説明

生物活性物質のポリ(アルキレンオキシド)修飾用前駆体

【課題】物質をポリ(アルキレンオキシド)で修飾するための前駆体の化合物の提供。
【解決手段】下記一般式


上式中、Mは、−L−(CH(R)CHO)p−の基を、Xは、−(CH)q−Yの基を、−L−は単結合又は生体内で開裂しうる連結基を、Rは水素又はメチルを、Yは水素、保護されたヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アセタール、チオールを、pは5〜50,000の整数を、qは1〜12の整数を、Rは、水素、テトラヒドロピラニル又はその他のヒドロキシ保護基を、そしてA及びBはいずれか一方が固体支持体上の有機間の基に結合できる官能基であり、他方は上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表すか、又はA及びBは相互に独立して、ヒドロキシル基、または上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表すか、A及びBは一緒になって、単結合を表す、で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物活性物質のポリ(アルキレンオキシド)修飾用前駆体に関し、特に、固相合成法を利用して各種生物活性物質のポリ(アルキレンオキシド)修飾を実施する際に都合よく使用できる前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレングリコール(PEG)を初めとするポリ(アルキレンオキシド)は、生体適合性に優れ、アメリカ合衆国食品医薬局(FDA)で医薬品として使用が認められているものもある。PEGは、特に医薬品の分野において広範な用途に使用されてきており、ミセルやリポソームで用いられるだけでなく、特定のタンパク質医薬を直接修飾することによりその生体適合性を改善できることも知られている。今後の展開としては、PEGを次世代の医薬品として注目されているアンチセンス、アプタマー、siRNA等の核酸に適用することが考えられる。既に眼科領域では加齢黄斑変性に対するアプタマ−薬(Pegaptanib)において使用されている。このアプタマ−薬においては核酸(RNA)にPEGが5’末端において結合されている。このようなPEG修飾核酸医薬品の今後も精力的に開発されると考えられるが、核酸は通常の小分子医薬品と比較してコスト高であるため、製造工程においていかに効率よく核酸とPEGを結合させるかが非常に重要になってくる。
【0003】
PEGを核酸に結合させる方法としては幾つかが報告されているが、その多くが合成した核酸とPEG誘導体を液相において反応させる方法である(特許文献1)。この方法では未反応の核酸やPEGを精製の際に除く必要があり、最終的にコスト高になる。反応工程及びその後の精製工程を効率化しコストを下げることができれば非常に有用な技術となりうるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2005/089224
【発明の概要】
【0005】
核酸は通常固相上で合成されている(特許文献1のオリゴヌクレオチドの合成も然りである)。したがって、同じ固相上でPEGを核酸に結合させることができれば、未反応のPEGや核酸は洗浄のみで除かれるため製造プロセスが大幅に簡略化でき、核酸も効率よく使用できるであろう。本発明者等はこのような観点から、核酸合成を行う固相上に共有結合せしめた多官能性化合物を介して該化合物の一つの官能基に予めPEGを担持させた。次いで、該化合物の他の官能基上で核酸を伸長せしめた後、PEGと核酸が結合した状態にある該化合物を固相から切り離すと、該化合物を介するがPEGと核酸が共有結合したコンジュゲートを得ることができると考えた。かようなコンジュゲートの製造についての概念図を参考までに図1に示す。
【0006】
したがって、本発明は、一般式(I)
【化1】

で表される化合物またはポリ(アルキレンオキシド)修飾用前駆体を提供する。
【0007】
上記式中の各部分または基は次のとおりである
Mは、−L−(CH(R)CHO)p−の基を表し、
Xは、−(CH)q−Yの基を表し、
−L−は単結合または生体内で開裂しうる連結基を表し、
Rは水素またはメチルを表し、
Yは水素、保護されたヒドロキシル、保護されたアミノ、保護されたカルボキシル、アセタール、および保護されたチオール等を表し、
pは5〜50,000の整数を表し、そして
qは1〜12の整数を表す。
は、水素原子、テトラヒドロピラニル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンジル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンズヒドリルまたはフェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチル、アセタール、アリル、トリ−直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルシリル、ハロゲン原子1〜3個により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルカルボニルを表し、
a、b及びcは、相互に独立して、0〜3の整数を表し、あるいはまた
cの付された結合〔式中の(>)c部分〕は存在していなくてもよく、
ただし、a、b及びcは全体で3〜7員環を形成するように定義されており、
mは0〜12の整数を表し、そしてnは0〜12の整数を表す。
(i)A及びBはいずれか一方が、HOOC−(CH−COO−、HOOC−(CH−COO−またはHOOC−CH−O−CH−COO−を表し、他方は上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表し、または
(ii)A及びBは相互に独立して、ヒドロキシル基、または上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表し、または
(iii)A及びBは一緒になって、単結合を表す。
【0008】
上記前駆体化合物は、上記一般式(I)における、A及びBのいずれか一方のHOOC−(CH−COO−、HOOC−(CH−COO−またはHOOC−CH−O−CH−COO−のカルボキシ基(HOOC−)を介して固体支持体表面に固定され、Rの置換反応を介して各種生物活性物質と共有結合を形成することができる。
【0009】
したがって、一般式(I)の前駆体化合物は、固相上で、各種生物活性物質とポリ(アルキレンオキシド)を連結でき、その後必要により、こうして連結されたコンジュゲートを固相から開裂し、取得できる。また、一般式(I)のA及びBが、上記の(ii)または(iii)の意味を有する化合物の場合、上記の後者と同様に、相当する前駆体で各種生物活性物質を修飾するのに使用できる。さらに、後述するように、これらの化合物は、一般式(I)のAおよびBが、上記の(i)の意味を有する化合物の合成前駆体としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の前駆体を使用する固相上での核酸のPEGによる修飾に関する概念図である。
【図2】製造例の化合物3のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果を表す図である。
【図3】応用例1で合成したPEG−核酸コンジュゲートと対応する核酸の電気泳動の結果を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、ポリ(アルキレンオキシド)等の「ポリ」の語は、当該技術分野で「ポリマー」と称される化合物について使用される「ポリ」のみならず、「オリゴマー」と称される化合物にいて使用される「オリゴ」の有する意味をも包含するものとして使用されている。
【0012】
一般式(I)における各基の定義は、限定されるものでないが、より詳細には、次の意味を有する。
【0013】
Mにおける−L−は、単結合または生体内で開裂しうる連結基を表し、かような連結基は、開裂部位として、例えば、−(CHSS(CH−、または−(CHC(O)O−(CH−、または−(CHNH−N=CH(CH−を有し、ここで、d、e、f、g、hおよびiは相互に独立して0〜6の整数を表し、生体内の還元的また弱酸性条件下で開裂いうる基を挙げることができる。
【0014】
−(CH(R)CHO)p−の基またはポリ(アルキレンオキシド)鎖において、Rは水素またはメチルを表し、好ましくは水素のみを表すポリ(エチレンオキシド)もしくはポリエチレングリコール(PEG)鎖を表すが、ポリ(アルキレンオキシド)鎖においてエチレングリコール(Rが水素である)とプロピレングリコール(Rがメチルである)からなる反復単位が、相互に、ランダムにまたは一定のブロックを形成するように存在していてもよい。pは、整数5〜50,000であることができるが、好ましくは、5〜10,000であり、より好ましくは10〜1,000である。
【0015】
Xにおける−(CH)q−YのYは、水素原子または生体組織または細胞を標的とするリガンド、接着因子、抗体、等と縮合または付加反応により共有結合を形成しうる官能基である。このような官能基としての、保護されたヒドロキシルにおける、保護基はハロゲン原子1〜3個により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルカルボニル、メトキシにより置換されていてもよいベンジルオキシ、アリルオキシ、トリ−直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルシリルオキシ、フェニルカルボニルオキシ、ピバロエートエステル、レブリネートエステル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチル等、が例示され、保護されたアミノにおける、保護基はベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アセチル、フタロイル、フルオレニルメトキシカルボニル等が例示され、保護されたカルボキシルにおける保護基はC−Cアルキル、フェニル環が置換されていてもよいベンジル等、が例示される。Yがアセタールである場合、“−(CH)q−Y”全体でジメトキシメチル、2,2−ジメトキシエチル、3,3−ジメトキシプロピル、ジエトキシメチル、2,2−ジエトキシエチル、4,4−ジメトキシブチルもしくは5,5−ジメトキシペンチル、またはこれらの各分子上の2つのアルキル基が一緒になって分岐していてもよいアルキレン鎖を形成する環式アセタール基、等であることができる。
【0016】
保護されたチオール基における保護基はC−Cアルキルスルフィド、t−ブチル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチルであることができる。これらの基は、必要があるとき、保護基の脱離にともない前記リガンド、抗体、等と共有結合を形成するのに使用できる。例えば、アセタールの場合、アセタールを酸で処理した後、リガンド、抗体等に存在するアミノとの間で共有結合を形成することができる。アミノ基の場
合、酸または塩基で処理した後、スクシンイミド基やアルデヒド基を有するリガンドとの間で共有結合を形成することができる。チオール基の場合、ジチオスレイトール、または硝酸銀とジチオスレイトールで処理した後、マレイミド基やチオール基を有するリガンドとの間で共有結合を形成することができる。
【0017】
pは5〜50,000、好ましくは5〜10,000であり、より好ましくは10〜1,000であり、そして
qは1〜12の整数を表す。
【0018】
の定義における、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンジル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンズヒドリルまたはフェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチルという場合の、メトキシは、フェニル環が結合するメチル基に対してo、m、pのいずれに複数結合していてもよいが、好ましくは、p位に結合していることができる。Rの好ましい基としては、限定されるものでないが、例えば、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、アリル、トリ−直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルシリル、ハロゲン原子1〜3個により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルカルボニルを挙げることができる。また、Rがアセタールを表す場合のアセタールは、上記Yについて定義したアセタールであることができ、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素を具体的なものとして挙げることができる。
【0019】
上記または本発明について基もしくは部分としてのC−Cアルキルには、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が包含される。
【0020】
一般式(I)における、A及びBが結合した環式環部分は、上述したとおり、A及びBのいずれか一方のHOOC−(CH−COO−、HOOC−(CH−COO−またはHOOC−CH−O−CH−COO−のカルボキシ基(HOOC−)を介して固体支持体表面に固定され、Rの置換反応を介して各種生物活性物質、限定されるものでないが、核酸分子、抗腫瘍性物質、抗ウィルス物質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、細胞(動物、植物、細菌、ウイルス、等)を固相合成により結合することができるか、または、適当であれば、液相で、Rの置換を介して各種生物活性物質を修飾するに使用できる。また、一般式(I)のA及びBが、上記の(ii)または(iii)の意味を有する化合物の場合、上記の後者と同様に、相当する前駆体で各種生物活性物質を修飾するのに使用できる。さらに、後述するように、これらの化合物は、一般式(I)のAおよびBが、上記の(i)の意味を有する化合物の合成前駆体としても使用できる。
【0021】
固相または固体支自体は、必要により、上記A及びBのいずれか一方のカルボキシル基と共有結合できる官能基を導入した表面を有する固形物質であることができる。好ましくは、当該技術分野で周知の核酸の固相化学合成に用いられている反応条件、反応試薬、操作法等に従って式(I)の化合物を共有結合できる固体支持体、例えば、架橋ポリスチレンをベースとするもの、多孔質ガラスビーズ等であることができ、市販されている種々多様な固体支持体を必要により修飾したものであることができる。
【0022】
A及びBが結合した環式環部分の定義における、a、b及びcは、相互に独立して、0〜3の整数を表し、あるいはまた
cの付された結合〔式中の(>)c部分〕は存在しなくてもよくとの定義に該当するものの具体的な組み合わせの例は、限定されるものでないが以下のものを挙げることができる。a=b=c=0、a=b=0でcCa=b=1でcの付された結合が存在しておらず、a=b=0でc=1、a=1でb=c=0、a=b=1でc=0、a=3でb=0でcの付された結合が存在しておらず、a=1でb=2でcの付された結合が存在しておらず、
a=b=0でc=2、a=c=1でb=0、a=b=1でc=1、及びa=b=0でc=3であるものを挙げることができる。これらの中、a=b=c=0、a=b=1でcの付された結合が存在しておらず、a=b=0でc=1、a=b=1でc=0、a=b=0でc=2の組み合わせが好ましく、a=b=1でcの付された結合が存在しておらず、a=b=0でc=1、a=b=1でc=0、の組み合わせが特に好ましい。
【0023】
このような合わせを有し、AとBが一緒になって単結合を表す場合の環式環部分に相当する化合物は、それぞれ順に、下記に表すものを挙げることができる(m及びnは上記定義のとおりである。)。
【化2】

【0024】
なお、これらの化合物は、後述する文献等一覧に示される文献から殆どが公知であり、又
、仮に新規化合物であっても、記載されている化合物ご同様に製造できる。
【0025】
mは0〜12、好ましくは、1〜6、より好ましくは1〜4の整数を表し、そしてnは0〜12、好ましくは、1〜6、より好ましくは1〜4の整数を表す。
【0026】
上記の本発明に従う一般式(I)の化合物は、例えば、上記の環式環部分に対応する化合物のヒドロキシル基の一方を保護した化合物を出発原料として、例えば、HO−M−X(M及びXは上記に定義したとおりである。)と反応せしめてエーテル結合を形成する当該技術分野でそれ自体公知の反応条件を用いて製造できる。限定されるものでないが、説明を簡潔にするために、本発明の典型的な一般式(I)の前駆体または化合物の製造例について説明する反応スキームを下記に示す。
【化3】

【0027】
化合物1は既知の合成方法(Bioorganic & Medical Chemistry Letters(2003)2529)により合成できる。上記反応スキーム中の反応条件は、後述する製造例において具体的に説明する。
【0028】
このような反応スキーム及びそれに準ずる反応スキームに従い製造できる本発明の前駆体または化合物は、上述したとおり各種生物活性物質の修飾、特に、固相合成法を利用する修飾に都合よく用いることができる。
【0029】
固相合成法は、当該技術分野で周知の核酸の固相化学合成に用いられている反応条件、反応試薬、操作法等に従って実施できる。かような固相合成に用いる固体支持体は、当該技術分野で公知のものが使用できる。かような固体支持体は、架橋ポリスチレンをベースとするもの、多孔質ガラスビーズ等であることができ、市販されている種々多様な固体支持体を利用できる。
【0030】
〔さらなる文献等の一覧〕
上記環式環部分に相当する、炭素環式化合物について記載する文献としては、例えば、下記のものを挙げることができる。
化合物d
(n,m)=(0,0)
Gosse,Tammy L.;Poirier,Raymond A.
Canadian Journal of Chemistry(2004),82(11),1589−1596
化合物e
(n,m)=(0,0)
Burdisso,Marina;Gamba,Anna;Gandolfi,Remo;Toma,Lucio;Rastelli,Augusto;Schiatti,Elsa
Journal of Organic Chemistry(1990),55(10),3311−2331.
(n,m)=(1,1)
Hubert,Cecile;Alexandre,Christian;Aubertin,Anne−Marie;Huet,Francois
Tetrahedron(2002),58(19),3775−3778.
化合物f
(n,m)=(0,0)
Schoeller,Wolfgang W.;Aktekin,Nevzat
Journal of the Chemical Society,Chemical
Communications(1982),(1),20−22
(n,m)=(1,1)
Broggi,Julie;Joubert,Nicolas;Aucagne,Vincent;Berteina−Raboin,Sabine;Diez−Gonzalez,S.;Nolan,Steve;Topalis,Dimitri;Deville−Bonne,Dominique;Balzarini,Jan;Neyts,Johan;et al
Nucleosides,Nucleotides & Nucleic Acids(2007),26(10−12),1391−1394
化合物g
(n,m)=(0,0)
Jung,Joerg;Lehnemann,Bernd Wilhelm
PCT Int.Appl.(2008),WO 2008151750 A1
(n,m)=(0,1)
Hudon,Jonathan;Cernak,Timothy A.;Ashenhurst,James A.;Gleason,James L.
Angewandte Chemie,International Edition(2008),47(46),8885−8888
(n,m)=(1,1)
Grob,Cyril A.;Pfaendler,H.R.
Helvetica Chimica Acta(1970),53(8),2156−9.
(n,m)=(2,2)
Kato,Michiharu;Kageyama,Masanori;Yoshikoshi,Akira
Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 1:
Organic及びBio−Organic Chemistry(1972−1999)(1977),(11),1305−1308
(n,m)=(0,2)
Marschner,Christoph;Baumgartner,Judith;Griengl,Herfried
From Journal of Organic Chemistry(1995),60(16),5224−5235
化合物h
(n,m)=(0,0)
Korach,M.;Nielsen,D.R.;Rideout,W.H.
Organic Syntheses(1962),42
(n,m)=(0,1)
Huang,Haidong;Greenberg,Marc M.
Journal of Organic Chemistry(2008),73(7),2695−2703
(n,m)=(1,0)
Ahn,Hyunseok;Choi,Taehyun;De Castro,Kathlia;Lee,Kyochul;Kim,Byoungsoo;
Moon,Byungseok;Hong,Suhee;Lee,Jongchan;Chun,KwonSoo;Cheon,Gijeong;et al
Journal of Medicinal Chemistry(2007),50(24),6032−6038
(n,m)=(1,1)
Banerjee,Shyamapada;Ghosh,Sarita;Sinha,Saikat;Ghosh,Subrata
Journal of Organic Chemistry(2005),70(10),4199−4202.
(n,m)=(0,2)
Girard,F.;Demaison,C.;Lee,M.−G.;Agrofoglio,L.A.
Tetrahedron(1998),54(30),8745−8752
(n,m)=(2,0)
Kim,Won;Kim,Hyangdug;Rhee,Hakjune
Heterocycles(2000),53(1),219−224.
化合物i
(n,m)=(1,1)
Tsuji,Yoshihisa;Kodani,Mie;Watanabe,Tomoyuki;Iwasaki,Hideharu
PCT Int.Appl.(2005),WO 2005010101 A1 20050203
(n,m)=(1,2)
Kaplan,Lester Jay;McMillan,Moses W.Eur.Pat.Appl.(1985),EP 162690 A2 19851127.
化合物j
(n,m)=(0,0)
Bayon,Pau;Marjanet,Georgina;Toribio,Gladis;Alibes,Ramon;de March,Pere;Figueredo,Marta;Font,Josep
Journal of Organic Chemistry(2008),73(9),3486−3491
化合物k
(n,m)=(0,0)
Kuendig,E.Peter;Garcia,Alvaro Enriquez;Lomberget,Thierry;
Perez Garcia,Pablo;Romanens,Patrick
Chemical Communications(Cambridge,United
Kingdom)(2008),(30),3519−3521
(n,m)=(1,1)
Baran,Arif;Balci,Metin
Journal of Organic Chemistry(2009),74(1),88−95
(n,m)=(2,2)
Nicolaou,Kyriacos C.;Zuccharello,Guido;O
gawa,Yuji
U.S.(1992),US 5097062 A 19920317.
化合物l
(n,m)=(1,1)
Shepherd,Rex E.;Zhang,Songsheng
Inorganica Chimica Acta(1992),191(2),271−8
化合物p
(n,m)=(1,1)
Misra,Raj N.;Das,Jagabandhu;Hall,Steven E.;Han,Wen Ching;Sher,Philip M.;Stein,Philip D.
Eur.Pat.Appl.(1993),EP 536713 A1 19930414
化合物q
(n,m)=(1,1)
Corey,E.J.;Petrzilka,Martin
Tetrahedron Letters(1975),(30),2537−40.
化合物s
(n,m)=(0,0)
Lautens,Mark;Rovis,Tomislav;Smith,Nicholas D.;Ostrovsky,Dennis
From Pure及びApplied Chemistry(1998),70(5),1059−1064
化合物t
(n,m)=(0,0)
Saito,Yukako;Shinkai,Takumi;Yoshimura,Yuichi;Takahata,Hiroki
From Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2007),17(21),5894−5896
【実施例】
【0031】
製造例:
以下、本発明はこれらの例に限定されるものでないが、上記反応スキームを参照しながら、特定の前駆体の製造について具体的に説明する。
(1)化合物2の合成
化合物1(500mg)を塩化メチレン(43ml)に溶解させジヒドロピラン(356μl)、p−トルエンスルホン酸(74mg)を加え25℃で1時間攪拌させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、エバポレーションで溶媒を除去した。シリカカラムを用いて精製を行って化合物2を得た(537mg、収率65%)。
(2)化合物3の合成
窒素下で化合物2(0.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(30ml)に溶解させカリウムナフタレン(0.3mmol)、エチレンオキシド(1.7ml)を加え2日間反応させた。反応後、氷冷したイソプロパノールに反応溶液を滴下し再沈させた。上澄み液を除いた後、凍結乾燥させて白色化合物を得た。得られた化合物をピリジン/無水酢酸(9/1)の溶液に溶解させ24時間室温で反応させた。溶媒を除去した後、イソプロパノールに滴下し再沈させた。上澄み液を除いた後、凍結乾燥させて化合物3を得た(収率73%)。化合物3のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果を図2に示す。この結果、化合物3におけるPEG部分のMnは約5690であり、
Mwは5860であった(Mn/Mw=1.029)。H NMR(500MHz;(CDCl)δ 5.65(C=CH),5.57(CH=C),4.50(THP),4.21(CO),3.78(CO),3.65(OCO),3.56(CHO),3.45(CHO),2.57(CHCH=CH),2.08(CHC=O),1.87(CHCH=CH),1.63(THP3,5),1.45(THP).
(3)化合物4の合成
化合物3(0.1mmol)をアセトン(1ml)、水(1ml)、アセトニトリル(1ml)に溶解させ4メチルモルホリン N−オキシド(0.2mmol)、酸化オスミウム固定化触媒(3mg)を加え24時間反応させた。フィルターをして酸化オスミウム固定化触媒を除去した後、エバポレーションで溶媒を除去した。氷冷したイソプロパノールに滴下して、化合物4を固化させた。イソプロパノールを除去した後、凍結乾燥させて化合物4を得た(収率80%)。
(4)化合物4の固相への固定化
化合物4(33.9μmol)を2mlの塩化メチレンに溶解させ、無水こはく酸(8.4mg)、ジメチルアミノピリジン6.6mgを溶解させ25℃で12時間反応させた。エバポレーションで溶媒を除去し後、氷冷したイソプロパノールに滴下して、固化させた。凍結乾燥後、塩化メチレン(4ml)に溶解させ、ジシクロヘキシルカルボジイミド(13ml)、LCAA−CPG(long chain alkylamine−controlled pore glass)を570mg加え18時間反応させた。塩化メチレン、アセトニトリルで洗浄し、次にピリジン9ml、無水酢酸1mlを加えて12時間反応させた。塩化メチレン、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させた。
【0032】
応用例1:PEGを3’末端に修飾した核酸の核酸合成機での合成
上記製造例(4)で得たPEGを担持させたCPG(20mg)にメタノール(1mL)、p−トルエンスルホン酸(2mg)を加え25℃で1時間反応させた。フィルターを用いて溶媒を除き、アセトニトリル、塩化メチレンを用いて洗浄した。得られたCPGを核酸合成機の反応カラムに入れてホスホロアミダイト法で核酸を合成した。合成した核酸は5’dTdTdTdTdTdTdTdTdTdT−PEG−3’であり合成後、アンモニア/エタノール(3/1)で55℃において6時間反応させ脱保護及び切り出しを行った。Sep−Pakカラムで精製した。
【0033】
精製したPEG化核酸を8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で泳動した。結果を図3に示す。固相で合成したPEG−核酸の電気泳動。コントロールとなる核酸と比較して分子量が大きくなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、修飾核酸の製造、具体的には医薬品の製造業で都合よく利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

上式中、
Mは、−L−(CH(R)CHO)p−の基を表し、
Xは、−(CH)q−Yの基を表し、
−L−は単結合または生体内で開裂しうる連結基を表し、
Rは水素またはメチルを表し、
Yは水素、保護されたヒドロキシル、保護されたアミノ、保護されたカルボキシル、アセタール、保護されたチオールを表し、
pは5〜50,000の整数を表し、そして
qは1〜12の整数を表し、
は、水素原子、テトラヒドロピラニル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンジル、フェニル環がメトキシにより置換されていてもよいベンズヒドリルまたはフェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチル、アセタール、アリル、トリ−直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルシリル、ハロゲン原子1〜3個により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルカルボニルを表し、
a、b及びcは、相互に独立して、0〜3の整数を表し、あるいはまた
cの付された結合〔式中の(>)c部分〕は存在していなくてもよく、
ただし、a、b及びcは全体で3〜7員環を形成するように定義されており、
mは0〜12の整数を表し、そしてnは0〜12の整数を表し、
(i)A及びBはいずれか一方が、HOOC−(CH−COO−、HOOC−(CH−COO−またはHOOC−CH−O−CH−COO−を表し、他方は上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表し、または
(ii)A及びBは相互に独立して、ヒドロキシル基、または上記Yについて定義したのと同じ保護されたヒドロキシ基を表し、または
(iii)A及びBは一緒になって、単結合を表す、
で表される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載された化合物であって、A及びBのいずれか一方が、HOOC−(CH−COO−、HOOC−(CH−COO−またはHOOC−CH−O−CH−COO−を表し、もう一方が、テトラヒドロピラニル、トリ−直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルシリル、ハロゲン原子1〜3個により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐のC−Cアルキルカルボニルまたはフェニル環がメトキシにより置換されていてもよいトリチル基を表し、a及びbが整数1であり、cの付された結合が存在せず、
Mにおける−L−(CH(R)CHO)p−の−L−が単結合を表し、かつ、Rが水素を表す、上記化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載された化合物であって、A及びBが単結合である、上記化合物。
【請求項4】
請求項1または2に記載された化合物であって、(ii)A及びBが相互に独立して、ヒドロキシル基を表す、上記化合物。
【請求項5】
請求項2記載の化合物におけるRが固体支持体表面の炭素原子を介する結合に置換されている、構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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