアルデヒドトリフレート(化合物1)の合成
【0103】
【化29】

【0104】
本化合物は、Haka他(J.Labelled Cpds. & Radiopharms 1989 27(7)823)に記載の方法で合成した。
【0105】
実施例2: 2−(2−{2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−1,1−ジメトキシ−エタン(化合物7)の合成
【0106】
【化30】

【0107】
a)酢酸2−(2−{2−[2−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチルエステル(化合物4)の合成
THF(5ml)中に懸濁した水素化ナトリウム(248mg、鉱油中5.15mmol)の撹拌懸濁液に、2−{2−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エタノール(化合物2)(1.0g、5.15mmol)のTHF(5ml)溶液をシリンジを介して室温で添加した。気体発生が止まった後、混合物を室温で45分間撹拌したところ、その時点までに若干黄色がかった透明溶液が得られた。ブロモアセトアルデヒド(8.71g、51.5mmol)をシリンジで添加し、混合物を24時間撹拌した。次いで酢酸エチル(3ml)を添加し、混合物を室温でさらに2時間撹拌した。この混合物をエーテル(100ml)に注入し、10%KCO水溶液(30ml)及び塩水(30ml)で1回ずつ抽出した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残留油を蒸留して、過剰ブロモアセトアルデヒドを除去し、残留粗生成物を、100%酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して、生成物(355mg、21%)を無色オイルとして得た。
【0108】
b)2−(2−{2−[2−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エタノール(化合物5)
メタノール(3ml)中の酢酸2−(2−{2−[2−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチルエステル(化合物4)(110mg、0.34mmol)の撹拌溶液に1N NaOH/メタノール(1ml)を室温で添加した。反応をTLC(CHCl/MeOH、9:1)でモニターし、30分以内で完了した。溶媒を蒸発させ、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、9:1)で精製して、生成物(73mg、76%)を無色オイルとして得た。
【0109】
c)メタンスルホン酸2−(2−{2−[2−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エチルエステル(化合物6)
THF(1ml)中のアルコール(化合物5)(60mg、0.21mmol)とトリエチルアミン(59μl、0.42mmol)の撹拌溶液に、塩化メタンスルホニル(24:1、0.30mmol)を添加した。反応をTLC(CHCl/MeOH、9:1)でモニターした。2時間後、沈殿したトリエチルアミン塩酸塩を濾別した。溶媒を蒸発させ、クロロホルム/メタノール(9:1)を用いたフラッシュクロマトグラフィーの後に、生成物(75mg、99%)をオイルとして得た。
【0110】
d)2−(2−{2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−1,1−ジメトキシ−エタン(化合物7)
アセトニトリル(8ml)中のスルホネート(化合物6)(75mg、0.21mmol)とTBAF(THF中1.1M、573μl、0.63mmol)の混合物を90℃で30分間加熱した。TLC(酢酸エチル)でモニターして反応が完了したことを確認した。室温に冷却し、溶媒を蒸発させた後、残留物をフラッシュ乾燥(酢酸エチル)して、生成物(56mg、93%)を無色オイルとして得た。
【0111】
実施例3: 4−(3−フルオロプロポキシ)ベンズアルデヒドの合成(化合物10)
【0112】
【化31】

【0113】
a)4−(3−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド(化合物8)
DMF(30ml)中の4−ヒドロキシベンズアルデヒド(Fluka、4.9g、0.040mol)と炭酸ナトリウム(4.7g、0.044mol)と3−ブロモ−1−プロパノール(6.1g、0.044mol)の溶液を140℃で8時間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、残留物をエーテルに取り、水洗し、乾燥させた(NaSO)。濾過及び濃縮で黄色シロップ4.6g(64%)が得られたが、これはそれ以上精製せずに次の段階で使用した。構造はNMR分析で確認した。
【0114】
b)メタンスルホン酸3−(4−ホルミルフェノキシ)エチルエステル(化合物9)
ジクロロメタン(10ml)中のアルコール12(1.4g、8.0mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.2ml、8.5mmol)及び塩化メシル(0.62ml、8.0mmol)を添加した。室温で1.5時間撹拌した後、反応混合物を水洗し、乾燥(NaSO)して、粗製物(黄色オイル)1.8gを得た。290mgのアリコートを逆相クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Luna C18(2)5μm 21.2×250mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:60分間で20〜40%、流量10.0ml/分、UV検出波長254nm)で精製し、凍結乾燥後244mgの白色固形物を得た。構造はNMR分析で確認した。
【0115】
c)4−(3−フルオロプロポキシ)ベンズアルデヒド(化合物10)
フッ化カリウム(Fluka、7.2mg、0.124mmol)及びKryptofix 222(Fluka、46.7mg、0.124mmol)を乾燥アセトニトリル(2.5ml)に溶解した。10分後、混合物を、メタンスルホン酸3−(4−ホルミルフェノキシ)プロピルエステル13(16.0mg、0.062mmol)の乾燥アセトニトリル(1.5ml)撹拌溶液に添加した。反応混合物を60℃で30分間加熱した。生成物を、分析用HPLC(カラム:Phenomenex Luna C18(2)3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で10〜80%B、流量2.0ml/分、UV検出波長214及び254nm)で、市販標準物質(Fluorochem)と同時に5.0分で溶出したことから確認した。
【0116】
【化32】

【0117】
実施例4: 1,1ジメトキシ−4−フルオロメチルシクロヘキサンの合成(化合物14)
【0118】
【化33】

【0119】
a)4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン(化合物11)
本化合物はBorden他(J.Org.Chem., 1985, 50, 531−534)に記載の方法で合成した。生成物は1H及び13C NMRで特性決定した。
【0120】
b)1,1−ジメトキシ−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン(化合物12)
乾燥メタノール(30ml)中のケトン11(2.54g、19.8mmol)、オルトギ酸トリメチル(9.75ml、89.1mmol)とp−トルエンスルホン酸(150mg、0.79mmol)の溶液を窒素中室温で24時間撹拌した。反応混合物を、固形炭酸カリウム(4g)で中和し、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗製物をDCM(30ml)に溶解し、水(40ml)で洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、蒸発させた。黄色の粗製オイル(3.0g)を85Cで蒸留(0.2mmHg)して、生成物(1.69g、49%)を無色オイルとして得た。生成物は1H及び13C NMRで特性決定した。
【0121】
c)メタンスルホン酸4,4−ジメトキシ−シクロヘキシルメチルエステル(化合物13)
乾燥DCM(5ml)中のアルコール12(275mg、1.58mmol)とトリエチルアミン(3.3ml、23.7mmol)の冷却(0C)溶液に、窒素中で、塩化メタンスルホニル(246ul、3.16mmol)を滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。沈殿したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、溶媒を蒸発させた。粗製物をDCM(30ml)に溶解し、水洗し(2×20ml)、乾燥し(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ミネラルスピリット:NH(50:50:4))で精製して、生成物(214mg、54%)を薄黄色オイルとして得た。生成物は1H及び13C NMRで特性決定した。
【0122】
【化34】

【0123】
実施例5: ペプチド前駆体の合成(化合物15)
ペプチド化合物14を標準的ペプチド合成法を用いて合成した。化合物14(150mg、0.12mmol)のDMF溶液を、Boc−アミノキシ酢酸(34.4mg、0.18mmol)、PyAOP(93.9mg、0.18mmol)及びNMM(40μl、0.36mmol)のDMF溶液に添加した。DMFを、12時間後に真空蒸発させ、粗生成物を調製用逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4253−V0、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:60分間で10〜50%B、流量50ml/分、検出波長254nm)で精製して純粋な化合物97.1mg(57%)を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0、溶媒A=水+0.1%TFA、溶媒B=CHCN+0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間19.4分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1431.2[M−H]であった。
【0124】
【化35】

【0125】
実施例6: 化合物1と化合物15との化学選択的ライゲーションによる化合物16の合成
【0126】
【化36】

【0127】
ペプチド15の脱保護を、水分量5%のTFAをペプチド10mgに添加して実施した。1ml水中のBoc脱保護ペプチド(5.9mg、0.0044mmol)を、1mlアセトニトリル中の4−フルオロベンズアルデヒド(化合物1)(1.1mg、0.94μl、0.0089mmol)に添加した。混合物のpHは3.5であった。45分後、70度で、混合物を調製用逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4253−N0、溶媒A=水+0.1%TFA、溶媒B=CHCN+0.1%TFA、勾配:20分間で10〜40%B、流量5.0ml/分、214nmで検出)で2回精製して、純粋な化合物2.0mg(32%)を得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0、溶媒A=水+0.1%TFA、溶媒B=CHCN+0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間16.3分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1437.2[M−H]であった。
【0128】
実施例7: 化合物7と化合物15との化学選択的ライゲーションによる化合物17の合成
【0129】
【化37】

【0130】
2−(2−{2−[2−(2−フルオロ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)1,1−ジメトキシエタン6(3.9mg、0.016mmol)の保護基を、濃HClのアセトニトリル溶液(1:1)(0.5ml)を用いて除去した。混合物を15分間放置し、次いで、化合物9(10mg、0.007mmol)を水分量5%のTFAで処理してから20分後にTFAを真空蒸発させて得たBoc脱保護ペプチドに添加した。アンモニアで混合物のpHを4に調節し、次いで70度で20分間加熱した。分析用HPLC及びLC−MSを用いて反応をモニターし、調製用逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4253−N0、溶媒A=水+0.1%TFA、溶媒B=CHCN+0.1%TFA、勾配:30分間で10〜50%B、流量5.0ml/分、214nmで検出)で精製して、純粋な化合物を5.5mg(51%)得た(分析用HPLC:Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0、溶媒A=水+0.1%TFA、溶媒B=CHCN+0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間14.3及び14.7分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1551.1[M−H]であった。
【0131】
実施例8: 18F−化合物16の放射標識合成
a)18F−化合物1の放射標識合成
18F−フッ化物(最大370MBq)をKryptofix 222(0.5mlのMeCN中12〜14mg)及び炭酸カリウム(0.1M水溶液100μl)の存在下、N中で125℃に15分間加熱して共沸乾燥した。この間、2×1mlのMeCNを添加し、蒸発させた。<40℃に冷却した後、トリメチルアンモニウムベンズアルデヒドトリフレート溶液(0.7mlのDMSO中3〜7mg)を添加した。反応容器を密閉し、120℃で15分間加熱して標識させた。粗製反応混合物を室温に冷却し、10mlの水に添加して希釈した。混合物を、Sep−pak CM−plusカートリッジ(10mlの水でコンディショニング)及びSepPak C18−plusカートリッジ(20mlのEtOH及び20mlのHOでコンディショニング)に連続して流した。これらのカートリッジに水(10ml)をフラッシュし、生成物の18F−フルオロベンズアルデヒドを、SepPak C18−plusカートリッジからMeOH(1ml)で溶出した。
【0132】
b)化合物15と4−18F−フルオロベンズアルデヒドとの結合
化合物15(4〜5mg)を水分量5%のTFAで室温で5分間処理した。次いで溶媒を真空蒸発によって除去した。ペプチドを、0.5M NHOAc緩衝液、pH4(0.5ml)に再び溶解し、反応容器内で4−18F−フルオロベンズアルデヒドと一緒にした。反応容器を密閉し、70℃に15分間加熱して結合させた。室温に冷却した後、調製用放射標識HPLC(カラムPhenomenex Prodigy ODS−Prep、250×10mm、10μ、4ml/分、溶媒A:HO(0.5%TFA)、溶媒B:CHCN(0.5%TFA)、勾配:5分間で10%B、15分間で10〜40%B)で生成物を得た。
【0133】
実施例9: 18F−化合物17の放射標識合成
a)18F化合物7の放射標識合成
Kryptofix 222(10mg)、炭酸カリウム(50μl水中1mg)及びアセトニトリル(0.8ml)を仕込んだWheatonバイアル(2ml)に、フッ素−18を含有する水(10mCi、1ml)を添加した。窒素気流下110℃で30分間加熱して溶媒を除去した。無水アセトニトリル(0.5ml)を添加し、同様に蒸発させた。この段階を2回繰り返した。無水DMSO(0.2ml)中の化合物6(1ml)の溶液を添加した。マイクロ波(5分、160℃、150→50W)で加熱した後、反応混合物を室温に冷却し、MeCN(5ml)及びHO(20ml)でコンディショニングしたSepPak C18−plusカートリッジに流した。カートリッジに水(10ml)をフラッシュし、生成物をMeCN(0.5ml)で溶出した。80℃の窒素気流を用いて溶媒を蒸発させた。HCl(34μl、12M)とMeCN(34μl)の混合物を添加し、バイアルを室温で5分間放置した。
【0134】
b)化合物15と18F−化合物7との結合
化合物15(3mg)をTFA/5%HO(0.2ml)と反応させた。室温で1分間静置した後、窒素気流で溶媒を除去した。脱保護した18F−化合物7の入ったバイアルに水酸化アンモニウム(38μl、28%)を添加した。中和混合物を、酢酸アンモニウム緩衝液(50μl、pH4.0、0.5M)中の脱保護化合物15の入ったバイアルに移した。バイアルを70℃で7分間インキュベートした。室温に冷却し、HPLC移動相(100μl、20%MeCN、80%HO、0.5%TFA)を添加した後、調製用放射標識HPLC[カラム:Luna C18(2)、Phenomenex、100×10mm、5μ、4ml/分、溶媒A:HO(0.5%TFA)、溶媒B:CHCN(0.5%TFA)、勾配:20分間で10〜50%B]で生成物を得た。
【0135】
実施例10: 4−(フルオロメチル)ベンゾイル]ヒドラジドの合成−化合物23
【0136】
【化38】

【0137】
アルデヒド又はケトン修飾ペプチドとの結合用のトリ−t−ブチル2−[4−(フルオロメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレートの合成
a)t−ブチル2−[4−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]−ヒドラジノ−1−カルボキシレートの合成−化合物18
【0138】
【化39】

【0139】
ジクロロメタン(20ml)中の4−ヒドロキシメチル安息香酸ペンタフルオロフェニルエステル(Milligen、0.60g、1.9mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.29g、1.9mmol)、カルバジン酸t−ブチル(Fluka、0.29g、2.2mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.68ml、4.0mmol)の溶液を3時間還流した。反応混合物を真空濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサン 9:1)で精製した。収量は0.50g(90%)。分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna C18(2) 3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で10〜80%B、流量2.0ml/分、保持時間2.38分、検出波長214及び254nm。NMR分析は上記構造と一致した。
【0140】
b)t−ブチル2−[4−(t−ブチルジフェニルシロキシメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1−カルボキシレートの合成−化合物19
【0141】
【化40】

【0142】
ジクロロメタン(60ml)中のt−ブチルジフェニルクロロシラン(0.57ml、2.2mmol)、t−ブチル2−[4−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]−ヒドラジノ−1−カルボキシレート(0.48g、1.8mmol)及びイミダゾール(0.37g、5.4mmol)の溶液を、室温で1時間15分撹拌した。この溶液を、硫酸水素カリウム水溶液で抽出し(pH3、3×20ml)、乾燥した(NaSO)。生成物を、HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2) 3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で60〜100%B、流量2.0ml/分、保持時間3.37分、検出波長214及び254nm)で分析した。溶液を濃縮し、生成物をそれ以上精製せずに次の段階で使用した。
【0143】
c)トリ−t−ブチル2−[4−(t−ブチルジフェニルシロキシメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレートの合成−化合物20
【0144】
【化41】

【0145】
ジクロロメタン(15ml)中のt−ブチル2−[4−(t−ブチルジフェニルシロキシメチル)ベンゾイル]−ヒドラジノ−1−カルボキシレート(69mg、0.14mmol)の溶液に、DMAP(20mg、0.16mmol)、トリエチルアミン(0.13ml、0.96mmol)及びジ−t−ブチル−ジカーボネート(90mg、0.41mmol)を添加した。2時間後、減圧下で溶媒を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル、4:1)で精製した(分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna C18(2) 3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で60〜100%B、流量2.0ml/分、保持時間7.85分、検出波長214及び254nm)。構造はNMR分析で確認した。
【0146】
d)トリ−t−ブチル2−[4−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレートの合成−化合物21
【0147】
【化42】

【0148】
THF(25ml)中のトリ−t−ブチル2−[4−(t−ブチルジフェニルシロキシメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレート(0.37g、0.52mmol)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1.1M、0.50ml、0.55mmol)を添加した。50分後、塩化アンモニウム水溶液(10%、10ml)を添加した。10分後、この混合物をジクロロメタンで抽出し(3×15ml)、有機相を乾燥した(NaSO)。溶液を濃縮し、残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製して、生成物0.21g(84%)を得た(分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna C18(2)3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で60〜100%B、流量2.0ml/分、保持時間1.38分、検出波長214及び254nm)。構造はNMR分析で確認した。
【0149】
e)トリ−t−ブチル2−[4−(メタンスルホネートメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレートの合成−化合物21
【0150】
【化43】

【0151】
ジクロロメタン(40ml)中のトリ−t−ブチル2−[4−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレート(0.22g、0.48mmol)及びトリエチルアミン(0.080ml、0.57mmol)の撹拌溶液に、塩化メタンスルホニル(0.040ml、0.52mmol)を添加した。2時間後、2回目として塩化メタンスルホニル及びトリエチルアミン(同量)を添加した。12時間後、分析用HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2)3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で10〜80%B、流量2.0ml/分、保持時間8.25分、検出波長214及び254nm)で、反応が完了したことを確認した。混合物を、シリカに通して濾過し、真空濃縮した。生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製し、0.21g(81%)を得た。NMR分析は上記構造と一致した。
【0152】
f)トリ−t−ブチル2−[4−(フルオロメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレートの合成−化合物22
【0153】
【化44】

【0154】
フッ化カリウム(3.0mg、0.052mmol)及びKryptofix 222(Fluka、20mg、0.053mmol)を、乾燥アセトニトリル(0.6ml)に溶解した。15分後、混合物を、乾燥アセトニトリル(0.4ml)中のトリ−t−ブチル2−[4−(メタンスルホネートメチル)ベンゾイル]ヒドラジノ−1,1,2−トリカルボキシレート(14mg、0.026mmol)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を60℃で15分間加熱した。生成物を調製用HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2)5μm 21.2×250mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:60分間で60〜100%B、流量10.0ml/分、保持時間33分、214nmで検出)で精製した。収量は3.2mg(26%)。分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna C18(2)3μm 4.6×50mm、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配:10分間で10〜80%B、流量2.0ml/分、保持時間8.78分、検出波長214及び254nm。構造はNMR分析で確認した。化合物23を得るための化合物22の脱保護を50%TFA/DCMで15分間行った。
【0155】
実施例11: アミノキシ、ヒドラジン又はヒドラジド修飾ペプチドとの結合用の2−[2−(2−フルオロメチル−フェニルスルファニル)−エチル]−[1,3]−ジオキソランの合成−化合物2
【0156】
【化45】

【0157】
a)[2−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イルエチルスルファニル)フェニル]メタノールの合成−化合物24
【0158】
【化46】

【0159】
2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソラン(223μl、1.86mmol)を、2−メルカプトベンジルアルコール(52.3mg、0.37mmol)及び炭酸カリウム(102.3、0.74mmol)のDMF溶液に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した後、減圧下でDMFを蒸発させ、粗生成物を、調製用逆相クロマトグラフィー(Vydac 218TP1022カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:40分間で10〜50%B、流量10ml/分、214nmで検出)で精製した。65.1mgの収量で精製物を得た(分析用HPLC:Vydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間15.017分、検出波長214及び254nm)。
【0160】
b)2−[2−(2−クロロメチル−フェニルスルファニル)−エチル]−[1,3]ジオキソランの合成−化合物25
【0161】
【化47】

【0162】
塩化メシル(65μl、0.83mmol)を、[2−(2−[1,3]ジオキソラン−2−イル−エチルスルファニル)フェニル]−メタノール(40mg、0.17mmol)及びトリエチルアミン(116μl、0.83mmol)のTHF溶液に添加した。5日後、沈殿物を濾別し、THFを減圧下で蒸発させ、粗生成物を、調製用逆相クロマトグラフィー(Vydac 218TP1022カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:40分間で40〜80%B、流量10ml/分、検出波長254nm)で精製した。画分を冷蔵庫内に一晩放置し、アセトニトリル相にジエチルエーテルを添加し、乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた。24.5mgの収量で精製物を得た(分析用HPLC:Vydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で40〜80%B、流量1.0ml/分、保持時間10.4分、検出波長214及び254nm)。構造はNMRで確認した。
【0163】
c)2−[2−(2−フルオロメチル−フェニルスルファニル)−エチル]−[1,3]ジオキソランの合成−化合物26
【0164】
【化48】

【0165】
フッ化カリウム(3.5mg、0.060mmol)及びKryptofix 222(22.5mg、0.060mmol)をアセトニトリル(1ml)に溶解し、2−[2−(2−クロロメチル−フェニルスルファニル)−エチル]−[1,3]ジオキソラン(7.7mg、0.030mmol)のアセトニトリル(1ml)溶液に添加した。反応混合物を70度で30分間加熱した。粗生成物を、調製用逆相クロマトグラフィー(Vydac 218TP1022カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:40分間で40〜80%B、流量10ml/分、検出波長254nm)で精製した。画分を冷蔵庫内に一晩放置し、アセトニトリル相にジエチルエーテルを添加し、乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた(分析用HPLC:Vydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で40〜80%B、流量1.0ml/分、保持時間9.200分、検出波長214及び254nm)。構造はNMRで確認した。
【0166】
実施例12: 4−フルオロメチルベンズアルデヒドの合成−化合物29
【0167】
【化49】

【0168】
a)(4−ホルミルフェニル)メチルメタンスルホネートの合成−化合物28
【0169】
【化50】

【0170】
塩化メシル(12.8μl、0.16mmol)を、4−(ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒドジメチルアセテート(30mg、0.16mmol)及びトリエチルアミン(22.9μl、0.16mmol)のTHF溶液に添加した。1時間後、さらに同量の塩化メシル及びトリエチルアミンを添加した。1時間後、沈殿物を濾別し、THFを減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカ短カラム及びDCMを用いて精製し、純粋な生成物42.0mg(98%)を得た(分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna 00B−4251−E0、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:10分間で5〜50%B、流量2.0ml/分、保持時間4.900分、検出波長214及び254nm)。構造はNMRで確認した。
【0171】
b)4−フルオロメチルベンズアルデヒドの合成−化合物29
【0172】
【化51】

【0173】
KF(2.7mg、0.047mmol)及びkryptofix 222(17.6mg、0.047mmol)をアセトニトリル(1ml)に溶解して、(4−ホルミルフェニル)メチルメタンスルホネート(10mg、0.047mmol)のアセトニトリル(1ml)溶液に添加した。反応混合物を65度で10分間加熱した。粗生成物を、シリカ短カラム及びジエチルエーテルを用いて精製した(分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna 00B−4251−E0、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:10分間で5〜50%B、流量2.0ml/分、保持時間5.1分、検出波長214及び254nm)。
【0174】
実施例13: 官能化オキシトシン(ジスルフィドCys1−6)アナログ;[BocNHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH]の合成−化合物30
【0175】
【化52】

【0176】
保護Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH:完全自動合成(ABI 433A)を用いたアミノ酸配列の構築。樹脂を手動式バブラー装置に入れ、5%の水及び5%のTISを含むTFAで切断した。1時間後、TFAを減圧下で蒸発させた。得られた沈殿物をエーテルで洗浄し、自然乾燥した。TFA及びDMSO(95:5)をペプチドに添加した。2時間後、TFAを減圧下で蒸発させ、残留物にジエチルエーテルを添加した。得られた沈殿物をエーテルで洗浄し、自然乾燥した。ペプチド(70.6mg、0.063mmol)のDMF(5ml)溶液を、Boc−アミノキシ酢酸(23.9mg、0.13mmol)、PyAOP(65.2mg、0.13mmol)及びNMM(27.5μl、0.25mmol)のDMF(5ml)溶液に添加した。DMFを、12時間後に減圧下で蒸発させた。粗生成物を、調製用逆相クロマトグラフィー(Vydac 218TP1022カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:40分間で10〜60%B、流量10ml/分、230nmで検出)で精製した(分析用HPLC:Vydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間16.5分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1293.0[MH]であった。
【0177】
実施例14: 4−フルオロメチル−ベンズアルデヒドとオキシトシン(ジスルフィドCys1−6);[NHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH]との結合−化合物31
【0178】
【化53】

【0179】
TFA及び5%の水を使用して、オキシトシン(ジスルフィドCys1−6);[Boc−NHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH](3.0mg、0.0023mmol)からBoc保護基を切断した。TFAを30分後に減圧下で蒸発させ、水(0.5ml)中の4−フルオロメチル−ベンズアルデヒド(1.5mg、0.011mmol)を添加し、pHを希釈アンモニアで4に調節した。混合物を70度で50分間加熱した(分析用HPLC:カラムPhenomenex Luna 00B−4251−E0、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:10分間で10〜60%B、流量2.0ml/分、保持時間6.3分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1313.1[MH]であった。
【0180】
実施例14: 3−(2−フルオロメチル−フェニルスルファニル)−プロピオンアルデヒドとオキシトシン(ジスルフィドCys1−6);[NHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH])との結合−化合物32
【0181】
【化54】

【0182】
結合に先だって、実施例6に記載の通りペプチド部分からBoc基を除去した。アセトニトリル0.1ml中の1N HCl(1:1)を使用して、3−(2−フルオロメチル−フェニルスルファニル)−プロピオンアルデヒド(0.81mg、0.0034mmol)の保護基を除去した。混合物を30分間放置し、その後、0.4ml水中のペプチド(2.0mg、0.0017mmol)に添加し、pHを希釈アンモニアで4に調節した。混合物を70度で50分間加熱した(分析用HPLC:Vydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間19.8分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1373.5[MH]であった。
【0183】
実施例15: 化合物7とオキシトシン(ジスルフィドCys1−6);[NHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH])との結合−化合物33
【0184】
【化55】

【0185】
TFA及び5%の水を使用して、Boc保護基を、オキシトシン(ジスルフィドCys1−6);[Boc−NHOCHCO−Ahx−Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH](2.5mg、0.0019mmol)から切断した。TFAを、30分後に減圧下で蒸発させた。アセトニトリル0.5ml中の1N HCl(1:1)を使用して、化合物7(1.0mg、0.0041mmol)の保護基を除去した。混合物を30分間放置し、その後ペプチドに添加し、pHを希釈アンモニアで4に調節した。混合物を70度で15分間加熱した(分析用HPLC:カラムVydac 218TP54カラム、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=CHCN/0.1%TFA、勾配:20分間で10〜50%B、流量1.0ml/分、保持時間15.1及び15.4分、検出波長214及び254nm)。質量分析法でさらに特性決定したところ、m/z値1413.5[MH]であった。
【0186】
これらの実施形態は本発明の幾つかの態様を例示するためのものであり、本明細書及び請求項に記載された発明の技術的範囲は本明細書に開示した特定の実施形態によって限定されるものではない。いかなる均等な実施形態も本発明の技術的範囲に属する。実際、本明細書に記載したもの以外の本発明の様々な変形例は、本明細書の記載から当業者には明らかであろう。かかる変形例も、特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応又は式(III)の化合物と式(IV)化合物との反応によってそれぞれ式(V)又は(VI)のコンジュゲートを得ることを含んでなる放射性フッ素化方法。
【化1】

式中、R1は、アルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、又はジオールもしくはN末端セリン残基のような官能基であって、酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することができるものであり、
R2は、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミカルバジドから選択される基、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基であり、
R3は、第1級アミン、第2級アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドから選択される基、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノキシ基であり、
R4は、アルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、又はジオールもしくはN末端セリン残基のような官能基であって、酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することができるものである。
【化2】

式中、Xは−CO−NH−、−NH−、−O−、−NHCONH−又は−NHCSNH−、好ましくは−CO−NH−、−NH−又は−O−であり、YはH、アルキル又はアリール置換基であり、
式(II)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物におけるリンカー基は以下の群から選択される。
【化3】

式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
pは0又は1の整数であり、
ZはO又はSである。
【請求項2】
式(Ia)の化合物と式(IIa)の化合物との反応又は式(IIIa)の化合物と式(IVa)化合物との反応によってそれぞれ式(Va)又は(VIa)のコンジュゲートを得ることを含んでなる放射性フッ素化方法。
【化4】

式中、R1及びR4は、請求項1で定義した通りであり、
式(IIa)及び(IVa)の化合物におけるリンカー基は各々C1〜60ヒドロカルビル基、好適にはC1〜30ヒドロカルビル基であって、適宜酸素又は窒素のような1〜30個のヘテロ原子、好適には1〜10個のヘテロ原子を含むものである。
【化5】

式中、YはH、アルキル又はアリール置換基であり、リンカー基は式(IIa)又は(IVa)の化合物に関して定義した通りである。
【請求項3】
式(VII)の化合物と式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)の化合物との反応によってそれぞれ式(XII)〜(XV)の化合物を得ることを含んでなる放射性フッ素化方法。
【化6】

【化7】

式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
Xは−CO−NH−、−NH−又は−O−、好ましくは−O−であり、
YはH、アルキル又はアリール置換基である。
【化8】

式中、Xは、式(VII)の化合物に関して定義した通りであり、m及びnは式(VIII乃至XI)の化合物に関して定義した通りである。
【請求項4】
式(XVI)の化合物と式(XVII)、(XVIII)、(XIX)又は(XX)の化合物との反応によってそれぞれ式(XXI)、(XXII)、(XXIII)又は(XXIV)の化合物を得ることを含んでなる放射性フッ素化方法。
【化9】

式中、YはH、アルキル又はアリール置換基である。
【化10】

式中、mは1〜10の整数であり、nは1〜20の整数であり、Wは−CONH−、−NH−又は−O−である。
【化11】

式中、Wは−CONH−、−NH−又は−O−であり、
m、nは、式(XIII)〜(XI)の化合物に関して定義した通りであり、YはH、アルキル又はアリール部分である。
【請求項5】
前記ベクターがArg−Gly−Aspペプチド又はそのアナログである、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ベクターが以下のフラグメントを含む、請求項5記載の方法。
【化12】

【請求項7】
前記ベクターが式(A)のものである、請求項5又は請求項6記載の方法。
【化13】

式中、Xは−NH又は以下の式のものであり、
【化14】

式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【請求項8】
請求項1で定義した式(II)の化合物、又は請求項2で定義した式(IIa)の化合物であって、式(II)の化合物においてリンカーがフェニルであるときはR2がアミノキシ(好適にはONH)であることを条件とする化合物。
【請求項9】
式(XVII)、(XVIII)、(XIX)又は(XX)の化合物。
【化15】

式中、mは1〜10の整数であり、nは1〜20の整数であり、Wは−CONH−、−NH−又は−O−である。
【請求項10】
請求項1で定義した式(IV)の化合物又は請求項2で定義した式(IVa)の化合物であって、
(i)式(IV)の化合物においてリンカーがフェニルではなく、
(ii)式(IVa)の化合物においてリンカーがフェニルでも、ハロ、ヒドロキシ又はベンジルオキシで置換されたフェニルでもないことを条件とする化合物。
【請求項11】
式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)の化合物。
【化16】

式中、nは0〜20の整数であり、
mは1〜10の整数であり、
Xは−CO−NH−、−NH−又は−O−、好ましくは−O−であり、
YはH、アルキル又はアリール置換基であり、式(X)の化合物ではnが0ではないことを条件とする。
【請求項12】
請求項1で定義した式(I)又は(III)の化合物、或いは請求項2で定義した式(Ia)又は(IIIa)の化合物。
【請求項13】
前記ベクターがArg−Gly−Aspペプチド又はそのアナログである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
前記ベクターが式(A)のものである、請求項12又は請求項13記載の化合物。
【化17】

式中、Xは、−NH又は以下の式のものであり、
【化18】

式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【請求項15】
請求項1で定義した式(V)又は(VI)の化合物。
【請求項16】
請求項2で定義した式(Va)又は(VIa)の化合物。
【請求項17】
請求項3で定義した式(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)の化合物。
【請求項18】
請求項4で定義した式(XXI)、(XXII)、(XXIII)、(XXIV)の化合物。
【請求項19】
前記ベクターがArg−Gly−Aspペプチド又はそのアナログである、請求項15乃至請求項18のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
前記ベクターが以下のフラグメントを含む、請求項19記載の化合物。
【化19】

【請求項21】
前記ベクターが、式(A)のものである、請求項19記載の化合物。
【化20】

式中、Xは−NH又は以下の式のものであり、
【化21】

式中、aは1〜10の整数、好ましくは1である。
【請求項22】
次式の化合物。
【化22】

【請求項23】
請求項15乃至請求項22のいずれか1項記載の化合物の有効量を、薬学的に許容される1種以上の補助薬、賦形剤又は希釈剤と共に含む、放射性医薬品組成物。
【請求項24】
医療用の、請求項15乃至22のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
インビボイメージング法で使用される放射性医薬品を製造するための、請求項15乃至請求項22のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項26】
ヒト又は動物の身体の画像を生成する方法であって、請求項15乃至請求項22のいずれか1項記載の化合物を身体に投与し、PETを用いて化合物が分布した身体の少なくとも一部の画像を生成することを含む方法。
【請求項27】
癌に付随する症状に作用する薬剤、好ましくは血管形成を抑制する薬剤によるヒト又は動物の身体の治療の効果をモニターする方法であって、請求項19乃至請求項22のいずれか1項記載の化合物を身体に投与し、及び細胞受容体によるコンジュゲートの取込みを検出することを含み、投与及び検出を、適宜、しかし好ましくは、上記薬剤による治療前、治療中及び治療後に行う方法。

【公表番号】特表2006−523658(P2006−523658A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505951(P2006−505951)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001052
【国際公開番号】WO2004/080492
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】