説明

生物活性物質を含む乾燥ガラス状組成物

本発明は、過酷な貯蔵および使用条件のもとで生体物質を安定化および保護するための配合物および方法であって、配合物が、保護ガラス状マトリックス中に埋め込まれた生物活性物質および生物製剤(生きた細菌を含む)に関係している配合物および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年1月28日に米国特許商標局に出願された米国仮出願第61/299,315号の優先権を主張するものであり、その内容をあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、過酷な貯蔵および使用条件の際に生体物質を安定化および保護することに関し、さらに詳細には、本発明は、生物活性物質および生物製剤(生きた細菌を含む)を非晶質ガラス状マトリックスの保護配合物に埋め込むことに関する。
【0003】
従来技術
凍結乾燥は、伝統的に、センシティブな生物学的物質(生きているまたは死んだ細菌およびウイルスならびにタンパク質など)を保存するもっとも一般的な方法であるが、噴霧乾燥、流動噴霧乾燥(fluidized spray drying)および乾燥保存などの他の方法は一般的に適していない。このような方法で用いる高い乾燥温度では、生物活性物質自体にかなりの損傷がもたらされる。さらに、これらは、生成物を安定させるために必要な特定の残留水分または水分活性にまで物質を十分に乾燥させることができず、したがって他の手段による更なる乾燥工程が必要となりうる。従来の凍結乾燥プロセスは、典型的には、生物活性物質を含む溶液を凍結させること、および凍結した状態のまま完全真空下で凍結生体材料を凍結乾燥させることを含む。凍結乾燥プロセスの温度は低いので、生物活性物質の分解反応は減少し、最終乾燥形態での活性喪失は最小限に抑えられる。多くの場合、凍結乾燥プロセスでは、ゆっくりした乾燥過程の間に氷の結晶が形成されるため、かなりの活性喪失および生物活性物質の損傷がもたらされる。さらに、凍結工程自体が、正しく実施されないと、生物活性物質を変性させるかまたは不活性化することがある。氷の結晶構造が形成されることによって引き起こされる損傷は、凍結保護剤を生物活性溶液に添加することにより、ある程度回避されうる(Morgan et al., 2006)。そのような保護剤は、凍結時に細胞膜およびタンパク質を保護するため、また貯蔵時の安定性を向上させるために配合物に加えられる、高溶解性化学物質である。生きた細菌およびウイルス用の一般的な安定剤は、細胞物質または生物活性物質と一緒に高い濃度で高糖類(high sugars)(スクロース、グリセロール、またはソルビトールなど)を含む(Morgan et al., 2006; Capela et al., 2006)。しかし、そのような保護剤は、細胞内に十分浸透して細胞内体積中の活性成分を保護することができず、そのため凍結乾燥物質を貯蔵すると不安定になりうる。このような理由で、膜質生体材料(ウイルス、細菌、および細胞など)は凍結乾燥プロセスにおいて十分に生き延びない。それゆえに、乾燥物質の十分な貯蔵安定性を達成しつつ乾燥による損失を最小限に抑える、最適な乾燥プロセスおよび配合物を開発するという重大な課題が残っている。
【0004】
凍結乾燥に関連した問題の幾つかは、ある特定の配合物とガラス状態(特に糖ガラス)での真空乾燥とを組み合わせることによって解決された(米国特許第6,190,701号)。乾燥した安定生物活性物質は、有害環境(高温および湿気など)からガラス状マトリックスの中で保護される。一般に、ガラス形成による安定化は、生物活性分子を含む糖溶液を濃縮して過飽和シロップを生じさせることにより開始させる。さらに水を除去すると、次第にシロップが固化し、最終的にそれは残留水分量の少ない固体糖ガラスに変わる。ガラス中での化学拡散は無視できるほどなので、化学反応は実質的に停止する。変性または膜損傷は化学変化であるので、それらはガラス内では起こりえず、生物活性物質は安定化され保護される。多くのガラス類は、貯蔵時に生物活性物質と反応するので、安定化しない。還元糖では明らかに問題が生ずるが、該還元糖は良好な物理的ガラスを形成しうるが、形成後にそのアルデヒド基が典型的なメイラード反応で生物活性物質上のアミノ基を攻撃する一方、非反応性糖類は、安定した生成物を生じ、これは冷凍をまったく必要としない。
【0005】
糖類は本質的に吸湿性であるため、過飽和シロップの水分除去および最終乾燥は極めて困難になる。この欠点は(Annear 1962)によって最初に注意が向けられ、この人は糖類とアミノ酸との溶液中に細菌を含む配合物および濃縮シロップの沸騰および泡形成を含む真空乾燥プロセスを開発した。Roser et al.(米国特許第6,964,771号)は、溶媒の大半を蒸発させ、その後真空下で濃縮シロップの沸騰および発泡を行わせることによる濃縮工程を含む、泡形成による同様に乾燥の概念を開示した。沸騰工程中に起こりうる酸化および変性による損傷を減らすために、Bronshtein(米国特許第5,766,520号、米国特許第7,153,472号)は、炭水化物と界面活性剤とを含む改善された保護配合物を取り入れた。この保護溶液の乾燥では、適度な真空下で濃縮し、その後で強い真空を生じさせて残りの水を沸騰で泡立たせて安定した乾燥泡を形成させる、段階的プロセスも含んでいた。沸騰工程を回避するために、BussonおよびSchroeder(米国特許第6,534,087号)は、センシティブな生物活性物質に適した配合物の液体状態乾燥プロセス、および30Torrより上の非常に緩やかな真空圧の下での真空オーブンの使用を取り入れた。物質を沸騰させることなくある程度の乾燥を行った後、20℃より上で加熱し、ほんの数時間後に乾燥物質を回収した。
【0006】
乾燥工程中ずっと生物活性溶液が液体状態に維持されるこのタイプの乾燥プロセスは、沸騰時に液体が蒸発するため、また発泡表面により表面積が増加するため乾燥が速いという利点がある。しかし、沸騰および発泡では、必要とされる溶液の煮沸にかなりの量の熱を加える必要がある。そのような乾燥プロセスは、センシティブな生物学的製剤(生存しうるウイルス、細胞または細菌など)を乾燥させるのに十分に適していない。なぜなら、加熱により、酵素の劣化(例えば、タンパク質分解)、および化学的酸化(例えば、酸化およびフリーラジカル攻撃)が促進され、これにより生体物質の活性および生存可能性が損なわれ得るからである。
【0007】
上述の乾燥プロセスは、大規模な工業プロセスへの拡張性という点でも制限がある。凍結を回避するには、従来の凍結乾燥または噴霧凍結乾燥プロセスのサイクルの場合よりも低い真空レベル(>7TORR)でプロセスを実施する必要がある。上記の各方法のもっとも大きな不利な点は、容器、トレーまたはバイアル内での泡の膨張を制御できず、制限できないことである。制御できない煮沸およびしばしば過剰である泡形成により、工業規模のプロセスを開発するのが実際的に不可能である。沸騰工程では煮沸性および発泡性のせいで、物質の一部が容器の壁に飛散し、乾燥チャンバー内に入り込む。沸騰時の煮沸をやわらげるために、Bronshtein(米国特許第6,884,866号、米国特許第6,306,345号)は、特殊なチャンバー、ならびに過熱を許容可能なレベルまで減少させる制御された温度/圧力を加える手順を提案した。煮沸および過剰の発泡を抑制する別の取り組み方が米国特許出願公開第2008/0229609号に記載されており、ここでは、生物活性溶液を通気性膜で覆われた容器またはバッグ中に閉じ込めている。この場合も、それらの手順は工業的レベルで行うのは困難であり、特殊な装置を必要とし、種々の配合で確実に再現するのは難しい。
【0008】
乾燥泡プロセス(dry foam process)は、当該技術分野において知られているように、膜質生体物質(リポソーム、ウイルスまたは生存しうる細胞および細菌など)の保存に特にうまく適合するものではない。脂質膜は、多くの場合、囲まれた体積中に保護剤が浸透するのを防ぐか、または囲まれた体積から相当の水が取り去られるのを防ぐ。保護剤が十分に浸透しなければ、発酵プロセス(タンパク質分解など)、および化学プロセス(酸化およびフリーラジカル攻撃など)により、膜質生体物質の活性または生存可能性が損なわれ得る。膜に取り囲まれた体積に残っている低浸透圧流体は、生体物質の不安定性を助長しうる。Truong-le, Vu(米国特許第7,381,425号)は、膜質生物活性物質に適した凍結乾燥プロセスを記載している。本発明の組成物は、ポリオールおよび膜質生物活性物質を含む。この乾燥プロセスでは、脂質膜の相転移温度付近の温度まで配合物を冷やすことから開始し、配合物への圧力を減少させて安定した泡を形成させ、泡を凍結させ、その後、水を凍結泡から昇華させて凍結乾燥した乾燥泡組成物を得る。泡をさらに乾燥させるために第2の乾燥条件を使用できる。
【0009】
沸騰および過剰の発泡をさせなくてもガラス状態で乾燥させることのできる好適な保護配合物がいまだに必要である。特に、経済的な配合でかつ拡大縮小可能な乾燥プロセスであって、医薬品産業以外の用途(食品産業および農産業など)にも適している乾燥プロセスが必要とされている。高温にさらさなくても十分な乾燥が行える、保護配合物および穏やかな乾燥プロセスが必要である。高温多湿の条件下での貯蔵でそのような生物学的製剤を保護できる組成物が必要とされている。本発明は、以下に説明するように、このような課題すべてに対する解決策を提供する。本発明の脱水プロセスは、非常に穏やかなものであり、活性剤を沸騰にも発泡にもさらすことがなく、それゆえに、このようなストレスの一方または両方に試料をさらすであろう従来の凍結乾燥および泡乾燥の技法よりも有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、貯蔵されているペプチド、タンパク質、酵素、ホルモン、ビタミン、カロチノイド、ミネラル類、薬物、抗生物質、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチン、細菌(プロバイオティックまたはそれ以外)、ウイルスおよび/または細胞懸濁液などのセンシティブな生物活性物質を保存するための組成物および乾燥方法を含む。この乾燥方法は、生物活性物質、マトリックス形成剤、およびガラス形成剤を含む配合物を乾燥させるための方法を提供する。配合物は、すべての固体成分および生物活性物質を溶液中に分散させることによって調製する。溶液は、当該技術分野において知られている手段(液体窒素またはドライアイスなど)で急速凍結させて、小さなビーズ、糸状体または小滴の形の非晶質組成物を生じさせる。凍結粒子は、乾燥させるまでディープフリーザー(−30℃から−80℃の間)内に貯蔵できるか、あるいは従来の凍結乾燥機内で液体乾燥させるためにただちに凍結非晶質状態でトレー上に置くことができる。2000mTORR未満(<2000mTORR)の真空圧下での凍結粒子の短いパージおよび構造安定化工程、およびそれに続く2000mTORRより高い(>2000mTORR)真空圧および所望の温度での第1の乾燥工程によって、乾燥方法を開始させる。ガラス状非晶質物質の第2の乾燥工程および最終乾燥工程中、完全真空圧および高温にして、乾燥物質を最終的に望ましい水分活性にする。
【0011】
1つの実施形態では、配合物は、生物活性物質が埋め込まれた十分な量のマトリックス形成剤を含む。好適なマトリックス剤の例には、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸の塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラギナン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ポリグリコール酸、デンプンおよび加工デンプン、シクロデキストリンおよびオリゴ糖(イヌリン、マルトデキストリン、デキストランなど);およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。1つの特定の実施形態では、好ましいマトリックス形成剤はアルギン酸ナトリウムである。好ましくは、配合物は、全乾燥物質に対する重量パーセントで、0.1〜20%、より好ましくは1〜12%を含む。
【0012】
更なる実施形態では、マトリックス形成剤は、アルギン酸ナトリウムとオリゴ糖との混合物を1:1〜10の重量比で、より好ましくは1:1〜5のアルギン酸ナトリウム/オリゴ糖を含む。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、マトリックス形成剤は、二価金属イオンで架橋されて堅いヒドロゲルを形成する。架橋ヒドロゲル配合物は、二価金属イオン溶液を含む浴にスラリーを噴霧または押し出すことにより、あるいは二価金属イオンをスラリーに直接加えて配合物が硬化し、ヒドロゲルが生じるようにさせることにより形成される。次いでヒドロゲル配合物を本発明の乾燥方法にしたがって急速凍結させ、乾燥させる。
【0014】
さらに別の実施形態では、配合物は、相当量のガラス形成剤を含み、ここに微生物が埋め込まれる。好適な試剤の例には、タンパク質(卵アルブミン(egg albumen)、卵白(egg white)、ゼラチン、免疫グロブリン、単離大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウ豆タンパク質、綿実タンパク質、スキムミルク粉末、カゼイン塩、乳漿タンパクおよび任意のタンパク質加水分解物など);炭水化物(単糖類(例えば、ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖類(例えば、ラクトース、トレハロース、スクロースなど)を含む)、アミノ酸(リジン、グルタメート、グリシン、アラニン、アルギニンまたはヒスチジンなど)、ならびに疎水性のアミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど);メチルアミン(ベタインなど);添加塩(硫酸マグネシウムなど);ポリオール(三価以上の糖アルコール(例えば、グリセリン、エリトリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール);プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニクス(pluronics);界面活性剤;およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
1つの好ましい実施形態では、ガラス形成剤は、二糖とタンパク質加水分解物との混合物を含む。特定の実施形態では、好ましいガラス形成剤は、トレハロースとタンパク質加水分解物との混合物である。好ましくは、配合物は、全乾燥物質に対する重量パーセントで、10〜90%のトレハロースおよび0.1〜30%のタンパク質加水分解物、より好ましくは20〜80%のトレハロースおよび0.1〜20%のタンパク質加水分解物、もっとも好ましくは40〜80%のトレハロースおよび0.1〜20%のタンパク質加水分解物を含む。
【0016】
本発明の方法は、典型的には、溶液中で、生物活性物質(例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、ホルモン、ビタミン、カロチノイド、ミネラル、薬物、抗生物質、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルスおよび/または細胞懸濁液)、少なくとも1種のマトリックス形成剤、および少なくとも2種類のガラス形成剤を均質スラリーにすること、液体窒素浴中に噴霧、滴下または押し出すことによりスラリーを急速凍結させることを含む。ビーズ、マイクロビーズ、糸状体または小滴を液体窒素浴から回収し、液体状態において凍結乾燥機中で乾燥させるか、あるいは乾燥させるまでの間それらをディープフリーザー(−30℃から−80℃の間)中に貯蔵する。
【0017】
本発明の変形形態では、配合物中のマトリックス形成剤の量は、典型的には第1の液体乾燥工程中に起きる沸騰および過剰の泡形成を避けながら、効率的な第1の乾燥を可能にする所望の配合物の粘度および密度となるように調整する。液体配合物の所望の密度は、当該技術分野において知られている任意の手段(例えば、泡立てあるいは空気、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの気体の注入など)で達成できる。好ましくは、混合しながら窒素を粘稠スラリー配合物に注入して安定した多孔質またはクリーム状のスラリーを形成させてから、急速凍結工程を行う。
【0018】
本発明によれば、乾燥プロセスは、次の3つの主要工程を含む:1.2000mTORR未満(<2000mTORR)の真空圧下での凍結粒子の短いパージおよび構造安定化工程、2.2000mTORRより高い(>2000mTORR)真空圧下および所望の温度での第1の液体乾燥工程、3.乾燥配合物の水分活性を0.3Aw以下に減少させるのに十分な時間、完全真空圧および高温で行うガラス状物質の第2の乾燥および最終乾燥工程。
【0019】
乾燥方法の好ましい実施形態では、生物活性物質は、マトリックス形成剤およびガラス形成剤を含む溶液中で混合する。1つの特定の実施形態では、生物活性物質は生きた細菌(例えば、プロバイオティック細菌)を含む。好適な微生物の例には、酵母で、サッカロミセス属(Saccharomyces)、デバロマイセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)およびトルロプシス属(Torulopsis)など、カビで、アスペルギルス属(Aspergillus)、クモノスカビ属(Rhizopus)、ケカビ属(Mucor)、ペニシリウム属(Penicillium)およびトルロプシス属(Torulopsis)など、ならびに細菌で、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、メリッソコッカス属(Melissococcus)、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)、連鎖球菌属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、コクリア属(Kocuria)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ペプトストレポコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペジオコックス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)およびラクトバシラス属(Lactobacillus)が含まれるが、これらに限定されない。好適なプロバイオティック微生物の具体的な例は、以下の種によって表されるであろう。またそれはそれらの種に含まれる任意の培養生物型が含まれる:クロコウジカビ(Aspergillus niger)、A.オリゼ(A. oryzae)、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、B.レンタス(B. lentus)、B.リシェニフォルミス(B. licheniformis)、B.メセンテリカス(B. mesentericus)、B.プミルス(B. pumilus)、枯草菌(B.subtilis)、納豆菌(B. natto)、バクテロイデス−アミロフィルス(Bacteroides amylophilus)、Bac.カピロサス(Bac. capillosus)、Bac.ルミノコラ(Bac. ruminocola)、Bac.スイス(Bac. suis)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、B.アニマリス(B. animalis)、B.ブレーベ(B. breve)、B.ビフィダム(B. bifidum)、B.インファンチス(B. infantis)、B.ラクティス(B. lactis)、B.ロンガム(B. longum)、B.シュードロングム(B. pseudolongum)、B.サーモフィルム(B. thermophilum)、カンジダ・ピントレペシ(Candida pintolepesii)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・クレモリス(Enterococcus cremoris)、E.ディアセチラクティス(E. diacetylactis)、E.フェシウム(E faecium)、E.インターメディウス(E. intermedius)、E.ラクティス(E. lactis)、E.ムントディ(E. muntdi)、E.サーモフィルス(E. thermophilus)、大腸菌(Escherichia coli)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.アリメンタリウス(L. alimentarius)、L.アミロボラス(L. amylovorus)、L.クリスパータス(L. crispatus)、L.ブレービス(L. brevis)、L.ケース4(L. case 4) L.カルバータス(L. curvatus)、L.セロビオスス(L. cellobiosus)、L.デルブレッキイ亜種ブルガリカス(L. delbrueckii ss. bulgaricus)、L.ファルシミニス(L farciminis)、L.ファーメンタム(L. fermentum)、L.ガッセリー(L. gasseri)、L.ヘルベティカス(L. helveticus)、L.ラクティス(L. lactis)、L.プランタルム(L. plantarum)、L.ジョンソニ(L. johnsonii)、L.ロイテリ(L. reuteri)、L.ラムノサス(L. rhamnosus)、L.サケイ(L. sakei)、L.サリバリウス(L. salivarius)、リゥコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、P.セレビシエ(ダムノサス)(P. cereviseae (damnosus))、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、P.ペントサセウス(P. pentosaceus)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、Prop.シャーマニイ(Prop. shermanii)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviseae)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、Staph.キシローサス(Staph. xylosus)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)、Strep.サリバリウス亜種サーモフィルス(Strep. salivarius ss. thermophilus)、Strep.サーモフィルス(Strep. Thermophilus)およびStrep.ラクティス(Strep. lactis)。
【0020】
好ましい方法では、室温で、または物質を粘稠な溶液に可溶化するのを容易にするため少し温めて(例えば、20℃〜40℃)、配合物を混合する。混合して均一にした後に、粘稠スラリーを液体窒素へ噴霧、滴下、または押し出して急速凍結させる。凍結粒子を液体窒素浴から回収し、ただちに乾燥させるか、あるいは後で乾燥させるために深冷凍結で貯蔵する。典型的には、生物活性を含むスラリーを−30℃〜−180℃の温度で急速凍結させ、より好ましくは配合物を液体窒素中で急速凍結させる。
【0021】
好ましい実施形態では、急速凍結粒子はただちに乾燥させるか、あるいはそうでなければ乾燥させるまでの間ディープフリーザー(好ましくは−80℃で)に貯蔵する。次いで凍結粒子をトレー上に充填し、本発明にしたがって凍結粒子が乾燥される真空乾燥チャンバーにただちに移す。好ましくは、0〜2000mTORRの真空圧下に凍結粒子をさらすことにより凍結を開始させる。凍結粒子を脱気すると、その構造および体積が短期間で確立されて安定化するようにする。典型的には、凍結粒子を高真空圧にさらす望ましい時間は、せいぜい30分間、より好ましくはその時間は1から20分間の間である。凍結粒子の初期の短い脱気および構造安定化の後、真空を2000から10,000mTORRの間に調整し、凍結粒子の凝固点より上の温度で熱を加えて粒子を解凍する。典型的には、真空を2000から4000mTORRの間に調整し、粒子温度を−5℃から+5℃の間まで増大させる。これらの好ましい第1の乾燥条件下で、凍結粒子は急速に解凍され、もとの形状をおおまかに保ちつつ、加速した脱水が開始する。約60〜90%の水分を除去した後、その後の第2の乾燥を設定し、最大真空圧をかけ、配合物への熱供給温度を30℃〜60℃まで上昇させる。最終生成物の安定性を最大化するために、配合物は、好ましくは、配合物の水分活性をAw=0.3以下に低下させるのに十分な時間乾燥させる。本発明の好ましい実施形態では、第2の乾燥は、結合水を1000mTORR未満の圧力で除去することを含む。
【0022】
乾燥配合物はフレークとして直接使用できるか、あるいは粉砕して粉末にし、約10μm〜約1000μmの平均粒径にふるい分けることができる。配合物は、濃縮粉末として、還元液体(reconstituted liquid)(例えば、飲料)として、動物(ヒトを含む)に直接投与できるか、またはフレークまたは粉末のいずれかの形で既存の食品または飼料製品に組み入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の方法に従った、凍結固体ビーズとしての様々なマトリックスおよびガラス形成剤を含有する異なる乾燥組成物の目視観察および顕微鏡観察。
【図2】フレッシュな培養物、凍結ビーズ培養物、または乾燥粉末培養物としてのL.ラムノサス(L. rhamnosus)培養物形態の乾燥組成物中の初期CFUカウントに対する効果。
【図3】液体窒素または−80℃のディープフリーザー中の凍結固体ビーズとしての、および+4℃の非凍結粘稠スラリーとしてのL.ラムノサス(L. rhamnosus)含有組成物の凍結温度の、乾燥組成物中の細菌の初期CFUカウントに対する効果。結果は、乾燥前に更なるパージ工程を行わない場合のスラリーの凍結温度の効果のみを示す。
【図4】液体窒素中の凍結固体ビーズとしてのビフィドバクテリウム・アニマーリス(Bifidobacterium animalis)Bb12含有組成物の凍結温度、および+4℃の非凍結粘稠スラリーとしてのビフィドバクテリウム・アニマーリス(Bifidobacterium animalis)Bb12含有組成物の凍結温度の、乾燥組成物中の細菌の初期CFUカウントに対する効果。結果は、乾燥前に更なるパージ工程を行わない場合のスラリーの凍結温度の効果のみを示す。
【図5】真空下での凍結固体ビーズのパージ持続時間の、乾燥組成物中のL.ラムノサス(L. rhamnosus)の初期CFUカウントに対する効果。
【図6】本発明の方法による組成物の凍結乾燥機中の乾燥プロファイル。
【図7】本発明の組成物および乾燥方法での、プロセスおよび乾燥におけるL.ラムノサス(L. rhamnosus)の損失。
【図8】40℃および相対湿度33%で貯蔵されている乾燥プロバイオティック細菌(L.ラムノサス(L. rhamnosus))の組成物の安定性の傾向。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形(「a」、「an」および「the」)は複数の指示対象を含む。但し、文脈から明らかにそうではないことが分かる場合は別である。したがって、例えば、「タンパク質」に言及する場合、単一のタンパク質または2種以上タンパク質の組合せを含み;「酵素」、「ビタミン」、「細菌」などに言及する場合、単一または数種の混合物を含むといった具合である。
【0026】
「生物活性物質」、「生物活性組成物」、または「生物活性配合物」は、生物活性成分の生物活性が明らかに有効であるようにする形態である調製物を指す。
【0027】
「マトリックス形成剤」は、湿った配合物の粘度および/または密度を増大させるためまたはヒドロゲルを形成させるために配合物に加える化合物または物質を指す。好適なマトリックス形成剤の例には、水溶性セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒプロメロースなど);アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ジェランガム、トラガカント(これらの任意の誘導体を含む)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸の塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラギナン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ポリグリコール酸、デンプンおよび加工デンプン、シクロデキストリンおよびオリゴ糖(イヌリン、マルトデキストリン、デキストランなど)およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
「ガラス形成剤」または「糖ガラス形成剤」は一般に、溶液中に容易に溶け、水と接触しても増粘したり重合したりしない化合物または物質を指す。このような試剤は、乾燥プロセスの間およびそれ以降の生物活性物質の安定性を確保または増大させるため、あるいは乾燥粉末生成物の長期の貯蔵安定性のために加える。有用なガラス形成剤は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーでありうる。
【0029】
好ましい実施形態の1つによれば、ガラス形成剤は糖類である。糖類(または炭水化物)は、主に炭素、水素、および酸素から構成される化合物と定義される。有用な糖類には、還元糖および非還元糖、および糖アルコール、オリゴ糖、水溶性多糖ならびにそれらの誘導体が含まれる。本発明による好ましい糖類には、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ガラクトース、マルトトリオース、ラフィノース、デキストリン、デキストラン、イヌリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトールが含まれる。特に好ましい糖類は、グルコースおよびトレハロースである。
【0030】
他の有用なガラス形成剤は、水溶性アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質およびタンパク質加水分解物などの他の化学物質クラスから選択できる。例えば、リジン、グリシン、アラニン、アルギニンまたはヒスチジン、ならびに疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど);メチルアミン(ベタインなど)。有用なタンパク質には、ゼラチン、卵アルブミン、卵白、乳漿タンパク、カゼイネート、免疫グロブリン、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、綿実タンパク質または他の食物タンパク質、乳タンパク質(dairy protein)または植物性タンパク質が含まれる。
【0031】
「タンパク質加水分解物」は一般に、酵素加水分解または消化によって短いペプチド断片および/またはアミノ酸に分解された動物源、乳製品源(dairy source)または植物源のいずれか由来のタンパク質を指す。有用なタンパク質加水分解物は、天然タンパク質の99%の分子量を50,000ダルトン未満、好ましくは10,000ダルトン未満まで低減させる徹底的な加水分解プロセスが施されたものである。
【0032】
「周囲」室温または条件は、任意の所与の時間、所与の環境での室温または条件である。典型的には、周囲室温は22〜25℃であり、周囲大気圧、および周囲湿度は容易に測定され、季節、天気および気候の条件、標高などによって異なるであろう。
【0033】
本発明との関連において「パージ」または「脱気」は、固体または液体の配合物から気体を放出させることを指し、この場合、気体の分圧が加圧力よりも大きい。これは、液体形態の溶液の沸騰ではなく、多くの場合、溶液を沸騰させるであろう圧力を上回る圧力で起こりうる。
【0034】
「沸騰」は、液体の温度がその沸点を上回るときに起こる、液体から気体への急速な相転移を指す。沸点とは、液体の蒸気圧が加圧力と等しくなる温度のことである。沸騰は、すでにその沸点になっている液体を加熱するとき特に激しくなりうる。
【0035】
乾燥配合組成物に関連した「水分活性」または「Aw」は、水の利用可能性を指し、系の中の水のエネルギー状態を表す。これは、試料の上の水の蒸気圧を、同じ温度における純水の蒸気圧で割ったものと定義される。蒸留された純水は、水分活性がちょうど1(またはAw=1.0)である。
【0036】
貯蔵安定性との関連における「相対湿度」または「RH」は、所与の温度での空気中の水蒸気の量を指す。相対湿度は普通、空気を飽和させるのに必要な湿度より低く、飽和湿度に対する百分率で表される。
【0037】
「乾燥」およびその変化形は、凍結乾燥されるか、脱水されるか、または無水の、すなわち、実質的に液体が欠乏している物理的状態を指す。乾燥とは、例えば、噴霧乾燥、流動層乾燥、凍結乾燥、および真空乾燥を含む。
【0038】
「凍結乾燥(Lyophilize)」または「凍結乾燥(Freeze drying)」は、急速凍結させ、凍結状態で脱水すること(昇華と呼ばれることがある)によって乾燥形態の組成物を調製することを指す。このプロセスは、真空下で、凍結生成物を維持するのに十分な圧力において、好ましくは約2000mTORR未満(<2000mTORR)において行うことができる。
【0039】
「第1の乾燥」または「液体乾燥」は、本明細書で記載するプロセスに関連して、凍結粒子を解凍する時点から第2の乾燥が開始する時点まで行われる、脱水乾燥を指す。典型的には、第1の乾燥の大部分は、生成物の温度が熱源の温度よりかなり低い状態のまま、大量の蒸発によって行われる。このプロセスは、真空下で、解凍生成物を維持するのに十分な圧力において、好ましくは約2000mTORRより大きい圧力(>2000mTORR)において行うことができる。
【0040】
「第2の乾燥」は、本明細書で記載されているプロセスに関連して、配合物の凍結温度を上回る温度で、かつ熱源の温度付近で行われる乾燥工程を指す。このプロセスは、真空下で、配合物の水分活性を減少させるのに十分な圧力において、好ましくは約1000mTORR未満(<1000mTORR)において行うことができる。典型的な配合物乾燥プロセスでは、第2の乾燥工程により配合物の水分活性が0.3以下のAwまで減少する。
【0041】
「泡形成」は、周囲温度以上で、生物製剤が活性または生存可能性を長期間保持する条件下において、真空下で沸騰させることによりセンシティブな生物製剤を乾燥させるための手順を指す。機械的に安定した多孔質構造を形成させるためのこの特別の手順は、(1)1次泡乾燥および真空下での沸騰と(2)安定性乾燥/ガラス固化という2つの工程で進行し、これはBronshteinの米国特許第5,766,520号に開示されている。
【0042】
「安定した」配合物または組成物とは、その中の生物的活性物質が、貯蔵時にその物理安定性、化学安定性、および/または生物活性を基本的に保持するものである。安定性は、選択した温度および湿度条件において選択した時間について測定することができる。傾向分析を使用して、予想される貯蔵寿命を、その期間実際に物質が予想される貯蔵される前に評価することができる。生きた細菌の場合、例えば、安定性は、事前に決められた温度、湿度および時間の条件下において1 logのCFU/g(乾燥配合物)を失うのにかかる時間と定義される。
【0043】
細菌に関連した「生存可能性」は、細菌の成長に適した栄養培地上でコロニー(CFUまたはコロニー形成単位)を形成できる能力を指す。ウイルスに関連した生存可能性は、好適な宿主細胞内で感染および繁殖する(それによって宿主細胞のローン上にプラークが形成される)能力を指す。
【0044】
本発明の組成物および方法により、センシティブな生物活性物質(ペプチド、タンパク質、酵素、ホルモン、ビタミン、カロチノイド、ミネラル類、薬物、抗生物質、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルスおよび/または細胞懸濁液など)を含む配合物の、経済的かつ工業的規模に拡張できる乾燥プロセスで、しかも、乾燥状態での寿命が著しく長くなった方法を提供するという問題が解決される。
【0045】
本発明は、溶液混合物中に生物活性物質、マトリックス形成剤およびガラス形成剤を含む組成物、ならびに前記組成物を液体窒素で急速凍結させて小滴、糸状体、ビーズまたはマイクロビーズの形で非晶質固体構造を形成させ、高真空下で凍結粒子をパージし、続いて組成物に熱を供給しながら減圧レジメンの下で凍結乾燥させるかまたは水分を蒸発させることによって糖ガラス形成中で生物活性物質を安定化することを含む乾燥方法を提供する。
【0046】
乾燥プロセス中の微生物の生存率低下のほとんどは、低い乾燥圧および高温の下での溶液の「沸騰」および発泡に関連したバブルキャビテーション中の氷の結晶形成、高い浸透ストレスおよび酸化的ストレス、剪断力、ならびにエネルギー放出の組合せが原因であり得る。本発明は、そのような悪影響を回避し、また、低下が最小限に抑えられ、過酷な貯蔵およびその後の取り扱い条件下において糖ガラスマトリックス中で保護された生物活性物質をもたらす、組成物および乾燥方法を提供する。
【0047】
本発明の組成物
本発明は、粘稠な溶液中に含まれる生物活性物質、マトリックス形成剤およびガラス形成剤の組成物を含む。本発明の配合物は、物理的構造および機能の点で、急速凍結およびパージの有無にかかわらず乾燥させた非粘稠または濃縮配合物とは本質的に異なることが見いだされた。例えば、先行技術の配合物は、最初に沸騰によって「発泡」させて、効率的な乾燥を促進させる。発泡工程は一般に、溶液の激しい沸騰および煮沸が起こる結果となり、それは液体状態での乾燥の避けられない結果である。その結果として、バイアルまたは容器中の物質の充填容量(loading capacity)は非常にわずかなものとなりうる(例えば、最終的な発泡生成物の厚さが2mm未満である、米国特許第6,534,087号を参照)。
【0048】
本発明の組成物および乾燥方法は、配合物の沸騰および大量の発泡を回避し、それによって乾燥領域当たりの物質の充填容量を非常に多くすることを可能にしている。その結果、特別設計された容器、トレーまたは装置を使用しなくても、物質の大量生産に容易に拡大することができる。
【0049】
プロバイオティック細菌は、本発明の配合物および乾燥方法から特に利益を受けることが示されている。配合物は、本発明の組成物および方法により調製され、該方法は、プロバイオティック細菌のフレッシュな培養物、凍結培養物、または乾燥培養物を少なくとも1種のマトリックス形成剤および少なくとも2種類のガラス形成剤と混合すること、液体窒素中で粘稠配合物を急速凍結させて非晶質構造の凍結した固体の小滴、糸状体またはビーズを形成させることを含む。第1の乾燥の場合、十分に真空圧にしてパージして凍結粒子の構造を安定化し、次いで、真空圧を低下させかつ配合物の凍結温度超に温度を上昇させた状態で、凍結粒子を凍結乾燥させるか、または蒸発させる。配合物の温度を凝固点超に維持することは、配合物からの熱の伝導、および/または水の蒸発による潜熱の消失によって達成できる。乾燥プロセスを完了させ、配合物の水分活性をさらに低下させるために、1000mTORR以下というより高い真空圧で70℃までの高温において第2の乾燥工程を実施して、Awが0.3以下の水分活性を有する最終組成物を得ることができる。そのような組成物は、図8に示すように、40℃および33%RHの貯蔵条件で、30日間以上安定したままでいることができる。
【0050】
組成物の調製
本発明による乾燥粉末組成物を調製するために溶液中で好ましい生物活性物質と混合する物質は、少なくとも1種のマトリックス形成剤および少なくとも2種類のガラス形成剤を含む。このような物質は、好ましい生物活性物質と混合すると、液体窒素中でビーズ、マイクロビーズ、糸状体または小滴を形成し、また、本発明の方法にしたがって非晶質ガラス状態で効率的に凍結乾燥または脱水して、前記生物活性物質を貯蔵および投与するための大量の安定した乾燥組成物を得ることができる(乾燥後の種々の配合物の目視観察および顕微鏡観察ならびに水分活性(Aw)については図1Aおよび1Bを参照)。マトリックス形成剤は、構造的安定性を配合物に付与し、向上した乾燥プロファイルおよび/または物理的および化学的に保護するという利点を生物活性物質にもたらす。マトリックス形成剤はまた、真空圧下で配合物の粘度を増大させかつ配合物の特性をより良好に制御できるようにし、さらに本発明の乾燥配合組成物の構造的強度を増大させる(その特定の配合物のガラス状構造および乾燥状態については、図1Bの写真4、4b、4cを参照)。マトリックス形成剤は、多糖とオリゴ糖との混合物を含む。好ましい多糖(特に生きた生物の場合)は水溶性ガムである。これは、穏やかな温度で粘稠ゲルを形成するという独特の特徴があるためである。ある特定濃度のガムも、効果的に配合物を安定化し、非晶質ガラス状構造の形成を促進し、真空下での乾燥プロファイルを向上させることが見いだされた(図1Aの写真3a、3b、3c、4、および図1Bの4cおよび図6を参照)。
【0051】
特に、図1Aの写真と表1で以下に示す結果を見ると、試料3b、3c、4、5、および6は、非晶質ガラス状構造の中にいくつか多孔性がもたらされるほど十分にすべて乾燥していることが明らかである。
【0052】
【表1】

【0053】
本発明のガラス形成剤は、様々な糖類、非還元糖、糖アルコール、アミノ酸、タンパク質、タンパク質加水分解物およびペプチドを含み得る。ガラス形成化合物は、好ましくは、凍結温度(例えば、−20℃未満)において配合物中の生物的活性物質を結晶化せず、かつ/または不安定化しないものである。例えば、生物活性物質は、非晶質糖ガラス構造(スクロースまたはトレハロースなど)中に物理的に埋め込んで、乾燥プロセスを通じて分子構造の保持を促進し、乾燥状態の非晶質マトリックスに構造剛性を付与することができる。ガラス形成剤は、乾燥時に失われる水和水と置き換わって、細胞膜の損傷および酵素の変性を防ぐ(Croweらによる概説(1998)を参照)。ガラス形成剤の他の機能には、生物活性物質が有害な光、酸素、酸化剤および湿気にさらされることから保護することも含まれ得る。ほとんどのガラス形成剤は、約0.1重量パーセント〜約80重量パーセントの範囲の量で容易に溶液に溶解する必要がある。結晶の形成を防ぐため、また貯蔵条件における乾燥生物活性物質配合物の安定性を長時間向上させるため、2種類以上の異なるガラス形成剤を含めるのは有用である(図1Aの写真4、5および6における糖類およびタンパク質の混合物の効果を参照)。
【0054】
事前乾燥配合物は、全固形分の実質的な量(構成成分から、水などの溶媒を差し引いたもの)を含む。全固形分の主要部分は、生物活性物質、マトリックス形成剤、およびガラス形成剤から構成される。例えば、生物活性物質は、約5〜60重量パーセントの範囲の濃度、マトリックス形成剤は、約1〜20重量パーセントの濃度、ガラス形成剤は、約5〜80重量パーセントの濃度で配合物中に存在する。別の例では、マトリックス形成剤は、約0.5〜10重量パーセントの範囲の濃度、ガラス形成剤は、約10〜50重量パーセントの濃度で配合物中に存在することができる。好ましくは、湿った配合物は、固形分が約5%〜80%;より好ましくは30%〜60%であるべきである。本発明の配合物の粘度は、典型的には1000センチポイズ(cP)より大きく、より好ましくは、5,000cPより大きく、もっとも好ましくは10,000cPより大きい。本発明の配合物の密度は、好ましくは0.9〜1.2g/mlである。
【0055】
安定した乾燥配合物の調製方法
生物活性物質を含む安定した乾燥配合物の調製方法は、(1)生物活性物質を溶液中でマトリックスおよびガラス形成剤と混合することにより配合物を調製すること、(2)配合物を急速凍結させて固体凍結粒子を形成させること、(3)凍結粒子を高真空圧に短時間さらして粒子をパージし、その構造を安定化すること、(4)配合物の凍結温度を上回る温度、好ましくは−10℃より高い温度で配合物に熱を加えながら、減圧下で凍結乾燥および/または水分蒸発させて水を除去すること、(5)完全真空および高温下で配合物の水分活性を0.3Aw未満までさらに減らすことを含む。
【0056】
1つの実施形態では、例えば、本発明の配合物は、マトリックス形成剤とガラス形成剤とを含む溶液または懸濁液に配合された生物活性物質を含む。マトリックス形成剤および/または高濃度のガラス形成剤を撹拌しながら熱い水溶液に溶かして無菌化してから、冷却し生物活性物質と混合する。生物活性物質(培養されたウイルスまたは細菌など)を遠心分離または濾過で濃縮し培地から分離してから、配合物中に再懸濁させる。
【0057】
本発明の1つの実施形態では、配合物中の水の総量は、濃縮された生きた生物の液体として与えられ、生きた生物の懸濁液は室温より少し上の温度に維持される。乾燥成分を混ぜ合わせてから、生きた生物の温かい(25℃〜40℃)懸濁液にゆっくり加える。配合懸濁液は、全成分が完全に分散し、均一スラリーが得られるまで、遊星形ミキサーで穏やかに撹拌する。
【0058】
次いで、液体窒素浴中に噴霧、滴下、または押し出すことによって粘稠な溶液を急速凍結させて、細かな固体の小滴、糸状体、またはビーズを形成させる。凍結固体粒子は、本発明の方法にしたがって、乾燥させるまで−30℃〜−80℃のディープフリーザーに貯蔵するか、ただちにトレーに載せて凍結乾燥または乾燥させることができる。固体凍結粒子は、短い時間、典型的には1から20分間、十分な真空下で(例えば、2000mTORR未満(<2000mTORR))パージする。一般に、粒子は、パージ工程中、−20℃未満の温度で固体凍結形態のままである。初期パージ工程の後、真空圧を2000から10,000mTORRの間まで増大させ、また熱を加えて配合物温度が−5℃から+5℃の間まで急速に上昇するようにすることができ、粒子の解凍が開始する。配合物温度が所望の温度に達したなら、その温度が維持されるように熱を調整し、第1の乾燥工程を進める。この工程では、配合物はすでに解凍されており、沸騰も発泡も一切行わずに加速した水分蒸発を行う。
【0059】
先行技術の典型的な方法は、大量の発泡および/または飛散および激しい沸騰が伴い、これは、センシティブな生物学的製剤を損ない、また高充填容量の工業規模への拡大において問題を引き起こしうる(例えば、米国特許第6,534,087号を参照。ここでは、加えられた真空圧によって激しい沸騰および発泡がもたらされる。)が、一方、本組成物および本方法は、非常に速い乾燥速度を達成する一方で配合物の沸騰も過剰の発泡も回避し、配合物の高充填容量が可能である。さらに、粘稠液体スラリーを完全かつ効率的に脱気することは困難であり、長期間が必要となりうる。本発明においては、沸騰や過剰の発泡なしに非晶質ガラス状構造を形成する効率的な第1の液体乾燥を可能とする好適な組成物を使用することにより、このような障害がすべて取り除かれた。驚くべきことに、また重要な点として、このことは、主に、好適な組成物の急速凍結によって、また第1の液体乾燥工程を開始する前に短いパージ工程を導入することによって達成された。スラリーまたは粘稠シロップとは違い、トレー上への固体凍結粒子の充填は、先行技術によってもたらされた場合よりもトレーの乾燥領域当たりの充填容量をずっと多くすることができる。第1の液体乾燥段階が完了した後、安定化非晶質ガラス状配合物を、第2の乾燥における高温(20℃から70℃の間)および1000mTORR未満の真空圧力に維持して、非常に短い時間で配合物の水分活性をさらに低減する。
【0060】
本発明の別の実施形態によれば、生物活性物質を保存するためのヒドロゲル配合組成物の調製方法が提供される。例えば、生物活性物質、マトリックス形成剤およびガラス形成剤を含む配合物を溶液中で混合し、さらに二価金属イオンを含む浴に噴霧しまたは押し出すか、または二価金属イオンを直接スラリーに加えて架橋させて堅いヒドロゲル粒子を形成させ、硬化したヒドロゲル化スラブを細かくきざんで小さい糸状体または小片にする。次いでヒドロゲル化粒子を、上述したように本発明の乾燥方法にしたがって乾燥させる。
【0061】
本発明の1つの特定の実施形態では、例えば、配合物は、1〜4%のアルギン酸ナトリウムおよび10〜40%のトレハロースの溶液中に生きたプロバイオティック細菌を含む。タンパク質および特にタンパク質加水分解物(カゼイン、乳漿、エンドウ豆、大豆または綿実など)を5〜10%だけ配合物に加えて、乾燥プロセスおよび配合物の非晶質ガラス状安定構造の形成を強化する(図1Aの写真4、5および6を参照)。プロバイオティック培養物は、フレッシュなもの、凍結されたもの、すでに乾燥された乾燥粉末形態のものであってよい(乾燥配合物におけるプロバイオティック細菌の種々の培養物形態のCFUカウントについては、図2を参照)。全成分が完全に溶解するまで、溶液を室温を少し上回る温度(典型的には、25℃〜37℃の間)で混合する。配合物スラリーを液体窒素中に噴霧、押し出し、または滴下して細かな小滴またはビーズを形成させ、次いでそれを液体窒素から取り除き、バッグに詰め込み、乾燥させるまで−80℃でディープフリーザー内に貯蔵できる。
【0062】
生きたプロバイオティック細菌の典型的な乾燥方法は、100〜1000g/sq ftの充填容量で固体凍結ビーズをトレー上に均一層となるように広げることを含み、トレーをただちに凍結乾燥機に入れる。次いで約1000mTORRの真空圧にし、凍結乾燥機のサイズおよび熱源のタイプに応じて、棚の温度を+20℃に調整するか、または粒子を約−20℃に維持するのに十分な温度に調整する。固体凍結ビーズは、約5〜30分間、パージされるようにし、真空を2000から10,000mTORRの間に調整し、熱伝達を増大させて、配合物の温度を−5℃から+5℃の間まで上昇させる。このような温度および真空圧条件は、第1の液体乾燥工程中維持し、該工程はトレーの充填に応じて数時間から24時間まで、好ましくは約3〜10時間持続させることができる。第1の乾燥プロセス中のある時点で、溶媒の蒸発速度がゆっくりになり、配合物の温度は、乾燥チャンバー内の熱の供給が過剰になって上昇し始める。この時点が第1の乾燥工程の終わりを示す。溶媒が配合物から追い出されるので、溶液中のガラス形成剤は濃縮され増粘し、配合物はやがて液体として流れるのが止まり、非晶質ガラス状構造および/または安定したガラス状構造が形成される。
【0063】
次いで完全真空および30℃〜50℃の配合物温度で第2の乾燥工程を行う。第2の乾燥工程の目的は、閉じ込められた(entrapped)または結合した水分を除去し、貯蔵中に周囲温度で長期間安定である組成物を提供することである。第2の乾燥工程は、数時間続いてもよく、その終了点は配合物が完全に乾燥し、その水分活性が0.3Awより低くなった時点である。
【0064】
本発明の乾燥方法により、非晶質ガラス状マトリックス内に包み込まれる生物的活性物質がもたらされ、それによってタンパク質の変性が防止され、分子相互作用または交差反応が著しく遅くなるが、これは非晶質ガラス状組成物内の化合物および他の分子の可動性が大きく低減されることによる。非晶質固体がそのガラス転移温度より低い温度であり、残留水分が比較的少ない(すなわち、Awが0.3より低い)ままである限り、生物活性物質は比較的安定している(図8を参照)。一部の生物活性成分はより結晶性の状態でもっと長く存続できるので、ガラス状態を達成することが長期の安定性にとって必要条件ではないのは注目すべきである。
【0065】
乾燥粉末の調製
乾燥配合物は、ひとまとめにして使用するか、所望の形状およびサイズに切断するか、あるいは破砕および粉砕して自由流動性の粉末にすることができ、これにより、湿式または乾式の凝集化、粒状化、錠剤化、圧縮、ペレット化、食品または飼料製品中での混合、または任意の他の種類の送達プロセスなどの下流処理加工が容易になり得る。破砕、微粉砕、粉砕または粉末化の方法は、当該技術分野において周知である。例えば、ハンマーミル、エアミル(air mill)、インパクトミル、ジェットミル、ピンミル、Wileyミル、あるい類似の粉砕装置を使用できる。好ましい粉砕粒子の粒径は、約1000μm未満、好ましくは500μm未満である。
【0066】
本明細書に記載の組成物および方法により、閉じ込められた生物的活性物質の生物活性が維持される。例えば、組成物を高温(例えば、40℃)および高湿度(例えば、33%RH)にさらし、配合物の生物活性を測定することにより、組成物の安定性を試験する。一例として、生きたプロバイオティック細菌の場合、これらの研究の結果は、これらの配合物に配合された細菌は少なくとも20日間安定していることを実証している(図8を参照)。安定性は、1 log CFU/gの効力低下(potency loss)の時間として定義される。そのような配合物は、高濃度の生物活性物質が使用された場合でさえ安定している。したがって、これらの配合物は、長い間、室温以上の温度で輸送および貯蔵できるという点で有利である。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、特許請求された発明を説明するためのものであるが、特許請求された発明を限定するものではない。
【0068】
実施例1
安定した乾燥プロバイオティック物質の調製
基本配合物
75gのトレハロース(Cargill Minneapolis, MN)および22gの高度加水分解カゼイン(Marcor, Carlstadt, NJ)を、3gのアルギン酸ナトリウム(ISP Corp., Wayne, NJ)と乾燥形態で均一に混合した。ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のフレッシュな濃縮物(100ml、少なくとも10%の固形分を含み、発酵回収物からの直接のもの)をブレンダー内に加え、35℃に維持した。ガムと糖とタンパク質加水分解物との乾燥混合物をプロバイオティック培養物にゆっくり加え、35℃で10分間混合した。次いで粘稠なスラリーを、孔底を有する容器に移し、窒素を含む浴に滴らせた。次いでビーズを液体窒素から取り除き、乾燥させるためにすぐに移した。
【0069】
基本配合物の凍結ビーズの乾燥
凍結ビーズを100g/sq ftの充填容量でトレー上に均一に広げ、すぐに凍結乾燥機(Model 25 SRC, Virtis, Gardiner, NY)内の棚に置いた。次いで1000mTORRの真空圧にし、固体の凍結ビーズを10分間パージした。次いで真空を2700mTORRに調整し、棚の温度を+30℃まで上昇させた。これらの温度および真空圧を3時間維持した。次いで完全真空(150〜200mTORR)において第2の乾燥工程を行い、棚の温度をさらに2時間30℃まで上昇させた。配合物を完全に乾燥させて、その水分活性をHygropalm Awl測定器(Rotonic Instrument Corp., Huntington, NY.)で測定すると、Aw=0.23であった。
【0070】
実施例2
プロバイオティック細菌であるラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)LGGを含む安定した乾燥組成物。
ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)LGG(商品供給元からの500gの凍結濃縮物)を、ジャケット付二重遊星形ミキサー(DPM, lqt, Ross Engineering, Inc. Savannah, GA,)内において37℃で解凍した。2種類のガラス形成剤(トレハロース(387g、Cargill Minneapolis, MN)および高度加水分解カゼイン(83g、Marcor, Carlstadt, NJ))を、乾燥形態で均一に2種類のマトリックス形成剤(アルギン酸ナトリウム(15g、ISP Corp., Wayne, NJ)およびインスタントの(instant)イヌリン(25g,Cargill Minneapolis, MN))と混合した。乾燥混合物を解凍されたプロバイオティック細菌にゆっくり加え、40RPMおよび37℃で10分間、混合した。50〜200mlの水を加えて、スラリーの粘度を12,000cPに調整した。次いでスラリーを、孔底を有する容器に移し、液体窒素を含む容器中に滴らせた。次いでビーズを液体窒素から取り除き、アルミニウム箔の施された密封バッグに入れ、ディープフリーザー内において−80℃で数週間貯蔵した。
【0071】
乾燥させるため、凍結ビーズを100から500g/sq ftまでの範囲の充填容量でトレー上に均一に広げ、トレーを凍結乾燥機(Model 25 SRC, Virtis, Gardiner, NY)内の棚に置いた。1000mTORRの真空圧にし、棚の温度を+20℃に調整した。1〜30分間の範囲の時間、固体の凍結ビーズをパージした。このパージ工程に続いて、第1の乾燥工程を実施したが、これは真空圧を2700mTORRに調整し、棚の温度を+30℃まで上昇させた後に行った。これらの温度および真空圧を12時間維持した。次いで完全真空(150〜200mTORR)において第2の乾燥工程を行い、棚の温度をさらに4時間30℃に維持した。配合物を完全に乾燥させ、その水分活性を測定すると0.23Awであった。図6は、プロバイオティック配合物の乾燥プロファイルを示す。
【0072】
種々の温度(+4℃、−80℃および−180℃)でスラリーを凍結した後、また乾燥プロセス(凍結ビーズの調製、および凍結乾燥機での乾燥を含む)の後の生存率低下を、図3、4および7に示す。プロセス全体での生存率低下は、細菌培養物のタイプ(凍結培養物かまたは乾燥培養物)、および粘稠スラリーの凍結温度によって異なるが、一般には1 log未満(<1 log)であった。結果は、液体窒素(−180℃)中でのプロバイオティック細菌の急速凍結は、−80℃での凍結よりも損傷の少ない方法であることを示している。
【0073】
図5および8は、乾燥組成物中のプロバイオティック細菌の初期カウントおよび40℃および33%RHという加速貯蔵条件のもとでの貯蔵安定性に対する、0分間(パージなし)から30分間の範囲の様々なパージ時間の効果を示している。結果は、一般にパージが長くなると、乾燥配合物中の細菌の初期カウントが改善されるが、プロバイオティック配合物の貯蔵安定性への効果はないことを示唆している。
【0074】
実施例3
トレハロース(752g、Cargill Minneapolis, MN)、高度加水分解エンドウ豆タンパク質(167g、Marcor, Carlstadt, NJ)、アルギン酸ナトリウム(30g、ISP Corp., Wayne, NJ)およびインスタントのイヌリン50g(Cargill Minneapolis, MN)を乾燥形態で均一にブレンドした。乾燥混合物をジャケット付二重遊星形ミキサー(DPM, 1qt, Ross Engineering, Inc. Savannah, GA,)内において80℃で1000mlの熱い脱イオン水にゆっくり加え、40RPMで10分間、混合した。混合物の温度を37℃まで下げて、商品供給元から得た100gの乾燥粉末のラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)LGGをゆっくり加え、20分間混合を継続した。次いでスラリーを2mmの孔の針に通して押し出して、液体窒素を含む浴に入れた。次いで糸状体/ビーズを液体窒素から取り除き、アルミニウム箔の施された密封バッグに入れ、ディープフリーザー内において−80℃で数週間貯蔵した。乾燥させるため、凍結した糸状体/ビーズを100から500g/sq ftまでの範囲の充填容量でトレー上に均一に広げ、トレーを凍結乾燥機(Model 25 SRC, Virtis, Gardiner, NY)内の棚に置き、実施例2で記載したようにして乾燥させた。すべての配合物は満足すべきことにトレー内にとどまり、すべての充填レベルで飛散も発泡も観察されなかった。配合物はより大きな充填容量でも完全に乾燥した。また水分活性を測定するとすべての試料で0.26Aw以下であった。
【0075】
実施例4
プロバイオティック細菌であるビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(Bb12)を含むヒドロゲル配合物の調製:
ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(Bb12)の濃縮プロバイオティックスラリーを、実施例1にしたがって調製する。その基本配合物に、0.5gの二塩基性リン酸カルシウムを加え、その後、0.5gのグルコノラクトンを加える。スラリーは、室温でその後の2時間にわたって固まるようにさせて固体のヒドロゲルを形成させる。市販のスライサー/シュレッダーを用いて、堅いゲルをスライスして細長い糸状体にする。細い糸状体を液体窒素で急速凍結させ、トレー上に700g/sq ftの充填容量で載せ、乾燥させるために実施例2で記載したようにして凍結乾燥機内に入れる。配合物の水分活性(Aw)は0.05であった(HygroPalm Awl, Rotonic Huntington, NY)で測定)。標準ハンマー粉砕装置を用いて乾燥配合物をさらに粉砕して微粉にし、50〜250ミクロンの篩で分けた。
【0076】
実施例5
プロバイオティック細菌であるラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含み、アレルゲンを含まない組成物
トレハロース(752g、Cargill Minneapolis, MN)、高度加水分解エンドウ豆タンパク質(167g、Marcor, Carlstadt, NJ)、アルギン酸ナトリウム(30g、ISP Corp., Wayne, NJ)およびインスタントのイヌリン50g(Cargill Minneapolis, MN)を乾燥形態で均一にブレンドした。乾燥混合物をジャケット付二重遊星形ミキサー(DPM, 1qt, Ross Engineering, Inc. Savannah,GA,)内において80℃で1000mlの熱い脱イオン水にゆっくり加えることにより殺菌し、なめらかで透明なスラリーが形成されるまで40RPMで10分間、混合した。混合物の温度を37℃まで下げて、商品供給元から得たラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む1000gの凍結ビーズをゆっくり加え、10分間混合を継続した。次いでスラリーを2mmの孔の針に通して押し出して、液体窒素を含む浴に入れた。次いで糸状体/ビーズを液体窒素から取り除き、アルミニウム箔の施された密封バッグに入れ、ディープフリーザー内において−80℃で数週間貯蔵した。乾燥させるため、凍結した糸状体/ビーズを1000g/sq ftの充填容量でトレー上に均一に広げ、トレーを凍結乾燥機(Model 25 SRC, Virtis, Gardiner, NY)内の棚に置き、実施例2で記載したようにして乾燥させた。乾燥組成物中のプロバイオティック細菌の初期CFUカウントは10.53 logs/gであった。また40℃および33%RHという加速貯蔵条件下で42日間貯蔵した後の生存率低下は、0.69 log CFU/gであった。
【0077】
実施例6
本発明の乾燥配合物を含む乳児用調製粉乳:
ラクトバシラス(Lactobacillus)GG(Valio Corp, Finland)を含む安定した乾燥配合物を実施例2にしたがって調製し、その後、2種類の粒径群(50μm超と150μm未満)に篩で分けた。99.9gのNutramigen(Mead Johnson; Evansville, IL)を50μm〜150μmの粒径範囲の乾燥配合物粒子0.1gと混ぜることによって、乳児用調製粉乳を調製した。最終生成物は、100gの乳児用調製粉乳当たり約10cfuのラクトバシラス(Lactobacillus)GGを含んでいる。
【0078】
実施例7
本発明の安定した乾燥配合物を含むプロバイオティック栄養補助品:
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を含む安定した乾燥組成物を配合して、経口剤形(錠剤、カプレット、またはカプセル剤など)にする。圧縮剤(デキストロース)99.9gとサイズ範囲が50μm〜150μmの乾燥配合物粒子0.1gとを含む風味を付けたオレンジ色錠剤を、1/2インチの丸い標準凹型工具を使用して回転機での直接圧縮によって調製する。最終生成物は、約10cfu/単位用量を含む。錠剤の硬度は8〜10kpの範囲であり、崩壊時間はおよそ20秒である。圧縮錠剤を180ccのHDPE瓶に詰め(それぞれに100錠)、制御された温度/湿度(40℃/33%RH)にさらす。その生成物に対して、月1回の微生物学的安定性試験を、12ヶ月の期間にわたって、あるいは観察される試験カウントの減少が1×10/単位用量未満になるまで、実施する。
【0079】
実施例8
本発明の安定した乾燥配合物を含む機能性飲料
(重量%で)71%のスクロース、14%のマルトデキストリン、10%のイヌリン、2%のデキストロース、1%の無水クエン酸、0.3%のアラビアガム、0.3%の香料、0.3%のリン酸三カルシウムおよび0.1%の乾燥プロバイオティック配合物粒子(L.アシドフィルス(L. acidophilus))(50μm〜250μmの粒径範囲のもの)を含む乾燥混合物を調製する。最終生成物は、約10cfu/単位用量(30gの乾燥混合物)を含む。その生成物を、340mlの水の中で撹拌して、飲料用に小さなアルミニウム箔バッグに詰める(30g単位用量/バッグ)。飲料用乾燥混合物中のプロバイオティック細菌の安定性に対して、12ヶ月の期間にわたって、あるいは観察される試験カウントの減少が1×10/単位用量未満になるまで、月1回の微生物学的安定性試験を実施する。
【0080】
実施例9
プロバイオティックペットフードの調製:
市販の犬用ペレットペットフードを、水分活性が0.1になるまで熱対流炉中で乾燥させてから、実施例3で記載されているように調製された安定したプロバイオティック乾燥配合物でコーティングする。乾燥ペレットに、約5%の脂肪系防湿剤(fat-based moisture barrier)(40%の鶏脂、40%のカカオ脂、および20%の蜜ろうの混合物)を吹き付け、ドラムタンブラー中で乾燥粉末配合物(普通、ペットフード全体の0.1〜0.5%であり、10 CFU/gの服用量となる)と混合し、最後に脂肪系防湿剤のコーティングをさらに吹き付ける。コーティングの総量は、(ペットフードの)約15%である。コーティング時間は約30分間である。
【0081】
実施例10
数種類のプロバイオティック微生物を含む魚飼料の調製:
本発明による魚用ペレット飼料は、数種類のプロバイオティックスの混合物を用いて調製する。L.ラムノサス(L. rhamnosus)とL.アシドフィルス(L. acidophilus)とビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)との混合物を含む安定した乾燥プロバイオティック配合物を、実施例1に記載されているようにして調製する。市販のサケ用出発飼料(Zeigler Bros., Gardners, PA)を、最初に水分活性が0.1になるまで熱対流炉中で乾燥させ、その後、ドラムタンブラー中においてプロバイオティックス配合物でコーティングする。ペレット(1000g)に、最初に約5重量%の脂肪系防湿剤(40%の魚油、40%のカカオ脂および20%の蜜ろうの混合物)を吹き付け、その後、1gの安定した乾燥プロバイオティック配合物(10cfu/g(飼料)の服用量となる)と混合し、最後に脂肪系防湿剤のさらなるコーティングを吹き付ける。コーティングの総量は、(魚飼料の)約10%である。
【0082】
実施例11
酵素を含む安定した乾燥粉末:
40重量パーセントのサビナーゼ(Savinase)(Novozymes, Denmark)を含むヒドロゲル配合物を、実施例4で記載した配合物600gおよびサビナーゼ400gを水溶液1000g中で混合することにより調製する。細かくきざんだヒドロゲル配合物を液体窒素で急速凍結させ、真空オーブン内において50℃の配合物乾燥温度で乾燥させる。乾燥配合物の投入量および貯蔵安定性を測定するため、乾燥試料を正確に秤量して(<100mg)微小遠心管に入れる。200μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を加える。配合物をボルテックスによってDMSO緩衝液に溶かす。この試料に、0.05N NaOH、0.5%のSDSおよび0.075Mクエン酸(三ナトリウム塩)を含む0.8mlの溶液を加える。管を45℃で10分間超音波処理し、その後、5,000rpmで10分間短く遠心分離する。透明なDMSO/NaOH/SDS/シトレート溶液のアリコットをマイクロプレートのウェルに入れ、ブラッドフォード(Bradford)試験法を用いてタンパク質含有量を分析する。この安定した酵素配合物の貯蔵安定性は、本発明の配合物を用いない乾燥酵素よりも著しく大きい。
【0083】
実施例12
ビタミンAを含む安定した乾燥粉末:
インスタントのイヌリン320g、マルトデキストリンDE−l(Tate&Lyle, London, UK)320g、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(Ashland Aqualon Functional Ingredients, Wilmington, DE)50g、アスコルビン酸ナトリウム10gおよび結晶ビタミンA(BASF Corp., Florham Park, N.J)300gを水1000g中で混合することにより、30重量パーセントのビタミンAを含む配合物を調製する。湿った配合物を、Mobile-Minor噴霧乾燥機(GEA Process Engineering Inc., Columbia MD)で入口温度および出口温度がそれぞれ180℃および80℃において噴霧乾燥させるか、あるいは液体窒素で急速凍結させてから、1000g/sq ftの充填容量でトレー上に広げ、実施例2に記載したようにして乾燥させる。ビタミンAの組成物は、40℃および75%RHで3ヶ月間安定している(>80%)。
【0084】
実施例13
生物学的利用能の向上した保護配合物中のカロテンの調製:
貯蔵時または生物に食べさせた後に飼料中の他の成分によって酸化されるであろうカロテンの生物学的利用能を保護および向上させる配合物を、本発明の配合および方法にしたがって調製する。6gの水溶性キトサン(LSK BioPartners, Inc. Salt Lake City, Utah)を含む配合物を水200gに溶かす。この溶液に、天然アスタキサンチン(Naturose(商標), Cyanotech Corp., Kailua-Kona, HI))90gを加え、そのスラリーを5%のトリポリリン酸ナトリウムを含む浴に噴霧または押し出す。ヒドロゲル化微小粒子または糸状体を室温で4時間にわたって硬化させる。粒子を架橋浴から取り出し、水で洗い、スクロース90gと高度加水分解カゼイン10gとのドライブレンドと混合する。糖/タンパク質を担持した粒子を急速凍結させ、ただちに500g/sq ftでトレーに載せ、凍結乾燥機で水分活性が0.3未満に減少するまで凍結乾燥させた。乾燥配合物をさらに粉砕して所望の粒度分布になるようにし、包装する。
【0085】
実施例14
侵入性種餌(Invasive Species Bait)の調製
特に標的とした侵入性種のためのペレット餌を本発明にしたがって調製する。実施例1に記載した、殺虫剤を含む200gの配合物を調製し、200gmの水に加える。この溶液に、ロテノン90gmおよびリン酸水素カルシウム0.5gm、その後に0.5gmのグルコノラクトンを加える。スラリーを室温で2時間にわたって硬化させる。堅いゲルを、スライサー/シュレッダーによって細長い糸状体にスライスする。その細い糸状体をトレー上に充填し、凍結乾燥機に入れる。棚の温度を−30℃に設定し、配合物を凍結させてから完全真空にし、さらに一晩乾燥させるために棚の温度を+60℃に上昇させる。乾燥配合物は、標的とする特定種のための餌の大きさ仕様に合った適切な粒度分布になるまで粉砕する。
【0086】
実施例15
水不溶性配合物中の保護殺虫剤の調製:
貯蔵時または施した後にその環境で配合物中の他の成分によって分解するであろう殺虫剤の保護粒状配合物を、本発明の配合および方法で調製する。6gのペクチンおよび102gのスクロースを含む配合物を、水200gに加える。この溶液に、センシティブな殺虫剤の乾燥配合物90gおよびリン酸水素カルシウム1.5gと塩化カルシウム0.5gとを含む混合物を加え、その後に0.85gのグルコノラクトンを加える。そのスラリーを室温で4時間にわたって硬化させ、その後スライサー/シュレッダーによってスライスして細長い糸状体にする。細い糸状体をトレー上に充填し、凍結乾燥機で乾燥させて水分活性が0.1になるようにする。乾燥配合物をさらに粉砕して所望の粒度分布になるようにし、包装する。
【0087】
実施例16
保護植物プロバイオティック配合物の調製:
根圏細菌(Rhizobacteria)などの生物農薬を、実施例4にしたがって乾燥組成物の形で調製する。根圏細菌(Rhizobacteria)乾燥組成物の効果は、純粋隔離群条件下でのレタスの成長に基づいて評価する。用量として1つの植物当たり100mgの根圏細菌(Rhizobacteria)乾燥組成物を砂と一緒に広口瓶に接種し、事前に発芽させた(24h)レタスの苗木を植える。栄養素の用量として5mlの殺菌されたホーグランド(Hoagland)溶液を広口瓶中の植物に施す。光周期が12時間である28℃に維持されたグロースチャンバー内に広口瓶を無作為に並べる。接種後、7日間の間隔ごとの間に、植物とそれに付着する土を注意深く広口瓶から取り出す。殺菌したリン酸緩衝液(pH7.0)で根を洗い、根の長さの測定を記録する。
【0088】
文献
以下の文献および本明細書で引用されているすべての文献を、あらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0089】
米国特許文献:
6,190,701 Composition and method for stable injectable liquids, March 1999, Roser et al.
6,964,771 Method for stably incorporating substances within dry, foamed glass matrices, September 1997, Roser et al.
5,766,520 Preservation by formulation formation, June 1998,
Bronshtein
6,534,087 Process for preparing a pharmaceutical composition,
June 2001, Busson and Schroeder.
6,884,866 Bulk drying and the effects of inducing bubble nucleation, April 2005, Bronshtein.
7,153,472 Preservation and formulation of bioactive materials for storage and delivery in hydrophobic carriers, December, 2006, Bronshtein
20080229609 Preservation by Vaporization, June 2005, Bronshtein
6,306,345 Industrial scale barrier technology for preservation of sensitive biological materials at ambient temperatures, October 2001, Bronshtein et al.
7381425 Preservation of bioactive materials by freeze dried foam, September 2006, Truong-le, Vu.
【0090】
その他の文献:
Morgan, C.A., Herman, N., White, P.A., Vesey, G. 2006. Preservation of micro-organisms by drying; a review. J. Microbiol. Methods. 66(2): 183-93.
Capela, P., Hay, T. K. C, & Shah, N. P. 2006. Effect of cryoprotectants, prebiotics and microencapsulation on survival of probiotic organisms in yoghurt and freeze-dried yoghurt. Food Research International, 39(3) 203-211).
Annear, 1962. The Preservation of Leptospires by Drying From the
Liquid State, J. Gen. Microbiol, 27:341-343.
Crowe, J.F., Carpenter, J.F. and Crowe, L.M. 1998. THE ROLE OF
VITRIFICATION IN ANHYDROBIOSIS. Annu. Rev. Physiol. 60:73-103.
【図1−A】

【図1−B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性物質、少なくとも1種のマトリックス形成剤、および少なくとも2種類のガラス形成剤を含む、組成物。
【請求項2】
生物活性物質を含む乾燥ガラス状組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記配合物が、約30重量パーセント〜約70重量パーセントの範囲の全固形分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記生物活性物質が、細胞、微生物、ウイルス、細胞培養物、細菌、プロバイオティック細菌、植物および土壌のプロバイオティック細菌、酵母、タンパク質、組換えタンパク質、酵素、ペプチド、ホルモン、ワクチン、薬物、抗生物質、ビタミン、カロチノイド、ミネラル、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤または殺精子剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記マトリックス形成剤が、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラギナン、グアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キトサンおよびキトサン誘導体、デンプンおよび加工デンプン、シクロデキストリン、イヌリン、マルトデキストリン、デキストラン、およびそれらの組合せからなる群から選択される多糖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記マトリックス形成剤が、約1重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲の量で前記配合物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ガラス形成剤が容易に溶液に溶け、水と接触したときに増粘または重合せず、乾燥時に結晶を生じない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ガラス形成剤が、ヒトおよびウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン、単離ダイズタンパク質、小麦タンパク質、スキムミルク粉末、カゼイン塩、乳漿タンパク質、エンドウ豆タンパク質および任意のタンパク質加水分解物などのタンパク質;単糖類(ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、ラクトース、トレハロース、スクロースなどを含む二糖類を含む、炭水化物;リジン、グルタミン酸モノナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニンまたはヒスチジンなど、および疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど)などのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;例えば、グリセリン、エリトリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、およびイソマルトなどの三価以上の糖アルコールなどのポリオール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;糖脂肪酸エステルおよびレシチンなどのリン脂質などの界面活性剤;およびそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ガラス形成剤が、約1重量パーセント〜約80重量パーセントの範囲の量で前記配合物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の安定した乾燥粉末配合物の調製方法であって、生物活性物質、マトリックス形成剤および2種類のガラス形成剤を水性溶媒中で混ぜ合わせて粘稠なスラリーを生じさせること;前記スラリーを液体窒素中で急速凍結させて固体の凍結したビーズ、小滴、または糸状体を生じさせること;前記固体凍結粒子を真空下および前記配合物の凝固点未満の温度でパージすること;前記配合物の凍結温度を上回る配合物温度で真空下において蒸発させることによる前記配合物の第1の液体乾燥工程;完全真空および20℃以上の温度で、前記配合物の水分活性をAw0.3以下に下げるのに十分な時間行う前記配合物の第2の乾燥を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物の調製方法であって、前記生物活性物質、少なくとも1種のマトリックス形成剤、および少なくとも2種類のガラス形成剤を含む粘稠なスラリーを調製すること;前記スラリーを液体窒素中で急速凍結して、糸状体、小滴、ビーズ、またはマイクロビーズの形態の非晶質構造の凍結粒子を生じさせること;前記凍結粒子に対する圧力を下げて、30分未満の間、2000mTORR未満に低くすること;前記圧力を2000mTORRより高く上昇させ、さらに20℃〜70℃に加熱して前記配合物の脱水を促進することを含む、方法。
【請求項12】
前記組成物を、乾燥前にその凍結温度より低い温度に急速凍結させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の乾燥を蒸発で行う、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の乾燥を凍結乾燥で行う、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記温度および/または真空圧を増大させることにより前記第2の乾燥工程を促進する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記配合物の水分活性をAw0.3以下にまで減少させるのに十分な時間、前記配合物を乾燥させる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥配合物を切断、破砕、粉砕、またはそれぞれ粉末化して自由流動性の粉末にする、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記乾燥配合物の粒径が約1000μm未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記配合物を、動物および植物に、還元液体として、粉砕粉末として、または食品または飼料製品として投与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記配合物を、乳児用調製粉乳、機能性飲料、およびペットフードからなる群から選択される成分と混合すること、およびヒト幼児、ヒト大人、動物、または植物に投与することをさらに含む、請求項11に記載の方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2013−517801(P2013−517801A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551295(P2012−551295)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022821
【国際公開番号】WO2011/094469
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504102530)アドバンスド バイオニュートリション コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】