説明

生物活性成分用の担体としてのカチオン性ラテックスならびにその製造方法および使用方法

本発明は、抗細菌剤や抗菌類剤のような少なくとも1種の生物活性要素が組み込まれたラテックス組成物と、そのようなラテックス組成物の製造方法と、に関する。本明細書中に開示されるラテックス組成物は、少なくとも1種の生物活性要素の存在下でラテックス要素モノマーを乳化重合することにより調製可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル、金属、セルロース系材料、プラスチックなどのような多種多様な基材と組み合わせて使用可能な高分子材料の分野、および抗細菌物質や抗菌類物質のような生物活性剤/抗微生物剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
固体基材上へのラテックスポリマーコーティングの堆積は、疎水性、強度、接着性、適合性などのような特定の最終使用性能特性をそうした基材に付与するために長い間利用されてきた。出発モノマー、界面活性剤、乳化重合条件、および他のパラメーターの選択に依存して、コーティング性能に直接影響する特徴であるアニオン性、カチオン性、もしくは両性の電荷を有するように堆積ポリマーをデザインすることが可能である。さらに、追加もしくは増強された特徴を最終コーティング材料に付与するために、得られたラテックスポリマーをある範囲内の他の機能性材料とブレンドすることが可能である。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0003163号に開示されるカチオン性ラテックスポリマーが呈するとくに有用な特徴の1つは、その固有の抗微生物特性である。こうした性質を増強するために、カチオン性ポリマーを、より典型的に抗微生物活性に関連する種である小分子生物活性化合物を含有する組成物と、ブレンドすることも可能である。こうした抗微生物要素は、ポリマーが製造された後で添加される配合成分として通常は比較的少量で利用される。そのようなブレンドは有用であるが、こうした組成物が提供しうる抗微生物保護の程度を増強または制御しようとするうえで、多くの実用上の課題が残されている。たとえば、そのような組成物および方法は、材料の長期保護を提供するうえで、とくにその抗菌類性の点で、不適切であることが多い。抗微生物性を増大させたりまたはより精密に制御したりする方法もまた、必要とされている。新しい抗微生物材料すなわち抗微生物ポリマーの導入に関連する規制上の課題が重要になる可能性がある。さらに、抗微生物性の有効性を延長または拡張する手段は、いまだにわかっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0003163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、必要とされることは、ラテックスポリマーならびにそれから作製されるコーティングおよび物品の抗微生物活性を付与および増強するための新しい方法および手段である。同様に必要とされることは、そのような材料の抗微生物活性をより厳密に管理する方法(その生物活性の有効性を拡張する手段を包含する)である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ラテックスの抗微生物性を増強および制御できるように、抗細菌剤や抗菌類剤のような生物活性成分(ingredients)または抗微生物成分をラテックス中に組み込むための新しい方法および手段を包含する。本発明はまた、新しいタイプの生物活性カチオン性ポリマーラテックス材料に関する。一態様では、本開示は、乳化重合プロセス時に抗微生物成分をラテックス中に組み込むための方法を提供する。これまでは、抗微生物剤は、重合プロセス後に、かつラテックス製品用または塗料のような最終使用用途用の保存剤として比較的少量で、ラテックスに添加されてきた。本発明は、より高濃度の広範にわたる生物活性成分(高疎水性生物活性成分を包含する)の使用を可能にする。こうした成分は、得られたラテックス粒子が活性成分用の担体として機能するようにラテックス中に容易に組込み可能である。このようにして活性成分を完全に組み込むことにより、添加剤の実質的に均一な分布を提供することが可能であり、しかも事前に製造されたディスパージョンと比較して優れたかつ持続性のある性能を得ることが可能である。
【0007】
本発明の一態様では、乳化重合は、典型的にはモノマーストリーム中に生物活性要素(component)を溶解させることにより、乳化重合時にポリマー中に生物活性剤が組み込まれるように行われる。このようにして、生物活性剤をラテックスポリマーマトリックス内に少なくとも部分的にカプセル化することが可能である。このプロセスにより提供される利点の1つは、生物活性剤を実質的に劣化させることなく多量の生物活性成分(疎水性要素を包含する)の組込みまたはカプセル化を行いうることである。他の態様では、本発明はまた、カチオン性ラテックスに基づく調整可能な抗微生物系を提供する。このカチオン性ラテックスは、なんらかの固有の抗微生物性を有し、少なくとも1種の生物活性成分用の担体としても機能し、かつ場合により、本明細書に開示されるラテックスとブレンド可能な他の生物活性添加剤をさらに含む。したがって、こうしたラテックスは、多機能目的、たとえば、活性機能成分用の担体であることに加えて、結合性、強度性、および分散性を提供するという目的、ならびに場合により、ブレンドされる抗微生物組成物の一要素を構成するという目的を有しうる。
【0008】
一態様では、典型的には、乳化重合プロセス時に生物活性成分がラテックス中に組み込まれるので、こうした生物活性要素をラテックスポリマーマトリックス内に少なくとも部分的にカプセル化することが可能である。他の態様では、生物活性要素をラテックスポリマーマトリックス内に実質的にカプセル化することが可能である。理論により拘束しようとするものではないが、所望の最終使用用途に活性成分を供給することにより、カプセル化された生物活性成分を有するラテックスポリマーは、生物活性成分をそれが置かれた環境に持続的にかつ制御下で暴露することが可能であり、それにより、より長期間のかつより有効な保護を製品または用途に提供することが可能であると考えられる。さらに、生物活性カチオン性ラテックスは、既存の乳化重合プロセスにより形成可能であるので、有利なことに、こうした重合方法により高分子量ポリマーの調製が可能である。
【0009】
さらなる態様では、本明細書に開示される方法はまた、抗微生物剤の配置手段を組み合わせて用いることにより抗微生物挙動を調整する可能性を提供する。たとえば、乳化重合プロセス時に生物活性成分をラテックス中に組み込むとともに、得られたラテックス生成物を同一のもしくは異なる生物活性要素とブレンド状態で組み合わせることにより、高度に調整された抗微生物性を製品に付与することが可能である。この手段によれば、状況および所要の性能に応じて、ポリマー、添加剤、またはその両方を使用することにより、抗微生物性を選択および調整することが可能である。
【0010】
このほかのさらなる態様では、本明細書に開示される技術は、標準的方法により提供されるよりも多量の活性成分をラテックス組成物中にカプセル化する能力を提供可能である。たとえば、抗微生物要素は、通常は、ラテックスポリマーが調製された後で配合成分として比較的少量で利用され、かつそのような生物活性剤は、典型的には、約1000〜2000ppmまでの範囲内の濃度で利用される。これとは対照的に、本発明に係るラテックス組成物の抗微生物要素は、全モノマー重量を基準にして約40重量パーセント程度の高濃度で利用可能である。この態様では、本発明は、そのままの状態でもしくは添加剤として使用可能な安定な濃厚ディスパージョンまたは抗微生物保護を必要とする他の系に希釈添加可能な濃厚ディスパージョンを提供可能である。抗微生物要素の濃度が高いので、柔軟性が提供され、かつ濃厚物としてさらには非濃厚形態でこうしたラテックス組成物の有用性が確保される。
【0011】
本明細書に開示される方法は、特定の最終使用に必要とされる任意の生物活性剤に適用可能であるが、本開示は、主に、ラテックス、基材、または特定の最終製品の抗微生物性を提供または増強することに関する。関連する抗微生物活性は、生物活性剤の特定の選択に依存して、抗細菌活性、抗菌類活性、抗ウイルス活性、抗寄生生物活性、またはそれらの任意の組合せを包含しうる。本明細書中で用いられる場合、「生物活性」要素(component)、「生物活性」剤(agent)、または「生物活性」成分(ingredient)という一般用語は、「抗微生物」要素、「抗微生物」剤、または「抗微生物」成分という用語と同義的に用いられる。
【0012】
他の態様では、本発明は、
a)i)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーとii)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーとの重合生成物を含むラテックスポリマーと、
b)ラテックスポリマー内に少なくとも部分的にカプセル化された少なくとも1種の生物活性要素と、
c)場合により、ラテックスポリマー中に組み込まれた少なくとも1種の立体的に嵩高い要素と、
を含む生物活性カチオン性ポリマーラテックスを提供する。
【0013】
この態様では、エチレン性不飽和の第1のモノマーと、カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体であるエチレン性不飽和の第2のモノマー(「カチオン性」モノマーと呼びうる)とを、広範にわたる重量パーセントで使用可能である。たとえば、ラテックスは、全モノマー重量を基準にして約0.01〜約75重量パーセントのカチオン性の第2のモノマーを含みうる。
【0014】
また、この態様では、ラテックスポリマー中に組み込まれる少なくとも1種の立体的に嵩高い要素は省略可能な(optional)要素であるが、本発明はまた、広範にわたる量および濃度のこの要素の使用を提供する。したがって、当業者であればわかるであろうが、少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が組み込まれていない生物活性カチオン性ポリマーラテックスの場合、カチオン性の第2のモノマーの相対的割合を増大させたり非イオン性界面活性剤のような界面活性剤を添加したりするなどにより(そのような方法の任意の組合せを包含する)、ラテックスの安定性を向上させることが可能である。少なくとも1種の立体的に嵩高い要素の存在下では、カチオン性の第2のモノマーの相対的割合を低減することが可能であり、かつ/または界面活性剤を排除することが可能である。
【0015】
さらに、本発明に係るラテックスはまた、ラテックスを立体的に安定化させるためにカチオン性ポリマーラテックス中に組み込まれる立体的に嵩高い要素を含みうる。こうした立体的に嵩高い要素としては、以下に示されるようなモノマー、ポリマー、およびそれらの混合物が挙げられうるが、これらに限定されるものではない。したがって、カチオン性ポリマーの骨格に結合可能であるかまたはその一部分を構成可能であるコモノマーとしてモノマーを組み込むことが可能であり、その例としては、アルコキシル化されたエチレン性不飽和の第3のモノマーが挙げられる。ラテックス表面上への吸着またはグラフト化によりポリマーを組み込むことが可能であり、その例としては、ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、
b)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、
c)少なくとも1種の生物活性要素と、
d)少なくとも1種のフリーラジカル開始剤と、
e)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーと、
f)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーと、
g)場合により、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
を乳化重合時の任意の時点で含む水性組成物の乳化重合を開始することを含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法を提供する。したがって、一態様では、少なくとも1種の生物活性要素は、乳化重合プロセス時の任意の時点でモノマーフィード中に溶解可能である。さらに、他の態様では、水性組成物要素および少なくとも1種の生物活性要素は、乳化重合の開始前にディスパージョンとして提供可能である。したがって、本発明は、少なくとも1種の生物活性要素が種晶段階で存在するバッチプロセスを提供する。この態様では、乳化重合は、少なくとも1種の生物活性要素をはじめとする組成物のすべての要素が開始時点から存在する時に開始される。さらに、本発明はまた、組成物のすべての要素が開始時点から存在するわけではない時の一時点で乳化重合が開始される半連続プロセスを提供する。ただし、一部は、重合開始後の種々の時点で添加される。この態様では、たとえば、少なくとも1種の生物活性要素は、種晶段階の後の任意の時点で添加可能である。他の態様では、たとえば、任意の他の要素または以上に提供された要素の組合せを種晶段階の後で添加することが可能である。ただし、乳化重合の開始および成長に必要とされるいずれかの要素の全量の少なくとも一部分を除く。したがって、本明細書に提供される生物活性カチオン性ラテックスは、任意のさまざまなバッチプロセスによりまたは半連続プロセスにより製造可能である。たとえば、少なくとも1種の生物活性要素は、ディスパージョンとして提供可能であり、かつ乳化重合プロセス時に組成物に添加可能である。
【0017】
一態様では、本発明に係る生物活性ラテックスは、人工球窩関節、ロッド、ステント、歯科インプラント、ピン、ネジ、カテーテルなどをはじめとする医療用インプラントに適用可能なコーティングとして提供可能または使用可能である。そのようなコーティングはまた、空調コイル、エアフィルター、パイプ、屋根葺き材、浴室用品、台所用品などのような日常使用する表面上に提供可能である。そのようなコーティングにより、乗り物ならびに家屋、病院、および他の建築物において、細菌やカビのような微生物の感染を予防することが可能である。得られる生成物のさらなる使用例は、水溶液としての使用もしくは粉末形態での直接的使用、たとえば、冷却水回路を滅菌するための使用、または間接的使用、たとえば、塗料もしくは他の表面コーティング材に添加することによる使用である。
【0018】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、実施形態、および利点は、本発明の以下の詳細な説明を精査した後、明らかになるであろう。しかしながら、当然のことではあるが、こうした態様、実施形態、および実施例は、単に例示を目的として提供されたものであるにすぎず、なんらその範囲に制限を課すものとみなされるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、クラフト紙上にコーティングされた種々の抗微生物ラテックスの抗微生物性をASTM G21により評価した結果を示すグラフである。
【図2】図2は、乾燥ラテックスの1"×1"チップを作製し、菌類種をサンプル上に直接接種し、次に、7日後にその増殖を観測することに基づく30-III菌類検査の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、ASTM D-3273に準拠して28日間にわたり検査されたコーティング付きの紙サンプルの第2ラウンドの検査の結果を示すグラフである。この試験では、菌類種を表面上に直接接種するのではなく、コーティング付きの紙の表面上に後で付着する胞子して恒湿チャンバー内に保持した。
【図4】図4は、ウェットエンドプロセスで抗微生物ラテックスが紙中に組み込まれた紙の抗微生物性をコーティング付きの紙と比較してASTM D-3273により評価した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、テキスタイル、金属、セルロース系材料、プラスチックなどのような多種多様な基材と組み合わせて使用可能な新しいラテックス高分子材料を提供する。ただし、この高分子材料は、ラテックスポリマー中に組み込まれた生物活性要素を含む。本発明はまた、高濃度の活性成分たとえば抗菌類剤を乳化重合時に組み込むことを可能にする新しい方法およびプロセスを提供する。一態様では、たとえば、開示されたプロセスを用いて全モノマー重量を基準にして約0.01パーセント〜約40パーセント(「phm」すなわちモノマー基準の百分率)の実質的に疎水性の生物活性成分を乳化重合時に組み込むことが可能である。種晶形成段階のごく初期をはじめとする重合プロセス時の任意の段階で生物活性成分を導入することが可能であるが、一態様では、重合プロセスのより後の段階で、たとえば、モノマーの約30パーセント〜約90パーセントが重合反応器に供給された時、生物活性要素すなわち生物活性添加剤(バイオ添加剤)を添加することが可能である。
【0021】
有用な生物活性添加剤は、固体、液体、またはそれらの組合せでありうる。本発明で利用可能な生物活性添加剤の多くは、実質的に水不溶性であるかまたは水への限られた溶解性を有する。この態様では、典型的な水不溶性疎水性生物活性剤は、乳化重合で利用されるモノマーの少なくとも1種に可溶でありうる。その場合、典型的な疎水性生物活性成分は、適切な時点でそれをモノマーフィード中に実質的もしくは部分的に溶解させることにより重合反応器内に導入可能である。したがって、抗微生物性を付与するために選択される典型的な成分は、通常、ポリマーラテックスの製造に使用されるモノマーに可溶であろう。他の態様では、本発明で有用な生物活性添加剤はまた、実質的に水溶性でありうる。その例としては、o-フェニルフェネート(脱プロトン化o-フェニルフェノール)および類似の薬剤が挙げられる。この態様では、そのような親水性生物活性添加剤は、重合されるいずれのモノマーにも可溶である必要はない。
【0022】
他の態様では、事前に製造された水中ディスパージョンとして成分を添加することも可能であるので、抗微生物成分は、使用されるモノマーの少なくとも1種に可溶であることが必要とされない。この態様では、とくに、比較的濃厚な量の添加剤を使用し、かつ界面活性剤、分散剤などを用いて分散し、かつ典型的には、混合装置、たとえば、高速ミキサー、ホモジナイザー、エッペンバッハ(Eppenbach)混合機、または類似の装置を利用することにより、ディスパージョンを製造することが可能である。そのような場合、ディスパージョンを反応器内に供給して適切な量の活性成分をラテックス中に送達することが可能である。
【0023】
一態様では、本発明は、
a)i)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーとii)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーとの重合生成物を含むラテックスポリマーと、
b)ラテックスポリマー内に少なくとも部分的にカプセル化された少なくとも1種の生物活性要素と、
c)場合により、ラテックスポリマー中に組み込まれた少なくとも1種の立体的に嵩高い要素と、
を含む生物活性カチオン性ポリマーラテックスを包含する。本明細書中で規定されるように、ラテックスポリマー中に組み込まれる少なくとも1種の立体的に嵩高い要素は、独立して、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマー、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマー、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。これらの各要素さらには省略可能な要素または追加の要素は、本明細書中で考慮の対象となる。
【0024】
他の態様では、本発明はまた、
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、
b)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、
c)少なくとも1種の生物活性要素と、
d)少なくとも1種のフリーラジカル開始剤と、
e)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーと、
f)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーと、
g)場合により、少なくとも1種の非イオン性でない界面活性剤と、
を乳化重合時の任意の時点で含む水性組成物の乳化重合を開始することを含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法を包含する。
【0025】
さらに他の態様では、本発明は、
a)i)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、
ii)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、
iii)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーと、
iv)少なくとも1種のフリーラジカル開始剤と、
v)場合により、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
を含む水性組成物を提供することと、
b)組成物の乳化重合を開始することと、
c)乳化重合プロセス時に少なくとも1種の生物活性要素を組成物に添加することと、
を含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法を提供する。
【0026】
エチレン性不飽和の第1のモノマー、エチレン性不飽和の第2のモノマー、および立体的に嵩高い要素として使用可能な多くの化合物および種が、欧州特許EP1109845号および対応するPCT公開特許出願WO00/8008077号(それらの各開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
【0027】
エチレン性不飽和の第1のモノマー
種々のエチレン性不飽和の第1のモノマーを本発明に係るラテックスで使用することが可能である。一態様では、エチレン性不飽和の第1のモノマーは、非カチオン性でありうる。好適なモノマーの例は、少なくとも米国特許第5,830,934号、米国特許出願公開第2005/0065284号および同第2005/0003163号、ならびに欧州特許EP1109845号(いずれもクリシュナン(Krishnan)に付与されたものであり、それらの各開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見いだされうる。この態様では、そのようなモノマーの例としては、ビニル芳香族モノマー、ハロゲン化オレフィンモノマーまたは非ハロゲン化オレフィンモノマー、脂肪族共役ジエンモノマー、非芳香族不飽和のモノカルボン酸エステルモノマーまたはジカルボン酸エステルモノマー、不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルをベースとするモノマー、不飽和のモノカルボン酸モノマーまたはジカルボン酸モノマー、窒素含有モノマー、ニトリル含有モノマー、環式もしくは非環式のアミン含有モノマー、分岐状もしくは非分岐状のアルキルビニルエステルモノマー、ハロゲン化アルキルアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アルキルアクリレートモノマー、ハロゲン化アリールアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アリールアクリレートモノマー、カルボン酸ビニルエステル、酢酸アルケニルエステル、カルボン酸アルケニルエステル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、あるいはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この態様では、一方の部分を好適なモノマーとして開示した場合、アクリレート部分およびメタクリレート部分を開示することが本出願人の意図するところである。したがって、アクリレートモノマーが好適なエチレン性不飽和の第1のモノマーであるという開示はまた、対応するメタクリレートモノマーもまた好適な第1のモノマーであるという開示を包含する。そのような開示を表すために、(メタ)アクリレートという略号を用いることが可能である。
【0028】
多種多様なエチレン性不飽和の第1のモノマーを本発明に係る生物活性ラテックスの調製で使用することが可能である。一態様では、エチレン性不飽和の第1のモノマーの好適な例としては、スチレン、p-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、モノメチルマレエート、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、ビニルネオデカノエート、ビニルバーサテート、ビニルアセテート、C3〜C8アルキルビニルエーテル、C3〜C8アルコキシビニルエーテル、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロブチルエチレン、過フッ素化C3〜C8α-オレフィン、フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルコキシビニルエーテルなど、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、好適なエチレン性不飽和の第1のモノマーのハロゲン化類似体は、本開示に包含され、こうしたモノマーのあらゆる好適なハロゲン置換型の類似体または誘導体、たとえば、フッ素置換型類似体、塩素置換型類似体、臭素置換型類似体、およびヨウ素置換型類似体を開示することが出願人の意図するところである。「ハロゲン置換型」という用語は、部分ハロゲン置換型および過ハロゲン置換型を包含するものとし、その場合、いずれのハロゲン置換基も同一でありうるかもしくは異なりうる。この態様でも同様に、一方の部分を好適なモノマーとして開示した場合、アクリレート部分およびメタクリレート部分の両方を開示することが本出願人の意図するところである。
【0029】
他の態様では、エチレン性不飽和の第1のモノマーは、ハロゲン化型でありうるかまたは非ハロゲン化型でありうる。同様に、エチレン性不飽和の第1のモノマーは、フッ素化型でありうるまたは非フッ素化型でありうる。たとえば、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのフッ素化類似体さらには非フッ素化化合物を使用することが可能である。エチレン性不飽和の第1のモノマーはまた、塩素化型でありうるまたは非塩素化型でありうる。エチレン性不飽和の第1のモノマーはまた、臭素化型でありうるまたは非臭素化型でありうる。エチレン性不飽和の第1のモノマーはまた、ヨウ素化型でありうるまたは非ヨウ素化型でありうる。たとえば、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのフッ素化類似体さらには非フッ素化化合物を使用することが可能である。
【0030】
本発明のさらに他の態様では、本明細書中で規定されるラテックスは、全モノマー重量を基準にして約20重量パーセント〜約99.5重量パーセントのエチレン性不飽和の第1のモノマーを含みうる。この態様では、本発明に係るラテックスはまた、全モノマー重量を基準にして約30重量パーセント〜約99重量パーセント、約40重量パーセント〜約97重量パーセント、約50重量パーセント〜約95重量パーセント、約60重量パーセント〜約90重量パーセント、または約70重量パーセント〜約90重量パーセントのエチレン性不飽和の第1のモノマーを含みうる。この態様では、本出願人の意図するところは、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に開示することである。この態様では、当業者には当然のことながら、特定のモノマーの特定の化学的および物理的な性質は、そのモノマーに最も好適な重量パーセントの範囲に関係する。
【0031】
エチレン性不飽和のカチオン性の第2のモノマー
さらに他の態様では、本発明に係るラテックスポリマーはまた、カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーの重合生成物を含む。本明細書中で規定されるように、カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーは、「カチオン性モノマー」(すなわち、正電荷を有するかまたはそれを有するようにしうる任意のモノマー)という用語により一括して参照可能である。一態様では、この正電荷は、モノマーに正電荷を付与するプロトンまたは任意の他のカチオン性ルイス酸の結合部位を構成しうるヘテロ原子たとえば窒素をモノマー中に存在させることにより付与可能である。たとえば、第四級アミンモノマーを本発明に係るラテックスで「カチオン性モノマー」として使用することが可能であり、その例としては、たとえば、酸を用いてプロトン化することによりまたはアルキルハライド化合物を用いてアルキル化することにより、本明細書に開示される任意の中性アミンモノマーから得られる第四級アミンモノマーが挙げられる。代表的なヘテロ原子としては、窒素、硫黄、リンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、カチオン性モノマーは、典型的には、そのエチレン性不飽和に基づいてラテックスポリマー中に組み込まれる。
【0032】
好適なカチオン性モノマーの例は、少なくとも、クリシュナン(Krishnan)に付与された米国特許出願公開第2005/0065284号および同第2005/0003163号に見いだされうる。この態様では、カチオン性モノマーの例としては、アミンモノマー、アミドモノマー、第四級アミンモノマー、ホスホニウムモノマー、スルホニウムモノマー、またはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明に係るラテックスで使用可能なエチレン性不飽和のカチオン性モノマーの好適な例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N,N-ジメチル-アミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルベンジルアミン、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロリド第四級塩、トリメチル-(ビニルオキシエチル)アンモニウムクロリド、1-ビニル-2,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリド、ビニルベンジルアミンヒドロクロリド、ビニルピリジニウムヒドロクロリド、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの列挙された例は遊離塩基化合物および種々の第四級塩(たとえばヒドロクロリド第四級塩またはメチルクロリド第四級塩)の両方を含むが、モノマーに正電荷を付与する任意の好適なルイス酸を用いて本開示のカチオン性モノマーを形成することが可能である。
【0033】
さらなる態様では、他のアミンまたはアミン塩をエチレン性不飽和の第2のモノマーとして用いて本発明に係るラテックスポリマーを調製することも可能である。たとえば、種々のアミン塩は、たとえば、エポキシ基を第二級アミンと反応させ、続いて、新たに生成された第三級アミンを酸で中和することにより取得可能である。たとえば、グリシジルメタクリレートと第二級アミンとの反応を行うことが可能であり、そして生成物をフリーラジカル重合することが可能である。第四級アミン官能基はまた、たとえば、エポキシ基を有する事前に形成されたポリマー上に「後反応」として生成可能である。そのような反応の例については、"Polymer Compositions for Cationic Electrodepositable Coatings," Journal of Coatings Technology, Vol 54, No 686, March 1982の論文(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。同様に、当業者であればわかるであろうが、当然のことながら、スルホニウムまたはホスホニウムの化学を用いてカチオン性官能基を付与することも可能であり、その例は、この参考文献に記載されている。
【0034】
さらなる態様では、本発明に係るラテックスポリマーは、全モノマー重量を基準にして約0.01〜約75重量パーセントの量でカチオン性であるかまたはカチオンの前駆体であるエチレン性不飽和の第2のモノマーを含みうる。この態様では、本発明に係るラテックスはまた、全モノマー重量を基準にして約0.025〜約70重量パーセント、約0.05〜約60重量パーセント、約0.1〜約50重量パーセント、約0.25〜約40重量パーセント、約0.5〜約30重量パーセント、約1〜約20重量パーセント、または約1.5〜約15重量パーセントの量でカチオン性の第2のモノマーを含みうる。この態様では、本出願人の意図するところは、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に開示することである。
【0035】
立体的に嵩高い要素
本明細書中に開示されるように、本発明の一態様は、a)本明細書中に開示されるようなラテックスポリマーと、b)ラテックスポリマー内に少なくとも部分的にカプセル化された少なくとも1種の生物活性要素と、c)場合により、ラテックスポリマー中に組み込まれた少なくとも1種の立体的に嵩高い要素と、を含むカチオン性ポリマーラテックスを包含する。ラテックスポリマー中に組み込まれる少なくとも1種の立体的に嵩高い要素は、独立して、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマー、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマー、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。この態様では、理論により拘束しようとするものではないが、この立体的に嵩高い要素は、典型的には、立体的にラテックスを安定化させるためにカチオン性ポリマーラテックス中に組み込まれる。
【0036】
本明細書中で用いられる場合、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーの使用に関連する「組み込まれた」という用語は、たとえば、第3のモノマーと本明細書中に開示される第1のモノマーおよび第2のカチオン性モノマーとを共重合させてカチオン性ポリマーラテックスを形成することにより、この第3のモノマーをカチオン性ポリマーに結合させることを包含するが、これに限定されるものではない。さらに、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーに関連する「組み込まれた」という用語は、任意の他の方式により、具体的にはたとえばポリマー骨格上にグラフト化することにより、この第3のモノマーをカチオン性ポリマーに結合させることをも包含しうる。他の態様では、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーの使用に関連する「組み込まれた」という用語は、立体的に嵩高いポリマーをラテックス表面上に吸着またはグラフト化するなどの方法(ただし、これらに限定されるものではない)では、このポリマーをラテックス中に結合または会合させることを包含するが、これらに限定されるものではない。たとえば、このようにしてポリビニルアルコールをラテックス中に組み込むことが可能である。この立体的安定化要素は、カチオン性ポリマーラテックスの堆積特性に影響を及ぼすことなくラテックス粒子に立体的安定化を組み入れる非イオン性モノマーまたは非イオン性ポリマーが挙げられうる。
【0037】
立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーとして使用可能な代表的なモノマーとしては、アルコキシル化(たとえば、エトキシル化またはプロポキシル化)官能基を含有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一態様では、そのようなモノマーの例としては、独立して以下のものから選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない:
a)CH2=C(R1A)COO(CH2CHR2AO)mR3A〔式中、R1A、R2A、およびR3Aは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択可能であり、かつmは、1〜30(両端の値を含む)の整数でありうる〕。この態様では、R1A、R2A、およびR3Aはまた、独立して、Hまたはメチルから選択可能であり、かつmは、1〜10(両端の値を含む)の整数でありうる;
b)CH2=C(R1B)COO(CH2CH2O)n(CH2CHR2BO)pR3B〔式中、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択可能であり、かつnおよびpは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数でありうる〕。また、この態様では、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたはメチルから選択可能であり、かつnおよびpは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数でありうる;
c)CH2=C(R1C)COO(CH2CHR2CO)q(CH2CH2O)rR3C〔式中、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択可能であり、かつqおよびrは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数でありうる〕。この態様に関してさらに、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたはメチルから選択可能であり、かつrおよびqは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数でありうる;あるいは
d)これらの化合物のいずれかの任意の組合せ。
【0038】
本発明の他の態様では、いくつかの他のタイプの不飽和化合物を立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーとして使用することが可能であり、その例としては、重合性界面活性剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。したがって、好適な立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーのさらなる例としては、ジカルボン酸のアルコキシル化モノエステル、ジカルボン酸のアルコキシル化ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類たとえばノイゲンRN(NOIGEN RN)TM、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この態様では、所望の安定化効果を達成するために、たとえば、マレイン酸やイタコン酸のような二酸のエトキシル化モノエステルおよびエトキシル化ジエステルを使用することも可能である。このようにして、界面活性剤のアクリレート類似体、メタクリレート類似体、ビニル類似体、およびアリル類似体(重合性界面活性剤として参照される)を使用することも可能である。そのような重合性界面活性剤の例としては、コグニス(Cognis)社により販売されているトレムLF-40(TREM LF-40)TMが挙げられるが、これに限定されるものではない。一態様では、こうした界面活性剤は、ラテックスポリマー自体中への界面活性剤の組込みを可能にするエチレン性不飽和を有するうえにさまざまな疎水性官能基および親水性官能基を有するという点が典型的である。他の態様では、本発明にとくに適用可能な界面活性剤としては、親水特性がアルキレンオキシド基の存在に起因すると考えられる非イオン性界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような種では、親水性度は、官能基の選択に基づいて変化しうる。
【0039】
ラテックスポリマー中に組み込まれる少なくとも1種の立体的に嵩高い要素はまた、少なくとも1種のポリマーを構成しうる。この場合も、理論により拘束しようとするものではないが、そのようなポリマーは、得られるラテックスポリマーに立体的安定性を提供すると考えられる。そのようなポリマーは、当技術分野で保護コロイドと呼ばれることもある。立体的に嵩高いポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロースなど(これらの材料の任意の組合せを包含する)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、ラテックスポリマー中に組み込まれる少なくとも1種の立体的に嵩高い要素として、上述の立体的に嵩高いモノマーのいずれかと、これらの立体的に嵩高いポリマーのいずれかと、の混合物または組合せを使用することも可能である。安定性を付与しうる本発明で使用可能ないくつかの他のモノマーおよびポリマーは、クリシュナン(Krishnan)らに付与された米国特許第5,830,934号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に提供されている。
【0040】
省略可能な少なくとも1種の立体的に嵩高い要素は、モノマーの全重量を基準にして0〜約25重量パーセントの範囲内の量で存在可能である。この態様では、本発明に係るラテックスはまた、全モノマー重量を基準にして約0.1〜約20重量パーセント、約0.2〜約18重量パーセント、約0.5〜約15重量パーセント、約0.7〜約12重量パーセント、または約1〜約10重量パーセントの立体的に嵩高い要素を含みうる。この態様では、本出願人の意図するところは、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に開示することである。
【0041】
フリーラジカル開始剤
他のさらなる態様では、本発明に係るラテックスは、フリーラジカル開始剤を含みうる。その選択については、当業者に公知である。その場合、カチオン性であるかアニオン性であるかを問わず任意の重合開始剤、たとえば、ペルスルフェート、ペルオキシドなどを重合開始剤として使用しうるが、典型的な開始剤は、アゾ系の化合物および組成物である。さらに、この態様では、カチオン性ラテックスを作製するために、分解時にカチオン性種を生成してラテックスのカチオン電荷に寄与する任意のフリーラジカル開始剤を利用することが可能である。そのような開始剤の例としては、バージニア州リッチモンドの和光ケミカル(Wako Chemicals)社により和光V-50(WAKO V-50)TMとして市販されている2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0042】
生物活性剤/抗微生物剤およびそれらの組込み
本明細書中に開示されるカチオン性ラテックスの重合法およびカプセル化法は、広範にわたる抗微生物剤と共に利用可能である。カチオン性ラテックスは、部分的には、少なくとも1種の抗微生物剤の追加が可能なカチオン性ポリマーの固有の抗微生物属性に基づいて、非常に有用であることが判明した。この態様では、本発明はまた、抗菌類性カチオン性強化ラテックスを調製する方法と、得られるシート紙が実質的に抗菌類性になるようにウェットエンドプロセスを介してそのようなラテックスをパルプ繊維上に堆積する方法と、を提供する。パルプ繊維上に堆積することを含む本方法では、部分的には、パルプ繊維上およびカチオン性ラテックス上の反対電荷によりプロセスが促進されるので、堆積用として得られるカチオン性ラテックス中に抗微生物活性成分を組み込む本プロセスの有用性が注目される。この反対電荷特性により、典型的には、繊維上へのカチオン性ラテックスの堆積の実質的な均一性がもたらされ、実質的に均一な生成物が得られる。この態様では、典型的な開始剤はまた、アゾ系の化合物および組成物を含む。
【0043】
本明細書中で規定されるように、広範にわたる重合条件を使用することが可能である。一態様では、生物活性要素すなわち生物活性添加剤は、典型的には、利用されるモノマーの少なくとも1種に可溶であり、かつ/または使用されるモノマーの混合物または組成物に可溶である。他の態様では、少なくとも1種の生物活性要素をはじめとする組成物のすべての要素が開始時点で存在する時に乳化重合を開始することを含む種晶形成段階のごく初期をはじめとする重合プロセス時の任意の段階で、生物活性添加剤を導入することが可能である。他の態様では、重合プロセスのより後の段階でバイオ添加剤を添加することが可能である。たとえば、モノマーの約30パーセントが重合反応器内に供給された時に生物活性成分をモノマーフィード中に導入することが可能である。
【0044】
理論により拘束しようとするものではないが、重合プロセスの比較的後の段階で生物活性要素をモノマーフィード中に導入することは、重合条件に起因する生物活性剤の劣化を最小限に抑える助けとなりうると考えられる。たとえば、生物活性剤は、重合が行われる温度で劣化する可能性があるか、または特定のモノマーもしくは他の要素と反応する可能性があると思われる。したがって、いかなるそのような劣化過程をも最小限に抑えるために、プロセスのそのような一時点で、たとえば、プロセスが約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超完了した時に生物活性剤を添加することにより、重合条件下での生物活性剤と他の要素との間の接触時間を最小限に抑えることが可能である。生物活性剤の劣化を最小限に抑える他の手段は、乳化重合後の好適な一時点で、熱的手段、化学的手段、光化学的手段、または類似の手段により活性化されうる「潜在性」生物活性部分を含む生物活性剤を利用することである。
【0045】
本発明の他の態様では、乳化重合プロセス時の任意の段階で、たとえば、乳化重合が約50%完了した時に生物活性要素を添加することにより調製された同一の抗微生物ラテックスが呈する標準的生物活性と比較して、得られる抗微生物ラテックスが、実質的に低減されない生物活性を呈するようなプロセス時の一時点で、生物活性添加剤を導入することが可能である。その場合、この標準的生物活性とは、実質的に同一の濃度で同一の生物活性要素と同一のラテックスとから合成された、かつ乳化重合が約50%完了した時に生物活性要素を添加することにより調製された、同一の抗微生物ラテックスの活性(類似の条件下で評価される)のことである。「実質的に低減されない」という用語は、この標準的生物活性と比較して、得られた生物活性ラテックスの活性の差が、次の基準のいずれか1つまたは2つ以上を満たすことを示すべく使用される。1)得られた生物活性ラテックスの測定された活性が、標準の測定された活性に対して約15%以下の減少を示す。2)得られた生物活性ラテックスの活性が、任意の活性尺度に基づいて、標準の数値的活性評価に対して約35%以下の減少を示す数値的活性評価を有する。または3)得られた生物活性ラテックスの実験に基づく活性レベルの記述的評価が、標準の活性評価レベルに対して2レベル以下の減少を示す記述的評価レベルである。抗微生物活性の測定値は、次の検査規格:ASTM E2180-01、ASTM E2149-01、ASTM E1882-05、ASTM D3273、AATCC検査方法30第3部、AATCC検査方法100、ASTM D5590のいずれか1つまたは2つ以上に準拠して測定可能である。「実質的に低減されない」という基準の例1)は、次のとおりある。得られた抗微生物ラテックスが、標準の場合の0.010mg/mLのMICに対して15%未満の減少を示す0.009mg/mLの最小阻止濃度(MIC)を有するように、乳化重合プロセス時の一時点で生物活性添加剤を導入することが可能であるかまたは一時点で導入を開始することが可能である。「実質的に低減されない」という基準の例2)は、次のとおりある。得られた抗微生物ラテックスが、任意の活性尺度に基づいて、標準の場合の生物活性の数値的活性評価7に対して35%未満の減少を示す生物活性の数値的活性評価5を有するように、乳化重合プロセス時の一時点で生物活性添加剤を導入することが可能であるかまたは一時点で導入を開始することが可能である。「実質的に低減されない」という基準の例3)は、次のとおりある。「優れた活性」、「非常に良好な活性」、および「良好な活性」という連続的評価レベルを含む実験に基づく記述的評価システムでは、標準の場合の「優れた活性」という活性評価と比較して「良好な活性」という活性評価を有して得られる抗微生物ラテックスを提供するように、乳化重合プロセス時の一時点で生物活性添加剤を導入することが可能であるかまたは一時点で導入を開始することが可能である。これらの活性測定のいずれにおいても、この結果を提供する重合プロセス時の任意の時点で生物活性添加剤を導入することが可能であるか、または以上に開示された結果を提供する重合プロセス時の一時点で導入を開始することが可能である。
【0046】
他の態様では、重合プロセスの比較的後の段階で生物活性要素をモノマーフィード中に導入する必要はない。たとえば、モノマーの約0パーセント、約10パーセント、約20パーセント、約30パーセント、約40パーセント、約50パーセント、約60パーセント、約70パーセント、約80パーセント、約90パーセント、または約100パーセントが重合反応器内に供給された時にバイオ添加剤を添加することも可能である。この態様では、組成物のすべての要素が開始時点から存在するわけではない時の一時点で乳化重合が開始される。ただし、一部(たとえば、限定されるものではないが、少なくとも1種の生物活性要素)は、重合開始後の種々の時点で添加される。また、この態様では、本出願人の意図するところは、そのような数値間のあらゆる範囲を開示すること、ならびにそのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に特許請求することである。
【0047】
他の態様では、典型的には、合理的な重合速度を与える最低温度と、抗微生物性生物活性成分の実質的な劣化や分解を引き起こさない許容最高温度と、の間で選択される範囲内の温度で、重合を行うことが可能である。一態様では、重合が進行しうる最低温度で重合を行うことが可能である。この場合、重合温度は、組み込まれたいかなる生物活性成分も実質的に劣化や分解を起こさないように十分に低くなければならず、しかも重合の速度および時間が最終ラテックスポリマーの有用な製造に適するように十分に高くなければならない。
【0048】
抗微生物剤はまた、当業者に公知の方法および材料を用いてモノマーと添加剤と界面活性剤と水などとの混合物を乳化することにより製造されたプレエマルジョンとして供給することも可能である。たとえば、この態様では、とくに、比較的濃厚な量の添加剤を使用し、かつ界面活性剤、分散剤などを用いて分散し、かつ典型的には、混合装置、たとえば、高速ミキサー、ホモジナイザー、エッペンバッハ(Eppenbach)混合機、または類似の装置を利用することにより、ディスパージョンを製造することが可能である。さらに、添加剤がディスパージョン、エマルジョン、サスペンジョンなどであるかまたは重合前にモノマー混合物中に実質的に溶解されているエマルジョンポリマーを提供する任意の他の考えられるプロセスまたは当業者に公知のプロセスを利用することが可能である。
【0049】
一態様では、抗菌類性および抗細菌性を提供する有用な抗微生物剤は、多くの場合、とくにより高い温度に暴露された場合、酸化または還元を受けやすい可能性がある。したがって、抗微生物剤の溶解性のほかに、抗微生物剤の選択および組込みの他の側面は、そのような要素を劣化させるいかなる酸化反応や還元反応をも低減することである。本発明に係るプロセスでは、典型的には、重合温度を制御することにより、活性成分が反応系に添加される時間を調整して重合温度への暴露を制御することにより、適切な酸化剤または還元剤を重合時のある時点で添加していかなるレドックス劣化をも低減または軽減することにより、またはこれらの方法の任意の組合せにより、この結果を達成することが可能である。
【0050】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1種の生物活性要素は、独立して、ウンデシレン酸、ウンデシレンアルコール、ウンデシレン酸とヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートもしくはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートとの反応生成物、ウンデシレンアルコールと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、もしくはイタコン酸との反応生成物、キトサンもしくは修飾型キトサン、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。本発明で使用可能な追加の抗微生物要素は、クリシュナン(Krishnan)に付与された米国特許出願公開第2005/0003163号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に提供されている。本発明の他の態様の規定によれば、少なくとも1種の生物活性要素は、独立して、銅、銅塩、銀、銀塩、亜鉛、亜鉛塩、酸化銀、酸化亜鉛、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、グルタラール、ハラゾン、ヘキサクロロフェン、ニトロフラゾン、ニトロメルソール、ポビドンヨード、チメロソール、C1〜C5-パラベン、次亜塩素酸塩、クロフルカルバン(clofucarban)、クロロフェン、ポロキサマーヨード、フェノール類、酢酸マフェニド、塩酸アミナクリン、第四級アンモニウム塩、オキシクロロセン、メタブロムサラン、メルブロミン、ジブロムサラン、ラウリン酸グリセリル、ピリチオン塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、(ドデシル)(ジエチレンジアミン)グリシン、(ドデシル)(アミノプロピル)グリシン、フェノール、m-クレゾール、o-クレゾール、p-クレゾール、o-フェニル-フェノール、レゾルシノール、ビニルフェノール、高分子グアニジン類、ポリミキシン類、バシトラシン、サークリン、オクタペプチン類、リゾチーム(lysozmye)、リゾスタフィン、セルロース分解酵素、バンコマイシン、リストセチン、アクチノイジン類、アボパルシン類、チロシジンA、グラミシジンS、ポリオキシンD、ツニカマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、またはそれらの任意の組合せから選択される。
【0051】
本発明のさらに他の態様の規定によれば、少なくとも1種の生物活性要素は、殺菌類活性を呈しうる。この態様では、本開示に適用可能である好適な殺菌剤としては、アゾール類、第四級アンモニウム化合物類、ジチオカルバメート類、ジカルボキシミド類、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、この態様では、アゾール系殺菌剤は、アザコナゾール、ビテルナトール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルトナホール(flutnafol)、イマザリル、イミベンコナゾール、メトコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート(perfuazoate)、ペンコナゾール、シメコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、ウニコナゾール、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。また、この態様では、ジチオカルバメート系殺菌剤は、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ジネブ、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。
【0052】
他の態様では、好適な殺菌剤としては、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、ジフェノコナゾール、4,5-ジメチル-N-(2-プロペニル)-2-(トリメチルシリル)-3-チオフェンカルボキサミド(シルチオファム)、ヘキサコナゾール、エタコナゾール、トリチコナゾール、フルトリアホール、エポキシコナゾール、ブロムコナゾール(bromuconazote)、テトラコナゾール、ミクロブタニル、ビテルタノール、ピリメタニル(pyremethanil)、シプロジニル、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、クレソキシム-メチル、アゾキシストロビン、ZEN90160TM、フェンピクロニル、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R-メタラキシル、オフレース(orfurace)、オキサジキシル、カルボキシン、プロクロラズ、トリフルミゾール、ピリフェノックス、アシベンゾラル-S-メチル、クロロタロニル、シモキサニル、ジメトモルフ、ファモキサドン、キノキシフェン、フェンプロピジン、スピロキサミン、トリアゾキシド、BAS50001FTM、ヒメキサゾール、ペンシクロン、フェナミドン、グアザチンなど(それらの任意の組合せを包含する)が挙げられうるが、これらに限定されるものではない。本発明のさらに他の態様の規定によれば、好適な殺菌剤としては、ベノミル(ベンレートとしても知られる)、カプタン、カルベンダジム、カルプロパミド(capropamid)、エチリモール、フルトラニル、ホセチル-アルミニウム、フベリダゾール、ヒメキサゾール(hymexanol)、カスガマイシン、イミノクタジン-トリアセテート、イプコナゾール、イプロジオン、メプロニル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、ヌアリモル、オキシン-銅、オキソリニン酸、ペフラゾエート(perfurazoate)、プロパモカルブヒドロクロリド、ピロキロン、キントゼン(PCNBとしても知られる)、シルチオファム、MONTM 65500、テクナゼン、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル(thiophenate-methyl)、チラム、トルクロホス-メチル、トリフルミゾールなど(それらの任意の組合せを包含する)が挙げられうるが、これらに限定されるものではない。さらに、これらの殺菌剤のいずれかの任意の組合せまたは混合物を利用することが可能である。
【0053】
本発明のさらに他の態様では、乳化重合時に添加可能な生物活性要素の典型的な量は、全モノマー重量を基準にした生物活性添加剤量換算で約0.01重量パーセント〜約40重量パーセントの範囲内でありうる。他の態様では、乳化重合時に添加可能な生物活性要素の典型的な量は、全モノマー重量を基準にした生物活性添加剤量換算で約0.025重量パーセント〜約35重量パーセント、約0.05重量パーセント〜約30重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約25重量パーセント、約0.25重量パーセント〜約20重量パーセント、または約0.5重量パーセント〜約15重量パーセントの範囲内でありうる。この態様では、本出願人の意図するところは、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に開示することである。「後添加物」として添加される抗微生物要素の量と比較して、生物活性添加剤のこうした濃度は、典型的には、後添加物量よりもかなり多い。とくに、この特徴により、抗微生物保護を必要とする他の系に希釈添加しうる濃厚物として、添加剤として、または濃厚ディスパージョンとして使用可能な安定な濃厚ディスパージョンが提供される。
【0054】
本明細書中に開示されるように、一態様では、生物活性要素は、典型的には、乳化重合プロセス時にモノマーフィード中に溶解される。したがって、生物活性添加剤は、典型的には、利用されるモノマーの1種以上に少なくとも部分的に可溶である。さらに、生物活性添加剤は、利用されるモノマーの1種以上に中程度に可溶、実質的に可溶、またはかなり可溶でありうる。この特徴により、とくに、疎水性生物活性成分の組込み、多量かつ高濃度の生物活性成分の使用、抗微生物性の有効性の向上をはじめとする抗微生物性に対するより強力な制御、最小量の界面活性剤の使用、および生物活性成分の少なくとも部分的なカプセル化が可能である。いくつかの場合には、ラテックスポリマーを用いて、添加された生物活性要素を実質的にカプセル化することが可能であり、したがって、ラテックスポリマーは、活性成分に対して一種の担体として機能しうる。また、このプロセスでは、抗微生物成分の組込みは、こうした化合物の活性を実質的に劣化させることなく行うことが可能である。
【0055】
他の態様では、本発明で有用な生物活性添加剤はまた、任意の程度まで水溶性、たとえば実質的に水溶性でありうる。その例としては、o-フェニルフェネート(脱プロトン化o-フェニルフェノール)および類似の薬剤が挙げられる。したがって、そのような親水性生物活性添加剤は、重合されるいずれのモノマーにも可溶である必要はない。さらに他の態様では、本発明で有用な生物活性添加剤は、重合されるモノマーに実質的に不溶でありかつ水に実質的に不溶でありうる。この態様では、とくに、界面活性剤などを用いて典型的には高速ミキサーまたはホモジナイザーを用いて特定の濃度の添加剤を分散させることにより、生物活性要素のディスパージョンを製造することが可能である。
【0056】
後添加される添加剤は、典型的には、配合物中に後混合されるディスパージョンであるので、それが使用されるポリマーフィルム、バインダー、コーティングなどに生物活性添加剤を適切に分散することは困難である可能性がある。さらに、現在使用されている典型的な添加剤ディスパージョンは、感湿性および後添加物の浸出を引き起こすかまたはそれらに関係する可能性があるので、多くの後添加物は、適切な抗菌類保護を提供するのに十分な期間にわたり製品内に存続しない。本開示で規定される手段を用いれば、最小限の界面活性剤を用いて生物活性添加剤をラテックス中に組み込むことが可能である。また、生物活性剤は、重合時に導入されるので、典型的には、カプセル化され、得られたラテックスから容易に放出されることはない。その結果として、生物活性要素の浸出を低減させることが可能であり、かつポリマーフィルム、バインダー、コーティングなどの全領域にわたり生物活性成分をより良好に全体的に分布させることが可能である。したがって、本方法によれば、潜在的により安全かつより環境にやさしいディスパージョンを提供することが可能であるとともに、持続性のある抗菌類保護または抗細菌保護を提供することが可能である。
【0057】
また、本明細書中に開示されるプロセスによれば、本明細書中で規定されるものほど安定でない典型的な濃厚ディスパージョンとは対照的に、ラテックスを濃厚物として使用することが可能である。その結果として、典型的な濃厚ディスパージョンは、取扱いがそれほど容易でなく、したがって、完成製品中に容易に組み込むことができず、用量を増大させた場合、感水性のような性能に有害な影響を及ぼす可能性がある。本明細書中で規定されるラテックスの濃厚物は、他の材料を併用してまたは併用せずに、そのような材料が適切なレベルの添加剤の提供を必要とする場合、希釈使用が可能である。このようにして活性成分の十分な組込みを行うことにより、添加剤の均一分布を与えることが可能であり、結果的に、事前に製造されたディスパージョンと比較して優れたかつ持続性のある性能が得られる。生物活性剤のこうした十分な組込みのさらなる利点は、こうしたラテックスを用いて作製されたフィルムが実質的に透明に見えることである。この特徴では、生物活性剤がラテックス粒子中にきわめて均一に組み込まれることおよび透明な生物活性フィルムなどのような用途に有用な性質をこの均一分布によりいかにして提供しうるかが注目される。
【0058】
他の添加剤
本開示の他の態様では、本明細書中に規定されるラテックスはまた、ポリマーの物理的性質および/または機械的性質を改良するために、他の添加剤を含むことが可能であり、その選択は、当業者に公知である。そのような添加剤としては、たとえば、プロセス助剤および性能助剤が挙げられ、その例としては、架橋剤、天然もしくは合成のバインダー、可塑剤、柔軟剤、抑泡剤、起泡助剤、難燃剤、分散剤、pH調整要素、金属イオン封鎖剤もしくはキレート化剤、または他の機能性要素、あるいはそれらの任意の好適な組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
生物活性カチオン性ポリマーラテックスに適した代表的な基材および用途
テキスタイル、金属、セルロース系材料、プラスチックなどのような任意の数の異なる基材上に本開示に係るラテックスポリマーコーティングを堆積することにより、そうした材料に所望の最終使用性能特性を付与することが可能であり、したがって、ある範囲内の用途に適した基材を作製することが可能である。たとえば、一態様では、本開示は、少なくとも1種の繊維と本明細書中で規定されるような少なくとも1種の生物活性カチオン性ポリマーラテックスとを含みうる処理された繊維状材料を提供する。一態様では、処理された繊維状材料は、少なくとも1種の繊維と、少なくとも1種の繊維上に堆積されたまたはそれと会合された少なくとも1種の生物活性カチオン性ポリマーラテックスと、を含みうる。所望により、生物活性カチオン性ポリマーは、粉末の形態で繊維に適用可能であるか、またはポリマー組成物は、当業者に公知の任意の好適な方法により繊維上に堆積可能である。
【0060】
本明細書中で用いられる場合、「繊維」という用語は、広義に解釈されるものとし、さまざまな形で存在可能な一本もしくは複数本のフィラメントを含みうる。当然のことながら、所望により、一本の繊維だけを本発明に係る生物活性カチオン性ポリマーラテックスで処理することが可能である。本発明と組み合わせて使用可能な繊維としては、天然繊維、合成繊維、またはそれらの任意の組合せまたは混合物が挙げられうる。天然繊維としては、動物繊維(たとえば、絹および羊毛)、鉱物繊維(たとえば、アスベスト)、ならびに植物性繊維(たとえば、ワタ、アマ、ジュート、およびラミー)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。合成繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、およびポリオレフィンのようなポリマーから作製されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。繊維の他の例としては、たとえば、レーヨンおよび繊維状形態で押し出された無機物質、具体的には、ガラス、ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭素、グラファイト、ケイ酸アルミニウム、溶融シリカ、および金属、具体的には鋼が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、他の態様では、所望により、セルロース系繊維または木質繊維を本発明に係る生物活性カチオン性ポリマーラテックスで処理することが可能である。以上の材料のような任意の好適な繊維を用いた再生繊維を利用することも可能である。所望により、繊維の任意の混合物を本発明に係る生物活性カチオン性ポリマーラテックスで処理することが可能である。
【0061】
他の態様では、処理された繊維状材料は、複合繊維状構造体を形成するように繊維上に堆積された少なくとも1層の他の高分子層を有しうる。したがって、所望により、種々のタイプの多層の高分子層を使用することが可能である。たとえば、処理された繊維状材料の特定の性質を強化するように処理された繊維状材料上にアニオン性ポリマーラテックスを堆積することが可能である。他の態様では、多層構造体を形成するように生物活性カチオン性ポリマーラテックスとアニオン性ポリマーラテックスとを交互に用いて、繊維状材料を逐次的に処理することが可能である。理論により拘束しようとするものではないが、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーとの間の単純なクーロン相互作用によりそのような構造体の安定性が強化されて、処理された繊維状材料が頑強になると考えられる。同様に、種々の他の非生物活性ポリマーの層を利用することが可能であり、たとえば、複合構造体を形成するように繊維状材料上に存在するカチオン性ポリマーラテックス上に堆積させることが可能である。このようにして、本発明に従って特別に改質された表面を有する特有の層状構造体を構築することが可能である。
【0062】
さらなる態様では、本発明はまた、本明細書中で規定されるように、基材とその上に堆積または定置された生物活性カチオン性ポリマーラテックスとを含む製造物品を提供する。本開示の目的では、「基材」という用語は、無機材料、有機材料、それらの複合物、それらの混合物、またはそれらの任意のタイプの組合せから形成されるすべてものを含むように、広義に解釈理解されるものとする。たとえば、基材としては、限定されるものではないが、繊維、充填材、顔料など、さらには他の有機材料および無機材料が挙げられうる。
【0063】
本発明の一態様では、本明細書中に開示されるように、繊維状基材を利用しうる。「繊維状基材」という用語もまた、少なくとも、本明細書中に開示されるすべての繊維、織成テキスタイル、および不織テキスタイルを含むように、広義に解釈理解されるものとする。したがって、繊維状基材は、たとえば、ウェブ基材、ヤーン基材、布基材、テキスタイル基材などの形態で存在しうる。繊維状基材のさらなる例としては、綿や羊毛のような天然繊維からナイロン、アクリル、ポリエステル、ウレタンなどのような合成繊維まで挙げられるが、これらに限定されるものではない。ロッド/ナイフ塗布、含浸、裏面塗布、印刷のような公知の適用プロセスを用いて、個別繊維上への前処理材としてまたは仕上げ材として生物活性カチオン性ポリマーラテックスを適用することが可能である。また、本明細書中で用いられる場合、「テキスタイル基材」という用語は、クリシュナン(Krishnan)らに付与された米国特許第5,403,640号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載のその使用に基づいて定義可能である。この態様では、たとえば、「テキスタイル基材」としては、繊維、ウェブ、ヤーン、スレッド、スライバー、織布、編布、不織布、家具用布、タフトカーペット、パイルカーペット、および本明細書に記載の繊維のいずれかから形成される類似物(それらの任意の組合せを包含する)が挙げられうる。
【0064】
本発明に係る生物活性カチオン性ラテックス組成物はまた、多種多様なプラスチック基材またはゴム基材に適用可能である。そのような材料の例としては、汎用成形熱可塑性プラスチック、たとえば、ポリオレフィン;エンジニアリング熱可塑性プラスチック、たとえば、ポリスルホン、アセタール、ポリカーボネートなど;熱硬化性物質、たとえば、エポキシ、ウレタン、および関連材料;ならびに押出しフィルムまたはブローンフィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリマーは、ロッド/ナイフ塗布、噴霧、浸漬により表面上にコーティングとして、押出しプロセス時にラミネートコーティングとして、または成形プロセス時に成形型内で適用されるコーティングとして、適用可能である。ゴム製品としては、シート、押出し/成形品、複合品などが挙げられる。他の態様では、本発明に係る生物活性カチオン性ラテックス組成物はまた、固体形態で配置可能である。この態様では、たとえば、押出し成形やブロー成形のようなプロセスでプラスチック製品中の添加剤として、種々のポリエチレン、ポリプロピレンなどに対する添加剤として、ならびに任意の数の他のポリマー用途およびプラスチック用途で、固体形態で利用可能な固体の生物活性カチオン性ラテックスを提供するために、本発明に係るラテックスを凝結または噴霧乾燥させることが可能である。
【0065】
本発明に係る生物活性カチオン性ラテックス組成物はまた、木材または金属の基材に適用可能である。この態様では、好適な基材としては、すべての種類の天然のもしくは作製された木材基材が挙げられよう。好適な金属基材としては、金属および金属合金の両方、たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼など(中実の鋼棒、鋼シート、鋼コイル、鋼ロープなどを包含する)が挙げられよう。この場合、組成物は、噴霧法、浸漬法、ブラシ塗布法、ローラー塗布法、および関連方法などのような多数のプロセスの1つによりコーティングとして適用される。
【0066】
これとの関連では、基材とその上に堆積または定置された生物活性カチオン性ポリマーラテックスとを含む製造物品は、関連技術分野の当業者に公知の標準的手順に従って製造可能である。他の態様では、製造物品は、複合構造体を形成するようにその上に堆積された少なくとも1種の他の高分子層を有しうる。したがって、所望により、種々のタイプの多層の高分子層を使用することが可能である。たとえば、複合構造体を形成するように製造物品中に存在する生物活性カチオン性ポリマーラテックス上に種々のポリマーの他の層を堆積することが可能である。この態様では、製造物品の特定の性質を強化するようにカチオン性ラテックスまたは他のポリマーを堆積した後、生物活性カチオン性ラテックスを堆積することが可能である。したがって、特別に改質された表面を有する独自に作製された物品を本発明に従って製造することが可能である。
【0067】
より広い態様では、本発明はまた、任意の材料とその上に堆積または定置された生物活性カチオン性ポリマーラテックスとを含むコーティング付き材料を提供する。ただし、場合により、本発明に係る生物活性カチオン性ポリマーラテックスと組み合わせて、他の材料の追加層を使用することが可能である。本明細書中で用いられる場合、「材料」という用語は、限定されるものではないが、任意の無機材料、任意の有機材料、それらの任意の複合物、またはそれらの任意の組合せを包含するように、広義に用いられるものとする。好適な材料の例としては、繊維、充填材、粒子、顔料、それらの複合物、それらの組合せ、それらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
また、複数の堆積プロセスを用いて、テキスタイルや繊維状材料以外の分野の用途を有する複合フィルムを製造することが可能である。一態様では、たとえば、本発明に係る生物活性カチオン性ポリマーラテックスを用いて、多層エラストマー手袋を作製することが可能である。また、本明細書中で規定される生物活性カチオン性ポリマーラテックスを用いて、セルロース系構造体を製造することが可能である。その例としては、セルロース系複合体および重負荷セルロース系構造体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。セルロース系複合体の例としては、濾過に関連する複合体、靴の中敷き、フローリングフェルト、ガスケット材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。重負荷セルロース系構造体としては、ダンネージバッグ、工業用ワイプ、および関連構造体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる態様では、本発明に係る堆積プロセスおよび生物活性カチオン性ポリマーラテックスはまた、限定されるものではないが、凝集剤、製紙用の湿潤紙力増強剤および乾燥紙力増強剤、歩留り向上剤、セメント改質、染料固着、再分散性粉末などをはじめとする他の技術分野で使用可能である。
【0069】
本発明によれば、生物活性材料の作製に使用されるこれまでの方法と比較して、特定の利点を得ることが可能である。この態様では、たとえば、残留する生物活性ラテックスがプロセス流体媒体中に残存しないように生物活性カチオン性ラテックスを基材上に実質的に堆積することが可能であるので、環境的立場から潜在的利点が得られる。さらに、正味負電荷を有する任意の基材上に生物活性カチオン性ラテックスを優先的に堆積することが可能であり、しかも均一に堆積を行うことが可能であり、それにより、より少ないラテックスポリマーが使用されることになる。この態様に関してさらに、理論により拘束しようとするものではないが、生物活性カチオン性ラテックスは、負荷電基材上にポリマー材料の実質的に均一な単層を形成可能であり、それにより、より少ないラテックスを用いて所望の被覆率が得られると考えられる。生物活性カチオン性ラテックスは、既存の乳化重合プロセスにより形成可能であるので、有利なことに、こうした作製方法により高分子量ポリマーの調製が可能である。
【0070】
また、本明細書中に開示される生物活性カチオン性ポリマーラテックスを用いれば、カチオン性歩留り向上剤およびカチオン性界面活性剤の必要性を排除することが可能である。一態様では、たとえば、生物活性カチオン性ポリマーラテックスは、実質的にカチオン性界面活性剤を有していないものでありうる。カチオン性界面活性剤は、一般的には、水域環境で十分に保持されずかつ起泡および他の有害作用の原因になりうるので、この特徴は、とくに望ましい可能性がある。しかしながら、他の態様では、本開示はまた、カチオン性界面活性剤挙動を呈しうる生物活性剤の使用および/または歩留り向上剤の使用を提供する。さらに、所望により、ポリマーラテックスは、たとえば非イオン性界面活性剤をはじめとする従来の界面活性剤を有していないものでありうる。
【0071】
本明細書中で規定されるように、本発明に係るラテックス組成物は、当業者に周知の種々の技術を用いて多種多様な基材に適用可能である。その結果として、本発明に適した多数の用途が存在する。その多くは、以下に列挙されて提供される。この態様では、この列挙は網羅的なものではないが、特定の用途としては、次のものが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。テキスタイル、たとえば、住宅用および商業用のカーペット、またはタイル;HVAC用またはバキュームクリーナー用の液体フィルターおよびエアフィルター、または自動車用途;医療用の手術着、ドレープ、ドレッシング、カバーなど;衣服、家具、シート、タオルなどに供される繊維、捺染布、または染色布の前処理材;おむつおよび失禁用品;自動車内装用途、たとえば、トリム、内装品、マット、フィルター;内装コーティング;積層接着剤および結合接着剤;吸音用発泡体;発泡物品、たとえば、枕およびマットレス;食品の取扱いなどに供されるベルトまたは他の機械部品;テープ、たとえば、マスキングテープ、サージカルテープ、工業用テープなど;電気的、工業用、および家庭用のクリーニングワイプ、クリーニングクロス、およびクリーニングスポンジ;靴製品、たとえば、インソール、ボックストゥなど;プラスチック製品および/またはゴム製品、たとえば、工具の柄、工具のグリップ、玩具、ゴム手袋、シート、または他の物品;機械のハウジング、たとえば、コンピューター、ディスプレイ装置および診断装置、または計測器のハウジング;医療器具、たとえば、カテーテル、バルーン、チューブ、シリンジ、診断用キットなど;パッケージングまたは製品保護、たとえば、腐敗性物品、コンピューター周辺機器、半導体、メモリチップ、CD、DVDなどに適用されるもの;耐衝撃性改良剤、たとえば、アクリル、ポリカーボネートなど;クリーンルーム用手袋のような手袋に供されるオーバーディップ材またはアンダーディップ材;通気性フィルム;布支持手袋用の浸透防止剤;まな板;パッケージング用の押出しフィルムおよびブローンフィルム;紙製品、たとえば、真空バッグ、ブックカバー、エアフィルター、液体フィルター、壁装材、ウェットワイプおよびドライワイプ、ティッシュなど;ビニル床仕上げ材用のフェルト;成形パルプ用途;パッケージ、たとえば、ボックス、カートン、成形品、および関連用品;ギフト包装材、インクジェット媒体、通気性コーティングなどに供されるサイズプレスコーティング;マスキング、外科用途、汎用用途などで使用するための紙、テープ、ラベルのウェットエンド添加剤;紙で使用するためのバインダー;石膏壁板などのような壁板で使用するためのバインダー;テープ、ラベル、デカール、フィルム、製本、感圧用途、フレキシブルパッケージング用積層接着剤(FPLA)などで使用するための接着剤;無機および/または有機の材料、たとえば、充填材または顔料のコーティングまたはカプセル化材、建設用のシーラーおよびグラウト、石膏壁板のコーティングまたはバインダー、外装または内装のコーティングなど;タイル接着剤;病院、クリーンルーム、診療所、学校、および関連環境で使用するための床コーティング;病院用および医療環境用のコーティング;天井タイル;ガラスファイバーコーティング、たとえば、ガラスマット、断熱材、濾過材、強化複合材など;空調コイル用または冷蔵コイル用のコーティング;空調システム用、熱交換器用、イオン交換器用、冷却水処理剤を含むプロセス水システム用、ソーラー駆動ユニット用、コーティング付きパイプ用などの他の要素;台所用品;衛生設備の要素;給水システムの要素;タッチパネルのようなデバイスのオペレーターユニット;浴室で使用される材料、たとえば、シャワーカーテン、固定具、洗面化粧用品、さらにはジョイントコンパウンドまたはシーリングコンパウンド;医療器具、たとえば、生物活性剤の持続作用を提供するための、ステント、インプラント、プロテーゼ、カテーテル、チューブ、コンタクトレンズ、コンタクトレンズのクリーナーまたは保存液、保護フィルムまたはバッキングフィルム、医療機器、および他の医療器具に対するコーティングでの使用;多数の人々が接触する物品、たとえば、電話の送受話器、階段の手すり、ドアハンドル、窓の止め具、公的輸送機関の吊り革および手すりなど;創傷処置具または外科処置具;創傷ドレッシングまたはサージカルドレッシング(創傷ドレッシングまたはサージカルドレッシングの吸収層のような任意の層を包含する);医療用テープまたはアスレチックテープ;サージカルドレープ;センサー、電極、ストーマ装具などのような医療器具を接着する際に使用されるテープまたはタブ;液体消毒剤および洗浄剤;パーソナルケア用品または衛生用品、たとえば、シャンプー、ローション、クリーム、ヘアケア用品およびスキンケア用品、ボディーウォッシュ、化粧品、洗面化粧用品など;床以外の表面の衛生コーティング、たとえば、病院、診療所、学校、家庭、職場などにみられるもの;壁、天井、床、カウンター天板などに適用可能な硬質多孔性表面コーティング;装飾コンクリート;木材、たとえば、配向性ストランドボード(OSB)コーティング;塗布または含浸に供される敷板材料および建設材料;複合建設材料;家具コーティング;衛生コーティング、たとえば、テーブルトップ、カウンタートップ、ドアノブ、ドアハンドル、固定具などで使用されるもの;フローリング用途、たとえば、ラミネート、硬木フローリング材料、他の複合フローリング材料などにみられるもの;化粧板、たとえば、テーブルトップ、カウンタートップ、家具など;他の建設材料、たとえば、ルーフィング材料、壁材料、建物正面、フェンス、または木材保護用途のもの;海洋用途、たとえば、船殻、ドック、ブイ、掘削プラットフォーム、またはバラスト水タンクなどにみられるもの;金属、たとえば、キャビネット、ドアノブ、ハンドル、固定具など;ならびに家具、装具に適用可能なコーティング、相手先商標製造品(OEM)など。
【0072】
この態様では、本発明に係る抗微生物配合物は、とくに冷却回路内で、バイオファウリング防止剤として有用である。藻類または細菌の寄生による冷却回路の損傷を防止するために、典型的には、回路を頻繁に清掃したりまたはそのサイズを適切に大きくしたりしなければならない。パワープラントや化学プラントで通常見られる開放冷却システムでは、ホルマリンのような殺微生物物質の添加は、一般的には不可能である。他の殺微生物物質は、多くの場合、高腐食性であるかまたは泡を生成するので、このタイプのシステムでそれを使用することができない。その場合、システムの要素上への細菌または藻類の堆積を効果的に防止することが可能である。したがって、本発明に係る配合物および材料は、そのような用途にきわめて有用でありうる。
【0073】
他の態様では、本発明はまた、分散形態の抗微生物配合物を冷却水に添加することにより冷却水ストリームまたはプロセス水システムを滅菌するプロセスを提供しうる。分散形態は、たとえば、本明細書中に詳述されるような乳化重合により、それ以外にも沈殿重合もしくは懸濁重合により、または続いて、これらの方法のいずれかにより取得された抗微生物ポリマーをジェットミルなどでミリングすることにより、調製プロセス自体で取得可能である。
【0074】
本発明に係る抗微生物ラテックスポリマーは、どの抗微生物作用が望ましいかに関連付けて多種多様な目的に使用しうるコーティング組成物として適用可能または使用可能である。たとえば、一態様では、本明細書中に開示される抗微生物ラテックスポリマーは、とくに細菌の攻撃を受ける危険性のある広範にわたる断熱材料たとえばパイプ用ラッピング材料と組み合わせて使用可能である。したがって、本発明に係る材料は、エラストマー断熱材料と組み合わせて使用する場合に有用である。そのようなコーティング組成物はまた、加熱パイプなどのパイプラインを断熱したりバルブやダクトを断熱したりするために使用されるような工業用断熱材と組み合わせて使用可能である。さらに、本明細書中に開示される抗微生物ラテックスは、多数の最終用途のすべての断熱材および/または防音材ならびに関連する断熱・防音材料と組み合わせて使用可能である。本明細書中で規定されるラテックスはまた、抗微生物コーティングの基材としての工業用の発泡体および発泡材料と組み合わせて使用可能である。本明細書中に開示される抗微生物ラテックスを含むそのようなコーティングはまた、空調設備用、凝縮器用、冷蔵庫用および他の冷蔵ユニット用、さらにはそれらの部品用のコーティングとして、さらには海洋船舶用および木材保存用の塗料としてのコーティング組成物のコーティングとして、使用可能である。本開示に係る抗微生物ラテックスを含むコーティングはまた、衛生設備、病院、もしくは食品工業において、金属、プラスチック、もしくはセラミックスのような基材のコーティングとして、または感染性病原体を容易に伝播しうる頻繁な接触を伴う任意のタイプの任意の物品、たとえば、ドアハンドル、衛生器具、スイッチ、およびグリップのコーティングとして、利用可能である。そのようなコーティングの場合、粉末コーティングの形態のコーティング組成物の使用が有利なこともある。
【0075】
医療器具への抗微生物ラテックスの適用
本明細書中で用いられる「医療器具」という用語は、哺乳動物中に挿入されるかまたは哺乳動物中に材料を挿入するプロセスで使用される天然もしくは人工の任意の材料を意味する。本発明に係る抗微生物ラテックスおよび抗微生物組成物の適用に適した特定の医療器具としては、末梢挿入可能な中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期トンネル型中心静脈カテーテル、長期非トンネル型中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、肺動脈スワン・ガンツ(Swan-Ganz)カテーテル、尿道カテーテル、人工尿道括約筋、長期尿道器具、尿道拡張器、尿道ステント、他の尿道器具、組織結合尿道器具、陰茎プロテーゼ、血管移植片、血管カテーテルポート、血管拡張器、血管外拡張器、血管ステント、血管外ステント、創傷ドレインチューブ、水頭症シャント、脳室カテーテル、腹膜カテーテル、ペースメーカーシステム、小型のもしくは一時的な関節置換、心臓弁、心臓補助装置など、骨プロテーゼ、関節プロテーゼ、歯科プロテーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
一態様では、本発明に係る生物活性カチオン性ラテックスと組み合わせて使用可能な医療器具は、熱可塑性材料やポリマー材料のような非金属材料を含むが、これらに限定されるものではない。そのような材料の例としては、ゴム、プラスチック、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、ゴアテックス(GORTEX)TM(ポリテトラフルオロエチレン)、ダクロン(DACRON)TM(ポリエチレンテレフタレート(polyethylene tetraphthalate))、ポリビニルクロリド、テフロン(TEFLON)TM(ポリテトラフルオロエチレン)、エラストマー、ナイロン、およびゼラチン、コラーゲン、またはアルブミンで密封されたダクロン(DACRON)TMが挙げられる。医療器具にコーティングを施すために使用されるそれぞれの生物活性カチオン性ラテックスの量は、ある程度異なるが、少なくとも、細菌および菌類の生物の増殖を阻害するのに有効な濃度を形成するのに十分な量である。
【0077】
抗微生物ラテックスは、単独でまたはそれらの2つ以上の組合せで使用可能である。それぞれの抗微生物ラテックスは、本明細書中で規定されるような1種以上の抗微生物要素を含みうる。本明細書中に開示される任意の適用または使用はさらに、医療器具の表面全体にわたり分散可能な少なくとも1種の他の抗微生物剤と組み合わされた少なくとも1種の生物活性ラテックスの使用を包含しうる。医療器具を含浸させるために使用されるそれぞれの生物活性ラテックスおよびそれぞれの抗微生物剤の量は、ある程度異なるが、少なくとも、細菌および菌類の生物の増殖を阻害するのに有効な濃度である。
【0078】
一態様では、抗微生物剤は、抗生物質、防腐剤、消毒剤、またはそれらの任意の組合せから選択可能である。他の態様では、抗微生物剤は、ペニシリン類、セファロスポリン類、カルベペネム類、他のβ-ラクタム抗生物質、アミノグリコシド類、マクロライド類、リンコサミド類、グリコペプチド類、テトラサイクリン類(tetracylines)、クロラムフェニコール、キノロン類、フシジン類、スルホンアミド類、トリメトプリム類、リファマイシン類、オキサリン類、ストレプトグラミン類、リポペプチド類、ケトライド類、ポリエン類、アゾール類、エキノカンジン類、またはそれらの任意の組合せ(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする抗生物質でありうる。
【0079】
一態様では、少なくとも1種の薬剤は、本明細書中で規定される生物活性ラテックスを用いて医療器具に適用可能であり、かつ生物活性ラテックスによりカプセル化されうるのではなくそれに付着しうる薬剤と組み合わせて使用可能である。たとえば、カチオン性抗微生物ラテックスコーティングは、イオン電荷を有しうる医療器具にコーティングとして適用可能である。続いて、相補的電荷を有する薬剤は、荷電コーティングおよび薬剤が互いに暴露された時、器具の表面に適用された荷電コーティングに適用可能でありかつそれに結合可能である。薬剤とコーティングとの間の結合強度を用いて、薬剤が器具の表面からどの程度容易に放出されうるかに影響を与えることが可能である。一態様では、本開示は、この薬剤送達機能を有するインプラントまたは医療器具を所定の解剖学的部位に送達することを提供する。この態様では、典型的には、有用な薬剤としては、抗微生物剤および抗生物質、たとえば、ネオマイシンおよびサルファ剤、抗炎症剤、たとえば、ステロイド系もしくは非ステロイド系の抗炎症剤、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
本明細書中に記載のものと類似したまたは等価な任意の方法、器具、および材料を本発明の実施または検査に使用することが可能であるが、典型的な方法、器具、および材料を本明細書中に記載する。本明細書中に挙げられるすべての刊行物および特許は、たとえば、本明細書中に記載の本発明と組み合わせて使用しうる刊行物中に記載の構築物および方法を説明および開示することを目的として、参照により本明細書に組み入れられるものとする。本明細書中で検討される刊行物は、単に本出願の出願日前に開示されたものとして提供されているにすぎない。本明細書中の記載内容は、先行発明に基づいてそのような開示に先行する権利が本発明者らに与えられないことを容認するものとみなされるべきものではない。
【0081】
出願人が、任意のタイプの範囲、たとえば、温度の範囲、濃度の範囲、原子数、重量パーセントなどの範囲を開示または特許請求する場合、出願人の意図するところは、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せを個別的に開示または特許請求することである。したがって、本出願人が、特定の炭素原子数を有する化学部分を開示または特許請求する場合、出願人の意図するところは、本明細書中の開示と合致してそのような数値範囲が包含しうるあらゆる可能な数値、部分範囲、および部分範囲の組合せを個別的に開示または特許請求することである。たとえば、Rが、12個までの炭素原子を有するアルキル基、言い換えるとC1〜C12アルキル基から選択されるという開示は、本明細書中で用いられる場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12個の炭素原子を有するアルキル基、ならびにこれらの2つの数値間の任意の範囲、たとえば、C3〜C8アルキル基、さらにはこれらの2つの数値間の範囲の任意の組合せ、たとえば、C3〜C5アルキル基とC7〜C10アルキル基との組合せから選択されうるR基を意味する。したがって、出願人は、「12個までの炭素原子を有する基」のような用語を、そのような範囲が合理的に包含しうる任意の個別の数値、さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せで、置き換える権利を保持する。他の例では、モル比が典型的には約0.1〜約1.0の範囲にわたるという開示により出願人が意図するところは、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、または約1.0:1、さらにはそれに包含される任意の部分範囲および部分範囲の組合せからモル比を選択しうるということを述べることである。同様に、特定の重量パーセントが約80重量パーセント〜約90重量パーセントでありうるという開示により出願人が意図するところは、重量パーセントが約80重量パーセント、約81重量パーセント、約82重量パーセント、約83重量パーセント、約84重量パーセント、約85重量パーセント、約86重量パーセント、約87重量パーセント、約88重量パーセント、約89重量パーセント、または約90重量パーセントでありうるということを述べることである。
【0082】
なんらかの理由で、たとえば、出願時に出願人が気づいていない可能性のある参考文献を考慮して、出願人が本開示に係る最大限の規定よりも狭く特許請求する選択を行ったとしても、出願人は、範囲に基づいてまたは任意の類似の方式で特許請求されうる任意のグループの任意の個別のメンバー(グループ内の任意の部分範囲または部分範囲の組合せを包含する)に付帯条件を課したりまたはそれらを除外したりする権利を留保する。さらに、なんらかの理由で、たとえば、出願時に出願人が気づいていない可能性のある参考文献を考慮して、出願人が本開示に係る最大限の規定よりも狭く特許請求する選択を行ったとしても、出願人は、任意の個別の置換基、添加剤、化合物、モノマー、界面活性剤、構造体など、もしくはそれらの任意のグループ、または特許請求されたグループの任意の個別のメンバーに付帯条件を課したりまたはそれらを除外したりする権利を留保する。
【0083】
本明細書中に開示される任意の特定の化学化合物に関して、提示された任意の一般的な開示または構造はまた、特定の一群の置換基から生じうる配座異性体、位置異性体、立体異性体などのようなすべての異性体を包含する。一般構造はまた、文脈上必要とされる場合、エナンチオマー形であるかラセミ形であるかを問わず、すべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の光学異性体、さらには立体異性体の混合物を包含する。
【0084】
以下の実施例により本発明についてさらに説明するが、その範囲になんら制限を課すものとみなされるべきものではない。それどころか、当業者であれば本明細書中の説明を読んだ後で本発明の精神や添付の特許請求の範囲から逸脱することなく思いつきうる種々の他の態様、実施形態、変更形態、および等価形態を利用しうることを明確に理解すべきである。
【0085】
以下の実施例では、とくに明記されていないかぎり、試薬は供給業者から入手した。カチオン性ポリマーラテックスの一般的合成検査手順をはじめとする一般的手順は、クリシュナン(Krishnan)に付与された米国特許出願公開第2005/0065284号および同第2005/0003163号(それらの各開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に提供されている。
【実施例1】
【0086】
生物活性剤の初期導入により調製される生物活性カチオン性ラテックス
次の成分:約1142gの水、約5.95gの非イオン性界面活性剤アベックス(ABEX)TM 2525(ロディア(Rhodia)社製)、約11.90gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(コグニス(Cognis)社製のMPEG 550)、および約31.7gのジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド第四級塩(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社製のアゲフレックス(AGEFLEX)TM FM1Q75MC)を1ガロンの反応器に仕込むことが可能である。次に、反応器を数回の減圧/N2充填サイクルに付することにより、反応器内容物を脱酸素化することが可能であり、その後、約59.5gのブチルアクリレートおよび約119gのスチレンを反応器に添加することが可能である。再び、反応器を数回の減圧/N2充填サイクルに付し、その後、反応器内容物の温度を約165°Fに上昇させることが可能であり、その時点で、約23.80gの水と約2.38gの和光V-50(WAKO V-50)(和光ケミカル(Wako Chemicals)社製)とよりなる開始剤溶液を反応混合物中に注入する。この反応混合物を約165°Fで約30分間保持した後、反応器内への以下のフィードの導入を開始する。
【0087】
30分間の「保持時間」の後、以下の成分を反応器内に供給することが可能である。
【0088】
1)約5時間にわたり供給される約238gのブタジエンよりなるブタジエンフィード。
【0089】
2)約102gのブチルアクリレートと、約517gのスチレンと、約119gの任意の好適な生物活性剤、たとえば、本明細書中に開示されるものと、よりなる混合モノマーフィード。全混合物の全供給時間は、約5時間でありうる。混合モノマー供給の約1時間後、生物活性成分を混合モノマーフィード中に導入することが可能である。これは、混合モノマー供給の最後の4時間の供給時間にわたり反応器内に導入される約495gのスチレン/ブチルアクリレートモノマー混合物中に約119gの生物活性剤を溶解することを含む。
【0090】
3)約152gの水と、約47.60gのMPEG 550(コグニス(Cognis)社製)と、約47.60gのジメチルアミノエチルメタクリラートメチルクロリド第四級塩(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社製のアゲフレックス(AGEFLEX)TM FM1Q75MC)と、約74.5gのN-メチロールアクリルアミドと、よりなる水性モノマーフィード。この水性モノマーフィードは、約3時間にわたり反応器内に供給することが可能である。
【0091】
ならびに
4)約202gの水と約4.8gの和光(WAKO)TM V-50とよりなる水性開始剤フィード。これは、約5.5時間にわたり反応器内に供給可能である。
【0092】
フィードの添加が終了した時、モノマーのほとんど(約98%超)が反応するまで反応を継続する。次に、反応器内容物を冷却してから減圧ストリッピングを行うことにより、未反応モノマーを除去しかつ固形分濃度を約40重量パーセントに増大させる。所要もしくは所望により、反応揮発性物質のストリッピングを行う前に必要に応じてラテックスのpHを調整することが可能である。
【実施例2】
【0093】
生物活性剤の後期導入により調製される生物活性カチオン性ラテックス
実施例2に提供される詳細事項に従って乳化重合反応を行うことが可能である。ただし、5時間のスチレン/ブチルアクリレート供給の約4時間後、生物活性要素の約49gのサンプルを混合モノマーストリーム中に導入することが可能である。このプロセスは、混合モノマー供給の最後の1時間の供給時間にわたり反応器内に導入される約124gのスチレン/ブチルアクリレートモノマー混合物中に生物活性剤を溶解することを含む。
【実施例3】
【0094】
抗菌類剤の組み込まれたカチオン性ラテックスの評価
抗菌類剤の組み込まれたカチオン性ラテックスを評価するための標的として抗菌類性壁板を同定した。この実施例の目的は、紙の製造に用いられる従来のウェットエンドプロセスで石膏壁板のペーパーフェーシング中に組み込まれたカチオン性ポリマーを介して抗菌類剤を送達することであった。
【0095】
さまざまな抗菌類添加剤を種々のレベルで重合プロセス時にポリマー中に組み込んで、いくつかのカチオン性ポリマーを製造した。ウェットエンドプロセス時の添加だけでなく紙上のコーティングとしてもポリマーを検査した。ASTM G-21およびASTM D-3273に準拠して主要な抗菌類性評価を行ったところ、2種の抗菌類添加剤(プロピコナゾール(「PZ」)およびテブコナゾール(「TZ」))の組合せを用いて最良の抗菌類性の結果が得られることが明らかにされた。
【0096】
湿量基準で0.4%のPZ/TZレベルが有意な阻害作用を有することおよびPZ/TZがウェットエンドを介して輸送されかつ紙上にきれいに堆積されうることがコーティング試験から示唆された。AATCC-100法を用いて一連のカチオン性ポリマー(ポリマー中にいかなる添加剤をも組み込まずに)の抗細菌性(低レベルおよび高レベルのカチオン性モノマーの両方)を評価した。ポリマーは>99%の死滅を示したが、カチオン性でない対照のポリマーは、いかなる死滅をも示さなかった。
【0097】
結果および考察:
この試験で使用した抗菌類添加剤を表1に示す。
【表1】

【0098】
理想的には、材料は、重合時に劣化しないように重合条件下で実質的に非反応性である。いくつかの実施形態では、劣化が起こる場合にもポリマーラテックスからの抽出が困難である場合にも、低レベルの添加剤が観測される可能性がある。いかなる場合にも、ラテックス中に添加剤を保持すれば、完成紙の抗菌類性が保持される。
【0099】
アミカル(Amical)を用いた初期重合試験から、アミカル(Amical)は比較的多量に組み込まれた場合に劣化することが明らかにされた。劣化に対する潜在的寄与因子として重合温度を調べ、可能なかぎり低く保持した(典型的には<70℃)。重合の終了時、所望の固形分含有率になるようにサンプルのストリッピングを行った。
【0100】
サンプルの初期検査の結果を表2に示す。この検査ではASTM G-21を利用し、その際、菌類をコーティング付きの紙サンプル上に直接接種し、次に、恒湿チャンバー内に28日間保持した。10番マイヤー(Meyer)ロッドを用いてラテックスコーティングを紙上に適用し、1層のみの単一コーティングを適用した。しかしながら、紙が十分に被覆されていない可能性があることから考えて、これは適切なコーティング厚さでないと判断した。これは、図1に示される菌類増殖データに反映される。
【0101】
PZ/TZの組合せ(MB-38、MB-39)を有するラテックスサンプルは、強力な菌類阻害特性を呈した。
【0102】
ラテックスサンプルから回収された添加剤のレベルを決定し、最初に添加された添加剤の量と比較した。このデータを表2にまとめる。
【表2】

【0103】
この実施例では、アミカル(Amical)は、重合時に有意量を添加した場合でさえも、ラテックス中に不十分に組み込まれる傾向を示した。有意量のPZ/TZの組合せおよびトリクロサンが回収された。
【0104】
G-21試験で観測された結果は、より短期間(7日間のインキュベーション)の菌類試験(本明細書中では30-IIIと記す)でも再現された。結果を図2に示す。
【0105】
マイクロバンZ01(Microban Z01)、0.4%(湿量基準)の亜鉛ピリチオン、およびPZ/TZはすべて、良好な性能を示した。
【0106】
30-III菌類検査は、乾燥ラテックスの1"×1"チップを作製することと、菌類種をサンプル上に直接接種することと、次に、7日後にその増殖を観測することと、に基づく。これは、G-21検査ほど厳密な検査ではないが、添加剤の効力の即時的指標を与えた。この検査では、アミカル(Amical)サンプルは、いくらかの菌類阻害を示した。
【0107】
この検査では、添加剤をまったく用いない単独のカチオン性ポリマーは、有意な菌類耐性品質を示さなかった。カチオン電荷の変化は、抗菌類性能に影響を及ぼさないように思われた。これは、ポリマーフィルムに菌類種を接種していかなる菌類増殖をも行わずに恒湿チャンバー内に6ヶ月間放置した異なる抗菌類検査と対照的である。この結果に対する理由の1つは、検査されたフィルムがここで検査されたものよりも厚いフィルム(約4ミルまたは100ミクロン)であったことでありうる。
【0108】
紙表面の十分な被覆率が確保されるように増大されたコーティング厚さを用いて、第2ラウンドの検査を行った。コーティング付きの紙サンプルの第2ラウンドの検査は、ASTM D-3273に準拠した検査であった。この試験では、継続期間を同一に維持したが(28日間)、菌類種を表面上に直接接種することはしなかった。そうではなく、実世界で見られるように、コーティング付きの紙の表面に後で付着する胞子として恒湿チャンバー内に保持した。この試験結果の概要を図3にまとめる。
【0109】
この試験では、アミカル(Amical)およびPZ/TZは有効であったが、Z01は良好な性能を示さなかった。また、添加剤をまったく用いないカチオン性ポリマーは、抗菌類性を示されないように思われた。そしてコーティングなしの紙サンプルに類似しているようにみえた。図3に示される分析データは、菌類試験の開始前のコーティング付きサンプルの測定を基準にしたものであった。紙からの添加剤の回収は、定量的でない。
【0110】
試験の次の段階は、コーティング付きの紙の場合と同様にウェットエンドプロセスを介して同一の性能が得られることを実証することであった。紙上へのラテックスの堆積は、軟木繊維上に一定量のラテックス(繊維を基準にして10%)を堆積することと、これを抗菌類性評価に付すことと、を含んでいた。ラテックス中の添加剤の量は、約7.5%(1つのサンプル中、重量基準で2.5% PZおよび5% TZ)であった。このデータを図4にまとめる。この試験では、カチオン性ラテックスをPZ/TZ添加剤と併用して(MB-87)および併用せずに(MB-86)、紙サンプルを作製した。先に述べたように、ラテックス中のPZ/TZ添加剤の量は、約7.5%(乾量基準)であった。これは、繊維基本重量に基づいて、完成紙で約6680ppmのPZ/TZおよび10%のポリマーまたはラテックスを与えるであろう。
【0111】
28%の活性を有するPZ/TZのディスパージョン(M-3078)をも提供した。本質的に同一量のPZ/TZを与えるように、これをカチオン性ラテックスMB-86と共に後添加物として使用した。したがって、このディスパージョンを有する後添加サンプルは、重合ラテックスサンプルのものよりもかなり多い約10%のPZ/TZ濃度を有していた。これは、完成紙で約9000ppmのPZ/TZ濃度を生じるであろう。単純ラテックス(MB-86)、後添加PZ/TZを有するMB-86、および重合PZ/TZサンプルMB-87の抗菌類性の結果を図4に示す。
【0112】
コーティング付きサンプルの試験のときとまったく同じように、カチオン性ラテックスだけを有する紙は、菌類D-3273検査に合格しなかった。後添加PZ/TZサンプルおよび重合PZ/TZサンプルはいずれも、検査に合格した。重合添加剤サンプル(MB-87)は、約3000ppm少ないPZ/TZを有していたが、それにもかかわらず、後添加サンプルと同程度のまたはそれよりもわずかに良好な性能を示すように思われる点に注目されたい。菌類増殖は観測されなかった。
【0113】
明細書中には、典型的な実施形態が開示されており、特定の用語が用いられているが、そうした用語は、一般的かつ記述的な意味で用いられており、限定を目的するものではない。当業者であれば本明細書中の説明を読んだ後で本開示の精神や特許請求の範囲から逸脱することなく思いつきうる種々の他の実施形態、態様、変更形態、および特許請求の範囲に開示されているものと等価な形態を利用しうることを明確に理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本出願がすべての法域で優先出願としてのすべての法的要件を満たすことが保障されるように提供されており、本明細書中に開示されるラテックス組成物、その使用方法、およびそれが組み込まれているかまたはそれを含有する物品の全範囲を明示するものとみなされるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、ii)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、の重合生成物を含むラテックスポリマーと、
b)該ラテックスポリマー内に少なくとも部分的にカプセル化された少なくとも1種の生物活性要素と、
c)場合により、該ラテックスポリマー中に組み込まれた少なくとも1種の立体的に嵩高い要素と、
を含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項2】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーが、独立して、ビニル芳香族モノマー、ハロゲン化オレフィンモノマーまたは非ハロゲン化オレフィンモノマー、脂肪族共役ジエンモノマー、非芳香族不飽和のモノカルボン酸エステルモノマーまたはジカルボン酸エステルモノマー、不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルをベースとするモノマー、不飽和のモノカルボン酸モノマーまたはジカルボン酸モノマー、ニトリル含有モノマー、環式もしくはも非環式のアミン含有モノマー、分岐状もしくはも非分岐状のアルキルビニルエステルモノマー、ハロゲン化アルキルアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アルキルアクリレートモノマー、ハロゲン化アリールアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アリールアクリレートモノマー、カルボン酸ビニルエステル、酢酸アルケニルエステル、カルボン酸アルケニルエステル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、あるいはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)から選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項3】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーが、独立して、スチレン、p-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、モノメチルマレエート、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、ビニルネオデカノエート、ビニルバーサテート、ビニルアセテート、C3〜C8アルキルビニルエーテル、C3〜C8アルコキシビニルエーテル、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロブチルエチレン、過フッ素化C3〜C8α-オレフィン、フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルコキシビニルエーテル、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項4】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーが、独立して、アミンモノマー、アミドモノマー、第四級アミンモノマー、ホスホニウムモノマー、スルホニウムモノマー、またはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)から選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項5】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーが、独立して、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N,N-ジメチル-アミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルベンジルアミン、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロリド第四級塩、トリメチル-(ビニルオキシエチル)アンモニウムクロリド、1-ビニル-2,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリド、ビニルベンジルアミンヒドロクロリド、ビニルピリジニウムヒドロクロリド、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項6】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、独立して、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマー、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマー、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項7】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、
a)CH2=C(R1A)COO(CH2CHR2AO)mR3A〔式中、R1A、R2A、およびR3Aは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつmは、1〜30(両端の値を含む)の整数である〕、
b)CH2=C(R1B)COO(CH2CH2O)n(CH2CHR2BO)pR3B〔式中、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつnおよびpは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数である〕、
c)CH2=C(R1C)COO(CH2CHR2CO)q(CH2CH2O)rR3C〔式中、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつqおよびrは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数である〕、あるいは
d)それらの任意の組合せ、
から独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーである、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項8】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、
a)CH2=C(R1A)COO(CH2CHR2AO)mR3A〔式中、R1A、R2A、およびR3Aは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつmは、1〜10(両端の値を含む)の整数である〕、
b)CH2=C(R1B)COO(CH2CH2O)n(CH2CHR2BO)pR3B〔式中、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつnおよびpは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数である〕、
c)CH2=C(R1C)COO(CH2CHR2CO)q(CH2CH2O)rR3C〔式中、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつrおよびqは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数である〕、あるいは
d)それらの任意の組合せ、
から独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーである、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項9】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、独立して、ジカルボン酸のアルコキシル化モノエステル、ジカルボン酸のアルコキシル化ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、重合性界面活性剤、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項10】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、またはそれらの任意の組合せから独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーである、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項11】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、ウンデシレン酸、ウンデシレンアルコール、ウンデシレン酸とヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートもしくはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートとの反応生成物、ウンデシレンアルコールと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、もしくはイタコン酸との反応生成物、キトサンもしくは修飾型キトサン、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項12】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、銅、銅塩、銀、銀塩、亜鉛、亜鉛塩、酸化銀、酸化亜鉛、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、グルタラール、ハラゾン、ヘキサクロロフェン、ニトロフラゾン、ニトロメルソール、ポビドンヨード、チメロソール、C1〜C5-パラベン、次亜塩素酸塩、クロフルカルバン、クロロフェン、ポロキサマーヨード、フェノール類、酢酸マフェニド、塩酸アミナクリン、第四級アンモニウム塩、オキシクロロセン、メタブロムサラン、メルブロミン、ジブロムサラン、ラウリン酸グリセリル、ピリチオン塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、(ドデシル)(ジエチレンジアミン)グリシン、(ドデシル)(アミノプロピル)グリシン、フェノール、m-クレゾール、o-クレゾール、p-クレゾール、o-フェニル-フェノール、レゾルシノール、ビニルフェノール、高分子グアニジン類、ポリミキシン類、バシトラシン、サークリン、オクタペプチン類、リゾチーム、リゾスタフィン、セルロース分解酵素、バンコマイシン、リストセチン、アクチノイジン類、アボパルシン類、チロシジンA、グラミシジンS、ポリオキシンD、ツニカマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項13】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、アザコナゾール、ビテルナトール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルトナホール(flutnafol)、イマザリル、イミベンコナゾール、メトコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、シメコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、ウニコナゾール、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ジネブ、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、ジフェノコナゾール、4,5-ジメチル-N-(2-プロペニル)-2-(トリメチルシリル)-3-チオフェンカルボキサミド(シルチオファム)、ヘキサコナゾール、エタコナゾール、トリチコナゾール、フルトリアホール、エポキシコナゾール、ブロムコナゾール、テトラコナゾール、ミクロブタニル、ビテルタノール、ピリメタニル、シプロジニル、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、クレソキシム-メチル、アゾキシストロビン、ZEN90160TM、フェンピクロニル、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R-メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、カルボキシン、プロクロラズ、トリフルミゾール、ピリフェノックス、アシベンゾラル-S-メチル、クロロタロニル、シモキサニル、ジメトモルフ、ファモキサドン、キノキシフェン、フェンプロピジン、スピロキサミン、トリアゾキシド、BAS50001FTM、ヒメキサゾール、ペンシクロン、フェナミドン、グアザチン、ベノミル、カプタン、カルベンダジム、カルプロパミド、エチリモール、フルトラニル、ホセチル-アルミニウム、フベリダゾール、ヒメキサゾール、カスガマイシン、イミノクタジン-トリアセテート、イプコナゾール、イプロジオン、メプロニル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、ヌアリモル、オキシン-銅、オキソリニン酸、ペフラゾエート、プロパモカルブヒドロクロリド、ピロキロン、キントゼン、シルチオファム、MONTM 65500、テクナゼン、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チラム、トルクロホス-メチル、トリフルミゾール、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項14】
全モノマー重量を基準にして約20重量パーセント〜約99.5重量パーセントの前記エチレン性不飽和の第1のモノマーを含む、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項15】
全モノマー重量を基準にして約0.01重量パーセント〜約75重量パーセントの前記エチレン性不飽和の第2のモノマーを含む、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項16】
全モノマー重量を基準にして約0.01重量パーセント〜約40重量パーセントの生物活性添加剤を含む、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項17】
全モノマー重量を基準にして0重量パーセント〜約25重量パーセントの立体的に嵩高い要素を含む、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項18】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項19】
前記ラテックスポリマーが、カチオン性およびアニオン性の界面活性剤を実質的に有していない、請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックス。
【請求項20】
請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスを含む、コーティング。
【請求項21】
請求項1に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスを含む、物品。
【請求項22】
a)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、
b)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、
c)少なくとも1種の生物活性要素と、
d)少なくとも1種のフリーラジカル開始剤と、
e)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーと、
f)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーと、
g)場合により、少なくとも1種の非イオン性でない界面活性剤と、
を乳化重合時の任意の時点で含む水性組成物の乳化重合を開始することを含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項23】
前記方法が半連続プロセスであり、かつ少なくとも1種の生物活性要素が乳化重合時の任意の時点でモノマーフィード中に溶解される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項24】
前記方法がバッチプロセスであり、かつ前記少なくとも1種の生物活性要素が乳化重合の種晶段階で存在する、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項25】
前記水性組成物要素および前記少なくとも1種の生物活性要素が、乳化重合の開始前にディスパージョンとして提供される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーが、独立して、ビニル芳香族モノマー、ハロゲン化オレフィンモノマーまたは非ハロゲン化オレフィンモノマー、脂肪族共役ジエンモノマー、非芳香族不飽和のモノカルボン酸エステルモノマーまたはジカルボン酸エステルモノマー、不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルをベースとするモノマー、不飽和のモノカルボン酸モノマーまたはジカルボン酸モノマー、ニトリル含有モノマー、環式もしくはも非環式のアミン含有モノマー、分岐状もしくはも非分岐状のアルキルビニルエステルモノマー、ハロゲン化アルキルアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アルキルアクリレートモノマー、ハロゲン化アリールアクリレートモノマーまたは非ハロゲン化アリールアクリレートモノマー、カルボン酸ビニルエステル、酢酸アルケニルエステル、カルボン酸アルケニルエステル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、あるいはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)から選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーが、独立して、スチレン、p-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、エチレン、ブタジエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、モノメチルマレエート、イタコン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、ビニルネオデカノエート、ビニルバーサテート、ビニルアセテート、C3〜C8アルキルビニルエーテル、C3〜C8アルコキシビニルエーテル、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロブチルエチレン、過フッ素化C3〜C8α-オレフィン、フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルキルビニルエーテル、過フッ素化C3〜C8アルコキシビニルエーテル、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーが、独立して、アミンモノマー、アミドモノマー、第四級アミンモノマー、ホスホニウムモノマー、スルホニウムモノマー、またはそれらの任意の組合せ(それらはいずれも20個までの炭素原子を有する)から選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーが、独立して、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N,N-ジメチル-アミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルベンジルアミン、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロリド第四級塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロリド第四級塩、トリメチル-(ビニルオキシエチル)アンモニウムクロリド、1-ビニル-2,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリド、ビニルベンジルアミンヒドロクロリド、ビニルピリジニウムヒドロクロリド、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、独立して、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマー、少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマー、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、
a)CH2=C(R1A)COO(CH2CHR2AO)mR3A〔式中、R1A、R2A、およびR3Aは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつmは、1〜30(両端の値を含む)の整数である〕、
b)CH2=C(R1B)COO(CH2CH2O)n(CH2CHR2BO)pR3B〔式中、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつnおよびpは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数である〕、
c)CH2=C(R1C)COO(CH2CHR2CO)q(CH2CH2O)rR3C〔式中、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたは1〜6(両端の値を含む)個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、かつqおよびrは、独立して、1〜15(両端の値を含む)から選択される整数である〕、あるいは
d)それらの任意の組合せ、
から独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーである、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、
a)CH2=C(R1A)COO(CH2CHR2AO)mR3A〔式中、R1A、R2A、およびR3Aは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつmは、1〜10(両端の値を含む)の整数である〕、
b)CH2=C(R1B)COO(CH2CH2O)n(CH2CHR2BO)pR3B〔式中、R1B、R2B、およびR3Bは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつnおよびpは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数である〕、
c)CH2=C(R1C)COO(CH2CHR2CO)q(CH2CH2O)rR3C〔式中、R1C、R2C、およびR3Cは、独立して、Hまたはメチルから選択され、かつrおよびqは、独立して、1〜10(両端の値を含む)から選択される整数である〕、あるいは
d)それらの任意の組合せ、
から独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーである、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、独立して、ジカルボン酸のアルコキシル化モノエステル、ジカルボン酸のアルコキシル化ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、重合性界面活性剤、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種の立体的に嵩高い要素が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、またはそれらの任意の組合せから独立して選択される少なくとも1種の立体的に嵩高いポリマーである、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項35】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、ウンデシレン酸、ウンデシレンアルコール、ウンデシレン酸とヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートもしくはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートとの反応生成物、ウンデシレンアルコールと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、もしくはイタコン酸との反応生成物、キトサンもしくは修飾型キトサン、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、銅、銅塩、銀、銀塩、亜鉛、亜鉛塩、酸化銀、酸化亜鉛、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、グルタラール、ハラゾン、ヘキサクロロフェン、ニトロフラゾン、ニトロメルソール、ポビドンヨード、チメロソール、C1〜C5-パラベン、次亜塩素酸塩、クロフルカルバン、クロロフェン、ポロキサマーヨード、フェノール類、酢酸マフェニド、塩酸アミナクリン、第四級アンモニウム塩、オキシクロロセン、メタブロムサラン、メルブロミン、ジブロムサラン、ラウリン酸グリセリル、ピリチオン塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、(ドデシル)(ジエチレンジアミン)グリシン、(ドデシル)(アミノプロピル)グリシン、フェノール、m-クレゾール、o-クレゾール、p-クレゾール、o-フェニル-フェノール、レゾルシノール、ビニルフェノール、高分子グアニジン類、ポリミキシン類、バシトラシン、サークリン、オクタペプチン類、リゾチーム、リゾスタフィン、セルロース分解酵素、バンコマイシン、リストセチン、アクチノイジン類、アボパルシン類、チロシジンA、グラミシジンS、ポリオキシンD、ツニカマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種の生物活性要素が、独立して、アザコナゾール、ビテルナトール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルトナホール(flutnafol)、イマザリル、イミベンコナゾール、メトコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、シメコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、ウニコナゾール、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ジネブ、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、ジフェノコナゾール、4,5-ジメチル-N-(2-プロペニル)-2-(トリメチルシリル)-3-チオフェンカルボキサミド(シルチオファム)、ヘキサコナゾール、エタコナゾール、トリチコナゾール、フルトリアホール、エポキシコナゾール、ブロムコナゾール、テトラコナゾール、ミクロブタニル、ビテルタノール、ピリメタニル、シプロジニル、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、クレソキシム-メチル、アゾキシストロビン、ZEN90160TM、フェンピクロニル、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R-メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、カルボキシン、プロクロラズ、トリフルミゾール、ピリフェノックス、アシベンゾラル-S-メチル、クロロタロニル、シモキサニル、ジメトモルフ、ファモキサドン、キノキシフェン、フェンプロピジン、スピロキサミン、トリアゾキシド、BAS50001FTM、ヒメキサゾール、ペンシクロン、フェナミドン、グアザチン、ベノミル、カプタン、カルベンダジム、カルプロパミド、エチリモール、フルトラニル、ホセチル-アルミニウム、フベリダゾール、ヒメキサゾール、カスガマイシン、イミノクタジン-トリアセテート、イプコナゾール、イプロジオン、メプロニル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、ヌアリモル、オキシン-銅、オキソリニン酸、ペフラゾエート、プロパモカルブヒドロクロリド、ピロキロン、キントゼン、シルチオファム、MONTM 65500、テクナゼン、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チラム、トルクロホス-メチル、トリフルミゾール、またはそれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項38】
前記生物活性カチオン性ポリマーラテックスが、全モノマー重量を基準にして約20重量パーセント〜約99.5重量パーセントのエチレン性不飽和の第1のモノマーを含む、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項39】
前記生物活性カチオン性ポリマーラテックスが、全モノマー重量を基準にして約0.01重量パーセント〜約75重量パーセントのエチレン性不飽和の第2のモノマーを含む、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項40】
前記生物活性カチオン性ポリマーラテックスが、全モノマー重量を基準にして約0.01重量パーセント〜約40重量パーセントの生物活性添加剤を含む、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項41】
前記生物活性カチオン性ポリマーラテックスが、全モノマー重量を基準にして0重量パーセント〜約25重量パーセントの立体的に嵩高い要素を含む、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項42】
前記生物活性カチオン性ポリマーラテックスが、カチオン性およびアニオン性の界面活性剤を実質的に有していない、請求項22に記載の生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。
【請求項43】
a)i)少なくとも1種のエチレン性不飽和の第1のモノマーと、
ii)カチオン性であるかまたはカチオンの前駆体である少なくとも1種のエチレン性不飽和の第2のモノマーと、
iii)場合により、少なくとも1種の立体的に嵩高いエチレン性不飽和の第3のモノマーと、
iv)少なくとも1種のフリーラジカル開始剤と、
v)場合により、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
を含む水性組成物を提供することと、
b)該組成物の乳化重合を開始することと、
c)乳化重合プロセス時に少なくとも1種の生物活性要素を該組成物に添加することと、
を含む、生物活性カチオン性ポリマーラテックスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−501672(P2010−501672A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525656(P2009−525656)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/018838
【国際公開番号】WO2008/024509
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509051277)マラード クリーク ポリマーズ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】